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特許7043106連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20220322BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220322BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20220322BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/20
G06F30/13
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021150702
(22)【出願日】2021-09-16
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】202110531889.6
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519295166
【氏名又は名称】▲広▼州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 安
(72)【発明者】
【氏名】李 恕民
(72)【発明者】
【氏名】趙 若紅
(72)【発明者】
【氏名】傳 継陽
(72)【発明者】
【氏名】呉 玖栄
(72)【発明者】
【氏名】劉 愛栄
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 挺
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-077830(JP,A)
【文献】特開2014-149733(JP,A)
【文献】特開2010-067022(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107609282(CN,A)
【文献】BALAMURUGAN, R. et al.,A two phase approach based on skeleton convergence and geometric variables for topology optimization,Structural and multidisciplinary optimization [online],Springer,2011年,Vol. 43,pp. 381-404,インターネット,<URL: https://link.springer.com/article/10.1007/s00158-010-0560-4>,[検索日 2021.08.11]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法であって、
SIMP密度補間モデルを用いてトポロジー最適化を行い、トポロジー最適化結果を得ることと、
トポロジー最適化結果を図形2値化処理して、トポロジー2値画像を得ることと、
トポロジー骨格を抽出することであって、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行い、e-8隣接領域検出モデルを構築し、骨格抽出アルゴリズムを用いてトポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域のセル値情況を検出し、非骨格セル識別を行い、非骨格セルを棄却して骨格セルを保留し、トポロジー骨格図を抽出して得る、抽出することと、
第一の制約準則を設置することであって、前記第一の制約準則は、境界制約セル及び負荷作用線セルがトポロジー骨格抽出プロセスにおいて実体セルとして保持されるように設定される、設置することと、
骨格ノード判定モデルを構築し、骨格ノード判定モデルに基づいて、トポロジー骨格図の骨格ノードセルに対して抽出を行い、骨格ノード図を得ることと、
合併準則を設置し、近い骨格ノードを合併することであって、前記合併準則は、両骨格ノードの距離を計算し、制御距離値を設置し、両骨格ノードの距離が前記制御距離値未満であると判定した場合、二つの骨格ノードが結ぶ直線の幾何中心を新たな骨格ノードとし、既存の二つの骨格ノードを削除するように設定される、合併することと、
第二の制約準則を設置することであって、前記第二の制約準則は、両骨格ノードの距離が制御距離値未満である場合、且つこの両骨格ノードのうちの一つが境界制約点セル又は負荷作用点セルである場合、骨格ノードを合併する時、別の骨格ノードを境界制約点セル又は負荷作用点セルに合併するように設定される、設置することと、
任意の二つの骨格ノードの間に、線形補間を用いて棒材を生成し、e-8隣接領域検出モデルに基づき、前記棒材経路上の8隣接領域のセル値情況を検出し、棒材を識別し、棒材経路上の8隣接領域実体セルの総数が空洞セルの総数より大きいと判定した場合、棒材を保留し、そうでなければ、棄却し、棒システム構造を生成することとを含む、ことを特徴とする連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法。
【請求項2】
前述した、トポロジー最適化結果を図形2値化処理することは、具体的には、
前記トポロジー最適化結果が実体セル、空洞セルと中間セルを含み、前記図形2値化処理は、中間セルを実体セル又は空洞セルに変換し、すべてのセルをトラバースし、現在セルeのセル値が予め設定された2値化処理閾値が未満であると判定した場合、現在セルeを空洞セルとし、そうでなければ、実体セルとし、最終的に、トポロジー2値画像を得ることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法。
【請求項3】
前述した、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行うことは、具体的には、トポロジー2値画像上、下、左、右を、各1列空洞セルを拡張することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法。
【請求項4】
前述した、トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域のセル値情況を検出し、非骨格セル識別を行うことであって、判断条件は、
トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が実体セル個数設定閾値範囲を満たすか否かを検出すること、
トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が実体セル連続を満たすか否かを検出すること、
現在セルe上側のセルが8隣接領域の実体セル不連続を満たすか否かを検出すること、
現在セルe左側のセルが8隣接領域の実体セル不連続を満たすか否かを検出すること、
判断条件がいずれも満たす場合、非骨格セルと判定し、すべての非骨格セルを棄却するまで判断プロセスを繰り返することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法。
【請求項5】
前述した、骨格ノード判定モデルを構築することは、具体的には、
複数の骨格ノードセルの基本判定モデルを構築し、物体の形状回転不変性原則に基づいて、骨格ノードセルの基本判定モデルを90°、180°、270°回転させて新規追加判定モデルを得、骨格ノードセルの基本判定モデルと新規追加判定モデルとを骨格ノード判定モデルとすることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法。
【請求項6】
制御距離値を設置することは、具体的には、
骨格ノードから任意の二つの骨格ノードを選択して、棒材に連結する排列の組合せ数を計算し、両骨格ノードの距離情報を上三角行列に格納し、上三角行列の各行から中央値を取り、和を求めてノード数で割って、制御距離値を得ることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法により、カンチレバー梁構造又は単純支持梁構造を、棒システム構造に変換する方法。
【請求項8】
トポロジー最適化モジュール、2値化モジュール、トポロジー骨格抽出モジュール、第一の制約準則設定モジュール、骨格ノード判定モデル構築モジュール、骨格ノード抽出モジュール、近い骨格ノード合併モジュール、第二の制約準則設定モジュールと棒材識別生成モジュールを含み、
前記トポロジー最適化モジュールは、SIMP密度補間モデルを用いてトポロジー最適化を行い、トポロジー最適化結果を得るために用いられ、
前記2値化モジュールは、トポロジー最適化結果を図形2値化処理して、トポロジー2値画像を得るために用いられ、
前記トポロジー骨格抽出モジュールは、トポロジー骨格を抽出し、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行い、e-8隣接領域検出モデルを構築し、骨格抽出アルゴリズムを用いてトポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域のセル値情況を検出し、非骨格セル識別を行い、非骨格セルを棄却して骨格セルを保留し、トポロジー骨格図を抽出して得るために用いられ、
前記第一の制約準則設定モジュールは、第一の制約準則を設置するために用いられ、前記第一の制約準則が境界制約セル及び負荷作用線セルがトポロジー骨格抽出プロセスにおいて実体セルとして保持されるように設定され、
前記骨格ノード判定モデル構築モジュールは、骨格ノード判定モデルを構築するために用いられ、
前記骨格ノード抽出モジュールは、骨格ノード判定モデルに基づいて、トポロジー骨格図の骨格ノードセルに対して抽出を行い、骨格ノード図を得るために用いられ、
前記近い骨格ノード合併モジュールは、合併準則を設置し、近い骨格ノードを合併するために用いられ、前記合併準則が両骨格ノードの距離を計算し、制御距離値を設置し、両骨格ノードの距離が前記制御距離値未満であると判定した場合、二つの骨格ノードが結ぶ直線の幾何中心を新たな骨格ノードとし、既存の二つの骨格ノードを削除するように設定され、
前記第二の制約準則設定モジュールは、第二の制約準則を設置するために用いられ、前記第二の制約準則が両骨格ノードの距離が制御距離値未満である場合、且つこの両骨格ノードのうちの一つが境界制約点セル又は負荷作用点セルである場合、骨格ノードを合併する時、別の骨格ノードを境界制約点セル又は負荷作用点セルに合併するように設定され、
前記棒材識別生成モジュールは、任意の二つの骨格ノードの間に、線形補間を用いて棒材を生成し、e-8隣接領域検出モデルに基づき、前記棒材経路上の8隣接領域のセル値情況を検出し、棒材を識別し、棒材経路上の8隣接領域実体セルの総数が空洞セルの総数より大きいと判定した場合、棒材を保留し、そうでなければ、棄却し、棒システム構造を生成するために用いられる、ことを特徴とする連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換するシステム。
【請求項9】
記憶媒体であってプログラムが記憶されており、前記プログラムがプロセッサによって実行される時、請求項1~6のいずれか1項に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を実現させる、ことを特徴とする記憶媒体。
【請求項10】
計算機器であって、プロセッサと、プロセッサ実行可能なプログラムを格納するためのメモリとを含み、メモリに記憶されるプログラムが前記プロセッサによって実行される時、請求項1~6のいずれか1項に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を実現させる、ことを特徴とする計算機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造トポロジー最適化技術分野に関し、具体的には、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造最適化設計技術は、構造部材のレイアウトを調整することにより、構造の外力への抵抗性能をできるだけ高めることができ、非常に重要な応用価値がある。鋼構造や鉄筋コンクリートフレーム構造にとって、一般的に、構造部材のレイアウトに対して最適化を行う方法は、離散最適化方法を多く採用しており、即ち、構造の基本部材(鉄筋コンクリートフレーム構造の梁、柱)を決定した上で、他の部材(例えば、斜め支持体など)に対してレイアウト最適化を行い、採用されるポリシは、基本的に異なる斜め支持部材のノード接続位置を列挙し、複数の斜め支持レイアウト方案を得、各レイアウト方案における構造全体に対して力学動作分析を行い、その後、各方案の優劣性(一般的には、構造の全体横方向剛性を指標とする)を比較し、そのうちから最適な方案を選択し、最適なトポロジーであると考えてもよい。
【0003】
