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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20220322BHJP
   F24C 3/02 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
F24C3/12 S
F24C3/12 L
F24C3/02 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017197297
(22)【出願日】2017-10-11
(65)【公開番号】P2019070490
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】横山 武司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-061495(JP,A)
【文献】特開2015-055382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の上部に配置される複数のバーナと、
複数の前記バーナの夫々に対応して設けられ、対応する前記バーナへのガスの供給と遮断を行う複数の供給機構と、
前記バーナに供給されたガスに点火する点火機構と、
前記バーナに対応して設けられる操作部に対する操作に応じ、少なくとも、前記供給機構と連動して前記バーナにガスを供給しつつ、前記点火機構と連動してガスに点火する点火動作と、前記供給機構と連動して前記バーナに供給するガスを遮断する消火動作とを行う操作機構と、
発光する発光部及び発音する発音部のうち、少なくとも何れかで報知する報知部と、
前記複数の供給機構、前記点火機構、及び前記報知部の夫々の動作を制御する制御回路と、
前記制御回路を起動するためのスイッチであり、前記操作機構による前記点火動作の過程でオン・オフの状態が一方の状態から他方の状態に変化する第一検出スイッチと、
前記点火機構を作動するためのスイッチであり、前記操作機構による前記点火動作の過程において、前記第一検出スイッチが前記一方の状態から前記他方の状態に変化するよりも後の過程でオン・オフの状態が変化する第二検出スイッチと、
前記操作機構による前記点火動作の過程において、前記第一検出スイッチの状態が前記他方の状態に変化した場合に、前記第二検出スイッチの状態が変化する前に、前記報知部の動作を制御し、前記制御回路の起動を報知する報知動作を行う報知制御部
備えたガスコンロであって、
前記報知制御部は、
前記第一検出スイッチが前記一方の状態から前記他方の状態に変化したことを契機に計時を開始する計時手段を備え、
前記第一検出スイッチが前記他方の状態であっても、前記計時手段が所定時間の経過を計時するまでは、前記報知動作を実施しないこと
を特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
前記操作機構の前記操作部は、
前記バーナへのガスの供給が遮断された状態において付勢力によって維持される位置であり、前記操作部に対する操作を待機しつつ、前記点火動作を開始する起点、及び前記消火動作が終了する終点となる待機位置と、
前記操作部に対する操作によって前記待機位置から移動する位置であり、前記点火動作が終了する終点となる点火位置と、
前記点火位置への移動後に付勢力によって移動する位置であり、前記バーナへのガスの供給が維持される燃焼位置と、
前記操作部に対する操作によって前記燃焼位置から移動する位置であり、前記消火動作を開始する起点となる消火位置と、
の間を順に移動し、且つ前記消火位置への移動後に付勢力によって前記消火位置から前記待機位置に移動し、
前記点火動作は、前記操作部が前記待機位置から前記点火位置に移動する過程で行われ、
前記消火動作は、前記操作部が前記消火位置から前記待機位置に移動する過程で行われること
を特徴とする請求項1に記載のガスコンロ。
【請求項3】
報知制御部は、前記計時手段が前記所定時間の経過を計時し終える前に、前記第二検出スイッチの状態が変化した場合には、前記報知動作を実施すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
バーナの点火時と消火時に、操作部の操作を行うガスコンロが知られている。例えば特許文献1に記載のガスコンロ装置には、点消火ボタンの押込動作に応じて2つの接点をオン・オフするマイクロスイッチが設けられる。そのうちの第1接点は、点火時に、点消火ボタンが消火位置からその奥側の点火位置まで押し込まれる途中でオンになる。第1接点がオンになると、ガスコンロ装置は制御部に通電し、電磁安全弁の保持電流を供給する。点消火ボタンは、点火位置で手を離すと消火位置よりも手前側の燃焼位置に突出する。第1接点は、消火時に、点消火ボタンが燃焼位置から奥側に押し込まれ、消火位置に戻るとオフになる。第1接点がオフになると、ガスコンロ装置は電磁安全弁への保持電流の供給を停止し、制御部への通電を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-61495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスコンロは、通電によって制御部が駆動すると、火力を表示するLEDや、操作パネルの液晶ディスプレイ等が点灯される。