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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】トラック
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/027 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
B62D33/027 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021134667
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2021-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521369312
【氏名又は名称】水島 憲章
(74)【代理人】
【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】水島 憲章
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-121484(JP,U)
【文献】特開2006-044556(JP,A)
【文献】実開昭62-156585(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/00-33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台から下げたアオリが荷台下の前輪を覆蓋する構造を有するトラックにおいて、
前記前輪の前方及び/又は後方であって、前記荷台の下方に位置する支柱に装着されたアオリ保護装置を備え、
前記アオリ保護装置が、シャーシの中心軸線方向に直交する水平な幅方向に直交する平面内にある軸芯を中心にして回転可能な回転軸と、この回転軸に取り付けられるとともに、平坦面及びこの平坦面とは反対側に凸状に形成された緩衝部材を備えた回動体とを備え、
前記回動体を回転させて前記平坦面を車幅の外側に向く垂直面にしたときに、前記平坦面がそのトラックの車幅を超えないように設定され、かつ、
前記平坦面を車幅の内側に向く垂直面にしたときに、前記平坦面に直交する方向における前記緩衝部材の先端部の位置が、前記直交する方向において、前記車幅よりも外側となるように設定されてなることを特徴とするトラック。
【請求項2】
前記回動体が、前記回転軸を有するとともに前記平坦面を有する平板体と、この平板体の前記平坦面とは反対側に前記回転軸に直交する断面の形状が方形、長方形、又は、方形若しくは長方形と半円形とを組み合わせた凸状に形成されてなる前記請求項1に記載のトラック。
【請求項3】
前記回転軸は、前記回転軸を回転駆動する駆動装置に結合され、前記駆動装置はこれを駆動する駆動制御装置により回転制御される前記請求項1又は2に記載のトラック。
【請求項4】
前記支柱が、サイドガードを形成する一対の縦支柱である前記請求項1~3のいずれか一項に記載のトラック。
【請求項5】
前記一対の縦支柱は、それら縦支柱における上部でかけ渡された上部横桟と、その上部横桟の下方に位置するとともに、前記上部横桟を第1の横桟とすると第2の横桟となる下部横桟とを備え、
前記回転軸は、前記上部横桟と下部横桟とに縦方向にかけ渡された支持体に回転可能に軸支されている前記請求項4に記載のトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はアオリ保護装置を備えたトラックに関し、さらに詳しくは、アオリを荷台から下ろした状態で例えばフォークリフトで荷台に積荷を上げ下ろしする作業中に意図的に又は意図せずにアオリをフォークリフトで押圧することによりアオリの表面に前輪のディスクホイールの跡形などの傷をつけないようにアオリを保護するアオリ保護装置を備えたトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型トラック前2軸車のアオリを荷台から下げて、フォークリフトを利用して積荷作業及び荷卸し作業をする場合に、フォークリフトがアオリを強く押圧するようにアオリに接触すると、車輪に装着されたディスクホイールやボルトの跡形がアオリの側面に付くことがある。
【0003】
このアオリ押圧による跡形の形成を防止する機械、器具、装置、その他のものとして、今までのところ以下のような提案がある。
【0004】
