(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】プレス嵌めデバイス
(51)【国際特許分類】
F16L 33/20 20060101AFI20220318BHJP
F17D 5/06 20060101ALI20220318BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20220318BHJP
F16L 13/14 20060101ALI20220318BHJP
G01M 3/24 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
F16L33/20
F17D5/06
F16L55/00 D
F16L13/14
G01M3/24 A
(21)【出願番号】P 2018567845
(86)(22)【出願日】2017-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2017066140
(87)【国際公開番号】W WO2018002227
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-04-08
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518012711
【氏名又は名称】ワフィン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バスティアーン・フォス
(72)【発明者】
【氏名】ヘリット・ヤン・ネイマン
(72)【発明者】
【氏名】ルールト・ヨハン・ベーレント・ファン・レーウェン
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ヘルヴィン・デ・フロート
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト・エッケル
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-285143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0308572(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012111337(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2151616(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0291988(US,A1)
【文献】独国実用新案第20221504(DE,U1)
【文献】独国特許出願公開第10327503(DE,A1)
【文献】独国実用新案第29515269(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0025045(US,A1)
【文献】特開2016-016008(JP,A)
【文献】特表2012-530232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/20
F17D 5/06
F16L 55/00
F16L 13/14
G01M 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパイプセクションとの流体密連結部を確立するためのプレス嵌めデバイスであって、
a)前記少なくとも1つのパイプセクションとの連結部が確立され、前記連結部がプレス嵌めされる前であるプレス嵌め前条件において、および/または
b)前記連結部がプレス嵌めされたプレス嵌め条件において、前記連結部が流体密でない場合に、
気体状流体が前記プレス嵌めデバイスに沿ってまたは前記プレス嵌めデバイスを通り流れるときに音を発生するように構成される、プレス嵌めデバイス。
【請求項2】
前記プレス嵌めデバイスに沿ってまたは前記プレス嵌めデバイスを通り流れる前記気体状流体中における密度変動の形態の音を発生させるように構成される、請求項1に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項3】
前記音は、ホイッスル音、カタカタ音、きしり音、羽音、ヒス音、重低音、および亀裂音の中の少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項4】
前記音は、16Hz~20kHzの、好ましくは30Hz~19kHzの範囲内の少なくとも1つの周波数を含み、好ましくは前記少なくとも1つの周波数からなる、請求項1から3のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項5】
前記プレス嵌めデバイスは、流体振動部材を備え、前記流体振動部材は、前記プレス嵌めデバイスを通り流れる気体状流体が振動を引き起こされるように前記流体振動部材に対して入射するように位置決めされる、請求項1から4のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項6】
前記プレス嵌めデバイスは、流体ガイドチャネルを備え、前記流体振動部材は、前記流体ガイドチャネルを通り流れる流体が振動を引き起こされるように前記流体振動部材に対して入射するように位置決めされる、請求項5に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項7】
前記流体振動部材は、前記流体により衝突された場合に、前記流体の流れを少なくとも2つの流れへと分離するように構成される、請求項5または6に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項8】
前記流体振動部材は、エッジを備え、前記エッジは、前記流体により衝突された場合に前記流体の流れを少なくとも2つの流れに分離するように位置決めされる、請求項5から7のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項9】
前記流体振動部材は、前記流体が案内されるガイド表面を備え、前記ガイド表面は、前記流体の流れを少なくとも2つの流れへと分離するように構成されたエッジを有する穴を備える、請求項5から8のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項10】
