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特許7043080がんに対する有効性判定キット及びがんに対する有効性判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】がんに対する有効性判定キット及びがんに対する有効性判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20220322BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20220322BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20220322BHJP
   C12N 9/10 20060101ALN20220322BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20220322BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20220322BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20220322BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20220322BHJP
【FI】
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
G01N33/68
C12N9/10
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018564453
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2018000173
(87)【国際公開番号】W WO2018139181
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2017012654
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【弁理士】
【氏名又は名称】山中 生太
(74)【代理人】
【識別番号】100133592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(72)【発明者】
【氏名】森下 和広
(72)【発明者】
【氏名】市川 朝永
(72)【発明者】
【氏名】中畑 新吾
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/178870(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/022605(WO,A1)
【文献】特表2016-514700(JP,A)
【文献】国際公開第2010/116899(WO,A1)
【文献】Viruses, 2016, Vol.8, No.1, Article.7, pp.1-20
【文献】Oncotarget, 2015, Vol.6, pp.22799-22811
【文献】Nature Communications, 2014, Vol.5, Article No.3393, pp.1-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61K 31/33-33/44
G01N 33/00-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質アルギニンメチル基転移酵素5阻害剤のがんに対する有効性判定キットであって、
がん細胞におけるNDRG2の発現量を定量するための試薬を備え、
前記がん細胞は、成人T細胞白血病/リンパ腫、骨肉腫又は子宮がん由来の細胞である、
がんに対する有効性判定キット。
【請求項2】
タンパク質アルギニンメチル基転移酵素5阻害剤のがんに対する有効性判定方法であって、
がん細胞におけるNDRG2の発現量を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて測定された発現量を、対応する正常な細胞におけるNDRG2の発現量と比較する比較ステップと、
前記比較ステップにおいて、前記がん細胞におけるNDRG2の発現量が前記正常な細胞におけるNDRG2の発現量よりも低い場合に、タンパク質アルギニンメチル基転移酵素5阻害剤が前記がん細胞に有効であると判定する判定ステップと、
を含
前記がん細胞は、成人T細胞白血病/リンパ腫、骨肉腫又は子宮がん由来の細胞である、
