(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】折り畳みシャフトのロック機構およびそれを用いた折り畳み杖
(51)【国際特許分類】
A45B 9/02 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
A45B9/02 A
A45B9/02 B
(21)【出願番号】P 2020122658
(22)【出願日】2020-07-17
【審査請求日】2020-07-17
(31)【優先権主張番号】201910905984.0
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520083389
【氏名又は名称】寧海興達旅遊用品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100111187
【氏名又は名称】加藤 秀忠
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】胡 金学
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-278943(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106438617(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/00-5/00
A61H 99/00
A45B 9/00-9/02
A45B 1/00
A63B 29/08
A63C 11/22
A61H 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシャフト部を含む、折り畳み可能なシャフト体(1)を有し、前記シャフト体(1)内に弾性ロープが設けられている折り畳みシャフトにおいて、前記複数のシャフト部を連結するロック機構であって、
前記ロック機構(4)は、隣り合う上シャフト部および下シャフト部のうち一方のシャフト部の開口位置に設けられた連結スリーブ(41)と、前記一方のシャフト部に対応する他方のシャフト部の開口位置に設けられた連結ヘッド(42)と、を対合嵌合により連結して含み、
前記連結スリーブ(41)内には、前記連結ヘッド(42)が挿入される貫通孔が形成され、
前記連結スリーブ(41)には、挿入される前記連結ヘッド(42)をロックする弾性係止爪(40)が設けられており、前記弾性係止爪(40)の一端は、前記連結スリーブ(41)を通って前記連結ヘッド(42)の係合溝と係合し、
前記連結スリーブ(41)には、前記弾性係止爪(40)を押圧するか否かによって、前記連結スリーブ(41)と前記連結ヘッド(42)とのロックまたはロック解除を行うことができるロックスリーブ(43)が、上下にスライド可能かつ位置制限可能に外嵌して
おり、
前記連結ヘッド(42)は、固定ブシュ(422)と、挿入ヘッド(421)とを含み、
前記固定ブシュ(422)は、前記下シャフト部の上開口と寸法が適合することにより、前記下シャフト部の上開口内に差し込まれおり、且つその上端に前記下シャフト部の上開口の外側と当接し合うフランジ(423)を有し、
前記挿入ヘッド(421)は、円柱形の上部分、大径の円柱形である下部分、および円錐台状のブリッジ部を有する中間部分の3つの部分に分けられ、そのうち、前記挿入ヘッド(421)の下部分は、前記固定ブシュ(422)内に差し込まれて固定されており、前記係合溝は、前記挿入ヘッド(421)の下部分に環方向に形成されていることを特徴とする、
折り畳みシャフトのロック機構(4)。
【請求項2】
前記連結スリーブ(41)の上部分は、前記上シャフト部の下開口に差し込まれて固定されている小径の円筒形連結部(411)に嵌合して固定され、
前記連結スリーブ(41)の下部分の側部には、前記弾性係止爪(40)を収容する取り付けベース(412)が突出しており、前記取り付けベース(412)内には、前記連結スリーブ(41)を貫通する係止口(413)が形成されており、
前記弾性係止爪(40)は、基本的にV字形またはU字形の本体断面を有するバネ部材または弾性部材であり、前記弾性係止爪(40)の固定端(401)は、前記取り付けベース(412)の係止爪位置決め溝内に嵌設され、他端の可動係止端(402)は、前記係止口(413)の位置に置かれて、前記ロックスリーブ(43)に押圧されることにより、内側に撓って前記係止口(413)に入り、前記連結スリーブ(41)内に差し込まれた前記連結ヘッド(42)と当接し合い、
前記弾性係止爪(40)の前記可動係止端(402)と係合する環形の前記係合溝(420)は、前記連結ヘッド(42)の外壁に環方向に凹設されていることを特徴とする、
請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記連結スリーブ(41)の上部分は、前記上シャフト部の下開口と寸法が適合することにより、前記上シャフト部の下開口内に差し込まれて固定される、小径の円筒形連結部(411)であり、
前記連結スリーブ(41)の中間部分は、前記上シャフト部の下開口の外側と当接し合う段差部(414)を有し、
前記連結スリーブ(41)の下部分の側部には、前記弾性係止爪(40)を収容する取り付けベース(412)が突出しており、前記取り付けベース(412)内には、前記連結スリーブ(41)を貫通する係止口(413)が形成されており、
前記弾性係止爪(40)は、基本的にV字形またはU字形の本体断面を有するバネ部材または弾性部材であり、前記弾性係止爪(40)の固定端(401)は、前記取り付けベース(412)の係止爪位置決め溝内に嵌設され、他端の可動係止端(402)は、前記係止口(413)の位置に置かれて、前記ロックスリーブ(43)に押圧されることにより、内側に撓って前記係止口(413)に入り、前記連結スリーブ(41)内に差し込まれた前記連結ヘッド(42)と当接し合い、
