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特許7042947情報提供方法、情報提供装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】情報提供方法、情報提供装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/12 20120101AFI20220318BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220318BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220318BHJP
【FI】
G06Q20/12 300
G06Q30/06 300
G06Q50/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021071936
(22)【出願日】2021-04-21
【審査請求日】2021-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313011434
【氏名又は名称】エヌエイチエヌ コーポレーション
【住所又は居所原語表記】(Sampyeong-dong),16,Daewangpangyo-ro 645 beon-gil,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】515285741
【氏名又は名称】NHN comico株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ハンミン
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106656(JP,A)
【文献】特開2002-197379(JP,A)
【文献】特開2021-026664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する情報提供方法であって、
第1グループに含まれる複数の第1コンテンツの少なくとも1つの利用権を放棄するための指示を通信装置から受信すると、当該第1コンテンツの利用権に対応する価値を算出し、
前記第1グループに関連する第2グループに含まれる複数の第2コンテンツのうち、前記価値により交換可能な少なくとも1つの第2コンテンツの利用権を決定し、
前記第1コンテンツの利用権の放棄により得られる前記価値を提示するための価値情報と、前記価値により交換可能な前記第2コンテンツの利用権を提案するための提案情報と、を前記通信装置に提供すること、
を含む、情報提供方法。
【請求項2】
前記価値情報は、第1金銭資産および前記第1金銭資産よりも使用制限を受け前記第1金銭資産よりも多い第2金銭資産として前記価値を提示するための情報を含む、請求項1に記載の情報提供方法。
【請求項3】
前記提案情報は、前記第1金銭資産および前記第2金銭資産のそれぞれにおいて交換可能な前記第2コンテンツの利用権を提案するための情報を含む、請求項2に記載の情報提供方法。
【請求項4】
前記第1コンテンツの利用権の放棄により得られる価値を、前記第1金銭資産で受け取るか、前記第2金銭資産のいずれで受け取るか、前記提案情報に基づく前記第2コンテンツの利用権に交換するか、を示す情報を、前記通信装置から受信することを含む、請求項2または請求項3に記載の情報提供方法。
【請求項5】
前記価値を前記第1金銭資産または前記第2金銭資産によって受け取ることを示す情報を受信した場合に、前記提案情報に含まれる前記第2コンテンツを変更した前記提案情報を前記通信装置に提供することを含む、請求項2から請求項4のいずれかに記載の情報提供方法。
【請求項6】
前記第1コンテンツの利用権を放棄することを中止するための情報を受信した場合に、前記提案情報に含まれる前記第2コンテンツを変更した前記提案情報を前記通信装置に提供することを含む、請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報提供方法。
【請求項7】
前記価値情報を前記通信装置に提供した後、前記通信装置において所定の操作が受け付けられた場合に前記提案情報を前記通信装置に提供する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の情報提供方法。
【請求項8】
前記所定の操作は、前記第1コンテンツの利用権を放棄することを中止するための操作である、請求項7に記載の情報提供方法。
【請求項9】
前記第1コンテンツの利用権に対応する価値を算出することは、前記第1グループにおいて所定の条件を満たす複数の第1コンテンツの利用権をまとめて放棄する場合には、当該利用権を個別に放棄した場合よりも、当該複数の第1コンテンツの利用権に対応する価値を大きく算出することを含む、請求項1から請求項8のいずれかに記載の情報提供方法。
【請求項10】
前記所定の条件を満たすための複数の第1コンテンツの利用権を放棄しない場合には、当該所定の条件を満たすために利用権を放棄する必要のある前記第1コンテンツを示す不足情報を、前記通信装置に提供することをさらに含む、請求項9に記載の情報提供方法。
【請求項11】
前記第1グループに含まれる前記複数の第1コンテンツの少なくとも1つの利用権を放棄するための指示は、前記第1グループに含まれる全ての前記第1コンテンツの利用権を放棄するための指示として前記通信装置から送信され、前記複数の第1コンテンツの一部の利用権を放棄するための指示としては前記通信装置から送信されない、請求項1から請求項10のいずれかに記載の情報提供方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の情報提供方法を、前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
第1グループに含まれる複数の第1コンテンツの少なくとも1つの利用権を放棄するための指示を通信装置から受信すると、当該第1コンテンツの利用権に対応する価値を算出し、
前記第1グループに関連する第2グループに含まれる複数の第2コンテンツのうち、前記価値により交換可能な少なくとも1つの第2コンテンツの利用権を決定し、
