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  • 特許-運搬装置とその使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】運搬装置とその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/10 20060101AFI20220322BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A61G5/10 703
B62B3/02 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018138879
(22)【出願日】2018-07-05
(65)【公開番号】P2020006118
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518060723
【氏名又は名称】株式会社モノプロダイム
(73)【特許権者】
【識別番号】517074118
【氏名又は名称】村瀬 亨
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 亨
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078488(JP,A)
【文献】特開2004-041821(JP,A)
【文献】特開2001-017475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00-5/14
B62B 1/00-19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右にある2つの前輪と、
左右にある2つの後輪と、
前記2つの前輪と前記2つの後輪の4つの車軸の上に乗る中部と、
一方の前記前輪の車軸と一方の前記後輪の車軸とが連結され、前記中部を支える一方の保持部と、
他方の前記前輪の車軸と他方の前記後輪の車軸とが連結され、前記中部を支える他方の保持部と、を有し、
前記一方の前輪と前記一方の後輪とは、前記他方の前輪と前記他方の後輪に対して、その位置が変更可能な運搬装置であり、
前記左右2つの保持部を連結する第1連結棒と、
前記左右にある2つの前記後輪の車軸を連結する第2連結棒と、
前記第1連結棒と前記第2連結棒とを連結する第3連結棒と、がある運搬装置。
【請求項2】
前記第1連結棒と前記第2連結棒と第3連結棒の少なくとも1つと連結され、
前記中部を支える第4連結棒がある請求項記載の運搬装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の運搬装置が、エスカレータの入口近傍に進む第1工程と、
前記運搬装置が、前記エスカレータの入口へ進む第2工程と、
前記運搬装置が、前記エスカレータへの侵入とともに徐々に変形する第1変形工程と、
前記運搬装置が、前記エスカレータの出口へ進む第3工程と、
前記運搬装置が、前記エスカレータの出口へ近づくとともに徐々に変形する第2変形工程と、
前記運搬装置が、前記エスカレータの出口から離れる第4工程と、を含む運搬装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬装置とその使用方法に関する。特に、エスカレータに乗せることが可能な運搬装置とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、体の不自由な方向けに車椅子が改善されつつある。例えば、航空で金属探知機を通過する際に、まず、車椅子は、人が乗ったまま、非金属性の本体部と、金属製の補助部とに分かれる。
次に、人が乗ったまま、非金属性の本体部の車椅子が、金属探知機を通過できる。通過後に、再度、人が乗ったまま、非金属性の本体部と、金属製の補助部とが合体する。つまり、人が車椅子から降りることなく金属探知機を通過できる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/088754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、人が乗ったまま、または、荷物が乗ったまま、運搬する運搬装置を、エスカレータに乗せるものはなかった。
よって、本願課題は、人が乗ったまま、または、荷物が乗ったまま、運搬する運搬装置を、エスカレータに乗せることができる運搬装置とその使用方法である。なお、運搬装置には、人を乗せる車椅子が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、左右にある2つの前輪と、左右にある2つの後輪と、上記2つの前輪と上記2つの後輪の4つの車軸上に乗る中部と、上記4つ車軸と連結され、上記中部を支える左右2つの保持部と、を有し、一方の前輪と後輪とは、他方の前輪と後輪に対して、その位置が変更可能な運搬装置を用いる。
【0006】
