(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】コンクリート充填検知装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20220318BHJP
G01F 23/292 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
G01F23/292 B
(21)【出願番号】P 2018177088
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 善彦
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-16620(JP,A)
【文献】特開2017-155416(JP,A)
【文献】特開昭63-188726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02
G01F 23/292
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート打設箇所におけるコンクリートの充填を検知するコンクリート充填検知装置において、
一端側をコンクリート打設箇所に配置され、一端から出力した光の反射光が入力される光ファイバと、
光ファイバの一端側を覆うように形成され、コンクリート打設位置に充填されるコンクリートのセメントミルクを吸収可能な吸収体と、
光ファイバの他端側に配置され、光ファイバの一端から入力される光の検出する検出部と、
セメントミルクが吸収体に吸収されることによる検出部の検出光の変化に基づいて光ファイバの一端側にコンクリートが充填されたか否かを判定する判定部とを備えた
ことを特徴とするコンクリート充填検知装置。
【請求項2】
前記判定部は検出部の検出光の色の変化に基づいてコンクリートの充填を判定する
ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項3】
前記吸収体はセメントミルクが流入可能な少なくとも一つの孔を有する筒状の部材からなる
ことを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項4】
前記吸収体はセメントミルクが浸透可能な多孔質の部材からなる
ことを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項5】
前記吸収体は、打設後のコンクリートから光ファイバと共に引き抜かれるように光ファイバに固着されている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項6】
前記吸収体は、打設後のコンクリートから光ファイバのみが引き抜きかれるように光ファイバと分離可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のコンクリート充填検知装置。
【請求項7】
コンクリート打設箇所におけるコンクリートの充填を検知するコンクリート充填検知方法において、
コンクリートのセメントミルクを吸収可能な吸収体によって一端側を覆われた光ファイバの一端側をコンクリート打設箇所に配置し、
光ファイバの一端から吸収体内に出力した光の反射光を光ファイバの一端から入力することにより検出し、
セメントミルクが吸収体に吸収されることによる検出光の変化に基づいて光ファイバの一端側にコンクリートが充填されたか否かを判定する
ことを特徴とするコンクリート充填検知方法。
【請求項8】
前記光ファイバを打設後のコンクリートから吸収体と共に引き抜く
ことを特徴とする請求項7記載のコンクリート充填検知方法。
【請求項9】
前記光ファイバを打設後のコンクリートから吸収体を残して引き抜く
ことを特徴とする請求項7記載のコンクリート充填検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種建設現場等において、コンクリート打設箇所へのコンクリートの充填を検知するためのコンクリート充填検知装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築工事、土木工事等において建造されるコンクリート構造物は、型枠によって形成されたコンクリート打設箇所にフレッシュコンクリートを充填し、型枠内でコンクリートを硬化させることにより形成される。しかしながら、構造物が複雑な形状であったり、構造物内に鉄筋や鋼材等の補強部材が配置される場合は、型枠や補強部材の隅々までコンクリートが充填されないことがあり、これによりコンクリート内に空隙が生ずる場合がある。このような空隙が存在するとコンクリートの強度を低下させるおそれがあるため、空隙が発生しないように満遍なくコンクリートを充填することが望まれるが、充填空間内の空隙の有無を目視で確認することは困難である。
【0003】
そこで、コンクリートの充填を検知するために、空隙発生のおそれのある箇所に電極を設置し、コンクリートが電極まで充填されると、コンクリート中の水分が電極に接することによる電気抵抗の変化に基づいて、コンクリートが充填されたか否かを判定するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のような電極を用いたものでは、充填空間内にコンクリートが十分に充填されていない場合でも、フレッシュコンクリートや残留水が飛散して電極に付着すると、空隙が残っているにも拘わらずコンクリートが充填されたものとして検知されるといった誤検知を生じやすいという問題点があった。
