(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】撚線導体
(51)【国際特許分類】
H01B 5/08 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
H01B5/08
(21)【出願番号】P 2021201054
(22)【出願日】2021-12-10
【審査請求日】2022-01-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395005169
【氏名又は名称】三洲電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 俊文
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】特許第6937535(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/08
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の太径線を周方向に離間して配設し、周方向に隣り合う太径線間に、前記太径線より細い第1中径線を1本配設した撚線導体であって、
周方向に隣り合う太径線間で、かつ、前記第1中径線の前記撚線導体の中心側に、前記第1中径線より細い第2中径線を、該第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記太径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置するように1本配設し、
周方向に隣り合う第2中径線間に、該第2中径線より細い第1細径線を、該第1細径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、かつ、前記太径線に当接するように1本配設し、
前記第1細径線における前記撚線導体の中心側に、中心線を配設し、
前記太径線と、前記第1中径線と、前記第2中径線と、前記第1細径線の本数は同じであることを特徴とする撚線導体。
【請求項2】
複数本の太径線を周方向に離間して配設し、周方向に隣り合う太径線間に、前記太径線より細い第1中径線を1本配設した撚線導体であって、
周方向に隣り合う太径線間で、かつ、前記第1中径線の前記撚線導体の中心側に、前記第1中径線より細い第2中径線を、該第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記太径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置するように1本配設し、
周方向に隣り合う第2中径線間に、該第2中径線より細い第1細径線を、該第1細径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、かつ、前記太径線に当接するように1本配設し、
周方向に隣り合う第1細径線間に、該第1細径線より細い第2細径線を、該第2細径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第1細径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、かつ、前記第2中径線に当接するように1本配設し、
前記第2細径線における前記撚線導体の中心側に、中心線を配設し、
前記太径線と、前記第1中径線と、前記第2中径線と、前記第1細径線と、前記第2細径線の本数は同じであることを特徴とする撚線導体。
【請求項3】
前記撚線導体の中心から、前記太径線の外縁端までの距離と、
前記撚線導体の中心から、前記第1中径線の外縁端までの距離が同じであることを特徴とする請求項1又は2記載の撚線導体。
【請求項4】
最も外側に位置する層を構成する素線を、外側から圧縮変形したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撚線導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚線導体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線等に使用される撚線導体を構成する各々の素線は、一般的に、全て断面円形の丸線で、かつ、同一径である。該素線として銅線が主として用いられ、その銅線に、錫、ニッケル、銀、或いはアルミ、各種合金をメッキしたものが使用されている。
【0003】
例えば、同心撚り構成で、かつ、19本の素線で構成される撚線導体は、一般的に、
図9に示すように、撚線導体101における中心の1本の素線102を核として、その周囲を6本の素線103が覆い囲んで内層を形成し、更に、その外周を12本の素線104が覆い囲んで外層を形成し、それを同一方向に撚ることで形成されている。
【0004】
素線102、103、104が全て、断面円形で、かつ、同一径であることから、素線102、103、104を標準心線配列で配列して撚線導体101を形成すると、その外周形状は
図9に示すように、六角形状に近似した形状となり、丸形状に近似した形状とはならない。以下、これを従来技術1とする。
【0005】
一般的に、撚線導体101は、
図9に示すように、外周部に絶縁材106が被覆されて、電線(被覆線)等107として使用される。絶縁材106の減量化は、資源の有効活用の観点から重要であり、そのために、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれる。
【0006】
しかし、同じ径の素線で、かつ、19本の同心撚り配列で撚線導体を構成すると、例えば、
