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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20220318BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021055396
(22)【出願日】2021-03-29
(62)【分割の表示】P 2017012627の分割
【原出願日】2017-01-27
(65)【公開番号】P2021101488
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2016069323
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 信雄
(72)【発明者】
【氏名】古川 長樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 克弘
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 裕樹
【審査官】田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-034057(JP,A)
【文献】特開平10-090038(JP,A)
【文献】特開2002-289571(JP,A)
【文献】特開2000-106354(JP,A)
【文献】特開2002-206957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための処理液を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された処理液が流入するように前記タンクに接続され、前記タンクから流入した処理液の液面が前記タンク内の処理液の増減に応じて移動するように形成された液面配管と、
前記液面配管内の前記液面を検出する液面センサと、
前記液面配管内における前記液面より上の配管空間に気体を供給するための給気配管と、
前記給気配管から前記液面配管に前記気体を供給して前記液面配管内の前記液面を下降移動させ、下降移動された前記液面を、前記配管空間から前記気体を排出して上昇移動させる制御部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記タンクから前記処理液が排出されない状態で、前記給気配管から前記液面配管に前記気体を供給して前記液面配管内の前記液面を下降移動させ、下降移動された前記液面を、前記配管空間から前記気体を排出して上昇移動させることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記液面配管内の前記液面が前記液面センサによって検知されない位置まで下降移動するように、前記気体を前記液面配管内の前記液面に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記液面の下降移動及び上昇移動を繰り返し行うよう、前記配管空間に対する前記気体の供給及び前記配管空間からの気体の排出を繰り返す制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
さらに、前記液面配管は、前記配管空間と前記タンク内における前記処理液の液面より上の空間に接続され、前記配管空間から前記タンクへの気体の流入を制限するオリフィスが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
さらに、前記液面配管内の前記液面よりも上の空間に接続され、前記配管空間から大気へ前記気体を排出する開放配管を有し、
前記開放配管の途中には、前記配管空間から大気へ排出するのを制限する開閉弁を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
タンクに貯留された処理液が流入するように前記タンクに接続された液面配管内の液面を液面センサにより検出する基板処理方法であって、
前記タンクから前記処理液が排出されない状態で、前記液面配管内における前記液面より上の配管空間に気体を供給し、前記液面配管内の前記液面を下降移動させ、下降移動された前記液面を、前記配管空間から前記気体を排出して上昇移動させる工程有することを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記液面配管内の前記液面が前記液面センサによって検知されない位置まで下降移動するように、前記気体を前記液面配管内の前記液面に供給することを特徴とする請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記液面の下降移動及び上昇移動を繰り返し行うよう、前記配管空間に対する前記気体の供給及び前記配管空間からの気体の排出を繰り返すことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置は、半導体ウェーハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶用ガラス基板など各種基板に対して種々の表面処理(例えば、エッチング処理やリンス処理など)を行う装置である。この基板処理装置は、処理液(例えば、エッチング液やリンス液などの薬液)を貯留するタンクを備えており、タンク内の処理液を基板の被処理面に供給して基板を処理する。
