(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】バスケットボール練習具
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20220318BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
A63B69/00 504A
A63B71/06 M
(21)【出願番号】P 2020537426
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2019031027
(87)【国際公開番号】W WO2020036103
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018152817
(32)【優先日】2018-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518291567
【氏名又は名称】阿力木斯
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】阿力木斯
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0144045(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0207101(US,A1)
【文献】米国特許第4717149(US,A)
【文献】特開2014-193346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弧状に湾曲した3本以上の指状部材がバスケットボールのボールを保持可能な状態に支持部材で基端側を支持されてなるボール保持部と、前記支持部材が長手方向に沿って所定範囲を摺動可能な状態で装着されているとともに先端側を所定角度の斜め下向きにして基端側を壁側又は柱側に固定される棒状のレール部材とを備えており、前記ボール保持部でボールを保持させた状態でバスケットボールのシュート動作を繰り返し行うためのバスケットボール練習具であって、使用者が前記レール部材における摺動範囲の下端側に位置する前記ボール保持部のボールを前記レール部材に沿って斜め上向きに押し出して投球することにより、前記レール部材に沿って前記摺動範囲の上端側まで上昇したボールが重力で自動的に元の位置に戻る、ことを特徴とするバスケットボール練習具。
【請求項2】
前記指状部材の湾曲した内面側には、複数個の球体が総ての方向に回転自在な状態にて先端側から所定間隔で配設されており、前記ボール保持部にボールを保持させることで前記球体の球面の一部がボールの外面に接しながら前記ボールを総ての方向に回転自在な状態に支持する、ことを特徴とする請求項1に記載したバスケットボール練習具。
【請求項3】
前記レール部材は、前記指状部材で保持されたボールを間に配置可能な間隔にて左右一対で固定されるものであり、横長の前記支持部材の両端側に対で設けた摺動孔に左右の前記レール部材が挿通されて摺動可能な状態で前記ボール保持部が装着されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載したバスケットボール練習具。
【請求項4】
前記レール部材は、該レール部材の基端側が所定のジョイント部を介して壁側又は柱側に固定するための固定部材に連結されており、前記ジョイント部は、前記レール部材の傾斜角度が所定範囲で変更可能な状態で前記レール部材を前記固定部材に連結しているとともに、前記傾斜角度を固定するための固定手段を有しており、シュート動作における押し出し角度の設定と変更が可能とされている、ことを特徴とする請求項1,2又は3に記載したバスケットボール練習具。
【請求項5】
前記シュート動作により前記支持部材が前記レール部材を上昇する速度又は前記レール部材上端側で前記支持部材がストッパに衝突する衝突力を測定する測定手段と、該測定手段から送信された測定データに基づく前記シュート動作によるボール初速度と予め設定した投球角度を用いながら所定の計算方式により前記シュート動作によるゴールの成功・不成功を判定するゴール判定手段と、該ゴール判定手段による判定結果を使用者に報知する報知手段を備えており、前記シュート動作ごとに前記ゴール判定手段が判定しながら前記報知手段でシュート結果を使用者に知らせる、ことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載したバスケットボール練習具。
