(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/11575 20170101AFI20220318BHJP
H01L 27/11565 20170101ALI20220318BHJP
H01L 27/11568 20170101ALI20220318BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220318BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20220318BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220318BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20220318BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20220318BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
H01L27/11575
H01L27/11565
H01L27/11568
H01L27/088 B
H01L27/088 331A
H01L29/78 371
H01L21/76 L
(21)【出願番号】P 2018189130
(22)【出願日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内村 勝大
【審査官】西出 隆二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-038213(JP,A)
【文献】特開2018-056453(JP,A)
【文献】特開2008-311503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11575
H01L 27/11565
H01L 27/11568
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 21/336
H01L 21/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板の上面の一部を後退させることで、前記半導体基板の一部であり、後退させた前記半導体基板の前記上面から突出し、且つ、平面視における第1方向に延在する複数のフィンを、前記第1方向と交差する第2方向において互いに隣接するように形成する工程、
(b)前記複数のフィンの間を埋め込むように、前記複数のフィンの各々の上面上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記第1絶縁膜の上面の位置が、前記複数のフィンの各々の前記上面の位置よりも低くなるように、前記第1絶縁膜を後退させることで、前記複数のフィンの上部を前記第1絶縁膜から突出させる工程、
を有し、
前記複数のフィンは、第1フィン、前記第1フィンに隣接する第2フィン、前記第2フィンに隣接する第3フィンおよび前記第3フィンに隣接する第4フィンを含み、
前記第1フィンと前記第2フィンとの間の距離は、前記第3フィンと前記第4フィンとの間の距離よりも短く、且つ、前記第2フィンと前記第3フィンとの間の距離よりも長く、
前記(c)工程後、前記第1フィンと前記第2フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置、および、前記第2フィンと前記第3フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置は、前記第3フィンと前記第4フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置よりも低
く、
前記(a)工程は、
(a1)前記半導体基板上に、複数のマスクパターンを形成する工程、
(a2)前記複数のマスクパターンを覆うように、前記半導体基板上に、前記複数のマスクパターンと異なる材料からなるハードマスク材を形成する工程、
(a3)前記ハードマスク材に対して異方性エッチング処理を行うことで、前記複数のマスクパターンの各々の側面に、前記ハードマスク材からなる複数のハードマスクを形成する工程、
(a4)前記(a3)工程後、前記複数のマスクパターンを除去する工程、
(a5)前記(a4)工程後、前記複数のハードマスクをマスクとして、前記半導体基板の前記上面の一部を後退させることで、前記複数のフィンを形成する工程、
を有し、
前記複数のマスクパターンは、互いに隣接する第3マスクパターンおよび第4マスクパターンを有し、
前記第2方向において、第3マスクパターンと第4マスクパターンとの間の距離は、他の前記複数のマスクパターンが互いに隣接する距離よりも短く、
前記第2フィンを形成するための前記ハードマスクは、前記第2方向における前記第3マスクパターンの2つの側面のうち、前記第4マスクパターンに近い側面に形成され、
前記第3フィンを形成するための前記ハードマスクは、前記第2方向における前記第4マスクパターンの2つの側面のうち、前記第3マスクパターンに近い側面に形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項
1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1フィンと前記第2フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置をH1とし、前記第2フィンと前記第3フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置をH2とし、前記第3フィンと前記第4フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置をH3とした場合、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H2)の絶対値よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項
1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程は、
(c1)前記第1絶縁膜を研磨する工程、
(c2)前記(c1)工程後、前記第1絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行うことで、前記複数のフィンの前記上部を前記第1絶縁膜から突出させる工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項
3記載の半導体装置の製造方法において、
(d)前記(b)工程と前記(c)工程との間に、前記第1絶縁膜に対して熱処理を行う工程、
を更に有し、
前記(c2)工程時に、前記第1フィンと前記第2フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の膜質は、前記第2フィンと前記第3フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の膜質よりも柔らかく、前記第2フィンと前記第3フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の膜質は、前記第3フィンと前記第4フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の膜質よりも柔らかい、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(a)半導体基板上に、複数のマスクパターンを形成する工程、
(b)前記複数のマスクパターンを覆うように、前記半導体基板上に、前記複数のマスクパターンと異なる材料からなるハードマスク材を形成する工程、
(c)前記ハードマスク材に対して異方性エッチング処理を行うことで、前記複数のマスクパターンの各々の側面に、前記ハードマスク材からなる複数のハードマスクを形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記複数のマスクパターンを除去する工程、
(e)前記(d)工程後、前記複数のハードマスクをマスクとして、前記半導体基板の上面の一部を後退させることで、前記半導体基板の一部であり、後退させた前記半導体基板の前記上面から突出し、且つ、平面視における第1方向に延在する複数のフィンを、前記第1方向と交差する第2方向において互いに隣接するように形成する工程、
(f)前記複数のフィンの間に第1絶縁膜を埋め込む工程、
(g)前記(f)工程後、前記複数のフィンの一部、および、前記複数のフィンの間に埋め込まれた前記第1絶縁膜の一部を選択的に覆うレジストパターンを形成する工程、
(h)前記(g)工程後、前記レジストパターンから露出している前記第1絶縁膜および前記複数のフィンをエッチングする工程、
(i)前記(h)工程後、前記レジストパターンを除去する工程、
(j)前記(i)工程後、前記第1絶縁膜および前記複数のフィンがエッチングされた領域に、第2絶縁膜を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜の各々の上面の位置が、前記複数のフィンの各々の上面の位置よりも低くなるように、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を後退させることで、前記複数のフィンの上部を前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜から突出させる工程、
を有し、
前記複数のフィンは、第1フィン、前記第1フィンに隣接する第2フィン、前記第2フィンに隣接する第3フィンおよび前記第3フィンに隣接する第4フィンを含み、
前記第1フィンと前記第2フィンとの間の距離は、前記第2フィンと前記第3フィンとの間の距離と同じであり、前記第3フィンと前記第4フィンとの間の距離よりも短く、
前記第1フィンと前記第2フィンとの間、および、前記第2フィンと前記第3フィンとの間には、前記第1絶縁膜が形成され、
前記第3フィンと前記第4フィンとの間には、前記第2絶縁膜が形成され、
前記(k)工程後、前記第1フィンと前記第2フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置、および、前記第2フィンと前記第3フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置は、前記第3フィンと前記第4フィンとの間に形成されている前記第2絶縁膜の上面の位置よりも低い、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項
5記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1フィンと前記第2フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置をH1とし、前記第2フィンと前記第3フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置をH2とし、前記第3フィンと前記第4フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の上面の位置をH3とした場合、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H2)の絶対値よりも小さい、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項
