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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】凝縮水収集器を備える区画室
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20220318BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
F25D21/14 W
F25D21/14 S
G01N35/00 B
G01N35/00 C
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020184344
(22)【出願日】2020-11-04
(62)【分割の表示】P 2016185441の分割
【原出願日】2016-09-23
(65)【公開番号】P2021047002
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】15186705.8
(32)【優先日】2015-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン マーティー
(72)【発明者】
【氏名】ビート ルネ ヴィドマー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス イェツィオルスキー
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-100471(JP,U)
【文献】特開2010-276555(JP,A)
【文献】特開2015-064220(JP,A)
【文献】特開2005-331135(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155674(WO,A1)
【文献】特開平09-215906(JP,A)
【文献】特開2013-190245(JP,A)
【文献】特開2008-209376(JP,A)
【文献】特開2015-064222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/14
G01N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮水が生じやすい少なくとも1つのターゲットエリアを含む、試料保管区画室、試薬保管区画室、試薬マニピュレータ区画室、試料マニピュレータ区画室、および品質管理区画室のうちの1つまたは複数である区画室(1)であって、前記区画室(1)が、
少なくとも1つの凝縮水収集器(5)と、
凝縮水除去器(4、7;53)と
を備え、
前記凝縮水収集器(5)は、前記少なくとも1つのターゲットエリアから凝縮水を収集するように配置される少なくとも第1の部分(10)、および少なくとも第2の部分(11)を備え、
前記凝縮水収集器(5)は、前記第1の部分(10)と前記第2の部分(11)との間に配置され、収集された前記凝縮水を搬送するように構成される多孔質材料を備え、
前記凝縮水除去器(4、7;53)は、凝縮水を前記第2の部分(11)から除去するように構成され、それによって、前記多孔質材料を介した、前記第1の部分(10)から前記第2の部分(11)への凝縮水の搬送を促進し、
前記第1の部分(10)は、前記区画室(1)の内部に配置され、前記凝縮水収集器(5)は、前記凝縮水収集器(5)の前記第2の部分(11)を前記区画室(1)の外部に配置するために、前記区画室(1)の壁を通過して延在し、
前記区画室(1)が、ペルチェ素子(16)を備え、前記ペルチェ素子(16)の高温の表面が、前記凝縮水除去器と協働して、前記多孔質材料によって収集された凝縮水の、前記凝縮水収集器からの蒸発を促進するために、前記第2の部分を加熱するように構成され、前記ペルチェ素子(16)の低温の表面が、前記区画室(1)の内部を冷却するように構成され
前記ターゲットエリアが、前記区画室の開口部(6)であり、前記第1の部分(10)が、前記開口部(6)内に配置され、
前記開口部(6)が、器具を前記区画室(1)内に挿入するように構成される、区画室。
【請求項2】
前記凝縮水除去器(4、7)が、前記多孔質材料によって収集された凝縮水の、前記凝縮水収集器(5)からの蒸発を促進するために、前記第2の部分(11)上に気体(12)の流れを発生させるように構成されるファン(7)を備える、請求項1記載の区画室。
【請求項3】
前記凝縮水除去器が、前記多孔質材料によって収集された凝縮水の、前記凝縮水収集器からの蒸発を促進するために、前記第2の部分を加熱するように構成される加熱器を備える、請求項1または2記載の区画室。
【請求項4】
前記器具が、ピペットを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項5】
前記区画室が、ターゲットエリアとして複数の開口部(6)を含み、単一の凝縮水収集器(5)が、前記複数の開口部(6)のそれぞれで凝縮水を収集するために、前記複数の開口部(6)内に配置される複数の第1の部分(10)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項6】
前記凝縮水収集器(5)が、前記区画室(1)の壁の一体部分である、請求項1~のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項7】
前記ターゲットエリアが、前記区画室内に1つまたは複数の開口部(6)を含み、前記区画室(1)が、前記区画室(1)の内部から前記1つまたは複数の開口部(6)を通る気体の流れを発生させるために、加圧されるように構成される、請求項1~のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項8】
前記多孔質材料が親水性である、請求項1~のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項9】
前記多孔質材料が、親水性コーティングを含む、請求項記載の区画室。
【請求項10】
凝縮水が収集される前記凝縮水収集器(5)の表面が、孔が開口した表面である、請求項1~のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項11】
前記区画室が、前記凝縮水収集器(5)から除去された水を凝縮するための、少なくとも1つの凝縮化区域(4;53)をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項12】
