(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】レーザビームに関連する方法およびレーザシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/35 20060101AFI20220318BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20220318BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20220318BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20220318BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20220318BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20220318BHJP
B23K 26/067 20060101ALI20220318BHJP
G02B 6/036 20060101ALI20220318BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20220318BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20220318BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
G02B6/35
H01S3/10 Z
H01S3/00 B
B23K26/064 K
B23K26/38 Z
B23K26/382
B23K26/067
G02B6/036
G02B6/02 B
G02B6/26
G02B26/08 E
(21)【出願番号】P 2019529201
(86)(22)【出願日】2017-11-09
(86)【国際出願番号】 US2017060760
(87)【国際公開番号】W WO2018102094
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2019-07-17
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514134192
【氏名又は名称】テラダイオード, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ワン-ロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ビエン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラリアル-ソーセド, フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】タエバティ, パービッツ
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-294247(JP,A)
【文献】特開2013-178497(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293306(US,A1)
【文献】特表2013-521666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0241632(US,A1)
【文献】特開2005-125398(JP,A)
【文献】特開2016-043405(JP,A)
【文献】特開平08-150485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0018707(US,A1)
【文献】特開平10-319329(JP,A)
【文献】実開昭62-089617(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/35
B23K 26/00 - 26/70
H01S 3/00
H01S 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを用いてワークピースを処理する方法であって、前記方法は、
複数の光ファイバを備えているファイバ束を提供することであって、前記複数の光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)前記入力端の反対にある出力端とを有し、前記出力端は、前記受け取られたレーザビームを送達するためのものである、ことと、
ワークピースを前記複数の光ファイバのうちの選択された1つの光ファイバの出力端に近接して配置することと、
前記ワークピースの少なくとも1つの特性に基づいて、前記ワークピースの処理のためのビームパラメータ積またはビーム形状のうちの少なくとも1つを決定することと、
レーザビームを前記選択された光ファイバに向かわせることと、
その間、前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の内部結合場所に向かわせることにより、前記選択された光ファイバの前記出力端から放出される前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの前記少なくとも1つを選択することと、
前記ワークピースを前記選択された光ファイバの前記出力端から放出される前記レーザビームを用いて処理することであって、前記内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記選択された光ファイバのクラッディング領域内に完全に配置されており、前記クラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、前記ワークピースを処理するために利用される、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ワークピースを処理することは、前記ワークピースの表面の少なくとも一部を物理的に改変することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワークピースを処理することは、切断、溶接、エッチング、アニーリング、穿孔、はんだ付け、または、ろう付けのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ワークピースの前記少なくとも1つの特性は、前記ワークピースの厚さおよび/または前記ワークピースの組成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザビームを前記選択された光ファイバに向かわせることは、(i)前記レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ファイバ束内の前記複数の光ファイバのうちの少なくとも2つの物理的特性は、異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/または、クラッディング領域の屈折率を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された光ファイバは、マルチクラッド光ファイバを含み、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記選択された光ファイバは、ステップクラッド光ファイバを含み、前記ステップクラッド光ファイバは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ、前記第4の屈折率より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記ワークピースを処理する間、前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの少なくとも1つを改変することをさらに含み、前記1つ以上の第2の内部結合場所は、前記1つ以上の第1の内部結合場所と異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、ビームエミッタから前記レーザビームを放出することをさらに含み、
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記集束させられたビームを受け取り、前記集束させられ受け取られたビームを分散させるための分散要素と、
前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部を前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するように位置付けられた部分反射出力結合器と
を備え、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記分散要素は、回折格子を備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
レーザビームのビームパラメータ積またはビーム形状のうちの少なくとも1つを調節する方法であって、前記方法は、
複数の光ファイバを備えているファイバ束を提供することであって、前記複数の光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)前記入力端の反対にある出力端とを有し、前記出力端は、前記受け取られたレーザビームを送達するためのものである、ことと、
レーザビームを前記ファイバ束の前記複数の光ファイバのうちの選択された1つの光ファイバに向かわせることと、
その間、前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の第1の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームのビームパラメータ積またはビーム形状のうちの少なくとも1つを選択することであって、前記第1の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記選択された光ファイバのクラッディング領域内に完全に配置されている、ことと
を含む、方法。
【請求項15】
前記方法は、前記レーザビームを用いて、前記選択された光ファイバの前記出力端に近接して配置されたワークピースを処理することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの前記少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記ワークピースの特性に基づいて選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ワークピースの前記特性は、前記ワークピースの厚さまたは前記ワークピースの組成物のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザビームを前記複数の光ファイバのうちの前記選択された1つの光ファイバに向かわせることは、(i)前記レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ファイバ束内の前記複数の光ファイバのうちの少なくとも2つの物理的特性は、異なる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/または、クラッディング領域の屈折率を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の光ファイバのうちの少なくとも1つは、マルチクラッド光ファイバを含み、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の光ファイバのうちの少なくとも1つは、ステップクラッド光ファイバを含み、前記ステップクラッド光ファイバは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ、前記第4の屈折率より大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの少なくとも1つを改変することをさらに含み、前記1つ以上の第2の内部結合場所は、前記1つ以上の第1の内部結合場所と異なる、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、ビームエミッタから前記レーザビームを放出することをさらに含み、
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記集束させられたビームを受け取り、前記集束させられ受け取られたビームを分散させるための分散要素と、
前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部を前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するように位置付けられた部分反射出力結合器と
を備え、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記分散要素は、回折格子を備えている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
複数の出力を有するレーザシステムであって、前記システムは、
レーザビームの放出のためのビームエミッタと、
複数の光ファイバを備えているファイバ束であって、前記複数の光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)前記入力端の反対にある出力端とを有し、前記出力端は、前記受け取られたレーザビームをワークピースに送達するためのものである、ファイバ束と、
前記レーザビームを受け取り、前記レーザビームを前記ファイバ束に向かって反射するための反射体と、
前記レーザビームを前記反射体から受け取り、前記レーザビームを前記ファイバ束内の光ファイバの前記入力端のうちの1つのみの中に結合するための光学要素と、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を生じさせ、かつ、前記相対的運動を制御し、これにより、(i)前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバ、または、(ii)選択されたファイバの端面上の前記レーザビームが向かわせられる場所のうちの少なくとも1つを決定し、これにより、ビーム形状またはビームパラメータ積のうちの少なくとも1つが、少なくとも部分的に前記レーザビームの前記光ファイバの中への前記結合によって決定され、前記レーザビームが前記選択されたファイバの端面上に向かわせられる場所は、前記選択されたファイバのクラッディング領域内に完全に配置されている、システム。
【請求項28】
