(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】多心コネクタ光ファイバー測定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20220318BHJP
G02B 6/43 20060101ALI20220318BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20220318BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20220318BHJP
G01M 11/02 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
G01M11/00 Q
G02B6/43
G02B6/32
H01L31/02 D
G01M11/02 J
(21)【出願番号】P 2018040027
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】山本 智一
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0194566(US,A1)
【文献】特開平11-287734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0234767(US,A1)
【文献】特開平08-240481(JP,A)
【文献】米国特許第06111635(US,A)
【文献】特開2000-314824(JP,A)
【文献】特開2017-067531(JP,A)
【文献】特開平10-090008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00-11/02
G02B 6/26-6/40
H01L 31/0232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバーをまとめて多心化した多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と、それぞれの前記光ファイバーによって伝送される光の光パワーの測定とを行う多心コネクタ光ファイバー測定装置であって、
光源部が発光した光が順次入射されたそれぞれの前記光ファイバーによって伝送された光を受光する受光部側に、
光の受光領域が
2分割または4分割され、受光した光に応じた電気信号を分割されたそれぞれの前記受光領域ごとに出力する分割型フォトダイオードと、
前記多心コネクタ光ファイバーパッチコードに取り付けられた多心光コネクタと嵌合し、前記多心光コネクタ内に配置された複数の前記光ファイバーのフェルール端面と前記分割型フォトダイオードとの間の距離を予め定めた距離に固定する多心光コネクタ用レセプタクルと、
前記分割型フォトダイオードから出力されたそれぞれの前記受光領域の電気信号に基づいて、前記極性タイプの識別と前記光パワーの測定とを行う信号処理部と、
を備える、
ことを特徴とする多心コネクタ光ファイバー測定装置。
【請求項2】
前記多心光コネクタ用レセプタクルは、
前記多心光コネクタ内に配置された複数の前記光ファイバーのフェルール端面から出射される光を遮らない大きさおよび形状の開口部、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の多心コネクタ光ファイバー測定装置。
【請求項3】
前記開口部は、
前記多心光コネクタに備えた位置決めピンが、当該開口部の領域内に収まる大きさおよび形状である、
ことを特徴とする請求項2に記載の多心コネクタ光ファイバー測定装置。
【請求項4】
前記多心光コネクタ用レセプタクルは、
前記多心光コネクタにおいて前記光ファイバーのフェルール端面が配置された長手方向を、前記分割型フォトダイオードにおいて分割された前記受光領域の境界線に対して予め定めた角度を持たせて位置させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多心コネクタ光ファイバー測定装置。
【請求項5】
前記角度は、
0°以外の角度である、
ことを特徴とする請求項4に記載の多心コネクタ光ファイバー測定装置。
【請求項6】
前記角度は、
45°である、
ことを特徴とする請求項5に記載の多心コネクタ光ファイバー測定装置。
【請求項7】
前記多心光コネクタ用レセプタクルと前記分割型フォトダイオードとの間に、前記多心光コネクタ内に配置された全ての前記光ファイバーのフェルール端面から出射される光を前記分割型フォトダイオードの前記受光領域の範囲内に照射させるレンズ、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の多心コネクタ光ファイバー測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多心コネクタ光ファイバー測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光信号によってデータ通信などを行う光通信システムが実用化されている。光通信システムでは、光信号を伝送するための媒体として光ファイバーが用いられている。光通信システムを利用している設備としては、コンピュータやデータ通信装置を設置して運用しているデータセンターなどがある。データセンターなどの設備では、それぞれの装置同士を接続するために、大量の光ファイバーが敷設されている。
【0003】
近年、データセンターなどの設備では、データの伝送量の増加への対応が求められている。このため、データセンターなどの設備では、複数の光ファイバーをまとめて多心化した多心光ファイバーの両端に多心光コネクタを取り付けた多心コネクタ光ファイバーパッチコードを敷設することによって、データ伝送の高密度化を図っている。
【0004】
ところで、多心コネクタ光ファイバーパッチコードには、両端の多心光コネクタ間のそれぞれの光ファイバーの結線によって極性が異なる複数のタイプが存在する。例えば、多心光コネクタが12本の光ファイバーを一括して接続することができる構成の12心MPO(Multi-fiber Push On)コネクタである場合、MPOコネクタ間の光ファイバーの結線によって、Aタイプ、Bタイプ、およびCタイプの3種類の極性タイプが存在する。このため、データセンターなどの設備において多心コネクタ光ファイバーパッチコードを敷設する際には、多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプを確認(識別)しながら敷設する必要がある。また、データセンターなどの設備において多心コネクタ光ファイバーパッチコードを敷設する際には、接続した多心コネクタ光ファイバーパッチコードの損失(接続損失)を測定するために、伝送された光の光強度、いわゆる、光パワーの計測(測定)も行われる。このとき、多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの確認(識別)や光パワーの計測(測定)を、例えば、特許文献1に開示されたような、多心コネクタ光ファイバー測定装置を用いて行う。
【0005】
ここで、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置の構成および動作について説明する。
図15は、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置の概略構成を示したブロック図である。従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置900は、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する複数の光ファイバー510のチャネルの内、任意の1つの光ファイバー510のチャネルに発光した光を入射させる光源部910と、光ファイバー510によって伝送された光に基づいて多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)や光パワーの計測(測定)を行う測定部920とを含んで構成される。従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、光源部910を測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の一端に接続し、測定部920を多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の他端に接続することによって、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを同時に行う。
【0006】
光源部910は、光源、光スイッチ、光ファイバーファンアウトコード、および多心コネクタアダプタを含んで構成される。光源部910は、多心コネクタアダプタによって、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の一端に備えたMPOコネクタ501と接続される。そして、光源部910は、光源が発光した光を、多心コネクタアダプタによって接続された多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する任意の1つの光ファイバー510のチャネルに入射させる。このとき、光源部910では、光スイッチが、光源が発光した光を出射する光路を、光を入射させる光ファイバー510のチャネルに対応する光ファイバーファンアウトコードが接続された光路に切り替える。これにより、光源部910では、光源が発光した光が、光スイッチ、光ファイバーファンアウトコード、および多心コネクタアダプタを介して、光を入射させる任意の1つの光ファイバー510のチャネルに入射される。
【0007】
測定部920は、受光部921と、信号処理部922と、表示部923とを含んで構成される。また、受光部921は、多心コネクタアダプタ9211と、光ファイバーファンアウトコード9212と、光スイッチ9213と、光センサ9214とを含んで構成される。受光部921は、多心コネクタアダプタ9211によって、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500において光源部910が接続されていない他端に備えたMPOコネクタ502と接続される。これにより、受光部921では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成するそれぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送された光が、多心コネクタアダプタ9211を介して、対応する光ファイバーファンアウトコード9212に入射される。受光部921では、それぞれの光ファイバーファンアウトコード9212が、入射された光を光スイッチ9213に出射する。そして、受光部921では、光スイッチ9213が、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500のそれぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光を光センサ9214に出射する光路を順次切り替える。つまり、受光部921では、光スイッチ9213が、それぞれの光ファイバーファンアウトコード9212から出射された光の光路を順次切り替えて、1つの光センサ9214に順次出射する。そして、受光部921は、光センサ9214が、光スイッチ9213によって切り替えられて入射した光を順次受光し、受光した光に応じたそれぞれの電気信号を信号処理部922に順次出力する。そして、測定部920では、信号処理部922が、受光部921から出力された電気信号に基づいて、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500のそれぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光の光パワーを算出する。また、測定部920は、算出したそれぞれのチャネルの光パワー値を比較することによって、光源部910によって光源が発光した光が入射された任意の1つの光ファイバー510のチャネルを判別する。
【0008】
以降、多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、光源部910が、光スイッチによって光源が発光した光を入射させる光ファイバーファンアウトコードを順次切り替え、任意の1つの光ファイバー510のチャネルに光を順次入射させる。そして、多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、測定部920が、それぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光の光パワーの算出と任意の1つの光ファイバー510のチャネルの判別とを繰り返す。このようにして、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する全ての光ファイバー510のチャネルの光パワーの算出と判別とを行う。そして、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、全ての光ファイバー510のチャネルの光パワーの算出と判別とが完了したときに、光を入射させた任意の1つの光ファイバー510のチャネルの情報と、光ファイバー510のチャネルを判別した結果とに基づいて、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)する。このようにして、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、全ての光ファイバー510のチャネルの光パワーの算出と判別とが完了したときに、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの最終的な確認(識別)結果と、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける光パワーの最終的な計測(測定)結果とを得る。
【0009】
なお、多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの最終的な確認(識別)結果と、それぞれのチャネルの光パワーの最終的な計測(測定)結果とを、表示部923に表示することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、上述したように、光ファイバーファンアウトコードおよび光スイッチを介して、光源が発光した光を光ファイバー510のチャネルに入射させ、光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光を、光ファイバーファンアウトコード9212および光スイッチ9213を介して、光センサ9214に出射している。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、計測(測定)した多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の光パワー値の中に、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500と光ファイバーファンアウトコード9212との接続損失や、光スイッチ9213が切り替える光の損失が、少なからず含まれてしまう。つまり、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置900では、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500以外の構成要素による光の損失の影響を受けて、光パワーの測定精度が低下してしまう。
【0012】
本発明は、上記の課題に基づいてなされたものであり、多心光コネクタが取り付けられた多心コネクタ光ファイバーパッチコードの測定を行う多心コネクタ光ファイバー測定装置において、測定精度の低下を抑えることができる多心コネクタ光ファイバー測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置は、複数の光ファイバーをまとめて多心化した多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と、それぞれの前記光ファイバーによって伝送される光の光パワーの測定とを行う多心コネクタ光ファイバー測定装置であって、光源部が発光した光が順次入射されたそれぞれの前記光ファイバーによって伝送された光を受光する受光部側に、光の受光領域が複数に分割され、受光した光に応じた電気信号を分割されたそれぞれの前記受光領域ごとに出力する分割型フォトダイオードと、前記多心コネクタ光ファイバーパッチコードに取り付けられた多心光コネクタと嵌合し、前記多心光コネクタ内に配置された複数の前記光ファイバーのフェルール端面と前記分割型フォトダイオードとの間の距離を予め定めた距離に固定する多心光コネクタ用レセプタクルと、前記分割型フォトダイオードから出力されたそれぞれの前記受光領域の電気信号に基づいて、前記極性タイプの識別と前記光パワーの測定とを行う信号処理部と、を備える、ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置は、接続された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と光パワーの測定とを同時に行うことができる。
【0015】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置における前記多心光コネクタ用レセプタクルは、前記多心光コネクタ内に配置された複数の前記光ファイバーのフェルール端面から出射される光を遮らない大きさおよび形状の開口部、を備える、ことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置は、多心光コネクタの構造に関係なく、接続された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と光パワーの測定とを同時に行うことができる。
【0017】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置における前記多心光コネクタ用レセプタクルの前記開口部は、前記多心光コネクタに備えた位置決めピンが、当該開口部の領域内に収まる大きさおよび形状である、ことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置は、多心光コネクタのタイプ(オスタイプやメスタイプ)に関係なく、接続された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と光パワーの測定とを同時に行うことができる。