前記弾性係止爪(40)の前記可動係止端(402)と係合する環形の前記係合溝(420)は、前記連結ヘッド(42)の外壁に環方向に凹設されていることを特徴とする、
請求項1に記載のロック機構。
【請求項4】
前記弾性係止爪(40)は、円周上に均等に複数設けられており、前記取り付けベース(412)は、前記弾性係止爪(40)に対応するように、円周上に均等に複数設けられていることを特徴とする、
請求項2または3に記載のロック機構。
【請求項5】
前記弾性係止爪(40)は、対称に2つ設けられており、前記取り付けベース(412)は、前記弾性係止爪(40)に対応するように、対称に2つ設けられていることを特徴とする、
請求項4に記載のロック機構。
【請求項6】
前記円筒形連結部(411)は、前記上シャフト部の開口位置の内側に固定されるライニング管継手(41a)であり、前記ライニング管継手(41a)には、前記上シャフト部の外径よりも大きい外径を有する固定リング(44)が嵌合しており、
前記ロックスリーブ(43)は、前記連結スリーブ(41)に外嵌し、前記ロックスリーブ(43)の下部分の内壁は、前記弾性係止爪(40)と当接し合い、
前記ロックスリーブ(43)内には、上部分の直径が大きく、下部分の直径が小さい階段状孔(434)が成型されており、
前記固定リング(44)と前記ロックスリーブ(43)の前記階段状孔の段差面との間には、圧縮バネ(45)が配置されており、前記圧縮バネ(45)は、前記ロックスリーブ(43)が前記弾性係止爪(40)を内側に押圧して、前記弾性係止爪(40)を前記連結ヘッド(42)の環形の前記係合溝(420)にロックさせたまま保持するように、前記ロックスリーブ(43)を終始下方向に付勢することを特徴とする、
請求項2に記載のロック機構。
【請求項7】
前記上シャフト部には、前記連結スリーブ(41)の上部に対応する位置に、前記連結スリーブ(41)の前記取り付けベース(412)の外径よりも大きい外径を有する固定リング(44)が外嵌しており、
前記ロックスリーブ(43)は、前記固定リング(44)および前記連結スリーブ(41)に外嵌し、前記ロックスリーブ(43)の下部分の内壁は、前記弾性係止爪(40)と当接し合い、
前記ロックスリーブ(43)内には、前記固定リング(44)および前記取り付けベース(412)と係合する、上部分の直径が大きく、下部分の直径が小さい階段状孔(434)が成型されており、
前記固定リング(44)と前記ロックスリーブ(43)の前記階段状孔の段差面との間には、圧縮バネ(45)が配置されており、前記圧縮バネ(45)は、前記ロックスリーブ(43)が前記弾性係止爪(40)を内側に押圧して、前記弾性係止爪(40)を前記連結ヘッド(42)の環形の前記係合溝(420)にロックさせたまま保持するように、前記ロックスリーブ(43)を終始下方向に付勢することを特徴とする、
請求項3に記載のロック機構。
【請求項8】
前記ロックスリーブ(43)の下部分の内壁には、前記取り付けベース(412)と係合するガイド溝(433)が成型されており、前記ガイド溝(433)の内側には、前記ロックスリーブ(43)の前記弾性係止爪(40)に対する押圧により前記弾性係止爪(40)と係合する、内向きに傾斜した傾斜面(431)が成型されており、前記ロックスリーブ(43)を押し上げた時、前記ロックスリーブ(43)の前記弾性係止爪(40)に対する押圧が解除され、前記弾性係止爪(40)の前記可動係止端(402)が、前記係止口(413)から外に出て、前記連結ヘッド(42)の環形の前記係合溝(420)から外れることを特徴とする、
請求項6または7に記載のロック機構。
【請求項9】
前記ロックスリーブ(43)の下部分の内壁には、複数の弾性係止歯(435)が成型されており、それに対応するように、前記連結スリーブ(41)の下端には、前記複数の弾性係止歯(435)と係合する円弧部係止縁(415)が分布しており、位置制限を行うことを特徴とする、
請求項6または7に記載のロック機構。
【請求項10】
前記ロックスリーブ(43)の下部分は、その外表面の両側に、くぼみ構造(432)を有することを特徴とする、
請求項8に記載のロック機構。
【請求項11】
前記フランジ(423)の直径は、前記ロックスリーブ(43)の内径よりも大きく、前記連結ヘッド(42)が前記連結スリーブ(41)に挿入連結されて位置決めされると、前記ロックスリーブ(43)は前記フランジ(423)と当接し合い、
前記挿入ヘッド(421)の下部分は、前記固定ブシュ(422)内に挿入されて、前記固定ブシュ(422)の内壁の、前記フランジ(423)に対応する位置に成型された位置決め凸環(424)と、前記挿入ヘッド(421)の外壁に成型された、前記位置決め凸環(424)に対応する環形の位置決め凹溝(425)とが係合することにより、位置決めされて、前記挿入ヘッド(421)の下端と前記固定ブシュ(422)の下端とが基本的に同一面となることを特徴とする、
請求項
1に記載のロック機構。
【請求項12】
前記連結スリーブ(41)の上部分の内壁には、前記挿入ヘッド(421)の上部分および中間部分と係合する円錐台形孔が形成されたインナースリーブ(46)が、固定嵌合されていることを特徴とする、
請求項1
1に記載のロック機構。
【請求項13】
前記連結ヘッド(42)は、中空構造であり、前記弾性ロープ(5)の一端は、前記シャフト体(1)の最も上のシャフト部の内部に固定されており、他端は、前記シャフト体(1)の各シャフト部、各連結スリーブ(41)および各連結ヘッド(42)を通って、最も下のシャフト部(13)の連結ヘッド(42)に固定されていることを特徴とする、
請求項1に記載のロック機構。
【請求項14】
グリップ部(2)と、折り畳みシャフトと、支持脚(3)とを含む折り畳み杖であって、