がんに対する有効性判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんに対する有効性判定キット及びがんに対する有効性判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質アルギニンN-メチルトランスフェラーゼ5(PRMT5)は、タンパク質内のアルギニン残基のメチル化修飾に関連するタンパク質アルギニンメチル基転移酵素である。アルギニンメチル化された生体分子は、核内では転写を調節し、DNAの修復に関与する。また、アルギニンメチル化された生体分子は、細胞質では情報伝達系等の細胞機能を調節している。アルギニンメチル化された生体分子は、種々のがんに深く関与している。このため、PRMT5の阻害は、がん治療の標的のひとつとされている。例えば、特許文献1には、PRMT5阻害剤が白血病等の複数のがん種に有効であることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-514700号公報
【文献】国際公開第2010/116899号
【非特許文献】
【0004】
【文献】Shingo Nakahata、外21名、「Loss of NDRG2 expression activates PI3K-AKT signalling via PTEN phosphorylation in ATLL and other cancers」、2014年、5:3393、DOI:10.1038/ncomms4393
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、PRMT5をコードするPRMT5遺伝子は、がん種によってはがん抑制遺伝子として働くことも報告されている。PRMT5がどのような種類のがんでがん細胞の維持増殖に関与し、PRMT5阻害剤の効果が得られるかについては、その詳細は明らかにされていない。既知のPRMT5阻害剤の中には、正常な細胞とがん細胞との区別なく機能阻害を起こすものがあり、がん細胞に対する選択性の向上が求められていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、がんに対するPRMT5阻害剤の有効性を精度よく判定することができるがんに対する有効性判定キット及びがんに対する有効性判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、成人T細胞白血病/リンパ腫(Adult T-cell leukemia-lymphoma、ATLL)、肝臓がん及び肺がん等の多種類のがんにおいて遺伝子N-Myc Downstream-Regulated Gene 2(NDRG2)が、がん抑制遺伝子であることを非特許文献1及び特許文献2で報告した。
【0008】
NDRG2がコードするNDRG2タンパク質は、PP2Aフォスファターゼと複合体を形成し、Phosphatase and tensin homologue deleted on chromosome 10(PTEN)を含む情報伝達に重要な基幹タンパク質群を脱リン酸化し活性を変化させる。さらに、本発明者は、NDRG2タンパク質によってリン酸化修飾が変動する結合タンパク質としてPRMT5を同定し、鋭意研究を重ねることで本発明を完成させた。
【0012】
本発明の第の観点に係るがんに対する有効性判定キットは、
タンパク質アルギニンメチル基転移酵素5阻害剤のがんに対する有効性判定キットであって、
がん細胞におけるNDRG2の発現量を定量するための試薬を備え
前記がん細胞は、成人T細胞白血病/リンパ腫、骨肉腫又は子宮がん由来の細胞である。
【0013】
本発明の第の観点に係るがんに対する有効性判定方法は、
タンパク質アルギニンメチル基転移酵素5阻害剤のがんに対する有効性判定方法であって、
がん細胞におけるNDRG2の発現量を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて測定された発現量を、対応する正常な細胞におけるNDRG2の発現量と比較する比較ステップと、
前記比較ステップにおいて、前記がん細胞におけるNDRG2の発現量が前記正常な細胞におけるNDRG2の発現量よりも低い場合に、タンパク質アルギニンメチル基転移酵素5阻害剤が前記がん細胞に有効であると判定する判定ステップと、
を含み、
前記がん細胞は、成人T細胞白血病/リンパ腫、骨肉腫又は子宮がん由来の細胞である
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、がんに対するPRMT5阻害剤の有効性を精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】細胞株Jurkat、MOLT4、HUT102、KOB、U2OS及びHeLaにおけるNDRG2の発現を示す図である。
図2】(A)はHUT102に係る細胞の細胞増殖能の経時変化を示す図である。(B)はKOBに係る細胞の細胞増殖能の経時変化を示す図である。
図3】(A)はHUT102に係る細胞におけるアポトーシスのマーカーであるCleaved(CL.)-caspase3の発現を示す図である。(B)はKOBに係る細胞におけるCL.-caspase3の発現を示す図である。
図4】(A)はCL.-caspase3を染色したHUT102に係る細胞の画像を示す図である。図中のバーの長さは100μmに相当する。(B)は培養したHUT102に係る細胞におけるCL.-caspase3が陽性細胞の比率を示す図である。