5記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程において、エッチングの対象となった前記複数のフィンは残されており、
前記(k)工程後、残された前記複数のフィンの各々の上面は、前記第2絶縁膜によって覆われている、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項
5記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程において、エッチングの対象となった前記複数のフィンが残されないように、前記半導体基板の一部もエッチングされる、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項
5記載の半導体装置の製造方法において、
前記(f)工程は、
(f1)前記複数のフィンの間を埋め込み、且つ、前記複数のハードマスクを覆う前記第1絶縁膜を形成する工程、
(f2)前記(f1)工程後、前記第1絶縁膜に対して熱処理を行う工程、
(f3)前記(f2)工程後、CMP法による研磨処理によって、前記複数のフィンの各々の上面上の前記第1絶縁膜および前記複数のハードマスクを除去する工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項
9記載の半導体装置の製造方法において、
前記(j)工程において、前記第2絶縁膜は、前記複数のフィンの各々の上面上にも形成され、
前記(k)工程は、
(k1)前記第2絶縁膜を研磨する工程、
(k2)前記(k1)工程後、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行うことで、前記複数のフィンの前記上部を前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜から突出させる工程、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項
10記載の半導体装置の製造方法において、
(l)前記(j)工程と前記(k)工程との間に、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜に対して熱処理を行う工程、
を更に有し、
前記(k2)工程時に、前記第1フィンと前記第2フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の膜質、および、前記第2フィンと前記第3フィンとの間に形成されている前記第1絶縁膜の膜質は、前記第3フィンと前記第4フィンとの間に形成されている前記第2絶縁膜の膜質よりも柔らかい、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、フィン型トランジスタを含む半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動作速度の高速化、リーク電流および消費電力の低減、並びに、半導体素子の微細化が可能な電界効果トランジスタとして、フィン構造のトランジスタが知られている。フィン構造のトランジスタ(FinFET:Fin Field Effect Transistor)は、例えば、半導体基板上に突出した半導体層をチャネル領域として有し、この突出した半導体層上を跨ぐように形成されたゲート電極を有する半導体素子である。
【0003】
また、電気的に書込および消去が可能な不揮発性メモリセルとして、フラッシュメモリまたはEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)が広く使用されている。これらの不揮発性メモリセルは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)のゲート電極下に、酸化膜で囲まれたトラップ性絶縁膜を有し、トラップ性絶縁膜での電荷蓄積状態を記憶情報とし、それをトランジスタの閾値として読み出すものである。このトラップ性絶縁膜とは、電荷の蓄積が可能な絶縁膜を言い、一例として、窒化シリコン膜などが挙げられる。このようなトラップ性絶縁膜への電荷の注入、または、トラップ性絶縁膜からの電荷の放出によって、MISFETの閾値をシフトさせることで、このMISFETを不揮発性メモリセルとして使用することが可能となる。このように窒化シリコン膜を利用した不揮発性メモリセルは、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタとも呼ばれる。また、MONOS型トランジスタをメモリトランジスタとして用い、更に制御トランジスタを追加したスプリットゲート型メモリセルが広く用いられている。
【0004】
特許文献1には、MONOS型トランジスタを含むスプリットゲート型メモリセルを、フィン構造で形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィン構造のトランジスタを形成する場合、半導体チップ内には複数のフィンが形成され、互いに隣接するフィンの間には、酸化シリコン膜のような絶縁膜からなる素子分離部が形成される。フィン構造のトランジスタのチャネル幅を決める要因の一つとして、素子分離部の上面から突出したフィンの上部の高さが挙げられる。そのため、半導体チップ内において、素子分離部の上面の位置にばらつきがあると、各フィンに形成されるトランジスタのドレイン電流にばらつきが生じ、フィン構造のトランジスタを有する半導体装置の信頼性が低下することになる。
【0007】
その他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
一実施の形態である半導体装置は、半導体基板の上面上に形成された素子分離部と、半導体基板の一部であり、素子分離部の上面から突出し、平面視における第1方向に延在し、且つ、第1方向と交差する第2方向において互いに隣接するように形成された複数のフィンと、を有する。ここで、複数のフィンは、第1フィン、第1フィンに隣接する第2フィン、第2フィンに隣接する第3フィンおよび第3フィンに隣接する第4フィンを含み、第1フィンと第2フィンとの間の距離は、第3フィンと第4フィンとの間の距離よりも短く、且つ、前記第2フィンと前記第3フィンとの間の距離よりも長い。また、第1フィンと第2フィンとの間に形成されている素子分離部の上面の位置、および、第2フィンと第3フィンとの間に形成されている素子分離部の上面の位置は、第3フィンと第4フィンとの間に形成されている素子分離部の上面の位置よりも低い。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1の半導体装置である半導体チップのレイアウト構成を示す概略図である。
【
図2】実施の形態1の半導体装置を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1の半導体装置を示す平面図である。
【
図4】実施の形態1の半導体装置を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1の半導体装置を示す断面図である。
【
図7】「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。
【
図8】実施の形態1の半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図9】
図8に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図10】
図9に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図11】
図10に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図14】
図13に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図16】
図15に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図17】
図16に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図18】
図17に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図19】
図18に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図20】
図19に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図21】
図20に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図22】
図21に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図23】
図22に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図24】
図23に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図25】
図24に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図26】
図25に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図27】
図26に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図28】変形例1の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図29】
図28に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図30】
図29に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図31】
図30に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図32】変形例2の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図33】
図32に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図34】
図33に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図35】実施の形態2の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図36】
図35に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図37】
図36に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図38】
図37に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図39】
図38に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図40】
図39に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図41】