前記コントローラは、測定されたパラメータに基づいて、前記選択されたファイバの前記端面上の前記レーザビームが向かわせられる前記場所を徐々に調節するためのフィードバック動作のために構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記測定されたパラメータは、前記ワークピースの測定されたパラメータである、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記測定されたパラメータは、前記レーザビームの測定されたパラメータである、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動は、前記反射体の回転または前記光学要素の側方平行移動のうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
前記光学要素は、1つ以上のレンズおよび/または1つ以上のプリズムを備えている、請求項27に記載のシステム。
【請求項33】
前記ファイバ束内の前記光ファイバのうちの少なくとも2つの物理的特性は、異なる、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/または、クラッディング領域の屈折率を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記システムは、入力端キャップをさらに備え、前記ファイバ束内の前記光ファイバの前記入力端は、前記入力端キャップに融合されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項36】
前記システムは、各光ファイバに対して、前記光ファイバの前記出力端上に配置された出力端キャップをさらに備えている、請求項27に記載のシステム。
【請求項37】
前記光ファイバのうちの少なくとも1つは、マルチクラッド光ファイバを含み、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、請求項27に記載のシステム。
【請求項38】
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記コントローラは、前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバのために、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を制御し、これにより、前記レーザビームが結合される前記光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成されており、前記光ファイバの前記1つ以上の部分は、前記ファイバコアと前記第1のクラッディング領域と前記第2のクラッディング領域とを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記コントローラは、前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバのために、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を制御し、これにより、前記レーザビームが結合される前記光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成されており、前記光ファイバの前記1つ以上の部分は、1つ以上のファイバコアと1つ以上のクラッディング領域とを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項41】
前記光ファイバのうちの少なくとも1つは、ステップクラッド光ファイバを含み、前記ステップクラッド光ファイバは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ、前記第4の屈折率より大きい、請求項27に記載のシステム。
【請求項42】
前記コントローラは、前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバのために、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を制御し、これにより、前記レーザビームが結合される前記光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成されており、前記光ファイバの前記1つ以上の部分は、前記中心コアと前記第1のクラッディングと前記環状コアとを含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記ビームエミッタは、前記コントローラに応答し、
前記コントローラは、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの前記少なくとも1つとの間の相対的運動中、前記ビームエミッタから放出されるレーザビームの
出力を変調するように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項44】
前記コントローラは、少なくとも部分的に前記レーザビームが結合される前記光ファイバの前記出力端に近接した前記ワークピースの特性に基づいて、前記ビーム形状または前記ビームパラメータ積のうちの少なくとも1つを決定するように構成されている、請求項27に記載のシステム。
【請求項45】
前記ワークピースの前記特性は、前記ワークピースの厚さまたは前記ワークピースの組成物のうちの少なくとも1つを含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記システムは、(i)前記ワークピース上に画定された処理経路に対応するデータを記憶するための前記コントローラにアクセス可能なメモリと、(ii)複数の材料のための処理データを記憶するためのデータベースとをさらに備え、前記コントローラは、前記データベースにクエリすることにより、前記ワークピースの1つ以上の材料のための処理データを取得するように構成されており、前記ビームのビーム形状またはビームパラメータ積のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記取得された処理データによって決定される、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記集束させられたビームを受け取り、前記集束させられ受け取られたビームを分散させるための分散要素と、
部分反射出力結合器と
を備え、
前記部分反射出力結合器は、前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部を前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するように位置付けられており、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、請求項27に記載のシステム。
【請求項48】
前記分散要素は、回折格子を備えている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
複数の出力ビームを使用して複数のワークピースを同時に処理する方法であって、前記複数の出力ビームは、異なる特性を有し、同一の入力ビームから生じ、前記方法は、
ファイバ束を提供することであって、前記ファイバ束は、
(i)第1の光ファイバであって、前記第1の光ファイバは、(a)レーザビームを受け取るための第1の入力端と、(b)前記第1の入力端の反対にある第1の出力端とを有し、前記第1の出力端は、前記レーザビームを第1のワークピースに送達するためのものである、第1の光ファイバと、
(ii)第2の光ファイバであって、前記第2の光ファイバは、(a)前記レーザビームを受け取るための前記第1の入力端に近接した第2の入力端と、(b)前記第2の入力端の反対にある第2の出力端とを有し、前記第2の出力端は、前記レーザビームを前記第1のワークピースと異なる第2のワークピースに送達するためのものである、第2の光ファイバと
を備えている、ことと、
前記レーザビームを前記第1の入力端に向かわせることにより、前記第1のワークピースを処理することと、
その間、前記レーザビームを前記第1の入力端上の1つ以上の第1の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの第1のビームパラメータ積または第1のビーム形状のうちの少なくとも1つを選択することと、
前記レーザビームを前記第2の入力端に向かわせることにより、前記第2のワークピースを処理することと、
その間、前記レーザビームを前記第2の入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの第2のビームパラメータ積または第2のビーム形状のうちの少なくとも1つを選択することと
を含み、
前記第2のビームパラメータ積または第2のビーム形状のうちの前記少なくとも1つは、前記第1のビームパラメータ積または第1のビーム形状のうちの前記少なくとも1つと異な
り、
前記レーザビームは、前記第1の入力端に向かわせることと前記第2の入力端に向かわせることとの間で高速に操向されることにより、前記第1のワークピースおよび前記第2のワークピースを同時に処理する、方法。
【請求項50】
前記第1のワークピースおよび前記第2のワークピースの少なくとも1つの特性は、異なる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの特性は、厚さおよび/または組成物を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記方法は、前記レーザビームを前記第1の入力端に向かわせることと前記レーザビームを前記第2の入力端に向かわせることとの間で前記レーザビームの
出力を変調することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の光ファイバの内部構成は、前記第2の光ファイバの内部構成と実質的に同じである、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記第1の光ファイバのクラッディング領域と交わり、前記クラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、前記第1のワークピースを処理するために利用される、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記第2の光ファイバのクラッディング領域と交わり、前記クラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、前記第2のワークピースを処理するために利用される、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記レーザビームを前記第1の入力端に向かわせることは、(i)前記レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記レーザビームを前記第2の入力端に向かわせることは、(i)前記レーザビームを前記1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを前記1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の光ファイバおよび前記第2の光ファイバの物理的特性は、異なる、請求項49に記載の方法。
【請求項59】
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/または、クラッディング領域の屈折率を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の光ファイバまたは前記第2の光ファイバのうちの少なくとも1つは、マルチクラッド光ファイバを含み、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、請求項49に記載の方法。
【請求項61】
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の光ファイバまたは前記第2の光ファイバのうちの少なくとも1つは、ステップクラッド光ファイバを含み、前記ステップクラッド光ファイバは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ、前記第4の屈折率より大きい、請求項49に記載の方法。
【請求項63】
前記方法は、ビームエミッタから前記レーザビームを放出することをさらに含み、
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記集束させられたビームを受け取り、前記集束させられ受け取られたビームを分散させるための分散要素と、
前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部を前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するように位置付けられた部分反射出力結合器と
を備え、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、請求項49に記載の方法。
【請求項64】
前記分散要素は、回折格子を備えている、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記第1の光ファイバのクラッディング領域内に完全に配置されており、前記クラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、前記第1のワークピースを処理するために利用される、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第62/429,270号(2016年12月2日出願)の利益、およびそれに対する優先権を主張し、上記出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
種々の実施形態では、本発明は、レーザシステム、具体的には、複数の出力および制御可能ビームプロファイル、例えば、可変ビームパラメータ積を伴うレーザシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
