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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】消毒装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20220322BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20220322BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L101:06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021008061
(22)【出願日】2021-01-21
(62)【分割の表示】P 2017185313の分割
【原出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2021058804
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】506310050
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】内海 洋
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-058347(JP,A)
【文献】実開昭59-011727(JP,U)
【文献】特開2012-232028(JP,A)
【文献】特開2008-272351(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/18
A61L 101/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒対象を消毒するための消毒装置であって、
上面開口部を有する貯留手段と、
前記貯留手段の前記上面開口部を閉鎖するように設けられ、前記消毒対象がその上を移動する床手段と、
前記貯留手段に貯留される消毒液の液位を調整する調整手段と、
前記貯留手段内に設けられ、前記貯留手段内の消毒液中で消毒液を噴射する噴射手段とを備え、
前記調整手段による液位調整によって、前記床手段から上方へ噴出する消毒液の高さが設定される
ことを特徴とする消毒装置。
【請求項2】
消毒対象を消毒するための消毒装置であって、
前記消毒対象である人が移動する人移動領域の下方に設けられ、上面開口部を有する貯留手段と、
前記貯留手段の前記上面開口部を閉鎖するように設けられ、前記消毒対象である人がその上を移動する床手段と、
前記貯留手段に貯留される消毒液の液位を調整する調整手段と、
前記貯留手段内に設けられ、前記貯留手段内の消毒液中でノズルから消毒液を上方へ噴射する噴射手段とを備え、
前記調整手段による液位調整によって、前記床手段から上方へ噴出する消毒液の高さが設定される
ことを特徴とする消毒装置。
【請求項3】
床手段は、メッシュ状の支持板と、この支持板上に敷設されたマットとを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の消毒装置。
【請求項4】
調整手段は、昇降可能なオーバーフロー管を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の消毒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切に消毒できる消毒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された消毒装置(通路用殺菌システムユニット)が知られている。
【0003】
この従来の消毒装置は、人が通行できる大きさの断面略口状をなす通路空間を形成する壁面体と、前記通路空間の前後開口部に配置される開閉可能な内外遮蔽体と、前記通路空間内に殺菌水を噴霧する噴霧手段とを備えている。
【0004】
そして、前記壁面体と前記内外遮蔽体を組立てた通路空間を殺菌空間として形成し、当該殺菌空間に前記殺菌水を噴霧するために前記噴霧手段を配備して適宜のタイミングで作動させることにより、当該殺菌空間内に人などに付着して存在する各種の菌を殺菌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-261596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の消毒装置では、側壁面体に設けられた複数の噴霧ノズルの向きがすべて同方向であるため、殺菌効果(消毒効果)が不十分となるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切に消毒できる消毒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る消毒装置は、上面開口部を有する貯留手段と、前記貯留手段の前記上面開口部を閉鎖するように設けられた床手段と、前記貯留手段に貯留される消毒液の液位を調整する調整手段と、前記貯留手段内に設けられ、前記貯留手段内の消毒液中で消毒液を噴射する噴射手段とを備え、前記調整手段による液位調整によって、前記床手段から上方へ噴出する消毒液の高さが設定されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適切に消毒することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る消毒装置の概略平面図である。
