(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ウエハ及びウエハの製造方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20220322BHJP
C30B 23/06 20060101ALI20220322BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20220322BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B23/06
C23C14/06 B
H01L21/304 621D
H01L21/304 611S
H01L21/304 631
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021078123
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0086798
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521492724
【氏名又は名称】セニック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SENIC Inc.
【住所又は居所原語表記】17-15,4sandan 7-ro,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do, 31040, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンフィ
(72)【発明者】
【氏名】ク、カプレル
(72)【発明者】
【氏名】コ、サンキ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】キョン、ミョンオク
(72)【発明者】
【氏名】シム、ジョンミン
【審査官】山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/037465(WO,A1)
【文献】特表2010-514648(JP,A)
【文献】特表2015-521378(JP,A)
【文献】特開2013-245144(JP,A)
【文献】特開2013-067523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00 -35/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、
前記位相差の平均値が38nm以下であり、
マイクロパイプを有し、
前記マイクロパイプの密度が1.5/cm
2以下である、
炭化珪素ウエハ。
【請求項2】
520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、
前記位相差の最大値は60nm以下であり、
マイクロパイプを有し、
前記マイクロパイプの密度が1.5/cm
2以下である、
炭化珪素ウエハ。
【請求項3】
前記
炭化珪素ウエハは、一面、及びその反対面である他面を含み、
前記
炭化珪素ウエハの一面の全体Ra平均粗さは0.3nm未満である、請求項1又は2に記載の
炭化珪素ウエハ。
【請求項4】
XRD分析によるロッキングカーブの半値全幅(FWHM)値が30arcsec以下である、請求項1又は2に記載の
炭化珪素ウエハ。
【請求項5】
直径が4インチ以上であり、4H構造の炭化珪素を含む、請求項1又は2に記載の
炭化珪素ウエハ。
【請求項6】
内部空間を有する反応容器に、原料物質と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;
前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節することによって前記原料物質を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設ける成長ステップと;
前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;
回収された前記炭化珪素インゴットを切断することによってウエハを設ける切断ステップと;
前記設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップと;を含み、
前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段と、を含み、
前記断熱材の密度は、0.14g/cc~0.28g/ccで、
前記断熱材の熱膨張係数は、2.65×10
-6/℃~3.05×10
-6/℃で、
前記加工ステップが行われたウエハは、520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、下記のi)及びii)事項のうち一つ以上を有する、ウエハの製造方法。
i)前記位相差の平均値が38nm以下;及び
ii)前記位相差の最大値が60nm以下
【請求項7】
前記成長ステップでは、前記原料物質で炭化珪素種結晶の方向に不活性気体が流れ、
前記不活性気体の流量は、70sccm以上、300sccm以下である、請求項6に記載のウエハの製造方法。
