IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオの特許一覧

特許7043117アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置
<>
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図1
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図2
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図3
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図4
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図5
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図6
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図7
  • 特許-アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】アナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/06 20060101AFI20220322BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20220322BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20220322BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220322BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20220322BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H03K17/06 063
H03K17/00 D
H03K17/687 G
H01L27/04 F
H01L29/78 613Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020501567
(86)(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2018069156
(87)【国際公開番号】W WO2019012140
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-03-13
(31)【優先権主張番号】17181434.6
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】ボラ プラゴティ プラン
(72)【発明者】
【氏名】ボルグレーフェ ダーフィット
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンセロウ フランク
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0188536(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0033302(US,A1)
【文献】特開2009-005187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00-17/70
H01L 21/822
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ電気入力信号(IS)を切り替えるためのスイッチ装置であって、前記スイッチ装置(1)は、
ソース領域(13)に電気的に接続されたソースコンタクト(3)と、ドレイン領域(14)に電気的に接続されたドレインコンタクト(4)と、ゲート領域(15)に電気的に接続されたフロントゲートコンタクト(5)と、反転ウェル(19)に電気的に接続されたバックゲートコンタクト(18)とを含む反転ウェル-シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタ(17)であるスイッチングトランジスタ(17)と、
前記アナログ電気入力信号(IS)を受信するための入力コンタクト(8)であって、前記入力コンタクト(8)は前記スイッチングトランジスタ(17)の前記ソースコンタクト(3)に電気的に接続されている、入力コンタクト(8)と、
前記スイッチ装置(1)のオン状態(ONS)の間に前記アナログ電気入力信号(IS)に対応するアナログ電気出力信号(OS)を出力し、かつ前記スイッチ装置(1)のオフ状態(OFS)の間には前記アナログ電気出力信号(OS)を出力しないための出力コンタクト(9)であって、前記出力コンタクト(9)は前記スイッチングトランジスタ(17)の前記ドレインコンタクト(4)に電気的に接続されている、出力コンタクト(9)と、
前記オン状態(ONS)の間に一定のフローティング電圧(FW)を提供する電圧供給配置(23)を備えたブートストラップ配置(10)であって、前記フローティング電圧(FW)は、前記電圧供給配置(23)の正極端子(24)および負極端子(25)に供給される、ブートストラップ配置(10)と、
を備え、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記オン状態(ONS)の間には、
前記正極端子(24)が、前記スイッチングトランジスタ(17)の前記フロントゲートコンタクト(5)と、前記スイッチングトランジスタ(17)の前記バックゲートコンタクト(18)とに電気的に接続され、かつ
前記負極端子(25)は、前記スイッチングトランジスタ(17)の前記ソースコンタクト(3)に電気的に接続される
ように構成され、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記オフ状態(OFS)の間には、
前記正極端子(24)および前記負極端子(25)が、前記スイッチングトランジスタ(17)に電気的に接続されない
ように構成される、スイッチ装置。
【請求項2】
前記スイッチ装置(1)は、接地電圧(GRV)を供給するための接地コンタクト(7)を備え、
前記ブートストラップ配置(10)は、
前記オン状態(ONS)の間には、前記スイッチングトランジスタ(17)の前記フロントゲートコンタクト(5)および前記スイッチングトランジスタ(17)の前記バックゲートコンタクト(18)が前記接地コンタクト(7)に電気的に接続されないように構成され、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記オフ状態(OFS)の間には、
前記スイッチングトランジスタ(17)の前記フロントゲートコンタクト(5)および前記スイッチングトランジスタ(17)の前記バックゲートコンタクト(18)が前記接地コンタクト(7)に電気的に接続される
ように構成される、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチ装置(1)は、正の供給電圧(PSV)を供給するための正の供給電圧コンタクト(26)を備え、
