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特許7042838二次画像分析機能を有する用量捕捉アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】二次画像分析機能を有する用量捕捉アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20220318BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20220318BHJP
   A61M 5/31 20060101ALN20220318BHJP
【FI】
A61M5/168 530
A61M5/315 550
A61M5/315 550G
A61M5/31 520
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019550580
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2018056407
(87)【国際公開番号】W WO2018167154
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】17161025.6
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17161242.6
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596113096
【氏名又は名称】ノボ・ノルデイスク・エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ピーダスン, ベニー ピーザ スミゼク
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0140301(KR,A)
【文献】特表2016-502899(JP,A)
【文献】特表2017-505171(JP,A)
【文献】特開2003-010327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168-5/175
A61M 5/31 -5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(100)に取り外し可能に取り付けられるか、またはそれと一体的に形成されるよう適合される用量捕捉アセンブリ(200、200)であって、前記薬剤送達装置が、
- ハウジング(101)と、
- 薬剤リザーバー(113)または薬剤リザーバーを受けるための手段(110)と、
- ユーザーが放出される薬剤の用量を設定できるようにする回転可能な用量設定部材(180)を含む薬剤放出手段と、
- 第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材(190)であって、前記第一の状態は用量が設定されることを可能にし、前記第二の状態は前記薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、
- 用量設定の間に前記設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合される印(177)を有するインジケータ(170)と、を含み、
用量捕捉アセンブリが、
- 前記インジケータの印を含む画像を捕捉するように適合されたカメラ(221、321)と、
- プロセッサ手段(210、310)であって、
(a) 第一の画像分析プロセスを使用して捕捉された画像の値であって、前記設定用量に対応する前記値を決定し、
(b) 前記決定された値が予め定義されたグループの値に属する場合、次いで前記決定された値を第二の画像分析プロセスに基づいて確認するように適合される、プロセッサ手段と、を含み、
前記予め定義されたグループの値からの所与の値に対し、一つまたは複数の部分画像領域およびその関連付けられた基準内容が予め定義され、各々の基準内容が、前記第一の画像分析プロセスを使用して捕捉された画像の値とは異なり、前記第二の画像分析プロセスが、
(i) 前記予め定義されたグループの値から所定の値に対し、前記部分画像領域の前記捕捉された内容を前記基準内容と比較するステップと、
(ii) 前記捕捉された内容が前記基準内容に対応する場合、次いで前記第二の画像分析プロセスに基づいて前記決定された値を確認するステップと、を含む、用量捕捉アセンブリ。
【請求項2】
- 設定用量を表示するように適合された電子制御表示装置(240、340)をさらに含み、
前記プロセッサ手段が、
(i) 前記表示装置を制御して確認された値を示し、
(ii) 前記表示装置を制御して前記決定された値が確認されない場合、エラー表示を示すように適合される、請求項1に記載の用量捕捉アセンブリ。
【請求項3】
前記プロセッサ手段が、確認された値に少なくとも部分的に基づいて、放出用量を決定するよう適合される、請求項1または2に記載の用量捕捉アセンブリ。
【請求項4】
前記第一の画像分析プロセスが、テンプレートマッチングであり、前記決定された値が前記インジケータ部材の回転位置である、請求項1~3のいずれかに記載の用量捕捉アセンブリ。
【請求項5】
前記第一の画像分析プロセスが、OCRプロセスであり、前記決定された値が前記インジケータ部材の回転位置に対応する数値である、請求項1~3のいずれかに記載の用量捕捉アセンブリ。
【請求項6】
前記用量設定部材の回転運動を検出するよう適合されたセンサーアセンブリ(381、385)をさらに含み、前記プロセッサ手段が、
(i) 前記決定された値が第二の予め定義されたグループの値に属するかどうかを決定し、
(ii) 前記決定された値が前記第二の予め定義されたグループの値に属する場合、次いで前記表示を動作状態に変えるように適合される、請求項2に記載の用量捕捉アセンブリ。
【請求項7】
薬剤送達装置(100)に取り外し可能に取り付けられるように適合されるアドオン装置(200、300、400)の形態である用量捕捉アセンブリであって、前記薬剤送達装置が、
- ハウジング(101)と、
- 薬剤リザーバー(113)または薬剤リザーバーを受けるための手段(110)と、
- ユーザーが放出される薬剤の用量を設定できるようにする回転可能な用量設定部材(180)を含む薬剤放出手段と、
- 第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材(190)であって、前記第一の状態は用量が設定されることを可能にし、前記第二の状態は前記薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、
- 用量設定の間に前記設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合されるインジケータ(170)と、を含む、請求項1~6のいずれかに記載の用量捕捉アセンブリ。
【請求項8】
- ハウジング(101)と、
- 薬剤リザーバー(113)または薬剤リザーバーを受けるための手段(110)と、
- ユーザーが放出される薬剤の用量を設定できるようにする回転可能な用量設定部材(180)を含む薬剤放出手段と、
- 第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材(190)であって、前記第一の状態は用量が設定されることを可能にし、前記第二の状態は前記薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、
- 用量設定の間に前記設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合されるインジケータ(170)と、を備える薬剤送達装置(100)と組み合わされ、
前記薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるよう適合される、請求項7に記載のアドオン装置(200、300、400)。
【請求項9】
前記薬剤放出手段が、
- 充填されたカートリッジ内のピストンと係合し、遠位方向に軸方向に変位させ、それによって前記カートリッジからの薬剤の用量を放出するように適合されるピストンロッド(120)と、
- 回転可能な駆動部材(160)と、
- 前記駆動部材に連結された駆動ばね(155)であって、前記用量設定部材が、ユーザーが放出される用量を設定し、かつ前記駆動ばねを前記駆動部材の回転によって設定位置に対して相応に変形させることを同時に可能にする、駆動ばねと、をさらに含み、
