(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】マルチバンドスロット付き平面アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20220318BHJP
H01Q 5/371 20150101ALI20220318BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20220318BHJP
H01Q 21/28 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q5/371
H01Q21/24
H01Q21/28
(21)【出願番号】P 2019541425
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(86)【国際出願番号】 US2018015848
(87)【国際公開番号】W WO2018144419
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-11-24
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504189151
【氏名又は名称】シュアー アクイジッション ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHURE ACQUISITION HOLDINGS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ケンケル マーク アレン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-056320(JP,A)
【文献】特開2002-057523(JP,A)
【文献】国際公開第2002/013312(WO,A1)
【文献】特開2008-092311(JP,A)
【文献】特表2004-529592(JP,A)
【文献】特開平11-317615(JP,A)
【文献】特表2005-539415(JP,A)
【文献】特表2003-509884(JP,A)
【文献】特開昭61-041205(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0160728(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01Q 5/371
H01Q 21/24
H01Q 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドプレーンと、
アンテナと、
を備えるアンテナ組立体であって、前記アンテナは、
前記グランドプレーンと略平行であり第1の周波数帯域で動作するように構成された第1の平面要素であって、第1のストリップ、第2のストリップ、前記第1のストリップと前記第2のストリップとの間に延びる接合ストリップ、及び前記第1のストリップと前記第2のストリップとの間に形成された略直線状のスロットを含む第1の平面要素と、
前記第1のストリップから下方に延びて前記グランドプレーンに電気的に結合された第1の接地要素と、
前記第2のストリップから下方に延びて前記グランドプレーンに電気的に結合された第2の接地要素と、
前記スロットの第1の端部で前記接合ストリップから下方に延びる給電要素と、
前記第1の平面要素及び前記グランドプレーンと略平行であり、第2の周波数帯域で動作するように構成された第2の平面要素と、
前記第2の平面要素から下方に前記第1の平面要素に延びる接続要素と、
を備える、ことを特徴とするアンテナ組立体。
【請求項2】
前記第1の平面要素の前記第1のストリップは、前記第1の接地要素から略垂直に前記接合ストリップに延びており、前記第1の平面要素の前記第2のストリップは、前記第2の接地要素から略垂直に前記接合ストリップ及び前記接続要素に延びる、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項3】
前記第1の平面要素の前記第2のストリップは、
前記グランドプレーンを横切る方向で見たときに、略L字形である、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項4】
前記第1の平面要素の前記第2のストリップは、
前記第2の接地要素から略垂直に前記接続要素及び第2の部分に延びる第1の部分と、
前記第1の部分から前記接合ストリップに延び、前記スロットと略平行である前記第2の部分と、
を含む、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項5】
前記第2の平面要素は、