【請求項8】
前記加工ステップの表面を研磨する過程は、化学的機械的研磨ステップをさらに含む、請求項6に記載のウエハの製造方法。
【請求項9】
前記加工ステップが行われたウエハは、XRD分析によるロッキングカーブの半値全幅(FWHM)値が30arcsec以下である、請求項6に記載のウエハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、ウエハ及びウエハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、2.2eV~3.3eVの広いバンドギャップを有する半導体であり、その優れた物理的化学的特性により、半導体材料として研究開発が進められている。
炭化珪素単結晶を製造する方法として、液相蒸着法(Liquid Phase Epitaxy;LPE)、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition;CVD)、物理的気相輸送法(Physical Vapor Transport;PVT)などがある。その中で物理的気相輸送法は、坩堝内に炭化珪素原料を装入し、坩堝の上端には、炭化珪素単結晶からなる種結晶を配置した後、坩堝を誘導加熱方式で加熱することによって原料を昇華させ、種結晶上に炭化珪素単結晶を成長させる方法である。
【0003】
物理的気相輸送法は、高い成長率を有することによってインゴットの形態の炭化珪素を作製できるので、最も広く用いられている。但し、坩堝の特性、工程条件などに応じて電流密度が変化し、坩堝の内部の温度分布も変化するので、炭化珪素インゴット及びこれによるウエハにおける一定の物性の確保に困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
具現例の目的は、炭化珪素インゴット及びウエハの製造過程で断熱材の密度などの工程を制御し、可視光の照射時、偏光で低い位相差(リタデーション)を有する炭化珪素インゴット及びウエハを提供することにある。
【0005】
具現例の他の目的は、転位密度などの欠陥の数値が低下し、良好な品質の炭化珪素インゴット及びウエハなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、具現例に係るウエハは、520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、前記位相差の平均値が38nm以下であってもよい。
【0007】
上記の目的を達成するために、他の具現例に係るウエハは、520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、前記位相差の最大値は60nm以下であってもよい。
【0008】
一具現例において、前記ウエハは、一面、及びその反対面である他面を含み、前記ウエハの一面の全体Ra平均粗さは0.3nm未満であってもよい。
【0009】
一具現例において、前記ウエハは、XRD分析によるロッキングカーブの半値全幅(FWHM)値が30arcsec以下であってもよい。
【0010】
一具現例において、前記ウエハの直径は4インチ以上であり、4H構造の炭化珪素を含むことができる。
【0011】
一具現例において、前記ウエハは、マイクロパイプの密度が1.5/cm2以下であってもよい。
【0012】
上記の目的を達成するために、一具現例に係るウエハの製造方法は、内部空間を有する反応容器に、原料物質と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節することによって前記原料物質を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設ける成長ステップと;前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;前記回収された炭化珪素インゴットを切断することによってウエハを設ける切断ステップと;前記設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップと;を含み、前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、前記断熱材の密度は、0.14g/cc~0.28g/ccで、前記断熱材の熱膨張係数は、2.65×10-6/℃~3.05×10-6/℃で、前記加工ステップが行われたウエハは、520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、下記のi)及びii)事項のうち一つ以上を有することができる。
i)前記位相差の平均値が38nm以下;及び
ii)前記位相差の最大値が60nm以下
【0013】
一具現例において、前記成長ステップでは、前記原料物質で炭化珪素種結晶の方向に不活性気体が流れ、前記不活性気体の流量は、70sccm以上、300sccm以下であってもよい。
【0014】
一具現例において、前記加工ステップの表面を研磨する過程は、化学的機械的研磨ステップをさらに含むことができる。
【0015】
