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特許7042852多層酸窒化物層を有する酸化物-窒化物-酸化物積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】多層酸窒化物層を有する酸化物-窒化物-酸化物積層体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220318BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220318BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220318BHJP
   H01L 27/11568 20170101ALI20220318BHJP
【FI】
H01L29/78 371
H01L27/11568
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020000333
(22)【出願日】2020-01-06
(62)【分割の表示】P 2015503338の分割
【原出願日】2013-03-15
(65)【公開番号】P2020074420
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2020-01-21
(31)【優先権主張番号】13/436,872
(32)【優先日】2012-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519236594
【氏名又は名称】ロンギチュード フラッシュ メモリー ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】サジー レヴィー
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナスワミー ラムクマー
(72)【発明者】
【氏名】フレドリック ジェン
(72)【発明者】
【氏名】サム ゲハ
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-140997(JP,A)
【文献】特開2011-035228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0248332(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0140684(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0031550(US,A1)
【文献】特表2014-504027(JP,A)
【文献】特開2009-272348(JP,A)
【文献】特開2009-027134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0273021(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0283097(US,A1)
【文献】特開2011-199194(JP,A)
【文献】特開2012-004249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/11568
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を設けるステップと、
前記半導体基板の上に下部誘電体層を形成するステップと、
前記下部誘電体層上にメモリ制御ゲート層を形成するステップと、
前記メモリ制御ゲート層上に上部誘電体層を形成するステップと、
前記上部誘電体層、前記メモリ制御ゲート層及び前記下部誘電体層の積層体を通る第1開口部を形成するステップと、
前記第1開口部に阻止誘電体層、電荷蓄積層及びトンネル誘電体層を形成するステップと、
前記第1開口部の底面から阻止誘電体層、電荷蓄積層及びトンネル誘電体層を除去するステップと、その後、
前記第1開口部に半導体層を形成するステップと、
誘電体充填材が前記第1開口部内の前記半導体層に直接接触し囲まれるように、前記第1開口部に前記誘電体充填材を堆積するステップと、
を含む、不揮発性メモリデバイスを形成する方法であり、
前記半導体層の一部は前記不揮発性メモリデバイスの垂直チャネル領域を形成し、
前記メモリ制御ゲート層は、前記下部誘電体層と前記上部誘電体層との間にすぐ隣接し挟まれて形成され、
前記電荷蓄積層を形成するステップは、第1酸素リッチシリコン酸窒化物層を、前記トンネル誘電体層のより近くに形成することと、第2酸素リーンシリコン酸窒化物層を、前記阻止誘電体層のより近くに形成することとを含む、不揮発性メモリデバイスを形成する方法。
【請求項2】
前記半導体層はポリシリコン層である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メモリ制御ゲート層は、ドープされたポリシリコン材料によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
炭素を前記第2酸素リーンシリコン酸窒化物層に組み込むステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1酸素リッチシリコン酸窒化物層と、前記第2酸素リーンシリコン酸窒化物層とを分離する、反トンネル層を形成するステップを更に含み、
前記反トンネル層はシリコン酸化物を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記電荷蓄積層は酸窒化物層であり、酸素含有量が、前記トンネル誘電体層の近くで増加し、前記阻止誘電体層の近くで減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
炭素を前記酸窒化物層の前記阻止誘電体層の近くに組み込むステップを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
半導体基板の上に存在するメモリ制御ゲート層と、
前記メモリ制御ゲート層を垂直方向に貫通する貫通孔と、
前記貫通孔のサイドウォール上に順番に存在する阻止誘電体層、電荷蓄積層及びトンネル誘電体層と、
前記貫通孔内の前記トンネル誘電体層上に存在する半導体層と、
前記半導体層が誘電体充填材に直接接触し囲むように、前記貫通孔に充填される前記誘電体充填材と、
第1酸素リッチシリコン酸窒化物層と、第2酸素リーンシリコン酸窒化物層とを分離する、反トンネル層と、
を備え
前記電荷蓄積層は、前記トンネル誘電体層のより近くに存在する前記第1酸素リッチシリコン酸窒化物層と、前記阻止誘電体層のより近くに存在する前記第2酸素リーンシリコン酸窒化物層とを含み、
前記反トンネル層はシリコン酸化物を含む、不揮発性メモリデバイス。
【請求項9】
前記メモリ制御ゲート層は、下部誘電体層と上部誘電体層とにすぐ隣接し挟まれる、請求項に記載の不揮発性メモリデバイス。
【請求項10】
前記貫通孔は、前記下部誘電体層及び前記上部誘電体層を垂直方向に貫通する、請求項に記載の不揮発性メモリデバイス。
【請求項11】
前記半導体層はポリシリコン層である、請求項に記載の不揮発性メモリデバイス。
【請求項12】
前記メモリ制御ゲート層は、ドープされたポリシリコン材料によって形成される、請求項に記載の不揮発性メモリデバイス。
【請求項13】
前記第2酸素リーンシリコン酸窒化物層に炭素を更に含む、請求項に記載の不揮発性メモリデバイス。
【請求項14】
前記電荷蓄積層は酸窒化物層であり、酸素含有量が、前記トンネル誘電体層の近くで増加し、前記阻止誘電体層の近くで減少する、請求項に記載の不揮発性メモリデバイス。
【請求項15】
前記酸窒化物層の前記阻止誘電体層の近くに組み込まれる炭素を更に含む、請求項14に記載の不揮発性メモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C119(e)に基づいて2007年5月25日に出願された米国仮特許
出願第60/931,947号の優先権の利益を主張して2007年6月13日に出願さ
れた同時継続米国出願第11/811,958号の一部継続出願であり、その両出願とも
引用することにより本明細書に援用されるものとする。
【0002】
本発明は、半導体製造技術に関し、特に改善された酸化物-窒化物層又は酸窒化物層を
有する酸化物-窒化物-酸化物積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
スプリットゲートフラッシュメモリ等の不揮発性半導体メモリは、典型的には、積層フ