図40に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図42】
図41に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図43】変形例3の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【
図44】検討例の半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0014】
また、実施の形態で用いる図面においては、図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態における不揮発性メモリセルを有する半導体装置について図面を参照しながら説明する。まず、不揮発性メモリセルを含むシステムが形成された半導体装置のレイアウト構成について説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置である半導体チップCHPのレイアウト構成を示す概略図である。
図1において、半導体チップCHPには、互いに異なる用途で使用される複数の回路ブロックが設けられている。具体的には、半導体チップCHPは、フラッシュメモリ回路ブロックC1、EEPROM回路ブロックC2、CPU(Central Processing Unit)回路ブロックC3、RAM(Random Access Memory)回路ブロックC4、アナログ回路ブロックC5およびI/O(Input/Output)回路ブロックC6を有する。
【0016】
フラッシュメモリ回路ブロックC1およびEEPROM回路ブロックC2は、半導体素子として、記憶情報を電気的に書き換え可能な不揮発性メモリセルなどを有し、例えばMONOS型トランジスタが形成されている領域である。フラッシュメモリ回路ブロックC1およびEEPROM回路ブロックC2は、互いに異なる用途で使用される。
【0017】
例えば、下記のCPU回路ブロックC3で使用されるデータは、読み出し速度の高速性はそれほど要求されないが、書き換え頻度が多いので、書き換え耐性が要求される。このようにデータの格納用にフラッシュメモリ回路ブロックC1の不揮発性メモリセルが使用される。また、CPU回路ブロックC3を動作させるプログラムは、書き換え頻度は少ないが、プログラムの読み出し速度の高速性が要求される。このようなプログラムの格納用にEEPROM回路ブロックC2の不揮発性メモリセルが使用される。
【0018】
CPU回路ブロックC3は、1.5V程度の電圧で駆動するロジック回路を有し、半導体素子として、耐圧が低く、且つ、動作が速い低耐圧MISFETが形成されている領域である。
【0019】
RAM回路ブロックC4は、SRAM(Static RAM)を有し、半導体素子として、CPU回路ブロックC2とほぼ同様の構造の低耐圧MISFETが形成されている領域である。
【0020】
アナログ回路ブロックC5は、アナログ回路を有し、半導体素子として、低耐圧MISFETよりも耐圧が高く、且つ、6V程度の電圧で駆動する高耐圧MISFET、容量素子、抵抗素子およびバイポーラトランジスタなどが形成されている領域である。
【0021】
I/O回路ブロックC6は、入出力回路を有し、半導体素子として、アナログ回路ブロックC5とほぼ同様の高耐圧MISFETが形成されている領域である。
【0022】
<半導体装置の構造>
以下に、
図2~
図5を用いて、本実施の形態の半導体装置の構造について説明する。
図2は、フラッシュメモリ回路ブロックC1およびEEPROM回路ブロックC2で使用される不揮発性メモリセルであるメモリセルMCの斜視図を示している。
図3は、メモリセルMCの平面図を示している。
図3には、メモリセルMCが形成されるメモリセル形成領域MR、メモリセルMCに含まれるゲート電極に電位を給電するためのシャント領域SR、および、メモリセル形成領域MRとシャント領域SRとの間に位置するダミーセル領域DRが示されている。
図4は、
図3のA1-A1線に対応する断面図を示している。
図5は、
図3のA2-A2線およびB-B線に対応する断面図を示している。
【0023】
ダミーセル領域DRは、メモリセル形成領域MRの一部であり、メモリセル形成領域MRの最端部の領域である。本実施の形態では、便宜上、メモリセル形成領域MRとダミーセル領域DRとを区別している。そのため、ダミーセル領域DRは、メモリセル形成領域MRとシャント領域SRとの間に位置する境界領域となっている。
【0024】
ダミーセル領域DRにもメモリセルMCとほぼ同じ素子が形成されるが、このような素子は、実際にはフラッシュメモリ回路ブロックC1およびEEPROM回路ブロックC2において回路動作には寄与しないダミー素子である。このため、以下では、メモリセル形成領域MRのフィンFAに形成されるメモリセルMCの構造について主に説明するが、ダミーセル領域DRのダミーフィンDFAに形成されるダミー素子については、その説明を省略する。
【0025】
シャント領域SRは、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに電位を給電するための領域であり、2つのダミーフィンDFAの間の領域である。図面では、2つのダミーフィンDFAの間の距離は、距離L3として示されている。
【0026】
図2~
図5に示されるように、メモリセル形成領域MRには、X方向に延在する複数のフィンFAが、Y方向に等間隔に配置されている。複数のフィンFAには、ダミーセル領域DRのダミーフィンDFAも含まれる。X方向およびY方向は、半導体基板SBの主面に沿う方向であり、平面視における方向である。X方向はY方向に対して直交している。すなわち、X方向はフィンFAの長辺方向であり、Y方向はフィンFAの短辺方向である。フィンFAは、半導体基板SBの一部であり、半導体基板SBの上面から選択的に突出した突出部(凸部)である。
【0027】
互いに隣接するフィンFAの間の半導体基板SB上には、素子分離部STIが形成されている。素子分離部STIの上面の位置は、フィンFAの上面の位置よりも低い。言い換えれば、フィンFAの一部は、素子分離部STIよりも突出している。本実施の形態において、素子分離部STIの上面よりも高い位置にあるフィンFAを、フィンFAの上部と称し、素子分離部STIの上面よりも低い位置にあるフィンFAを、フィンFAの下部と称することもある。
【0028】
また、各領域内において、素子分離部STIの上面は一定に平坦ではなく、ばらつく場合もあり、例えば2つのフィンFAの間では、フィンFAに近づく程に、素子分離部STIの上面が若干高くなる場合もある。本実施の形態では、ばらつきを含む素子分離部STIの上面の位置の説明を明確にするために、「素子分離部STIの上面の位置」を以下のように定義する。
【0029】
本実施の形態においては、「素子分離部STIの上面の位置」は、2つのフィンFAの間に形成されている素子分離部STIの上面のうち、最も低い箇所とする。また、シャント領域SRにおいては、「素子分離部STIの上面の位置」は、制御ゲート電極CGの直下に位置している素子分離部STIの上面、または、制御ゲート電極CGが形成される予定の素子分離部STIの上面のうち、最も低い箇所とする。また、シャント領域SRにおいては、「素子分離部STIの上面の位置」は、メモリゲート電極MGの直下に位置している素子分離部STIの上面、または、メモリゲート電極MGが形成される予定の素子分離部STIの上面のうち、最も低い箇所としてもよい。
【0030】
フィンFAの上部は、主に、メモリセルMCを形成するための活性領域である。すなわち、半導体基板SBのうち、素子分離部STIによって区画された領域が活性領域である。
【0031】
なお、Y方向における断面視において、フィンFAは、必ずしも直方体である必要はなく、長方形の角部が丸みを帯びていてもよい。また、フィンFAの側面は半導体基板SBの主面に対して垂直でもよいが、垂直に近い傾斜角度を有していてもよい。すなわち、フィンFAの上部は、フィンFAのうち最も高い位置である頂部と、フィンFAのうち頂部と素子分離部STIの上面との中間に位置する側部とを有する形状である。本実施の形態の説明で、フィンFAの上面と表現した場合は、それは上記頂部の周囲の面を意味し、フィンFAの側面と表現した場合は、それは上記側部の周囲の面を意味する。
【0032】
複数のフィンFAの上面上および側面上には、複数の制御ゲート電極CGおよび複数のメモリゲート電極MGが配置されている。複数の制御ゲート電極CGおよび複数のメモリゲート電極MGは、それぞれゲート絶縁膜GF1およびゲート絶縁膜GF2を介して、複数のフィンFAの上部に跨り、且つ、シャント領域SRの素子分離部STI上にも位置するように、Y方向に延在している。
【0033】
X方向において、制御ゲート電極CGの横のフィンFAには、ドレイン領域であるn型の拡散領域(不純物領域)MDが形成され、メモリゲート電極MGの横のフィンFAには、ソース領域であるn型の拡散領域(不純物領域)MSが形成されている。拡散領域MDおよび拡散領域MSは、X方向において、フィンFAのうち制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに覆われた箇所を挟むように形成されている。すなわち、X方向において、1つの制御ゲート電極CGおよび1つのメモリゲート電極MGは、拡散領域MSと拡散領域MDとの間に位置している。
【0034】
また、拡散領域MDは、X方向において隣り合う2つの制御ゲート電極CG同士の間に形成されており、拡散領域MSは、X方向において隣り合う2つのメモリゲート電極MG同士の間に形成されている。このように、X方向に隣接する2つのメモリセルMCは、拡散領域MDまたは拡散領域MSを共有している。拡散領域MDを共有する2つのメモリセルMCは、拡散領域MDを軸としてX方向に線対称となっており、拡散領域MSを共有する2つのメモリセルMCは、拡散領域MSを軸としてX方向に線対称となっている。
【0035】
各メモリセルMC上には、層間絶縁膜IL1が形成されており、層間絶縁膜IL1にはプラグPGが形成されている。メモリセル形成領域MRにおいて、拡散領域MDおよび拡散領域MSは、プラグPGを介して、それぞれビット線およびソース線に電気的に接続されている。また、シャント領域SRにおいて、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、プラグPGを介して、それぞれ個別の電位が供給される配線に電気的に接続されている。
【0036】
以下に、
図4および
図5を用いて、本実施の形態の半導体装置の断面構造を詳細に説明する。
【0037】
フィンFAを含む半導体基板SBには、p型の不純物領域であるウェル領域PWが形成されている。ここでは、フィンFAの全体がウェル領域PWとなっている。
【0038】
素子分離部STIから突出しているフィンFAの上部において、フィンFAの上面上には、ゲート絶縁膜GF1を介して制御ゲート電極CGと、ゲート絶縁膜GF2を介してメモリゲート電極MGとが形成されている。X方向において、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの間には、ゲート絶縁膜GF2が介在しており、制御ゲート電極CGとメモリゲート電極MGとは、ゲート絶縁膜GF2によって電気的に分離されている。また、ゲート絶縁膜GF2は、メモリゲート電極MGの一方の側面および底面を覆うように連続的に形成されている。
【0039】