前記折り畳みシャフトは、請求項1~1
3のいずれか1項に記載のロック機構(4)を使用して連結されることを特徴とする、
折り畳み杖。
【請求項15】
前記折り畳みシャフトの第1シャフト部(11)または前記グリップ部(2)には、結束バンド(7)と組み合わせられて、折り畳んだシャフト体を固定するための係止部材(6)が設けられており、
前記結束バンド(7)の一端は、前記係止部材(6)の一端に固定または係止され、他端は、折り畳んだシャフト体に巻き付けられた後、前記係止部材(6)の他端に係止されることを特徴とする、
請求項1
4に記載の折り畳み杖。
【請求項16】
前記係止部材(6)は、前記第1シャフト部(11)または前記グリップ部(2)に嵌合することを特徴とする、
請求項1
5に記載の折り畳み杖。
【請求項17】
前記係止部材(6)は、前記第1シャフト部(11)または前記グリップ部(2)に固定嵌合する内リング(61)と、C字形の外リング(62)とを含み、前記外リング(62)の開口両端には、内に凹のアーチ形係止溝(63)が成型されていることを特徴とする、
請求項1
6に記載の折り畳み杖。
【請求項18】
前記結束バンド(7)に弾性バンドを用い、前記弾性バンドの一端は、前記係止部材(6)の一方のアーチ形係止溝(63)内に係止され、他端は、折り畳んだ前記シャフト体に巻き付けられた後、他方のアーチ形係止溝(63)に係止されることを特徴とする、
請求項1
5に記載の折り畳み杖。
【請求項19】
前記係止部材(6)は、前記グリップ部(2)を2つに分け、前記グリップ部は、上下2つの把持部位を形成することを特徴とする、
請求項1
8に記載の折り畳み杖。
【請求項20】
前記係止部材(6)は、前記グリップ部(2)と繋がって一体構造になっていることを特徴とする、
請求項1
5に記載の折り畳み杖。
【請求項21】
前記結束バンド(7)には、係止部を有する弾性紐または弾性紐を繋いで輪にしたものを使用することを特徴とする、
請求項1
5に記載の折り畳み杖。
【請求項22】
前記弾性バンド(7)の一端には、手で扱いやすくするためのつまみ(71)が設けられていることを特徴とする、
請求項2
1に記載の折り畳み杖。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杖の技術分野に関し、具体的には、トレッキングポール、スキーポール、歩行杖などの各種杖に適した折り畳みシャフトのロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のトレッキングポール、スキーポール等の杖は、主に歩行を補助し、支えとなるものである。従来の杖のほとんどは、一体式の杖であり、長くてかさばり、収納や携帯に不便だという欠点がある。このため、現在では多くの伸縮可能な杖および折り畳み可能な杖があるが、このうち、伸縮可能な杖は、一般に主管と延長管とを含み、伸縮位置決め装置によって、伸縮および位置決めを行い、嵩を小さくするという目的を達成している。しかし、このような構造はやや複雑で、製造コストが高く、壊れた後の修理が比較的難しい。
【0003】
折り畳み可能な杖は、一般に、多節のシャフトと、多節のシャフトを貫通し、且つ多節のシャフトを繋ぐ弾性ロープによって構成される。例えば、中国実用新案登録第200720058870号の「折り畳み可能な杖の震動回避構造」のように、杖は、第1シャフト部と、第2シャフト部と、弾性ロープとを含み、弾性ロープは、第1シャフト部および第2シャフト部の中央の穴を貫通し、第1シャフト部と第2シャフト部とを引っ張りながら保持して連結する。第1シャフト部の中央の穴には段差部が設けられ、第1シャフト部の接合端が嵌合連結する第2シャフト部の受け溝内には、圧縮バネが設けられている。第1シャフト部の接合端が圧縮バネと接合することによって、第2シャフト部と第1シャフト部との間に、軸方向に対して浮動する関係が生まれる。弾性ロープに設けられた係止点が、ちょうど第1シャフト部内の段差部に係止するため、弾性ロープが収縮すると、第1シャフト部が第2シャフト部の方に引っ張られる。このような折り畳み杖の構造は簡単で、杖を折り畳むことができるので、収納に便利だが、この杖にはロック機構がなく、第1シャフト部と第2シャフト部とが接合した後に、ロック機構によってロック、固定されていないので、構造の頑丈さや安定性が不十分であり、使用時に外れやすく、使用上の安全性や信頼性も不十分である。
【0004】
また、折り畳み杖は、杖を折り畳むことができ、収納しやすいが、杖を折り畳んだ後に固定されているわけではないので、バラバラになりやすく、携帯する時に紐で各シャフト部を束ねる必要があり、使いにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする主要な技術的課題は、上述の技術的現状に鑑み、構造が合理的で、操作性が良く、しっかりと安全に連結できる折り畳みシャフトのロック機構を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとする別の技術的課題は、上述のロック機構を使用した折り畳み杖を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする更なる技術的課題は、構造が簡単で、操作性が良く、しまいやすい折り畳み杖を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が上述の主要な技術的課題を解決するために採用した技術的手段は、複数のシャフト部がロック機構により連結されて成る、折り畳み可能なシャフト体を含み、シャフト体内に弾性ロープが設けられている折り畳みシャフトのロック機構であって、以下を特徴とする。ロック機構は、対合嵌合により連結される連結スリーブと、連結ヘッドとを含み、連結スリーブは、隣り合う上シャフト部および下シャフト部のうち一方のシャフト部の開口位置に設けられており、連結ヘッドは、一方のシャフト部に対応する他方のシャフト部の開口位置に設けられている。連結スリーブ内には、連結ヘッドが挿入される貫通孔が形成されている。また、連結スリーブには、挿入される連結ヘッドをロックする弾性係止爪が設けられており、弾性係止爪の一端は、連結スリーブを通って連結ヘッドの係合溝と係合する。連結スリーブには、弾性係止爪を押圧するか否かによって、連結スリーブと連結ヘッドとのロックまたはロック解除を行うことができるロックスリーブが、上下にスライド可能かつ位置制限可能に外嵌している。
