(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ポリメラーゼ連鎖反応用サンプルチューブ及びそのポリメラーゼ連鎖反応デバイス
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220318BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20220318BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20220318BHJP
B01L 3/14 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
C12M1/00 A
G01N35/02 A
G01N21/03 Z
B01L3/14
(21)【出願番号】P 2020166740
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2020-10-01
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516067494
【氏名又は名称】クレド ダイアグノスティックス バイオメディカル プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 盈達
(72)【発明者】
【氏名】歐 育誠
(72)【発明者】
【氏名】廖 峻毅
(72)【発明者】
【氏名】陳 依希
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0097336(KR,A)
【文献】実開昭60-154858(JP,U)
【文献】国際公開第2016/006362(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/051804(WO,A1)
【文献】特表2007-521485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 3/00-3/18
C12M 1/00-3/10
C12Q 1/686
G01N 35/00-37/00
G01N 33/48
G01N 21/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のサンプルチューブであって、
環状側壁と、前記環状側壁に接続された底壁とを有するサンプルチューブ本体であって、ここで、前記環状側壁と前記底壁とが反応混合物を収容するための収容空間を形成する、サンプルチューブ本体;
前記底壁から前記収容空間に延在する第1の延長部材であって、ここで、光源の光ビームが、前記サンプルチューブの底部及び前記底壁並びに前記第1の延長部材を介して前記反応混合物に順次進入するように、前記反応混合物はPCR中に前記第1の延長部材を浸す、第1の延長部材;
かつ、
前記収容空間を密閉するためのカバーと、前記カバーから延在する第2の延長部材とを含むサンプルチューブキャップであって、ここで、前記サンプルチューブキャップは、前記第2の延長部材が前記第1の延長部材に面するように配置されるように、前記サンプルチューブ本体に挿入され、かつ、前記反応混合物は、前記第1の延長部材と前記第2の延長部材との間に存在する、サンプルチューブキャップ;
を含む、サンプルチューブ。
【請求項2】
第2の延長部材は、不透明な材料で作られている、請求項
1に記載のサンプルチューブ。
【請求項3】
第1の延長部材は第1の上面を備え、かつ第2の延長部材は第2の上面を備え、前記第1の上面と前記第2の上面との間に距離があり、
かつ反応混合物の液面の位置は、前記第2の上面の高さよりも高い、請求項2に記載のサンプルチューブ。
【請求項4】
第2の上面の特性は不透明である、請求項
3に記載のサンプルチューブ。
【請求項5】
第2の延長部材は、透明な材料で作られている、請求項
1に記載のサンプルチューブ。
【請求項6】
第2の延長部材には、第2の上面と接触する側壁があり、かつ前記側壁は、環状側壁に面するように配置される、請求項
3に記載のサンプルチューブ。
【請求項7】
側壁は、環状側壁と平行に配置される、請求項
6に記載のサンプルチューブ。
【請求項8】
第1の延長部材及び第2の延長部材の形状は各々、円筒、台形円筒、長方形円筒及び立方体円筒の群のうちの1つである、請求項
3に記載のサンプルチューブ。
【請求項9】
第2の延長部材はネックとショルダーを含み、前記ネックはカバーと前記ショルダーとの間に位置し、かつ各々前記カバー及び前記ショルダーに接続され、かつ前記ショルダーは第1の延長部材に面するように配置される、請求項
1に記載のサンプルチューブ。
【請求項10】
サンプルチューブキャップには、サンプルチューブ本体を密封した後、ショルダーと環状側壁との間にギャップがあり、かつ前記ショルダーが挿入されて反応混合物と接触している間に、前記反応混合物の一部は前記ギャップを通過し、カバー、ネック、前記ショルダー、及び前記環状側壁によって囲まれた空間に進入する、請求項