前記変形された駆動ばねが、前記作動部材が前記第一の状態から前記第二の状態に作動する時に、前記駆動部材を回転させて前記設定用量を放出するように解放される、請求項8に記載の薬剤送達装置と組み合わされるアドオン装置。
【請求項10】
- 前記インジケータが、外側表面を有し、回転軸に対応して用量設定の間および用量放出中に前記ハウジングに対して回転するように適合されるインジケータ部材(170)の形態であって、前記回転量が個々に設定用量に対応し、残りの薬剤量が前記放出手段によってリザーバーから放出され、前記インジケータ部材は、用量が設定されていないことに対応する初期回転位置を有し、パターンが、インジケータ部材の外側表面上に周方向に又はらせん状に配置され、複数の印(177)を含み、現在観察可能な印が、ユーザーに、放出される薬剤の現在設定されている用量サイズを示し、
- 前記ハウジング(101)が、ユーザーが前記インジケータ部材の一部を観察することを可能にするウィンドウ(102)を備える、請求項8または9に記載の薬剤送達装置と組み合わされるアドオン装置。
【請求項11】
前記用量捕捉アセンブリが、前記インジケータ印の画像を捕捉するよう適合される、請求項10に記載の薬剤送達装置と組み合わされるアドオン装置。
【請求項12】
前記薬剤送達装置が、
- ハウジングと、
- 薬剤リザーバーまたは薬剤リザーバーを受けるための手段と、
- 回転可能な用量設定部材を含む薬剤放出手段であってユーザーが放出される薬剤の用量を設定することを可能にする、薬剤放出手段と、
- 第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材であって、前記第一の状態は用量が設定されることを可能にし、前記第二の状態は前記薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、
- 用量設定の間に前記設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合されたインジケータと、を含む、請求項1~5のいずれかに記載の薬剤送達装置と一体的に形成された用量捕捉アセンブリ。
【請求項13】
- 前記インジケータは、外側表面を有し、用量設定の間および回転軸に対応する用量放出中に前記ハウジングに対して回転するように適合される管状のインジケータ部材(170)の形態であって、前記回転量が個々に設定用量に対応し、残りの薬剤量が前記放出手段によってリザーバーから放出され、前記インジケータ部材は、用量が設定されていないことに対応する初期回転位置を有し、パターンが、インジケータ部材の外側表面上に周方向に又はらせん状に配置され、複数の第一の印(177)を含み、現在観察可能な前記第一の印が、ユーザーに、放出される薬剤の現在設定されている用量サイズを示し、
- 前記ハウジング(101)は、ユーザーが前記インジケータ部材の一部を観察することを可能にするウィンドウ(102)を備える、請求項12に記載の薬剤送達装置と一体的に形成された用量捕捉アセンブリ。
【請求項14】
前記用量捕捉アセンブリが前記第一の印の画像を捕捉するよう適合される、請求項13に記載の薬剤送達装置と一体的に形成される用量捕捉アセンブリ。
【請求項15】
- 前記管状のインジケータ部材(170)が、前記インジケータ部材の内側または外側表面上に周方向にまたはらせん状に配置され、かつコード構造の形態の印を含む第二の表面パターンを含み、
- 前記用量捕捉アセンブリが、前記コード構造の画像を捕捉するように適合される、請求項13に記載の薬剤送達装置と一体的に形成される用量捕捉アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、データの生成、収集、および保存が関連する医療装置およびアセンブリに関連する。特定の実施形態では、本発明は、信頼できる費用対効果の高い方法で薬剤送達用量データを捕捉および構成するための装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の開示では、回転駆動部材によって駆動されるねじピストンロッドを含む薬剤送達装置がほとんど参照され、このような装置は、例えば、インシュリン送達による糖尿病の治療において使用されるが、、これは本発明の例示的使用のみである。
【0003】
薬剤注射装置は、薬剤および生物学的薬を自己投与する必要がある患者の生命を大幅に改善した。薬剤注射装置は、注入手段を用いたアンプルよりも少し大きい単純な使い捨て装置を含む多くの形態を取ることができ、または予め充填されたカートリッジと併用するように適合された耐久性のある装置としうる。それらの形態およびタイプに関わらず、注射可能な薬剤および生物学的薬を自己投与するための患者の補助においては大きな助けであることが証明されている。また、それらは、自己注射を実施することができない人々に注射可能な薬を投与する際、介護者に大きな助けとなる。
【0004】
必要量のインシュリン注射を適切な時点で実施することは、糖尿病を管理するために必要不可欠であり、すなわち指定されたインシュリンレジメンを遵守することが重要である。医療従事者が定めた投薬量パターンの有効性を決定することができるためには、糖尿病患者は各注射のサイズおよび時刻の記録を保持することを推奨される。ただし、このようなログは通常、手書きのメモ帳に保持され、ログ情報はデータ処理のためにコンピュータに簡単にアップロードされない場合がある。さらに、患者によって注記されたイベントのみがログされている場合、ノートブックシステムは、ログ情報が患者の疾患の治療に何ら値の値を持つことがある場合、それぞれの注射をログするために患者が覚えていることを必要とする。ログに記録が欠如しているか、誤って記録されていることで、注射履歴の誤解を招くことがあり、従って医療従事者の将来の薬品に関する意思決定に誤解の元となる。したがって、薬品供給システムからの注入情報のログを自動化することが望ましい場合がある。
【0005】
一部の注射装置は、例えば、US2009/0318865号およびWO2010/052275号に開示されているように、このモニタリング/取得機構を装置自体に統合するが、ほとんどの装置はそれがない。最も広く使用されている装置は、純粋に機械装置であり、耐久性があるものかまたは事前充填されている。後者のデバイスは、空にした後に廃棄されるため、安価であり、装置自身に内蔵電子データ取得機能を構築することはコスト的に見合わない。この問題に対処するため、ユーザーが所与の医療装置の使用を示すデータを生成、収集、および分配するのに役立つ多くの解決策が提案されてきた。
【0006】
例えば、WO2015/110520は、ペンタイプの薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるように適合された電子補助装置(または「アドオンモジュール」)を記述する。装置は、カメラを含み、薬剤送達装置の投薬ウィンドウを通して見える回転スケールドラムから捕捉された画像の光学文字認識(OCR)を実施し、薬剤送達装置にダイヤルされた医薬品の用量を決定するように構成される。OCRプロセスの信頼性を改善するために、同じ出力を持つことが意図された二つのOCRアルゴリズムを並列に動作させることができる。これらは同様のステップを実行するが、各ステップで使用される個々の方法は変化しうる。ペン式装置用のさらなる外部装置が、WO2014/161952号に示されている。スケールドラム上に提供される情報に基づく光学用量決定を使用する装置のさらなる例は、US2016/0015902、US2017/0032211およびEP2708253に開示されている。
【0007】
上記に関しては、用量捕捉機能を備える薬剤送達アセンブリの信頼できる費用効果の高い動作および製造を可能にするアセンブリ、装置および方法を提供する本発明の目的である。
【0008】
本発明の開示では、上記の物体のうちの一つまたは複数に対処する実施形態および態様が記載されるか、または以下の開示および典型的実施形態の説明から明らかな物体に対処する実施形態および態様が記載される。
【0009】