【0009】
さらに、好ましい手段の1つとして、連結スリーブの上部分は、上シャフト部の下開口に差し込まれて固定されている小径の円筒形連結部に嵌合して固定され、連結スリーブの下部分の側部には、弾性係止爪が収容される取り付けベースが突出しており、取り付けベース内には、連結スリーブを貫通する係止口が形成されている。弾性係止爪は、基本的にV字形またはU字型の本体断面を有するバネ部材または弾性部材であり、弾性係止爪の固定端は、取り付けベースの係止爪位置決め溝内に嵌設され、他端の可動係止端は、係止口の位置に置かれて、ロックスリーブに押圧されることにより、内側に撓って係止口に入り、連結スリーブ内に差し込まれた連結ヘッドと当接し合う。弾性係止爪の可動係止端と係合する環形の係合溝は、連結ヘッドの外壁に環方向に凹設されている。
【0010】
さらに、好ましい手段の1つとして、連結スリーブの上部分は、上シャフト部の下開口と寸法が適合することにより、上シャフト部の下開口内に差し込まれて固定される小径の円筒形連結部であり、連結スリーブの中間部分は、上シャフト部の下開口の外側と当接し合う段差部を有し、連結スリーブの下部分の側部には、弾性係止爪が収容される取り付けベースが突出しており、取り付けベース内には、連結スリーブを貫通する係止口が形成されている。弾性係止爪は、基本的にV字形またはU字型の本体断面を有するバネ部材または弾性部材であり、弾性係止爪の固定端は、取り付けベースの係止爪位置決め溝内に嵌設され、他端の可動係止端は、係止口の位置に置かれて、ロックスリーブに押圧されることにより、内側に撓って係止口に入り、連結スリーブ内に差し込まれた連結ヘッドと当接し合う。弾性係止爪の可動係止端と係合する環形の係合溝は、連結ヘッドの外壁に環方向に凹設されている。
【0011】
好ましくは、弾性係止爪は、円周上に均等に複数設けられており、取り付けベースは、弾性係止爪に対応するように、円周上に均等に複数設けられている。
【0012】
さらに好ましくは、弾性係止爪は、対称に2つ設けられており、取り付けベースは、弾性係止爪に対応するように、対称に2つ設けられている。
【0013】
さらには、円筒形連結部に、上シャフト部の開口位置内に固定されるライニング管継手である。ライニング管継手には、上シャフト部の外径よりも大きい外径を有する固定リングが嵌合している。ロックスリーブは、連結スリーブに外嵌し、ロックスリーブの下部分の内壁は、弾性係止爪と当接し合う。ロックスリーブ内には、上部分の直径が大きく、下部分の直径が小さい階段状孔が成型されており、固定リングとロックスリーブの階段状孔の段差面との間には、圧縮バネが配置されている。圧縮バネは、ロックスリーブが弾性係止爪を内側に押圧して、弾性係止爪を連結ヘッドの環形の係合溝にロックさせたまま保持するように、ロックスリーブを終始下方向に付勢する。
【0014】
さらには、上シャフト部には、連結スリーブの上部に対応する位置に、連結スリーブの中間部分の取り付けベースの外径よりも大きい外径を有する固定リングが外嵌している。ロックスリーブは、固定リングおよび連結スリーブに外嵌し、ロックスリーブの下部分の内壁は、弾性係止爪と当接し合う。ロックスリーブ内には、固定リングおよび取り付けベースと係合する、上部分の直径が大きく、下部分の直径が小さい階段状孔が成型されており、固定リングとロックスリーブの階段状孔の段差面との間には、圧縮バネが配置されている。圧縮バネは、ロックスリーブが弾性係止爪を内側に押圧して、弾性係止爪を連結ヘッドの環形の係合溝にロックさせたまま保持するように、ロックスリーブを終始下方向に付勢する。
【0015】
さらには、ロックスリーブの下部分の内壁には、取り付けベースと係合するガイド溝が成型されており、ガイド溝の内側には、ロックスリーブの弾性係止爪に対する押圧により弾性係止爪と係合する、内向きに傾斜した傾斜面が成型されている。ロックスリーブを押し上げた時、ロックスリーブの弾性係止爪に対する押圧が解除され、弾性係止爪の可動係止端が係止口から外に弾き出されて、連結ヘッドの環形の係合溝から外れる。
【0016】
さらに、ロックスリーブの下部分の内壁には、複数の弾性係止歯が成型されており、それに対応するように、連結スリーブの下端には、複数の弾性係止歯と係合する円弧部係止縁が分布しており、位置制限を行う。
【0017】
さらに、ロックスリーブの下部分は、その外表面の両側に、くぼみ構造を有する。
【0018】
さらには、連結ヘッドは、固定ブシュと挿入ヘッドとを含む。固定ブシュは、下シャフト部の上開口と寸法が適合することにより、下シャフト部の上開口内に差し込まれており、その上端に下シャフト部の上開口の外側と当接し合うフランジを有する。挿入ヘッドは、円柱形の上部分、大径の円柱形である下部分、および円錐台状のブリッジ部を有する中間部分の3つの段に分けられ、そのうち、挿入ヘッドの下部分は、固定ブシュ内に差し込まれて固定されており、係合溝は、挿入ヘッドの下部分に環方向に形成されている。
【0019】
さらには、フランジの直径は、ロックスリーブの内径よりも大きく、連結ヘッドが連結スリーブに挿入連結されて位置決めされると、ロックスリーブはフランジと当接し合う。また、固定ブシュの内壁の、フランジに対応する位置には、位置決め凸環が成型されており、挿入ヘッドの外壁には、位置決め凸環に対応する環形の位置決め凹溝が成型されている。挿入ヘッドの下部分は、固定ブシュ内に挿入されて、位置決め凸環と位置決め凹溝とが係合することにより位置決めされて、挿入ヘッドの下端と固定ブシュの下端とが基本的に同一面となる。