前記少なくとも1つの凝縮水収集器(5)および前記凝縮水除去器(4、7;53)が、前記区画室(1)内部の凝縮水の滴の発生を防止するように構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項13】
前記区画室(1)が、熱隔離されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項14】
前記区画室(1)が、冷却されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の区画室。
【請求項15】
前記多孔質材料が、1μmと100μmとの間の平均孔径を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の区画室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、凝縮水収集器を含む区画室に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の既知の分析システムの区画室、たとえば、試薬容器区画室または試料容器区画室において、凝縮水の発生は問題となり得る。たとえば、容器から材料をサンプリングするために、区画室の内部の容器にアクセスするため、区画室の内部にアクセスする必要がある。一方で、区画室の内部空間は、冷却され得る。この状況において、凝縮水が凝縮し得る。たとえば、凝縮水は、区画室内の容器にアクセスするための開口部の近傍または開口部において、発生し得る。凝縮水の発生は、種々の不利な影響を有し得る。たとえば、凝縮水が、区画室内に位置する容器の中もしくは上に、または区画室の他の敏感な構成要素の上に滴下する可能性があり、それによって、サンプリング処理を妨害し得る、または区画室の構成要素に損傷を与え得る。凝縮水の発生は、他の多くの技術システム内の区画室内で問題となり得る。
【発明の概要】
【0003】
第1の一般的な態様では、凝縮水が生じやすい、少なくとも1つのターゲットエリアを含む区画室が、少なくとも1つの凝縮水収集器と、凝縮水除去器と、を含み、凝縮水収集器は、少なくとも1つのターゲットエリアから凝縮水を収集するように配置される少なくとも第1の部分、および少なくとも1つのターゲットエリアの外部の、少なくとも第2の部分を備え、凝縮水収集器は、第1の部分と第2の部分との間に配置され、収集された凝縮水を搬送するように構成される多孔質材料を備え、凝縮水除去器は、凝縮水を第2の部分から除去するように構成され、それによって、多孔質材料を介した、第1の部分から第2の部分への凝縮水の搬送を促進する。
【0004】
第1の一般的な態様の区画室は、以下の利点の1つまたは複数を有し得る。
【0005】
第1に、凝縮水収集器は、凝縮水が、区画室、または区画室内に格納された材料(たとえば試料または試薬)に損害を与え得る場所に滴下する、または流れる可能性を低下させ得る。特に、区画室のいくつかの実施形態では、凝縮水の発生源は、区画室内に格納された容器の直上に位置し得る(たとえば、凝縮水の発生源は、区画室内にピペット操作装置を挿入するための開口部内に位置する可能性があり、そこでは、暖かく湿った空気が、区画室の冷却された表面と接触する)。これらの実施形態において、第1の一般的な態様の凝縮水収集器は、凝縮水を、ターゲットエリアから離れて、(たとえば、排水するまたは蒸発させることによって)安全に処分できる場所へと誘導し得る。
【0006】
第2に、凝縮水収集器は、凝縮水を区画室の内部または外部の任意の場所に運搬するように構成および形成される。凝縮水収集器の多孔質材料は、燃焼器具用芯(wick)と同様に作用し、凝縮水を搬送してもよい。いくつかの実施形態では、凝縮水は、重力に逆らって上向きに移動させられてもよく、および/または比較的大きな距離に亘って(たとえば、区画室の高さまたは幅全体に亘って)移動させられてもよい。このようにして、凝縮水収集器は、多数の区画室のサイズおよび幾何学的形状に柔軟に適合してもよい。
【0007】
第3に、凝縮水収集器は、可動部分なしに作動してもよい。これによって、凝縮水収集器の複雑さおよび誤りの起こりやすさが低下し得る。特に、いくつかの実施形態では、凝縮水収集器は、凝縮水を区画室から受動的方法で(たとえば、多孔質材料内で作用する毛管力および/または重力によって)搬送してもよく、それによって、区画室内部のどのような追加の凝縮水管理手段にも取って代わる。
【0008】
第4に、いくつかの実施形態の凝縮水収集器は、凝縮水除去器として既に存在する、区画室の冷却システムの構成要素と共に作動してもよい。たとえば、区画室の冷却システムのファンが、凝縮水収集器の領域を乾燥させるために使用されてもよい。追加または代替的に、区画室冷却システムの熱交換器が、区画室内を循環する空気から気化された凝縮水を除去するために凝縮器として使用されてもよい。このようにして、いくつかの実施形態において、解決法の複雑さを低下させ、採算性を高め得る第1の一般的な態様の凝縮水除去器を実施する場合に、追加部分を必要としない、またはわずかな追加部分のみが必要となり得る。
【0009】
本開示の一部の部分には、本開示の凝縮水収集器が、凝縮水の滴の発生の可能性を低下させる、または凝縮水の滴の発生を完全に防止すると説明されている。しかし、これは、本開示の凝縮水収集器が、すべての考えられる作動状況下でこの効果を有するということを意味しない。凝縮水の発生が、区画室の内部および外部の温度および空気中の湿分に依存することは明白である。したがって、特定の凝縮水収集器がある作動状況下で凝縮水の滴の発生を回避しても、他の作動状況下、たとえば、湿分レベルまたは区画室の内部と外部環境との間の温度勾配が所定の制限を超過する場合、回避しない可能性がある。しかし、これは、そのような凝縮水収集器は、本開示に記載されるような凝縮水収集器でないということを意味しない。
【0010】
さらに、凝縮水除去器によって除去される凝縮水の量が不十分である場合に、本開示の凝縮水収集器が、凝縮水を収集できない、または凝縮水の滴の発生を減少させる、もしくは防止できない場合もあり得る。また、そのような凝縮水収集器は、本開示の凝縮水収集器でないということを意味しない。
【0011】
本開示の区画室は、分析システムの一部であってもよい。分析システムの分析器または分析作業セルが、本開示の区画室内に部分的または完全に含まれてもよい。さらに、本開示の区画室は、複数の分析器または分析作業セルを含んでもよい。
【0012】
