(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ロッド状たばこ製品の検査装置
(51)【国際特許分類】
A24C 5/34 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
A24C5/34 Z
(21)【出願番号】P 2021551020
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2019039896
(87)【国際公開番号】W WO2021070302
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仙道 誠
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-506271(JP,A)
【文献】特開平6-66713(JP,A)
【文献】国際公開第2015/155721(WO,A1)
【文献】特開2001-206315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24C 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド状たばこ製品を製造ライン上で検査する検査装置であって、
吸引源と、
前記吸引源と連通する吸引通路と、
前記吸引通路の途中又は当該吸引通路と連通する位置に配置される臭気センサと、
前記吸引通路と連通し、前記ロッド状たばこ製品の軸線方向と直交する方向に延びる搬送経路に沿って整列された状態で順次搬送される各ロッド状たばこ製品が前記搬送経路の途中に設けられる所定の検査位置に位置するときに各ロッド状たばこ製品の端部に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させ、当該ロッド状たばこ製品の内部又は周囲に存在するガスを検査ガスとして前記吸引通路内に吸引するための吸引口を有する吸引部と、
を備え、
前記検査装置は、ベルトコンベア部によってマスフロー形態で搬送されるロッド状たばこ製品を検査対象とし、
前記ベルトコンベア部は、
マスフロー形態で載置される前記ロッド状たばこ製品を当該ロッド状たばこ製品の軸線方向と直交する搬送方向に沿って搬送するベルトコンベアと、
前記ベルトコンベアを挟んで当該ベルトコンベアの両側に立設し、前記搬送方向に沿って延在する一対の壁体と、
を有し、
前記一対の壁体の離れ寸法は、前記ロッド状たばこ製品の軸方向寸法1本分に対応する寸法に規定されていると共に、少なくとも何れか一方の壁体には開口窓が形成され、
前記ベルトコンベア部は、前記ロッド状たばこ製品を横向き、且つ、当該ロッド状たばこ製品の端部を一方向に向けて揃えて積層した状態で前記ベルトコンベアによって搬送し、
前記吸引部は、前記開口窓を通じて前記ロッド状たばこ製品の搬送空間を前記吸引口が臨むように配置されている
、
ロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項2】
前記開口窓は、前記壁体に上下方向に沿って延在しており、
前記吸引口は、前記開口窓に上下方向に沿って延在しており、マスフロー形態の前記ロッド状たばこ製品が前記開口窓を横切る際に、前記ベルトコンベア上に積層された最下層
から最上層に位置する各ロッド状たばこ製品の端部に対して同時に吸引圧を作用させる、
請求項
1に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項3】
前記吸引部は、上下方向に沿って延びる回転軸を中心に回転自在な円筒状の回転ローラに収容された状態で固定されており、
前記回転ローラは、当該回転ローラを部材厚方向に貫通する多数の通気孔を有すると共に、前記ベルトコンベアによって搬送される前記ロッド状たばこ製品の端部と接触することで回転し、前記検査ガスは前記通気孔を通じて前記吸引口から前記吸引通路内に吸引される、
請求項
1又は
2に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項4】
ロッド状たばこ製品を製造ライン上で検査する検査装置であって、
吸引源と、
前記吸引源と連通する吸引通路と、
前記吸引通路の途中又は当該吸引通路と連通する位置に配置される臭気センサと、
前記吸引通路と連通し、前記ロッド状たばこ製品の軸線方向と直交する方向に延びる搬送経路に沿って整列された状態で順次搬送される各ロッド状たばこ製品が前記搬送経路の途中に設けられる所定の検査位置に位置するときに各ロッド状たばこ製品の端部に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させ、当該ロッド状たばこ製品の内部又は周囲に存在するガスを検査ガスとして前記吸引通路内に吸引するための吸引口を有する吸引部と、
を備え、
前記検査装置は、複数のロッド状たばこ製品からなるロッド状たばこ製品束を内包材により包装する包装機にロッド状たばこ製品を供給するためのホッパ内を下方に向けて搬送されるロッド状たばこ製品を検査対象とし、
前記ホッパは、当該ホッパの奥行を規定する一対の鉛直プレートと、当該ホッパの横幅を規定する一対の側方プレートを有し、
一対の前記鉛直プレートの離れ寸法は、前記ロッド状たばこ製品の軸方向寸法1本分に対応する寸法に規定されていると共に、少なくとも何れか一方の鉛直プレートには開口窓が形成され、
前記ホッパは、前記ロッド状たばこ製品を横向き、且つ、当該ロッド状たばこ製品の端部を一方向に向けて揃えて積層した状態で下方に流下させることで、前記ホッパの下端側に位置する排出口に向けて前記ロッド状たばこ製品を搬送し、
前記吸引部は、前記開口窓を通じて前記ロッド状たばこ製品の搬送空間を前記吸引口が臨むように配置されている
、
ロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項5】
前記開口窓は、前記鉛直プレートに水平方向に沿って延在しており、
前記吸引口は、前記開口窓に水平方向に沿って延在しており、前記ホッパ内を前記排出口に向けて流下する前記ロッド状たばこ製品が前記開口窓を横切る際に、前記開口窓を横切る各ロッド状たばこ製品の端部に対して同時に吸引圧を作用させる、
請求項
4に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項6】
前記ホッパの下部領域には、前記ロッド状たばこ製品を個々に流下させるべく前記ホッパの横幅方向に隣接した複数の排出通路であって、上下方向に延びる複数の隔壁によって互いに区画された複数の排出通路を、有する排出ダクト部が設けられ、且つ、前記排出口は、前記排出ダクト部における各排出通路の下端に形成されており、
前記開口窓は、前記鉛直プレートのうち、前記排出ダクト部に対応する位置に設けられている、
請求項
4又は
5に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項7】
前記吸引部は、水平方向に沿って延びる回転軸を中心に回転自在な円筒状の回転ローラに収容された状態で固定されており、
前記回転ローラは、当該回転ローラを部材厚方向に貫通する多数の通気孔を有すると共に、前記ホッパ内を流下する前記ロッド状たばこ製品の端部と接触することで回転し、前記検査ガスは前記通気孔を通じて前記吸引口から前記吸引通路内に吸引される、
請求項
4から
6の何れか一項に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項8】
ロッド状たばこ製品を製造ライン上で検査する検査装置であって、
吸引源と、
前記吸引源と連通する吸引通路と、
前記吸引通路の途中又は当該吸引通路と連通する位置に配置される臭気センサと、
前記吸引通路と連通し、前記ロッド状たばこ製品の軸線方向と直交する方向に延びる搬送経路に沿って整列された状態で順次搬送される各ロッド状たばこ製品が前記搬送経路の途中に設けられる所定の検査位置に位置するときに各ロッド状たばこ製品の端部に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させ、当該ロッド状たばこ製品の内部又は周囲に存在するガスを検査ガスとして前記吸引通路内に吸引するための吸引口を有する吸引部と、
を備え、
前記検査装置は、複数のロッド状たばこ製品からなるロッド状たばこ製品束を内包材により包装する包装機に向けてロッド状たばこ製品を供給するためのホッパの排出口から順次排出されるロッド状たばこ製品を検査対象とし、
前記ホッパの下部領域には、前記ロッド状たばこ製品を個々に流下させるべく前記ホッパの横幅方向に隣接した複数の排出通路であって、上下方向に延びる複数の隔壁によって互いに区画された複数の排出通路を、有する排出ダクト部が設けられ、且つ、前記排出口は、前記排出ダクト部における各排出通路の下端に形成されており、
前記排出ダクト部の下方には、各排出口から排出された複数本のロッド状たばこ製品を受け取る底プレートが配置されており、
前記吸引部は、所定の後退位置と押込み位置との間で往復動可能に前記底プレートに隣接配置されており、
後退位置から押し込み位置に移動する過程で前記底プレートに受け取られた複数本のロッド状たばこ製品をポケットコンベアのポケットに押し込むためのプッシャーと、
後退位置から押し込み位置に移動する過程でロッド状たばこ製品の端面に接触する接触部を有し、
前記吸引口は、前記接触部に設けられており、ロッド状たばこ製品の端面に前記接触部が接触した際に当該端面に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させることで前記検査ガスを吸引する
、
ロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項9】
前記接触部は、前記吸引部における前記プッシャーの上部に配置され、前記吸引部が後退位置から押し込み位置に移動する過程で前記排出通路内に位置するロッド状たばこ製品の端面に接触し、前記吸引口から当該排出通路内に位置するロッド状たばこ製品の端面に吸引圧を作用させる、
請求項
8に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項10】
前記接触部は弾性部材である、請求項
8又は
9に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【請求項11】
前記接触部は、前記吸引部の往復動方向に沿って伸縮可能である、請求項
10に記載のロッド状たばこ製品の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド状たばこ製品の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、フィルタロッド、シガリロ、加熱式たばこなど多様なロッド状たばこ製品が知られている。この種のロッド状たばこ製品は、多様な香喫味を得るために、たばこ原料(たばこ刻み等)に香料を添加すること、再構成たばこに香料を含有させること、フィルタを構成する繊維材料に香料を添加すること等がある。この場合、ロッド状たばこ製品のたばこ原料やフィルタに対する香料の添加量がばらついてしまうと、ロッド状たばこ製品の味や香りの品質が不安定になってしまう虞がある。
【0003】
また、ロッド状たばこ製品におけるフィルタを構成する繊維材料内に、シームレスな易破壊性の被膜内部に香料液が満たされた、所謂香料カプセルを包埋する場合がある。この種の香料カプセルは、喫煙者ないし消費者により意図的に破壊されることで、充填された香料液を周囲の繊維材料へと放出し、香料液に含まれていた香り成分・化合物が揮散する。喫煙者ないし消費者は、その香りを吸引することができる。これに対し、ロッド状たばこ製品が工場から出荷される前、特に製造されている間に、香料カプセルが破壊され、或いは、その被膜に亀裂が生じてしまうと、意図せずに香料液が漏出する場合がある。
【0004】
これに関連して、ロッド状たばこ製品の製造工程において、破壊された又は亀裂が生じた香料カプセルを検出する、マイクロ波共振器を用いたフィルタ検査装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、ロッド状たばこ製品の内部又は周囲を通したガス試料をセンサで分析することによって、香料液に含まれる成分や化合物を検出する検査装置も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-19664号公報