例えば点消火ボタンが不用意に押し込まれたとき、押し込みが浅く点火動作に至らなかったとしても、特許文献1では、バーナが点火していない状態であるにもかかわらずLEDや液晶ディスプレイが点灯状態となるので、ユーザが戸惑う可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、操作部が不用意に操作されてもユーザが戸惑うことがないガスコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明のガスコンロは、筐体の上部に配置される複数のバーナと、複数の前記バーナの夫々に対応して設けられ、対応する前記バーナへのガスの供給と遮断を行う複数の供給機構と、前記バーナに供給されたガスに点火する点火機構と、前記バーナに対応して設けられる操作部に対する操作に応じ、少なくとも、前記供給機構と連動して前記バーナにガスを供給しつつ、前記点火機構と連動してガスに点火する点火動作と、前記供給機構と連動して前記バーナに供給するガスを遮断する消火動作とを行う操作機構と、発光する発光部及び発音する発音部のうち、少なくとも何れかで報知する報知部と、前記複数の供給機構、前記点火機構、及び前記報知部の夫々の動作を制御する制御回路と、前記制御回路を起動するためのスイッチであり、前記操作機構による前記点火動作の過程でオン・オフの状態が一方の状態から他方の状態に変化する第一検出スイッチと、前記点火機構を作動するためのスイッチであり、前記操作機構による前記点火動作の過程において、前記第一検出スイッチが前記一方の状態から前記他方の状態に変化するよりも後の過程でオン・オフの状態が変化する第二検出スイッチと、前記操作機構による前記点火動作の過程において、前記第一検出スイッチの状態が前記他方の状態に変化した場合に、前記第二検出スイッチの状態が変化する前に、前記報知部の動作を制御し、前記制御回路の起動を報知する報知動作を行う報知制御部とを備えたガスコンロであって、前記報知制御部は、前記第一検出スイッチが前記一方の状態から前記他方の状態に変化したことを契機に計時を開始する計時手段を備え、前記第一検出スイッチが前記他方の状態であっても、前記計時手段が所定時間の経過を計時するまでは、前記報知動作を実施しないこと
を特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明のガスコンロは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記操作機構の前記操作部は、前記バーナへのガスの供給が遮断された状態において付勢力によって維持される位置であり、前記操作部に対する操作を待機しつつ、前記点火動作を開始する起点、及び前記消火動作が終了する終点となる待機位置と、前記操作部に対する操作によって前記待機位置から移動する位置であり、前記点火動作が終了する終点となる点火位置と、前記点火位置への移動後に付勢力によって移動する位置であり、前記バーナへのガスの供給が維持される燃焼位置と、前記操作部に対する操作によって前記燃焼位置から移動する位置であり、前記消火動作を開始する起点となる消火位置と、の間を順に移動し、且つ前記消火位置への移動後に付勢力によって前記消火位置から前記待機位置に移動し、前記点火動作は、前記操作部が前記待機位置から前記点火位置に移動する過程で行われ、前記消火動作は、前記操作部が前記消火位置から前記待機位置に移動する過程で行われることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明のガスコンロは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、報知制御部は、前記計時手段が前記所定時間の経過を計時し終える前に、前記第二検出スイッチの状態が変化した場合には、前記報知動作を実施すること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明のガスコンロによれば、報知制御部は、操作機構による点火動作の過程において、第一検出スイッチの状態が他方の状態に変化した場合に、第二検出スイッチの状態が変化する前に、報知部の動作を制御し、制御回路の起動を報知する報知動作を行うことを前提とするが、第一検出スイッチが一方の状態から他方の状態に変化してから所定時間が経過するまで、報知動作を実施しない。よって、所定時間が経過する前に第一検出スイッチが一方の状態に戻れば、報知制御部は報知動作を実施することがない。操作部が不用意に操作された場合でも、すぐに点火動作が中断されることによって、第二検出スイッチの状態が変化する前に第一検出スイッチが一方の状態に戻れば、バーナが点火しない状態であるにもかかわらず発光部が発光したり発音部が発音したりすることがなく、ユーザが戸惑うことはない。
【0010】
請求項2に係る発明のガスコンロによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、操作部が不用意に操作された場合、操作部に対する操作は、操作部が待機位置から点火位置に移動する前に解除される。この場合、点火動作が中断され、操作部は付勢力により待機位置に戻る。即ち、操作部が不用意に操作された場合であれば、第一検出スイッチが一方の状態から他方の状態に変化しても、直ぐに一方の状態に戻る。特に、ユーザに点火の意図がない場合に、操作部が不用意に操作されてしまっても発光部が発光したり発音部が発音したりすることがないので、ユーザが戸惑うことはない。
【0011】
