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特許7042848車載装置、車両、衛星軌道情報のダウンロード方法、及び衛星軌道情報のダウンロードプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】車載装置、車両、衛星軌道情報のダウンロード方法、及び衛星軌道情報のダウンロードプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20220318BHJP
   G01S 19/25 20100101ALI20220318BHJP
   G01S 19/34 20100101ALI20220318BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G01S19/25
G01S19/34
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019568460
(86)(22)【出願日】2018-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2018003131
(87)【国際公開番号】W WO2019150470
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】是永 剛志
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-163354(JP,A)
【文献】特開2002-090443(JP,A)
【文献】特開平09-113598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G01S 5/14
G01S 19/25
G01S 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する判断情報を取得する判断情報取得部と、
前記判断情報に基づいて、前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミング、又は前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミングの所定の準備時間前を、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定するタイミング決定部と、
決定された前記タイミングでダウンロードされた衛星軌道情報を用いて、前記所定の課金エリア内に位置する前記車両に対して課金処理を行う課金処理部と、
を備える、
車載装置。
【請求項2】
前記判断情報は所定の位置の情報を含み、
前記タイミング決定部が決定する前記タイミングは、前記車両の現在位置が前記所定の位置になるタイミングである
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記判断情報は所定の時間の情報を含み、
前記タイミング決定部が決定する前記タイミングは、現在時刻が前記所定の時間より前記所定の準備時間前であるタイミングである
請求項1又は請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記所定の時間は、前記車両の利用頻度の高い時間である
請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記所定の時間を学習する学習部をさらに備える
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記タイミング決定部は、前記判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記判断情報は所定の車種の情報を含み、
前記タイミング決定部は、前記車両の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が高くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する
請求項6に記載の車載装置。
【請求項8】
前記判断情報は所定の車種の情報を含み、
前記タイミング決定部は、前記車両の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が低くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する
請求項6に記載の車載装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の車載装置を搭載している車両。
【請求項10】
車両に関する判断情報を取得する判断情報取得部と、
前記判断情報に基づいて、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するタイミング決定部と、
を備え、
前記判断情報は所定の車種の情報を含み、
前記タイミング決定部は、前記判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定し、
前記タイミング決定部は、前記車両の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が高くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する
車載装置。
【請求項11】
車両に関する判断情報を取得する判断情報取得部と、
前記判断情報に基づいて、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するタイミング決定部と、
を備え、
前記判断情報は所定の車種の情報を含み、
前記タイミング決定部は、前記判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定し、
前記タイミング決定部は、前記車両の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が低くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する
車載装置。
【請求項12】
車両に関する判断情報を取得する判断情報取得ステップと、