前記第1コンテンツの利用権の放棄により得られる前記価値を提示するための価値情報と、前記価値により交換可能な前記第2コンテンツの利用権を提案するための提案情報と、を前記通信装置に提供すること、
を実行する制御部を含む、情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによって利用される端末でコンテンツデータを受信することによって、ユーザは様々なコンテンツを利用することができる。このようなコンテンツには、例えば、音楽、書籍、動画などが含まれ、ユーザが金銭を支払うことによって入手されるコンテンツも存在する。このようなコンテンツデータ(コンテンツが記録されたデータ)には、他のユーザによって利用される端末に提供されることができないように、データを保護する技術が施されている。データを保護する技術によって、コンテンツデータからコンテンツを再生できるユーザを制限することができる。このように、コンテンツを利用するために、コンテンツデータそのものを所持するだけではなく、コンテンツの利用権(ライセンス)を得る必要がある。
【0003】
ユーザが入手したコンテンツを必要としなくなった場合には、そのコンテンツはユーザにとって価値がなくなる。コンテンツが記録された媒体が例えば現実の書籍等の場合には、ユーザは、不要となった書籍を手放すことでその対価を得ることができる。ユーザが手放した書籍は、中古市場で流通することができる。一方、コンテンツデータは電子データであって、そのデータ自身に新旧の概念は存在しないことから、中古市場で流通するという概念も存在しない。そのため、一般的には、コンテンツデータが売却されることは想定されていない。
【0004】
しかしながら、コンテンツデータであっても不要になったコンテンツを、現実の書籍等と同様に売却したいという要求も多い。この要求に応えるため、コンテンツの利用権を削除することによって、ユーザはその対価を得ることができる技術も開発されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-293555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンテンツの利用権を得るために支払った金銭と、コンテンツの利用権を放棄することにより得た金銭との差分によって、ユーザはコンテンツを利用することができる。しかしながら、コンテンツを提供するサービス事業者は、ユーザが利用していたコンテンツの利用権を削除したとしても、コンテンツを利用可能なユーザ数が減るだけであって収益にはほとんど貢献しない。すなわち、サービス事業者は、コンテンツの売却を希望するユーザに対して、最初に販売する価格より安い価格でコンテンツを提供していることになる。したがって、コンテンツデータを売却するシステムが導入されたとしても、サービス事業者にメリットが生じるようにすることが望ましい。
【0007】
本発明の目的の一つは、コンテンツの利用権を放棄することができる場合においても、サービス事業者にメリットが生じるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、第1グループに含まれる複数の第1コンテンツの少なくとも1つの利用権を放棄するための指示を通信装置から受信すると、当該第1コンテンツの利用権に対応する価値を算出し、前記第1グループに関連する第2グループに含まれる複数の第2コンテンツのうち、前記価値により交換可能な少なくとも1つの第2コンテンツの利用権を決定し、前記第1コンテンツの利用権の放棄により得られる前記価値を提示するための価値情報と、前記価値により交換可能な前記第2コンテンツの利用権を提案するための提案情報と、を前記通信装置に提供すること、を含む、情報提供方法が提供される。
【0009】
前記価値情報は、第1金銭資産および前記第1金銭資産よりも使用制限を受け前記第1金銭資産よりも多い第2金銭資産として前記価値を提示するための情報を含んでもよい。
【0010】
前記提案情報は、前記第1金銭資産および前記第2金銭資産のそれぞれにおいて交換可能な前記第2コンテンツの利用権を提案するための情報を含んでもよい。
【0011】
前記第1コンテンツの利用権の放棄により得られる価値を、前記第1金銭資産で受け取るか、前記第2金銭資産のいずれで受け取るか、前記提案情報に基づく前記第2コンテンツの利用権に交換するか、を示す情報を、前記通信装置から受信することを含んでもよい。
【0012】
前記価値を前記第1金銭資産または前記第2金銭資産によって受け取ることを示す情報を受信した場合に、前記提案情報に含まれる前記第2コンテンツを変更した前記提案情報を前記通信装置に提供することを含んでもよい。
【0013】
前記第1コンテンツの利用権を放棄することを中止するための情報を受信した場合に、前記提案情報に含まれる前記第2コンテンツを変更した前記提案情報を前記通信装置に提供することを含んでもよい。
【0014】
前記価値情報を前記通信装置に提供した後、前記通信装置において所定の操作が受け付けられた場合に前記提案情報を前記通信装置に提供してもよい。
【0015】
前記所定の操作は、前記第1コンテンツの利用権を放棄することを中止するための操作であってもよい。
【0016】
前記第1コンテンツの利用権に対応する価値を算出することは、前記第1グループにおいて所定の条件を満たす複数の第1コンテンツの利用権をまとめて放棄する場合には、当該利用権を個別に放棄した場合よりも、当該複数の第1コンテンツの利用権に対応する価値を大きく算出することを含んでもよい。
【0017】
前記所定の条件を満たすための複数の第1コンテンツの利用権を放棄しない場合には、当該所定の条件を満たすために利用権を放棄する必要のある前記第1コンテンツを示す不足情報を、前記通信装置に提供することをさらに含んでもよい。
【0018】
前記第1グループに含まれる前記複数の第1コンテンツの少なくとも1つの利用権を放棄するための指示は、前記第1グループに含まれる全ての前記第1コンテンツの利用権を放棄するための指示として前記通信装置から送信され、前記複数の第1コンテンツの一部の利用権を放棄するための指示としては前記通信装置から送信されなくてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンテンツの利用権を放棄することができる場合においても、サービス事業者にメリットが生じるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態における通信装置の構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態におけるサーバの構成を示すブロック図である。