請求項3に係る発明のガスコンロによれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、点火動作は、第二検出スイッチの状態が変化する頃に完了する。ユーザが点火の意図をもって操作部を操作する場合において、点火動作が完了しているのに報知動作が行われないと、ユーザは戸惑う可能性がある。請求項3に係る発明のガスコンロによれば、第二検出スイッチの状態が変化する過程まで点火動作が継続した場合、報知制御部は、所定時間の経過を待たずに報知動作を実施することができる。即ち報知制御部は、所定時間の経過前であっても、点火動作が完了したのであれば直ちに報知動作を行うことができるので、ユーザが戸惑うことはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ガスコンロ1の斜視図である。
図2】燃料供給装置20の斜視図である。
図3】パネル装置9Bの分解斜視図である。
図4】ガスコンロ1の電気的構成を示すブロック図である。
図5】点火動作と消火動作について説明するためのタイミングチャートである。
図6】点火報知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0014】
図1を参照し、ガスコンロ1について説明する。ガスコンロ1は、ビルトインコンロである。ガスコンロ1は筐体2と天板3を備える。筐体2は上部が開口し、開口部分に天板3が設置される。天板3において、右手前には右バーナ4、左手前には左バーナ5、中央奥側には奥バーナ6が設けられる。右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6の夫々の側面には多数の炎孔が設けられる。右バーナ4の炎孔の近傍には、イグナイタ4Aの点火電極と熱電対4B(図4参照)が炎孔に臨むようにして設置される。左バーナ5の炎孔の近傍には、イグナイタ5Aの点火電極と熱電対5B(図4参照)が炎孔に臨むようにして設置される。奥バーナ6の炎孔の近傍には、イグナイタ6Aの点火電極と熱電対6B(図4参照)が炎孔に臨むようにして設置される。イグナイタ4A、5A、6Aは、駆動することにより点火電極においてスパーク放電を発生し、炎孔から噴出されるガスに点火する。熱電対4B、5B、6Bは、炎孔に形成される火炎により加熱されて熱起電力を発生する。故にガスコンロ1は、熱電対4B、5B、6Bに発生する熱起電力に基づき、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6における失火を検出できる。
【0015】
天板3の後方部には、筐体2内に設置されたグリル装置(図示略)の排気口7が設けられる。ガスコンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、グリル装置に設けられるグリル庫(図示略)の前側開口部分を開閉する。グリル扉8の右側の領域には、右バーナ4とグリル装置の火力表示を行うパネル装置9Aが設けられる。グリル扉8の左側の領域には、左バーナ5と奥バーナ6の火力表示を行うパネル装置9Bが設けられる。パネル装置9A、9Bは、下側部分に操作パネル114(図4参照)を収容し、上側部分には化粧パネル80が設けられる。化粧パネル80の夫々には、2つの円形の開口部86が左右に並んで形成される。パネル装置9Aの2つの開口部86内には、夫々、正面視円形状の2つの操作つまみ11、12が配置される。パネル装置9Bの2つの開口部86内には、夫々、操作つまみ11、12と略同一形状の2つの操作つまみ13、14が配置される。操作つまみ11~14の夫々は、右バーナ4、グリル庫内のグリルバーナ(図示略)、奥バーナ6、左バーナ5の点火、消火及び火力調節を行う為に操作される。操作つまみ11~14は、夫々、後述する燃料供給装置20(図2参照)の前端部に取り付けられる。
【0016】
各々の開口部86の上側外周部分には、複数の透光部81が設けられる。複数の透光部81は、化粧パネル80の後側に設けられる複数のLED61(図4参照)の夫々に対応して設けられる。透光部81は、LED61から出射されるLED光を、化粧パネル80の前面Fから前方へ出射する。パネル装置9A、9Bは、操作つまみ11、13、14の回転位置に対応する位置のLED光を透過し、他の位置のLED光を、後述する火力表示部材70(図2参照)で遮蔽することによって火力表示を行う。なお、グリル装置の燃料供給装置は、操作つまみ12の回転位置に応じてオン・オフが切り替わる複数のスイッチ(図示略)を備える。グリルバーナの火力は、複数のスイッチのオン・オフの状態に応じて開閉状態が切り替わる複数の電磁弁119によって調節される。よって、グリル装置の火力表示は、複数のスイッチのオン・オフの状態に合わせ、パネル装置9Aに設けたLED61の点灯・消灯の状態を段階的に切り替えることによって行われる。操作つまみ12の開口部86の上側に設けられた複数の透光部82と、夫々に対応するLED61は、グリルバーナの火力が視覚的に分かりやすくなるように、マトリクス状に配列されている。
【0017】
図2図3を参照し、燃料供給装置20について説明する。ガスコンロ1は、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6、及びグリル装置にガスを供給する4つの燃料供給装置を備える。そのうち、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置20は公知のプッシュ・プッシュ機構24を備えた同一構成の装置である。また、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置(図示略)は、燃料供給装置20と同様のプッシュ・プッシュ機構を備えるが、ガス流量の調節を電磁弁119(図4参照)によって行うため、流量調節部(図示略)を別体に設ける。以下では、左バーナ5にガスを供給する燃料供給装置20を一例として説明し、右バーナ4、奥バーナ6、グリル装置にガスを供給する燃料供給装置については説明を省略する。なお、右バーナ4にガスを供給する燃料供給装置と、奥バーナ6にガスを供給する燃料供給装置は、燃料供給装置20と同一構成であるので、便宜上、同一の符号を付して燃料供給装置20と呼ぶ。
