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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】細胞培養用バッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220322BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12N1/00 A
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020112853
(22)【出願日】2020-06-30
(62)【分割の表示】P 2016568628の分割
【原出願日】2015-04-27
(65)【公開番号】P2020156512
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】62/003,754
(32)【優先日】2014-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ゲバウアー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】カスタン,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エストマー-ニルソン,カミラ
(72)【発明者】
【氏名】フォークマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィレン,アンダース
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スタンコウスキ,ラルフ
【審査官】西垣 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-503546(JP,A)
【文献】国際公開第2008/101127(WO,A2)
【文献】特表平08-511216(JP,A)
【文献】特開2009-102049(JP,A)
【文献】特表平03-505164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12N 1/00-7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の培養段階において細胞を培養するためのフレキシブル多区画バッグであって、
一連の培養段階の対応する段階にそれぞれ適合した、一連の各区画が異なるサイズの複数の直列に接続された培養区画と、
一連の隣接する2つの区画の間の破壊可能な封止部であって、2つの隣接する区画の一方で培養が完了した際には、一度開かれた前記破壊可能な封止部は、前記隣接する2つの区画を流体的に接続するよう構成され、細胞培養の次の段階のために一連の区画における後続である他方の区画に培養された細胞を移送することができ、隣接する2つの区画の間の境界全体を構成する破壊可能な封止部と、
を備える、バッグ。
【請求項2】
一連の区画における後続の培養区画は、一連の区画における前の培養区画の容積の少なくとも120%または150%の容積を有する、請求項1に記載のバッグ。
【請求項3】
少なくとも1つの温度制御区画を備える少なくとも1つのバッグをさらに含み、前記少なくとも1つの温度制御区画は、恒温流体入口と、任意に恒温流体出口とを備える、請求項1に記載のバッグ。
【請求項4】
細胞を培養する方法であって、
a)請求項1に記載のフレキシブル多区画バッグを用意するステップと、
b)一連の区画における第1培養区画に培養培地および細胞を導入するステップ
と、
c)前記第1培養区画において細胞を培養することで、第1細胞培養物を得るステップと、
d)前記破壊可能な封止部を破壊することで、前記第1培養区画を一連の区画における後続の第2培養区画と流体的に接続するステップと、
e)前記第1細胞培養物を前記第2培養区画に移送するステップと、
f)前記第2培養区画に培地を導入するステップと、
g)前記第2培養区画において細胞を培養することで、第2細胞培養物を得るステップと、
を含む、細胞を培養する方法。
【請求項5】
一連の培養段階において細胞を培養するためのフレキシブル多区画バッグであって、
異なるサイズの複数の直列に接続された培養区画であって、一連の直列に接続された区画の少なくとも一部が、一連の培養段階の対応する段階にそれぞれ適合している、培養区画と、
一連の直列に接続された区画の少なくとも一部における隣接する2つの区画の間の破壊可能な封止部であって、2つの隣接する区画の一方で培養が完了した際には、一度開かれた前記破壊可能な封止部は、前記隣接する2つの区画を流体的に接続するよう構成され、細胞培養の次の段階のために一連の区画における後続の他方の区画に培養された細胞を移送することができ、隣接する2つの区画の間の境界全体を構成する破壊可能な封止部と、
を備える、バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞培養用のバイオリアクターに関し、より具体的には、シードトレーン増殖又は細胞治療用細胞の増殖などといった細胞培養物の多段増殖に適するフレキシブルバッグバイオリアクターに関する。本発明はフレキシブルバッグバイオリアクターにおいて細胞培養物を増殖させる方法にも関係する。
【背景技術】
【0002】
細胞培養物を小さな細胞バンクサンプルから大きな生産バッチへとスケールアップする場合、通常はこれを別々のバイオリアクターを使って数段階で行う必要がある。この一連の培養はしばしばシードトレーンと呼ばれ、細胞密度を特定の最適ウインドウ内に、多くの場合、1ml当たり>105細胞程度に、保つために必要となる。小さな凍結保存バイアルサンプルから数m3へのスケールアップが行われる生物製剤の大規模生産では、シー
ドトレーンは最大6段階を必要とし、数週間を要する場合がある。また、あるバイオリアクターから別のバイオリアクターへの培養物の無菌的移送が要求され、移送をLAFベンチ内又は無菌クリーンルーム内で行う必要があることから、シードトレーンは複雑な手順でもある。また、これらの条件下でも偶発的な感染のリスクはある程度存在し、高価な大規模培養物の場合、そのような感染は甚大な被害をもたらしうる。同様の懸念は、臨床的細胞治療に使用される細胞、例えば幹細胞の増殖にも当てはまる。
