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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】燃焼設備
(51)【国際特許分類】
   F23L 9/00 20060101AFI20220318BHJP
   F23C 9/08 20060101ALI20220318BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
F23L9/00
F23C9/08 400
F23N5/00 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021179913
(22)【出願日】2021-11-04
【審査請求日】2021-11-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516047175
【氏名又は名称】三菱重工パワーインダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】津村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 洋平
(72)【発明者】
【氏名】冠木 豊
(72)【発明者】
【氏名】上妻 富明
(72)【発明者】
【氏名】田口 雄三
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-285553(JP,A)
【文献】特開2020-118359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0051913(US,A1)
【文献】特開昭58-164912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 9/00
F23C 9/08
F23N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含むガス燃料が燃焼するように構成される火炉と、
前記火炉に前記ガス燃料を噴出するガスバーナと、
前記ガスバーナに燃焼用の外部空気を導入する空気導入ラインと、
前記空気導入ラインに設けられ、前記外部空気を前記ガスバーナに送風する送風機と、
前記火炉の排ガスを外部に導く排ガスラインと、
前記排ガスラインから分岐し、前記排ガスの一部を前記火炉への循環ガスとして取り出す排ガス循環ラインと、
前記ガスバーナより前記火炉の前記排ガスの流通方向の下流側に設けられ、二段燃焼用ガスを前記火炉に投入する二段燃焼用ガス投入部と、
前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガスとして前記二段燃焼用ガス投入部に導入する二段燃焼用ガス供給ラインと、を備え、
前記排ガス循環ラインは、前記循環ガスを前記空気導入ラインに導く循環ファンを備え、
前記排ガス循環ラインは、前記循環ガスを前記空気導入ラインの前記送風機の下流側に導くように構成され、
前記二段燃焼用ガス供給ラインは、
前記排ガス循環ラインの下流端部の前記空気導入ラインとの接続位置よりも、前記空気導入ラインにおける上流側であって且つ前記空気導入ラインの前記送風機の下流側から分岐し、前記外部空気を前記二段燃焼用ガス投入部に導入する外部空気分岐ラインと、
前記排ガス循環ラインの前記循環ファンの下流側から分岐して前記外部空気分岐ラインに前記循環ガスの一部を導入する循環ガス分岐ラインと、を含む、
燃焼設備。
【請求項2】
前記二段燃焼用ガス供給ラインは、前記排ガス循環ラインの下流端部の前記空気導入ラインとの接続位置よりも、前記空気導入ラインにおける下流側から分岐し、前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に導入する分岐ラインを含む、
請求項に記載の燃焼設備。
【請求項3】
水素を含むガス燃料が燃焼するように構成される火炉と、
前記火炉に前記ガス燃料を噴出するガスバーナと、
前記ガスバーナに燃焼用の外部空気を導入する空気導入ラインと、
前記空気導入ラインに設けられ、前記外部空気を前記ガスバーナに送風する送風機と、
前記火炉の排ガスを外部に導く排ガスラインと、
前記排ガスラインから分岐し、前記排ガスの一部を前記火炉への循環ガスとして取り出す排ガス循環ラインと、
前記ガスバーナより前記火炉の前記排ガスの流通方向の下流側に設けられ、二段燃焼用ガスを前記火炉に投入する二段燃焼用ガス投入部と、
前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガスとして前記二段燃焼用ガス投入部に導入する二段燃焼用ガス供給ラインと、を備え、
前記排ガス循環ラインは、前記循環ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に直接導くように構成されるとともに、前記循環ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に導く循環ファンを含み、
前記二段燃焼用ガス供給ラインは、
前記排ガス循環ラインと、
前記空気導入ラインの前記送風機の下流側から分岐し前記排ガス循環ラインの前記循環ファンの下流側に接続され、前記外部空気を前記二段燃焼用ガス投入部に導入する外部空気分岐ラインと、を含む