しかしながら、斜め支持体などの部材接続ノードの選択可能な方案が非常に多いため、上記計算方法の計算量は非常に巨大であり、離散最適化がコンピュータハードウェアに対する要求が高く、計算所要時間が長いことを意味する。それに対して、連続体トポロジー最適化技術は、より高い計算効率を持っているが、連続体トポロジー最適化の結果は往々に棒システム構造ではなく、設計領域内のある最適化後の実体構造であり、これは、自動車部材製造などの分野にとって、実現可能であり、非規則の実体構造が金型などを介して、迅速且つ大量工業化製造を行うことが可能であるからである。しかしながら、建築構造の場合、非規則の実体部材の製造コストが極めて高く、且つ取り付け不便である。
【0004】
従来のトポロジー最適化と骨格抽出に基づく棒システム構造設計方法では、抽出された骨格ノード図は比較的ラフネスであり、且つ人為的に棒システム構造に連結しており、人工介入が強く、全過程のコンピュータ自動化処理が実現されず、広汎性を持たない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術に存在する欠陥と不足を克服するために、本発明は、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を提供する。この方法は、棒材を完全に識別する準則を提案し、コンピュータが棒材を自動的に識別し、棒システム構造を生成することを実現し、トポロジー最適化結果を建築構造設計に容易する。
【0006】
本発明の第二の目的は、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法の応用を提供することである。
【0007】
本発明の第三の目的は、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換するシステムを提供することである。
【0008】
本発明の第四の目的は、記憶媒体を提供することである。
【0009】
本発明の第五の目的は、計算機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を実現するために、本発明は、以下の技術案を用いる。
【0011】
連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法であって、
SIMP密度補間モデルを用いてトポロジー最適化を行い、トポロジー最適化結果を得ることと、
トポロジー最適化結果を図形2値化処理して、トポロジー2値画像を得ることと、
トポロジー骨格を抽出することであって、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行い、e-8隣接領域検出モデルを構築し、骨格抽出アルゴリズムを用いてトポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域のセル値情況を検出し、非骨格セル識別を行い、非骨格セルを棄却して骨格セルを保留し、トポロジー骨格図を抽出して得る、抽出することと、
第一の制約準則を設置することであって、前記第一の制約準則は、境界制約セル及び負荷作用線セルがトポロジー骨格抽出プロセスにおいて実体セルとして保持されるように設定される、設置することと、
骨格ノード判定モデルを構築し、骨格ノード判定モデルに基づいて、トポロジー骨格図の骨格ノードセルに対して抽出を行い、骨格ノード図を得ることと、
合併準則を設置し、近い骨格ノードを合併することであって、前記合併準則は、両骨格ノードの距離を計算し、制御距離値を設置し、両骨格ノードの距離が前記制御距離値が未満であると判定した場合、二つの骨格ノードが結ぶ直線の幾何中心を新たな骨格ノードとし、既存の二つの骨格ノードを削除するように設定される、合併することと、
第二の制約準則を設置することであって、前記第二の制約準則は、両骨格ノードの距離が制御距離値が未満である場合、且つこの両骨格ノードのうちの一つが境界制約点セル又は負荷作用点セルである場合、骨格ノードを合併する時、別の骨格ノードを境界制約点セル又は負荷作用点セルに合併するように設定される、設置することと、
任意の二つの骨格ノードの間に、線形補間を用いて棒材を生成し、e-8隣接領域検出モデルに基づき、前記棒材経路上の8隣接領域のセル値情況を検出し、棒材を識別し、棒材経路上の8隣接領域実体セルの総数が空洞セルの総数より大きいと判定した場合、棒材を保留し、そうでなければ、棄却し、保留された棒材を棒システム構造を生成することとを含む。
【0012】
好適技術案として、前述した、トポロジー最適化結果を図形2値化処理することは、具体的には、
前記トポロジー最適化結果が実体セル、空洞セルと中間セルを含み、前記図形2値化処理は、中間セルを実体セル又は空洞セルに変換し、すべてのセルをトラバースし、現在セルeのセル値が予め設定された2値化処理閾値が未満であると判定した場合、現在セルeを空洞セルとし、そうでなければ、実体セルとし、最終的に、トポロジー2値画像を得ることを含む。
【0013】
好適技術案として、前述した、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行うことは、具体的には、
トポロジー2値画像上、下、左、右を、各1列空洞セルを拡張することを含む。
【0014】
好適技術案として、前述した、トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域のセル値情況を検出し、非骨格セル識別を行うことであって、判断条件は、
トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が実体セル個数設定閾値範囲を満たすか否かを検出すること、
トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が実体セル連続を満たすか否かを検出すること、
現在セルe上側のセルが8隣接領域の実体セル不連続を満たすか否かを検出すること、
現在セルe左側のセルが8隣接領域の実体セル不連続を満たすか否かを検出すること、
判断条件がいずれも満たす場合、非骨格セルと判定し、すべての非骨格セルを棄却するまで判断プロセスを繰り返することを含む。
【0015】
好適技術案として、前述した、骨格ノード判定モデルを構築することは、具体的には、
複数の骨格ノードセルの基本判定モデルを構築し、物体の形状回転不変性原則に基づいて、骨格ノードセルの基本判定モデルを90°、180°、270°回転させて新規追加判定モデルを得、骨格ノードセルの基本判定モデルと新規追加判定モデルとを骨格ノード判定モデルとすることを含む。
【0016】
好適技術案として、制御距離値を設置することは、具体的には、
骨格ノードから任意の二つの骨格ノードを選択して、棒材に連結する排列の組合せ数を計算し、両骨格ノードの距離情報を上三角行列に格納し、上三角行列の各行から中央値を取り、和を求めてノード数で割って、制御距離値を得ることを含む。
【0017】