【0018】
図2に示すように、燃料供給装置20は、操作つまみ14の押込操作と回動操作により、左バーナ5の点火と消火、及び左バーナ5に供給するガス量の調節を行う装置である。押込操作は、操作つまみ14の前面を後方へ押圧し、ガスコンロ1の筐体2の前面F(パネル装置9Bの前面)よりも奥側に押し込む操作である。回動操作は、操作つまみ14の側面を把持し、前後方向の軸(軸心AX)を中心に回転する操作である。燃料供給装置20は、点火消火部21、ガス流路部22、火力調節カム26、流量調節部31等を備える。
【0019】
点火消火部21は操作つまみ14、プッシュ・プッシュ機構24、連結部材25を備える。連結部材25は後述する。操作つまみ14は略円柱状に形成される。操作つまみ14は、ガスコンロ1の後方へ向けて押し込む押込操作が行われる度に、待機位置から点火位置を経て燃焼位置に移動する動作と、燃焼位置から消火位置を経て待機位置に移動する動作とを交互に行う。図3(A)に示すように、待機位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fとほぼ面一となる位置である。操作つまみ14はバネの付勢力で待機位置に維持される。待機位置において、操作つまみ14の先端面は、筐体2の前面Fよりも僅かに後側に位置してもよいし、僅かに前側に位置してもよい。なお、図2に示す燃料供給装置20は、操作つまみ14が待機位置に位置する。
【0020】
図3(B)に示すように、点火位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、点火位置において待機位置よりも後方に位置する。図3(C)に示すように、燃焼位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fに対して突出する位置である。点火位置に押し込まれた後、操作つまみ14はバネの付勢力で点火位置から燃焼位置に移動する。操作つまみ14は、燃焼位置において待機位置よりも前方に位置する。燃焼位置にあるとき、操作つまみ14は、前後方向に沿う軸心AXを中心に回転可能(回動操作可能)である。図3(D)に示すように、消火位置は、操作つまみ14の先端面が、筐体2の前面Fよりも後方に押し込まれた位置である。操作つまみ14は、消火位置において、待機位置よりも後方且つ点火位置よりも前方に位置する。消火位置に押し込まれた後、操作つまみ14はバネの付勢力で消火位置から待機位置に移動する。
【0021】
図2に示すように、プッシュ・プッシュ機構24は、操作つまみ14を待機位置、点火位置、燃焼位置、消火位置の各位置において位置決めし、各位置に応じて後述するメイン弁(図示略)と安全弁48(図6参照)を開閉する。プッシュ・プッシュ機構24の内部には、スライダ(図示略)と弁開閉部材(図示略)が設けられる。
【0022】
スライダには公知のカム機構(図示略)が設けられ、バネ(図示略)によって前方に付勢される。操作つまみ14が押込操作される度に、スライダは、カム機構によって、操作つまみ14を待機位置から点火位置を経て燃焼位置に移動する動作と、燃焼位置から消火位置を経て待機位置に移動する動作とを繰り返す。弁開閉部材はバネ(図示略)によって前方に付勢され、スライダと連動して動作する。弁開閉部材は、操作つまみ14が押込操作によって待機位置から点火位置に移動する過程でメイン弁と安全弁48を開放し、且つメイン弁を開放状態に維持する。弁開閉部材は、操作つまみ14が押込操作によって消火位置から待機位置に移動する過程でメイン弁の開放状態を解除する。
【0023】
プッシュ・プッシュ機構24は、右側面にイグナイタスイッチ15(図2参照)を備え、左側面に基板スイッチ16(図3参照)を備える。イグナイタスイッチ15と基板スイッチ16はレバースイッチであり、スライダから右側方と左側方に夫々突出する駆動片41A(図2参照)と駆動片41B(図3参照)により、オン又はオフの状態に操作される。
【0024】
ガス流路部22は、プッシュ・プッシュ機構24の後側に連結される。ガス流路部22の内部には第一ガス通路(図示略)が形成される。第一ガス通路は、下部に開口する導入口23に接続するガス供給管(図示略)から供給されるガスを、流量調節部31に流通する。第一ガス通路にはメイン弁と安全弁48が設けられる。上記したように、メイン弁は、弁開閉部材の押圧によって第一ガス通路を開放し、且つ開放状態に維持する。メイン弁は、バネ(図示略)によって第一ガス通路を閉じる閉状態に弾性付勢される。故にメイン弁は、弁開閉部材の押圧が解除されると、バネに付勢されて第一ガス通路を閉鎖し、且つ閉鎖状態に維持する。
【0025】
安全弁48は、バネ(図示略)によって第一ガス通路を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式の弁である。安全弁48は、弁開閉部材によってメイン弁とともに押圧されると、第一ガス通路を開放する。安全弁48は開放時に、ガスコンロ1の制御回路100に搭載されるCPU101(図4参照)によって駆動され、開放状態に維持される。なお、CPU101は、メイン弁の閉鎖によって左バーナ5が消火すると、安全弁48の駆動を停止し、開放状態を解除する。この場合、安全弁48は、バネによって第一ガス通路を閉鎖する。