一具現例において、前記加工ステップが行われたウエハは、XRD分析によるロッキングカーブの半値全幅(FWHM)値が30arcsec以下であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
具現例に係るウエハは、低いリタデーション値を有し、結晶の歪みやねじれがほとんどなく、良好な結晶品質を示すという利点を有する。
【0017】
具現例に係るウエハの製造方法は、特定密度の断熱材を適用し、リタデーション値が確保され、欠陥密度の数値が低下した炭化珪素インゴットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】具現例に係るウエハの一例を示す概念図である。
【
図2】具現例に係る炭化珪素インゴットの製造装置の一例を示す概念図である。
【
図3】具現例に係る炭化珪素インゴットの一例を示す概念図である。
【
図4】(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例2、実施例3、比較例1のリタデーション測定結果を可視化した写真である(カラーディスプレイ(color display)は、GREY、オートスケール(auto-scale)を適用しており、(a)は、黒色:0.0、白色:20.0のスケール、(b)は、黒色:0.0、白色:30.0のスケール、(c)は、黒色:0.0、白色:40.0のスケールを適用した結果である)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、具現例の実施例について添付の図面を参考にして詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似する部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0020】
本明細書において、ある構成が他の構成を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、それ以外の他の構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0021】
本明細書において、ある構成が他の構成と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「それらの中間に他の構成を介在して連結」されている場合も含む。
【0022】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、又はそれらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0023】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された各構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記各構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0024】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、又は、A及びB」を意味する。
【0025】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」などの用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0026】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0027】
以下、具現例をより詳細に説明する。
【0028】
製造過程で適用される原料、雰囲気、条件などの多様な要素は、インゴット及びウエハの品質に影響を及ぼす。インゴット及びウエハの結晶品質、欠陥発生程度、残留応力などは、ウエハで製造される素子の性能、特性及びその製造過程に大きな影響を及ぼし得る。したがって、インゴット及びウエハの結晶品質、残留応力、欠陥などをそれぞれ個別的な要素と評価することもあるが、位相差(リタデーション)の測定という方法で記事化又は数値化されることによって総合的に評価されることもある。
【0029】
発明者らは、より位相差(リタデーション)の分布特性が良好であり、欠陥が少なく、結晶性に優れた炭化珪素インゴット及びウエハを製造する方法を研究した。物理的気相輸送法を適用した炭化珪素の成長において、様々な要因の中で坩堝の温度勾配、断熱材の特性などが重要であり、このような条件の制御を通じて、より優れた品質の炭化珪素インゴット及びウエハを製造できる点を確認し、具現例を完成した
【0030】
ウエハ10
【0031】
上記の目的を達成するために、具現例に係るウエハ10は、520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、前記位相差(リタデーション)の平均値が38nm以下である。
【0032】
前記ウエハ10は、中心波長が520nmである光がウエハを厚さ方向に通過しながら測定される位相差(リタデーション)の分布において、位相差の平均値が38nm以下であってもよい。
【0033】
前記ウエハは、一面11、及び前記一面の反対面である他面12を含む。
【0034】
前記厚さ方向は、前記一面から他面に向かう方向であってもよい。
【0035】