【0019】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置における前記多心光コネクタ用レセプタクルは、前記多心光コネクタにおいて前記光ファイバーのフェルール端面が配置された長手方向を、前記分割型フォトダイオードにおいて分割された前記受光領域の境界線に対して予め定めた角度を持たせて位置させる、ことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置は、多心光コネクタに配置された光ファイバーの長手方向の心数に関係なく、接続された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と光パワーの測定とを同時に行うことができる。
【0021】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置における前記多心光コネクタ用レセプタクルの前記角度は、0°以外の角度である、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置における前記多心光コネクタ用レセプタクルの前記角度は、45°である、ことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置は、前記多心光コネクタ用レセプタクルと前記分割型フォトダイオードとの間に、前記多心光コネクタ内に配置された全ての前記光ファイバーのフェルール端面から出射される光を前記分割型フォトダイオードの前記受光領域の範囲内に照射させるレンズ、をさらに備える、ことを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置は、小さい受光領域の分割型フォトダイオードを、採用することができる。
【0025】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置における前記分割型フォトダイオードは、前記受光領域が2分割されている、ことを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置は、多心光コネクタ内に配置された複数の光ファイバーのフェルール端面が1列である測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と光パワーの測定とを同時に行うことができる。
【0027】
また、本発明の多心コネクタ光ファイバー測定装置における前記分割型フォトダイオードは、前記受光領域が4分割されている、ことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置は、多心光コネクタ内に配置された複数の光ファイバーのフェルール端面が複数列である測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの識別と光パワーの測定とを同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、多心光コネクタが取り付けられた多心コネクタ光ファイバーパッチコードの測定を行う多心コネクタ光ファイバー測定装置において、測定精度の低下を抑えることができる多心コネクタ光ファイバー測定装置を提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態における多心コネクタ光ファイバー測定装置の概略構成を示したブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する光源部の概略構成の一例を示したブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部の構成要素の位置関係を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部に備えた多心光コネクタ用レセプタクルの構造を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部に備えた多心光コネクタ用レセプタクルに多心コネクタ光ファイバーパッチコードを接続した場合の一例を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部に備えた多心光コネクタ用レセプタクルに多心コネクタ光ファイバーパッチコードを接続した場合の一例を説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部に備えた多心光コネクタ用レセプタクルに多心コネクタ光ファイバーパッチコードを接続した場合の一例を説明する図である。
【
図8】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置において計測を行う光と、光の受光領域との関係を説明する図である。
【
図9】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置において照射される光の受光領域内の位置と、算出した光の位置との関係を説明する図である。
【
図10】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置において照射される光の受光領域内の位置と、算出した光の位置との別の関係を説明する図である。
【
図11】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置における処理手順を示したフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置において計測を行う光と、光の受光領域との別の関係を説明する図である。
【
図13】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置において照射される光の受光領域内の位置と、算出した光の位置との別の関係を説明する図である。
【
図14】本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置において照射される光の受光領域内の大きさと算出した光の位置との関係の違いを説明する図である。
【
図15】従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置の概略構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における多心コネクタ光ファイバー測定装置の概略構成を示したブロック図である。多心コネクタ光ファイバー測定装置100は、光源部110と測定部120とを含んで構成される。多心コネクタ光ファイバー測定装置100も、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置と同様に、光源部110と測定部120との間に接続された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを同時に行う。
【0032】
なお、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500は、複数の光ファイバー510をまとめて多心化し、両端に多心光コネクタを取り付けた光ファイバーケーブルである。以下の説明においては、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の両端の多心光コネクタが、複数の光ファイバー510を一括して接続することができる構成のMPO(Multi-fiber Push On)コネクタであるものとして説明する。多心コネクタ光ファイバーパッチコード500は、両端の多心光コネクタ(MPOコネクタ501およびMPOコネクタ502)間のそれぞれの光ファイバーの結線によって極性が異なる複数のタイプ(例えば、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプなど)が存在する。例えば、Aタイプの多心コネクタ光ファイバーパッチコード500では、MPOコネクタ501とMPOコネクタ502とを同じ方向に並べて見た場合に、両端の多心光コネクタ内のそれぞれの光ファイバー510のチャネルの配置が、同じ順番になっている。また、例えば、Bタイプの多心コネクタ光ファイバーパッチコード500では、MPOコネクタ501とMPOコネクタ502とを同じ方向に並べて見た場合に、両端の多心光コネクタにおけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの配置が、逆の順番になっている。また、例えば、Cタイプの多心コネクタ光ファイバーパッチコード500では、MPOコネクタ501とMPOコネクタ502とを同じ方向に並べて見た場合に、両端の多心光コネクタにおけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの配置が、隣接する2つのチャネルごとに逆の順番になっている。
【0033】
光源部110は、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成するそれぞれの光ファイバー510のチャネルに、発光した光を順次入射させる光源である。測定部120は、光ファイバー510によって伝送された光に基づいて、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う測定部である。
【0034】
ここで、多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する光源部110と測定部120とのそれぞれの構成について説明する。まず、多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する光源部110の構成につて説明する。
図2は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する光源部110の概略構成の一例を示したブロック図である。
図2には、光源部110に備えた光源の数によって異なる2種類の構成を示している。より具体的には、
図2の(a)には、複数の光源を備えた光源部110の概略構成の一例を示し、
図2の(b)には、1つの光源を備えた光源部110の概略構成の一例を示している。
【0035】
図2の(a)に示した光源部110は、制御部111と、複数の光源112と、光ファイバーファンアウトコード113と、コネクタアダプタ114とを含んで構成される。制御部111は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって光を伝送させる光ファイバー510のチャネルに対応したいずれか1つの光源112に光を発光させる。そして、制御部111は、光を発光させる光源112を順次切り替える。光源112のそれぞれは、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内の対応する光ファイバー510のチャネルによって伝送させる光を発光する光源である。光源112は、例えば、LEDやレーザーダイオードなどによって構成される。光源112は、発光した光を対応する光ファイバーファンアウトコード113に入射させる。光ファイバーファンアウトコード113は、光源112から入射された光をコネクタアダプタ114側に伝送する。光ファイバーファンアウトコード113も、光ファイバーによって構成される。コネクタアダプタ114は、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の一端を接続するためのコネクタアダプタである。コネクタアダプタ114は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられた多心光コネクタと嵌合するコネクタである。コネクタアダプタ114は、多心光コネクタ(
図1に示した一例では、MPOコネクタ501)に嵌合する形状になっている。コネクタアダプタ114は、光ファイバーファンアウトコード113のそれぞれによって伝送された光を、接続された多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内の対応する光ファイバー510のチャネルの一端に出射する。
【0036】
図2の(b)に示した光源部110は、制御部111と、1つの光源112と、光ファイバーファンアウトコード113と、コネクタアダプタ114と、光スイッチ115とを含んで構成される。制御部111は、光源112に光を発光させる。光源112は、発光した光を光スイッチ115に入射させる。また、制御部111は、光源112から入射された光を出射する光ファイバーファンアウトコード113側の光路を、光スイッチ115に切り替えさせる。光スイッチ115は、入射した光をそのまま別の光路に切り替える光学スイッチである。光スイッチ115は、例えば、プリズムやマイクロミラーレンズを利用して、入射した光を出射する光路を切り替える。光スイッチ115は、制御部111からの制御に応じて、光源112から入射された光を出射する光路を切り替え、いずれか1つの光ファイバーファンアウトコード113が接続された光路に出射する。光ファイバーファンアウトコード113は、光スイッチ115から入射された光をコネクタアダプタ114側に伝送する。コネクタアダプタ114は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられた多心光コネクタに嵌合し、光ファイバーファンアウトコード113のそれぞれによって伝送された光を、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内の対応する光ファイバー510のチャネルの一端に出射する。
【0037】
このような構成によって、光源部110は、光源112が発光した光を、コネクタアダプタ114に嵌合されたMPOコネクタ501に配置されたいずれか1つの光ファイバー510に出射する。つまり、光源部110は、光源112が発光した光を、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500のいずれか1つの光ファイバー510のチャネルに入射させる。なお、
図2には、光源112の数が異なる2種類の光源部110の構成を示した。しかし、光源部110は、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する光源部と同様である。従って、光源部110の構成は、
図2に示した2種類の構成に限定されるものではなく、光源が発光した光を、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する複数の光ファイバー510のチャネルの内、任意の1つの光ファイバー510のチャネルに入射させる構成であれば、いかなる構成であってもよい。
【0038】
続いて、
図1に戻って、多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する測定部120の構成につて説明する。測定部120は、受光部121と、信号処理部122と、表示部123とを含んで構成される。また、受光部121は、多心光コネクタ用レセプタクル1211と、分割型フォトダイオード(PD)1212とを含んで構成される。
【0039】
多心光コネクタ用レセプタクル1211は、レセプタクル型のコネクタである。多心光コネクタ用レセプタクル1211は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられた多心光コネクタ(
図1に示した一例では、MPOコネクタ502)に嵌合する形状になっている。多心光コネクタ用レセプタクル1211は、MPOコネクタ502内に配置された光ファイバー510のフェルール端面と分割型フォトダイオード1212との間の距離を予め定めた距離に固定する。MPOコネクタ502は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態で、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内のそれぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送された光を、フェルール端面から分割型フォトダイオード1212側に出射する。ここで、MPOコネクタ502内に配置された光ファイバー510のフェルール端面から分割型フォトダイオード1212側に出射される光は、ある程度の広がりをもった円形状の光として出射される。
図1においては、MPOコネクタ502内に配置された光ファイバー510のフェルール端面から分割型フォトダイオード1212側に出射される円形状の光も模式的に示している。
【0040】
分割型フォトダイオード1212は、入射した光を受光し、受光した光に応じた電気信号(光起電流)を信号処理部122に出力する光センサである。分割型フォトダイオード1212は、入射した光を受光する受光領域が、複数の領域に分割されている。例えば、分割型フォトダイオード1212は、受光領域が2分割や4分割にされている。分割型フォトダイオード1212は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光を、分割されたそれぞれの受光領域で受光する。そして、分割型フォトダイオード1212は、分割されたそれぞれの受光領域ごとに、受光したそれぞれの光ファイバー510のチャネルの光に対応するそれぞれの電気信号を信号処理部122に出力する。
【0041】
なお、分割型フォトダイオード1212の材質としては、光源部110に備えた光源112が発光する光の波長に応じて、シリコン(Si)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)、ゲルマニウム(Ge)などが用いられている。
【0042】
測定部120では、受光部121において、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212とは、予め定めた間隔だけ離れた位置関係で固定されている。
図3は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する測定部120内の受光部121の構成要素の位置関係を説明する図である。
図3の(a)には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500のMPOコネクタ502が接続される側から見た多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との位置関係の一例を模式的に示している。また、
図3の(b)には、
図3の(a)に示した多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212とを上側から見た場合の位置関係の一例を模式的に示している。