燃焼設備。
【請求項4】
水素を含むガス燃料が燃焼するように構成される火炉と、
前記火炉に前記ガス燃料を噴出するガスバーナと、
前記ガスバーナに燃焼用の外部空気を導入する空気導入ラインと、
前記空気導入ラインに設けられ、前記外部空気を前記ガスバーナに送風する送風機と、
前記火炉の排ガスを外部に導く排ガスラインと、
前記排ガスラインから分岐し、前記排ガスの一部を前記火炉への循環ガスとして取り出す排ガス循環ラインと、
前記ガスバーナより前記火炉の前記排ガスの流通方向の下流側に設けられ、二段燃焼用ガスを前記火炉に投入する二段燃焼用ガス投入部と、
前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガスとして前記二段燃焼用ガス投入部に導入する二段燃焼用ガス供給ラインと、
前記二段燃焼用ガス投入部に導かれる前記二段燃焼用ガスにおける前記循環ガスの混合量を調整する制御装置と、を備え、
前記ガス燃料の水素濃度を検出する水素濃度連出手段を備え、
前記制御装置は、水素含有量が低くなるに従って、前記二段燃焼用ガス投入部に導かれる前記二段燃焼用ガスにおける前記循環ガスの混合量が低くなるように制御する、
燃焼設備。
【請求項5】
前記排ガスラインに設けられる節炭器をさらに備え、
前記排ガス循環ラインは、前記排ガスラインにおける前記節炭器の下流側から前記排ガスの一部を取り出すように構成される、
請求項1から4の何れか一項に記載の燃焼設備。
【請求項6】
前記二段燃焼用ガス供給ラインは、前記二段燃焼用ガス投入部に導かれる前記二段燃焼用ガスにおける前記循環ガスの混合量を調整するダンパを含み、前記制御装置は前記ダンパの開度を調整する、
請求項に記載の燃焼設備。
【請求項7】
前記排ガス循環ラインは、前記循環ガスを前記空気導入ラインの前記送風機の上流側に導くように構成され、
前記二段燃焼用ガス供給ラインは、前記空気導入ラインにおける前記送風機の下流側から分岐し、前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に導入する分岐ラインを含む、
請求項3又は4に記載の燃焼設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃焼設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、燃料を燃焼させるための空気を火炉に供給する空気ラインと、空気ラインに設けられる送風機と、火炉の排ガスの一部を火炉に循環させる循環ラインと、を備えていることが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、バーナと2段燃焼用ガス投入口を備えたボイラと、ボイラの排ガス処理系統から分岐させた排ガス循環ラインと、排ガス循環ラインに設けられ、排ガス処理系統から排ガスを抜き出す排ガス供給ファンと、排ガス供給ファンの後流側で排ガス循環ラインから分岐された燃焼用ガス供給ラインと燃料搬送用ガス供給ラインと2段燃焼用ガス供給ラインと、を備えていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-153716号公報
【文献】特開2012-87946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、特許文献1、2には、火炉の排ガスの一部を、燃料を燃焼させるための外部空気を導入する空気ラインに供給して火炉に循環させることが示されており、さらに、特許文献2には、2段燃焼を行う火炉が示され、排ガスの一部を、空気ラインに供給すると共に2段燃焼用ガス供給ラインにも供給して火炉に循環させることが示されている。
【0006】
しかし、二段燃焼方式の火炉において、二段燃焼用ガス投入部(所謂アフターエアポート)から燃焼用空気(外部空気)と排ガスの一部とが混合された混合ガスが導入される場合、循環される排ガス中の酸素濃度が高い場合には、二段目の燃焼において未燃焼分のガス燃料の燃焼の速度が速く、火炎温度の上昇によって窒素酸化物(NOx)が再生成する虞がある。
【0007】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、二段燃焼方式の火炉において、二段燃焼用ガス投入部から外部空気と排ガスとの混合ガスが導入される場合であっても、二段目の燃焼で火炎温度の上昇によって窒素酸化物が再生成することを防止できる燃焼設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示に係る燃焼設備は、水素を含むガス燃料が燃焼するように構成される火炉と、前記火炉に前記ガス燃料を噴出するガスバーナと、前記ガスバーナに燃焼用の外部空気を導入する空気導入ラインと、前記空気導入ラインに設けられ、前記外部空気を前記ガスバーナに送風する送風機と、前記火炉の排ガスを外部に導く排ガスラインと、前記排ガスラインから分岐し、前記排ガスの一部を前記火炉への循環ガスとして取り出す排ガス循環ラインと、前記ガスバーナより前記火炉の前記排ガスの流通方向の下流側に設けられ、二段燃焼用ガスを前記火炉に投入する二段燃焼用ガス投入部と、前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガスとして前記二段燃焼用ガス投入部に導入する二段燃焼用ガス供給ラインと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の燃焼設備によれば、二段目の燃焼による火炎温度の上昇を抑制し、窒素酸化物の再生成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る燃焼設備の構成を概略的に示すシステム図である。