【0020】
さらに、連結スリーブの上部分の内壁には、挿入ヘッドの上部分および中間部分と係合する円錐台形孔が形成されたインナースリーブが固定嵌合される。
【0021】
さらに、連結ヘッドは、中空構造であり、弾性ロープの一端は、シャフト体の最も上のシャフト部の内部に固定されており、他端は、シャフト体の各シャフト部、各連結スリーブおよび各連結ヘッドを通って、最も下のシャフト部の連結ヘッドに固定されている。
【0022】
本発明が上述の別の技術的課題を解決するために採用した技術的手段は、グリップ部と、折り畳みシャフトと、支持脚とを含む折り畳み杖であって、折り畳みシャフトは上述のいずれか1つのロック機構を使用して連結される。
【0023】
本発明が上述の更なる技術的課題を解決するために採用した技術的手段は、以下の折り畳み杖である。折り畳みシャフトの第1シャフト部またはグリップ部には、結束バンドと組み合わせられて、折り畳んだシャフト体を固定するための係止部材が設けられており、結束バンドの一端は、係止部材の一端に固定または係止され、他端は、折り畳んだシャフト体に巻き付けられた後、係止部材の他端に係止される。
【0024】
さらに、係止部材は、第1シャフト部またはグリップ部に嵌合する。
【0025】
さらには、係止部材は、第1シャフト部またはグリップ部に固定嵌合する内リングと、C字形の外リングとを含み、外リングの開口両端には、内に凹のアーチ形係止溝が成型されている。
【0026】
さらには、結束バンドに弾性バンドを用い、弾性バンドの一端は、係止部材の一方のアーチ形係止溝内に係止され、他端は、折り畳んだシャフト体に巻き付けられた後、他方のアーチ形係止溝に係止される。
【0027】
好ましくは、係止部材は、グリップ部を2つに分け、グリップ部は、上下2つの把持部位を形成する。
【0028】
さらに、係止部材は、グリップ部と繋がって一体構造になっている。
【0029】
好ましくは、結束バンド(7)には、係止部を有する弾性紐または弾性紐を繋いで輪にしたものを使用する。
【0030】
さらに、弾性バンドの一端には、手で扱いやすくするためのつまみが設けられている。
【0031】
既存の技術と比較した本発明の特長は、以下である。
【0032】
ロック機構は、連結ヘッドと、連結スリーブと、ロックスリーブと、を含む。連結スリーブ内には、連結ヘッドと係合して連結ヘッドをロックする弾性係止爪が設けられている。ロックスリーブは、上下にスライド可能であり、ロックスリーブを押圧することによって、連結スリーブと連結ヘッドとのロックおよびロック解除を行うことができる。使用する時は、ロックスリーブを押し上げるだけで、弾性係止爪が連結ヘッドから外れるので、すぐにシャフト体を折り畳むことができる。連結する必要がある時は、連結ヘッドを連結スリーブに正確に合わせるだけで、弾性ロープとロックスリーブの働きにより、連結ヘッドと連結スリーブが自動的に合わされてロックされる。特に、弾性係止爪にV字形またはU字形の本体断面を有するバネ部材または弾性部材を使用することにより、ロック装置の反応性能が大幅に高まり、操作を軽く、素早く行うことができる。また、上シャフト部にライニング管継手を追加することで、固定リングを取り付けやすくなり、連結スリーブのライニング用の金属部材が不要になる。連結ヘッドとライニング管継手とを直接係合することにより、連結スリーブの嵌め込み部材の生産を省くことができ、連結ヘッドの外形の加工が簡単になる。連結ヘッドとライニング管継手とが係合することによって、製品の強度がさらに良好になる。もちろん、連結スリーブ内にインナースリーブを設けてもよく、これにより連結ヘッドを挿入した時に安定させる効果が発揮され、連結強度が高まる。グリップ部または第1シャフト部に係止部材を設けて、シャフト体を折り畳んだ後に、結束バンドで折り畳んだシャフト体を束ねることによって、折り畳まれたシャフト体がバラバラになることがなく、携帯に便利である。また、位置決め凹面をさらに設けたことにより、さらにしっかりと束ねることができる。本発明の構造は、簡単で合理的であり、操作性もよく、シャフト部を連結した後、自動的にロックすることができ、シャフト部が外れるのを防ぐことができるため、使用上の安全性と安定性を大幅に高めることができる。また、シャフト体を折り畳むことができるので、携帯および収納に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施例1にかかる杖の構造模式図である(非伸縮シャフトを使用している)。
【
図2】本発明の実施例1にかかる杖を折り畳んだ状態を示す構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例1にかかる杖の2つのシャフト部がロックされた状態を示す構造模式図である。
【
図5】
図4のロックスリーブを上方に移動させ、ロックを解除した状態を示す断面図である。
【
図6】
図5の連結スリーブと連結ヘッドを分解した状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施例1にかかる杖の分解図である。
【
図8】本発明の実施例1にかかる杖の別の構造模式図である(伸縮シャフトを使用している)。
【
図9】本発明の実施例1にかかる杖を折り畳んだ状態を示す別の構造模式図である。
【
図10】本発明の実施例2にかかる杖の分解図である。
【
図11】本発明の実施例2にかかる杖の分解図である。
【
図12】本発明の実施例2にかかる杖の分解斜視図である。
【
図13】本発明の実施例2にかかる杖の断面図である。
【
図14】本発明の実施例3にかかる杖を分解した状態を示す構造模式図である。
【