【0003】
細胞培養物には使い捨て容器が使用されるという一般的動向に伴って、シードトレーンにおけるフレキシブルバッグバイオリアクターの使用は増加傾向にある。しかし、小さなバッグを空にしてその内容物を大きなバッグに移送する必要は依然として残っており、ある程度の汚染リスクを伴う労働集約的作業である。バッグ断面全体にわたってバッグの一部をクランプで閉鎖し、次にそのクランプを取り除くことによって(国際公開第2008/153401号)、又は折りたたまれたバッグから開始して、次にそれを広げることによって(米国特許出願公開第2010/0055764号)、フレキシブルバッグ内の培養物体積を徐々に増加させることが提案されている。しかしこれらの解決策では使用された区画と未使用の区画との間に良好な封止が得られず、未使用区画への培養物の漏出と、不適切な条件下で成長する細胞から放出された物質による細胞培養物の汚染とにつながる。これらの方法ではバッグが機械的損傷を受けるリスクも高く、その結果、バッグが破裂するリスクがある。
【0004】
したがって、細胞培養物をある可撓性培養物区画からもう一つの可撓性培養物区画へと無菌条件下で移送する安全かつ便利な方法が必要とされている。感受性細胞培養物の、特に小体積における、正確な温度制御も必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2011/217690号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様は、区画間での時期尚早な漏出のリスクもバッグ損傷のリスクも伴わずに、ある培養区画から別の培養区画への細胞培養物の移送を可能にするフレキシブルバッグアセンブリを提供することである。これは請求項1に規定するアセンブリで達成される。
【0007】
一つの利点は、複数の培養区画を単一のトレー上に都合よく設置することができ、同じ撹拌手段を使って撹拌できることである。さらにもう一つの利点は、例えば重力又はガス圧などを使って培養物を容易に移送できることである。
【0008】
本発明の第2態様は、区画間での時期尚早な漏出のリスクもバッグ損傷のリスクも伴わずに、ある培養区画から別の培養区画への細胞培養物の移送を可能にする、揺動台上のフレキシブルバッグを含む、バイオリアクターアセンブリを提供することである。これは請求項に規定するアセンブリで達成される。
【0009】
本発明の第3態様は、ある培養区画から別の培養区画へと細胞培養物が安全かつ便利に移送される培養方法を提供することである。これは請求項に規定する方法で達成される。
【0010】
本発明の第4態様は、1以上の培養区画における実質的に一定した温度での細胞の培養を可能にするフレキシブルバッグアセンブリを提供することである。これは請求項に規定するアセンブリで達成される。
【0011】
本発明の第5態様は、1以上の培養区画における実質的に一定した温度での細胞の培養を可能にするバイオリアクターアセンブリを提供することである。これは請求項に規定するアセンブリで達成される。
【0012】
本発明の第6態様は、細胞が実質的に一定した温度で培養される培養方法を提供することである。これは請求項に規定する方法で達成される。
【0013】
本発明のさらなる適切な実施形態は従属請求項に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】3つの接続可能バッグがトレー上に横並びに配置されている本発明の実施形態を示す図である。
図2】1つのバッグが3つの接続可能な培養区画を有している本発明の実施形態を示す図である。
図3】1つのバッグが3つの接続可能な培養区画を有している本発明のもう一つの実施形態を示す図である。
図4】3つの接続可能バッグがトレー上に積み重なっている本発明の実施形態を示す図である。
図5】スタックの底にある第1バッグにおいて開始される、図4の3つのバッグにおける培養のシーケンスを示す図である。a)第1バッグにおける培養、b)第2バッグにおける培養、及びc)第3バッグにおける培養。
図6図5に代わる代替的シーケンスを示す図である。ここでは、使用済みバッグが、次のバッグにおける培養の前に取り除かれる。a)第1バッグにおける培養、b)第2バッグにおける培養、及びc)第3バッグにおける培養。
図7】第1バッグがスタックの最上部にある、代替的積み重ねバッグ配置を示す図である。a)第1バッグにおける培養、b)第2バッグにおける培養、及びc)第3バッグにおける培養。
図8】バッグ相互間接続部の2つの例を示す図である。a)スタックの上を通るループ状の管材によって第2バッグ中の注入ポートと接続された第1バッグ中の浸漬管排液ポート、b)スタックの外側を通るループ状の管材によって第2バッグ中の注入ポートと接続された第1バッグ中の排液ポート。
図9】排液ポートの2つの例を示す図である。a)水平位置にあるバッグで使用される浸漬管及びb)傾斜した位置にあるバッグで使用されるポート。
図10】1つのバッグが3つの接続可能な培養区画と1つの温度制御区画とを有している本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~10に図解する一態様において、本発明は細胞培養用のフレキシブルバッグアセンブリ1;21;41;61;81を開示する。本アセンブリは、複数の培養区画5,6,7;25,26,27;45,46,47;65,66,67;85,86,87、例えば2つ、3つ又はそれ以上の区画を形成する、1以上のバッグ2,3,4;22;42;62,63,64;82、例えば1以上の可撓性及び/又は折りたたみ可能バッグを備える。少なくとも第1培養区画5;25;45;65;85中の第1排液ポート8;28;48;68;88は、第1弁手段10;30;50;70;90の開通時に第2培養区画6;26;46;66;86と流体的に接続されるように構成されている。第2培養区画は、第1培養区画より大きくてもよく、例えば第1培養区画の容積の少なくとも120%、例えば少なくとも150%又は120~1000%の容積を有しうる。排液ポートは、第1培養区画の完全な排液が容易になるように、第1培養区画の低い箇所に適切に設けることができる。低い箇所とは、ここでは、当該区画が培養位置にある時、又は当該区画が移送位置又は排液位置に動かされた時に、区画容積の下から20%、10%又は5%以