高出力レーザシステムは、溶接、切断、穿孔、および材料処理等の多くの異なる用途のために利用される。そのようなレーザシステムは、典型的には、それからのレーザ光が光ファイバ(または単に「ファイバ」)の中に結合されるレーザエミッタと、ファイバからのレーザ光を処理されるべきワークピース上に集束させる光学システムとを含む。波長ビーム結合(WBC)は、レーザダイオード、レーザダイオードバー、ダイオードバーのスタック、または1または2次元アレイに配列される他のレーザからの出力電力および明るさをスケーリングするための技法である。WBC方法は、エミッタのアレイの一方または両方の次元に沿ってビームを結合させるために開発された。典型的WBCシステムは、1つ以上のダイオードバー等の複数のエミッタを含み、それらは、分散要素を使用して結合され、多波長ビームを形成する。WBCシステム内の各エミッタは、個々に共振し、ビーム結合次元に沿って分散要素によってフィルタ処理される共通の部分反射出力結合器からの波長特有のフィードバックを通して、安定化される。例示的WBCシステムは、2000年2月4日に出願された米国特許第6,192,062号(特許文献1)、1998年9月8日に出願された米国特許第6,208,679号(特許文献2)、2011年8月25日に出願された米国特許第8,670,180号(特許文献3)、および2011年3月7日に出願された米国特許第8,559,107号(特許文献4)(開示全体の各々は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に詳述される。
【0004】
レーザシステムのための光学システムは、典型的には、最高品質レーザビーム、すなわち、最低のビームパラメータ積(BPP)を伴うビームを生成するように設計される。BPPは、レーザビームの発散角(半角)と、その最も狭い点(すなわち、ビームウェスト、最小スポットサイズ)におけるビームの半径との積である。すなわち、BPP=NA×D/2であり、式中、Dは、集束スポット(ウェスト)直径であり、NAは、開口数である。したがって、BPPは、NAおよび/またはDを変動させることによって変動させられ得る。BPPは、レーザビームの品質および小スポットに集束され得る程度を定量化し、典型的には、ミリメートル-ミリラジアン(mm-mrad)の単位で表される。ガウスビームは、最も低い可能なBPPを有し、それは、円周率によって除算されるレーザ光の波長によって与えられる。同一波長における理想的なガウスビームのBPPに対する実際のビームのBPPの比率は、M2として示され、それは、ビーム品質の波長独立の尺度である。
【0005】
多くのレーザ処理用途で、所望されるビームスポットサイズ、発散、およびビーム品質は、例えば、処理のタイプおよび/または処理されている材料のタイプに依存して変動し得る。これは、特に、材料処理用途における産業レーザに当てはまる。例えば、より低いBPP値、すなわち、より良好なビーム品質が、薄い金属を切断するために好ましくあり得る一方、より大きいBPP(すなわち、より粗悪なビーム品質)が、より厚い金属を通して切断するために好ましくあり得る。そのような変更をレーザシステムのBPPに行うために、しばしば、出力光学システムまたは光ファイバが、他の構成要素と交換され、および/または、再整列させられなければならず、時間がかかり、かつ高価なプロセスとなり、これはさらに、レーザシステムの脆弱な光学構成要素の不注意な損傷につながり得る。したがって、光ファイバの出力におけるレーザビームまたは光学システムに対するそのような調節を伴わないレーザシステムのBPPを変動させるための代替技法の必要性が存在する。加えて、可変BPPを伴う複数の出力を有し、それによって、異なるワークステーション間のレーザシステムの共有を可能にするレーザシステムビームの必要性も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,192,062号明細書
【文献】米国特許第6,208,679号明細書
【文献】米国特許第8,670,180号明細書
【文献】米国特許第8,559,107号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要約)
本発明の実施形態によると、レーザシステムは、複数の離散場所のいずれかへの出力のために、ファイバ束の1つ以上の光ファイバの中に向かわせられる出力ビームを生成する。ファイバ束の光ファイバのうちの1つ以上のものは、マルチクラッドファイバであり、すなわち、コア領域を同心状に包囲する複数のクラッディング領域を伴う中心コア領域を組み込み得る。他の実施形態では、光ファイバのうちの1つ以上のものは、単一クラッドファイバであり、すなわち、コア領域を包囲する1つのみのクラッディング領域を有し得る。種々の実施形態では、ファイバ束内の異なる光ファイバは、異なるコア直径を有する。ファイバ束内のファイバのうちの1つ以上のものは、複数の離散コア領域を有し得る。種々の実施形態によると、レーザ出力ビームは、出力ビームのビーム形状および/またはBPPを変動させるために、ファイバ束の特定のファイバの中に、および/またはファイバの1つ以上の特定の断面領域(例えば、コア領域および/またはクラッディング領域のうちの1つ以上のもの)の中に向かわせられる。
【0008】
本明細書で利用されるように、レーザビームの「形状」を変化させることは、ビームの断面プロファイルおよび寸法を改変すること(例えば、ビームが表面と交わる点において)を指す。形状の変化は、ビームサイズ、ビームの角度強度分布、およびBPPの変化に付随して起こり得るが、ビームBPPの単なる変化は、必ずしも、レーザビーム形状を変化させるために十分ではなく、その逆も同様である。
【0009】
本発明の実施形態に従って生成される出力ビームは、単に、光を用いて表面をプローブする光学技法(例えば、反射率測定)とは対照的に、ワークピースの表面が物理的に改変するように、および/または特徴が表面上もしくは内に形成されるように、ワークピースを処理するために利用され得る。本発明の実施形態による例示的プロセスは、切断、溶接、穿孔、およびはんだ付けを含む。本発明の種々の実施形態は、ワークピース表面の全てまたは実質的に全てをレーザビームからの放射で満たすのではなく、1つ以上のスポットにおいても、または1次元線形または曲線処理経路に沿っても、ワークピースを処理し得る。そのような1次元経路は、複数の区分から成り得、それらの各々は、線形または曲線であり得る。
【0010】
可変形状および/またはBPPの1つの利点は、異なるタイプの処理技法または処理されている異なるタイプの材料のための改良されたレーザ用途性能である。本発明の実施形態は、2015年2月26日に出願された米国特許出願第14/632,283号、2015年6月23日に出願された米国特許出願第14/747,073号、2015年9月14日に出願された米国特許出願第14/852,939号、2016年6月21日に出願された米国特許出願第15/188,076号、2017年4月5日に出願された米国特許出願第15/479,745号、および2017年7月14日に出願された米国特許出願第15/649,841号(それぞれの開示は、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるレーザビームの変動するBPPおよび/または形状のための種々の技法も利用し得る。
【0011】
本明細書では、「光学要素」とは、電磁放射線を向け直し、反射し、曲げ、または任意の他の様式で光学的に操作するレンズ、鏡、プリズム、格子等のうちのいずれかを指し得る。本明細書では、ビームエミッタ、エミッタ、またはレーザエミッタ、もしくはレーザは、電磁ビームを生成するが、自己共振であることも、そうではないこともある半導体要素等の任意の電磁ビーム生成デバイスを含む。これらは、ファイバレーザ、ディスクレーザ、非ソリッドステートレーザ等も含む。概して、各エミッタは、後反射表面と、少なくとも1つの光学利得媒体と、前反射表面とを含む。光学利得媒体は、電磁スペクトルの任意の特定の部分に限定されないが、可視光、赤外線、および/または紫外線であり得る電磁放射線の利得を増加させる。エミッタは、複数のビームを放出するように構成されるダイオードバー等の複数のビームエミッタを含み得るか、または本質的にそれから成り得る。本明細書の実施形態で受け取られる入力ビームは、当技術分野で公知である種々の技法を使用して結合される単波長または多波長ビームであり得る。加えて、本明細書における「レーザ」、「レーザエミッタ」、または「ビームエミッタ」の言及は、単一ダイオードレーザのみではなく、また、ダイオードバー、レーザアレイ、ダイオードバーアレイ、および単一またはアレイの垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を含む。
【0012】
本発明の実施形態は、多波長ビームを形成するように分散要素を使用して結合される1つ以上のダイオードバー等の複数のエミッタを含む波長ビーム結合(WBC)システムとともに利用され得る。WBCシステム内の各エミッタは、個々に共振し、ビーム結合次元に沿って分散要素によってフィルタにかけられる共通部分反射出力結合器から、波長特有のフィードバックを通して安定させられる。例示的WBCシステムは、それらの各々の開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる2000年2月4日に出願された米国特許第6,192,062号、1998年9月8日に出願された米国特許第6,208,679号、2011年8月25日に出願された米国特許第8,670,180号、および2011年3月7日に出願された米国特許第8,559,107号で詳述される。WBCシステムの多波長出力ビームが、例えば、BPP、形状、および/または偏光制御のために、本発明の実施形態と併せて、入力ビームとして利用され得る。
【0013】
ある側面では、本発明の実施形態は、複数の出力を有するレーザシステムを特徴とする。システムは、レーザビームの放出のためのビームエミッタと、ファイバ束と、反射体および/または光学要素と、コントローラとを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る。ファイバ束は、複数の光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る。光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)入力端の反対にある、受け取られたレーザビームのワークピースへの送達のための出力端とを有する。反射体および/または光学要素は、レーザビームを受け取り、レーザビームをファイバ束内の光ファイバの入力端の1つ以上のもの(例えば、1つのみ)の中に結合し得る。例えば、反射体は、レーザビームを受け取り、レーザビームをファイバ束に向かって反射し得、光学要素は、レーザビームを反射体から受け取り、レーザビームをファイバ束内の光ファイバの入力端の1つ以上のもの(例えば、1つのみ)の中に結合し得る。コントローラは、光ファイバの入力端と反射体および/または光学要素との間の相対的運動を生じさせ、それを制御し、それによって、(i)レーザビームが結合されるファイバ束の光ファイバ、および/または、(ii)レーザビームが1つ以上の選択されたファイバの端面上に向かわせられる場所を決定し、それによって、ビーム形状および/またはビームパラメータ積は、少なくとも部分的に、レーザビームの光ファイバの中への結合によって決定される。
【0014】
本発明の実施形態は、種々の組み合わせのいずれかにおいて、以下のうちの1つ以上のものを含み得る。コントローラは、フィードバック動作のために構成され、測定されたパラメータに基づいて、レーザビームが選択されたファイバの端面上に向かわせられる場所を徐々に調節し得る。測定されたパラメータは、ワークピース(例えば、表面特徴の組成物、厚さ、高さ、または深度、反射率等)および/またはレーザビーム(例えば、束密度、ビーム形状、ビーム直径、ビーム強度、面積ビーム場所の関数としてのビーム強度等)の測定されたパラメータであり得る。光ファイバの入力端と反射体および/または光学要素との間の相対的運動は、反射体の回転、光学要素の回転、反射体の平行移動、光学要素の平行移動、光ファイバの入力端の回転、および/または光ファイバの入力端の平行移動を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。光学要素は、1つ以上のレンズ、1つ以上の格子(例えば、回折格子)、および/または1つ以上のプリズムを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ファイバ束内の光ファイバの少なくとも2つの1つ以上の物理的特性は、異なり得る。物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。システムは、入力端キャップを含み得る。ファイバ束内の光ファイバの入力端のうちの1つ以上のものは、入力端キャップに融合されるか、または別様に光学的に結合され得る。出力端キャップは、光ファイバのうちの1つ以上のものの出力端上に配置される、それに融合され、および/またはそれに光学的に結合され得る。各光ファイバは、異なる出力端キャップを有し得る。
【0015】
光ファイバのうちの少なくとも1つは、1つ以上のファイバコアを包囲する複数のクラッディングを有するマルチクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。例えば、マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ファイバコアの屈折率は、第1のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。第1のクラッディング領域の屈折率は、第2のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。コントローラは、レーザビームが結合されるファイバ束の光ファイバのために、光ファイバの入力端と反射体および/または光学要素との間の相対的運動を制御し、それによって、レーザビームが結合される光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成され得る。光ファイバの部分は、ファイバコア、第1のクラッディング領域、および第2のクラッディング領域を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。光ファイバの部分は、より一般的には、1つ以上のファイバコアおよび/または1つ以上のクラッディング領域を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0016】
光ファイバのうちの少なくとも1つは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを含むか、それらから本質的に成るか、またはそれらから成るステップクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。第1の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第3の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第2の屈折率は、第1の屈折率より小さく、第4の屈折率より大きくあり得る。コントローラは、レーザビームが結合されるファイバ束の光ファイバのために、光ファイバの入力端と反射体および/または光学要素との間の相対的運動を制御し、それによって、レーザビームが結合される光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成され得る。光ファイバの部分は、中心コア、第1のクラッディング、および環状コアを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。光ファイバの部分は、中心コアおよび第1のクラッディングを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。光ファイバの部分は、中心コア、第1のクラッディング、環状コア、および第2のクラッディングを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。光ファイバの部分は、第1のクラッディングおよび環状コアを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。光ファイバの部分は、第1のクラッディング、環状コア、および第2のクラッディングを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0017】