図15】本発明の実施例3にかかる杖を折り畳んだ状態を示す構造模式図である。
【
図17】本発明の実施例3にかかる杖の使用状態を示す構造模式図である。
【
図18】本発明の実施例3にかかる杖のグリップ部と第1シャフト部の構造模式図である。
【
図20】本発明の実施例3にかかる杖の係止部材の構造模式図である。
【
図21】本発明の実施例3にかかる杖の弾性バンドに輪を使用した構造である。
【
図22】実施例3にかかる杖の弾性バンドの別の構造図である。
【
図23】実施例3にかかる杖の弾性バンドの一端が直接係止部材に固定された構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面と実施例を結び付けながら、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0035】
<実施例1>
図1~7に示すのは、折り畳みシャフトのロック機構である。折り畳みシャフトは、シャフト体1を含み、シャフト体1には、上端にグリップ部2が、下端に支持脚3が設けられており、これらはすべて通常の設計となっている。このシャフト体は、3つのシャフト部11、12、13がロック機構4により連結され、折り畳み可能に構成される。もちろん、シャフト体は、より多くのシャフト部から構成されてもよい。各シャフト部には、非伸縮パイプ、つまり長さが固定されたパイプが使用されており、シャフト体1内には、各シャフト部を繋ぐための弾性ロープ5が設けられている。トレッキングポールは以上のように構成されている。通常、各シャフト部には、アルミニウム合金またはステンレス、カーボンファイバーなどの材料でできたパイプを使用することができ、その断面は、円形または楕円形とすることができる。ロック機構4は、対合嵌合により連結される連結スリーブ41および連結ヘッド42と、ロックスリーブ43とを含む。連結スリーブ41の本体には、中に金属部材が嵌め込まれたプラスチック製のものを使用する。連結ヘッド42の本体には、金属製のパイプを使用することができ、金属製のパイプをプラスチックで覆って筒状にしたものを使用することができるが、もちろん、連結ヘッド42にプラスチック製のものを使用してもよい。ロックスリーブ43には、通常プラスチック製のものを使用しており、これにより、ロックスリーブ43に一定の弾性係止力を持たせて、連結スリーブ41に装着しやすいようにしている。連結スリーブ41は、隣り合う上シャフト部および下シャフト部のうち、上シャフト部の下開口の位置に設けられており、それに対応するように、連結ヘッド42は、対応する下シャフト部の上開口の位置に設けられている。連結スリーブ41内には、連結ヘッド42が挿入される貫通孔が形成されていて、連結ヘッド42は中空の構造になっている。弾性ロープ5の一端は、シャフト体1の最も上のシャフト部の内部に固定されており、他端は、シャフト体1の各シャフト部、各連結スリーブ41、および各連結ヘッド42を通って、第3シャフト部、つまり最も下のシャフト部13の連結ヘッド42に固定されている。弾性ロープ5の上端は、通常、パイプ栓を使用して、最も上のシャフト部のパイプ内に固定されている。本実施例では、パイプ栓によって弾性ロープ5の上端を最も上のシャフト部11内に固定し、弾性ロープ5の下端を最も下のシャフト部13の連結ヘッド42に通してから、結び目を作ることによって固定している。連結スリーブ41内には、連結スリーブ41に挿入された連結ヘッド42をロックする弾性係止爪40が設けられている。弾性係止爪40には、金属製のバネ部材または、射出成型されたプラスチック製の弾性部材を使用する。ロックスリーブ43は、上下にスライド可能かつ位置制限可能に、連結スリーブ41に外嵌し、ロックスリーブ43の内壁が弾性係止爪40を押圧するか否かによって、連結スリーブ41と連結ヘッド42とのロックまたはロック解除を行うことができる。
【0036】
具体的な構造は、以下のとおりである。連結スリーブ41の上部分は、小径の円筒形連結部411であり、円筒形連結部411は、上シャフト部の下開口と寸法が適合することにより、上シャフト部の下開口内に差し込まれて固定されている。連結スリーブ41の中間部分は、上シャフト部の下開口の外側と当接し合う段差部414を有しており、通常、環形の段差部を使用している。連結スリーブ41の下部分の左右両側には、弾性係止爪40を収容するU字形の取り付けベース412が、対称に突起している。取り付けベース412内には、連結スリーブ41を貫通する係止口413が形成されている。弾性係止爪40には、略V字形または略U字形の本体断面を有するバネ部材または弾性部材を使用することができるが、もちろん、これらの形状に限定されるものではない。弾性係止爪40の一端の端部は、湾曲して折り返されることにより固定端401となり、他端も湾曲して折り返されることにより、可動係止端402となる。ここで、固定端401側の長さは比較的長く、可動係止端402の長さは比較的短い。弾性係止爪40は、左右対称に2つ設けられており、弾性係止爪40の固定端401は、U字形の取り付けベース412の係止爪位置決め溝内に嵌設される。他端の可動係止端402は、係止口413の位置に置かれ、ロックスリーブ43に押圧されることにより、内側に撓って係止口413に入り、連結スリーブ41内に差し込まれた連結ヘッド42と当接し合うことができる。連結ヘッド42の外壁には、弾性係止爪40と係合する環形係合溝420が環方向に凹設されている。上シャフト部には、連結スリーブ41の上部に対応する位置に、固定リング44が外嵌している。固定リング44は、接着剤で上シャフト部に接着固定されてもよいし、これに限定されず、上シャフト部の表面に点状の固定孔を打ち抜いて、この固定孔と固定リング44の凸点とを係合させることによって、固定リング44を固定するものであってもよい。固定リング44の外径は、連結スリーブ41の中間部分の取り付けベース412の外径よりも大きい。