【0003】
この基板処理装置のタンク内には、タンク中の処理液を加熱するヒータが設けられている。これは、処理液の温度を所望温度以上に維持するためである。また、タンク外には、タンク内の液量を監視するため、タンク内と通じるL字形状の配管が設置され、その配管内の液面がセンサにより検知される。この液面センサは、例えば、タンク内の上限液量及び下限液量を検知するように二つ設けられている。これらの液面センサの検知結果に応じて、タンクに対する液補充動作やその補充動作の停止などの各種動作が制御される。
【0004】
前述の配管内の処理液温度は、ヒータが存在するタンク内の処理液の温度に比べて低くなる。このため、処理液の温度が低下すると、処理液の飽和量(添加材が処理液に溶解することができる量)が低下するため、配管内の処理液に含まれる添加材が析出し、析出した添加材が配管の内表面に付着する。析出した添加材が配管の内表面に付着すると、その析出物により液面センサが誤検出を起こすことがある。この液面センサの誤検出が生じると、タンク内の処理液の所望液量、例えば、上限液量や下限液量を正確に把握することができなくなる。一例として、液面センサの誤検出により下限液量、すなわち、液不足が把握されない場合には、処理液がタンクに供給されず、ヒータによる空焚きなどが発生し、装置が破損することもある。
【0005】
なお、液面センサの誤検出は、前述のように析出物が配管の内表面に付着することが原因となって生じるものである。析出物が配管の内表面に付着すると、例えば、液面センサは、配管内の処理液を検出する検出位置に処理液が無い場合でも、処理液を検出したり、その検出位置を間にして配管内の処理液が上下に移動する場合でも、処理液を検出し続けたりすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-151399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、処理液を貯留するタンク内の所望液量を正確に把握することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る基板処理装置は、基板を処理するための処理液を貯留するタンクと、前記タンクに貯留された処理液が流入するように前記タンクに接続され、前記タンクから流入した処理液の液面が前記タンク内の処理液の増減に応じて移動するように形成された液面配管と、前記液面配管内の前記液面を検出する液面センサと、前記液面配管内における前記液面より上の配管空間に気体を供給するための給気配管と、前記給気配管から前記液面配管に前記気体を供給して前記液面配管内の前記液面を下降移動させ、下降移動された前記液面を、前記配管空間から前記気体を排出して上昇移動させる制御部と、を備える。
【0009】
実施形態に係る基板処理方法は、タンクに貯留された処理液が流入するように前記タンクに接続された液面配管内の液面を液面センサにより検出する基板処理方法であって、前記タンクから前記処理液が排出されない状態で、前記液面配管内における前記液面より上の配管空間に気体を供給し、前記液面配管内の前記液面を下降移動させ、下降移動された前記液面を、前記配管空間から前記気体を排出して上昇移動させる工程を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、処理液を貯留するタンク内の所望液量を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る液供給部の概略構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る液供給部の概略構成を示す側面図である。
図4】第1の実施形態に係る液面センサ検出試験の流れを示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る液供給部の概略構成を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る液供給部の概略構成を示す図である。
図7】第4の実施形態に係る液供給部の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
第1の実施形態について図1から図4を参照して説明する。
【0013】
(基本構成)
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置10は、基板処理部20と、液供給部30と、液補充部40と、制御部50とを備えている。この基板処理装置10により用いられる処理液としては、例えば、Siなどの添加材を含む処理液(例えば、エッチング液やリンス液などの薬液)が挙げられる。
【0014】
基板処理部20は、基板の被処理面に処理液を供給して基板を処理する。この基板処理部20としては、例えば、枚葉式やバッチ式などの処理装置が用いられる。基板処理部20は制御部50に電気的に接続されており、その駆動が制御部50により制御される。