図2】第2実施形態に係る燃焼設備の構成を概略的に示すシステム図である。
図3】第3実施形態に係る燃焼設備の構成を概略的に示すシステム図である。
図4】第4実施形態に係る燃焼設備の構成を概略的に示すシステム図である。
図5】第5実施形態に係る燃焼設備の制御装置に関連する構成を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態による燃焼設備について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示に限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0012】
<第1実施形態>
(構成)
図1は、第1実施形態に係る燃焼設備1の構成を概略的に示すシステム図である。図1に示すように、燃焼設備1は、火炉2と、空気導入ライン4と、送風機6と、排ガスライン8と、排ガス循環ライン10と、二段燃焼用ガス投入部12と、二段燃焼用ガス供給ライン14とを備える。燃焼設備1は、例えば、ボイラであって、ガス燃料Fの燃焼によって生成した排ガスG1から熱を回収することで蒸気を生成する。
【0013】
火炉2は、水素を含むガス燃料Fが燃焼するように構成される。「水素を含むガス燃料」には、水素と他の燃料を含むもの(混燃焼)と、水素のみ(専焼)とがあり、さらに、水素と他の燃料を含むものでも、水素が主たる燃料(水素の体積割合が50%以上)、他の燃料が主たる燃料(水素の体積割合が50%未満)に区分できる。「水素を含むガス燃料」とは、これらの場合をすべて含む。
【0014】
火炉2は、筒形状を有し、ガス燃料Fが燃焼するための空間が形成されている。第1実施形態では、図1に示すように、燃焼設備1は、火炉2に設けられるガスバーナ3と、ガス燃料Fが貯留される燃料タンク5と、ガスバーナ3と燃料タンク5とを接続し、燃料タンク5からガスバーナ3にガス燃料Fを供給するための燃料供給ライン7と、を含む。ガスバーナ3は、後述する空気導入ライン4も接続されており、この空気導入ライン4を介して外部空気Aが供給されるようになっている。
【0015】
なお、図1では、ガスバーナ3は、火炉2の底面に設けられており、ガス燃料Fを鉛直方向の上方に噴出するように示しているが、これに限るものではなく、火炉2の側壁に設けてガス燃料Fを水平方向または斜め上方に向けて噴出するようにしてもよい。
【0016】
また、火炉2は、いわゆる二段燃焼方式の火炉である。すなわち、ガスバーナ3から噴出されるガス燃料Fを、空気導入ライン4から供給される外部空気Aと後述する循環ガスG2との混合ガスG3で一段目の燃焼(燃料過剰燃焼)をさせた後に、ガスバーナ3より火炉2の排ガスの流通方向の下流側に設けられた二段燃焼用ガス投入部12から、外部空気Aと循環ガスG2との混合ガスを二段燃焼用ガスG4として火炉2内に投入して、2段目の燃焼(燃料希薄燃焼)をさせるように構成されている。
【0017】
空気導入ライン4は、火炉2に外部空気Aを導入するためのものである。第1実施形態では、空気導入ライン4は、一端4aが大気に開放され、他端4bがガスバーナ3に接続されている。この空気導入ライン4は、一端4aで大気から空気を吸い込み、この吸い込んだ空気を外部空気Aとして他端4b(ガスバーナ3)に向かって流通させるように構成されている。ガスバーナ3に流入した外部空気Aと循環ガスG2との混合ガスG3が、ガス燃料Fに混合されて、火炉2内に噴出(導入)される。
【0018】
送風機6は、空気導入ライン4に設けられており、外部空気Aを火炉2に送風する。このような送風機6は、例えば、外部空気Aを火炉2内に送り込む押込送風機である。以下、外部空気Aが空気導入ライン4を流通する方向において、空気導入ライン4のうち送風機6より上流側の部分を空気導入ライン4の上流部16とし、空気導入ライン4のうち送風機6より下流側の部分を空気導入ライン4の下流部18とする。
【0019】
排ガスライン8は、火炉2からの排ガスG1を燃焼設備1の外部に導くためのものである。第1実施形態では、排ガスライン8は、一端8aが火炉2に接続され、他端8bが煙突20に接続されており、一端8a(火炉2)から他端8b(煙突20)に向かって排ガスG1が流通するように構成されている。煙突20は、排ガスG1を燃焼設備1の外部に排出する。なお、図1では、排ガスライン8の一端8aは、火炉2の鉛直方向の上部の側壁に接続されているが、これに限るものではなく、上端面に接続されるようにしてもよい。
【0020】
第1実施形態では、図1に示すように、燃焼設備1は、排ガスライン8に設けられる節炭器22を含む。節炭器22は、排ガスライン8を流通する排ガスG1の熱を回収する装置であって、例えば、不図示の蒸気タービンから排出された排出蒸気と排ガスG1との間で熱交換を行う。以下、排ガスG1が排ガスライン8を流通する方向において、排ガスライン8のうち節炭器22より上流側の部分を排ガスライン8の上流部24とし、排ガスライン8のうち節炭器22より下流側の部分を排ガスライン8の下流部26とする。