【文献】特表2018-506271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マイクロ波共振器を用いた検査装置においては、香料カプセルが意図せず破壊されることで漏出した香料液が、フィルタを構成する繊維材料やフィルタ巻取紙まで拡散した場合には精度の良い検出が可能であるが、香料カプセルが割れた直後やカプセルの損傷が微小(例えば、ピンホール等)であって、漏出した香料液が少量である場合には、カプセル割れの検出精度が低いという課題がある。また、マイクロ波共振器を用いた検査装置においては、高い応答性・感度で大量に検査することが要求されるため、検査装置の許容精度幅が狭くなり易く、メンテナンス頻度が高くなる傾向がある。
【0007】
また、ロッド状たばこ製品の製造工程において、ロッド状たばこ製品は、互いに近接し多段に積層した状態、所謂マスフローの形態で所定の経路に沿って搬送される場合が多く、また、種々のドラム等によって個別に搬送されるとしても高速で搬送される場合が多い。従って、ロッド状たばこ製品の全数を製造工程で検査するのであれば、その実情に適合した装置ないし方法で検査を行う必要がある。上記特許文献2においては、香り成分や風味化合物を検出する装置や方法自体は開示されているものの、所謂マスフローの形態で所定の経路に沿って搬送されるロッド状たばこ製品を全数検査する場合の具体的な態様について開示がなく、更なる改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、搬送経路に沿って順次多量に搬送されるロッド状たばこ製品の品質を製造ライン上で全数検査することに適した検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、ロッド状たばこ製品を製造ライン上で検査する検査装置であって、吸引源と、前記吸引源と連通する吸引通路と、前記吸引通路の途中又は当該吸引通路と連通する位置に配置される臭気センサと、前記吸引通路と連通し、前記ロッド状たばこ製品の軸線方向と直交する方向に延びる搬送経路に沿って整列された状態で順次搬送される各ロッド状たばこ製品が前記搬送経路の途中に設けられる所定の検査位置に位置するときに各ロッド状たばこ製品の端部に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させ、当該ロッド状たばこ製品の内部又は周囲に存在するガスを検査ガスとして前記吸引通路内に吸引するための吸引口を有する吸引部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記検査装置は、フィルタチップアタッチメント装置における搬送ドラムの外周部に対して周方向一定間隔毎に形成される各保持溝にそれぞれ受け入れられた状態で搬送される前記ロッド状たばこ製品を検査対象とし、前記搬送ドラムにおける各保持溝の両端には、前記搬送ドラムの回転と同期して前記保持溝と共に回転する一対のホルダ部材であって、対応する保持溝に受け入れられたロッド状たばこ製品の両端部に対して離間した休止位置と、前記ロッド状たばこ製品の両端部と密着するように挟み込むことで当該ロッド状たばこ製品を保持する作動位置との間を往復運動可能な一対のホルダ部材が配置されており、一方のホルダ部材が前記吸引部として形成されていると共に、当該一方のホルダ部材が作動位置に制御されているときに保持するロッド状たばこ製品の端面に対向する位置に前記吸引口が配置されていても良い。この場合、検査装置は、各ロッド状たばこ製品の端部に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させ、当該ロッド状たばこ製品の内部又は周囲に存在するガスを検査ガスとして前記吸引通路内に吸引するための吸引口を有する吸引部を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、前記検査装置は、ベルトコンベア部によってマスフロー形態で搬送されるロッド状たばこ製品を検査対象とし、前記ベルトコンベア部は、マスフロー形態で載置される前記ロッド状たばこ製品を当該ロッド状たばこ製品の軸線方向と直交する搬送方向に沿って搬送するベルトコンベアと、前記ベルトコンベアを挟んで当該ベルトコンベアの両側に立設し、前記搬送方向に沿って延在する一対の壁体と、を有し、前記一対の壁体の離れ寸法は、前記ロッド状たばこ製品の軸方向寸法1本分に対応する寸法に規定されていると共に、少なくとも何れか一方の壁体には開口窓が形成され、前記ベルトコンベア部は、前記ロッド状たばこ製品を横向き、且つ、当該ロッド状たばこ製品の端部を一方向に向けて揃えて積層した状態で前記ベルトコンベアによって搬送し、前記吸引部は、前記開口窓を通じて前記ロッド状たばこ製品の搬送空間を前記吸引口が臨むように配置されていても良い。この場合、検査装置は、各ロッド状たばこ製品の端部に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させ、当該ロッド状たばこ製品の内部又は周囲に存在するガスを検査ガスとして前記吸引通路内に吸引するための吸引口を有する吸引部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記開口窓は、前記壁体に上下方向に沿って延在しており、前記吸引口は、前記開口窓に上下方向に沿って延在してよい。それにより、マスフロー形態の前記ロッド状たばこ製品が前記開口窓を横切る際に、マスフローの積層の厚さ(高さ)によらず、前記ベルトコンベア上に積層された最下層から最上層に位置する各ロッド状たばこ製品の端部に対して同時に吸引圧を作用させることができる。
【0013】
また、前記吸引部は、上下方向に沿って延びる回転軸を中心に回転自在な円筒状の回転ローラに収容された状態で固定されており、前記回転ローラは、当該回転ローラを部材厚方向に貫通する多数の通気孔を有すると共に、前記ベルトコンベアによって搬送される前記ロッド状たばこ製品の端部と接触することで回転し、前記検査ガスは前記通気孔を通じて前記吸引口から前記吸引通路内に吸引されても良い。
【0014】
また、前記検査装置は、複数のロッド状たばこ製品からなるロッド状たばこ製品束を内包材により包装する包装機にロッド状たばこ製品を供給するためのホッパ内を下方に向けて搬送されるロッド状たばこ製品を検査対象とし、前記ホッパは、当該ホッパの奥行を規定する一対の鉛直プレートと、当該ホッパの横幅を規定する一対の側方プレートを有し、一対の前記鉛直プレートの離れ寸法は、前記ロッド状たばこ製品の軸方向寸法1本分に対応する寸法に規定されていると共に、少なくとも何れか一方の鉛直プレートには開口窓が形成され、前記ホッパは、前記ロッド状たばこ製品を横向き、且つ、当該ロッド状たばこ製品の端部を一方向に向けて揃えて積層した状態で下方に流下させることで、前記ホッパの下端側に位置する排出口に向けて前記ロッド状たばこ製品を搬送し、前記吸引部は、前記開口窓を通じて前記ロッド状たばこ製品の搬送空間を前記吸引口が臨むように配置されていても良い。
【0015】
また、前記開口窓は、前記鉛直プレートに水平方向に沿って延在しており、前記吸引口は、前記開口窓に水平方向に沿って延在しており、前記ホッパ内を前記排出口に向けて流下する前記ロッド状たばこ製品が前記開口窓を横切る際に、前記開口窓を横切る各ロッド状たばこ製品の端部に対して同時に吸引圧を作用させても良い。
【0016】
また、前記ホッパの下部領域には、前記ロッド状たばこ製品を個々に流下させるべく前記ホッパの横幅方向に隣接した複数の排出通路であって、上下方向に延びる複数の隔壁によって互いに区画された複数の排出通路を、有する排出ダクト部が設けられ、且つ、前記排出口は、前記排出ダクト部における各排出通路の下端に形成されており、前記開口窓は、前記鉛直プレートのうち、前記排出ダクト部に対応する位置に設けられていても良い。
【0017】
また、前記吸引部は、水平方向に沿って延びる回転軸を中心に回転自在な円筒状の回転ローラに収容された状態で固定されており、前記回転ローラは、当該回転ローラを部材厚方向に貫通する多数の通気孔を有すると共に、前記ホッパ内を流下する前記ロッド状たばこ製品の端部と接触することで回転し、前記検査ガスは前記通気孔を通じて前記吸引口から前記吸引通路内に吸引されても良い。
【0018】
また、前記検査装置は、複数のロッド状たばこ製品からなるロッド状たばこ製品束を内包材により包装する包装機に向けてロッド状たばこ製品を供給するためのホッパの排出口から順次排出されるロッド状たばこ製品を検査対象とし、前記ホッパの下部領域には、前記ロッド状たばこ製品を個々に流下させるべく前記ホッパの横幅方向に隣接した複数の排出通路であって、上下方向に延びる複数の隔壁によって互いに区画された複数の排出通路を、有する排出ダクト部が設けられ、且つ、前記排出口は、前記排出ダクト部における各排出通路の下端に形成されており、前記排出ダクト部の下方には、各排出口から排出された複数本のロッド状たばこ製品を受け取る底プレートが配置されており、前記吸引部は、所定の後退位置と押込み位置との間で往復動可能に前記底プレートに隣接配置されており、後退位置から押し込み位置に移動する過程で前記底プレートに受け取られた複数本のロッド状たばこ製品をポケットコンベアのポケットに押し込むためのプッシャーと、後退位置から押し込み位置に移動する過程でロッド状たばこ製品の端面に接触する接触部を有し、前記吸引口は、前記接触部に設けられており、ロッド状たばこ製品の端面に前記接触部が接触した際に当該端面に前記吸引源が発生させた吸引圧を作用させることで前記検査ガスを吸引しても良い。
【0019】
また、前記接触部は、前記吸引部における前記プッシャーの上部に配置され、前記吸引部が後退位置から押し込み位置に移動する過程で前記排出通路内に位置するロッド状たばこ製品の端面に接触し、前記吸引口から当該排出通路内に位置するロッド状たばこ製品の端面に吸引圧を作用させても良い。
【0020】
また、前記接触部は弾性部材であっても良い。
【0021】
また、前記接触部は、前記吸引部の往復動方向に沿って伸縮可能であっても良い。
【0022】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、搬送経路に沿って順次多量に搬送されるロッド状たばこ製品の品質を製造ライン上で全数検査することに適した検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るロッド状たばこ製品の品質を検査する検査装置1の概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係るロッド状たばこ製品の品質を検査する検査装置1の概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係るベルトコンベア部の概略を示す上面図である。図である。
【
図4】
図4は、
図4は、実施形態1に係る検査装置における吸引部の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の変形例2に係るベルトコンベア部の概略を示す上面図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係るホッパの正面図を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る排出ダクト部における吸引部および回転ローラの設置態様を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態2の変形例に係る吸引部を説明する図である。
【
図9】
図9は、実施形態3に係る移送装置を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施形態3に係る移送装置を説明する図である。
【
図12】
図12は、実施形態3における吸引部の動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、実施形態3の変形例に係る吸引部の上面図である。
【
図14】