【請求項6】
前記ゴール判定手段は、所定のアプリケーションをインストールしたスマートフォン又は通信機能付タブレット端末により機能的に構成されるとともに、そのディスプレイ画面又は/及びスピーカーが前記報知手段を兼ねるものとされ、前記測定手段に付設した通信手段で送信された前記測定データを前記スマートフォン又は前記通信機能付タブレット端末が受信することにより、前記判定及び前記報知を実行する、ことを特徴とする請求項5に記載したバスケットボール練習具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスケットボール用の練習具に関し、殊に、バスケットボール競技におけるシュート動作を練習するためのバスケットボール練習具に関する。
【背景技術】
【0002】
バスケットボール競技におけるシュートを練習するための練習具については、実開昭52-171362号公報の
図1に記載されているものが知られており、バスケットのリングとネットを同時に巡るように装着した楕円形の移動リングに、先端にボールが付いている紐の端を連結することで、紐の先端側のボールがリングを通過しても移動リングが回転して元の状態に戻るようにして、連続的にシュート練習を行えるようになっている。
【0003】
しかし、この練習具は短時間で多くのシュートを放てる点で優れているものの、シュート動作を数多く繰り返すだけでは正しいフォームを身につけることはできない。これに対し、特開2001-582号公報の
図1には、腕を通して肩に掛ける環状のパイプと、このパイプが肩から外れないように身体に保持するためのバンドと、そのパイプの中に挿入して一端部を固定し他端部をパイプの穴から引き出した伸縮可能な弾性を有している紐状部材と、この紐状部材の他端部に取り付けたボールからなるトレーニング器具が提案されている。
【0004】
このトレーニング器具を体に装着して紐状部材に取り付けたボールを投球することにより、バスケットボールを含む様々な球技における投球フォームの習得に効果的であるとしている。しかしながら、このトレーニング器具は野球の投球フォームの習得には向いているものの、ボールの打ち出し軌道を案内したり規制したりする構造を有していないため、斜め上方に一定の角度を維持しながら両手でボールを押し出して行うバスケットボールのシュート動作を習得するには不向きである。
【0005】
また、上述した2つの練習具は、紐の端部にボールを固定する方式であることから、バスケットボールのシュート動作に伴って生じるボールの回転を阻害してしまうことから、実際のシュート動作において競技者が感じる手の感触とは大きく異なるため、練習の効果が不充分であると言わざるを得ない。さらに、上述したものを含む従来のバスケットボール用の練習具は、バスケットのゴールポストを用いて行うものであるため、一度に多くの練習具を使用しながら多人数が同時に練習を行いにくいとともに、自宅等の狭い空間や天井の低い部屋では使用できないという難点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭52-171362号公報
【文献】特開2001-582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、シュート練習用のバスケットボール練習具について、狭い場所や天井の低い場所であっても効果的な練習が行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、弧状に湾曲した3本以上の指状部材がバスケットボールのボールを保持可能な状態に支持部材で基端側を支持されてなるボール保持部と、その支持部材が長手方向に沿って所定範囲を摺動可能な状態で装着されているとともに先端側を所定角度の斜め下向きにして基端側を壁側又は柱側に固定される棒状のレール部材とを備えており、そのボール保持部でボールを保持させた状態でバスケットボールのシュート動作を繰り返し行うためのバスケットボール練習具であって、使用者がレール部材における摺動範囲の下端側に位置するボール保持部のボールをレール部材に沿って斜め上向きに押し出して投球することにより、レール部材に沿って前記摺動範囲の上端側まで上昇したボールが重力で自動的に元の位置に戻る、ことを特徴とするものとした。
【0009】