図9に示すように、撚線導体101の断面形状の外形は、六角形状となり、絶縁材106の厚みは、頂点部の近傍は薄く、頂点部から辺部に至るほど厚くなり、絶縁材106の厚みは不均一となる。また、耐圧不良を防止するためには、頂点部の絶縁材106の厚みが基準となり、辺部の絶縁材106の厚みは余剰で無駄となり、この点からも、撚線導体の断面形状は真円であることが望まれる。
【0007】
また、撚線導体101の断面形状が六角形状であるため、被覆線の端末加工等において、絶縁材106をストリップする際に撚線導体101を傷つける虞があるという問題がある。
【0008】
同心撚り配列以外の一括集合撚線においても、同様に、撚線導体の断面形状が真円であることが望まれている。
【0009】
撚線導体の断面形状を真円とする方法として、例えば、特許文献1記載のように、断面円形で、かつ、全て同一径の素線202を、一方向に撚りながら圧縮ダイスを通すことにより、
図10に示すように、撚線導体201の断面形状を略真円とする方法が提案されている。以下、これを従来技術2とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記、従来技術2の撚線導体201は、素線202を圧縮ダイスに通す時に、外層素線が、圧縮変形されることにより、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性が損なわれるという問題がある。
【0012】
また、従来技術2の撚線導体201は、一方向に撚りながら圧縮ダイスを通す必要があるため、従来技術1の撚線導体101と比較して、圧縮ダイスが余分に必要であり、この圧縮ダイスは撚線導体201の製造時に摩耗損傷が生じるため、定期交換が必要でありコストが高くなるという問題がある。
【0013】
また、圧縮後の撚線を略真円状にするためには、製造機械(撚線機)の回転数を一定値以下にし、かつ、回転数を安定させる必要があるため、従来技術1の撚線導体101よりも生産効率が悪くなるという問題もある。
【0014】
また、従来技術の撚線導体101,201は、隣接する素線は、全て当接するように配設されているため、素線配列の密度が高く、隣接する素線間に隙間がなく、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性が損なわれる要因となるという問題がある。
【0015】
そこで、圧縮することなく、若しくは、上記従来技術2よりも低い圧縮率で素線を圧縮加工することで、撚線導体の断面形状をより真円形状に近い形状とすることができる撚線導体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、複数本の太径線を周方向に離間して配設し、周方向に隣り合う太径線間に、前記太径線より細い第1中径線を1本配設した撚線導体であって、
周方向に隣り合う太径線間で、かつ、前記第1中径線の前記撚線導体の中心側に、前記第1中径線より細い第2中径線を、該第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記太径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置するように1本配設し、
周方向に隣り合う第2中径線間に、該第2中径線より細い第1細径線を、該第1細径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、かつ、前記太径線に当接するように1本配設し、
前記第1細径線における前記撚線導体の中心側に、中心線を配設し、
前記太径線と、前記第1中径線と、前記第2中径線と、前記第1細径線の本数は同じであることを特徴とするものである。
【0017】
請求項2記載の発明は、複数本の太径線を周方向に離間して配設し、周方向に隣り合う太径線間に、前記太径線より細い第1中径線を1本配設した撚線導体であって、
周方向に隣り合う太径線間で、かつ、前記第1中径線の前記撚線導体の中心側に、前記第1中径線より細い第2中径線を、該第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記太径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置するように1本配設し、
周方向に隣り合う第2中径線間に、該第2中径線より細い第1細径線を、該第1細径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第2中径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、かつ、前記太径線に当接するように1本配設し、
周方向に隣り合う第1細径線間に、該第1細径線より細い第2細径線を、該第2細径線における前記撚線導体の径方向の内側端が、前記第1細径線における前記撚線導体の径方向の内側端より、前記撚線導体の中心側に位置し、かつ、前記第2中径線に当接するように1本配設し、
前記第2細径線における前記撚線導体の中心側に、中心線を配設し、
前記太径線と、前記第1中径線と、前記第2中径線と、前記第1細径線と、前記第2細径線の本数は同じであることを特徴とするものである。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記撚線導体の中心から、前記太径線の外縁端までの距離と、