ロックスリーブ43は、固定リング44および連結スリーブ41に外嵌することができ、位置制限可能に上下にスライドすることができる。ロックスリーブ43の下部分の内壁は弾性係止爪40と当接し合う。ロックスリーブ43内には、固定リング44および取り付けベース412と係合し、且つ上部分の直径が大きく下部分の直径が小さい階段状孔434が成型されている。固定リング44とロックスリーブ43の階段状孔の段差面との間には、圧縮バネ45が支持されている。通常、圧縮バネ45は、上シャフト部に外嵌している。圧縮バネ45は、ロックスリーブ43が弾性係止爪40を内側に押圧して、弾性係止爪40を連結ヘッド42の環形係合溝420にロック係合させるように、ロックスリーブ43を終始下方向に付勢する。ロックスリーブ43の下部分の外周の両側は、操作する人が指で押しやすいように、くぼみ構造432になっており、ロックスリーブ43の下部分の内壁には、取り付けベース412と係合するU字形のガイド溝433が成型されている。U字形のガイド溝433の内側には、押圧により弾性係止爪40と係合する内向きに傾斜した傾斜面431が成型されている。ロックスリーブ43を押し上げた時、ロックスリーブ43の弾性係止爪40に対する押圧が解除され、弾性係止爪40の可動係止端402が係止口413から外に飛び出して連結ヘッド42から離れることにより、ロックが解除される。手を緩めた時に、ロックスリーブ43が圧縮バネの作用により、元の位置に戻り、圧縮バネ45が取り付けベース412の側壁に当接して位置制限される。
【0037】
連結ヘッド42は、固定ブシュ422と挿入ヘッド421とを含む。固定ブシュ422は、下シャフト部の上開口と寸法が適合することにより、下シャフト部の上開口内に差し込まれている。また、固定ブシュ422は、その上端に下シャフト部の上開口の外側と当接し合う環形のフランジ423を有する。挿入ヘッド421は、円柱形の上部分と、大径の円柱形の下部分と、円錐台状のブリッジ部を有する中間部分の3つの部分に分かれている。挿入ヘッド421の下部分は、固定ブシュ422内に差し込まれて固定されている。環形係合溝420は、挿入ヘッド421の下部分の上部に環方向に形成されている。フランジ423の直径は、ロックスリーブ43の内径より大きいため、連結スリーブ41が連結ヘッド42に挿入連結されて位置決めされると、ロックスリーブ43はフランジ423と当接し合う。固定ブシュ422の内壁の、フランジ423に対応する位置には、位置決め凸環424が成型されており、挿入ヘッド421の外壁には、位置決め凸環424に対応する位置決め凹溝425が成型されている。挿入ヘッド421の下部分が固定ブシュ422内に挿入されて、環形の位置決め凹溝425と位置決め凸環424とが係合して位置決めされることにより、挿入ヘッド421の下端と固定ブシュ422の下端とが基本的に同一面となる。連結スリーブ41の上部分の内壁には、インナースリーブ46が固定嵌合されており、インナースリーブ46には、挿入ヘッド421の上部分および中間部分と互いに係合する円錐台形孔が形成されている。インナースリーブ46を設けるのは、連結の強度と安定性を高めるためであり、インナースリーブ46は、通常、例えばアルミニウム材のような金属を使って作られている。
【0038】
杖を使わない時は、ロックスリーブ43を押し上げればよい。この時、ロックスリーブ43の弾性係止爪40に対するロックが解除され、弾性係止爪40の可動係止端402が外へ飛び出し、環形係合溝420から外れる。2本のシャフト部を引っ張ると、連結ヘッド42を連結スリーブ41から抜くことができ、
図2に示すように、各シャフト部を折り畳んで、携帯および収納がしやすいようにすることができる。杖を使用する必要がある時は、連結ヘッド42を連結スリーブ41に合わせて挿入するだけで、弾性係止爪40を係止口413から環形係合溝420内に係入させることができ、圧縮バネ45の作用によって、ロックスリーブ43が弾性係止爪40を押圧して、弾性係止爪40の可動係止端402を環形係合溝420に当接させる。これにより、連結スリーブ41と連結ヘッド42とのロックを行うことができる。よって、2つのシャフト部を連結固定することができ、
図1に示すように、シャフト体1を広げるとすぐに使用することができる。
【0039】
図8~9に示すのは、本実施例の最も上のシャフト部11に、伸縮シャフト構造を使用したものである。つまり、最も上のシャフト部11に長さを調節可能な伸縮パイプを使用したものである。伸縮パイプの上パイプと下パイプとの間には、伸縮ロック機構10が設けられ、高さが調節されたパイプをロックするが、これは通常の設計である。伸縮パイプが使用されたことに対応して、弾性ロープ5の上端は、パイプ栓によって最も上のシャフト部11の下パイプの上開口に固定される。その他は、実施例1で述べた非伸縮シャフトを用いたロック機構4と同一であるので、ここでは紙面を節約するため、詳述しない。
【0040】
<実施例2>
図10~13に示すように、実施例2と実施例1とでは、連結スリーブ41と上シャフト部との連結固定構造が主に異なる。実施例1の連結スリーブ41は、連結スリーブ41自身が直接上シャフト部の下開口内に固定されていた。しかし、本実施例2では、連結スリーブ41は、他の部材を介して上シャフト部の下開口内に固定されている。連結スリーブ41の上部分には、階段状孔が形成されており、連結スリーブ41の上部分は、小径の円筒形連結部411に嵌合連結して固定されている。円筒形連結部411には、ライニング管継手41aを使用する。ライニング管継手41aは、上シャフト部の下開口に挿入連結され、上シャフト部の下開口の位置内に係止して固定される。ライニング管継手41aにはさらに、固定リング44が嵌合している。固定リング44の外径は、上シャフト部の外径より大きく、固定リング44の内径は、上シャフト部の管径よりも小さいので、固定リング44は、上シャフト部の開口の縁を覆うことができる。