本明細書に使用される「分析システム」は、1つまたは複数の分析作業セル、解析前分析作業セル、解析後分析作業セルに作動可能に連結される制御ユニットを含み、制御ユニットは作業セルを制御するために作動可能である。さらに、制御ユニットは、収集された分析データを評価および/または処理するため、試料の、分析器のうちの任意の1つへ、および/または任意の1つからの、充填、保管、および/または排出を制御するため、試料、試料管、または分析用の試薬などを調製するために使用される分析システムの分析、またはハードウェアもしくはソフトウェアの作動を初期化するため、作動可能であってもよい。
【0013】
本明細書に使用される「分析器」/「分析作業セル」という用語は、測定値を得るために生体試料と試料の反応を起こし得る、任意の器具または器具の構成要素を包含する。
【0014】
分析器は、様々な化学的、生物学、物理学的、光学的、または他の技術的処置によって、試料の、または試料の構成要素のパラメータ値を判定するために作動可能である。分析器は、試料の、または少なくとも1つの分析物のパラメータを測定し、得られる測定値を報告するために作動可能であってもよい。分析器により報告される、考えられる分析結果のリストは、制限はないが、試料内の分析物の濃度、(検出レベルを超えた濃度に応じた)試料内の分析物の存在を示す定性的結果、光学パラメータ、核酸配列、タンパク質または代謝物の質量分析より得られるデータ、および様々な種類の物理または化学パラメータを含む。分析作業セルは、試料および/または試薬のピペット操作、投薬、および混合のためのユニットを含んでもよい。分析器は、アッセイを行うために、試薬を保持するための試薬保持ユニットを含んでもよい。試薬は、たとえば、個別の試薬または試薬の一群を含む容器またはカセットの形態で配置されてもよく、保管区画室またはコンベヤ内の適切な貯蔵所または位置に置かれる。分析器は、消耗品供給ユニットを含んでもよい。分析器は、ワークフローが、特定の種類の分析に最適化された処理および検出システムを含んでもよく、その。そのような分析器の例は、化学反応または生物反応の結果を検出するため、または化学反応もしくは生物反応の進行を監視するために使用される、臨床化学分析器、凝固化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器、核酸分析器である。
【0015】
「試料」という用語は、対象の分析物を潜在的に含み得る(1つまたは複数の)材料を指す。患者の試料は、血液、唾液、眼球水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、糞便、精液、母乳、腹水液、粘液、滑液、腹膜液、羊水、組織、培養細胞などを含む生理学的流体などの任意の生物源から取り出されてもよい。患者の試料は、使用前に、血液からの血漿の調製、粘性の液体の希釈、溶解(lysis)など、前処理されてもよい。処理の方法は、濾過、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、および試薬の追加を伴い得る。患者の試料は、供給源から得られて直接使用されてもよく、または試料の特性を変更するための前処理の後で使用されてもよい。一部の実施形態では、最初に固体または半固体の生体物質が、適切な液状媒体を用いて溶解または懸濁することにより液体にされてもよい。一部の実施形態では、試料が、ある抗原または核酸を含むと疑われ得る。試料および/または試薬は、分析システムの区画室内に格納されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1aは、本開示による、凝縮水除去器および凝縮水収集器を含む例示的な区画室を図示し、図1bは、本開示による凝縮水収集器を含む、図1aの詳細を図示する。
図2図2aは、本開示による凝縮水除去器および凝縮水収集器を含む別の例示的な区画室を図示し、図2bは、本開示による凝縮水収集器を含む図2aの詳細を図示する。
図3】本開示による3つの凝縮水収集器を含む別の例示的な区画室の一部を図示する。
図4】本開示による凝縮水除去器および凝縮水収集器を含む第3の例示的な区画室を図示する。
図5】本開示による凝縮水除去器および凝縮水収集器を含む第4の例示的な区画室を図示する。
図6】本開示による凝縮水除去器および凝縮水収集器を含む第5の例示的な区画室を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
凝縮水収集器を含む区画室、および本開示の区画室から凝縮水を除去する方法が、後により詳細に説明される。
【0018】
第1に、本開示の区画室の種々の態様が、図1aおよび図1bに関連して説明される。後に、本開示の区画室の、代替のまたは追加の態様が、図2aから図6に関連して詳述される。図1aは、凝縮水の発生が起こりやすい、少なくとも1つのターゲットエリア6を含む区画室1を示し、区画室は、少なくとも1つの凝縮水収集器5a~5eを含み、凝縮水収集器5a~5eは、少なくとも1つのターゲットエリアから凝縮水を収集するように配置される少なくとも第1の領域10、および少なくとも1つのターゲットエリア外部の少なくとも第2の領域11を含み、ならびに第1の領域10と第2の領域11との間に配置され、収集された凝縮水を搬送するように構成される多孔質材料を含み、区画室はさらに、凝縮水を第2の領域11から除去し、それによって多孔質材料を介する第1の領域10から第2の領域11への凝縮水の搬送を促進するように構成される凝縮水除去器4、7を含む。
【0019】
図1aの区画室1は、複数の凝縮水収集器5a~5eを含んでいる。図1aの凝縮水収集器5a~5eおよび凝縮水除去器4、7の作動は、後により詳細に説明する。
【0020】
図1aに見られるように、区画室1は、その内部に配置された複数の開口部6を有する断熱部2を含む。一実施形態では、複数の開口部6は、器具(たとえばピペットまたは針)を区画室1に挿入するように構成される。区画室1の内部3は冷却され得るため、凝縮水が開口部6のエリアに発生し得る。凝縮水収集器5a~5eが無ければ、凝縮水の滴が、開口部6に発生する可能性があり、そして区画室1内に滴下する可能性がある。
【0021】
しかし、図1aの区画室1において、凝縮水収集器5a~5eは、凝縮水を開口部6(すなわちターゲットエリア)で収集するように構成されている。たとえば、ターゲットエリアは、凝縮水収集器5a~5eの上端部(すなわち、凝縮水収集器5a~5eの、区画室1の外側方向に面した端部)近傍に位置してもよい。これにより、区画室1の開口部6における、または近傍での凝縮水の滴の発生が回避される、または減少する。