ローティングゲート型電界効果トランジスタを使用する。この型の電界効果トランジスタ
では、制御ゲートをバイアスするとともにメモリセルが形成されている基板の本体領域を
接地することによってプログラムすべきメモリセルのフローティングゲート内に電子が誘
起される。
【0004】
酸化物-窒化物-酸化物(ONO)積層体は、シリコン-酸化物-窒化物-酸化物-シ
リコン(SONOS)トランジスタにおいて電荷蓄積層として使用され、またスプリット
ゲートフラッシュメモリにおいて、フローティングゲート及び制御ゲートとの間の絶縁層
として使用される。
【0005】
図1はメモリデバイス等の半導体デバイス100の中間構造の部分断面図であり、この
デバイス100は、SONOSゲート積層体、即ちシリコン基板108の表面106上に
通常の方法に従って形成された通常のONO積層体104を含む構造102を有する。更
に、デバイス100は、典型的には、ゲート積層体にアライメントされ且つチャネル領域
112で分離されたソース及びドレイン領域等の1つ以上の拡散領域110を更に含む。
簡単に説明すると、SONOS構造102は、ONO積層体104上に形成されこれと接
触するポリシリコン(ポリ)ゲート層114を含む。このポリゲート層114はONO積
層体104によって基板108から分離され、電気的に絶縁される。ONO積層体104
は一般に底部酸化物層116、デバイス100の電荷蓄積層又はメモリ層として作用する
窒化物層又は酸窒化物層118、及び窒化物層又は酸窒化物層を覆う上部高温酸化物(H
TO)層120を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のSONOS構造102及びその製造方法と関連する一つの問題は、窒化物層又は
酸窒化物層118のデータ保持性能が悪く、この層を通して漏れるリーク電流のために、
デバイス100の寿命及び/又はいくつかの用途における使用が制限される点にある。
【0007】
SONOS構造102及びその製造方法と関連する別の問題は、酸窒化物層118の化
学量論的組成が層の厚さに亘って均一にならず、また最適にならない点にある。特に、酸
窒化物層118は、従来、比較的厚い層の厚さに亘って高い窒素及び高い酸素濃度を有す
る均一な層を得るために、単一のプロセスガス混合物及び固定又は一定の処理条件を用い
て単一のステップで形成又は堆積されている。しかし、トップ及びボトム効果のために、
この方法は従来の酸窒化物層118全体に亘って変化する窒素、酸素及びシリコン濃度を
生じる。トップ効果は、プロセスガスが堆積後に遮断される順番に起因する。特に、典型
的にはシラン等のシリコン含有プロセスガスが最初に遮断されるので、酸窒化物層118
のトップ部分(上部)において酸素及び/又は窒素が高くシリコンが低くなる。同様に、
ボトム効果は、プロセスガスが堆積を開始するために導入される順序に起因する。特に、
酸窒化物層118の堆積は典型的にはアニール工程後であるから、堆積プロセスの開始時
にピーク又は比較的高い濃度のアンモニア(NH)が生じ、酸窒化物層のボトム部分(
底部)において酸素及びシリコンが低く、窒素が高くなる。更に、ボトム効果は、初期プ
ロセスガス混合物中の使用可能な酸素及びシリコンが基板の表面でシリコンと優先的に反
応し、酸窒化物の形成に寄与しないという表面核形成現象にも起因する。従って、ONO
積層体104からなるメモリデバイス100は電荷蓄積特性、特にプログラミング及び消
去速度及びデータ保持性能が悪影響を受けている。
【0008】
従って、メモリ層として改善されたプログラミング及び消去速度及びデータ保持性能を
示す酸窒化物層を含むONO積層体を有するメモリデバイスが必要とされている。更に、
改善された酸窒化物の化学量論組成を示す酸窒化物層を有するONO積層体を形成する方
法又はプロセスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
多層電荷蓄積層を含む半導体メモリデバイス及びその製造方法が提供される。一般的に
、当該デバイスは、基板の表面を覆う半導体材料から形成され、メモリデバイスのソース
とドレインとを接続するチャネルと、チャネルを覆うトンネル酸化物層と、前記トンネル
酸化物層上にあって殆どトラップを生じない化学量論的組成を有する酸素リッチな第1の
酸窒化物層及び前記第1の酸窒化物層上にあって高密度のトラップを生じる化学量論的組
成を有する酸素リーンな第2の酸窒化物層を含む多層電化蓄積層と、を備える。一実施形
態では、当該デバイスはチャネルに当接する複数の表面を有するゲートを含む非平面状ト
ランジスタを備え、ゲートはトンネル酸化物層及び多層電荷蓄積層を備える。他の実施形
態も開示される。
【0010】
本発明の構造及び方法のこれらの及び他の様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明を
添付図面及び特許請求の範囲とともに参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の方法に従って形成された酸化物-窒化物-酸化物(ONO)積層体を有するメモリデバイスの製造中の中間構造の断面を示す(従来技術の)ブロック線図である。
図2】本発明の一実施形態による、多層電荷蓄積層を含むシリコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン構造を有する半導体デバイスの一部分の断面を示すブロック線図である。
図3】本発明の一実施形態による、多層電荷蓄積層を含む酸化物-窒化物-酸化物構造を形成する方法の流れ図である。
図4】本発明により形成されたメモリ層を用いるメモリデバイスのデータ保持性能の改善を従来のメモリ層を用いるメモリデバイスと比較して示すグラフである。
図5】本発明の別の実施形態による、多層電荷蓄積層を含む酸化物-窒化物-酸化物構造を形成する方法の流れ図である。
図6】ONO構造を有するプログラムされた従来のメモリデバイスのエネルギーバンド図である。
図7図7A及び図7Bは本発明の一実施形態による多層電荷蓄積層を含むメモリデバイスのプログラミング前及び後のエネルギーバンド図である。
図8図8Aは分離した電荷トラップ領域を含む非平面状マルチゲートデバイスを示す図である。図8B図8Aの非平面状マルチゲートデバイスの断面図である。
図9図9A及び図9Bは分離した電荷トラップ領域及び水平ナノワイヤチャネルを含む非平面状マルチゲートデバイスを示す図である。
図10図10A及び図10Bは分離した電荷トラップ領域及び垂直ナノワイヤチャネルを含む非平面状マルチゲートデバイスを示す図である。
図11図11A及び図11B図10Aの非平面状マルチゲートデバイスを製造するためのゲート最初のスキームを示す図である。
図12図12A及び図12B図10Aの非平面状マルチゲートデバイスを製造するためのゲート最後のスキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、一般に多層電荷蓄積層を含むシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコ
ンゲート構造を備えるデバイス及びその製造方法を対象とする。このゲート構造及び製造
方法はメモリトランジスタ等のメモリデバイスのメモリ層を形成するのに特に有用である
【0013】
以下の記載において、本開示の十分な理解をもたらすために、説明の目的で、多くの特
定の細部について述べる。しかしながら、本発明の構造及び方法はこれらの特定の細部の
記載がなくても実施できることは当業者に明らかである。更に、本開示の理解を不必要に
不明瞭にしないように、周知の構造及び技術は詳細に示さないでブロック線図の形で示し
ている。
【0014】
本明細書において、「一つの実施形態」又は「一実施形態」とは、実施形態と関連して
記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味
する。したがって本明細書の様々な箇所で「一実施形態」と呼ぶものは、必ずしもすべて
同じ実施形態を指すものではない。更に本明細書で使用される「結合する」とは、一つ以
上の介在要素によって直接接続すること及び間接的に接続することの両方を意味する。
【0015】
簡単に説明すると、本方法は、異なる濃度の酸素、窒素及び/又はシリコンを有するシ
リコン酸窒化物(SiO)等の多層酸窒化物層を含む多層電荷蓄積層を形成するス
テップを含む。これらの酸窒化物層は、従来のONO構造内の窒化物又は酸窒化物より高
い温度で形成され、各層は異なるプロセスガス混合物及び/又は異なる流量を用いて形成
される。一般に、これらの酸酸化物層は少なくとも上部酸窒化物層及び底部酸窒化物層を
