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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】レーザモジュール及び画像投影装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02208 20210101AFI20220322BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20220322BHJP
   H01S 5/02255 20210101ALI20220322BHJP
   H01S 5/02257 20210101ALI20220322BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20220322BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H01S5/02208
G02B27/02 Z
H01S5/02255
H01S5/02257
H01S5/40
H04N5/64 511A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017063227
(22)【出願日】2017-03-28
(65)【公開番号】P2018165784
(43)【公開日】2018-10-25
【審査請求日】2020-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】506423051
【氏名又は名称】株式会社QDレーザ
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137615
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 照夫
(72)【発明者】
【氏名】神戸 聡
(72)【発明者】
【氏名】武政 敬三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
(72)【発明者】
【氏名】森野 誠治
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0274179(US,A1)
【文献】特開2015-220204(JP,A)
【文献】特開2015-111231(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141918(WO,A1)
【文献】特開2014-102074(JP,A)
【文献】特開2014-021708(JP,A)
【文献】国際公開第2013/001590(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/073330(WO,A1)
【文献】特開2011-066549(JP,A)
【文献】特開2010-107751(JP,A)
【文献】国際公開第2009/066475(WO,A1)
【文献】特開2008-176125(JP,A)
【文献】国際公開第2007/029675(WO,A1)
【文献】特開2002-196273(JP,A)
【文献】特開2001-330794(JP,A)
【文献】国際公開第2016/191709(WO,A1)
【文献】特開2018-166165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 5/50
G02B 26/10 - 30/60
G03B 21/00 - 21/30
H04N 5/64 - 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の発光点が平面上に位置し、発振波長が異なる3つ以上の複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子が組み付けられ、前記平面に交差する面であって前記複数のレーザ素子が出射するレーザ光が外部に出射される前面と、前記複数のレーザ素子が前記レーザ光を出射する方向である前記平面の面方向に平行な2つの側面と、を有し、前記平面に対して対称形状をしていて、前記2つの側面に外部部品に固定するための孔を有する筐体と、
前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子からの前記レーザ光が入射され、前記レーザ光を合成して前記筐体の前記前面から外部に出射する光学素子と、を備えるレーザモジュール。
【請求項2】
前記筐体の前記2つの側面において、前記孔の周りの部分は他の部分よりも前記平面からの距離が長い、請求項記載のレーザモジュール。
【請求項3】
前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子が出射した前記レーザ光の強度をモニタする受光素子を備え、
前記光学素子及び前記受光素子は、前記平面に対して対称形状となって前記筐体に組み付けられている、請求項1または2記載のレーザモジュール。
【請求項4】
前記複数のレーザ素子と前記光学素子と前記受光素子とは、前記筐体の前記2つの側面の間に位置して前記筐体に組み付けられている、請求項3記載のレーザモジュール。
【請求項5】
前記筐体は、内側に空間が設けられた枠体形状を有し、
前記複数のレーザ素子は、前記空間に向かって前記レーザ光を出射するように前記筐体に組み付けられ、