特許文献1に記載の考案は「弾性変形可能な発泡体で環状盤に形成され、且つその盤厚みがトラックの車輪を構成するディスク面から突出する複数のボルトの各ボルト軸長さよりも大きく設定され、さらに該環状盤には、各ボルトの対応位置に、盤面たる表面から裏面に貫通する通孔が形成されて、前記各ボルトに螺着するナット又はボルトキャップが前記各通孔にそれぞれ挿入することにより該車輪に保持され、アオリを回動させて下げたときに、該アオリが該環状盤の盤面に当たることを特徴とするトラック用アオリ保護具」である。この考案につき、特許文献5では、「発泡体でボルト、ナットが入る穴のある半ドーナツ状又はドーナツ状で凹み傷を防止するする緩衝材であって、ボルト、ナットに合わせてアオリを上げた形態で装着する事になるので屈む必要があるし、雨天時の発泡体に付く汚れとアオリの汚れにより生じる擦り傷は明示されていない。」との指摘がある(特許文献5の[0004])
特許文献2には「アオリを架装した車両のホイールを固定しているボルトナットに装着する前記アオリの保護具であって、一端面に前記ボルトナットの挿入口を形成した円筒状胴部の他端側にドーム状先端部を有し、弾性変形する素材からなるキャップ状本体を備え、該キャップ状本体の内部には、前記挿入口から前記ドーム状先端部に向かって大・中・小の三段の前記ボルトナットの挿入部が形成され、前記大の挿入部は前記ナットを軸方向に嵌め込む断面六角形のナット嵌合部とし、前記小の挿入部は前記ナットから突出する前記ボルトの先端部を軸方向に嵌め込む断面円形のボルト嵌合部とし、前記中の挿入部は前記ボルトの先端部の周囲に空洞を形成する中間空洞部として、前記アオリが前記ドーム状先端部に接触したとき前記ドーム状先端部が偏平方向に弾性変形することを特徴としたホイール固定用ボルトナット装着型アオリ保護具。」が開示されている。この「ホイール固定用ボルトナット装着型アオリ保護具」につき、特許文献5で、「ボルトナットに装着する筒状のシリコン製で凹み傷を防止するとあるが貫通孔を設けてアオリに接触した時変形して対応することとあるがアオリに付く汚れにより貫通孔がどの様になるかそしてブレーキ熱で水分が付着した時湯気が出る位特に夏場は高温となるがどうなるのか、アオリに付く汚れによる擦り傷には対応策を明示されていない。」との指摘がある(特許文献5の[0004])。
【0005】
特許文献3には「運転室の後方に荷台を備える車両において、荷台の側面を開いた状態の煽りと車軸のアクスルハブとの間に介在して煽りとアクスルハブとの接触を防止する保護板、この保護板を荷台の側面の煽りが閉じるとこれに伴って荷台の床下の格納状態に引き上げる一方で荷台の側面の煽りが開くとこれに伴って煽りとアクスルハブとの間に介入させるように動作する連動機構、を備えることを特徴とする車両の煽り保護装置。」が開示されている。この「煽り保護装置」につき、特許文献5で、「保護板をアオリの開閉に伴いワイヤーで連動させて荷台下に収納した所からアオリと車軸のアクスルハブとの間に吊持する保護装置とあり、保護板は自重で撓みを抑えるとあるが、フォークリフトにより保護板がアクスルハブに押し付けられた時の荷台の重量の変化による上下動よるワイヤーの撓み、そして使用した後で荷台下に収納される場合繰り返し使用時の汚れはどうなるのか、アオリに付く汚れによる擦り傷には対応を明示されていない。」との指摘がある(引用文献2の[0004])。
【0006】
特許文献4には「大型トラックの前輪2軸車及びセミトレーラーのアオリを下げた時、アオリとタイヤのボルト、ナット等との間に挟み込む様に位置を安定させて、脱着可能にした固定具を有する事を特徴とする緩衝具。」が開示されている。この緩衝具につき、特許文献5では、「緩衝材にコの字形に滑り止めを設けてアオリ上面に被せる様に使用する上部固定具やアオリ上面で輪状の回転部で反転させて共に下部の固定具として吸着性、磁力性で使用するとなっており、緩衝材は折り曲げ、衝撃に強い材質と衝撃を吸収しやすい材質とで使用するとあるが緩衝材の材質は具体的にどの様な物質か明示していない。下部の固定具として吸着性についてはアオリの汚れに対してどうなるか、磁力性の固定具はアオリを下げた時不自然である。荷台の上下動が生じる擦り傷には対応を明示していない。」との指摘がなされている(特許文献5の[0004]参照)。
【0007】
特許文献5には、「大型トラック前2軸車の第二軸線上のアオリ前面に位置することが可能な平面重層体の緩衝材であって、アオリとの間が隙間空間になる様に緩衝材上部に着脱可能な固定具を有する事を特徴とする新大型トラックアオリ保護緩衝具」が開示されている。またこの特許文献5においてアオリ保護装置に関連する装置を紹介する文献として紹介された特開2013―032808号公報にはアオリ保護装置に関連する発明が開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実用新案登録第3150180号公報