前記電圧供給配置(23)は、キャパシタ(27)を備え、
前記正極端子(24)は、前記キャパシタ(27)の正極コンタクト(28)に電気的に接続され、
前記負極端子(25)は、前記キャパシタ(27)の負極コンタクト(29)に電気的に接続され、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記オン状態(ONS)の間には、
前記キャパシタ(27)の前記正極コンタクト(28)が前記正の供給電圧コンタクト(26)に電気的に接続されず、かつ
前記キャパシタ(27)の前記負極コンタクト(29)が前記接地コンタクト(7)に電気的に接続されない
ように構成され、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記オフ状態(OFS)の間には、
前記キャパシタ(27)の前記正極コンタクト(28)が前記正の供給電圧コンタクト(26)に電気的に接続され、かつ
前記キャパシタ(27)の前記負極コンタクト(29)が前記接地コンタクト(7)に電気的に接続される
ように構成されている、請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記ブートストラップ配置(10)は、前記キャパシタ(27)の前記正極コンタクト(28)を前記正の供給電圧コンタクト(25)に電気的に接続するための第1のスイッチ(30)を備え、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記キャパシタ(27)の前記負極コンタクト(29)を前記接地コンタクト(7)に電気的に接続するための第2のスイッチ(31)を備え、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記キャパシタ(27)の前記正極コンタクト(28)を前記スイッチングトランジスタ(17)の前記フロントゲートコンタクト(5)および前記スイッチングトランジスタ(17)の前記バックゲートコンタクト(18)に電気的に接続するための第3のスイッチ(32)を備え、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記キャパシタ(27)の前記負極コンタクト(29)を前記スイッチングトランジスタ(17)の前記ソースコンタクト(3)に電気的に接続するための第4のスイッチ(33)を備え、
前記ブートストラップ配置(10)は、前記接地コンタクト(7)を前記スイッチングトランジスタ(17)の前記フロントゲートコンタクト(5)および前記スイッチングトランジスタ(17)のバックゲートコンタクト(18)に電気的に接続するための第5のスイッチ(34)を備える、請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記スイッチ(30、31、32、34)は、1つ以上のバイナリ制御信号(φ1φ2)によって制御される、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチングトランジスタ(17)は、反転ウェル完全空乏型シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタ(17)である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記スイッチングトランジスタ(17)は埋め込み絶縁体(22)を含み、前記ソース領域(13)、前記ドレイン領域(14)および前記ゲート領域(15)は、前記埋め込み絶縁体(22)の第1の側に配置され、前記反転ウェル(19)は前記埋め込み絶縁体(22)の第2の側に配置される、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記スイッチングトランジスタ(17)は基板領域(16)を含み、前記埋め込み絶縁体(22)は前記反転ウェル(19)の第1の側に配置され、かつ前記基板領域(16)は前記反転ウェル(19)の第2の側に配置される、請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記バックゲートコンタクト(18)は、永久電気接続(21)によって前記フロントゲートコンタクト(5)に電気的に接続される、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)を備える、アナログ/デジタル変換器のためのサンプラ。
【請求項11】
請求項10に記載のサンプラを備える、アナログ/デジタル変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スイッチドキャパシタ回路等の時間ディスクリート回路の多くのタイプの性能は、そのアナログスイッチトランジスタの線形性に依存する。単純なMOSFETデバイスは、クロック信号により制御できて、そのソース端子とドレイン端子との間の信号伝送を導いたり遮断したりするこの種のアナログスイッチトランジスタの機能を提供する。しかしながら、薄いゲート酸化膜の低いブレークダウン電圧および最新のCMOSプロセスにおける極度のスケールダウンによる低電源電圧は、スイッチングトランジスタを駆動するスイッチ信号およびクロック信号の両方の電圧振幅を制限する。これにより、アナログスイッチ装置としてのMOSFETデバイスの性能が制限される。充分な信号振幅をサポートする一方で導通および遮断が可能な信頼性のあるスイッチ装置の設計が、課題となっている。
【背景技術】
【0002】
原理的には、アナログスイッチ装置は、2つの動作領域を有し、オン状態では、低抵抗であり、アナログ信号が2つのノード間を通過することを可能にし、オフ状態では、2つのノードを分離する高抵抗を有する。CMOSプロセスにおいて実現されるスイッチは、オン状態の間、有限のスイッチ抵抗を示す。従来のスイッチの場合、オン状態の間のスイッチ抵抗の値は、その入力コンタクトにおける入力電圧の非線形関数である。この非理想性は、それ自体を歪みをもたらす非線形設定誤差として示す。
【0003】
低電圧アナログスイッチ[3,4,5,6]の性能を向上させるために、低電圧印加のためのアナログスイッチ装置においてブートストラップ技術を使用することが知られている。周知の従来のブートストラップ技術は、導通時にスイッチングトランジスタのゲート・ソース間電圧を一定にすることにより、アナログスイッチ性能を向上させるが、オン状態の間のスイッチ装置のスイッチ抵抗の非線形入力依存性は、ボディ効果[4]により依然見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の目的は、アナログ電気入力信号をスイッチングするための改良されたスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、アナログ電気入力信号をスイッチングするためのスイッチ装置を提供する。スイッチ装置は、
【0006】
スイッチングトランジスタは、ソース領域に電気的に接続されたソースコンタクトと、ドレイン領域に電気的に接続されたドレインコンタクトと、ゲート領域に電気的に接続されたフロントゲートコンタクトと、反転ウェルに電気的に接続されたバックゲートコンタクトとを備えた反転ウェル-シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタと、
【0007】