前記流体振動部材は、剛性材料から作製される、請求項5から9のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項11】
前記プレス嵌めデバイスに沿ってまたは前記プレス嵌めデバイスを通り流れる気体状流体により振動させられるように構成された機械振動部材を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項12】
少なくとも1つのスリーブ部材をさらに備え、
前記機械振動部材は、前記プレス嵌めデバイスとの連結部を確立するために位置決めされた場合に前記スリーブ部材とパイプセクションとの間の間隙内へと少なくとも部分的に延在するように構成された表面またはロッド形状要素である、請求項11に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項13】
前記機械振動部材は、軸方向端部の一方が前記スリーブ部材に装着されるように構成された別個のリング形状要素である、請求項12に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項14】
前記機械振動部材は流れ妨害要素を備える、請求項11から13のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項15】
少なくとも1つのパイプセクションに嵌着されることとなるリング部材と、スリーブ部材であって、前記プレス嵌め前条件にあって前記スリーブ部材と前記パイプセクションとの間に流体通路が形成されるように前記パイプセクションに少なくとも部分的に挿入されるためのスリーブ部材とを備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項16】
パイプセクションに少なくとも部分的に挿入されるためのスリーブ部材をさらに備える、請求項1から15のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項17】
少なくとも1つのパイプセクションに嵌着されるように構成され、プレス嵌め工具により圧力をかけられるように構成されたキャップ要素をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項18】
前記プレス嵌めデバイスは、発生音の音量上昇を促進するように構成される、請求項1から17のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項19】
前記連結部がプレス嵌め前条件にあるかまたはプレス嵌め条件にあるが流体密ではない場合に、流体が漏れる傾向となる、前記プレス嵌めデバイスの漏れの発生しやすい部分が、発生音の音量上昇を促進する形状を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項20】
前記プレス嵌めデバイスの前記漏れの発生しやすい部分は、フルートの少なくとも1つの部分のように形状設定され流体通過時にホイッスル音を発するように構成されたフルート部材、ならびに/または、流体を通過させることにより動かされることによってカタカタ音、きしり音、羽音、ヒス音、重低音、および/もしくは亀裂音を発するように構成された可撓性部材を備える、請求項19に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項21】
前記プレス嵌めデバイスにより発生した前記音は、好ましくは少なくとも0.5メートル、好ましくは少なくとも1メートル、さらにより好ましくは少なくとも2メートルの距離を前記プレス嵌めデバイスからおいたヒトの耳に対して可聴なものである、請求項1から20のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項22】
c)前記少なくとも1つのパイプセクションとの連結部が確立され、前記連結部がプレス嵌めされる前であるプレス嵌め前条件において、および/または
d)前記連結部がプレス嵌めされたプレス嵌め条件において、前記連結部が流体密でない場合に、
前記プレス嵌めデバイスは、気体状流体が前記プレス嵌めデバイスに沿ってまたは前記プレス嵌めデバイスを通り流れるときに音を能動的に発生するように構成される、請求項1から21のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項23】
前記音は、背景雑音よりも大きく、前記音は、好ましくは、前記プレス嵌めデバイスから1メートルの距離をおいて測定された背景雑音の音圧よりも少なくとも10dB(A)だけ高い音圧を有する、請求項1から22のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項24】
前記音は、前記プレス嵌めデバイスから1メートルの距離をおいておよび0.2バールの空気圧において測定された場合に、70dB(A)以上の、好ましくは73dB(A)以上の音圧を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイス。
【請求項25】
少なくとも1つのパイプセクションとの流体密連結部を確立するための、請求項1から24のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイスの使用。
【請求項26】
前記プレス嵌めデバイスと少なくとも1つのパイプセクションとの間の連結部が流体密であるか否かを判定するための、請求項1から24のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイスの使用。
【請求項27】
少なくとも1つのパイプセクションと請求項1から24のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイスとを有するプレス嵌め前連結部またはプレス嵌め連結部中における漏れを特定するための方法であって、
前記プレス嵌めデバイスを使用して少なくとも1つのパイプセクションとの連結部を確立するステップと、
前記連結部に気体状流体流を通して流すステップと、
前記プレス嵌めデバイスにより音が発生されるか否かを検知するステップと
を含む、方法。
【請求項28】
請求項1から24のいずれか一項に記載のプレス嵌めデバイスを使用して少なくとも1つのパイプセクションとの間にそれぞれが確立される複数の連結部をパイプシステム内に確立するステップと、