【0022】
ある実施形態では、区画室1は、生体試料用分析システムの分析作業セル、または生体試料用分析システムの分析作業セルの一部を含む。他の実施形態では、区画室は、生体試料、生体試料の分析プロセスに用いられる試薬、またはその両方を保管するように構成される。たとえば、区画室は、試料保管区画室、試薬保管区画室、試薬マニピュレータ区画室、試料マニピュレータ区画室、および品質管理区画室のうちの1つまたは複数であってもよい。
【0023】
しかし、他の実施形態では、本開示の区画室は、生体試料以外の他の試料の分析システム、または試料の分析以外の他の機能を有するシステムにも使用されてもよい。たとえば、本開示の区画室は、材料が、冷却された状況下において保管される、または搬送されるシステムに使用されてもよい。
【0024】
概して、本開示の区画室は、凝縮水の発生が起こりやすい区画室を含むすべてのシステムに使用されてもよい。
【0025】
図1aの凝縮水収集器5a~5eは、プラグまたは挿入物型の形状を有し、親水性の多孔質材料を含んでいる。収集された凝縮水は、収集器5a~5e内で、凝縮水収集器5a~5eの第2の部位(すなわち、凝縮水が収集されるターゲットエリア外部の凝縮水収集器5a~5eの部位)を形成する凝縮水収集器5a~5eの異なる外表面へと広がり得る。
【0026】
他の実施形態では、凝縮水収集器は、2つまたは3つ以上の開口部(たとえば、図4および5の区画室の凝縮水収集器などの全ての開口部)に隣接して配置される付随的要素を含んでもよい。
【0027】
凝縮水収集器5a~5eに加えて、図1aの区画室1は、ファン7を含む凝縮水除去器を含んでいる。ファン7は、凝縮水収集器5a~5eの外表面(すなわち第2の領域)上を通過する空気の流れ12を発生させるように構成される。空気の流れ12は(図1bに図示されるように)、凝縮水収集器5a~5e内に蓄えられた凝縮水を気化させ、それによって凝縮水を凝縮水収集器5a~5eから除去する。この除去プロセスによって、凝縮水収集器5a~5eが、開口部6(すなわちターゲットエリア)において凝縮する新しい凝縮水を収集すること、および凝縮水を、収集された新しい凝縮水が気化され得る凝縮水収集器5a~5eの外表面に搬送することが可能になる。
【0028】
他の実施形態では、区画室1は、ファン以外の別のエアムーバを含んでもよい(これは、本開示において説明される他の例示的な区画室についても同様である)。概して、本開示の区画室は、凝縮水収集器の第2の領域上を通過する空気の流れを生むための任意の装置を含んでもよい。さらに、空気以外の他の任意の気体の流れが、本開示の凝縮水収集器から凝縮水を除去するために使用されてもよい。
【0029】
図1aの区画室に戻って、気化された凝縮水が、ファン7によって発生される空気の流れによって、区画室1内に配置される凝縮器4に向かって搬送され、そこで凝縮してもよい。図1aの実施形態では、凝縮器4は、区画室1のための冷却システムの熱交換器4を含んでいる。たとえば、冷却システムは、熱交換器4に連結されるペルチェ素子16を含んでいてもよい。ペルチェ素子16の(より)低温側は、熱交換器4を冷却するために熱交換器4に隣接して配置され、そして熱交換器4は、熱交換器4を通過して進行する空気を冷却し得る。このようにして、熱交換器4の1つまたは複数の表面は、空気の流れの中で気化された水が1つまたは複数の表面で凝縮するように、十分に冷却される。このプロセスにより、気化された水の少なくとも一部を空気の流れから抜き出すことができる。ある実施形態では、熱交換器の1つまたは複数の表面の温度は、セ氏10°未満(たとえばセ氏5°未満)である。これにより、いくつかの実施形態において、区画室内部が、セ氏15°未満(セ氏10°未満)の温度となり得る。
【0030】
区画室の冷却システムは、区画室1の外部に配置され、ペルチェ素子16の(より)高温表面から熱が離れるように搬送する、熱交換器8およびファン9をさらに含む。しかし、図1aの区画室においてこれらの構成要素はまったくの任意である。区画室1の他の実施形態は、外部熱交換器8または外部ファン9を有していない。
【0031】
さらに、本開示の凝縮水除去器は、また、ペルチェ素子16以外の他の冷却装置と共に作動してもよい。概して、区画室1に冷却力を提供する任意の冷却装置が、凝縮水除去器の凝縮器の1つまたは複数の表面を、気化された水が1つまたは複数の冷却された表面で凝縮し得るように、冷却するために使用されてもよい。
【0032】
区画室1は、区画室1の内部3から凝縮水を排水するように構成される排水路15を任意に含む。たとえば、凝縮水が、熱交換器4の冷却された1つまたは複数の表面から滴下してもよく、排水路15が位置する区画室の下部に集まってもよい。
【0033】
上記の方法によって、凝縮水収集器5a~5eの無い区画室と比較して、(1つまたは複数の)ターゲットエリアに凝縮水の滴が発生する可能性は低下し得る。一部の状況において、凝縮水の滴の発生が回避され得る。本開示では、凝縮水収集器は、凝縮水を収集するためのターゲットエリア近傍の第1の領域、および凝縮水が除去される第2の部分を含む。しかし、これは、凝縮水が、第2の領域に向かってのみ搬送され、第2の領域からのみ除去されるということを意味しない。むしろ、凝縮水は、凝縮水収集器全体に広がり得る。追加または代替的に、凝縮水は、また、(たとえば、空気の流れによって)ターゲットエリアに隣接する第1の領域から、除去され得る。
【0034】
凝縮水収集器5a~5eの特定の形態ならびに、ファン7および熱交換器16の特定の構造および配置は、他の実施形態において変更されてもよい。たとえば、凝縮水収集器5a~5eの形状は、図1aに示されるプラグ形状と異なっていてもよい。たとえば、器具が凝縮水収集器を貫通して挿入される必要のない実施形態においては、凝縮水収集器は中央開口部を必要としないことが理解される。さらに、区画室1内部の空気の流れから気化された水を抜き出すのに十分に低温の任意の表面(たとえば、区画室の内部の特に低温の部分)が、他の実施形態において凝縮水器として使用されてもよい。
【0035】
図2aおよび図2bの区画室は、図1aの区画室の変形例である。図2aの区画室1は、区画室1の外部から空気を吸い込むための任意のファンネル(funnel)14を含んでいる。ファンネル14を通って吸い込まれた空気は、熱交換器4で冷却(および任意に乾燥)され、ファン7によって内部を循環する。上記のように、循環する空気の流れが、凝縮水を凝縮水収集器5a~5eから除去し得る。
【0036】