前記ウエハの一面は、主に珪素原子が表面に現れる、いわゆるSi面であり、前記一面の反対面である他面は、主に炭素原子が表面に現れる、いわゆるC面である。
【0036】
ウエハの切断加工時に、炭化珪素単結晶における炭素原子の層と珪素原子の層との境界面、又はこれと平行な方向に切断されやすい。これによって、炭素原子が主に露出する面と珪素原子が主に露出する面が切断面上に現れるようになる。
【0037】
インゴットからウエハを製造する過程でウエハの一面及び/又は他面の研磨(ポリッシング)が進められる。位相差の分布の測定に適用するウエハは、両面研磨が進められたウエハである。
【0038】
一定の面積内の位相差の分布は、株式会社フォトニックラティスのWPA-200、WPA-microなどの装置を通じて視覚化及び/又は数値化されて測定され得る。具現例では、株式会社フォトニックラティスのWPA-200を適用し、520nmの波長の光で測定した結果を基準とする。
【0039】
前記位相差(リタデーション)は、偏光された可視光を目的物の厚さ方向に透過する前の位相とその後の位相との差を示した値である。目的物に残留応力、歪み、欠陥、損傷などがあると、位相差(リタデーション)の分布に変化が発生する。
【0040】
たとえ複屈折特性を有さない透明な目的物であっても、前記目的物に一定の応力及び歪みが加えられた場合は、複屈折現象が観察され得る。したがって、複屈折特性を評価することは、残留応力及び歪みを定量的に評価できる便利な方法の一つである。
【0041】
位相差(リタデーション)の分布は、厚さ方向に偏光された光を透過させるときに発生する目的物の位相遅延値と関連したパラメーターである。位相差が発生することは、偏光状態が変更されることを意味する。また、位相差は、多様な原因によって発生し得る。
【0042】
複屈折が位相差にほぼ比例するので、位相差は、残留応力の程度を示すパラメーターとして活用することができる。よって、面積全体的に位相差の分布が一定の範囲内であることは、前記目的物が面積全体的に調節された応力を有することを意味し得る。特に、目的物が厚さ方向に実質的に同一の材料で形成されたものであり、目的物の厚さが実質的に同一である場合は、結果がさらに信頼性を有する。
【0043】
但し、位相差の分布は、残留応力以外の他の要素によって影響を受け得る。例示的に、歪み、転位欠陥などの欠陥によって位相差の分布が変化可能であり、結晶性物質の場合、結晶性の程度にも影響を受け得る。また、目的物に発生した微細なクラックなどの損傷によっても位相差の分布が変化し得る。
【0044】
すなわち、ウエハの位相差の分布を評価することは、残留応力の程度、歪みの有無、欠陥発生の有無、結晶の優秀性、損傷発生の有無、外部衝撃によって損傷が発生しやすいかどうかなどを同時に評価する方法となると考えられ、具現例で製造されたウエハに要求される様々な特性が全て同時に優れたものであるのかを確認する尺度として活用される。
【0045】
前記ウエハ10は、前記位相差の平均値が38nm以下であってもよい。前記ウエハは、前記位相差の平均値が30nm以下であってもよく、又は20nm以下であってもよい。前記ウエハは、前記位相差の平均値が15nm以下であってもよい。前記ウエハは、前記位相差の平均値が0.1nm以上であってもよい。前記ウエハは、位相差の平均値が5nm以上であってもよい。このような位相差値を有するウエハは、内部結晶の歪みや欠陥が最小化された状態であり得、半導体素子として適用したときに向上した特性を有することができる。
【0046】
前記ウエハ10の前記位相差の最大値は、60nm以下であってもよく、45nm以下であってもよく、又は42.8nm以下であってもよい。
【0047】
前記ウエハ10の前記位相差の最小値は、0.10nm未満であってもよく、0.08nm以下であってもよく、又は0.02nm以下であってもよい。
【0048】
前記ウエハ10は、ウエハの厚さ方向の位相差の標準偏差が30nm以下であってもよく、20nm以下であってもよく、又は12nm以下であってもよい。前記位相差の偏差は1nm以上であってもよい。
【0049】
このような位相差の最大値、最小値及び標準偏差を有するウエハは、内部格子の歪みや欠陥の発生が最小化され、その分布がより一定に現われ得る。
【0050】
前記ウエハ10は、後述する炭化珪素インゴットを切断して設けられ得る。
【0051】
前記ウエハ10のロッキング角度は、基準角度に対し-1.5°~1.5°であってもよく、-1.0°~1.0°であってもよく、-0.5°~0.5°であってもよく、又は-0.3°~0.3°であってもよい。このような特徴を有するウエハは、優れた結晶質特性を有することができる。前記ロッキング角度は、高分解能X線回折分析システム(HR-XRD system)を適用することによって前記ウエハの[11-20]方向をX線経路に合わせ、X-ray source opticとX-ray detector optic角度を2θ(35°~36°)に設定した後、ウエハのオフ角に合わせてオメガ(ω)(又はシータ(θ)、X-ray detector optic)角度を調節することによってロッキングカーブ(Rocking curve)を測定し、基準角度であるピーク角度と2つの半値全幅(FWHM;full width at half maximum)値の差値をそれぞれロッキング角度として設定することによって結晶性を評価する。