ゲート絶縁膜GF1は、例えば酸化シリコン膜のような絶縁膜である。ゲート絶縁膜GF2は、電荷の蓄積が可能な電荷蓄積層を有する。電荷蓄積層は、トラップ性絶縁膜であり、例えば窒化シリコン膜である。具体的には、ゲート絶縁膜GF2は、第1酸化シリコン膜、第1酸化シリコン膜上に形成された電荷蓄積層、および、電荷蓄積層上に形成された第2酸化シリコン膜からなる積層膜である。制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGは、例えばn型の多結晶シリコン膜のような導電性膜である。
【0040】
A1-A1断面およびA2-A2断面に示されるように、各フィンFAの上部は、ゲート絶縁膜GF1を介して、制御ゲート電極CGによって覆われており、制御トランジスタのチャネル領域を構成している。なお、図示はしていないが、X方向において制御ゲート電極CGに隣接する各フィンFAの上部は、ゲート絶縁膜GF2を介して、メモリゲート電極MGによって覆われており、メモリトランジスタのチャネル領域を構成している。
【0041】
メモリセルMCのソース領域側のメモリゲート電極MGの側面、および、メモリセルMCのドレイン領域側の制御ゲート電極CGの側面は、サイドウォールスペーサSWによって覆われている。サイドウォールスペーサSWは、例えば窒化シリコン膜からなる単層の絶縁膜、または、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜が形成された積層の絶縁膜からなる。
【0042】
制御ゲート電極CG側のフィンFAには、ドレイン領域であるn型の拡散領域MDが形成され、メモリゲート電極MG側のフィンFAには、ソース領域であるn型の拡散領域MSが形成されている。なお、ダミーフィンDFAには、拡散領域MDおよび拡散領域MSが形成されていなくてもよい。
【0043】
拡散領域MD上および拡散領域MS上には、プラグPGとの接触抵抗を低減させる目的で、シリサイド層SI1が形成されている。シリサイド層SI1は、例えばニッケルシリサイド(NiSi)、ニッケルプラチナシリサイド(NiPtSi)、または、コバルトシリサイド(CoSi2)からなる。
【0044】
このようなシリサイド層SI1は、メモリゲート電極MG上にも形成されている。また、制御ゲート電極CG上には、例えば窒化シリコン膜のような絶縁膜IF4が形成されているが、シャント領域SRにおいて、絶縁膜IF4の一部は除去され、制御ゲート電極CGの一部が露出している。この露出した制御ゲート電極CG上には、上記シリサイド層SI1が形成されている。
【0045】
各フィンFAに形成されたメモリセルMCおよび素子分離部STIを覆うように、例えば窒化シリコン膜のような絶縁膜からなるエッチングストッパ膜ESが形成されている。エッチングストッパ膜ES上には、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されている。
【0046】
層間絶縁膜IL1中およびエッチングストッパ膜ES中には、コンタクトホールが形成されており、このコンタクトホール内にはプラグPGが形成されている。プラグPGは、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、または、これらの積層膜からなるバリアメタル膜と、タングステン膜のような導電性膜とからなる。
【0047】
図3~
図5に示されるように、ビット線に接続されるプラグPGは、メモリセル形成領域MRにおいて、フィンFA上に形成されているが、ダミーセル領域DRにおいて、ダミーフィンDFA上には形成されていない。また、ダミーフィンDFAには、ソース線に電気的に接続されるプラグPGが形成されている場合もあるが、ダミーフィンDFAをソース線に接続することは必須ではなく、そのようなプラグPGは形成されていなくともよい。このため、ダミーフィンDFAにはメモリセルMCとほぼ同じ構造を有するダミー素子が形成されるが、このダミー素子は、メモリセルMCとしては機能しない。
【0048】
また、ダミーセル領域DRおよびメモリセル形成領域MRにおいて、制御ゲート電極CG上およびメモリゲート電極MG上にプラグPGは形成されていないが、シャント領域SRにおいて、制御ゲート電極CG上およびメモリゲート電極MG上にプラグPGが形成されている。
【0049】
メモリセル形成領域MRにおいては、メモリセルMCの微細化に伴って、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの各々のゲート長が短くなっている。そのため、メモリセル形成領域MRにおいて制御ゲート電極CG上およびメモリゲート電極MG上にプラグPGを形成しようとすると、プラグPGの合わせずれが発生し易くなるので、例えばメモリゲート電極MGとフィンFAとが短絡するような恐れがある。このため、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに接続されるプラグPGは、メモリセルMCが形成されていない領域で形成されることが好ましい。
【0050】
すなわち、シャント領域SRは、主に、制御ゲート電極CG上およびメモリゲート電極MGに対する給電領域であり、素子分離部STIの上面から突出するフィンFAが形成されていない領域である。従って、シャント領域SRにおいて、制御ゲート電極CG上およびメモリゲート電極MGは、素子分離部STI上に形成されている。
【0051】
<不揮発性メモリの動作について>
次に、不揮発性メモリの動作例について、
図6および
図7を参照して説明する。
【0052】
図6は、不揮発性メモリのメモリセルMCの等価回路図である。
図7は、「書込」、「消去」および「読出」時における選択メモリセルMCの各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。
図7の表には、「書込」、「消去」および「読出」時のそれぞれにおいて、
図6に示すメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmg、ソース領域である拡散領域MSに印加する電圧Vs、制御ゲート電極CGに印加する電圧Vcg、ドレイン領域である拡散領域MDに印加する電圧Vd、および、ウェル領域PWに印加する電圧Vbが記載されている。
【0053】
なお、
図7の表に示したものは電圧の印加条件の好適な一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。また、本実施の形態では、メモリゲート電極MG下のゲート絶縁膜GF2中の電荷蓄積層への電子の注入を「書込」と定義し、電荷蓄積層へのホールの注入を「消去」と定義する。
【0054】
書込み方式は、ソースサイド注入(SSI:Source Side Injection)方式を用いることができる。例えば
図7の「書込」の欄に示されるような電圧を、書込みを行う選択メモリセルMCの各部位に印加し、選択メモリセルMCの電荷蓄積層に電子を注入することで書込みを行う。
【0055】
この際、ホットエレクトロンは、フィンFAのうちメモリゲート電極MGおよび制御ゲート電極CGに覆われた箇所(チャネル領域)で発生し、メモリゲート電極MGの下の電荷蓄積層にホットエレクトロンが注入される。注入されたホットエレクトロンは、電荷蓄積層中のトラップ準位に捕獲され、その結果、メモリゲート電極MGを有するメモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する。すなわち、メモリトランジスタは書込み状態となる。
【0056】
消去方法は、バンド間トンネル現象(BTBT:Band-To-Band Tunneling)方式を用いることができる。すなわち、BTBTにより発生したホールを電荷蓄積層に注入することにより消去を行う。例えば
図7の「消去」の欄に示されるような電圧を、消去を行う選択メモリセルMCの各部位に印加し、BTBT現象によりホールを発生させ、電界加速することで選択メモリセルMCの電荷蓄積層中にホールを注入することで、メモリトランジスタのしきい値電圧を低下させる。すなわち、メモリトランジスタは消去状態となる。
【0057】
読出し時には、例えば
図7の「読出」の欄に示されるような電圧を、読出しを行う選択メモリセルMCの各部位に印加する。読出し時のメモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを、書込み状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧と消去状態におけるメモリトランジスタのしきい値電圧との間の値にすることで、書込み状態と消去状態とを判別することができる。
【0058】
<半導体装置の主な特徴>
以下に、本実施の形態の半導体装置の主な特徴について説明する。
【0059】
図4および
図5に示されるように、本実施の形態では、複数のフィンFAのうちダミーフィンDFAに最も近いフィンFAとダミーフィンDFAとの距離L2が、メモリセル形成領域MRにおいて互いに隣接する複数のフィンFAの間の距離L1よりも小さい。そして、互いに隣接する2つのダミーフィンDFAの間の距離L3は、距離L1および距離L2よりも大きい。
【0060】
これにより、メモリセル形成領域MRにおける素子分離部STIの上面の位置が、シャント領域SRにおける素子分離部STIの上面の位置よりも低くなる。具体的には、互いに隣接する複数のフィンFAの間に形成されている素子分離部STIの上面の位置、および、ダミーフィンDFAに最も近いフィンFAとダミーフィンDFAとの間に形成されている素子分離部STIの上面の位置が、シャント領域SRに形成された素子分離部STIの上面の位置、すなわち2つのダミーフィンDFAの間に形成された素子分離部STIの上面の位置よりも低い。
【0061】
また、互いに隣接する複数のフィンFAの間に形成されている素子分離部STIの上面の位置をH1とし、フィンFAとダミーフィンDFAとの間に形成されている素子分離部STIの上面の位置をH2とし、2つのダミーフィンDFAの間に形成された素子分離部STIの上面の位置をH3とした場合、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H2)の絶対値よりも小さい。言い換えれば、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H1)の絶対値の2分の1より小さいことが好ましく、(H3-H1)の絶対値の4分の1より小さいことがより好ましい。また、(H2-H1)の絶対値はゼロであることが最も好ましい。
【0062】
例えば、距離L1が90nm程度であり、距離L2が50nm程度であり、フィンFAの上部の高さ(フィンFAが素子分離部STIの上面から突出している高さ)が50nm程度である場合、(H3-H1)の値は、20nm程度である。
【0063】
このように、ダミーフィンDFAに隣接するフィンFAの両側において、素子分離部STIの上面の位置が十分に低くなっているため、ダミーフィンDFAに隣接するフィンFAに形成されるメモリセルMCのチャネル幅は、例えばメモリセル形成領域MRの中央部に形成されるメモリセルMCのチャネル幅と、ほぼ同等となっている。このため、メモリセル形成領域MRの全体で、各メモリセルMCのドレイン電流がばらつくような不具合を抑制することができる。
【0064】
本願発明者は、製造工程中において、フィンFAとダミーフィンDFAとの間の素子分離部STIの上面が高くなる問題があることを見出した。
図44は、本願発明者が検討した検討例の半導体装置の製造工程中の断面図を示している。なお、後述のように、
図44は、本実施の形態の
図17に対応する製造工程である。
【0065】