前記グランドプレーンを横切る方向で見たときに、略L字形である、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項6】
前記第2の平面要素は、
前記接続要素から略垂直に延び、前記スロットと略平行である第1の部分と、
前記第1の部分の端部から延び、前記スロットと略垂直である第2の部分と、
を含む、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項7】
前記スロットは、前記第1の接地要素と前記第2の接地要素との間に形成された第2の端部において開放されており、前記第2の端部は、前記スロットの前記第1の端部の反対端にある、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項8】
前記スロットの片側上の前記アンテナの第1の領域は、右旋円偏波を有し、前記スロットの反対側上の前記アンテナの第2の領域は、左旋円偏波を有する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項9】
前記第1の周波数帯域は、5GHz動作帯域を含み、前記第2の周波数帯域は、2.4GHz動作帯域を含む、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項10】
前記第1の平面要素は、全体的に第1の平面に位置決めされ、前記第2の平面要素は、全体的に前記第1の平面の上の第2の平面に位置決めされる、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項11】
グランドプレーンと、
第1のアンテナと、
前記第1のアンテナに直交して位置決めされた第2のアンテナと、
を備えるアンテナ組立体であって、
前記第1及び第2のアンテナの各々は、
前記グランドプレーンと略平行であり、第1の周波数帯域で動作するように構成され、略直線状のスロットを含む第1の平面要素と、
前記第1の平面要素から下方に延びて前記グランドプレーンに電気的に結合された第1の接地要素と、
前記第1の平面要素から下方に延びて前記グランドプレーンに電気的に結合された第2の接地要素と、
前記スロットの第1の端部で前記第1の平面要素から下方に延びる給電要素と、
前記第1の平面要素に接続され、前記第1の平面要素及び前記グランドプレーンと略平行であり、第2の周波数帯域で動作するように構成された第2の平面要素と、
前記第2の平面要素から下方に前記第1の平面要素に延びる接続要素と、
を備える、ことを特徴とするアンテナ組立体。
【請求項12】
前記第1の平面要素は更に、第1のストリップ、第2のストリップ、及び前記第1のストリップと前記第2のストリップとの間に延びる接合ストリップを備え、前記スロットは、前記第1のストリップと前記第2のストリップとの間に形成される、請求項11に記載のアンテナ組立体。
【請求項13】
前記第1の平面要素の前記第1のストリップは、前記第1の接地要素から略垂直に前記接合ストリップに延び、
前記第1の平面要素の前記第2のストリップは、前記第2の接地要素から略垂直に前記接合ストリップ及び接続要素に延び、前記接続要素は、前記第1の平面要素を前記第2の平面要素に接合する、請求項12に記載のアンテナ組立体。
【請求項14】
前記第1の平面要素の前記第2のストリップは、
前記グランドプレーンを横切る方向で見たときに、略L字形である、請求項13に記載のアンテナ組立体。
【請求項15】
前記第1の平面要素の前記第2のストリップは、
前記第2の接地要素から略垂直に前記接続要素及び第2の部分に延びる第1の部分と、
前記第1の部分から略垂直に前記接合ストリップに延び、前記スロットと略平行である第2の部分と、
を備える、請求項13に記載のアンテナ組立体。
【請求項16】
前記第1の接地要素は、前記第1のストリップから下方に延び、
前記第2の接地要素は、前記第2のストリップから下方に延び、
前記給電要素は、前記接合ストリップから下方に延びる、
請求項12に記載のアンテナ組立体。
【請求項17】
前記第2の平面要素は、
前記接続要素から略垂直に延び、前記スロットと略平行である第1の部分と、
前記第1の部分の端部から延び、前記スロットと略垂直である第2の部分と、
を含む、請求項
11に記載のアンテナ組立体。
【請求項18】
前記スロットの片側上の前記第1及び第2のアンテナの各々の第1の領域が、右旋円偏波を有し、前記スロットの反対側上の前記第1及び第2のアンテナの各々の第2の領域が、左旋円偏波を有する、請求項11に記載のアンテナ組立体。
【請求項19】