【0043】
受光部121では、
図3(a)に示したように、多心光コネクタ用レセプタクル1211側から出射された光が分割型フォトダイオード1212の受光領域内に照射されるような位置関係で、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212とが固定されている。このとき、受光部121では、
図3の(b)に示したように、多心光コネクタ用レセプタクル1211側から出射された全ての光が、分割型フォトダイオード1212の受光領域内に照射されるような適切な距離Dだけ離れた位置に固定される。これにより、分割型フォトダイオード1212には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送され、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態のMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光が、距離Dの空間内で広がった円形状の空間光として入射される。
【0044】
信号処理部122は、受光部121内の分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域の電気信号に基づいて、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う処理部である。信号処理部122は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置と、処理装置を動作させるために必要なプログラムとデータとが記憶されたROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)や、データを一時的に記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの種々のメモリを含んで構成される。従って、測定部120において信号処理部122は、記憶されたプログラムを実行することによって機能する。信号処理部122は、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域ごとの電気信号に基づいて、光源部110によって光源112が発光した光が入射されたいずれか1つの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光の光パワーを、分割型フォトダイオード1212の受光領域ごとに算出する。また、信号処理部122は、算出した分割型フォトダイオード1212の受光領域ごとの光パワーに基づいて、光源112が発光した光を伝送してきた光ファイバー510のMPOコネクタ502内の配置を判定する。つまり、信号処理部122は、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域の電気信号に基づいて、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)を行う。また、信号処理部122は、算出した分割型フォトダイオード1212の受光領域ごとの光パワーに基づいて、光源112が発光した光が入射されたいずれか1つの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた全体の光の光パワーを算出する。信号処理部122は、確認(識別)した多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの情報と、算出した光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた全体の光の光パワーの情報とを、表示部123に出力する。
【0045】
表示部123は、測定部120における様々な情報を表す画像を表示する表示装置である。表示部123は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)などの表示デバイスを含んで構成される。表示部123は、信号処理部122によって算出されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルの光パワーと、信号処理部122によって確認(識別)された多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプとの情報を表示する。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100は、例えば、データセンターなどの設備において多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を敷設する作業者、つまり、多心コネクタ光ファイバー測定装置100の使用者に、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプと光パワーの計測(測定)結果とを提示する。なお、
図1に示した多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、表示部123が、多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する測定部120の内部に備えられている構成を示した。しかし、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において表示部123は、測定部120に備えた構成に限定されるものではない。つまり、表示部123は、測定部120の外部に接続される外部表示装置であってもよい。
【0046】
なお、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されるMPOコネクタ502(光源部110をMPOコネクタ502側に接続した場合には、MPOコネクタ501でもある)の形状には、様々な形状がある。例えば、複数の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を数珠つなぎに接続する場合を考慮し、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の光ファイバー510のチャネル同士が正しく接続されるように、対の形状になっている場合がある。より具体的には、例えば、MPOコネクタ内に配置された光ファイバー510のフェルール端面同士が正しい位置で対向するように、位置決めピンがあるオスタイプのMPOコネクタと、位置決めピンが挿入される位置決め穴があるメスタイプのMPOコネクタを嵌合する構成になっている場合がある。このため、多心光コネクタ用レセプタクル1211は、いずれのタイプのMPOコネクタでも嵌合することができる構成となっている。
【0047】
図4は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する測定部120内の受光部121に備えた多心光コネクタ用レセプタクル1211の構造を説明する図である。
図4の(a)には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502が嵌合される側の多心光コネクタ用レセプタクル1211の形状の一例を示している。また、
図4の(b)には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内のそれぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送された光を、分割型フォトダイオード1212側に出射する側の多心光コネクタ用レセプタクル1211の形状の一例を示している。なお、
図4の(a)に示したMPOコネクタ502が嵌合される側の多心光コネクタ用レセプタクル1211の形状の一例では、MPOコネクタ502が逆向きで嵌合されてしまうのを防止するためのキー溝Gも示している。
【0048】
また、
図4の(c)には、多心光コネクタ用レセプタクル1211に、2本の位置決めピンPがあるオスタイプのMPOコネクタ502を嵌合させた場合の一例を模式的に示している。また、
図4の(d)には、多心光コネクタ用レセプタクル1211に、位置決めピンPが挿入される位置決め穴HがあるメスタイプのMPOコネクタ502を嵌合させた場合の一例を模式的に示している。なお、
図4の(c)および
図4の(d)には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の光ファイバー510のチャネルによって伝送された光が、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態のMPOコネクタ502のフェルール端面から出射され、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の空間内で広がった円形状の空間光Lとして分割型フォトダイオード1212に照射されている様子も示している。
【0049】
図4の(a)および
図4の(b)に示したように、多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oは、MPOコネクタ502(MPOコネクタ501であってもよい)のフェルール端面から出射される光ファイバー510の各チャネルの光を遮ることがないような大きさおよび形状の開口部となっている。例えば、多心光コネクタ用レセプタクル1211のフェルール突き当て部分の開口部Oは、MPOコネクタ502が、12心×4列の48心MPOコネクタである場合であっても、光ファイバー510の各チャネルの光を遮ることがないような大きさおよび形状の開口部となっている。また、
図4の(c)に示したように、多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oは、光ファイバー510の各チャネルのみではなく、オスタイプのMPOコネクタ502(MPOコネクタ501であってもよい)に備えた2本の位置決めピンPが開口部Oの領域内に収まるような大きさおよび形状の開口部となっている。これにより、多心光コネクタ用レセプタクル1211では、MPOコネクタ502がオスタイプであってもメスタイプであっても、多心光コネクタ用レセプタクル1211のフェルール突き当て部分にMPOコネクタ502のフェルール端面を突き当てた状態が同様になる。
図4の(c)に示した一例では、オスタイプのMPOコネクタ502に備えた2本の位置決めピンPが開口部Oの領域内で多心光コネクタ用レセプタクル1211を貫通している様子を示している。そして、
図4の(c)に示した一例では、オスタイプのMPOコネクタ502のフェルール端面が、多心光コネクタ用レセプタクル1211におけるフェルール突き当て部分に、
図4の(d)に示したメスタイプのMPOコネクタ502(MPOコネクタ501であってもよい)を嵌合させた場合と同様の状態にまで突き当てられている様子を示している。
【0050】
ここで、様々な極性タイプの多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を測定部120(より具体的には、受光部121に備えた多心光コネクタ用レセプタクル1211)に嵌合させた場合の一例について説明する。
図5~
図7は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する測定部120内の受光部121に備えた多心光コネクタ用レセプタクル1211に多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を接続した場合の一例を説明する図である。
図5~
図7のそれぞれには、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502を嵌合した状態の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oを、分割型フォトダイオード1212側から見た場合の一例を示している。また、
図5~
図7のそれぞれには、嵌合されたMPOコネクタ502から出射される光の大きさを、分割型フォトダイオード1212側から見た場合の一例を示している。
【0051】
まず、
図5に示した一例について説明する。
図5は、MPOコネクタ502が12心MPOコネクタである場合の一例である。
図5の(a-1)には、2本の位置決めピンPがあるオスタイプのMPOコネクタ502を嵌合した多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oの状態を示している。なお、
図5の(a-1)において開口部O内に示した数字は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成するそれぞれの光ファイバー510のチャネルの番号を示している。また、
図5の(a-2)には、嵌合されたオスタイプのMPOコネクタ502から出射される光の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oでの大きさを示している。
図5の(a-2)には、光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルによって伝送された光が出射されている状態を示している。
【0052】
なお、上述したように、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において光源部110は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を測定するときに、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する複数の光ファイバー510のチャネルの内、いずれか1つの光ファイバー510のチャネルに、光源112が発光した光を入射させる。従って、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500は、光ファイバー510のそれぞれのチャネルごとに、光源部110によって入射された光を伝送する。このため、
図5の(a-2)では、光ファイバー510の1チャネルと、6チャネルと、12チャネルとの3つのチャネルに同時に光が出射されている状態を示しているが、実際に多心コネクタ光ファイバー測定装置100が多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を測定しているときには、1つのチャネルごとに光が伝送されるため、同時に複数のチャネルから光が出射されることはない。
【0053】
また、
図5の(b-1)には、2つの位置決め穴HがあるメスタイプのMPOコネクタ502を嵌合した多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oの状態を示している。なお、
図5の(b-1)において開口部O内に示した数字も、
図5の(a-1)において開口部O内に示した数字と同様に、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成するそれぞれの光ファイバー510のチャネルの番号を示している。また、
図5の(b-2)には、嵌合されたメスタイプのMPOコネクタ502から出射される光の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oでの大きさを示している。
図5の(b-2)においても、
図5の(a-2)と同様に、光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルによって伝送された光が出射されている状態を示している。なお、
図5の(b-2)においても、
図5の(a-2)と同様の理由によって、実際に多心コネクタ光ファイバー測定装置100が多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を測定しているときには、1つのチャネルごとに光が伝送されるため、同時に複数のチャネルから光が出射されることはない。
【0054】
続いて、
図6に示した一例について説明する。
図6は、MPOコネクタ502が、12心×2列の24心MPOコネクタである場合の一例である。
図6の(a-1)には、2本の位置決めピンPがあるオスタイプのMPOコネクタ502を嵌合した多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oの状態を示している。また、
図6の(a-2)には、嵌合されたオスタイプのMPOコネクタ502から出射される光の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oでの大きさを示している。
図6の(a-2)には、1列目(上段)の光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルと、2列目(下段)の光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルとによって伝送された光が出射されている状態を示している。
【0055】
また、
図6の(b-1)には、2つの位置決め穴HがあるメスタイプのMPOコネクタ502を嵌合した多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oの状態を示している。また、
図6の(b-2)には、嵌合されたメスタイプのMPOコネクタ502から出射される光の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oでの大きさを示している。
図6の(b-1)においても、
図6の(a-2)と同様に、1列目(上段)の光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルと、2列目(下段)の光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルとによって伝送された光が出射されている状態を示している。
【0056】
なお、
図6の(a-2)および
図6の(b-2)においても、
図5において説明したのと同様の理由によって、実際に多心コネクタ光ファイバー測定装置100が多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を測定しているときには、1つのチャネルごとに光が伝送されるため、同時に複数のチャネルから光が出射されることはない。
【0057】
続いて、
図7に示した一例について説明する。
図7は、MPOコネクタ502が、12心×4列の48心MPOコネクタである場合の一例である。
図7の(a-1)には、2本の位置決めピンPがあるオスタイプのMPOコネクタ502を嵌合した多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oの状態を示している。また、