前記光学素子は、前記空間内に位置して前記筐体に組み付けられている、請求項1から4のいずれか一項記載のレーザモジュール。
【請求項6】
前記複数のレーザ素子から出射されて前記光学素子を経由した前記レーザ光は、レンズによって前記筐体の外部で同じ位置に集光される、請求項1から5のいずれか一項記載のレーザモジュール。
【請求項7】
前記複数のレーザ素子から出射された前記レーザ光は、レンズを介さずに前記光学素子に入射する、請求項1から6のいずれか一項記載のレーザモジュール。
【請求項8】
前記筐体の前記2つの側面に設けられ、光の反射を抑制するフィルムを備える、請求項1から7のいずれか一項記載のレーザモジュール。
【請求項9】
つるを備えるメガネ形状の画像投影装置であって、
レーザモジュールと、
前記レーザモジュールから出射されたレーザ光を走査する走査光学部材と、
前記走査光学部材で走査された前記レーザ光をユーザの網膜に照射して前記網膜に画像を投影する投影光学部材と、を備え、
前記レーザモジュールは、
各々の発光点が平面上に位置し、発振波長が異なる3つ以上の複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子が組み付けられ、前記平面に交差する面であって前記複数のレーザ素子が出射する前記レーザ光が外部に出射される前面と、前記複数のレーザ素子が前記レーザ光を出射する方向である前記平面の面方向に平行な2つの側面と、を有し、前記平面に対して対称形状をした筐体と、
前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子からの前記レーザ光が入射され、前記レーザ光を合成して前記筐体の前記前面から外部に出射する光学素子と、を有し、
前記レーザモジュールは、前記筐体の前記2つの側面のいずれかで前記つるの取り付け部に固定されている、画像投影装置。
【請求項10】
前記画像投影装置は、1対の前記つるを備え、
前記1対のつるのうちの一方のつるの前記取り付け部に前記レーザモジュールを構成する前記筐体の前記2つの側面のうちの一方の側面が取り付けられたときの前記複数のレーザ素子の発光点の前記一方のつるの前記取り付け部からの距離と、他方のつるの前記取り付け部に前記レーザモジュールを構成する前記筐体の前記2つの側面のうちの他方の側面が取り付けられたときの前記複数のレーザ素子の発光点の前記他方のつるの前記取り付け部からの距離と、は等距離である、請求項9記載の画像投影装置。
【請求項11】
各々の発光点が平面上に位置し、発振波長が異なる3つ以上の複数のレーザ素子と、
前記複数のレーザ素子が組み付けられ、前記平面に交差する面であって前記複数のレーザ素子が出射するレーザ光が外部に出射される前面と、前記複数のレーザ素子が前記レーザ光を出射する方向である前記平面の面方向に平行な2つの側面と、を有し、前記平面に対して対称形状をしていて、前記2つの側面に外部部品にねじにより固定するための固定部を有する筐体と、
前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子からの前記レーザ光が入射され、前記レーザ光を合成して前記筐体の前記前面から外部に出射する光学素子と、を備えるレーザモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザモジュール及び画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のレーザ素子を備え、これらレーザ素子からのレーザ光を合成して外部に出射するレーザモジュールが知られている(例えば、特許文献1、2)。レーザモジュールを備えた装置の一例として、レーザモジュールから出射されたレーザ光をユーザの目に照射することで、ユーザの網膜に画像を直接投影するヘッドマウントディスプレイなどの画像投影装置が知られている(例えば、特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-12957号公報
【文献】特開2003-66369号公報
【文献】特開2009-258686号公報
【文献】特開2015-111231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、レーザモジュールをヘッドマウントディスプレイなどのメガネ型の画像投影装置に用いた場合、ファイバの引き回しや携帯性などを考慮すると、レーザモジュールをメガネのつるに固定することが望ましく、且つ右目用のレーザモジュールを右目側のつるに、左目用のレーザモジュールを左目側のつるに固定することがより望ましい。この場合、右目用のレーザモジュールと左目用のレーザモジュールとでは固定方向や放熱方向が異なることになるため、右目用と左目用それぞれ専用のレーザモジュールを設計することが考えられる。しかしながら、製造コストなどを考慮すると、同じレーザモジュールを右目用と左目用とで共用できることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、異なる方向に固定でき且ついずれの方向に固定した場合でも同様の放熱性を有し、同様の光学レイアウトを可能とするレーザモジュール及びこのレーザモジュールを備えた画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、各々の発光点が平面上に位置し、発振波長が異なる3つ以上の複数のレーザ素子と、前記複数のレーザ素子が組み付けられ、前記平面に交差する面であって前記複数のレーザ素子が出射するレーザ光が外部に出射される前面と、前記複数のレーザ素子が前記レーザ光を出射する方向である前記平面の面方向に平行な2つの側面と、を有し、前記平面に対して対称形状をしていて、前記2つの側面に外部部品に固定するための孔を有する筐体と、前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子からの前記レーザ光が入射され、前記レーザ光を合成して前記筐体の前記前面から外部に出射する光学素子と、を備えるレーザモジュールである。