【0015】
液供給部30は、処理液を貯留し、貯留した処理液を基板処理部20に供給する。この液供給部30は、供給配管30aにより基板処理部20に接続されており、供給配管30aの途中に設けられたポンプ30bの駆動により基板処理部20に処理液を供給する。ポンプ30bは制御部50に電気的に接続されており、その駆動が制御部50により制御される。
【0016】
液補充部40は、液供給部30内の処理液の液量に応じて、液供給部30に処理液を補充する。この液補充部40は、補充配管40aにより液供給部30に接続されており、補充配管40aの途中に設けられたポンプ40bの駆動により液供給部30に処理液を補充する。ポンプ40bは制御部50に電気的に接続されており、その駆動が制御部50により制御される。
【0017】
制御部50は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも図示せず)とを備えている。この制御部50は、記憶部から基板処理情報や各種プログラムを読み出し、読み出した基板処理情報や各種プログラムに基づいて、基板処理部20の基板処理動作や液供給部30の液供給動作、液補充部40の液補充動作など各動作の制御を行う。なお、制御部50には、アラームや表示器などの報知部50aが電気的に接続されている。
【0018】
(液供給部)
図2及び図3に示すように、液供給部30は、タンク31と、ヒータ32と、複数本(図3の例では二本)の液面配管33と、複数本(図3の例では二本)の給気配管34と、
複数(図3の例では四個)の液面センサ35とを有している。
【0019】
タンク31は、処理液を貯留する貯留部である。このタンク31には、開放配管31aが接続されている。この開放配管31aの途中には、例えば電磁弁などの開閉弁31bが設けられている。この開閉弁31bは制御部50に電気的に接続されており、その開閉動作が制御部50により制御される。
【0020】
ヒータ32は、タンク31内の底面に設けられている。このヒータ32は、タンク31内の処理液を所望温度以上に加熱し、例えば、制御部50による制御に応じて処理液温度を所定範囲内に維持する。ヒータ32は制御部50に電気的に接続されており、その駆動が制御部50により制御される。
【0021】
各液面配管33は、それぞれ液面配管33の一端がタンク31の側面(図2の例では右側面)における底面側の端部に接続されており、その他端がタンク31の上面に接続されている。すなわち、液面配管33は、タンク31に貯留された処理液が流入するようにタンク31に接続されており、タンク31から流入した処理液の液面M1(図2参照)がタンク31内の処理液の増減に応じて移動するように形成されている。
【0022】
給気配管34は、液面配管33ごとに一つずつ設けられている。この給気配管34は、液面配管33の上端部に接続されており、液面配管33内の液面M1より上の配管空間に気体(例えば、N2ガスなどの不活性ガス)を供給するための配管である。各給気配管34の途中には、例えば電磁弁などの開閉弁34aが個別に設けられている。これらの開閉弁34aは制御部50に電気的に接続されており、それらの開閉動作が制御部50により制御される。
【0023】
なお、気体の流量や圧力は、液面配管33内の配管空間に供給された気体により液面配管33内の液面M1が所定距離(全ての液面センサ35がOFFになる距離)移動するように設定されている。ただし、気体の流量や圧力は、給気配管34の直径や処理液の粘度などの要因に応じて適宜変更可能である。また、液面配管33内の配管空間に対する気体の充填(供給)によってタンク31内の処理液温度が変化することはない。
【0024】
ここで、液面配管33内の配管空間は、タンク31内の液面より上のタンク空間につながっている。この液面配管33における上部の水平配管部分の内部には、貫通孔H1を有するオリフィス部材33a(図2参照)が設けられている。貫通孔H1の孔直径は、液面配管33の直径よりも小さい。オリフィス部材33aは、液面配管33内の配管空間に供給された気体が液面配管33の上部の水平配管部分を通ってタンク31内に流れ込むことを制限する。これにより、液面配管33内の配管空間に気体が充填されると、液面配管33内の液面M1が下降することになる。
【0025】
液面センサ35は、液面配管33ごとに二つずつ設けられている。これらの液面センサ35は、それぞれ液面配管33内の液面M1を検出する。例えば、各液面センサ35は、上限液量(HH)、補充開始液量(L)、補充停止液量(H)、下限液量(LL)を把握するよう、それぞれの位置に個別に設けられている。これらの液面センサ35は制御部50に電気的に接続されており、その検出信号が制御部50に入力される。各液面センサ35としては、例えば、静電容量センサなどを用いる。なお、本実施形態では、静電容量センサがONである場合に処理液(液面M1)を検出している状態であり、OFFである場合に処理液を検出していない状態である。
【0026】