図4】一実施形態におけるコンテンツデータベースの例を示す図である。
図5】一実施形態における顧客管理データベースの例を示す図である。
図6】一実施形態におけるライセンスデータベースの例を示す図である。
図7】一実施形態における設定画面の例を示す図である。
図8】一実施形態における売却処理を説明するためのフローチャートである。
図9】一実施形態における売却処理を説明するためのフローチャートである。
図10】一実施形態における選択画面の例を示す図である。
図11】変形例における選択画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されない。本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0022】
[通信システムの構成]
図1は、一実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。一実施形態における通信システム1000は、通信装置10およびサーバ50(情報提供装置)を有するクライアントサーバシステムである。通信装置10およびサーバ50は、インターネット、通信回線などのネットワークNWに接続される。図1において、サーバ50は、単一の装置として記載しているが、互いに協働する複数の装置で構成されていてもよい。
【0023】
クライアントである通信装置10は、例えば、スマートフォンであり、ネットワークNWに接続することによって他の装置と通信することができる。通信装置10は、スマートフォンに限らず、タブレット型端末、携帯ゲーム機等のユーザが保持可能な携帯装置であってもよいし、デスクトップパソコンのような据え置き型の装置であってもよい。
【0024】
通信装置10は、インストールされた閲覧プログラムを実行することにより、サーバ50と連携して通信装置10を利用するユーザに対して様々なコンテンツを提供する。コンテンツは、この例では、サーバ50から提供される電子書籍である。コンテンツは、電子書籍のような文字または静止画によって提供される情報に限らず、動画または音楽によって提供される情報であってもよい。
【0025】
サーバ50は、通信装置10に対して、アプリケーションプログラムを提供したり、各種のサービスを提供したりする情報処理装置の一例である。各種のサービスには、例えば、通信装置10においてコンテンツを利用する際におけるログイン処理、ライセンス処理、ポイント管理処理、コンテンツ提供処理、売却処理などのサービスが含まれる。以下、単にサービスという場合には、サーバ50によって提供されるものをいう。そのほか、各種のサービスには、例えば、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が含まれていてもよい。サーバ50がサービス提供プログラムを実行することによって、各種のサービスを実行するための機能がサーバ50において実現される。この機能には、情報提供方法を実行するための機能が含まれる。以下に説明する売却処理は、情報提供方法に含まれる処理の一例である。
【0026】
アプリケーションプログラムには、例えば、以下に説明する電子書籍を閲覧するためのアプリケーションプログラム(閲覧プログラム)が含まれる。アプリケーションプログラムは、サーバ50が読み取り可能な記録媒体に記録されている。記録媒体は、サーバ50に含まれる記憶装置であってもよいし、サーバ50に接続される記憶装置であってもよいし、サーバ50がネットワークNWを介して接続される記憶装置であってもよい。
【0027】
[通信装置の構成]
図2は、一実施形態における通信装置の構成を示すブロック図である。一実施形態における通信装置10は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、センサ部15、撮像部16、位置検出部17および通信部18を含む。通信装置10は、これらの構成のすべてを含むものに限定されない。また、通信装置10は、マイクロフォン、スピーカなど他の構成を含んでもよい。
【0028】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ(演算処理回路)およびRAM等の記憶装置を備えるコンピュータの一例である。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムをプロセッサにより実行して、各種機能を通信装置10において実現させる。通信装置10の各要素から出力される信号は、通信装置10において実現される各種機能によって使用される。制御部11は、閲覧プログラムを実行することによって、電子書籍を購入し、閲覧し、および売却するための指示を通信装置10に入力することができる。電子書籍を購入することは、後述するポイントを電子書籍に交換することを含む。電子書籍を売却することは、電子書籍をポイントに交換することを含む。
【0029】
記憶部12は、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置である。記憶部12は、プログラムおよび当該プログラムの実行に必要となるパラメータ等の各種データを記憶する。上述した閲覧プログラムは、サーバ50または他のサーバからネットワークNW経由でダウンロードされ、記憶部12に記憶されることによって、通信装置10にインストールされる。閲覧プログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。この場合、通信装置10は、この記録媒体を読み取る装置を備えていればよい。記憶部12も記録媒体の一例である。
【0030】
表示部13は、制御部11の制御に応じて、各種の画面(例えば、閲覧画面、設定画面、選択画面等)を表示する表示領域を有するディスプレイである。表示部13は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等の表示装置である。
【0031】