内に設けられた箇所を意味しうる。排液ポートの2つの例を図9に示す。図9a)は培養位置にあるバッグで使用することができる浸漬管68を示し、図9b)は、ポートがバッグの下端になる傾斜排液位置又は垂直排液位置にバッグがある時に排液するのに適したバッグの端部にある単純なポート68を示している。図8a)に示すように、排液ポートとしてバッグの端部に浸漬管を使用することも可能である。この配置は水平位置と傾斜/垂直位置のどちらにおける排液も可能にする。弁手段は、細胞を第1培養区画で培養する時は閉鎖位置にすることができ、次に培養物が第2区画に移送される時には開通位置に動かす/再配置することができる。次に、場合によっては、第2培養区画における培養中に漏出して第1区画に戻ることを防止するために、弁手段を閉鎖位置に動かす/再配置することもできる。或いは、弁手段は、第1区画から第2区画に向かう方向の流れだけを可能にする逆止め弁(図示していない)を備えてもよい。弁手段は例えばピンチ弁、ダイヤフラム弁、円板弁、ボール弁、仕切り弁、ニードル弁又はピストン弁などの弁であることができるが、弁手段はクランプ、例えばピンチクランプであるか、又は破壊可能な閉鎖部、例えば区画間の破裂円板又は破壊可能な溶接であることもできる。弁手段は可逆的であることができる、すなわち弁手段は開通位置から閉鎖位置に戻すように動かす/再配置することができるか、又は弁手段は不可逆的であることができる、すなわち閉鎖位置から開通位置に動かす/再配置することしかできない。弁及びクランプは可逆的弁手段の例であり、破壊可能な閉鎖部は不可逆的弁手段の例である。ピンチ弁及びピンチクランプは、管材又は導管上に外部から適用することができ、接液部が一切ないので、無菌性/汚染の観点から有利である。内径10mmまで又は外径15mmまでの管材又は導管への適用に適合しているピンチ弁又はピンチクランプは、効率のよい閉鎖及び開通をもたらす簡単で安価な構成要素であるから、特に好適である。弁手段の機能は、閉鎖位置にある時は、第1区画における培養中に第2区画への培養物のいかなる漏出も防止することであり、開通位置にある時は、第1区画から第2区画への容易な流れを可能にすることである。弁手段が可逆的であるか、逆止め弁を備える場合、弁は、所望であれば、第2区画における培養中に第1区画への培養物の逆流を防止する機能も有しうる。
【0016】
バッグ2,3,4;22;42;62,63,64;82は、例えば溶接によって、1以上の可撓性プラスチックフィルム又はプラスチック積層品から製造し、接合し、封止することができる。フィルム/積層品はポリオレフィン、例えばポリエチレン及び/又はエチレン酢酸ビニルコポリマーなどを含みうるが、バリア層、例えばエチレンビニルアルコールポリマー、及び/又は例えばポリアミドの引き裂き抵抗層も含みうる。フィルム又は積層品の厚さは、例えば50~300マイクロメーター、例えば100~250マイクロメーターでありうる。
【0017】
本発明のバッグアセンブリは、培養中に撹拌を与えるために、揺動トレー13;33;73;93台上に、都合よく配置することができる。トレーは、例えばトレーのやや下に設置された軸16;36;76;96の周りを前後に揺動することができる。この目的に適した揺動トレー台は、例えば参照によりそのまま本明細書に組み込まれる米国特許第6,190,913号に記載があり、GE Healthcare Bio-SciencesからWAVE Bioreactor(商標)として市販されている。
【0018】
特定の実施形態では、フレキシブルバッグアセンブリ1;21;41;61;81は3以上の培養区画を備え、第2弁手段11;31;51;91の開通時に第3培養区画7;27;47;67;87と流体的に接続されるように構成された第2排液ポート9;29;49;89を第2培養区画6;26;46;66;86に有する。第2排液ポート及び第2弁手段は、第1排液ポート及び第1弁手段について上述したような構造を有しうる。第3培養区画は第2培養区画より大きくてもよく、例えば第2培養区画の容積の少なくとも120%、例えば少なくとも150%又は120~1000%の容積を有し、及び/又は第1培養区画の容積の少なくとも140%、例えば少なくとも200%又は140~1
0000%の容積を有しうる。これにより、第1培養区画から第2培養区画を経て第3培養区画への安全かつ便利な3段階スケールアップが可能になる。
【0019】
図1及び図4に図解するいくつかの実施形態では、フレキシブルバッグアセンブリ1;61は、管材12によって適切に接続された2以上のバッグを備える。管材は第1バッグの排液ポート8,9及び第2バッグの培養物注入口17に接続することができる。弁手段10,11は、a)管材によって接続された弁構成要素、b)管材と一体化した弁、又はc)ピンチクランプ又はピンチ弁などの外部から適用される器具であることができる。これらの弁手段はいずれも、閉鎖位置では漏出を防止することができ、開通位置では流れを可能にすることができる。バッグは、図1の場合のようにトレー13上に横に並べて設置するように構成させるか、又は図4~7の場合のようにトレー73上で積み重ねられるように構成させることができる。横に並べて設置されたバッグと上に積み重ねられたバッグとの組合せ、例えば2つ又は3つのバッグを図1の場合のように横に並べ、それら2つ又は3つのバッグの下又は上に、それより大きなバッグを1つ設置することなども可能である。横に並んだ配置には、アセンブリを調製してトレー上に配置するのが容易であり、操作が簡単であるという利点がある。積み重ね配置には、トレーの面積がより効率よく使用されるという利点がある。バッグを積み重ねる場合は、接続部を管材によって作製し、その管材をスタックの外又は上にループ状に伸ばすと有利である。これにより、弁手段をそのループ上に設置すれば、手の届きやすさが改良され、弁手段の容易な操作が可能になる。バッグは、例えば、図5及び図6に示すように第2バッグが第1バッグの上になり、場合によっては第3バッグ(及びさらなるバッグ)が第2バッグの上になるように、積み重ねることができる。