前記撚線導体の中心から、前記第1中径線の外縁端までの距離が同じであることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、最も外側に位置する層を構成する素線を、外側から圧縮変形したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本願請求項1記載の発明によれば、複数本の太径線を周方向に離間して配設し、周方向に隣り合う太径線間に、第1中径線を1本配設した撚線導体であって、周方向に隣り合う太径線間で、かつ、第1中径線の撚線導体の中心側に、第2中径線を、その撚線導体の径方向の内側端が、太径線における撚線導体の径方向の内側端より、撚線導体の中心側に位置するように1本配設し、周方向に隣り合う第2中径線間に、第1細径線を、その撚線導体の内側端が、第2中径線における撚線導体の径方向の内側端より、撚線導体の中心側に位置し、かつ、太径線に当接するように1本配設し、第1細径線における撚線導体の中心側に、中心線を配設したことにより、撚線導体の断面形状は略真円形状とし、絶縁材を減量でき、コストを低減することができる。
【0021】
また、本発明の撚線導体は、従来技術2の撚線導体201のように、素線を圧縮ダイスに通すことなく、撚線導体の外形を略真円形状とすることができるために、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことなく、素線の物理特性を維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができ、自動車用電線分野や、音響電線分野等において有効に活用することができる。
【0022】
また、本願請求項2記載の発明によれば、複数本の太径線を周方向に離間して配設し、周方向に隣り合う太径線間に、第1中径線を1本配設した撚線導体であって、周方向に隣り合う太径線間で、かつ、第1中径線の撚線導体の中心側に、第2中径線を、その撚線導体の径方向の内側端が、太径線における撚線導体の径方向の内側端より、撚線導体の中心側に位置するように1本配設し、周方向に隣り合う第2中径線間に、第1細径線を、その撚線導体の径方向の内側端が、第2中径線における撚線導体の径方向の内側端より、撚線導体の中心側に位置し、かつ、太径線に当接するように1本配設し、周方向に隣り合う第1細径線間に、第2細径線を、その撚線導体の径方向の内側端が、第1細径線における撚線導体の径方向の内側端より、撚線導体の中心側に位置し、かつ記第2中径線に当接するように1本配設し、第2細径線における撚線導体の中心側に、中心線を配設したことにより、上記請求項1記載の発明と同様の作用、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1に係る撚線導体の横断面図。
【
図2】本発明の実施例3に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図3】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図4】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図5】本発明の実施例4に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図6】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図7】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図8】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0025】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る撚線導体1の軸方向と直交する方向に切断した横断面図で、その各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
【0026】
撚線導体1は、太径線2、第1中径線3、第2中径線4、第1細径線5、中心線6の5種類の素線で構成されている。太径線2、第1中径線3、第2中径線4、第1細径線5は、夫々、同じ本数である3本で構成されている。
【0027】
各素線2,3,4,5,6の基となる線材としては、裸銅線、無酸素銅線、線形結晶無酸素銅線、単結晶状高純度無酸素銅線等の銅線、この銅線に、錫、ニッケル、銀等をメッキしたもの、アルミ線、各種合金線、及び、エナメル線、リッツ線、ホルマル線等の絶縁被覆されたもの等を使用することができる。各素線2,3,4,5,6の素材は、同じ素材を用いてもよいし、異なる素材を用いてもよい。
【0028】
3本の太径線2は、
図1に示すように、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向に離間して配設されている。周方向において隣り合う太径線2,2間には、1本の第1中径線3が、周方向の両隣に位置する太径線2,2に当接するように配設されている。第1中径線3は、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において、相互に離間するように、3本配設されている。
【0029】
3本の太径線2と3本の第1中径線3により、撚線導体1において最も外側に位置する層である最外層11を構成する。
【0030】
第2中径線4が、周方向に隣り合う太径線2,2間で、かつ、第1中径線3の撚線導体1の中心側に、周方向の両隣に位置する太径線2,2と内側に位置する第1中径線3に当接するように1本配設されている。
【0031】
第2中径線4は、その撚線導体1の径方向の内側端4aが、太径線2における撚線導体1の径方向の内側端2aより、撚線導体1の中心A側に位置するように配設されている。第2中径線4は、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において、相互に離間するように、3本配設されている。
【0032】
第1細径線5が、周方向に隣り合う第2中径線4,4間に、周方向の両隣に位置する第2中径線4,4と撚線導体1の径方向の外側に位置する太径線2に当接するように1本配設されている。