前記連結部の中の少なくとも1つに対してプレス嵌め作業を実施するステップと、
前記パイプシステムに気体状流体流を通して流すステップと、
前記プレス嵌めデバイスの中のいずれかにより音が発生されるか否かを検知するステップと、
前記音を発生する前記プレス嵌めデバイスを特定するステップと
を含む、請求項27に記載のプレス嵌め前連結部またはプレス嵌め連結部中における漏れを特定するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのパイプセクションとの流体密連結部を確立するためのプレス嵌めデバイスと、連結部における漏れを特定するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
プレス嵌め連結部は、例えば給湯システムもしくは給水システム、加熱/冷却システム、またはガスシステムなどのパイプシステムにおいて流体密連結部を確立するためなどに利用される。プレス嵌め連結部は、2つのパイプセクションを流体密連結するためと、雄ねじ連結ピースもしくは雌ねじ連結ピースまたは別の要素にはんだ付けされることとなる銅連結ピースなどの別の構成要素にパイプセクションを連結するためとの両方のために利用される。
【0003】
連結部を形成するためには、プレス嵌めデバイスおよび任意の必要なさらなる構成要素が、2つのパイプセクションおよび(場合によっては)連結されることとなるさらなる構成要素と接触状態におかれる。これにより、プレス嵌め前条件におかれた連結部が確立される。次いで、プレス工具を使用して、流体密になるべきプレス嵌め連結部の連結を行う。
【0004】
しかし、パイプシステム中の連結部において、流体密の欠陥およびしたがって漏れが様々な理由により生じる場合がある。多数のプレス嵌め連結部がパイプシステム中に形成される場合に、作業者は、これらの連結部の中の1つ(または複数)におけるプレス嵌め作業の実施を単純に忘れてしまう場合がある。あるいは、人的エラーによりまたは例えば砂などの異物の存在により、プレス嵌め作業が十分に実施されない場合がある。
【0005】
したがって、それぞれのパイプシステムが使用中にある場合に連結部からの流体(例えば水)漏れの発生を回避するために、漏れのあるプレス嵌め連結部(例えば作業者がプレス嵌め作業の実施を忘れた場合の連結部など)を特定することが可能であることが望ましい。この特定を実施するための既知の方法は、パイプシステムを通り流れている流体の圧力のモニタリングに基づいたものである。1つまたは複数の(十分であると考えられるプレス嵌めがなされた)連結部がパイプシステム中に形成されている場合に、水、油非含有空気、または圧縮空気などの流体が、パイプシステム中に送り込まれる。次いで、このパイプシステムが封止され、所定期間後に圧力が測定される。パイプシステム内の流体の圧力の降下がこの所定期間後にあるしきい値を超過する場合には、これは、パイプシステム中に少なくとも1つの漏れのある連結部が存在することを示唆する。
【0006】
しかし、記載されている圧力モニタリング検査の実施には、かなりの時間量が必要となる。さらに、パイプシステム中において漏れが特定されている場合でも、漏れのあるプレス嵌め連結部を特定するためのさらなる労力が必要となる。これは、特に多数の連結部を有するパイプシステムを検査する場合には不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の欠点の中の少なくとも1つに対処して連結部中の漏れを特定するためのプレス嵌めデバイスおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0009】
本開示の一態様は、少なくとも1つのパイプセクション(パイプのパーツ/セクション)との流体密連結部を確立するためのプレス嵌めデバイスに関する。このプレス嵌めデバイスは、a)少なくとも1つのパイプセクションとの連結部が確立され、連結部がプレス嵌めされる前であるプレス嵌め前条件において、および/またはb)連結部がプレス嵌めされたプレス嵌め条件において、連結部が流体密でない場合に、気体状流体がプレス嵌めデバイスに沿ってまたはプレス嵌めデバイスを通り流れるときに音を発生するように構成される。
【0010】
本開示は、プレス嵌め作業が実施されなかった状況において(すなわち連結部がプレス嵌め前条件に依然としてある場合において)(上述の条件a))気体状流体がデバイスを通り流れるときにのみ音を発生するプレス嵌めデバイスの実施形態と、プレス嵌め連結部が流体密でない状況(上述の状況b))においてのみ音が発せられる実施形態とを包含する。さらに、本開示は、音が両状況(上述の状況a)および状況b)の両方)において発せられる実施形態も包含する。
【0011】
好ましくは、プレス嵌めデバイスは、3つのパイプセクション間に(例えばプレス嵌めデバイスがT字コネクタもしくはその一部であり得る)、あるいはパイプセクションと例えば雄ねじ連結ピースもしくは雌ねじ連結ピースまたは別の要素にはんだ付けされることとなる銅連結パイプなどの連結ピースとの間に、2つのパイプセクションを有する流体密連結部を確立するように構成される。
【0012】
プレス嵌めデバイスは、音が連結部の外部へと運ばれ得るための外方開口を備え得る。これは、外部からの音の容易な検知を助長する。
【0013】
このプレス嵌めデバイスを用いて確立された連結部は、流体密に関して効率的に検査することが可能である。検査の実施のためには、気体状流体が連結部を通り流され得る。プレス嵌めデバイスが音を発生する場合には、連結部は流体密ではなく、すなわち漏れのある連結部となる。この検査は、連結部が過誤によりプレス嵌めされずプレス嵌め前条件のままである状況と、プレス嵌め作業が実施されたにもかかわらず依然としてプレス嵌め連結部に漏れがある状況との両方に対して効果を有する。プレス嵌め連結部が音を発生するか否かをモニタリングすることにより、多数のプレス嵌め連結部を有するパイプシステム内においても漏れのあるプレス嵌め連結部を非常に効率的に特定することが可能となる。
【0014】