図5】(A)はCL.-caspase3を染色したKOBに係る細胞株の画像を示す図である。図中のバーの長さは100μmに相当する。(B)は培養したKOBに係る細胞におけるCL.-caspase3が陽性細胞の比率を示す図である。
図6】HUT102に係る細胞を皮下移植したマウスにおける腫瘍体積の経時変化を示す図である。
図7】HUT102に係る細胞を皮下移植したマウスにおける腫瘍重量を示す図である。
図8】HUT102に係る細胞の皮下移植後31日目に採取した腫瘍の画像を示す図である。
図9図8に示す腫瘍の免疫組織化学染色の結果を示す図である。図中のバーの長さは200μmに相当する。
図10】(A)はPRMT5阻害剤AdOX存在下でのHUT102の細胞増殖能の経時変化を示す図である。(B)はAdOX存在下でのKOBの細胞増殖能の経時変化を示す図である。
図11】(A)はAdOX存在下でのJurkatの細胞増殖能の経時変化を示す図である。(B)はAdOX存在下でのMOLT4の細胞増殖能の経時変化を示す図である。
図12】(A)はU2OSに係る細胞の細胞増殖能の経時変化を示す図である。(B)はHeLaに係る細胞の細胞増殖能の経時変化を示す図である。
図13】(A)はAdOX存在下でのU2OSの細胞増殖能の経時変化を示す図である。(B)はAdOX存在下でのHeLaの細胞増殖能の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る実施の形態について添付の図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態および図面によって限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る抗がん剤について説明する。本実施の形態に係る抗がん剤は、PRMT5阻害剤を含む。PRMT5阻害剤は、PRMT5を直接的又は間接的に阻害するものであれば特に限定されない。PRMT5阻害剤は、例えば、PRMT5に結合してPRMT5の活性を抑制する化合物、抗体、タンパク質、ペプチド、DNAアプタマー及びRNAアプタマー等である。PRMT5阻害剤は、PRMT5遺伝子の発現抑制を介して、PRMT5を阻害してもよい。この場合、PRMT5阻害剤は、siRNA及びアンチセンス核酸等である。
【0018】
好ましくは、PRMT5阻害剤は化合物である。PRMT5阻害剤として好ましい化合物は、AdOX(アデノシン-2’,3’-ジアルデヒド)、EPZ015666、AMI-1、5’-メチルチオアデノシン及びS-アデノシルホモシステイン等である。
【0019】
上記抗がん剤は、がん細胞におけるNDRG2の発現量が対応する正常な細胞よりも低下しているがんに使用される。NDRG2の発現の測定には、当技術分野において公知の標準的な方法を用いることができる。例えば、NDRG2の発現量は、NDRG2が転写されたmRNAの量又はNDRG2タンパク質の量を指標として測定できる。mRNAの量及びNDRG2タンパク質の量は、それぞれ公知であるNDRG2の塩基配列及びNDRG2タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、標準的な方法を用いて測定できる。
【0020】
がん細胞内のNDRG2の転写産物であるmRNAの量を測定する場合、該mRNAの定量は、該mRNAを逆転写したcDNAに特異的なプライマーを用いるPCRの後に電気泳動を行ってもよいし、蛍光標識されたプローブを用いてリアルタイムPCR法で行ってもよい。
【0021】
がん細胞内のNDRG2タンパク質の量を測定する場合、例えば、該タンパク質の量は、該タンパク質に結合する抗体を用いることによって測定することができる。抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。当該タンパク質の定量は、当該抗体を用いる免疫組織化学染色によって行ってもよいし、がん細胞から得られるタンパク質抽出物を電気泳動した後に抗体を用いて定量するイムノブロット法等を用いてもよい。
【0022】
「対応する正常な細胞」とは、がん化した細胞に対してがん化していない細胞を意味する。比較対照となる正常な細胞は、被検体の正常な細胞であってもよいし、被検体とは異なる個体の正常な細胞であってもよい。なお、複数の個体の正常な細胞についてNDRG2の発現量を測定し、発現量の平均値を比較対照としてもよい。さらに、予め測定された複数の正常な細胞における発現量のデータから、平均値±標準偏差等の適正値を比較対照としてもよい。
【0023】
好ましくは、上記抗がん剤は、がん細胞におけるNDRG2の発現量が対応する正常な細胞よりも有意に低下しているがんに使用される。ここで「有意に低下している」とは、統計学上の有意な差をもって低下していることを意味する。統計学上の差を評価するには、例えば、がん細胞の平均発現量と正常な細胞の平均発現量の差を、t検定等で検定すればよい。
【0024】
例えば、対応する正常な細胞は、がんがATLLの場合、T細胞及びリンパ節のがん化していない細胞等である。がんが骨肉腫の場合、対応する正常な細胞は、腫瘍発生部位に対応する部位のがん化していない細胞等である。がんが子宮頸がんの場合、対応する正常な細胞は、子宮頸部のがん化していない細胞等である。
