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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】浴室用収納ラック
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
A47K4/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018013241
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019129935
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591037063
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073483
【弁理士】
【氏名又は名称】八鍬 昇
(72)【発明者】
【氏名】落合 辰雄
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-139191(JP,U)
【文献】特開2004-049336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0153354(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 4/00
A47G 29/00
A47B 96/00-96/02
A47K 5/02- 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の壁面に粘着または磁着によって取付ける合成樹脂製の浴室用収納ラックにおいて、収納ラック本体は壁面に当接させる比較的大きな面積を有するベースプレート部と、このベースプレート部の下端部に設けられる棚板部およびこの棚板部の周囲を所定高さでカバーするスカート部とから構成され、前記ベースプレート部は壁面との当接面の全部または一部に粘着層または磁着層を形成してあり、前記棚板部は前記ベースプレート部の下端部付近にベースプレート部と一体成形されているが、前記スカート部はベースプレート部に一体成形されておらず、ベースプレート部から必要に応じて取り外しができるようになっており、収納ラック本体の浴室壁面への取付位置を変更するに際しては、前記スカート部をベースプレート部から取り外し、前記棚板部を掴んで上方へ持ち上げることによりベースプレート部の下部を撓ませてベースプレート部を壁面から容易に引き剥がせるようにした浴室用収納ラックであって、前記スカート部の脱着構造が、スカート部の左右両袖部の端面に突成した係合突起を、ベースプレート部の両端部に設けた鍵穴状の通孔内に嵌入させて着脱自在な構成としたことを特徴とする浴室用収納ラック
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室内で用いるボディーソープやシャンプーボトル、リンスボトル、髭剃り等の浴室用品類を収納するための浴室用収納ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室用品類を整然と収納するため、下記の特許文献1 には、浴室の洗い場壁面の低い位置にカウンターを設けると共に、このカウンターの下方に開閉自在な扉を設けて、この扉に浴室用小物入れとしての水切りラックを固定するようにした浴室用小物入れが開示されている。
【0003】
上記した従来の浴室用小物入れによった場合は、カウンターの下方に設けられた扉を閉じることによって水切りラックの所在が隠れるので見栄えの向上に効果があるとしても、浴室用品類を使用する際はその都度、扉を解放しなければならず、面倒であると共に、扉を解放した状態では、浴室内に水切りラックが突出した状態となり身体に接触する等の問題が生ずる。
【0004】
そのため、収納ラック本体の裏面に粘着剤を取付けて、浴室の内壁面に粘着させたり、あるいは浴室の壁面構造体がフィルムラミネート化粧鋼板等磁性体から構成されている場合には、収納ラック本体の裏面にフェライト粉末等を配合させた合成ゴムベースを設けて、浴室の内壁面に磁着させることにより各種浴室用品類を収納する浴室用収納ラックを取付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案出願公開平2-71388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した粘着剤による粘着力や、フェライト磁石による磁着力を利用した従来の収納ラックの場合、比較的重量のあるシャンプーボトルやソープボトル等の荷重に耐えられるように、収納ラック本体の裏面に広い面積で粘着層または磁着層を形成したり、あるいは特別に高い粘着力を発現する粘着剤や、フェライト粉末の配合量を高めた強い磁着力を有する合成ゴムベースを用いる必要がある。
【0007】
しかしながら、粘着力や磁着力の強い素材を用いたり、収納ラックの裏面に広い面積で粘着層または磁着層を形成した場合、収納ラックの取付け位置を変更する際に、壁面から容易に取り外すことができず、壁面と収納ラック本体の当接面の間にドライバー等の器具類を挿入して剥がそうとした場合には、壁面を傷付けたり手指を怪我するおそれがある。
【0008】