このように、先端側を斜め下向きにして基端側が壁側や柱側に固定されるレール部材に、ボールを保持したボール保持部を長手方向に沿って摺動可能に取り付けた構成としたことで、そのボール保持部にボールを保持させてレール部材の基端側を壁側又は柱側に固定するだけで、同じ打ち出し角度のシュート動作を繰り返し行えるようになるため、狭い場所や天井の低い場所であっても効果的な練習を実現できるものとなる。
【0010】
また、このバスケットボール練習具において、そのボール保持部の指状部材の湾曲した内面側には、複数個の球体が総ての方向に回転自在な状態にて先端側から所定間隔で配設されており、このボール保持部にボールを保持させることで各球体の球面の一部がボールの外面に接しながらそのボールを総ての方向に回転自在な状態に支持する、ことを特徴としたものとすれば、シュート動作においてボールが回転するのを妨げにくくなって、シュート時の微妙な感覚を養いやすいものとなる。
【0011】
さらに、上述したバスケットボール練習具において、そのレール部材は、指状部材で保持されたボールを間に配置可能な間隔にて左右一対で固定されるものであり、横長の支持部材の両端側に対で設けた摺動孔に左右のレール部材が挿通されて摺動可能な状態にボール保持部が装着されている、ことを特徴としたものとすれば、ボールの摺動動作がよりスムースになるとともに摺動角度が安定するため、正確なフォームの習得に効果的なものとなる。
【0012】
さらにまた、上述したバスケットボール練習具において、その複数本の指状部材は、それらの基端側を支持している支持部材の支持中心を中心にして120度間隔で3本支持されている、ことを特徴としたものとすれば、バスケットボールのシュートにおいて、使用者が指状部材を避けながら正しい手の位置でボールを保持しやすいものとなる。
【0013】
加えて、上述したバスケットボール練習具において、そのレール部材は、その基端側が所定のジョイント部を介して壁側又は柱側に固定するための固定部材に連結されており、そのジョイント部は、レール部材の傾斜角度が所定範囲で変更可能な状態でレール部材を固定部材に連結しているとともに、前記傾斜角度を固定するための固定手段を有しており、シュート動作における押し出し角度の設定と変更が可能とされていることを特徴としたものとすれば、使用者の身長やシュート位置に合ったボールの押し出し角度に適宜設定できることから、正確なフォームを一層習得しやすいものとなる。
【0014】
そして、上述したバスケットボール練習具において、そのシュート動作により支持部材がレール部材を上昇する速度又はレール部材上端側で支持部材がストッパに衝突する衝突力を測定する測定手段と、この測定手段から送信された測定データに基づくシュート動作によるボール初速度と予め設定した投球角度を用いながら所定の計算方式によりそのシュート動作によるゴールの成功・不成功を判定するゴール判定手段と、このゴール判定手段による判定結果を使用者に報知する報知手段を備えており、シュート動作ごとにゴール判定手段が判定しながら報知手段でシュート結果を使用者に知らせる、ことを特徴とするものとすれば、シュート動作ごとにゴールの成功・不成功が分かることから、優れた練習効果が期待できるものとなる。
【0015】
この場合、ゴール判定手段は、所定のアプリケーションをインストールしたスマートフォン又は通信機能付タブレット端末により機能的に構成されるとともに、そのディスプレイ画面又は/及びスピーカーが報知手段を兼ねるものとされ、測定手段に付設した通信手段で送信された測定データをそのスマートフォン又は通信機能付タブレット端末が受信することにより、前述した判定及び報知を実行することを特徴としたものとすれば、既存のスマートフォンや通勤機能付タブレット端末に専用のアプリケーションをインストールするだけで判定手段と報知手段が構成されることから、コストを大幅に抑えることが可能になるとともに、各種設定も操作パネルを使用して容易に行えるものとなり、且つ、そのディスプレイ画面に、シュートの長短がどの程度であったかやシュートの累積結果・成功率等、判定結果の詳細を表示させることが可能なものとなる。
【発明の効果】
【0016】
先端側が斜め下向きの状態で基端側を壁側に固定されるレール部材にボール保持部を長手方向に沿って摺動可能に装着した本発明によると、狭い場所や天井の低い場所であっても効果的なシュート練習が行えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明における実施の形態のバスケットボール練習具の側面図である。