図14は、実施形態4に係るフィルタチップアタッチメント装置が備えるドラム列の一部を概略的に示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態4に係るインスペクションドラムの側面図である。
【
図16】
図16は、実施形態4に係る検査装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで、本発明に係るロッド状たばこ製品の検査装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るロッド状たばこ製品Rの品質を検査する検査装置1の概略図である。ここでは、検査装置1によって品質を検査するロッド状たばこ製品Rとして、たばこロッドTの端部にフィルタFがチップペーパを介して接続されたフィルタシガレットを例に説明する。フィルタFは、香料液を含む破壊可能な香料カプセルCを含んでいる。フィルタFの香料カプセルCは、例えば、アセテート繊維の束であるフィルタ材料に対して埋め込まれていても良いし、フィルタF内に形成された空洞状のキャビティ内に配置されていても良い。
【0027】
本実施形態における検査装置1は、製造工程中にロッド状たばこ製品Rの品質を製造ライン上で検査する装置であって、ロッド状たばこ製品Rを製造する製造装置に組み込まれている。そして、検査装置1は、吸引源30と、吸引源30と連通する吸引通路20と、吸引通路20の途中又は当該吸引通路と連通する位置に配置される臭気センサ40と、吸引通路20と連通し、ロッド状たばこ製品Rの軸線方向と直交する方向に延びる搬送経路に沿って整列された状態で順次搬送される各ロッド状たばこ製品Rが搬送経路の途中に設けられる所定の検査位置に位置するときに各ロッド状たばこ製品Rの端部に吸引源30が発生させた吸引圧を作用させ、ロッド状たばこ製品の内部又は周囲に存在するガスを検査ガスGとして吸引通路20内に吸引するための吸引口123を有する吸引部12を備えている。本実施形態において、臭気センサ40は、吸引通路20の途中に形成されたセンサ室21に配置されており、吸引通路20内に吸引された検査ガスGに含まれる香料成分を検出する。
【0028】
本実施形態では、たばこロッド製造装置で製造されたたばこロッドTとフィルタ製造装置で製造されたフィルタFをチップペーパによって接続するフィルタチップアタッチメント装置におけるドラム列の後段に設置されたベルトコンベア部100によってマスフロー形態で搬送されるロッド状たばこ製品Rを検査する態様について説明する。なお、ベルトコンベア部100によって搬送されたロッド状たばこ製品Rは、ロッド状たばこ製品束を内包材により包装するための包装機のホッパに供給されたり、一旦、段ボール等の梱包材に梱包される。
【0029】
図2は、実施形態1に係るベルトコンベア部100の概略を示す斜視図である。
図3は、実施形態1に係るベルトコンベア部100の概略を示す上面図である。ベルトコンベア部100は、ロッド状たばこ製品Rを、当該ロッド状たばこ製品Rの軸線方向と直交する搬送方向に沿って搬送するベルトコンベア110と、ベルトコンベア110を挟んで当該ベルトコンベア110の両側に立設し、搬送方向に沿って延在する一対の壁体である前壁120および後壁130を備えている。
【0030】
ベルトコンベア部100は、例えば、ロッド状たばこ製品Rを製造するフィルタチップアタッチメント装置の後段に配置されている。ベルトコンベア部100は、フィルタチップアタッチメント装置において製造されたロッド状たばこ製品Rを、ベルトコンベア110によってマスフロー形態で搬送するように構成されている。そして、ベルトコンベア部100は、ロッド状たばこ製品Rを横向き、且つ、当該ロッド状たばこ製品Rの端部を一方向に向けて揃えて積層した状態でベルトコンベア110によって搬送する。本実施形態では、フィルタF側の端面を前壁120に対向させた状態でロッド状たばこ製品Rがベルトコンベア110によって搬送される。
図3に示す符号CSは、前壁120および後壁130の間に形成されるロッド状たばこ製品Rの搬送空間である。なお、
図3においては、ベルトコンベア110によって搬送されるロッド状たばこ製品Rの図示を省略している。また、前壁120および後壁130は、ベルトコンベア部100における搬送空間CS内を作業者が視認できるように光透過性を有していても良く、例えば透明板によって形成されていても良い。
【0031】
ここで、前壁120および後壁130の離れ寸法は、ロッド状たばこ製品Rの軸方向寸法1本分に対応する寸法に規定されている。より詳しくは、前壁120および後壁130の離れ寸法は、ロッド状たばこ製品Rの軸方向寸法1本分の長さに僅かなクリアランス寸法を加えた寸法に規定されている。その結果、各ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタF側の端部(端面)が前壁120によってガイドされ、ロッド状たばこ製品RにおけるたばこロッドT側の端部(端面)が後壁130によってガイドされることにより、マスフロー形態のロッド状たばこ製品Rがベルトコンベア110上に積層された状態で搬送空間CSを一方向に搬送される。なお、
図2および
図3に示す例では、白抜き矢印の方向(図中の右側から左側に向かう方向)にマスフロー形態のロッド状たばこ製品Rをベルトコンベア110が搬送している。
【0032】
図2および
図3に示すように、本実施形態におけるベルトコンベア部100は、前壁120および後壁130の少なくとも何れか一方に、開口窓140が設けられている。この開口窓140は、ベルトコンベア部100における搬送経路の途中に設けられる所定の検査位置に設けられる検査用の開口部であり、
図2および
図3に示す例では前壁120のみに開口窓140が設けられている。また、
図2に示すように、開口窓140は、前壁120の下端から上端に亘って上下方向に沿って延在している。本実施形態においては、前壁120に形成された開口窓140に検査装置1の吸引部12が設けられる。なお、
図3は、ベルトコンベア部100における検査位置周辺を図示している。
【0033】
検査装置1における吸引部12は、上下方向(鉛直方向)に沿って延びる回転軸(図示せず)を中心に回転自在な円筒状の回転ローラ11内に収容された状態で、例えば、ベルトコンベア部100の基部150に固定されている。また、回転ローラ11は、当該回転ローラ11を部材厚方向に貫通する多数の通気孔111を有している。
図4は、実施形態1に係る検査装置1における吸引部12の斜視図である。吸引部12は略直方体のケース本体121を有し、当該ケース本体121における一つの側面である吸引面122には、上下方向に沿って細長い吸引口123がスリット状に開口している。そして、吸引部12のケース本体121の内部は中空状となっており、その内部空間が吸引通路20の一部を形成している。すなわち、吸引部12は、上下に延びるスリット状の吸引口123が吸引通路20と連通しており、吸引源30の作動によって発生させた吸引圧を利用して検査ガスを吸引口123から吸引し、吸引通路20内に導くことができる。
【0034】
ここで、吸引部12は、前壁120の開口窓140を通じてロッド状たばこ製品Rの搬送空間CS内を臨む向きに吸引面122が位置付けられており、常に、吸引面122の吸引口123が開口窓140を通じて搬送空間CS内を臨む姿勢に固定されている。また、
図4に示すように、回転ローラ11に収容される吸引部12の吸引面122は、回転ローラ11の内周面112の曲率と実質的に同一の曲率を有する曲面として形成されている。そして、吸引部12の吸引面122は、回転ローラ11の内周面112との間に僅かなクリアランスを形成し、又は内周面112と接触した状態で、内周面112に対向するように配置されている。
【0035】
上記のように構成される検査装置1は、ベルトコンベア部100の搬送空間CSをマスフロー形態で搬送されるロッド状たばこ製品Rが所定の検査位置(開口窓140)を通過する(横切る)際に、ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端部と回転ローラ11が接触するように構成されている。回転ローラ11に対してロッド状たばこ製品Rの端部が接触することによって回転トルクが発生し、この回転トルクによって回転ローラ11が回転する(
図4中、半時計回り)。また、回転ローラ11は、ベルトコンベア110上における最下層に位置するロッド状たばこ製品Rから最上層に位置するロッド状たばこ製品Rまでの各フィルタFの端部と接触可能に配置されている。
【0036】
本実施形態における検査装置1は、ベルトコンベア部100における搬送空間CSをロッド状たばこ製品Rがマスフロー形態で搬送されている間、
図1に示す吸引源30を作動させる。吸引源30は、公知の減圧源や真空源であっても良い。吸引源30が発生させた吸引圧は、吸引通路20、吸引部12における吸引口123、および回転ローラ11の通気孔111を通じて、回転ローラ11に接触する各ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端面に作用する。その結果、フィルタFの内部又は周囲に存在するガス(例えば、空気)が回転ローラ11の通気孔111を通過し、検査ガスGとして吸引口123から吸引される。これにより、吸引口123から吸引された検査ガスGが吸引通路20を吸引源30側に向かって吸引され、吸引通路20の途中に形成されたセンサ室21に配置されている臭気センサ40によって検査ガスGに含まれる香料成分が検出される。
【0037】
ここで、臭気センサ40は、検査ガスに含まれる特定の香料成分を検出するためのセンサであり、センサ素子に付着した検査ガスGに含まれる香料成分の付着量の大小に対応する電気信号を応答信号として出力する。臭気センサ40には、公知の種々のセンサを用いることができるが、例えば、金属酸化物センサ(MOS)であっても良いし、水晶振動子式のセンサであっても良い。
【0038】
検査装置1は、
図1に示すように、臭気センサ40から応答信号(電気信号)を受け取るコントローラ50を備えている。コントローラ50は、臭気センサ40から取得した応答信号を、例えば規準信号と比較する処理を行うことで、検査ガスGに特定の香料成分が含まれるか否か、或いは、当該香料成分の濃度を取得することができる。コントローラ50は、臭気センサ40を用いた検査ガスGの検査結果に基づいて、検査位置を通過しているロッド状たばこ製品RのフィルタFにおける香料カプセルCの割れ等に起因して香料カプセルCから香料液が漏出しているかどうかを精度良く検出することができる。
【0039】
ここで、香料カプセルCから香料液が漏出していると判断されたロッド状たばこ製品Rは、包装機のホッパや梱包材に梱包される前に適宜の自動排除装置(図示せず)によって除去されても良い。具体的には、香料カプセルCから香料液が漏出していると判断された一群のロッド状たばこ製品R(具体的には、同時期に検査位置、すなわち開口窓140を横切っている一群のロッド状たばこ製品R)が、例えばベルトコンベア110の終端に到達した時点で、当該一群のロッド状たばこ製品Rを自動排除装置によって搬送ラインから排除しても良い。なお、不良のロッド状たばこ製品Rを排除する自動排除装置は、検査装置1におけるコントローラ50が出力する排除信号に基づいて制御されても良い。また、本実施形態におけるベルトコンベア部100は、不良のロッド状たばこ製品Rを自動で排除する自動排除装置を備えていなくても良い。例えば、検査装置1におけるコントローラ50は、臭気センサ40の応答信号に基づいて不良のロッド状たばこ製品Rを検出した場合、当該不良のロッド状たばこ製品Rを識別可能な情報を作業者(例えば、検査装置1のオペレータ)に通知しても良い。
【0040】
本実施形態において、吸引部12の吸引口123は、開口窓140に上下方向に沿って延在しており、吸引口123が上下方向に延びる上下長さは、搬送空間CS内を搬送されるマスフロー形態のロッド状たばこ製品Rが開口窓140を横切る際、ベルトコンベア110上に積層された最下層から最上層に位置する各ロッド状たばこ製品Rの端部に対して同時に吸引圧を作用させることのできる寸法に設定されている。これにより、搬送空間CS内を搬送されるマスフロー形態のロッド状たばこ製品Rの品質について好適に全数検査することができる。
【0041】