【0007】
上記構成において、前記筐体の前記2つの側面において、前記孔の周りの部分は他の部分よりも前記平面からの距離が長い構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子が出射した前記レーザ光の強度をモニタする受光素子を備え、前記光学素子及び前記受光素子は、前記平面に対して対称形状となって前記筐体に組み付けられている構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記複数のレーザ素子と前記光学素子と前記受光素子とは、前記筐体の前記2つの側面の間に位置して前記筐体に組み付けられている構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記筐体は、内側に空間が設けられた枠体形状を有し、前記複数のレーザ素子は、前記空間に向かって前記レーザ光を出射するように前記筐体に組み付けられ、前記光学素子は、前記空間内に位置して前記筐体に組み付けられている構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記複数のレーザ素子から出射されて前記光学素子を経由した前記レーザ光は、レンズによって前記筐体の外部で同じ位置に集光される構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記複数のレーザ素子から出射された前記レーザ光は、レンズを介さずに前記光学素子に入射する構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記筐体の前記2つの側面に設けられ、光の反射を抑制するフィルムを備える構成とすることができる。
【0014】
本発明は、つるを備えるメガネ形状の画像投影装置であって、レーザモジュールと、前記レーザモジュールから出射されたレーザ光を走査する走査光学部材と、前記走査光学部材で走査された前記レーザ光をユーザの網膜に照射して前記網膜に画像を投影する投影光学部材と、を備え、前記レーザモジュールは、各々の発光点が平面上に位置し、発振波長が異なる3つ以上の複数のレーザ素子と、前記複数のレーザ素子が組み付けられ、前記平面に交差する面であって前記複数のレーザ素子が出射する前記レーザ光が外部に出射される前面と、前記複数のレーザ素子が前記レーザ光を出射する方向である前記平面の面方向に平行な2つの側面と、を有し、前記平面に対して対称形状をした筐体と、前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子からの前記レーザ光が入射され、前記レーザ光を合成して前記筐体の前記前面から外部に出射する光学素子と、を有し、前記レーザモジュールは、前記筐体の前記2つの側面のいずれかで前記つるの取り付け部に固定されている、画像投影装置である。上記構成において、前記画像投影装置は、1対の前記つるを備え、前記1対のつるのうちの一方のつるの前記取り付け部に前記レーザモジュールを構成する前記筐体の前記2つの側面のうちの一方の側面が取り付けられたときの前記複数のレーザ素子の発光点の前記一方のつるの前記取り付け部からの距離と、他方のつるの前記取り付け部に前記レーザモジュールを構成する前記筐体の前記2つの側面のうちの他方の側面が取り付けられたときの前記複数のレーザ素子の発光点の前記他方のつるの前記取り付け部からの距離と、は等距離である構成とすることができる。
【0015】
本発明は、各々の発光点が平面上に位置し、発振波長が異なる3つ以上の複数のレーザ素子と、前記複数のレーザ素子が組み付けられ、前記平面に交差する面であって前記複数のレーザ素子が出射するレーザ光が外部に出射される前面と、前記複数のレーザ素子が前記レーザ光を出射する方向である前記平面の面方向に平行な2つの側面と、を有し、前記平面に対して対称形状をしていて、前記2つの側面に外部部品にねじにより固定するための固定部を有する筐体と、前記筐体に組み付けられ、前記複数のレーザ素子からの前記レーザ光が入射され、前記レーザ光を合成して前記筐体の前記前面から外部に出射する光学素子と、を備えるレーザモジュールである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異なる方向に固定でき且ついずれの方向に固定した場合でも同様の放熱性を有し、同様の光学レイアウトを可能とするレーザモジュールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1に係るレーザモジュールを備えた画像投影装置を上方から見た図である。
図2図2(a)は、実施例1に係るレーザモジュールの前面図、図2(b)は、図2(a)をA方向から見た側面図、図2(c)は、図2(a)をB方向から見た側面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施例1に係るレーザモジュールの分解斜視図である。