この配置には、バッグの底側にあるセンサーがいずれもトレー表面上のセンサー端子と接触できるという利点がある。特に、第2バッグへの培養物の移送後に第1バッグがスタックから取り除かれ、場合によっては、第3バッグへの培養物の移送後に第2バッグが取り除かれる、図6に図解するような培養シーケンスは、全てのバッグ中のセンサーがトレー表面上の同じセンター端子と接触することを可能にする。このシーケンスには、培養中はバッグ面積全体がトレー表面と接触していることで、トレー表面に設けられた加熱要素からの熱移動が容易になり、温度制御が改良されるという利点もある。或いは、バッグは、図7に示すように、第2バッグが第1バッグの下になり、場合によっては第3バッグ(及びさらなるバッグ)が第2バッグの下になるように、バッグを積み重ねることができる。この配置では、先のバッグの排液ポートを、スタックの上を通る管材ループによって、後続のバッグの空いている上面上の注入ポートに容易に接続することができるので、より容易な接続部の締めつけが可能になる。もう一つの利点は、各バッグからのサンプルをバッグの空いている上面上のサンプルポートから取り出すことが、より容易な点である。必要であれば、温度制御を改良するために、シート状の加熱要素をスタック中のバッグの間に差し入れてもよい。どのスタック配置でも、後続のバッグへの培養物の移送後に使用済みバッグをスタックから取り除くべき場合には、例えば接続管材が熱可塑性(例えば軟質PVC製又は熱可塑性エラストマー製)であるなら、熱封止による分断などによって、無菌状態を維持したまま、それを容易に行うことができる。熱可塑性管材を熱封止するための装置は、例えばHot Lips Tube Sealer(GE Healthcare Bio-Sciences AB)などの名称で、容易に入手することができる。
【0020】
図2~3及び図10に図解する特定の実施形態では、フレキシブルバッグアセンブリ21;41;81は、内部導管32;92によって接続されているか又は接続可能である培養区画25,26,27;45,46,47;85,86,87を有する1以上の多区画バッグ22;42;82を備える。内部導管は、バッグの断面の10%未満、例えば5%未満の大きさの内(円相当)径を好適に有することができる。図2及び図10に示すように、区画は、例えばバッグ断面の少なくとも大部分、例えば断面全体にわたって拡がる壁又は溶接シームによって、互いに区切ることができる。そして、内部導管32;92は、
例えば壁のポート28,29;88,89の中空部分であるか、又は溶接シームにポート28,29;88,89として挿入された短い管材の断片であることができる。弁手段30,31;90,91は、導管と一体化しているか、クランプ又はピンチ弁として外部から適用することができる。或いは、内部導管32;92は、バッグ断面のうち、壁又は溶接シームが及んでいない部分であってもよく、この場合、壁/溶接シームはバッグ断片の一部、例えばバッグ断片の90~99.9%又は95~99.5%にしか拡がっておらず、断片の残りの部分は開口したままで内部導管32;92を形成することになる。この場合は、短い距離に適用する必要しかないことから漏れのない封止部を与えることができる外部から適用されるクランプを、好適な弁手段とすることができる。
【0021】
図10に図解する特定の実施形態では、フレキシブルバッグアセンブリ81はさらに、1以上の温度制御区画98を含む1以上のバッグ82を備える。バッグ82は、上部フィルム99、底部フィルム100及び境界フィルム97を好適に備えることができ、境界フィルムは温度制御区画98と培養区画85,86,87とを区切っている。温度制御区画は少なくとも恒温流体用の注入口(図示していない)を好適に備えることができる。温度制御区画はさらに恒温流体用の排出口(図示していない)を備えてもよい。恒温流体は例えば水又は細胞培養培地であることができる。水などの恒温流体は、注入口及び排出口を介し、温度制御区画を通して、恒温槽などの恒温機器から/へ循環させることができる。或いは、温度制御区画は、トレー93上の1以上の温度制御表面又は加熱要素と直接接触して設けられるように構成されていてもよい。この場合、水又は細胞培養培地などの恒温流体は循環させる必要がなく、温度緩衝材として作用することができる。温度制御流体が細胞培養培地である場合、温度制御区画は、排液ポート及び弁手段(図示していない)を介して、第1培養区画、第2培養区画又は第3培養区画に流体的に接続可能であってもよく、その場合は、上での議論と同じ方法でさらなる培養区画として使用することができる。温度制御区画を設けることの利点は、とりわけ小さな培養区画では、培養区画中に温度センサーを設けてフィードバックループを使ってトレーの温度制御(加熱)表面で温度を制御するという従来の手段では、温度を十分正確に制御することが困難な場合があることである。温度制御区画があれば、恒温流体の熱容量ゆえに、より良い温度安定性を得ることができる。温度制御区画の効果は、容積が1L未満、例えば250mL未満、100mL未満、50~100mL、50~250mL又は50~100mLの培養区画で、最も顕著である。これは特に第1培養区画に当てはまる。温度制御区画の容積は、例えば少なくとも1L、例えば少なくとも2Lもしくは少なくとも5L、又は第1培養区画の容積の少なくとも10倍、例えば少なくとも20倍であることができる。
【0022】
図3に図解するいくつかの実施形態では、フレキシブルバッグアセンブリ41は、1以上の破壊可能な封止部52を介して接続可能な培養区画45,46,47を含む1以上の多区画バッグ42を備える。破壊可能な封止部は、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み込まれる欧州特許公開第2,226,058号(A1)又は米国特許第4,519,499号に開示されているような、弱い溶接部であることができる。破壊可能な封止部は、隣接する2つの区画の間の境界全体を構成しうる。この場合、溶接部は、第1区画が第2区画に開放されるように、破裂又はバッグの外側からの他の機械的作用によって破壊され、第2培養段階は合併された区画で実行される。この配置の利点は余分な構成要素が必要ないことである。さらにもう一つの利点は、図3では各区画について別々のガス注入口54及びガス排出口55が示されているが、全ての区画を含むバッグ全体に1つのガス注入口及び1つのガス排出口だけでも培養を行いうることである。