ここで、上限液量(HH)用の液面センサ35及び下限液量(LL)用の液面センサ35は固定されているが、補充開始液量(L)用の液面センサ35及び補充停止液量(H)用の液面センサ35は高さ方向に移動可能に形成されている。これにより、ユーザは、必要に応じて補充開始液量用の液面センサ35及び補充停止液量用の液面センサ35の高さ位置を変更し、補充開始液量及び補充停止液量を調整することが可能である。
【0027】
なお、前述の液面配管33の本数は二本であり、液面センサ35は液面配管33ごとに二つずつ設けられているが(図3参照)、これに限るものではなく、液面配管33の本数は一本だけでも良い。ただし、一本の液面配管33に対して四つの液面センサ35を設けたとき、液面センサ35同士の間隔が狭い状態が生じる場合がある。つまり、上限液量(HH)と補充停止液量(H)との間隔や補充開始液量(L)と下限液量(LL)との間隔が狭くなり、各液面センサ35が検知する位置で干渉し合うことがある。このため、液面センサ35同士の干渉を防ぐためには、液面配管33の本数を一本ではなく複数本とすることが望ましい。
【0028】
制御部50は、通常運転中において、各液面センサ35の検出結果に基づいて、タンク31内の処理液の液量を把握する。例えば、制御部50は、各液面センサ35の検出結果に基づいて、液量が上限液量(HH)以上であると判断すると、その旨を報知部50aにより報知してユーザに警告を発する。また、制御部50は、液量が補充開始液量(L)以下であると判断すると、液補充部40のポンプ40bを駆動し、液補充部40から液供給部30に補充配管40aを介して処理液を補充する。その後、液量が補充停止液量(H)であると判断すると、液補充部40のポンプ40bを止め、液補充部40から液供給部30への処理液の補充を停止する。また、制御部50は、液量が下限液量(LL)以下であると判断すると、その旨を報知部50aにより報知してユーザに警告を発し、さらに、基板処理部20への液供給及びヒータ32による加熱を停止する。その後、制御部50は、液量が補充開始液量(L)以上であると判断すると、ヒータ32による加熱を再開し、液量が補充開始液量(L)以上であり、且つ処理液の温度が、設定された温度範囲内になったと判断すると、基板処理部20への液供給を再開する。
【0029】
また、前述の制御部50は、液面センサ35の検出試験において、各給気配管34の個々の開閉弁34aを開き、各液面配管33内の配管空間に気体を供給し、液面配管33内の液面M1を移動させ、液面センサ35ごとに、液面センサ35の検出結果に基づいて液面センサ35の誤検出の有無を判断する。すなわち、制御部50は、液面配管33内の液面M1の移動に応じて、液面センサ35が正常に検出するか否かを判断する。例えば、制御部50は、液面配管33内の液面M1が下限液量(LL)の位置より低い位置まで下降した状態で、液面センサ35がOFF(液面不検出時)となるか否かを判断する。液面センサ35がOFFとならないと判断した場合には、その液面センサ35の誤検出が有ると判定する。また、制御部50は、前述の気体供給を停止し、液面配管33内の液面M1が上限液量(HH)の位置より高い位置まで上昇した状態で、液面センサ35がON(液面検出時)になるか否かを判断する。液面センサ35がONにならないと判断した場合には、その液面センサ35の誤検出が有ると判定する。
【0030】
(液面センサ検出試験)
次に、前述の基板処理装置10が行う液面センサ検出試験について詳しく説明する。
【0031】
液面センサ検出試験では、上限液量(HH)と下限液量(LL)における報知部50aによる警告(アラーム)、また、装置の動作停止操作を実行しない試験モードが設定される。また、試験モード設定時には、液供給部30から基板処理部20への処理液の供給は停止されている。さらに、液供給部30のタンク31は、開放配管31aの開閉弁31bが開かれて大気開放されている。なお、液面センサ検出試験は、基本的に、基板処理中以外で所定期間ごとに実行されたり、あるいは、待機期間中に実行されたりする。ただし、基板処理に悪影響を与えない場合には基板処理中に実行されても良い。
【0032】
図4に示すように、ステップS1において、補充配管40aのポンプ40bが駆動され、処理液が液補充部40から補充配管40aを介して液供給部30のタンク31内に補充される。このとき、各液面配管33内の液面M1が上限液量(HH)の位置になるまで(図3参照)、補充動作は継続される。そして、液面配管33内の液面M1が上限液量(HH)の位置となると、処理液の補充が停止される。これにより、全ての液面センサ35の検出試験準備が完了する。
【0033】
ここで、処理液の補充動作では、補充開始液量(L)と補充停止位置(H)との間に液面M1がある場合、液面M1の高さ位置に変動があるため、一定の供給量で処理液を補充するのではなく、上限液量(HH)の位置に達するまで、処理液の供給が継続される。一方、液面センサ検出試験前、タンク31内には所定量の処理液が予め充填されているが、初回の液面センサ検出試験前などタンク31内が空である場合には、液面M1が上限液量(HH)の位置になる所定量、一定の流量で所定時間、処理液がタンク31内に供給される。
【0034】