前記第1の平面要素は、全体的に第1の平面に位置決めされ、前記第2の平面要素は、全体的に前記第1の平面の上の第2の平面に位置決めされる、請求項11に記載のアンテナ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年2月1日出願の米国特許出願第15/422,108号の利益を主張するものであり、その開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、マルチバンドスロット付き平面アンテナに関する。詳細には、本出願は、複数の周波数帯域で動作することができ、電気的に小さなグランドプレーンと共に使用できるスロット付き平面逆Fアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
無線マイクロホン、無線オーディオ送信器、無線オーディオ受信器、無線イヤホンなどの無線通信デバイスは、物理ケーブルを必要とせずに無線周波数(RF)信号を伝達するためのアンテナを含む。RF信号は、変調オーディオ信号、データ信号、及び/又は制御信号などのデジタル又はアナログ信号を含むことができる。無線通信デバイスは、例えば、放送局及び他のビデオプログラミングネットワークが、現場での電子ニュース収集活動及び生のスポーツイベントの放送を実行可能にすることを含む、多くの機能に使用される。また、無線通信デバイスはまた、例えば、劇場、音楽会場及び映画撮影所における舞台公演者、歌手、及び/又は俳優によって、並びに集会、企業イベント、礼拝所、学校及びスポーツイベントにおける講演者によって使用される。
【0004】
無線通信デバイスは、多くの場合、薄型で小型であるため、美観上の理由からデバイスの大きさが小さくされる。また、アンテナをデバイスの外部に有するのではなく、デバイスの内部に配置することが望ましいとすることができる。デバイスに含められるアンテナは、1又は2以上の特定のスペクトル帯域で動作するように設計することができ、スペクトル帯域内の周波数の離散的セット又は帯域内の周波数範囲全体をカバーするように設計することができる。例えば、会議環境で使用されるデバイスは、2.4GHz又は5GHzのWi-Fi帯域を使用して通信し、様々なデータ及び制御信号を送受信することができる。更に、無線通信デバイス内のアンテナの偏波及びアンテナの放射パターンは、デバイスの向きが変化するとき、例えば、ユーザがデバイスを耳に当てるとき、又はアンテナをテーブルに置くときなどにより変化する可能性がある。
【0005】
更に、アンテナ設計上の考慮事項は、単一のデバイス内に含まれるアンテナの数を制限する場合があり(例えば、利用可能な空間がないことに起因して)、他方、美観設計上の考慮事項は、使用できるアンテナのタイプを制限する場合がある。例えば、ホイップアンテナは、従来から良好な性能があり、その外部設計により、内部デバイス空間をほとんど占有しない。しかしながら、これらのアンテナは、特に長さが長い場合には、費用がかかり、阻害され、美観的に魅力のないものである場合がある。別の例として、ある特定のデバイスは、物理的に小型とすることができ、これによって、アンテナ用のグランドプレーンの大きさが制限される可能性がある。複数の周波数で通信する必要があるデバイスの場合、典型的なアンテナは、デバイスに収まらない可能性があり、及び/又は低効率であることがある。
【発明の概要】
【0006】
従って、これらの問題に対処するアンテナの機会が存在する。より具体的には、比較的小型の無線通信デバイス内に収まることができる電気的に小さなグランドプレーンで使用可能であると共に、複数の周波数帯域で動作することができるマルチバンドスロット付き平面逆Fアンテナ(PIFA)に対する機会が存在する。
【0007】
本発明は、とりわけ、(1)各々が異なる周波数帯域で動作するように構成された複数の平面要素を備えたアンテナを有するアンテナ組立体と、(2)各々が、異なる周波数帯域で動作するように構成された複数の平面要素を有して互いに直交して位置決めされた2つのアンテナを有するアンテナ組立体とを提供することによって、上述の問題を解決することが意図されている。
【0008】
一実施形態では、アンテナ組立体は、グランドプレーン及びアンテナを含む。該アンテナは、第1の平面要素、第2の平面要素、第1の接地要素、第2の接地要素、給電要素、及び接続要素を含む。第1の平面要素は、グランドプレーンと略平行であり、第1の周波数帯域で動作するように構成され、第1のストリップ、第2のストリップ、該第1のストリップと第2のストリップとの間に延びる接合ストリップ、及び第1のストリップと第2のストリップとの間に形成された略直線状のスロットを含む。第1の接地要素は、第1のストリップから下方に延びてグランドプレーンに電気的に結合され、第2の接地要素は、第2のストリップから下方に延びてグランドプレーンに電気的に結合される。給電要素は、スロットの第1の端部で接合ストリップから下方に延びる。第2の平面要素は、第1の平面要素及びグランドプレーンと略平行であり、第2の周波数帯域で動作するように構成される。接続要素は、第2の平面要素から下方に第1の平面要素に延びる。