【
図2】
図1のバスケットボール練習具の正面図である。
【
図3】
図1のボールを装着したバスケットボール練習具を壁に固定してシュート動作を行った場合のボール保持部の状態を示す側面図である。
【
図4】
図3の状態のバスケットボール練習具の正面図である。
【
図5】
図1のバスケットボール練習具の応用例を示す側面図である。
【
図6】
図5のバスケットボール練習具の正面図である。
【
図7】バスケットボールにおけるシュート時のボールの把持位置を示す模式図である。
【
図8】
図1、
図5のバスケットボール練習具の応用例を示す側面図である。
【
図9】
図1、
図5のバスケットボール練習具におけるボール把持部の応用例を示す側面図である。
【
図10】
図9のボール把持部の変形例を示す側面図である。
【
図11】
図1のバスケットボール練習具の応用例を示す側面図である。
【
図13】
図11のバスケットボール練習具の変形例を示す側面図である。
【
図15】
図11のバスケットボール練習具の応用例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態であるバスケットボール練習具1Aの側面図であり、
図2はその正面図である。このバスケットボール練習具1Aは、これに保持されたバスケットボール5を使用者が把持してバスケットボール競技におけるシュート練習を繰り返し行うためのものであり、弧状に湾曲した3本の指状部材3a,3b,3cがバスケットボールのボール5を保持可能な状態に支持部材31で基端側を支持されてなるボール保持部3Aと、このボール保持部3Aの支持部材31が長手方向に沿って所定範囲を摺動可能な状態に装着されているとともに先端側が所定角度斜め下向きの状態で基端側を壁側又は柱側に固定される左右一対の棒状のレール部材2a,2aとを備えている。
【0020】
このバスケットボール練習具1Aは、使用者がレール部材2a,2aにおける摺動範囲の下端側に位置するボール保持部3Aのボール5を、レール部材2a,2aに沿って斜め上向きに押し出して投球動作を行うことにより、レール部材2a,2aの長手方向に沿ってその摺動範囲の上端側まで上昇したボール5が、その重力で自動的に元の位置に戻るようになっており、同じ投球動作を反復して行えるようにした点を特徴としている。
【0021】
本実施の形態において、直方体状の支持部材31で基端側を支持された3本の指状部材3a,3b,3cは、保持するボール5の直径の5分の3程度の範囲までカバーする長さを有しているとともに、それらを支持している支持部材31の支持中心を中心にして120度間隔で放射状に設けられている。また、その支持部材31は横長の部材であり、その両端側を貫通して摺動孔31a,31bが設けられている。
【0022】
この支持部材31を摺動自在に支持するレール部材2a,2aは、棒状の直線的な部材であり、指状部材3a,3b,3cで保持されたボール5を間に配置可能な間隔にて左右一対で固定されており、横長の支持部材31の両端側に対で設けた摺動孔31a,31bに、左右のレール部材2a,2aを挿通することで、ボール保持部3Aが摺動可能な状態にて装着されている。
【0023】
このように、2本のレール部材2a,2aで左右から支持する方式としたことで、ボール5の摺動動作がスムースになるとともにその摺動角度が安定するため、正確なフォームの習得に一層効果的なものとなっている。尚、本実施の形態において、レール部材2a,2bは基本的には直線の部材が好適であるが、僅かに湾曲したものであっても使用することができる。
【0024】
本実施の形態において、一対のレール部材2a,2aは、金属製の管体を三角形状に屈曲してなる基体2Aを構成している3辺のうち、斜め上向きの1辺からなり、その下端側が斜め下向きの1辺で支持されて、その上端側が垂直な1辺で支持されており、約45度の斜め上向きの角度を固定されたものとなっている。このように、一対のレール部材2a,2aが、金属製の管体を三角形状にしたものの1辺からなり、他の2辺で支持されていることにより、その斜め上向きの角度が堅固に支持されて変化しにくいものとされている。
【0025】
そして、前述した垂直の1辺は、その上下両端側所定位置に横向きに開口したネジ孔200,200が設けられており、レール部材2aの基端側を所定角度で壁側に固定するための固定部材2bを構成している。また、前述した斜め下向きの1辺は、ボール保持部3Aの支持部材31上の摺動動作をレール部材2aの下端側で停止させるストッパ部材21を構成している。