含む。特定の実施形態においては、これらの層の化学量論的組成は、下部又は底部酸窒化
物層が高い酸素及びシリコン含量を有するように且つ上部酸窒化物層が高いシリコン及び
高い窒素濃度及び低い酸素濃度を有し酸素リーン、シリコンリッチ窒化物又は酸窒化物を
生成するように調整又は選択される。シリコンリッチ及び酸素リッチな底部酸窒化物層は
、デバイス速度又は初期(寿命初期)のプログラミング電圧と消去電圧の差を低下するこ
となく蓄積電荷の損失を低減する。シリコンリッチ、酸素リーンな上部酸窒化物層はメモ
リデバイスのプログラミング電圧と消去電圧の差を増大し、それによりデバイス速度を向
上し、デバイス保持性能を増大し、デバイスの動作寿命を延長する。いくつかの実施形態
においては、シリコンリッチ、酸素リーンな上部酸窒化物層は層内のトラップ数を増大す
るように選択された濃度の炭素を更に含むことができる。
【0016】
オプションとして、ドライ又はウェット酸化によるシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化
物-シリコンゲート構造のトンネル又は第1の酸化物層の形成後におけるその第1の酸化
物層上への酸窒化物層の形成を容易にするために、上部酸窒化物層と底部酸窒化物層の厚
さの比を選択することができる。
【0017】
本発明の種々の実施形態によるシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン構造及
びその製造方法について図2-4を参照して以下に詳細に説明する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態による、多層電荷蓄積層を含むシリコン-酸化物-酸窒化
物-酸化物-シリコンゲート構造を有する半導体メモリデバイス200の一部分の断面を
示すブロック線図である。図2を参照するに、メモリデバイス200は、基板又はシリコ
ン基板208上のシリコン層の表面206上に形成された、多層電荷蓄積層204を含む
シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコンゲート積層体202を備える。更に、デ
バイス200は、ゲート積層体202にアライメントされ且つゲートチャネル領域212
で分離されたソース及びドレイン領域又は構造等の1つ以上の拡散領域210を含む。一
般に、シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコンゲート構造202は、多層電荷蓄
積層204上に形成され該層と接触するシリコン含有ゲート層、例えばポリシリコン又は
ポリゲート層214及びシリコン層又は基板208の一部分を含む。ポリゲート層214
は多層電荷蓄積層204によってシリコン層又は基板208から分離され、電気的に絶縁
される。シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン構造は、ゲート積層体202を
チャネル領域212から分離又は電気的に絶縁する薄い下部酸化物層又はトンネル酸化物
層216、上部又は阻止酸化物層218及び多層電荷蓄積層204を含む。上述され、図
2に示されるように、多層電荷蓄積層204は上部酸窒化物層220A及び底部酸窒化物
層220Bなどの少なくとも2つの酸窒化物層を含む。
【0019】
基板208は、シリコン、シリコン-ゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ
又はシステム・オン・サファイヤ基板等の既知のシリコンベース半導体材料を含むことが
できる。代わりに、基板208は砒化ガリウム、ゲルマニウム、窒化ガリウム又は燐化ア
ルミニウム等の非シリコンベースの半導体材料上に形成されたシリコン層を含むことがで
きる。特定の実施形態においては、基板208はドープ又はアンドープシリコン基板とす
る。
【0020】
シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン構造の下部酸化物層又はトンネル酸化
物層216は一般的には約15Å(オングストローム)~約22Å、いくつかの実施形態
においては約18Åの二酸化シリコン(SiO)の比較的薄い層を含む。トンネル酸化
物層216は任意の適切な手段によって形成又は堆積することができ、例えば熱的に成長
させる、又は化学気相成長(CVD)を用いて堆積することができる。一般に、トンネル
酸化物層は酸素雰囲気中で熱酸化を用いて形成または成長される。一実施形態においては
、そのプロセスはドライ酸化法を使用し、この方法では基板208を堆積又は処理チャン
バ内に置き、約700℃~約850℃の温度に加熱し、完成トンネル酸化物層216の所
望の厚さに基づいて選択される所定の期間に亘って酸素に暴露する。別の実施形態におい
ては、トンネル酸化物層は、ISSG(In-Situ Stream Generation)チャンバ内におい
て、少なくとも1000℃の温度で酸素(O)と水素(H)の反応を用いてラジカル
酸化により基板上に成長される。模範的な処理時間は約10~100分である。酸化は大
気圧又は低圧力で実行できる。
【0021】
上述したように、多層電荷蓄積層は一般にシリコン、酸素及び窒素の異なる組成を有す
る少なくとも2つの酸窒化物層を含み、約70Å~150Å(特定の実施形態では100
Å)の総合厚さを有することができる。一実施形態においては、酸窒化物層は、シラン(
SiH)、クロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン又はDCS(SiHCl
)、テトラクロロシラン(SiCl)又はビスターシャルブチル アミンシラン(B
TBAS)等のシリコン源、窒素(N)、アンモニア(NH)、三酸化窒素(NO
)又は亜酸化窒素(NO)等の窒素源、及び酸素(O)又はNOなどの酸素含有ガ
スを用いて低圧CVDプロセスで形成又は堆積される。代わりに、水素が重水素で置換さ
れたガスを使用することもでき、例えばNHの代りに重水素化されたアンモニア(ND
)を使用することができる。水素を重水素と置換すると、シリコン-酸化物界面におけ
るSiダングリングボンドが不活性化され、よってデバイスのNBTI(Negative Bias
Temperature Instability)寿命が増大する。
【0022】
例えば、下部又は底部酸窒化物層220Bは、基板208を堆積チャンバ内に置き、約
2.5分~約20分の期間に亘ってチャンバを約5ミリトル(mT)~約500mTの圧
力に維持するとともに、基板を約700℃~約850℃(特定の実施形態においては少な
くとも約760℃)の温度に維持しながら、NO,NH及びDCSを含むプロセスガ
スを導入することによって、トンネル酸化物層216の上に堆積することができる。特に
、プロセスガスは、約8:1~1:8の比で混合されたN0及びNHの第1のガス混
合物及び約7:1~1:7の比で混合されたDCS及びNHの第2のガス混合物を含む
ことができ、約5~200立方センチメートル毎分(sccm)の流量で導入することが
できる。これらの条件で生成又は堆積された酸窒化物層はシリコンリッチ、酸素リッチな
底部酸窒化物層220Bをもたらすことが確かめられ、この底部酸窒化物層はプログラミ
ング後及び消去後の電荷損失レートを減少し、保持状態における電圧シフトを小さくする
【0023】
上部酸窒化物層220Aは、NO,NH及びDCSを含むプロセスガスを使用し、
約5mT~約500mTのチャンバ圧力及び約700℃~約850℃(特定の実施形態に
おいては少なくとも約760℃)の温度で、約2.5分~約20分の期間に亘るCVDプ
ロセスによって底部酸窒化物層220B上に堆積することができる。特に、プロセスガス
は、約8:1~1:8の比で混合されたN0及びNHの第1のガス混合物及び約7:
1~1:7の比で混合されたDCS及びNHの第2のガス混合物を含むことができ、約
5~20sccmの流量で導入することができる。これらの条件で生成又は堆積された酸
窒化物層はシリコンリッチ、窒素リッチ及び酸素リーンな上部酸窒化物層220Aをもた
らすことが確かめられ、この上部酸窒化物層は、シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-
シリコン構造を用いて製造されるメモリの電荷損失レートに妥協することなく、速度の向
上及びプログラミング電圧及び消去電圧の初期差の増大をもたらし、よってデバイスの動
作寿命の延長をもたらす。
【0024】
いくつかの実施形態においては、シリコンリッチ、窒素リッチ及び酸素リーンな上部酸
窒化物層220Aは、層内のトラップ数を増大するように選択された濃度の炭素を含有さ