アナログ電気入力信号を受け取るための入力コンタクトであって、入力コンタクトは、スイッチングトランジスタのソースコンタクトに電気的に接続されている入力コンタクトと、
【0008】
スイッチ装置のオン状態の間にアナログ電気入力信号に対応したアナログ電気出力信号を出力し、スイッチ装置のオフ状態の間にアナログ電気出力信号を出力しないようにするための出力コンタクトであって、スイッチングトランジスタのドレインコンタクトに電気的に接続された出力コンタクトと、
【0009】
オン状態の間に一定のフローティング電圧を提供するための電圧供給配置を含むブートストラップ配置であって、前記フローティング電圧は電圧供給配置の正極端子および負極端子に供給されるブートストラップ配置とを備え、
【0010】
このブートストラップ配置は、オン状態の間に、
【0011】
正極端子は、スイッチングトランジスタのフロントゲートコンタクトと、スイッチングトランジスタのバックゲートコンタクトとに電気的に接続されており、かつ、
【0012】
負極端子は、スイッチングトランジスタのソースコンタクトに電気的に接続されるように構成され、
【0013】
このブートストラップ配置は、オフ状態の間に、
【0014】
正極端子および負極端子は、スイッチングトランジスタに電気的に接続されないように構成されている。
【0015】
電界効果トランジスタ、特にNMOSトランジスタのしきい値電圧は、ソースコンタクトとドレインコンタクトとの間に導電経路を形成するのに必要な最小ゲート・ソース間電位差である。シリコン・オン・インシュレータ技術におけるスイッチングトランジスタのしきい値電圧(Vth)は、しばしば埋め込み酸化物(BOX)層である絶縁体の存在によるバックゲートバイアス電圧に強い依存性を有する。従って、このようなスイッチングトランジスタのバックゲートコンタクトを効果的に制御することができ、サンプリングスイッチとしての挙動を向上させることができる。
【0016】
反転ウェルNMOSトランジスタは、従来のp基板またはpウェルの代わりにnウェル内にアクティブNMOSデバイスが配置されているものである。したがって、ウェルは"反転"される。シリコン・オン・インシュレータ技術における反転ウェルNMOSの選択は、以下の利点を有する。しきい値電圧は、シリコン・オン・インシュレータトランジスタにおけるバックゲートコンタクトを介して強く制御できる。バルクNMOSトランジスタでは、NMOSデバイスがpウェル内に配置されるので、これはまた、深いnウェルを必要とし、それをp型基板から分離する。これにより、ウェル-基板接合部におけるより多くの寄生成分がもたらされ、また、余分なマスクが必要とされるためにさらなるコスト要因がもたらされる。厚い絶縁体層のために、22nm FDSOI CMOS技術[2]において、いくらかの電圧、例えば2Vまでの範囲の電圧を、トランジスタのバックゲートに印加することができる。ソースに対するバックゲートの正の電圧は、閾値電圧の低下をもたらす。これは、順方向ボディバイアスとしても知られている。
【0017】
一般にブートストラップは、デバイスの2つのコンタクト間に一定電圧を印加することを指す。2つのコンタクト間の電圧は、供給電圧コンタクトまたは接地コンタクトのような非フローティングコンタクトにコンタクトが接続されていない場合には、フローティング電圧である。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、ブートストラップ配置によって生成されたフローティング電圧は、オン状態の間、スイッチングトランジスタのフロントゲートコンタクトだけでなく、スイッチングトランジスタのバックゲートコンタクトにも印加される。換言すれば、フロントゲートコンタクトおよびバックゲートコンタクトは、少なくともオン状態の間に短絡される。この革新的な装置では、フロントゲートコンタクトおよびバックゲートコンタクトの両方がオン状態の間にソースコンタクトにブートストラップされ、フローティング電圧と入力信号の電圧との和に等しい電圧が印加される。
【0019】
これにより、バックゲートコンタクトとソースコンタクトとの間の電位差が一定であるフローティング電圧であるため、スイッチングトランジスタの性能を向上させることができる。入力信号の電圧により閾値電圧のバリエーションが存在しないので、オン状態の間のスイッチ抵抗も入力に依存しない。バックゲートコンタクトとソースゲートコンタクトとの間の正の電圧は、スイッチングトランジスタの順方向ボディバイアスにつながる。これにより、オン状態中にスイッチングトランジスタのしきい値電圧が低下し、オン状態の間にスイッチ抵抗が導通する。したがって、スイッチングトランジスタのオン状態についての目標スイッチ抵抗を、より小さいアスペクト比(幅/長さ)で実現することができる。これにより、クロックフィードスルー[11]および電荷注入[11]のような面積依存性問題の低減がもたらされる
【0020】
本願発明の好適な実施形態によれば、スイッチ装置は、接地電圧を供給するための接地コンタクトを含み、
【0021】
このブートストラップ配置は、
【0022】
オン状態の間、スイッチングトランジスタのフロントゲートコンタクトおよびスイッチングトランジスタのバックゲートコンタクトは、接地コンタクトに電気的に接続されないように構成され、
【0023】
このブートストラップ配置は、オフ状態の間に、
【0024】
スイッチングトランジスタのフロントゲートコンタクトおよびスイッチングトランジスタのバックゲートコンタクトは、接地コンタクトに電気的に接続されるように構成される。
【0025】
これらの特徴により、オフ状態の間にスイッチングトランジスタのスイッチ抵抗を最大値で安定化させることができる。
【0026】
本願発明の好適な実施形態によれば、スイッチ装置は、正の供給電圧を供給するための正の供給電圧コンタクトを備え、
【0027】
電圧供給配置は、キャパシタを備えており、
【0028】
正極端子は、キャパシタの正極コンタクトに電気的に接続され、
【0029】
負極端子は、キャパシタの負極コンタクトに電気的に接続され、
【0030】
ブートストラップ配置は、オン状態の間に、
【0031】
キャパシタの正のコンタクトは、正の供給電圧コンタクトに電気的に接続されず、
【0032】
キャパシタの負のコンタクトは、接地コンタクトに電気的に接続されないように構成される。
【0033】
このブートストラップ配置は、オフ状態の間に、
【0034】
キャパシタの正のコンタクトは、正の供給電圧コンタクトに電気的に接続され、かつ、
【0035】
キャパシタの負のコンタクトは、接地コンタクトに電気的に接続されるように構成される。
【0036】
これらの特徴は、本願発明のスイッチ装置の簡単でコスト効率の良い実装を提供する。
【0037】
本願発明の好ましい実施形態によれば、ブートストラップ配置は、キャパシタの正のコンタクトを正の供給電圧コンタクトに電気的に接続するための第1のスイッチを備え、
【0038】
ブートストラップ配置は、キャパシタの負のコンタクトを接地コンタクトに電気的に接続するための第2のスイッチを備え、
【0039】
ブートストラップ配置は、キャパシタの正のコンタクトをスイッチングトランジスタのフロントゲートコンタクトとスイッチングトランジスタのバックゲートコンタクトとに電気的に接続するための第3のスイッチを備え、
【0040】
ブートストラップ配置は、キャパシタの負のコンタクトをスイッチングトランジスタのソースコンタクトに電気的に接続するための第4のスイッチを備え、