操作部14は、ユーザの操作に応じた信号を制御部11に出力する操作装置である。操作部14は、表示部13の表面に配置されたタッチセンサである。操作部14は、表示部13と組み合わせることによってタッチパネルを構成する。ユーザの指またはスタイラスペン等で操作部14に接触することによって、ユーザの操作に応じた命令または情報が通信装置10へ入力される。操作部14は、通信装置10の筐体に配置されたスイッチを含んでもよい。
【0032】
センサ部15は、通信装置10の動き、通信装置10の周囲の環境などに関する情報を収集して信号に変換する機能を備える装置である。センサ部15は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ等を含む。制御部11は、センサ部15の出力信号に基づいて、通信装置10の挙動(例えば、傾き、振動など)に関する情報を取得する。センサ部15は、照度センサ、温度センサ、磁気センサその他のセンサを含んでもよい。
【0033】
撮像部16は、撮像対象の像を信号に変換する撮像装置である。通信装置10は、撮像部16から出力された撮像信号に基づいて画像データを生成する。画像データは、静止画像のデータであってもよいし、動画像のデータであってもよい。以下の説明において画像といった場合には、特に断りがない限り、静止画像および動画像のいずれも含む。撮像部16は、一次元コードまたは二次元コードなどの識別コードを読み取るスキャナーとしても機能する。
【0034】
位置検出部17は、位置情報に基づいて通信装置10の位置を検出する。本実施形態の位置検出部17は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて通信装置10の位置を検出する。
【0035】
通信部18は、制御部11の制御により、ネットワークNWと接続して、ネットワークNWに接続されたサーバ50など他の装置と情報の送信および受信を行う無線通信モジュールである。通信部18は、赤外線通信、近距離無線通信などを行う通信モジュールを含んでいてもよい。
【0036】
[サーバの構成]
図3は、一実施形態におけるサーバの構成を示すブロック図である。一実施形態におけるサーバ50は、制御部51、記憶部52、通信部53、コンテンツデータベース56、顧客管理データベース57およびライセンスデータベース58を含む。
【0037】
制御部51は、CPUなどのプロセッサおよびRAM等の記憶装置を備えるコンピュータの一例である。制御部51は、記憶部52に記憶されたプログラムをプロセッサにより実行して、各種機能をサーバ50において実現させる。サーバ50の各要素から出力される信号は、サーバ50において実現される各種機能によって使用される。制御部51は、サービス提供プログラムを実行することによって、通信装置10に対して各種のサービスを提供するための機能を実現する。各種のサービスには、例えば、通信装置10において閲覧される電子書籍を提供するためのサービス、電子書籍を売却するためのサービスが含まれる。
【0038】
記憶部52は、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置である。記憶部52は、プログラムおよび当該プログラムの実行に必要となるパラメータ等の情報を記憶する。プログラムにはサービス提供プログラムも含まれる。通信装置10にサービスを提供中に通信装置10から受信した各種データについても記憶部52に記憶されてもよい。記憶部52は、通信装置10に提供される閲覧プログラムを記憶してもよい。
【0039】
サービス提供プログラムは、他のサーバからネットワークNW経由でダウンロードされ、記憶部52に記憶されることによって、サーバ50にインストールされてもよい。サービス提供プログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。この場合、サーバ50は、この記録媒体を読み取る装置を備えていればよい。記憶部52も記録媒体の一例である。
【0040】
通信部53は、制御部51の制御により、ネットワークNWと接続して、ネットワークNWに接続された通信装置10、他のサーバなど、他の装置と情報の送信および受信を行う無線通信モジュールである。他のサーバとしては、例えば、ゲームサーバ、SNSサーバ、メールサーバなどである。
【0041】
図4は、一実施形態におけるコンテンツデータベースの例を示す図である。コンテンツデータベース56は、通信装置10に提供される電子書籍に対して、電子書籍を購入するための価格(販売価格)および特徴データを対応付けて記憶する。この例では、1つの電子書籍は、1つのタイトル(Title)に含まれる巻名(Vol.)毎のコンテンツに対応する。第1巻は、例えば、第1話、ボリューム1ということもできる。1つのタイトルは、1以上の巻により構成される。例えば、タイトル「AAA」は、第1巻から第6巻までの6つの電子書籍を含む。タイトルは、1以上の巻をまとめた複数の電子書籍により構成されるグループに対応する。
【0042】
コンテンツデータベース56に登録された販売価格は、各電子書籍を購入するときの個別販売価格と、および1つのタイトルを構成する複数の電子書籍をまとめて購入するときのセット販売価格とを含む。この販売価格は、後述するポイントの必要数である。セット販売価格は、1つのタイトルを構成する電子書籍を個別に購入する場合よりも安価に設定されている。例えば、タイトル「BBB」の第1巻~第6巻の販売価格は、それぞれ「150」、「100」、「100」、「100」、「150」、「200」であって、合計の販売価格は「800」である。一方、タイトル「BBB」の第1巻~第6巻をまとめて購入する場合におけるセット販売価格は、「700」であり、「800」より安価である。
【0043】
特徴データは、各タイトルの特徴を示すデータである。例えば、特徴データCd(AAA)は、タイトル「AAA」の特徴、例えば、種別(小説、漫画、雑誌等)、分野(ノンフィクション、サスペンス、SF、趣味、語学、資格等)、ページ数、対象性別、対象年齢等のパラメータによって示されている。各タイトルの特徴データを互いに比較することによって、タイトル間の関連度(この例では類似度)を算出することができる。この例では、2つのタイトルが互いに類似しているほど、類似度が高くなるように算出される。類似度の算出において重視されるパラメータを変更することによって、異なる観点で類似度が算出されてもよい。
【0044】