【0009】
別の実施形態では、アンテナ組立体は、グランドプレーンと、第1のアンテナと、該第1のアンテナに直交して位置決めされた第2のアンテナとを含む。該第1及び第2のアンテナの各々は、第1の平面要素と、第2の平面要素と、第1の接地要素と、第2の接地要素と、給電要素とを含む。該第1の平面要素は、グランドプレーンと略平行であり、第1の周波数帯域で動作するように構成され、略直線状のスロットを含む。第1の接地要素は、第1の平面要素から下方に延びてグランドプレーンに電気的に結合される。第2の接地要素は、第1の平面要素から下方に延びてグランドプレーンに電気的に結合される。給電要素は、第2の接地要素から略垂直に接続要素及び第2の部分に延びる。第2の平面要素は、第1の平面要素に接続され、第1の平面要素及びグランドプレーンと略平行であり、第2の周波数帯域で動作するように構成される。
【0010】
これらの及び他の実施形態並びに様々な置換例及び態様は、本発明の原理を使用できる様々な方法を示す例示的な実施形態を記載した明らかになり、また完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】幾つかの実施形態による、グランドプレーン上に互いに直交して位置決めされた2つのアンテナを有するアンテナ組立体の斜視図である。
【
図2】幾つかの実施形態による、
図1のアンテナのうちの1つの側面図である。
【
図3】幾つかの実施形態による、
図2に示されている図の反対側からの
図1のアンテナのうちの1つの側面図である。
【
図4】幾つかの実施形態による、
図1のアンテナのうちの1つの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明は、本発明の原理に従う本発明の1又は2以上の特定の実施形態について説明し、図示し、例示するものである。この説明は、本発明を本明細書で説明する実施形態に限定するためではなく、むしろ当業者が、本発明の原理を理解し、その理解の上でこれらの原理を適用して、本明細書で説明する実施形態だけでなく、これらの原理に従って想起し得る他の実施形態も実施できるように、本発明の原理を説明及び教示するために提示される。本発明の範囲は、文言上、又は均等論の下で添付の特許請求の範囲に含まれる可能性のある全てのこのような実施形態をカバーすることが意図されている。
【0013】
明細書及び図面では、同様の又は実質的に同様の要素には同様の参照数字を付している場合があることに留意されたい。しかしながら、例えば異なる数字を付すことで説明がより明確になる場合には、これらの要素に異なる数字を付す場合がある。更に、本明細書に示す図面は、必ずしも縮尺通りに作図されているものではなく、場合によっては、特定の特徴をより明確に示すために比率が誇張されていることがある。このような表示及び作図手法は、必ずしも基となる本質的な目的に関与するものではない。上述したように、本明細書は、本明細書で教示され当業者に理解される本発明の原理に従って全体として理解されて解釈されるように意図されている。
【0014】
以下に説明するアンテナ組立体は、アンテナが、電気的に小さなグランドプレーンに配置されながら、複数の周波数帯域で動作することを可能にすることができる。本明細書で記載するアンテナ組立体を使用することにより、無線通信デバイスで使用されるアンテナ及び関連構成要素の数、並びにアンテナに必要な空間の量を減少することができる。アンテナは、各々が特定の周波数帯域で動作する複数の水平面を有することができる。各水平面のインピーダンス(特定の周波数帯域に対応)は、独立して調整することができる。
【0015】
また、アンテナは、接地要素及び給電要素がグランドプレーン上に配置されるため、別個のフレームを必要としない自立構造を有することができる。別個のフレームが存在しないため、誘電損失が減少し、アンテナの効率が高まることができる。更に、アンテナ用の給電要素は、アンテナの中心に配置することができ、それにより、右旋円偏波半球及び左旋円偏波半球が提供可能となる。幾つかの実施形態では、複数のアンテナは、アンテナの性能に影響を与えることなく互いに直交して配置することができる。このような複数のアンテナの使用は、アンテナを含むデバイスの向きの変化に起因して信号損失の可能性を低減することなどによって、偏波ダイバーシティを提供して全体的な性能を高めることができる。給電要素の特定の配置は、アンテナのインピーダンス調整も可能にすることができる。
【0016】
図1は、グランドプレーン150上に位置する2つのアンテナ102を有する例示的なアンテナ組立体100の斜視図を示している。アンテナ組立体100は、例えば、無線通信デバイスで利用することができる。アンテナ102の各々は、RF信号を送信し、このアンテナのそれぞれの給電要素117を介して同じ又は異なる給電部に接続することができる。