さらに、有利には、パイプシステムを通り流れる水、油非含有空気、または圧縮空気などの流体の圧力をモニタリングする方法が、音の発生に基づく本開示によるプレス嵌めデバイスを使用した、(例えば作業者がプレス嵌め作業の実施を忘れたことによって)漏れのある連結部の検知と組み合わされてもよい。初めに、流体がパイプシステム内に導入され、次いでシステムが封止され、圧力が所定期間後に測定される。パイプシステム内における流体の圧力の降下が、この所定期間後に特定のしきい値を超過する場合には、これは、パイプシステム内に少なくとも1つの漏れのある連結部が存在することを示唆する。その後、漏れのある連結部がある場合には、作業者は、発生音を聴き取ろうとすることによって漏れのある連結部がどれであるかを見つけることが可能となる。
【0015】
プレス嵌めデバイスは、単一の要素からなるものであってもよい。代替的には、プレス嵌めデバイスは、2つまたは複数の別個のパーツを備えてもよい。これらのパーツのそれぞれが、前記パーツの中の少なくとも別の1つに取外し可能にまたは永久的に連結されてもよい。
【0016】
プレス嵌めデバイスは、プレス嵌め作業の実施時に圧力を受けるための例えばキャップ部材などのさらなる構成要素と組み合わされてもよい。代替的には、プレス嵌めデバイスは、さらなる要素を必要とすることなく、パイプセクションと別のパイプセクションなどのさらなる構成要素とのプレス嵌め連結部を確立するために必要なすべてを備えてもよい。しかし、好ましくは、プレス嵌めデバイスは、流体密連結されることとなるパイプセクションと別のパイプセクションまたは連結要素などのさらなる構成要素とを備えない。したがって、好ましくは、プレス嵌め連結部は、プレス嵌めデバイスと、パイプセクションと、さらなる構成要素と、任意にはプレス嵌めデバイスに組み合わされることとなるさらなる要素との間において確立される。さらに、プレス嵌めデバイスは、径方向プレス嵌めデバイスまたは軸方向プレス嵌めデバイスであってもよい。後者の場合には、プレス嵌めデバイスが例えばパイプセクション上に配置され、パイプセクションが膨張させられ、プレス嵌めデバイスが膨張セクション上の定位置へと配置されてもよく、次いでその位置においてプレス嵌め作業が実施され得る。
【0017】
好ましくは、プレス嵌めデバイスは、プレス嵌めデバイスに沿ってまたはプレス嵌めデバイスを通り流れる気体状流体中における密度変動の形態の音を発生させるように構成される。
【0018】
いくつかの好ましい実施形態によれば、音は、ホイッスル音(whistling sound)を含み、またはさらに好ましくは、ホイッスル音からなる。これに加えてまたはこの代替として、音は、カタカタ音(rattling sound)、きしり音(squeaking sound)、羽音(humming sound)、ヒス音(hissing sound)、重低音(rumbling sound)、および/または亀裂音(crackling sound)を含んでもよい(またはからなってもよい)。ホイッスル音、カタカタ音、きしり音、羽音、ヒス音、重低音、および亀裂音を含む音の中の任意の1つ(またはその組合せ)から、上述した音の中の別の音(またはその組合せ)へと切り替えるために、このプレス嵌めデバイスの実施形態を適合化させる方法は、当業者には既知であろう。
【0019】
より一般的には、音を、主としてまたはさらには限定的にヒトの可聴範囲内に留めることが好ましい。好ましくは、この音は、16Hz~20kHzの範囲内の、およびさらに好ましくは30Hz~19kHzの範囲内の1つまたは複数の周波数を含む。したがって、ヒトは、特定の連結部が音を発生しているか否かを、およびしたがって特定の連結部が漏れを発生している/流体密ではないのか否かを簡単に聴き分けることが可能となる。
【0020】
一実施形態によれば、プレス嵌めデバイスは、プレス嵌めデバイスを通り流れる(気体状)流体が流体振動部材に対して入射することにより流体が振動を引き起こされるように位置決めされた流体振動部材を備える。
【0021】
好ましくは、流体振動部材は、流体によってそれ自体が振動可能であるものではなく、また少なくとも殆ど振動可能なものではない。したがって、振動は、流体振動部材に対する衝突によって(気体状)流体に対して限定的にまたは主として印加され、例えば流体振動部材自体の振動によるものではない。これにより、流体振動部材はそれ自体が振動されるように可撓性である必要がなくなるため、流体振動部材の非常に安定的かつ剛性の構造が可能となる。さらに、流体振動部材は、別個の構成要素であるか、またはプレス嵌めデバイスの他の構成要素に一体的に連結されるものであることが可能である。
【0022】
好ましくは、プレス嵌めデバイスは、流体ガイドチャネルを備え、流体振動部材は、流体ガイドチャネルを通り流れる流体が振動を引き起こされるように流体振動部材に対して入射するように位置決めされる。これは、流体ガイドチャネルが流体振動部材へと少なくとも流体流の一部を配向するため、有利である。これは、流体中における振動の発生を促進し、ひいては音が容易に検知され得るような音の発生を促進する。
【0023】
いくつかの好ましい実施形態によれば、流体振動部材は、(気体状)流体により衝突された場合に(気体状)流体流を少なくとも2つの流れへと分離するように構成される。少なくとも2つの流れへとこのように分離することにより、流体中において振動が効率的に発生される。
【0024】
好ましくは、流体振動部材は、エッジを備え、このエッジは、流体が該エッジに衝突した場合に流体流を少なくとも2つの流れに分離するように位置決めされる。好ましくは、このエッジは、先鋭状であり、ラビウムとして機能する(フルートにおけるのと同様に)。好ましくはラビウムとして形成されたエッジは、エッジの上方および下方において渦を発生させ、したがってラビウムに衝突する(気体状)流体中における圧力変動の発生を効率的に促進する。
【0025】
好ましくは、流体振動部材は、流体が案内されるガイド表面を備え、前記ガイド表面は、(気体状)流体流を少なくとも2つの流れへと分離するように構成されたエッジを有する穴を備える。好ましくは、エッジは、流体流を効率的に分離するように先鋭状である。
【0026】
好ましくは、流体振動部材は、1つまたは複数の剛性材料から作製される。したがって、流体振動部材は、流体流によりそれ自体が変位可能/振動可能となるものではない(または殆ど変位可能/振動可能なものではない)。換言すれば、流体振動部材は、プレス嵌めデバイスの少なくとも別の一部に対して剛体的である/固定される。
【0027】