図5は、一実施形態における顧客管理データベースの例を示す図である。顧客管理データベース57は、ユーザに割り当てられる顧客ID(図5の例では、IDxxx)毎に、ポイント種別毎のポイント数およびその使用期限を記憶する。ポイントは、この例では、サーバ50が提供するサービスにおいて利用される金銭としての価値(金銭資産)に相当する。例えば、ポイントは、電子書籍と交換するために用いられる。ポイント種別は、通常ポイントと期間限定ポイントとに区分される。使用期限は、ポイントを使用することができる期限である。使用期限を経過したポイントは失効する。
【0045】
通常ポイント(第1金銭資産)は、ユーザがサービスを利用する間において失効しないように設定されている。この例では、ユーザがサービスを利用する度に、通常ポイントの使用期限が延長され、ここでは最後にサービスを利用してから2年後に使用期限が設定される。通常ポイントは、ユーザが金銭をサービス事業者に支払うことによって得る場合と、後述するように電子書籍の利用権を放棄することによって得る場合とを含む。
【0046】
期間限定ポイント(第2金銭資産)は、通常ポイントよりも使用制限を受けている。この例では、使用制限は、期間限定ポイントの使用期限が通常ポイントの使用期限よりも短くなるという制限である。ここでは期間限定ポイントを取得してから2か月後に設定される。図5に示す例では、期間限定ポイントの合計「650」のうち、「300」が2021年5月5日まで使用でき、「150」が2021年6月1日まで使用でき、「200」が2021年6月15日まで使用できることを示している。期間限定ポイントは、後述するように電子書籍の利用権を放棄することによって得る場合を含む。
【0047】
図6は、一実施形態におけるライセンスデータベースの例を示す図である。ライセンスデータベース58は、顧客ID(図6の例では、IDxxx)毎に、電子書籍の利用権および電子書籍の購入履歴を記憶する。顧客IDxxxのユーザは、利用権が設定されている電子書籍を通信装置10において閲覧することができる。購入履歴は、電子書籍を購入することによって過去に利用権が設定された場合に設定される。図6に示す例では、タイトル「CCC」の第4巻のように、同タイトルにおいて他の巻が購入されている場合には購入履歴が設定されなくても登録されている。ライセンスデータベース58において購入履歴の情報が存在しなくてもよい。
【0048】
図6に示す例では、利用権は、タイトル「AAA」の第1巻~第5巻、タイトル「CCC」の第1巻~第3巻に対して設定されている。購入履歴は、タイトル「AAA」の第1巻~第5巻、タイトル「CCC」の第1巻~第3巻、タイトル「DDD」の第1巻~第4巻に対して設定されている。すなわち、ライセンスデータベース58は、顧客IDxxxのユーザによってタイトル「DDD」が購入されて利用権が設定されたことがあるが、現時点ではその利用権が削除されていることを示している。
【0049】
ユーザが利用する通信装置10において、ライセンスデータベース58に基づいて利用権が設定された電子書籍のみが閲覧できるようにする技術は、公知のデータ保護技術によって実現されればよい。
【0050】
[売却処理]
ユーザは、通信装置10を用いて電子書籍を購入することができる。これによって、上述したライセンスデータベース58において、電子書籍に利用権が設定される。このとき、顧客管理データベース57についても適宜変更される。電子書籍の利用権が不要になった場合、ユーザは、その利用権を放棄することによって対価を得ることができる。すなわち、ユーザは電子書籍を売却することができる。そのときにサーバ50が実行する売却処理について説明する。
【0051】
まず、閲覧プログラムを実行している通信装置10にユーザが所定の操作を入力することによって、電子書籍を売却するための設定画面が通信装置10に表示される。この例では、通信装置10からサーバ50へ設定画面を要求することによって、サーバ50から通信装置10に設定画面が提供される。
【0052】
図7は、一実施形態における設定画面の例を示す図である。図7に示す設定画面DSは、ログインしているユーザが利用権を有する電子書籍のリストを含み、利用権を放棄する対象(売却対象)の電子書籍を指定するためのチェックボックスを含む。図6に示すライセンスデータベース58によれば、顧客IDxxxのユーザは、タイトル「AAA」の全巻(第1巻~第5巻)の利用権を有しているため、それぞれの巻名の横にチェックボックスCv1~Cv5が表示される。このとき、図7に示すように、タイトル「AAA」に対応する電子書籍のうち、利用権を有する全ての電子書籍をまとめて選択するためのチェックボックスCtが表示されてもよい。この例では、図7に示すように、チェックボックスCtが選択されると、図7に示すようにチェックボックスCv1~Cv5が選択された状態になる。
【0053】
一方、利用権を有していない電子書籍に対応するチェックボックスは、表示されなくてもよいし、図に示すように、選択可能なチェックボックス(例えば、Cv1)とは異なる表示形態により、選択できないチェックボックスCvuとして表示されてもよい。例えば、図7に示すように、ユーザがタイトル「CCC」の第4巻の利用権を有していないため、利用権を有している電子書籍に対応するチェックボックスとは異なる表示形態のチェックボックスCvuが、第4巻に対応して表示される。
【0054】
設定画面DSにおいてキャンセルボタンBcが操作されると、電子書籍の売却をするための処理が中止される。設定画面DSにおいて、売却対象の電子書籍に対応するチェックボックスが選択された状態で売却ボタンBsが操作されると、通信装置10からサーバ50に対して、売却対象の電子書籍を示す売却対象情報が送信される。サーバ50は、売却対象情報を受信すると、図8および図9に示す売却処理を開始する。
【0055】
図8および図9は、一実施形態における売却処理を説明するためのフローチャートである。図9は、図8に示されたフローに続く部分を示す。サーバ50は、売却対象情報に基づいて、売却対象の電子書籍を特定する(ステップS101)。サーバ50は、所定の演算式に基づいて、売却対象の電子書籍を全て売却したときの価格(売却価格)を算出する(ステップS103)。売却価格は、ポイント種別毎に算出される。所定の演算式は、例えば、以下のとおりである。
(a)電子書籍を購入するときの価格に対して20%の通常ポイントとする。