【0023】
フレキシブルバッグアセンブリの特定の実施形態では、各培養区画はガス注入口14;34;54;74;94及びガス排出口15;35;55;75;95を備える。これらの注入口及び排出口は、培養物の感染/汚染を防止するために無菌フィルタ(図示していない)を装備することができ、例えば空気/酸素を培養物に供給し、二酸化炭素などのガ
ス状代謝産物を取り除くために使用される。ガス注入口及びガス排出口は、培養液をある区画から別の区画に移送するためのガス圧を供給するためにも使用することができる。ガスは、例えばガス注入口を介して供給することができ、この際、ガス排出口は閉鎖しておくか、単に排出口無菌フィルタに頼ることで、培養液を輸送するための十分に高い背圧を与えうる。培養区画はサンプリング排出口、培養培地の注入口、並びに例えば温度、細胞密度、pH及び酸素又は代謝産物などの濃度に関するセンサーのうちの1つ以上を備えていてもよい。
【0024】
上に開示したバッグアセンブリは、組み立て済みの状態、かつ例えばガンマ線照射又は電子線照射などによる放射線殺菌によって殺菌済みの状態で、好適に供給することができる。全ての液体接触材料を、放射線安定であるように選択すること、及び照射後でも浸出物のレベルが低くなるように選択することは適切である。全ての材料を例えば米国薬局方クラスVI(USP VI)品質のものにすることができる。
【0025】
図1~4及び図10に図解する第2の態様において、本発明は、1以上の軸16;36;56;76;96の周りを前後に揺動するように構成されたトレー13;33;53;73;93上に搭載されている、上に開示したフレキシブルバッグアセンブリ1;21;41;61;81を備えるバイオリアクターアセンブリを開示する。トレーの揺動機構及び支持体は図面には示されていないが、米国特許第6,190,913号及びV.Singh:Cytotechnology 30(1-3),149-158(1999)に詳述されている。本バイオリアクターはさらに、培養区画5,6,7;25,26,27;45,46,47;65,66,67;85,86,87の少なくとも1つに細胞培養物を含んでいてもよい。トレーには、1以上のバッグと直接接触している温度制御(加熱)表面を装備することができる。トレーにはさらに、1以上のバッグと電気的に接触しているセンサーコネクタを装備することができる。培養区画の少なくとも1つは、ガス注入口及び無菌フィルタを介してガス供給源に接続することができる。
【0026】
第3の態様において、本発明は細胞を培養する方法を開示する。本方法は、
a)上に開示したバイオリアクターを用意する段階と、
b)第1培養区画5;25;45;65;85に培養培地及び細胞を導入する段階と、
c)第1培養区画において細胞を培養することで、第1細胞培養物を得る段階と、
d)第1弁手段10;30;50;70;90を開通することで、第1培養区画を第2培養区画6;26;46;66;86と流体的に接続する段階と、
e)第1細胞培養物を第2培養区画に移送する段階と、
f)第2培養区画に培養培地を導入する段階と、
g)第2培養区画において細胞を培養することで、第2細胞培養物を得る段階と
を含む。
【0027】
第1培養区画及び第2培養区画における培養は、例えばV.Singh:Cytotechnology 30(1-3),149-158(1999)又はClincke et al.,Biotechnol.Prog.,2013,Vol.29,No.3に記載されている当技術分野において周知の方法を使って行うことができる。空気又は他のガスは、ガス注入口14;34;54;74;94を介して供給することができ、過剰の空気/ガスはガス状代謝産物(例えば二酸化炭素)と一緒にガス排出口15;35;55;75;95を介して排気することができる。第1区画における培養は、予定の生細胞密度(VCD)、例えば1.0×105、2.0×105、5.0×105又は1.0×106生細胞/mlに達するまで継続することができる。VCDは、例えば、参照によりそのまま本明細書に組み込まれる米国特許第8,180,575号又は国際公開第2010/010313号(A2)などに記載されているようなインラインバイオマスセンサーで、測定することができる。予定のVCDに到達したら、段階d)以降を開始することがで
きる。段階e)における移送は、重力によって、例えばトレーをバッグと一緒に傾斜させるか、トレーを垂直に立てることなどによって達成することができる。移送は、第1バッグのガス注入口を介して加えられた適切なガス圧によって達成することもでき、その場合、ガス排出口上の無菌フィルタの背圧は移送を可能にするのに十分でありうる。移送はさらに、他の手段によって、例えば第1区画に圧力をかけることによって、又は異なる手段の併用によって、達成することもできる。
【0028】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、段階e)の後に、第1弁手段を閉鎖する段階e’)を含む。上記に代えて、又は上記に加えて、例えば区画間の任意の管材12;72を切断し封止することなどによって、第1区画及び第2区画を互いに分断してもよい。区画を別々のバッグに設ける場合、これは、トレーから第1バッグを取り除くことを可能にし、それにより、熱移動を改良することができ、及び/又は上で議論したトレー表面上のセンサー端子との接触を可能にすることができる。
【0029】
特定の実施形態では、本方法はさらに
h)第2弁手段を開通することで、第2培養区画を第3培養区画と流体的に接続する段階と、
i)第2細胞培養物を第3培養区画に移送する段階と、
j)第3培養区画に培地を導入する段階と、
k)第3培養区画において細胞を培養することで、第3細胞培養物を得る段階と
を含む。
【0030】