【0041】
ブートストラップ配置は、接地コンタクトをスイッチングトランジスタのフロントゲートコンタクトにおよびスイッチングトランジスタのバックゲートコンタクトに電気的に接続するための第5のスイッチを備える。
【0042】
これらの特徴は、本願発明のスイッチ装置の簡単でコスト効率の良い実装を提供する。
【0043】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチは、1つ以上のバイナリ制御信号によって制御される。バイナリ制御信号は、2つの信号レベルのうちの1つの信号レベルを毎回出力することを提供する制御信号である。特に、1つ以上のバイナリ制御信号は、繰り返しオン状態からオフ状態に切り替えかつオン状態に戻るために、クロックによって生成される1つ以上のクロック信号を含むことができる。
【0044】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチングトランジスタは、反転ウェル完全空乏型シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタである。2種類のシリコン・オン・インシュレータトランジスタが存在する。部分的に空乏化されたシリコン・オン・インシュレータトランジスタおよび完全に空乏化されたシリコン・オン・インシュレータトランジスタである。部分的に空乏化されたシリコン・オン・インシュレータトランジスタについては、ゲート領域と絶縁体との間に挟まれた膜は大きいので、空乏領域は膜全体を覆うことができない。これとは対照的に、完全に空乏化されたシリコン・オン・インシュレータトランジスタにおいて膜は非常に薄く、空乏領域は膜全体を覆う。
【0045】
スイッチングトランジスタは、22nm FDSOI CMOSプロセスで製造することができる。
【0046】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチングトランジスタは、埋め込み絶縁体を含み、ソース領域、ドレイン領域およびゲート領域は、埋め込み絶縁体の第1の側に配置され、反転ウェルは、埋め込み絶縁体の第2の側に配置されている。
【0047】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチングトランジスタは、基板領域を含み、埋め込み絶縁体は、反転ウェルの第1の側に配置され、基板領域は、反転ウェルの第2の側に配置される。
【0048】
本願発明の好ましい実施形態によれば、バックゲートコンタクトは、永久的な電気接続によってフロントゲートコンタクトに電気的に接続される。電気的接続部は、電気的接続部を切断し再接続することができる電気的スイッチ又は他の電気的構成部品を含まない場合には、永久的であると考えることができる
【0049】
さらなる態様では、本願発明は、アナログ/デジタル変換器のためのサンプラを提供する。ここで、サンプラは、先述の請求項の1つによるスイッチ装置を備える。
【0050】
別の態様では、本願発明は、アナログ/デジタル変換器を提供する。ここで、アナログ/デジタル変換器は、前の請求項に記載のサンプラを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本願発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、従来技術によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置の第1の実施形態を示す概略図である。
図2図2は、従来技術によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置の第2の実施形態を示す概略図である。
図3図3は、図1および図2に示すスイッチ装置で使用される従来のバルク-NMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタの実施形態を示す概略図である。
図4図4は、本願発明によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置の実施形態を示すブロック図である。
図5図5は、本願発明によるスイッチ装置に用いられる反転ウェル-シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタの一実施形態を示す模式図である。
図6図6は、本願発明によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置の実施形態を示す機能図である。
図7図7は、本願発明によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置の実施形態を示す回路図である。
図8図8は、本願発明によるスイッチ装置および従来技術によるスイッチ装置の全高調波歪のシミュレーション結果を示す図である。
【0053】
等しいまたは等価な要素または等しいまたは等価な機能性を有する要素は、以下の説明において、等しいまたは同等の参照番号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下の説明では、本開示の実施形態のより完全な説明を提供するために、複数の詳細が記載される。しかしながら、本開示の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本開示の実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造およびデバイスは、詳細にではなく、ブロック図形式で示されている。また、以下に説明する異なる実施形態の特徴は、特に明記しない限り、互いに組合わせることができる。
【0055】
図1は、従来技術によるアナログ電気入力信号ISを切り替えるスイッチ装置1の第1の実施形態を示す概略図である。スイッチ装置1は、ソースコンタクト3、ドレインコンタクト4、フロントゲートコンタクト5、および接地コンタクト7に電気的に接続されたバルクコンタクト6を含む、従来のバルク-NMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタ2を備える。また、スイッチ装置1は、アナログ電気入力信号ISを受ける入力コンタクト8を備え、入力コンタクト8は、スイッチングトランジスタ2のソースコンタクト3に電気的に接続されている。また、スイッチ装置1は、スイッチ装置1のオン状態ONSの間にアナログ電気入力信号ISに対応するアナログ電気出力信号OSを出力し、スイッチ装置1のオフ状態OFSの間にアナログ電気出力信号OSを出力しない出力コンタクト9を備え、出力コンタクト9はスイッチングトランジスタ2のドレインコンタクト4に電気的に接続されている。
【0056】
ブートストラップ配置10は、オフ状態OFSの間にゲート電圧が接地電圧GRVに等しく、オン状態ONSの間にゲート電圧GAVが正の供給電圧PSVと入力信号ISとの和に等しくなるように、ゲート電圧GAVをスイッチングトランジスタ2のゲートに供給することができる。
【0057】
ブートストラップ配置10は、オン状態ONSの間高レベルにありオフ状態OFSの間低レベルにある第1のバイナリ制御信号φ1と、オン状態ONSの間低レベルにありオフ状態OFSの間高レベルにある第2のバイナリ制御信号φ2とによって制御されることができる。ローレベルは、信号φ1およびφ2の両方について接地電圧GRVに等しくてもよく、ハイレベルは、信号φ1およびφ2の両方について正の供給電圧PSVに等しくてもよい。