【0021】
排ガス循環ライン10は、排ガスライン8における節炭器22の下流側から排ガスG1の一部を循環ガスG2として取り出すように構成されている。また、排ガス循環ライン10は、排ガスライン8を流通する排ガスの一部を空気導入ライン4に導く循環ファン28を備え、循環ガスG2を空気導入ライン4の送風機6の下流側に導くように、一端10aが排ガスライン8の下流部26に接続され、他端10bが空気導入ライン4の下流部18に接続される。
【0022】
循環ファン28の駆動によって、排ガスライン8の下流部26を流通する排ガスG1の一部が循環ガスG2として排ガス循環ライン10に流入し、空気導入ライン4の下流部18に導かれる。そして、空気導入ライン4の下流部18に導かれた循環ガスG2は、外部空気Aと混合して、循環ガスG2と外部空気Aとの混合ガスG3が生成され、混合ガスG3が空気導入ライン4をガスバーナ3に向かって流通するように構成されている。
【0023】
また、第1実施形態では、二段燃焼用ガス供給ライン14は、排ガス循環ライン10の他端10bの空気導入ライン4との接続位置よりも、空気導入ライン4における下流側から分岐し、外部空気Aと循環ガスG2の混合ガスG3の一部を二段燃焼用ガスG4として二段燃焼用ガス投入部12に導入する分岐ライン30を含む。
【0024】
このように、外部空気Aと循環ガスG2の混合ガスG3は、ガスバーナ3と、二段燃焼用ガスG4として二段燃焼用ガス投入部12とに分割して供給されるように構成されている。なお、二段燃焼用ガス投入部12は、図1に示すように火炉2の側壁に1段設けられる構成に限らず上下方向に複数段にわたって設けられてもよい。
【0025】
また、図1に示すように、二段燃焼用ガス供給ライン14の分岐ライン30には二段燃焼用ガス量調整部としてダンパ32が設けられている。ダンパ32の開度は、例えば、火炉2の燃焼状態に応じて、制御装置34によって制御されるようになっている。また、制御装置34は、火炉2の燃焼状態に応じて、循環ファン28及び送風機6の作動状態も制御するようになっている。
【0026】
(作用・効果)
第1実施形態に係る燃焼設備1の作用・効果について説明する。第1実施形態は、水素を含むガス燃料が燃焼される火炉2であり、さらに二段燃焼方式の火炉2である。そして、循環ガスG2と外部空気Aとの混合ガスG3は、ガスバーナ3と、G3の一部が二段燃焼用ガスG4として二段燃焼用ガス投入部12とに分割供給される。
【0027】
火炉2に供給されるガス燃料Fは水素を含むため、都市ガスやLPG等の液化石油ガスのガス燃料に比較して燃焼速度が速く燃焼性が良く、低い酸素濃度の条件下でも燃焼可能である。従って、外部空気と液化石油ガスのガス燃料による排ガスとの混合ガスが火炉内に循環される場合と比較して、循環される混合ガスの酸素濃度を低下できる。このため、二段目の燃焼による火炎温度の上昇を抑制し、窒素酸化物の再生成を抑制することができる。また、一段目の燃焼においても、燃焼による火炎温度の上昇を抑制し、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
【0028】
また、節炭器22によって温度が下げられた後の排ガスG1の一部が循環ガスG2として火炉2に導入されるため、窒素と酸素との結合による窒素酸化物の生成を抑制することができる。
【0029】
また、排ガス循環ライン10は循環ファン28を備え、循環ガスG2が空気導入ライン4の送風機6の下流側に導くように構成されるので、循環ガスG2を空気導入ライン4の送風機6を介することなく火炉2に循環させることができるため、循環ガスG2が有している排ガス熱による送風機6の損傷を抑制することができる。
【0030】
また、二段燃焼用ガス供給ライン14は、排ガス循環ライン10の他端10bの空気導入ライン4との接続位置よりも、空気導入ライン4における下流側から分岐し、二段燃焼用ガスG4を二段燃焼用ガス投入部12に導入する分岐ライン30を含むため、分岐ライン30によって、二段燃焼用ガスG4を二段燃焼用ガス投入部12に導入可能になる。さらに、分岐ライン30には二段燃焼用ガス量調整部としてダンパ32が設けられているので、二段燃焼用ガス投入部12に導入する二段燃焼用ガスG4の流量を調整することができる。
【0031】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る燃焼設備1について図2を参照して説明する。第2実施形態に係る燃焼設備1は、二段燃焼用ガス供給ライン41が、第1実施形態の二段燃焼用ガス供給ライン14と異なる。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
(構成)
図2は、第2実施形態に係る燃焼設備1の構成を概略的に示すシステム図である。図2に示すように、燃焼設備1の二段燃焼用ガス供給ライン41は、排ガス循環ライン43の他端43bの空気導入ライン4との接続位置よりも、空気導入ライン4における上流側であって且つ空気導入ライン4の送風機6の下流側から分岐し、外部空気Aを二段燃焼用ガス投入部12に導入する外部空気分岐ライン45と、排ガス循環ライン43の循環ファン44の下流側から分岐して外部空気分岐ライン45に循環ガスG2の一部を導入する循環ガス分岐ライン47と、を含んで構成されている。
【0033】