図4図4は、筐体へのレーザ素子の組み付けを説明する斜視図である。
図5図5は、実施例1に係るレーザモジュールから出射されるレーザ光の焦点を示す図である。
図6図6は、実施例1の変形例1に係るレーザモジュールの分解斜視図である。
図7図7(a)から図7(d)は、受光素子の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、実施例1に係るレーザモジュールを備えた画像投影装置を上方から見た図である。図1のように、画像投影装置500は、レーザモジュール100、レンズ60、ミラー62、走査ミラー64、投影ミラー66、画像入力部68、及び制御部70を備える。
【0020】
画像投影装置500はメガネ型である。メガネは1対のつる72と1対のレンズ74とを有する。1対のつる72それぞれに、レーザモジュール100、レンズ60、ミラー62、及び走査ミラー64が設けられている。レーザモジュール100は、1対のつる72それぞれの取り付け部78に取り付けられている。1対のレンズ74それぞれに、投影ミラー66が設けられている。画像入力部68及び制御部70は、例えばメガネに設けられずに外部装置(例えば携帯端末)に設けられていてもよいし、メガネのつる72に設けられていてもよい。
【0021】
画像入力部68には、図示しないカメラ及び/又は録画機器などから画像データが入力される。制御部70は、入力された画像データに基づいて、レーザモジュール100からのレーザ光76の出射を制御する。このように、画像データはレーザモジュール100によって画像光線であるレーザ光76に変換される。
【0022】
制御部70は、例えば制御回路であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサでもよいし、専用回路であってもよい。カメラをユーザの視線方向に向けて画像投影装置500の適切な位置に設置すれば、このカメラで撮像した視線方向の画像をユーザの網膜82に投影させることができる。また、録画機器などから入力された画像を投影させたり、カメラ画像と録画機器などからの画像を制御部70でスーパーインポーズさせたりして、いわゆる仮想現実(AR:Augmented Reality)画像を投影させることもできる。
【0023】
レンズ60は、コリメートレンズと対物レンズの複合レンズであり、レーザモジュール100から出射されたレーザ光76を発散光から僅かに収束する収束光に変換する。レンズ60は、レーザモジュール100に一体となって組み付けられていてもよいし、レーザモジュール100とは別部品となっていてもよい。
【0024】
ミラー62は、レンズ60を通過したレーザ光76を走査ミラー64に向かって反射させる。走査ミラー64は、レーザ光76を2次元方向に走査して、ユーザの網膜82に画像を投影するための投影光とする。走査ミラー64は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーであり、水平方向及び垂直方向の2次元方向にレーザ光76を走査する。なお、実施例1では、走査光学部材として走査ミラー64の場合を例に説明するが、走査光学部材はレーザ光を走査可能であれば、例えば電気光学材料であるタンタル酸ニオブ酸リチウム(KTN)結晶など、その他のスキャナーであってもよい。
【0025】
走査ミラー64で走査されたレーザ光76は、メガネのレンズ74のユーザの眼球80側の面に設けられた投影ミラー66に入射する。投影ミラー66は、走査ミラー64で走査されたレーザ光76をユーザの網膜82に投射することにより、網膜82に画像を投影する。ユーザは網膜82に投射されたレーザ光76の残像効果によって画像を認識する。メガネの1対のつる72それぞれにレーザモジュール100などが設けられていることから、ユーザは両目で画像を認識することができる。
【0026】
投影ミラー66は、走査ミラー64で走査されたレーザ光76の収束位置が瞳孔84近傍となるように設計されている。投影ミラー66は、メガネのレンズ74と接している必要はなく、レーザ光76が瞳孔84を通って網膜82に照射できる位置にあればよい。また、用途によっては、投影ミラー66のみでレンズ74が設けられていなくてもよい。なお、実施例1では、投影光学部材として投影ミラー66の場合を例に説明するが、投影光学部材はレーザ光を網膜82へ投射可能であればよく、例えば回折格子やレンズであってもよい。投影光学部材としてレンズを用いる場合、集光しないミラーを配置し、このミラーの眼球80側にレンズを配置することで実現でき、また、レーザモジュール100、走査ミラー64などの光学系の配置の仕方により、レンズのみで網膜82にレーザ光を投射する構成をとることも可能である。
【0027】
走査ミラー64で走査されたレーザ光76は、投影ミラー66の手前で集光し、発散光となって投影ミラー66に入射する。これにより、レーザ光76は、投影ミラー66の集光パワーによって角膜88に略平行光で入射し、水晶体86によって網膜82の近傍に集光される。
【0028】
図2(a)は、実施例1に係るレーザモジュールの前面図、図2(b)は、図2(a)をA方向から見た側面図、図2(c)は、図2(a)をB方向から見た側面図である。図2(a)から図2(c)のように、レーザモジュール100は、筐体10と、レーザ素子12a~12cと、ダイクロイックプリズム14a、14bと、ミラー16と、固定部18と、受光素子20a、20bと、を備える。筐体10の幅Wは例えば4mm程度であり、高さHは例えば11mm程度であり、奥行きDは例えば16mm程度である。