図1に示されている特定の実施形態では、2つのアンテナ102は、互いに直交して位置決めされて、以下により詳細に説明するように、各アンテナ102の性能が他のアンテナ102によって悪影響を受けないようになる。別の実施形態では、単一のアンテナ102が、グランドプレーン150上に位置することができる。
図2は、アンテナ102の側面図を示し、
図3は、
図2に示されている図の反対側からのアンテナ102の側面図を示し、
図4は、アンテナ102の平面図を示している。アンテナ102は、適切な金属材料から作製することができる。
【0017】
アンテナ102は、各々がグランドプレーン150と略平行に位置決めされた2つの平面要素104、118と、アンテナ102の端部にある2つの接地要素114、116とを有する一種の平面逆Fアンテナ(PIFA)とすることができる。アンテナ102は、接地要素114、116から距離を置いて位置することができる給電要素117を介して給電することができる。接地要素114、116は、グランドプレーン150に電気的に結合でき、第1の平面要素104から下方にグランドプレーン150に延びることができる。アンテナ102は、アンテナ102の構造を支持するのに別個のフレームが必要とされないように、自立型とすることができる。具体的には、アンテナ102は、接地要素114、116、及びグランドプレーン150の上の給電要素117によって物理的に支持することができる。従って、別個のフレームが存在しないため、このようなフレームに起因する誘電損失は排除でき、それにより、アンテナ102の効率が高まることができる。
【0018】
平面要素104、118は、異なる周波数で動作するように構成することができる。従って、アンテナ102への給電部は、平面要素104、118の両方で送信されるRF信号を含むことができる。RF信号は、例えば、アナログ及び/又はデジタル変調機構によって変調オーディオ信号又はデータ信号を含むことができる。この信号は、アナログ又はデジタルRFトランシーバ/トランスミッタ(図示せず)によって変調され、適切に整合された電力増幅器(図示せず)によって増幅することができる。幾つかの実施形態では、アンテナ102は、平面要素104、118の各々の共振が特定の所望の周波数にあるように、調整することができる。例えば、バラクタダイオード又はデジタル同調コンデンサを含む同調ネットワーク(図示せず)が、アンテナ102の平面要素104、118を同時に又は独立して同調するのに使用することができる。実施形態では、給電要素117は、別個の整合ネットワークが必要とされないように、平面要素104、118の両方に対して50オームのインピーダンスを有することができる。給電要素117の特定の位置の変更は、平面要素104、118の両方のインピーダンスを一緒に調整することを可能にすることができる。
【0019】
アンテナ102の第1の平面要素104は、第1のストリップ106と、第2のストリップ108と、接合ストリップ110とを含むことができ、この接合ストリップは、第1のストリップ106と第2のストリップ108とを接続する。第1のストリップ106、第2のストリップ108、及び接合ストリップ110は、第1の平面要素104がグランドプレーン150と略平行であり得るように、略同一平面内にあるとすることができる。略直線状のスロット112は、第1のストリップ106と第2のストリップ108との間に形成することができる。スロット112は、接地要素114、116の間に形成された開放端を有することができ、給電要素117は、スロット112の他端に位置することができる。図から理解できるように、給電要素117は、概してアンテナ102の中央に位置し、接合ストリップ110からグランドプレーン150に向かって下方に延びることができる。スロット112及び給電要素117が、製造プロセス中、例えば、比較的小さな金属シートを打ち抜くことによって作製される場合には、無駄な材料は、それらの中心位置に起因して最小になることができる。このことは、典型的に、製造中、給電要素がシートの側面から下に湾曲するより大きな金属シートを必要とする従来型PIFAとは対照的である。一実施形態では、第1の平面要素104は、5GHzの周波数帯域を使用して動作するように構成することができる。別の実施形態では、第1の平面要素104は、他の適切な周波数帯域で動作するように構成することができる。
【0020】
第1の平面要素104の第1のストリップ106は、第1の接地要素114から略垂直に接合ストリップ110に延びることができる。第1のストリップ106は、スロット112及び第2のストリップ108と略平行であり得る。第1の平面要素104の第2のストリップ108は、第2の接地要素116から略垂直に接合ストリップ110及び接続要素120に延びることができる。接続要素120は、第1の平面要素104と第2の平面要素118とを接続し、第2の平面要素118の第1の部分126から下方に第2のストリップ108に延びることができる。