図2aおよび図2bの区画室において、ファン7は、区画室1内に、区画室1の外部と比較して上昇した圧力を発生させるようにさらに構成されてもよい。この上昇した圧力は、(図2bに示されるように)区画室1の開口部から空気の流れ12を発生させ得る。ある実施形態では、ファン7は、毎時10m3と毎時500m3との間(たとえば、50m3と150m3との間)の空気を移動させてもよい。これにより、(1つまたは複数の)ターゲットエリアにおける凝縮水の量、特に滴下する水の量がさらに減少し得る。上昇した圧力を有しない区画室内では、区画室内部の開口部上を通過する空気の流れは、開口部を通して湿分を含んだ空気を吸い込む可能性がある。これにより、開口部のエリアにおいて凝縮水がさらに発生し得る。
【0037】
図1aまたは図2aの区画室は多くの点で変更され得る。たとえば、説明された凝縮水除去装置は、開口部の無い区画室内に配置されていてもよい。ある実施形態では、区画室は、区画室の内部にアクセスするための蓋またはドアを有する閉鎖された区画室であってもよい。これらの実施形態では、凝縮水収集器は、閉鎖された区画室内で、凝縮水の発生が起こりやすい、異なるターゲットエリアに配置されてもよい。たとえば、区画室は、区画室の特に低温の領域に、1つまたは複数のターゲットエリアを含んでもよい。さらに他の実施形態では、区画室は、図1aおよび図2aの区画室に、器具(たとえばピペット)を導入するための開口部以外の、周囲環境への他の開口部を有してもよい。
【0038】
凝縮水除去システムのいくつかの態様が、図1から図2bに関連して説明された後に、例示的な凝縮水収集器の詳細が、次に図3に関連して説明される。
【0039】
図3の凝縮水収集器5a、5b、5cは、区画室内に器具を導入するための開口部の内側端部で、区画室の断熱部2の内部壁に配置されている。凝縮水収集器5a、5b、5cにより、区画室の内部に挿入される器具用の内部通路が提供される。図3の実施形態では、内部通路は、ピペット操作器具を受容するように構成される円錐形の入口を有する。
【0040】
上記のように、凝縮水収集器5a、5b、5cは、(第1の領域で)凝縮水を収集し、(第2の領域で)凝縮水を開放するように構成される多孔質材料を含む。
【0041】
多孔質材料の孔の幾何学的形状およびサイズは、この目的を達成するために、適切な任意の方法で選択され得る。「多孔質」という用語は、本開示においてスポンジ状の材料に限定されない。むしろ、多孔質材料は、1次元のみまたは2次元のみで延在する孔を含んでいてもよい。さらに、多孔質材料は、整列または非整列であってもよい。たとえば、多孔質材料は、材料内を延在する管の一群を含んでいてもよい。他の実施形態では、多孔質材料は、材料内を延在する複数のチャネルを含んでもよい。さらに他の実施形態では、多孔質材料は、多孔質材料内を延在する通路を形成する、接続された空隙の規則的なアレイを含んでもよい。
【0042】
多孔質材料は、1μmおよび100μmの間(たとえば、20μmおよび40μmの間)の平均孔径(average pore size)を有してもよい。「孔のサイズ」という用語は、本開示では、意図される凝縮水の流れ方向に対し直交方向における、多孔質材料の孔の断面に内接する円の直径と定義される。たとえば、図1bおよび図2bでは、意図される凝縮水の流れ方向は、凝縮水が収集されるターゲットエリアから、全体的に下方向(すなわち内側方向)である。別の実施形態では、区画室の壁を通過して延在する図4の凝縮水収集器のエリアにおいて、意図される凝縮水の流れは、外側方向を向く。
【0043】
一部の実施形態では、より細い孔径が、多孔質材料に蓄えられ得る凝縮水の量を犠牲にして、凝縮水収集器5a、5b、5cの凝縮水をより長い距離に亘って搬送する能力を向上させ得る。
【0044】
凝縮水をターゲットエリアから収集するために、および収集された凝縮水を、区画室内を循環する空気の流れに解放するために、多孔質材料は、1つまたは複数の孔が開口した表面(open-pored surface)を含んでもよい。換言すると、多孔質材料の内部の、孔、チャネル、通路、または管のネットワークは、凝縮水収集器の1つまたは複数の表面においてアクセス可能である。たとえば、図3の実施形態では、凝縮水収集器5a、5b、5cは、凝縮水収集器5a、5b、5cの内側に形成される内部通路の表面、および区画室の内部に隣接する表面に、孔が開口した表面を含んでもよい。
【0045】
ある実施形態では、凝縮水収集器5a、5b、5cの多孔質材料は親水性である。本開示に使用される「親水性材料」という用語は、加工されて親水性を有する材料、および親水性を示すように処理されている材料を含んでもよい。さらに、「親水性材料」という用語は、凝縮水収集器に使用される多孔質形状における材料の親水性を記述するために使用される。いくつかの材料は、他の構成(たとえば平坦面の形状)では、親水性を示さない可能性があるが、それにもかかわらず、特定の多孔質構成になると親水性となる可能性がある。換言すると、本開示の多孔質材料の親水性は、いくつかの実施形態においては、多孔質材料の幾何学的形状によって生み出されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、多孔質材料は、持続的に親水性である。「持続的に親水性」とは、多孔質材料を含む区画室が、意図される作動モードで作動される間の、1週間以上(任意に1カ月以上)の期間を指す。ある実施形態では、多孔質材料は、基板材料によって形成される、孔のネットワークを部分的に、または完全に覆うように延在する親水性コーティングを含んでいてもよい。
【0047】
多孔質材料は、セラミック材料、ガラス材料、もしくはプラスチック材料、またはそれらの材料のうちの2つまたは3つ以上の組み合わせを含んでもよい。多孔質材料の前記説明は、図3に示される特定の凝縮水収集器に関しているが、多孔質材料の異なる態様は、凝縮水収集器のこの特定の形態に限定されない。むしろ、上記の多孔質材料は、本開示において説明される他の凝縮水収集器にも使用されてもよい。
【0048】
図3の凝縮水収集器5a、5b、5c(または本開示の他の任意の凝縮水収集器)は、射出成形、ミリング、焼結、またはこれらの技術の組み合わせによって製造されてもよい。
【0049】
凝縮水収集器の多孔質材料が示し得る、前述の特性が、図3の凝縮水収集器の実施形態に関連して説明されている。引き続き、凝縮水収集器および凝縮水除去器のいくつかの代替的な幾何学形態を、図4から図6に関連して説明する。
【0050】