図7の(a-2)には、嵌合されたオスタイプのMPOコネクタ502から出射される光の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oでの大きさを示している。
図7の(a-2)には、それぞれの列の光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルによって伝送された光が出射されている状態を示している。
【0058】
また、
図7の(b-1)には、2つの位置決め穴HがあるメスタイプのMPOコネクタ502を嵌合した多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oの状態を示している。また、
図7の(b-2)には、嵌合されたメスタイプのMPOコネクタ502から出射される光の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oでの大きさを示している。
図7の(b-1)においても、
図7の(a-2)と同様に、それぞれの列の光ファイバー510の1チャネル、6チャネル、および12チャネルによって伝送された光が出射されている状態を示している。
【0059】
なお、
図7の(a-2)および
図7の(b-2)においても、
図5において説明したのと同様の理由によって、実際に多心コネクタ光ファイバー測定装置100が多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を測定しているときには、1つのチャネルごとに光が伝送されるため、同時に複数のチャネルから光が出射されることはない。
【0060】
このような構成によって、測定部120は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510によって伝送されてきた光に基づいて、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを同時に行う。
【0061】
次に、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う際の処理について説明する。
図8は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100において計測を行う光と、光の受光領域との関係を説明する図である。なお、
図8は、分割型フォトダイオード1212の受光領域が4分割されている構成である場合の一例である。
図8の(a)には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられた12心MPOコネクタ502と、分割型フォトダイオード1212の受光領域との位置関係を、多心光コネクタ用レセプタクル1211側から見た場合の一例を模式的に示している。また、
図8の(b)には、
図8の(a)に示した12心MPOコネクタ502と分割型フォトダイオード1212との位置関係のときに、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送されてきた光が照射される分割型フォトダイオード1212の受光領域の一例を模式的に示している。
【0062】
なお、
図8の(a)では、多心光コネクタ用レセプタクル1211を省略し、12心MPOコネクタ502のみを示している。また、
図8の(a)に示した12心MPOコネクタ502では、多心光コネクタ用レセプタクル1211に備えたキー溝Gに嵌合されるキー突起Kを併せて示している。
【0063】
図8の(a)に示したように、分割型フォトダイオード1212は、受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域Dの4つの受光領域に分割されている。
図8の(a)では、12心MPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルが、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域(受光領域Aおよび受光領域B)と、下側の受光領域(受光領域Cおよび受光領域D)との境界線部分に位置している。この場合、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送され、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態の12心MPOコネクタ502から出射されるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの光は、
図8の(b)に示したように、分割型フォトダイオード1212において、光ファイバー510のそれぞれのチャネルに対応する上側の受光領域と下側の受光領域とのそれぞれの受光領域に照射される。つまり、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された12心MPOコネクタ502におけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの配置に応じて、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域と下側の受光領域との境界線に沿って少しずつずれた受光領域に照射される。
【0064】
ここで、
図5~
図7に示したように、嵌合されたMPOコネクタ502から出射される光の多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oでの大きさは、対応する光ファイバー510のチャネルの周囲にわずかに広がった大きさである。しかし、受光部121では、上述したように、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212とが距離Dだけ離れた位置に固定されている。通常、多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部OにおいてMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光は、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dの空間において、ガウス分布で広がっていく。このため、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光は、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dの空間内で広がった円形状の空間光Lとして、分割型フォトダイオード1212に照射される。
【0065】
図8の(b)には、光ファイバー510の1チャネルによって伝送された光が広がった空間光L1、6チャネルによって伝送された光が広がった空間光L6、および12チャネルによって伝送された光が広がった空間光L12のそれぞれが、分割型フォトダイオード1212の受光領域に照射されている状態を示している。
【0066】
なお、
図8の(b)に示したそれぞれの光ファイバー510のチャネルの空間光Lが照射されている受光領域の範囲は、それぞれの光のエネルギー密度値が、ピークエネルギー密度値に対して1/e
2となった範囲を示している。従って、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光は、
図8の(b)に示した対応する受光領域の範囲外にも広がって、分割型フォトダイオード1212のそれぞれの受光領域に照射される。つまり、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光は、分割型フォトダイオード1212において分割された4つの受光領域(受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域D)の全体に照射されている。
【0067】
分割型フォトダイオード1212は、分割された4つの受光領域(受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域D)のそれぞれで受光した光の光パワーに応じたそれぞれの電気信号(光起電流)を信号処理部122に出力する。
【0068】
そして、信号処理部122は、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域ごとの電気信号に基づいて、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う。このとき、信号処理部122は、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域の光起電流を、電圧信号に変換(電流-電圧変換)して、さらに増幅する。その後、信号処理部122は、増幅した電圧信号をアナログ-デジタル変換(AD変換)してデジタル信号に変換することによって、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域に対応する光パワー値を得る。そして、信号処理部122は、それぞれの受光領域に対応する光パワー値に基づいて、測定部120に接続された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)を行う。また、信号処理部122は、それぞれの受光領域に対応する光パワー値に基づいて、測定部120に接続された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に備えたそれぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光の光パワーを算出する。
【0069】
ここで、信号処理部122による多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)方法と、それぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光の光パワーの算出方法について説明する。以下の説明では、分割型フォトダイオード1212が、
図8に示した構成である場合について説明する。つまり、分割型フォトダイオード1212の受光領域が、受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域Dの4つの受光領域に分割されている構成である場合について説明する。
【0070】
信号処理部122は、上述したように、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域ごとの光起電流から、それぞれの受光領域に対応する光パワー値を得る。ここでは、信号処理部122が、受光領域Aに対応する光パワー値Pa、受光領域Bに対応する光パワー値Pb、受光領域Cに対応する光パワー値Pc、および受光領域Dに対応する光パワー値Pdを得るものとする。
【0071】
信号処理部122は、分割型フォトダイオード1212のそれぞれの受光領域に対応するそれぞれの光パワー値から、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態のMPOコネクタ502から出射された光の開口部Oにおける2次元の位置を算出する。つまり、信号処理部122は、開口部Oにおける光の出射位置の2次元の座標(X,Y)を算出する。より具体的には、信号処理部122は、下式(1)によって、開口部Oにおける光の出射位置のX座標を算出し、下式(2)によって、開口部Oにおける光の出射位置のY座標を算出する。
【0072】
X=[(Pa+Pd)-(Pb+Pc)]/(Pa+Pc+Pb+Pd)
・・・(1)
【0073】
Y=[(Pa+Pb)-(Pc+Pd)]/(Pa+Pb+Pc+Pd)
・・・(2)
【0074】
なお、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502が、
図8に示したような12心MPOコネクタ502である、つまり、それぞれの光ファイバー510のチャネルがMPOコネクタ502内に1列に配置されていることがわかっている場合、信号処理部122は、上式(2)による開口部Oにおける光の出射位置のY座標の算出を行わなくてもよい。つまり、信号処理部122は、上式(1)による開口部Oにおける光の出射位置のX座標の算出のみを行ってもよい。
【0075】
また、信号処理部122は、分割型フォトダイオード1212のそれぞれの受光領域に対応するそれぞれの光パワー値から、下式(3)によって、光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光の全体の光パワー値Pchを算出する。
【0076】
Pch=Pa+Pb+Pc+Pd ・・・(3)
【0077】
なお、多心コネクタ光ファイバー測定装置100が、MPOコネクタ502内にそれぞれの光ファイバー510のチャネルが1列に配置されている多心コネクタ光ファイバーパッチコード500のみに対応している場合、分割型フォトダイオード1212は、受光領域が2分割されている構成であってもよい。この場合、
図8に示した一例の受光領域Aと受光領域Dとを同じ受光領域とし、受光領域Bと受光領域Cとを同じ受光領域として上式(1)および上式(3)に適用することによって、上述した受光領域が4分割されている構成の分割型フォトダイオード1212における考え方と同様に考えることができる。
【0078】
信号処理部122は、光源部110がそれぞれの光ファイバー510のチャネルに光を入射させるごとに、上式(1)および上式(2)による開口部Oにおける光の出射位置の2次元座標(X,Y)の算出と、上式(3)による伝送されてきた光の光パワー値Pchの算出とを繰り返す。例えば、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502が、
図8に示した12心MPOコネクタ502である場合、信号処理部122は、開口部Oにおける光の出射位置の2次元座標(X,Y)の算出と、伝送されてきた光の光パワー値Pchの算出とを、12回繰り返す。これにより、信号処理部122は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置された全ての光ファイバー510のチャネルに対して、開口部Oにおける光の出射位置の2次元座標(X,Y)および光パワー値Pchを算出する。なお、信号処理部122は、算出した開口部Oにおける光の出射位置の2次元座標(X,Y)と伝送されてきた光の光パワー値Pchとを紐付けて、例えば、DRAMなどのメモリに一時的に記憶しておく。
【0079】
そして、信号処理部122は、光を入射させた光ファイバー510のチャネルの情報と、算出したそれぞれの光ファイバー510のチャネルの光の出射位置の2次元座標(X,Y)とを比較することによって、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)する。つまり、信号処理部122は、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプが、Aタイプ、Bタイプ、またはCタイプのいずれのタイプであるかを確認(識別)する。そして、信号処理部122は、算出した光の出射位置の2次元座標(X,Y)に紐付けられている光パワー値Pchを、それぞれの光ファイバー510のチャネルの光パワーを計測(測定)した結果とする。
【0080】
ここで、信号処理部122が行う多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)するより具体的な方法について説明する。なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、それぞれの光ファイバー510のチャネルのX方向の位置を確認(識別)する場合の例を説明する。なお、それぞれの光ファイバー510のチャネルのY方向の位置を確認(識別)する方法は、以下に説明するX方向の位置を確認(識別)する方法と同様に考えることができる。
【0081】
信号処理部122は、分割型フォトダイオード1212の受光領域と、信号処理部122が算出した開口部Oにおける光の出射位置のX座標との関係に基づいて、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)する。
図9は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100において照射される光(空間光L)の受光領域内の位置と、信号処理部122が算出した光の位置(光の出射位置のX座標)との関係を説明する図である。
図9に示した空間光Lの受光領域内の位置と、光の出射位置のX座標との関係は、受光領域の直径φが5mmで、受光領域が4分割された構成の分割型フォトダイオード1212の実測値から算出した一例である。
図9には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500におけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内の実際の位置と、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標との関係を示している。
図9では、それぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内のX方向の実際の位置(X方向位置(mm))をX軸に示し、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標をY軸に示している。なお、
図9においては、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標を、-1~+1までの間の値で表した(規格化した)X方向位置信号(abu)として示している。また、
図9においては、それぞれの光ファイバー510のチャネルの番号(チャネル番号)を併せて示している。
【0082】
図9に示したように、X方向位置信号は、光ファイバー510のチャネル番号に対して、-1から+1までの間で単調増加する特性を持っている。この
図9に示したX方向位置信号の特性は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500がAタイプである場合の特性である。なお、
図9に示した特性では、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける分割型フォトダイオード1212内のX方向位置は、-1.375mm~+1.375mmまでの間の位置となっている。これは、それぞれの光ファイバー510のチャネルの間隔(ピッチ)が、0.25mm(=250μm)であるためである。
【0083】