本発明の第二の目的を実現するために、本発明は、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法の応用を提供し、上記連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法をカンチレバー梁構造又は単純支持梁構造に応用する。
【0018】
本発明の第三の目的を実現するために、本発明は、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換するシステムを提供する。このシステムは、トポロジー最適化モジュール、2値化モジュール、トポロジー骨格抽出モジュール、第一の制約準則設定モジュール、骨格ノード判定モデル構築モジュール、骨格ノード抽出モジュール、近い骨格ノード合併モジュール、第二の制約準則設定モジュールと棒材識別生成モジュールを含み、
前記トポロジー最適化モジュールは、SIMP密度補間モデルを用いてトポロジー最適化を行い、トポロジー最適化結果を得るために用いられ、
前記2値化モジュールは、トポロジー最適化結果を図形2値化処理して、トポロジー2値画像を得るために用いられ、
前記トポロジー骨格抽出モジュールは、トポロジー骨格を抽出し、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行い、e-8隣接領域検出モデルを構築し、トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域のセル値情況を検出し、非骨格セル識別を行い、非骨格セルを棄却して骨格セルを保留し、トポロジー骨格図を抽出して得るために用いられ、
前記第一の制約準則設定モジュールは、第一の制約準則を設置するために用いられ、前記第一の制約準則が境界制約セル及び負荷作用線セルがトポロジー骨格抽出プロセスにおいて実体セルとして保持されるように設定され、
前記骨格ノード判定モデル構築モジュールは、骨格ノード判定モデルを構築するために用いられ、
前記骨格ノード抽出モジュールは、骨格ノード判定モデルに基づいて、トポロジー骨格図の骨格ノードセルに対して抽出を行い、骨格ノード図を得るために用いられ、
前記近い骨格ノード合併モジュールは、合併準則を設置し、近い骨格ノードを合併するために用いられ、前記合併準則が両骨格ノードの距離を計算し、制御距離値を設置し、両骨格ノードの距離が前記制御距離値が未満であると判定した場合、二つの骨格ノードが結ぶ直線の幾何中心を新たな骨格ノードとし、既存の二つの骨格ノードを削除するように設定され、
前記第二の制約準則設定モジュールは、第二の制約準則を設置するために用いられ、前記第二の制約準則が両骨格ノードの距離が制御距離値が未満である場合、且つこの両骨格ノードのうちの一つが境界制約点セル又は負荷作用点セルである場合、骨格ノードを合併する時、別の骨格ノードを境界制約点セル又は負荷作用点セルに合併するように設定され、
前記棒材識別生成モジュールは、任意の二つの骨格ノードの間に、線形補間を用いて棒材を生成し、e-8隣接領域検出モデルに基づき、前記棒材経路上の8隣接領域のセル値情況を検出し、棒材を識別し、棒材経路上の8隣接領域実体セルの総数が空洞セルの総数より大きいと判定した場合、棒材を保留し、そうでなければ、棄却し、保留された棒材を棒システム構造を生成するために用いられる。
【0019】
本発明の第四の目的を実現するために、本発明は、記憶媒体を提供する。この記憶媒体には、プログラムが記憶されており、前記プログラムがプロセッサによって実行される時、上記連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を実現させる。
【0020】
本発明の第五の目的を実現するために、本発明は、計算機器を提供する。この計算機器は、プロセッサと、プロセッサ実行可能なプログラムを格納するためのメモリとを含み、メモリに記憶されるプログラムが前記プロセッサによって実行される時、上記連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を実現させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、従来技術に比べて、以下の利点及び有益な効果を有する。
(1)本発明は、SIMP密度補間原理を用いてトポロジー最適化を行い、且つ境界制約及び負荷作用点の存在を保証するように、ポロジー骨格抽出プロセスにおいて制約準則を付加し、近いノードを十分に合併し、短棒を除去し、結果をより工事実際施工設計を容易にし、棒材を識別する完全な準則を提案し、コンピュータの棒材自動識別、及び棒システム構造の生成を実現し、トポロジー最適化結果を建築構造設計を容易にする。
(2)本発明は、境界拡張方法を用いてトポロジー骨格抽出と骨格ノード抽出を行い、境界制約セル及び負荷作用線セルに8隣接領域が存在しないという課題を解決し、全プロセスをより簡潔且つ汎用性を有するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施例1の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法のフローチャートである。
図2】本実施例1のe-8隣接領域検出モデルの概略図である。
図3a】本実施例1のe-8隣接領域実体セルの連続モデルの第一の情況の列挙概略図である。
図3b】本実施例1のe-8隣接領域実体セルの連続モデルの第二の情況の列挙概略図である。
図3c】本実施例1のe-8隣接領域実体セルの不連続モデルの第一の情況の列挙概略図である。
図3d】本実施例1のe-8隣接領域実体セルの不連続モデルの第二の情況の列挙概略図である。
図3e】本実施例1のe-8隣接領域検出モデルを用いてトポロジー骨格を検出して抽出するプロセスの概略図である。
図4】本実施例1の空中トポロジー骨格図の概略図である。
図5】本実施例1の境界制約セル及び負荷作用線セルの概略図である。
図6a】本実施例1の骨格ノードセルの4種類の基本判定モデルの概略図である。
図6b】本実施例1の骨格ノードセルの13種類の判定モデルの概略図である。
図7】本実施例1の棒材上三角行列の構造概略図である。
図8】本実施例1の一つノードが境界制約セル又は負荷作用線セルに合併する概略図である。
図9】本実施例1の棒材識別の概略図である。
図10】本実施例1の二次元カンチレバー梁の設計領域及び境界条件の概略図である。
図11】本実施例1のトポロジー最適化結果の概略図である。
図12】本実施例1の図形2値化処理結果の概略図である。
図13】本実施例1のトポロジー骨格抽出の概略図である。
図14】本実施例1の骨格ノード抽出結果の概略図である。