図4では、凝縮水収集器5は、細長い形状を有し、区画室1の壁に亘って延在している。凝縮水収集器5は、区画室1の開口部の複数のターゲットエリアで、凝縮水を収集するように構成される。しかし、他の実施形態では、ターゲットエリアは、(たとえば、開口部のない区画室内の)凝縮水の発生が起こりやすい区画室内の他のエリアも含んでもよい。
【0051】
さらに、凝縮水収集器5は、収集された凝縮水を区画室1の外部に配置される第2の領域11に向けて搬送するように構成される。任意に、凝縮水収集器5は、ターゲットエリアと区画室1外部の第2の領域11との間で、凝縮水が、凝縮水収集器5から解放されないように配置されていてもよい。たとえば、凝縮水収集器5の多孔質材料は、ターゲットエリアと区画室1外部の第2の領域との間の表面において、孔が閉鎖(closed-pored)していてもよい。追加または代替的に、凝縮水収集器5の多孔質材料は、ターゲットエリアと区画室1外部の第2の領域との間の表面でコーティングされていてもよい。
【0052】
さらに、図4の区画室1は、図1aおよび図2aの区画室と比較すると、凝縮水収集器除去器の異なる配置を含む。図4の凝縮水除去器は、区画室1の外部に配置されている。たとえば、凝縮水収集器は、ファン7(または他の空気もしくは気体移動装置)および少なくとも部分的に区画室の外部に配置される熱交換器4を含んでいてもよい。さらに、凝縮水除去器は、区画室1の壁に配置されるペルチェ素子16と共に作動してもよい。図4の実施形態では、ファン7は、空気を、ペルチェ素子16の高温の表面と接触している熱交換器4を通過するように移動させる。ペルチェ素子16の高温の表面が空気を熱し、空気は次に、区画室1の外部に配置される凝縮水収集器5の第2の領域11の方向に移動させられる。そこで、熱された空気の流れ12が、第2の領域11に蓄えられた凝縮水を気化させ、気化された凝縮水を凝縮水収集器5から離れるように搬送する。凝縮水収集器5は、第2の領域11に任意の穴または他の開口部を含んでもよい。これにより、空気の流れ12に曝される凝縮水収集器5の表面を増加させることができ、第2の領域11から気化される凝縮水の量を増加させることができる。
【0053】
蓄えられた凝縮水が、ファン7によって生み出された空気の流れ12によって凝縮水収集器5から除去されると、凝縮水収集器は再び、区画室1内のターゲットエリア10で凝縮水を収集する状態におかれる。凝縮水収集器5は、いくつかの作動条件下において、区画室1の内部から外部空間への、凝縮水の持続的な流れを発生させ得る。いくつかの実施形態では、区画室1の開口部での凝縮水の水滴の発生は、回避され得る。
【0054】
このようにして、凝縮水除去器が、区画室の冷却装置の構成部品を使用することにより、相当な数の新たな構成部品を追加することなく形成されてもよい。これは、ファンと熱交換器が区画室内部に配置される図1aおよび図2aの実施形態においても同様である。冷却および凝縮水の管理のためのいくつかの構成部品の二重の使用により、両方の機能が別々である実施形態と比較して、区画室の複雑さを減少させることができる。
【0055】
しかし、他の実施形態では、凝縮水管理除去器の部分は、凝縮水除去器の専用の構成部品であってもよい(そして区画室は追加の冷却装置を含んでいてもよい)。一実施形態では、収集された凝縮水を凝縮水収集器5から除去する空気の流れは、凝縮水除去器の専用のファンまたは他のエアムーバによって発生させられてもよい。さらに他の実施形態では、空気の流れは、区画室の冷却装置とは異なる構成要素のファンまたはエアムーバ(たとえば、分析システムの処理装置の冷却システムのファン)によって発生させられてもよい。
【0056】
図4の区画室は、(たとえば、図1aおよび図2aの区画室に示されるような)区画室内部の空気を循環させるための内部ファンまたは他のエアムーバを有していない。それどころか、区画室1は、ペルチェ素子16に連結され、区画室1の内部で延在する熱伝導性要素17(たとえば金属要素)を含む。ペルチェ素子16の(より)低温の表面が、熱伝導要素17を冷却することができ、それによって区画室の内部を冷却することができる。
【0057】
他の実施形態では、図1aまたは図2aおよび図4の区画室の配置が組み合わされてもよい。たとえば、凝縮水除去器は、区画室の外部に配置される外部凝縮水除去器、および区画室の内部に配置される内部凝縮水除去器を含んでもよい。したがって、凝縮水収集器は、収集された凝縮水を、区画室の外部および区画室の内部の第2の領域に搬送するように構成されてもよい。一実施形態では、凝縮水除去器は、区画室の外部に配置され、空気の流れを区画室の外部の凝縮水収集器の第2の領域上に発生させるように構成される1つのファン、および第2の空気の流れを区画室内部の別の第2の領域上に発生させるように構成される第2のファンを含む。
【0058】
前述の実施形態では、ファン(または他のエアムーバ)を含む凝縮水除去器が説明されている。追加または代替的に、本明細書において説明される凝縮水除去器は、凝縮水収集器の第2の領域を加熱するように配置される1つまたは複数の加熱器を含んでいてもよい。たとえば、1つまたは複数の加熱器が、第2の領域(たとえば、図4または図5に示される区画室の外部の第2の領域)に隣接して配置されてもよい。凝縮水収集器の第2の領域が、1つまたは複数の加熱器によって加熱されると、収集された凝縮水は、第2の領域から気化し得る。
【0059】
本開示の区画室のさらなる実施形態が、図5に示される。区画室1の凝縮水除去器は、図4に関連して説明された外部凝縮水除去器である。さらに、凝縮水収集器5の形状は、図4の凝縮水収集器の形状に類似である。
【0060】
しかし、図5の凝縮水収集器は、区画室1の内部壁に取り付けられていない。むしろ、凝縮水収集器5は、区画室1の壁の一部(図5の実施形態の区画室の蓋の一部)を形成している。さらに、区画室の断熱部2は、凝縮水収集器の上方に延在しない。換言すると、凝縮水収集器5は、区画室1の外部壁の一部を形成する。この実施形態では、凝縮水収集器5は、凝縮水収集器5によって形成される外部壁のエリアにおいて熱隔離を提供し得る。
【0061】
図5の実施形態では、図4の区画室に関連して説明されたように、凝縮水収集器5は、区画室1の開口部6に隣接するターゲットエリア内の凝縮水を収集することができ、収集された凝縮水を区画室の外部の第2の領域11に向けて搬送することができる。
【0062】
さらに、図5の凝縮水収集器5は、収集された凝縮水を区画室の外部に隣接する外表面(たとえば、図5の凝縮水収集器5の上部表面)に向けて搬送するようにも構成されていてもよい。この外表面において、収集された凝縮水は、周囲環境内へと気化することができる。
【0063】