図2】同上消毒装置の一部を切り欠いた概略側面図である。
図3】同上消毒装置の概略正面図である。
図4】同上消毒装置の側方噴射手段の平面図である。
図5】同上消毒装置の側方噴射手段の側面図である。
図6】同上消毒装置のブロック図である。
図7】短靴の場合についての説明図である。
図8】長靴の場合についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について図1ないし図8を参照して説明する。
【0012】
図中の1は、消毒装置(人用消毒装置)で、この消毒装置1は、例えば病院等において通路の途中や部屋の出入口付近等に設置され、人に無害の消毒液を用いて人を消毒するものである。
【0013】
なお、消毒液は、例えば次亜塩素酸の水溶液が好ましいが、これ以外の消毒液を使用してもよい。また、消毒装置1の設置場所は、病院には限定されず、例えば看護施設のほか、食品工場、化学工場、畜産施設等でもよい。
【0014】
消毒装置1は、消毒対象の人が移動方向(水平方向)に移動する人移動領域2の左右の両側方にそれぞれ設けられた上下方向長手状の縦配管6と、人移動領域2の上方に設けられた左右方向長手状(水平方向長手状)の上横配管7と、人移動領域2の下方に設けられた左右方向長手状(水平方向長手状)の下横配管8とを備えている。
【0015】
左右1対の縦配管6の上端部同士は上横配管7によって連結され、左右1対の縦配管6の下端部同士は下横配管8によって連結されている。これら左右上下の4本の配管6,7,8によって、消毒液が循環可能な環状(略環状を含む)の循環配管部(循環管路)10が構成されている。
【0016】
また、消毒装置1は、それぞれ筒状をなす縦配管カバー体11、上横配管カバー体12及び下横配管カバー体13を備えている。そして、縦配管カバー体11内には縦配管6が収納され、上横配管カバー体12内には上横配管7が収納され、下横配管カバー体13内には下横配管8が収納されている。
【0017】
左右1対の縦配管カバー体11の上端部同士は上横配管カバー体12によって連結され、左右1対の縦配管カバー体11の下端部同士は下横配管カバー体13によって連結されている。これら左右上下の4本の配管カバー体11,12,13によって、人が通過可能な大きさの矩形環状のカバー部15が構成されている。
【0018】
各配管カバー体11,12,13は、いずれも断面六角形状のもので、人の移動方向(以下では、単に「移動方向」という場合がある)に沿った平板部11a,12a,13aと、移動方向に対して傾斜した方向に沿った2つの傾斜平板部11b,12b,13bとを有している。各板部11a,12a,13a,11b,12b,13bには、人移動領域2に向かって開口する複数のノズル用孔16が形成され、この各ノズル用孔16には後述するノズルの噴射口が近接して対向している。
【0019】
また、消毒装置1は、平面視で噴射口21aが移動方向に対して直交する第1方向に向かって開口するように縦配管6に設けられその噴射口21aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第1横向きノズル21と、平面視で噴射口22aが第1方向に対して移動方向の前方側に所定傾斜角度αをもって傾斜する第2方向に向かって開口するように縦配管6に設けられその噴射口22aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第2横向きノズル22と、平面視で噴射口23aが第1方向に対して移動方向の後方側に所定傾斜角度αをもって傾斜する第3方向に向かって開口するように縦配管6に設けられその噴射口23aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第3横向きノズル23とを備えている。なお、所定傾斜角度αは、例えば45度である(図4参照)。
【0020】
また、消毒装置1は、側面視で噴射口26aが移動方向に対して直交する第1方向に向かって開口するように上横配管7に設けられその噴射口26aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第1下向きノズル26と、側面視で噴射口27aが第1方向に対して移動方向の前方側に所定傾斜角度βをもって傾斜する第2方向に向かって開口するように上横配管7に設けられその噴射口27aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第2下向きノズル27と、側面視で噴射口28aが第1方向に対して移動方向の後方側に所定傾斜角度βをもって傾斜する第3方向に向かって開口するように上横配管7に設けられその噴射口28aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第3下向きノズル28とを備えている。なお、所定傾斜角度βは、例えば45度である(図2参照)。