【0052】
本明細書において、オフ角がX°ということは、通常許容する誤差範囲内でX°と評価されるオフ角を有することを意味し、例示的に、(X°-0.05°)~(X°+0.05°)の範囲のオフ角を含む。また、ロッキング角度が「基準角度に対し-1°~1°」ということは、半値全幅値が、基準角度であるピーク角度を基準として(ピーク角度-1°)~(ピーク角度+1°)の範囲内にあることを意味する。さらに、前記ロッキング角度は、ウエハの中央部分と縁部から中央方向に5mm以内の部分を除いた表面を実質的に均等に3等分し、各部分で3回以上測定した結果を平均することによって上記のロッキング角度として取り扱う。具体的には、炭化珪素インゴットの(0001)面に対して0°~10°の範囲から選択された角度であるオフ角を適用した各ウエハのうち、オフ角が0°である場合、オメガ角度は17.8111°であり、オフ角が4°である場合、オメガ角度は13.811°であり、オフ角が8°である場合、オメガ角度は9.8111°である。
【0053】
前記ウエハ10は、XRD分析によるロッキングカーブの半値全幅(FWHM)が30arcsec以下であってもよく、又は27.4arcsec以下であってもよい。前記ウエハのXRD分析によるロッキングカーブの半値全幅は、3.5arcsec以上であってもよい。ウエハの結晶に欠陥が存在すると、回折するX線の強度はガウス分布を示すようになるが、これをロッキングカーブという。前記ロッキングカーブの半値全幅はarcsecの単位を有するようになり、半値全幅値が大きい場合、結晶欠陥が多く存在すると理解することができる。前記半値全幅の範囲を有するウエハは優れた結晶性を示し、これを通じて製造される素子の特性を向上させることができる。
【0054】
前記ウエハ10は、マイクロパイプ(MP、Micropipe)の密度が1.5/cm2以下であってもよく、又は1/cm2以下であってもよい。
【0055】
前記ウエハ10は、貫通刃状転位(TED、Threading Edge Dislocation)の密度が10,000/cm2以下であってもよく、又は8,000/cm2以下であってもよい。
【0056】
前記ウエハ10は、基底面転位(BPD、Basal Plane Dislocation)の密度が5,000/cm2以下であってもよく、又は3,000/cm2以下であってもよい。
【0057】
前記ウエハ10の厚さは、150μm~900μmであってもよく、又は200μm~600μmであってもよいが、半導体素子に適用できる適切な厚さであれば、これに制限するものではない。
【0058】
前記ウエハ10は、炭化珪素ウエハであってもよく、実質的に単結晶である4H炭化珪素を含むウエハであってもよい。
【0059】
前記ウエハ10の直径は、4インチ以上であってもよく、5インチ以上であってもよく、又は6インチ以上であってもよい。前記ウエハの直径は、12インチ以下であってもよく、又は10インチ以下であってもよい。
【0060】
前記ウエハの一面11の全体Ra平均粗さは、0.3nm未満であってもよく、又は0.2nm以下であってもよい。前記一面の全体Ra平均粗さは0.01nm以上であってもよい。このような粗さの範囲を有するウエハは、後続の工程を通じて素子製造時の電気的特性を向上させることができる。
【0061】
前記ウエハ10は、後述するウエハの製造方法を通じて製造され得る。
【0062】
ウエハの製造方法
【0063】
上記の目的を達成するために、具現例に係るウエハの製造方法は、内部空間を有する反応容器200に、原料物質300と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置する準備ステップと;前記内部空間の温度、圧力及び雰囲気を調節することによって前記原料物質を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設ける成長ステップと;前記反応容器を冷却させ、前記炭化珪素インゴットを回収する冷却ステップと;前記回収された炭化珪素インゴットを切断することによってウエハを設ける切断ステップと;前記設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨する加工ステップと;を含み、前記反応容器は、外面を取り囲む断熱材と、前記反応容器又は前記内部空間の温度を調節する加熱手段とを含み、前記断熱材の密度は0.14g/cc~0.28g/ccである。
【0064】
前記準備ステップは、内部空間を有する反応容器200に、原料物質300と炭化珪素種結晶を互いに対向するように配置するステップである。
【0065】
前記準備ステップの炭化珪素種結晶は、目的とするウエハに応じて適切なサイズのものが適用可能であり、前記炭化珪素種結晶のC面((000-1)面)が前記原料物質300の方向に向かうようにすることができる。
【0066】
前記準備ステップの原料物質300は、炭素源と珪素源を有する粉末形態が適用されてもよく、前記粉末が互いにネッキング処理された原料、又は表面を炭化処理した炭化珪素粉末などが適用されてもよい。
【0067】