【文献】特開2018-135055号公報
【文献】特開2006-044556号公報
【文献】特開2009-1253号公報
【文献】特開2019-182419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の課題は、荷台から下げたアオリが荷台下に位置する前輪を覆蓋する構造を有するトラックにおけるそのアオリに前記前輪による傷が付くことを防止することができるとともに、アオリ保護装置の装着によってもトラックの走行に支障を生じることのないアオリ保護装置を備えたトラックを提供することである。
【0010】
さらに言うと、この発明の課題は、荷台下にある前輪のホイールディスクに装着する緩衝部材等を不要とし、したがってホイールディスクに緩衝部材等を装着する操作や作業をする必要がなく、トラックの走行に支障を生じさせることなくアオリに前記前輪による傷が付くことを防止することができるアオリ保護装置を備えたトラックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するためのこの発明の手段は、
(1) 荷台から下げたアオリが荷台下の前輪を覆蓋する構造を有するトラックにおいて、
前記前輪の前方及び/又は後方であって、前記荷台の下方に位置する支柱に装着されたアオリ保護装置を備え、
前記アオリ保護装置が、シャーシの中心軸線方向に直交する水平な幅方向に直交する平面内にある軸芯を中心にして回転可能な回転軸と、この回転軸に取り付けられるとともに、平坦面及びこの平坦面とは反対側に凸状に形成された緩衝部材を備えた回動体とを備え、
前記回動体を回転させて前記平坦面を車幅の外側に向く垂直面にしたときに、前記平坦面がそのトラックの車幅を超えないように設定され、かつ、
前記平坦面を車幅の内側に向く垂直面にしたときに、前記平坦面に直交する方向における前記緩衝部材の先端部の位置が、前記直交する方向において、前記車幅よりも外側となるように設定されてなることを特徴とするトラックであり。
(2) 前記回動体が、前記回転軸を有するとともに前記平坦面を有する平板体と、この平板体の前記平坦面とは反対側に前記回転軸に直交する断面の形状が方形、長方形、又は、方形若しくは長方形と半円形とを組み合わせた凸状に形成されてなる前記(1)に記載のトラックであり。
(3) 前記回転軸は、前記回転軸を回転駆動する駆動装置に結合され、前記駆動装置はこれを駆動する駆動制御装置により回転制御される前記(1)又は(2)に記載のトラックであり。
(4) 前記支柱が、サイドガードを形成する一対の縦支柱である前記(1)~(3)のいずれか一項に記載のトラックであり。
(5) 前記一対の縦支柱は、それら縦支柱における上部でかけ渡された上部横桟と、その上部横桟の下方に位置するとともに、前記上部横桟を第1の横桟とすると第2の横桟となる下部横桟とを備え、
前記回転軸は、前記上部横桟と下部横桟とに縦方向にかけ渡された支持体に回転可能に軸支されている前記(4)に記載のトラックである。
【発明の効果】
【0012】
荷台の運転席部分寄りに配置される車軸の両端に装着された車輪はタイヤとディスクホイールとで形成され、そのタイヤの側面から一部が突出するようにディスクホイールがタイヤに装着されている。したがって、アオリを不用意に下げたときや、荷台からアオリを下げた場合にフォークリフトなどによる外力でアオリを押圧したときに、前記ディスクホイールやこれに装着されたボルトによる傷や跡形がアオリの表面に付く恐れがあるが、この発明に係るアオリ保護装置が装備されていると、前記傷や跡形がアオリの表面に形成されることが防止される。しかも、トラックの走行時には、トラックの車幅を超えてアオリ保護装置が取り付けられていないので、アオリ保護装置を装着したトラックは安全に走行することができる。
【0013】
この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は、アオリを荷台から下げるときに一々荷台の下部に装着乃至設置する必要がなく、また、大型トラックの荷台下部にこのアオリ保護装置を装着乃至設置してしまった後においては、このアオリ保護装置を終始装着乃至設置したままにしておけるので、従来のように荷台からアオリを下げた場合に積荷の上げ下げの作業をする度ごとに車輪のディスクホイールに緩衝部材を装着したり、これを取り外したりするなどの煩雑な作業をなくすることができる。このアオリ保護装置を装着したトラックが走行するときに、アオリ保護装置が、特にアオリ保護装置における緩衝部材が幅方向に突出していないので、トラック走行時にアオリ保護装置がトラック外部の何かに接触して事故を起こすことがなく、トラックを安全に走行させることができる。