また、車椅子が、エスカレータの入口近傍に進む第1工程と、上記車椅子が、上記エスカレータの入口へ進む第2工程と、上記車椅子が、上記エスカレータへの侵入とともに変形する第1変形工程と、上記車椅子が、上記エスカレータの出口へ進む第3工程と、上記車椅子が、上記エスカレータの出口から外へ出るとともに変形する第2変形工程と、上記車椅子が、上記エスカレータの出口から離れる第4工程と、を含む運搬装置の使用方法を用いる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の運搬装置とその使用方法によれば、人が運搬装置に乗ったまま、荷物が運搬装置に乗ったまま、エスカレータに、運搬装置ごと乗せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)実施の形態1の車椅子100の背面図、(b)車椅子100の正面図、(c)車椅子100の側面図、(d)車椅子100が、エスカレータに乗っている時の背面図
図2】(a)実施の形態1の保持部19の中部11側の側面図、(b)実施の形態1の中部11の保持部19側の側面図
図3】(a)実施の形態1の前輪14の正面図、(b)実施の形態1の前輪14の側面図
図4】実施の形態1の車椅子100がエスカレータ101に乗る場合の移動を説明する平面図
図5】(a)実施の形態2の車椅子200の背面図、(b)実施の形態2の車椅子200の正面図、(c)実施の形態2の車椅子200の側面図、(d)実施の形態2の車椅子200がエスカレータに乗った状態の背面図
図6】(a)~(b)実施の形態2の第4連結棒34のパターンを示す斜視図
図7】(a)実施の形態2の保持部19の中部11側の側面図、(b)実施の形態2の中部11の保持部19側の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で実施の形態を説明するが、発明の1つの例示であり、これに発明は限定されない。
(実施の形態1)
図1(a)に、実施の形態1の車椅子100の背面図を、図1(b)に、車椅子100の正面図を、図1(c)に、車椅子100の側面図を示す。図1(d)は、車椅子100が、エスカレータに乗っている時の背面図である。
【0010】
<全体構成>
車椅子100は、左右にある2つの前輪14、左右にある2つの後輪13、上部10、中部11、下部12と、を有する。
左右の2つの前輪14と左右の2つの後輪13は、車椅子100を安定して移動するためにある。
【0011】
左右2つの前輪14の間と、左右2つの後輪13の間とに、本体の上部10、中部11、下部12とがある。
上部10は、肩などを保持する部分である。
【0012】
中部11は、凹状でお尻、腰を保持する部分である。人を乗せる中心部分である。車椅子でなく、運搬装置なら、荷物を載せるところとなる。運搬装置なら、下部12、上部10は不要である。
下部12は、足を保持する部分である。
前輪14、後輪13と、中部11との間には、前輪14、後輪13に付属する4つの車軸部20があり、その車軸部20の片側(左側か右側の)2つ上には、1つの保持部19がある。保持部19は、左右2つある。
【0013】
車椅子100の背面には、第1連結棒31と第2連結棒32がある。
第1連結棒31は、中部11の背面側にあり、2つの保持部19を繋ぐ。第2連結棒32は、下部12の背面側にあり、2つの車軸部20を繋ぐ。少なくと、第1連結棒31か第2連結棒のいずれかがあればよい。
各要素の材質は、金属など強度がある材料で作製されるのが好ましい。
【0014】
<スライド機構>
図1(d)は、車椅子100が、エスカレータに載っている状態である。後輪13が左右で高さが変化する。後輪13、保持部19の左右は、第1連結棒31、第2連結棒32で連結されている。本体部9は、上下方向(鉛直方向)で上下する。
【0015】
保持部19と中部11と第1連結棒31との関係を図2(a)と図2(b)で説明する。第2連結棒32と車軸部20との関係は、第1連結棒31と保持部19の関係と同様である。
図2(a)は、保持部19の中部11側の側面図である。図2(b)は、中部11の保持部19側の側面図である。
【0016】
保持部19には、垂直方向に長い第1凹部42aと、垂直方向に長い第2凹部42bとがある。車軸部20には、垂直方向に長い第3凹部42cがある。中部11には、突起部41がある。
第1凹部42aには、突起部41がはめ込まれ、抜けないようになっている。突起部41は、第1凹部42a内を垂直方向に移動できる。この移動により、中部11と保持部19とがその位置関係を変化できる。図1(b)から図1(d)の状態へ変化する時に、この位置関係の変化を利用する。なお、逆に、第1突起部42が中部11に位置し、突起部41が、保持部19にあってもよい。
【0017】
第2凹部42bには、第1連結棒31の端部の第1連結突起31aがはめ込まれ、抜けないようになっている。第2連結突起32aと第3凹部42cとの関係、突起部41と第1凹部42aとの関係も同様である。
このスライド機構はあれば好ましい。
【0018】
<前輪14と後輪13>
図3(a)の正面図、図3(b)の側面図で、前輪14と後輪13とを説明する。
前輪14と後輪13とは、機構的には同じなので、前輪14として両者をまとめて説明する。
【0019】
前輪14は、円盤状である。円盤状の車輪に、複数の横移動部51が、境界部52を間に挟んで、車輪が周囲に位置する。
車椅子100が、直進する場合は、横移動部51は、機能せず、前輪14、後輪13が全体として回転する。
【0020】