また、図2に示すように、循環ガス分岐ライン47には、排ガス循環ライン43の循環ファン44の下流側から外部空気分岐ライン45に導入される循環ガスG2の流量を調整する循環ガス量調整部としてダンパ49が設けられ、外部空気分岐ライン45には、循環ガスG2の一部と外部空気Aの一部とが混合されて生成される二段燃焼用ガスG4の二段燃焼用ガス投入部12への供給量を調整する二段燃焼用ガス量調整部としてダンパ51が設けられている。
【0034】
これらダンパ49、51の開度は、例えば、火炉2の燃焼状態に応じて、制御装置53によって制御されるようになっている。また、制御装置53は、火炉2の燃焼状態に応じて、循環ファン44、及び送風機6の作動状態も制御するようになっている。
【0035】
(作用・効果)
第2実施形態に係る燃焼設備1の作用・効果について説明する。外部空気分岐ライン45及び循環ガス分岐ライン47が設けられ、さらに、循環ガス分岐ライン47には、外部空気分岐ライン45に導入される循環ガス量を調整する循環ガス量調整部としてのダンパ49が設けられるので、ダンパ49の開度を調整することによって、二段燃焼用ガス投入部12に供給される二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量を、ガスバーナ3へ供給される外部空気Aと循環ガスG2との混合ガスG3における循環ガスG2の混合量とは別に調整可能になる。従って、火炉2の燃焼状態に応じて二段燃焼用ガス投入部12へ導入される二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量を精度よく制御可能になる。
【0036】
<第3実施形態>
本開示の第3施形態に係る燃焼設備1について図3を参照して説明する。第3施形態に係る燃焼設備1は、排ガス循環ライン61及び二段燃焼用ガス供給ライン63が、第1実施形態及び第2実施形態の夫々における排ガス循環ライン10、43及び二段燃焼用ガス供給ライン14、41と異なる。第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
(構成)
図3は、第3実施形態に係る燃焼設備1の構成を概略的に示すシステム図である。図3に示すように、燃焼設備1の排ガス循環ライン61は、循環ガスG2を二段燃焼用ガス投入部12に直接導くように構成されるとともに、循環ガスG2を二段燃焼用ガス投入部12に導く循環ファン65が設けられている。
【0038】
さらに、二段燃焼用ガス供給ライン63は、排ガス循環ライン61と、空気導入ライン4の送風機6の下流側から分岐し排ガス循環ライン61の循環ファン65の下流側に接続され、外部空気Aの一部を二段燃焼用ガス投入部12に導入する外部空気分岐ライン67と、を含んで構成されている。
【0039】
また、外部空気分岐ライン67には、外部空気Aの二段燃焼用ガス投入部12への供給量を調整する外部空気量調整部としてダンパ69が設けられている。このダンパ69の開度は、例えば、火炉2の燃焼状態に応じて、制御装置71によって制御される。また、制御装置71は、火炉2の燃焼状態に応じて、循環ファン65、及び送風機6の作動状態も制御するようになっている。
【0040】
なお、外部空気分岐ライン67を流通する外部空気Aの一部は、二段燃焼用ガス投入部12に導入するように流通するので、このような流通方向に流れるように、排ガス循環ライン61の循環ファン65の回転数(送風力)、空気導入ライン4の送風機6の回転数(押込力)は制御されるようになっている。
【0041】
(作用・効果)
排ガス循環ライン61の循環ガスG2は、空気導入ライン4には導かれず、循環ファン65によって、直接、二段燃焼用ガス投入部12に導かれるので、二段燃焼用ガス投入部12に供給される二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量は、循環ファン65の作動(回転数)だけを制御すればよいため、精度よく制御が可能になる。
【0042】
<第4実施形態>
本開示の第4施形態に係る燃焼設備1について図4を参照して説明する。第4施形態に係る燃焼設備1は、排ガス循環ライン81及び二段燃焼用ガス供給ライン83が、第1実施形態から第3実施形態の夫々におけるに排ガス循環ライン10、43、61及び二段燃焼用ガス供給ライン14、41、63と異なる。第4実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態及び第3実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
(構成)
図4は、第4実施形態に係る燃焼設備1の構成を概略的に示すシステム図である。図4に示すように、燃焼設備1の排ガス循環ライン81は、循環ガスG2を空気導入ライン4の送風機6の上流側に導くように構成されている。すなわち、排ガス循環ライン81の一端81aは、排ガスライン8の下流部26に接続され、排ガス循環ライン81の他端81bは、空気導入ライン4の上流部16に接続されている。
【0044】
また、排ガス循環ライン81には、循環ガスG2を空気導入ライン4に導く循環ガスG2の流量を調整する循環ガス量調整部としてダンパ85が設けられている。さらに、排ガス循環ライン81には、第1実施形態の循環ファン28、第2実施形態の循環ファン44、第3実施形態の循環ファン65のよう循環ファンは設けられていない。
