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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】投薬容器用ノズル及び投薬容器
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20220322BHJP
   A61M 39/04 20060101ALI20220322BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20220322BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20220322BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61M39/04
A61M5/14
A61J1/05 313J
B65D33/38
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018099920
(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公開番号】P2019201996
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】319006586
【氏名又は名称】和田 功実
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100121924
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 功実
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510247(JP,A)
【文献】特表2005-520635(JP,A)
【文献】特表平10-509626(JP,A)
【文献】特開平04-266765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 39/04
A61M 5/14
A61J 1/05
B65D 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口部と排出部とを有する投薬容器の前記排出部に取り付けられる投薬容器用ノズルにおいて、
前記投薬容器の内部と連通する貫通孔を有し、前記排出部に取り付けられる基部と、
前記基部に一体に形成され、前記基部の貫通孔に連通する円筒形状を有し、外周面に雄ねじが形成された雌コネクタとを備え、
前記投薬容器の内部と前記基部の前記貫通孔との間にシール部が設けられ、
前記シール部と前記雌コネクタとの間にスライド部材が設けられ、
前記雌コネクタに挿入される円筒部と、前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成された外筒部とからなる雄コネクタが、前記雌コネクタに装着されると、前記スライド部材が移動して、前記シール部を解除するように構成され、
前記スライド部材は、円筒形の軸部と、前記基部に接離可能な弁部を有し、前記軸部に流入口が形成され、
前記シール部は、前記弁部の外周面と前記基部に形成された環状突部とで構成され、
前記環状突部の上端に形成された係止部が前記弁部の外周縁に係止することでシール状態に維持するように構成され、
前記スライド部材は、前記弁部を前記基部から離間して前記シール部を開放するように構成されている投薬容器用ノズル。
【請求項2】
入口部と排出部とを有する投薬容器の前記排出部に取り付けられる投薬容器用ノズルにおいて、
前記投薬容器の内部と連通する貫通孔を有し、前記排出部に取り付けられる基部と、
前記基部に一体に形成され、前記基部の貫通孔に連通する円筒形状を有し、外周面に雄ねじが形成された雌コネクタとを備え、
前記投薬容器の内部と前記基部の前記貫通孔との間にシール部が設けられ、
前記シール部と前記雌コネクタとの間にスライド部材が設けられ、
前記雌コネクタに挿入される円筒部と、前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成された外筒部とからなる雄コネクタが、前記雌コネクタに装着されると、前記スライド部材が移動して、前記シール部を解除するように構成され、
前記スライド部材は、円筒形の軸部を有し、前記軸部に流入口が形成され、
前記シール部は、前記基部の前記投薬容器の内部を臨む端面に接着されたシート材からなり、
前記スライド部材は、前記シート材を押圧して当該シート材の接着を剥離するように構成されている投薬容器用ノズル。
【請求項3】
入口部と排出部とを有し、前記排出部に請求項1又は2に記載のノズルが取り付けられていることを特徴とする投薬容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投薬容器用ノズル及び投薬容器に関する。
