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特許7043037竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法及びその装置
<図1>
  • 特許-竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法及びその装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   E03F 9/00 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
E03F9/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018071929
(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2018155095
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2017074787
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】511200971
【氏名又は名称】有限会社第一化学工業所
(72)【発明者】
【氏名】青木 實
(72)【発明者】
【氏名】青木 栄一
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-011978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0008471(US,A1)
【文献】特公昭47-043580(JP,B1)
【文献】特開平10-266301(JP,A)
【文献】特開平09-125274(JP,A)
【文献】特開2010-043488(JP,A)
【文献】特開2004-041845(JP,A)
【文献】特開2018-128047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
エフロ(10)を溶解する薬液(4)を有する薬剤容器(3)と、該薬剤容器(3)が有する薬液(4)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から所定の時間管内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置(2)とを備えてなることを特徴とする管内エフロの除去兼固着防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の地下等において、地下水等の排出を滞るべく竪管等の管内に固着したエフロを徐々に溶解除去することにより滞った地下水等の水を排出させる竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、構造物の地下等において、モルタル中の水酸化カルシウムが進入した雨水や地下水等に溶けてクラックや目地等から滲み出し、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸カルシウムとなって出てきたエフロレッセンス(以下、エフロという)が地下水等の排出を促す竪管等の管の内部に固着することで、地下水等の排出水が滞った状態での竪管等の管内のエフロを除去する方法としては、超高圧洗浄機を使用しての管内洗浄や管ツールを用いての除去が一般的に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記前者超高圧洗浄機を使用しての管内洗浄によりエフロを除去する場合には、洗浄作業のコストが極めて高くつくばかりか、洗浄による排水は産廃扱いとなり、よってその処理も極めて煩雑であり、ここでもコストが嵩むこととなる。更に上記後者管ツールを用いて管内のエフロを除去する場合には、該管ツールを介して管を痛める恐れがあるだけでなく、仮に痛めた場合には多額の管の交換工事に至ることともなり、従って、高いリスクを背負うのみならず、エフロの再発もあり得るばかりかエフロの固着状態によっては、管ツールを使用しても容易に貫通することが出来ないという数々の問題が生じていた。
【0004】
更に、上記前者及び後者の手段を用いてエフロを除去した場合において、滞っていた地下水等の排出水がエフロが瞬間的に除去又は貫通されたことで一気に排出される場合もあり、よって稀にではあるが竪管の下方の分岐ジョイント部に排出水が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は,上記問題を全て解決すべく以下の手段を講じたものであり、係る請求項1記載の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の送り込みがエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)を介して阻止された後、該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液(4)を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)より管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)近傍から徐々に溶解除去することで滞った地下水等の排出水(9)を排出させることにある。
【0006】
更に、請求項2記載の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液(4)を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)より管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して竪管等の管(7)の内部に付着したエフロ(10)を徐々に溶解除去することにある。
【0007】
更に、請求項3記載の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液(4)を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブの一端側(6a)より管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して竪管等の管(7)の内部のエフロ(10)の固着を防止することにある。
【0008】
更に、請求項4記載の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、薬液(4)の比重が排出水(9)より重いことから、薬液(4)をエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)の最深部位まで重力を用いて浸透させて、管内のエフロ(10)を効率よく除去することが出来る。
【0009】
更に、請求項5記載の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、薬液(4)が可撓性チューブ(6)の一端側(6a)よりミスト状で管(7)の内部に注入されることから、薬液(4)を竪管等の管(7)内の隅々まで効率よく充満させることが出来る。
【0010】