【0026】
流量調節部31はプッシュ・プッシュ機構24とガス流路部22の上部に設けられる。流量調節部31の内部には第二ガス通路(図示略)が形成される。第二ガス通路は、ガス流路部22から供給されるガスを流通し、上部に開口する流出口32に接続されるガス供給管(図示略)を介して左バーナ5に供給する。流量調節部31の前端部には第二ガス通路に連通する穴部30が形成され、ニードル弁28が挿入される。ニードル弁28は、前端部側が穴部30から外部に露出され、後端部側が第二ガス通路内において前後方向に移動可能に配置される。ニードル弁28の前端部には、上下方向に延びるピン29が設けられる。ピン29の下端部は、火力調節カム26のカム溝27(後述)に係合する。
【0027】
火力調節カム26は略半円筒状に形成され、プッシュ・プッシュ機構24の前端側上部を覆うようにして、軸心AXの回りを回転可能に設けられる。火力調節カム26は、前後方向への移動が規制される。火力調節カム26の外周部には、カム溝27が設けられる。カム溝27は、軸心AXを中心とする螺旋状に形成される。カム溝27にはニードル弁28に設けられたピン29の下端部が係合する。火力調節カム26が回転すると、カム溝27がピン29を案内し、ニードル弁28を前後方向に移動する。
【0028】
火力調節カム26は前方に延びる延伸部(図示略)を備え、延伸部の前端部分に内向きに突出する歯部(図示略)を有する。歯部は操作つまみ14が燃焼位置(図3(C)参照)にあるときに連結部材25の歯部38に噛合する。連結部材25は、プッシュ・プッシュ機構24のスライダから前方に延び、軸心AXを軸とする軸体(図示略)に係合する。連結部材25は軸体の前端部に保持され、軸心AXを中心に軸体の周囲を回転可能な状態で、スライダと共に前後方向へ移動可能に設けられる。操作つまみ14は連結部材25の先端部に保持され、連結部材25と共に前後方向へ移動可能、且つ軸心AXを中心に回転可能に設けられる。連結部材25の歯部38は、後端部の外周面に設けられる。操作つまみ14が燃焼位置にあるとき、連結部材25の歯部38は火力調節カム26の歯部と噛合し、操作つまみ14と火力調節カム26を連結する。操作つまみ14が燃焼位置にない場合には、火力調節カム26の歯部は連結部材25の歯部38の前方に位置して噛合せず、操作つまみ14と火力調節カム26の連結状態を解除する。
【0029】
火力調節カム26の延伸部の外周面には、略半円筒状のLED操作部材36が固定される。LED操作部材36は、前方に延びる係合片37を有する。係合片37は火力表示部材70に係合する。火力調節カム26は、LED操作部材36を介し、軸心AXを中心に火力表示部材70を回転する。
【0030】
火力表示部材70は、本体部71とフランジ部76を備える。本体部71は前後方向に延びる円筒形状を呈する。本体部71の内径は、操作つまみ14の外径より大きい。本体部71は周方向の3ヶ所に、2つのフック75と1つの係合部74を有する。2つのフック75は、筐体2のパネル装置9B内で本体部71を配置する貫通穴(図示略)に掛け留められ、火力表示部材70を化粧パネル80の後側で軸心AXを中心に回転可能に保持する。係合部74は、LED操作部材36の係合片37に係合する。フランジ部76は、本体部71の前端部分において径方向外向きに突出し、周方向に一周する鍔状に形成される。フランジ部76は、パネル装置9B内でLED61と化粧パネル80の透光部81との間に配置される。フランジ部76は、切り欠き状の光通過部77を有する。火力表示部材70は、光通過部77に対応する位置のLED光を通過させ、他のLED光をフランジ部76で遮蔽する。ガスコンロ1は、操作つまみ14と共に火力表示部材70を回転し、ガスの流量に応じた位置のLED光が光通過部77を介して透光部81から出射されることによって、火力表示を行う。
【0031】
次に、ガスコンロ1の電気的な構成について説明する。ガスコンロ1は、制御回路100を備える。制御回路100は、CPU101、ROM102、RAM103、タイマ104に加え、図示しない、I/Oインタフェイス等を備える。CPU101はガスコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM102は、点火報知処理(図6参照)を含む、ガスコンロ1の各種プログラムを記憶する。RAM103は、各種情報を一時的に記憶する。タイマ104はプログラムで作動するものであり、後述する点火報知処理においては待機時間を計時する。
【0032】
制御回路100には、電源回路120、スイッチ入力回路111、熱電対入力回路112、操作パネル114、LEDドライバ回路115、安全弁回路116、電磁弁回路117、イグナイタ回路118、音声出力回路122等が各々接続される。電源回路120は、電源125から供給される交流(例えば100V)を直流(例えば5V)に降圧して整流し、各種回路に電力を供給する。なお、図中において、電源は「AC」と表す。スイッチ入力回路111は、燃料供給装置20のイグナイタスイッチ15と基板スイッチ16のオン・オフの状態を検出し、電源回路120と制御回路100に入力する。なお、制御回路100は、いずれかの燃料供給装置20の基板スイッチ16がオンの状態になると作動し、全ての燃料供給装置20の基板スイッチ16がオフの状態になると動作を停止する。熱電対入力回路112は、熱電対4B、5B、6Bからの検出値(熱起電力に対応する信号)を制御回路100に入力する。操作パネル114は、使用者によるタイマ設定、調理内容に応じた火力制御の選択等の入力、CPU101の制御内容に応じたLEDの点灯及び消灯等に用いられる。