【0025】
より具体的には、上記がん細胞のNDRG2の発現量は、対応する正常な細胞におけるNDRG2の発現量に対する相対値で0~90%、0~80%、0~70%、0~60%、0~50%、0~40%、0~30%、0~20%、0~10%、0~5%、0~3%、0~2%又は0~1%である。
【0026】
がん細胞におけるNDRG2の発現量が対応する正常な細胞よりも低下しているがんとしては、好ましくは、ATLL、膵臓がん、皮膚がん、悪性リンパ腫、前立腺がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、卵巣がん、頭頸部扁平上皮がん、食道がん、胆管がん、前立腺がん、褐色細胞腫、陰茎がん、骨肉腫及び精巣がんが挙げられる。なお、NDRG2の発現量が低下しているがん細胞は、上記非特許文献1及び特許文献2に示されている。
【0027】
本実施の形態に係る抗がん剤は、PRMT5阻害剤を有効成分として含むように既知の方法で製造される。当該抗がん剤は、有効成分として0.1~99重量%、1~50重量%、好ましくは1~20重量%のPRMT5阻害剤を含む。
【0028】
本実施の形態に係る抗がん剤の剤形は、注射剤及び経口剤が好ましい。その他、当該抗がん剤の剤形は、直腸坐剤、膣坐剤、経鼻吸収剤、経皮吸収剤、経肺吸収剤及び口腔内吸収剤等であってもよい。当該抗がん剤は、薬理的に許容される担体と配合された合剤であってもよい。薬理的に許容される担体は、各種の有機担体物質又は無機担体物質である。薬理的に許容される担体は、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、又は液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等として当該抗がん剤に配合される。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤及び甘味剤等の添加物を用いることもできる。
【0029】
賦形剤は、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、デンプン、結晶セルロース及び軽質無水ケイ酸等である。滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク及びコロイドシリカ等である。結合剤は、例えば、結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン等である。崩壊剤は、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム及びカルボキシメチルスターチナトリウム等である。
【0030】
溶剤は、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール及びマクロゴール等である。溶解補助剤は、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウム等である。懸濁化剤は、界面活性剤及び親水性高分子等であって、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等である。
【0031】
等張化剤は、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン及びD-マンニトール等である。緩衝剤は、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩及びクエン酸塩の緩衝液等である。無痛化剤は、例えば、ベンジルアルコール等である。防腐剤は、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸及びソルビン酸等である。抗酸化剤は、例えば、亜硫酸塩及びアスコルビン酸等である。
【0032】
本実施の形態に係る抗がん剤の投与量は、患者の性別、年齢、体重及び症状等によって適宜決定される。当該抗がん剤は、PRMT5阻害剤が治療上有効量となるように投与される。有効量とは、所望の結果を得るために必要なPRMT5阻害剤の量であり、治療又は処置する状態の進行の遅延、阻害、予防、逆転又は治癒をもたらすのに必要な量である。当該抗がん剤の投与量は、典型的には、0.01~1000mg/kg、好ましくは0.1~200mg/kg、より好ましくは0.2~20mg/kgであり、1日に1回、又はそれ以上に分割して投与することができる。当該抗がん剤は、毎日、隔日、1週間に1回、隔週及び1ヶ月に1回等の様々な投与頻度で投与されてもよい。なお、必要に応じて、当該抗がん剤は、上記の範囲外の量で使用されてもよい。
【0033】
本実施の形態に係る抗がん剤の投与方法は、特に限定されないが、注射、経鼻、経皮、経肺及び経口等で投与される。投与方法としては、静脈内投与、動脈内投与又は経口投与が特に好ましい。
【0034】