いくつかの好ましい実施形態によれば、プレス嵌めデバイスは、プレス嵌めデバイスに沿ってまたはプレス嵌めデバイスを通り流れる気体状流体により振動されるように構成された機械振動部材を備える。これは、機械振動部材の振動が次いでプレス嵌めデバイスに沿ってまたはプレス嵌めデバイスを通り流れる気体状流体の振動を発生させるため、有利である。好ましくは、振動されることとなる機械振動部材の構成は、1つまたは複数の可撓性材料を含むおよびしたがってそれ自体が可撓性である機械振動部材によって、ならびにプレス嵌めデバイスに沿ってまたはプレス嵌めデバイスを通り流れる気体状流体が振動を発生させるように機械振動部材に対して衝突するようにこの機械振動部材を位置決めすることによって実現される。
【0028】
いくつかの好ましい実施形態によれば、流体振動部材は、プレス嵌めデバイスに連結された場合にパイプセクションの長手方向(すなわち軸方向)に延在するように配向される。別の好ましい実施形態によれば、流体振動部材は、プレス嵌めデバイスに連結された場合にパイプセクションの長手方向に対して垂直な方向に、例えばパイプセクションに関する径方向にまたは接線方向などに延在するように配向される。これは、機械振動部材がプレス嵌めデバイスを伴った連結部を通る流体流により容易に振動されるため、特に有利である。この段落内における特定の方向への延在(長手方向への延在など)に関する言及は、各方向に対して15°以下(好ましくは10°およびさらにより好ましくは5°)の角度を形成する方向への延在などのいくつかの逸脱をさらに包含するように理解されるべきである。
【0029】
一実施形態によれば、プレス嵌めデバイスは、パイプセクションに少なくとも部分的に挿入されるように構成された少なくとも1つのスリーブ部材を備える。好ましくは、機械振動部材は、スリーブ部材およびパイプセクションが連結部を形成するように位置決めされた場合に、すなわちプレス嵌め前条件が確立された場合に、スリーブ部材とパイプセクションとの間の間隙内へと少なくとも部分的に延在するように構成された、表面形状要素またはロッド形状要素を備える。好ましくは、機械振動部材は、ストロー形状部分またはワイヤ形状部分を備える。ストロー形状部分またはワイヤ形状部分は、全体的にもしくは部分的に直線状であってもよく、または全体的にもしくは部分的に湾曲形状を有してもよい。
【0030】
好ましくは、機械振動部材は、可撓性材料から少なくとも部分的に作製される。好ましくは、可撓性材料は合成材料である。この材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ナイロン、またはこれらの材料の中の2つ以上の任意の組合せを含んでもよい(または好ましくはそれからなるものであってもよい)。これらの材料の中から任意の1つを選択することは、機械振動部材が表面形状要素またはロッド形状要素である場合には特に有利となる。
【0031】
プレス嵌め前条件においては、気体状流体は、スリーブ部材とパイプセクションとの間の間隙を通り流れ、機械振動部材を振動させてもよい。さらに、これにより、流体振動(圧力変動)が、およびしたがって音の発生がもたらされる。しかし、プレス嵌め作業が流体密を確保するように十分に実施されると、この間隙は(少なくとも部分的に)閉じられる。これは、例えばシーリングリング(例えばOリング)が配置されるゾーンにおいては有効となり得る。この場合には、機械振動部材は、プレス嵌め条件においてはもはや振動されない。しかし、連結部がプレス嵌め条件において流体密でない場合には、流体は依然として機械振動部材に到達し振動させ得る。これは、さらに音の発生をもたらす。
【0032】
機械振動部材は、その軸方向端部の一方がスリーブ部材に装着されるように構成された別個のリング形状要素であってもよい。例えば、他方の軸方向端部、および任意にはさらにこの他方の軸方向端部から装着された軸方向端部に向かって続くセクションの少なくとも一部が振動させられてもよい。さらに、機械振動部材は、例えばリング形状要素から一部を切り外すことにより製造された、別個の部分的リング形状要素であってもよい。
【0033】
好ましくは、機械振動部材は、例えばTPE-V、TPV、またはこれらの材料の2つ以上の任意の組合せなどの熱可塑性エラストマー(TPE)を含む(または好ましくはそれからなる)可撓性材料から作製される。これらの材料の中の任意の1つを選択することは、機械振動部材が別個のリング形状要素である場合には特に有利である。
【0034】
一実施形態によれば、機械振動部材は、流れ妨害要素を備える。この流れ妨害要素は、例えばボール形状であってもよい。流れ妨害要素は、プレス嵌めデバイスを通るまたはプレス嵌めデバイスに沿った(気体状)流体流がこの流れ妨害要素に衝突する可能性を有するため有利である。これは、機械振動部材の振動の発生をさらに強化する。したがって、流れ妨害要素は、プレス嵌めデバイスにおける音発生効率を促進する。
【0035】
好ましくは、プレス嵌めデバイスは、少なくとも1つのパイプセクションに嵌着されることとなるリング部材と、スリーブ部材であって、プレス嵌め前条件においてすなわちプレス嵌め作業が連結部に対して実施される前に、スリーブ部材とパイプセクションとの間に流体通路が形成されるようにパイプセクションに少なくとも部分的に挿入されるためのスリーブ部材とを備える。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数のシールリングが、スリーブ部材とパイプセクションとの間の空間内に嵌入されてもよい。
【0036】
スリーブ部材とパイプセクションとの間の流体通路は、プレス嵌め作業が十分に実施されると遮断されてもよい。この遮断は、例えば1つまたは複数のシーリングOリングにより支援されてもよい。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態によれば、プレス嵌めデバイスは、パイプセクションに少なくとも部分的に挿入されるためのスリーブ部材を備える。
【0038】
好ましくは、プレス嵌めデバイスは、少なくとも1つのパイプセクションの周囲に配置されるようにおよびプレス嵌め工具により圧力を印加されるように構成されたキャップ要素を備える。好ましくは、キャップ要素は鉄を含む。さらに、いくつかの実施形態によれば、上述の実施形態のいずれかによる機械振動部材または上述の実施形態の中のいずれか1つによる流体振動部材は、キャップ部材内に完全にまたは部分的に設けられてもよい。
【0039】