前記準備ステップの反応容器200は、炭化珪素インゴットの成長反応に適切な容器であれば適用可能であり、具体的に黒鉛坩堝が適用され得る。例えば、前記反応容器は、内部空間及び開口部を含む本体210と、前記開口部と対応して前記内部空間を密閉する蓋220とを含むことができる。前記坩堝蓋は、前記坩堝蓋と一体又は別途に種結晶ホルダをさらに含むことができ、前記種結晶ホルダを通じて炭化珪素種結晶と原料とが対向するように、炭化珪素種結晶を固定することができる。
【0068】
前記準備ステップの反応容器200は、断熱材400によって取り囲まれて固定され得、石英管などの反応チャンバ500内に前記反応容器を取り囲んだ断熱材が位置するようにすることができ、前記断熱材及び反応チャンバの外部に備えられた加熱手段600により、前記反応容器200の内部空間の温度を制御することができる。
【0069】
前記準備ステップの断熱材400は、1000℃で熱膨張係数が2.65×10-6/℃~3.05×10-6/℃であってもよく、2.7×10-6/℃~3×10-6/℃であってもよく、又は2.75×10-6/℃~2.9×10-6/℃であってもよい。前記熱膨張係数は、断熱材の一方向である第1方向、前記第1方向と垂直な第2方向、前記第1方向及び第2方向と垂直な第3方向の熱膨張係数の平均であり得る。このような熱膨張係数を有する断熱材を適用することによって、製造されるインゴットに均一な温度勾配を形成するようにし、適切な残留応力分布を有するようにし、ウエハにおいて可視光で測定した厚さ方向の位相差の分布が良好な値を有するようにする。
【0070】
前記熱膨張係数は、単位温度による長さ変化量を測定して確認することができる。具体的に、被測定物である断熱材を5×5×5mm3のサイズにして測定用サンプルを設けた後、TA Instrument社のTMA Q400で単位温度に対する長さの変化量を測定して確認することができ、前記熱膨張係数は1000℃での値であり得る。
【0071】
前記準備ステップの断熱材400は、気孔度が72%~95%であってもよく、75%~93%であってもよく、又は80%~91%であってもよい。前記気孔度を満たす断熱材を適用する場合、成長する炭化珪素インゴットのクラックの発生をさらに減少させることができる。
【0072】
前記準備ステップの断熱材400は、圧縮強度が0.2MPa以上であってもよく、0.48MPa以上であってもよく、又は0.8MPa以上であってもよい。また、前記断熱材は、圧縮強度が3MPa以下であってもよく、又は2.5MPa以下であってもよい。前記断熱材がこのような圧縮強度を有する場合、熱的/機械的安定性に優れ、アッシュ(ash)が発生する確率が低下するので、より優れた品質の炭化珪素インゴットを製造することができる。
【0073】
前記準備ステップの断熱材400は炭素系フェルトを含むことができ、具体的に黒鉛フェルトを含むことができ、レーヨン系黒鉛フェルト又はピッチ系黒鉛フェルトを含むことができる。
【0074】
前記準備ステップの断熱材400は、その密度が0.14g/cc以上であってもよく、0.16g/cc以上であってもよく、又は0.17g/cc以上であってもよい。前記断熱材は、その密度が0.28g/cc以下であってもよく、0.24g/cc以下であってもよく、又は0.20g/cc以下であってもよい。前記密度範囲を有する断熱材を通じて、製造されるインゴットの反り及びねじれの発生を抑制することができ、インゴットから製造されるウエハの良好な位相差(リダテーション)値を示すことができるようにする。
【0075】
前記準備ステップの反応チャンバ500は、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部の真空度を調節する真空排気装置700と、反応チャンバの内部と連結され、反応チャンバの内部に気体を流入させる配管810と、気体の流入を制御するマスフローコントローラ800とを含むことができる。これらを通じて、後続の成長ステップ及び冷却ステップで不活性気体の流量を調節できるようにする。
【0076】
前記成長ステップは、前記内部空間の温度、圧力及び気体雰囲気を調節することによって前記原料物質を昇華させ、前記種結晶から成長した炭化珪素インゴットを設けるステップである。
【0077】
前記成長ステップは、前記加熱手段600によって前記反応容器200及び反応容器の内部空間を加熱して行われ得、前記加熱と同時又は別途に内部空間を減圧することによって真空度を調節し、不活性気体を注入しながら炭化珪素結晶の成長を誘導することができる。
【0078】
前記成長ステップは、2000℃~2600℃の温度及び1torr~200torrの圧力条件で行われ得、前記温度及び圧力の範囲でより効率的に炭化珪素インゴットを製造することができる。
【0079】
前記成長ステップは、具体的に、前記反応容器200の上、下部の表面の温度が2100℃~2500℃、前記反応容器の内部空間の圧力が1torr~50torrである条件で行われてもよい。より詳細には、前記成長ステップは、前記反応容器200の上、下部の表面の温度が2150℃~2450℃、前記反応容器の内部空間の圧力が1torr~40torrである条件で行われてもよく、より具体的には、前記反応容器200の上、下部の表面の温度が2150℃~2350℃、前記反応容器の内部空間の圧力が1torr~30torrである条件で行われてもよい。
【0080】