本実施の形態に係る抗がん剤は、下記実施例4に示すように、NDRG2の発現量が低下しているがん細胞の細胞増殖抑制を示す一方で、NDRG2の発現量が低下していないがん細胞の細胞増殖にはほとんど影響しない。がん化していない正常な細胞は、NDRG2の発現量が低下していないため、がん細胞に対して高い選択性が得られる。当該抗がん剤は、がん細胞特異的に細胞増殖を抑制するため、副作用のリスクを軽減できる。
【0035】
また、上記抗がん剤は、好適には、ATLL、骨肉腫及び子宮頸がんからなる群から選択されるがんに使用される。下記実施例2~4に示すように、ATLL、骨肉腫及び子宮頸がんのがん細胞に対して、より確実に抗がん作用を得ることができる。
【0036】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る抗がん剤のスクリーニング方法について説明する。本実施の形態に係る抗がん剤のスクリーニング方法は、PRMT5阻害剤を、対応する正常な細胞よりもNDRG2の発現量が低下したがん細胞に接触させる接触ステップを含む。
【0037】
NDRG2の発現量が低下したがん細胞は、例えば、患者の腫瘍組織から採取された細胞又は該細胞から樹立されたがん化した細胞株である。NDRG2の発現量の低下は、上述の方法で評価することができる。PRMT5阻害剤をがん細胞に接触させるには、例えば、当該がん細胞の培地にPRMT5阻害剤を添加すればよい。
【0038】
接触ステップの後、がん細胞の挙動を評価することで、抗がん剤として有望なPRMT5阻害剤を選択することができる。がん細胞の挙動の評価では、PRMT5阻害剤の非存在下で培養したがん細胞と、PRMT5阻害剤を接触させたがん細胞とを比較してもよい。がん細胞の挙動とは、例えば、細胞増殖、細胞死、アポトーシス及び細胞周期の変化等である。
【0039】
好ましくは、接触ステップで、コントロールとしてPRMT5阻害剤を添加しない培地でがん細胞を培養し、PRMT5阻害剤存在下で培養したがん細胞とコントロールのがん細胞との間で、所定時間経過後の細胞数を比較すればよい。PRMT5阻害剤存在下で培養したがん細胞の細胞数が、コントロールよりも有意に少ない場合、該PRMT5阻害剤を抗がん剤として選択すればよい。
【0040】
アポトーシスを評価する場合、例えば、がん細胞におけるCL.-caspase3等のアポトーシスのマーカーの発現を、ウエスタンブロット法又は免疫染色等で評価すればよい。コントロールよりもアポトーシスのマーカーが有意に多く発現させたPRMT5阻害剤を、抗がん剤として選択すればよい。
【0041】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る抗がん剤のスクリーニング方法によれば、高い選択性でより確実に特定のがんに薬効を示すPRMT5阻害剤を選択することができる。
【0042】
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3に係るがんに対する有効性判定キットについて説明する。該有効性判定キットは、PRMT5阻害剤のがんに対する有効性判定キットであって、がん細胞におけるNDRG2の発現量を定量するための試薬を備える。
【0043】
がん細胞は、例えば、生検において患者の腫瘍組織から採取したがん細胞である。がん細胞は、そのまま用いてもよいし、培養することで増殖させたがん細胞を用いてもよい。がん細胞として、固定して切片化された組織に含まれるがん細胞を用いてもよい。
【0044】
上記試薬は、例えば、上述のNDRG2タンパク質に対する抗体及びNDRG2の転写産物であるmRNAに特異的なプライマーである。当該有効性判定キットは、必要に応じて、免疫組織化学染色用のその他の試薬又は蛍光標識されたプローブ等を備えてもよい。
【0045】
本実施の形態に係るがんに対する有効性判定キットによれば、がん細胞におけるNDRG2の発現量を定量することができるため、がんに対するPRMT5阻害剤の有効性を精度よく判定することができる。
【0046】
また、PRMT5阻害剤は、がん細胞におけるNDRG2の発現量が低下しているがんに有効であるため、当該有効性判定キットを用いて患者のがん細胞におけるNDRG2の発現量を定量し、対応する正常な細胞等とNDRG2の発現量を比較することができる。これにより、該患者を投与対象とするか否かを判定できるため、臨床上有用である。
【0047】
別の実施の形態では、PRMT5阻害剤のがんに対する有効性判定方法が提供される。該有効性判定方法は、測定ステップと、比較ステップと、判定ステップと、を含む。測定ステップでは、がん細胞におけるNDRG2の発現量を測定する。比較ステップでは、測定ステップにおいて測定された発現量を、対応する正常な細胞におけるNDRG2の発現量と比較する。判定ステップでは、比較ステップにおいて、がん細胞におけるNDRG2の発現量が正常な細胞におけるNDRG2の発現量よりも低い場合に、PRMT5阻害剤ががん細胞に有効であると判定する。
【0048】
また、別の実施の形態では、上述の測定ステップ、比較ステップ及び判定ステップに加え、がん細胞を有するがん患者にPRMT5阻害剤を投与する投与ステップをさらに含むがんの治療方法が提供される。
【0049】