(b)1つのタイトルに含まれる全巻の電子書籍をまとめて売却する場合には上記の割合が20%ではなく30%となる。
(c)通常ポイントに代えて期間限定ポイントで受け取ることで、通常ポイントの2倍のポイントを受け取ることができる。
【0056】
(b)は、1つのタイトルに含まれる電子書籍のうち、所定の条件を満たす電子書籍をまとめて売却する場合に売却価格が増加すること、すなわち売却による対価が大きくなることを示している。所定の条件を満たす電子書籍は、(b)では全巻の電子書籍であったが、一部の電子書籍であってもよい。一部の例えば、第1巻以外の全ての巻に対応する電子書籍としてもよい。
【0057】
サーバ50は、売却対象の電子書籍のタイトル(売却タイトル)から提案タイトルを決定する(ステップS105)。提案タイトルは、売却タイトルと関連するタイトル(この例では売却タイトルに類似するタイトル)であり、特徴データに基づいて決定される。決定される提案タイトルは、1つであっても複数であってもよい。複数の提案タイトルが決定される場合には、類似している程度に応じて優先順位が決められる。この例では複数の提案タイトルが決定される。類似度が所定値以上の提案タイトルに対して、ランダムに優先順位が決められてもよい。
【0058】
一方、複数の売却タイトルが存在する場合には、それぞれの売却タイトルに基づいて提案タイトルが決定されてもよいし、複数の売却タイトル全体に類似するタイトルとして提案タイトルが決定されてもよい。類似度の算出を容易にするために、複数の売却タイトルが設定されないように、設定画面DSにおいて1つのタイトルのみに含まれる電子書籍が売却対象として選択できるようになっていてもよい。例えば、タイトル「AAA」に含まれる電子書籍のいずれかが売却対象として選択された場合には、他のタイトルに含まれる電子書籍が売却対象として選択できないように制御されてもよい。
【0059】
サーバ50は、提案タイトルを構成する電子書籍のうち、売却価格で得られるポイント数で購入可能(交換可能)な電子書籍をポイント種別毎に算出する(ステップS107)。購入可能な電子書籍は、提案タイトルの第1巻から順に電子書籍を購入した場合の巻数として算出される。この算出のとき、ユーザに対して既に利用権が設定された電子書籍は、購入可能な電子書籍から除外される。
【0060】
サーバ50は、ポイント種別毎の売却価格を示す情報(価値情報)および購入可能な電子書籍を示す情報(提案情報)を通信装置10に送信する(ステップS109)。通信装置10は、価値情報と提案情報とを受信すると、図10に示す選択画面を表示する。
【0061】
図10は、一実施形態における選択画面の例を示す図である。選択画面DPは、価値情報に基づいて表示される領域SPと、提案情報に基づいて表示される領域PCとを含む。領域SPは、売却価格を通常ポイントと期間限定ポイントとによって示す画像を含む。この例では、領域SPは、通常ポイントが表示されたボタンB1、期間限定ポイントが表示されたボタンB2および売却処理を中止するためのボタンB3を含む。領域PCは、優先順位にしたがって表示される複数の提案タイトル、および各提案タイトルに対応して購入可能な電子書籍を示す画像(この例ではタイトルおよび巻名を示す文字列)を含む。領域PCは、各提案タイトルに対応した電子書籍を購入するためのボタンB4、B5をさらに含む。
【0062】
図10に示す例では、売却対象の電子書籍は、タイトル「AAA」の第1巻~第5巻(全巻)である。このときの売却価格は、領域SPにおいて、通常ポイントであれば「180」として示され、期間限定ポイントであれば「360」として示されている。提案タイトルは、領域PCにおいてに、タイトル「AAA」に最も類似するタイトル「EEE」が示され、次に類似するタイトル「KKK」が示されている。それぞれのタイトルに対応して、購入可能な電子書籍の巻名が示されている。
【0063】
タイトル「EEE」については、売却によって得られる通常ポイントによれば第1巻が購入でき、期間限定ポイントによれば第1巻~第3巻が購入できることが示されている。購入可能な電子書籍がそのタイトルの全巻に対応する場合には、図10に示すように「(A)」のような所定の画像(「全巻」といった文字列の画像でもよい)が巻名の横に付加されてもよい。得られるポイントを用いてすぐに電子書籍を購入する場合には、ポイント数が多い期間限定ポイントが使用されるため、通常ポイントについては表示されなくてもよい。一方、このように使用されない通常ポイントで購入可能な電子書籍も併記することで、期間限定ポイントを使用すれば多くの電子書籍が入手できることを認識させることができる。期間限定ポイントをすぐに使用することからユーザは使用期限を気にする必要もない。したがって、売却の対価として期間限定ポイントを得てすぐに電子書籍に交換しようとする動機をユーザに生じさせることができる。
【0064】
ユーザは、売却対象の電子書籍の対価をどのような方法で受け取るか、選択画面DPにおいて選択することができる。ボタンB1、B2への操作は、対価をポイントにより受け取る指示(ポイント交換指示)に対応する。ボタンB1への操作は対価を通常ポイントで受け取る指示であり、ボタンB2への操作は対価を期間限定ポイントで受け取る指示である。通信装置10は、ポイント交換指示に応じて、対価を通常ポイントで受け取るか期間限定ポイントで受け取るかを選択する情報をサーバ50に送信する。
【0065】
ボタンB4、B5への操作は、対価(期間限定ポイント)を提案タイトルの電子書籍の利用権に交換して受け取る指示(電子書籍交換指示)に対応する。ボタンB4への操作は対価をタイトル「EEE」の第1巻から第3巻の利用権に交換する指示であり、ボタンB5への操作は対価をタイトル「KKK」の第1巻から第4巻の利用権に交換する指示である。
【0066】
ボタンB3への操作は、売却処理を中止する指示(売却中止指示)に対応する。
【0067】
図9に戻って説明を続ける。サーバ50は、売却中止指示、電子書籍交換指示またはポイント交換指示を、通信装置10から受信するまで待機する(ステップS111;No、ステップS113;No、ステップS115;No)。ポイント交換指示を受信した場合(ステップS115;Yes)、サーバ50は、指定された種別のポイントを付加するように顧客管理データベース57を変更し(ステップS121)、売却対象の電子書籍に設定されている利用権を削除するようにライセンスデータベース58を変更して(ステップS123)、売却処理を終了する。