前記温度及び圧力条件を前記成長ステップに適用する場合、より一層高品質の炭化珪素インゴットを製造することができる。
【0081】
前記成長ステップでは、1℃/min~10℃/minの昇温速度、又は5℃/min~10℃/minの昇温速度で前記温度範囲まで昇温が行われてもよい。
【0082】
前記成長ステップは、前記反応容器200の外部に所定流量の不活性気体を加えることができる。前記不活性気体は、前記反応容器200の内部空間でその流れが形成され得、前記原料物質300から前記炭化珪素種結晶の方向にその流れが形成され得る。これによって、前記反応容器及び内部空間の安定した温度勾配を形成できるようにする。
【0083】
前記成長ステップの前記不活性気体の流量は、70sccm以上であってもよく、又は330sccm以下であってもよい。このような流量範囲で製造されるインゴットの欠陥発生を最小化し、反応容器及び内部空間の温度勾配を効果的に形成することによって目的とするリタデーション値を示すことができるようにする。
【0084】
前記成長ステップの前記不活性気体は、具体的にアルゴン、ヘリウム、又はこれらの混合気体であってもよい。
【0085】
前記冷却ステップは、前記成長した炭化珪素インゴットを、所定の冷却速度及び不活性気体の流量の条件で冷却するステップである。
【0086】
前記冷却ステップでは、1℃/min~10℃/minの速度で冷却が行われてもよく、又は1℃/min~5℃/minの速度で冷却が行われてもよい。
【0087】
前記冷却ステップでは、前記反応容器200の内部空間の圧力の調節が同時に行われてもよく、又は前記冷却ステップと別途に圧力の調節が行われてもよい。前記圧力の調節は、前記内部空間の圧力が最大760torrになるように行われ得る。
【0088】
前記冷却ステップの不活性気体の流量は、1sccm以上であってもよく、又は300sccm以下であってもよい。このような流量範囲では、製造されるインゴットに欠陥が発生することを防止し、品質の低下を最小化することができる。
【0089】
前記冷却ステップは、前記成長ステップと同様に、前記反応容器200の外部に所定流量の不活性気体を加えることができる。前記不活性気体は、前記反応容器の内部空間でその流れが形成され得、前記原料物質300から前記炭化珪素種結晶の方向にその流れが形成され得る。
【0090】
前記切断ステップは、前記冷却ステップの後に回収された炭化珪素インゴットを切断することによってウエハを設けるステップである。
【0091】
前記切断ステップは、前記炭化珪素インゴットの(0001)面又は成長が開始された面と所定のオフ角をなすように切断されてもよい。前記切断ステップのオフ角は、0°~10°であってもよい。
【0092】
前記切断ステップは、前記ウエハの厚さが150μm~900μmになるようにしてもよく、又は200μm~600μmになるようにしてもよいが、これに制限するものではない。
【0093】
前記加工ステップは、前記切断ステップを経て設けられたウエハの厚さを平坦化し、表面を研磨するステップである。前記厚さを平坦化する過程は、ホイール研削(wheel grinding)がウエハの両側面に順次適用されて行われ得る。前記ホイール研削に使用される研磨材は、ダイヤモンド研磨材であってもよい。
【0094】
前記加工ステップの厚さを平坦化する過程を通じて、前記切断ステップでウエハに加えられた損傷及びストレスを減少させ、ウエハを平坦に作製する。
【0095】
また、前記加工ステップの表面を研磨する過程は、湿式エッチングステップをさらに含むことができる。
【0096】
前記加工ステップの表面を研磨する過程では、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing、CMP)がさらに行われてもよい。
【0097】
前記化学的機械的研磨工程は、回転する定盤上に研磨粒子スラリーを加えながら、回転する研磨ヘッドに固定されたウエハを所定の圧力で接触させて行われ得る。
【0098】
前記加工ステップの後、通常のRCA化学洗浄溶液を通じた洗浄ステップがさらに行われてもよい。
【0099】
炭化珪素インゴット100
【0100】
上記の目的を達成するために、具現例に係る炭化珪素インゴット100は、互いに対向する一面110及び他面120を含み、上部として定義される前記一面は、平坦面又は凸面であり、ウエハは、前記一面以下の部分から設けられ、前記ウエハは、520nmの波長の光で測定した位相差の分布を有し、前記位相差(リタデーション)の平均値が35nm以下であってもよい。
【0101】
前記炭化珪素インゴット100は、反応容器の内部の原料が昇華することによって炭化珪素種結晶上に再結晶されて成長したものである。
【0102】
図3を参照すると、成長の終結後、前記炭化珪素インゴットの表面の中で前記原料に向かう面が一面110であり、前記一面は、湾曲した凸面又は平坦面を有することができる。
【0103】
前記炭化珪素インゴット100は、本体部121と、前記本体部から延びて凸面110を有する凸部111とを含むことができる。前記炭化珪素インゴットの凸面を上部と見なすとき、凸面以下の部分は前記本体部に該当し得る。
【0104】