図44に示されるように、検討例では、ダミーフィンDFAを含む各フィンFAの各々の間隔(距離L1)が等しくなっている。本願発明者の検討によると、シャント領域SRのようにフィンFAが形成されていない領域では、素子分離部STIの面積が大きいため、各フィンFA間のような素子分離部STIの面積が小さい領域と比較して、ドライエッチングの進行が遅くなる傾向がある。言い換えれば、互いに隣接するフィンFAの間の素子分離部STIは、ドライエッチングの進行が早く、素子分離部STIの後退量が大きい。
【0066】
しかし、面積が大きい領域だけでなく、面積が大きい領域に隣接する領域においても、ドライエッチングの進行が遅くなる傾向があることが判った。従って、
図44のように、ダミーフィンDFAと、ダミーフィンDFAに隣接するフィンFAとの間では、ドライエッチングの進行が遅くなり、素子分離部STIの後退量が小さくなる。すなわち、位置H2の高さが高くなる傾向があり、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H2)の絶対値よりも大きくなる場合もある。このため、ダミーフィンDFAに隣接するフィンFAに形成されるメモリセルMCにおいて、チャネル幅が狭くなり、ドレイン電流が減少する問題がある。
【0067】
これに対して、本実施の形態では、上述のように、フィンFAとダミーフィンDFAとの距離L2を、他のフィンFA間の距離L1よりも小さくしている。このため、フィンFAとダミーフィンDFAとの間において、エッチングの進行を最も早めることができる。その結果、フィンFAとダミーフィンDFAとの間に形成されている素子分離部STIの上面の位置H2が、他のフィンFA間に形成されている素子分離部STIの上面の位置H1と、ほぼ同じとなる。従って、ダミーフィンDFAに隣接するフィンFAに形成されるメモリセルMCにおいて、ドレイン電流が減少する問題を抑制することができ、メモリセルMC全体のドレイン電流のばらつきを抑制することができるので、半導体装置の信頼性が向上する。
【0068】
このような本願の主な特徴については、以降で説明する各製造工程のうち該当する製造工程においても詳細に述べる。
【0069】
なお、上述のように、ダミーセル領域DRにおいては、ダミーフィンDFAに形成されるメモリセルMCをダミー素子として扱っている。これは、シャント領域SR側のダミーフィンDFAの側面に形成される素子分離部STIの上面の位置が高くなるため、ダミーフィンDFAに形成される素子のチャネル幅が小さくなってしまうからである。
【0070】
<半導体装置の製造方法について>
以下に、
図8~
図27を用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。まず、
図8~
図17では、A2-A2断面のみを示し、フィンFAの製造工程を説明する。その後、
図18~
図27では、A2-A2断面およびB-B断面の製造工程を説明する。
【0071】
まず、
図8に示されるように、半導体基板SBを用意し、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜IF1、絶縁膜IF2および導電性膜CFを順番に形成する。半導体基板SBは、例えば1~10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる。絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコン膜からなり、例えば熱酸化法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。絶縁膜IF1の厚さは、2~10nm程度である。絶縁膜IF2は、例えば窒化シリコン膜からなり、例えばCVD法により形成される。絶縁膜IF2の厚さは、20~100nm程度である。導電性膜CFは、例えばシリコン膜からなり、例えばCVD法により形成される。導電性膜CFの厚さは、例えば20~200nmである。
【0072】
図9は、マスクパターンMPの形成工程を示している。
【0073】
まず、導電性膜CF上に、導電性膜CFの一部を選択的に覆うレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、導電性膜CFを加工し、複数のマスクパターンMPを形成する。ここで、ダミーセル領域DRに近いマスクパターンMPの長さを、他のマスクパターンMPの長さよりも短くしておく。その後、アッシング処理などによって、レジストパターンRP1を除去する。
【0074】
図10は、ハードマスクHMの形成工程を示している。
【0075】
まず、複数のマスクパターンMPを覆うように、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜のようなハードマスク材を形成する。ハードマスク材の材料は、マスクパターンMP(導電性膜CF)の材料および半導体基板SBの材料とは、異なる材料とする。このハードマスク材の厚さは、10~40nm程度である。次に、このハードマスク材に対して、異方性エッチング処理を行うことで、複数のマスクパターンMPの側面に、複数のハードマスクHMを形成する。複数のハードマスクHMは、互いに隣り合うマスクパターンMPの間を完全に埋め込んでおらず、絶縁膜IF2が複数のハードマスクHMから露出している。
【0076】
また、短い長さのマスクパターンMPの一方の側面には、後にダミーフィンDFAを形成するためのハードマスクHMが形成され、短い長さのマスクパターンMPの他方の側面には、後にダミーフィンDFAに最も近いフィンFAを形成するためのハードマスクHMが形成される。
【0077】
図11は、マスクパターンMPの除去工程を示している。
【0078】
ウェットエッチング処理によって、複数のマスクパターンMPを除去する。これにより、絶縁膜IF2上に、複数のハードマスクHMが残される。この状態で、各ハードマスク間の間隔は距離L1となっている。また、後にダミーフィンDFAを形成するためのハードマスクHMと、後にダミーフィンDFAに最も近いフィンFAを形成するためのハードマスクHMとの間の距離L2は、距離L1よりも短くなっている。
【0079】
図12は、複数のハードマスクHMのうちの一部のハードマスクHMの除去工程を示している。
【0080】
まず、メモリセル形成領域MRおよびダミーセル領域DRに形成されているハードマスクHMを覆い、シャント領域SRに形成されているハードマスクHMを開口するレジストパターンRP2を形成する。次に、レジストパターンRP2をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、シャント領域SRのハードマスクHMを除去する。なお、ここでは図示はしていないが、メモリセル形成領域MRにおいても、レジストパターンRP2に覆われていない箇所が存在し、その箇所に形成されていたハードマスクHMも除去される。例えば、
図10の状態では、紙面の奥行方向(X方向)において、マスクパターンMPの端部にもハードマスクHMが形成されているが、そのようなハードマスクHMも、
図12の工程で除去される。その後、アッシング処理などによって、レジストパターンRP2を除去する。
【0081】
図13は、フィンFAおよびダミーフィンDFAの形成工程を示している。
【0082】
ハードマスクHMをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、ハードマスクHMに覆われていない絶縁膜IF2および絶縁膜IF1を順次除去し、半導体基板SBの上面の一部を後退させる。これにより、半導体基板SBの一部であり、後退させた半導体基板SBの上面から突出する複数のフィンFAを形成する。なお、複数のフィンFAには、ダミーセル領域DRのダミーフィンDFAも含まれている。
【0083】
ここでは、ハードマスクHMから露出している半導体基板SBを100~250nm掘り下げているので、掘り下げられた半導体基板SBの上面からフィンFAの上面までの高さは、100~250nmとなる。
【0084】
【0085】
まず、各フィンFAの間を埋め込み、フィンFAの上面上に形成されているハードマスクHMを覆うように、半導体基板SBの上に、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜としてO3-TEOSのような絶縁膜IF3を形成する。
【0086】
次に、絶縁膜IF3に対して、デンシファイアニール(焼き締め用の熱処理)を行い、絶縁膜IF3の膜質を硬化させる。デンシファイアニールは、例えば窒素のような不活性ガス雰囲気中で行われ、例えば900~1100℃の温度で行われる。ここで、メモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3の上面の位置は、シャント領域SRの絶縁膜IF3の上面の位置よりも高くなっている。このため、メモリセル形成領域MRでは、フィンFAの上面上の絶縁膜IF3は硬化しているが、各フィンFAの間の絶縁膜IF3には、熱が十分に伝達されておらず、各フィンFAの間の絶縁膜IF3は、硬化が不十分な箇所を含んでいる。従って、メモリセル形成領域MRとシャント領域SRとで、各々の絶縁膜IF3の膜質に差が生じている。すなわち、メモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3は、シャント領域SRの絶縁膜IF3よりも柔らかく、ドライエッチング処理によってエッチングされ易くなっている。
【0087】
図15は、絶縁膜IF3およびハードマスクHMに対する研磨工程を示している。
【0088】
CMP法による研磨処理によって、絶縁膜IF3の上面を平坦化する。この時、絶縁膜IF2が研磨処理に対するストッパー膜となっており、絶縁膜IF3の上面だけでなく、ハードマスクHMも研磨され、ハードマスクHMは除去される。
【0089】
【0090】
ウェットエッチング処理によって、絶縁膜IF2を除去する。この後、
図14で説明したようなデンシファイアニールを、再度行ってもよい。ここでのデンシファイアニールでは、メモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3と、シャント領域SRの絶縁膜IF3とは同じように硬化されるが、
図14の工程で既にメモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3が柔らかくなっている分、
図16の工程後も、メモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3は、シャント領域SRの絶縁膜IF3よりも柔らかくなっている。
【0091】
図17は、素子分離部STIの形成工程を示している。
【0092】
絶縁膜IF3の上面の位置が、複数のフィンFAの各々の上面の位置よりも低くなるように、ドライエッチングのような異方性エッチング処理によって、絶縁膜IF3を後退させる。これにより、複数のフィンFAの上部が、後退させた絶縁膜IF3の上面から突出し、複数のフィンFAの間に埋め込まれた絶縁膜IF3が、素子分離部STIとなる。また、異方性エッチング処理によって、フィンFAの上面に形成されていた絶縁膜IF1も除去される。
【0093】
上述のように、シャント領域SRのようにフィンFAが形成されていない領域では、絶縁膜IF3の面積が大きいため、各フィンFA間のように絶縁膜IF3の面積が小さい領域と比較して、ドライエッチングの進行が遅くなる傾向がある。すなわち、ドライエッチング処理では、隣接する複数のフィンFAの間の間隔に応じて、ドライエッチングの進行が異なる傾向がある。そして、ダミーフィンDFAとフィンFAとの間のように、面積が大きい領域に隣接する領域においては、面積が大きい領域のドライエッチングの影響を受けて、ドライエッチングの進行が遅くなる傾向がある。