【0026】
一方、ボール保持部3Aの指状部材3a,3b,3cは、保持するボール5の直径の5分の3程度までカバーする長さを有しているとともに、複数個の球体35が、その湾曲した内側面に開口した球体収納穴30内にその一部を外部に突出させながら総ての方向に回転自在な状態で収納されて、指状部材3a,3b,3cの先端側から所定間隔で各々配設されている。
【0027】
そのため、ボール保持部3Aにボール5を保持させることで、複数個配設された球体35の球面の一部がボール5の外面に各々接しながら、そのボール5を総ての方向に回転自在な状態で支持するようになっている。斯かる構成を採用したことで、シュート動作に伴ってボール5が回転するのを妨げにくくなるため、シュート時の微妙な手の感覚を養いやすいものとしている。
【0028】
図3は、ボール5を装着したバスケットボール練習具1Aを壁にネジ11で固定してシュート動作を行った場合のボール保持部3Aの状態を側面図で示しており、
図4はその正面図を示している。この場合、使用者はレール部材2a,2aの下端側に位置するボール保持部3Aのボール5を両手で把持しながら、それを斜め上向きに押し出して投球動作を行うことで、その支持部材31はレール部材2a,2aに沿って摺動しながら図のような上端側の位置に達する。
【0029】
斯かるシュート動作において、ボール5はボール保持部3Aの指状部材3a,3b,3cにより総ての方向に回転自在に保持されていることから、シュート動作に伴って僅かな回転を与えられながら押し出される。また、ボール5は、レール部材2a,2aにより押し出し角度(例えば45度)を規制されているため、シュート練習を反復することで、正しい投球角度を実現するための体の動作を習得することができる。
【0030】
図5、
図6は、前述したバスケットボール練習具1Aの応用例としてのバスケットボール練習具1Bを示している。この応用例では、基本的構成がバスケットボール練習具1Aと共通しているが、その左右一対のレール部材2c,2cは、その基端側がジョイント部22,22を介して壁側又は柱側に固定するための固定部材2d,2dに連結されており、これらで基体2B,2Bを構成している点を特徴としている。
【0031】
そのジョイント部22,22は、レール部材2c,2cを固定部材2d,2dに対する角度が所定範囲で変更可能な状態で連結しているが、これに内蔵したバネ29,29により停止した所定の角度位置からレール部材2c,2cの下端側を弾性的に揺動可能な状態で支持している。また、このジョイント部22,22は、レール部材2c,2cの傾斜角度を固定するための蝶ネジ28,28を備えた固定手段を有しており、シュート動作における押し出し角度の設定と変更が可能となっている。
【0032】
そのため、蝶ネジ28,28で傾斜角度を固定しない場合は、約45度の角度で支持されたレール部材2c,2cが、バネ29,29により所定範囲で弾性的に揺動可能であり、斜め上向きの基本の角度に僅かな放物線の曲線軌道を加える動作を習得することができ、蝶ネジ28,28で所望の傾斜角度で固定する場合は、使用者の身長やシュート距離に合った押し出し角度に設定して固定できることから、正確なフォームを一層習得しやすいものとなる。
【0033】
また、この応用例では、レール部材2c,2cを壁側又は柱側に固定するための管状の固定部材2d,2dが、ネジ孔を有した固定板2eの表面に付設した垂直方向の挿通管23,23に挿通された状態で、所望の高さ位置にて蝶ネジ28,28で固定可能なものとされている。そのため、使用者の身長に合わせてボールの高さを設定する作業が極めて容易なものとなっている。
【0034】
尚、上述した実施の形態において、支持部材31で基端側を支持される3本の指状部材3a,3b,3cを120度間隔で設ける構成を採用した理由として、シュート動作を行う者は、
図7に示すような位置でボールを把持して行うのが通常であるため、指状部材3a,3b,3cでボールを確実に保持しながら使用者がボールを把持する手の位置に干渉させない観点から、最適な配置角度であることが判明していることによる。
【0035】