従って、本発明の第一の一般態様では、薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるか、一体的に形成されるように適合される、用量捕捉アセンブリが提供され、薬剤送達装置が、ハウジングと、薬剤リザーバーまたは薬剤リザーバーを受けるための手段と、ユーザーが放出される薬剤の用量を設定することを可能にする回転可能な用量設定部材を含む薬剤放出手段と、第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材であって、第一の状態は用量が設定されることを可能にし、第二の状態は薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、用量設定の間に設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合された、印を有するインジケータと、を含む。用量捕捉アセンブリは、インジケータの画像を含む印(すなわち、インジケータの一部分の画像)を捕捉するよう適合されたカメラと、プロセッサ手段であって、第一の画像分析プロセスを使用して捕捉された画像の値であって、設定用量に対応する値を決定し、決定された値が予め定義されたグループの値に属する場合、次に、決定された値を第二の画像分析プロセスに基づいて確認するように適合される、プロセッサ手段とを含む。予め定義されたグループの値からの所与の値に対し、一つまたは複数の部分画像領域およびその関連付けられた基準内容が予め定義され、各々の基準内容が、第一の画像分析プロセスを使用して捕捉された画像の値とは異なる。第二の画像分析プロセスが、予め定義されたグループの値から所定の値に対し、部分画像領域の捕捉された内容を基準内容と比較するステップと、捕捉された内容が基準内容に対応する場合、次に、第二の画像分析プロセスに基づいて決定された値を確認するステップと、を含む。
【0010】
このようにして、所与の位置の画像特徴は、利用される所与の一次画像プロセスによって混合されることが見いだされた値の間で区別できるためだけに選択できる。。このようにして、二次画像プロセスは、すべての値が二次的な「検証」画像プロセスの標的であるプロセスとは対照的に、必要に応じてのみ利用される。
【0011】
第一の画像分析プロセスは、テンプレートマッチングの形態であってもよく、決定された値はインジケータ部材の回転位置である。別の方法として、第一の画像分析プロセスはOCRプロセスであってもよく、決定された値はインジケータ部材の回転位置に対応する数値である。
【0012】
所与の位置に対し、対応する部分画像領域の基準内容は、所与の数の位置に対して「普遍的に」独特の、または「相対的に」独特のいずれかであってもよい。二次画像プロセスの結果が、一次画像プロセスの結果が正しくないと「否定的に」判定し、エラーメッセージの結果となるために利用されてもよく、または、一次画像プロセスの結果が二つの選択肢の一つであると「肯定的に」判定するために利用されてもよい。
【0013】
典型的実施形態では、用量捕捉アセンブリは設定用量を表示するように適合された電子制御表示装置をさらに含み、プロセッサ手段が、表示装置を制御して確認された値を示し、表示装置を制御して決定された値が確認されていない場合、エラー表示を示すように適合する。プロセッサ手段は、確認された値に少なくとも部分的に基づいて、放出量を決定するように適合されてもよい。
【0014】
さらなる典型的実施形態では、用量捕捉アセンブリは、用量設定部材の回転運動を検出するよう適合されたセンサーアセンブリをさらに含み、プロセッサ手段が、決定された値が第二の予め定義されたグループの値に属するかどうかを決定し(以下参照)、決定された値が第二の予め定義されたグループの値に属する場合、次に、表示を動作状態に変えるように適合される。
【0015】
用量捕捉アセンブリが、薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるアドオンログ装置の形態であってもよい。薬剤送達装置が、ハウジングと、薬剤リザーバーまたは薬剤リザーバーを受けるための手段と、ユーザーが放出される薬剤の用量を設定することを可能にする回転可能な用量設定部材を含む薬剤放出手段と、第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材であって、第一の状態は用量が設定されることを可能にし、第二の状態は薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、用量設定の間に設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合された、インジケータとを含む。
【0016】
アドオンログ装置は、ハウジングと、薬剤リザーバーまたは薬剤リザーバーを受けるための手段と、ユーザーが放出される薬剤の用量を設定することを可能にする回転可能な用量設定部材を含む薬剤放出手段と、第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材であって、第一の状態は用量が設定されることを可能にし、第二の状態は薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、用量設定の間に設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合されたインジケータと、を含む薬剤送達装置と組み合わせて提供されても良い。
【0017】
薬剤放出手段は、充填されたカートリッジ内のピストンと係合し、遠位方向に軸方向に変位させ、それによってカートリッジからの薬剤の用量を放出するように適合されるピストンロッドと、回転可能な駆動部材と、駆動部材に連結された駆動ばねであって、用量設定部材が、ユーザーが同時に放出される用量を設定し、かつ駆動ばねを駆動部材の回転によって設定位置に対して相応に変形させることを可能にする、駆動ばねとをさらに含んでも良い。変形された駆動ばねが、駆動部材を回転させて、作動部材が第一の状態から第二の状態に作動する時に、設定用量を放出するように解放される。
【0018】
用量捕捉アセンブリは、ハウジングと、薬剤リザーバーまたは薬剤リザーバーを受けるための手段と、ユーザーが放出される薬剤の用量を設定することを可能にする回転可能な用量設定部材を含む薬剤放出手段と、第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材であって、第一の状態は用量が設定されることを可能にし、第二の状態は薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、用量設定の間に設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合されたインジケータと、を含む薬剤送達装置と一体的に形成されてもよい。
【0019】
インジケータは、外側表面を有し、用量設定の間および回転軸に対応する用量放出中にハウジングに対して回転するように適合される管状のインジケータ部材の形態であって、回転量が個々に設定用量に対応し、、残りの薬剤量が放出手段によってリザーバーから放出され、インジケータ部材は、用量が設定されていないことに対応する初期回転位置を有し、パターンが、インジケータ部材の外側表面上に周方向に又はらせん状に配置され、複数の印を含み、現在観察可能な印が、ユーザーに、放出される薬剤の現在設定されている用量サイズを示し、ハウジングは、ユーザーがインジケータ部材の一部を観察することを可能にするウィンドウを備える。用量捕捉アセンブリは、印の画像を捕捉するように適合されうる。
【0020】
管状のインジケータ部材は、インジケータ部材の内側または外側表面上に周方向にまたはらせん状に配置され、複数のコード構造を備える第二の表面パターンを備えうる。用量捕捉アセンブリは、コード構造の画像を捕捉するよう適合される。例えば、コード構造は、ユーザーに見えるが目に見えない印刷を有する印と同じ表面部分上に形成されてもよい。
【0021】
本発明のさらなる態様では、薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるか、一体的に形成されるように適合される、用量捕捉アセンブリが提供され、薬剤送達装置が、ハウジングと、薬剤リザーバーまたは薬剤リザーバーを受けるための手段と、ユーザーが放出される薬剤の用量を設定することを可能にする回転可能な用量設定部材を含む薬剤放出手段と、第一の状態と第二の状態との間で作動可能な作動部材であって、第一の状態は用量が設定されることを可能にし、第二の状態は薬剤放出手段が設定用量を放出することを可能にする、作動部材と、用量設定の間に設定用量を表示し、薬剤放出中に放出される残りの用量を表示するように適合された、インジケータと、を含む。用量捕捉アセンブリは、設定用量を表示するよう適合された電子制御表示装置、用量設定部材の回転運動を検出するよう適合されたセンサーアセンブリ、およびインジケータの画像を捕捉するよう適合されたカメラを備える。ログアセンブリは、捕捉された画像の値を決定し、値は設定用量に対応し、決定された値が予め定義されたグループの値に属するかどうかを決定し、決定された値が予め定義されたグループの値に属する場合、その後、表示を動作状態に変えるように適合されたプロセッサ手段をさらに含む。