9に記載のサンプルチューブ。
【請求項11】
第1の延長部材は透明な材料で作られている、請求項1に記載のサンプルチューブ。
【請求項12】
底壁が集光レンズとして機能する、請求項1に記載のサンプルチューブ。
【請求項13】
底壁及び第1の延長部材は一体的に形成され、かつ前記底壁及び前記第1の延長部材の組み合わせは、光ビームを収束させることができる、請求項1に記載のサンプルチューブ。
【請求項14】
第1の延長部材は導光部材である、請求項1に記載のサンプルチューブ。
【請求項15】
サンプルチューブキャップ及びサンプルチューブ本体が一体的に形成される、請求項
1に記載のサンプルチューブ。
【請求項16】
サンプルチューブであって、
反応混合物を収容するための収容空間を有するサンプルチューブ本体;
前記サンプルチューブ本体の底部から前記収容空間まで延在する第1の延長部材であって、ここで、光源の光ビームは、前記底部及び前記第1の延長部材を介して前記反応混合物に順次進入する、第1の延長部材;
かつ、
前記収容空間を密閉するためのカバーと、前記カバーから延在する第2の延長部材とを含むサンプルチューブキャップをさらに含む、請求項17に記載のサンプルチューブであって、ここで、前記サンプルチューブキャップが前記サンプルチューブ本体を密封する場合、前記第2の延長部材が前記第1の延長部材に面するように配置される;
を含む、サンプルチューブ。
【請求項17】
第2の延長部材は、不透明な材料で作られている、請求項1
6に記載のサンプルチューブ。
【請求項18】
第2の延長部材は透明な材料で作られ、かつ前記第2の延長部材の第2の上面の特性は不透明である、請求項1
6に記載のサンプルチューブ。
【請求項19】
第2の延長部材がサンプルチューブ本体に挿入されると、反応混合物は、前記サンプルチューブの側面から見て、前記サンプルチューブ内でH字形に分配される、請求項1
6に記載のサンプルチューブ。
【請求項20】
第1の延長部材及び第2の延長部材の形状は各々、円筒、台形円筒、長方形円筒及び立方体円筒からなる群から選択される1つである、請求項1
6に記載のサンプルチューブ。
【請求項21】
第2の延長部材はネック及びショルダーを含み、かつ前記ネックがカバーと前記ショルダーとの間に配置され、各々前記カバー及び前記ショルダーに接続される、請求項1
6に記載のサンプルチューブ。
【請求項22】
ショルダーと収容空間との間にギャップがあり、かつ反応混合物の一部が前記ギャップを通過し、かつカバー、ネック、前記ショルダー、及び環状側壁に囲まれた空間に存在する、請求項2
1に記載のサンプルチューブ。
【請求項23】
前記第1の延長部材が、集光レンズ又は光ガイドシリンダである、請求項1
6に記載のサンプルチューブ。
【請求項24】
反応混合物の液面は、収容空間内の第2の延長部材の第2の上面と接触している、請求項1
6に記載のサンプルチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のサンプルチューブ及びそのPCRデバイスに関し、より詳細には、加熱領域を増大させ、気泡の形成を回避し、試薬量を調整し、且つ励起ビームを導くことができるPCR用のサンプルチューブ及びそのPCRデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術の説明
DNA増幅であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、分子生物学における重要な技術である。典型的には、PCRは20~35サイクルで行われ、そのそれぞれに次の3つのステップ:
(1)変性: 二本鎖DNAを高温(94-96℃)で分離すること;
(2)アニーリング: 二本鎖DNA分離後、各プライマーが一本鎖DNAに結合できるように温度を下げること(68℃);
(3) 伸長: 72℃に加熱した後、DNAポリメラーゼは、プライマーが結合したDNA鎖に沿って相補鎖を合成し始めること;
が含まれる。リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)は、DNA増幅が実行された後、サンプル分析対象容器でDNA増幅と定量分析を同時に実行することを目的としている。DNA増幅後の定量分析は、励起された検体の蛍光信号を複数の異なる光路に分離し、分析のために複数のバンドパスフィルターを介して異なる周波数帯域の複数の信号をフィルタリングするために実行される。
【0003】