前記判断情報に基づいて、前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミング、又は前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミングの所定の準備時間前を、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定するタイミング決定ステップと、
決定された前記タイミングでダウンロードされた衛星軌道情報を用いて、前記所定の課金エリア内に位置する前記車両に対して課金処理を行う課金処理ステップと、
を備える、
衛星軌道情報のダウンロード方法。
【請求項13】
車載装置としてのコンピュータを、
車両に関する判断情報を取得する判断情報取得部と、
前記判断情報に基づいて、前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミング、又は前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミングの所定の準備時間前を、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定するタイミング決定部と、
決定された前記タイミングでダウンロードされた衛星軌道情報を用いて、前記所定の課金エリア内に位置する前記車両に対して課金処理を行う課金処理部と、
して機能させる、
衛星軌道情報のダウンロードプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、車両、衛星軌道情報のダウンロード方法、及び衛星軌道情報のダウンロードプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載する車載装置として、種々のサービスを提供する車載装置が知られている。例えば、特許文献1には、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいて車両の位置を特定し、車両が課金エリア内に存在する場合には課金する課金機能を備えた車載装置が記載されている。また、米国が開発したGPS衛星ではなく、各国のGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星を利用して車両の位置を特定する車載装置も存在する。
【0003】
GNSS衛星を利用して測位演算を行う車載装置は、アルマナック及びエフェメリスといった衛星軌道情報をGNSS衛星から受信し、衛星の位置を把握する必要がある。衛星軌道情報の受信には30秒程度の時間を有する。GNSS衛星から受信する衛星軌道情報には有効期限が存在し、有効期限を過ぎると再度、受信する必要が有る。
【0004】
GNSS衛星から直接的に衛星軌道情報を受信せずに、外部サーバからセルラーネットワーク経由でダウンロードする技術としてAGNSS(Assisted Global Navigation Satellite System)が知られている。AGNSSを利用して衛星軌道情報を受信する場合には、測位開始に要する時間を短縮できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-139255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、AGNSSを利用して受信する衛星軌道情報にも有効期限が存在し、有効期限を過ぎると再度、衛星軌道情報をダウンロードする必要がある。また、有効期限内であっても、ダウンロードから時間が経過すると測位開始時に要する時間を短縮する効果が下がる場合がある。この為、AGNSSを利用する従来の車載装置は衛星軌道情報を頻繁にダウンロードし、外部サーバとの通信量が増加し、車両のバッテリ消費が増大する可能性がある。
【0007】
従って、不要な通信の抑制及びバッテリ消費の低減を目的として、AGNSSを利用した衛星軌道情報のダウンロード頻度を低減する技術が望まれている。上記課題に鑑みて、本発明は、不要な通信の抑制及びバッテリ消費の低減を目的として、AGNSSを利用した衛星軌道情報のダウンロードを適切なタイミングで行うことが可能な車載装置、車両、衛星軌道情報のダウンロード方法、及び衛星軌道情報のダウンロードプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、車載装置は、車両(1)に関する判断情報を取得する判断情報取得部(11)と、前記判断情報に基づいて、前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミング、又は前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミングの所定の準備時間前を、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定するタイミング決定部(12)と、決定された前記タイミングでダウンロードされた衛星軌道情報を用いて、前記所定の課金エリア内に位置する前記車両に対して課金処理を行う課金処理部と、を備える、衛星を利用した測位が必要となる条件を示す。
このようにすることで、車両に関する判断情報に基づいて、AGNSSサーバから衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するので、適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。従って、頻繁なダウンロードを防止することにより、車載装置とAGNSSサーバとの不要な通信を抑制し、車載装置の通信に起因するバッテリ消費を低減することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に記載の車載装置(10)において、前記判断情報は所定の位置の情報を含み、前記タイミング決定部(12)が決定する前記タイミングは、前記車両(1)の現在位置が前記所定の位置になるタイミングである。
このようにすることで、所定の位置の情報に基づいて、車両の現在位置が所定の位置になるタイミングでダウンロードを行うことによって、衛星軌道情報をダウンロードする必要性の高い適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様又は第2の態様に記載の車載装置(10)は、前記判断情報は所定の時間の情報を含み、前記タイミング決定部(12)が決定する前記タイミングは、現在時刻が前記所定の時間より前記所定の準備時間前であるタイミングである。
このようにすることで、所定の時間の情報に基づいて、現在時刻が所定の時間より所定の準備時間前であるタイミングでダウンロードを行うことによって、衛星軌道情報をダウンロードする必要性の高い適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。