ビームエミッタは、コントローラに応答し得る。コントローラは、光ファイバの入力端と反射体および/または光学要素との間の相対的運動中、ビームエミッタの出力電力を変調するように構成され得る。コントローラは、光ファイバの入力端と反射体および/または光学要素との間の相対的運動中、ビームエミッタの出力電力を変調しないように構成され得る。コントローラは、レーザビームの少なくとも一部をレーザビームが結合される光ファイバの1つ以上のクラッディング領域の中に結合することによって、レーザビームのビームパラメータ積を増加させるように構成され得る。コントローラは、少なくとも部分的に、レーザビームが結合される光ファイバの出力端に近接したワークピースの特性に基づいて、ビーム形状および/またはビームパラメータ積を決定するように構成され得る。ワークピースの特性は、ワークピースの厚さおよび/またはワークピースの組成物を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。システムは、ワークピース上に画定された処理経路に対応するデータを記憶するためのコントローラにアクセス可能なメモリを含み得る。経路は、少なくとも1つの方向変化を含み得る。経路は、1つ以上の線形区分および/または1つ以上の曲線区分から成り得る。コントローラは、処理経路に沿って、ビームの出力電力、ビーム形状、および/またはビームパラメータ積を改変するように構成され得る。メモリは、少なくとも部分的に、コントローラ内に常駐し、および/または少なくとも部分的に、遠隔(例えば、ネットワーク記憶装置、クラウド記憶装置等)に常駐し得る。システムは、複数の材料のための処理データを記憶するためのデータベースを含み得る。コントローラは、データベースにクエリし、ワークピースの1つ以上の材料のための処理データを取得するように構成され得る。ビームのビーム形状および/またはビームパラメータ積は、少なくとも部分的に、取得された処理データによって決定され得る。
【0018】
ビームエミッタは、複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、分散させられたビームを受け取り、分散させられたビームの一部をそれを通してレーザビームとして伝送し、分散させられたビームの第2の部分を分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられた部分反射出力結合器とを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。レーザビームは、複数の波長から成り得る。離散ビームの各々は、異なる波長を有し得る。分散させられたビームの第2の部分は、1つ以上のビーム源に戻るように伝搬し、それによって、ビームをその放出波長に安定化させ得る。集束光学は、1つ以上の円筒形レンズ、1つ以上の球状レンズ、1つ以上の球状ミラー、および/または1つ以上の円筒形ミラーを含むか、またはそれから本質的に成り得る。分散要素は、1つ以上の回折格子(例えば、1つ以上の透過格子および/または1つ以上の反射格子)、1つ以上の分散ファイバ、および/または1つ以上のプリズムを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0019】
別の側面では、本発明の実施形態は、レーザビームのビームパラメータ積および/またはビーム形状を調節する方法を特徴とする。ファイバ束が、提供される。ファイバ束は、複数の光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る。光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)入力端の反対にある、受け取られたレーザビームの送達のための出力端とを有する。レーザビームは、ファイバ束の光ファイバのうちの選択された1つ以上のものに向かわせられる。その間および/またはその後、レーザビームのビームパラメータ積および/またはビーム形状が、レーザビームを選択された光ファイバの入力端上の1つ以上の第1の内部結合場所に向かわせることによって選択される。
【0020】
本発明の実施形態は、種々の組み合わせのいずれかにおいて、以下のうちの1つ以上のものを含み得る。選択された光ファイバの出力端に近接して配置される1つ以上のワークピースが、レーザビームを用いて処理され得る。レーザビームのビームパラメータ積および/またはビーム形状が、少なくとも部分的に、ワークピースのうちの1つ以上のものの特性に基づいて、選択され得る。ワークピースの特性は、ワークピースの厚さおよび/またはワークピースの組成物を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。第1の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、選択された光ファイバのクラッディング領域と交わり得る。レーザビームを光ファイバのうちの選択された1つに向かわせることは、(i)レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、および/または、(ii)レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ファイバ束内の光ファイバの少なくとも2つの1つ以上の物理的特性は、異なり得る。物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0021】
光ファイバのうちの少なくとも1つは、1つ以上のファイバコアを包囲する複数のクラッディングを有するマルチクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。例えば、マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ファイバコアの屈折率は、第1のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。第1のクラッディング領域の屈折率は、第2のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。
【0022】
光ファイバのうちの少なくとも1つは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを含むか、それらから本質的に成るか、またはそれらから成る、ステップクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。第1の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第3の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第2の屈折率は、第1の屈折率より小さく、第4の屈折率より大きくあり得る。
【0023】
レーザビームのビームパラメータ積および/またはビーム形状は、レーザビームをファイバ束内の選択された光ファイバおよび/または1つ以上の他の光ファイバの入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、改変され得る。1つ以上の第2の内部結合場所は、1つ以上の第1の内部結合場所と異なり得る。レーザビームは、ビームエミッタから放出され得、ビームエミッタは、複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、分散させられたビームを受け取り、分散させられたビームの一部をそれを通してレーザビームとして伝送し、分散させられたビームの第2の部分を分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられた部分反射出力結合器とを含むか、それらから本質的に成るか、またはそれらから成る。レーザビームは、複数の波長から成り得る。離散ビームの各々は、異なる波長を有し得る。分散させられたビームの第2の部分は、1つ以上のビーム源に戻るように伝搬し、それによって、ビームをその放出波長に安定化させ得る。集束光学は、1つ以上の円筒形レンズ、1つ以上の球状レンズ、1つ以上の球状ミラー、および/または1つ以上の円筒形ミラーを含むか、またはそれから本質的に成り得る。分散要素は、1つ以上の回折格子(例えば、1つ以上の透過格子および/または1つ以上の反射格子)、1つ以上の分散ファイバ、および/または1つ以上のプリズムを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0024】
さらに別の側面では、本発明の実施形態は、異なる特性を有し、同一入力ビームから生じる複数の出力ビームを使用して複数のワークピースを処理する方法を特徴とする。ファイバ束が、提供される。ファイバ束は、第1の光ファイバと、第2の光ファイバとを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る。第1の光ファイバは、(a)レーザビームを受け取るための第1の入力端と、(b)第1の入力端の反対にある、レーザビームの第1のワークピースへの送達のための第1の出力端とを有する。第2の光ファイバは、(a)レーザビームを受け取るための第1の入力端に近接した第2の入力端と、(b)第2の入力端の反対にある、レーザビームの第1のワークピースと異なる第2のワークピースへの送達のための第2の出力端とを有する。種々の実施形態では、第1および第2の出力端は、レーザビームを同一ワークピースの異なる部分に送達する。レーザビームは、第1の入力端に向かわせられ、第1のワークピースを処理する。第1のワークピースの処理の前および/またはその間、レーザビームの第1のビームパラメータ積および/または第1のビーム形状が、レーザビームを第1の入力端上の1つ以上の第1の内部結合場所第1の入力端上の上に向かわせることによって選択される。レーザビームは、第2の入力端に向かわせられ、第2のワークピースを処理する。第2のワークピースの処理の前および/またはその間、レーザビームの第2のビームパラメータ積および/または第2のビーム形状が、レーザビームを第2の入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって選択される。第2のビームパラメータ積および/または第2のビーム形状は、第1のビームパラメータ積および/または第1のビーム形状と異なり得る。第2のビームパラメータ積および/または第2のビーム形状は、第1のビームパラメータ積および/または第1のビーム形状と同一であり得る。
【0025】
本発明の実施形態は、種々の組み合わせのいずれかにおいて、以下のうちの1つ以上のものを含み得る。第1および第2のワークピースの少なくとも1つの特性は、異なり得る。少なくとも1つの特性は、厚さおよび/または組成物を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。レーザビームの出力電力は、第1の入力端にレーザビームを向かわせることと、第2の入力端にレーザビームを向かわせることとの間で変調され得る。レーザビームの出力電力は、第1の入力端にレーザビームを向かわせることと、第2の入力端にレーザビームを向かわせることとの間で変調されないこともある。第1の光ファイバの内部構成は、第2の光ファイバの内部構成と実質的に同じであり得る。第1の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、第1の光ファイバの1つ以上のクラッディング領域と交わり得、1つ以上のクラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、第1のワークピースを処理するために利用され得る。第2の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、第2の光ファイバの1つ以上のクラッディング領域と交わり得、1つ以上のクラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、第2のワークピースを処理するために利用され得る。第1の入力端にレーザビームを向かわせることは、(i)レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、および/または、(ii)レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。第2の入力端にレーザビームを向かわせることは、(i)レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、および/または、(ii)レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。第1の光ファイバおよび第2の光ファイバの物理的特性は、異なり得る。物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0026】
第1の光ファイバおよび/または第2の光ファイバは、1つ以上のファイバコアを包囲する複数のクラッディングを有するマルチクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。例えば、マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ファイバコアの屈折率は、第1のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。第1のクラッディング領域の屈折率は、第2のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。
【0027】
第1の光ファイバおよび/または第2の光ファイバは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを含むか、それらから本質的に成るか、またはそれらから成るステップクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。第1の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第3の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第2の屈折率は、第1の屈折率より小さく、第4の屈折率より大きくあり得る。