【0033】
LEDドライバ回路115は、パネル装置9A、9Bの表示基板60に搭載する複数のLED61の点灯及び消灯を制御する。安全弁回路116は、CPU101の制御に基づき、燃料供給装置20の安全弁48を開閉する。電磁弁回路117は、CPU101の制御に基づき、グリル装置の流量調節部(図示略)に設けられる複数の電磁弁119を開閉する。イグナイタ回路118は、イグナイタスイッチ15の状態に応じてCPU101が出力する制御信号に基づき、イグナイタ4A、5A、6Aを各々駆動する。音声出力回路122は、筐体2内に設けられるスピーカ121から音声の出力を制御する。後述する点火報知処理では、点火時には起動音「ピッ」がスピーカ121から発音され、消火時には消火音「ピピピピピ」がスピーカ121から発音される。また、CPU101が実行する他の処理では、例えば音声による操作案内等がスピーカ121から発音される。
【0034】
次に、図5に示すタイミングチャートに基づいて、操作つまみ14の押込操作に基づく点火動作及び消火動作について説明する。T0時、操作つまみ14は待機位置にある。基板スイッチ16とイグナイタスイッチ15はオフ状態であり、左バーナ5は消火状態である。T1時、左バーナ5を点火するため、ユーザは操作つまみ14に対する押込操作を開始する。押込操作に伴い、プッシュ・プッシュ機構24のスライダと弁開閉部材が後方へ向けて移動を開始し、点火動作を開始する。ガスコンロ1は、操作つまみ14が待機位置から点火位置に移動する過程で左バーナ5にガスを供給し、且つガスに点火する点火動作を行う。即ち待機位置は点火動作を開始する起点であり、点火位置は点火動作を終了する終点である。安全弁48とメイン弁は弁開閉部材によって開放する。
【0035】
T2時、弁開閉部材の駆動片41Bが基板スイッチ16に接触し、基板スイッチ16をオン状態にする。制御回路100に電力が供給されて、CPU101が駆動する。CPU101は安全弁回路116に制御信号を送信し、安全弁48を開放状態に維持する。CPU101は、操作パネル114を駆動し、バックライトを点灯させて調理内容を選択する表示を行う。なお、操作パネル114は、後述する点火報知処理(図6参照)の実行によって、待機時間の経過後に駆動する。CPU101は、LEDドライバ回路115に制御信号を送信し、LED61を発光(点灯)させる。なお、LED61は、点火報知処理の実行によって、待機時間の経過後に点灯する。CPU101は、音声出力回路122に制御信号を送信し、スピーカ121から起動音を発音させる。なお、スピーカ121は、点火報知処理の実行によって、待機時間の経過後に発音する。
【0036】
T3時、弁開閉部材の駆動片41Aがイグナイタスイッチ15に接触し、イグナイタスイッチ15をオン状態にする。CPU101は、イグナイタ回路118に制御信号を送信し、イグナイタ5Aを駆動する。なお、CPU101は、イグナイタスイッチ15がオン状態になったら、イグナイタ5Aを所定時間駆動する。所定時間経過後、熱電対入力回路112から入力される熱電対5Bの検出値に基づき、左バーナ5に着火していなければ、安全弁回路116への制御信号の送信が停止され、安全弁48が閉鎖される。
【0037】
T4時、操作つまみ14は点火位置に到達し、点火動作が終了する。T5時に、ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14はスライダのバネの付勢力により、点火位置から燃焼位置へ向けて移動し始める。また、弁開閉部材も、バネと、メイン弁のバネの付勢力により、前方へ移動し始める。イグナイタスイッチ15はT6時にオフ状態になるが、オン状態となったときから所定時間が経過するまで、イグナイタ5Aは駆動する。
【0038】
T7時に、弁開閉部材は開弁維持位置に到達し、前方への移動が停止される。弁開閉部材は、開弁維持位置においてメイン弁を開放状態に維持し、且つ基板スイッチ16をオンの状態に維持する。スライダは、T7時以降も前方へ移動し続け、T8時に燃焼位置に到達すると、移動を停止する。燃焼位置に到達する直前に、連結部材25の歯部38と火力調節カム26の歯部が噛合することで、操作つまみ14は火力調節カム26に連結する。
【0039】
操作つまみ14が燃焼位置にある状態で操作つまみ14が回動操作されると、火力調節カム26は操作つまみ14と共に軸心AXの回りを回転する。火力調節カム26が回転すると、ニードル弁28のピン29がカム溝27に案内されて、前後方向に移動する。これにより、ニードル弁28が前後方向に移動するので、ニードル弁28の位置に応じて第二ガス通路を流通するガスの流量が調節され、左バーナ5の火力が変更される。また、操作つまみ14の回動操作によって火力表示部材70も回動し、火力に応じた位置のLED光がフランジ部76の光通過部77を通過して、化粧パネル80の透光部81から出射され、火力が表示される。
【0040】
T9時、左バーナ5を消火するため、ユーザは操作つまみ14に対する押込操作を開始する。押込操作に伴い、プッシュ・プッシュ機構24のスライダが後方へ向けて移動を開始する。連結部材25の歯部38と火力調節カム26の歯部の噛合状態が解除され、操作つまみ14は火力調節カム26との連結を解除する。
【0041】