せるために、約7:1~1:7の比で混合されたBTBAS及びアンモニア(NH)を
含むプロセスガスを用いてCVDで底部酸窒化物層220B上に堆積させることができる
。第2の酸窒化物層内の選択された濃度の炭素は約5%~約15%の炭素濃度を含むこと
ができる。
【0025】
特定の実施形態においては、上部窒化物層220Aは底部酸窒化物層20Bの形成に使
用した同じツール内において、実質的に堆積チャンバの真空を破ることなく連続的に堆積
される。特定の実施形態においては、上部酸窒化物層220Aは、下部酸窒化物層220
Bの堆積中に加熱される基板208の温度を殆ど変更することなく連続的に堆積される。
一実施形態においては、上部酸窒化物層220Aは、シリコンリッチ、窒素リッチ及び酸
素リーンな上部酸窒化物220Aが生成されるように、DCS/NHガス混合物に対し
てN0/NHガス混合物の流量を減少させて所望の比のガス混合物を供給することに
よって、底部酸窒化物層220Aの堆積の直後に連続的に堆積される。
【0026】
所定の実施形態においては、ゲート積層体202の形成後に、別の酸化物又は酸化物層
(これらの図には示されていない)が基板208上の異なる領域又はデバイス内に蒸気酸
化によって形成される。この実施形態においては、シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物
-シリコン構造の上部酸窒化物層220A及び上部又は阻止酸化物層218は蒸気酸化処
理中に蒸気アニールするのが有益である。特に、蒸気アニールは阻止酸化物層218の品
質を改善し、阻止酸化物層218の上面の近く及び底部酸窒化物層220Aの上面の近く
に形成されるトラップの数を低減する結果、さもなければ発生し得る阻止酸化物層を横切
る電界(電荷キャリアの逆流を生じ、電荷蓄積層のデータ又は電荷保持性能に悪影響を与
える)を低減もしくはほぼ除去することができる。
【0027】
底部酸窒化物層220Bの適切な厚さは、約10Å~約80Åであり、底部酸窒化物層
及び上部酸窒化物層の厚さの比は約1:6~6:1であり、特定の実施形態においては少
なくとも約1:4であることが確かめられた。
【0028】
シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン構造の上部又は阻止酸化物層218は
、約30Å~約70Å、特定の実施形態においては約45Åの比較的厚いSiO層を含
む。上部又は阻止酸化物層218は、任意の適切な手段、例えば熱成長又はCVDを用い
て成長又は堆積することができる。一実施形態においては、上部又は阻止酸化物層218
はCVDプロセスを用いて堆積された高温酸化物(HTO)である。一般に、この堆積プ
ロセスは、堆積チャンバ内において、基板208を約650℃~約850℃の温度に維持
しながら、約50mT~約1000mTの圧力で、約10分~約120分の期間に亘って
、シラン、クロロシラン又はジクロロシラン等のシリコン源及びO又はNO等の酸素
含有ガスに暴露するステップを含む。
【0029】
特定の実施形態においては、上部又は阻止酸化物層218は酸窒化物層220A,22
0Bの形成に使用した同じツール内で連続的に堆積される。特定の実施形態においては、
酸窒化物層220A,220B及び上部又は阻止酸化物層218は、トンネル酸化物層2
16の成長に使用した同じツール内で形成又は堆積される。適切なツールは、例えばカリ
フォルニア州スコッツバレーのAVIZAテクノロジー社から入手し得るONO、AVP
である。
【0030】
一実施形態によるシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン積層体を形成又は製
造する方法を図3の流れ図を参照して以下に説明する。
【0031】
図3を参照するに、本方法は、シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコンゲート
積層体202のトンネル酸化物層216のような第1の酸化物層を基板208の表面上の
シリコン含有層の上に形成することから始まる(300)。次に、酸窒化物を含む多層電
荷蓄積層204の第1又は底部酸窒化物層220Bが第1の酸化物層の表面上に形成され
る(302)。上述したように、この第1又は底部酸窒化物層220Bは、シリコンリッ
チ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように調整された比及び流量でNO/NH
及びDCS/NHガス混合物を含むプロセスガスを用いてCVDによって形成又は堆積
することができる。次に、多層電荷蓄積層204の第2又は上部酸窒化物層220Aが第
1又は底部酸窒化物層220Bの表面上に形成される(304)。第2又は上部酸窒化物
層220Aは第1又は底部酸窒化物層220Bと異なる酸素、窒素及び/又はシリコンの
化学量論的組成を有する。特に、上述したように、第2又は上部酸窒化物層220Aは、
シリコンリッチ、酸素リーンな酸窒化物層が得られるように調整された比及び流量でDC
S/NH及びNO/NHガス混合物を含むプロセスガスを用いてCVDによって形
成又は堆積することができる。最後に、シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン
構造の上部又は阻止酸化物層218が多層電荷蓄積層の第2の層の表面上に形成される(
306)。上述したように、この上部又は阻止酸化物層218は任意の適切な手段によっ
て形成又は堆積できるが、いくつかの実施形態においてはCVDプロセスで堆積される。
一実施形態においては、上部又は阻止酸化物層218はHTOCVDプロセスで堆積され
る高温酸化物である。代わりに、上部又は阻止酸化物層218は熱的に成長させることも
できる。しかし、この実施形態においては、上部酸窒化物層220Aは、その酸窒化物の
一部分が上部又は阻止酸化物層218の熱成長プロセス中に有効に消費又は酸化されるの
で、その厚さを調整もしくは増大することができる。
【0032】
オプションとして、本方法は、シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン積層体
又は構造を形成するために上部又は阻止酸化物層218の表面上にシリコン含有層を形成
又は堆積するステップを更に含むことができる(308)。このシリコン含有層は、トラ
ンジスタ又はデバイス200の制御又はポリゲート層214を形成するために、例えばC
VDプロセスにより堆積されたポリシリコン層とすることができる。
【0033】
ここで、図4を参照して本発明の一つの実施形態に従って形成されたメモリ層を用いて
なるメモリデバイスのデータ保持性能と従来のメモリ層を用いてなるメモリデバイスのデ
ータ保持性能との比較を行う。特に、図4は、従来のONO構造及び本発明の多層酸窒化
物層を有するシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン構造を用いる電気的に消去
可能でプログラム可能なリードオンリメモリ(EEPROM)内のメモリデバイスのデバ
イス寿命中のプログラミング時中のしきい値電圧(VTP)及び消去時のしきい値電圧(
VTE)の変化を示す。この図のためのデータ収集において、両デバイスを85℃の周囲
温度で100Kサイクルに亘り予め循環動作させた。
【0034】
図4を参照するに、グラフ又は線402は、初期書き込み(プログラム又は消去)後に
メモリをリフレッシュしない単一の酸窒化物層を有する従来のONO構造を用いたEEP
ROMに対するVTPの経時変化を示す。線402上の実際のデータ点は白丸で示され、
この線の残部はEEPROMの規定の寿命の終り(EOL)までのVTPの外挿値を示す
。グラフ又は線404は、従来のONO構造を用いたEEPROMに対するVTEの経時
変化を示す。線404上の実際のデータ点は黒丸で示され、この線の残部はEEPROM
の規定のEOLまでのVTEの外挿値を示す。一般に、EOLにおけるEEPROMのV
TE及びVTP間の規定の差は、プログラム状態と消去状態との差を識別又は検知可能に
するために0.5V以上である。この図から明らかなように、従来のONO構造を用いた
EEPROMは、20年の規定のEOLにおいて約0.35VのVTE及びVTP間の差
を有する。従って、従来のONO構造を用いたEEPROMは、上記の条件の下で動作す
ると、少なくとも約17年で規定の操作寿命を満たさなくなる。
【0035】
これに対し、多層酸窒化物層を有するシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン
構造を用いたEEPROMのVTP及びVTEの経時変化はそれぞれ線406及び408