図15】本実施例1の近いノード合併結果の概略図である。
図16】本実施例1の棒材識別及び棒システム構造生成結果の概略図である。
図17】本実施例1の棒材誤消滅及び誤り保留の情況対比結果の概略図である。
図18】本実施例2の二次元単純支持梁の設計領域及び境界条件の概略図である。
図19】本実施例2の半構造トポロジー最適化結果の概略図である。
図20】本実施例2の図形2値化処理結果の概略図である。
図21】本実施例2のトポロジー骨格抽出の概略図である。
図22】本実施例2の骨格ノード抽出結果の概略図である。
図23】本実施例2の近いノード合併結果の概略図である。
図24】本実施例2の棒材識別及び棒システム構造生成結果の概略図である。
図25】本実施例2の単純支持梁トポロジー結果図を棒システム構造結果に変換する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下で、添付図面及び実施例を結び付けながら、本発明についてさらに詳細に説明する。理解すべきことは、本明細書に記載される具体的な実施例は、単に本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0024】
実施例1
図1に示すように、本実施例は、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を提供する。この方法は、具体的には、以下のステップを含む。
【0025】
S1、トポロジー最適化
SIMP密度補間モデルを用いてトポロジー最適化を行って得られた結果は、実体セル、空洞セルと中間セル(グレースケールセルとも呼ばれ、一般的に、実体セルと空洞セルとの境界部に位置する)があり、そのうち、実体セルの値は1(黒色)であり、空洞セルの値は0(白色)であり、中間セルの値は0~1の間(灰色)である。
【0026】
S2、図形2値化処理
2値化処理とは、セルの値を0と1に変換し、最後に一つのトポロジー2値画像となり、黒色・白色の2色しかないため、黒白2値画像とも呼ばれる。トポロジー最適化結果をトポロジー2値画像に変換することは、合理的な閾値を選定して2値化処理を行う必要があり、それによって、中間セル(灰色)を実体セル(黒色)と空洞セル(白色)に変換することができる。2値化処理の具体的な操作:すべてのセルをトラバースし、現在セルeのセル値が選定された2値化処理閾値が未満であるか否かを判断し、選定された2値化処理閾値が未満であれば、現在セルeのセル値を0に変換し、即ち、空洞セル(白色)とする。これに反して、1に変換し、即ち、実体セル(黒色)とし、最終的にトポロジー2値画像を得る。
【0027】
S3、トポロジー骨格抽出
2値化処理後の図形は、黒白2値画像であり、さらにトポロジー骨格抽出を行う必要がある。トポロジー骨格抽出は、以下のトポロジー骨格識別アルゴリズムにより、骨格セルを保留し、非骨格セルを消滅し、最後にトポロジー骨格図を得る。具体的なプロセスは、以下のとおりである。
【0028】
S31、e-8隣接領域検出モデル構築
e-8隣接領域の相対位置のためにソートを行い、そのうち、eは現在セルであり、番号1~8のセルは、セルeに隣接する8つのセルであり、第一のセル~第八のセルを用いて説明する。現在セルeが骨格セルであるか否かを判断するためには、このセルの8つの隣接セルを検出し、その対応するセル値(空洞セル値は0であり、実体セル値は1である)を取得する必要がある。境界制約セル(即ち、境界部の様々な固定端及び支持に接触するセル)及び負荷作用線セル(即ち、負荷作用線位置が通過するセル)には8隣接領域の問題が存在しないため、本実施例は、境界拡張方法を用いてトポロジー骨格抽出と骨格ノード抽出を行う。境界拡張方法とは、即ち、トポロジー2値画像上、下、左、右を、各1列空洞セル(白色)を拡張することであり、トポロジー2値画像行列サイズがm×nである場合、拡張された行列サイズは、(m+2)×(n+2)となる。
【0029】
現在セルeの8隣接領域のセルを取得した場合、以下のように判断される。
【0030】
(1)トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が実体セル(黒色)個数が2~6個であることを満たすか否かを検出すること
【0031】
(2)トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が実体セル(黒色)がいずれも連続するか否かを検出することであって、連続準則は、現在セルeの8隣接領域におけるすべての実体セル(黒色)が隣接しており、中断しない場合、実体セル連続とし、これに反して、実体セルの間に空洞セル(白色)が存在する場合、実体セルは連続しない、検出すること。
【0032】
本実施例では、2種類の実体セル連続と不連続の場合をそれぞれ列挙し、図3(a)~図3(d)に示すように、図3(a)、図3(b)は実体セル連続であり、図3(c)、図3(d)は実体セル不連続である。図3(a)におけるeの8隣接領域における第一のセル、第二のセルと第三のセルは、実体セル且つ隣接して中断しない場合、実体セル連続である。同じことは、図3(b)におけるeの8隣接領域における第二のセル、第三のセル、第五のセルと第八のセルは、実体セル且つ隣接して中断しない場合、実体セル連続である。図3(c)におけるeの8隣接領域における第一のセルと第三のセルは、実体セルであるが、隣接しなく、第二のセル(空洞セル)によって遮断される場合、実体セル不連続である。同じことは、図3(d)におけるeの8隣接領域における第二のセル、第五のセル、第八のセルは、実体セルであり、第五のセルと第八のセルは、隣接しているが、第二のセルと第五のセルは、第三のセル(空洞セル)によって遮断されるため、すべての実体セルが連続するわけではない場合、実体セルは不連続である。
【0033】
(3)トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が、「上、左、右」(即ち、第二のセル、第四のセル、第五のセル)のすべてが実体セルではないことを満すか否か、又は現在セルe上側のセル(即ち、第二のセル)が、8隣接領域内の実体セル連続を満たさないか否かを検出すること。
【0034】
(4)トポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域が、「上、左、下」(即ち、第二のセル、第四のセル、第七のセル)のすべてが実体セルではないことを満たすか否か、又は現在セルe左側のセル(即ち、第四のセル)が、8隣接領域内の実体セル連続を満たさないか否かを検出すること。
【0035】