【0022】
用量捕捉アセンブリは、上述のように薬剤送達装置に取り外し可能に取り付けられるよう適合されたアドオンログ装置の形態であってもよい。アドオンログ装置は、こうした薬剤送達装置と組み合わせて提供されてもよい。
【0023】
所定のグループの値は、所定のグループに含まれない、例えば、66、68、80および88などの位置と比較して、画像特性が非常に独特になるような0、2、および4などの1桁の値を例えば含みうる。
【0024】
プロセッサ手段は、表示装置を動的に制御し、センサーアセンブリからの入力に基づいて設定用量を示し、カメラからの入力に少なくとも部分的に基づいて放出用量を決定するように適合されうる。プロセッサ手段は、予め定義されたグループの値に属する決定された値に対応するセンサーアセンブリの回転位置を較正するように適合されてもよい。
【0025】
決定された値は、テンプレートマッチングによって決定されるインジケータ部材の回転位置、または代替的にOCRプロセスによって決定される数値であってもよく、数値はインジケータ部材の回転位置に対応する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「インシュリン」という用語は、液体、溶液、ゲルまたは微細懸濁液などの制御された様式でカニューレまたは中空針などの送達手段を通過することができる任意の薬剤含有流動性医薬品を包含することを意味する。たとえば、人間のインシュリン、その類似物、およびGLP-1およびその類似物のような非インシュリンである。典型的実施形態の記載については、参照がインシュリンの使用に対して行われるが、記載されたモジュールは、その他のタイプの薬剤、例えば成長ホルモンのログを作成するためにも使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下において、本発明の下記の実施形態を、図面を参照しながらさらに説明する。
図1図1Aは、ペン形成された薬剤送達装置を示す。図1Bは、ペンキャップが取り外された図1Aのペン式装置を示す。
図2図2は、図1Aのペン式装置の構成要素の分解図である。
図3図3Aおよび3Bは、二つの状態における放出機構の断面図である。
図4図4は、アドオン装置の概略図を示す。
図5図5は、薬剤送達装置のハウジング上に取り付けられたアドオン装置を示す。
図6図6は、スケールドラム参照表現を示す。
図7図7は、スケールドラムからの画像捕捉を示す。
図8図8は、図7の画像部分の参照表現への相互関係を示す。
図9図9は、参照表現の一致した部分を示す。
図10図10は、二次画像部分が識別された初期位置のスケールドラムを示す。
図11図11は、さらなるアドオン装置の概略図を示す。
【0028】
構造の図では、主に同様の参照番号によって特定される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例示的な実施形態の説明
以下の用語で「上」および「下」、「右」および「左」、「水平」および「垂直」、または同様の相対表現が使用されている場合、これらは単に添付図を参照するだけであり、必ずしも、実際の使用状況を示すものではない。図示された図は、概略表現であり、そのため、異なる構造の構成と相対的寸法が例示的な目的のみを果たすことを目的としている。部材または要素が所与の構成要素に使用される場合、記述された実施形態では、構成要素は単一の構成要素であるが、同一の部材または要素は、二つ以上の説明した構成要素が例えば、単一の射出成形部品として製造された単一構成要素として提供されうるように、いくつかのサブ構成要素を別の方法として含んでもよい。「アセンブリ」という用語は、記載された構成要素が、所与のアセンブリ手順中に単一または機能的アセンブリを提供するために必ず組み立てられることを暗示していないが、機能的により密接に関連しているとして一緒に分類された構成要素を説明するために使用される。
【0030】
本発明それ自体の実施形態へ戻る前に、充填された薬剤送達の一例が説明される。そのような装置は、本発明の典型的実施形態の基礎を提供する。図1~3に示されるペン形成された薬剤送達装置100は、「汎用」薬剤送達装置を提示してもよいが、実際に示された装置は、Novo Nordisk A/S、Bagsverd、デンマークによって製造および販売される、FlexTouch(登録商標)の充填された薬剤供ペンである。
【0031】
ペン式装置100は、キャップ部品107と、薬剤放出機構がその中に配置または統合されるハウジング101を持つ近位部分または駆動アセンブリ部分を有する主要部分と、遠位針貫通可能隔壁を有する薬剤充填透明カートリッジ113が、近位部分に取り付けられる非稼働カートリッジホルダーによって定位置に配置され保持される遠位カートリッジホルダー部分であって、カートリッジホルダーはカートリッジの部分が検査されるのを可能にする開口部を有し、遠位カップリング手段115が針アセンブリが取り外し可能に取り付けられるのを可能にする、遠位カートリッジホルダー部分と、を含む。カートリッジには、放出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが設けられており、例えば、インシュリン、GLP-1または成長ホルモン製剤を含みうる。最も近位の回転可能な用量設定部材180は、表示ウィンドウ102に示される望ましい用量の薬剤を手動で設定し、その後、ボタン190が作動した時に放出されうる。ウィンドウは、面取りされた縁部109および用量ポインタ109Pによって囲まれたハウジング内の開口部の形態であり、ウィンドウは、らせん状に回転可能なインジケータ部材170(スケールドラム)の一部を観察することを可能にする。薬剤送達装置内に具体化される放出機構のタイプに応じて、放出機構は、用量設定の間に変形され、その後、放出ボタンが作動した時にピストンロッドを駆動するように解放される図示の実施形態におけるばねを備えてもよい。別の方法として、放出機構は完全にマニュアルであってもよく、その場合、用量部材および作動ボタンは、設定用量サイズに対応する用量設定の間、遠位に移動し、次にNovo Nordisk A/Sによって製造および販売されるFlExpen(登録商標)などの設定用量を放出するためにユーザーによって遠位に移動する。
【0032】
図1は、予め充填されたタイプの薬剤送達装置を示すが、すなわち、代替的な実施形態において、予め取り付けられたカートリッジを備え、カートリッジが空になったとき捨てられる、薬剤供給装置は、充填されたカートリッジに交換されるのを可能にするように調整されても良い。例えば、カートリッジホルダーが装置の本体部分から取り外されるように調整される、「後ろに充填される」薬剤送達装置の形態となる。または別の方法として、カートリッジが装置の主要部分に取り外し不可能に取り付けられるカートリッジホルダー内の遠位の開口部に挿入される、「前に充填される」装置の形態となる。
【0033】
本発明は、薬剤送達装置と相互作用するよう適合された電子回路に関連するものであり、このような装置の典型的実施形態は、本発明をより良く理解するために説明される。
【0034】