【0006】
また、電極が設けられたセンサ及びこれに接続された電線がコンクリート内に設置されたままコンクリートの打設が行われるため、これらの異物がコンクリート構造物内に残置されることは構造上好ましくない上に、高価なセンサが再利用できず、コスト的に不利であるという問題点もあった。
【0007】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空隙を残すことなくコンクリートの充填を確実に検知することのできるコンクリート充填検知装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、コンクリート打設箇所におけるコンクリートの充填を検知するコンクリート充填検知装置において、一端側をコンクリート打設箇所に配置され、一端から出力した光の反射光が入力される光ファイバと、光ファイバの一端側を覆うように形成され、コンクリート打設位置に充填されるコンクリートのセメントミルクを吸収可能な吸収体と、光ファイバの他端側に配置され、光ファイバの一端から入力される光の検出する検出部と、セメントミルクが吸収体に吸収されることによる検出部の検出光の変化に基づいて光ファイバの一端側にコンクリートが充填されたか否かを判定する判定部とを備えている。
【0009】
また、本発明は前記目的を達成するために、コンクリート打設箇所におけるコンクリートの充填を検知するコンクリート充填検知方法において、コンクリートのセメントミルクを吸収可能な吸収体によって一端側を覆われた光ファイバの一端側をコンクリート打設箇所に配置し、光ファイバの一端から吸収体内に出力した光の反射光を光ファイバの一端から入力することにより検出し、セメントミルクが吸収体に吸収されることによる検出光の変化に基づいて光ファイバの一端側にコンクリートが充填されたか否かを判定するようにしている。
【0010】
これにより、光ファイバの一端から吸収体内に出力された光の反射光が光ファイバの一端から入力されて検出され、コンクリート打設箇所に充填されたコンクリートのセメントミルクが吸収体に吸収されることによる検出光の変化に基づいて、光ファイバの一端側にコンクリートが充填されたか否かが判定されることから、コンクリート充填中に空隙内で飛散したセメントミルクが吸収体に付着しただけではコンクリートが充填されたと判定されることがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンクリート充填検知装置及び方法によれば、コンクリート充填中に空隙内で飛散したセメントミルクが吸収体に付着しただけではコンクリートが充填されたと判定されることがないので、空隙を残すことなくコンクリートの充填を確実に検知することができ、コンクリート構造物中における空隙残存防止に極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示すコンクリート充填検知装置の構成図
【
図7】コンクリート充填検知工程を示す吸収体の側面断面図
【
図8】コンクリート充填検知工程を示す吸収体の側面断面図
【
図9】コンクリート充填検知工程を示す吸収体の側面断面図
【
図10】本発明の第2の実施形態を示す吸収体の側面断面図
【
図11】コンクリート充填検知工程を示す吸収体の側面断面図
【
図12】コンクリート充填検知工程を示す吸収体の側面断面図
【
図13】本発明の第3の実施形態を示す吸収体の側面断面図
【
図14】コンクリート充填検知工程を示す吸収体の側面断面図
【
図15】コンクリート充填検知工程を示す吸収体の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図9は本発明の第1の実施形態を示すもので、コンクリート打設箇所へのコンクリートの充填を検知するためのコンクリート充填検知装置を示すものである。
【0014】
本実施形態では、コンクリート構造物として、例えば橋梁用の床版を形成する場合を示す。即ち、
図1に示すように底板1上に鋼材2が配置され、図示しない型枠で囲まれた底板1上にコンクリートを鋼材2の上方まで充填することにより、床版が形成される。この場合、鋼材2は上フランジ2a、下フランジ2b及びウェブ2cからなる溝形鋼かならなる。
【0015】
本実施形態のコンクリート充填検知装置は、一端側をコンクリート打設箇所に配置される光ファイバ10と、光ファイバの一端側を覆うように形成された吸収体20と、光ファイバ10の一端から入力される光の変化を検出する検出部30と、検出部30の検出光の変化に基づいてコンクリートが充填されたか否かを判定する判定部40とを備えている。
【0016】
光ファイバ10は、光出力用の光ファイバ心線と光入力用の光ファイバ心線とを一体に有する光ファイバケーブルからなり、各光ファイバ心線の一端は光ファイバ10の一端面に露出している。また、光出力用の光ファイバ心線の他端には図示しない光源が配置され、光入力用の光ファイバ心線の他端は検出部30側に配置されている。即ち、光ファイバ10は、一端面の光出力用の光ファイバ心線から光L1 を出力し、その反射光L2 を光入力用の光ファイバ心線から入力するようになっている。
【0017】
吸収体20は、スポンジ等、液体を吸収可能な多孔質の部材からなり、例えば白色に形成されている。吸収体20は回転楕円体状に形成され、その長軸方向一端側から内部の中央側まで光ファイバ10の一端側が挿入されている。この場合、光ファイバ10は接着剤等により吸収体20に固着されている。