更に、請求項6記載の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法に用いられる管内エフロの除去兼固着防止装置(1)が、エフロ(10)を溶解する薬液(4)を有する薬剤容器(3)と、該薬剤容器(3)が有する薬液(4)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から所定の時間管内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置(2)とから構成されている場合には、作業員が現場にいる必要なく、自動でエフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った竪管等の管(7)の詰まりを除去することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った状態の竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の一端側(6a)の送り込みがエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)を介して阻止された後、該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液(4)を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)より管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して排出水(9)を滞らせるべく管(7)の内部に固着したエフロ(10)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)近傍から徐々に溶解除去することで滞った地下水等の排出水(9)を排出させることから、管の内部に固着して排出水(9)を滞めるべく作用するエフロ(10)に薬液(4)が直接アプローチして徐々に溶解するだけでなく、エフロ(10)の溶解時に発生する反応泡が管内に滞った排出水(9)の中を管(7)の管口側(7a)へと向かうことで管内のあらゆる個所に固着したエフロをも徐々に溶解除去することで、滞った地下等の水(9)を徐々に排出することが可能となる。
【0012】
よって、滞っていた地下水等の排出水(9)が一気に排出されて竪管の下方の分岐ジョイント部(図示せず)に排出水(9)が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題を完全に解消することが出来るという効果を奏するだけでなく、超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロ(10)も溶解により除去することで排出水(9)も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管(7)の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも一切不用になるという格別な効果がある。
【0013】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液(4)を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)より管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して竪管等の管(7)の内部に付着したエフロ(10)を徐々に溶解除去することから、管内に固着したエフロ(10)を介して地下水等の排出水(9)が滞る前にエフロ(10)に薬液(4)及び反応泡の夫々が直接アプローチして徐々に溶解することが出来、よって超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロ(10)も溶解により除去することで排出水(9)も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管(7)の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも不用になるという格別な効果がある。
【0014】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、竪管等の管(7)の管口(7a)から可撓性チューブ(6)の一端側(6a)を所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ(6)の他端側(6b)よりエフロ(10)を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液(4)を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ(6)の一端側(6a)より管(7)の内部に順次注入される所定量の薬液(4)及び反応泡の双方を介して竪管等の管(7)の内部のエフロ(10)の固着を防止することから、地下水等の排出水(9)に適用される竪管等の管(7)に限らず、例えば、マンション等のビルの竪管等に所定の周期でアプローチすることであらゆる場所に使用される竪管等の管(7)をエフロ(10)の固着から開放することが出来るという格別な効果を奏する。
【0015】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、薬液(4)の比重が排出水(9)より重いことから、薬液(4)に所定の圧力をかけて管(7)の内部に注水させる加圧装置も一切必要なく、極めて安価な装置により所定量の薬液(4)をエフロ(10)のエフロ詰まり部位(10a)の最深部位まで重力を用いて浸透させて、管内のエフロ(10)を効率よく除去することが出来るという格別な効果を奏する。
【0016】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、薬液(4)が可撓性チューブ(6)の一端側(6a)よりミスト状で管(7)の内部に注入されることから、薬液(4)を竪管等の管(7)内の隅々まで効率よく充満させることが出来、よってエフロ詰まり部位(10a)以外に管(7)内に固着したエフロ(10)が管(7)を詰まらせる前に管(7)の隅々まで充満する薬液(4)により除去することが可能になるという格別な効果を奏する。
【0017】
更に、本発明の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法に用いられる管内エフロの除去兼固着防止装置(1)が、エフロ(10)を溶解する薬液(4)を有する薬剤容器(3)と、該薬剤容器(3)が有する薬液(4)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から所定の時間管内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置(2)とから構成されている場合には、作業員が現場にいる必要なく、自動でエフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った竪管等の管(7)の詰まりを除去することが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明における管内エフロの除去兼固着防止装置の一実施形態を示し、同図(イ)は一部断面使用状態図、同図(イ)、(ロ)は要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法を実現する場合の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置を用いた一実施形態を図面に従って説明する。
【0020】
先ず、図1(イ)おいて、1は管内エフロの除去固着防止装置を示し、2は後述するエフロ10を溶解する薬液4を有する薬剤容器3と接続ホース5を介して接続され、且つ該薬剤容器3が有する薬液4を他端側6bが接続された撓性チューブ6の一端側6aから所定の時間管内に該撓性チューブ6が送り込まれた管7内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置を示す。
【0021】
尚、上記薬剤容器3内の薬液4は、エフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させるものであり、有機酸を主に生成され、エフロ10の溶解時には主に二酸化炭素、塩化カルシウムを発生するものであり、エフロ10を効率良く溶解することが出来る様に塩酸を含んでいるものの塩酸の刺激臭を抑えるべく特殊な配合を有してなるものである。