【0029】
筐体10は、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの熱伝導率の高い金属で形成されている。筐体10は内側に空間22を有する枠体形状をしている。空間22は、一方の側面42から他方の側面44にかけて筐体10を幅方向に貫通して形成されている。筐体10の前面40には、空間22と外部とを連通し、レーザ素子12a~12cからのレーザ光が合成されて外部に出射される孔24が設けられている。
【0030】
レーザ素子12a~12cは、例えばTO-CANパッケージタイプの半導体レーザダイオードであり、筐体10に設けられた空間22に向かってレーザ光が出射するように筐体10に組み付けられている。レーザ素子12aは、筐体10の背面46に組み付けられていて、例えば赤色レーザ光を発振する。レーザ素子12bは、筐体10の上面48に組み付けられていて、例えば緑色レーザ光を発振する。レーザ素子12cは、筐体10の前面40で孔24よりも上側に組み付けられていて、例えば青色レーザ光を発振する。例えば、赤色レーザ光の波長は610nm~660nmであり、緑色レーザ光の波長は515nm~540nmであり、青色レーザ光の波長は440nm~460nmである。
【0031】
ダイクロイックプリズム14a、14bは、レーザ光を透過、反射、及び合成する機能を持つ光学素子であって、空間22内に位置して筐体10に組み付けられている。ダイクロイックプリズム14aには、レーザ素子12aから発振された例えば赤色レーザ光と、レーザ素子12bから発振された例えば緑色レーザ光と、がレンズを介さずに入射する。この時、レーザ素子12aから発振された例えば赤色レーザ光はダイクロイックプリズム14aで透過光と反射光に分光される。また、レーザ素子12bから発振された例えば緑色レーザ光はダイクロイックプリズム14aで透過光と反射光に分光される。ダイクロイックプリズム14aを透過した赤色レーザ光とダイクロイックプリズム14aで反射された緑色レーザ光は合成され、ダイクロイックプリズム14bを略全透過して、外部への出射を可能とする孔24へ放射される。レーザ素子12cから発振された例えば青色レーザ光はミラー16で略全反射し、レンズを介さずにダイクロイックプリズム14bへ入射し、透過光と反射光に分光される。ダイクロイックプリズム14bで反射された青色レーザ光は、ダイクロイックプリズム14aで合成された合成光と合成し、外部への出射を可能とする孔24へ放射される。一方、ダイクロイックプリズム14aを反射した赤色レーザ光と、ダイクロイックプリズム14aを透過した緑色レーザ光は、受光素子20aへ放射される。また、ダイクロイックプリズム14bを透過した青色レーザ光は、受光素子20bへ放射される。
【0032】
ダイクロイックプリズム14aの分光特性は、透過する赤色レーザ光よりも反射する赤色レーザ光の方が高光強度となるように構成され、かつ、反射する緑色レーザ光よりも透過する緑色レーザ光の方が高光強度となるように構成されている。すなわち、ダイクロイックプリズム14aは、レーザ素子12aが発振する赤色レーザ光を透過光と反射光に分光すると共に、透過光の光量を反射光の光量よりも小さくする。例えば、ダイクロイックプリズム14aの赤色レーザ光の分光特性は透過15%、反射85%である。また、ダイクロイックプリズム14aは、レーザ素子12bが発振する緑色レーザ光を透過光と反射光に分光すると共に、反射光の光量を透過光の光量よりも小さくする。例えば、ダイクロイックプリズム14aの緑色レーザ光の分光特性は反射15%、透過85%である。
【0033】
ダイクロイックプリズム14bの分光特性は、反射する青色レーザ光よりも透過する青色レーザ光の方が高光強度となるように構成されている。すなわち、ダイクロイックプリズム14bは、レーザ素子12cが発振する青色レーザ光を透過光と反射光に分光すると共に、反射光の光量を透過光の光量よりも小さくする。例えば、ダイクロイックプリズム14bの青色レーザ光の分光特性は反射15%、透過85%である。
【0034】
なお、レーザ光を透過、反射、及び合成する光学素子としてダイクロイックプリズムの場合を例に説明するが、その他の光学素子、例えば板状のダイクロイックミラーを用いてもよい。
【0035】
このように、ダイクロイックプリズム14a、14bは、外部に出射されるレーザ光の光量が受光素子20a、20bに入射するレーザ光の光量よりも小さくなる分光特性を有する。レーザモジュール100から出射されるレーザ光は、網膜82に照射されることから、光強度が小さいことが好ましい。このため、レーザ素子12a~12cが発振するレーザ光の光強度を小さくすることが考えられるが、光強度の小さいレーザ光の発振には限界(例えば数mW程度)があり、それよりも光強度が小さいレーザ光を安定して発振することは難しい。しかしながら、上記の分光特性を有するダイクロイックプリズム14a、14bを用いることで、レーザ素子12a~12cが発振するレーザ光よりも光量の小さいレーザ光がレーザモジュール100から外部に出射されるため、レーザ素子12a~12cによるレーザ光の安定発振を実現しつつ、外部に出射されるレーザ光の光強度を小さくできる。
【0036】