上記のように、本実施形態における検査装置1によれば、ベルトコンベア部100をマスフロー形態で搬送経路に沿って順次多量に搬送されてくるロッド状たばこ製品Rにおける品質の良否を製造ライン上で全数検査することができる。特に、本実施形態における検査装置1は、搬送経路における検査位置を通過する(横切る)ロッド状たばこ製品Rの端部が回転ローラ11に接触したタイミングで、当該ロッド状たばこ製品Rの端部を吸引部12によって吸引し、吸引口123から吸引通路20に吸引した検査ガスGを検査するようにしたので、ロッド状たばこ製品Rにおける品質の良否(本実施形態においては、香料カプセルCから香料液が漏出しているかどうか)を精度良く検査できる。
【0042】
また、本実施形態における検査装置1によれば、吸引通路20の途中又は当該吸引通路20と連通する位置に配置された臭気センサ40によって検査ガスGに含まれる香料成分を検出するようにしたので、マイクロ波共振器を用いた検査装置と異なり、香料カプセルCが割れた直後やカプセルの損傷が微小(例えば、ピンホール等)であって漏出した香料液が少量である場合においても、カプセル割れの検出精度に優れるという利点がある。
【0043】
ここで、マイクロ波共振器を利用した検査は全品の非破壊検査の性質が強く、高い応答性・感度で大量に検査することが要求されるため、検査装置の許容精度幅が狭くなり易い。その結果、マイクロ波共振器を利用した検査装置を用いて、搬送経路に沿って順次多量に搬送されてくるロッド状たばこ製品Rにおける品質の良否を製造ライン上で全数検査しようとすると、メンテナンス頻度が高くなることに起因してメンテナンスコストが嵩みやすい。これに対して、本実施形態における検査装置1によれば、臭気センサ40によって検査ガスG中の香料成分を検出するようにした。このように、検査装置1は、香料カプセルC内の被膜内に封入されており、香料カプセルCの被膜が破壊ないし亀裂を生じていない限り外部に漏出しない香料の化合物、溶媒の化合物を検出する方式を採用したので、バックグラウンドノイズが無く、故に特異性が高い。また、そのような化合物が検出されるということは、破壊性カプセルの被膜が破壊ないし亀裂を生じたことと強く相関するため、結果としてそのような疑いのある香料カプセルCを含むロッド状たばこ製品Rを、広く検出することができる。従って、本実施形態によれば、搬送経路に沿って順次多量に搬送されるロッド状たばこ製品Rにおける品質を製造ライン上で全数検査すること用途に適した検査装置1を提供できる。
【0044】
更に、本実施形態における検査装置1によれば、製造ラインで製造するロッド状たばこ製品Rの銘柄や、フィルタFの種類毎に検査装置1を調整する不要が無いという利点がある。例えば、フィルタFに含まれる香料カプセルCが共通する場合や、或いは、臭気センサ40による検出対象を、例えば、溶媒である脂肪酸や香料化合物のエステル等、香料カプセルCの内容物に共通する化学構造を有する化合物としても良い。このようにすることで、ロッド状たばこ製品Rの銘柄や適用するフィルタF毎に検査装置1を調整する必要が無くなるという利点がある。
【0045】
<実施形態1の変形例1>
上記実施形態1においては、検査装置1を用いてロッド状たばこ製品RのフィルタFに配置される香料カプセルCの割れを検出する例を説明したが、検査対象はこれに限定されない。例えば、実施形態1の変形例1におけるベルトコンベア部100は、ロッド状たばこ製品RにおけるたばこロッドT側の端部(端面)を前壁120に対向するように、ロッド状たばこ製品Rの端部を一方向に向けて揃えた状態で、マスフロー形態のロッド状たばこ製品Rを搬送しても良い。そして、搬送経路の検査位置を通過する(横切る)ロッド状たばこ製品RにおけるたばこロッドT側の端部(端面)が回転ローラ11と接触した際に、吸引部12の吸引口123によってたばこロッドT側の端部(端面)を吸引しても良い。このようにして、ロッド状たばこ製品RにおけるたばこロッドTの内部又は周囲に存在するガスを検査ガスGとして吸引口123から吸引通路20内に導き、センサ室21に配置されている臭気センサ40によって当該検査ガスに含まれる特定の香料成分の濃度を検出しても良い。これにより、例えば、たばこロッドTのたばこ刻みに添加された香料の添加量が適正であるかどうかを好適に判定することができる。
【0046】
<実施形態1の変形例2>
図5に示すように、検査装置1は、ベルトコンベア部100における前壁120および後壁130の双方に開口窓140を形成し、各開口窓140に吸引部12および回転ローラ11を設置しても良い。
図5は、実施形態1の変形例2に係るベルトコンベア部100の概略を示す上面図である。なお、前壁120および後壁130にそれぞれ設置される吸引部12は、それぞれ別系統の吸引通路20と連通しており、各吸引部12に接続される各系統の吸引通路20に臭気センサ40および吸引源30がそれぞれ配置されていても良い。実施形態1に係る変形例2の態様によれば、ベルトコンベア部100の搬送空間CSをマスフロー形態で搬送されるロッド状たばこ製品RのフィルタF側の端部から吸引した検査ガスGとたばこロッドT側の端部から吸引した検査ガスGに基づいて、ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの品質の良否と、たばこロッドTの品質の良否を同時に検査することができる。言い換えると、ロッド状たばこ製品RのフィルタFに配置される香料カプセルCの割れと、たばこロッドTのたばこ刻みに添加されている香料の添加量の適否について同時に検査することができる。
【0047】
なお、検査装置1は回転ローラ11を備えていなくても良い。例えば、ベルトコンベア部100における前壁120や後壁130に形成された開口窓140に、吸引口123が開口窓140を通じて搬送空間CS内を臨むように吸引部12を設置し、吸引面122と接触するロッド状たばこ製品Rの端部に吸引口123を通じて吸引圧を作用させることで、吸引口123から検査ガスGを吸引しても良い。
【0048】
<実施形態2>
次に、実施形態2について説明する。実施形態2に係る検査装置1は、ロッド状たばこ製品束を内包材により包装するための包装機にロッド状たばこ製品Rを供給するためのホッパ200に組み込まれている。
図6は、実施形態2に係るホッパ200の正面図を示す図である。ホッパ200は、当該ホッパ200の奥行を規定する一対の鉛直プレート201と、当該ホッパ200の横幅を規定する一対の側方プレート202を有している。一対の鉛直プレート201は互いに対向配置されており、これらの左右両端部同士が各々の側方プレート202によって接続されている。また、一対の鉛直プレート201の離れ寸法は、ロッド状たばこ製品Rの軸方向寸法1本分に対応する寸法に規定されている。より詳しくは、一対の鉛直プレート201の離れ寸法は、ロッド状たばこ製品Rの軸方向寸法1本分の長さに僅かなクリアランス寸法を加えた寸法に規定されている。ホッパ200は、ロッド状たばこ製品Rを横向き、且つ、当該ロッド状たばこ製品Rの端部を一方向に向けて揃えて積層した状態で下方に流下させることで、ホッパ200の下端側に位置する排出口204に向けてロッド状たばこ製品Rを搬送する。
【0049】
図6に示すように、ホッパ200における上部領域A1には、紡錘形をなした複数のフローガイド203が互いに間隔を有して設けられている。各フローガイド203は、ホッパ200の上部領域A1を下方に向けて流れるロッド状たばこ製品Rを、ホッパ200の横幅方向における左右に振り分け、後述する各排出ダクト部210に向かう各ロッド状たばこ製品Rの流れを一様にする。また、上部領域A1の上端には、ロッド状たばこ製品Rをホッパ200内に供給するための開口部205が設けられている。
【0050】
また、
図6に示すように、ホッパ200の下部領域A2には、複数(
図6に示す例では、4つ)の排出ダクト部210が設けられている。複数の排出ダクト部210の各々は、ホッパ200の横幅方向に隣接して配置されている。各排出ダクト部210は、ホッパ200の横幅方向に並ぶ複数の隔壁211によって区画され、これら隔壁211は鉛直方向(ホッパ200の上下方向)に沿って延設されている。隣接する隔壁211は協働して排出通路212を形成し、これら排出通路212はホッパ200内のロッド状たばこ製品Rを横向き姿勢のまま一列にして導き、ロッド状たばこ製品Rを下方に向けてガイドしながら流下させる。一対の隔壁211の間に形成される排出通路212は、ロッド状たばこ製品Rを個々に下方に向けて流下させることができると共に、各排出通路212の下端には排出口204が個別に形成されている。
図6に示す例では、各排出ダクト部210には、それぞれ7つの排出通路212が隔壁211を挟んで隣接して設けられている。
【0051】
上記のように構成されるホッパ200は、開口部205から供給されたロッド状たばこ製品Rは、軸線方向を横向き(水平方向)とした状態で順次下方に向けて搬送される。より詳しくは、ホッパ200の上部領域A1において適宜フローガイド203によって左右に振り分けられ、下部領域A2に設けられる何れかの排出ダクト部210に導かれる。そして、何れかの排出ダクト部210に導かれたロッド状たばこ製品Rは、排出ダクト部210における排出通路212を通って下端部の排出口204から排出される。なお、ホッパ200における各排出ダクト部210は、排出口204を開閉可能な排出制御シャッタ(図示せず)を有していても良く、排出制御シャッタの開閉動作を制御することで、各排出口204からのロッド状たばこ製品Rの排出タイミングを制御することができる。
【0052】
なお、本実施形態におけるホッパ200の排出口204には、各排出ダクト部210の下方には、排出ダクト部210における各排出口204から排出されるロッド状たばこ製品Rを受け取る底プレート220が設けられている。底プレート220に受け取られた複数のロッド状たばこ製品Rは、図示しない移送装置によって包装機に移送される。なお、移送装置は、包装機に移送するためのロッド状たばこ製品Rの束を収容するポケットを多数有するポケットコンベアと、底プレート220に対して一列に載置されたロッド状たばこ製品Rの束を水平方向に押し出すことでロッド状たばこ製品Rの束を上記ポケットに収容するためのプッシャーを含むことができる。
【0053】
次に、本実施形態におけるホッパ200に組み込まれる検査装置1について説明する。本実施形態におけるホッパ200は、一対の鉛直プレート201における少なくとも何れか一方に開口窓140が形成されている。そして、鉛直プレート201に形成された開口窓140には、検査装置1の吸引部12が設けられている。また、上記実施形態1と同様、吸引部12は回転ローラ11の内側に収容されており、ホッパ200内を排出口204に向けて下方に流下するロッド状たばこ製品Rの端部が回転ローラ11に接触することで回転ローラ11が回転する構造となっている。
図6に示す例では、ホッパ200における鉛直プレート201のうち、排出ダクト部210に対応する位置に開口窓140が設けられ、当該開口窓140に吸引部12および回転ローラ11が設置されている。
【0054】
図7は、実施形態2に係る排出ダクト部210における吸引部12および回転ローラ11の設置態様を説明する図である。
図7は、排出ダクト部210の縦断面の概略を示している。符号201Aは、鉛直プレート201のうち、排出ダクト部210の正面側を覆う正面プレート部である。符号201Bは、鉛直プレート201のうち、排出ダクト部210の背面側を覆う背面プレート部である。
図6および
図7に示す例では、鉛直プレート201の正面プレート部201Aに、開口窓140が水平方向(ホッパ200の横幅方向)に沿って延在して設けられている。より具体的には、開口窓140は、各排出ダクト部210に対応して設けられており、各排出ダクト部210の左右両端部間(左端から右端)に亘って延在している。
【0055】
ここで、開口窓140に設置される吸引部12および回転ローラ11は、
図4および
図5で説明したものと実質的に同一構造である。本実施形態において、吸引部12は、吸引面122にスリット状に形成された吸引口123が、開口窓140に沿って水平方向に延伸配置される姿勢で設置されている。そして、吸引部12は、排出ダクト部210における排出通路212を搬送されるロッド状たばこ製品Rの搬送空間CS内を吸引口123が開口窓140を通じて臨むようにホッパ200のフレーム等に固定されている。更に、本実施形態における吸引部12は、各排出ダクト部210における全ての排出通路212を吸引口123が臨むように設置されている。なお、本実形態における検査装置1においても、吸引部12と吸引通路20との接続態様は