【背景技術】
【0002】
嚥下障害等により口から栄養が取れない患者の場合、経鼻胃管、胃瘻、腸瘻等の経管栄養補給法が行われている。このような経管栄養補給法では、ボトルやバッグ(以下、「投薬容器」という)に栄養剤を入れ、チューブを介して胃や腸に注入する。投薬容器には、排出部にノズルが設けられ、該ノズルにチューブが接続される。
【0003】
近年、経腸栄養の分野では、相互接続防止コネクタとして、国際規格ISO(IEC)80369-3に規定されたねじ込み式のコネクタの適用が予定されている。
【0004】
従来、投薬容器用ノズルの構造として種々提案されている。例えば、特許文献1には、容器のノズルに隔壁が設けられ、先端に接続針が設けられたカテーテルをノズルにねじ込む過程で、接続針が隔壁を破断するカテーテル接続構造が記載されている。この構造では、雄コネクタに接続針を設ける必要があるため、前記ISO80369-3のコネクタには適用できない。
【0005】
また、特許文献2-4には、キャップのねじ込みによって容器の口部に設けたシール材を破断する技術が公知であるが、これを前記ISO80369-3のコネクタに適用するとしても、雄コネクタ又は雌コネクタに加工が必要であるため、投薬容器用ノズルには適用できない。
【0006】
また、特許文献5には、投薬容器に収容部とノズルからなる排出部とを備え、収容部と排出部との境界部分を閉塞する閉塞部をさらに備え、収容部に医薬品と液体を収容して、医薬品を崩壊、懸濁させて、収容部に力を加えて閉塞部を開き、収容部内の医薬品と液体の混合物を排出部のノズルを経てチューブに流出することができる投薬容器が記載されている。この投薬容器の排出部には、前記ISO80369-3のコネクタを取り付けることは可能であるが、コネクタの接続と閉塞部の解放との2つの動作が必要であり、内容部物の補給動作が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-210023号公報
【文献】特開2001-278322号公報
【文献】特開平7-112749号公報
【文献】実用新案登録第2602651号明細書
【文献】特許第5873483号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、斯かる従来の問題点に鑑みてなされたもので、ISO80369-3のねじ込み式のコネクタを適用可能であり、容易に開くことができて、円滑に内容物を流出することができる投薬容器用ノズル及び投薬容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として、本発明の投薬容器用ノズルは、
入口部と排出部とを有する投薬容器の前記排出部に取り付けられる投薬容器用ノズルにおいて、
前記投薬容器の内部と連通する貫通孔を有し、前記排出部に取り付けられる基部と、
前記基部に一体に形成され、前記基部の貫通孔に連通する円筒形状を有し、外周面に雄ねじが形成された雌コネクタとを備え、
前記投薬容器の内部と前記基部の前記貫通孔との間にシール部が設けられ、
前記シール部と前記雌コネクタとの間にスライド部材が設けられ、
前記雌コネクタに挿入される円筒部と、前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成された外筒部とからなる雄コネクタが、前記雌コネクタに装着されると、前記スライド部材が移動して、前記シール部を解除するように構成されている。
【0010】
シール部が閉じた状態で、投薬容器に医薬品と液体を収容し、雌コネクタに雄コネクタを装着すると、スライド部材が移動して、シール部が解除され、投薬容器内の医薬品と液体の混合物がスライド部材に沿って流出し、雌コネクタと雄コネクタを通り、チューブを介して、胃や腸に注入される。
【0011】
前記スライド部材は、前記基部に接離可能な弁部を有し、
前記シール部は、前記弁部と前記基部の間に形成され、
前記スライド部材は、前記弁部を前記基部から離間して前記シール部を開放するように構成されている。
【0012】
前記シール部は、前記スライド部材の前記弁部の外周面と、前記ノズル本体の前記基部の端面に形成された環状突部の内面とで形成されていることが好ましい。
【0013】
前記シール部は、前記基部の前記投薬容器の内部を臨む端面に接着されたシート材からなる。
【0014】
前記スライド部材は、前記シール部に対向する尖鋭端を有し、該尖鋭端により前記シール部を突き破るように構成されている。
【0015】
前記スライド部材は、前記シール部を押圧して当該シール部の接着を剥離するように構成されている。
【0016】
前記スライド部材の外面に形成された流入孔から、前記スライド部材の内部を通る流路が形成されていることが好ましい。
【0017】