【0068】
電子書籍交換指示を受信した場合(ステップS113;Yes)、サーバ50は、対価の交換対象として指示された電子書籍の利用権を設定するようにライセンスデータベース58を変更し(ステップS131)、売却対象の電子書籍に設定されている利用権を削除するようにライセンスデータベース58を変更して(ステップS123)、売却処理を終了する。このとき、サーバ50は、売却の対価に応じた期間限定ポイントを付加してから、その期間限定ポイントを電子書籍に交換するという処理を経るように、顧客管理データベース57およびライセンスデータベース58を変更してもよい。
【0069】
売却中止指示を受信した場合(ステップS111;Yes)、サーバ50は、売却中止指示が2回目であるか否かを判定する(ステップS141)。売却中止指示が1回目である場合(ステップS141;No)には、サーバ50は、別の観点で算出した類似度に基づいて、別の提案タイトルを決定する(ステップS151)。サーバ50は、ステップS107と同様にして、別の提案タイトルにおいて購入可能な電子書籍をポイント種別毎に決定し(ステップS153)、新たに決定した購入可能な電子書籍を示す提案情報を通信装置10に送信する(ステップS155)。
【0070】
その後、サーバ50は、売却中止指示、電子書籍交換指示またはポイント交換指示を、通信装置10から受信するまで待機する(ステップS111;No、ステップS113;No、ステップS115;No)。この後に売却中止指示を受信した場合、すなわち2回目の売却中止指示を受信した場合(ステップS111;Yes、ステップS141;Yes)、サーバ50は、売却処理を終了する。このように売却中止指示があった場合には、売却処理を中止する前に購入可能な電子書籍を再提案することで、ユーザに再検討を促すことができる。再提案の処理は、1回ではなく2回以上実施されてもよいし、実施されなくてもよい。
【0071】
以上のとおり、一実施形態における売却処理によれば、電子書籍を売却するときに、売却しようとする電子書籍に類似し、かつ売却価格によって購入可能な電子書籍を提示することができる。これによって、電子書籍を売却しても、その対価を他の電子書籍の購入に使用する可能性を高めることができる。このとき、1つのタイトルの一部の電子書籍の購入しかできない場合には、残りの電子書籍を購入するなどして、サービスを継続して受けようとすることから、サービス提供者の収益に貢献することになる。
【0072】
また、1つのタイトルに含まれる全ての電子書籍を売却する場合には、その時点でユーザが利用権を有する電子書籍が無くなる場合がある。このような場合には、サーバ50によって提供されるサービスが利用されなくなる可能性がある。一方、上述した売却処理により、他の電子書籍が提案されることで、ユーザは売却によって得た対価を用いて電子書籍を購入しやすくなる。したがって、サービスの提供を継続して受けるようにユーザを誘導することができる。
【0073】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換してもよい。以下、一部の変形例について説明する。
【0074】
(1)売却対象の電子書籍が1つのタイトルの一部の電子書籍である場合には、上述したように、売却価格が低くなる。したがって、売却価格を高くするための方法を示す情報が選択画面DPに表示されてもよい。
【0075】
図11は、変形例における選択画面の例を示す図である。図11に示す選択画面DPでは、不足情報ADが領域SPと領域PCとの間に表示されている。不足情報ADは、売却対象の電子書籍が1つのタイトルの一部の電子書籍である場合には、全ての電子書籍(全巻)を売却対象とするために不足している電子書籍を示す情報を含み、この例では、その電子書籍が売却対象として追加されることにより売却価格が増加することを示す情報も含む。これによって、ユーザは、1つのタイトルに含まれる全ての電子書籍(全巻)を購入してから売却しようとする。その結果、電子書籍の販売数が増加する可能性が高くなる。
【0076】
(2)提案情報は、売却価格に対応する期間限定ポイントとユーザがすでに所持している期間限定ポイントとを合計したポイントによって購入可能な電子書籍を示す情報が含まれていてもよいし、さらにユーザがすでに所持している通常ポイントについても合計したポイントによって購入可能な電子書籍を示す情報が含まれていてもよい。
【0077】
(3)選択画面DPにおいて電子書籍交換指示が入力されると、サーバ50は、ユーザが所持しているポイントを利用してさらに電子書籍を追加して購入できるようにする画面を通信装置10に提供してもよい。このとき、指示の対象と同じタイトルにおいての未購入の残りの電子書籍が存在する場合には、ユーザの所持しているポイントにより追加して購入可能な電子書籍を提案する画面が通信装置10で表示されるようにしてもよい。
【0078】
(4)選択画面DPにおいて電子書籍交換指示が入力されることによって、期間限定ポイントに相当する電子書籍に交換する場合にのみ適用される前提として、購入可能な電子書籍の数が増加するように算出されてもよい。例えば、電子書籍の数が増加するように算出するために、電子書籍の価格を所定の割合で減額してもよいし、期間限定ポイントを所定の割合で増加してもよい。ポイント種別が通常ポイントと期間限定ポイントとの2種類ではなく、1種類であってもよい。例えば、ポイント種別が通常ポイントのみであっても、選択画面DPにおいて電子書籍を交換する場合に、入手可能な通常ポイントで交換可能な電子書籍よりも多くの電子書籍が交換できるようにすればよい。
【0079】
(5)ポイントの種別は通常ポイントおよび期間限定ポイントの2種類であったが、使用制限の程度が互いに異なる3種類以上であってもよい。例えば、使用制限の程度とは、使用可能な期間の長さであってもよいし、購入可能な電子書籍の種類であってもよい。選択画面DPにおいて他の電子書籍への交換を前提とした使用制限を受けるポイント(即時利用という使用制限を受けたポイント)として、期間限定ポイントよりも多くのポイント数が売却価格として算出されてもよい。この設定により、上記変形例(4)と同等な構成も実現可能である。
【0080】