【0033】
第1細径線5は、その撚線導体1の径方向の内側端5aが、第2中径線4における撚線導体1の径方向の内側端4aより、撚線導体1の中心A側に位置するように配設されている。第1細径線5は、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において、相互に離間するように、3本配設されている。
【0034】
3本の第1細径線5における撚線導体1の中心側に、3本の第1細径線5と当接するように1本の中心線6が配設されている。
【0035】
中心線6と、周方向に隣り合う第1細径線5,5と、この第1細径線5,5間の外側に位置する第2中径線4間には、空隙12が形成されている。空隙12により、中心線6と第2中径線4は当接していない。
【0036】
太径線2の直径d1は、第1中径線3の直径d2より太く設定され、第1中径線3の直径d2は、第2中径線4の直径d3より太く設定され、第2中径線4の直径d3は、第1細径線5の直径d4の直径より太くされ、第1細径線5の直径d4は、中心線6の直径d5の直径より太く設定されている。
【0037】
本実施例1では、d1=2.474×d3,d2=1.859×d3,d4=0.526×d3,d5=0.468×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6を用いた。
【0038】
また、撚線導体1の断面形状が、略真円形状、つまり、中心線6の中心Aから太径線2の最外縁端Bまでの距離L1と、中心線6の中心Aから第1中径線3の最外縁端Cまでの距離L2が同一となるように形成されている。
【0039】
本願発明の撚線導体1は、上記の構造を有しているために、次のような作用、効果を奏する。
【0040】
撚線導体1の外形が略真円形状で、かつ、上述のように、従来技術1の撚線導体101よりも絶縁材の被覆の厚みを薄くでき、かつ、略均一化することができるため、絶縁材を減量でき、コストを低減することができる。
【0041】
また、撚線導体1は、従来技術2の撚線導体201のように、素線を圧縮ダイスに通すことなく、撚線導体1の外形を略真円形状とすることができるため、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性が損うことがなく、素線の物理特性を維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができ、自動車用電線分野や、音響電線分野等において有効に活用することができる。
【0042】
また、撚線導体1は、従来技術1,2と比較して、空隙率を多くして素線の配列密度を低下させることにより、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を向上させることができる。
【0043】
[実施例2]
上記実施例1の撚線導体1を構成する素線は、太径線2の直径d1が、第1中径線3の直径d2より太く、第1中径線3の直径d2が、第2中径線4の直径d3より太く、第2中径線4の直径d3が、第1細径線5の直径d4の直径より太いものを用いて各素線2,3,4,5,6及び撚線導体1を構成すれば、上記実施例1に記載の径を有する素線以外にも任意の素線を用いて撚線導体1を構成することができる。また、撚線導体1において最も外側に位置する層である最外層11の外側から圧縮ダイス等により、圧縮してもよい。
【0044】
この圧縮により、最外層11を形成する太径線2と第1中径線3の外周部は、圧縮変形され、撚線導体の外形形状をより真円形状に近づけることができる。圧縮ダイス等による圧縮は、撚線導体1を製造する際に行っても良いし、撚線導体1を製造した後に行っても良い。なお、圧縮率に関しては、任意に設定する。
【0045】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0046】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0047】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、太径線2、第1中径線3、第2中径線4、第1細径線5を、夫々3本で設定したが、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数の本数が同じであればよく、その本数が3本以上であれば夫々任意の本数に設定することができる。
【0048】
例えば、
図2に示すように、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数を、各4本とした撚線導体21の場合には、d1=2.041×d3,d2=1.448×d3,d4=0.676×d3,d5=0.793×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体21の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0049】
例えば、
図3に示すように、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数を、各5本とした撚線導体22の場合には、d1=1.800×d3,d2=1.229×d3,d4=0.686×d3,d5=1.343×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体22の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0050】
例えば、