ステップS2において、各給気配管34の個々の開閉弁34aが開かれ、気体が各液面配管33内の配管空間に供給される。これにより、各液面配管33内の配管空間に所定量の気体が充填され、各液面配管33内の液面M1は、下限液量(LL)の位置よりも低い位置まで移動する。なお、このときの気体の流量や圧力は、液面配管33内の配管空間に供給された気体により液面配管33内の液面M1が、下限液量(LL)の位置よりも低い位置まで移動するように予め設定されている。
【0035】
ステップS3において、各液面配管33内の液面M1が下限液量(LL)の位置よりも低い状態で、全ての液面センサ35はOFFであるか否かが判断される。全ての液面センサ35がOFFであると判断されると(YES)、ステップS4において、各給気配管34の個々の開閉弁34aが閉じられ、各液面配管33内の配管空間に対する気体の供給が停止される。これに応じて、各液面配管33内の配管空間内の気体は、各液面配管33の上部の水平配管部分、すなわち、オリフィス部材33aの貫通孔H1を通ってタンク31内に徐々に排出される。これにより、各液面配管33内の液面M1は、元の上限位置(HH)までゆっくりと移動する(下降速度より上昇速度の方が遅い)。
【0036】
ステップS5において、気体の供給停止から所定時間後、すなわち各液面配管33内の液面M1が上限液量(HH)の位置以上である状態で、各液面センサ35はONであるか否かが判断される。全ての液面センサ35がONであると判断されると(YES)、ステップS6において、各液面センサ35の誤検出は無いと判定される。
【0037】
一方、前述のステップS3において、各液面センサ35がOFFでないと判断されると(NO)、あるいは、前述のステップS5において、各液面センサ35はONでないと判断されると(NO)、ステップS7において、液面センサ35の誤検出判断回数(リトライ回数)が所定回数(例えば、三回)であるか否かが判断される。
【0038】
ステップS7において、液戻りの判断回数が所定回数(例えば、三回)でないと判断されると(NO)、処理がステップS2に戻されて、ステップS2の処理以降が繰り返される。
【0039】
一方、ステップS7において、液戻りの判断回数が所定回数(例えば、三回)であると判断されると(YES)、ステップS8において、各液面センサ35の誤検出が有ると判定される。この場合には、例えば、各液面センサ35の誤検出が有ることが報知部50aによりユーザに報知される。なお、制御部50は、誤検出が有る液面センサ35を特定することが可能であり、その誤検出が起きた液面センサ35を報知部50aによりユーザに報知する。
【0040】
このような液面センサ検出試験では、各液面配管33内の配管空間に気体が供給され、液面配管33内の液面M1が移動する。これに応じて、液面センサ35ごとに、液面センサ35の検出結果に基づいて液面センサ35の誤検出の有無が判断される。例えば、液面配管33内の液面M1が下限液量(LL)の位置より低い位置まで下降した状態で、液面センサ35がOFFとなるか否かが判断される。液面センサ35がOFFとならないと判断されると、その液面センサ35の誤検出が有ると判定される。さらに、気体供給が停止され、液面配管33内の液面M1が上限液量(HH)の位置より高い位置まで上昇した状態で、各液面センサ35がONになるか否かが判断される。液面センサ35がONにならないと判断された場合には、その液面センサ35の誤検出が有ると判定される。このようにして、液面センサ35の誤検出を把握することが可能となるので、誤検出が有る液面センサ35の検出結果に基づいてタンク31内の液量を求めることは無くなる。これにより、処理液を貯留するタンク31内の所望液量を正確に把握することができる。
【0041】
ここで、各液面センサ35の誤検出が有ると判定された場合には、液面配管33の内表面に添加材の析出物が付着している状態である。この析出物を除去するためには、例えば、各液面配管33内の配管空間に対する気体の充填(供給)及び排出を繰り返し、各液面配管33内の液面M1を反復的に上下に移動させることが有効である。この場合には、各液面配管33内の液面M1の反復的な上下動により、液面配管33の内周面に付着している析出物を剥がすように取り除くことができる。このため、液面センサ35の誤検出を抑えることが可能となるので、処理液を貯留するタンク31内の所望液量を正確に把握することができる。
【0042】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、給気配管34から液面配管33内の配管空間に気体を供給し、液面配管33内の液面M1を移動させることに応じて、液面センサ35の検出結果に基づいて液面センサ35の誤検出の有無を判断することによって、液面センサ35の誤検出の有無を把握することが可能となる。これにより、誤検出が有る液面センサ35の検出結果に基づいてタンク31内の液量を求めることは無くなり、誤検出が無い液面センサ35の検出結果に基づいてタンク31内の液量を求めることになる。したがって、処理液を貯留するタンク31内の所望液量を正確に把握することができる。