図3(e)に示すように、本実施例は、カンチレバー梁を例にして、e-8隣接領域検出モデルを用いてトポロジー骨格を検出して抽出するプロセスを紹介する。この時、黒白2値画像ではなく、黒白灰の3値画像であり、それぞれ2、0、1の3種類の値である。e-8隣接領域検出モデル検索フレーム(即ち、図中の黒色検索フレーム)中心の黒色セルは、現在セルeであり、その値は2である。e-8隣接領域検出モデル検索フレームにおける灰色セルは、現在セルeの8隣接領域における実体セルであり、その値は1である。e-8隣接領域検出モデル検索フレームにおける白色セルは、現在セルeの8隣接領域における空洞セルであり、その値は0である。e-8隣接領域検出モデル検索フレームは、左から右へ、トポロジー2値画像のすべての実体セル(黒色)に対して行毎に検出し、すべての実体セル(黒色)をトラバースする。現在セルeの8隣接領域のセル値の情況が上記(1)~(4)の四つの条件を同時に満たす場合、現在セルeは非骨格セルであり、そのセル値を0とし、空洞セル(白色)に変わる。その後、次のセルの判断を行い、トポロジー2値画像のすべての実体セルをトラバースして判定が終了した後、トポロジー2値画像を更新し、(1)~(4)のプロセスを繰り返して新たなラウンドの非骨格セルの判断を行う。このようにして、すべての非骨格セルを消滅するまで繰り返し、最終的に骨格セルのみが残り、循環は終了する。
【0036】
S32、e-8隣接領域検出モデルのトポロジー骨格抽出アルゴリズムのスクリーニングを経て、図4に示すように、得られたトポロジー骨格図は、空中である可能性があり、即ち、残りの骨格セルが境界部の支持との接触を失う可能性があり、且つ負荷作用点部のセルも非骨格セルであるため、削除される場合がある。これは、実際構造が境界支持と接触しなければならないこと、及び負荷が構造に作用しなければならない事実情況とは一致しない。したがって、境界支持及び負荷作用点に骨格セルが存在しなければならないことを保証するために、第一の制約準則を追加して制御を行う必要がある。第一の制約準則の内容は、どのような繰り返しであっても、境界制約セルと負荷作用線セルは、トポロジー骨格抽出アルゴリズムのスクリーニングプロセスにおいて、始終的に消滅されなく、即ち、境界制約セルと負荷作用線セルは、始終的に実体セルであり、その値は始終的に1である。図5に示すように、図中の左側の両ブロックによって標記されるのは境界制約セルであり、図中の右側のブロックによって標記されるのは負荷作用線セルである。
【0037】
S4、骨格ノード抽出
e-8隣接領域検出モデルを用いて、トポロジー骨格図の骨格セルに対して逐一検出を行い、骨格ノードの要求を符合する骨格ノードを保留し、これに反して、消滅する。このプロセスは、前述したステップで得られた骨格セルから構造ノードを抽出するために用いられ、具体的なプロセスは、以下のとおりである。図6(a)に示すように、図に示される判断は、現在セルeがノードセルの基本判定モデルであるか否かであることであり、そのうち、標識が1(即ち、セル値が1である)であるセルは、実体セルであり、標識がXであるセルは、実体セルであってもよいし、空洞セル(即ち、セル値が0又は1である)であってもよい。図6(a)に示す4種類の基本判定モデルを満たすすべての現在セルeは、骨格ノードと判定される。
【0038】
物体の形状回転不変性から分かるように、図6(a)における4種類の基本判定モデルを90°、180°、270°回転させて得られた判定モデルも骨格ノードセルの判断要求を符合する。4種類の基本判定モデルを回転して整理し、計13種類のモデルがある。そのうち、第一の基本判定モデルは、中心対称であるものであるため、90°、180°、270°回転させても不変であり、実際には同一のモデルである。他の3種類の基本判定モデルをそれぞれ90°、180°、270°回転させると、それぞれ3種類のモデルを新規追加し、計9種類のモデルを新規追加し、図6(b)に示すように、4種類の基本判定モデルと加算すると、計13種類の判定モデルを得る。現在セルeの8隣接領域の0、1値の情況と13種類のモデルのいずれかに一致するか否かを比較し、一致すれば、現在セルeが骨格ノードと考えられる。
【0039】
S5、近い骨格ノード合併
骨格ノード抽出ステップを経て骨格ノード図を得、このようなノードにより相応な棒システム構造を形成すれば、一部のノード距離が近すぎると、短棒などの情況が発生する場合があり、短棒は施工不便且つ継手の接続数量が増加させ、コストを大幅に増加し、工事実際要求と背離するため、実際工事構造において、短棒の出現を可能な限り避けなければならない。
【0040】
しかし、近いノードを合併するプロセスで、次の問題もある。
【0041】
問題1、近いノードとは、相対的な概念であり、且つ準則も異なる。準則により設置される距離が近すぎると、いくつかの近いノードを漏らす可能性があり、合併すべきノードが完全に合併されていない。これに反して、準則により設置される距離が遠すぎると、いくつかのノードを誤消滅する可能性があり、合併すべきでないノードを合併する。
【0042】
問題2、合併のプロセスで制約しなければ、棒材を形成するプロセスでも中空構造(即ち、構造と境界支持との接触を失う)、且つ負荷も作用する点がない場合(即ち、負荷作用点の構造が合併された後、存在しなくなる)が出現する可能性があり、これは、明らかに実際構造の要求に合わない。したがって、境界制約点セルと負荷作用点セル(ここでは、既に骨格ノードの抽出を経ているため、境界制約セルは境界制約点セルとなり、負荷作用線セルは負荷作用点セルとなる)の存在を保証するように、相応な制約準則を設定しなければならない。
【0043】
問題1に対して、本発明は、以下の合併準則を提案する。
両骨格ノードの距離を計算し、前述したステップにより既にN個の骨格ノードを得、
【数1】

距離情報を上三角行列に格納する。図7に示すように、本実施例3で生成された上三角行列を例にして、上三角行列の構造を具体的に説明する。そのうち、上三角行列(i,j)における値は、i番目の骨格ノードとj番目の骨格ノードから形成される棒材値に対応する。制御距離準則:上三角行列の各行から中央値を取り、和を求めてノード数で割って、制御距離値を得る。両ノードの距離がこの制御距離が未満である場合、この両ノードは、幾何中心点原則に従って同一ノードに合併し、即ち、二つのノードが結ぶ直線の幾何中心点を新たな骨格ノードとし、既存の二つの骨格ノードを削除すべきであると考えられる。
【0044】
問題2に対する解決手段は、境界制約骨格セルと負荷作用点セルの存在を保証するために、相応な第二の制約準則を設置することである。第二の制約準則の内容は、両ノードの距離が制御距離が未満である場合、且つこの両ノードのうちの一つが境界制約点セル又は負荷作用点セルである場合、ノードを合併する時、別のノードを境界制約点セル又は負荷作用点セルに合併することである。