図8は、上述したバスケットボール練習具1A,1Bの他の応用例としてのバスケットボール練習具1Cを示している。このバスケットボール練習具1Cは、レール部材2fの基端側がジョイント部22を介して固定部材2dで支持されて基体2Cを構成しているとともに、固定部材2dが固定板2gと挿通管23を介して高さ調整可能な状態にて固定されている点は、バスケットボール練習具1Bと基本構成が共通しているが、1本のレール部材2fのみでボール保持部3Bの支持部材33を摺動可能に支持している点を特徴としている。
【0036】
即ち、ボール保持部3Bの支持部材33は筒状の部材からなり、その上端側の開口部から棒状のレール部材2fが挿入されており、レール部材2fの下端側に設けたストッパ部材25で支持部材33が脱抜不能とされながら、レール部材2fの長手方向に沿って所定範囲で摺動自在なものとなっている。このように、バスケットボール練習具1Cは上述したものと比べて簡易な構成であるため、製造コストを低廉に抑えやすいものとしている。
【0037】
図9は、上述したバスケットボール練習具1A,1Bにおけるボール把持部3Aの応用例としてのボール把持部3Cの側面図である。このボール把持部3Cは、その指状部材3d,3e,3fが帯状の金属板を湾曲してなるものであり、その球体収納穴30に挿入した球体35の代わりに球体37を回転自在に収装したボールキャスター36を配設した点を特徴としている。
【0038】
このボール把持部3Cは、帯状の金属板に所定間隔で設けた図示しない装着孔にボールキャスター36の円柱状部を外側から挿入してドーナツ板部のネジ孔を介して複数個のボールキャスター36ネジ止めしたものである。このような構成を採用したことで、ボール把持部3Cは全体としてコンパクトになるとともに軽量化が達成できることに加え、指状部材3a,3b,3cの金属板が弾性反発力を有していることから、その先端側を弾性的に広げることでボール5を容易に着脱することができる。
【0039】
図10は、前述したボール把持部3Cの変形例としてのボール把持部3Dを示しており、その指状部材3g,3h,3iが、鋼線を屈曲して前述した指状部材3a,3b,3cと同様の輪郭を形成してなるものであり、その鋼線が並列した部分の隙間にボールキャスター36を挟み込んで固定した構成となっている。このような構成を採用したことで、さらなる軽量化を達成することができる。
【0040】
また、このボール把持部3Dは、その3本の指状部材3g,3h,3iを束ねた基端側が、支持部材34に対し中心軸線回りに回転可能に軸支されており、把持したボール5を指状部材3g,3h,3iとともに、押し出し方向を中心軸として回転動作させることができる。また、その支持部材34には指状部材3g,3h,3i基端側の回転方向の動きを固定するための固定手段として蝶ネジ28が付設されており、使用者が好む所定の回転角の位置で固定することもできる。
【0041】
図11は、上述したバスケットボール練習具1Aの応用例としてのバスケットボール練習具1Dを側面図で示しており、
図12はその正面図である。このバスケットボール練習具1Dは、シュート動作により支持部材31がレール部材2a,2aを摺動しながら上昇する速度を測定する測定手段としての速度センサ7と、この速度センサ7から送信された測定データに基づくシュート動作によるボール初速度と予め設定した投球角度を用いながら所定の計算方式によりそのシュート動作によるゴールの成功・不成功を判定するゴール判定手段としてのコントローラ10Aの制御部と、その制御部による判定結果を使用者に報知する報知手段としてのランプ75及びスピーカー3を備えている点を特徴としている。
【0042】
その速度センサ7は、固定部材2b側にネジ固定された支持脚71で支持されている断面コ字状のセンサ本体70がレール部材2aの上端側を外側から覆うように配置されており、その内側空間を通過する支持部材31を、その摺動方向に所定間隔で配置した2つの赤外線センサで検出するものであり、その測定信号が配線90を介してコントローラ10Aに送信されるようになっている。
【0043】
バスケットボール練習具1Dの下部側に付設されたコントローラ10Aは、図示しないマイコンとメモリを備えてゴール判定手段を機能的に構成する制御手段を内蔵しているとともに、液晶ディスプレイ11、入力キー12、スピーカー13を備えており、入力キー12を操作することで、バスケットボール練習具1Dの設置高さ、投球角度、ゴールまでの水平距離、ゴールの高さ等の基本データを予め入力しておくことにより、受信データによるボール初速度を基に放物線を描くボールの軌道が仮想のゴールに一致するか否かを所定の計算方式で算出する等して、投球されたボールがゴールに入るか否かの判定を行うものである。