【0021】
また、消毒装置1は、側面視で噴射口31aが移動方向に対して直交する第1方向に向かって開口するように下横配管8に設けられその噴射口31aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第1上向きノズル31と、側面視で噴射口32aが第1方向に対して移動方向の前方側に所定傾斜角度γをもって傾斜する第2方向に向かって開口するように下横配管8に設けられその噴射口32aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第2上向きノズル32と、側面視で噴射口33aが第1方向に対して移動方向の後方側に所定傾斜角度γをもって傾斜する第3方向に向かって開口するように下横配管8に設けられその噴射口33aから消毒液を人に向けて霧状に噴射する第3上向きノズル33とを備えている。なお、所定傾斜角度γは、例えば45度である(図2参照)。
【0022】
このように、消毒装置1は、消毒液が多数の方向に向かって噴霧されるように、異なる3方向を向いた横向きノズル21,22,23と、異なる3方向を向いた下向きノズル26,27,28と、異なる3方向を向いた上向きノズル31,32,33とを備えているが、この各ノズルの数は任意であり、それぞれのノズルは1つでも複数でもよい。図3に示す例では、合計で16個のノズルが設けられている。また、所定傾斜角度α,β,γは、すべて同じであることが好ましいが、それぞれ異なっていてもよい。さらに、所定傾斜角度α,β,γを調整可能な構成としてもよい。
【0023】
なお、縦配管6と、縦配管カバー体11と、先端の噴射口が異なる3方向を向いた横向きノズル21,22,23とによって、人に対して側方(移動方向側方)から消毒液を霧状に噴射する側方噴射手段36が構成されている。上横配管7と、上横配管カバー体12と、先端の噴射口が異なる3方向を向いた下向きノズル26,27,28とによって、人に対して上方から消毒液を霧状に噴射する上方噴射手段37が構成されている。下横配管8と、下横配管カバー体13と、先端の噴射口が異なる3方向を向いた上向きノズル31,32,33とによって、人に対して下方から消毒液を霧状に噴射する下方噴射手段38が構成されている。
【0024】
また、消毒装置1は、消毒対象である人が履いている靴(図7に示す短靴K1や、図8に示す長靴K2)Kを消毒する靴消毒部41を備えている。
【0025】
靴消毒部41は、人移動領域2の下方に設けられ上面開口部42を有する貯留手段である貯留槽43と、この貯留槽43の上面開口部42を閉鎖するように設けられ消毒液が通過可能で人がその上を歩いて移動方向へ移動する水平な板状の床手段44とを備えている。また、靴消毒部41は、貯留槽43に貯留される消毒液の液位(貯留槽内の消毒液の液面高さ)hを調整する調整手段45と、貯留槽43内に設けられその貯留槽43内の消毒液中で消毒液を上方(例えば真上)へ噴射して床手段44の上面から上方に向けてその消毒液を液柱状に噴出させる噴射手段46とを備えている。
【0026】
そして、例えば人が履いている靴Kの種類に応じて、調整手段45による液位hの調整によって、床手段44の上面から上方へ噴出する靴消毒用の液柱状の消毒液の高さHが設定される。
【0027】
具体的には、例えば図7の如く、短靴K1の場合には、貯留槽43内の消毒液の液位hが比較的深くなるように所望値に調整されることによって、液柱状の消毒液の高さHが低くなる。つまり、この場合、噴射手段46の各ノズル65から上方へ噴射される消毒液は、貯留槽43内に貯留された消毒液による比較的大きな抵抗を受けるため、当該ノズル65からの消毒液の高さHは、比較的小さな値となる(例えばH=2~3cm)。
【0028】
また、例えば図8の如く、長靴K2の場合には、貯留槽43内の消毒液の液位hが前記短靴K1の場合に比べて浅くなるように所望値に調整されることによって、液柱状の消毒液の高さHが高くなる。つまり、この場合、噴射手段46の各ノズル65から上方へ噴射される消毒液は、貯留槽43内に貯留された消毒液による抵抗が小さいので、当該ノズル65からの消毒液の高さHは、比較的大きな値となる(例えばH=4~6cm)。
【0029】
なお、液柱状の消毒液の高さHの範囲は、例えば2~6cmには限定されず、それよりも狭い範囲或いは広い範囲で設定可能(調整可能)な構成とすることもできる。
【0030】