例えば、キャップ部材は、上述のようなキャップ(ラビウム)を備えることが可能である。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態によれば、プレス嵌めデバイスは、発生音の音量上昇を促進するように構成される。換言すれば、プレス嵌めデバイスを用いて確立された連結部が流体密ではない場合には、この連結部から漏れ出す流体が、連結部から漏れ出す流体に関連するなんらかの音を副産物として生成するだけではなく、さらに音の発生が意図的に促進される。例えば、流体がプレス嵌めデバイスから外にまたはプレス嵌めデバイスを通り過ぎて漏れ得る部分の形状が、流体の通過時に特定の音(またはより高い音量)の発生を促進するように意図的に形状設定される。プレス嵌めデバイスのある部分が、それ自体において音を発生させるように動かされてもよく、および/またはプレス嵌めデバイスのある特定の形状に関連する共鳴現象が、音を発生させる/強調するために利用されてもよい。
【0041】
好ましくは、連結部が流体密でない場合に流体が漏れ出す傾向となる位置である、プレス嵌めデバイスの漏れの発生しやすい部分が、発生音の音量上昇を促進するように少なくとも部分的に形状設定される。この音量は、より高い発生音の音量を促進するための形状が存在しない状況に比べて上昇する。
【0042】
好ましくは、プレス嵌めデバイスの漏れの発生しやすい部分は、フルートの少なくとも1つの部分のように形状設定され、流体通過時にホイッスル音を発するように構成されたフルート部材、ならびに/または、流体を通過させることにより動かされることによってカタカタ音、きしり音、羽音、ヒス音、重低音、および/もしくは亀裂音を発するように構成された可撓性部材を備える。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態によれば、プレス嵌めデバイスにより発生した音は、好ましくは少なくとも0.5メートル、好ましくは少なくとも1メートル、さらにより好ましくは少なくとも2メートルの距離をプレス嵌めデバイスからおいたヒトの耳にとって可聴なものである。換言すれば、連結部を検査しているヒトは、連結部が流体密であるか否かを聴取りによって簡単に聴き分けることが可能である。導入部において述べたような、連結部が流体密であるか否かを立証するために圧力測定を伴う方法が、漏れを有する連結部が存在するか否かを判断するための粗調査として事前に実施されてもよい。1つまたは複数の漏れを有する連結部が存在する場合に、次いでその連結部を、音の聴取りとその音の発生源の目視とによって効率的に見つけることが可能となる。
【0044】
好ましくは、プレス嵌めデバイスは、少なくとも1つのパイプセクションとの連結部が確立され、連結部がプレス嵌めされる前であるプレス嵌め前条件において、および/または連結部がプレス嵌めされたプレス嵌め条件において連結部が流体密でない場合に、気体状流体がプレス嵌めデバイスに沿ってまたはプレス嵌めデバイスを通り流れるときに音を能動的に発生するように構成される。音を「受動的に」発生するように構成されたものと対照をなす、音を「能動的に」発生するこの構成は、プレス嵌めデバイスが、音発生/促進のために特定的に適合化されないプレス嵌めデバイスから流体が漏出する場合に副産物として単に発せられる音に比べてより大きな音を発生するように特定的に適合化されることを意味する。
【0045】
いくつかの好ましい実施形態によれば、プレス嵌めデバイスが発するように構成された音は、背景雑音よりも大きい。好ましくは、発生音は、プレス嵌めデバイスから1mの距離をおいて測定された場合に、背景雑音の音圧よりも少なくとも10dB(A)高い音圧をいくつかの時点において有する。背景雑音は、約60dB(A)の音圧を有するものと理解される。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態によれば、音は、プレス嵌めデバイスから1メートルの距離をおいておよび0.2バールの空気圧において測定された場合に、70dB(A)以上の、好ましくは73dB(A)以上の音圧を(少なくともいくつかの時点において)有する。
【0047】
いくつかの好ましい実施形態によれば、音は、プレス嵌めデバイスから1メートルの距離をおいておよび0.5バールの空気圧において測定された場合に、80dB(A)以上の、好ましくは85dB(A)の、またはさらにより好ましくは88dB(A)以上の音圧を(少なくともいくつかの時点において)有する。
【0048】
また、本開示は、少なくとも1つのパイプセクションとの流体密連結部を確立するための、上述の実施形態の中の任意の1つまたは組合せによるプレス嵌めデバイスの使用に関する。
【0049】
また、本開示は、プレス嵌めデバイスと少なくとも1つのパイプセクションとの間の連結部が流体密であるか否かを判定するための、上述の実施形態の中の任意の1つまたは組合せによるプレス嵌めデバイスの使用に関する。
【0050】
さらに、本開示は、少なくとも1つのパイプセクションと先述の実施形態の中の任意の1つまたは組合せによるプレス嵌めデバイスとを有するプレス嵌め前連結部またはプレス嵌め連結部中における漏れを特定するための方法に関する。
【0051】
この方法は、プレス嵌めデバイスを使用して少なくとも1つのパイプセクションとの連結部を確立するステップと、連結部に気体状流体流を通して流すステップと、プレス嵌めデバイスにより音が発生されるか否かを検知するステップとを含む。
【0052】
好ましくは、この方法は、先述の実施形態の中の任意の1つによるプレス嵌めデバイスを使用して少なくとも1つのパイプセクションとの間にそれぞれが確立される複数の連結部をパイプシステム内に確立するステップと、パイプシステムに気体状流体流を通して流すステップと、プレス嵌めデバイスの中のいずれかにより音が発生されるか否かを検知するステップと、音を発生するプレス嵌めデバイスを特定するステップとを含む。
【0053】
好ましくは、プレス嵌め作業が、少なくとも1つの連結部を確立するステップとパイプシステムに気体状流体流を通して流すステップとの間において、1つまたは複数の連結部に対して実施される。
【0054】
この方法は、多数の連結部を有するパイプシステム内において流体密でない連結部を特定するために特に適する。この方法は、過誤によってプレス嵌め作業をし忘れた連結部を特定するために利用され得る。この場合に、音信号は、プレス嵌め前条件において生成される。さらに、この方法は、(プレス嵌め条件において)漏れを有するプレス嵌め連結部を特定するためにも利用され得る。
【0055】
それ自体において、または相互に矛盾しない限りにおいては上記において論じた1つもしくは複数の特徴との組合せにおいて実現され得る本開示のさらなる利点および特徴が、好ましい実施形態の以下の説明から明らかになろう。