従来のPCRサンプルチューブは、単一のサンプルチューブ又はサンプルチューブのストリップであり、サンプルチューブの開口部は、サンプルチューブカバー又はサンプルチューブカバーのストリップで密閉されている(且つ、両方のサンプルチューブカバーはサンプルチューブの本体から分離されている)。従来のPCRサンプルチューブの収容空間に反応混合物を入れ、反応混合物の表面とサンプルチューブカバーとの間に空気がある。従来のPCRサンプルチューブ内の反応混合物と空気との間の接触面積が大きいため、PCR反応デバイスのウェルで数十回の加熱及び冷却サイクルの後、反応混合物は高温で乱れやすく、したがって気泡が生成され、それによって光学ノイズを引き起こし、PCRの効率に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、従来のPCRサンプルチューブの構造を改善する必要がある。
【0005】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、加熱領域を増加させ、気泡の形成を回避し、試薬容量を調整し、励起ビームを導くことができる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のサンプルチューブ及びそのPCRデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのサンプルチューブを開示する。当該サンプルチューブは、
環状側壁と、前記環状側壁に接続された底壁とを有するサンプルチューブ本体であって、ここで、前記環状側壁と前記底壁は、反応混合物を収容するための収容空間を形成する、サンプルチューブ本体と、
前記底壁から前記収容空間まで延在する第1の延長部材であって、ここで、前記反応混合物は、PCRの間に前記第1の延長部材を浸し、それにより、光源の光ビームは、当該サンプルチューブの前記底部及び前記底壁ならびに前記第1の延長部材を介して前記反応混合物に順次進入する、第1の延長部材と、
を包含する。
【0007】
本発明はさらに、サンプルチューブを開示する。当該サンプルチューブは、
反応混合物を収容するための収容空間を有するサンプルチューブ本体と、
前記サンプルチューブ本体の底部から前記収容空間まで延在する第1の延長部材であって、ここで、光源の光ビームは、前記底部及び前記第1の延長部材を順次介して前記反応混合物に進入する、第1の延長部材と、
を包含する。
【0008】
本発明はさらに、ポリメラーゼ連鎖反応デバイスを開示する。当該ポリメラーゼ連鎖反応デバイスは、上記のサンプルチューブを包含する。
【0009】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者には疑いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるサンプルチューブの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態によるサンプルチューブの概略構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による
図1に示されるサンプルチューブに励起ビームを当てる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
図1を参照されたい。
図1は、本発明の実施形態によるサンプルチューブ1の概略構造図である。
図1に示すように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用のサンプルチューブ1は、サンプルチューブ本体2及び延長部材10を包含する。前記サンプルチューブ本体2は、環状側壁3と、前記環状側壁3に接続された底壁4とを有する。前記環状側壁3及び前記底壁4は、反応混合物12を収容するための収容空間5を形成する。前記延長部材10は、前記底壁4から前記収容空間5まで延在する。光源の光ビーム(例えば、但しこれに限定されないが、励起ビーム)は、前記サンプルチューブ1の前記底部及び前記底壁4ならびに前記延長部材10を順次経由して前記反応混合物12に進入するように、PCR中に、前記反応混合物12は、前記延長部材10を浸す。
【0012】
この構成では、前記延長部材10が前記サンプルチューブ本体2の底部から収容空間5まで延在しているため、前記サンプルチューブ1の底部の中央部が高くなり、これにより、前記サンプルチューブ1の前記環状側壁3と前記反応混合物12との間の接触面積が増大し、前記反応混合物12の体積に対する前記サンプルチューブ1の加熱面積の比が増大する。結果として、本発明では、前記環状側壁3と前記反応混合物12との間の接触面積は、前記延長部材10のために増加し、及びしたがって、各PCRサイクルの変性、アニーリング、伸長ステップ中の加熱/冷却速度を増加させて、PCRの反応時間をさらに短縮し、それにより加熱及び熱放散効率を実質的に増加させる。
【0013】