【0058】
図1の実施形態では、スイッチングトランジスタ2の基板によって形成されたpウェルに電気的に接続されたバルクコンタクト6は、接地コンタクト7に電気的に永久的に接続されている。このような実施形態の欠点は、この場合のブートストラップが、部分的にオン状態ONSの間の入力信号ISの電圧とは無関係に、スイッチングトランジスタ2のスイッチ抵抗のみにすることができることである([5]参照)。オン状態ONSの間のスイッチ抵抗は、入力信号ISの電圧に対する閾値電圧の依存性のために、入力信号ISの電圧に対する非線形依存性を依然として有する。ソースコンタクトとバルクコンタクトとの間の電圧変動に依存するしきい値電圧の変動は、"ボディ効果"とも呼ばれる。
【0059】
図2は、従来技術によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置の第2の実施形態を示す概略図である。第2の実施形態は、第1の実施形態に基づく。しかしながら、第2の実施形態では、第1の実施形態のようにバルクコンタクト6が接地コンタクト7に永久的に接続されていない点で第1の実施形態とは異なる。第2の実施形態において、バルクコンタクト6は、スイッチ11を介してオン状態ONSの間にスイッチングトランジスタ2のソースコンタクト3に接続されている。スイッチ11は、第1のバイナリ制御信号φ1がハイレベルのときにスイッチ11が閉じるように第1のバイナリ制御信号φ1によって制御される。そうでなければ、オフ状態OFSの間、バルクコンタクト6は、さらなるスイッチ12を介して接地コンタクト7に接続される。さらなるスイッチ12は、第2のバイナリ制御信号φ2がハイレベルのときにスイッチ12が閉じるように第2のバイナリ制御信号φ2によって制御される。
【0060】
図2の実施形態では、バルクコンタクト6はpウェルに電気的に接続され、pウェルは深いnウェルによってスイッチングトランジスタ2のp基板から電気的に絶縁されている。スイッチングトランジスタ2が導通していないときに、オフ状態の間、バルクコンタクトは接地コンタクト6に短絡される。オン状態の間、それはソースコンタクト3に短絡される。このようにして、"ボディ効果"が回避され、オン状態の間に入力に依存しないスイッチ抵抗が得られる。しかしながら、p型基板からpウェルを分離するために必要な深いnウェルは、より多くの寄生成分をもたらし、また、余分なマスクの必要性に起因するさらなるコストにもつながる。
【0061】
図3は、図1に示すスイッチ装置1に用いた従来のバルク-NMOSトランジスタ2であるスイッチングトランジスタ2の一実施形態を模式図的に示している。ソースコンタクト3はソース領域13に電気的に接続され、ドレインコンタクト4はドレイン領域14に電気的に接続され、フロントゲートコンタクト5はゲート領域15に電気的に接続され、バルクコンタクト6はバルク領域16に電気的に接続されている。バルク-NMOSトランジスタ2は、図2のスイッチ装置1において、スイッチングトランジスタ2を使用する場合に、接地となるバルク領域16の下部からpウェルとなるバルク領域16の上部を分離するために、追加の深いnウェルを必要とする。
【0062】
図4は、本願発明によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置1の実施形態をブロック図として示す。スイッチ装置1は、
【0063】
スイッチングトランジスタ17は、ソース領域13に電気的に接続されたソースコンタクト3と、ドレイン領域14に電気的に接続されたドレインコンタクト4と、ゲート領域15に電気的に接続されたフロントゲートコンタクト5と、反転ウェル19に電気的に接続されたバックゲートコンタクト18とを備えた反転ウェル-シリコン・オン・インシュレータ-NMOSトランジスタ17であるスイッチングトランジスタ17と、
【0064】
アナログ電気入力信号ISを受ける入力コンタクト8であって、スイッチングトランジスタ17のソースコンタクト3に電気的に接続された入力コンタクト8と、
【0065】
スイッチ装置1のオン状態ONS中にアナログ電気入力信号ISに対応するアナログ電気出力信号OSを出力し、スイッチ装置1のオフ状態OFSの間にアナログ電気出力信号OSを出力しない出力コンタクト9であって、スイッチングトランジスタ17のドレインコンタクト4に電気的に接続された出力コンタクト9と、
【0066】
オン状態ONSの間に一定のフローティング電圧FVを提供する電圧供給配置23を備えたブートストラップ配置10であって、フローティング電圧FVは、電圧供給配置23の正極端子24及び負極端子25に供給されるブートストラップ配置10とを備える。
【0067】
ここで、ブートストラップ配置10は、オン状態ONSの間に、
【0068】
正極端子24は、スイッチングトランジスタ17のフロントゲートコンタクト5と、スイッチングトランジスタ17のバックゲートコンタクト18とに電気的に接続され、
【0069】
負極端子25は、スイッチングトランジスタ17のソースコンタクト3に電気的に接続されるように構成され、
【0070】
ブートストラップ配置10は、オフ状態OFSの間に構成され、
【0071】
正極端子24および負極端子25は、スイッチングトランジスタ17に電気的に接続されないように構成されている。
【0072】
NMOSのnウェルとp基板との間の接合部に形成された寄生ダイオード20も図示されている。
【0073】
ブートストラップ配置10は、ゲート電圧GAVはオフ状態OFSの間に接地電圧GRVに等しく、ゲート電圧GAVはオン状態ONSの間に正の供給電圧PSVと入力信号ISとの和に等しいように、ゲート電圧GAVをスイッチングトランジスタ17のゲートコンタクト5に供給することができる。
【0074】
ブートストラップ配置10は、オン状態ONSの間高レベルにありオフ状態OFSの間に低レベルにある第1のバイナリ制御信号φ1と、オン状態ONSの間低レベルにありオフ状態OFSの間高レベルにある第2のバイナリ制御信号φ2とによって制御されてもよい。低レベルは、信号φ1およびφ2の両方について接地電圧GRVに等しくてもよく、高レベルは、信号φ1およびφ2の両方について正の供給電圧PSVに等しくてもよい。
【0075】
NMOSスイッチングトランジスタ17のバックゲートを制御することにより、大きい信号振幅でスイッチトランジスタ17の高い線形性能を得ることにより、従来のスイッチブートストラップ技術[3]を改善することができる
【0076】
本願発明によれば、ブートストラップ配置10によって生成されたフローティング電圧FVは、オン状態ONSの間、スイッチングトランジスタ17のフロントゲートコンタクト5だけでなく、スイッチングトランジスタ17のバックゲートコンタクト18にも印加される。換言すれば、フロントゲートコンタクト5及びバックゲートコンタクト18は、少なくともオン状態ONSの間に短絡される。この革新的な配置により、オン状態ONSの間にフロントゲートコンタクト5およびバックゲートコンタクト18の両方がソースコンタクト3にブートストラップされ、フローティングFV電圧と入力信号ISの電圧との和に等しい電圧が印加される。
【0077】