ここで、貯留槽43は、図1等に示すように、人の移動方向に長手方向を有する矩形状の底板部51と、この底板部51の周端に立設された立設板部52とを有している。そして、貯留槽43の矩形状(略矩形状を含む)の上面開口部42の全体が液通過性の床手段44によって閉鎖され、この床手段44の上面上を消毒対象の人が歩いて移動する。なお、各ノズル21,22,23,26,27,28,31,32,33から噴霧された後の消毒液は、床手段44を通過して貯留槽43内に貯留される。
【0031】
床手段44は、例えば強度が高い合成樹脂製でメッシュ状の支持板(メッシュ板)53と、この支持板53上に脱着可能に敷設された弾性変形可能なメッシュ状のマット54とによって構成されている。なお、支持板53の厚さは例えば約1cmであり、マット54の厚さは例えば約1.5cmである。
【0032】
マット53は、例えば消毒液が通過可能なクッション性のある人工芝からなるもので、シート状の基材と、この基材上に起立する芝葉を模した多数のパイルと、このパイル間に充填された充填材とを有している。そして、人が靴Kでマット53を踏むと、その靴Kの底面全体が、マット53に滲みた消毒液に浸かった状態となり、かつ、噴射手段46のノズル65の噴射で消毒液が流動することで靴Kの底面全体の隅々まで消毒液が行き渡る。
【0033】
なお、貯留槽43の長手方向中央部には、下方噴射手段38が配置されている。このため、貯留槽43内が2分割され、これに対応して床手段44も移動方向前後に2分割されている。例えば下方噴射手段38を設けない場合には、床手段44は、分割の必要がなく、1枚板状の構成とする。
【0034】
また、調整手段45は、貯留槽43に対して昇降可能な液位調整用のオーバーフロー管56を有している。このオーバーフロー管(排水パイプ)56は、ねじ部57を有する支持管58に螺着され、この支持管58に対して回動して昇降する。つまり、貯留槽43に対するオーバーフロー管56の昇降によって、貯留槽43内の消毒液の液位hが調整可能となっている。
【0035】
さらに、噴射手段46は、貯留槽43内のうち前側に位置する前側噴射部61と、貯留槽43内のうち後側に位置する後側噴射部62とを有している。
【0036】
前後の各噴射部61,62は、消毒液が循環可能な環状(略環状を含む)の循環配管部63と、この循環配管部63の複数箇所にそれぞれ設けられ貯留槽43内に貯留された消毒液中で消毒液を上方(例えば真上)へ噴射するノズル65とを有している。循環配管部63は、貯留槽43内において消毒液に浸漬された状態で互いに平行状に位置する左右方向長手状の複数本の配管66を有し、この各配管66の複数箇所に噴射口が上方に向かって開口するようにノズル65が設けられている。
【0037】
また、図1に示すように、噴射手段46の前後2つの循環配管部63,63及び平面視でその間に位置する循環配管部10には、それぞれ個別(3系統)に消毒液を供給する消毒液供給手段70が接続されている。
【0038】
この消毒液供給手段70は、図6に示すように、設定圧力未満の低圧で消毒液を前側噴射部61の循環配管部63内で循環させるための第1循環ポンプ71と、消毒液の圧力を設定圧力まで上昇させて消毒液を前側噴射部61のノズル65から噴射させるための第1噴射ポンプ72と、設定圧力未満の低圧で消毒液を後側噴射部62の循環配管部63内で循環させるための第2循環ポンプ73と、消毒液の圧力を設定圧力まで上昇させて消毒液を後側噴射部62のノズル65から噴射させるための第2噴射ポンプ74と、設定圧力未満の低圧で消毒液を循環配管部10内で循環させるための第3循環ポンプ75と、消毒液の圧力を設定圧力まで上昇させて消毒液をノズル(横向きノズル21,22,23、下向きノズル26,27,28及び上向きノズル31,32,33)から噴射させるための第3噴射ポンプ76とを有している。
【0039】
なお、各ノズル21,22,23,26,27,28,31,32,33,65は、循環中の消毒液の圧力が設定圧力になったときに閉状態から開状態に自動的に切り換わる圧力バルブを介して配管に取り付けられている。それゆえ、3つの各系統の複数の当該各ノズルは、循環中の消毒液の圧力が設定圧力になったときに、反応性よく消毒液の噴射を同時に一斉に開始する。
【0040】
また、各ポンプを制御する制御手段80には、移動方向に移動してくる人を検知する検知手段(人有無検知手段)である循環ポンプ作動用センサ81(第1検知手段)、噴射ポンプ作動用センサ82(第2検知手段)及び作動停止用センサ(第3検知手段)83が電気的に接続されている。
【0041】
図1に示すように、循環ポンプ作動用センサ81及び噴射ポンプ作動用センサ82は貯留槽43よりも人の移動方向後方に配置され、作動停止用センサ83は貯留槽43よりも人の移動方向前方に配置されている。そして、各センサ81,82,83は、例えば検知光によって人の有無を検知するもので、互いに離間対向して位置する発光部81a,82a,83a及び受光部81b,82b,83bを有している。
【0042】
次に、消毒装置1を使用して人の消毒を行う場合について説明する。
【0043】