また、別の実施の形態では、がん細胞におけるNDRG2の発現量が対応する正常な細胞よりも低下しているがんの患者に、PRMT5阻害剤を投与する投与ステップを含む、がんの治療又は予防方法が提供される。また、他の実施の形態では、PRMT5阻害剤は、がん細胞におけるNDRG2の発現量が対応する正常な細胞よりも低下しているがんの治療又は予防に使用される。
【実施例
【0050】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0051】
(細胞株)
下記実施例では、細胞株として、HTLV-1非感染T細胞リンパ性急性白血病T-ALL(Jurkat及びMOLT4)、HTLV-1感染細胞株(HUT102)、ATLL細胞株(KOB)、骨肉腫細胞株(U2OS)及び子宮がん細胞株(HeLa)を用いた。IL2(50U/ml)添加若しくは無添加のfetal bovine serum(FBS)を10%添加したRPM11640又はDMEM培養液で37℃、5%二酸化炭素下で上記細胞株を培養した。
【0052】
(抗体)
下記実施例におけるウエスタンブロット法及び免疫染色では、一次抗体として、ヤギ抗PRMT5(C-20)ポリクローナル抗体(sc-22132)、ヤギ抗NDRG2(E-20)ポリクローナル抗体(sc-sc-19468)(以上、Santa Cruz社製)、マウス抗β-actin(AC-74)モノクローナル抗体(A5316)(SIGMA ALDRICH社製)、ウサギ抗Caspase3(8G10)モノクローナル抗体(#9665)、ウサギ抗CL.-Caspase3(Asp175)ポリクローナル抗体(#9661)(以上、Cell Signaling TECHNOLOGY社製)を使用した。二次抗体としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識抗ヤギIgG抗体(P0449)、HRP標識抗マウスIgG抗体(P0260)及びHRP標識抗ウサギIgG抗体(P0399)(以上、Dako Cytomation社製)を使用した。
【0053】
(実施例1:細胞株におけるNDRG2の発現量の検討)
上述のJurkat、MOLT4、HUT102、KOB、U2OS及びHeLaにおけるNDRG2の発現量として、NDRG2タンパク質の発現量をウエスタンブロット法で確認した。ウエスタンブロット法では、培養した細胞を回収後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(10mMリン酸緩衝液、120mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.5)で洗浄した。次に、1%NP-40緩衝液(1%Nonidet P-40、50mM Tris-HCl(pH8.0)、150mM NaCl、5mM EDTA(pH8.0))を加えて細胞を溶解させた。遠心後、10~20gの細胞溶解液にSDSサンプル緩衝液(100mM Tris-HCl(pH6.8)、4%SDS、50%グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー、5%β-メルカプトエタノール)を加えて、95℃で5分間煮沸した。得られた試料を、8%SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)に供した。
【0054】
SDS-PAGEでは、ミニプロテアン3セル(Bio-Rad社製)により定電圧100Vで1時間電気泳動した。ゲルはミニトランスブロットセル(Bio-Rad社製)により定電圧100Vを2時間でPVDF膜(Millipore社製)に転写し、PVDF膜に対して、1%ウシ血清アルブミン(BSA)又は5%スキンミルク添加リン酸緩衝生理食塩水/Tween 20(PBST)により、定温で1時間ブロッキング反応を行った。ブロッキング後、Can Get signal(商標) Solution 1(東洋紡社製)又は5%スキンミルクで1000倍希釈した一次抗体を用いて、4℃で一晩反応させた。
【0055】
PBSTでPVDF膜を3回洗浄した後、Can Get signal(商標) Solution 2(東洋紡社製)又は5%スキンミルクで2000倍希釈した二次抗体を用いて、PVDF膜において室温で1時間反応させた。PBSTでPVDF膜を3回洗浄した後、Lumi light PLUS Western Blotting Kit(Roche Applied Science社製)にて化学発光させ、ルミノイメージアナライザーLAS-3000(富士フィルム社製)で画像を解析した。
【0056】
(結果)
図1に示すように、HTLV-1に非感染の細胞株Jurkat及びMOLT4では、NDRG2タンパク質の発現が認められた。一方、HUT102、KOB、U2OS及びHeLaでは、NDRG2タンパク質がほとんど発現していなかった。なお、Jurkat及びMOLT4におけるNDRG2のmRNAの発現量は、CD4陽性T細胞と同程度であることが上記非特許文献1において示されている。
【0057】
(実施例2:PRMT5遺伝子の発現低下によるアポトーシス誘導)