なお、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500がBタイプである場合、X方向位置信号の特性は、
図9に示したX方向位置信号の特性とは逆に、単調減少する特性となる。しかし、この特性を、
図9に示したX方向位置信号の特性と同様に単調増加するように並べ替えると、対応するチャネル番号の順番が逆になる(
図10の(a)参照)。同様に、また、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500がCタイプである場合、X方向位置信号の特性を
図9に示したX方向位置信号の特性と同様に単調増加するように並べ替えると、対応するチャネル番号の順番が、隣接する2つのチャネルごとに逆になる(
図10の(b)参照。
【0084】
信号処理部122は、全ての光ファイバー510のチャネルに対して、開口部Oにおける光の出射位置のX座標の算出が完了すると、
図9に示したような特性を確認することができる。なお、信号処理部122は、全ての光ファイバー510のチャネルに対して、開口部Oにおける光の出射位置のY座標の算出が完了すると、
図9および
図10に示したX方向の特性と同様に表されるY方向の特性(Y方向位置信号(abu))を確認することができる。これにより、信号処理部122は、MPOコネクタ502に配置された全ての光ファイバー510のチャネルの開口部Oにおける光の出射位置の2次元座標(X,Y)の算出が完了した後、光を入射させた光ファイバー510のチャネルの情報と、X方向位置信号およびY方向位置信号の大きさによって表される特性(
図9および
図10)とを対比する。これにより、信号処理部122は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)することができる。
【0085】
なお、
図9および
図10では、X方向位置信号が単調増加するように並べ替えることによって、信号処理部122が多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)する場合を説明した。しかし、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)する際に行うX方向位置信号の並べ替えは、X方向位置信号が単調減少するようにしてもよい。この場合でも、
図9および
図10の説明と同様に考えることによって、信号処理部122は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)することができる。
【0086】
なお、
図9および
図10には、X方向位置信号の特性を示したが、Y方向位置信号の特性も同様に考えることができる。これにより、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500が、12心×2列の24心、12心×4列の48心であっても、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)することができる。
【0087】
なお、測定部120では、受光部121において多心光コネクタ用レセプタクル1211は、上述したように、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502に嵌合する形状になっているが、MPOコネクタ502内に配置された光ファイバー510のフェルール端面は常に同じ位置に固定されるとは限らない。これは、多心光コネクタ用レセプタクル1211では、位置決めピンPのような構造によってMPOコネクタ502を固定するのではなく、MPOコネクタ502と多心光コネクタ用レセプタクル1211との形状のみによってMPOコネクタ502を固定する構造になっているためである。このため、例えば、位置決めピンPと位置決め穴Hとを用いてMPOコネクタ同士を固定した場合には、MPOコネクタ502のフェルール端面同士のずれが0.5μm程度であるのに対して、多心光コネクタ用レセプタクル1211を用いた固定では、MPOコネクタ502のフェルール端面が100μm程度ずれることもある。多心光コネクタ用レセプタクル1211におけるMPOコネクタ502のずれは、信号処理部122が算出する開口部Oにおける光の出射位置の2次元の座標(X,Y)がばらつく要因となる。
【0088】
しかしながら、たとえ多心光コネクタ用レセプタクル1211においてMPOコネクタ502のフェルール端面がずれたとしても、そのずれは、全体的に同じ方向で同じ距離である。このため、分割型フォトダイオード1212の受光領域に照射されるそれぞれの空間光Lの中心位置や範囲は、全体的に同じ方向に同じ距離だけずれるのみである。つまり、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合したMPOコネクタ502のフェルール端面がずれたとしても、多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oにおける光の出射位置や、分割型フォトダイオード1212の受光領域における空間光Lの照射位置の相対的な位置関係には変わりはない。従って、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合したMPOコネクタ502のフェルール端面がずれたとしても、信号処理部122は、
図9および
図10に示したX方向の特性と同様の特性を確認することができる。なお、信号処理部122が算出する光パワー値Pchは、分割型フォトダイオード1212のそれぞれの受光領域に対応するそれぞれの光パワー値の合計によって算出するため、受光領域に照射されるそれぞれの空間光Lの中心位置や範囲のずれには影響されずに、同じ光パワー値Pchを算出することができる。
【0089】
次に、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う全体の動作について説明する。
図11は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100における光源部110および測定部120の処理手順を示したフローチャートである。なお、以下の説明においては、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500が、12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500であるものとして説明する。また、以下の説明においては、分割型フォトダイオード1212の受光領域が4分割されている構成であるものとして説明する。
【0090】
多心コネクタ光ファイバー測定装置100における多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の測定は、光源部110と測定部120との間に測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500が接続されている状態で開始する。つまり、多心コネクタ光ファイバー測定装置100は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の一端に取り付けられたMPOコネクタ501が光源部110のコネクタアダプタ114に嵌合され、他端に取り付けられたMPOコネクタ502が測定部120の多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されている状態で、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の測定を開始する。
【0091】
まず、
図11に示したフローチャートを用いて、多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する光源部110の動作について説明する。なお、光源部110の構成は、
図2の(a)に示した、複数の光源を備えた構成であるものとして説明する。
【0092】
多心コネクタ光ファイバー測定装置100における測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の測定を開始すると、光源部110に備えた制御部111は、まず、測定部120に、測定の開始を表す測定開始信号を送信する(ステップS100)。これにより、測定部120は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを開始する。なお、本発明においては、光源部110が測定部120に測定開始信号を送信する方法や形式に関しては、特に規定しない。例えば、光源部110は、測定の開始を表すレベル信号によって、測定部120に測定開始信号を送信してもよい。
【0093】
続いて、制御部111は、光ファイバー510のチャネル番号nをn=1に初期化する(ステップS110)。
【0094】
続いて、制御部111は、光を入射させる光ファイバー510のチャネル番号nの情報を測定部120に送信する(ステップS120)。ここでは、制御部111は、光を入射させる光ファイバー510のチャネルのチャネル番号nがn=1であることを表す情報を測定部120に送信する。なお、本発明においては、光源部110が測定部120にチャネル番号nの情報を送信する方法や形式に関しては、特に規定しない。例えば、光源部110は、チャネル番号nを表すパルス信号やデータ信号によって、測定部120にチャネル番号nの情報を送信してもよい。
【0095】
続いて、制御部111は、チャネル番号n=1に対応する光源112に光を発光させる(ステップS130)。これにより、チャネル番号n=1に対応する光源112が発光した光が、対応する光ファイバーファンアウトコード113に入射され、コネクタアダプタ114に嵌合されたMPOコネクタ501に配置された多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内の光ファイバー510の1チャネルに出射される。そして、光ファイバー510の1チャネルに出射された光は、光ファイバー510の1チャネルによって測定部120に嵌合されたMPOコネクタ502側に伝送される。
【0096】
その後、制御部111は、光ファイバー510のチャネル番号nをn=n+1に更新する(ステップS140)。
【0097】
続いて、制御部111は、ステップS140において更新したチャネル番号n(=n+1)が、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500における光ファイバー510の心数以下であるか否かを確認する(ステップS150)。ここでは、制御部111は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500が12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500であるため、現在のチャネル番号nが12以下であるか否かを確認する。
【0098】
ステップS150の判定の結果、チャネル番号nが光ファイバー510の心数以下である場合(ステップS150の“YES”)、制御部111は、接続されている多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する全ての光ファイバー510のチャネルへの光源112の光の入射が完了していないと判定する。そして、制御部111は、処理をステップS120に戻す。これにより、光源部110は、現在のチャネル番号n(=n+1)において、ステップS120~ステップS150の処理を繰り返す。
【0099】
一方、ステップS150の判定の結果、チャネル番号nが光ファイバー510の心数以下でない場合、つまり、現在のチャネル番号n(=n+1)が光ファイバー510の心数を超えている場合(ステップS150の“NO”)、制御部111は、接続されている多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する全ての光ファイバー510のチャネルへの光源112の光の入射が完了したと判定する。そして、制御部111は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の測定におけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルへの光の入射を終了する。
【0100】
このような処理によって、光源部110は、コネクタアダプタ114に嵌合されたMPOコネクタ501に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルに、光源112が発光した光を順次入射させる。より具体的には、光源部110は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成するいずれか1つの光ファイバー510のチャネルに光源112が発光した光を入射させる動作を繰り返して、予め定めた順番(
図11に示したフローチャートでは、1チャネル、2チャネル、・・・、12チャネルの順番)で、光源112が発光した光をそれぞれの光ファイバー510のチャネルに順次入射させる。なお、この光源部110の動作は、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する光源部の動作と同様である。
【0101】
なお、光源部110の構成が、
図2の(b)に示した1つの光源を備えた構成である場合、制御部111は、ステップS130においてチャネル番号nに対応する光源112に光を発光させる代わりに、光スイッチ115に対して、光源112が発光した光を出射する光ファイバーファンアウトコード113側の光路を切り替えさせる制御を行うようにすることによって、上述した光源部110の動作と同様に動作する。従って、光源部110の構成が
図2の(b)に示した1つの光源を備えた構成である場合の動作に関する詳細な説明は省略する。
【0102】
続いて、
図11に示したフローチャートを用いて、多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する測定部120の動作について説明する。測定部120は、光源部110がステップS100の処理によって送信された測定開始信号を受信すると、信号処理部122が、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを開始する。
【0103】
信号処理部122は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを開始すると、まず、光源部110がステップS120の処理によって送信してきたチャネル番号nの情報を受信(取得)する(ステップS200)。
【0104】
続いて、信号処理部122は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内の光ファイバー510の1チャネルによって伝送された光を受光させ、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域ごとの電気信号(光起電流)を取得する。これにより、信号処理部122は、それぞれの受光領域に対応する光パワー値を測定する(ステップS210)。ここでは、信号処理部122は、受光領域Aに対応する光パワー値Pa、受光領域Bに対応する光パワー値Pb、受光領域Cに対応する光パワー値Pc、および受光領域Dに対応する光パワー値Pdを測定する。
【0105】
続いて、信号処理部122は、測定したそれぞれの受光領域の光パワー値から、上式(1)および上式(2)によって、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態のMPOコネクタ502から出射された光の開口部Oにおける光の出射位置の2次元座標(X,Y)を算出する。つまり、信号処理部122は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置された多心コネクタ光ファイバーパッチコード500内の光ファイバー510の1チャネルの位置を算出する。また、信号処理部122は、測定したそれぞれの受光領域の光パワー値から、上式(3)によって、光ファイバー510の1チャネルの光パワー値Pchを算出する(ステップS220)。
【0106】
そして、信号処理部122は、算出した光ファイバー510の1チャネルの2次元座標(X,Y)と光パワー値Pchとを、ステップS200において取得したチャネル番号nの情報と紐付けて一時的に記憶する(ステップS230)。
【0107】
続いて、信号処理部122は、ステップS200において取得したチャネル番号nが、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500における光ファイバー510の心数であるか否かを確認する(ステップS240)。ここでは、信号処理部122は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500が12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500であるため、ステップS200において取得したチャネル番号nが12であるか否かを確認する。
【0108】
ステップS240の判定の結果、ステップS200において取得したチャネル番号nが光ファイバー510の心数でない場合(ステップS240の“NO”)、信号処理部122は、接続されている多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する全ての光ファイバー510のチャネルの2次元座標(X,Y)と光パワー値Pchとの算出が完了していないと判定する。そして、信号処理部122は、処理をステップS200に戻す。これにより、測定部120は、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成するそれぞれの光ファイバー510のチャネルに対する、ステップS200~ステップS240の処理を繰り返す。
【0109】
一方、ステップS240の判定の結果、ステップS200において取得したチャネル番号nが光ファイバー510の心数である場合(ステップS240の“YES”)、信号処理部122は、接続されている多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する全ての光ファイバー510のチャネルの2次元座標(X,Y)と光パワー値Pchとの算出が完了したと判定する。そして、信号処理部122は、処理をステップS250に進める。
【0110】
続いて、信号処理部122は、算出したそれぞれの光ファイバー510のチャネルの2次元座標(X,Y)が表すX方向位置信号およびY方向位置信号のそれぞれを、例えば、