作業者(調整者)は、予め、消毒対象の人が履いている靴Kの種類に応じて、貯留槽43内に貯留される消毒液の液位hを調整しておく。すなわち、短靴K1なら液位hを深くなるように調整し、長靴K2なら短靴K1に比べて浅くなるように調整しておく(図7,8を参照)。なお、消毒対象の人が液位hを調整するようにしてもよい。
【0044】
そして、まず、制御手段80は、循環ポンプ作動用センサ81が人を検知したか否かを判断し、当該センサ81が人を検知(検知光の遮光で人の有りを検知)したと判断した場合には、第1循環ポンプ71、第2循環ポンプ73及び第3循環ポンプ75を作動させる。
【0045】
すると、消毒液供給手段70のタンク(図示せず)側からの消毒液は、設定圧力未満の低圧の状態を維持したまま、3つの循環配管部10,63,63内を循環する。このとき、各ノズルの圧力バルブは、閉状態を維持している。
【0046】
次いで、制御手段80は、噴射ポンプ作動用センサ82が人を検知したか否かを判断し、当該センサ82が人を検知(検知光の遮光で人の有りを検知)したと判断した場合には、作動していた各循環ポンプ71,73,75を停止させるとともに、第1噴射ポンプ72、第2噴射ポンプ74及び第3噴射ンプ76を作動させる。
【0047】
すると、循環中の消毒液は、その圧力が設定圧力まで上昇し、これにより各圧力バルブが開状態となり、その結果、所定のタイミングで、すべての各ノズル(左右の横向きノズル21,22,23、下向きノズル26,27,28、上向きノズル31,32,33、及び噴射手段46のノズル65)が瞬時に同時(略同時を含む)に消毒液を一斉に噴射する。
【0048】
そして、各ノズルからの消毒液によって、人に付着した菌が殺菌され、その人の全体に対する消毒処理が効率的に行われる。
【0049】
その後、制御手段80は、作動停止用センサ83が人を検知したか否かを判断し、当該センサ83が人を検知(検知光の遮光で人の有りを検知)したと判断した場合には、作動していた各噴射ポンプ72,74,76を停止させる。すると、各ノズルからの消毒液の噴射が停止して、消毒液による人に対する消毒処理が完了となる。このように、消毒対象の人が人移動領域2を1人ずつ通過する度に消毒処理が行われる。
【0050】
そして、このような消毒装置1によれば、各ノズルからの消毒液によって、人の着衣、靴(短靴K1や長靴K2)、頭、顔、及び手等に付着した菌(病原菌等の細菌を含む各種の菌)を全体にわたって十分に殺菌することができ、よって、従来の装置に比べて、人を適切に消毒することができる。
【0051】
また、調整手段45による消毒液の液位hの調整により、床手段44のマット53から上方へ液柱状に噴出する消毒液の高さHを設定できるため、消毒対象の人が履いている靴Kの種類に応じて消毒液の高さHを適宜設定でき、よって、靴Kに付着した菌をより一層十分に殺菌できる。
【0052】
さらに、循環ポンプ71,73,75、噴射ポンプ72,74,76及びセンサ81,82,83等を備えた構成であるから、反応性が良好であり、適切かつ効率良く消毒できる。
【0053】
なお、消毒装置1は、側方噴射手段36、上方噴射手段37、下方噴射手段38及び靴消毒部(靴消毒手段)41をすべて備えたものには限定されず、少なくともいずれか一つの手段を備えた構成でもよく、例えば下方噴射手段38を設けない構成や、上方噴射手段37を設けない構成等でもよい。
【0054】
また、消毒液供給手段70の配管ラインは、3系統の構成には限定されず、例えば2つの循環配管部63,63を1つのラインとした2系統の構成や、例えば3つの循環配管部10,63,63を1つのラインとした1系統の構成とすることも可能である。
【0055】
さらに、消毒液が循環可能な循環配管部10,63,63の如く循環ラインとすることが好ましいが、例えば循環ラインとせず、ポンプ作動用センサからの検知信号に基づいて各ポンプが作動して各ノズルが消毒液を噴射するようにしてもよい。
【0056】
また、例えば噴射ポンプ作動用センサ82の代わりに、循環ポンプ作動用センサ81の検知に基づく循環ポンプの作動開始からの経過時間を計測するタイマー手段を備えた構成としてもよい。
【0057】
さらに、例えば人が履いている靴Kの種類を判別(例えば短靴K1及び長靴K2のどちらであるかを判別)する判別手段を備え、その判別の結果に応じて調整手段が消毒液の液位を自動調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 消毒装置
2 人移動領域
6 縦配管
7 上横配管
8 下横配管
10 循環配管部
21 第1横向きノズル
22 第2横向きノズル
23 第3横向きノズル
26 第1下向きノズル
27 第2下向きノズル
28 第3下向きノズル
31 第1上向きノズル
32 第2上向きノズル
33 第3上向きノズル
42 上面開口部
43 貯留手段である貯留槽
44 床手段
45 調整手段
46 噴射手段
53 支持板
54 マット
56 オーバーフロー管
81 検知手段である循環ポンプ作動用センサ
h 消毒液の液位
H 消毒液の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8