図1に示す構成と同一である。
【0056】
実施形態2における検査装置1は、ホッパ200における排出ダクト部210の排出通路212内を排出口204に向けて順次流下するロッド状たばこ製品Rが開口窓140(検査位置)を横切る際に、当該開口窓140を横切る各ロッド状たばこ製品Rの端部に対して同時に吸引圧を作用させることで、ロッド状たばこ製品Rにおける品質を検査する。より具体的には、本実施形態においては、回転ローラ11の回転軸が水平方向(ホッパ200の横幅方向)に伸びているため、各排出ダクト部210の排出通路212を下方に向けて搬送される各ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端部が順次回転ローラ11に接触することによって、回転ローラ11が回転する。
【0057】
検査装置1は、ホッパ200における搬送空間CSをロッド状たばこ製品Rが搬送されている間、
図1に示す吸引源30を作動させる。例えば、検査装置1の接触部10が設置されるホッパ200の正面側に位置する鉛直プレート201に対して、フィルタF側の端部を対向させてロッド状たばこ製品Rが搬送される場合、吸引源30が発生させた吸引圧が、吸引通路20、吸引部12における吸引口123、および回転ローラ11の通気孔111を通じて、回転ローラ11に接触する各ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端面に作用する。
【0058】
吸引源30が発生させた吸引圧は、吸引通路20、吸引部12における吸引口123、および回転ローラ11の通気孔111を通じて、回転ローラ11に接触する各ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端面に作用する。その結果、フィルタFの内部又は周囲に存在するガス(例えば、空気)が回転ローラ11の通気孔111を通過し、検査ガスGとして吸引口123から吸引され、吸引通路20の途中に形成されたセンサ室21に配置されている臭気センサ40によって検査ガスGに含まれる特定の香料成分が検出される(
図1を参照)。これにより、検査位置を通過している(横切っている)ロッド状たばこ製品RのフィルタFにおける香料カプセルCの割れ等を精度良く検査することができる。また、本実施形態における吸引部12は、各排出ダクト部210における全ての排出通路212を吸引口123が臨むように設置されているため、各排出ダクト部210を搬送されるロッド状たばこ製品Rの品質を全数検査することができる。
【0059】
なお、本実施形態のホッパ200によって搬送されるロッド状たばこ製品Rの向きは特に限定されない。例えば、検査装置1の吸引部12が設置されるホッパ200の正面側に位置する鉛直プレート201に対して、たばこロッドT側の端部を対向させてロッド状たばこ製品Rが搬送されても良い。その場合、吸引部12の吸引口123によってたばこロッドT側の端部(端面)を吸引し、たばこロッドTの内部又は周囲に存在するガスを検査ガスGとして吸引口123から吸引通路20内に導いても良い。そして、例えば、吸引通路20のセンサ室21に配置されている臭気センサ40によって当該検査ガスGに含まれる香料成分の濃度を検出することで、たばこロッドTのたばこ刻みに添加された香料の添加量が適正であるかどうかを好適に判定できる。
【0060】
また、本実施形態における検査装置1においても、実施形態1に係る変形例2と同様、一対の吸引部12を備えていても良い。すなわち、ホッパ200における正面側と背面側の双方の鉛直プレート201に開口窓140を設け、当該開口窓140にそれぞれ吸引部12および回転ローラ11を設置しても良い。これにより、ホッパ200の搬送空間CSを搬送されるロッド状たばこ製品RのフィルタFにおける品質の良否と、たばこロッドTにおける品質の良否を同時に検査することができる。
【0061】
なお、本実施形態における検査装置1において、吸引部12における吸引口123は、吸引面122にスリット状に形成されていなくても良い。例えば、吸引部12の吸引面122に、排出ダクト部210における各排出通路212を搬送されるロッド状たばこ製品Rの端部を吸引するための吸引口123を個別に設けても良い。例えば、
図6に示す例では、各排出ダクト部210は7つの排出通路212を有しているため、各排出通路212と連通させるための7つの吸引口123を吸引面122に形成しても良い。このような態様によっても、ホッパ200の排出ダクト部210を下方に搬送されるロッド状たばこ製品Rの品質を全数検査することができる。
【0062】
また、実施形態1において説明した通り、検査装置1は、回転ローラ11を必ずしも備えていなくて良い。例えば、
図8に示すように、ホッパ200の鉛直プレート201に形成された開口窓140に、吸引面122(吸引口123)が開口窓140を通じてホッパ200内の搬送空間CS内を臨むように吸引部12を設置し、吸引面122に接触するロッド状たばこ製品Rの端部に吸引口123を通じて吸引圧を作用させることで、吸引口123から検査ガスGを吸引しても良い。
【0063】
また、
図6に示す例では、ホッパ200における下部領域A2に設けられる排出ダクト部210に対応する位置に検査装置1の吸引部12および回転ローラ11を設置しているが、これには限定されない。例えば、ホッパ200における鉛直プレート201のうち、上部領域A1に対応する位置に開口窓140を形成し、開口窓140に検査装置1の吸引部12および回転ローラ11を配置しても良い。この場合、開口窓140を、ホッパ200の上部領域A1における左端から右端に亘って水平方向に開口窓140を延設し、吸引部12における吸引口123を上部領域A1における左端から右端に亘って水平方向に延在させると良い。これにより、ホッパ200の上部領域A1を下方に流下するロッド状たばこ製品Rの品質を全数検査することができる。
【0064】
<実施形態3>
次に、実施形態3について説明する。実施形態3に係る検査装置1は、実施形態2で説明したホッパ200における排出ダクト部210の排出口204から順次排出されるロッド状たばこ製品Rを包装機に向けて移送するための移送装置に組み込まれており、ホッパ200の排出口204から順次排出されるロッド状たばこ製品Rを検査対象としている。
【0065】
図9および
図10は、実施形態3に係るホッパ200の排出ダクト部210における排出口204の下方に設けられる移送装置300を説明する図である。
図9は、ホッパ200の排出ダクト部210における各排出口204から排出された複数本(図示の例では、7本)のロッド状たばこ製品Rが底プレート220上に一列に載置された状態を示している。以下、底プレート220上に一列に載置されたロッド状たばこ製品Rを、「排出ロッドR1」と呼ぶ。なお、
図9において、排出ダクト部210の正面側は、鉛直プレート201(正面プレート部201A)が設けられていない。
【0066】
図10に示すように、排出ダクト部210(ホッパ200)の下端に位置する排出口204の下方に位置する底プレート220に隣接して、ホッパ200(排出ダクト部210)の背面側にポケットコンベア310が配置されている。ポケットコンベア310は、コンベアベルト320および当該コンベアベルト320の表面に取り付けられた多数のポケット330を有している。コンベアベルト320は、例えば無端ベルトであっても良く、図示しないプーリー等の回転駆動によって一方向に駆動される。コンベアベルト320は、排出ダクト部210(ホッパ200)の横幅方向に沿って配置されている。また、ポケットコンベア310におけるポケット330は、コンベアベルト320の延伸方向に沿って一定間隔で設けられており、ポケットコンベア310の駆動はホッパ200の制御装置(図示せず)によって制御されている。
【0067】
図10に示すように、ホッパ200(排出ダクト部210)の正面側には、底プレート220に隣接して、検査装置1における吸引部12Aが設けられている。
図11は、実施形態3に係る吸引部12Aの上面図である。吸引部12Aは、直方体形状のケース本体121A、ケース本体121Aの前面1211から前方に突出するプッシャー124および接触部125等を一体に備えている。ケース本体121Aは、内部が中空状となっており、検査装置1における吸引通路20と接続されている。
【0068】
吸引部12Aにおけるプッシャー124は、排出ロッドR1をポケット330に押し込むための平板状部材である。吸引部12Aは、
図10に示す白抜き矢印方向、すなわち排出ロッドR1の軸線方向に沿って所定の範囲で往復動が可能であり、図示しない駆動手段によって駆動される。本実施形態において、吸引部12Aは、吸引部12Aの位置が相対的に排出ダクト部210(ポケット330)から離間した所定の後退位置と、後退位置に比べて排出ダクト部210(ポケット330)に接近する所定の押し込み位置とに変位することができる。なお、
図10には、吸引部12Aが後退位置に変位した状態が示されている。
【0069】
図11に示す吸引部12A(ケース本体121A)の平面において、吸引部12Aの往復動方向に平行な方向を「奥行方向」と定義し、当該奥行方向に直交する方向を「横幅方向」と定義する。ケース本体121Aの前面1211は、吸引部12Aの横幅方向に沿って延びる矩形面である。
図11に示すように、吸引部12Aの前面1211から前方に向かって突設された平板形状のプッシャー124は、底プレート220に一列に載置された複数の排出ロッドR1を纏めて押し出すことのできる横幅寸法を有している。但し、プッシャー124は平板部材に限らず、例えば棒状部材として形成されていても良い。この場合、吸引部12Aの前面1211に、排出ダクト部210における排出口204(排出通路212)に対応する数の棒状のプッシャーを前面1211の横幅方向に沿って一定間隔で設け、且つ、各プッシャーの軸線は吸引部12Aにおける往復動方向と平行にする態様が好ましい。また、プッシャーを棒状部材とする場合、各プッシャーの軸線同士の間隔は、底プレート220上に一列に載置された排出ロッドR1の軸線同士の間隔と一致させると良い。
【0070】
更に、吸引部12Aにおける前面1211には、各プッシャー124の上部に、接触部125が設けられている。吸引部12Aは、排出ダクト部210における排出口204に対応する数(ここでは、7つ)の接触部125を有している。ここで、吸引部12Aにおける各接触部125は、弾性部材で形成された筒状部材であり、吸引部12Aにおける前面1211から前方に向けて突設された筒状のボス126の外周部に装着されている。ボス126は、当該ボス126を軸方向に貫通する内部通路126aを有しており、ボス126の内部通路126aはケース本体121Aの内部空間に連通している。接触部125は、当該接触部125を軸方向に貫通する内部通路125aを有しており、接触部125の先端面125cに内部通路125aと連通する吸引口123が形成されている。上記のように形成される吸引部12Aは、接触部125の吸引口123が、接触部125の内部通路125a、ボス126の内部通路126a、ケース本体121Aの内部空間を介して吸引通路20と連通している。更に、接触部125は、
図10および
図11に示すように蛇腹形状を有する伸縮部125bを有し、吸引部12Aの往復動方向に沿って伸縮自在となっている。
【0071】
次に、実施形態3における吸引部12Aの動作について説明する。
図9に示すように、排出ダクト部210の各排出口204から排出された排出ロッドR1が底プレート220上に一列に載置され、ポケットコンベア310におけるポケット330が、排出ロッドR1の背面に配置された状態において、所定の後退位置に位置する吸引部12Aが排出ロッドR1に接近する方向へと図示しない駆動手段によって駆動される。
図12は、吸引部12Aが押し込み位置に変位した状態を示している。吸引部12Aが後退位置から押し込み位置に移動(変位)する過程で、底プレート220上に一列に載置された各排出ロッドR1におけるフィルタFの端面に吸引部12Aのプッシャー124の先端124aが当接することで、各排出ロッドR1がポケット330内に押し込まれる。
【0072】