他の実施形態では、ターゲットエリアおよび第2の領域から離れた凝縮水収集器5の外表面は、収集された凝縮水が、外表面で蒸発できないように、少なくとも部分的に孔が閉鎖していてもよい。さらに他の実施形態では、ターゲットエリアおよび第2の領域から離れた凝縮水収集器5の外表面は、収集された凝縮水が、外表面で蒸発できないように、不浸透性のコーティングにより、少なくとも部分的にコートされてもよい。
【0064】
図5に見られるように、区画室の外壁の一部を形成する凝縮水収集器5は、図4で説明された区画室外部の第2の領域も含んでいてもよい。追加または代替的に、図4の凝縮水収集器5は、図1aまたは図2aに示されるような、区画室1内部で空気の流れを発生させる凝縮水除去器と組み合わされてもよい。
【0065】
さらに他の実施形態では、凝縮水収集器は、図5に示されるものとは異なる方法で、区画室の壁の一体部分を形成してもよい。たとえば、1つまたは複数の開口部を有する区画室は、1つまたは複数の凝縮水収集器を含んでいてもよく、各凝縮水収集器は、1つまたは複数の開口部のエリアにおいて、区画室の壁の一部を形成してもよい。たとえば、凝縮水収集器は、図1aおよび図2aに示される、器具の挿入のための開口部の壁の一エリアを形成してもよい。
【0066】
さらに他の実施形態では、区画室は、区画室の外部に配置される「能動的な(active)」凝縮水除去器を有していない(たとえば、図4または図5の区画室は、外部ファンおよび熱交換器なしで作動してもよい。これらの実施形態では、区画室内部の大気と比較してより高温および/またはより乾燥した周囲環境が、収集された凝縮水を区画室の外部の凝縮水収集器の第2の領域から蒸発させる。
【0067】
一実施形態では、区画室は、少なくとも1つの凝縮水収集器を含み、凝縮水収集器は、区画室内部の第1の部分、区画室の外部の区画室の壁を通過して延在する第2の部分、および区画室内部で凝縮する凝縮水を収集し、区画室の外部に向けて誘導するように構成される多孔質材料を含んでいる。
【0068】
「能動的な」凝縮水除去器のない区画室のこの実施形態は、「能動的な」凝縮水除去器を有する区画室に対し説明される全ての機能と組み合わされてもよい。
【0069】
図6は、本開示の凝縮水収集器のさらなる実施形態を示している。図6の区画室は、本開示の凝縮水管理システムのさらなる追加の態様を含む。
【0070】
一方では、図6の区画室1は、2つのサブ区画室1a、1bを含んでいる。さらに、図6の凝縮水収集器5は、複数の部分を含む凝縮水収集器である。最後に、図6の実施形態の区画室1は、凝縮水収集器5内に蓄えられた水を凝縮するために、凝縮化区域53の形態の凝縮水除去器を含む。これらの異なる特徴が、組み合わされて図6の区画室に示されているが、本開示の区画室は、これらの特徴のうちの1つまたは2つのみを含んでいてもよい。追加または代替的に、図1aから図5の区画室は、図6の区画室の特徴のうちの1つまたは複数を有してもよい。たとえば、図4または図5の区画室は、2つまたは3つ以上のサブ区画室、および/または図6に示されるような多分割式凝縮水収集器を含んでもよい。
【0071】
図6の実施形態では、2つのサブ区画室1a、1bのそれぞれが、それぞれのサブ区画室1a、1bの内部にアクセスするように配置される、1つまたは複数の開口部6a、6bを有する。凝縮水収集器5は、開口部6a、6bのそれぞれで凝縮水を収集するために、第1および第2サブ区画室の開口部6a、6bを連続的に通過して延在する。他の実施形態では、サブ区画室6a、6bがそれぞれ、1つまたは複数の専用の凝縮水収集器を含んでいてもよい。追加または代替的に、区画室は、3つ以上のサブ区画室、および3つ以上のサブ区画室のそれぞれのターゲットエリアから凝縮水を収集するように構成される単一の凝縮水収集器を含んでもよい。
【0072】
さらに、図6の凝縮水収集器5は、第1サブ区画室1aのエリアでは断熱部2で覆われているが、第2サブ区画室1bの壁の一部を形成している。たとえば、第1サブ区画室1aは、第2サブ区画室よりも低い温度に冷却されてもよく、したがってより良好な熱隔離を必要とする。他の実施形態では、凝縮水収集器は、両方の(または3つ以上の)サブ区画室の壁の一部を形成してもよい。さらに別の実施形態では、凝縮水収集器は、両方の(または3つ以上の)サブ区画室内で、それぞれの区画室の断熱部で覆われていてもよい。
【0073】
さらに、図6の区画室の凝縮水収集器は、複数の部分を有してもよい。たとえば、凝縮水収集器の第1の部分51は、凝縮水収集器を少なくとも部分的に上り坂方向に移動させるように構成される。この上り坂方向の搬送は、凝縮水収集器5の多孔質材料内の毛管力によって達成されてもよい。図4および図5に関連して示される凝縮水収集器も、いくつかの実施形態において、凝縮水を上り坂方向に搬送するように構成される部分を有してもよい。たとえば、凝縮水収集器は、区画室の内部の形状(たとえば、区画室の内部の上部の形状)に適合していてもよい。
【0074】
さらに、図6の区画室の凝縮水収集器は、収集された凝縮水が下り坂方向に搬送される第2の部分52を含んでいる。凝縮水収集器の、この下り坂方向の搬送は、重力、毛管力、または両方の組み合わせによって達成され得る。また、凝縮水が下り坂方向に搬送される部分も、(たとえば、収集された凝縮水を、区画室の凝縮水除去器が、収集された凝縮水を水収集器から除去してもよい特定の位置の第2の部分に搬送するために)図1aから図5の区画室に使用されてもよい。
【0075】
最後に、図6の凝縮水収集器5は、収集された凝縮水のための凝縮化区域の形態の凝縮水除去器53に連結されていてもよい。図6の実施形態では、凝縮化区域は、凝縮水の滴が発生してもよい尖った表面を形成している。
【0076】
図6に見られるように、凝縮水化区域は、区画室1の壁内の排水路15の内部に形成されている。凝縮水は、凝縮化区域から滴下してもよく、そして区画室1の外部で収集されてもよい。このようにして、凝縮水が、区画室1から外部環境へと除去されてもよい。他の実施形態では、凝縮化区域の形態の凝縮水除去器53は、区画室の外部に形成されてもよい。
【0077】
他の実施形態では、凝縮水は、区画室内部に配置される容器内に収集されてもよい。容器は、収集した凝縮水を処分するために、区画室から取外し可能に構成されてもよい。他の実施形態では、容器は、凝縮水を除去するために、ポンプ回路に接続されてもよい。凝縮水を収集するための容器は、本開示において説明される他の区画室(たとえば、図1aまたは図2aの区画室)にも使用されてもよい。
【0078】
図6に見られるように、凝縮水除去器53は、凝縮水が収集されるターゲット領域から離間している。このようにして、区画室内部の重要なエリアにおいて凝縮水の滴が発生することが防止され得る。