で示され、規定のEOLにおいて少なくとも約1.96VのVTE及びVTP間の差を示
す。従って、本発明の一つの実施形態によるシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリ
コン構造を用いたEEPROMは20年の規定の動作寿命を満たし上回る。特に、グラフ
又は線406は本開示の一つの実施形態によるシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シ
リコン構造を用いたEEPROMのVTPの経時変化を示す。線406上の実際のデータ
点は白四角で示され、この線の残部は規定のEOLまでのVTPの外挿値を示す。グラフ
又は線408は、EEPROMに対するVTEの経時変化を示し、線408上の実際のデ
ータ点は黒四角で示され、この線の残部はEOLまでのVTEの外挿値を示す。
【0036】
次に、別の実施形態による半導体デバイスの形成又は製造方法を図5を参照して説明す
る。
【0037】
図5を参照するに、本方法は、トンネル酸化物層216を基板上に形成することから始
まる(500)。次に、多層電荷蓄積層204の酸素リッチな第1又は底部酸窒化物層2
20Bがトンネル酸化物層216の表面上に形成される(502)。上述したように、こ
の酸素リッチな第1又は底部酸窒化物層220Bは、約5:1~15:1の範囲の比で混
合されたジクロロシラン(SiHCl)/アンモニア(NH)混合物及び約2:1
~4:1の範囲の比で混合された亜酸化窒素(NO)/NH混合物を含むプロセスガ
スをシリコンリッチ及び酸素リッチでほぼトラップのない酸窒化物層が得られるように調
整された流量で用いて、CVDによって形成又は堆積することができる。即ち、第1又は
底部酸窒化物層220Bの化学量論的組成は多層電荷蓄積層の保持性能を増大するように
選択された高濃度の酸素を含み、第2又上部酸窒化物層220Aにトラップされる電荷と
及び基板208との間の障壁として作用する。第1又は底部酸窒化物層220B内の選択
された酸素濃度は約15%~約40%の酸素濃度であり、特定の実施形態においては約3
5%である。
【0038】
次に、酸素リーンな第2又は上部酸窒化物層220Aが第1又は低部酸窒化物層220
Bの表面上に形成される(504)。第2又は上部酸窒化物層220Aは第1酸窒化物層
とは異なる酸素、窒素及び/又はシリコンの化学量論的組成を有する。特に、上述したよ
うに、第2又は上部酸窒化物層220Aは、約5%以下の酸素濃度を有するトラップ密度
の高い酸窒化物層を得るために、約1:6~1:8の範囲の比で混合されたNO/NH
混合物及び約1.5:1~3:1の範囲の比で混合されたSiHCl/NH混合
物を含むプロセスガスを用いて、CVDによって形成又は堆積することができる。こうし
て、第2又は上部酸窒化物層220Aは第1又は底部酸窒化物層220Bの1000倍以
上の電荷トラップ密度を含むものとなる。
【0039】
最後に、上部又は阻止酸化物層218が多層電荷蓄積層204の第2又は上部酸窒化物
層220A上に形成される。上述したように、この上部又は阻止酸化物層218は、第2
又は上部酸窒化物層220Aの一部分の酸化によって第2又は上部酸窒化物層220Aの
所定の厚さへの肉薄化が生じるように形成することができる。最後に、図4につき述べた
ように、多層電荷蓄積層204の保持性能の向上によって、プログラム電圧(VTP)及
び消去電圧(VTE)間の規定の差における半導体デバイスの寿命の終り(EOL)が2
0年以上に延長する。
【0040】
他の態様においては、本発明の多層電荷蓄積層はプログラムされた状態における電荷蓄
積層内の蓄積電荷により発生される電界と反対方向の電界を発生するように設計されたバ
ンドギャップエネルギーを有し、その結果プログラム電圧及び/又は消去電圧に影響を与
えることなくデータ保持性能が向上する。シリコン基板602内のチャネル、トンネル酸
化物層604、均質な窒化物又は酸窒化物電界蓄積層606、阻止酸化物層608及びポ
リシリコン制御ゲート610を含むプログラムされた従来のデバイスのエネルギーバンド
図が図6に示されている。図6を参照するに、電荷蓄積層606の中心近くに位置するト
ラップされた多数の電荷はトンネル酸化物層604からトラップされた電荷に向かう大き
な電界を発生し、この電界は蓄積電荷の損失を生じ得る点に注意されたい。
【0041】
これに対し、本開示の多層電荷蓄積層を含むメモリ装置においては、多層電荷蓄積層に
生じるバンドギャップエネルギーは蓄積電荷により発生される電界と反対の内向き(電荷
蓄積層からトンネル酸化物に向う方向)の電界を発生し、電荷保持性能を高める。多層電
荷蓄積層706を含むプログラムされてないメモリデバイスが図7Aに示されている。こ
のデバイスは、シリコン基板702内のチャネル、トンネル酸化物層704、酸素リーン
な酸窒化物層706A、酸素リッチな底部酸窒化物層706B、阻止酸化物層708及び
ポリシリコン制御ゲート710を含む。図7Aを参照するに、酸素リーンな上部酸窒化物
層706A内のトラップサイトは、プログラムされたデバイスにおいてトラップされた電
荷により発生される電界と反対の方向の電界を発生する。プログラムされた状態において
得られる多層電荷蓄積層706を含むデバイスのバンドギャップ図は図7Aに示されてい
る。
<実装及び代替手段>
【0042】
他の態様において、本開示は、基板の表面上に形成されるチャネルの2つ以上の面を覆
う電荷トラップ領域を含む、マルチゲートの又はマルチゲート表面のメモリデバイスに向
けられたものであり、また当該メモリデバイスを製造する方法に向けられたものである。
マルチゲートデバイスは、平面状デバイスも非平面状デバイスも含む。(図示しない)平
面状マルチゲートデバイスは一般に、多数の第1の層が堆積されて、後に形成されるチャ
ネルの下に第1のゲートを形成し、多数の第2の層がその上に堆積されて、第2のゲートを
形成する、ダブルゲート型平面状デバイスを含む。非平面状マルチゲートデバイスは一般
に、基板の表面の上に形成される水平又は垂直チャネルを含み、3つ以上の面上でゲート
によって取り囲まれる。
【0043】
図8Aは、電荷トラップ領域を含む非平面状マルチゲートメモリデバイスの一実施形態
を示す。図8Aを参照すると、一般にfinFETと呼ばれる、メモリデバイス800は
、基板806の表面804上を覆う半導体材料の薄い膜または層から形成され、メモリデ
バイスのソース808とドレイン810とを接続する、チャネル802を含む。チャネル
802は3つの面で、デバイスのゲート812を形成するフィンによって囲まれる。(ソ
ースからドレインへの方向で測定される)ゲート812の厚さは、デバイスの有効チャネ
ル長を決定する。
【0044】
本開示に従って、図8Aの非平面型マルチゲートメモリデバイス800は、分離した電
荷トラップ領域を含むことができる。図8Bは、図8Aの非平面状メモリデバイスの一部
の断面図であり、基板806、チャネル802、及び多層電荷蓄積層814を示すゲート
812の一部を含む。ゲート812は更に、隆起したチャネル802を覆うトンネル酸化
物層816と、阻止誘電体818と、阻止層を覆いメモリデバイス800の制御ゲートを
形成する金属ゲート層820とを含む。ある実施形態では、ドープされたポリシリコンを
金属の代わりに堆積して、ポリシリコンのゲート層を設けることができる。チャネル80
2及びゲート812を、基板806上に直接形成することができ、又は、当該基板上に形
成される、埋設された酸化物層等の、絶縁層若しくは誘電体層822上に直接形成するこ
とができる。
【0045】
図8Bを参照すると、多層電荷蓄積層814は、トンネル酸化物層816に更に近い窒
化物を含む、少なくとも1層の、下部又は最下部電荷トラップ層824を含む。そして多
層電荷蓄積層814は、当該下部電荷トラップ層を覆う、上部又は最上部電荷トラップ層
826を含む。一般的に、上部電荷トラップ層826は、シリコンリッチ、酸素リーンな
窒化物層を含み、多数の電荷トラップ層に区分される大部分の電荷トラップを含み、その
一方で、最下部電荷トラップ層824は、酸素リッチな窒化物又はシリコン酸窒化物を含
み、最上部電荷トラップ層に対して酸素リッチとして最下部電荷トラップ層824内の電
荷トラップの数を低減させている。酸素リッチとは、最下部電荷トラップ層824中の酸
素濃度を約15~約40%とするのに対して、最上部電荷トラップ層826中の酸素濃度
を約5%未満とすることを意味する。
【0046】
ある実施形態では、阻止誘電体818は、HTO等の酸化物も含み、ONNO構造を提
供する。チャネル802及びチャネル802の上を覆うONNO構造を、シリコン基板8