上記のように、底プレート220上の排出ロッドR1をプッシャー124によってポケット330へと押し込む押し込み動作がなされる際、吸引部12Aにおける接触部125の先端面125cが、各排出ロッドR1の一段上に位置する排出通路212内に位置するロッド状たばこ製品R(以下、「未排出ロッドR2」という)におけるフィルタFの端面に当接する。ここでの例では、未排出ロッドR2は、排出ダクト部210における排出口204の近傍に位置付けられている。ここで、接触部125は弾性部材(例えば、ゴム等)によって形成されており、しかも、吸引部12Aの往復動方向に沿って伸縮自在な蛇腹状の伸縮部125bを有している。そのため、吸引部12Aが後退位置から押し込み位置に移動する過程で、接触部125の先端面125cが未排出ロッドR2におけるフィルタFの端面に当接することで接触部125が軸方向に縮み、接触部125の先端面125cを未排出ロッドR2におけるフィルタFの端面に密着させることができる。
【0073】
本実施形態における検査装置1は、底プレート220上の排出ロッドR1のポケット330への押し込み動作がなされる間、吸引源30を作動させる。そして、吸引源30が発生させた吸引圧は、吸引通路20、ボス126の内部通路126a、接触部125の内部通路125aおよび吸引口123を通じて、接触部125の先端面125cが密着する各未排出ロッドR2におけるフィルタFの端面に作用する。その結果、フィルタFの内部に存在するガス(例えば、空気)が検査ガスGとして吸引口123から吸引され、内部通路125a、内部通路126aを介して吸引通路20に導かれる。そして、吸引通路20の途中に形成されたセンサ室21に配置されている臭気センサ40によって検査ガスGに含まれる特定の香料成分が検出される。これにより、所定の検査位置(本実施形態では、排出通路212における排出口204近傍位置)に位置するロッド状たばこ製品RのフィルタFにおける香料カプセルCの割れ等を精度良く検査することができる。また、本実施形態における吸引部12Aは、排出ダクト部210における排出通路212の数に対応する数の接触部125を有しているため、排出ダクト部210における各排出通路212を流下してくるロッド状たばこ製品Rの品質を全数検査することができる。
【0074】
上記押し込み動作が完了して、排出ロッドR1がポケット330に収容されると、吸引部12Aは押し込み位置から後退位置へと駆動され、
図10に示す状態となる。この状態では、1サイクル前に検査装置1によって品質が検査された後のロッド状たばこ製品Rが排出ロッドR1として底プレート220に一列に載置されている。そして、その排出ロッドR1がプッシャー124によって押し込まれることで新たなポケット330に収容される。
【0075】
以上のように、本実施形態における検査装置1によれば、ホッパ200における排出ダクト部210の排出口204から順次排出されるロッド状たばこ製品Rを後段の包装機に移送するための移送装置300に組み込まれ、移送装置300におけるポケットコンベア310のポケット330にロッド状たばこ製品Rを収容するタイミング毎に、ロッド状たばこ製品Rの品質を順次検査することができる。
【0076】
更に、本実施形態における吸引部12Aによれば、接触部125が弾性部材によって形成され、また、軸方向に伸縮自在な蛇腹状の伸縮部125bを有しているため、吸引部12Aが後退位置から押し込み位置に移動する過程で接触部125の先端面125cがロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端面に当接してから、吸引部12Aが押し込み位置から後退位置に移動する過程で接触部125の先端面125cがフィルタFの端面から離れるまでの接触時間を稼ぐことができる。このように、吸引部12Aの吸引口123からロッド状たばこ製品Rの端部(フィルタFの端面)に吸引圧を作用させる時間を稼ぐことで、ロッド状たばこ製品Rの品質を精度良く検査することができる。
【0077】
また、吸引部12Aの接触部125を弾性部材によって形成し、伸縮自在な蛇腹状の伸縮部125bを接触部125に設けることで、上記押し込み動作時に接触部125の先端面125cをロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端面に密着させることができる。そのため、吸引部12Aの吸引口123からロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端面に効率的に吸引圧を作用させることができる。その結果、ロッド状たばこ製品Rの品質を精度良く検査することができる。更には、吸引部12Aの接触部125を弾性部材によって形成し、伸縮自在な蛇腹状の伸縮部125bを接触部125に設けることで、上記押し込み動作時に接触部125の先端面125cがロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの端面に衝突する際の衝撃を小さくすることができる。但し、本実施形態における吸引口123の接触部125は必ずしも弾性部材である必要はなく、また、伸縮部125bが設けられていなくても良い。
【0078】
また、本実施形態において、プッシャー124を備えた吸引部12Aは、ホッパ200における排出ダクト部210毎に設けられており、吸引部12A毎に別系統の吸引通路20、臭気センサ40、吸引源30が設けられていても良い。詳しくは、各排出ダクト部210内は隔壁211によって下方に向けて延びる複数の排出通路212に区画されており、各排出通路212はホッパ200内のフィルタシガレット等といったロッド状たばこ製品Rを横向き姿勢で1列に排出可能である。これにより、各排出ダクト部210の下方の底プレート220上に、ロッド状たばこ製品Rの束が俵積み状態で形成される。この後、ロッド状たばこ製品R束は、そのフィルタ端面側からプッシャー124により押し出されることで、底プレート220からポケットコンベア310におけるポケット330に向けて移送される。移送装置300は、ポケットコンベア310と底プレート220との間に昇降可能なトランスファや、トランスファ側プッシャーを介在させた供給装置を有していても良い。
【0079】
また、上記の例では、ロッド状たばこ製品RにおけるフィルタFの品質を検査する態様について説明したが、他の実施形態と同様にこれには限られない。例えば、排出ダクト部210における背面プレート部側にフィルタFの端面を向けた状態で排出通路212に沿ってロッド状たばこ製品Rを流下させても良い。これにより、上記押し込み動作時に吸引部12Aの接触部125における吸引口123からたばこロッドTの端面に吸引圧を作用させ、たばこロッドTの品質を検査するようにしても良い。
【0080】
ここで、本実施形態における吸引部12Aの変形例を説明する。
図13は、実施形態3の変形例に係る吸引部12Aの上面図である。
図13に示す吸引部12Aは、プッシャー124の先端124aに接触部125が一体に設けられている。より詳しくは、プッシャー124の先端124aに、複数のボス126が突設されており、当該ボス126に接触部125が装着されている。ボス126および接触部125の構造は
図11で説明した通りである。本変形例においても、排出ダクト部210における排出口204に対応する数(ここでは、7つ)のボス126が、吸引部12A(プッシャー124)の横幅方向沿って一定間隔で配列されている。
【0081】
本変形例における吸引部12Aは、底プレート220上に一列で載置されたロッド状たばこ製品R(排出ロッドR1)をプッシャー124によってポケット330に押し込む際に、プッシャー124の先端124aに設けられた接触部125を排出ロッドR1の端面に当接させる。そして、吸引部12Aにおける接触部125の先端面125cが排出ロッドR1の端面に当接している間に亘って接触部125の吸引口123から排出ロッドR1に吸引圧を作用させることで、検査ガスGを吸引口123から吸引する。このようにしても、移送装置300におけるポケットコンベア310のポケット330にロッド状たばこ製品Rを収容するタイミング毎に、ロッド状たばこ製品Rの品質を順次検査することができる。
【0082】
<実施形態4>
次に、実施形態4について説明する。実施形態4に係る検査装置1は、たばこロッド製造装置およびフィルタ製造装置からそれぞれ供給されたフィルタおよびたばこロッドをチップペーパによって一体に接続するフィルタチップアタッチメント装置が備える搬送ドラムに組み込まれている。
【0083】
図14は、実施形態4に係るフィルタチップアタッチメント装置400が備えるドラム列の一部を概略的に示す図である。フィルタチップアタッチメント装置400は、例えば、たばこロッド製造装置から受け取ったダブルたばこロッドDR(たばこロッドTの2倍の長さ)を、図示しないドラム等で搬送する過程で2本のたばこロッドTに切断する。この後、ダブルたばこロッドDRが切断されることで得られた2本のたばこロッドTが軸方向に離間されてシガレット列が形成される。
【0084】
フィルタチップアタッチメント装置400は、ダブルフィルタロッドDFを搬送する搬送ドラム401を有する。ダブルフィルタロッドDFは、フィルタFの2倍の長さを有するフィルタロッドであり、中央で2等分されることで2本のフィルタFが得られるように形成されている。ダブルフィルタロッドDFは、搬送ドラム401によってホッパドラム402に搬送される。
【0085】
上述したシガレット列は、2本のたばこロッドTの間にダブルフィルタロッドDFを受け入れ可能な間隔が形成されており、この間隔を保持したままホッパドラム402に供給される。このときシガレット列は各たばこロッドTの間にダブルフィルタロッドDFを受け入れ、ダブルフィルタロッドDFと同一の軸線上に並ぶ。ホッパドラム402は、その回転方向でみて両側に一対のフローティングディスク(図示せず)を備えており、ホッパドラム402の回転に伴い、各たばこロッドTがフローティングディスクに挟み込まれ、軸方向にその間隔を詰められる。
【0086】
フィルタチップアタッチメント装置400は、ボビンにロール状に巻き取られたチップペーパのウエブ(以下、「チップペーパウエブ」という)を連続して繰り出しながら、その片面に糊を塗布し、この後、チップペーパウエブを先頭から所定長さ毎のチップペーパに切断する。切断されたチップペーパは、ホッパドラム402に供給され、ホッパドラム402上のたばこロッドT及びダブルフィルタロッドDFの外面に、それらを跨るようにして貼り付けられる。そして、2本のたばこロッドT及びその間に挟まれたダブルフィルタロッドDFと、これらの外面に貼り付けられたチップペーパは、ホッパドラム402に近接するローリングドラム403へと供給される。
【0087】
ローリングドラム403では、その回転に伴いたばこロッドT等をその外周面上において転動させ、この転動にチップペーパを追従させることで、ダブルフィルタロッドDFとその両端に配置された2本のたばこロッドTの外面にチップペーパを巻き付ける。チップペーパの巻き付けが完了すると、ダブルフィルタロッドDF及びその両側のたばこロッドTの基端部をチップペーパによって一体的に包み込むようにして糊付けされ、ダブルフィルタロッドDFの両側にそれぞれたばこロッドTが接続されたダブル巻きDSが得られる。
【0088】
ダブル巻きDSは、次工程として、ローリングドラム403からカッティングドラム404に受け渡される。カッティングドラム404上において、ダブル巻きDSは、カッティングナイフ(図示せず)によりダブルフィルタロッドDFの中央位置で2等分され、これにより、2本のロッド状たばこ製品Rに切り離される。
【0089】
ダブル巻きDSから2本に切り離されたロッド状たばこ製品Rは、カッティングドラム404からインスペクションドラム405に受け渡される。インスペクションドラム405は、ロッド状たばこ製品Rの品質を検査するドラムであり、詳しくは後述する。インスペクションドラム405において品質の検査が実施されたロッド状たばこ製品Rは、インスペクションドラム405からターニングドラム406へと受け渡される。ターニングドラム406では、互いに背向した状態で受け入れた一対のロッド状たばこ製品Rの一方の向きを反転させ、且つ、その外周面上にて他方のロッド状たばこ製品Rと同列上に位置付けられるように変位させた後、ロッド状たばこ製品Rを後段の搬送ドラム407に受け渡す。搬送ドラム407は、ターニングドラム406から受け取ったロッド状たばこ製品Rを、適宜搬送ドラム407に連なる搬送ドラム列によって搬送された後、例えば、実施形態1、2等で説明したベルトコンベア部100によってホッパ200に搬送される。