【0018】
検出部30は、光ファイバ10の光入力用の光ファイバ心線の一端から入力される光の色を検出するセンサからなり、例えば周知のデジタルカラー判別センサが用いられる。検出部30では検出光の色を数値化し、判定部40に出力するようになっている。
【0019】
判定部40は、検出部30で検出された検出光の色が所定の色か否かを判別するようになっており、識別すべき色を数値化した設定値が設定され、検出部30の検出光の検出値が設定値と一致すると、これをコンクリートの充填として外部に表示するようになっている。
【0020】
ここで、前記コンクリート充填検知装置を用いて前記床版のコンクリートを打設する際のコンクリートの充填を検知する方法について説明する。尚、コンクリート充填空間には、セメント、骨材及び水等をミキサで混練したフレッシュコンクリートが充填される。
【0021】
まず、判定部40に、フレッシュコンクリートのセメントミルクM(セメントと水が混合された液)の色(灰色)の設定値を設定する。この場合、実際のセメントミルクMの色を検出部30で検出し、その検出値を設定値として設定する。
【0022】
次に、
図1に示すように、吸収体20で覆われた光ファイバ10の一端側を鋼材2の内側に配置する。その際、吸収体20は、コンクリート内の空隙を生じやすい箇所、例えば鋼材2の上フランジ2aの下面とウェブ2cとの間部分に配置され、接着剤や粘着テープ等によって鋼材2に仮止めされる。
【0023】
続いて、光ファイバ10の一端面から光出力用の光ファイバ心線の光を出力する。その際、
図3(a) に示すように、検出部30の検出光Lとして、吸収体20内で反射した光の色(吸収体20の色(白色))が検出されるが、この場合の検出値は設定値と異なるため、判定部40ではコンクリートが未充填として判定される。
【0024】
次に、
図4に示すようにコンクリート充填空間にフレッシュコンクリートCを充填し、
図5に示すようにフレッシュコンクリートCが吸収体20まで達すると、
図8に示すようにフレッシュコンクリートCのセメントミルクが吸収体20によって吸収される。
【0025】
これにより、
図9に示すように吸収体20の色がセメントミルクMの色になり、
図3(b) に示すように検出部30では検出光Lとして、吸収体20内で反射した光の色(セメントミルクMの色)が検出される。この場合、検出値が設定値と一致し、判定部40ではコンクリートが充填されたものと判定される。
【0026】
また、
図6に示すようにフレッシュコンクリートCの充填が完了した場合でも、吸収体20の周囲に空隙Sが生じている場合は、フレッシュコンクリートCのセメントミルクMが吸収体20によって吸収されないため、判定部40ではコンクリートが未充填として判定される。ブリージング水や外部から侵入した水が吸収体20に吸収された場合も、これらの水(ほぼ透明)とセメントミルクMとは色が異なるため、検出部30の検出値が設定値と一致せず、判定部40ではコンクリートが未充填として判定される。また、吸収体20は周囲に充填されたフレッシュコンクリートCからの圧力が加わらないとセメントミルクMが内部に浸透しないため、例えばコンクリート充填中に空隙S内で飛散したセメントミルクMが吸収体20に付着しただけでは検出光Lの色がセメントミルクMの色にはならず、このような場合も判定部40でコンクリートが充填されたと誤判定されることはない。
【0027】
前述のように空隙Sが存在している場合は、充填済みのフレッシュコンクリートCを撹拌するなどして空隙Sを解消すれば、空隙Sに流入したフレッシュコンクリートCのセメントミルクMが吸収体20によって吸収され、判定部40においてコンクリートが充填されたものと判定される。
【0028】
この後、光ファイバ10をフレッシュコンクリートCから引き抜くことにより、コンクリートの充填検知作業が終了する。その際、吸収体20は、光ファイバ10に固着されているので、光ファイバ10と共にフレッシュコンクリートCから引き抜かれ、硬化後のコンクリート内に残置されることがない。
【0029】
このように、本実施形態によれば、フレッシュコンクリートCのセメントミルクMを吸収可能な吸収体20によって一端側を覆われた光ファイバ10の一端側をコンクリート打設箇所に配置するとともに、光ファイバ10の一端から吸収体20内に出力した光の反射光を光ファイバ10の一端から入力して検出部20により検出し、セメントミルクMが吸収体20に吸収されることによる検出光Lの変化に基づいて光ファイバ10の一端側にフレッシュコンクリートCが充填されたか否かを判定部40によって判定するようにしたので、コンクリート充填中に空隙S内で飛散したセメントミルクMが吸収体20に付着しただけでは判定部40でコンクリートが充填されたと判定されることがなく、空隙Sを残すことなくコンクリートの充填を確実に検知することができる。
【0030】
更に、検出部30の検出光Lの色の変化に基づいてコンクリートの充填を判定するようにしているので、セメントミルクMを吸収した吸収体20がセメントミルクMの色になることにより充填を検知することができ、ブリージング水等の色の異なる他の液体が吸収体20に吸収された場合でも誤検知を生ずることがないという利点がある。
【0031】
この場合、判定部40にセメントミルクMの色の設定値を設定する際、実際のセメントミルクMの色を検出部30で検出し、その検出値を設定値として設定するようにしているので、コンクリートの仕様によってセメントミルクの色が異なる場合でも、実際に使用するセメントミルクの色を常に正確に判定することができる。