すなわち、前記炭化珪素インゴットの一面110を上部と見なすとき、炭化珪素インゴットの成長が始まった面である底面を他面120と見なすことができ、前記他面を下部と見なすことができ、前記一面以下の部分を所定の厚さに切断することによってウエハを設けることができる。このとき、前記切断時、前記他面又は前記炭化珪素インゴットの(0001)面と前記ウエハとが所定のオフ角をなすようにすることができる。
【0105】
また、前記ウエハを設ける過程では、前記炭化珪素インゴット100の外径を、研削装備を用いて外径から内部に向かう方向を整え、前記炭化珪素インゴットの他面120又は(0001)面に対する所定のオフ角及び一定の厚さに切断した後、縁部の研削及び表面研磨、ポリッシングなどの加工が行われ得る。
【0106】
前記炭化珪素インゴット100は、炭化珪素種結晶のC面((000-1)面)で成長したものであってもよい。
【0107】
前記炭化珪素インゴット100は、製造時に、成長ステップ及び冷却ステップで特定の熱伝導度を満たす坩堝を通じて製造され得る。
【0108】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0109】
<実施例1-ウエハの製造>
【0110】
図2に炭化珪素インゴットの製造装置の一例を示したように、反応容器200の内部空間の下部に原料である炭化珪素粉末を装入し、その上部に炭化珪素種結晶を配置した。このとき、炭化珪素種結晶は、6インチの4H-SiC結晶からなるものを適用しており、C面((000-1)面)が内部空間の下部の炭化珪素原料に向かうように通常の方法により固定し、これを以下の実施例及び比較例に同一に適用した。
【0111】
反応容器200を密閉し、その外部を0.15g/ccの密度及び2.80×10-6/℃の熱膨張係数を有する断熱材400で取り囲んだ後、外部に加熱手段600である加熱コイルが備えられた石英管500内に反応容器を配置した。前記反応容器の内部空間を減圧して真空雰囲気に調節し、アルゴンガスを注入することによって前記内部空間が760torrに到達するようにした後、再び内部空間を減圧させた。同時に、内部空間の温度を5℃/minの昇温速度で2300℃まで昇温させ、前記石英管と連通する配管810及び真空排気装置700を介して、石英管の内部のアルゴンガスの流量を調節した。2300℃の温度及び20torrの圧力の条件下で100時間、炭化珪素原料と対向する炭化珪素種結晶面に炭化珪素インゴットを成長させた。
【0112】
成長後、前記内部空間の温度を5℃/minの速度で25℃まで冷却させると同時に、内部空間の圧力が760torrになるようにした。
【0113】
前記冷却された炭化珪素インゴットの(0001)面と4°のオフ角を有するように切断し、360μmの厚さを有するウエハサンプルを設けた。また、このウエハの縁部を最大外径に対し5%研削した後、通常の化学的機械的研磨及びRCA洗浄を実施した。
【0114】
<実施例2-ウエハの製造>
【0115】
前記実施例1において、断熱材の密度を0.16g/cc、熱膨張係数を2.75×10-6/℃に変更したことを除いては、前記実施例1と同一にしてウエハを製造した。
【0116】
<実施例3-ウエハの製造>
【0117】
前記実施例1において、断熱材の密度を0.17g/cc、熱膨張係数を2.9×10-6/℃に変更したことを除いては、前記実施例1と同一にしてウエハを製造した。
【0118】
<比較例1-ウエハの製造>
【0119】
前記実施例1において、断熱材の密度を0.13g/cc、熱膨張係数を2.6×10-6/℃に変更したことを除いては、前記実施例1と同一にしてウエハを製造した。
【0120】
<比較例2-ウエハの製造>
【0121】
前記実施例1において、断熱材の密度を0.29g/cc、熱膨張係数を3.1×10-6/℃に変更したことを除いては、前記実施例1と同一にしてウエハを製造した。
【0122】
<実験例-ウエハのリタデーション、半値全幅の測定>
【0123】
前記設けられたウエハサンプルをWPA-200(株式会社フォトニックラティス)装備を通じて、波長が520nmである光で測定したウエハの厚さ方向における位相差(リタデーション)の平均値、最小値及び最大値を測定し、その結果を表1に、一部の結果を
図4に示した。そして、XRD分析装置(SmartLab X-ray Diffractometer、株式会社リガク)を通じてウエハサンプルのロッキングカーブの半値全幅を測定し、その結果を表1に示した。
【0124】
【0125】
表1を参照すると、ウエハの製造において断熱材の密度が0.14g/cc~0.28g/ccの範囲内にあり、熱膨張係数が2.65×10-6/℃~3.05×10-6/℃の範囲内にある各実施例は、35nm以下の位相差値と、30arcsec以下のX線ロッキングカーブの半値全幅を有し、断熱材の密度及び熱膨張係数がこのような範囲を逸脱する比較例に比べて残留応力分布が良好であり、結晶の歪み発生、欠陥などが少ない優れた結晶品質を示すことを確認した。
【0126】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0127】
10 ウエハ
100 炭化珪素インゴット
200 反応容器
210 本体
220 蓋
300 原料物質
400 断熱材
500 反応チャンバ
600 加熱手段
700 真空排気装置
800 マスフローコントローラ
810 配管