この方法はさらに、段階i)の後に、第2弁手段を閉鎖する段階i’)を含むことができる。上記に代えて、又は上記に加えて、例えば区画間の任意の管材12;72を切断し封止することなどによって、第2区画及び第3区画を互いに分断することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、段階k)及び/又は段階g)は灌流方式で、すなわち培養物の少なくとも一部をフィルタに運搬し、そこで濾液を取り除き、細胞を運搬して培養物に戻すと共に、取り除いた濾液を新鮮培養培地で置き換えることによって、実行することができる。これによってVCDのさらなる増加が可能になる。
【0032】
第4の態様において、本発明は細胞培養用のフレキシブルバッグアセンブリを開示する。本アセンブリは、1以上の培養区画85,86,87と1以上の温度制御区画98とを含む1以上のバッグ82を備える。温度制御区画は、好適には、培養区画を温度制御区画の上にして、トレー支持体上に乗るように構成させることができる。複数の培養区画は上で開示したように流体的に接続可能であってもよいが、複数の培養区画が個別であって並行培養に適合していてもよい。バッグ82は、図10に図解するように、上部フィルム99、底部フィルム100及び境界フィルム97を備え、境界フィルムは1以上の温度制御区画98と1以上の培養区画85,86,87、例えば各培養区画とを区切っている。各培養区画などの培養区画は例えば1L未満、例えば50~250mLの容積を有することができ、及び/又は温度制御区画の容積は、各培養区画などの1以上の培養区画の容積の、例えば少なくとも10倍であることができる。温度制御区画は、例えば、恒温槽などからの恒温流体の循環を可能にするために、恒温流体用の注入口及び排出口を備えていてもよい。或いは、温度制御区画は、温度制御区画が閉じていて温度緩衝材として作用する条件下での培養を可能にするために、恒温流体用の注入口を有しうる。
【0033】
第5の態様において、本発明は、
a)1以上の培養区画85,86,87を含む1以上のバッグ82又はボトル、
b)恒温流体を含む1以上の可撓性温度制御区画98、及び
c)1以上の軸96の周りを前後に揺動するように構成されたトレー93又はトレーのス
タック
を備えるバイオリアクターアセンブリを開示する。
【0034】
1以上の可撓性温度制御区画はトレー上に搭載又は設置され、1以上のバッグ又はボトルは1以上の可撓性温度制御区画の最上部に好適に設けられる。したがって、恒温流体と培養区画中の細胞培養物との間の熱移動は、効率よく進行することができ、恒温流体の熱容量が、小さな培養区画にさえ、例えば容積が1L未満、例えば250mL未満、100mL未満、50~100mL、50~250mL、又は50~100mLの培養区画にさえ、狭い温度範囲内での良好な温度制御をもたらす。バッグ82は、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の培養区画を備えることができ、それらの培養区画は、上で開示したように並行培養及び/又は逐次培養に適合させることができる。可撓性温度制御区画は、1以上のバッグ82の一部を形成することができ、すなわちバッグ82は、図10に図解するように、可撓性温度制御区画98と1以上の培養区画85,86,87とを、どちらも備えることができる。1以上のバッグはさらに、上部フィルム99、底部フィルム100及び境界フィルム97を備えることができ、境界フィルムは1以上の温度制御区画98と1以上の培養区画85,86,87とを区切っている。この配置では、バッグの上部に1以上の培養区画を含み、底部に温度制御区画を含む、一体型バッグが得られる。温度制御区画は、例えば恒温槽から温度制御区画を通る流体の循環が可能になるように、恒温流体用の注入口及び排出口を装備することができる。培養区画の1つ又は複数、例えば各培養区画には、フィードバックループによる温度制御を可能にする制御ユニットに電気的又は電磁的に接続することができる温度センサーも装備することができる。制御ユニットはさらに、フィードバックループ内の恒温槽又は他の温度制御装置に接続することができる。さらに、又は上記に代えて、温度制御区画は、制御ユニットに接続することができる温度センサーを備えうる。トレーには、1以上のバッグと直接接触する温度制御(加熱)表面を装備することができる。トレーにはさらに、1以上のバッグと電気的に接触するセンサーコネクタを装備することができる。培養区画の少なくとも1つはガス注入口及び無菌フィルタを介してガス供給源に接続することができる。
【0035】
第6の態様において、本発明は細胞を培養する方法を開示する。本方法は、
a)上に開示したバイオリアクターアセンブリを用意する段階と、
b)1以上の培養区画85,86,87に培養培地及び細胞を導入する段階と、
c)1以上の培養区画において細胞を培養する段階と
を含む。
【0036】
特定の実施形態では、段階c)における温度は、目標温度±2℃、例えば±1℃又は±0.5℃の範囲内に維持される。目標温度は細胞タイプに依存しうる。哺乳動物細胞の場合、例えば35~38℃、例えば36~37℃を目標温度とすることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、可撓性温度制御区画を通して恒温流体を循環させる。これにより、温度の精密な制御が可能になる。或いは、温度制御区画はトレー上の温度制御(加熱)表面と接触しており、温度制御区画中/上の温度センサーを使用して、制御ユニット及びフィードバックループを使って、温度が制御される。
【0038】
特定の実施形態では、1以上の培養区画は、制御ユニットと電気的又は電磁的に接続される温度センサーを備え、恒温流体及び/又は培養区画の温度は、フィードバックループを使って、制御ユニットによって制御される。
【0039】
本明細書では実施例を使って、本発明を、その最良の形態を含めて開示し、そしてまた当業者が本発明を、任意の器具又はシステムを作製し使用すること、及び任意の組み込まれた方法を行うことを含めて、実施することができるようにしている。特許を受けること
ができる本発明の範囲は特許請求の範囲によって画定され、これには、当業者が思いつく他の実施例も含まれうる。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有するか、特許請求の範囲の文言との相違が実質的でない均等な構造要素を含むのであれば、特許請求の範囲内にあるものとする。本明細書において言及する特許及び特許出願は全て、あたかも個別に組み込まれたかのように、参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。