図9に示したX方向位置信号の特性と同様に単調増加するように並べ替える(ステップS250)。そして、信号処理部122は、ステップS250において並べ替えたX方向位置信号およびY方向位置信号のそれぞれに紐付けられているチャネル番号nの情報を確認して、接続されている測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)する(ステップS260)。
【0111】
続いて、信号処理部122は、ステップS260において確認(識別)した多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプと、それぞれのチャネル番号に紐付けられている光パワー値Pchとを、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行った結果として、表示部123に出力して表示させる(ステップS270)。そして、信号処理部122は、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを終了する。
【0112】
このような処理によって、測定部120は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルによってでんそうされた光源部110が入射した光に基づいて、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う。
【0113】
このように、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、測定部120を構成する受光部121に、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212とを備え、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502内に配置された光ファイバー510のフェルール端面と分割型フォトダイオード1212との間の距離を予め定めた距離に固定する。なお、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oを、オスタイプのMPOコネクタ502に備えた2本の位置決めピンPが開口部Oの領域内に収まるような大きさおよび形状にしている。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、MPOコネクタ502のタイプ(オスタイプやメスタイプ)に関係なく、多心光コネクタ用レセプタクル1211におけるフェルール突き当て部分に、MPOコネクタ502内に配置された光ファイバー510のチャネルのフェルール端面を突き当てることができる。
【0114】
また、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態のMPOコネクタ502内に配置された光ファイバー510のチャネルのフェルール端面から、光ファイバー510によって伝送された光を、分割型フォトダイオード1212の受光領域に照射させる。そして、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、分割型フォトダイオード1212が、分割されたそれぞれの受光領域で受光した光に応じた電気信号(光起電流)を、分割されたそれぞれの受光領域ごとに信号処理部122に出力する。そして、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、信号処理部122が、受光部121内の分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域の電気信号に基づいて、MPOコネクタ502に配置された光ファイバー510のチャネルが光を出射した出射位置(2次元のX座標およびY座標)を算出する。そして、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、信号処理部122が、算出した光ファイバー510のチャネルが光を出射した出射位置に基づいて、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502が取り付けられた多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプを確認(識別)する。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置された光ファイバー510のチャネル数、つまり、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500における光ファイバー510の心数に関係なく、MPOコネクタ502に配置された光ファイバー510のチャネルが光を出射した出射位置を算出することができる。
【0115】
また、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、信号処理部122が、受光部121内の分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域の電気信号に基づいて、MPOコネクタ502に配置された光ファイバー510のチャネルが出射した光の全体の光パワー値Pchを算出して、光パワーの計測(測定)を行った結果とする。しかも、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、分割型フォトダイオード1212が、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光の空間光Lを、分割されたそれぞれの受光領域で直接受光する。つまり、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置に備えた光ファイバーファンアウトコード9212や光スイッチ9213のような、光を損失してしまう構成要素を備えない。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500以外の構成要素による光の損失の影響を受けて、光パワーの計測(測定)精度が低下してしまうことがない。
【0116】
そして、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、信号処理部122が、確認(識別)した多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプと、計測(測定)した光パワーとを、表示部123に表示させる。
【0117】
これらのことにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する光ファイバー510の心数や、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502のタイプ(オスタイプやメスタイプ)に関係なく、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)を行うことができ、光パワーの計測(測定)精度の低下を抑えることができる。
【0118】
なお、上述した説明では、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500における光ファイバー510の心数が12心の系統である場合について説明した。つまり、上述した説明では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502が、12心や12心の複数列である場合について説明した。しかし、多心コネクタ光ファイバー測定装置100が測定を行う対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードには、12心の系統以外にも、例えば、16心など、様々な心数のものがある。多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、分割型フォトダイオード1212が、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードに取り付けられたMPOコネクタ内に配置された光ファイバーのチャネルのフェルール端面から出射された光を受光することができれば、多心コネクタ光ファイバーパッチコードの心数がいかなる心数であっても同様の考え方に基づいて、多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行うことができる。
【0119】
ここで、多心コネクタ光ファイバーパッチコードの心数が16心である場合の一例について説明する。なお、多心コネクタ光ファイバーパッチコードの心数が16心である場合においても、多心コネクタ光ファイバー測定装置100の構成や構造は同じである。従って、以下の説明においては、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において測定する16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコードも多心コネクタ光ファイバーパッチコード500であるものとし、多心コネクタ光ファイバー測定装置100の構成要素も同一の符号を用いて、16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う際の処理についてのみを説明する。
【0120】
図12は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100において計測を行う光と、光の受光領域との別の関係を説明する図である。なお、
図12は、分割型フォトダイオード1212の受光領域が4分割されている構成である場合の一例である。
図12の(a)には、16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられた16心MPOコネクタ502と、分割型フォトダイオード1212の受光領域との位置関係を、多心光コネクタ用レセプタクル1211側から見た場合の一例を模式的に示している。また、
図12の(b)には、
図12の(a)に示した16心MPOコネクタ502と分割型フォトダイオード1212との位置関係のときに、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送されてきた光が照射される分割型フォトダイオード1212の受光領域の一例を模式的に示している。
【0121】
なお、
図12の(a)では、多心光コネクタ用レセプタクル1211を省略し、16心MPOコネクタ502のみを示している。また、
図12の(a)に示した16心MPOコネクタ502では、多心光コネクタ用レセプタクル1211に備えたキー溝Gに嵌合されるキー突起Kを併せて示している。なお、
図12に示したように、16心MPOコネクタ502では、キー突起Kの位置が、
図8に示した12心MPOコネクタ502のキー突起Kの位置と異なっている。これは、12心MPOコネクタ502と同様に、MPOコネクタ502が逆向きで嵌合されてしまうのを防止するのと共に、例えば、12心MPOコネクタ502など、異なる心数のMPOコネクタと嵌合されてしまうのを防止するためである。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211の構造を、12心のMPOコネクタ502に加えて、16心のMPOコネクタ502も嵌合することができるようにする必要がある。しかし、16心のMPOコネクタ502も嵌合することができる多心光コネクタ用レセプタクル1211の構造は、例えば、
図4の(a)に示した多心光コネクタ用レセプタクル1211の構造において、キー溝Gの幅を広くすることによって対応することができる。従って、16心のMPOコネクタ502も嵌合することができる多心光コネクタ用レセプタクル1211の構造に関する詳細な説明は省略する。
【0122】
図12の(a)に示したように、分割型フォトダイオード1212は、受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域Dの4つの受光領域に分割されている。ここで、
図8の(a)に示した12心MPOコネクタ502と分割型フォトダイオード1212における受光領域の関係では、12心MPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルが、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域(受光領域Aおよび受光領域B)と、下側の受光領域(受光領域Cおよび受光領域D)との境界線部分に位置していた。これに対して、
図12の(a)では、16心MPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルの長手方向を、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域(受光領域Aおよび受光領域B)と、下側の受光領域(受光領域Cおよび受光領域D)との境界線に対して、45°の角度を持たせて位置させている。これは、16心MPOコネクタ502では、MPOコネクタ502内に配置される光ファイバー510のフェルール端面の数が、12心MPOコネクタ502よりも多いことに対応するためである。
【0123】
ここで、その理由を説明する。
図9の説明において、12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の場合、光ファイバー510のチャネルの間隔(ピッチ)は、0.25mm(=250μm)であると説明した。このため、
図9に示したX方向位置信号の特性では、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける分割型フォトダイオード1212内のX方向位置は、-1.375mm~+1.375mmまでの間の位置となっていた。これは、下式(4)によって算出することができる。
【0124】
X方向位置=(12-1)×0.25mm=2.75mm
=±1.375mm ・・・(4)
【0125】
12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500と同様の条件で、16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の場合の分割型フォトダイオード1212内のX方向位置を算出すると、下式(5)のようになる。
【0126】
X方向位置=(16-1)×0.25mm=3.75mm
=±1.875mm ・・・(5)
【0127】
この場合であっても、分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φが5mmである場合には、分割型フォトダイオード1212が、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された16心MPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光を受光できなくなることはない。しかしながら、
図9に示したX方向位置信号の特性のように、X方向位置信号やY方向位置信号が単調増加する範囲にも限りがある。このため、
図12の(a)に示したように、16心MPOコネクタ502を45°の角度を持たせた位置にすることによって、分割型フォトダイオード1212がそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光を受光する受光領域の範囲に余裕を持たせている。そして、信号処理部122が算出した光の出射位置の2次元の座標(X,Y)を規格化した際に、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号やY方向位置信号が単調増加する範囲内に、より確実に入るようにしている。つまり、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号やY方向位置信号の大きさが、隣接するチャネルに対応するX方向位置信号やY方向位置信号の大きさに対してより顕著な差となっている範囲内(すなわち、
図9に示したX方向位置信号の特性の中央寄りの範囲内)になるようにしている。
【0128】
より具体的には、
図12の(a)に示したように、16心MPOコネクタ502を45°の角度を持たせた位置にした場合、分割型フォトダイオード1212内のX方向位置を算出すると、下式(6)のようになる。
【0129】
X方向位置=(16-1)×0.25mm×Sin45°
=3.75mm×Sin45°
≒2.652mm ・・・(6)
=±1.326mm
【0130】
この場合、16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送され、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合された状態の16心MPOコネクタ502から出射されるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの光は、
図12の(b)に示したように、分割型フォトダイオード1212のそれぞれの受光領域に照射される。つまり、16心MPOコネクタ502から出射されるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの光は、16心MPOコネクタ502におけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの配置に応じて、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域と下側の受光領域との境界線に対して、45°の角度を持った線に沿って少しずつずれた受光領域に照射される。
【0131】
図12の(b)には、光ファイバー510の1チャネルによって伝送された光が広がった空間光L1、8チャネルによって伝送された光が広がった空間光L8、および16チャネルによって伝送された光が広がった空間光L16のそれぞれが、分割型フォトダイオード1212の受光領域に照射されている状態を示している。なお、
図12の(b)においても、それぞれの空間光Lは、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dの空間内で、ガウス分布で広がっている。なお、
図12の(b)に示したそれぞれの光ファイバー510のチャネルの空間光Lが照射されている受光領域の範囲も、
図8の(b)に示した空間光Lが照射されている受光領域の範囲と同様に、それぞれの光のエネルギー密度値が、ピークエネルギー密度値に対して1/e
2となった範囲を示している。
【0132】