このようにして、連結スリーブ41を間接的に上シャフト部の下開口に固定することで、固定リング44を取り付けやすく、連結スリーブのライニング用の金属部材が不要になる。連結ヘッド42は、直接ライニング管継手41aと係合するので、連結スリーブのインナースリーブのような嵌め込み部材の生産を省くことができ、連結ヘッドの外形の加工が簡単になる。連結ヘッドとライニング管継手とが係合することによって、製品の強度がさらに良好になる。また、ロックスリーブ43の下部分の内壁には、複数の弾性係止歯435が成型されており、それに対応するように、連結スリーブ41の下端には、弾性係止歯435と係合する円弧部係止縁415が分布していて、これによって位置制限をする。通常、円弧部係止縁415は、取り付けベース412の側壁間に分布している。このように、ロックスリーブ43が連結スリーブ41上をスライドした後、弾性係止歯435と円弧部係止縁415とが当接し合って、ロックスリーブに対し位置制限をする。よって、圧縮バネ45が、ロックスリーブを下方向に付勢し続けても、ロックスリーブが連結スリーブ41から外れることはない。もちろん、この位置制限構造は、実施例1に使用してもよい。その他は、実施例1と類似または一致する。
【0041】
<実施例3>
図14~23に示すように、折り畳み杖は、折り畳み可能なシャフト体1を含み、シャフト体1の第1シャフト部11の上端には、グリップ部2が設けられている。シャフト体1は通常、2~6つのシャフト部がロック機構4およびロープ(通常は、弾性ロープ5を使用する)によって連結され、折り畳み可能に構成される。第1シャフト部11、すなわちシャフト体の最も上のシャフト部の上端には、グリップ部2が取り付けられており、シャフト体1内には、複数のシャフト部を連結するための弾性ロープ5が通されている。シャフト体1の折り畳み構造は、既存の折り畳み杖と類似しているため、ここでは、シャフト体1の構造について詳しく説明しない。ロック機構4については、実施例1の部分または実施例2の部分を参照されたい。
【0042】
本実施例において、第1シャフト部11の、グリップ部2の下端との連結箇所に近い部分には、弾性バンド7と組み合わせられて、折り畳んだシャフト体1を固定するための係止部材6が嵌合している。係止部材6は、第1シャフト部11の、グリップ部2の下端との連結箇所に近い部分に嵌合しているが、もちろん第1シャフト部11の他の位置に嵌合していてもよく、例えば、ロックリング8と繋がっていてもよいし、あるいは、グリップ部2に嵌合し、グリップ部2を上下の2つの把持位置に分けてもよい。係止部材6は、内リング61と外リング62とを含み、
図18に示すように、内リング61は、第1シャフト部11に固定嵌合し、外リング62はC字形であり、外リング62の開口両端に、内に凹のアーチ形の係止溝63が成型されている。本実施例の弾性バンド7には、例えば、
図21に示すように、輪ゴム等のような、弾性紐をつなぐことで輪を形成するものを使用している。弾性バンド7の一端には、手で扱いやすいように、つまみ71が設けられており、弾性バンド7の一端は、係止部材6の一方の係止溝63内に係止され、他端は、折り畳んだシャフト体1に巻き付けられた後、係止部材6の他方の係止溝63と係止される。このようにすると、シャフト体1を折り畳んだ後に、弾性バンド7と係止部材6とが係合することによって、シャフト体1を固定することができるので、シャフト体1がバラバラになることを防ぐことができる。杖の高さを調節できるように、通常、第1シャフト部には、伸縮式のパイプが使用されている。伸縮パイプの上パイプと下パイプとの間には、伸縮ロック機構10が設けられ、高さが調節されたパイプをロックする。通常、伸縮ロック機構10は、ロックリング8を有する。ロックリング8は、伸縮ロック機構10の継手に設けられ、ロックリング8の、係止部材6に対応する係止側に、折り畳んだシャフト部と当接し合って位置決めをする位置決め凹面が成型されている。
【0043】
杖を使わない時は、まず、
図15のように、各シャフト部を折り畳んで、弾性バンド7の一端を係止部材6の一方の係止溝63と係止させ、弾性バンド7を折り畳んだシャフト体1に巻き付けた後、他端を係止部材6の他方の係止溝63と係止させる。このようにして、シャフト体1を折り畳んだ後、弾性バンド7と係止部材6とを係合させることによって、すぐにシャフト体1を固定することができ、携帯や収納がしやすくなる。杖を使う必要がある時は、弾性バンド7のつまみ71を持って、弾性バンド7の一端を係止部材6から外すだけで、シャフト体1と係止部材6とを分解することができるので、
図17に示すように、シャフト体1を広げて、ロック機構4により位置決めをすれば、すぐに使うことができる。
【0044】
もちろん、係止部材6とグリップ部2は一体構造であってもよく、射出成型によって一体に作られていてもよい。その他は、上述の実施例3の説明と類似する。
【0045】
図22に示すように、弾性バンド7に、両端に係止輪がついた弾性紐を使用してもよい。その他は、上述の実施例3の説明と類似する。
【0046】
図23に示すように、弾性バンド7の一端を、例えば直接係止部材6と一体に作ったり、あるいは釘で固定したりすることによって、直接係止部材6の一端に固定して繋げてもよく、弾性バンド7には、一端に係止輪がついた弾性紐を使用してもよい。その他は上述の実施例3の説明と類似する。
【0047】
本実施例は、折り畳みシャフトのロック機構、およびそれに関連する折り畳み杖の最適な実施形態を開示するものであって、本発明の保護範囲を限定するものと理解されるべきではない。同等または類似の技術的手段により代替し実現できるものはすべて、本発明の保護範囲に含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【文献】中国実用新案登録第200720058870号