[実施態様1]
少なくとも第1培養区画(5;25;45;65;85)中の排液ポート(8;28;48;68;88)が弁手段(10;30;50;70;90)の開通時に第2培養区画(6;26;46;66;86)と流体的に接続されるように構成されている、複数の培養区画(5,6,7;25,26,27;45,46,47;65,66,67;85,86,87)を形成する1以上のバッグ(2,3,4;22;42;62,63,64;82)を備える細胞培養用のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様2]
第2培養区画(6;26;46;66;86)が第1培養区画(5;25;45;65;85)の容積の少なくとも120%、例えば少なくとも150%の容積を有する、実施態様1に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様3]
3以上の培養区画(5,6,7;25,26,27;45,46,47;65,66,67;85,86,87)を備え、第2培養区画(6;26;46;66;86)中の排液ポート(9;29;49;89)が弁手段(11;31;51;91)の開通時に第3培養区画(7;27;47;67;87)と流体的に接続されるように構成されている、実施態様1又は実施態様2に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様4]
第3培養区画(7;27;47;67;87)が第2培養区画(6;26;46;66;86)の容積の少なくとも120%、例えば少なくとも150%の容積を有する、実施態様3に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様5]
1以上の培養区画(5,6,7;25,26,27;45,46,47;65,66,67;85,86,87)、例えば第1培養区画(5;25;45;65;85)が、剛性又は半剛性容器である、実施態様1乃至4のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様6]
弁手段(10;30;50;70;90)が弁又はクランプである、実施態様1乃至5のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様7]
弁手段(10;30;50;70;90)がピンチ弁又はピンチクランプである、実施態様6に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様8]
ピンチ弁又はピンチクランプが、外径15mmまでの管材(12;72)又は導管への適用に適合している、実施態様7に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様9]
排液ポート(8,9;28,29;48,49;68)の少なくとも1つが浸漬管(68)である、実施態様1乃至8のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様10]
管材(12;72)によって接続された2以上のバッグ(2,3,4;62,63,64)、例えば3以上のバッグ(2,3,4;62,63,64)を備える、実施態様1乃至9のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;61)。
[実施態様11]
2以上のバッグ(2,3,4)がトレー(13)上に横に並べて配置されるように構成されている、実施態様10に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1)。
[実施態様12]
2以上のバッグ(62,63,64)がトレー(73)上又はトレーのスタック上に積み重ねられるように構成されている、実施態様10に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(61)。
[実施態様13]
複数の培養区画(25,26,27;45,46,47;85,86,87)が内部導管(32;92)を介して接続されているか又は接続可能である1以上の多区画バッグ(22;42;82)を備える、実施態様1乃至12のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(21;41;81)。
[実施態様14]
複数の培養区画(25,26,27;45,46,47)が1以上の破壊可能な封止部(52)を介して接続可能である1以上の多区画バッグ(22;42)を備える、実施態様1乃至13のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(21;41)。
[実施態様15]
1以上の温度制御区画(98)を備える1以上のバッグ(82)を備える、実施態様1乃至14のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様16]
1以上のバッグ(82)が上部フィルム(99)、底部フィルム(100)及び境界フィルム(97)を備え、境界フィルム(97)が、1以上の温度制御区画(98)と1以上の培養区画(85,86,87)、例えば少なくとも第1培養区画(85)とを区切っている、実施態様15に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様17]
温度制御区画(98)が恒温流体注入口及び場合によっては恒温流体排出口を備える、実施態様15又は実施態様16に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様18]
第1培養区画(85)の容積が1L未満、例えば50~250mLであり、及び/又は温度制御区画(98)の容積が第1培養区画(85)の容積の少なくとも10倍である、実施態様15乃至17のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様19]