T10時、スライダは弁開閉部材に当接し、弁開閉部材を後方へ押圧する。スライダと弁開閉部材は、押込操作により、後方へ移動する。T11時に、操作つまみ14は消火位置に到達する。そしてT12時に、ユーザが操作つまみ14から手を離すと、操作つまみ14はスライダのバネと、弁開閉部材のバネと、メイン弁のバネの付勢力により、点火位置から待機位置へ向けて移動し始める。また、弁開閉部材も、バネと、メイン弁のバネの付勢力により、前方へ移動し始め、消火動作が開始される。ガスコンロ1は、操作つまみ14が消火位置から待機位置に移動する過程で左バーナ5に供給するガスを遮断する消火動作を行う。即ち消火位置は消火動作を開始する起点であり、待機位置は消火動作を終了する終点である。
【0042】
T13時、基板スイッチ16がオフ状態になる。CPU101は、安全弁回路116への制御信号の送信を停止し、安全弁48の電磁操作を解除する。バネの付勢力によって安全弁48が閉鎖されるので、ガスの供給が絶たれた左バーナ5は消火する。T14時、操作つまみ14が待機位置に到達し、消火動作が終了する。弁開閉部材もスライダと共に移動範囲の前端に位置するので、メイン弁は閉鎖状態となる。
【0043】
ところで、操作つまみ14に対する押込操作によって基板スイッチ16がオン状態になると、操作パネル114が表示され、LED61が点灯し、スピーカ121から起動音が発音される。押込操作がユーザの意図しない不用意な操作に基づくものであった場合、LED61が点灯やスピーカ121の発音等は、左バーナ5の点火がなされなくとも生じてしまう。故にガスコンロ1は、制御回路100のCPU101が点火報知処理を行うことによって、操作パネル114の表示、LED61の点灯、スピーカ121の発音を基板スイッチ16がオンになった時から所定の待機時間が経過するまで待機させる。そして、待機中に基板スイッチ16がオフになれば、操作パネル114の表示、LED61の点灯、スピーカ121の発音を行わない。
【0044】
以下、図6を参照し、点火報知処理について説明する。ユーザが待機位置にある操作つまみ14に対して押込操作を行い、左バーナ5への点火を行うと、基板スイッチ16がオンの状態になり、制御回路100に電力が供給されて、CPU101が駆動する。CPU101は、基板スイッチ16がオンの状態になることを契機に、その他の制御処理と並行して点火報知処理の実行を開始する。CPU101はタイマ104を駆動し、待機時間の計時を開始する(S1)。待機時間は、例えば500msであり、不用意な操作に基づく押込操作が行われても、その押込操作が解除されるのに十分な時間が設定されている。
【0045】
CPU101は、待機時間の計時中に、基板スイッチ16のオン・オフ状態と、イグナイタスイッチ15のオン・オフ状態と、待機時間の経過の有無を判断する。基板スイッチ16がオンであり(S2:NO)、イグナイタスイッチ15がオフであり(S3:NO)、待機時間が経過前であれば(S5:NO)、CPU101は処理をS2に戻して判断を繰り返す。
【0046】
待機中に基板スイッチ16がオフになった場合(S2:YES)、CPU101は点火報知処理を終了する。制御回路100への電力の供給は、遮断される。ガスコンロ1は、操作パネル114の表示、LED61の点灯、スピーカ121の発音を行わない。
【0047】
待機中にイグナイタスイッチ15がオンになった場合(S3:YES)、操作つまみ14に対する押込操作は、不用意な操作によるものではなく、左バーナ5の点火を意図したものであると見做すことができる。故にCPU101は、処理をS6に進める。また、基板スイッチ16がオンでイグナイタスイッチ15がオフの状態のままで待機時間が経過した場合(S5:YES)、操作つまみ14に対する押込操作は、単に操作つまみ14に触れただけですぐに押し込みが解消されるようなものではなく、左バーナ5の点火を意図したものであり、押込操作がなされている途中であると見做すことができる。故にCPU101は、処理をS6に進める。
【0048】
CPU101は、操作パネル114の表示とLED61の点灯を行う(S6)。また、CPU101は、スピーカ121から起動音を発音させる(S7)。CPU101は、基板スイッチ16のオン・オフ状態と、イグナイタスイッチ15のオン・オフ状態を判断する。基板スイッチ16がオンであり(S8:NO)、イグナイタスイッチ15がオフであれば(S10:NO)、CPU101は処理をS8に戻して判断を繰り返す。
【0049】
基板スイッチ16がオフになった場合(S8:YES)、左バーナ5の点火が行われなかったものの、操作パネル114は表示を行い、LED61は点灯した状態にある。故にCPU101は、処理をS15に移行して操作パネル114を非表示にし、LEDを消灯したら(S15)、点火報知処理を終了する。制御回路100への電力の供給は、遮断される。
【0050】
また、イグナイタスイッチ15がオンになった場合(S10:YES)、CPU101はイグナイタ5Aを作動する(S11)。点火動作においてイグナイタスイッチ15がオンになる前には安全弁48とメイン弁が開放されているので、左バーナ5にはガスが供給されている。イグナイタ回路118はイグナイタ5Aを所定時間駆動し、左バーナ5に点火する。
【0051】
左バーナ5の点火後、CPU101は、基板スイッチ16がオフになるまで待機する(S12:NO)。消火動作が行われ、基板スイッチ16がオフになると(S12:YES)、CPU101はスピーカ121から消火音を発音させる(S13)。CPU101は、操作パネル114を非表示にし、LEDを消灯したら(S15)、点火報知処理を終了する。制御回路100への電力の供給は、遮断される。なお、上記説明した点火報知処理は左バーナ5の点火動作及び消火動作に対する処理であるが、右バーナ4、奥バーナ6、コンロバーナの点火動作及び消火動作に対する処理においても同様の点火報知処理が実行される。
【0052】