【0090】
ここで、インスペクションドラム405について説明する。
図15は、実施形態4に係るインスペクションドラム405の側面図である。
図15中の符号CLは、インスペクションドラム405の回転軸である。インスペクションドラム405は、回転軸CLを中心に一方向に回転することで、カッティングドラム404から受け取ったロッド状たばこ製品Rを所定の搬送区間(搬送回転角)に亘って搬送した後、後段のターニングドラム406にロッド状たばこ製品Rを受け渡すための搬送ドラムである。
図15中の符号CDは、インスペクションドラム405の回転方向を示す。
【0091】
インスペクションドラム405は、第1搬送ドラム部405Aと、第2搬送ドラム部405Bを有している。第1搬送ドラム部405Aと第2搬送ドラム部405Bは実質的に同一構造であり、回転軸CLを中心に同期して同一方向に回転する。ここで、第1搬送ドラム部405Aは、カッティングドラム404においてダブル巻きDSから切り離された一方のロッド状たばこ製品Rを搬送するためのドラムである。一方、第2搬送ドラム部405Bは、カッティングドラム404においてダブル巻きDSから切り離された他方のロッド状たばこ製品Rを搬送するためのドラムである。
【0092】
第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bは、ドラム外周面4050に、ロッド状たばこ製品Rを1本ずつ受け入れ可能な多数の保持溝4051を有している。保持溝4051は、受け入れたロッド状たばこ製品Rを吸引することで保持することができる。保持溝4051の溝底には、サクション通路(図示せず)に通じるサクション孔4052が開口しており、サクション孔4052を通じて吸引力をロッド状たばこ製品Rに付与することで、保持溝4051に受け入れられたロッド状たばこ製品Rを保持溝4051に保持することができる。
【0093】
第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bにおける保持溝4051は、ドラム外周面4050の周方向に一定間隔毎に設けられており、ロッド状たばこ製品Rの軸線方向を回転軸CLと平行にした姿勢でロッド状たばこ製品Rを保持することができる。
【0094】
ここで、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bにおける各保持溝4051の両端側には、一対のホルダ部材4053,4054が設けられている。言い換えると、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bにおける全ての保持溝4051の両端側には、一対のホルダ部材4053,4054が設けられている。
【0095】
一対のホルダ部材4053,4054は、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bと同期して、対応する保持溝4051と共に回転する。また、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bは、カム機構(図示せず)を備え、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bの回転に同期したカム機構の働きにより、一対のホルダ部材4053,4054は、保持溝4051に受け入れられたロッド状たばこ製品Rの両端部に対して接離する。
【0096】
より詳しくは、一対のホルダ部材4053,4054は、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bによってロッド状たばこ製品Rが搬送区間(搬送回転角)を搬送される間に、ロッド状たばこ製品Rから離間した休止位置と、休止位置からロッド状たばこ製品Rの両端部に向けて接近すると共に当該両端部に密着して挟み込むことで当該両端部を保持する作動位置との間を往復運動する。
【0097】
そして、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bにおける搬送区間のうち、カッティングドラム404から第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bがロッド状たばこ製品Rを受け取る時点を含む搬送開始区間と、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bからターニングドラム406にロッド状たばこ製品Rを受け渡す時点を含む搬送終了区間においては、一対のホルダ部材4053,4054が、作動位置ではない位置に制御される。また、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bにおける搬送区間のうち、搬送開始区間と搬送終了区間に挟まれた検査区間においては、一対のホルダ部材4053,4054が作動位置に制御される。なお、一対のホルダ部材4053,4054は、カムレールとスライダーの組み合わせ機構(図示せず)によって、回転軸CLに沿って休止位置と作動位置とをスライド往復運動するように構成される。
【0098】
ここで、ロッド状たばこ製品Rが、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bで搬送される態様について述べる。ロッド状たばこ製品Rは、一対のホルダ部材4053,4054が作動位置にないとき(休止位置にあるときを含む)に、サクション孔4052を通じて吸引されることによって保持溝4051に保持される。一方、ロッド状たばこ製品Rは、一対のホルダ部材4053,4054が作動位置にあるときに、両端部が一対のホルダ部材4053,4054によって保持されることで、保持溝4051に保持される。なお、ロッド状たばこ製品Rは、一対のホルダ部材4053,4054が作動位置にあるときに、サクション孔4052を通じて吸引されない。
【0099】
図16は、実施形態4に係る検査装置1を説明する図である。上述までの実施形態と共通する要素については同一の参照符号を付すことで詳しい説明を省略する。
図16においては、第1搬送ドラム部405Aに組み込まれた検査装置1を図示して説明するが、第2搬送ドラム部405Bについても実質的に同一の構造となっている。なお、
図16は、一対のホルダ部材4053,4054が作動位置にある状態、すなわち一対のホルダ部材4053,4054がロッド状たばこ製品Rの両端部に密着しつつロッド状たばこ製品Rを保持している状態を示している。一対のホルダ部材4053,4054は、例えばゴム、シリコーンゴム等の弾性材料によって形成されており、不図示のカムレールとスライダーを組み合わせた機構によって休止位置から作動位置へ運動し、ロッド状たばこ製品Rの両端部に軸線方向から密着して、それを保持することができる。
【0100】
図16に示すように、一対のホルダ部材4053,4054は、保持溝4051に受け入れられた状態のロッド状たばこ製品Rにおける端面に対向する保持面4053A,4054Aを有している。
図16に示す例では、ホルダ部材4053における保持面4053AがたばこロッドTの端面に密着し、ホルダ部材4054における保持面4054AがフィルタFの端面に密着した状態でロッド状たばこ製品Rを保持している。
【0101】
図16に示す符号4055は、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)において、環状に配列される多数のホルダ部材4053の基端部を保持するリング状のホルダ設置部である。ホルダ設置部4055は、ロッド状たばこ製品Rの搬送領域側に面するホルダ設置面4055Aを有し、このホルダ設置面4055Aにホルダ部材4053の基端部が設置されている。また、符号4056は、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)において、環状に配列される多数のホルダ部材4054の基端部を保持するリング状のホルダ設置部である。ホルダ設置部4056は、ロッド状たばこ製品Rの搬送領域側に面するホルダ設置面4056Aを有し、このホルダ設置面4056Aにホルダ部材4053の基端部が設置されている。
図16に示す通り、ホルダ設置部4055のホルダ設置面4055Aとホルダ設置部4056のホルダ設置面4056Aは互いに対向配置されている。また、
図16に示す符号4055Bは、ホルダ設置部4055においてホルダ設置面4055Aとは反対側に位置する外側面である。また、符号4056Bは、ホルダ設置部4056においてホルダ設置面4056Aとは反対側に位置する外側面である。また、ホルダ部材4053,4054の基端部とは、ホルダ部材4053,4054において保持面4053A,4054Aが形成されている方と反対側の端部である。
【0102】
本実施形態における各ホルダ部材4053は、当該ホルダ部材4053を軸方向に貫通する内部通路4053Bを有し、内部通路4053Bの先端には加圧口4053Cが形成されている。加圧口4053Cは、ホルダ部材4053における保持面4053Aの中央部に開口している。また、ホルダ設置部4055には、各ホルダ部材4053の内部通路4053Bに対応する位置に内部通路4055Cが形成されている。ホルダ設置部4055の内部通路4055Cは、一端側が内部通路4053Bと連通すると共に他端側がホルダ設置部4055における外側面4055Bに開口ポート4055Dとして開口している。ホルダ設置部4055における外側面4055Bに形成された各開口ポート4055Dは、インスペクションドラム405の回転軸CLを中心とした仮想円上の位置に配置され、当該仮想円の周方向に沿って一定間隔毎に配置されている。すなわち、ホルダ設置部4055における各開口ポート4055Dは、外側面4055Bに対して環状に一定間隔で配置される。
【0103】
各ホルダ部材4054についても同様に、当該ホルダ部材4054を軸方向に貫通する内部通路4054Bを有している。本実施形態においては、ホルダ部材4054が検査装置1の吸引部として形成されている。ホルダ部材4054における内部通路4054Bの先端には吸引口123が設けられており、吸引口123はホルダ部材4054における保持面4054Aの中央部に開口している。また、ホルダ設置部4056には、各ホルダ部材4054の内部通路4054Bに対応する位置に内部通路4056Cが形成されている。ホルダ設置部4056の内部通路4056Cは、一端側が内部通路4054Bと連通すると共に他端側がホルダ設置部4056における外側面4056Bに開口ポート4056Dとして開口している。ホルダ設置部4056における外側面4056Bに形成された各開口ポート4056Dは、インスペクションドラム405の回転軸CLを中心とした仮想円上の位置に配置され、当該仮想円の周方向に沿って一定間隔毎に配置されている。すなわち、ホルダ設置部4056における各開口ポート4056Dは、外側面4056Bに対して環状に一定間隔で配置される。
【0104】
なお、ホルダ設置部4055における各開口ポート4055Dと回転軸CLとの離間距離(仮想円の半径)は、ホルダ設置部4056における各開口ポート4056Dと回転軸CLとの離間距離(仮想円の半径)と等しい寸法に設定されている。また、ホルダ設置部4055において隣接する開口ポート4055D同士の間隔は、ホルダ設置部4056において隣接する開口ポート4056D同士の間隔と等しい寸法に設定されている。
【0105】