これにより、バックゲートコンタクト18とソースコンタクト3との間の電位差が一定であるフローティング電圧FVであるため、スイッチングトランジスタ17の性能を向上させることができる。入力信号ISの電圧によるしきい値電圧の変動がないので、オン状態ONSの間のスイッチ抵抗も入力に依存しない。バックゲートコンタクト18とソースゲートコンタクト3との間の正の電圧は、スイッチングトランジスタ17の順方向ボディバイアスにつながる。これにより、オン状態ONSの間にスイッチングトランジスタ17のしきい値電圧が低下し、オン状態ONSの間にスイッチ抵抗が減少する。これにより、スイッチングトランジスタ17のオン状態の目標スイッチ抵抗を、より小さいアスペクト比(幅/長さ)で実現することができる。これにより、クロックフィードの粗い[11]かつ電荷注入[11]のようなトランジスタ領域依存問題の低減がもたらされる。
【0078】
本願発明の好適な実施形態によれば、スイッチ装置1は、接地電圧GRVを供給するための接地コンタクト7を備え、
【0079】
ここで、ブートストラップ配置10は、
【0080】
オン状態ONSの間、スイッチングトランジスタ17のフロントゲートコンタクト5とスイッチングトランジスタ17のバックゲートコンタクト18とは、接地コンタクト7に電気的に接続されないように構成され、
【0081】
ブートストラップ配置10は、オフ状態OFSの間に、
【0082】
スイッチングトランジスタ17のフロントゲートコンタクト5とスイッチングトランジスタ17のバックゲートコンタクト18とは、接地コンタクト7に電気的に接続されるように構成されている。
【0083】
本願発明の好ましい実施形態によれば、バックゲートコンタクト18は、永久電気接続21によってフロントゲートコンタクト5に電気的に接続されている。
【0084】
さらなる態様では、本願発明は、アナログ/デジタル変換器用のサンプラを提供し、サンプラは、本願発明によるスイッチ装置1を備える。
【0085】
さらなる態様では、本願発明は、アナログ/デジタル変換器を提供する。ここで、アナログ/デジタル変換器は、本願発明によるサンプラを備える。
【0086】
図5は、本願発明によるスイッチ装置において使用される反転ウェル-シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタの実施形態を概略図で示す。
【0087】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチングトランジスタ17は、反転ウェル完全空乏化シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタ17である。完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ技術は、バルク製品[1、2]に比べていくつかの利点をもたらす、費用対効果の高い先進的なプロセス・オプションとして出現した。
【0088】
完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ技術は、埋め込み酸化物層22[2]上に7nm未満のシリコン薄膜を有するプレーナプロセスで製造されたデバイスであることを特徴とする。図5は、完全空乏化シリコン・オン・インシュレータ技術におけるデバイスの断面を示している。埋め込み酸化物層22のために、これらのデバイスは、低減された漏れ電流を示し、ラッチアップに対するロバスト性を提供する。埋め込み酸化物層22は、デバイスのウェルコンタクト18を分離する。このコンタクトは、バックゲートコンタクト18と呼ばれ、一方、薄いゲート酸化物の上の従来のゲートコンタクトはフロントゲートコンタクト5と呼ばれる。バックゲートコンタクト18には、アプリケーションの要求に応じて最適な性能と電力効率とのバランスをとるようにトランジスタ17のしきい値電圧を制御するために、拡張された範囲の電圧をバックゲートコンタクトに印加することができる。
【0089】
提示された設計は完全空乏化されたシリコン・オン・インシュレータについて検証されているが、部分的にドープされたシリコン・オン・インシュレータトランジスタのような、シリコン・オン・インシュレータベースのトランジスタの他のフレーバーにも同様の考えを用いることができる
【0090】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチングトランジスタ17は、埋め込み絶縁体22を含み、ソース領域13、ドレイン領域14およびゲート領域15は、埋め込み絶縁体22の第1の側に配置され、反転ウェル19は、埋め込み絶縁体22の第2の側に配置されている。
【0091】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチングトランジスタ17は、基板領域16を含み、埋め込み絶縁体22は、反転ウェル19の第1の側に配置され、基板領域16は、反転ウェル19の第2の側に配置されている。
【0092】
スイッチングトランジスタ17としては、22nmFDSOI技術の反転ウェル内のNMOSトランジスタを用いることができる。反転ウェルNMOSトランジスタは、従来のpウェルの代わりにnウェルにアクティブNMOSデバイスが配置されているものである。したがって、ウェルは「反転」される。FDSOIにおける反転ウェルNMOSの選択は、以下の利点を有する。しきい値電圧は、反転ウェルシリコン・オン・インシュレータトランジスタにおけるバックゲートコンタクト18を介して強く制御することができる。バルク-NMOSトランジスタはpウェル内に配置されるので、これはまた、深いnウェルを必要とし、バックゲートコンタクトをp型基板から分離する。これは、ウェル-基板接合部におけるより多くの寄生成分をもたらし、また、余分なマスクの必要性に起因する追加のコストにつながる。絶縁体、例えば埋め込み酸化物層により、トランジスタ17[2]のバックゲートには、2Vまでの電圧を印加することができる。ソースコンタクト3に対するバックゲートコンタクト18の正の電圧は、しきい値電圧の低下につながる。これは、順方向ボディバイアスとしても知られている。
【0093】
図6は、本願発明によるアナログ電気入力信号を切り替えるためのスイッチ装置の実施形態を機能図として示す。
【0094】
本願発明の好適な実施形態によれば、スイッチ装置1は、正の供給電圧PSVを提供する正の供給電圧コンタクト26を備え、
【0095】
電圧供給配置23は、キャパシタ27を備え、
【0096】
正極端子24は、キャパシタ27の正極コンタクト28に電気的に接続され、
【0097】
負極端子25は、キャパシタ27の負極コンタクト29に電気的に接続され、
【0098】
ブートストラップ配置10は、オン状態ONSの間に、
【0099】
キャパシタ27の正極コンタクト28は、正の供給電圧コンタクト26に電気的に接続されず、
【0100】
キャパシタ27の負極コンタクト29は接地コンタクト7に電気的に接続されないように構成されている。
【0101】
ブートストラップ配置10は、オフ状態OFSの間に、
【0102】
キャパシタ27の正極コンタクト28は、正の供給電圧コンタクト26に電気的に接続されており、かつ、
【0103】
キャパシタ27の負極コンタクト29は接地コンタクト7に電気的に接続されるように構成されている。
【0104】
本願発明の好ましい実施形態によれば、ブートストラップ配置10は、キャパシタ27の正極コンタクト28を正の供給電圧コンタクト25に電気的に接続するための第1のスイッチ30を備え、