前記基部の内面と前記スライド部材の外面との間を通る流路が形成されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の投薬容器は、入口部と排出部とを有し、前記排出部に前記ノズルが取り付けられているものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、雌コネクタに雄コネクタを装着するだけで、スライド部材が移動して、シール部が解除されるので、簡単な動作で、投薬容器内の医薬品と液体の混合物をスライド部材に沿って円滑に流出することができる。また、雄コネクタを装着するときに雄コネクタによりスライド部材を移動させる構造であるので、雌コネクタと雄コネクタの構造を変更する必要がなく、ISO80369-3のねじ込み式のコネクタを適用することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のノズルが取り付けられた投薬容器の斜視図。
図2】本発明の第1実施形態に係るノズルと雄コネクタの断面図。
図3図2のノズルの平面図。
図4図2のノズルのスライド部材を引き出した状態を示す斜視図。
図5図2のノズルのスライド部材を引き出した状態を示す一部破断正面図。
図6】本発明のノズルが取り付けられた投薬容器により医薬品の懸濁中(a)及びコネクタ接続の状況(b)を示す側面図。
図7図2のノズルに雄コネクタを装着した状態を示す断面図。
図8】第1実施形態の変形例を示す斜視図。
図9】第1実施形態の他の変形例を示す一部破断正面図。
図10】本発明の第2実施形態に係るノズルの断面図。
図11図10のノズルの平面図。
図12図10のノズルに雄コネクタを装着した状態を示す断面図。
図13】本発明の第3実施形態に係るノズルの断面図。
図14図13のノズルの平面図。
図15図13のノズルに雄コネクタを装着する途中の状態を示す断面図。
図16図13のノズルに雄コネクタを装着した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態のノズル10が取り付けられた投薬容器1を示す。投薬容器1は、無色透明、半透明又は有色透明でポリエチレン等の軟質の合成樹脂で形成されている。投薬容器1は、矩形の2枚のシート2a、2bを重ね合わせ、両側の縁部3を互いに接着するとともに、底の縁部4の中央の排出部5にノズル10を挟み、該底の縁部4を接着することにより、内部に医薬品と液体を収容する収容部6が形成されている。シート2aの上縁部7はシート2bの上縁部7より下方に設けられて入口部8となっている。入口部8の内側は溝と突条からなる周知のチャックテープ9が設けられ、収容部6を開閉可能にしている。収容部6の底はノズル10に向かって傾斜している。投薬容器1の底縁部4の両側には吊り孔4a、上縁部7の中央には吊り孔7aが形成されている。
【0023】
図2は、第1実施形態のノズル10を示し、このノズル10は、ノズル本体11と、スライド部材12とから構成されている。ノズル本体11及びスライド部材12は、共にポリエチレン等の合成樹脂で形成されている。
【0024】
ノズル本体11は、投薬容器1の排出部5に取り付けられる基部13と、投薬容器1の外方に突出する雌コネクタ14とが一体に形成されたものである。
【0025】
ノズル本体11の基部13は、図3に示すように、横断面が菱形で、対向する鈍角の角部が円弧で形成されている。基部13には、雌コネクタ14の内部と連通する貫通孔15が形成されている。基部13は、投薬容器1の収容部6に臨む内端面16を有している。基部13の内端面16には、図4に示すように、貫通孔15と同心の環状突部17が形成されている。環状突部17は、図5に示すように、基端から先端に向かって径が大きくなるように傾斜し、先端には内側に向かって突出する係止部18が形成されている。
【0026】
ノズル本体11の雌コネクタ14は、図2に示すように、基部13の貫通孔に連通する円筒形状を有し、外周面に雄ねじ14aが形成されている。雌コネクタ14には、図1に示すように、経鼻胃管、又は胃瘻や腸瘻のカテーテルに接続されたチューブ(以下、単に「チューブ)という)26の雄コネクタ27がねじ込んで装着される。雄コネクタ27は、図2に示すように、雌コネクタ14に挿入される円筒部27aと、雌コネクタ14の雄ねじ14aに螺合する雌ねじ27bが形成された外筒部27cとからなる。雌コネクタ14と雄コネクタ27は、ISO80369-3に規定された寸法を有する。
【0027】
スライド部材12は、軸部19と、該軸部19の基端に設けられた弁部20とを有している。軸部19は、ノズル本体11の貫通孔15にスライド可能に挿入されている。軸部19は、円筒形で、ノズル本体11の基部13よりも長い長さを有する。このため、軸部19をノズル本体11の貫通孔15に挿入し、弁部20をノズル本体11の基部13の内端面16に当接したときに、軸部19の先端が雌コネクタ14の内部に突出するようになっている。軸部19は、雌コネクタ14の流体ルーメン内径d1より小さく、雄コネクタ27の内筒部27aの内径d2より大きい外径Dを有し、雄コネクタ27の内筒部27aの先端に当接するようになっている。