【0028】
レーザビームは、複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、分散させられたビームを受け取り、分散させられたビームの一部をそれを通してレーザビームとして伝送し、分散させられたビームの第2の部分を分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられた部分反射出力結合器とを含むか、それらから本質的に成るか、またはそれらから成るビームエミッタから放出され得る。レーザビームは、複数の波長から成り得る。離散ビームの各々は、異なる波長を有し得る。分散させられたビームの第2の部分は、1つ以上のビーム源に戻るように伝搬し、それによって、ビームをその放出波長に安定化させ得る。集束光学は、1つ以上の円筒形レンズ、1つ以上の球状レンズ、1つ以上の球状ミラー、および/または1つ以上の円筒形ミラーを含むか、またはそれから本質的に成り得る。分散要素は、1つ以上の回折格子(例えば、1つ以上の透過格子および/または1つ以上の反射格子)、1つ以上の分散ファイバ、および/または1つ以上のプリズムを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0029】
別の側面では、本発明の実施形態は、レーザビームを用いてワークピースを処理する方法を特徴とする。ファイバ束が、提供される。ファイバ束は、複数の光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る。光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)入力端の反対にある、受け取られたレーザビームの送達のための出力端とを有する。ワークピースは、光ファイバのうちの選択された1つの出力端に近接して配置される。ワークピースの処理のためのビームパラメータ積および/またはビーム形状が、ワークピースの少なくとも1つの特性に基づいて決定される。レーザビームは、選択された光ファイバに向かわせられる。レーザビームが、選択された光ファイバに向かわせられている間、レーザビームは、選択された光ファイバの入力端上の1つ以上の内部結合場所上に向かわせられ、選択された光ファイバの出力端から放出されるレーザビームのビームパラメータ積および/またはビーム形状を選択する。ワークピースは、選択された光ファイバの出力端から放出されるレーザビームを用いて処理される。
【0030】
本発明の実施形態は、種々の組み合わせのいずれかにおいて、以下のうちの1つ以上のものを含み得る。ワークピースを処理することは、ワークピースの表面上および/または内の特徴の少なくとも一部を物理的に改変し、および/または、それを形成することを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ワークピースを処理することは、切断、溶接、エッチング、アニーリング、穿孔、はんだ付け、および/またはろう付けを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ワークピースの少なくとも1つの特性は、ワークピースの厚さおよび/またはワークピースの組成物を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。内部結合場所のうちの少なくとも1つは、選択された光ファイバの1つ以上のクラッディング領域と交わり得、1つ以上のクラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、ワークピースを処理するために利用され得る。レーザビームを選択された光ファイバに向かわせることは、(i)レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、および/または、(ii)レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ファイバ束内の光ファイバのうちの少なくとも2つの物理的特性は、異なり得る。物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0031】
選択された光ファイバは、1つ以上のファイバコアを包囲する複数のクラッディングを有するマルチクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。例えば、マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。ファイバコアの屈折率は、第1のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。第1のクラッディング領域の屈折率は、第2のクラッディング領域の屈折率より大きくあり得る。
【0032】
選択された光ファイバは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを含むか、それらから本質的に成るか、またはそれらから成るステップクラッド光ファイバを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。第1の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第3の屈折率は、第4の屈折率より大きくあり得る。第2の屈折率は、第1の屈折率より小さく、第4の屈折率より大きくあり得る。
【0033】
レーザビームのビームパラメータ積および/またはビーム形状は、レーザビームをファイバ束内の選択された光ファイバおよび/または1つ以上の他の光ファイバの入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、ワークピースを処理する間またはその後、改変され得る。1つ以上の第2の内部結合場所は、1つ以上の第1の内部結合場所と異なり得る。レーザビームは、ビームエミッタから放出され得、ビームエミッタは、複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、分散させられたビームを受け取り、分散させられたビームの一部をそれを通してレーザビームとして伝送し、分散させられたビームの第2の部分を分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられた部分反射出力結合器とを含む、から本質的に成る、またはから成る。レーザビームは、複数の波長から成り得る。離散ビームの各々は、異なる波長を有し得る。分散させられたビームの第2の部分は、1つ以上のビーム源に戻るように伝搬し、それによって、ビームをその放出波長に安定化させ得る。集束光学は、1つ以上の円筒形レンズ、1つ以上の球状レンズ、1つ以上の球状ミラー、および/または1つ以上の円筒形ミラーを含むか、またはそれから本質的に成り得る。分散要素は、1つ以上の回折格子(例えば、1つ以上の透過格子および/または1つ以上の反射格子)、1つ以上の分散ファイバ、および/または1つ以上のプリズムを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。
【0034】
これらおよび他の目的は、本明細書に開示される本発明の利点ならびに特徴とともに、以下の説明、添付図面、および請求項の参照を通して、より明白となるであろう。さらに、本明細書に説明される種々の実施形態の特徴は、相互排他的ではなく、種々の組み合わせおよび順列で存在し得ることを理解されたい。本明細書で使用されるように、「実質的に」という用語は、±10%、いくつかの実施形態では、±5%を意味する。「本質的に~から成る」という用語は、本明細書で別様に定義されない限り、機能に寄与する他の材料を除外することを意味する。それでもなお、そのような他の材料が、集合的または個別に、微量で存在し得る。本明細書では、「放射線」および「光」という用語は、別様に指示されない限り、同義的に利用される。本明細書で、「下流」または「光学的に下流」とは、第1の要素に衝突後に光ビームが衝打する第2の要素の相対的場所を示すために利用され、第1の要素は、第2の要素の「上流」または「光学的に上流」にある。本明細書では、2つの構成要素間の「光学距離」は、光ビームによって実際に進行させられる2つの構成要素間の距離であり、光学距離は、2つの構成要素間の物理的距離と等しくあり得るが、例えば、構成要素のうちの一方から他方に進行する光によって被られるミラーからの反射または伝搬方向における他の変化に起因して、必ずしもそうではない。
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
複数の出力を有するレーザシステムであって、前記システムは、
レーザビームの放出のためのビームエミッタと、
複数の光ファイバを備えているファイバ束であって、前記光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)前記入力端の反対にある出力端とを有し、前記出力端は、前記受け取られたレーザビームのワークピースへの送達のためのものである、ファイバ束と、
前記レーザビームを受け取り、前記レーザビームを前記ファイバ束に向かって反射するための反射体と、
前記レーザビームを前記反射体から受け取り、前記レーザビームを前記ファイバ束内の光ファイバの前記入力端のうちの1つのみの中に結合するための光学要素と、
コントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を生じさせ、かつそれを制御し、それによって、(i)前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバ、または、(ii)選択されたファイバの端面上の前記レーザビームが向かわせられる場所のうちの少なくとも1つを決定し、それによって、ビーム形状またはビームパラメータ積のうちの少なくとも1つが、少なくとも部分的に前記レーザビームの前記光ファイバの中への前記結合によって決定される、システム。
(項目2)
前記コントローラは、測定されたパラメータに基づいて、前記選択されたファイバの前記端面上の前記レーザビームが向かわせられる前記場所を徐々に調節するためのフィードバック動作のために構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記測定されたパラメータは、前記ワークピースの測定されたパラメータである、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記測定されたパラメータは、前記レーザビームの測定されたパラメータである、項目2に記載のシステム。
(項目5)
前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動は、前記反射体の回転または前記光学要素の側方平行移動のうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記光学要素は、1つ以上のレンズおよび/または1つ以上のプリズムを備えている、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記ファイバ束内の前記光ファイバのうちの少なくとも2つの物理的特性は、異なる、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を含む、項目1に記載のシステム。
(項目9)
入力端キャップをさらに備え、前記ファイバ束内の前記光ファイバの前記入力端は、前記入力端キャップに融合されている、項目1に記載のシステム。
(項目10)
各光ファイバのために、前記光ファイバの前記出力端上に配置された出力端キャップをさらに備えている、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記光ファイバのうちの少なくとも1つは、マルチクラッド光ファイバを備え、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、項目1に記載のシステム。
(項目12)
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の前記屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記コントローラは、前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバのために、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を制御し、それによって、前記レーザビームが結合される前記光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成され、前記光ファイバの前記部分は、前記ファイバコア、前記第1のクラッディング領域、および前記第2のクラッディング領域を含む、項目11に記載のシステム。
(項目14)
前記コントローラは、前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバのために、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を制御し、それによって、前記レーザビームが結合される前記光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成され、前記光ファイバの前記部分は、1つ以上のファイバコアおよび1つ以上のクラッディング領域を含む、項目1に記載のシステム。
(項目15)
前記光ファイバのうちの少なくとも1つは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備えているステップクラッド光ファイバを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ前記第4の屈折率より大きい、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記コントローラは、前記レーザビームが結合される前記ファイバ束の前記光ファイバのために、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの少なくとも1つとの間の相対的運動を制御し、それによって、前記レーザビームが結合される前記光ファイバの1つ以上の部分を決定するように構成され、前記光ファイバの前記部分は、前記中心コア、前記第1のクラッディング、および前記環状コアを含む、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記ビームエミッタは、前記コントローラに応答し、