【0011】
また、本発明の第4の態様によれば、本発明の第3の態様に記載の車載装置(10)において、前記所定の時間は、前記車両(1)の利用頻度の高い時間である。
このようにすることで、車両の利用頻度の高い時間に基づいて、AGNSSサーバから衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定し、衛星軌道情報をダウンロードする必要性の高い適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。従って、頻繁なダウンロードを防止することにより、車載装置とAGNSSサーバとの不要な通信を抑制し、車載装置の通信に起因するバッテリ消費を低減することができる。
【0012】
また、本発明の第5の態様によれば、本発明の第4の態様に記載の車載装置(10)は、前記所定の時間を学習する学習部(21)をさらに備える。
このようにすることで、利用者が車両を利用した過去の情報に基づいて、判断情報に含まれる所定の時間の情報の精度を向上させることができる。従って、より適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。さらに、例えば、利用者による車両の利用状況が変化しても、判断情報に含まれる所定の時間を更新して精度を維持することができる。
【0013】
また、本発明の第6の態様によれば、本発明の第1の態様から第5の態様のいずれかに記載の車載装置(10)において、前記タイミング決定部(12)は、前記判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する。
このようにすることで、タイミング決定部が、判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するので、衛星軌道情報をダウンロードする必要度に応じてに応じてダウンロードの回数を調整することができる。
【0014】
また、本発明の第7の態様によれば、本発明の第6の態様に記載の車載装置(10)において、前記判断情報は所定の車種の情報を含み、前記タイミング決定部(12)は、前記車両(1)の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が高くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する。
このようにすることで、所定の車種の情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるようにタイミングを決定することによって、衛星軌道情報をダウンロードする必要度の高い車種については、ダウンロードの回数が増加するように調整することができる。
【0015】
また、本発明の第8の態様によれば、本発明の第6の態様に記載の車載装置(10)において、前記判断情報は所定の車種の情報を含み、前記タイミング決定部は、前記車両(1)の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が低くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する。
このようにすることで、所定の車種の情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるようにタイミングを決定することによって、衛星軌道情報をダウンロードする必要度の低い車種については、ダウンロードの回数が低減するように調整することができる。
【0016】
また、本発明の第9の態様によれば、車両(1)は、本発明の第1の態様から第8の態様のいずれかに記載の車載装置(10)を搭載している。
また、本発明のその他の態様によれば、車載装置は、車両に関する判断情報を取得する判断情報取得部と、前記判断情報に基づいて、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するタイミング決定部と、を備え、前記判断情報は所定の車種の情報を含み、前記タイミング決定部は、前記判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定し、前記タイミング決定部は、前記車両の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が高くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する。
また、本発明のその他の態様によれば、車載装置は、車両に関する判断情報を取得する判断情報取得部と、前記判断情報に基づいて、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するタイミング決定部と、を備え、前記判断情報は所定の車種の情報を含み、前記タイミング決定部は、前記判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定し、前記タイミング決定部は、前記車両の車種が前記所定の車種である場合に前記所定の車種以外である場合よりも前記ダウンロード頻度が低くなるように前記衛星軌道情報をダウンロードする前記タイミングを決定する。
【0017】
また、本発明の第10の態様によれば、衛星軌道情報のダウンロード方法は、車両に関する判断情報を取得する判断情報取得ステップと、前記判断情報に基づいて、前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミング、又は前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミングの所定の準備時間前を、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定するタイミング決定ステップと、決定された前記タイミングでダウンロードされた衛星軌道情報を用いて、前記所定の課金エリア内に位置する前記車両に対して課金処理を行う課金処理ステップと、を備える、衛星を利用した測位が必要となる条件を示す。
【0018】