【0045】
排ガス循環ライン81には、循環ファンは設けられていないが、空気導入ライン4の上流部16、及び、排ガス循環ライン81のそれぞれは、空気導入ライン4の送風機6の駆動によって、つまり、外部空気Aがガスバーナ3に押し込まれる作用によって、排ガスライン8の下流部26より気圧が低くなる。
【0046】
これによって、排ガスライン8の下流部26を流通する排ガスG1の一部が循環ガスG2として排ガス循環ライン81に流入し、空気導入ライン4の上流部16に導かれる。そして、空気導入ライン4の上流部16に導かれた循環ガスG2は、外部空気Aとともにガスバーナ3に供給される。
【0047】
さらに、第4実施形態における二段燃焼用ガス供給ライン83は、空気導入ライン4における送風機6の下流側から分岐し、外部空気Aと循環ガスG2との混合ガスである二段燃焼用ガスG4を二段燃焼用ガス投入部12に導入する分岐ライン87を含んで構成されている。分岐ライン87には、二段燃焼用ガス投入部12に導入する二段燃焼用ガスG4の流量を調整する二段燃焼用ガス量調整部としてダンパ89が設けられている。
【0048】
ダンパ85、89の開度は、例えば、火炉2の燃焼状態に応じて、制御装置91によって制御されるようになっている。また、制御装置91は、火炉2の燃焼状態に応じて、送風機6の作動状態も制御するようになっている。
【0049】
(作用・効果)
火炉2は水素を含むガス燃料Fを燃焼するので、このガス燃料Fの燃焼によって発生する排ガスG1は、硫黄のような腐食性を有する成分を含まない、又は、ほとんど含まない。このため、排ガスG1の一部としての循環ガスG2を空気導入ライン4の送風機6の上流部に導いたとしても、この循環ガスG2による送風機6の損傷が少ない。つまり、火炉2に外部空気Aと循環ガスG2との混合気を導入し続けることができるので、燃焼設備1の運転が阻害されない。
【0050】
また、空気導入ライン4の送風機6を、排ガスライン8を流通する排ガスG1の一部を火炉2に循環させる循環ファンとして機能させることもできる。よって、排ガス循環ライン81に循環ファンを設ける必要がないので、燃焼設備1の製造コストを抑制することができる。さらに、循環ファンのメンテナンスや循環ファンへの動力の供給が不要となるので、燃焼設備1のランニングコストも削減することができる。
【0051】
<第5実施形態>
本開示の第5施形態に係る燃焼設備1について図5を参照して説明する。第5実施形態に係る燃焼設備1の制御装置100は、上述した第1実施形態から第4実施形態における制御装置34、53、71、91の具体的な構成を示すものである。第5実施形態において、第1実施形態から第4実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0052】
(構成)
図5は、第5実施形態に係る燃焼設備1の制御装置100(34、53、71、91)の構成を概略的に示す構成図であり、図5に示すように、制御装置100は、二段燃焼用ガス投入部12に導かれる二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量を、ガス燃料Fの水素濃度に基づいて調整する循環ガス混合量制御部102を備えている。
【0053】
この循環ガス混合量制御部102では、例えば、水素含有量が低くなるに従って、二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量が低くなるように制御する。
【0054】
図1に示す第1実施形態では、二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量の制御は、例えば、二段燃焼用ガス供給ライン14の分岐ライン30に設けられた二段燃焼用ガス量調整部としてのダンパ32の開度を増減して制御する。
【0055】
また、図2に示す第2実施形態では、二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量の制御は、例えば、二段燃焼用ガス供給ライン41の循環ガス分岐ライン47に設けられた循環ガス量調整部としてのダンパ49、及び二段燃焼用ガス供給ライン41の外部空気分岐ライン45に設けられた二段燃焼用ガス量調整部としてのダンパ51のそれぞれのダンパ開度を増減して制御する。
【0056】
また、図3に示す第3実施形態では、二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量の制御は、例えば、二段燃焼用ガス供給ライン63の排ガス循環ライン61の循環ファン65の回転数を増減して制御する。
【0057】
さらに、図4に示す第4実施形態では、二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量の制御は、例えば、二段燃焼用ガス供給ライン83の分岐ライン87に設けられた二段燃焼用ガス量調整部としてのダンパ89のダンパ開度を増減して制御する。
【0058】
(作用・効果)
制御装置100の循環ガス混合量制御部102によって、例えば、二段燃焼用ガス供給ライン14、41、63、83における、ダンパ32、51、89や循環ファン65の制御によって二段燃焼用ガスG4における循環ガスG2の混合量を制御可能である。
【0059】