【0094】
また、上記のデンシファイアニールによって、メモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3は、シャント領域SRの絶縁膜IF3よりも柔らかい膜質を有する。そのため、メモリセル形成領域MRにおいてドライエッチングの進行が早まり、シャント領域SRにおいてドライエッチングの進行が遅くなる傾向がある。そして、ダミーフィンDFAとフィンFAとの間のように、シャント領域SRに隣接する領域においては、シャント領域SRの絶縁膜IF3の上面が低い分、上記のデンシファイアニールによる熱が伝達しやすいため、ダミーフィンDFAとフィンFAとの間の絶縁膜IF3は、他のフィンFAの間の絶縁膜IF3よりも硬い膜質を有し、ドライエッチングの進行が遅くなる傾向がある。
【0095】
従って、
図44に示される検討例では、ダミーフィンDFAとフィンFAとの間では、ドライエッチングの進行が遅くなり、絶縁膜IF3(素子分離部STI)の後退量が小さくなる。すなわち、位置H2の高さが高くなる傾向があり、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H2)の絶対値よりも大きくなる傾向がある。このため、ダミーフィンDFAに隣接するフィンFAに形成されるメモリセルMCにおいて、チャネル幅が狭くなり、ドレイン電流が減少する問題があるった。
【0096】
本実施の形態では、複数のフィンFAのうちダミーフィンDFAに最も近いフィンFAとダミーフィンDFAとの間の距離L2は、互いに隣接する2つのフィンFAの間の距離L1よりも短い。このため、ダミーフィンDFAとフィンFAとの間の絶縁膜IF3の膜質が硬かったとしても、フィンFAとダミーフィンDFAとの間において、エッチングの進行を早めることができる。その結果、フィンFAとダミーフィンDFAとの間に形成されている絶縁膜IF3(素子分離部STI)の上面の位置H2が、他のフィンFA間に形成されている絶縁膜IF3(素子分離部STI)の上面の位置H1と、ほぼ同じとなる。本実施の形態では、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H1)の絶対値の2分の1より小さいことが好ましく、(H3-H1)の絶対値の4分の1より小さいことがより好ましい。また、(H2-H1)の絶対値はゼロであることが最も好ましい。
【0097】
これにより、ダミーフィンDFAに隣接するフィンFAに形成されるメモリセルMCにおいて、ドレイン電流が減少する問題を抑制することができ、メモリセルMC全体のドレイン電流のばらつきを抑制することができるので、半導体装置の信頼性が向上する。
【0098】
図17に続く製造工程を
図18~
図27を用いて説明する。
図18は、ウェル領域PW、ゲート絶縁膜GF1、導電性膜FGおよび絶縁膜IF4の形成工程を示している。
【0099】
まず、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法を用いて、半導体基板SBの主面に不純物を導入することにより、フィンFAを含む半導体基板SBにp型のウェル領域PWを形成する。ウェル領域PWを形成するための不純物は、例えばボロン(B)または二フッ化ボロン(BF2)である。ウェル領域PWは、フィンFAの全体および半導体基板SBの一部に広がって形成される。
【0100】
次に、フィンFAの上面上および側面上に、例えば熱酸化法によって、例えば酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GF1を形成する。ゲート絶縁膜GF1の厚さは、2~4nm程度である。次に、ゲート絶縁膜GF1を介してフィンFAの上面および側面を覆うように、例えばCVD法を用いて、例えばn型の多結晶シリコン膜からなる導電性膜FGを堆積する。導電性膜FGの厚さは、100~200nm程度である。次に、例えばCMP法を用いて、導電性膜FGの上面を平坦化する。この研磨工程が終了した時点で、A-A断面のフィンFAの上面および側面は、ゲート絶縁膜GF1を介して導電性膜FGによって覆われている。次に、例えばCVD法を用いて、導電性膜FG上に、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF4を形成する。絶縁膜IF4の厚さは、50~100nm程度である。
【0101】
図19は、制御ゲート電極CGの形成工程を示している。
【0102】
まず、フォトリソグラフィ法および異方性エッチング処理を用いて、絶縁膜IF4を選択的にパターニングする。次に、パターニングされた絶縁膜IF4をマスクとして、導電性膜FGに異方性エッチング処理を行うことで、制御ゲート電極CGを形成する。すなわち、導電性膜FGがパターニングされて制御ゲート電極CGが形成される。次に、制御ゲート電極CGから露出しているゲート絶縁膜GF1を除去し、制御ゲート電極CG下にゲート絶縁膜GF1が残される。なお、制御ゲート電極CGは、複数のフィンFAに跨るように、Y方向に延在している。
【0103】
図20は、絶縁膜IF4の一部の除去工程を示している。
【0104】
フォトリソグラフィ法および異方性エッチング処理を用いて、絶縁膜IF4の一部を選択的に除去する。絶縁膜IF4から露出した制御ゲート電極CG上には、後の工程でシリサイド層SI1が形成される。
【0105】
図21は、ゲート絶縁膜GF2の形成工程を示している。
【0106】
まず、制御ゲート電極CGおよび絶縁膜IF4を覆うように、フィンFA上に、例えば、熱酸化法またはCVD法によって、例えば第1酸化シリコン膜を形成する。第1酸化シリコン膜の厚さは、4~6nm程度である。次に、酸化シリコン膜上に、例えば、CVD法またはALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて、電荷蓄積層を形成する。電荷蓄積層は、電荷の保持が可能なトラップ準位を有する絶縁膜であり、例えば窒化シリコン膜であり、6~10nm程度の厚さを有する。次に、電荷蓄積層上に、例えば、CVD法またはALD法を用いて、第2酸化シリコン膜を形成する。第2酸化シリコン膜の厚さは、6~8nm程度である。このような第1酸化シリコン膜、電荷蓄積層および第2酸化シリコン膜を有する積層膜が、ゲート絶縁膜GF2となる。
【0107】
なお、図示はしていないが、ゲート絶縁膜GF2は、Y方向において、複数のフィンFAの各々の上面上および側面上、並びに、複数のフィンFAの間の素子分離部STIの上面上に形成される。
【0108】
図22は、メモリゲート電極MGの形成工程を示している。
【0109】
まず、ゲート絶縁膜GF2上に、例えばCVD法を用いて、メモリゲート電極MG用の導電性膜として、例えばn型の多結晶シリコン膜を堆積する。その後、この導電性膜に対して異方性エッチング処理を行うことで、制御ゲート電極CGの両側面上にゲート絶縁膜GF2を介して、サイドウォール状のメモリゲート電極MGが形成される。また、メモリゲート電極MGは、シャント領域SRにおいても制御ゲート電極CGの側面上に形成されている。
【0110】
図23は、制御ゲート電極CGの両側面に形成されたメモリゲート電極MGのうち、一方を除去する工程を示している。
【0111】
まず、制御ゲート電極CGの一方の側面に形成されているメモリゲート電極MGを覆うレジストパターンRP3を形成する。次に、このレジストパターンRP3をマスクとして、異方性エッチング処理およびウェットエッチング処理を行うことで、レジストパターンRP3に覆われていないメモリゲート電極MGを除去する。これにより、メモリセルMCのソース領域側にのみメモリゲート電極MGが残される。メモリゲート電極MGは、制御ゲート電極CGと同様に、複数のフィンFAに跨るように、Y方向に延在している。また、シャント領域SRも不要なメモリゲート電極MGが除去され、メモリゲート電極MGの平面形状は、
図3に示されるような形状となる。その後、アッシング処理などによって、レジストパターンRP3を除去する。
【0112】
図24は、ゲート絶縁膜GF2の除去工程を示している。
【0113】
異方性エッチング処理およびウェットエッチング処理を用いて、メモリゲート電極MGから露出しているゲート絶縁膜GF2を除去する。具体的には、フィンFAの上面上および側面上、制御ゲート電極CGの上面上および側面上、並びに、絶縁膜IF4の上面上および側面上に形成されていたゲート絶縁膜GF2が除去される。これにより、ゲート絶縁膜GF2は、メモリゲート電極MGと制御ゲート電極CGとの間、および、メモリゲート電極MGとフィンFAとの間にのみ残される。
【0114】
図25は、サイドウォールスペーサSW、拡散領域MSおよび拡散領域MDの形成工程を示している。
【0115】
まず、メモリセルMCを覆うように、例えばCVD法を用いて、例えば窒化シリコンからなる絶縁膜を形成する。次に、この絶縁膜に対して異方性エッチング処理を行うことで、制御ゲート電極CGの側面上およびメモリゲート電極MGの側面上に、サイドウォールスペーサSWが形成される。なお、サイドウォールスペーサSWは、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜であってもよい。すなわち、酸化シリコン膜を形成し、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜を形成し、その後、異方性エッチング処理を行うことで、これらの積層膜からなるサイドウォールスペーサSWを形成してもよい。
【0116】
次に、フォトリソグラフィ法およびイオン注入法によって、例えばヒ素(As)またはリン(P)をフィンFA内に導入することにより、フィンFA内にn型の拡散領域MSおよびn型の拡散領域MDを形成する。その後、半導体基板SBに対して熱処理を行うことで、拡散領域MSおよび拡散領域MDに含まれる不純物が活性化し、拡散領域MSがメモリゲート電極MG下まで拡散し、拡散領域MDが制御ゲート電極CG下まで拡散する。
【0117】
図26は、シリサイド層SI1の形成工程を示している。
【0118】
サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、メモリゲート電極MG上、拡散領域MD上、拡散領域MS上、および、シャント領域SRの制御ゲート電極CG上に、低抵抗のシリサイド層SI1を形成することができる。
【0119】
シリサイド層SI1は、具体的には次のようにして形成することができる。まず、半導体基板SBの主面全体に、CVD法によって、シリサイド層SI1の形成防止用の絶縁膜として、例えば酸化シリコン膜を形成する。次に、この絶縁膜を選択的にパターニングして、シリサイド層SI1を形成する領域のみ開口する。次に、半導体基板SBの主面全体を覆うように、シリサイド層SI1形成用の金属膜を形成する。この金属膜は、例えばコバルト、ニッケルまたはニッケルプラチナ合金からなる。次に、半導体基板SBに300~400℃程度の第1熱処理を施し、その後、600~700℃程度の第2熱処理を施すことによって、制御ゲート電極CG、メモリゲート電極MG、拡散領域MDおよび拡散領域MSの各々に含まれる材料と、金属膜とを反応させる。これにより、制御ゲート電極CG上、メモリゲート電極MG上、拡散領域MD上および拡散領域MS上に、コバルトシリサイド(CoSi2)、ニッケルシリサイド(NiSi)またはニッケルプラチナシリサイド(NiPtSi)からなるシリサイド層SI1が形成される。その後、未反応の金属膜を除去し、続いて、シリサイド層SI1の形成防止用の絶縁膜を除去する。