細胞株におけるPRMT5遺伝子の発現を低下させるために、knockout(商標) RNAi system(Clontech社製)を用いて、PRMT5発現低下ベクターとしてsh-PRMT5-3及びsh-PRMT5-4を作製した。sh-PRMT5-3のセンス鎖の塩基配列及びアンチセンス鎖の塩基配列を、それぞれ配列番号1及び配列番号2に示す。sh-PRMT5-4のセンス鎖の塩基配列及びアンチセンス鎖の塩基配列を、それぞれ配列番号3及び配列番号4に示す。コントロールshRNAベクターとして、標的遺伝子の塩基配列を含まないMock又はルシフェラーゼを標的としたshlucを作製した。
【0058】
上記ベクターを用いてPRMT5発現低下細胞株を作製した。上記ベクター10μg及びpVSV-Gベクター(Clontech社製)20μgを、リン酸カルシウム法により293GP細胞株に導入し、レトロウイルスを作製した。得られたレトロウイルスをHUT102及びKOB細胞それぞれ1×10細胞に感染させ、Mock細胞株、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株を樹立した。
【0059】
樹立した各細胞株について、96ウェルプレートで細胞数2×10個を培養し、所定の時間にcell counting kit-8(DOJINDO社製)を添加した。450nm又は490nmの吸光度に基づいて細胞数を定量し、細胞増殖能を評価した。
【0060】
実施例1と同様のウエスタンブロット法及び培養した細胞の免疫染色でアポトーシスを評価した。培養した細胞の免疫染色では、細胞を4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、0.1%NP-40により透過処理を行った。2%BSA溶液を用いて常温で1時間ブロッキングし、2%BSAで希釈した一次抗体を用いて4℃で一晩反応させた。PBSTで3回洗浄し、室温にて2%BSAで希釈した二次抗体を1時間反応させた。PBSTで3回洗浄し、DAB(Thermo SCIENTIFIC社製)でCL.-caspase3を染色した。
【0061】
(結果)
図2(A)は、HUT102を親株(parental)として、親株から樹立したMock細胞株、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株の細胞増殖能の経時変化を示す。shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株では、PRMT5遺伝子の発現低下により有意に細胞増殖能が低下した。図2(B)は、KOBを親株として、親株から樹立したMock細胞株、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株の細胞増殖能の経時変化を示す。HUT102と同様に、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株では、PRMT5遺伝子の発現低下により有意に細胞増殖能が低下した。
【0062】
図3(A)及び図3(B)は、それぞれHUT102及びKOBのウエスタンブロット法の結果を示す。HUT102及びKOBの双方において、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株では、アポトーシスの指標であるCL.-caspase3の発現が顕著に亢進していた。
【0063】
図4(A)は、HUT102の免疫染色の結果を示す。免疫染色においてもHUT102のshPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株でCL.-caspase3の亢進した発現が確認された。図4(B)は、培養した細胞に対してCL.-caspase3が免疫染色において陽性だった細胞の比率を示す。HUT102のshPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株におけるCL-caspase3の有意な発現亢進が定量的に示された。
【0064】
図5(A)及び図5(B)は、KOBに関して、それぞれ免疫染色で撮像された画像及びCL.-caspase3が陽性であった細胞の比率を示す。HUT102と同様に、KOBに関してもshPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株において、CL.-caspase3の亢進した発現が確認された。
【0065】
以上の結果より、NDRG2の発現が低下したATLLに係る細胞株の細胞増殖及び抗アポトーシスに、PRMT5が関与していることが示された。
【0066】
(実施例3:免疫不全マウスへの皮下移植実験)
HUT102の親株、Mock細胞株、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株を回収し、それぞれ1×10個の細胞をPBSとMatrigel(BD社製)に懸濁し、26Gのシリンジを用いて免疫不全SCIDマウス(CLEA Japan社製)の背部皮下に移植した。移植後7日から腫瘍の直径及び短径を電動ノギスで随時測定し、計算式(直径×(短径)/2)で腫瘍体積を算出した。