06上に直接形成し、ドープされたポリシリコンゲート層820で覆い、SONNOS構
造を提供することができる。
【0047】
例えば図8Bに示されるような、ある実施形態では、多層電荷蓄積層814は、酸化物
等の誘電体を含む、少なくとも1層の薄い中間層又は反トンネル層828を更に含み、最
上部電荷トラップ826を最下部電荷トラップ層824から分離する。反トンネル層82
8は、プログラムしている間に上部窒化物層826の境界で蓄積する、トンネル層から最
下部窒化物層824への電子電荷の確率を、実質的に低減し、図1及び図6に示される構
造に対する漏れ電流よりも少ない漏れ電流をもたらす。
【0048】
上述した実施形態と同様に、最下部電荷トラップ層824及び最上部電荷トラップ層8
26のいずれか又は両方は、シリコン窒化物又はシリコン酸窒化物を含むことができ、例
えばシリコンリッチ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように比及び流量が調整され
たNO/NH及びDCS/NHガスの混合物を含むCVDプロセスによって、形成
されることができる。多層電荷蓄積構造の第2の窒化物層はその後、中間酸化層上に形成
される。最上部電荷トラップ層826は、最下部電荷トラップ層824と異なる酸素、窒
素及び/又はシリコンの化学量論的組成を有し、シリコンリッチ及び酸素リーンな最上部
窒化物層が得られるように比及び流量が調整されたDCS/NH及びNO/NH
スの混合物を含むプロセスガスを用いるCVDプロセスによって形成又は堆積されること
もできる。
【0049】
酸化物を含む中間又は反トンネル層828を含む実施形態において、ラジカル酸化を用
いて、最下部酸窒化物を選んだ深さまで酸化させることによって反トンネル層を形成する
ことができる。例えば、1000-1100℃の温度でシングルウェハーツールを用いて
、又は800-900℃でバッチ反応器ツールを用いて、ラジカル酸化を行うことができ
る。水素及び酸素ガスの混合物を、300-500トルの圧力でバッチプロセスに対して
、又は10-15トルでシングル蒸発ツールを用いて、1-2分間シングルウェハーツー
ルを用いて、又は30分-1時間バッチプロセスを用いて、使用することができる。
【0050】
最後に、酸化物を含む阻止誘電体818を含む実施形態において、当該酸化物を適切な
手段によって形成又は堆積することができる。ある実施形態では、阻止誘電体818の酸
化物は、HTO CVDプロセスで堆積された高温酸化物である。あるいは、阻止誘電体
818又は阻止酸化物層を熱的に成長させることができるが、この実施形態では、阻止酸
化物層を熱的に成長させるプロセスの間、最上部窒化物のいくつかを有効に消費又は酸化
するため、最上部窒化物の厚さを調整又は増加できることが理解されるであろう。第3の
選択肢は、最上部窒化物を、ラジカル酸化を用いて選択された深さまで酸化させることで
ある。
【0051】
最下部電荷トラップ層824の厚さを、約30Åから約80Åまで(ある許容される変
動、たとえば±10Aで)適切に形成することができる。ラジカル酸化により最下部電荷
トラップ層824の約5-20Åを消費して反トンネル層828を形成することができる
。最上部電荷トラップ層826の適切な厚さを、少なくとも30Åとすることができる。
ある実施形態では、最上部電荷トラップ層826の厚さを最大で130Åとすることがで
き、ラジカル酸化により最上部電荷トラップ層826の30-70Åを消費して阻止誘電
体818を形成することができる。ある実施形態では、最下部電荷トラップ層824と最
上部電荷トラップ層826との間の厚さの比を約1:1とすることができるが、他の比も
可能である。
【0052】
他の実施形態では、最上部電荷トラップ層826及び阻止誘電体818のいずれか又は
両方は、高誘電率誘電体を含むことができる。適切な高誘電率誘電体は、HfSiON、
HfSiO又はHfO等の材料をベースにしたハフニウムと、ZrSiON、ZrSiO
又はZrO等の材料をベースにしたジルコニウムと、Y等の材料をベースにしたイ
ットリウムとを含むことができる。
【0053】
図9A及び9Bに示される、他の実施形態では、メモリデバイスは、基板の表面を覆う
半導体材料の薄膜から形成され、メモリデバイスのソースとドレインとを接続するナノワ
イヤチャネルを含むことができる。ナノワイヤチャネルとは、結晶シリコン材料の薄いス
トリップに形成される伝導チャネルという意味であり、当該伝導チャネルは約10ナノメ
ートル(nm)以下の最大断面寸法を有し、より好ましくは6nm未満の最大断面寸法を
有する。任意に、当該チャネルの長軸線に対して、結晶方位<100>の表面を有するよ
うに、当該チャネルを形成することができる。
【0054】
図9Aを参照すると、メモリデバイス900は、基板906の表面上に又は表面を覆う
、半導体材料の薄膜又は薄層から形成される水平ナノワイヤチャネル902を含む。ナノ
ワイヤチャネル902は、メモリデバイスのソース908とドレイン910とを接続する
。図示される実施形態では、当該デバイスは、デバイスのゲート912がナノワイヤチャ
ネル902の全側面を取り囲む、全周ゲート(GAA)構造を有する。(ソースからドレ
インへの方向で計測される)ゲート912の厚さは、デバイスの有効チャネル長を決定す
る。
【0055】
本開示に従って、図9Aの非平面状マルチゲートメモリデバイス900は、分離した電
荷トラップ領域を含むことができる。図9Bは、図9Aの非平面状メモリデバイスの一部
の断面図であり、基板906、ナノワイヤチャネル902、及び、分離した電荷トラップ
領域を示すゲート912の一部を含む。図9Bを参照すると、ゲート912は、ナノワイ
ヤチャネル902を覆うトンネル酸化物層914と、分離した電荷トラップ領域と、阻止
誘電体916と、阻止層を覆いメモリデバイス900の制御ゲートを形成するゲート層9
18とを含む。ゲート層918は、金属又はドープされたポリシリコンを含むことができ
る。多層電荷蓄積層は、トンネル酸化物層914により近い、窒化物を含む、少なくとも
1層の内側電荷トラップ層920と、当該内側電荷トラップ層を覆う外側電荷トラップ層
922とを備える。一般に、外側電荷トラップ層922は、シリコンリッチ、酸素リーン
な窒化物層を含み、複数の電荷トラップ層に区分される大部分の電荷トラップを含み、そ
の一方で、内側電荷トラップ層920は、酸素リッチな窒化物又はシリコン酸窒化物を含
み、外側電荷トラップ層に対して酸素リッチとして内側電荷トラップ層920内の電荷ト
ラップ数を低減させている。
【0056】
例えば図示されるような、ある実施形態では、多層電荷蓄積層は、酸化物等の誘電体を
含む、少なくとも1層の薄い、中間層又は反トンネル層924を更に含み、外側電荷トラ
ップ922を内側電荷トラップ層920から分離する。反トンネル層924は、プログラ
ムしている間に外側電荷トラップ922の境界で蓄積する、トンネル層から内側電荷トラ
ップ層920への電子電荷の確率を実質的に低減し、より少ない漏れ電流をもたらす。
【0057】
上述した実施形態と同様に、内側電荷トラップ層920及び外側電荷トラップ層922
のいずれか又は両方は、シリコン窒化物又はシリコン酸窒化物を含むことができ、例えば
シリコンリッチ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように比及び流量が調整されたN
O/NH及びDCS/NHガスの混合物を含むCVDプロセスによって、形成され
ることができる。多層電荷蓄積構造の第2の窒化物層はその後、中間酸化層上に形成され
る。外側電荷トラップ層922は、内側電荷トラップ層920と異なる酸素、窒素及び/
又はシリコンの化学量論的組成を有し、シリコンリッチ及び酸素リーンな最上部窒化物層
が得られるように比及び流量が調整されたDCS/NH及びNO/NHガスの混合
物を含むプロセスガスを用いるCVDプロセスによって形成又は堆積されることもできる
【0058】
酸化物を含む中間又は反トンネル層924を含む実施形態において、ラジカル酸化を用
いて、内側電荷トラップ層920を選んだ深さまで酸化させることによって反トンネル層
を形成することができる。例えば、1000-1100℃の温度でシングルウェハーツー
ルを用いて、又は800-900℃でバッチ反応器ツールを用いて、ラジカル酸化を行う
ことができる。水素及び酸素ガスの混合物を、300-500トルの圧力でバッチプロセ
スに対して、又は10-15トルでシングル蒸発ツールを用いて、1-2分間シングルウ
ェハーツールを用いて、又は30分-1時間バッチプロセスを用いて、使用することがで
きる。
【0059】
最後に、阻止誘電体916が酸化物を含む実施形態において、当該酸化物を適切な手段