前記コントローラは、前記光ファイバの前記入力端と前記反射体または前記光学要素のうちの前記少なくとも1つとの間の相対的運動中、前記ビームエミッタの出力電力を変調するように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目18)
前記コントローラは、前記レーザビームの少なくとも一部を前記レーザビームが結合される前記光ファイバのクラッディング領域の中に結合することによって、前記レーザビームの前記ビームパラメータ積を増加させるように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目19)
前記コントローラは、少なくとも部分的に前記レーザビームが結合される前記光ファイバの前記出力端に近接した前記ワークピースの特性に基づいて、前記ビーム形状または前記ビームパラメータ積のうちの少なくとも1つを決定するように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目20)
前記ワークピースの前記特性は、前記ワークピースの厚さまたは前記ワークピースの組成物のうちの少なくとも1つを含む、項目19に記載のシステム。
(項目21)
(i)前記ワークピース上に画定された処理経路に対応するデータを記憶するための前記コントローラにアクセス可能なメモリと、(ii)複数の材料のための処理データを記憶するためのデータベースとをさらに備え、前記コントローラは、前記データベースにクエリし、前記ワークピースの1つ以上の材料のための処理データを取得するように構成され、前記ビームのビーム形状またはビームパラメータ積のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記取得された処理データによって決定される、項目19に記載のシステム。
(項目22)
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、
部分反射出力結合器と
を備え、
前記部分反射出力結合器は、前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部をそれを通して前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられており、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、項目1に記載のシステム。
(項目23)
前記分散要素は、回折格子を備えている、項目22に記載のシステム。
(項目24)
レーザビームのビームパラメータ積またはビーム形状のうちの少なくとも1つを調節する方法であって、前記方法は、
複数の光ファイバを備えているファイバ束を提供することであって、前記光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)前記入力端の反対にある出力端とを有し、前記出力端は、前記受け取られたレーザビームの送達のためのものである、ことと、
レーザビームを前記ファイバ束の前記光ファイバのうちの選択された1つに向かわせることと、
その間、前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の第1の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームのビームパラメータ積またはビーム形状のうちの少なくとも1つを選択することと
を含む、方法。
(項目25)
前記レーザビームを用いて、前記選択された光ファイバの前記出力端に近接して配置されたワークピースを処理することをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの前記少なくとも1つは、少なくとも部分的に前記ワークピースの特性に基づいて選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記ワークピースの前記特性は、前記ワークピースの厚さまたは前記ワークピースの組成物のうちの少なくとも1つを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第1の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記選択された光ファイバのクラッディング領域と交わる、項目24に記載の方法。
(項目29)
前記レーザビームを前記光ファイバのうちの前記選択された1つに向かわせることは、(i)前記レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、項目24に記載の方法。
(項目30)
前記ファイバ束内の前記光ファイバのうちの少なくとも2つの物理的特性は、異なる、項目24に記載の方法。
(項目31)
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記光ファイバのうちの少なくとも1つは、マルチクラッド光ファイバを備え、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、項目24に記載の方法。
(項目33)
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の前記屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記光ファイバのうちの少なくとも1つは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備えているステップクラッド光ファイバを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ前記第4の屈折率より大きい、項目24に記載の方法。
(項目35)
前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの少なくとも1つを改変することをさらに含み、前記1つ以上の第2の内部結合場所は、前記1つ以上の第1の内部結合場所と異なる、項目24に記載の方法。
(項目36)
ビームエミッタから前記レーザビームを放出することをさらに含み、
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、
前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部をそれを通して前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられた部分反射出力結合器と
を備え、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、項目24に記載の方法。
(項目37)
前記分散要素は、回折格子を備えている、項目36に記載の方法。
(項目38)
複数の出力ビームを使用して複数のワークピースを処理する方法であって、前記複数の出力ビームは、異なる特性を有し、同一入力ビームから生じ、前記方法は、
ファイバ束を提供することであって、前記ファイバ束は、
(i)(a)レーザビームを受け取るための第1の入力端と、(b)前記第1の入力端の反対にある第1の出力端とを有する第1の光ファイバであって、前記第1の出力端は、前記レーザビームの第1のワークピースへの送達のためのものである、第1の光ファイバと、
(ii)(a)前記レーザビームを受け取るための前記第1の入力端に近接した第2の入力端と、(b)前記第2の入力端の反対にある第2の出力端とを有する第2の光ファイバであって、前記第2の出力端は、前記レーザビームの前記第1のワークピースと異なる第2のワークピースへの送達のためのものである、第2の光ファイバと
を備えている、ことと、
前記レーザビームを前記第1の入力端に向かわせ、前記第1のワークピースを処理することと、
その間、前記レーザビームを前記第1の入力端上の1つ以上の第1の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの第1のビームパラメータ積または第1のビーム形状のうちの少なくとも1つを選択することと、
前記レーザビームを前記第2の入力端に向かわせ、前記第2のワークピースを処理することと、
その間、前記レーザビームを前記第2の入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの第2のビームパラメータ積または第2のビーム形状のうちの少なくとも1つを選択することと
を含み、
前記第2のビームパラメータ積または第2のビーム形状のうちの前記少なくとも1つは、前記第1のビームパラメータ積または第1のビーム形状のうちの前記少なくとも1つと異なる、方法。
(項目39)
前記第1および第2のワークピースの少なくとも1つの特性は、異なる、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記少なくとも1つの特性は、厚さおよび/または組成物を含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記第1の入力端に前記レーザビームを向かわせることと、前記第2の入力端に前記レーザビームを向かわせることとの間で前記レーザビームの出力電力を変調することをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
前記第1の光ファイバの内部構成は、前記第2の光ファイバの内部構成と実質的に同じである、項目38に記載の方法。
(項目43)
前記第1の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記第1の光ファイバのクラッディング領域と交わり、前記クラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、前記第1のワークピースを処理するために利用される、項目38に記載の方法。
(項目44)
前記第2の内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記第2の光ファイバのクラッディング領域と交わり、前記クラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、前記第2のワークピースを処理するために利用される、項目38に記載の方法。
(項目45)
前記第1の入力端に前記レーザビームを向かわせることは、(i)前記レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、項目38に記載の方法。
(項目46)
前記第2の入力端に前記レーザビームを向かわせることは、(i)前記レーザビームを前記1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを前記1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記第1の光ファイバおよび前記第2の光ファイバの物理的特性は、異なる、項目38に記載の方法。
(項目48)
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記第1または第2の光ファイバのうちの少なくとも1つは、マルチクラッド光ファイバを備え、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、項目38に記載の方法。
(項目50)
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の前記屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記第1または第2の光ファイバのうちの少なくとも1つは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備えているステップクラッド光ファイバを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ前記第4の屈折率より大きい、項目38に記載の方法。
(項目52)
ビームエミッタから前記レーザビームを放出することをさらに含み、
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、
前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部をそれを通して前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられた部分反射出力結合器と
を備え、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、項目38に記載の方法。
(項目53)
前記分散要素は、回折格子を備えている、項目52に記載の方法。
(項目54)
レーザビームを用いてワークピースを処理する方法であって、前記方法は、
複数の光ファイバを備えているファイバ束を提供することであって、前記光ファイバの各々は、(i)レーザビームを受け取るための入力端と、(ii)前記入力端の反対にある出力端とを有し、前記出力端は、前記受け取られたレーザビームの送達のためのものである、ことと、
ワークピースを前記光ファイバのうちの選択された1つの出力端に近接して配置することと、
前記ワークピースの少なくとも1つの特性に基づいて、前記ワークピースの処理のためのビームパラメータ積またはビーム形状のうちの少なくとも1つを決定することと、
レーザビームを前記選択された光ファイバに向かわせることと、
その間、前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の内部結合場所に向かわせ、前記選択された光ファイバの前記出力端から放出される前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの前記少なくとも1つを選択することと、
前記ワークピースを前記選択された光ファイバの前記出力端から放出される前記レーザビームを用いて処理ことと
を含む、方法。
(項目55)
前記ワークピースを処理することは、前記ワークピースの表面の少なくとも一部を物理的に改変することを含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記ワークピースを処理することは、切断、溶接、エッチング、アニーリング、穿孔、はんだ付け、またはろう付けのうちの少なくとも1つを含む、項目54に記載の方法。
(項目57)
前記ワークピースの前記少なくとも1つの特性は、前記ワークピースの厚さおよび/または前記ワークピースの組成物を含む、項目54に記載の方法。
(項目58)
前記内部結合場所のうちの少なくとも1つは、前記選択された光ファイバのクラッディング領域と交わり、前記クラッディング領域の中に結合されるビームエネルギーは、前記ワークピースを処理するために利用される、項目54に記載の方法。
(項目59)
前記レーザビームを前記選択された光ファイバに向かわせることは、(i)前記レーザビームを1つ以上の反射体を用いて反射すること、または、(ii)前記レーザビームを1つ以上の光学要素を用いて集束させることのうちの少なくとも1つを含む、項目54に記載の方法。