図2は、図1に示すペン形成された薬剤送達装置100の分解図を示す。より具体的には、ペンは、ウィンドウ開口部102を有する管状ハウジング101を備え、その上にカートリッジホルダー110が固定的に取り付けられ、薬剤充填カートリッジ113がカートリッジホルダー内に配置される。カートリッジホルダーには、針アセンブリ116が取り外し可能なように取り付けられるようにする遠位カップリング手段115と、キャップ107が、カートリッジホルダーおよび取り付けられた針アセンブリ、並びにペンが例えばテーブルトップでロールオンするのを防止する突出部112を覆い、取り外し可能に取り付けられるのを可能にする、二つの対向する突起部111の形態の近位カップリング手段とを設ける。ハウジング遠位端において、ナット要素125が固定的に取り付けられ、ナット要素は中央ねじ孔126を含み、ハウジング近位端には中央の開口部を有するばねベース部材108が固定的に取り付けられる。駆動システムは、対向する二つの長軸方向の溝を有し、ナット要素のねじ孔内に受けられる、ねじピストンロッド120と、ハウジング内に回転するように配置されたリング形成ピストンロッド駆動要素130と、駆動要素(下記参照)と回転係合し、その係合がクラッチ要素の軸方向移動を許容する、リング形成されたクラッチ要素140とを備える。クラッチ要素には、ハウジング内側表面の対応するスプライン104(図3Bを参照)と係合するよう適合された外側スプライン要素141が設けられており、これにより、スプラインが係合する回転方向にロックされ近位位置とスプラインが係合から外れた回転方向に自由な遠位位置との間でクラッチ要素が移動できるようになる。上述したように、両方の位置では、クラッチ要素は駆動要素に回転方向にロックされる。駆動要素は、ピストンロッドの溝と係合する二つの対向する突起部131を有する中央の孔を備え、それによって駆動要素の回転を生じ、結果としてピストンロッドとナット要素との間のねじ係合によってピストンロッドの遠位軸移動となる。駆動要素は、ハウジング内側表面上に配置された対応するラチェット歯105を係合するように適合された、一対の対向する周方向に延びる可撓性のラチェットアーム135をさらに含む。駆動要素およびクラッチ要素は、それらを回転方向にロックする互いに協力的に係合する構造を備えるが、クラッチ要素を軸方向に動かすことを可能にし、これによってクラッチ要素が遠位位置に軸方向に移動するのを可能にし、その位置において、回転することが可能であり、それによってダイヤルシステム(下記参照)から駆動システムへの回転運動を伝達する。クラッチ要素、駆動要素、およびハウジング間の相互作用は、図3Aおよび3Bを参照しながらより詳細に示され説明される。
【0035】
ピストンロッド上では、内容物終了(EOC)部材128が螺合され、遠位端上にワッシャ127が回転方向に取り付けられる。EOC部材は、リセットチューブと係合するための一対の対向する半径方向突起部129を備える(下記参照)。
【0036】
ダイヤルシステムは、ラチェットチューブ150、リセットチューブ160、一列の用量印を形成する外側らせん状に配置されたパターンを持つスケールドラム170、放出される薬剤の用量を設定するためのユーザー操作ダイヤル部材180、放出ボタン190およびトルクばね155(図3参照)を備える。リセットチューブはラチェットチューブの内側に軸方向にロックされているが、数度回転することができる(下記参照)。リセットチューブは、その内側表面に、EOC部材の半径方向突起部129と係合するように適合された二つの対向する長軸方向の溝169を含むが、EOCはリセットチューブによって回転することができるが、軸方向に移動することができる。クラッチ要素は、ラチェットチューブ150の外側遠位端部分に軸方向にロックされて取り付けられており、これにより、ラチェットチューブは、クラッチ要素を介してハウジングと回転係合に入り、回転係合から外れ、軸方向に移動することができる。ダイヤル部材180は軸方向にロックされているが、ハウジング近位端に回転方向に自由であり、ダイヤルリングは通常動作のもとで、リセットチューブに回転方向にロックされており(下記参照)、ダイヤルリングの回転によってリセットチューブの対応する回転がもたらされ、それによってラチェットチューブが回転する。放出ボタン190は、リセットチューブに軸方向にロックされるが、回転することが自由である。戻りばね195は、ボタンおよびそこに取り付けられたリセットチューブの近位に向いた力を提供する。スケールドラム170は、ラチェットチューブとハウジングとの間の周状空間内に配置され、ドラムは協働する長軸方向のスプライン151、171を介してラチェットチューブに回転方向にロックされ、また協働するねじ構造103、173を介してハウジングの内側表面と回転のねじ係合となっており、ドラムがラチェットチューブによってハウジングに対して回転するときに数値の列がハウジングのウィンドウ開口部102を過ぎる。トルクばねは、ラチェットチューブとリセットチューブとの間の周状空間に配置され、またその近位端において、ばねベース部材108に固定され、その遠位端において、ラチェットチューブに固定され、ラチェットチューブがダイヤル部材の回転によってハウジングに対して回転するときにばねが変形される。ラチェットチューブとクラッチ要素との間に可撓性のラチェットアーム152を備えたラチェット機構が設けられ、後者は内周の歯構造142を設け、それぞれの歯は、用量が設定された時にリセットチューブを介してユーザーによって回転される位置にラチェットチューブが保持されるように、ラチェットストップを提供する。設定用量が減少するのを可能にするため、ラチェット解放機構162がリセットチューブ上に設けられ、ラチェットチューブに作用し、このことにより、ダイヤル部材を反対方向に回転することにより、一つまたは複数のラチェット増分によって設定用量が減少するのを可能にし、解放機構は、リセットチューブがラチェットチューブに対して上記の数度だけ回転するときに、駆動される。
【0037】
放出機構およびそれらの機能的関係の異なる構成要素について説明したが、機構の動作について、主に図3Aおよび3Bを参照しながら次に説明する。
【0038】
ペン機構は、上述の通り、二つの相互作用システム、用量システム、およびダイヤルシステムとして考慮することができる。用量設定の間、ダイヤル機構は回転し、ねじればねがロードされる。用量機構はハウジングにロックされ、移動できない。押しボタンが押された時、用量機構はハウジングから解放され、ダイヤルシステムへの係合によって、ねじればねはスタート地点にダイヤルシステムを後ろに回転させ、用量システムをそれと共に回転させる。
【0039】
用量機構の中央部分は、ピストンロッド120であり、プランジャーの実際の変位はピストンロッドによって実施される。用量送達中、ピストンロッドは、駆動要素130によって回転し、ハウジングに固定されたナット要素125とのねじの相互作用によって、ピストンロッドが遠位方向に前方に移動する。ゴムピストンとピストンロッドとの間に、回転ピストンロッドの軸方向軸受として機能し、ゴムピストンの圧力を均一にするピストンワッシャ127が、配置される。ピストンロッドが、ピストンロッド駆動要素がピストンロッドと係合する非円形断面を持つので、駆動要素はピストンロッドに回転方向にロックされているが、ピストンロッド軸に沿って自由に移動する。結果として、駆動要素の回転は、ピストンの直線的な前進の動きをもたらす。駆動要素には、駆動要素が時計回りに(押しボタンの端から見た)回転することを防止する小さなラチェットアーム134が設けられている。駆動要素との係合によって、ピストンロッドは前方にのみ移動することができる。用量送達中、駆動要素は反時計回りに回転し、ラチェットアーム135は、ラチェット歯105と係合することによってユーザーに小さなクリックを提供する。例えば、単位インシュリン放出にたいし1クリックである。
【0040】
ダイヤルシステムに回転すると、用量が設定され、ダイヤル部材180を回転することによってリセットされる。ダイヤルをターンすると、リセットチューブ160、EOC部材128、ラチェットチューブ150およびスケールドラム170はすべてそれと共に回転する。ラチェットチューブがトルクばね155の遠位端に接続されるので、ばねがロードされる。用量設定の間、ラチェットのアーム152は、クラッチ要素の内側歯構造142との相互作用に起因してダイヤルされるそれぞれのユニットに対してダイヤルクリックを実施する。示された実施形態では、クラッチ要素には、ハウジングに対して全体で360度回転するために24回のクリック(増分)を提供する24回のラチェットストップが設けられている。ばねはアセンブリ時に予めロードされており、これによって機構は小さい用量および大きな用量の両方を許容速度間隔で送達できるようになる。スケールドラムがラチェットチューブと回転係合するが、軸方向で移動可能であり、スケールドラムはハウジングとねじ係合しているため、ダイヤルシステムが回転した時に、スケールドラムはヘリカルパターンで移動するが、設定用量に対応する数字はハウジングウィンドウ102に示される。
【0041】
ラチェットチューブとクラッチ要素140との間のラチェット152、142は、ばねが部品の回転を戻すことを防止する。リセットの間、リセットチューブはラチェットアーム152を移動し、それによってクリックごとにラチェットを解放し、一つのクリックは、説明した実施形態ではインシュリンの一つのユニットIUに対応する。より具体的には、ダイヤル部材が時計回りに回転すると、リセットチューブは単にラチェットチューブを回転させ、ラチェットのアームがクラッチ要素の歯構造142と自由に相互作用することを可能にする。ダイヤル部材が反時計回りに回転すると、リセットチューブはラチェットクリックアームと直接相互作用し、クラッチ内の歯からペンの中心に向かってクリックアームを押し、ラチェットのクリックアームがロードされたばねによって引き起こされるトルクによって「1クリック」後方に移動することを可能にする。