によって形成又は堆積することができる。ある実施形態では、阻止誘電体916の酸化物
は、HTO CVDプロセスで堆積された高温酸化物である。あるいは、阻止誘電体91
6又は阻止酸化物層を熱的に成長させることができるが、この実施形態では、阻止酸化物
層を熱的に成長させるプロセスの間、最上部窒化物のいくつかを有効に消費又は酸化する
ため、外側電荷トラップ層922の厚さを調整又は増加する必要があることが理解される
であろう。
【0060】
内側電荷トラップ層920の厚さを、約30Åから約80Åまで(ある許容される変動
、たとえば±10Aで)適切に形成することができる。ラジカル酸化により内側電荷トラ
ップ層920の約5-20Åを消費して反トンネル層924を形成することができる。外
側電荷トラップ層922の適切な厚さを、少なくとも30Åとすることができる。ある実
施形態では、外側電荷トラップ層922の厚さを最大で120Åとすることができ、ラジ
カル酸化により外側電荷トラップ層922の30-70Åを消費して阻止誘電体916を
形成することができる。ある実施形態では、内側電荷トラップ層920と外側電荷トラッ
プ層922との間の厚さの比を約1:1とすることができるが、他の比も可能である。
【0061】
他の実施形態では、外側電荷トラップ層922及び阻止誘電体916のいずれか又は両
方は、高誘電率誘電体を含むことができる。適切な高誘電率誘電体は、HfSiON、H
fSiO又はHfO等の材料をベースにしたハフニウムと、ZrSiON、ZrSiO又
はZrO等の材料をベースにしたジルコニウムと、Y等の材料をベースにしたイッ
トリウムとを含むことができる。
【0062】
他の実施形態では、メモリデバイスは、基板上の多数の導電層、半導体層の上に突出し
又はこれらの層から突出する、半導体材料に形成され又はこの半導体材料から形成される
、垂直ナノワイヤチャネルを含む非平面状デバイスであり又はこの非平面状デバイスを含
む。図10Aに切断図で示す、この実施形態のあるバージョンでは、メモリデバイス10
00は、デバイスのソース1004及びドレイン1006を接続する半導体材料の円筒に
形成される垂直ナノワイヤチャネル1002を含む。チャネル1002は、トンネル酸化
物層1008、多層電荷蓄積層1110、阻止層1012、及び当該阻止層を覆いメモリ
デバイス1000の制御ゲートを形成するゲート層1014に取り囲まれている。チャネ
ル1002は、半導体材料の十分堅固な円柱の外側層に、環状の領域を含むことができ、
又は誘電体の充填材の円柱上に形成される環状層を含むことができる。上述した水平ナノ
ワイヤと同様に、チャネル1002は、ポリシリコン又は再結晶ポリシリコンを含んで、
単結晶チャネルを形成することができる。チャネル1002が結晶性シリコンを含む場合
には、任意に、当該チャネルの長軸線に対して結晶方位<100>の表面を有するように
、チャネルを形成することができる。
【0063】
図10Bに示すような、ある実施形態では、多層電荷蓄積層1010を、少なくとも、
トンネル酸化物層1008に最も近い第1又は内側電荷トラップ層1016と、第2又は
外側電荷トラップ層1018とを含む、多層電荷蓄積層とすることができる。任意に、中
間の酸化物層又は反トンネル層1020によって、当該第1及び第2電荷トラップ層を分
離させることができる。
【0064】
上述した実施形態と同様に、第1電荷トラップ層1016及び第2電荷トラップ層10
18のいずれか又は両方は、シリコン窒化物又はシリコン酸窒化物を含むことができ、例
えばシリコンリッチ及び酸素リッチな酸窒化物層が得られるように比及び流量が調整され
たNO/NH及びDCS/NHのガス混合物を含むCVDプロセスによって、形成
されることができる。
【0065】
最後に、第2電荷トラップ層1018及び阻止層1012のいずれか又は両方は、Hf
SiON、HfSiO、HfO、ZrSiON、ZrSiO、ZrO又はY等の、
高誘電率誘電体を含むことができる。
【0066】
第1電荷トラップ層1016の厚さを、約30Åから約80Åまで(許容される変動、
たとえば±10Aで)適切に形成することができる。ラジカル酸化により第1電荷トラッ
プ層1016の約5-20Åを消費して反トンネル層1020を形成することができる。
第2電荷トラップ層1018の適切な厚さを少なくとも30Åとすることができ、阻止誘
電体1012の適切な厚さを約30-70Åとすることができる。
【0067】
図10Aのメモリデバイス1000を、ゲート最初のスキーム又はゲート最後のスキー
ムのいずれか一方を用いて製造することができる。図11A-Fは、図10Aの非平面状
マルチゲートデバイスを製造するためのゲート最初のスキームを示す。図12A-Fは、
図10Aの非平面状マルチゲートデバイスを製造するためのゲート最後のスキームを示す
【0068】
図11Aを参照すると、ゲート最初のスキームにおいて、阻止酸化物等の、第1又は下
部誘電体層1102を、ソース又はドレイン等の、基板1106内の第1のドープされた
拡散領域1104上に形成する。ゲート層1108を第1誘電体層1102上に堆積して
デバイスの制御ゲートを形成し、第2又は上部誘電体層1110をその上に形成する。上
述した実施形態と同様に、第1及び第2誘電体層1102、1110を、CVD若しくは
ラジカル酸化によって堆積することができ、又は、下層又は下部基板の一部の酸化によっ
て形成することができる。ゲート層1108は、CVDによって堆積された、金属又はド
ープされたポリシリコンを含むことができる。一般に、ゲート層1108の厚さは約40
Å-50Åであり、第1及び第2誘電体層1102、1110の厚さは約20Å-80Å
である。
【0069】
図11Bを参照して、上を覆うゲート層1108並びに第1及び第2誘電体層1102
、1110を貫通して基板1106内の拡散領域1104へ達する第1開口部1112を
エッチングして形成する。次に、トンネル酸化物層1114、多層電荷蓄積層1116及
び阻止誘電体1118を含む層を開口部に連続的に堆積し、上部誘電体層1110の表面
を平坦化して、図11Cに示す中間構造を産出する。
【0070】
当然のことながら、図示はしないが、上述した実施形態において、多層電荷蓄積層11
16は、トンネル酸化物層1114に最も近い少なくとも1層の下部又は最下部電荷トラ
ップ層と、当該最下部電荷トラップ層を覆う上部又は最上部電荷トラップ層と、を含む多
層電荷蓄積層を含むことができる。一般に、最上部電荷トラップ層は、シリコンリッチ、
酸素リーンな窒化物層を含み、複数の電荷トラップ層に区分される大部分の電荷トラップ
を含み、その一方で、最下部電荷トラップ層は、酸素リッチな窒化物又はシリコン酸窒化
物を含み、最下部電荷トラップ層を最上部電荷トラップに対して酸素リッチとして最下部
電荷トラップ内の電荷トラップの数を低減させている。ある実施形態では、多層電荷蓄積
層1116は、酸化物等の誘電体を含む、少なくとも1層の薄い、中間層又は反トンネル
層を更に含み、最上部電荷トラップを最下部電荷トラップ層から分離する。
【0071】
次に、トンネル酸化物層1114、多層電荷蓄積層1116及び阻止誘電体1118を
貫通する第2又はチャネル開口部1120を、異方的にエッチングして形成する(図11
D)。図11Eを参照して、チャネル開口部に半導体材料1112を堆積して、開口部内
に垂直チャネル1124を形成する。垂直チャネル1124は、半導体材料の十分に堅固
な円柱の外側層に、環状領域を含むことができ、又は、図11Eに示すように、垂直チャ
ネル1124は、誘電体の充填材1126の円柱を取り囲む、別個の層状半導体材料11
22を含むことができる。
【0072】
図11Fを参照して、上部誘電体層1110の表面を平坦化する。そしてソース又はド
レイン等の、第2のドープされた拡散領域1130をその中に形成した、半導体材料11
28の層を上部誘電体層の上に堆積して、図示のデバイスを形成する。
【0073】
図12を参照して、ゲート最後のスキームにおいて、酸化物等の誘電体層1202を基
板1206表面の犠牲層1204上に形成し、誘電体及び犠牲層を貫通する開口部をエッ
チングで形成し、垂直チャネル1208を当該開口部内に形成する。上述した実施形態と
同様に、垂直チャネル1208は、多結晶シリコン若しくは単結晶シリコン等の半導体材
料1210の十分に堅固な円柱の外側層に環状領域を含むことができ、又は、(図示はし
ないが)垂直チャネル1208は、誘電体の充填材の円柱を取り囲む、別個の層状半導体
材料を含むことができる。誘電体層1202は、酸化シリコン等の任意の適切な誘電材料
を含むことができ、メモリデバイス1000の、続いて形成されるゲート層を、ゲート層