【0043】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について図5を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(液面配管の構造)について説明し、その他の説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、第2の実施形態に係る液面配管33の一端は、第1の実施形態と同様、タンク31の側面(図5の例では右側面)における底面側の端部に接続されているが、その他端は、第1の実施形態と異なり、タンク31の上面(タンク31内の空間)に接続されておらず、給気配管34に接続されている。
【0045】
また、液面配管33の上端部には、開放配管33bが接続されている。なお、開放配管33bの一端は液面配管33における上限液量(HH)の位置よりも高い位置に接続されており、その開放配管33bの他端は大気に開放されている。この開放配管33bの途中には、例えば電磁弁などの開閉弁33cが設けられている。この開閉弁33cは制御部50に電気的に接続されており、その開閉動作が制御部50により制御される。なお、開閉弁33cは、給気配管34からの気体供給時には閉じられ、気体供給停止後には開けられる。
【0046】
この液面配管33でも、第1の実施形態と同じように、気体が液面配管33内の配管空間に充填されると、液面配管33内の液面M1は移動する。このとき、液面配管33内に供給された気体は、第1の実施形態と異なり、タンク31側に排気されず、液面配管33内の液面M1に作用する。このため、気体の流量や圧力などが第1の実施形態と同じであれば、液面配管33内の液面M1の移動速度は第1の実施形態よりも速くなる。これにより、液面センサ検出試験において、液面配管33内の液面M1の移動の待ち時間を短くすることが可能となるので、液面センサ検出試験の試験時間を短縮することができる。
【0047】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、液面配管33の一端をタンク31内の空間に接続せず、液面配管33に開放配管33bを接続することによって、液面配管33内の配管空間に供給された気体はタンク31内に排気されずに液面配管33内の液面M1に作用するため、液面センサ検出試験の試験時間を短縮することができる。
【0048】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について図6を参照して説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態との相違点(加熱部)について説明し、その他の説明を省略する。
【0049】
図6に示すように、第3の実施形態に係る液供給部30は、ヒータなどの加熱部36を備えている。加熱部36は、液面配管33の外周に設けられており、液面配管33内の処理液を加熱して処理液温度を所定範囲内に維持する。これにより、液面配管33内の処理液の温度低下を抑制することが可能となり、添加材の析出を抑えることができる。加熱部36は制御部50に電気的に接続されており、その駆動が制御部50により制御される。
【0050】
ただし、前述の温度制御を行う場合でも、液面配管33内の処理液に含まれる添加材が析出して液面配管33の内表面に付着することがある。このため、制御部50は、例えば、液面センサ35の誤検出が有ると判断した場合には、液面センサ35の誤検出が無いと判断した場合に比べ、加熱部36による処理液の加熱温度を上げる。これにより、液面配管33内の処理液をより高い温度で加熱し、液面配管33の内表面に付着する析出物を処理液中に溶かして除去することができる。
【0051】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、液面配管33に加熱部36を設けることによって、液面配管33内の処理液を加熱して処理液温度を所定範囲内に維持することが可能となるので、液面配管33内の処理液に含まれる添加材が析出して液面配管33の内表面に付着することを抑えることができる。さらに、液面センサ35の誤検出が有ると判断した場合には、液面センサ35の誤検出が無いと判断した場合に比べ、加熱部36による処理液の加熱温度を上げることで、液面配管33内の処理液をより高い温度で加熱し、液面配管33の内表面に付着する析出物を処理液中に溶かして除去することができる。
【0052】
なお、前述の第3の実施形態においては、加熱部36を設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、加熱部36に換えて、液面配管33内の処理液を振動させる振動部(図6中の符号36参照)を設けることも可能であり、あるいは、それらの両者を設けることも可能である。振動部により液面配管33内の処理液を振動させることで、液面配管33の内表面に付着した析出物を除去することができる。例えば、制御部50は、液面センサ35の誤検出が有ると判断した場合だけ、振動部により処理液を振動させる。あるいは、制御部50は、液面配管33の内表面に析出物が付着することを抑制するため、振動部により処理液を常に振動させておき、液面センサ35の誤検出が有ると判断した場合、液面センサ35の誤検出が無いと判断した場合に比べ、振動部による処理液の振動数を上げることも可能である。この場合には、液面配管33内の処理液をより高い振動数で振動させ、液面配管33の内表面に付着した析出物を確実に除去することができる。