【0028】
軸部19の基端側には、2つの流入口22が対向する位置に形成されている。2つの流入口22は、それぞれ長円形状で、軸部19の内部の横断面積以上の開口面積を有する。2つの流入口22の弁部20からの位置は、軸部19をノズル本体11の貫通孔15に挿入し、弁部20をノズル本体11の基部13の内端面16に当接したときに、ノズル本体11の基部13内に潜伏し、雌コネクタ14に雄コネクタ27を装着することにより軸部19が投薬容器1の収容部6側に移動したときに、ノズル本体11の基部13から露出するような位置に形成されている。
【0029】
スライド部材12の弁部20は、円形で、軸部19の基端に軸部19と同心に一体に形成されている。弁部20の下面は、ノズル本体11の基部13の内端面16と接触し、離間するように形成されている。弁部20の外周面21は、図5に示すように、軸部19に向かって先細りになるように傾斜し、ノズル本体11の環状突部17の内面に密着するように形成されている。
【0030】
弁部20の外周面21と、ノズル本体11の基部13の環状突部17は、投薬容器1の収容部6から、ノズル本体11の基部13の内端面16とスライド部材12の弁部20との間を通って、流入口22、軸部19の内部を経て外部に至る流路をシールするシール部23を構成している。シール部23は、環状突部17の上端に形成された係止部18が弁部20の外周縁に係止することでシール状態に維持している。
【0031】
次に、前記構成のノズル10を備えた投薬容器1を使用して簡易懸濁法により投薬を行う場合における特にノズル10の作用を説明する。
【0032】
投薬容器1の排出部5のノズル10のスライド部材12の弁部20が閉じ、ノズル本体11の係止部18がスライド部材12の弁部20に係止していることを確認してから、投薬容器1のチャックテープ9を開き、入口部8を広げて、患者の投薬に必要なカプセル剤や錠剤等の医薬品と、常温の水または55℃の温湯を入れて、チャックテープ9を閉じる。この状態で、投薬容器1を所定時間放置し、医薬品を崩壊、懸濁させる。必要に応じて、投薬容器1を振ったり、外側から外力を加えて医薬品を崩壊させてもよい。ノズル10は、スライド部材12の弁部20が閉じており、シール部23でシールされているので、投薬容器1の収容部6内の医薬品と温湯の懸濁液が外部に漏れることはない。懸濁中は、図6(a)に示すように、ノズル10を上にして、投薬容器1をノズル10側の吊り孔4aをスタンド24のフック25に掛けて吊るしてもよい。常温の水で懸濁した場合は、人の体温近くまで加温してもよい。
【0033】
投薬容器1内の医薬品と温湯の懸濁液が体温に近い温度になると、図6(b)に示すように、投薬容器1のノズル10の雌コネクタ14にチューブ26の雄コネクタ27を接続する。このとき、図7に示すように、雄コネクタ27の先端にスライド部材12の軸部19の先端が当接して押し込まれる。
【0034】
スライド部材12の軸部19が押し込まれることにより、スライド部材12の弁部20が、ノズル本体11の係止部18から外れてシール状態が解除され、スライド部材12の弁部20がノズル本体11の基部13の内端面16から離間して、弁部20が解放され、スライド部材12の軸部19の流入口22が投薬容器1の収容部6の内側に露出する。
【0035】
これにより、スライド部材12の弁部20と、ノズル本体11の基部13の内端面16との間から、スライド部材12の軸部19の2つの流入口22を経て、軸部19の内部に流路が形成され、この流路を通って投薬容器1の収容部6の懸濁液がチューブ26を介して患者の胃や腸に投与される。スライド部材12の軸部19の先端は、チューブ26の雄コネクタ27の先端に当接しているので、懸濁液の流動中にスライド部材12が戻ることはない。
【0036】
懸濁液の投与が終わると、チューブ26の雄コネクタ27を外し、ノズル10のスライド部材12の弁部20を投薬容器1の外側から押さえて、弁部20の外周縁をノズル本体11の係止部18に係止する。これにより、スライド部材12が閉じるので、収容部6に付着又は残留している懸濁液を外部に漏らさずに投薬容器1を廃棄することができる。なお、スライド部材12の弁部20を閉じずに投薬容器1を廃棄してもよい。
【0037】
前記第1実施形態では、スライド部材12の軸部19は、円筒形であるが、図8に示すように、横断面が十字形の棒状にしてもよい。このため、スライド部材12の弁部20が開くと、スライド部材12の軸部31の溝28が投薬容器1の収容部6の内側に露出する。これにより、スライド部材12の弁部20と、ノズル本体11の基部13の内端面16との間から、スライド部材12の軸部31の溝28を通る流路が形成され、この流路を通って投薬容器1の収容部6の懸濁液がチューブ26を介して患者の胃や腸に投与される。