また、本発明の第11の態様によれば、衛星軌道情報のダウンロードプログラムは、車両に関する判断情報を取得する判断情報取得部と、前記判断情報に基づいて、前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミング、又は前記車両が所定の課金エリア内に入るタイミングの所定の準備時間前を、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定するタイミング決定部と、決定された前記タイミングでダウンロードされた衛星軌道情報を用いて、前記所定の課金エリア内に位置する前記車両に対して課金処理を行う課金処理部と、して機能させる、衛星を利用した測位が必要となる条件を示す。
【発明の効果】
【0019】
上述の車載装置、車両、衛星軌道情報のダウンロード方法、及び衛星軌道情報のダウンロードプログラムによれば、AGNSSを利用した衛星軌道情報のダウンロードを適切なタイミングで行い、不要な通信の抑制及びバッテリ消費の低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係る車載装置を備える車両の全体構成を示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る車載装置の機能構成を説明するブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る車載装置の判断情報の例を示す第1の説明図である。
図4】第1の実施形態に係る車載装置の判断情報の例を示す第2の説明図である。
図5】第1の実施形態に係る車載装置の動作を示すフローチャートである。
図6】第1の実施形態の変形例に係る車載装置の判断情報の例を示す第1の説明図である。
図7】第2の実施形態に係る車載装置の機能構成を説明するブロック図である。
図8】第2の実施形態に係る車載装置の学習動作を説明する説明図である。
図9】第2の実施形態に係る車載装置の動作を示すフローチャートである。
図10】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0022】
(第1の実施形態に係る車載装置を備える車両の全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る車載装置10を備える車両1の全体構成を示す概略図である。図1を用いて第1の実施形態に係る車載装置10を備える車両1の全体構成について説明する。
【0023】
車両1は、図1に示すように、車両1を利用する利用者Uにサービスを提供する車載装置10を備えている。第1の実施形態では、車両1が四輪車である場合について説明するが、車両1は、例えば、バイク等の二輪車、三輪車、及び5つ以上の車輪を有する多輪車であってよい。また、第1の実施形態では、利用者Uが車両1の運転者である場合について説明するが、利用者Uは、例えば、車両1を運転しない搭乗者等、運転者以外の利用者であってよい。
【0024】
車載装置10は、車両1に搭載されており、車両1の利用者Uにサービスを提供することができるように構成されている。第1の実施形態では、車載装置10が所定の課金エリア内に位置する車両1に対して有料道路の通行料金等の課金処理を行うことが可能な課金機能を備えている車載器である場合について説明する。しかしながら、車載装置10は、課金機能を備えている車載器以外であってよい。
【0025】
例えば、車載装置10は、車両1の運転者が決められた経路を走行しているか、規定の速度で走行しているか、及び規定の時刻に走行しているか等の各項目について、車両1を適切に運転しているか否かを評価する運転評価機能を備えている運転評価装置であってもよい。また、車載装置10は、例えば、車両1の現在位置、走行速度、バッテリの残量等のプローブ情報を収集し、交通モニタリングを行うモニタリング装置であってもよい。
【0026】
車載装置10は、複数のGNSS衛星2から時刻信号を受信し、車両1の現在位置を特定することができる。具体的には、GNSS衛星2の各位置が判明しているという条件下で、受信した時刻信号に基づいて複数のGNSS衛星2からの距離を算出し、車両1の3次元的な現在位置を特定することができる。
【0027】
車載装置10は、AGNSSサーバ3からセルラーネットワークNを介して衛星軌道情報を受信することができる。ここで、衛星軌道情報は、アルマナックデータ及びエフェメリスデータを意味する。アルマナックデータは、軌道上における全ての衛星に関する軌道情報であり、全衛星軌道データとも呼ばれる。エフェメリスデータは、各衛星の正確な位置情報と信号を発射した時刻情報であり、衛星軌道データとも呼ばれる。
【0028】
車載装置10は、衛星軌道情報を用いて測位に使用するGNSS衛星2の位置を測定することができる。なお、車載装置10は、複数のGNSS衛星2から衛星軌道情報を受信することもできる。
【0029】
GNSS衛星2は、各国のGNSS(Global Navigation Satellite System)の人工衛星である。GNSS衛星2は、例えば、米国のGPS衛星、ロシアのGLONASS衛星、ヨーロッパのGalileo衛星、中国のBeiDou衛星、及び日本の準天頂衛星等を含む。GNSS衛星2は、時刻信号及び衛星軌道情報を含む電波を送信する。
【0030】
AGNSSサーバ3は、セルラーネットワークNを介して車両1に衛星軌道情報を送信することができる。
【0031】
(第1の実施形態に係る車載装置の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る車載装置10の機能構成を説明するブロック図である。図2を用いて、第1の実施形態に係る車載装置10の機能構成を説明する。
【0032】
図2に示すように、車載装置10は、判断情報取得部11、タイミング決定部12、現在位置特定部13、課金処理部14、衛星信号受信部15、判断情報記憶部16、衛星軌道情報記憶部17、及び衛星軌道情報受信部18を備えている。
【0033】
判断情報取得部11は、判断情報記憶部16に記憶されている車両1に関する判断情報を取得するように構成されている。ここで、判断情報は、タイミング決定部12がAGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定する際に判断に用いる車両1に関する情報を意味する。第1の実施形態では、判断情報が所定の位置の情報及び所定の時間の情報である場合について説明するが、判断情報はその他の情報を含んでよい。例えば、判断情報は、車載装置10による課金サービス等のサービス提供において、GNSS衛星2を利用した正確な測位が必要となる条件等の情報であってよい。第1の実施形態では、判断情報取得部11が、判断情報記憶部16に記憶されている判断情報を取得する場合について説明するが、判断情報取得部11は、車載装置10の外部のサーバ等の装置と通信して判断情報を取得してもよい。
【0034】