【0120】
図27は、エッチングストッパ膜ESおよび層間絶縁膜IL1の形成工程を示している。
【0121】
まず、メモリセルMCを覆うように、例えばCVD法を用いて、例えば窒化シリコン膜のような絶縁膜からなるエッチングストッパ膜ESを形成する。次に、エッチングストッパ膜ES上に、例えばCVD法を用いて、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1を形成する。次に、CMP法などを用いて層間絶縁膜IL1を研磨し、層間絶縁膜IL1の上面を平坦化する。
【0122】
図27の製造工程に続いて、層間絶縁膜IL1中にプラグPGを形成することで、
図5に示される構造を得られる。
【0123】
まず、層間絶縁膜IL1およびエッチングストッパ膜ESにコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内に、プラグPGを埋め込む。プラグPGは、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、または、これらの積層膜からなるバリアメタル膜と、タングステンのような導電性膜とからなる。その後、プラグPGに接続する1層目の配線を形成し、更にその上層に、デュアルダマシン(Dual Damascene)法などによって、2層目以降の配線を形成するが、ここではそれらの説明および図示は省略する。
【0124】
以上のようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0125】
(変形例1)
以下に、
図28~
図31を用いて、変形例1の半導体装置の製造方法を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点を主に説明する。
【0126】
実施の形態1では、複数のマスクパターンMPのうちの1つを、短い長さのマスクパターンMPとすることで、短い長さのマスクパターンMPの両側面に形成されたハードマスクHMの間隔が、短い距離L2になるように設定していた。すなわち、マスクパターンMPの長さによって、距離L2を調整していた。これに対して変形例1では、互いに隣接する2つのマスクパターンMPの間隔によって、距離L2を調整している。
【0127】
図28に示されるように、まず、ダミーセル領域DR付近の2つのマスクパターンMPの間の距離L5が、他の複数のマスクパターンMPが互いに隣接する距離L4よりも短くなるように、複数のマスクパターンMPを形成する。次に、実施の形態1の
図10の工程と同様の手法によって、複数のマスクパターンMPの側面に、複数のハードマスクHMを形成する。
【0128】
ここで、距離L5で示される領域には、ダミーフィンDFAを形成するためのハードマスクHMと、ダミーフィンDFAに最も近いフィンFAを形成するためのハードマスクHMとが形成される。
【0129】
次に、
図29に示されるように、実施の形態1の
図11と同様の手法によって、複数のマスクパターンMPを除去する。これにより、ダミーフィンDFAを形成するためのハードマスクHMと、ダミーフィンDFAに最も近いフィンFAを形成するためのハードマスクHMとの間隔を距離L2に設定することができ、距離L2を、他の複数のハードマスクHMが互いに隣接する距離L1よりも短くすることができる。
【0130】
その後、
図30に示されるように、メモリセル形成領域MRおよびダミーセル領域DRに形成されているハードマスクHMを覆い、シャント領域SRに形成されているハードマスクHMを開口するレジストパターンRP4を形成する。次に、レジストパターンRP4をマスクとしてドライエッチング処理を行うことで、シャント領域SRのハードマスクHMを除去する。その後、アッシング処理などによって、レジストパターンRP4を除去する。
【0131】
次に、
図31に示されるように、ハードマスクHMをマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、ハードマスクHMに覆われていない絶縁膜IF2および絶縁膜IF1を順次除去し、半導体基板SBの上面の一部を後退させる。これにより、半導体基板SBの一部であり、後退させた半導体基板SBの上面から突出する複数のフィンFAを形成する。
【0132】
その後の製造工程は、実施の形態1の
図16以降の製造工程と同様である。
【0133】
(変形例2)
以下に、
図32~
図34を用いて、変形例2の半導体装置およびその製造方法を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点を主に説明する。
【0134】
実施の形態1では、制御ゲート電極CG上には絶縁膜IF4が形成されており、シャント領域SRにおいて、絶縁膜IF4の一部を開口し、制御ゲート電極CGが露出した箇所にシリサイド層SI1を形成していた。すなわち、制御ゲート電極CGとプラグPGとが接続する箇所にのみ低抵抗のシリサイド層SI1が形成されていた。これに対して変形例2では、制御ゲート電極CGの上面全体に、低抵抗のシリサイド層SI2が形成されている。
【0135】
図32は、実施の形態1の
図27に続く製造工程を示している。
図32に示されるように、制御ゲート電極CG上およびメモリゲート電極MG上に形成されている層間絶縁膜IL1、エッチングストッパ膜ES、絶縁膜IF4およびサイドウォールスペーサSWなどを、CMP法によって研磨する。この時、制御ゲート電極CGの一部およびメモリゲート電極MGの一部も研磨され、制御ゲート電極CGの上面およびメモリゲート電極MGの上面が露出する。
【0136】
次に、
図33に示されるように、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの各々の上面上に、シリサイド層SI2を形成する。シリサイド層SI2を構成する材料は、シリサイド層SI1と同様な材料を用いることができ、例えばコバルトシリサイド(CoSi
2)、ニッケルシリサイド(NiSi)またはニッケルプラチナシリサイド(NiPtSi)からなる。また、シリサイド層SI2の形成工程には、シリサイド層SI1と同様の手法を用いることができる。
【0137】
次に、
図34に示されるように、シリサイド層SI2上および層間絶縁膜IL1上に、例えばCVD法を用いて、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL2を形成する。次に、CMP法などを用いて層間絶縁膜IL2を研磨し、層間絶縁膜IL2の上面を平坦化する。次に、層間絶縁膜IL2、層間絶縁膜IL1およびエッチングストッパ膜ESにコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内に、プラグPGを埋め込む。
【0138】
このように、変形例2では、実施の形態1よりも製造工程が増加し、製造コストが増加する。しかしながら、変形例2によれば、制御ゲート電極CGの上面全体に低抵抗のシリサイド層SI2を形成することができるので、制御ゲート電極CGの抵抗を低減することができる。
【0139】
また、変形例2ではシリサイド層SI2を用いたが、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを構成する導電性膜を、金属膜に置き換えてもよい。例えば、
図32の工程後に、制御ゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを構成する多結晶シリコン膜を選択的に除去し、これらを除去した領域に金属膜を埋め込むことで、金属膜をゲート電極とすることができる。このような材料としては、例えば、窒化タンタル膜、チタンアルミニウム膜、窒化チタン膜、タングステン膜、若しくは、アルミニウム膜からなる単層の金属膜、または、これらの膜を適宜積層させた積層の金属膜を適用してもよい。
【0140】
なお、変形例2で説明した技術を、変形例1の半導体装置に適用してもよい。
【0141】
(実施の形態2)
以下に、
図35~
図42を用いて、実施の形態2の半導体装置およびその製造方法を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点を主に説明する。
【0142】
実施の形態1では、フィンFAとダミーフィンDFAとの距離L2を、他のフィンFA間の距離L1よりも小さくしていた。これに対して実施の形態2では、ダミーフィンDFAを含む複数のフィンFAの間の間隔を等間隔(距離L1)とし、実施の形態1とは異なる方法で、各フィンFAの間に素子分離部STIを形成している。
【0143】
図35は、複数のハードマスクHMを互いに等間隔(距離L1)となるように形成し、これらのハードマスクHMをマスクとして、複数のフィンFAを形成した状態を示している。実施の形態2では、実施の形態1と異なり、メモリセル形成領域MRおよびダミーセル領域DRだけでなく、シャント領域SRにも複数のハードマスクHMを形成している。このため、ダミーセル領域DRにはダミーフィンDFA1が形成され、シャント領域SRには複数のダミーフィンDFA2が形成されている。
【0144】
【0145】
まず、ダミーフィンDFA1およびダミーフィンDFA2を含む複数のフィンFAの間を埋め込み、各フィンFAの上面上に形成されているハードマスクHMを覆うように、半導体基板SBの上に、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜のような絶縁膜IF3を形成する。次に、絶縁膜IF3に対して、実施の形態1と同様のデンシファイアニールを行い、絶縁膜IF3の膜質を硬化させる。実施の形態2では、各フィンFAが互いに等間隔に形成されているため、デンシファイアニール後、絶縁膜IF3の膜質は、いずれの箇所でもほぼ同じとなる。しかし、実施の形態1と同様に、絶縁膜IF3の上面付近は硬化されるが、各フィンFAの間の絶縁膜IF3には熱が十分に伝達され難いため、各フィンFAの間に埋め込まれた絶縁膜IF3の膜質は、比較的柔らかくなっている。
【0146】
図37は、絶縁膜IF3およびハードマスクHMに対する研磨工程を示している。
【0147】
絶縁膜IF3に対してCMP法による研磨処理を行い、絶縁膜IF3の上面を平坦化する。この時、絶縁膜IF2が研磨処理に対するストッパー膜となっており、ハードマスクHMは除去される。
【0148】
図38は、シャント領域SRの絶縁膜IF3およびダミーフィンDFA2の除去工程を示している。
【0149】
まず、メモリセル形成領域MRおよびダミーセル領域DRを覆い、且つ、シャント領域SRを開口するレジストパターンRP5を形成する。次に、レジストパターンRP5をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、レジストパターンRP5から露出している絶縁膜IF3およびダミーフィンDFA2をエッチングする。この時、絶縁膜IF3およびダミーフィンDFA2は、完全に除去されず、これらの一部はシャント領域SRに残される。すなわち、シャント領域SRには、メモリセル形成領域MRに形成されている複数のフィンFA、および、ダミーセル領域DRに形成されているダミーフィンDFA1よりも高さの低い複数のダミーフィンDFA2が形成されている。その後、アッシング処理などによって、レジストパターンRP5を除去する。
【0150】
【0151】