【0042】
設定用量を送達するために、図3Bに示すように、押しボタン190はユーザーによって遠位方向に押される。リセットチューブ160はダイヤル部材から分離し、その後クラッチ要素140はハウジングスプライン104と係合が外れる。ここで、ダイヤル機構は、駆動要素130とともに「ゼロ」に戻り、これが放出される薬剤の用量につながる。薬剤送達中いつでも押しボタンを解放または押すことにより、いつでも用量を停止し開始することが可能である。ゴムピストンが非常に迅速に圧縮されてゴムピストンを圧縮し、その後、ピストンが元の寸法に戻る時にインシュリンの送達が行われるので、通常、5IU未満の用量は一時停止できない。
【0043】
EOC機能は、ユーザーがカートリッジ内に残されたより大きな用量を設定することを防止する。EOC部材128は、リセットチューブに回転方向にロックされており、これは用量設定の間、リセットの間および用量送達中にEOC部材を回転させ、それらの期間中、ピストンロッドのスレッドのねじに従い、前後に軸方向に移動することができる。ピストンロッドの近位端に達すると、停止し、これはダイヤル部材を含むすべての接続された部品が用量設定方向にさらに回転するのを防ぐ。すなわち、ここで設定用量はカートリッジ内の残りの薬剤含有量に対応する。
【0044】
スケールドラム170には、ハウジング内側表面上の対応する停止表面と係合するように適合された遠位停止表面174が設けられており、これにより、スケールドラムに対する最大用量での停止を提供し、ダイヤル部材を含むすべての接続された部品を用量設定方向にさらに回転させることを防ぐ。示された実施形態では、最大用量は80IUに設定される。それに応じて、スケールドラムには、ばねベース部材上の対応する停止表面と係合するように適合された近位停止表面が設けられ、これにより、ダイヤル部材を含むすべての接続された部品が、用量放出方向にさらに回転するのを防ぎ、それによって放出機構全体の「ゼロ」停止を提供する。
【0045】
ダイヤル機構になにか障害があり、スケールドラムがゼロ位置を超えて移動することを可能にする場合、偶発的な過剰投薬を防止するために、EOC部材はセキュリティシステムを提供するように機能する。より具体的には、フルカートリッジを有する初期状態では、EOC部材は、駆動要素と接触する最も遠位の軸方向位置に配置される。所与の用量が放出された後、再びEOC部材が駆動要素と接触して配置される。それに応じて、機構がゼロ位置を超えて用量を送達しようとする場合、EOC部材は駆動要素に対してロックする。機構の異なる部分の許容範囲および柔軟性によって、EOCは短距離を移動するが、例えば3~5IUのインシュリンなどの放出される薬剤の少量の「過剰用量」が許容される。
【0046】
放出機構はさらに、薬剤の全量が放出されたことをユーザーに知らせる放出用量の最後に、明確なフィードバックを提供する用量終了(EOD)クリック機能をさらに含む。より具体的には、EOD機能は、ばねベースとスケールドラムとの間の相互作用によって作られる。スケールドラムがゼロに戻ると、ばねベース上の小さなクリックアーム106は、前進するスケールドラムによって強制的に後方に戻る。「ゼロ」の直前に、アームが解放され、アームはスケールドラム上の座ぐり表面を打つ。
【0047】
示された機構には、ダイヤル部材を介してユーザーによってかけられる過負荷から機構を保護するために、トルクリミッターがさらに設けられている。この機能は、ダイヤル部材とリセットチューブとの間のインターフェイスによって設けられ、これは前述したように、互いに回転方向にロックされている。より具体的には、ダイヤル部材には、リセットチューブの可撓性の担体部分161上に配置されたいくつかの対応する歯数と係合する周方向内側歯構造181が設けられている。リセットチューブ歯は、所与の指定された最大サイズのトルク例えば、150~300Nmmを伝達し、それを超えると、可撓性の担体部分および歯が内向きに曲がり、ダイヤル機構の残りの部分を回転させることなく、ダイヤル部材を回転させるように設計されている。従って、ペンの内側の機構は、トルクリミッターが歯を介して伝達するよりも高い負荷でストレスを受けることはできない。
【0048】
機械的薬剤送達装置の作業原理について説明したので、アドオンログ装置の典型的実施形態を説明するが、実施形態は本発明の態様を実行するプラットフォームとして機能する。
【0049】
図4は、上述のペンタイプの薬剤送達装置100のハウジング101上に取り付けられた状態のアドオン装置200の概略図を示す。アドオン装置は、放出事象、すなわち、薬剤の用量の皮下注射の間に、薬剤送達装置から放出される薬剤の用量を決定するよう適合される。示された実施形態では、放出される薬剤の用量の決定は、放出事象の開始時および最終時点でのスケールドラム位置の決定に基づく。スケールドラムの回転位置を決定するために、表示ウィンドウ102で見られる用量数値を捕捉して使用しうる。スケールドラム位置の実際の決定は、例えば、テンプレートマッチング(下記参照)または光学文字認識(OCR)を使用して実施されうる。あるいは、例えば、WO2013/004843号に開示されているように、専用コードパターンをスケールドラム上に提供してもよい。
【0050】
アドオン装置は、その中で、エネルギー源211によって電子回路210が動力を与えられるハウジング201を備える。電子回路は、ウィンドウ102に見られるスケールドラム170の少なくとも一部を照射するように適合された光源220、スケールドラムからの画像データを捕捉するよう適合された画像捕捉装置(カメラ)221、ペンハウジング101と係合するように適合された取付スイッチ230、表示装置240、および一つまたは複数のボタン250の形態のユーザー入力手段に接続され、およびそれらと相互作用する。示される実施形態では、用量設定部材180と係合するように適合されたさらなるアクティブスイッチ235が設けられている。別の方法としてまたは追加的に、用量設定の間および用量放出の間に放出機構によって生成される特定の音を検出するために、音響センサーが設けられうる。電子回路210は一般に、例えば、汎用マイクロプロセッサまたはASIC、ROMおよびRAMメモリの形態で、内蔵プログラムコードおよびデータ、表示コントローラおよび無線送信機/受信機のためのストレージを提供するコントローラ手段を含む。
【0051】
アドオン装置はさらに、ペンハウジング上にアドオン装置を取り外し可能に取り付けて固定し、位置決めするように適合された取付手段(図示せず)を備える。示された実施形態では、アドオン装置は、表示ウィンドウを覆う。そのため、表示ウィンドウに示される現在の用量サイズを電子的「仮想」表示装置240上に捕捉および表示する必要がある。別の方法として、アドオン装置は、ユーザーが表示ウィンドウを見ることができるように設計されうる。
【0052】
カップリング手段は、例えば、アドオン装置がペン本体上の所定位置にスライドすることを可能にする穿孔、アドオン装置が垂直方向に取り付けられるのを可能にする可撓性の把持構造体、アドオン装置がペン本体に取り付けられるとき、所定の位置にスナップドメするロック手段、またはユーザーによって操作する必要がある例えばヒンジラッチ部材またはスライディング部材などのロック手段の形態であってもよい。
【0053】
図5は、アドオンモジュール400のさらなる実施形態を示し、モジュールは、ハウジング401と、表示ウィンドウ440と、近位に配置されたユーザーがアクセス可能なアドオンダイヤル部材480とユーザーがアクセス可能なアドオン放出ボタン490とを含み、アドオン放出ボタン490は、アドオンモジュールが取り付けられた薬剤送達装置上の対応する構造を覆いおよび協働するように適合される。このようなアドオンモジュールは、EP16171883.8号でより詳細に記述されている。
【0054】
作動中にスケールドラムウィンドウを覆うアドオンアクセサリデバイス用の仮想表示を提供することで、必要な追加的表示が装置のサイズおよびコストに加えられるので、より高い複雑さをもたらす。さらに、非常に高い度合いで正確かつ信頼性のある仮想表示を提供することが可能である場合があるが、ユーザーは、これは常にそうであるわけではないことを懸念する場合がある。それに応じて、EP16196559.5は、光学配置を介したカメラがスケールドラムの画像を取り込むように配置され、同時に透明なハウジングウィンドウを介してユーザーが用量設定の間にスケールドラムを直接観察できるように配置されたアドオンモジュールを記述する。