固定部18は、筐体10の1対の側面42、44それぞれに設けられている。固定部18は、筐体10の一方の側面42から他方の側面44にかけて筐体10を貫通する孔26を有する。レーザモジュール100は、固定部18の孔26にネジなどを通すことで外部部品に固定される。固定部18は、周囲よりも一段高くなって形成されている。すなわち、筐体10の側面42に設けられた固定部18は側面42の固定部18以外の領域よりも一段高く形成され、筐体10の側面44に設けられた固定部18は側面44の固定部18以外の領域よりも一段高く形成されている。これにより、レーザモジュール100を外部部品に固定すると、筐体10のうちの固定部18のみが外部部品に接するようになる。
【0037】
受光素子20a、20bは、例えば半導体フォトダイオードであり、筐体10の外側で筐体10の下面50に組み付けられている。受光素子20aは、ダイクロイックプリズム14aと筐体10を挟んだ位置に組み付けられ、レーザ素子12a及びレーザ素子12bで発振され、ダイクロイックプリズム14aで分光されたレーザ光を受光する。受光素子20bは、ダイクロイックプリズム14bと筐体10を挟んだ位置に組み付けられ、レーザ素子12cで発振され、ダイクロイックプリズム14bで分光されたレーザ光を受光する。受光素子20a、20bが光電変換によって出力する電流(モニタ値)は、制御部70に入力される。制御部70は、受光素子20a、20bのモニタ値に基づいてレーザ素子12a~12cをフィードバック制御する。
【0038】
レーザモジュール100の小型化が進むと、受光素子20a、20bも小型化して受光面積が小さくなる。このため、受光素子20a、20bの検出精度の低下が懸念される。しかしながら、上述したように、ダイクロイックプリズム14a、14bによってレーザ素子12a~12cが発振するレーザ光の半分以上の光量を有するレーザ光が受光素子20a、20bに放射されるため、受光素子20a、20bで検出できるレーザ光の光量が増えて検出精度の低下を抑制できる。
【0039】
図7(a)から図7(d)は、受光素子の平面図である。図7(a)は、受光素子20aの平面図、図7(b)は、受光素子20bの平面図である。図7(a)のように、受光素子20aは、赤色レーザ光の波長帯に感度を有して赤色レーザ光を受光する受光領域90と緑色レーザ光の波長帯に感度を有して緑色レーザ光を受光する受光領域92とを有して構成されている。図7(b)のように、受光素子20bは、青色レーザ光の波長帯に感度を有して青色レーザ光を受光する受光領域94を有して構成されている。このとき、受光領域90~94はレーザ光の放射範囲を規定するものではなく、例えば、図7(a)の一点鎖線のように赤色レーザ光と緑色レーザ光の合成光が所定の範囲に放射される。
【0040】
なお、赤色レーザ光はダイクロイックプリズム14aを全透過し、緑色レーザ光はダイクロイックプリズム14aを全反射して合成され、ダイクロイックプリズム14bで透過光と反射光に分光される構成でもよい。この場合、ダイクロイックプリズム14bの分光特性は、透過する赤色レーザ光と緑色レーザ光の合成光よりも反射する合成光の方が高光強度となるように構成され、青色レーザ光は上記と同様に構成される。この場合、図7(c)のように、受光素子20bは、赤色レーザ光の波長帯に感度を持つ受光領域90と、緑色レーザ光の波長帯に感度を持つ受光領域92と、青色レーザ光の波長帯に感度を持つ受光領域94とを有する構成とし、受光素子20aは不要となる。また、図7(d)のように、受光素子20bは、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光の全ての波長帯に感度を有して全てのレーザ光を受光する受光領域95を有する構成とし、かつ、赤色レーザ光、緑色レーザ光、及び青色レーザ光それぞれを時間的にずらして発光させ、それぞれのレーザ光が発光している時間内のみ受光素子20bでモニタすることで、受光素子20aは不要となる。
【0041】
このように、受光素子は、複数のレーザ素子が発振する複数のレーザ光の波長帯それぞれに感度を有する複数の受光領域を備えていてもよいし、複数のレーザ素子が発振する複数のレーザ光の全ての波長帯に感度を有する1つの受光領域を備えていてもよい。
【0042】
レーザ素子12a~12c、ダイクロイックプリズム14a、14b、ミラー16、受光素子20a、20bは、筐体10の側面42、44の間に位置して筐体10に組み付けられている。
【0043】
図3(a)及び図3(b)は、実施例1に係るレーザモジュールの分解斜視図である。図3(a)では、筐体10及び固定部18を示し、図3(b)では、レーザ素子12a~12c、ダイクロイックプリズム14a、14b、ミラー16、及び受光素子20a、20bを示している。図3(a)及び図3(b)のように、レーザ素子12a~12cの発光点28によって形成される平面を平面30とする。なお、平面30が筐体10やダイクロイックプリズム14a、14bなどと交差する箇所も一点鎖線で示している。筐体10は平面30に対して対称形状をしている。筐体10の前面40、背面46、上面48、及び下面50は平面30に交差している。すなわち、筐体10の前面40、背面46、上面48、及び下面50の中心線は平面30に一致する。筐体10の側面42、44は、平面30の両側に位置していて、例えば平面30に平行な面となっている。筐体10の側面42、44に設けられた固定部18は平面30に対して対称に設けられている。ダイクロイックプリズム14a、14b、ミラー16、及び受光素子20a、20bは、平面30に対して対称形状となって筐体10に組み付けられている。