まず、シャント領域SRの絶縁膜IF3およびダミーフィンDFA2がエッチングされた領域を埋め込むように、メモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3上に、例えばCVD法によって、例えば酸化シリコン膜のような絶縁膜IF5を形成する。次に、絶縁膜IF5に対して、デンシファイアニールを行い、絶縁膜IF5の膜質を硬化させる。
【0152】
ここで、メモリセル形成領域MRでは、フィンFAの上面上の絶縁膜IF5は硬化しているが、各フィンFAの間の絶縁膜IF3には、熱が十分に伝達されておらず、各フィンFAの間の絶縁膜IF3は、硬化が不十分な箇所を含んでいる。従って、メモリセル形成領域MRの絶縁膜IF3およびシャント領域SRの絶縁膜IF3は、シャント領域SRの絶縁膜IF5よりも柔らかく、ドライエッチング処理によってエッチングされ易くなっている。
【0153】
図40は、絶縁膜IF5に対する研磨工程を示している。
【0154】
絶縁膜IF5に対してCMP法による研磨処理を行い、絶縁膜IF5の上面を平坦化する。この時、絶縁膜IF2が研磨処理に対するストッパー膜となっている。これにより、メモリセル形成領域MRおよびダミーセル領域DRでは、絶縁膜IF3の上面およびハードマスクHMの上面が露出し、シャント領域SRでは、残された絶縁膜IF3およびダミーフィンDFA2の各々の上面を覆うように、絶縁膜IF5が形成される。
【0155】
図41は、ハードマスクHMの除去工程を示している。
【0156】
メモリセル形成領域MRおよびダミーセル領域DRにおいて露出しているハードマスクHMを、ウェットエッチング処理によって除去する。
【0157】
図42は、素子分離部STIの形成工程を示している。
【0158】
絶縁膜IF3および絶縁膜IF5の各々の上面の位置が、複数のフィンFAの各々の上面の位置よりも低くなるように、異方性エッチング処理によって、絶縁膜IF3および絶縁膜IF5を後退させる。これにより、複数のフィンFAの上部が、後退させた絶縁膜IF3および絶縁膜IF5の各々の上面から突出される。このように、複数のフィンFAの間に埋め込まれた素子分離部STIが形成される。また、異方性エッチング処理によって、フィンFAの上面に形成されていた絶縁膜IF1も除去される。
【0159】
その後の製造工程は、実施の形態1の
図18以降の製造工程と同様である。
【0160】
上述のように、シャント領域SRのようにフィンFAが形成されていない領域では、絶縁膜IF5の面積が大きいため、各フィンFA間のように絶縁膜IF3の面積が小さい領域と比較して、ドライエッチングの進行が遅くなる傾向がある。すなわち、ドライエッチング処理では、隣接する複数のフィンFAの間の間隔に応じて、ドライエッチングの進行が異なる傾向がある。そして、ダミーフィンDFAとフィンFAとの間のように、面積が大きい領域に隣接する領域においては、面積が大きい領域のドライエッチングの影響を受けて、ドライエッチングの進行が遅くなる傾向がある。
【0161】
実施の形態2では、
図37の工程で、等間隔に配置された複数のフィンFAの間に絶縁膜IF3を形成しているため、これらの絶縁膜IF3の各々の膜質がほぼ同じである。そして、これらの絶縁膜IF3の各々の膜質は、シャント領域SRに形成された絶縁膜IF5の膜質よりも柔らかくなっている。すなわち、フィンFAとダミーフィンDFA1との間に形成されている絶縁膜IF3では、他のフィンFAの間に形成されている絶縁膜IF3と同様に、ドライエッチングの進行が早くなる。
【0162】
このため、
図42の工程で、絶縁膜IF3および絶縁膜IF5を後退させた際に、互いに隣接する複数のフィンFAの間に形成されている素子分離部STIの上面の位置、および、フィンFAとダミーフィンDFA1との間に形成されている素子分離部STIの上面の位置を、シャント領域SRに形成された素子分離部STIの上面の位置よりも低くすることができる。従って、メモリセル形成領域MRの全体で、各メモリセルMCのドレイン電流がばらつくような不具合を抑制することができる。
【0163】
また、実施の形態1と同様に、互いに隣接する複数のフィンFAの間に形成されている素子分離部STIの上面の位置をH1とし、フィンFAとダミーフィンDFA1との間に形成されている素子分離部STIの上面の位置をH2とし、シャント領域SRに形成された素子分離部STIの上面の位置をH3とした場合、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H2)の絶対値よりも小さい。そして、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H1)の絶対値の2分の1より小さいことが好ましく、(H3-H1)の絶対値の4分の1より小さいことがより好ましい。また、(H2-H1)の絶対値はゼロであることが最も好ましい。
【0164】
(変形例3)
以下に、
図43を用いて、変形例3の半導体装置の製造方法を説明する。なお、以下の説明では、実施の形態2との相違点を主に説明する。
【0165】
実施の形態2では、シャント領域SRにおいて、
図38の工程でエッチングの対象となったダミーフィンDFA2の一部を残していた。これに対して、変形例3では、シャント領域SRにおいて、エッチングの対象となったダミーフィンDFA2を残さないようにしている。
【0166】
図43は、実施の形態2の
図38に対応する製造工程である。レジストパターンRP5をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、シャント領域SRに形成されている絶縁膜IF3およびダミーフィンDFA2をエッチングする。この時、ダミーフィンDFA2が完全に除去されるように、半導体基板SBの一部もエッチングしている。このため、素子分離部STI形成後には、シャント領域SRにおける素子分離部STIの下の半導体基板SBの上面の位置は、メモリセル形成領域MRにおける素子分離部STIの下の半導体基板SBの上面の位置よりも低くなっている。
【0167】
その後の製造工程は、実施の形態2の
図40以降と同様である。
【0168】
このような変形例3の製造方法においても、実施の形態2とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0169】
また、実施の形態2では、変形例3と比較して、エッチング処理の時間が短い分、製造工程を簡略化できるというメリットがある。しかし、変形例3のように、ダミーフィンDFA2を完全に除去し、素子分離部STIの深さを深くすることで、シャント領域SRを介して隣接するメモリセルMCの間、または、フラッシュメモリ回路ブロックC1と他の回路ブロックなどとの間の耐圧を向上させることができる。
【0170】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0171】
例えば、上記実施の形態では、素子分離部STIの面積が広い領域として、シャント領域SRを例示したが、素子分離部STIの面積が広い領域は、例えばフラッシュメモリ回路ブロックC1またはEEPROM回路ブロックC2の外周部、すなわち複数のメモリセルMCからなるメモリアレイの端部であってもよい。言い換えれば、素子分離部STIの面積が広い領域は、フラッシュメモリ回路ブロックC1またはEEPROM回路ブロックC2の最外周に形成されているフィンFAと、他の回路ブロック(C3~C6)の最外周に形成されているフィンFAとの間の領域であってもよい。
【0172】
また、ゲート絶縁膜GF1を構成する材料として、酸化シリコン膜に代えて、高誘電率膜(High-k膜)を適用してもよい。高誘電率膜は、例えば酸化金属膜であり、酸化シリコンよりも誘電率が高い絶縁材料からなる。このような高誘電率膜として、例えば酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化アルミニウム膜および酸化タンタル膜を適用することができる。
【0173】
また、ゲート絶縁膜GF2に含まれる電荷蓄積層を構成する材料として、窒化シリコン膜に代えて、例えばハフニウムシリケート膜(HfSiO膜)のような酸化金属膜を適用してもよい。
【0174】
その他、上記実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
[付記1]
メモリセル形成領域、シャント領域、および、前記メモリセル形成領域と前記シャント領域との間に位置するダミーセル領域を有する半導体装置であって、
半導体基板の上面上に形成された素子分離部と、
前記半導体基板の一部であり、前記素子分離部の上面から突出し、平面視における第1方向に延在し、且つ、前記第1方向と交差する第2方向において互いに隣接するように形成された複数のフィンと、
を有し、
前記複数のフィンは、前記メモリセル形成領域に形成された複数の第1フィン、および、前記ダミーセル領域に形成された第2フィンを有し、
前記第2方向において、前記複数のフィンは、互いに等間隔になるように形成され、
互いに隣接する前記複数の第1フィンの間に形成されている前記素子分離部の前記上面の位置をH1とし、前記第2フィンに最も近い前記第1フィンと前記第2フィンとの間に形成されている前記素子分離部の前記上面の位置をH2とし、前記シャント領域に形成されている前記素子分離部の前記上面の位置をH3とした場合、(H2-H1)の絶対値は、(H3-H2)の絶対値よりも小さい、半導体装置。
[付記2]
付記1記載の半導体装置において、
電荷蓄積層を含む第1ゲート絶縁膜を介して前記複数のフィンに跨り、且つ、前記シャント領域において前記素子分離部上に位置するように、前記第2方向に延在する第1ゲート電極を更に有する、半導体装置。
[付記3]
付記2記載の半導体装置において、
前記記複数の第1フィンには、それぞれ不揮発性メモリセルが形成され、
前記第2フィンには、前記不揮発性メモリセルとして機能しないダミー素子が形成されている、半導体装置。
[付記4]
付記3記載の半導体装置において、
前記シャント領域には、前記素子分離部から突出した前記複数のフィンが形成されていない、半導体装置。
[付記5]
付記4記載の半導体装置において、
前記シャント領域の前記第1ゲート電極上に形成されたプラグを更に有し、
前記メモリセル形成領域および前記ダミーセル領域の前記第1ゲート電極上には、前記プラグが形成されていない、半導体装置。
[付記6]
付記1記載の半導体装置において、
前記シャント領域には、前記メモリセル形成領域に形成されている前記複数のフィンよりも高さの低い複数の第3フィンが形成され、
前記複数の第3フィンの各々の上面は、前記素子分離部によって覆われている、半導体装置。
[付記7]
付記1記載の半導体装置において、
前記シャント領域における前記素子分離部の下の前記半導体基板の上面の位置は、前記メモリセル形成領域における前記素子分離部の下の前記半導体基板の上面の位置よりも低い、半導体装置。
[付記8]
付記1記載の半導体装置において、
前記素子分離部は、酸化シリコン膜を含む、半導体装置。
【符号の説明】
【0175】
C1~C6 回路
CF 導電性膜
CG 制御ゲート電極
CHP 半導体チップ
DFA、DFA1、DFA2 ダミーフィン
DR ダミーセル領域
ES エッチングストッパ膜
FA フィン
FG 導電性膜
GF1、GF2 ゲート絶縁膜
HM ハードマスク
IF1~IF5 絶縁膜
IL1、IL2 層間絶縁膜
L1~L5 距離
MC メモリセル
MCR メモリセル形成領域
MD 拡散領域(不純物領域)
MG メモリゲート電極
MP マスクパターン
MS 拡散領域(不純物領域)
PG プラグ
RP1~RP5 レジストパターン
PW ウェル領域
SB 半導体基板
SI1、SI2 シリサイド層
SR シャント領域
STI 素子分離部
SW サイドウォールスペーサ