【0105】
ブートストラップ配置10は、キャパシタ27の負極コンタクト29を接地コンタクト7に電気的に接続する第2のスイッチ31を備え、
【0106】
ブートストラップ配置10は、キャパシタ27の正極コンタクト28をスイッチングトランジスタ17のフロントゲートコンタクト5及びスイッチングトランジスタ17のバックゲートコンタクト18に電気的に接続する第3のスイッチ32を備え、
【0107】
ブートストラップ配置10は、キャパシタ27の負極コンタクト29をスイッチングトランジスタ17のソースコンタクト3に電気的に接続する第4のスイッチ33を備え、
【0108】
ブートストラップ配置10は、接地コンタクト7をスイッチングトランジスタ17のフロントゲートコンタクト5とスイッチングトランジスタ17のバックゲート18とに電気的に接続するための第5のスイッチ34を備える。
【0109】
前述したように、バックゲートコンタクト18とフロントゲートコンタクト5とが互いに短絡されている反転ウェル19を有するようにNMOSスイッチトランジスタ17を実装することが提案され、このようにして、スイッチ装置を"バックゲート-アンド-フロントゲートブートストラップスイッチ"と呼ぶことができる。NMOSのnウェルとp基板との接合部に形成された寄生ダイオード20も図示されている。非導通オフステージOFSの間、第1のスイッチ30及び第2のスイッチ31が閉じられ、キャパシタ27が正の電源電圧に充電される。導通状態ONSの間、キャパシタ27は第3のスイッチ32と第4のスイッチ33とによりゲートコンタクト5および18とスイッチングトランジスタ17のソースコンタクトとの間に接続されている。これにより、フロントゲートコンタクト5およびバックゲートコンタクト18の両方をソースコンタクト3にブートストラップする。このトポロジーは、従来のブートストラップスイッチの上でのスイッチの線形性を改善し、これら2つの理由により、フロントゲートコンタクト5のみがソースコンタクト3にブートストラップされる。
【0110】
i) 順方向ボディバイアスは、電圧しきい値を減少させ、それにより、オン状態の間、スイッチングトランジスタ17のスイッチ抵抗を減少させる。
【0111】
ii) バックゲートコンタクト18も入力信号ISを追跡するので、入力信号ISに依存するしきい値電圧変動が除去され、オン状態の間に入力とは独立したスイッチ抵抗が生じる。さらに、オン状態の間の順方向ボディバイアスによるしきい値電圧の減少は、スイッチングトランジスタ17が、比較的小さいアスペクト比(幅/長さ)でオン状態の間に低いスイッチ抵抗となることを可能にする。
【0112】
本願発明の好ましい実施形態によれば、スイッチ30,31,32,33,34は、1つ以上のバイナリ制御信号φ1、φ2によって制御される。
【0113】
図7は、本願発明によるアナログ電気入力信号ISを切り替えるスイッチ装置1の実施形態を示す回路図である。ブートストラップ配置10は、[6]および[12]に記載されたブートストラップ配置と同様である。しかしながら、提案されたスイッチ装置1の性能は、このようなブートストラップ配置10を本明細書に記載のスイッチングトランジスタ17と組み合わせることによって改善される。図7の回路図および図6の機能図は、同じスイッチ装置1を表している。しかしながら、図7の回路図は、図6のブロック図によるスイッチ装置の実施のためのほんの一例であることに留意されたい。
【0114】
提案されたブートストラップスイッチ装置1のスイッチング方式を実現するために、追加のクロック昇圧を必要としないので、[6]に示されたものと同様のトポロジーを選択することができる。図7はスイッチトポロジーの実装形態を示す図である。スイッチ-ブートストラップトポロジーの回路実装における大きな課題は、正の供給電圧PSVを超える内部電圧レベルの発生による全てのスイッチ30,31,32,33,34の確実な動作を維持することである。埋め込み絶縁体22により、シリコン・オン・インシュレータトランジスタ17のバックゲートコンタクト18は、2Vまでの電圧レベルをサポートすることができる。内部電圧レベルがこの限界未満であるので、トランジスタ17のバックゲートコンタクト18は、絶縁破壊を招くことなく接地コンタクト7に短絡させることができる。
【0115】
第1のスイッチ30はPMOSトランジスタ35として実現される。さらに、第2のスイッチ31はNMOSトランジスタ36として実現される。第3のスイッチ32はPMOSトランジスタ37に対応する。第4のスイッチ33はNMOSトランジスタ38により表され、第5のスイッチ34はNMOSトランジスタ40により表される。NMOSトランジスタ39は正の供給電圧PSVを超えた電圧レベルから保護することによりNMOSトランジスタ40を確実に動作させる。
【0116】
各トランジスタ35,36,37,38,39,40,41,42は、FDSOIトランジスタ35,36,37,38,39,40,41,42とすることができ、その結果、各トランジスタ35,36,37,38,39,40,41,42のバックゲートコンタクトは、絶縁破壊を生じさせることなく接地コンタクトに短絡させることができる。
【0117】
オン状態ONSおよびオフ状態OFSの間にPMOSトランジスタ37を十分にオン/オフするために、PMOSトランジスタ41、NMOSトランジスタ42およびNMOSトランジスタ43の補助によりPMOSトランジスタ37のゲートが制御される。図7のPMOSトランジスタ37は、図6の第1のスイッチ32に対応する。PMOSトランジスタ41、NMOSトランジスタ42およびNMOSトランジスタ43は、図6のスイッチ30,31,32,33および34のいずれにも対応しないが、それらはPMOSトランジスタ37の信頼性の高い動作に必要である。
【0118】
38のゲートも、スイッチングトランジスタスイッチ17のゲートと同じ信号によって制御される。
【0119】
図6に示すように、オン状態ONSの間に接地コンタクト7に短絡していないスイッチ34の端子は、キャパシタのフローティング電圧FVが正の供給電圧PSVと同じ値を有するので、オン状態ONSの間に正の供給電圧PSVと入力信号ISの電圧との和の電圧を受ける。これは、スイッチ34が1つのNMOSトランジスタ40だけで実現される場合に、信頼性の問題を引き起こす可能性がある。これは、オン状態ONSの間に、入力信号ISの電圧の正の値に対して、公称の正の供給電圧PSVより大きい電位差がNMOSトランジスタ40のゲート酸化物とチャネルとの間で経験されるからである。この問題を解決するために、NMOSトランジスタ39は、図7に見られるように、そのゲートが正の供給電圧コンタクト26に短絡されて追加される。これにより、オン状態ONSの間の正の供給電圧PSVと入力信号ISの電圧との和が、NMOSトランジスタ39を介して部分的に低下することが可能になる。よって、NMOSトランジスタ40のゲート-酸化物およびチャネルは、電気的な過剰応力を受けない。
【0120】
図8は、本願発明に係るスイッチ装置1のおよび従来のスイッチ装置1の全高調波歪のシミュレーション結果を示している。第1の曲線CU1は、入力信号ISのピーク間振幅に応じて、本願発明に係るスイッチ装置1の全高調波歪を示す。第2の曲線CU2は、入力信号ISのピーク間振幅に応じて、従来技術によるスイッチ装置1の全高調波歪を示す。
【0121】