また、循環ガス混合量制御部102は、水素含有量が低い燃料に対しては、二段燃焼用ガス投入部12への循環ガスG2の混合量を低く設定することで、一段目及び二段目の燃焼における燃焼安定性を維持すると共に、COや煤の発生抑制と低NOx化が効果的に得られる。
【0060】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0061】
[1]本開示に係る燃焼設備(1)は、水素を含むガス燃料(F)が燃焼するように構成される火炉(2)と、前記火炉に前記ガス燃料を噴出するガスバーナ(3)と、前記ガスバーナに燃焼用の外部空気を導入する空気導入ライン(4)と、前記空気導入ラインに設けられ、前記外部空気を前記ガスバーナに送風する送風機(6)と、前記火炉の排ガス(G1)を外部に導く排ガスライン(8)と、前記排ガスラインから分岐し、前記排ガスの一部を前記火炉への循環ガス(G2)として取り出す排ガス循環ライン(10、43、61、81)と、前記ガスバーナより前記火炉の前記排ガスの流通方向の下流側に設けられ、二段燃焼用ガス(G4)を前記火炉に投入する二段燃焼用ガス投入部(12)と、前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガスとして前記二段燃焼用ガス投入部に導入する二段燃焼用ガス供給ライン(14、41、63、83)と、を備える。
【0062】
上記[1]に記載の構成によれば、水素を含むガス燃料が燃焼するように構成される火炉であるため、すなわち、ガス燃料が水素を含むため、都市ガスやLPG等の液化石油ガスのガス燃料に比較して燃焼速度が速く燃焼性が良く、低い酸素濃度の条件下でも燃焼可能である。従って、外部空気と液化石油ガスのガス燃料による排ガスとの混合ガスが火炉内に循環される場合と比較して、循環される混合ガスの酸素濃度を低下できるため、二段目の燃焼による火炎温度の上昇を抑制し、窒素酸化物(NOx)の再生成を抑制することができる。
【0063】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]に記載の構成において、前記排ガスラインに設けられる節炭器(22)をさらに備え、前記排ガス循環ラインは、前記排ガスラインにおける前記節炭器の下流側から前記排ガスの一部を取り出すように構成される。
【0064】
上記[2]に記載の構成によれば、節炭器によって温度が下げられた後の排ガスの一部が循環ガスとして火炉に導入される。火炉に循環させる循環ガスの温度を低くすることで、外部空気に含まれる窒素酸化物の生成を抑制することができる。
【0065】
[3]幾つかの実施形態では、上記[1]又は[2]に記載の構成において、前記排ガス循環ラインは、前記循環ガスを前記空気導入ラインに導く循環ファン(28、44)を備え、前記排ガス循環ラインは、前記循環ガスを前記空気導入ラインの前記送風機の下流側に導くように構成される。
【0066】
上記[3]に記載の構成によれば、循環ファンによって、排ガスの一部を循環ガスとして空気導入ラインの送風機の下流側に導くことができる。これにより、排ガスの一部を空気導入ラインの送風機を介することなく火炉に循環させることができるので、排ガスの熱による空気導入ラインの送風機の損傷を抑制することができる。
【0067】
[4]幾つかの実施形態では、上記[3]に記載の構成において、前記二段燃焼用ガス供給ライン(14)は、前記排ガス循環ライン(10)の下流端部(10b)の前記空気導入ラインとの接続位置よりも、前記空気導入ラインにおける下流側から分岐し、前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に導入する分岐ライン(30)を含む。
【0068】
上記[4]に記載の構成によれば、分岐ラインによって、外部空気と循環ガスとの混合ガスを二段燃焼用ガスとして二段燃焼用ガス投入部に導入することが可能になる。
【0069】
[5]幾つかの実施形態では、上記[3]に記載の構成において、前記二段燃焼用ガス供給ライン(41)は、前記排ガス循環ライン(43)の下流端部(43b)の前記空気導入ラインとの接続位置よりも、前記空気導入ラインにおける上流側であって且つ前記空気導入ラインの前記送風機の下流側から分岐し、前記外部空気を前記二段燃焼用ガス投入部に導入する外部空気分岐ライン(45)と、前記排ガス循環ラインの前記循環ファン(44)の下流側から分岐して前記外部空気分岐ラインに前記循環ガスの一部を導入する循環ガス分岐ライン(47)と、を含む。
【0070】
上記[5]に記載の構成によれば、外部空気分岐ライン及び循環ガス分岐ラインによって、ガスバーナへ供給される外部空気と循環ガスとの混合ガスにおける循環ガスの混合量と、二段燃焼用ガス投入部に供給される外部空気と循環ガスとの混合ガスにおける循環ガスの混合量とを個別に調整可能になる。
【0071】
[6]幾つかの実施形態では、上記[1]又は[2]に記載の構成において、前記排ガス循環ライン(61)は、前記循環ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に直接導くように構成されるとともに、前記循環ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に導く循環ファン(65)を含み、前記二段燃焼用ガス供給ライン(63)は、前記排ガス循環ライン(61)と、前記空気導入ラインの前記送風機の下流側から分岐し前記排ガス循環ラインの前記循環ファンの下流側に接続され、前記外部空気を前記二段燃焼用ガス投入部に導入する外部空気分岐ライン(67)と、を含む。