【0067】
皮下移植後31日目に安楽死させ剖検を行い、腫瘍を摘出した。腫瘍重量を測定後、腫瘍を4%パラホルムアルデヒドで固定した。エタノールで固定した腫瘍から段階的に脱水し、キシレンによる透徹を行い、腫瘍をパラフィンに包埋した。パラフィンブロックを薄切し、スライドガラスに固定した。作製した切片はキシレンを用いてパラフィンを取り除き、段階的なエタノールで親水化した。免疫組織化学染色のために、切片についてクエン酸ナトリウム(pH6.0)中でのマイクロウェーブ処理により抗原を賦活化した後、メタノール溶液0.3%Hに30分間浸することで内因性ペルオキシダーゼ活性を除去した。続いて、切片に対して、2%BSA溶液を用いて常温で1時間ブロッキングし、2%BSAで希釈した一次抗体を用いて4℃で一晩反応させた。次に、PBSで切片を3回洗浄し、2%BSAで希釈した二次抗体と室温で1時間反応させた。さらにPBSで切片を3回洗浄し、DAB(Thermo SCIENTIFIC社製)でCL.-caspase3を染色した。
【0068】
(結果)
図6は、腫瘍体積の経時変化を示す。shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株で移植後17日目以降、有意に腫瘍形成能が低下した。図7及び図8に示すように、31日目の腫瘍重量及び大きさはshPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株で顕著に減少していた。図9は、腫瘍免疫組織化学染色の結果を示す。shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株の腫瘍では、CL.-caspase3が増加していた。
【0069】
以上の結果より、がん細胞のNDRG2の発現が低下したATLLに対して、PRMT5の阻害が有効であることが示された。
【0070】
(実施例4:PRMT阻害剤による細胞増殖抑制実験)
HUT102及びKOBに加え、Jurkat及びMOLT4を培養した。培養開始時に、PRMT5阻害剤であるAdOX(Sigma社製)を培地にそれぞれ付加した。上記実施例2と同様に、細胞増殖能を評価した。
【0071】
また、固形がんの細胞株についてもPRMT5遺伝子の発現低下の影響を実施例2と同様に評価した。U2OS及びHeLaの親株、shluc細胞株、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株の細胞増殖能とPRMT阻害剤の細胞増殖能に対する影響とを評価した。
【0072】
(結果)
図10(A)及び図10(B)は、それぞれHUT102及びKOBの細胞増殖能の経時変化を示す。AdOXは、HUT102及びKOBのいずれでも濃度依存的に細胞増殖抑制を示した。一方、図11(A)及び図11(B)は、それぞれJurkat及びMOLT4の細胞増殖能の経時変化を示す。NDRG2の発現が低下していないJurkat及びMOLT4では、AdOXによる細胞増殖抑制が認められなかった。
【0073】
図12(A)及び図12(B)は、それぞれU2OS及びHeLaを親株として、親株から樹立したshluc細胞株、shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株の細胞増殖能の経時変化を示す。shPRMT5-3細胞株及びshPRMT5-4細胞株では、PRMT5遺伝子の発現低下により有意に細胞増殖能が低下した。図13(A)及び図13(B)は、それぞれAdOX存在下でのU2OS及びHeLaの細胞増殖能の経時変化を示す。AdOXは、U2OS及びHeLaのいずれでも濃度依存的に細胞増殖を抑制した。
【0074】
以上の結果より、ATLLのみならず、NDRG2の発現が低下した固形がんに対しても、PRMT5の阻害が有効であることが示された。NDRG2の発現が低下していないがん細胞では、がん細胞の増殖がPRMT5の阻害によって抑制されなかったことから、NDRG2の発現が低下していない正常細胞及びがん細胞では、PRMT5阻害による細胞増殖抑制がほとんどみられないと考えられる。
【0075】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等な発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0076】
本出願は、2017年1月27日に出願された、日本国特許出願2017-12654号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2017-12654号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、がん、特にはATLL等のNDRG2の発現量が低下したがんの治療又は予防に好適である。
図1
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【配列表】
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