スイッチ装置1と負荷キャパシタとからなる基本的な差動サンプルホールド回路を用いて、性能を検証する。各スイッチングトランジスタ2または17の幅は、20MHzのナイキストサンプリング周波数でクロックされた5pf負荷キャパシタについてほぼ300Ωの抵抗を有するオン状態ONSの間に達成するために最小チャネル長に対して決定される。公称の正の供給電圧PSVは0.8Vであり、入力コモンモード電圧は400mVである。図8は、広い範囲の振幅にわたってナイキスト帯域幅に近い9.5MHzの周波数を有する入力信号ISについて計算されたサンプリング信号OSの全高調波歪(THD)を示す。このプロットから、従来のスイッチ装置1と比較して、本願発明のスイッチ装置1では、導通時の線形性の大幅な改善が図られていることがわかる。
【0122】
上記の説明は単なる例示であり、本明細書に記載された構成および細部の変更および変形は、当業者には明らかであろうことが理解されるであろう。したがって、上記の説明および説明によって提示される具体的な詳細によってではなく、差し迫った特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。
【0123】
これらの結果につながる研究は、欧州連合からの資金を受けた。
【符号の説明】
【0124】
1 スイッチ装置
2 従来のバルク-NMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタ
3 ソースコンタクト
4 ドレインコンタクト
5 フロントゲートコンタクト
6 バルクコンタクト
7 接地コンタクト
8 入力コンタクト
9 出力コンタクト
10 ブートストラップ配置
11 スイッチ
12 スイッチ
13 ソース領域
14 ドレイン領域
15 ゲート領域
16 バルク領域
17 反転ウェル-シリコン・オン・インシュレータNMOSトランジスタであるスイッチングトランジスタ
18 バックゲートコンタクト
19 反転ウェル
20 寄生ダイオード
21 永久的な電気的接続
22 埋め込み絶縁体
23 電圧供給配置
24 正極端子
25 負極端子
26 正の供給電圧コンタクト
27 キャパシタ
28 正極コンタクト
29 負極コンタクト
30 第1のスイッチ
31 第2のスイッチ
32 第3のスイッチ
33 第4のスイッチ
34 第5のスイッチ
35 PMOSトランジスタ
36 NMOSトランジスタ
37 PMOSトランジスタ
38 NMOSトランジスタ
39 NMOSトランジスタ
40 NMOSトランジスタ
41 PMOSトランジスタ
42 NMOSトランジスタ
43 NMOSトランジスタ
IS 入力信号
OS 出力信号
ONS オン状態
OFS オフ状態
GAV ゲート電圧
GRV 接地電圧
PSV 正の供給電圧
φ1 第1のバイナリ制御信号
φ2 第2のバイナリ制御信号
FV フローティング電圧
【参考文献】
【0125】
[1] O. Weber et al., "14nm FDSOI technology for high speed and energy efficient applications," 2014 Symposium on VLSI Technology (VLSI-Technology): Digest of Technical Papers, Honolulu, HI, 2014, pp. 1-2.

[2] R. Carter et al., "22nm FDSOI technology for emerging mobile, Internet-of-Things, and RF applications," 2016 IEEE International Electron Devices Meeting (IEDM), San FrancISco, CA, 2016, pp. 2.2.1-2.2.4.

[3] B. Razavi, "The Bootstrapped Switch [A Circuit for All Seasons]," in IEEE Solid-State Circuits Magazine, vol. 7, no. 3, pp. 12-15, Summer 2015.

[4] U. Moon et al., "Switched-capacitor circuit techniques in submicron low-voltage CMOS," VLSI and CAD, 1999. ICVC '99. 6th International Conference on, Seoul, 1999, pp. 349-358.

[5] J. Steensgaard, "Bootstrapped low-voltage analog switches," Circuits and Systems, 1999. ISCAS '99. Proceedings of the 1999 IEEE International Symposium on, Orlando, FL, 1999, pp. 29-32 vol.2.

[6] M. Dessouky and A. Kaiser, "Input switch configuration suitable for rail-to-rail operation of switched op amp circuits," in Electronics Letters, vol. 35, no. 1, pp. 8-10, 7 Jan 1999.

[7] J. Brunsilius et al., "A 16b 80MS/s 100mW 77.6dB SNR CMOS pipeline ADC," 2011 IEEE International Solid-State Circuits Conference, San Francisco, CA, 2011, pp. 186-188.

[8] B. Nikolic et al., Circuit Design in Nanoscale FDSOI Technologies, MIEL 2014, Belgrade, Serbia, 12-14 may, 2014.

[9] UTBB-FDSOI Design & Migration Methodology, STMicroelectronics

[10] Huang, Guanzhong, and Pingfen Lin. "A fast bootstrapped switch for high-speed high-resolution A/D converter." Circuits and Systems (APCCAS), 2010 IEEE Asia Pacific Conference on. IEEE, 2010.

[11] U.C. Berkeley, EE247, Lecture 19, ADC Converters, Lecture Notes, 2006.

[12] Chun-Cheng Liu, Soon-Jyh Chang, Guan-Ying Huang, Ying-Zu Lin "A 10-bit 50-MS/s SAR ADC With a Monotonic Capacitor Switching Procedure", in IEEE Journal of Solid-State Circuits, Volume: 45, Issue: 4, April 2010.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8