【0072】
上記[6]に記載の構成によれば、排ガス循環ラインの循環ガスは、空気導入ラインには導かず、直接二段燃焼用ガス投入部に導くようにするので、二段燃焼用ガス投入部に供給される二段燃焼用ガスだけ単独で、循環ガス量の調整が可能になる。
【0073】
[7]幾つかの実施形態では、上記[1]又は[2]に記載の構成において、前記排ガス循環ライン(81)は、前記循環ガスを前記空気導入ラインの前記送風機の上流側に導くように構成され、前記二段燃焼用ガス供給ライン(83)は、前記空気導入ラインにおける前記送風機の下流側から分岐し、前記外部空気と前記循環ガスとの混合ガスを前記二段燃焼用ガス投入部に導入する分岐ライン(87)を含む。
【0074】
上記[7]に記載の構成によれば、火炉は水素を含むガス燃料を燃焼するので、このガス燃料の燃焼によって発生する排ガスは、硫黄のような腐食性を有する成分を含まない、又は、ほとんど含まない。このため、排ガスの一部としての循環ガスを空気導入ラインの送風機の上流部に導いたとしても、この循環ガスによる送風機の損傷が少ない。つまり、火炉に外部空気と循環ガスとの混合気を導入し続けることができるので、燃焼設備の運転が阻害されない。
【0075】
また、空気導入ラインの送風機を、排ガスラインを流通する排ガスの一部を火炉に循環させる循環ファンとして機能させることもできる。よって、循環ファンを設ける必要がないので、燃焼設備の製造コストを抑制することができる。さらに、循環ライン及び循環ファンのメンテナンスや循環ファンへの動力の供給が不要となるので、燃焼設備のランニングコストも削減することができる。
【0076】
[8]幾つかの実施形態では、上記[1]から[7]の何れか1つに記載の構成において、前記二段燃焼用ガス投入部(12)に導かれる前記二段燃焼用ガス(G4)における前記循環ガス(G2)の混合量を調整する制御装置(100)を備える。
【0077】
上記[8]に記載の構成によれば、制御装置によって、二段燃焼用ガス投入部に導かれる二段燃焼用ガスにおける循環ガスの混合量を調整できる。
【0078】
[9]幾つかの実施形態では、上記[8]に記載の構成において、前記二段燃焼用ガス供給ライン(14、41、83)は、前記二段燃焼用ガス投入部に導かれる前記二段燃焼用ガスにおける循環ガスの混合量を調整するダンパ(32、51、89)を含み、前記制御装置は前記ダンパの開度を調整する。
【0079】
上記[9]に記載の構成によれば、二段燃焼用ガス供給ラインに設けられたダンパの開度調整によって二段燃焼用ガスにおける循環ガスの混合量が制御可能になる。
【0080】
[10]幾つかの実施形態では、上記[8]又は[9]に記載の構成において、前記ガス燃料の水素濃度を検出する水素濃度連出手段(104)を備え、前記制御装置は、水素含有量が低くなるに従って、前記二段燃焼用ガス投入部に導かれる前記二段燃焼用ガスにおける前記循環ガスの混合量が低くなるように制御する。
【0081】
上記[10]に記載の構成によれば、ガス燃料中の水素含有量が低い燃料に対しては、二段燃焼用ガス投入部への循環ガスの混合量を低く設定することで、一段目及び二段目の燃焼における燃焼安定性を維持すると共に、COや煤の発生抑制と低NOx化が効果的に得られる。
【符号の説明】
【0082】
1 燃焼設備
2 火炉
3 ガスバーナ
4 空気導入ライン
5 燃料タンク
6 送風機
8 排ガスライン
10、43、61、81 排ガス循環ライン
12 二段燃焼用ガス投入部
14、41、63、83 二段燃焼用ガス供給ライン
16 空気導入ラインの上流部
18 空気導入ラインの下流部
20 煙突
22 節炭器
24 排ガスラインの上流部
26 排ガスラインの下流部
28、44、65 循環ファン
30、87 分岐ライン
32、51、89 ダンパ(二段燃焼用ガス量調整部)
34、53、71、91、100 制御装置
45、67 外部空気分岐ライン
47 循環ガス分岐ライン
49 ダンパ(循環ガス量調整部)
69 ダンパ(外部空気量調整部)
102 循環ガス混合量制御部
104 水素濃度検出手段
A 外部空気
F ガス燃料
G1 排ガス
G2 循環ガス(排ガスの一部)
G3 外部空気と循環ガスとの混合ガス
G4 二段燃焼用ガス

【要約】
【課題】二段燃焼方式の火炉において、二段燃焼用ガス投入部から外部空気と排ガスとの混合ガスが導入される場合であっても、二段目の燃焼で火炎温度の上昇によって窒素酸化物が再生成することを防止すること。
【解決手段】燃焼設備は、水素を含むガス燃料が燃焼するように構成される火炉と、火炉にガス燃料を噴出するガスバーナと、ガスバーナに燃焼用の外部空気を導入する空気導入ラインと、空気導入ラインに設けられ外部空気をガスバーナに送風する送風機と、火炉の排ガスを外部に導く排ガスラインと、排ガスラインから分岐し排ガスの一部を火炉への循環ガスとして取り出す排ガス循環ラインと、ガスバーナより火炉の排ガスの流通方向の下流側に設けられ二段燃焼用ガスを火炉に投入する二段燃焼用ガス投入部と、外部空気と循環ガスとの混合ガスを二段燃焼用ガスとして二段燃焼用ガス投入部に導入する二段燃焼用ガス供給ラインと、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5