一方、車椅子100が横移動する場合は、前輪14、後輪13の横移動部51が回転する。
また、斜め方向へ移動する場合は、前輪14、後輪13、横移動部51が稼働する。
【0021】
車椅子100に乗車する人が、図示していないスチイックなどで進む方向を指示し、図示しない制御部が前輪14を制御する。この場合、複数のモータ53bが前輪14に内蔵されている。なお、前輪14を動かすモータ53aはその中心に配置されている。
特徴は、車椅子100が、前輪14、後輪13が回転することなく、横に移動できることである。このことは、以下のエスカレータ101へ車椅子100を乗せる時に有効である。
【0022】
<エスカレータ101への乗車>
図4に、車椅子100がエスカレータ101に乗る場合の動作を説明する。
(1)車椅子100は、エスカレータ101へ近づく。エスカレータ101の入口で止まる。この時、車椅子100の移動してきた方向は、エスカレータ101の移動方向と、垂直方向である。
【0023】
(2)車椅子100は、エスカレータ101へ向かって、進行して来た方向と垂直方向へ進む。この進行は、図3で説明した横移動部51による。
(3)エスカレータ101に車椅子100の片方の車輪が乗った時点で、図1(d)のように車椅子100が徐々に歪み始める(第1変形工程)。そして、車椅子100がエスカレータ101に完全に乗ると、図1(d)となる。
【0024】
(4)車椅子100が、エスカレータ101の終点(出口)に着く場合は、上記(3)の逆で、車椅子100の歪みが、徐々に解除される(第2変形工程)。終点で、車椅子100は、横移動してエスカレータ101から降りる。
<実施の形態1の効果>
車椅子100は、上記構造により、変形し、また、進行方向が自由に変更できる。このことから、車椅子100は、エスカレータに乗せることが容易である。
【0025】
(実施の形態2)
図5(a)に、実施の形態2の車椅子200の背面図を、図5(b)に、車椅子200の正面図を、図5(c)に、車椅子200の側面図を示す。図5(d)に、車椅子200がエスカレータに乗った状態の背面図を示す。説明しない事項は、実施の形態1と同様である。
【0026】
実施の形態1との差異は、以下である。
(1)第3連結棒33
実施の形態1の第1連結棒31と第2連結棒32との間に第3連結棒33がある。第1連結棒31と第2連結棒32との2本の平行棒の間に、それらと垂直方向の棒がある。全体でH型となる。第1連結棒31と第2連結棒32と第3連結棒33とは繋がっており、図5(d)のような変形する。
【0027】
第3連結棒33により、第1連結棒31と第2連結棒32との動きが規制される。この結果、車椅子200の変形が安定化される。
(2)第4連結棒34
第3連結棒33に第4連結棒34がある。第4連結棒34は、第2連結棒32の接続部35に、第2連結棒32に垂直に接合されている。第4連結棒34は、中部11を支える。接続部35は、第2連結棒32でなくとも、第1連結棒31または第3連結棒33にあってもよい。なお、第4連結棒34がなく、第3連結棒33が中部11と接続されていてもよい。
【0028】
図6(a)と図6(b)は、第4連結棒34のパターンである。
図6(a)では、第4連結棒34は、1本のみであるが、図6(b)では、3本ある。3本の第4連結棒34で、中部11を支え方がより安定する。
【0029】
(3)第1凹部42a、第2凹部42b
図7(a)は、実施の形態2の保持部19の中部11側の側面図、図7(b)は、実施の形態2の中部11の保持部19側の側面図、図7(c)は、実施の形態2の中部11の底面図である。
【0030】
第2凹部42b、第3凹部42cが、実施の形態1では、長方形の凹部であったが、実施の形態2では、第1連結突起31a、第2連結突起32aと同形状である。例えば、突起が球状で、凹部も球状で、凹部内を突起が回転できる機構である。第1連結棒31と第2連結棒32とも動作が制限され、安定化される。
(4)第4凹部42dがある。
【0031】
第4凹部42dが、中部11にある。第4連結棒34が位置する。第4連結棒34により中部11が支えられる。
<実施の形態2の効果>
車椅子200は、上記構造により、変形がより安定する。車椅子200は、エスカレータに乗せることがより容易である。
【0032】
(全体として)
実施の形態1と2とは組み合わせができる。
実施の形態1,2とは、車椅子で説明したが、荷物搬送具などへの同様に応用できる。
【0033】
この場合、中部11に人でなく荷物が乗る。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の運搬装置とその使用方法は、車椅子、荷物運搬車だけでなく、エスカレータに乗せるものすべてに応用されうる。
【符号の説明】
【0035】
9 本体部、10 上部、11 中部、12 下部、13 後輪、14 前輪、19 保持部、20 車軸部、31 第1連結棒、31a 第1連結突起、32 第2連結棒、32a 第2連結突起、33 第3連結棒、34 第4連結棒、35 接続部、40 ひじ部、41 突起部、42a 第1凹部、42b 第2凹部、42c 第3凹部、42d 第4凹部、51 横移動部、52 境界部、100 車椅子、101 エスカレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7