【0055】
上述のアドオン装置において、スケールドラム位置が、保存されたスケールドラム表面画像全体の表現とのテンプレートマッチングによって決定されうる。
【0056】
それに応じて、図6は、全スケールドラムのテンプレート画像215を示す。画像は、スケールドラムが位置80から位置0に移動するフィルムから連続的な画像の部分を連結することによって得られる。より具体的には、テンプレートは動画の各フレームの垂直中心を連結することによって作成され、自動的に剪断された画像を作成し、これによって図7に示されるスケールドラムの数字と比較してわかるように、すべての数字が傾斜していることをもたらす。代替的に、リボン画像は、FlexTouch(登録商標)装置用のスケールドラム印刷のCAD図面から取得されてもよく、図面は切断されて切り取られて長リボンを生成する。テンプレート画像は、特定のイメージの位置を決定するときに参照として使用される。ピクセル位置(上の図の水平軸)は、ドラム位置(度、IUまたはその他の単位)に対応する。一例として、図7は、位置が10IUに対応するスケールドラムウィンドウの画像216を示し、長方形217は位置検出に使用される領域を図示する。次に図8は、ピクセル位置の機能118としての長方形画像部分の参照115への相互関係を示す。ピークを検索することで、図9に示すように、参照画像からのカット119に対応するピクセル位置341で最良の一致が見られる。この画素オフセットの参照画像は、スケールドラムが9.8IUの位置にあるときに取得された。実際に、テンプレート画像が、数字をそらせることによって作成された場合、これはカメラで撮影された画像が、テンプレートと一致する前にそれに対応してシールされるべきこと意味する。
【0057】
一般に、捕捉された画像は保存されたテンプレートに対応するように処理されるべきであり、または別の方法として、テンプレート画像は保存される前に捕捉された画像に対応するように処理されるべきである。より具体的には、上述のせん断問題に加えて、捕捉された画像は、例えば、カメラとスケールドラムとの間の角度方向、およびカメラの前方に配置された任意の光学素子の影響によって歪みうる。それに応じて、テンプレート画像は、保存前に処理されて、実際に捕捉された画像と一致する「歪み」画像を作成しうる。
【0058】
スケールドラム位置がどのように決定されるかに関わらず、テンプレートマッチングまたはOCRによって、通常は二つの画像または文字が非常に類似している場合、利用される方法が不正確な結果を生じさせる可能性がある。この問題に対処するために、本発明は、一次画像プロセスの結果を選択的に制御する二次画像制御プロセスと組み合わせて、一次画像位置決定(例えば、テンプレートマッチングまたはOCR)が使用されるカメラベースシステムを提供する。
【0059】
本発明は、スケールドラム位置決定、例えば、テンプレートマッチングまたはOCRなどの所与の方法のため、一部の位置または値は、より高い信頼性で決定されることを実現することに基づく。それに応じて、好ましい実施形態では、本発明の二次画像制御プロセスは、こうした位置または値に対し、第二の分析が行われることを提供する。しかしながら、第二の同様の試験例えば、別のOCRプロセスを単に実施することとは対照的に、問題の画像を分析して、一次画像プロセス分析が正しいかどうかを判断するために効果的に使用できる画像特徴を決定する。
【0060】
より具体的には、所与の位置または値に対し、対応する画像は、例えば、スケールドラムの「0」との組み合わせで使用される一対の対向する矢印などの、「普遍的に」独特である画像特徴、または、例えば、「10」は「18」と混乱されうる、または「20」は「30」と混乱されうるなどの、示された所与の数の「問題のある」位置に対して、「相対的に」独特であり、混乱した結果をもたらす画像特徴に対して初期に分析される、
【0061】
それぞれの関連する「問題ある」の位置について、特定された一つまたは複数の特異的な特徴は、所与の位置および所与の基準内容によって特徴付けられる。黒色の印を有する白色スケールドラムの単純なセットアップで、各位置が、すなわち、部分画像部分または領域が、灰色値にわたる「全白色」から「全黒色」の範囲のグレーの値によって特徴付けられうる。各部分画像部分の位置、サイズおよび形態は、スケールドラムの各関連位置に対して個別に選択されてもよい。
【0062】
上述に示すように、所与の位置の画像特徴の「相対的特徴」は、利用される所与の一次画像プロセスによって混合されることが見出された位置を区別するためにのみ選択するべきである。理想的には、問題のスケールドラム位置に対し、可能な限り明白な内容を、例えば「完全白」または「完全黒」という明白な内容を有する画像部分(または領域)が、特定されるべきである。
【0063】
例えば、利用される所与の一次画像プロセスに対し、「10」は「18」と混合され得ることが示される場合、、選択された部分画像部分は、「10」に対し、優先的に白であり、一方、「18」に対し、優先的に黒である第二の数値の中心に対応してもよい。第二の部分画像部分として、第二の数値の全面積が選択されうるが、これは平均の「0」に対し、「8」より淡い灰色ことになる。
【0064】
組み合わされた一次画像プロセスおよび二次画像プロセスの意図された結果に応じて、二次画像プロセスの結果が、一次画像プロセスの結果が不正確であると「否定的に」判定し、エラーメッセージの結果となるために利用されてもよく、または、一次画像プロセスの結果が例えば「18」ではなく「10」であると「肯定的に」判定するために利用されてもよい。
【0065】
「普遍的に独特な」特徴の例として、図10を参照すると、数値(または印)の「0」177がハウジングウィンドウ102内に示されるハウジングポインタ109Pのとなりに配置される状態で、初期ゼロ位置に対応するスケールドラム170を示す。この位置については、矢印画像部分175のそれぞれ、ならびに二つの上部の相対的に大きな比較的大きな白色三角形領域176のそれぞれが独特である。上述のように、全世界に特有の特徴を使用して、組み合わされたプロセスの否定の結果または肯定の結果を提供しうる。
【0066】
図11を参照すると、アドオンモジュール300のさらなる実施形態が示され、モジュールは、モジュールの一部として設けられる解放部材によって作動される状態スイッチと組み合わせて位置センサーアセンブリを含む。より具体的には、アドオンモジュール300は、電子回路310、エネルギー源、光源、カメラ装置321および表示装置340を配置するハウジング301を備え、これは一般に図4に示すアドオンモジュールの構成要素に対応する。アドオンモジュールハウジングは、ペン式装置の略円筒形の近位部分を受けるように適合された孔を形成し、孔はペン式装置に面するように適合された略円筒形の取付表面によって画定される。カメラ開口部302は、取付表面に形成される。ペンを孔内に受け入れることができるように、孔とペンの間に小さな隙間が設けられる。二つの構造間の堅固なグリップは、ペン式装置と係合するように適合されたアドオンモジュール上のロッキング構造304によって設けられ、堅固なグリップを固定する。ロッキング構造は、ばね付勢され、アドオンモジュールがペン上に取り付けられた時に適所にスナップとめされるように適合されうる。別の方法として、ロッキング構造はユーザーがロックを操作する形態であってもよい。アドオンモジュールは、取付表面から突出し、開口部端の少なくとも一部分と係合するように適合する位置決め構造303を備え、、それによって開口部に対してアドオンモジュールを軸方向に、かつ回転方向に位置決めする。示された実施形態では、位置決め構造は、少なくとも部分的にカメラ開口部を囲む突出するリップ303構造の形態であり、リップ構造は、ウィンドウ開口部の縁部嵌合係合するよう適合され、それによって二つのハウジング構造の間で、したがって、カメラ装置とスケールドラムとの間に軸方向および回転方向の両方で正しい位置決めを確保する。
【0067】