一方、サンプルチューブ1は、サンプルチューブキャップ6をさらに包含する。前記サンプルチューブキャップ6は、前記収容空間5を密閉するためのカバー7と、前記カバー7から延在する延長部材8とを包含する。前記延長部材8が前記延長部材10に面するように配置され、前記反応混合物12が前記延長部材8と10との間に存在するように、前記サンプルチューブキャップ6が前記サンプルチューブ本体2に挿入される。詳細には、前記延長部材10は上面11を有し、且つ前記延長部材8は上面9を有する。前記上面11と前記上面9との間に距離Dの範囲があり、その結果、その間に(in between)前記反応混合物12があり、且つ前記反応混合物12の液面が前記上面9の位置よりも高いか、又は前記反応混合物12の液面が前記上面9とちょうど接触している。前記延長部材8は、前記上面9と接触する側壁13を有し、前記側壁13は、前記環状側壁3に面するように配置される。光源の光ビームは、前記延長部材8を通過することなく、前記サンプルチューブ1の底部及び底壁4ならびに前記延長部材10を介して前記反応混合物12に順次進入するようにするため、前記延長部材8は不透明な材料で作られてもよく、又は前記延長部材8は透明な材料で作られ、且つ前記上面9は不透明な特性を有することに留意されたい。加えて、前記側壁13及び前記環状側壁3は、使いやすさのために平行に配置されることが好ましい(例えば、前記カバー7及び前記延長部材8を有する前記サンプルチューブキャップ6が前記サンプルチューブ本体2に挿入されると便利である)が、前記側壁13と前記環状側壁3は、他の方法によって互いに向き合うように配置することもできる。サンプルチューブキャップ6及びサンプルチューブ本体2は、一体的に形成され得るか、又は2つの独立したコンポーネントであり得る。一体形成する場合、前記サンプルチューブキャップ6と前記サンプルチューブ本体2とは、従来の連結コンポーネント(プラスチックストリップなど;
図1には図示せず)により接続され、且つサンプルチューブ1は、プラスチック射出などの手順で製造される。2つの独立したコンポーネントである場合、前記サンプルチューブキャップ6は、らせん、プラグ、及びバックルなどの従来の方法を介して前記サンプルチューブ本体2に挿入される。
【0014】
この構造では、前記延長部材10が前記サンプルチューブ本体2の底部から前記収容空間5まで延在するため、前記延長部材8は前記カバー7から延在しており、前記延長部材8と10との間に反応混合物12が存在し、そして、前記延長部材8の側壁13は、前記サンプルチューブキャップ6が前記サンプルチューブ本体2に挿入されたときに前記環状側壁3に面するように配置されている。したがって、前記延長部材8が前記サンプルチューブ本体2に挿入されると、前記反応混合物12は、前記サンプルチューブ1の側面から見て、前記サンプルチューブ1内にH字状に分配され、これにより、前記反応混合物12と前記サンプル管1内の空気との間の接触面積が減少する。その結果、本発明では、前記カバー7は、前記サンプルチューブ1の前記環状側壁3と前記反応混合物12との間の接触面積を増加させるため、及びPCRの加熱プロセス中の、光信号を妨害し、且つPCRの効率に影響を与える、気泡形成を回避するように、前記反応混合物12と前記サンプルチューブ1内の空気との間の接触面積を減らすためにその上に前記延長部材8(すなわちプラグ)を構成することによって拡大される。
【0015】
本発明の主な精神は、加熱と放熱効率を改善し、及び反応時間を短縮するように、前記サンプルチューブ本体2と前記反応混合物12との間の接触面積を増大させるため、前記延長部材10を用いて前記サンプルチューブ本体2の底部を延長することであることに注目する価値がある。そのほか、本発明は、気泡形成を回避するために、前記延長部材8(すなわちプラグ)を使用して前記カバー7を長くすることにより、前記反応混合物12と前記サンプルチューブ1内の空気との間の接触面積を減少させることができる。当業者はそれに応じて修正又は変更を行うことができ、それらに限定されない。例えば、サンプルチューブ1は、いずれのPCRデバイスに使用され、繰り返し加熱及び冷却されるが、他の反応にも使用されてもよい。例えば、前記サンプルチューブ1を加温用のヒーターや恒温反応用のウォーターバスに入れてもよい。さらに、
図1に示す前記延長部材10は、前記反応混合物12と前記サンプルチューブ1の前記環状側壁3との間の接触面積を最大にするため、前記サンプルチューブ1の底部の中心の厚さを増加させる。他の実施形態では、接触面積を増大させるために、前記サンプルチューブ1の底部の他の領域を厚くするか、又は前記底部に複数の延長部材を配置することができる。加えて、上記実施形態では、前記延長部材10及び前記延長部材8の形状は、それぞれ、円柱、台形円柱、角柱又は立方体である。他の実施形態では、前記延長部材10及び前記延長部材8の形状は、実際の要件に応じて他の形状であってもよく、所望の機能が達成できる限り限定されない。
【0016】
例えば、本発明の実施形態によるサンプルチューブ1’の概略構造図である
図2を参照されたい。