第1の実施形態では、判断情報取得部11は、判断情報記憶部16から所定の位置の情報を判断情報として取得し、タイミング決定部12に入力する。
【0035】
タイミング決定部12は、セルラーネットワークNを介して衛星軌道情報をAGNSSサーバ3からダウンロードするタイミングを決定する。タイミング決定部12は、判断情報取得部11により入力された判断情報に基づいてタイミングを決定する。
【0036】
現在位置特定部13は、車両1の現在位置を特定するように構成されている。現在位置特定部13は、衛星信号受信部15がGNSS衛星2から受信した時刻信号に基づいて、複数のGNSS衛星2からの車両1までの距離を算出し、車両1の3次元的な現在位置を特定する。
【0037】
課金処理部14は、所定のサービスとして課金サービスを提供するように構成されている。具体的には、課金処理部14は、所定の課金エリア内に位置する車両1に対して課金処理を行うことができるように構成されている。
【0038】
判断情報記憶部16は、判断情報を記憶するように構成されている。第1の実施形態では、判断情報として図3に示す課金マップ情報及び図4に示す課金時間情報が予め記憶されている。課金マップ情報は所定の位置の情報であり、図3に示すように、車両1が走行する地図の情報である地図情報Mと、地図情報M内に設定された各課金エリア(例えば、A1、A2、・・・)の位置の情報を含む。
【0039】
課金時間情報は所定の時間の情報であり、図4に示すように、地図情報M上に設定された各課金エリアと課金開始時刻及び課金終了時刻とを関連付けた情報である。例えば、図4に示す判断情報の1行目は、課金エリアA1を通行する車両1に対して、課金開始時刻「07:00:00」から課金終了時刻「18:00:00」までの間の時間(時間帯)「07:00:00~18:00:00」は通行料金が課金されることを示している。なお、課金時間情報には、例えば、各課金エリアについて、課金される曜日、及び課金される周期(毎日、又は1日おき等)、その他の情報が含まれてよい。
【0040】
衛星軌道情報受信部18は、AGNSSサーバ3からダウンロードされたGNSS衛星2の衛星軌道情報が記憶されている。なお、GNSS衛星2から受信した衛星軌道情報が衛星軌道情報受信部18に記憶されてもよい。
【0041】
衛星軌道情報受信部18は、セルラーネットワークNを介してAGNSSサーバ3からGNSS衛星2の衛星軌道情報をダウンロードできるように構成されている。
【0042】
(第1の実施形態に係る車載装置の動作の処理フロー)
図5は、第1の実施形態に係る車載装置10の動作を示すフローチャートである。図5を用いて、第1の実施形態に係る車載装置10の動作を説明する。
【0043】
図5に示すように、衛星軌道情報のダウンロード処理が開始されると、判断情報取得部11が判断情報として所定の位置の情報(課金マップ情報)及び所定の時間の情報(課金時間情報)を取得する(ステップS101)。具体的には、判断情報取得部11は、判断情報記憶部16を参照し、判断情報記憶部16に記憶されている課金マップ情報及び課金時間情報を取得する。判断情報取得部11は、取得した課金マップ情報及び課金時間情報タイミング決定部12に入力する。
【0044】
次に、タイミング決定部12は、入力された判断情報(所定の位置の情報である課金マップ情報及び所定の時間の情報である課金時間情報)に基づいて、AGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定する(ステップS102)。具体的には、タイミング決定部12は、車両1の現在位置が課金マップ情報に含まれる所定の位置のいずれかと一致し、現在時刻が課金時間より所定の準備時間だけ前であるタイミングを、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定する。車両1の現在位置は、現在位置特定部13からタイミング決定部12に入力される。なお、車両1のエンジンが停止している場合には、タイミング決定部12は、エンジンが停止する前に現在位置特定部13が最後に特定して記憶しておいた現在位置を用いてタイミングを決定してもよい。
【0045】
例えば、図3の場合、車両1が走行して課金エリアA1(所定の位置)に入ると、タイミング決定部12は、車両1の現在位置が課金マップ情報に含まれる所定の位置と一致すると判定する。従って、タイミング決定部12は、現在時刻が課金エリアA1についての課金時間(所定の時間)「07:00:00~18:00:00」より5分(所定の準備時間)前であるタイミングを、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定する。即ち、タイミング決定部12は、車両1が課金エリアA1に入り、現在時刻が「06:55:00」になるタイミングで衛星軌道情報をダウンロードするように衛星軌道情報受信部18に指示を出す。なお、第1の実施形態では、所定の準備時間が5分である場合について説明したが、所定の準備時間は、5分以外の時間であってよい。所定の準備時間は、所定の時間までに衛星軌道情報をダウンロードするために最低限必要な時間であってよい。
【0046】
衛星軌道情報受信部18は、タイミング決定部12の指示を受けると、タイミング決定部12により決定されたタイミングで、AGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードする(ステップS103)。衛星軌道情報受信部18がダウンロードした衛星軌道情報は、衛星軌道情報受信部18に記憶される。以降、ステップS101に戻って、図5に示すフローの処理が繰返される。図5に示すフローの処理は、車両1のエンジンが停止している間も行われる。
【0047】
なお、上述した説明では、タイミング決定部12が、所定の位置の情報及び所定の時間の情報の両方を含む判断情報に基づいて衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定する場合について説明した。しかしながら、タイミング決定部12が、所定の位置の情報及び所定の時間の情報のいずれか一方だけに基づいて衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定してよい。
【0048】
(作用、効果)
以上のとおり、第1の実施形態に係る車載装置10は、車両1に関する判断情報を取得する判断情報取得部11と、判断情報に基づいて、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するタイミング決定部12と、を備える。