(6)売却対象の電子書籍のタイトルに対する類似度が所定値以上のタイトルのうち、売却価格(期間限定ポイント)により全巻の電子書籍を購入可能となるタイトルが、高い優先順位になるように設定されてもよい。全巻の電子書籍を購入可能となるタイトルのうち、連載が継続しているタイトル、すなわち、タイトルに含まれる電子書籍が増える可能性があるタイトルが、高い優先順位になるように設定されてもよい。この場合には、コンテンツデータベース56において、連載が続いているか完結しているかを示す識別子が各タイトルに対して設定されてもよい。優先順位を高くするように設定されるタイトルの例としては、その他にも売上げ数が高い(人気がある)タイトル、サービス事業者が販売を強化したいタイトルであってもよい。
【0081】
(7)売却価格は、購入価格に対する所定の割合(上述の例では20%または30%)である場合に限らず、売却時点での状況に応じて変化するように算出されてもよい。例えば、売却対象の電子書籍のタイトルの販売数、タイトルに含まれる巻数、全巻が販売されるまでの期間、将来購入したいタイトルとして登録された数(お気に入り登録数)等に応じて売却価格が変化してもよい。
【0082】
(8)購入履歴がある電子書籍(すなわち、売却されたことがある電子書籍)が再び購入される場合には、販売価格が減額されてもよい。この販売価格の減額分は、売却価格に応じて決定されてもよい。例えば、最初の販売価格に対する売却価格が高いほど、減額分が少なくなるように決定されてもよい。購入履歴において、売却と購入とを繰り返した回数(購入回数)が記録されてもよい。購入回数が多くなるほど、減額分が多くなるように決定されてもよい。
【0083】
(9)選択画面DPが最初に表示されるときには、価値情報に基づく領域SPが表示され、提案情報に基づく領域PCが表示されないようにしてもよい。この場合には、ボタンB3への操作により売却中止指示が発生した場合に、領域PCが表示されるようにしてもよい。この場合には、サーバ50は、通信装置10に対して価値情報を送信するときに提案情報を送信せずに、売却中止指示を受信した場合に提案情報を送信するようにしてもよい。この状態でさらに、ボタンB3の操作により売却中止指示が発生した場合に、売却が中止されてもよい。ボタンB1、B2への操作によりポイント交換指示が発生した場合に、領域PCが表示されるようにしてもよい。この場合には、交換したポイント種別に対応する部分のみ領域PCに表示されてもよい。
【0084】
(10)上述したようにコンテンツは、電子書籍のような文字または静止画によって提供される情報に限らず、動画または音楽によって提供される情報であってもよい。電子書籍における書籍のタイトルおよび巻名は、ドラマ等の動画であれば同様にドラマのタイトルおよび話名であり、音楽であればアルバムのタイトルおよび曲名に対応する。
【0085】
(11)売却タイトルと関連する提案タイトルを決定する場合には、特徴データを用いてタイトル間の関連度(類似度)が算出される場合に限らず、公知の技術を用いることができる。例えば、機械学習または強化学習を用いたリコメンド機能(所定のタイトルと関連してユーザが興味を持つと推測される対象を示す機能)によって、売却タイトルと関連する提案タイトルを決定してもよい。
【0086】
(12)各巻の電子書籍を個別に売却することができないようにしてもよい。例えば、1つのタイトルに含まれる所定の条件を満たす電子書籍(例えば、全巻の電子書籍)をまとめて売却する場合のみ、電子書籍を売却できるようにしてもよい。この場合、図7に示す設定画面DSにおいてチェックボックスCv1からCv5が表示されなくてもよい。すなわち、通信装置10からサーバ50に対して送信される売却対象情報は、1つのタイトルに含まれる複数の電子書籍の一部を売却対象として規定することはなく、全ての電子書籍を売却対象として規定することになる。
【0087】
上記の所定の条件を満たす電子書籍とは、上述のように全巻の電子書籍であってもよいし、特定の巻の電子書籍であってもよい。全巻の電子書籍は、例えば、1つのタイトルに含まれる電子書籍のうち、ユーザが利用権を有している全ての電子書籍であってもよいし、既に提供されている全ての電子書籍であってもよい。既に提供されている全ての電子書籍は、連載が終了して完結しているタイトルにおいて提供されている全ての電子書籍に限定されてもよい。この場合には、変形例(6)に示したように、コンテンツデータベース56において、連載が続いているか完結しているかを示す識別子が各タイトルに対して設定されていればよい。このようにすると、1つのタイトルが連載途中(タイトルに含まれる電子書籍が今後増える状況)である場合、連載が終了するまで電子書籍を購入しようとする動機をユーザに生じさせることができる。
【0088】
(13)選択画面DPにおいて、電子書籍交換指示に対応する操作画像(ボタンB4、B5)が表示されなくてもよい。ユーザは、提案タイトルの表示を確認し、期間限定ポイントを取得後に、そのタイトルに含まれる電子書籍を購入すればよい。期間限定ポイントを取得後に、提案タイトルに含まれる電子書籍を購入するための画面に誘導されてもよいし、選択画面DPにおいてボタンB4、B5に相当する操作画像が表示されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10:通信装置、11:制御部、12:記憶部、13:表示部、14:操作部、15:センサ部、16:撮像部、17:位置検出部、18:通信部、50:サーバ、51:制御部、52:記憶部、53:通信部、56:コンテンツデータベース、57:顧客管理データベース、58:ライセンスデータベース、1000:通信システム
【要約】
【課題】コンテンツの利用権を放棄することができる場合においても、サービス事業者にメリットが生じるようにすること
【解決手段】一実施形態における情報提供方法によれば、第1グループに含まれる複数の第1コンテンツの少なくとも1つの利用権を放棄するための指示を通信装置から受信すると、当該第1コンテンツの利用権に対応する価値を算出し、第1グループに関連する第2グループに含まれる複数の第2コンテンツのうち、価値により交換可能な少なくとも1つの第2コンテンツの利用権を決定し、第1コンテンツの利用権の放棄により得られる価値を提示するための価値情報と、価値により交換可能な第2コンテンツの利用権を提案するための提案情報と、を通信装置に提供すること、を含む。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11