【0056】
この説明は、添付の図面を参照としてなされる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】パイプセクションに連結されたプレス嵌めデバイスの一実施形態を示す図である。
【
図2】パイプセクションに連結されたプレス嵌めデバイスの一実施形態の平面図である。
【
図3】パイプセクションに嵌着されたプレス嵌めデバイスの一実施形態の断面図である。
【
図7】パイプセクションに嵌着されたプレス嵌めデバイスの一実施形態を示す図である。
【
図10】機械振動部材を備えるリング部材の上面図である。
【
図11】機械振動部材を備えるリング部材の断面図である。
【
図12】機械振動部材を有するリング部材の側面図である。
【
図13】パイプセクションに嵌着されたプレス嵌めデバイスの一実施形態の断面図である。
【
図14】別個のリング要素としての機械振動部材の断面図である。
【
図15】別個のリング要素としての機械振動部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
様々な図を伴う以下の説明において、同様のパーツは同様の参照符号で示される。
【0059】
図1は、パイプセクション10に連結されたプレス嵌めデバイス1の一実施形態を示す。この特定の実施形態は、2つのパイプセクション間における流体密連結を確立するように構成される。しかし、
図1においては、1つのみのパイプセクション10が示される。
【0060】
プレス嵌めデバイス1は、第1のキャップ要素20および第2のキャップ要素21を備える。第1のキャップ要素20は、パイプセクション10の一部の周囲に配置される。第2のキャップ要素21は、第2のパイプセクション(図示せず)の一部の周囲に配置されるように構成される。第1のキャップ要素20および第2のキャップ要素21は、プレス嵌め工具により圧力をかけられることによって、プレス嵌め前条件にある連結部をプレス嵌め連結部へと変化させるように構成される。
【0061】
図2は、パイプセクション10に嵌着されたプレス嵌めデバイス1の一実施形態の平面図であり、
図3は、
図2に示す線B-Bに沿った断面図を示す。
【0062】
図3に示すように、このプレス嵌めデバイス1は、パイプセクション10に部分的に挿入され、また別のパイプセクション(図示せず)にも部分的に挿入されるように構成された、スリーブ部材30を備える。しかし、本開示は、さらに、スリーブ部材が単一のパイプセクションのみに挿入されるように構成されたプレス嵌めデバイスの実施形態に関する。いくつかの実施形態の場合には、それぞれがパイプセクションに挿入されるように構成された2つの別個のスリーブ部材が用意されてもよい。
【0063】
プレス嵌めデバイス1は、パイプセクション10に嵌着される第1のリング部材40と、別のパイプセクション(図示せず)に嵌着されるように構成された第2のリング部材41とをさらに備える。
【0064】
図3は、プレス嵌め前条件にある、すなわち連結部をプレス嵌めするためにキャップ要素20の圧力受け表面に対してプレス嵌め工具が適用される前の条件にある、プレス嵌めデバイス1とパイプセクション10との間の連結部を示す。
【0065】
プレス嵌めデバイス1は、第1のパイプセクション10および第2のパイプセクション(図示せず)に少なくとも部分的に挿入されるためのスリーブ部材30を備える。プレス嵌めデバイス1は、エッジ61を備え剛性材料から作製された流体振動部材60をさらに備える。プレス嵌め前条件において、小さな間隙Gが、スリーブ部材30とパイプセクション10との間に存在する。気体状流体が例えば
図3における左から右へなど連結部を通り流されると、次いで一部の流体が、間隙Gを通り流れる。間隙Gを通り流れる一部の気体状流体は、流体ガイドチャネル50に到達し、次いで流体振動部材60のエッジ61に衝突する。
【0066】
気体状流体(例えば空気)が流体振動部材60のエッジ61に衝突すると、この気体状流体は、(少なくとも)2つの流れへと分離される。これは、フルートのラビウムに空気が当たるときに発生するものと同様である。2つの流れへと流体流を分けることにより、流体が振動する。さらに具体的には、これにより気体状流体中に密度変動が発生する。
【0067】
この実施形態の場合に、これは、外方開口70を通り外部に運ばれる音を生成し、可聴範囲(16Hz~20kHz)に留まる音を生成する。実際のところとして、この実施形態は、ホイッスル音を生成するように設計される。したがって、プレス嵌めデバイス1がホイッスル音を生成するか否かを単に聴き分けることによって、このプレス嵌めデバイス1がパイプセクション10に流体密連結されているか否かを容易に聴き分けることが可能となる。
【0068】
図3は、プレス嵌め前条件にあるプレス嵌めデバイス1およびパイプセクション10を示す。しかし、このプレス嵌めデバイス1は、連結部がプレス嵌めされた後に、プレス嵌め作業が十分/完全に正常には実施されていない場合に音を発生するのにも適する。換言すれば、流体が開口70から依然として漏れ得る場合に、この流体は、場合によって残っている間隙Gを通り進み、したがって流体振動部材60により振動され、したがって音を発生させる。
【0069】
図4は、
図3のプレス嵌めデバイス1の一部の拡大斜視図である。実際に、
図4に示されるものは、
図3に示したプレス嵌めデバイスの実施形態の一部とたまたま合致するものである。しかし、
図4に示されるものは、それ自体において本開示の意味におけるプレス嵌めデバイスの一例でもある。次いで、かかるプレス嵌めデバイスは、例えば
図3のプレス嵌めデバイス1の対応する部分に加えて示したものなどのさらなるパーツと共に使用される。
【0070】
図4に示すプレス嵌めデバイス1のパーツは、リング部材40を備える。さらに、
図4は、流体ガイドチャネル50およびラビウムタイプ流体振動部材60の一部を示す。
【0071】
図5は、リング部材40および流体振動部材60の拡大上面図であり、
図6は、
図5の線B-Bに沿った拡大断面図である。
【0072】
図7は、パイプピース10に連結されたプレス嵌めデバイス1の別の実施形態の上面図を示す。この特定の実施形態は、2つのパイプセクション間において流体密連結を確立するために構成される。しかし、
図7では1つのみのパイプセクション10が示される。
【0073】