なお、信号処理部122が、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域ごとの電気信号(光起電流)に基づいて、16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う方法は、上述した16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う方法と同様に考えることができる。つまり、信号処理部122は、上式(1)および上式(2)によって、多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部Oにおける光の出射位置の2次元座標(X,Y)を算出し、上式(3)によってそれぞれの光ファイバー510のチャネルによって伝送されてきた光の光パワー値Pchを算出することができる。従って、信号処理部122が16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行う方法に関する詳細な説明は省略する。
【0133】
なお、空間光Lの受光領域内の位置と、光の出射位置のX座標との関係は、
図13のようになる。
図13は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100において照射される光(空間光L)の受光領域内の位置と、信号処理部122が算出した光の位置(光の出射位置のX座標)との16心MPOコネクタ502の場合の関係を説明する図である。
図13に示した空間光Lの受光領域内の位置と、光の出射位置のX座標との関係も、
図9に示した12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500における空間光Lの受光領域内の位置と、光の出射位置のX座標との関係の一例と同様に、受光領域の直径φが5mmで、受光領域が4分割された構成の分割型フォトダイオード1212の実測値から算出した一例である。
図13においても、
図9と同様に、16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500におけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内の実際の位置と、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標との関係を示している。そして、
図13においても、
図9と同様に、それぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内のX方向の実際の位置(X方向位置(mm))をX軸に示し、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標をY軸に示している。なお、
図13においても、
図9と同様に、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標を、-1~+1までの間の値で表した(規格化した)X方向位置信号(abu)として示している。また、
図13においても、
図9と同様に、それぞれの光ファイバー510のチャネルの番号(チャネル番号)を併せて示している。
【0134】
図13においても、
図9と同様に、X方向位置信号は、光ファイバー510のチャネル番号に対して、-1から+1までの間で単調増加する特性を持っている。なお、
図13に示したX方向位置信号の特性も、
図9に示したX方向位置信号の特性と同様に、16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500がAタイプである場合の特性である。なお、
図13に示したX方向位置信号の特性において、それぞれの光ファイバー510のチャネルの間隔(ピッチ)、0.25mm(=250μm)である。従って、
図13に示した特性では、上述したように、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける分割型フォトダイオード1212内のX方向位置は、-1.326mm~+1.326mmまでの間の位置となっている。
【0135】
なお、
図13には、
図9と同様にX方向位置信号の特性を示したが、Y方向位置信号の特性も同様に考えることができる。これにより、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500が、16心×2列の32心、16心×4列の64心であっても、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを同時に行うことができる。
【0136】
なお、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500が12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500である場合でも同様に、12心MPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルの長手方向を、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域(受光領域Aおよび受光領域B)と、下側の受光領域(受光領域Cおよび受光領域D)との境界線に対して、45°の角度を持たせて位置させてもよい。この場合でも、信号処理部122は、
図9と同様のX方向位置信号の特性を得ることができる。ただし、12心MPOコネクタ502を分割型フォトダイオード1212の受光領域に対して45°の角度を持たせた場合には、上述したような理由によって、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける分割型フォトダイオード1212内のX方向位置が、
図9に示したX方向位置(-1.375mm~+1.375mmまでの間の位置)よりも狭い範囲になる。より具体的には、12心MPOコネクタ502を45°の角度を持たせた位置にした場合、分割型フォトダイオード1212内のX方向位置を算出すると、下式(7)のようになる。
【0137】
X方向位置=(11-1)×0.25mm×Sin45°
=2.75mm×Sin45°
≒1.945mm ・・・(7)
=±0.972mm
【0138】
この場合、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、12心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500と16心の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500とのそれぞれの極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを、同じ構成で実現することができる。
【0139】
このように、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、MPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルの長手方向を、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域(受光領域Aおよび受光領域B)と、下側の受光領域(受光領域Cおよび受光領域D)との境界線に対して、45°の角度を持たせて位置させる。この場合でも、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する光ファイバー510の心数や、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502のタイプ(オスタイプやメスタイプ)に関係なく、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行うことができる。
【0140】
なお、上述した説明では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の心数が16心である場合について説明した。しかし、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、同様の考え方に基づいて、信号処理部122が算出した光の出射位置の2次元の座標(X,Y)を規格化した、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号やY方向位置信号が単調増加する範囲内であれば、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の心数がさらに多くなった場合でも同様に、極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを、同じ構成で実現することができる。従って、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域と下側の受光領域との境界線に対してそれぞれの光ファイバー510のチャネルの長手方向に持たせる角度は、上述した45°に限定されるものではなく、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号やY方向位置信号が単調増加する範囲を考慮して決定すればよい。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置100に、分割型フォトダイオード1212を回転させる機構を設けてもよい。つまり、多心コネクタ光ファイバー測定装置100に、分割型フォトダイオード1212における上側の受光領域と下側の受光領域との境界線に対してそれぞれの光ファイバー510のチャネルの長手方向に持たせる角度を調整する機構を設けてもよい。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する光ファイバー510の心数に関係なく、それぞれの光ファイバー510のチャネルと、分割型フォトダイオード1212の受光領域との角度に関する位置関係を適切にして、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行うことができる。
【0141】
なお、
図9、
図10、および
図13には、X方向位置信号が単調増加する特性を示した。しかし、X方向位置信号やY方向位置信号の特性が単調増加する範囲は、分割型フォトダイオード1212の受光領域に照射される空間光Lの範囲、つまり、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dの空間内での空間光Lの広がりによって変化する。つまり、X方向位置信号やY方向位置信号の特性が単調増加する範囲は、分割型フォトダイオード1212の受光領域に照射される空間光Lの直径(以下、「ビーム径」という)によって変化する。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、空間光Lのビーム径を適切に調整する必要がある。
【0142】
ここで、空間光Lのビーム径の違いによって、X方向位置信号やY方向位置信号の特性が単調増加する範囲が異なる一例について説明する。
図14は、本発明の実施形態の多心コネクタ光ファイバー測定装置100において照射される光(空間光L)の受光領域内の大きさと算出した光の位置(光の出射位置のX座標)との関係の違いを説明する図である。なお、
図14は、分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φが5mmで、受光領域が4分割された構成であり、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられた12心MPOコネクタ502と分割型フォトダイオード1212の位置関係が、
図8の(a)に示した位置関係であるときの一例である。
図14の(a-1)には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送されてきた光が照射される分割型フォトダイオード1212の受光領域の範囲が小さい(ビーム径Bφが1mm)場合の一例を模式的に示している。また、
図14の(a-2)には、光が照射される分割型フォトダイオード1212の受光領域の範囲が
図14の(a-1)に示した大きさ(ビーム径Bφ=1mm)である場合における、それぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内の実際の位置と、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標との関係を示している。また、
図14の(b-1)には、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送されてきた光が照射される分割型フォトダイオード1212の受光領域の範囲が大きい(ビーム径Bφが2mm)場合の一例を模式的に示している。また、
図14の(b-2)には、光が照射される分割型フォトダイオード1212の受光領域の範囲が
図14の(b-1)に示した大きさ(ビーム径Bφ=2mm)である場合における、それぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内の実際の位置と、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標との関係を示している。
【0143】
なお、
図14の(a-2)および
図14の(b-2)では、それぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内のX方向の実際の位置(X方向位置(mm))をX軸に示し、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標をY軸に示している。そして、
図14の(a-2)および
図14の(b-2)では、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標を、-1~+1までの間の値で表した(規格化した)X方向位置信号(abu)とし、それぞれの光ファイバー510のチャネルの番号(チャネル番号)を併せて示している。
【0144】
なお、
図14の(b-1)は、
図8の(b)に示した多心コネクタ光ファイバーパッチコード500によって伝送されてきた光が照射される分割型フォトダイオード1212の受光領域の一例と同じ図である。また、
図14の(b-2)は、
図9に示した多心コネクタ光ファイバーパッチコード500におけるそれぞれの光ファイバー510のチャネルの分割型フォトダイオード1212内の実際の位置と、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標との関係の一例と同じ図である。
【0145】
上述したように、多心光コネクタ用レセプタクル1211の開口部OにおいてMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光は、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dの空間において、ガウス分布で広がっていく。このため、
図14の(a-1)および
図14の(b-1)では、ガウス分布で広がった空間光Lのビーム径として、エネルギー密度値がピークエネルギー密度値に対して1/e
2となったときの受光領域の範囲の直径(幅)を示しているが、上述したように、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された空間光Lは、ビーム径の範囲外にも広がって、分割型フォトダイオード1212のそれぞれの受光領域に照射される。
【0146】
このとき、
図14の(a-1)に示したように、ビーム径Bφが小さい(ビーム径Bφが1mm)場合には、異なるチャネルから空間光Lが出射されたとしても、分割型フォトダイオード1212の4つの受光領域(受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域D)に照射される空間光Lの量が変化しないことがあり得る。これは、ビーム径Bφが小さい(ビーム径Bφが1mm)場合、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射される光のエネルギー密度値が変化する領域が狭いためである。例えば、チャネル1から出射された空間光L1とチャネル2から出射された空間光L2とは、そのほとんどが受光領域Bと受光領域Cとに照射され、受光領域Aと受光領域Dとには照射されない。このため、チャネル1とチャネル2とでは、信号処理部122が得るそれぞれの受光領域に対応する光パワー値に変化が表れない。また、例えば、チャネル11から出射された空間光L11とチャネル12から出射された空間光L12とは、そのほとんどが受光領域Aと受光領域Dとに照射され、受光領域Bと受光領域Cとには照射されない。このため、チャネル11とチャネル12とでも、信号処理部122が得るそれぞれの受光領域に対応する光パワー値に変化が表れない。すると、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標を規格化した際に、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号の大きさに変化が表れないことになってしまう。つまり、X方向位置信号が単調増加しないことになってしまう。
図14の(a-2)に示した一例では、12個の光ファイバー510のチャネルの内、MPOコネクタ502の両端に近い位置に配置された光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号の大きさが単調増加せずに、一定の大きさになっている。より具体的には、
図14の(a-2)に示した一例では、光ファイバー510の1チャネル~3チャネルに対応するX方向位置信号の大きさが、-1abuで一定の大きさになっている。また、
図14の(a-2)に示した一例では、光ファイバー510の10チャネル~12チャネルに対応するX方向位置信号の大きさが、+1abuで一定の大きさになっている。このような場合、信号処理部122は、光ファイバー510の1チャネル~3チャネルおよび10チャネル~12チャネルを正確に確認(識別)が困難になってしまう。
【0147】
これに対して、
図14の(b-1)に示したように、ビーム径Bφが大きい(ビーム径Bφが2mm)場合では、異なるチャネルから空間光Lが出射されたときには、分割型フォトダイオード1212の4つの受光領域(受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域D)に照射される空間光Lの量が必ず変化する。これは、ビーム径Bφが大きい(ビーム径Bφが2mm)場合、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射される光のエネルギー密度値が変化する領域が広いためである。例えば、チャネル1から出射された空間光L1とチャネル2から出射された空間光L2とのそれぞれは、中心位置が