(項目60)
前記ファイバ束内の前記光ファイバのうちの少なくとも2つの物理的特性は、異なる、項目54に記載の方法。
(項目61)
前記物理的特性は、ファイバコアの量、クラッディング領域の量、ファイバコアの直径、クラッディング領域の厚さ、ファイバコアの屈折率、および/またはクラッディング領域の屈折率を備えている、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記選択された光ファイバは、マルチクラッド光ファイバを備え、前記マルチクラッド光ファイバは、ファイバコアと、前記ファイバコアを包囲する第1のクラッディング領域と、前記第1のクラッディング領域を包囲する第2のクラッディング領域とを備えている、項目54に記載の方法。
(項目63)
(i)前記ファイバコアの屈折率は、前記第1のクラッディング領域の屈折率より大きく、(ii)前記第1のクラッディング領域の前記屈折率は、前記第2のクラッディング領域の屈折率より大きい、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記選択された光ファイバは、(i)第1の屈折率を有する中心コアと、(ii)前記中心コアを包囲する第2の屈折率を有する第1のクラッディングと、(iii)前記第1のクラッディングを包囲する第3の屈折率を有する環状コアと、(iv)前記環状コアを包囲する第4の屈折率を有する第2のクラッディングとを備えているステップクラッド光ファイバを備え、(i)前記第1の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(ii)前記第3の屈折率は、前記第4の屈折率より大きく、(iii)前記第2の屈折率は、前記第1の屈折率より小さく、かつ前記第4の屈折率より大きい、項目54に記載の方法。
(項目65)
前記ワークピースを処理する間、前記レーザビームを前記選択された光ファイバの前記入力端上の1つ以上の第2の内部結合場所に向かわせることによって、前記レーザビームの前記ビームパラメータ積または前記ビーム形状のうちの少なくとも1つを改変することをさらに含み、前記1つ以上の第2の内部結合場所は、前記1つ以上の第1の内部結合場所と異なる、項目54に記載の方法。
(項目66)
ビームエミッタから前記レーザビームを放出することをさらに含み、
前記ビームエミッタは、
複数の離散ビームを放出する1つ以上のビーム源と、
前記複数のビームを分散要素上に集束させるための集束光学と、
前記受け取られる集束させられたビームを受け取り、それを分散させるための分散要素と、
前記分散させられたビームを受け取り、前記分散させられたビームの一部をそれを通して前記レーザビームとして伝送し、前記分散させられたビームの第2の部分を前記分散要素に向かって戻るように反射するために位置付けられた部分反射出力結合器と
を備え、
前記レーザビームは、複数の波長から成る、項目54に記載の方法。
(項目67)
前記分散要素は、回折格子を備えている、項目66に記載の方法。
【0035】
図面中、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して、同一の部品を指す。また、図面は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、代わりに、概して、本発明の原理を図示する際に強調が置かれる。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1-1】
図1Aは、本発明の種々の実施形態による、複数の光ファイバのファイバ束を組み込むレーザシステムの概略図である。
図1Bは、
図1Aのファイバ束の概略断面略図である。
【
図1-2】
図1Cは、本発明の種々の実施形態による、ステップクラッド光ファイバの概略断面略図である。
図1Dは、
図1Cのステップクラッド光ファイバの一部の相対的屈折率の概略グラフである。
【
図2】
図2Aは、本発明の種々の実施形態による、複数の光ファイバのファイバ束を組み込むレーザシステムの概略図である。
図2Bは、
図2Aのファイバ束の概略断面略図である。
【
図3】
図3は、本発明の種々の実施形態による、マルチクラッド光ファイバの概略断面略図と、マルチクラッド光ファイバの一部の相対的屈折率とのグラフである。
【
図4】
図4は、本発明の種々の実施形態による、印加されるビーム位置決め電圧の関数としてのビーム形状およびBPPの例示的シーケンスである。
【
図5】
図5は、本発明の種々の実施形態による、制御電圧の関数としてのビーム内部結合位置のグラフである。
【
図6】
図6は、本発明の種々の実施形態による、レーザビーム送達システムのための入力ビームを供給するために利用され得る波長ビーム結合レーザシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
図1Aは、本発明の種々の実施形態による、レーザシステム100を描写する。示されるように、レーザビーム110(例えば、WBCシステムの出力ビームであり得る)が、反射体120(例えば、1つ以上のミラー)によって向かわせられ、光学要素130(例えば、1つ以上のレンズ)によって、ファイバ束140の複数のファイバのうちの1つの中に結合され、ファイバ束140は、2つ以上の光ファイバ150を含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り、それらのうちの少なくとも2の(またはさらに全部)は、異なる内部構成(例えば、クラッディング層の数、コアの数、コアおよび/またはクラッディングの屈折率、コアおよび/またはクラッディングのサイズ等)を有し得る。ファイバ束140の光ファイバ150の各々は、異なるレーザヘッド160(
図1Aでは、4つのレーザヘッド160が、レーザヘッド160-1、160-2、160-3、および160-nとして標識される;本発明の実施形態は、わずか2つのレーザヘッド160または5つ以上のレーザヘッド160を含み得る)に接続され、レーザヘッド160は、例えば、出力レーザビームを、切断、溶接等の材料処理のためにワークピースに向かわせるためのさらなる光学を含み得る。
図1Aは、レーザビーム110が、反射体120の移動(例えば、回転および/または平行移動)を介して、レーザヘッド160-1またはレーザヘッド160-2のいずれかに結合されている例示的実施形態を描写する。レーザビーム110は、反射体120に加え、またはその代わりに、他の手段、例えば、光学要素130の移動、プリズム等の1つ以上の調節可能光学要素の使用によって、ファイバ束140のファイバ150のうちの1つ以上のものに向かわせられ得る。本発明の種々の実施形態では、ファイバ束140のファイバ150は、マルチモードファイバであり得、そのようなファイバのコア直径は、例えば、少なくとも20μmであり得る。
図1Bは、ファイバ束140の概略端面図を描写する。
図1Bは、密に充填された丸形構成に配列されたファイバ束のファイバを描写するが、本発明の実施形態は、ファイバ束内のファイバの他の配列も、例えば、線形も含む。
【0038】
レーザシステム100の動作中、レーザビーム110の電力が、レーザビーム110がファイバ150のうちの1つから別のファイバに向かわせられる期間の少なくとも一部中、減少させられ得るか、または、レーザビーム110が、オフにされるか、またはファイバ束140以外の構成要素(例えば、ビームエネルギーを廃棄または消散させるためのビームダンプ)に向かわせられ得る。本発明の種々の実施形態では、ファイバ150の損傷のリスクを低減させるために、ファイバ束140の入力側は、ガラス端部キャップに取り付けられる(例えば、融合を介して)。すなわち、ファイバ束の入力側は、異なるファイバ150がガラス端部キャップの異なるエリア部分に結合される単一の区分であり得る。
図1Bに示されるように、少なくともファイバ束140の入力端におけるファイバは、シース170内に配置され得る。各ファイバ150の出力側も、個々のガラス端部キャップに融合され得る。ガラス端部キャップ(
図1Aには図示せず)は、例えば、少なくとも5mmの長さを有し得る。端部キャップの長さは、例えば、50mmまたはそれ未満であり得る。
【0039】
本発明の種々の実施形態によると、ファイバ束内の光ファイバの種々のコアおよびクラッディング層は、実質的に純粋な溶融シリカ、ならびに/または、フッ素、チタン、ゲルマニウム、および/またはホウ素でドープされた溶融シリカ等のガラスを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成り得る。光ファイバの異なる部分(例えば、コアおよびクラッディング領域)内の所望の屈折率を達成するための適切な材料の選択は、過度の実験を伴わずに、当業者によって実施され得る。
【0040】
種々の実施形態では、レーザシステム100は、2つ以上のファイバ150間のレーザビーム110の高速操向を介して、複数のビームを実質的に同時に出力し得る。そのような実施形態では、複数のレーザヘッド160が、材料処理のために同時に利用され得る。本発明の実施形態は、異なるBPPおよび/またはビーム形状を有するレーザビームを、異なるワークステーションおよび/またはワークピースに送達するための便利な方法を提供する。例えば、ファイバ束140は、異なるコア直径を有するファイバ150を含み得る。例示的実施形態では、ファイバ束140は、100μm~600μmに及ぶ異なるコア直径を有する光ファイバを組み込み、それによって、約4~約24mm・mradに及ぶBPP値を有するレーザビームを生成する。これらの値は、単に、例示であり、本発明の実施形態は、ファイバ束140内のファイバ150の構成に応じて、広範囲のBPPおよび/またはビーム形状を有する出力レーザビームを生成するために利用され得る。
【0041】
本発明の種々の実施形態では、レーザシステム100は、ファイバ束140の種々のファイバ150間のレーザビーム110の移動を制御するコントローラ180を組み込む。例えば、コントローラ180は、レーザビーム110がファイバ束140内の異なるファイバ150またはファイバ150の異なる部分の中に向かわせられるようにするために、反射体120、光学要素130、および/またはファイバ束140の移動(例えば、1、2、または3自由度に対する回転および/または平行移動)を制御し得る。例えば、反射体120および/または光学要素130は、コントローラ180によって制御される1つ以上の圧電アクチュエータを介して、移動させられ得る。これらのアクチュエータは、ステッパモータを組み込み得、ステッパモータは、ビームを所望の位置にもたらすように、制御される要素を漸増的に回転および/または平行移動させる。コントローラ180はまた、レーザビーム110を異なるファイバ150および/または単一ファイバ150の異なる部分の中に結合するために、反射体120および/または光学要素130を制御することに加え、またはその代わりに、ファイバ束140のファイバ150の入力端を移動させ得る。コントローラ180は、ワークピースにおけるビーム性質(例えば、束密度、ビーム直径、ビーム形状等)の所望の値と、ビーム性質とファイバ端面またはビームを搬送する束内の最も適切なファイバに対するビームの位置との間の既知の関係とに基づいて;または、ユーザ入力(例えば、指定されるファイバの端面またはその一部(例えば、1つ以上のコアまたはクラッディング)とのコマンドされる重複度またはその上の位置)に基づいて、ファイバ端面に対するレーザビームの適切な位置を算出し得るか、または、下記により詳細に説明されるように、コントローラ180は、ビームと指定されるファイバの端面との間の最適整列が徐々に達成されるように、フィードバックを使用し得る。例えば、光検出器または他の光センサが、ワークピースに近接して利用され、ワークピース表面におけるビーム形状、ビーム直径、および/または束密度(例えば、ビーム自体のビーム性質、またはワークピース表面からの反射の測定を介して)を監視し得、コントローラは、測定された値をフィードバックとして利用して、所望のビーム性質がワークピースにおいて達成されるまで、選択されたファイバ端部に対する入力ビームの位置付けを調節し得る。他のセンサ、例えば、温度センサおよび/またはワークピース表面上に及ぼすビームの影響を測定するセンサ(例えば、深度またはプロファイルセンサ等)も、本発明の実施形態における光センサに加えて、またはその代わりに利用され得る。
【0042】
コントローラ180は、ファイバ束140に対するレーザビーム110の移動前、中、または後にもレーザビーム110を制御し得る。例えば、コントローラ180は、ファイバ束140に対するレーザビーム110の運動の1つ以上のもの(またはさらに全部)中、レーザビーム110の出力電力を変調し、および/または、レーザビーム110をオンもしくはオフに切り替え得る。
【0043】
コントローラ180は、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらのある組み合わせのいずれかとして提供され得る。例えば、コントローラ180は、Intel Corporation(Santa Clara,Calif.)によって製造されたPentium(登録商標)またはCeleronファミリのプロセッサ、Motorola Corporation(Schaumburg,Ill.)によって製造された680x0およびPOWER PCファミリのプロセッサ、および/またはAdvaced Micro Devices,Inc.(Sunnyvale,Calif.)によって製造されたATHLON線のプロセッサ等の1つ以上のプロセッサを含むCPUボードを有するPC等の1つ以上の従来のサーバクラスコンピュータ上に実装され得る。したがって、種々の実施形態では、コントローラ180は、プロセッサ(例えば、中央処理ユニット)を含み得る。プロセッサは、上で説明される方法に関連するプログラムおよび/またはデータを記憶するためのメインメモリユニットも含み得る。メモリは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、または読み取り専用メモリデバイス(ROM)等の一般に利用可能なハードウェア上に常駐する、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、および/またはフラッシュメモリを含み得る。いくつかの実施形態では、プログラムは、光ディスク、磁気ディスク、ならびに他の一般に使用される記憶デバイス等の外部RAMおよび/またはROMを使用して提供され得る。機能が1つ以上のソフトウェアプログラムとして提供される実施形態に対して、プログラムは、PYTHON、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTML等のいくつかの高レベル言語のいずれかで書き込まれ得る。加えて、ソフトウェアは、標的コンピュータ上に常駐するマイクロプロセッサを対象とするアセンブリ言語で実装され得る。例えば、ソフトウェアは、IBM PCまたはPCクローン上で起動するように構成される場合、Intel 80x86アセンブリ言語で実装され得る。ソフトウェアは、限定ではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMを含む、製造品上で具現化され得る。所望の空間位置とのビームアラインメントおよびフィードバック応答移動を実装する制御ソフトウェアは、スキャナおよびプロッタ技術において明確に特徴付けられている。