【0053】
<第4の実施形態>
第4の実施形態について図7を参照して説明する。なお、第4の実施形態では、第1の実施形態との相違点(循環部)について説明し、その他の説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、第4の実施形態に係る液供給部30は、圧送を可能とする循環部37を備えている。循環部37は、例えばポンプなどであり、タンク31内に接続されている。この循環部37は制御部50に電気的に接続されており、その駆動が制御部50により制御される。循環部37は、密閉状態のタンク31内の処理液を押し、液面配管33内の処理液をタンク31内に戻して循環させる。タンク31内の処理液は、液面配管33の下側の開口から液面配管33内に流入する。流入した処理液は、液面配管33内を上昇する方向に流れ、液面配管33の上側の開口からタンク内31に流入して戻る。これにより、液面配管33内には、処理液の流れが生じる。
【0055】
このような循環動作は定期的に実行される。これにより、定期的に、処理液が液面配管33内を通って循環し、液面配管33内の処理液は移動することになる。この処理液の流動により、液面配管33の内表面に析出物が付着することを阻止することができる。また、タンク31内で加熱された処理液が液面配管33内に流入するため、液面配管33内を加熱することも可能となり、液面配管33内の析出物を処理液中に溶かして除去することができる。さらに、液面配管33内の処理液に含まれる添加材が析出して液面配管33の内表面に付着することも抑えることができる。
【0056】
ただし、前述の循環制御を定期的に行う場合でも、液面配管33内の処理液に含まれる添加材が析出して液面配管33の内表面に付着することがある。このため、制御部50は、例えば、液面センサ35の誤検出が有ると判断した場合には、液面センサ35の誤検出が無いと判断した場合に比べ、循環部37によりタンク31内の処理液を押し出す力を強くし、循環する処理液の流速を上げる。これにより、液面配管33内の処理液をより速い流速で循環させ、液面配管33の内表面に付着する析出物を除去することができる。
【0057】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、タンク31に循環部37を設けることによって、液面配管33内の処理液をタンク31内に戻して循環させることが可能になるので、液面配管33内の処理液に含まれる添加材が析出して液面配管33の内表面に付着することを抑えることができる。さらに、液面センサ35の誤検出が有ると判断した場合には、液面センサ35の誤検出が無いと判断した場合に比べ、循環部37による処理液の流速を上げることで、液面配管33内の処理液をより速い流速で循環させ、液面配管33の内表面に付着する析出物を除去することができる。
【0058】
<他の実施形態>
前述の各実施形態においては、液面センサ35を複数個(図3の例では四つ)設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、上限液量(HH)用及び下限液量(LL)用の二つの液面センサ35だけを設けることも可能であり、また、下限液量(LL)用の一つ液面センサ35だけを設けることも可能であり、その個数は特に限定されるものではない。また、全ての液面センサ35を検出試験対象とする必要はなく、誤検出が生じやすい液面センサ35だけを検出試験対象とすることも可能である。この場合には、前述の図4中のステップS1の液補充は必ずしも実行する必要はなく、検出試験対象の液面センサ35がON状態であれば、ステップS1の液補充を省略することが可能である。
【0059】
また、前述の各実施形態においては、液面配管33の配管空間に対する気体の供給に応じ、液面センサ35のON、OFFに基づいて液面センサ35の誤検出の有無を判断することを例示したが、これに限るものではない。例えば、液面配管33の配管空間に対する気体充填により一旦下降した液面M1が元の位置に戻ってくる液の戻り時間に応じて、液面センサ35の誤検出の有無を判断することも可能である。液の戻り時間は、液面配管33の内表面に付着する析出物の量に応じて変化し、例えば、析出物の量が多くなるほど長くなる。このため、液の戻り時間が所定時間内であれば、析出物の量が所定量(液面センサ35の誤検出が発生しない析出物の量)以下であり、液面センサ35の誤検出は無いと判定する。一方、液の戻り時間が所定時間内でない場合には、析出物の量が前述の所定量より多く、液面センサ35の誤検出が有ると判定する。なお、液の戻り時間と析出物の量との相関関係は予め実験などによって求められており、この相関関係に基づいて前述の所定時間は設定されている。
【0060】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
10 基板処理装置
31 タンク
33 液面配管
33b 開放配管
34 給気配管
35 液面センサ
36 加熱部
37 循環部
50 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7