さらに、アドオンモジュール300には、ユーザーがアクセス可能なアドオンダイヤル部材380、ユーザーアクセス可能なアドオン放出ボタン390、コード接点アレイ385と組み合わせた円筒形コード部材381を含む位置センサーアセンブリ、およびアドオンダイヤル部材と関連付けられた状態スイッチ386が設けられている。示された実施形態では、取付スイッチ機能は位置センサーアセンブリ内に統合される。下記参照のこと。図示した実施形態では、アドオンダイヤル部材380およびアドオン放出ボタン390は、互いに軸方向にロックされて取り付けられ、組み合わされたアドオンダイヤルおよび解放部材を形成する。二つの部材はまた、互いに回転方向にロックされてもよい。表示されるように、アドオンモジュールがペン式装置に搭載されているとき、ペン用量設定部材およびペン放出ボタンはアドオンモジュールで覆われる。
【0068】
円筒形コード部材381は、アドオン装置がペン式装置上に取り付けられた時に、用量設定部材180と軸方向に係合するように適合された内側表面を持ち、嵌合表面は、例えば、図1Aに示したようにFlexTouch(登録商標)ペン式装置上に設けられた軸方向に配向された溝パターンに基づいて非回転係合を提供する。アドオンダイヤル部材380は、モジュールハウジング301に回転自由に連結されているが、アドオンモジュールがペン式装置上に取り付けられた時に、コード部材381および用量設定部材180と非回転係合している。アドオンダイヤル部材380は、初期の最も近位位置と作動する最も遠位位置との間でモジュールハウジングに対して軸方向に移動するように配置される。バイアスばね382は、コード部材381とアドオンダイヤル部材380との間に設けられ、組み合わされたアドオン部材がその最も近位位置に向かって付勢されることを確実にする。組み合わされたアドオン部材のアドオン放出ボタン部分390は、モジュールハウジングに対して軸方向に移動する時に、ペン式装置放出ボタン190と係合するように適合される。このようにして、用量は、アドオンダイヤル部材部分380によって設定され、アドオン放出ボタン部分390によって設定用量が放出される。
【0069】
位置センサーアセンブリは、アドオンダイヤル部材380と共に回転するグレーコードパターンを持つ外周表面を持つ上述の略円筒形コード部材と、コードパターン表面と摺動係合する複数のガルバニック接点部材を含む接点アセンブリとを備える。位置センサーアセンブリからの出力は、プロセッサによってデコードされ、次に表示装置を制御するために使用される回転位置が決定される。位置センサーは、用量設定部材の完全回転のための増分の数(例えば、24増分、またはその一部分たとえば8増分)に対応する解像度を有する「絶対的」であってもよい。ほとんどのペンの用量設定部材が完全回転を超えるように設計されているため(例えば、80増分に対応する)、電子回路は、両方の場合において、例えば、8または24の増分の最大解像度に達した後の増分を追加する必要がある。したがって、表示制御は、上述のようにカウントする代わりに位置決定に基づいているので、例えば、立ち上がりの際、またはユーザーが用量設定部材を非常に速く回転させる場合、システムはより堅牢で、入力をスキップする。
【0070】
位置感知機能に加えて、グレーコード配列は動き感知機能も提供し、すなわち、検出された値が所与の時間内に変化する限り、用量を設定することができものとする。
【0071】
位置および動き感知機能に加えて、グレーコード配列はまた、低電力スリープモードを持つ起動スイッチ配置を提供し、コード部材が初期用量設定の間に回転する時に起動信号を提供する。コード部材がアドオンモジュールの取付中に必然的に移動するので、グレーコード配列は、取付け中に電子回路を立ち上げる取付スイッチも提供しうる。
【0072】
示された実施形態では、状態スイッチアセンブリは、円周コードリングが配置されるアドオンダイヤル部材380の遠位部分と摺動係合する一つまたは複数の接点部材386を備え、これにより近位用量設定状態と遠位用量放出状態の間のアドオン放出ボタン390の軸方向の移動を検出する。位置センサーおよび状態スイッチの両方の接点部材は、可撓性の接点アームの形態としうるが、これは組み合わされた接点アームアレイの形態で設けられうる。
【0073】
代替的な実施形態(図示せず)では、軸方向の状態スイッチは、グレーコード表面および接点アセンブリを利用することによって位置センサー内に統合されうる。より具体的には、円筒形コード部材は、用量設定状態に対応する近位位置と、用量放出状態に対応する遠位位置との間を軸方向に移動するように配置されてもよく、コード部材はアドオン放出ボタンによって軸方向に移動される。類似のセンサー配置は、参照により本明細書に盛り込まれるされるWO2010/052275号に開示されている。
【0074】
上述のように、位置センサーはほとんどの場合絶対的ではない。そのため、表示装置に示すスケールドラムの実際の位置は、その他の手段、すなわち画像捕捉によって決定される初期値に基づく必要がある。この概念の次の二つの例について説明する。
好ましい実施形態では、アドモジュールには、カメラの使用によって決定されるスケールドラムの最後の回転位置が格納されるメモリが設けられる。アドオンモジュールが新しいペン式装置上に取り付けられている場合、ユーザーは、初期取り付け手順の一部として一定の操作を実行する必要があることを避けるために、メモリをリセットする必要があり(図4の実施形態の場合として)、アドオンモジュールには自動スケールドラム位置キャプチャが設けられてもよい。より具体的には、アドオンモジュールがペン式装置に新しく(または初めて)に取り付けられていることが取付スイッチ手段によって検出されたとき、カメラは、例えばテンプレートマッチングによってスケールドラムの位置を決定するために処理され、例えば「最近の位置」メモリに保存されるスケールドラムの画像を捕捉する。その後、位置を使用して、モジュール表示に、対応する現在のスケールドラム用量サイズ値を表示することもできる。
【0075】
別の方法として、表示された値は、用量設定イベント中に最初に捕捉された画像に基づいてもよく、画像は、表示の提示が、用量設定の間に、基となる初期スケールドラム位置を決定するために使用される。初期画像捕捉は、例えば、ユーザーが(軽く)放出ボタンを押すことによって促されてもよく、またはダイヤル部材の動きが検出された後に画像を「その場で」を取り込んでもよい。
【0076】
これらのシナリオの両方では、初期用量設定位置が正しく決定されていることが重要である。そうでなければ、ユーザーが、表示装置上でダイヤルされ示された用量が、用量設定の終了時に決定される真の位置に対応しないことを経験することになろう。すなわち、ダイヤルされた25単位の用量が26の真の値(その後25にダイヤルが戻される))に修正されることは、許諾されうるが、ダイヤルされた25単位の用量が真の値30に修正されることはほとんど許諾されない。
【0077】
この問題に対処し、本発明の第二の態様において、最初に捕捉されたスケールドラム位置(または値)が正しいことを確認する方法が提供される。より具体的には、スケールドラムが例えば0、2、4などの位置にダイヤルされるとき、画像の特性は、例えば66、68、80および88などの位置と比較して非常に独特である。それに応じて、決定された位置が予め定義されたグループの値に属する場合にのみ、表示装置が動作状態になるようにシステムが設けられる。
【0078】
ユーザーが用量を設定して表示用量がオンになっていない場合、ユーザーは表示装置がオンになるまでダイヤル部材をゆっくりと回転させるよう指示される。実際に、魅力的な概念では、ユーザーは、ほとんどの場合において表示装置がオンになることを経験するが、ほとんどの使用シナリオにおけるダイヤル部材が初期のゼロ位置に位置され、おそらく無意識に、数ユニット回転する。ほどんどのケースにおける用量設定は初期のゼロ位置かその近くにいるスケールドラムで始まる。これにより、初期画像捕捉および位置決定によって確実にスケールドラム位置を決定することができる。
【0079】
本発明の典型的実施形態の上記の説明では、薬剤送達装置上に取り外し可能に取り付けられるように適合されたアドオン用量ログ装置での使用に関し、画像捕捉の概念について説明してきたが、開示された概念は、同じ効果を持って、対応するインジケータを含む薬剤送達装置に組み込まれた画像捕捉回路で利用されうる。
【0080】
典型的実施形態の上記の説明では、異なる構成要素について記載された機能を提供する異なる構造および手段を、本発明の概念が当業者にとって明らかである程度に、説明してきた。異なる構成要素の詳細な構造および仕様は、本明細書に記載されるラインに沿って当業者によって実施される通常の設計手順の対象とみなされる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11