【0045】
図8に示すように、複数の骨格ノードを抽出得、第一のノード1、第二のノード2、第三のノード3、第四のノード4、第五のノード5、第六のノード6、第七のノード7、第八のノード8及び第九のノード9を含み、そのうち、第三のノード3は、第一のノード1に合併され、第四のノード4は、第二のノード2に合併される。
【0046】
S6、棒材識別
棒材を識別するプロセスでは、少なくとも以下の問題がある。
【0047】
問題1、棒材が存在するか否かの問題は、任意の二つのノードの間に棒材が存在するわけではない。方法が適当でないと、棒材を誤消滅したり、又は本来存在すべきではない棒材が産生したりする場合がある。
【0048】
問題2、まず、二つのノード間に線形補間を用いて、棒材を生成する。この方法で生成された棒材とトポロジー骨格図の棒材位置とずれている可能性がある。その原因は、前のトポロジー骨格抽出のステップが、前ステップと近いノードを合併したためであり、棒材識別の難度を向上させる。
【0049】
上記二つの問題を解決する具体的な方法は、以下のとおりである。
カンチレバー梁構造を例にして、棒材識別の具体的なプロセスを紹介する。図9に示すように、まず、第一のノード1と第三のノード3との間に、線形補間を用いて棒材を生成し、この時、黒白2値画像ではなく、黒白浅灰深灰4値画像であり、それぞれ1、-2、-1、0の4種類の値である。棒材経路上で、黒色セルは実体セルであり、その値は1である。浅灰色セルは生成された棒材セルとトポロジー骨格セルと重なるセルであるため、実体セルでもあり、その値は-1である。一方、白色セルは空洞セルであり、その値は-2である。深灰色セルは背景セルであり、その値は0である。e-8隣接領域検出モデルを用いて、この棒材経路上の8隣接領域のセル値情況を検出し、この棒材経路上の8隣接領域実体セルの総数が空洞セルの総数より大きい場合、ここに棒材があると考えられ、これに反して、ここに棒材は存在しない。これによって、棒材の存在するか否か問題及び棒材位置ずれの問題を効果的に解決することができる。存在すべきでない棒材は消滅され、存在すべき棒材は保留され、最後に棒システム構造を生成することができ、トポロジー骨格抽出の全プロセスはこれで終了する。
【0050】
本実施例は、カンチレバー梁構造を例にして、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法の実施形態を具体的に説明する。
【0051】
図10に示すように、構造トポロジー最適化の設計空間は、60mm×30mmの長方形領域であり、構造の左側の垂直辺上でそのX、Yの2方向の自由度を制約し、その相対な右端底角で1KNの垂直下向きの集中負荷を加え、設計領域材料の弾性係数は1Gpaであり、ポアソン比は0.3である。二次元構造に対して、本実施例は、1mm×1mmの正方形セルを用いて構造全体に対して有限要素離散化を行い、本実施例に対して、離散化された後のカンチレバー梁構造は、1800個の有限要素セルがある。
【0052】
SIMP密度補間モデルを用いて本実施例を解き、MATLABプログラミングを用いて、ペナルティー因子Pは3であり、フィルタリング半径は1.5を取り、移動限界mは0.2であり、減衰係数は0.5を選択し、図11に示すように、最終の構造のトポロジー最適化結果を得、図形2値化処理の閾値は0.75を取り、図12に示すように、図形2値化処理後の結果を得る。図13に示すように、トポロジー骨格抽出結果を得、このトポロジー骨格は、既存のトポロジー構造を保持するとともに、境界条件も工事実際に符合する。
【0053】
図14に示すように、e-8隣接領域検出モデルを用いて、13種類の骨格ノードモデルと一つ一つ照合し、骨格ノード図を得る。図15に示すように、近いノードを合併し、最終の骨格ノード図を得る。図16に示すように、棒材を識別し、存在しない棒材を消滅し、存在する棒材を保留し、最後に、棒システム構造を生成する。
【0054】
構造タイプによって2値化処理閾値の範囲が異なる。選択された2値化処理閾値が合理的であるか否かは、後続の棒材識別という操作に直接影響を与える可能性があり、この実施例の2値化処理閾値を0.58とすると、図17に示すように、最後の棒材識別結果を得、本来、第一の棒材10、第二の棒材11、第四の棒材13、第五の棒材14、第六の棒材15、第七の棒材16と第八の棒材17を得ることができる。図から分かるように、本来、存在すべき第五の棒材14と第六の棒材15は、誤消滅され、本来、存在すべきでない第九の棒材18は保留されている。その原因は、トポロジー骨格図の棒材位置と骨格ノード図線形補間を用いて生成された棒材位置にずれがあり、棒材識別準則を用いて棒材識別を行う時、一部のずれを減らすことができるが、棒材ずれが大きすぎると、棒材が誤消滅される情況を引き起こし、即ち、生成された第五の棒材14と第六の棒材15とトポロジー骨格図における第五の棒材14と第六の棒材15の位置ずれが大きすぎて、誤消滅されることである。
【0055】
同じことは、各棒材の位置が近すぎると、周辺棒材の識別に影響を与える可能性があり、第九の棒材18の出現は、トポロジー骨格図における第五の棒材14と第六の棒材15の影響を受けることに起因する。
【0056】
実施例2
本実施例は、単純支持梁構造を例にして、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法の実施形態を具体的に説明する。具体的には、以下のとおりである。
【0057】
図18に示すように、二次元単純支持梁構造トポロジー最適化設計空間は、120mm×20mmの長方形領域であり、構造の左下方隅ノードでその2方向の自由度を制約し、右下方隅ノードでそのY方向の自由度を制約し、その中央頂部で2KNの垂直下向きの集中負荷を加え、設計領域材料の弾性係数は1Gpaであり、ポアソン比は0.3である。二次元単純支持梁構造に対して、本実施例は、依然として、1mm×1mmの四辺形セルを用いて構造全体に対して有限要素離散化を行い、本実施例に対して、離散化された後の単純支持梁構造は、2400個の四辺形構造セルがある。対称構造であるため、構造の半分を取ってトポロジー最適化を行ってもよい。
【0058】
SIMP密度補間モデルを用いて本実施例を解き、MATLABプログラミングを用いて、ペナルティー因子Pは3であり、フィルタリング半径は1.5を取り、移動限界mは0.2であり、減衰係数は0.5を選択する。図19に示すように、半構造のトポロジー最適化結果を得る。図形2値化処理の閾値は0.60を取り、図20に示すように、2値化処理後の結果を得る。図21に示すように、トポロジー骨格抽出結果を得、このトポロジー骨格は、既存のトポロジー構造を保持するとともに、境界条件も工事実際に符合する。