図16に示す符号4057は、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)と同期しては回転しない、すなわち不動のフレーム部材(図示せず)等に設置された加圧ボックスであり、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)に同期して回転するホルダ設置部4055の外側面4055Bに隣接して配置されている。加圧ボックス4057は、所定圧力のガス(例えば、加圧空気)を発生させる加圧源61、加圧ガス供給通路62、圧力計63等を収容するハウジング部材である。加圧ボックス4057は、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)に同期して回転するホルダ設置部4055の外側面4055Bと微小なクリアランスを挟んで対向する対向面4057Aを有する。或いは、対向面4057Aは、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)に同期して回転するホルダ設置部4055の外側面4055Bと摺接する摺接面として形成されていても良い。加圧ボックス4057の対向面4057Aには、開口ポート4057Bが形成されており、加圧ガス供給通路62の先端が開口ポート4057Bに接続されている。ここで、加圧ボックス4057における対向面4057Aに開口する開口ポート4057Bは、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)の回転に同期して変位するホルダ設置部4055における各開口ポート4055Dの軌跡上に配置されている。これにより、加圧ボックス4057における開口ポート4057Bと平面的に重なり合う開口ポート4055Dを第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)の回転に伴って順次変更させることができる。
【0106】
また、圧力計63は、加圧ガス供給通路62に設けられており、加圧源61が発生させた加圧ガスの圧力を測定する装置である。コントローラ50は、圧力計63と電気配線等を介して電気的に接続されており、コントローラ50は圧力計63が出力する信号に基づいて加圧ガスの圧力を取得することができる。
【0107】
図16に示す符号4058は、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)と同期しては回転しない、すなわち不動のフレーム部材(図示せず)等に設置された吸引ボックスであり、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)に同期して回転するホルダ設置部4056の外側面4056Bに隣接して配置されている。吸引ボックス4058は、検査装置1における吸引通路20、吸引源30、臭気センサ40、圧力計70等を収容するハウジング部材である。吸引通路20、吸引源30、臭気センサ40については上述した通りである。吸引ボックス4058は、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)に同期して回転するホルダ設置部4056の外側面4056Bと微小なクリアランスを挟んで対向する対向面4058Aを有する。或いは、対向面4057Aは、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)に同期して回転するホルダ設置部4056の外側面4056Bと摺接する摺接面として形成されていても良い。吸引ボックス4058の対向面4058Aには、吸引通路20の先端が、開口ポート4058Bとして開口する。ここで、開口ポート4058Bは、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)の回転に同期して変位するホルダ設置部4056における各開口ポート4056Dの軌跡上に配置されている。これにより、開口ポート4058Bは、第1搬送ドラム部405A(第2搬送ドラム部405B)の回転に同期して変位する各開口ポート4056Dと、外側面4056Bまたは対向面4058Aの上、またはそれらの摺接面の上で、重なり合うことができる。
【0108】
また、圧力計70は、吸引通路20に設けられており、吸引通路20を吸引源30に向かって流れる検査ガスGの圧力を測定する装置である。コントローラ50は、圧力計70と電気配線等を介して電気的に接続されており、コントローラ50は圧力計70が出力する信号に基づいて検査ガスGの圧力を取得することができる。
【0109】
次に、本実施形態におけるインスペクションドラム405と、これに組み込まれている検査装置1の動作を説明する。検査装置1は、インスペクションドラム405における第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bの各保持溝4051に保持されたロッド状たばこ製品Rが所定の搬送経路に沿って検査区間を搬送されている間に、各ロッド状たばこ製品Rに対して品質の検査を行う。インスペクションドラム405における第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bがロッド状たばこ製品Rを搬送している間、検査装置1は加圧源61および吸引源30を作動させる。なお、加圧源61および吸引源30の制御は、コントローラ50によって行われても良いし、コントローラ50とは別の制御装置によって行われても良い。
【0110】
上記の通り、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bの回転に伴い、加圧ボックス4057における開口ポート4057Bと重なり合う開口ポート4055Dが順次交代され、吸引ボックス4058における開口ポート4058Bと重なり合う開口ポート4056Dが順次交代される。
【0111】
本実施形態においては、加圧ボックス4057における開口ポート4057Bと吸引ボックス4058における開口ポート4058Bが、第1搬送ドラム部405Aおよび第2搬送ドラム部405Bの各検査区間に含まれる所定の検査位置の両側に位置し、且つ、インスペクションドラム405の回転軸CLと平行な直線上に位置するように対向配置されている。
【0112】
その結果、所定の検査位置を通過するロッド状たばこ製品R(以下、「検査対象ロッド」ともいう)を挟持する一組のホルダ部材4053,4054に対応する開口ポート4055Dと開口ポート4056Dをそれぞれ同時に開口ポート4057Bと開口ポート4058Bに対して対向させ、開口ポート同士を相互に連通することができる。
【0113】
すなわち、検査区間を搬送されるロッド状たばこ製品Rがちょうど所定の検査位置を通過する際、当該ロッド状たばこ製品R(検査対象ロッド)を挟持する一組のホルダ部材4053,4054のうち、ホルダ部材4053における内部通路4053Bが加圧ボックス4057の開口ポート4057Bと連通すると共に、ホルダ部材4054における内部通路4054Bが吸引ボックス4058の開口ポート4058Bと連通した状態となる。すなわち、加圧ボックス4057における加圧ガス供給通路62、検査対象ロッドを挟持するホルダ部材4053に対応する内部通路4055C、内部通路4053Bが連通した状態となる。また、吸引ボックス4058における吸引通路20、検査対象ロッドを挟持するホルダ部材4054に対応する内部通路4056C、内部通路4054Bが連通した状態となる。これにより、加圧源61が発生させた加圧ガスが、加圧ガス供給通路62、内部通路4055C、内部通路4053Bを通り、検査対象ロッドを挟持するホルダ部材4053の加圧口4053Cから検査対象ロッドにおけるたばこロッドTの端面に供給される。
【0114】
検査対象ロッドにおけるたばこロッドTの端面に供給された加圧ガスは、検査対象ロッドにおけるたばこロッドTおよびフィルタFの内部を通過し、フィルタFの端面から流出する。そして、吸引源30が発生させた吸引圧が吸引通路20、検査対象ロッドを挟持するホルダ部材4054に対応する内部通路4056C、内部通路4054Bを通じて検査対象ロッドを挟持するホルダ部材4054の吸引口123から検査対象ロッドにおけるフィルタFの端面に作用することで、検査対象ロッドにおけるフィルタFの端面から流出した加圧ガスが、検査ガスGとして上記吸引口123から吸引される。このようにして、検査対象ロッドを挟持するホルダ部材4054の吸引口123から吸引された検査ガスGは、当該ホルダ部材4054の内部通路4054B、内部通路4056Cを通じて吸引通路20に導かれ、吸引通路20に形成されたセンサ室21の臭気センサ40によって香料成分の有無が検出される。その結果、コントローラ50は、臭気センサ40の検出結果に基づいて、検査区域に含まれる検査位置を通過するロッド状たばこ製品R(検査対象ロッド)のフィルタFにおける香料カプセルCの割れ、香料カプセルCの被膜に生じた亀裂等を精度良く検査することができる。
【0115】
なお、本実施形態において、インスペクションドラム405には、当該インスペクションドラム405(第1搬送ドラム部405A,第2搬送ドラム部405B)の回転基準位置を検出するための位置基準センサ(図示せず)が設けられており、コントローラ50は逐次、位置基準センサの出力信号を取得する。そして、ロッド状たばこ製品R(検査対象ロッド)に対して品質の検査が行われる検査位置は既知であるため、コントローラ50は、位置基準センサから取得したインスペクションドラム405の回転基準位置情報に基づいて、品質の検査が行われたロッド状たばこ製品R(検査対象ロッド)を保持する保持溝4051を特定することができる。そこで、コントローラ50は、臭気センサ40の応答信号に基づいて不良のロッド状たばこ製品Rを検出した場合、当該不良のロッド状たばこ製品Rを識別可能な情報をオペレータに通知しても良い。或いは、コントローラ50は、インスペクションドラム405の後段に配置される搬送ドラム列の何れかに設けられた自動排除機構を用いて、不良のロッド状たばこ製品Rを搬送ラインから自動で排除しても良い。なお、この種の自動排除機構は公知のため、ここでの詳しい説明は割愛する。
【0116】
更に、本実施形態における検査装置1は、上記フィルタFにおける香料カプセルCの割れ等を検出する検査と併せて、検査対象ロッドの通気抵抗が適正かどうかの検査を行うようにしても良い。具体的には、加圧ガス供給通路62に配置された圧力計63によって加圧ガスの圧力を測定する。また、吸引通路20に配置された圧力計70によって検査ガスGの圧力を測定する。コントローラ50は、圧力計63,70によって測定された加圧ガスの圧力P1および検査ガスGの圧力P2を取得し、取得した圧力P1,P2の測定値に基づいてロッド状たばこ製品Rの通気抵抗を求める。通気抵抗の求め方自体は公知であるが、例えば以下の式に基づいてロッド状たばこ製品Rの品質を評価する上での通気抵抗を求めても良い。
通気抵抗(%)=(P1-P2)/P1×100
【0117】
上記のように、本実施形態における検査装置1においては、検査対象ロッドにおけるフィルタFのカプセル割れの有無に加えて、検査対象ロッドの通気抵抗が適正であるか否かも併せて検査することができる。また、検査装置1は、通気抵抗と併せて検査対象ロッドの通気度が適正であるか否かの通気度検査を行うようにしても良い。なお、ロッド状たばこ製品Rの通気度が正常でない場合は、ロッド状たばこ製品Rにおけるチップペーパーの糊付け不良などを示唆することは、当業界において周知である。
【0118】
なお、本実施形態における検査装置1は、必ずしも加圧ボックス4057を備えていなくても良い。すなわち、検査区間を搬送される検査対象ロッドに加圧ガスを供給せずに、吸引源30が発生させた吸引圧を検査対象ロッドの端面に作用させて吸引口123から吸引した検査ガスGに含まれる香料成分を臭気センサ40によって検出しても良い。また、本実施形態においては、検査区間を搬送される検査対象ロッドのたばこロッドT側の端部をホルダ部材4053によって保持し、吸引源30が発生させた吸引圧をたばこロッドTの端面に吸引口123から作用させても良い。そして、たばこロッドTの端面側から吸引した検査ガスGに含まれる香料成分の濃度を検出することで、たばこロッドTのたばこ刻みに添加された香料の添加量が適正であるかどうかを検査しても良い。
【0119】
以上、本発明に係る実施形態及び変形例を説明したが、本発明に係るロッド状たばこ製品の検査装置はこれらに限られず、可能な限りこれらを組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0120】
1・・・検査装置
11・・・回転ローラ
12・・・吸引部
20・・・吸引通路
30・・・吸引源
40・・・臭気センサ
50・・・コントローラ
100・・・ベルトコンベア部
110・・・ベルトコンベア
123・・・吸引口
124・・・プッシャー
140・・・開口窓
200・・・ホッパ
210・・・排出ダクト部
400・・・フィルタチップアタッチメント装置
405・・・インスペクションドラム