【0079】
たとえば、図4の区画室および図5の区画室において、ペルチェ素子16が、熱伝導要素17(たとえば金属要素)を冷却してもよく、次に熱伝導要素17が、サブ区画室1a、1bの内部を冷却する。ペルチェ素子16の高温表面は、ペルチェ素子16の高温表面から熱を除去するために、任意に、熱交換器4およびファン7を備えていてもよい。
【0080】
他の実施形態では、図6の凝縮水収集器は、図1aまたは図2aに関連して説明された、区画室の内部の能動的な冷却と組み合わされてもよい。たとえば、凝縮水収集器は、凝縮水を直接、排水路15に搬送してもよく、または区画室1内部を循環する空気に流れによって気化された凝縮水を再収集してもよい。
【0081】
さらに他の実施形態では、本明細書において説明される凝縮水収集器は、(たとえば、図6の区画室にあるような)凝縮化区域の形態の1つまたは複数の凝縮水除去器を、(たとえば、図4または図5の区画室にあるような)区画室外部の1つまたは複数の第2の領域と組み合わせてもよい。概して、本明細書において説明される区画室は、異なる種類の凝縮水除去器、または2つ以上の所定の種類の凝縮水除去器を並行に使用してもよい。
【0082】
前述の詳細な記載において、本開示の区画室の複数の実施形態が説明された。しかし、本開示の区画室は、以下の態様に提示されるようにも構成されてもよい。
【0083】
1 凝縮水が生じやすい、少なくとも1つのターゲットエリアを含む区画室であって、区画室が、
少なくとも1つの凝縮水収集器と、
凝縮水除去器と、
を備え、
凝縮水収集器は、少なくとも1つのターゲットエリアから凝縮水を収集するように配置される少なくとも第1の部分、および少なくとも1つのターゲットエリアの外部の、少なくとも第2の部分を備え、凝縮水収集器は、第1の部分と第2の部分との間に配置され、収集された凝縮水を搬送するように構成される多孔質材料を備え、凝縮水除去器は、凝縮水を第2の部分から除去するように構成され、それによって、多孔質材料を介した、第1の部分から第2の部分への凝縮水の搬送を促進する
区画室。
【0084】
2 凝縮水除去器が、多孔質材料によって凝縮水収集器から収集された凝縮水の蒸発を促進するために、第2の部分上に気体の流れを発生させるように構成されるファンを備える、態様1の区画室。
【0085】
3 気体が空気である態様2の区画室。
【0086】
4 凝縮水除去器が、多孔質材料によって凝縮水収集器から収集された凝縮水の蒸発を促進するために、第2の部分を加熱するように構成される加熱器を備える、態様1~3のいずれか1つの区画室。
【0087】
5 多孔質材料の第2の部分を区画室の外部に配置するために、凝縮水収集器が、区画室の壁を通過して延在する、態様1~4のいずれか1つの区画室。
【0088】
6 第2の部分が、区画室内部に配置され、ファンが、区画室内部に気体の流れを発生させる、態様2~4のいずれか1つの区画室。
【0089】
7 凝縮水収集器が細長い形状を有する、態様1~6のいずれか1つの区画室。
【0090】
8 多孔質材料が、収集された凝縮水を、少なくとも部分的に毛管力によって搬送するように構成される、態様1~7のいずれか1つの区画室。
【0091】
9 ターゲットエリアが、区画室の開口部であり、第1の部分が、開口部内に配置される、態様1~8のいずれか1つの区画室。
【0092】
10 開口部が、器具、好ましくはピペットを区画室内に挿入するように構成される、態様9の区画室。
【0093】
11 区画室が、ターゲットエリアとして複数の開口部を含み、単一の凝縮水収集器が、複数の開口部のそれぞれで凝縮水を収集するために、複数の開口部内に配置される複数の第1の部分を備える、態様9または10の区画室。
【0094】
12 凝縮水収集器が、区画室の壁の一体部分である、態様1~11のいずれか1つの区画室。
【0095】
13 凝縮水収集器が、区画室の蓋または側壁を形成する、態様12の区画室。
【0096】
14 凝縮水収集器が、上方向に延びる要素を含み、凝縮水を毛管力によって上方向に誘導するように構成される、態様1~13のいずれか1つの区画室。
【0097】
15 ターゲットエリアが、区画室内に1つまたは複数の開口部を含み、区画室が、区画室の内部から1つまたは複数の開口部を通って気体の流れを発生させるために、加圧されるように構成される、態様1~14のいずれか1つの区画室。
【0098】
16 少なくとも1つの凝縮水収集器が、貫通孔を備えるプラグまたは挿入物の形状を有する、態様1~15のいずれか1つの区画室。
【0099】
17 第2の部分が、区画室内部または区画室の外部で、区画室の排水路に向かって、および/または通過して延在する、態様1~16のいずれか1つの区画室。
【0100】
18 多孔質材料が、1μmと100μmとの間の平均孔径を有する、態様1~17のいずれか1つの区画室。
【0101】
19 多孔質材料が、親水性である、態様1~18のいずれか1つの区画室。
【0102】
20 多孔質材料が、親水性コーティングを含む、態様19の区画室。
【0103】
21 多孔質材料が、持続的に親水性である、態様19または20の区画室。
【0104】
22 凝縮水が収集される凝縮水収集器の表面が、孔が開口した表面である、態様1~21のいずれか1つの区画室。
【0105】
23 多孔質材料が、セラミック材料、ガラス材料、プラスチック材料、またはそれらの材料のうちの2つまたは3つ以上の組み合わせを含む、態様1~22のいずれか1つの区画室。
【0106】
24 区画室が熱隔離される、態様1~23のいずれか1つの区画室。
【0107】
25 区画室が冷却される、態様1~24のいずれか1つの区画室。
【0108】
26 区画室が、凝縮水収集器から除去された水を凝縮するための、少なくとも1つの凝縮化区域をさらに含む、態様1~25のいずれか1つの区画室。
【0109】
27 少なくとも1つの凝縮化区分内で凝縮した水を区画室から排水するために、区画室が、排水路をさらに含む、態様26の区画室。
【0110】
28 少なくとも1つの凝縮水収集器および凝縮水除去器が、区画室内部の凝縮水の滴の発生を防止するように構成される、態様1~27のいずれか1つの区画室。
【0111】
29 少なくとも1つの凝縮水収集器を備え、
凝縮水収集器が、第1の部分を区画室内部に、および区画室の壁を通過して延在する第2の部分を区画室外部に有し、
区画室内部で凝縮する凝縮水を収集し、区画室の外部に向けて誘導するようの構成される多孔質材料を含む、
区画室。
図1
図2
図3
図4
図5
図6