【0038】
また、図9に示すように、ノズル本体11の基部13の内端面16に環状溝29aを形成し、スライド部材12の弁部20に環状溝29aと嵌合する環状突起29bを設けて、環状溝29aと環状突起29bの嵌合によりシール部29を構成してもよい。
【0039】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態のノズル10Aを示す。このノズル10Aは、シール部の構造と、スライド部材の形状が異なる以外は、前記第1実施形態のノズル10と同様であるので、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。
【0040】
シール部は、投薬容器1の収容部6を臨む内端面16に、貫通孔15を覆うように接着されたシート材30からなる。シート材30は、投薬容器1のシート2a,2bと同様に、ポリエチレン等の軟質の合成樹脂で形成されている。図11に示すように、シート材30の中心から放射状に周囲より肉厚が薄い弱め線31が形成され、中心に押圧力を受けたときに弱め線31に沿って破断するようになっている。
【0041】
スライド部材12は、軸部19の先端にシート材30に対向する円錐状の尖鋭端32を有し、該尖鋭端32によりシート材30を突き破るように構成されている。スライド部材12の軸部19の外周には、スライド部材12が雌コネクタ14から抜け出るのを防止するストッパ33が設けられている。
【0042】
投薬容器1のノズル10Aの雌コネクタ14にチューブ26の雄コネクタ27を接続すると、図12に示すように、雄コネクタ27によりスライド部材12の軸部19が押し込まれ、スライド部材12の尖鋭端32が、シート材30を突き破り、弱め線31に沿って破断する。この結果、シート材30のシール状態が解除され、スライド部材12の軸部19の流入口22が投薬容器1の収容部6の内側に露出する。
【0043】
これにより、投薬容器1の収容部6から、スライド部材12の軸部19の2つの流入口22を経て、軸部19の内部に流路が形成され、この流路を通って投薬容器1の収容部6の懸濁液がチューブ26を介して患者の胃や腸に投与される。
【0044】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態のノズル10Bを示す。このノズル10Bは、シール部の構造と、スライド部材の形状が異なる以外は、前記第1実施形態のノズル10と同様であるので、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。
【0045】
シール部は、投薬容器1の収容部6を臨む内端面16に、貫通孔15を覆うように接着されたシート材30からなる。シート材30は、投薬容器1のシート2a、2bと同様に、ポリエチレン等の軟質の合成樹脂で形成されている。シート材30の図14にハッチングで示す接着部30aは、中心に押圧力を受けたときに剥離するような接着力で内端面19に接着されている。
【0046】
スライド部材12は、軸部19の先端がシート材30に接着されている。軸部19の先端をシート材30に接着しなくてもよいが、この場合、第2実施形態のスライド部材と同様に、スライド部材12の軸部19の外周に、スライド部材12が雌コネクタ14から抜け出るのを防止するストッパ33を設けることが好ましい。
【0047】
投薬容器1のノズル10Aの雌コネクタ14にチューブ26の雄コネクタ27を接続すると、図15に示すように、雄コネクタ27により、スライド部材12の軸部19が押し込まれ、スライド部材12の先端が、シート材30を押し上げ、やがて、図16に示すように、シート材30の接着部30aが剥離する。この結果、シート材30のシール状態が解除され、スライド部材12の軸部19の流入口22が投薬容器1の収容部6の内側に露出する。
【0048】
これにより、投薬容器1の収容部6から、スライド部材12の軸部19の2つの流入口22を経て、軸部19の内部に流路が形成され、この流路を通って投薬容器1の収容部6の懸濁液がチューブ26を介して患者の胃や腸に投与される。
【0049】
本発明は以上の実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々変更することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…投薬容器
5…排出部
8…入口部
10,10A,10B…ノズル
11…ノズル本体
12…スライド部材
13…基部
14…雌コネクタ
15…貫通孔
17…環状突部
19…軸部
20…弁部
21…外周面
23…シール部
26…チューブ
27…雄コネクタ
30…シート材(シール部)
31…弱め線
32…尖鋭端



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16