【0044】
本発明の実施形態は、ファイバ束においてマルチクラッド光ファイバを利用して、ファイバの中に結合されるレーザビームの形状および/またはBPPの制御を提供し得る。例えば、本発明の実施形態によるレーザシステムは、2017年4月5日に出願された米国特許出願第15/479,745号(「第‘745号出願」)(本開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に詳述されるように、ステップクラッド光ファイバを利用し得る。
図1Cは、本発明の実施形態による、ファイバ束において利用され得る例示的ステップクラッド光ファイバ190の断面概略図である。種々の実施形態によると、ステップクラッドファイバ190は、中心コア192と、第1のクラッディング194と、環状コア196と、第2のクラッディング198とを含むか、それから本質的に成るか、またはそれから成る。第‘745号出願に記載されるように、第1のクラッディング194の種々の性質は、少なくとも部分的に、第1のクラッディング194の中に結合される電力に基づいて、BPP変動を可能にする。他のBPPおよび/またはビーム形状変動も、第1のクラッディング194に加え、またはその代わりにのいずれかにおいて、ステップクラッド光ファイバ190の他の部分の中に結合される電力に基づいて達成され得る。
図1Dは、ステップクラッドファイバ190の各層の屈折率および半径を描写する。示されるように、ファイバ190の第1のクラッディング194の屈折率(N
2)は、高屈折率N
1と低屈折率N
3との間の値を有し、それによって、中心コア192は、sqrt(N
1
2-N
3
2)によって与えられる環状コア196のNAより、sqrt(N
1
2-N
2
2)によって与えられる小さいNAを有するであろう。
図1Dは、中心コア192および環状コア196の屈折率が互いにほぼ等しいように描写するが、種々の実施形態では、環状コア196の屈折率は、中心コア192の屈折率と異なり得る(すなわち、それ未満であるか、またはそれを上回るかのいずれか)。しかしながら、一般に、環状コア196の屈折率は、第1のクラッディング194の屈折率より大きいままである。種々の実施形態では、第‘745号出願に開示されるように、環状コア196は、第1のクラッディング194と同一屈折率を有し得る、すなわち、
図1Cおよび1Dに描写される環状コア196は、第1のクラッディング194の中に合併する。本発明の実施形態による、ステップクラッドファイバ190は、レーザ電力の実質的に全てまたは全てを第1のクラッディング194の中に結合させ得る。より多くの電力が第1のクラッディング194の中に結合されるほど、概して、より大きいBPPにつながるであろう。種々の実施形態では、第1のクラッディング194と中心コア192との直径比率は、1.2より大きい、例えば、1.2~3またはさらに1.3~2である。
【0045】
図2Aは、レーザビーム110が、複数のマルチクラッド光ファイバ200を含むファイバ束140に向かわせられるレーザシステム100を描写する。図示および上で詳述されるように、レーザビーム110の種々の光ファイバの中への結合は、コントローラ180の指示下、反射体120および/または光学要素130の移動を介して実施され得る。
【0046】
本発明の種々の実施形態では、レーザビーム110は、ファイバ束140内の異なるファイバ間で切り替えられ得、異なるファイバは、異なる構造、例えば、異なるコア直径、異なるクラッディング直径、クラッディングの異なる数等を有する。そのような切り替えは、
図2Bに示されるように、1つのファイバから別ファイバへの距離210に沿ったレーザビーム110の移動を伴い得る。種々の実施形態では、レーザビーム110の性質(例えば、BPP)も、レーザビーム110のファイバ束140内の単一光ファイバの異なる部分の中への結合を介して制御され得る。そのような移動は、例えば、ビーム電力をレーザビーム110から光ファイバの1つ以上の異なる部分(例えば、コアおよび/またはクラッディング)の中に結合し得る。例えば、
図2Bは、単一光ファイバのコア領域とクラッディング領域との間のレーザビーム110の距離220に沿った移動を描写し、距離220は、距離210より短い距離である。
【0047】
ファイバ束140内の光ファイバの2つ以上のものは、実質的に同じ内部構成を有し得、すなわち、コアおよびクラッディングの数、場所、および屈折率の観点から、同一内部構造を有する。実質的に同じ内部構成を有する光ファイバの長さは、光ファイバの入力端と光ファイバの出力端との間の異なる距離に適応するために、異なり得る。すなわち、ファイバ束の入力端と、内部が同じである異なる光ファイバに結合されるレーザヘッドとの間の距離は、異なり得る。
【0048】
図3は、本発明の実施形態による、レーザシステム内で利用され得る例示的マルチクラッドファイバ200の構造および屈折率プロファイルを図式的に描写する。示されるように、マルチクラッドファイバ200は、第1のクラッディング層310および第2のクラッディング層320によって同心状に包囲されるコア領域300を有し得る。ファイバ200は、例えば、第2のクラッディング層320の外側に配置される機械的支持のための追加のガラスおよび/またはポリマー層(図示せず)も有し得る。マルチクラッドファイバ200の種々の領域の屈折率は、
図3に示されるように、コア300から、第1のクラッディング層310、第2のクラッディング層320と段階的に減少し得る。種々の実施形態では、コア領域300は、直径50μm~200μm、例えば、約100μmを有し得る。第1のクラッディング領域310の厚さ(または種々の実施形態では、直径)は、例えば、200μm~600μm、例えば、約400μm~約480μmの範囲であり得る。
【0049】
種々の実施形態では、(a)コア領域300、(b)第1のクラッディング領域310、または、(c)両方の中に結合されるようなレーザビーム110の移動は、出力ビームのBPPを改変させる。例えば、
図4は、0~10Vに及ぶ電圧信号を介して圧電アクチュエータによって制御される反射体120の回転を介してファイバの中に結合される4kW WBCレーザビームに対して、100μmコア直径と480μm直径の第1のクラッディング層とを有するマルチクラッド光ファイバの出力端における種々のBPPおよびビーム形状を描写する(すなわち、第1のクラッディング層は、コアを包囲し、第1のクラッディング層の外側境界は、ファイバの中心から480μmである)。示されるように、レーザビームのBPPは、4~20の範囲であり、ビームの形状は、1つ、2つ、またはそれを上回る異なるピークを有するように制御され得る。
図5は、ファイバ端面に対するビームの平行移動のために構成される圧電アクチュエータに印加される電圧信号と、レーザビーム110が結合されるマルチクラッド光ファイバの断面上の近似場所との間の関係を図示する、グラフである。
図4および5に示されるように、レーザビーム110が、コアの中に、および/または少なくとも部分的に、第1のクラッディング層の中に、中心からますますずれて結合されるにつれて、結果として生じる出力ビームのBPPは、増加する傾向にある。
図4および5に描写される状況では、入力ビームは、約95μmの直径を有する。したがって、レーザビーム110は、約0.5Vを上回る電圧で第1のクラッディング層に重複し始める。加えて、ビーム形状は、単一ピークから、分裂した狭いピーク、比較的に平坦なより広いピーク、二重ピーク形状に遷移する。入力ビーム位置は、入力ビームが実質的に一定電力で動作させられる間、変動され得、したがって、ビームBPPおよび/または形状は、1つの値から別の値に平滑に遷移し得る。他の実施形態では、入力ビームの電力は、ビーム位置が移動させられるにつれて、減少または完全にオフにされ得(次いで、所望のレベルまで戻るように増加され、それは、ビームが移動させられた後、移動に先立ったビーム電力と実質的に等しい場合とそうではない場合がある)、したがって、ビームBPPおよび/または形状は、1つの値から別の値に断続的に改変され得る。
【0050】
本発明の実施形態は、そのような入力ビーム移動を単一ファイバ内で利用し、出力ビームBPPおよび/または形状を調節する。本発明の実施形態は、入力ビーム移動をファイバ束内の異なる光ファイバ間でも利用し、調節可能BPPおよび/または形状を伴うそのような出力ビームを、
図1Aおよび2Aに示されるように、異なるレーザヘッドに提供する。異なるレーザヘッドは、異なるワークピースを処理するために利用され得、異なる場所(例えば、処理設備内の異なる部屋またはワークステーション)に物理的に位置し得る。コントローラ180は、本発明の実施形態によると、所望の処理のタイプ(例えば、切断、溶接等)および/または処理されているワークピース(例えば、材料パラメータ、厚さ、材料タイプ等)ならびに/もしくは出力ビームのためにマッピングされた所望の処理経路の1つ以上の特性に基づいて、出力ビームのBPPおよび/またはビーム形状を制御し得る。そのようなプロセスおよび/または材料パラメータは、ユーザによって、コントローラ180に関連付けられたメモリ内に記憶されるデータベースから選択され得るか、または入力デバイス(例えば、タッチスクリーン、キーボード、コンピュータマウス等のポインティングデバイス等)を介して打ち込まれ得る。1つ以上の処理経路は、ユーザによって提供され、オンボードまたはコントローラ180に関連付けられた遠隔メモリ内に記憶され得る。ワークピースおよび/または処理経路選択後、コントローラ180は、データベースにクエリし、対応するパラメータ値を取得する。記憶される値は、材料および/または1つ以上の処理経路もしくは材料上の処理場所に好適なBPPおよび/またはビーム形状を含み得る。
【0051】
プロットおよび走査技術において明確に理解されるように、ビームと所望のビーム経路との間の必要な相対的運動は、上で議論されるように、移動可能なミラーを使用したビームの光学偏向、ガントリ、送りねじ、または他の配列を使用したレーザの物理的移動、および/またはビームではなく(またはそれに加え)、ワークピースを移動させるための機械的配列によって、生成され得る。コントローラ180は、いくつかの実施形態では、ワークピースに対するビームの位置および/または処理有効性に関するフィードバックを好適な監視センサに接続されるフィードバックユニットから受信し得る。フィードバックユニットからの信号に応答して、コントローラ180は、例えば、入力ビーム110のファイバ束140の中の光ファイバ内の1つ以上の異なる場所への移動を介して、ビームの経路、BPP、および/または形状を改変し得る。本発明の実施形態は、2015年3月5日に出願された米国特許出願第14/639,401号、2016年9月9日に出願された米国特許出願第15/261,096号、および2017年7月14日に出願された米国特許出願第15/649,841号(それぞれの開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に開示される装置および技法の側面も組み込み得る。
【0052】
加えて、レーザシステムは、ワークピースの厚さおよび/またはその上の特徴の高さを検出するための1つ以上のシステムを組み込み得る。例えば、レーザシステムは、2015年4月1日に出願された米国特許出願第14/676,070号(開示全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に詳述されるように、ワークピースの干渉深度測定のためのシステム(またはその構成要素)を組み込み得る。そのような深度または厚さ情報は、例えば、処理されている材料のタイプに対応するデータベース内の記録に従って、コントローラによって、出力ビームBPPおよび形状を制御し、ワークピースの処理(例えば、切断または溶接)を最適化するために利用され得る。
【0053】
本発明の実施形態による、本明細書に詳述されるレーザシステムおよびレーザ送達システムは、WBCレーザシステム内および/またはそれとともに利用され得る。具体的には、本発明の種々の実施形態では、WBCレーザシステムの多波長出力ビームが、本明細書に詳述されるように、BPPおよび/またはビーム形状の変動のために、レーザビーム送達システムのための入力ビームとして利用され得る。
図6は、1つ以上のレーザ605を利用する例示的WBCレーザシステム600を描写する。
図6の実施例では、レーザ605は、ビーム610を放出する4つのビームエミッタを有するダイオードバーを特徴とする(拡大入力
図615参照)が、本発明の実施形態は、任意の数の個々のビームを放出するダイオードバーまたは2次元アレイもしくはスタックのダイオードまたはダイオードバーを利用し得る。ビュー615では、各ビーム610は、線によって示され、線の長さまたはより長い寸法は、ビームの低速発散次元を表し、高さまたはより短い寸法は、高速発散次元を表す。コリメート光学620が、各ビーム610を高速次元に沿ってコリメートするために使用され得る。1つ以上の円筒形もしくは球形レンズおよび/またはミラーを含むか、それから本質的に成り得るか、またはそれから成る変形光学625が、各ビーム610をWBC方向630に沿って結合するために使用される。変形光学625は、次いで、組み合わせられたビームを分散要素635(例えば、反射または透過回折格子、分散プリズム、グリズム(プリズム/格子)、伝送格子、またはエシェル格子を含むか、またはそれから本質的に成るか、またはそれから成り得る)上に重ね、組み合わせられたビームは、次いで、単一出力プロファイルとして出力結合器640上に伝送される。出力結合器640は、次いで、組み合わせられたビーム645を、示されるように、出力正面ビュー650上に伝送する。出力結合器640は、典型的には、部分的に反射性であり、この外部キャビティシステム600内の全レーザ要素のために共通正面ファセットとしての機能を果たす。外部キャビティは、レージングシステムであり、二次ミラーが、各レーザエミッタの放出開口またはファセットから離れるようにある距離だけ変位させられる。いくつかの実施形態では、追加の光学が、放出開口またはファセットと出力結合器または部分的反射表面との間に設置される。出力ビーム645は、したがって、多波長ビーム(個々のビーム610の波長を組み合わせる)であり、本明細書に詳述されるレーザビーム送達システム内の入力ビームとして利用され得、および/または光ファイバの中に結合され得る。
【0054】
本明細書で採用される用語および表現は、限定ではなく、説明の観点として使用され、そのような用語ならびに表現の使用において、図示および説明される特徴またはその一部の均等物のいずれかを除外する意図はなく、種々の修正が、請求される本発明の範囲内で可能であることを認識されたい。