このように、第1の実施形態に係る車載装置10は、車両1に関する判断情報に基づいて、AGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定するので、適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。従って、頻繁なダウンロードを防止することにより、車載装置10とAGNSSサーバ3との不要な通信を抑制し、車載装置10の通信に起因するバッテリ消費を低減することができる。
【0049】
さらに、第1の実施形態に係る車載装置10において、判断情報は所定の位置の情報を含み、タイミング決定部12が決定するタイミングは、車両1の現在位置が所定の位置になるタイミングである。
これにより、所定の位置の情報に基づいて、車両1の現在位置が所定の位置になるタイミングでダウンロードを行うことによって、衛星軌道情報をダウンロードする必要性の高い適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。
【0050】
さらに、第1の実施形態に係る車載装置10において、判断情報は所定の時間の情報を含み、タイミング決定部12が決定するタイミングは、現在時刻が所定の時間より所定の準備時間前であるタイミングである。
これにより、所定の時間の情報に基づいて、現在時刻が所定の時間より所定の準備時間前であるタイミングでダウンロードを行うことによって、衛星軌道情報をダウンロードする必要性の高い適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。
【0051】
<第1の実施形態の変形例>
図6は、第1の実施形態の変形例に係る車載装置10の判断情報の例を示す第1の説明図である。図6を用いて、第1の実施形態の変形例に係る車載装置10について説明する。なお、第1の実施形態の変形例に係る車載装置10が備える各構成要素は、特に言及する場合を除き、第1の実施形態に係る車載装置10が備える各構成要素と同様に構成され、同様に機能するので、重複する説明については省略する。
【0052】
第1の実施形態の変形例では、図6に示すように、判断情報としての課金マップ情報(所定の位置の情報)は、地図情報M及び各課金エリア(A1、A2、・・・)の位置の情報に加え、各課金エリアを取り囲むように各々設定された準備エリア(B1、B2、・・・)の位置の情報を含む。さらに、課金マップ情報(所定の位置の情報)は、図6に示すように、地図情報Mの中で課金エリアにも準備エリアにも該当しないエリアである非対象エリアCの位置の情報を含む。
【0053】
第1の実施形態の変形例では、図5に示すステップS102の処理において、タイミング決定部12は、判断情報(所定の位置の情報)に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定する。例えば、図6の場合、車両1が課金エリア(A1、A2、・・・)内に滞在している間、タイミング決定部12は、3日に1度の頻度でAGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードするようにダウンロードするタイミングを決定する。
【0054】
また、車両1が準備エリア(B1、B2、・・・)内に滞在している間、タイミング決定部12は、5日に1度の頻度でAGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードするようにダウンロードするタイミングを決定する。さらに、車両1が非対象エリアC内に滞在している間、タイミング決定部12は、AGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードしない。
【0055】
即ち、タイミング決定部12は、判断情報に基づいて、車両1の現在位置が課金エリア(A1、A2、・・・)、準備エリア(B1、B2、・・・)、及び非対象エリアCのいずれかに一致するか判定し、車両1が位置するエリアに応じてダウンロード頻度が変更されるように決定している。なお、上述したダウンロード頻度の具体的な値は例示的な値であり、任意の値が規定されてよい。
【0056】
(作用、効果)
以上のとおり、第1の実施形態の変形例に係る車載装置10においては、タイミング決定部12は、判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定する。
このように、第1の実施形態の変形例では、判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるように衛星軌道情報をダウンロードするタイミングが決定されるので、衛星軌道情報をダウンロードする必要度に応じてダウンロードの回数を調整することができる。従って、不必要なダウンロードを回避することにより、車載装置10とAGNSSサーバ3の不要な通信をさらに抑制し、車載装置10の通信に起因するバッテリ消費をさらに低減することができる。
【0057】
なお、上述した第1の実施形態の変形例では、判断情報が所定の位置の情報である場合について説明したが、所定の位置の情報以外の判断情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるようにタイミング決定部12がタイミングを決定してよい。例えば、判断情報は所定の車種の情報であってよい。
このように、タイミング決定部12が、所定の車種の情報に基づいて、ダウンロード頻度が変更されるようにタイミングを決定するので、車種の特性に応じてダウンロードの回数を調整することができる。
【0058】
具体的には、判断情報が二輪車の情報(所定の車種の情報)である場合、タイミング決定部12は、車両1の車種が二輪車(所定の車種)である場合に車両1が二輪車(所定の車種)以外である場合よりもダウンロード頻度が高くなるように衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定してよい。これにより、衛星軌道情報をダウンロードする必要度の高い車種については、ダウンロードの回数が増加するように調整することができる。特に、車両1が二輪車である場合には、頻度の高いダウンロードにより衛星軌道情報が更新されている可能性を高めることができる。従って、エンジンを起動してからすぐに走行開始可能な軽量な二輪車が、エンジン起動後の走行ですぐに課金エリアに入り、測位が必要となっても適切な測位を行うことができる。なお、上記では所定の車種が二輪車である場合について説明したが、二輪車以外の軽量な車両であってよい。