図7のプレス嵌めデバイス1は、第1のパイプセクション10および第2のパイプセクション(図示せず)にそれぞれ連結されるための第1のキャップ要素20および第2のキャップ要素21を備える。
【0074】
図8は、
図7の線B-Bに沿ったプレス嵌めデバイス1の断面図を示す。プレス嵌めデバイス1のこの実施形態は、パイプセクション10に部分的に挿入されさらに別のパイプセクション(図示せず)に部分的に挿入されるようにも構成されたスリーブ部材30を備える。
【0075】
プレス嵌めデバイス1は、パイプセクション10に嵌着される第1のリング部材40と、別のパイプセクション(図示せず)に嵌着されるように構成された第2のリング部材41とをさらに備える。
【0076】
図8は、プレス嵌め前条件にある、すなわち連結部をプレス嵌めするためにキャップ要素20の圧力受け表面に対してプレス嵌め工具が適用される前の条件にある、プレス嵌めデバイス1とパイプセクション10との間の連結部を示す。
【0077】
プレス嵌めデバイス1は、第1のパイプセクション10および第2のパイプセクション(図示せず)に少なくとも部分的に挿入されるためのスリーブ部材30を備える。
【0078】
図9は、
図8のプレス嵌めデバイス1のパーツの拡大斜視図を示す。具体的には、
図9は、第1のリング部材40を示す。さらに、
図9は、
図8のプレス嵌めデバイス1が機械振動部材80を備えることを示す。機械振動部材80は、リング部材40に対して、およびしたがって第1のパイプセクション10がプレス嵌めデバイス1に連結された場合に第1のパイプセクション10に対して実質的に接線方向に配向されたストロー形状部材である。しかし、本開示は、さらに、機械振動部材80が軸方向または径方向に配向されたプレス嵌めデバイスに関する。
【0079】
機械振動部材80は、プレス嵌めデバイス1を通り流れる気体状流体により振動されるように構成される。ストロー形状機械振動部材80は、PE、PP、PA、ナイロン、またはこれらの材料の中の2つ以上の任意の組合せなどの可撓性材料から作製される。
【0080】
図9の機械振動部材80は、プレス嵌めデバイス1を通り流れる気体状流体が機械振動部材80の長手延在方向に対して実質的に垂直である方向へと流れるように配向されるため、流れは、機械振動部材80の長尺側面に衝突し、機械振動部材80は、効果的に振動される。次いで、機械振動部材80の振動は、流体内で振動を発生させ、音の発生をもたらす。
【0081】
音は、可聴範囲(16Hz~20kHz)に留まる。実際のところとして、この実施形態は、ホイッスル音を生成するように設計される。したがって、プレス嵌めデバイス1がホイッスル音を生成するか否かを単に聴き取ることによって、このプレス嵌めデバイス1がパイプセクション10に流体密連結されているか否かを容易に聴き分けることが可能となる。
【0082】
図8は、プレス嵌め前条件にあるプレス嵌めデバイス1およびパイプセクション10を示す。しかし、このプレス嵌めデバイス1は、連結部がプレス嵌めされた後にプレス嵌め作業が十分/完全に正常には実施されていない場合に音を発生するのにも適する。換言すれば、流体が連結部から依然として漏れ得る場合に、この流体は、場合によって残っている間隙Gを通り進み、したがって流体振動部材60により振動され、したがって音を発生させる。
【0083】
図10は、リング部材40および機械振動部材80の拡大上面図である。
図11は、
図10の線A-Aに沿った拡大断面図である。
図12は、機械振動部材80を有するリング部材40の側面図である。
【0084】
図13は、パイプピース10に連結されたプレス嵌めデバイス1の別の実施形態の断面図を示す。この特定の実施形態は、2つのパイプセクション間において流体密連結を確立するために構成される。しかし、
図13では1つのみのパイプセクション10が示される。
【0085】
図13のプレス嵌めデバイス1は、第1のパイプセクション10および第2のパイプセクション(図示せず)にそれぞれ連結されるための第1のキャップ要素20および第2のキャップ要素21を備える。また、プレス嵌めデバイス1は、第1のパイプセクション10に部分的に挿入され、さらに別のパイプセクション(図示せず)にも部分的に挿入されるように構成されたスリーブ部材30を備える。
【0086】
プレス嵌めデバイス1は、パイプセクション10に嵌着されるように構成された第1のリング部材40と、別のパイプセクション(図示せず)に嵌着されるように構成された第2のリング部材41とをさらに備える。
【0087】
図13は、プレス嵌め前条件にある、すなわち連結部をプレス嵌めするためにキャップ要素20の圧力受け表面に対してプレス嵌め工具が適用される前の条件にある、プレス嵌めデバイス1とパイプセクション10との間の連結部を示す。
【0088】
図13のプレス嵌めデバイス1は、一方の軸方向端部91がスリーブ部材30に装着された別個のリング形状要素の形態である機械振動部材90をさらに備える(
図14を参照)。他方の端部92および一方の軸方向端部91の方向に続く部分は、可撓性であり、例えばプレス嵌めデバイス1に沿って流れる気体状流体によって振動可能である。このストロー形状機械振動部材90は、例えばTPE-V(またはTPV)などのTPEなどの可撓性材料から作製される。
【0089】
図15は、別個のリング要素の形態である機械振動部材90の斜視図である。
【0090】
図13は、プレス嵌め前条件にあるプレス嵌めデバイス1およびパイプセクション10を示す。しかし、このプレス嵌めデバイス1は、連結部がプレス嵌めされた後にプレス嵌め作業が十分/完全に正常には実施されていない場合に音を発生するのにも適する。換言すれば、流体が連結部から依然として漏れ得る場合に、この流体は、場合によって残っている間隙Gを通り進み、したがって機械振動部材90を振動させ、さらにこの機械振動部材90は、流体を振動させしたがって音を発生させる。
【0091】
多数のさらなる変形および修正が可能であり、それらは本発明の範囲内に含まれるように理解される。
【符号の説明】
【0092】
1 プレス嵌めデバイス
10 第1のパイプセクション、パイプピース
20 第1のキャップ要素
21 第2のキャップ要素
30 スリーブ部材
40 第1のリング部材
41 第2のリング部材
50 流体ガイドチャネル
60 流体振動部材、ラビウムタイプ流体振動部材
61 エッジ
70 外方開口
80 機械振動部材、ストロー形状機械振動部材
90 機械振動部材、ストロー形状機械振動部材
91 軸方向端部
92 端部