図2に示すように、サンプルチューブ1’とサンプルチューブ1とは実質的に同様であり、及びしたがって、同様の機能及び構造を有する要素は同じ記号で示されている。前記サンプルチューブ1’と前記サンプルチューブ1との間の主な違いは、
図1に示される円筒形の延長部材8と比較して、前記サンプルチューブ1’の延長部材8’は、ネック8a及びショルダー8bを包含することである。前記ネック8aは、前記カバー7と前記ショルダー8bとの間に位置し、前記カバー7及び前記ショルダー8bにそれぞれ接続される。さらに、前記ショルダー8bは前記延長部材10に面するように配置される。この場合、前記サンプルチューブキャップ6が前記サンプルチューブ本体2を密封した後、前記ショルダー8bと前記環状側壁3との間にギャップdがある。そして前記ショルダー8bが挿入されて前記反応混合物12と接触すると、前記反応混合物12の一部がギャップdを通過し、前記カバー7、前記ネック8A、前記ショルダー8b及び前記環状側壁3によって囲まれた空間15に進入する。
【0017】
具体的には、前記カバー7から延在する前記延長部材8’(すなわちプラグ)の前記ネック8aの長さ及び前記ショルダー8bの幅は、適切に設計することができ、その結果、前記サンプルチューブキャップ6の前記サンプルチューブ本体2への封着プロセスでは、前記ショルダー8bと前記環状側壁3とのギャップdが次第に狭まりゼロに近づき、封着後、前記サンプルチューブ本体2はほぼ閉じられる。言い換えると、サンプルチューブカバー2をサンプルチューブ本体2に封止するプロセスの間、ギャップdを徐々に狭めるために、ガス(すなわち、通気用)及び過剰な反応混合物12は、ほとんど反応が起こらず、且つ信号が検出されない空間15に移送される。結果として、前記延長部材8’の適切な構造設計を介して、本発明は、反応効率と温度制御条件の一貫性を同時に改善するため、及び空気への露出によって引き起こされる反応と光信号の妨害を減らすため、PCRの温度サイクルのために反応混合物12の容量を適応的に制御することができる。
【0018】
加えて、引き続き
図1を参照されたい。
図1に示される延長部材10は透明な材料で作られてもよく、且つ底壁4は集光レンズとして機能する。あるいは、底壁4と延長部材10は一体に形成され、底壁4と延長部材10との組み合わせは光ビームを収束させることができる。さもなければ、延長部材10は、集光レンズや光ガイドシリンダなどの導光部材である。この場合、底壁4、延長部材10又はそれらの組み合わせは、光源の光ビーム(励起ビーム)を集束又は誘導するので、光源の光ビームはより集束され、且つ光学ノイズを低減することができる。例えば、本発明の一実施形態による
図1のサンプルチューブ1に励起ビームを適用する概略図である
図3を参照されたい。
図3に示すように、底壁4と延長部材10との組み合わせは、光源(図示せず)の光ビームLを収束又は誘導することができ、その結果、反応混合物12中の光ビームLの光路が短くなり、光ビームLもより集束され、測定に必要な光信号は、反応混合物12の乱れの影響を受けにくくなる。それにより、光学ノイズを低減する。すなわち、光源の光ビームLが、サンプルチューブ1の底部及び底壁4ならびに延長部材10を順次経由して反応混合物12に進入する場合、本発明は、反応混合物12の乱れによって引き起こされる光路内の光学ノイズを効果的に低減することができる。
【0019】
要約すると、本発明は、加熱及び熱放散の効率を高め、且つ反応時間を減らすように、環状側壁3と反応混合物12との間の接触面積を増やすため、延長部材10を使用してサンプルチューブ本体2の底部を伸長させる。そのほかには、延長部材8(すなわちプラグ)を使用してカバー7を長くすることにより、本発明は、気泡の形成を避けるため、反応混合物12と空気との間の接触面積を減らすことができる。加えて、本発明は、延長部材8’の適切な構造設計を介して、反応のための反応混合物12の体積を制御し、且つ空気への曝露を低減することができる。さらに、底壁4、延長部材10又はそれらの組み合わせは、光源の光ビーム(励起ビーム)を収束又は誘導し、したがって、本発明は、反応混合物12の乱れによって引き起こされる光路内の光学ノイズを低減することができる。
【0020】
底壁4、延長部材10又はそれらの組み合わせは、光源の光ビーム(励起ビーム)を収束又は誘導するので、本発明は、光路の乱れによって引き起こされる光路内の光ノイズを低減することができる。反応混合物12。
【0021】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、デバイス及び方法の多くの修正及び変更を行うことができることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0022】
1 サンプルチューブ1
2 サンプルチューブ本体
3 環状側壁
4 底壁
5 収容空間
6 サンプルチューブキャップ
7 カバー
8 延長部材
9 上面
10 延長部材
11 上面
12 反応混合物
13 側壁
D 距離