以上説明したように、制御回路100のCPU101は、操作パネル114の表示、LED61の点灯、及びスピーカ121の発音の少なくとも一つにより、ガスコンロ1の作動状態を報知する報知動作を行う。報知動作は、基板スイッチ16の状態がオン状態である場合に行われる。基板スイッチ16の状態は、操作機構による点火動作の過程で、オフ状態からオン状態に変化する。例えばユーザが点火の意図なく操作つまみ14に触れる等、操作つまみ14が不用意に操作された場合、点火動作が開始されるので、基板スイッチ16の状態が変化することがある。CPU101は、基板スイッチ16がオフ状態からオン状態に変化してから所定の待機時間が経過するまで、報知動作を実施しない。よって、待機時間が経過する前に基板スイッチ16がオフ状態に戻れば、CPU101は報知動作を実施することがない。操作つまみ14が不用意に操作された場合でも、すぐに点火動作が中断されることによって基板スイッチ16がオフ状態に戻れば、左バーナ5が点火しない状態であるにもかかわらず操作パネル114が表示されたり、LED61が点灯したり、スピーカ121から起動音が発音したりすることがなく、ユーザが戸惑うことはない。
【0053】
操作つまみ14が不用意に操作された場合、操作つまみ14に対する操作は、操作つまみ14が待機位置から点火位置に移動する前に解除される。この場合、点火動作が中断され、操作つまみ14はバネの付勢力により待機位置に戻る。即ち、操作つまみ14が不用意に操作された場合であれば、基板スイッチ16がオフ状態からオン状態に変化しても、直ぐにオフ状態に戻る。特に、ユーザに点火の意図がない場合に、操作つまみ14が不用意に操作されてしまっても操作パネル114が表示されたり、LED61が点灯したり、スピーカ121から起動音が発音したりすることがないので、ユーザが戸惑うことはない。
【0054】
点火動作は、イグナイタスイッチ15の状態が変化する頃に完了する。ユーザが点火の意図をもって操作つまみ14を操作する場合において、点火動作が完了しているのに報知動作が行われないと、ユーザは戸惑う可能性がある。本実施形態では、イグナイタスイッチ15の状態が変化する過程まで点火動作が継続した場合、CPU101は、待機時間の経過を待たずに報知動作を実施することができる。即ちCPU101は、待機時間の経過前であっても、点火動作が完了したのであれば直ちに報知動作を行うことができるので、ユーザが戸惑うことはない。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、起動音、終了音の発音は、なくてもよい。点火報知処理において待機がなされるのは、操作パネル114の表示、LED61の点灯、スピーカ121の発音のうち、少なくとも一つであってもよい。CPU101は基板スイッチ16がオフ状態からオン状態になることを契機に点火報知処理を実行したが、イグナイタスイッチ15がオフ状態からオン状態になることを契機に点火報知処理を実行してもよいし、別途、点火報知処理の実行の契機となるスイッチを設けてもよい。また、CPU101は、基板スイッチ16がオン状態からオフ状態になることを契機に点火報知処理を実行してもよい。なおこの場合、CPU101の非駆動時に基板スイッチ16がオン状態であり、駆動時にオフ状態であればよい。
【0056】
待機時間は500msに限らず、適宜変更してもよい。燃料供給装置20は点火・消火の動作と火力の調整動作を行うが、夫々別体の装置によって行ってもよい。操作つまみ11、13、14は回動操作によって右バーナ4、奥バーナ6、左バーナ5の火力を調整するが、火力調節レバーを設け、レバー操作によって火力調整を行ってもよい。この場合、操作つまみの代わりに、点火動作と消火動作を行う点火消火ボタンを設けてもよい。なお、火力調節レバーと点火消火ボタンが別体に設けられたとしても、ユーザが不用意に点火消火ボタンに触れてしまう場合がある。この場合でも、本実施形態のように待機時間の経過を待ってから操作パネル114の表示、LED61の点灯、スピーカ121の発音を行うことで、ユーザが戸惑うことはない。
【0057】
また、点火消火ボタンの代わりに、回転する点火消火スイッチを設け、点火消火スイッチの回転位置に応じて点火動作と消火動作を行ってもよい。この場合、点火消火スイッチがバネ等の付勢により待機位置に戻る構成はなくてもよく、ユーザが手動で点火消火スイッチを待機位置に回動することで、点火動作を中断できるようにしてもよい。
【0058】
上記説明において、右バーナ4、左バーナ5、奥バーナ6が本発明の「バーナ」の一例である。ガス流路部22が本発明の「供給機構」の一例である。イグナイタ4A,5A,6Aが本発明の「点火機構」の一例である。操作つまみ11~14が本発明の「操作部」の一例である。点火消火部21が本発明の「操作機構」の一例である。基板スイッチ16が本発明の「第一検出スイッチ」の一例である。操作パネル114、LED61が本発明の「発光部」の一例である。スピーカ121が本発明の「発音部」の一例である。CPU101が本発明の「制御部」の一例である。S5の判断を行うCPU101が本発明の「計時手段」の一例である。イグナイタスイッチ15が本発明の「第二検出スイッチ」の一例である。
【符号の説明】
【0059】
1 ガスコンロ
2 筐体
4 右バーナ
5 左バーナ
6 奥バーナ
4A,5A,6A イグナイタ
11~14 操作つまみ
15 イグナイタスイッチ
16 基板スイッチ
20 燃料供給装置
21 点火消火部
22 ガス流路部
61 LED
101 CPU
114 操作パネル
121 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6