【0032】
また、吸収体20はセメントミルクMが浸透可能な多孔質の部材からなるので、吸収体20にセメントミルクMを満遍なく吸収させることができ、光ファイバ10に入力される吸収体20からの反射光の色をセメントミルクMの吸収によってより確実に変化させることができる。
【0033】
更に、吸収体20は、打設後のコンクリートから光ファイバ10と共に引き抜かれるように光ファイバ10に固着されているので、光ファイバ10及び吸収体20が硬化後のコンクリート内に残置されることがなく、異物の残置によるコンクリート構造物の強度等への影響がないという利点がある。
【0034】
図10乃至
図12は本発明の第2の実施形態を示すもので、前記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して示す。本実施形態においては、光ファイバ10を吸収体20に分離可能にした点で前記実施形態とは異なる。
【0035】
即ち、本実施形態では、吸収体20内に光ファイバ10の一端側を抜き差し可能な接続部材21が設けられている。接続部材21は一端を開口した円筒状の部材からなり、吸収体20の長軸方向に延びるように形成されるとともに、他端側が吸収体20内の中央側に位置し、一端側が吸収体20から外部に突出するように吸収体20に固着されている。接続部材21は光ファイバ10を圧入可能な内径を有し、その他端面は閉塞されている。また、接続部材21は透明に形成され、光ファイバ10の出力光及び入力光を透過するようになっている。
【0036】
本実施形態では、光ファイバ10の一端側を吸収体20の接続部材21に圧入することにより、光ファイバ10の一端側が吸収体20によって覆われる。その際、光ファイバ10を一端が接続部材21の他端面に当接するまで挿入することにより光ファイバ10が位置決めされる。
【0037】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様にしてコンクリートの充填検知を行った後、光ファイバ10をコンクリートから引き抜くと、
図12に示すように光ファイバ10が接続部材21から外れて吸収体20から分離し、吸収体20を残して光ファイバ10のみがコンクリートから引き抜かれる。これにより、吸収体20がない分だけ光ファイバ10の引き抜き抵抗が小さくなり、光ファイバ10を容易に引き抜くことができる。
また、コンクリート内に残置された吸収体20にはセメントミルクMが吸収されているので、打設されたコンクリートと共に吸収体20内のセメントミルクMも硬化する。これにより、吸収体20を残置してもコンクリート構造物の強度に影響を与えることがなく、しかも吸収体20にはスポンジ等の安価な部材を用いることができるので、コスト的も有利である。
【0038】
尚、前記実施形態では、吸収体20内に設けた接続部材21に光ファイバ10を抜き差しするようにしたものを示したが、接続部材21を用いずに吸収体20内に光ファイバ10を直接抜き差しするようにしてもよい。
【0039】
図13乃至
図15は本発明の第3の実施形態を示すもので、前記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して示す。本実施形態においては吸収体の形状が前記実施形態とは異なる。
【0040】
本実施形態の吸収体50は、一端を開口した円筒状の部材からなり、その一端側には光ファイバ10の一端側が挿入され、接着剤等により固着されている。吸収体50の他端面は閉塞され、他端面とファイバ10の一端との間には中空部51が形成されている。吸収体50は、筒状に形成された不織布、メッシュ等、液体が浸透可能な部材からなり、外部から中空部51内にセメントミルクMを吸収可能に形成されている。この場合、吸収体50は、例えば白色に形成されている。尚、周面に複数の通水孔を有するパイプ状の部材によって吸収体50を形成するようにしてもよい。
【0041】
本実施形態では、光ファイバ10の一端面から光出力用の光ファイバ心線の光を出力すると、吸収体50の中空部51内で反射した光が光ファイバ10の光入力用の光ファイバ心線から入力され、検出部30によって検出される。
【0042】
ここで、第1の実施形態と同様、コンクリート充填空間にフレッシュコンクリートが充填され、フレッシュコンクリートが吸収体50まで達すると、
図14に示すようにセメントミルクMが吸収体20によって吸収され、
図15に示すように吸収体50の中空部51内がセメントミルクMで満たされる。
【0043】
これにより、吸収体50の中空部51内の色がセメントミルクMの色になり、第1の実施形態と同様、検出部30の検出光Lの検出値が設定値と一致し、判定部40でコンクリートが充填されたものと判定される。
【0044】
本実施形態によれば、筒状に形成された吸収体50によってファイバ10の一端側を覆うようにしているので、吸収体50を光ファイバ10よりも若干外径の大きい形状に形成することができる。これにより、打設後のコンクリートから光ファイバ10及び吸収体20を引き抜く際、吸収体20が小さい分だけ引き抜き抵抗が小さくなり、光ファイバ10及び吸収体50を容易に引き抜くことができる。また、吸収体50が硬化後のコンクリート内に残置されることがないので、異物の残置によるコンクリート構造物の強度等への影響がないという利点もある。
【符号の説明】
【0045】
10…光ファイバ、20…吸収体、21…接続部材、30…検出部、40…判定部、50…吸収体、C…フレッシュコンクリート、M…セメントミルク、S…空隙。