【0044】
すなわち、固定部18が設けられた側面42、44は、レーザ光の出射方向に平行であって、レーザ素子12a~12cの発光点28は、側面42、44から等距離で、側面42、44との間の中心に位置している。このため、図1のように1対のつる72それぞれの取り付け部78にレーザモジュール100が取り付けられた場合、一方のつる72にレーザモジュール100の一方の側面42が取り付けられ、他方のつる72に他のレーザモジュール100の他方の側面44が取り付けられるようになり、それぞれのレーザモジュール100のレーザ素子12a~12cの発光点28は、それぞれの取り付け部78から等距離となっている。
【0045】
図4は、筐体へのレーザ素子の組み付けを説明する斜視図である。レーザ素子12a~12cを筐体10に組み付ける前に、筐体10にはダイクロイックプリズム14a、14b及びミラー16が組み付けられている。レーザ素子12a~12cは、筐体10に対してX軸方向(筐体10の幅方向)、Y軸方向(筐体10の高さ方向)、及びZ軸方向(筐体10の奥行き方向)に平行移動が可能、且つ、X軸、Y軸、及びZ軸に対して回転移動が可能となっている。レーザ素子12a~12cは、筐体10に組み付ける際、レーザ素子12a~12cで発振したレーザ光が、ダイクロイックプリズム14bの後段に配置されるレンズによって、レーザモジュール100の外部で同じ位置に集光されるように、レーザ素子12a~12cをX軸、Y軸、及びZ軸に平行移動及び回転移動させて光軸及び焦点距離の調整を行い、図示しない接着剤で固定される。受光素子20a、20bは、筐体10の下面50に予め設計位置に固定されていても良いし、レーザ素子12a~12cを調整及び固定した後に、最適な位置に調整及び固定してもよい。受光素子20a、20bを調整及び固定する場合、受光素子20a、20bは、筐体10の下面50に対してX軸方向(筐体10の幅方向)、及びZ軸方向(筐体10の奥行き方向)に平行移動が可能となっており、受光素子はより最適な位置に調整することが可能となる。レーザ素子12a~12cで発振されるレーザ光の光強度は、受光素子20a、20bからの電流信号を受信した実施例1の制御部70によって適切な光強度に制御される。
【0046】
図5は、実施例1に係るレーザモジュールから出射されるレーザ光の焦点を示す図である。図5のように、レーザ素子12a~12cをX軸、Y軸、及びZ軸に平行移動及び回転移動させて光軸合わせを行うことで、レーザ素子12a~12cで発振されたレーザ光は、ダイクロイックプリズム14a、14bによって同軸上に合成され、ダイクロイックプリズム14bの後段に配置されるレンズ60によってレーザモジュール100の外部で同じ位置に集光されて1つの焦点32を形成する。焦点32は、図1において、走査ミラー64の後段且つ投影ミラー66の前段でレーザ光76が集光する点に相当する。
【0047】
実施例1のレーザモジュール100によれば、図2(a)から図3(a)のように、筐体10はレーザ素子12a~12cの発光点28によって形成される平面30に対して対称形状をしている。固定部18は筐体10の側面42、44に平面30に対して対称に設けられている。これにより、レーザモジュール100は、筐体10の側面42、44の両方において固定部18によって同様の光学レイアウトで外部部品に固定されることができる。したがって、レーザモジュール100は、出射されるレーザ光の方向が投影ミラー66の方向のままで、メガネ型の画像投影装置500の1対のつる72のいずれにも固定することができる。また、レーザモジュール100を筐体10の側面42、44のどちらの固定部18で外部部品に固定したとしても、筐体10は平面30に対して対称形状であり且つ固定部18は平面30に対して対称に設けられているため、同様の放熱性を得ることができる。なお、筐体10の対称形状及び固定部18の対称配置は、放熱性の点から完全に対称形状及び完全に対称配置である場合が好ましいが、製造誤差程度の放熱性にほとんど影響を与えない程度に形状や配置が異なる場合でもよい。
【0048】
固定部18は、筐体10の側面42、44のうちの固定部18が設けられた領域以外の領域よりも高くなって設けられている。これにより、レーザモジュール100を固定部18によって外部部品に固定した場合、筐体10の側面42、44のうちの固定部18のみが外部部品に接触することになる。このため、レーザモジュール100を筐体10の側面42、44のどちらの固定部18で外部部品に固定したとても、固定による光学的な歪みを最小限に抑えながら、同様の放熱性が得られ易くなる。
【0049】
図3(b)のように、ダイクロイックプリズム14a、14b、ミラー16、及び受光素子20a、20bは、平面30に対して対称形状となって筐体10に組み付けられている。このように、筐体10に組み付けられる部品も平面30に対して対称形状とすることで、レーザモジュール100を筐体10の側面42、44のどちらの固定部18で外部部品に固定した場合でも、同様の放熱性が得られ易くなる。また、図2(a)から図2(c)のように、レーザ素子12a~12c、ダイクロイックプリズム14a、14b、ミラー16、及び受光素子20a、20bは、筐体10の側面42、44の間に位置して筐体10に組み付けられている。これにより、ダイクロイックプリズム14a、14b、ミラー16、及び受光素子20a、20bを平面30に対して対称形状となるように容易に組み付けることができる。