【0021】
実施形態では、第1の平面要素104の第2のストリップ108は、略L字形であるとすることができ、この第2のストリップは、第2の接地要素116から略垂直に接続要素120に延びる第1の部分122と、第1の部分122から接合ストリップ110に延びる第2の部分124とを含むことができる。第2の部分124は、スロット112と略平行とすることができる。接合ストリップ110は、第1のストリップ106と第2のストリップ108との間に延び、具体的には、第1のストリップ106から第2のストリップ108の第2の部分124に延びることができる。
【0022】
アンテナ102の第2の平面要素118は、第1の部分126及び第2の部分128を含むことができる。第1の部分126及び第2の部分128は、第2の平面要素118がグランドプレーン150及び第1の平面要素104と略平行になるように、略同一平面内にあり得る。実施形態では、第2の平面要素118は、略L字形であり得る。具体的には、第1の部分126は、接続要素120から略垂直に延び、スロット112と略平行であり、第2の部分128は、第1の部分126の端部から延び、スロット112と略垂直であるとすることができる。接続要素120は、第1の平面要素104と第2の平面要素118とを接続し、第1の部分126から下方に第1の平面要素104の第2ストリップ108に延びることができる。一実施形態では、第2の平面要素118は、2.4GHz周波数帯域を使用して動作するように構成することができる。別の実施形態では、第2の平面要素118は、他の好適な周波数帯域で動作するように構成することができる。
【0023】
第1の平面要素104及び第2の平面要素118は、異なる水平面で、すなわち、互いに平行でありグランドプレーン150と平行である異なる平面内に示されている。第1の平面要素104及び第2の平面要素118の各々のインピーダンスは、平面要素104及び118の様々なストリップ及び部分106、108、110、126、128の幅を変更することによって独立して調整することができる。幾つかの実施形態では、第1の平面要素104及び第2の平面要素118は、同じ水平面、すなわち、同じ平面内にあることができ、接続要素120は、不要とすることができる。また、追加の水平面を利用して、追加の周波数帯域、すなわち、2つより多い周波数帯域で動作できることが考えられる。図示の様々なストリップ、要素、及び/又はスロットの寸法及び幾何的形状は、例示的なものであり、特定のデバイス又は用途の要件に応じて異なるものとすることができる。
【0024】
アンテナ102は、スロット112及び給電要素117の配置に起因して、右旋円偏波半球及び左旋円偏波半球を有することができる。具体的には、これらの偏波半球は、アンテナの長さを二等分し(すなわち、スロット112に沿って)、グランドプレーン150と垂直である平面の両側に存在することができる。従って、スロット112の左側のアンテナ102の領域は、左旋円偏波を有し、スロット112の右側のアンテナ102の領域は、右旋円偏波を有することができる。この半球偏波は、
図1に示されるアンテナ組立体100が偏波ダイバーシティを有することを可能にすることができ、それは、2つのアンテナ102が互いに直交して位置決めされ、ほぼ互いに干渉しないためである。
【0025】
本開示内容は、様々な実施形態を本発明の技術に従ってどのように構成して使用するかについて説明することを意図するものであり、本発明の真の、意図した、公正な範囲及び趣旨を限定するものではない。上述の説明は、網羅的であること、又は開示される厳密な形態に限定されることを意図するものではない。上記教示を考慮すると、変更又は変形が可能である。実施形態は、説明した技術の原理及びその実用的な適用例の最適な説明をもたらし、また、当業者が、当該技術を、様々な実施形態で、かつ想定される具体的な用途に適した様々な変更を伴って利用できるように、選択されて説明されている。かかる全ての変更例及び変形例は、本特許出願の係属中に補正される可能性のある添付の特許請求の範囲により定められる実施形態、及び、当該実施形態が、公正に、慣習法上かつ衡平法上受ける資格のある権利の幅に従って解釈された場合の当該実施形態の全ての均等例、の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
102 アンテナ
104 第1の平面要素
106 第1のストリップ
108 第2のストリップ
110 接合ストリップ
112 略直線状のスロット
114 第1の接地要素
116 第2の接地要素
117 給電要素
118 第2の平面要素
120 接続要素
122 第1の部分
124 第2の部分
126 第1の部分
128 第2の部分
150 グランドプレーン