【0059】
e-8隣接領域検出モデルを用いて、13種類の骨格ノードモデルと一つ一つ照合し、図22に示すように、骨格ノード図を得る。図23に示すように、近いノードを合併し、最終骨格ノード図を得る。棒材を識別し、存在しない棒材を消滅し、存在する棒材を保留し、図24に示すように、最後に棒システム構造を生成する。対称性を用いて、図25に示すように、最終的に単純支持梁構造を棒システム構造に変換した結果を得る。
【0060】
実施例3
本実施例は、連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換するシステムを提供する。このシステムは、トポロジー最適化モジュール、2値化モジュール、トポロジー骨格抽出モジュール、第一の制約準則設定モジュール、骨格ノード判定モデル構築モジュール、骨格ノード抽出モジュール、近い骨格ノード合併モジュール、第二の制約準則設定モジュールと棒材識別生成モジュールを含み、
本実施例では、トポロジー最適化モジュールは、SIMP密度補間モデルを用いてトポロジー最適化を行い、トポロジー最適化結果を得るために用いられ、
本実施例では、2値化モジュールは、トポロジー最適化結果を図形2値化処理して、トポロジー2値画像を得るために用いられ、
本実施例では、トポロジー骨格抽出モジュールは、トポロジー骨格を抽出し、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行い、e-8隣接領域検出モデルを構築し、骨格抽出アルゴリズムを用いてトポロジー2値画像上の現在セルeの8隣接領域のセル値情況を検出し、非骨格セル識別を行い、非骨格セルを棄却して骨格セルを保留し、トポロジー骨格図を抽出して得るために用いられ、
本実施例では、第一の制約準則設定モジュールは、第一の制約準則を設置するために用いられ、前記第一の制約準則は、境界制約セル及び負荷作用線セルがトポロジー骨格抽出プロセスにおいて実体セルとして保持されるように設定され、
本実施例では、骨格ノード判定モデル構築モジュールは、骨格ノード判定モデルを構築するために用いられ、
本実施例では、骨格ノード抽出モジュールは、骨格ノード判定モデルに基づいて、トポロジー骨格図の骨格ノードセルに対して抽出を行い、骨格ノード図を得るために用いられ、
本実施例では、近い骨格ノード合併モジュールは、合併準則を設置し、近い骨格ノードを合併するために用いられ、前記合併準則は、両骨格ノードの距離を計算し、制御距離値を設置し、両骨格ノードの距離が前記制御距離値が未満であると判定した場合、二つの骨格ノードが結ぶ直線の幾何中心を新たな骨格ノードとし、既存の二つの骨格ノードを削除するように設定され、
本実施例では、第二の制約準則設定モジュールは、第二の制約準則を設置するために用いられ、前記第二の制約準則は、両骨格ノードの距離が制御距離値が未満である場合、且つこの両骨格ノードのうちの一つが境界制約点セル又は負荷作用点セルである場合、骨格ノードを合併する時、別の骨格ノードを境界制約点セル又は負荷作用点セルに合併するように設定され、
本実施例では、棒材識別生成モジュールは、任意の二つの骨格ノードの間に、線形補間を用いて棒材を生成し、e-8隣接領域検出モデルに基づき、前記棒材経路上の8隣接領域のセル値情況を検出し、棒材を識別し、棒材経路上の8隣接領域実体セルの総数が空洞セルの総数より大きいと判定した場合、棒材を保留し、そうでなければ、棄却し、保留された棒材を棒システム構造を生成するために用いられる。
【0061】
実施例4
本実施例は、記憶媒体を提供する。この記憶媒体には、プログラムが記憶されており、前記プログラムがプロセッサによって実行される時、実施例1に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を実現させる。本実施例における記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、コンピュータメモリ、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、Uディスク、リムーバブルハードディスクなどの媒体であってもよい。
【0062】
実施例5
本実施例は、計算機器を提供する。この計算機器は、プロセッサと、プロセッサ実行可能なプログラムを格納するためのメモリとを含み、メモリに記憶されるプログラムが前記プロセッサによって実行される時、実施例1に記載の連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法を実現させる。本実施例における計算機器は、デスクトップコンピュータ、ノートパソコン、スマートフォン、PDA携帯端末、タブレット又はプロセッサ機能を有する他の端末装置であってもよい。
【0063】
上記実施例は、本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内及び原理下で行われる他の任意の変形、修飾、置換、組み合わせ、簡略化は、いずれも等価の置換方式であり、いずれも本出願の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 第一のノード
2 第二のノード
3 第三のノード
4 第四のノード
5 第五のノード
6 第六のノード
7 第七のノード
8 第八のノード
9 第九のノード
10 第一の棒材
11 第二の棒材
13 第四の棒材
14 第五の棒材
15 第六の棒材
16 第七の棒材
17 第八の棒材
18 第九の棒材
【要約】      (修正有)
【課題】連続体トポロジー最適化結果を棒システム構造に変換する方法、システム及び計算機器を提供する。
【解決手段】方法は、SIMP密度補間モデルを用いてトポロジー最適化を行うこと、トポロジー最適化結果を2値化処理して、トポロジー2値画像を得ること、トポロジー2値画像に対して境界拡張を行い、e-8隣接領域検出モデルを構築し、骨格抽出アルゴリズムを用いてトポロジー骨格図を抽出すること、第一の制約準則を設置すること、骨格ノード判定モデルに基づいてトポロジー骨格図の骨格ノードセルに対して抽出を行い、骨格ノード図を得ること、合併準則を設置し近い骨格ノードを合併すること、第二の制約準則を設置すること及び任意の二つの骨格ノードの間に、線形補間を用いて棒材を生成し、e-8隣接領域検出モデルに基づき、棒材経路上の8隣接領域のセル値情況を検出し、棒材を識別して保留し、最終的に棒システム構造を生成することを含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25