上を覆う電気的に活性な層又は他のメモリデバイスから、電気的に絶縁することができる
。犠牲層1204は、誘電体層1202、基板1206及び垂直チャネル1208の材料
に対して高い選択性を有する、エッチング又は除去可能な任意の適切な材料を含むことが
できる。
【0074】
図12Bを参照して、誘電体層及び犠牲層1202、1204を貫通し基板1206に
達する第2開口部1212をエッチングして形成し、犠牲層1204をエッチング又は除
去する。犠牲層1204は、誘電体層1202、基板1206及び垂直チャネル1208
の材料に対して高い選択性を有する、エッチング又は除去可能な任意の適切な材料を含む
ことができる。ある実施形態では、犠牲層1204は緩衝酸化物エッチング(buffe
red oxide etch、BOE etch)によって除去可能な二酸化ケイ素を
含む。
【0075】
図12C及び12Dを参照して、トンネル酸化物層1214、多層電荷蓄積層1216
及び阻止誘電体1218の層を順に開口部に堆積し、誘電体層1202の表面を平坦化し
図12C及び12Dに示す中間構造を産出する。図12Dに示すような、ある実施形態
では、多層電荷蓄積層1216を、少なくとも、トンネル酸化物層1214に最も近い第
1又は内側電荷トラップ層1216aと第2又は外側電荷トラップ層1216bと、を含
む多層電荷蓄積層とすることができる。任意に、第1及び第2電荷トラップ層を、中間酸
化物又は反トンネル層1220によって分離することができる。
【0076】
次に、ゲート層1222を第2開口部1212内へ堆積し、上部誘電体層1202の表
面を平坦化して、図12Eに示す中間構造を産出する。上述した実施形態と同様に、ゲー
ト層1222は、堆積した金属又はドープされたポリシリコンを含むことができる。最後
に、ゲート層1222を貫通する開口部1224をエッチングで形成して、単独のメモリ
デバイス1226の制御ゲートを形成する。
【0077】
本明細書に記載された電荷保持デバイスの実施形態を論理回路に用いて、マシンメモリ
として機能させることができる。当業者は、記載された構造を具現化できる様々なロジッ
クの実装が存在し、好ましい手段はプロセスが展開される事情によって変化することを理
解できる。例えば、実装者が速度及び精度を最重要と決定した場合には、実装者はハード
ウェア手段及び/又はファームウェア手段を選ぶことができ、あるいは、柔軟性を最重要
と決定した場合には、実装者はソフトウェア実装だけを選ぶことができ、又は、更に代案
として、実装者はハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの組み合わせを
選ぶことができる。従って、本明細書に記載されるデバイスを用いる多数の手段が存在し
、利用される任意の手段は、変化しうる、当該手段を用いる事情及び実装者の特定の関心
事項(例えば速度、柔軟性又は予測可能性)によって決まる選択物であるから、これらの
手段のいずれも、他の手段より本質的に優れるものではない。当業者は、実施形態の光学
的態様が、光学的に配向されるハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを
含むことを認識することができる。
【0078】
多層電荷蓄積層は2つの酸窒化物層、即ち最上部及び最下部層を有するものとして図示
し説明したが、本発明はこれに限定されず、任意の数の酸窒化物層を含み、それらの一部
又はすべてが酸素、窒素及び/又はシリコンの異なる化学量論的組成を有するものとする
ことができる。特に、それぞれ異なる化学量論的組成を有する5つの酸窒化物層を有する
多層電荷蓄積層を製造し、試験した。しかしながら、当業者に明らかなように、一般には
所望の結果を達成するのにできるだけ少数の層を使用し、より簡単でよりロバストなプロ
セスを提供するのが好ましい。更に、できるだけ少数の層を使用すると、少数の層の化学
量論的組成及び寸法の制御がより簡単になるので、歩留まりも更に高くなる。
【0079】
更に、シリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコン構造はメモリデバイスのシリコ
ン-酸化物-酸窒化物-酸化物-シリコンスタックの一部分として図示し説明したが、本
発明はこの構造及びその製造に限定されず、このシリコン-酸化物-酸窒化物-酸化物-
シリコン構造は、本発明の範囲から逸脱することなく、電荷蓄積又は絶縁層又は積層を必
要とする任意の半導体技術又は任意のデバイス、例えばスプリットゲートフラッシュメモ
リ、TaNOSスタック、IT(トランジスタ)SNOS型セル、2TSONOS型セル
、3T SNOS型セル、局所化2ビットセル、マルチレベルプログラミングセル、及び
/又は9T若しくは12T不揮発性半導体メモリ(NVSM)等に又はこれとともに使用
することができる。
【0080】
前述の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート及び/又は実施例により、デバイ
ス及び/又はプロセスの様々な実施形態を説明した。そのようなブロック図、フローチャ
ート及び/又は実施例は、1つ以上の機能及び/又は動作を含む限りでは、そのようなブ
ロック図、フローチャート又は実施例内の、各機能及び/又は動作を、広範囲のハードウ
ェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの事実上任意の組み合わせによって、単
独に及び/又は共同で実装することができることを、当業者は周知として理解できる。
【0081】
本明細書で説明した構造の実施形態を、特定用途向け集積回路(ASICs)、フィー
ルド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGAs)、中央演算処理装置(CPUs)
、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSPs)又は他の統合された構成で用いることが
できる。しかしながら当業者は、データに対するデジタル情報及び/又は1つ以上のコン
ピュータを実行させるプログラム(例えば1つ以上のコンピュータシステム上で動作する
1つ以上のプログラム、1つ以上のプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラム、1つ
以上のマイクロプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラム)、ファームウェア又はこ
れらの事実上任意の組み合わせを記憶することを目的として、本明細書に記載された実施
形態のいくつかの態様を、全体として又は一部として、専用のメモリ回路で同等に実装す
ることができることを認識することができる。
【0082】
一般的な意味で、当業者は、本明細書に記載された様々な構造を、単独に及び/又は共
同で、広範囲の電気回路によって具体化できることを認識することができる。本明細書で
用いる「電気回路」は、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも
1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気
回路、コンピュータプログラムにより設定される汎用コンピュータ・デバイス(例えば、
コンピュータプログラムにより設定され、本明細書に記載されるプロセス及び/又はデバ
イスを少なくとも部分的に実行する汎用コンピュータ、又は、コンピュータプログラムに
より設定され、本明細書に記載されるプロセス及び/又はデバイスを少なくとも部分的に
実行するマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えば
ランダムアクセスメモリを形成する)電気回路、及び/又は、(モデム、通信スイッチ又
は光電気装置等の)通信機器を形成する電気回路を含むが、これらに限定されない。
【0083】
当業者は、本明細書に記載したようなデバイス及び/又はプロセスを説明することが、
通常、当業者の技術の範囲内であることを認識することができ、従って標準の技術的手法
を用いてそのような説明したデバイス及び/又はプロセスをより大きなシステムに組み込
むことが当業者の技術の範囲内であることを認識することができる。すなわち、本明細書
に記載されたデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部を、過度の量の実験を行うこ
となく、ネットワーク処理システムに組み込むことができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12