【0022】
上記管内エフロの除去固着防止装置1を構成する注入装置2及び薬剤容器3は、例えば、駅構内等のコンクリート床8a面上に各々が有する脚部2b、3bを介して載置されるものである。
【0023】
7はコンクリート床8aの内部のコンクリート層8内に埋めこまれた、所謂竪管等の樹脂製の管を示し、9は管7の内面部7bに形成されたエフロ10のエフロ詰まり部位10aを介して排出が滞った地下水等の排出水を示すと共に、該排出水9は管7の内部及びコンクリート床8aに貯留している。
【0024】
本発明の一実施形態における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止装置1は上記構成からなり、次に係る装置1を用いての竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法について説明するが、先ず、エフロ10の固着により地下水等の排出水9が滞った状態の竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを送り込む(矢印D)が、その際、該可撓性チューブ6の一端側6aの送り込みがエフロ10のエフロ詰まり部位10aを介して阻止されるところまで送り込んで停止させる。
【0025】
次に、同図(ロ)に示す様に、可撓性チューブ6の他端側6bより注入装置2を介してエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液4を所定の時間管内注入(矢印A)しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ6の一端側6aより管7の内部に順次注入される所定量の薬液4及び反応泡の双方を介して排出水9を滞らせるべく管7の内部に固着したエフロ10のエフロ詰まり部位10aを可撓性チューブ6の一端側6a近傍から徐々に溶解除去させて溶解除去部位(B)を形成させつつ、最終には、同図(ハ)様に示す様に、エフロ10に貫通路11を形成することで、滞った地下水等の排出水9を確実に排出することが出来る。
【0026】
要は、管7の内部に固着して排出水9を滞めるべく作用するエフロ10を可撓性チューブ6の一端側6a近傍のエフロ詰まり部位10aから徐々に溶解除去することで滞った地下水等の排出水9を排出させることから、管の内部に固着して排出水9を滞めるべく作用するエフロ10に薬液4が直接アプローチして徐々に溶解するだけでなく、エフロ10の溶解時に発生する反応泡が管内に滞った排出水9の中を管7の管口側7aへと向かうことで管内のあらゆる個所に固着したエフロをも徐々に溶解除去することで、滞った地下等の水9を徐々に排出することが可能となる。
【0027】
よって、滞っていた地下水等の排出水9が一気に排出されて竪管の下方の分岐ジョイント部(図示せず)に排出水9が一気に押し寄せた際の水圧で分岐ジョイント部が破損するという問題を完全に解消することが出来るという効果を奏するだけでなく、超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロ10も溶解により除去することで排出水9も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管7の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも一切不用になるという格別な効果がある。
【0028】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、例えば、竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ6の他端側6bよりエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液4を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ6の一端側6aより管7の内部に順次注入される所定量の薬液4及び反応泡の双方を介して竪管等の管7の内部に付着したエフロ10を徐々に溶解除去する場合には、管内に固着したエフロ10を介して地下水等の排出水9が滞る前にエフロ10に薬液4及び反応泡の夫々が直接アプローチして徐々に溶解することが出来、よって超高圧洗浄機も不用であることから煩雑且つ高額な洗浄作業をも不用にすることのみならずエフロ10も溶解により除去することで排出水9も煩雑且つコストのかかる産廃扱いを行う必要がないという顕著な効果も有しつつ、更にエフロ除去時に管7の内面部を痛めるという高いリスクをも背負う管ツールも不用になるという格別な効果がある。
【0028】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、例えば、竪管等の管7の管口7aから可撓性チューブ6の一端側6aを所定の長さで送り込み、その後該可撓性チューブ6の他端側6bよりエフロ10を溶解すると共に反応泡を発生させる所定量の薬液4を所定の時間管内注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことで、可撓性チューブ6の一端側6aより管7の内部に順次注入される所定量の薬液4及び反応泡の双方を介して竪管等の管7の内部のエフロ10の固着を防止することから、地下水等の排出水9に適用される竪管等の管7に限らず、例えば、マンション等のビルの竪管等に所定の周期でアプローチすることであらゆる場所に使用される竪管等の管7をエフロ10の固着から開放することが出来るという格別な効果を奏する。
【0029】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、薬液4の比重が排出水9より重い場合には、薬液4に所定の圧力をかけて管7の内部に注水させる加圧装置も一切必要なく、極めて安価な装置により所定量の薬液4をエフロ10のエフロ詰まり部位10aの最深部位まで重力を用いて浸透させて、管内のエフロ10を効率よく除去することが出来るという格別な効果を奏する。
【0030】
更に、本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法において、薬液4が可撓性チューブ6の一端側6aよりミスト状で管7の内部に注入される場合には、薬液4を竪管等の管7内の隅々まで効率よく充満させることが出来、よってエフロ詰まり部位10a以外に管7内に固着したエフロ10が管7を詰まらせる前に管7の隅々まで充満する薬液4により除去することが可能になるという格別な効果を奏する。
【0031】
更に、本発明の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法に用いられる管内エフロの除去兼固着防止装置(1)が、エフロ(10)を溶解する薬液(4)を有する薬剤容器(3)と、該薬剤容器(3)が有する薬液(4)を可撓性チューブ(6)の一端側(6a)から所定の時間管内に注入しては所定の時間停止するという工程を所定時間又は所定回数で繰り返すことが可能な注入装置(2)とから構成されている場合には、作業員が現場にいる必要なく、自動でエフロ(10)の固着により地下水等の排出水(9)が滞った竪管等の管(7)の詰まりを除去することが出来るという効果を奏する。
【0032】
尚、一実施形態において、本発明の竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、竪管を対象にした場合を説明したが、例えば、分岐ジョイント部を介しての水平管に使用してもよく、要はエフロを除去又はエフロの固着を防止することを目的とする管であれば、係る発明を実施する管の具体的な材質、形状、配置、径、種類等も一切限定されず、更にエフロを溶解する薬液の組成等も一切限定されないのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明における竪管等の管内エフロの除去兼固着防止方法は、エフロが発生する場所に設置された管に適用可能である。
図1