特に、合成樹脂によって作製された従来型収納ラックの場合、壁面に当接させるベースプレート部と、このベースプレート部の下端部に設けられる棚板部及びこの棚板部の周囲を所定高さでカバーするスカート部が一体的に形成されており、当該スカート部の左右両端縁が、ベースプレート部の左右両縁を一定高さで抑え付けることになるので、ベースプレート部を下端部から上方に向けて撓ますことができず、高齢者など力の弱い者にとっては実質的に磁着面または粘着面を引き離すことができないという問題がある。また、スカート部が棚板部およびベースプレート部と一体的に設けられていたため棚板部の底面の汚れを落とすのに多くの手間を要するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記した従来型浴室用収納ラックの問題点を解決し、ベースプレート部の撓みを阻害しているスカート部をベースプレート部から取り外すことができるようにして、収納ラックの裏面に広い面積で粘着層または磁着層を形成したり、あるいは特別に高い粘着力を発現する粘着剤や、フェライト粉末の配合量を高めた強い磁着力を発現する素材を用いた場合であっても、ベースプレート部の粘着面または磁着面を少ない力で容易に引き剥がすことができ、使用者の所望の位置に容易に取付位置を変更することができるようにした浴室用収納ラックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の構成を詳述すれば、請求項1 に係る発明は、浴室内の壁面に粘着または磁着によって取付ける合成樹脂製の浴室用収納ラックにおいて、収納ラック本体は壁面に当接させる比較的大きな面積を有するベースプレート部と、このベースプレート部の下端部に設けられる棚板部およびこの棚板部の周囲を所定高さでカバーするスカート部とから構成され、前記ベースプレート部は壁面との当接面の全部または一部に粘着層または磁着層を形成してあり、前記棚板部は前記ベースプレート部の下端部付近にベースプレート部と一体成形されているが、前記スカート部はベースプレート部に一体成形されておらず、ベースプレート部から必要に応じて取り外しができるようになっており、収納ラック本体の浴室壁面への取付位置を変更するに際しては、前記スカート部をベースプレート部から取り外し、前記棚板部を掴んで上方へ持ち上げることによりベースプレート部の下部を撓ませてベースプレート部を壁面から容易に引き剥がせるようにした浴室用収納ラックであって、前記スカート部の脱着構造が、スカート部の左右両袖部の端面に突成した係合突起を、ベースプレート部の両端部に設けた鍵穴状の通孔内に嵌入させて着脱自在な構成としたことを特徴とする浴室用収納ラックである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベースプレート部の撓みを阻害しているスカート部をベースプレート部から取り外すことができるので、強い粘着力または磁着力によって強固に浴室壁面に定着しているベースプレート部であっても、少ない力で容易に引き剥がすことができ、使用者の所望の位置に浴室用収納ラックを取付けることが可能となる。
【0012】
なお、通常の使用時にはベースプレート部の下端部にスカート部が固定され、スカート部の左右両袖部が、ベースプレート部の左右両縁を一定高さで抑え付けることになるので、ベースプレート部の下端部を撓ませることができず、強い粘着力または磁着力によってベースプレート部は壁面に安定した状態で固定され、シャンプーボトル等浴室用品に対する充分な耐荷重性を発揮することができる。
【0013】
また、本発明によった場合は、ベースプレート部からスカート部を外すことができるので、経年的に棚板部の上面やスカート部の内周面に付着した汚れを容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る浴室用収納ラックの一実施形態を示すものであり、ベースプレート部からスカート部を外した状態の一例を示す斜視図である。
図2】ベースプレート部からスカート部を外した状態の壁面側からみた斜視図である。
図3】ベースプレート部にスカート部を固定した状態の一例を示す斜視図である。
図4】本発明に係る浴室用収納ラックの使用状態の一例を示す斜視図である。
図5】ベースプレート部とスカート部の他の脱着構造の一例を示す斜視図である。
図6図5に示す実施形態におけるベースプレート部とスカート部の壁面側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る浴室用収納ラックの具体的構成を図示の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための浴室用収納ラックの一例を示すに過ぎないものであって、本発明は以下の説明及び図示したものに限定されるものではない。特に、実施の形態及び図面に示されている構成要素の形状、デザイン、寸法、相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎないものである。
【0016】
図中1 は剛性、加工性、耐衝撃性、曲げ疲労性などの機械的特性に優れた機能を有するABS樹脂を始めとした合成高分子材料によって作製された収納ラック本体の全体を示すもので、当該収納ラック本体1は浴室の壁面2に当接する比較的大きな面積を有するベースプレート部3と、当該ベースプレート部3の下端部付近に位置する棚板部4と、当該棚板部4の周囲を所定高さでカバーするスカート部5とから構成される。
【0017】