図4に示すように、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数を、各6本とした撚線導体23の場合には、d1=1.667×d3,d2=1.126×d3,d4=0.756×d3,d5=1.852×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体23の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0051】
その他の構造は、上記実施例1,2と同様であるため説明を省略する。
【0052】
本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用効果を発揮することができる。
【0053】
[実施例4]
本実施例4においては、上記実施例1~3の第1細径線5と中心線6の間に、太径線2の本数と同じ本数で、かつ、第1細径線5より細い第2細径線7を、周方向に相互に離間して設けたものである。
【0054】
太径線2、第1中径線3、第2中径線4、第1細径線5は、上記実施例1~3と同様に設けられている。
【0055】
第2細径線7が、周方向に隣り合う第1細径線5,5間に、周方向の両隣に位置する第1細径線5,5と撚線導体1の径方向の外側に位置する第2中径線4に当接するように1本配設されている。
【0056】
第2細径線7は、その撚線導体1の径方向の内側端7aが、第1細径線5における撚線導体1の径方向の内側端5aより、撚線導体1の中心A側に位置するように配設されている。第2細径線7は、撚線導体1の中心Aを中心とする周方向において、相互に離間するように、3本配設されている。
【0057】
複数の第2細径線7における撚線導体1の中心側に、複数の第2細径線7と当接するように1本の中心線6が配設されている。
【0058】
中心線6と、周方向に隣り合う第2細径線7,7と、この第2細径線7,7間の外側に位置する第1細径線5間には、空隙15が形成されている。空隙15により、中心線6と第1細径線5は当接していない。
【0059】
第2細径線7の基となる線材は、素線2,3,4,5,6の基となる線材と同様のものを用いる。
【0060】
例えば、
図5に示すように、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数と、第2細径線7の本数を、各3本とした撚線導体31の場合には、第2細径線7の直径をd6とし、d1=2.474×d3,d2=1.859×d3,d4=0.526×d3,d5=0.096×d3,d6=0.333×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体31の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0061】
例えば、
図6に示すように、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数と、第2細径線7の本数を、各4本とした撚線導体32の場合には、d1=2.041×d3,d2=1.448×d3,d4=0.676×d3,d5=0.586×d3,d6=0.372×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体32の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0062】
例えば、
図7に示すように、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数と、第2細径線7の本数を、各5本とした撚線導体33の場合には、d1=1.800×d3,d2=1.229×d3,d4=0.686×d3,d5=0.714×d3,d6=0.571×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体33の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0063】
例えば、
図8に示すように、太径線2の本数と、第1中径線3の本数と、第2中径線4の本数と、第1細径線5の本数と、第2細径線7の本数を、各6本とした撚線導体34の場合には、d1=1.667×d3,d2=1.126×d3,d4=0.756×d3,d5=1.081×d3,d6=0.689×d3の関係が成立する各素線2,3,4,5,6,7の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体34の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0064】
その他の構造は、上記実施例1乃至3と同様であるため説明を省略する。
【0065】
本実施例4においても、上記実施例1乃至3と同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0066】
1,21,22,23,31,32,33,34 撚線導体
2 太径線
3 第1中径線
4 第2中径線
5 第1細径線
6 中心線
7 第2細径線
【要約】
【課題】圧縮することなく、若しくは、低い圧縮率で、撚線導体の断面形状を真円状に近い形状に製造できる撚線導体を提供する。
【解決手段】
複数本の太径線2を周方向に離間して配設し、周方向に隣り合う太径線2,2間に、第1中径線3を1本配設した撚線導体1であって、周方向に隣り合う太径線2,2間で、かつ、第1中径線3の撚線導体1の中心A側に、第2中径線4を、その撚線導体1の径方向の内側端が、太径線2における撚線導体1の径方向の内側端より、撚線導体1の中心A側に位置するように1本配設し、周方向に隣り合う第2中径線4,4間に、第1細径線5を、その撚線導体1の径方向の内側端が、第2中径線4における撚線導体1の径方向の内側端より、撚線導体1の中心A側に位置し、かつ、太径線2に当接するように1本配設した。
【選択図】
図1