【0044】
そして、判定結果については、スピーカー13で「ナイスシュート」「OK」「ゴール」とか「ミスシュート」「NO」のように発声したり、或いはブザーやチャイム等の音を鳴したりする等して音声で使用者に結果を報知するとともに、速度センサ7Aに付設したランプ75を点灯させて視覚的に報知するようになっている。このように、バスケットボール練習具1Dは、シュート動作ごとにゴール判定手段が判定しながら報知手段でシュート結果を使用者に知らせるものであり、使用者はシュート動作ごとにゴールの成功・不成功が分かることから、投球動作ごとに修正を加えることが可能となるため、優れた練習効果が期待できるものである。
【0045】
図13は、前述したバスケットボール練習具1Dの変形例としてのバスケットボール練習具1Eを側面図で示しており、
図14はその正面図である。この例では、その測定手段として、速度センサ7Aの代わりにレール部材2a,2a上端側に渡した支持板81の中央部に配設したストッパ82に支持部材31衝突する衝突力を測定する圧力センサ8を備えている点を特徴としており、ストッパ82の基端側のセンサ本体80の中に圧電素子等の圧力検出手段を内蔵しており、配線90で前述と同様の機能を有したコントローラ10Aに測定データを送信するものであり、前述と同様に判定結果をスピーカー13とランプ85で使用者に報知する方式となっている。
【0046】
図15は、上述したバスケットボール練習具1Dの応用例としてのバスケットボール練習具1Fを示している。この例では、そのゴール判定手段が、本発明専用のアプリケーションをインストールしたスマートフォン10D又は通信機能付タブレット端末10Cにより機能的に構成されるとともに、そのディスプレイ画面又は/及びスピーカーが報知手段を兼ねるものであり、測定手段である速度センサ7Bのセンサ本体70に付設したBluetooth(登録商標)等の通信方式を用いた無線通信装置73から送信された測定データを、前記アプリケーションをインストールしたスマートフォン10Dや通信機能付タブレット端末10Cが受信することにより、前述した判定及び報知を実行することを特徴としている。
【0047】
これにより、既存のスマートフォンや通信機能付タブレット端末に専用のアプリケーションをインストールするだけで本発明における判定手段と報知手段が構成されることから、コストを大幅に抑えることが可能になるとともに、前述した設置高さ、投球角度、ゴールまでの水平距離、ゴールの高さ等の基本データの設定も、そのディスプレイ画面に表示した操作パネルを使用しながら容易に行えるものとなる。
【0048】
また、そのディスプレイ画面と表示機能を使用すれば、シュート結果について「NiceShoot!」「OK」とか「NO」のように表示したり、ミスシュートの場合にそのシュートによる距離の長短がどの程度であったか、シュートの累積結果・成功率、等の判定結果や統計結果の詳細を表示させることが可能なものとなり、或いは、その判定結果に基づいて仮想のゴールに仮想のボールが入ったり外れたりする画像を動画で表示することも可能となる。そして、このスマートフォンや通信機能付タブレット端末をゴール判定手段・報知手段として用いる方式は、上述した総ての実施形態・実施例において適用することができる。
【0049】
尚、前述したボール把持部3C,3Dの特徴的な構成部分は、上述したバスケットボール練習具1A,1B,1C,1D,1E,1Fに各々適用することもでき、同様の作用効果を発揮することができる。
【0050】
以上、述べたように、シュート練習用のバスケットボール練習具について、本発明により、狭い場所や天井の低い場所であっても効果的な練習が行えるようになった。
【符号の説明】
【0051】
1A,1B,1C,1D,1E,1F バスケットボール練習具、2A,2B,2C 基体、2a,2c,2f レール部材、2b,2d 固定部材、3A,3B,3C,3D ボール保持部、3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i 指状部材、5 ボール、7A,7B 速度センサ、8 圧力センサ、10A,10B コントローラ、10C 通信機能付タブレット端末、10D スマートフォン、13 スピーカー、21,24 ストッパ部材、22 ジョイント部、28 蝶ネジ、30 球体収納穴、31,33,34 支持部材、31a,31b 摺動孔、35,37 球体、36 ボールキャスター、75,85 ランプ、73 無線通信装置