ベースプレート部3は浴室の壁面2に当接させる比較的大きな面積を有しており、壁面2に接することとなる当接面6の全部または一部に粘着層または磁着層7を形成する。図示の実施形態では、ベースプレート部3の当接面6は周縁部8のみが少し高くなるように成形してあり、周縁部8に囲まれた低位置の全部または一部に粘着層または磁着層7を形成してあり、当該低位置に粘着層または磁着層7が形成されることにより、全体の高さは周縁部8とほぼ同一高さとなるように設定してある。
【0018】
粘着層7は浴室内壁面の平滑な表面に粘着ないし吸着して通常の使用状態では剥がれず、必要なときは粘着ないし吸着方向とは逆向きの外力を加えることによって跡形を残さずに綺麗に剥がすことができる粘着ないし吸着シート類が好適に用いられる。
【0019】
また、浴室の壁面構成材としてフィルムラミネート化粧鋼板等磁性体が使用されている場合には、前記した粘着ないし吸着シート類の他に、ベースプレート部3における当接面6の全部または一部に磁着層7を形成し、ベースプレート部3を壁面2に磁着によって取付けるようにすることができる。なお、磁着層7はフェライト粉末を配合した合成ゴムシート状物が好適に用いられる。
【0020】
次に、ベースプレート部3の下端部に位置する棚板部4は、図4に示すようにシャンプーボトルなどの浴室用品類9を受けるためのものであり、ベースプレート部3の下端部付近にベースプレート部3の垂直面とほぼ直交するように一体成形されている。
【0021】
前記した棚板部4と共に、浴室用品類9を安定的に保持するためのスカート部5は、棚板部4と異なってベースプレート部3には一体成形されておらず、ベースプレート部3から必要に応じて取り外しができる構造となっている。
すなわち、ベースプレート部3の左右両袖部10の端面がベースプレート部3と一体となっていた場合には、ベースプレート部3の両端をスカート部5の高さにおいて抑え付けることとなるので、ベースプレート部3を引き剥がすことができない。そのため、本発明に係る浴室用収納ラックにおいては、スカート部5をベースプレート部3から必要に応じて取り外せるようにしたものである。
【0022】
ベースプレート部3からスカート部5を取り外した状態では、ベースプレート部3の下端部が拘束から解除された状態となるので、ベースプレート部3に一体的に設けられている棚板部4を掴んで上に少し持ち上げれば、ベースプレート部3の粘着乃至磁着を解くことができるのである。
【0023】
図1ないし図4に示す実施形態におけるスカート部5の脱着構造は、スカート部5の左右両袖部10,10の端面に係合突起11,11を突成すると共に、ベースプレート部3の両端部に前記係合突起11,11が嵌入し得る鍵穴状の通孔12,12を設け、スカート部5に突設した係合突起11,11を、ベースプレート部3の鍵穴状通孔12,12内に嵌入させ、係合突起11,11の小径部13,13を前記通孔12,12の下端部に落とし込んでスカート部5 をベースプレート部3に固定できるようになっており、前記とは逆の操作によりスカート部5をベースプレート部3から取り外すことができる。
【0024】
ベースプレート部3とスカート部5の脱着構造は前記したものに限定されず、図5および図6に示す嵌合構造としてもよい。
すなわち、スカート部5 における左右両袖部10,10の端面部17,17に、下側が開口となった所定長さのスリット14,14を形成すると共に、ベースプレート部3の表面側両端付近にほぼL字状をなす所定長さの係合突片16,16を形成し、前記スリット14,14の下側開口15,15内に前記係合突片16,16を挿着し、係合突片16,16の頂部にスリット14,14の上端部を当接係止させて両者を係合させる構造としてもよい。
【0025】
このように、本発明に係る浴室用品収納ラックにおいては、スカート部5をベースプレート部3から取り外して、ベースプレート部3を壁面2から容易に引き剥がせるようにしたものであり、図4に示す使用状態から、スカート部5を取り外す場合は、先ず、シャンプーボトルなどの浴室用品類9を棚板部4とスカート部5によって形成されているポケット部から取り出す。
次いで、図1ないし図3に示す脱着構造の場合は、スカート部5の左右両端を手で抑えて上方に持ち上げるとスカート部5側の係合突起11,11の小径部13,13が鍵穴状通孔12,12の大径部内に移動し、この状態でスカート部5を前方に引き抜くことによってスカート部5をベースプレート部3から外すことができる。
【0026】
ベースプレート部3からスカート部5が取り除かれた状態では、ベースプレート部3の撓みを抑えていた押圧力が解除されるので、ベースプレート部3の下端部付近に突成されている棚板部4を掴んで上方に少し持ち上げることによりベースプレート部3を撓ませることができ、壁面に強固に粘着ないし磁着していたベースプレート部3を少しの力で剥がすことができる。
【0027】
以上のように、本発明によれば、ベースプレート部を大きくして広い面積に粘着層または磁着層を形成したり、あるいは特別に高い粘着力を示現する粘着剤や、フェライト粉末の配合量を高めた強い磁着力を有する合成ゴムベースを用いて耐荷重強度を高めた浴室用収納ラックを提供することができると共に、取付位置を容易に変更することができる浴室用収納ラックを提供することができる。また、内部の汚れを取り除き易いメンテナンスの容易な浴室用収納ラックを提供することができる。
【符号の説明】
【0028】
1:収納ラック本体
2:壁面
3:ベースプレート部
4:棚板部
5:スカート部
6:当接面
7:粘着層または磁着層
8:周縁部
9:浴室用品類
10:左右両袖部
11:係合突起
12:通孔
13:小径部
14:スリット
15:下側開口部
16:係合突片
17:端面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6