【0059】
一方、判断情報がバスの情報(所定の車種の情報)である場合、タイミング決定部12は、車両1の車種がバス(所定の車種)である場合に車両1がバス(所定の車種)以外である場合よりもダウンロード頻度が低くなるように衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定してよい。重量のあるバスはエンジンを起動してからすぐに走行開始可能でない為、エンジンを起動してから衛星軌道情報をダウンロードしても課金エリアに入る前までに測位が可能な状態にすることができるからである。これにより、衛星軌道情報をダウンロードする必要度の低い車種については、ダウンロードの回数が低減するように調整することができる。特に、車両1がバスである場合には、頻繁なダウンロードを防止することにより、車載装置10とAGNSSサーバ3との不要な通信を抑制し、車載装置10の通信に起因するバッテリ消費を低減することができる。なお、上記では所定の車種がバスである場合について説明したが、バス以外の重量のある車両であってよい。
【0060】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る車載装置10の機能構成を示すブロック図である。図8は、第2の実施形態に係る車載装置10の学習動作を説明する説明図である。図9は、第2の実施形態に係る車載装置10の動作を示すフローチャートである。図7図9を用いて、第2の実施形態に係る車載装置10について説明する。なお、第2の実施形態に係る車載装置10が備える各構成要素は、特に言及する場合を除き、第1の実施形態に係る車載装置10が備える各構成要素と同様に構成され、同様に機能するので、重複する説明については省略する。
【0061】
(第2の実施形態に係る車載装置の機能構成)
第2の実施形態に係る車載装置10は、図7に示すように、エンジン情報記憶部20及び学習部21をさらに備えている。
【0062】
第2の実施形態における判断情報は、所定の時間の情報である。具体的には、所定の時間は、利用者Uによる車両1の利用頻度の高い時間である。
【0063】
エンジン情報記憶部20は、車両1のエンジンが起動された起動時刻と停止された停止時刻を記憶するように構成されている。
【0064】
学習部21は、車両1の利用頻度の高い時間を学習するように構成されている。具体的には、学習部21は、以下のようにして学習する。図8に示す説明図において、横軸が時刻を示し、縦軸が日付を示している。図8に示すように、学習部21は、1日を時間単位で24分割し、直近の1週間(図8の場合、学習処理を行う日が6/8であり、6/1から6/7までの7日間)についての各分割時間を、車両1のエンジンが起動された起動状態(塗りつぶされたマス)又は起動されていない停止状態(空白のマス)のいずれかに分類する。この際に、学習部21は、エンジン情報記憶部20を参照し、車両1のエンジンが起動された起動時刻と停止された停止時刻を取得し、起動時刻から停止時刻までの間の時間に少なくとも一部が重複する分割時間を起動状態に分類し、全く重複しない分割時間を停止状態に分類する。
【0065】
学習部21は、上述したように分類した結果に基づいて、1日の時間のうち、直近の1週間で起動状態が3個以上ある時間を、利用者Uによる車両1の利用頻度の高い時間と判定する。図8に示す場合には、学習部21は、1日のうち、「7時から8時までの時間(07:00:00~08:00:00)」は、直近の1週間で起動状態が5個あるので、車両1の利用頻度の高い時間であると判定する。同様にして、学習部21は、「8時から9時までの時間(08:00:00~09:00:00)」、「18時から19時までの時間(18:00:00~19:00:00)」、及び「19時から20時までの時間(19:00:00~20:00:00)」を車両1の利用頻度の高い時間であると判定する。
【0066】
学習部21は、判定して得られた車両1の利用頻度の高い時間を所定の時間の情報として判断情報記憶部16に記憶するように構成されている。なお、図8の場合には、連続する時間はまとめられ、学習部21は、「07:00:00~09:00:00」及び「18:00:00~20:00:00」を所定の時間の情報として判断情報記憶部16に記憶する。
【0067】
上述した例では、学習部21が、直近の1週間のエンジンの情報に基づいて学習する場合について説明したが、学習部21は、任意の過去の期間のエンジンの情報に基づいて学習してよい。また、上述した例では、学習部21が、1日を時間単位で24分割して学習する場合について説明したが、学習部21は、例えば、分単位又は秒単位等の任意の時間単位に分割して学習してよい。さらに、学習部21は、分割する単位を大きくし、日単位、週単位、又は月単位で分割して学習してもよい。
【0068】
また、上述した例では、学習部21が、起動状態が3個以上ある時間を、利用者Uによる車両1の利用頻度の高い時間と判定する場合について説明したが、3以外の任意の数を閾値として用いてもよい。
【0069】
(第2の実施形態に係る車載装置の動作の処理フロー)
図9に示す第2の実施形態に係る車載装置10の動作を示すフローチャートは、図5に示す第1の実施形態に係る車載装置10の動作を示すフローチャートとは、ステップS201の処理が追加されている点で相異する。
【0070】
図9に示すように、衛星軌道情報のダウンロード処理が開始されると、学習部21が、所定の時間としての車両1の利用頻度の高い時間を学習する(ステップS201)。具体的には、図8を用いて上述したように、学習部21は、エンジン情報記憶部20を参照し、直近の1週間について、時間単位で分割された各分割時間を、車両1のエンジンが起動された起動状態又は起動されていない停止状態のいずれかに分類する。学習部21は、分類した結果に基づいて、1日の時間のうち、直近の1週間で起動状態が3個以上ある時間を、利用者Uによる車両1の利用頻度の高い時間と判定する。学習部21は、判定して得られた車両1の利用頻度の高い時間の情報を判断情報(所定の時間の情報)として判断情報記憶部16に記憶する。
【0071】
図8の場合には、最終的に学習部21は、車両1の利用頻度の高い時間の情報として「07:00:00~09:00:00」及び「18:00:00~20:00:00」の情報を、判断情報(所定の時間の情報)として判断情報記憶部16に記憶する。
【0072】
次に、判断情報取得部11が判断情報として所定の時間の情報を取得する(ステップS101)。具体的には、判断情報取得部11は、判断情報記憶部16を参照し、判断情報記憶部16に記憶されている車両1の利用頻度の高い時間の情報を取得する。判断情報取得部11は、取得した車両1の利用頻度の高い時間タイミング決定部12に入力する。