図14の(a-1)に示したビーム径Bφが小さい(ビーム径Bφが1mm)場合と同じ位置であっても、受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域Dのそれぞれの受光領域に照射される。しかも、チャネル1から出射された空間光L1とチャネル2から出射された空間光L2とでは、それぞれの受光領域に照射される空間光Lの量が異なる。このため、チャネル1とチャネル2とでは、信号処理部122が得るそれぞれの受光領域に対応する光パワー値に変化が表れる。また、例えば、チャネル11から出射された空間光L11とチャネル12から出射された空間光L12とのそれぞれは、中心位置が
図14の(a-1)に示したビーム径Bφが小さい(ビーム径Bφが1mm)場合と同じ位置であっても、受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域Dのそれぞれの受光領域に照射される。しかも、チャネル11から出射された空間光L11とチャネル12から出射された空間光L12とでは、それぞれの受光領域に照射される空間光Lの量が異なる。このため、チャネル11とチャネル12とでも、信号処理部122が得るそれぞれの受光領域に対応する光パワー値に変化が表れる。このため、信号処理部122が算出した光の出射位置のX座標を規格化した際に、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号の大きさに変化が表れる。つまり、X方向位置信号が単調増加する。
図14の(b-2)に示した一例では、12個の光ファイバー510のチャネルの全てにおいて、対応するX方向位置信号の大きさが単調増加している。このような場合、信号処理部122は、光ファイバー510の全てのチャネルを正確に確認(識別)ができる。
【0148】
従って、多心コネクタ光ファイバー測定装置100においては、それぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された空間光Lが、分割型フォトダイオード1212において分割された全ての受光領域(
図14では、受光領域A、受光領域B、受光領域C、および受光領域D)に照射されると共に、チャネルごとにそれぞれの受光領域に照射される空間光Lの量が異なるように、空間光Lのビーム径Bφの大きさを適切な大きさにする。なお、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dを調整することによって、空間光Lのビーム径Bφの大きさを調整することができる。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置100に、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dを調整する機構を設けてもよい。つまり、多心コネクタ光ファイバー測定装置100に、空間光Lのビーム径Bφの変更を可能にするための機構を設けてもよい。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する光ファイバー510の心数に関係なく、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間の距離Dを適切にして、つまり、空間光Lのビーム径Bφの大きさを適切な大きさにして、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行うことができる。
【0149】
なお、例えば、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する光ファイバー510の心数がさらに多くなるなどの理由によって、MPOコネクタ502が大型化することも考えられる。この場合、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211の構造(特に、開口部Oの大きさおよび形状)を変更することによって、大型化したMPOコネクタ502に対応させることができる。ところで、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、上述したように、分割型フォトダイオード1212は、多心光コネクタ用レセプタクル1211に嵌合されたMPOコネクタ502に配置されたそれぞれの光ファイバー510のチャネルから出射された光の空間光Lを、分割されたそれぞれの受光領域で直接受光する。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、分割型フォトダイオード1212が、全ての光ファイバー510のチャネルから出射された光を電気信号(光起電流)に変換するために、空間光Lのビーム径Bφの大きさを小さくせざるを得ないことも考えられる。これは、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φを変更することはできないためである。そこで、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に、全ての光ファイバー510のチャネルから出射された光を分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φの範囲内に照射させるレンズを配置してもよい。なお、ここで、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に配置するレンズは、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける光の出射位置の関係を反映しつつ、光を分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φの範囲内に照射させるレンズである。つまり、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に配置するレンズは、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける一定の間隔(ピッチ)を反映しつつ、出射された光の光路を分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φの範囲内に変更するレンズである。この構成の場合、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、分割型フォトダイオード1212として、受光領域の直径φが小さい分割型フォトダイオードを採用することができる。すなわち、上記の説明では、分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φが5mmである場合について説明したが、例えば、受光領域の直径φが4mmや3mmというような直径φが小さい受光領域の分割型フォトダイオードを採用することができる。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する光ファイバー510の心数や、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502のタイプに関係なく、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とを行うと共に、分割型フォトダイオード1212のコストを低減することができる。
【0150】
なお、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に配置するレンズは、上述したように、出射された光の光路を変更するレンズである。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に配置するレンズを、信号処理部122が算出した光の出射位置の2次元の座標(X,Y)を規格化した際に、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号やY方向位置信号が単調増加する範囲内にするために利用することができる。この場合、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に配置するレンズでは、それぞれの光ファイバー510のチャネルにおける一定の間隔(ピッチ)をそのまま反映するのではなく、MPOコネクタ502の中央に近い位置に配置された光ファイバー510のチャネルの間隔(ピッチ)を狭くして、出射された光の光路を分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φの範囲内に変更する。つまり、多心光コネクタ用レセプタクル1211と分割型フォトダイオード1212との間に配置するレンズは、それぞれの光ファイバー510のチャネルの間隔(ピッチ)を不等間隔(MPOコネクタ502の中央に近い位置に配置された光ファイバー510のチャネルと、MPOコネクタ502の両端に近い位置に配置された光ファイバー510のチャネルとを異なる間隔)にして、出射された光の光路を分割型フォトダイオード1212の受光領域の直径φの範囲内に変更する。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、それぞれの光ファイバー510のチャネルの空間光Lの範囲が、分割型フォトダイオード1212の受光領域の中央寄りの範囲内になる。そして、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、信号処理部122が算出した光の出射位置の2次元の座標(X,Y)を規格化した際に、それぞれの光ファイバー510のチャネルに対応するX方向位置信号やY方向位置信号も、隣接するチャネル同士で差がより大きい中央寄りの範囲内になる。これにより、多心コネクタ光ファイバー測定装置100では、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500を構成する光ファイバー510の心数や、多心コネクタ光ファイバーパッチコード500に取り付けられたMPOコネクタ502のタイプに関係なく、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード500の極性タイプの確認(識別)と光パワーの計測(測定)とをより精度よく行うことができる。
【0151】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部に、多心光コネクタ用レセプタクルと分割型フォトダイオードとを備える。これにより、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部において、多心光コネクタ用レセプタクルに嵌合された測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードに取り付けられた多心光コネクタ内に配置された光ファイバーのフェルール端面と分割型フォトダイオードとの間の距離を予め定めた距離に固定する。しかも、本発明を実施するための形態では、多心光コネクタ用レセプタクルの開口部を、多心光コネクタのフェルール端面から出射される光ファイバーの各チャネルの光を遮らず、多心光コネクタの構造の影響を受けない大きさおよび形状にしている。これにより、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部において、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードに取り付けられた多心光コネクタの構造に関係なく、多心光コネクタ用レセプタクルにおけるフェルール突き当て部分に、多心光コネクタ内に配置された光ファイバーのチャネルのフェルール端面を突き当てることができる。
【0152】
また、本発明を実施するための形態によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部において、多心光コネクタ用レセプタクルに嵌合された状態の多心光コネクタ内に配置された光ファイバーのチャネルのフェルール端面から、光ファイバーによって伝送された光を、分割型フォトダイオードの受光領域に直接照射させる。そして、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部において、分割型フォトダイオードが、分割されたそれぞれの受光領域で受光した光に応じた電気信号(光起電流)を、分割されたそれぞれの受光領域ごとに、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する信号処理部に出力する。そして、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の信号処理部が、受光部内の分割型フォトダイオードから出力されたそれぞれの受光領域の電気信号に基づいて、多心光コネクタに配置された光ファイバーのチャネルが光を出射した出射位置(2次元のX座標およびY座標)を算出する。そして、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の信号処理部が、算出した光ファイバーのチャネルが光を出射した出射位置に基づいて、多心光コネクタ用レセプタクルに嵌合された多心光コネクタが取り付けられた多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプを確認(識別)する。これにより、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置において、多心光コネクタ用レセプタクルに嵌合された多心光コネクタに配置された光ファイバーのチャネル数、つまり、多心コネクタ光ファイバーパッチコードにおける光ファイバーの心数に関係なく、多心光コネクタに配置された光ファイバーのチャネルが光を出射した出射位置を算出することができる。
【0153】
また、本発明を実施するための形態によれば、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の信号処理部が、受光部内の分割型フォトダイオードから出力されたそれぞれの受光領域の電気信号に基づいて、多心光コネクタに配置された光ファイバーのチャネルが出射した光の全体の光パワー値を算出して、光パワーの計測(測定)を行った結果とする。しかも、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置を構成する測定部内の受光部において、分割型フォトダイオードが、多心光コネクタ用レセプタクルに嵌合された多心光コネクタに配置されたそれぞれの光ファイバーのチャネルから出射された光の空間光を、分割されたそれぞれの受光領域で直接受光する。これにより、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置において、従来の多心コネクタ光ファイバー測定装置のように、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコード以外の構成要素による光の損失の影響を受けることなく、光パワーの計測(測定)精度の低下を抑えることができる。
【0154】
これらのことにより、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において、多心コネクタ光ファイバーパッチコードを構成する光ファイバーの心数や、多心コネクタ光ファイバーパッチコードに取り付けられた多心光コネクタの構造に関係なく、測定対象の多心コネクタ光ファイバーパッチコードの極性タイプの確認(識別)を行うことができ、光パワーの計測(測定)を高い精度で行うことができる。
【0155】
なお、本発明を実施するための形態では、多心コネクタ光ファイバー測定装置100を構成する測定部120内の受光部121に分割型フォトダイオード1212を備え、信号処理部122が、分割型フォトダイオード1212から出力されたそれぞれの受光領域の電気信号に基づいて、MPOコネクタ502(多心光コネクタ)に配置された光ファイバー510のチャネルが光を出射した出射位置を算出する構成を示した。しかし、MPOコネクタ502に配置された光ファイバー510のチャネルが光を出射した出射位置の情報を得ることができるセンサとしては、分割型フォトダイオード1212の他にも、例えば、位置検出素子(Position Sensitive Detector:PSD)などがある。この位置検出素子は、フォトダイオードの特性を利用してスポット光の位置を検出する素子であり、受光領域が分割されていない構成でありながら、スポット光の位置を2次元で検出することができる。このため、多心コネクタ光ファイバー測定装置100において、分割型フォトダイオード1212の代わりに、位置検出素子を利用する構成も考えられる。しかしながら、分割型フォトダイオードは、位置検出素子よりも、温度特性がよく、入射した光パワー値(レベル)に応じて出力する光起電流がリニアである範囲、つまり、線形性がある範囲が広いという特徴がある。このため、位置検出素子では、MPOコネクタ502に配置された光ファイバー510のチャネルから出射された光の光パワー値(レベル)に応じた高い精度の情報を得ることができないという懸念がある。従って、多心コネクタ光ファイバー測定装置100においては、MPOコネクタ502に配置された光ファイバー510のチャネルが光を出射した出射位置の情報を得るためのセンサとしては、位置検出素子よりも、分割型フォトダイオードを利用した方が、光ファイバー510のチャネルから出射された光の光パワー値(レベル)に対してより柔軟性を持った高い精度で光パワーの計測(測定)を行うことができると考えられる。
【0156】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0157】
100・・・多心コネクタ光ファイバー測定装置
110・・・光源部
111・・・制御部
112・・・光源
113・・・光ファイバーファンアウトコード
114・・・コネクタアダプタ
115・・・光スイッチ
120・・・測定部
121・・・受光部
1211・・・多心光コネクタ用レセプタクル
1212・・・分割型フォトダイオード
122・・・信号処理部
123・・・表示部
500・・・多心コネクタ光ファイバーパッチコード
501・・・MPOコネクタ(多心光コネクタ)
502・・・MPOコネクタ(多心光コネクタ)
510・・・光ファイバー
O・・・開口部
G・・・キー溝
P・・・位置決めピン
H・・・位置決め穴
K・・・キー突起
L,L1,L6,L12,L16・・・空間光
900・・・多心コネクタ光ファイバー測定装置
910・・・光源部
920・・・測定部
921・・・受光部
9211・・・多心コネクタアダプタ
9212・・・光ファイバーファンアウトコード
9213・・・光スイッチ
9214・・・光センサ
922・・・信号処理部
923・・・表示部