【0050】
図2(b)及び図2(c)のように、レーザ素子12a~12cは筐体10の内側に設けられた空間22に向かってレーザ光が出射するように筐体10に組み付けられている。ダイクロイックプリズム14a、14bは空間22内に位置して筐体10に組み付けられている。これにより、レーザモジュール100を小型化することができる。レーザモジュール100が小型化することで、図1のメガネ型の画像投影装置500におけるメガネのつる72にレーザモジュール100を取り付け易くなる。
【0051】
また、レーザ素子12a~12cの発光点28によって形成される平面30は、側面42の固定部18までの距離と、側面44の固定部18までの距離と、が等しい。このため、1対のつる72のうちの一方のつるの取り付け部78にレーザモジュール100を構成する筐体10の一方の側面42の固定部18を固定したときと、他方のつるの取り付け部78にレーザモジュール100を構成する筐体10の他方の側面44の固定部18を固定したときとで、レーザ素子12a~12cの発光点28の取り付け部78からの距離が同一になる。したがって、このレーザモジュール100の構成により、レーザモジュール100を、画像投影装置500の1対のつる72の双方に取り付けたときに、熱的にも、光学的にも左右対称に取り付けることができる。これにより、同一のレーザモジュール100を、熱的、光学的な性能に与える影響を最小限にして、右目用、左目用どちらにも取り付けることができるようになる。
【0052】
また、画像投影装置500を、片目用の画像投影装置として、片方のつる72だけにレーザモジュール100を取り付けてもよく、左右いずれのつる72に取り付ける場合においても、同様の固定方法と同様の放熱性を有し、同様の光学レイアウトを可能とすることで、製造コストを低減したレーザモジュール及びこのレーザモジュールを備えた画像投影装置を提供することが可能となる。
【0053】
レーザモジュール100を備えた画像投影装置500において、レーザ素子12a~12cから出射されたレーザ光の焦点位置が互いにずれると色再現性が低下して良質な画像を投影することが難しくなる。しかしながら、実施例1によれば、図5のように、レーザ素子12a~12cから出射されてダイクロイックプリズム14a、14bを経由したレーザ光はレンズ60によって筐体10の外部で同じ位置に集光される。このため、色再現性の低下が抑制されて良質な画像を投影することができる。
【0054】
図5のように、レーザ素子12a~12cから出射されたレーザ光はレンズを介さずにダイクロイックプリズム14a、14bに入射している。このように、レーザ素子12a~12cとダイクロイックプリズム14a、14bとの間にレンズが設けられていないことで、レーザモジュール100を小型化することができる。すなわち、図5に示す構成で、レンズはレンズ60の1つのみであるため、複数のレンズを使用したときの収差や、色再現性の低下が抑制できると同時に、レーザモジュール100の小型化を実現している。
【0055】
図6は、実施例1の変形例1に係るレーザモジュールの分解斜視図である。図6のように、実施例1の変形例1のレーザモジュール110では、筐体10の側面42、44に、レーザ素子12a~12cから出射されるレーザ光の反射を抑制するフィルム34が設けられている。フィルム34は、例えば誘電体材料を蒸着又はスパッタリングで積層したAR(Anti-Reflection)シートや、連続微細多孔質の樹脂を利用した光吸収シートなどで形成されている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0056】
実施例1の変形例1のように、フィルム34が筐体10の側面42、44に設けられていてもよい。これにより、レーザ素子12a~12cから出射されるレーザ光の迷光を抑制することができる。また、外部からの光の入射も抑制できる。筐体10の側面42、44のいずれの固定部18で外部部品に固定した場合でも、放熱性や迷光の抑制が同程度となるように、フィルム34は筐体10の側面42、44に平面30に対して対称形状をして設けられていることが好ましい。
【0057】
実施例1及び実施例1の変形例1のレーザモジュールでは、赤色、緑色、青色のレーザ光を発振するレーザ素子12a~12cを備える場合を例に示したが、その他の波長のレーザ光を発振する3つ以上の複数のレーザ素子を備えている場合でもよい。また、実施例1及び実施例1の変形例1では、レーザモジュールを備えた装置として画像投影装置の場合を例に示したが、その他の装置の場合でもよい。
【0058】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 筐体
12a~12c レーザ素子
14a、14b ダイクロイックプリズム
16 ミラー
18 固定部
20a、20b 受光素子
22 空間
24、26 孔
28 発光点
30 平面
32 焦点
34 フィルム
40 前面
42、44 側面
46 背面
48 上面
50 下面
60 レンズ
62 ミラー
64 走査ミラー
66 投影ミラー
68 画像入力部
70 制御部
72 メガネのつる
74 メガネのレンズ
76 レーザ光
78 取り付け部
80 眼球
82 網膜
84 瞳孔
86 水晶体
88 角膜
90~95 受光領域
100、110 レーザモジュール
500 画像投影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7