【0073】
次に、タイミング決定部12は、入力された判断情報(所定の時間の情報である車両1の利用頻度の高い時間)に基づいて、AGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定する(ステップS102)。具体的には、タイミング決定部12は、車両1の現在時刻が車両1の利用頻度の高い時間より5分(所定の準備時間)前であるタイミングを、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定する。例えば、図8に示す場合には、現在時刻が「07:00:00~09:00:00」及び「18:00:00~20:00:00」の各時間より5分(所定の準備時間)前であるタイミングを、衛星軌道情報をダウンロードするタイミングとして決定する。即ち、タイミング決定部12は、現在時刻が「06:55:00」又は「17:55:00」であるタイミングで衛星軌道情報をダウンロードするように衛星軌道情報受信部18に指示を出す。
【0074】
衛星軌道情報受信部18は、タイミング決定部12の指示を受けると、タイミング決定部12により決定されたタイミングで、AGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードする(ステップS103)。例えば、図8の場合には、現在時刻が「06:55:00」又は「17:55:00」のいずれかであるタイミングで、衛星軌道情報受信部18がAGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードする
衛星軌道情報受信部18がダウンロードした衛星軌道情報は、衛星軌道情報受信部18に記憶される。以降、ステップS101に戻って、図9に示すフローの処理が繰返される。図9に示すフローの処理は、車両1のエンジンが停止している間も行われる。
【0075】
(作用、効果)
以上のとおり、第2の実施形態に係る車載装置10において、所定の時間は車両1の利用頻度の高い時間である。
このように、第2の実施形態に係る車載装置10は、車両1の利用頻度の高い時間に基づいて、AGNSSサーバ3から衛星軌道情報をダウンロードするタイミングを決定する。従って、衛星軌道情報をダウンロードする必要性の高い適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。従って、頻繁なダウンロードを防止することにより、車載装置10とAGNSSサーバ3との不要な通信を抑制し、車載装置10の通信に起因するバッテリ消費を低減することができる。
【0076】
さらに、第2の実施形態に係る車載装置10は、所定の時間(車両1の利用頻度の高い時間)を学習する学習部をさらに備える。
これにより、利用者Uが車両1を利用した過去の情報に基づいて、判断情報に含まれる所定の時間の情報の精度を向上させることができる。従って、より適切なタイミングでダウンロードを行うことができる。さらに、例えば、利用者Uによる車両1の利用状況が変化しても、判断情報に含まれる所定の時間を更新して精度を維持することができる。
【0077】
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ9は、CPU91、主記憶装置92、補助記憶装置93、インタフェース94を備える。
上述の車載装置10は、コンピュータ9を備える。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置93に記憶されている。CPU91は、プログラムを補助記憶装置93から読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。例えば、上述した判断情報取得部11、タイミング決定部12、現在位置特定部13、課金処理部14、衛星信号受信部15、衛星軌道情報受信部18、及び学習部21は、CPU91であってよい。
また、CPU91は、プログラムに従って、上述したデータベースに対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保する。例えば、上述の車載装置10の判断情報記憶部16、衛星軌道情報記憶部17、及びエンジン情報記憶部20が補助記憶装置93に確保されてよい。
【0078】
補助記憶装置93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(SolID State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置93は、コンピュータ9のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ9に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ9に配信される場合、配信を受けたコンピュータ9が当該プログラムを主記憶装置92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0079】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置93に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0080】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0081】
上述の車載装置、車両、衛星軌道情報のダウンロード方法、及び衛星軌道情報のダウンロードプログラムによれば、AGNSSを利用した衛星軌道情報のダウンロードを適切なタイミングで行い、不要な通信の抑制及びバッテリ消費の低減が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 車両
2 GNSS衛星
3 AGNSSサーバ
9 コンピュータ
10 車載装置
11 判断情報取得部
12 タイミング決定部
13 現在位置特定部
14 課金処理部
15 衛星信号受信部
16 判断情報記憶部
17 衛星軌道情報記憶部
18 衛星軌道情報受信部
20 エンジン情報記憶部
21 学習部
91 CPU
92 主記憶装置
93 補助記憶装置
94 インタフェース
M 地図情報
A1、A2 課金エリア
B1、B2 準備エリア
C 非対象エリア
U 利用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10