揺動トレー台上での細胞培養に適合した、実施態様1乃至18のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様20]
各培養区画(5,6,7;25,26,27;45,46,47;65,66,67;85,86,87)がガス注入口(14;34;54;74;94)及びガス排出口(15;35;55;75;95)を備える、実施態様1乃至19のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様21]
放射線殺菌などによる殺菌済みの状態で供給される、実施態様1乃至20のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)。
[実施態様22]
1以上の軸(16;36;56;76;96)の周りを前後に揺動するように構成されたトレー(13;33;53;73;93)上又はトレーのスタック上に搭載された実施態様1乃至21のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(1;21;41;61;81)を備えるバイオリアクターアセンブリ。
[実施態様23]
培養区画(5,6,7;25,26,27;45,46,47;65,66,67;85,86,87)の少なくとも1つに細胞培養物を含む、実施態様22に記載のバイオリアクターアセンブリ。
[実施態様24]
a)実施態様22に記載のバイオリアクターアセンブリを用意する段階と、
b)第1培養区画(5;25;45;65;85)に培養培地及び細胞を導入する段階と、
c)第1培養区画(5;25;45;65;85)において細胞を培養することで、第1細胞培養物を得る段階と、
d)第1弁手段(10;30;50;70;90)を開通することで、第1培養区画(5;25;45;65;85)を第2培養区画(6;26;46;66;86)と流体的に接続する段階と、
e)第1細胞培養物を第2培養区画(6;26;46;66;86)に移送する段階と、
f)第2培養区画(6;26;46;66;86)に培地を導入する段階と、
g)第2培養区画(6;26;46;66;86)において細胞を培養することで、第2細胞培養物を得る段階と
を含む、細胞を培養する方法。
[実施態様25]
段階e)の後に、第1弁手段(10;30;50;70;90)を閉鎖する段階e’)をさらに含む、実施態様24に記載の方法。
[実施態様26]
h)第2弁手段(11;31;51;91)を開通することで、第2培養区画(6;26;46;66;86)を第3培養区画(7;27;47;67;87)と流体的に接続する段階と、
i)第2細胞培養物を第3培養区画(7;27;47;67;87)に移送する段階と、
j)第3培養区画(7;27;47;67;87)に培地を導入する段階と、
k)第3培養区画(7;27;47;67;87)において細胞を培養することで、第3細胞培養物を得る段階と
をさらに含む、実施態様24又は実施態様25に記載の方法。
[実施態様27]
段階i)の後に、(第2)弁手段(11;31;51;91)を閉鎖する段階i’)をさらに含む、実施態様26に記載の方法。
[実施態様28]
1以上の培養区画(85,86,87)と1以上の温度制御区画(98)とを含む1以上のバッグ(82)を備える細胞培養用のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様29]
1以上のバッグ(82)が上部フィルム(99)、底部フィルム(100)及び境界フィルム(97)を備え、境界フィルム(97)が1以上の温度制御区画(98)と1以上の培養区画(85,86,87)、例えば各培養区画(85,86,87)とを区切っている、実施態様28に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様30]
1以上の培養区画(85,86,87)、例えば各培養区画(85,86,87)が1L未満、例えば50~250mLの容積を有し、及び/又は温度制御区画(98)の容積が、1以上の培養区画(85,86,87)、例えば各培養区画(85,86,87)の容積の少なくとも10倍である、実施態様28又は実施態様29に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様31]
温度制御区画(98)が恒温流体用の注入口及び排出口を備える、実施態様28乃至30のいずれか1項に記載のフレキシブルバッグアセンブリ(81)。
[実施態様32]
a)1以上の培養区画(85,86,87)を含む1以上のバッグ(82)又はボトル、
b)恒温流体を含む1以上の可撓性温度制御区画(98)、及び
c)1以上の軸(96)の周りを前後に揺動するように構成されたトレー(93)
を備え、1以上の可撓性温度制御区画(98)がトレー(93)上に搭載され、1以上のバッグ(82)又はボトルが1以上の可撓性温度制御区画(98)の上に設けられている、バイオリアクターアセンブリ。
[実施態様33]
1以上の可撓性温度制御区画(98)が1以上のバッグ(82)の一部を形成している、実施態様32に記載のバイオリアクターアセンブリ。
[実施態様34]
1以上の可撓性温度制御区画(98)が1以上のバッグ(82)とは別個の第2バッグの一部を形成している、実施態様32に記載のバイオリアクターアセンブリ。
[実施態様35]
a)実施態様32乃至34のいずれか1項に記載のバイオリアクターアセンブリを用意する段階と、
b)1以上の培養区画(85,86,87)に培養培地及び細胞を導入する段階と、
c)1以上の培養区画(85,86,87)において細胞を培養する段階と
を含む、細胞を培養する方法。
[実施態様36]
段階c)における温度が目標温度±2℃、例えば±1℃又は±0.5℃の範囲内に維持される、実施態様35に記載の方法。
[実施態様37]
可撓性温度制御区画(98)を通して恒温流体を循環させる、実施態様35又は実施態様36に記載の方法。
[実施態様38]
1以上の培養区画(85,86,87)が、制御ユニットに電気的又は電磁的に接続される温度センサーを備え、恒温流体の温度が、フィードバックループを使って、制御ユニットによって制御される、実施態様35乃至37のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10