【0014】
また、この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は、回動体を回転させて前記回動体における平坦面を車幅の外側に向く垂直面にしたときに、前記平坦面がトラックの車幅、例えば道路運送車両法の保安基準で定められる車幅の範囲内に配置されているので、このアオリ保護装置を装着したトラックの走行に支障を生じることがなく、また、このアオリ保護装置はトラックに装備されているので積荷の上げ下ろしの操作毎にこのアオリ保護装置をトラックに一々装着するという煩雑さがない。
【0015】
また、この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は、アオリを上げているときには、緩衝部材移動手段により、柔軟部材で形成された緩衝部材を、車幅の範囲内に移動させているので、このアオリ保護装置を装備するトラックの走行に支障をきたすことがなく、また、トラックの停車時にアオリを下したときには緩衝部材移動手段によりこの緩衝部材を車幅の外側に移動させているので、アオリに車輪のディスクホイールによる傷や跡形をつけることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、この発明の一例であるアオリ保護装置を設置したトラックの側面を示す側面図である。
図2図2は、この発明の一例であるトラックにおけるアオリ保護装置をサイドガードに取り付けた状態を示す正面図である。
図3図3は、この発明の一例であるトラックにおけるアオリ保護装置を示す斜視図である。
図4図4は、この発明の一例であるトラックのアオリ保護装置における回動体を示す断面図である。
図5図5は、この発明の一例であるトラックであってアオリ保護装置を装着する低床4軸車の平面を示す説明図である。
図6図6は、この発明の他の例であるトラックのアオリ保護装置における回動体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は、荷台から下げたアオリが荷台の下方に装備されている前輪を覆蓋する構造を有するトラックにおける前記前輪の前方及び/又は後方であって、前記荷台の下方に垂下するととともに、シャーシに支持される支柱に装着される。
【0018】
トラックは、通常、運転席部分と運転席部分の後方に配置される荷台とを備える。
【0019】
大型トラックには、前2軸タイプ3軸車及び低床4軸車などがある。
【0020】
前2軸タイプ3軸車は、運転席部分の下方に配置される一本の車軸の両端に装着される車輪と、荷台下の前部つまり荷台における運転席に近い下方に配置される一本の車軸(一軸)の両端に装着される車輪及び荷台の後部における下方に配置される一本の車軸(一軸)の両端に装着される車輪とを備える。このような構造のトラックは車軸が3本であり、トラックを横から観察するとトラックの中央よりも前側に二本の車軸を備えるので、前2軸タイプであり、しかも車軸が3軸であるから「前2軸タイプ3軸車」と称される。この前2軸タイプ3軸車の荷台下における前部に配置される車輪の側面に装着されたホイールディスクは車輪の側面から突出している。したがって、アオリを下したときにこのホイールディスクがアオリに接触する可能性がある。故に、ホイールディスクによる傷付きを防止するためにこの前2軸タイプ3軸車はこの発明のアオリ保護装置を装備する対象車となる。
【0021】
低床4軸車は、運転席部分の下方に配置される車軸の両端に装着される車輪と、荷台の前部における下方に配置される一本の車軸(これを一軸と称することがある。)の両端に装着される車輪、及び荷台の後部の下方に互いに隣接する一対の車軸(これを二軸と称することがある。)の両端にそれぞれ装着される車輪とを備える。このような構造のトラックは車軸が4本であるから「低床4軸車」と称される。
【0022】
この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は、荷台にアオリが装着されており、前2軸タイプ3軸車及び低床4軸車などの、荷台の下方であって、荷台の運転席部分寄りに配置される車軸の両端に装着された車輪を備える大型トラックに適用、装着することができる。
【0023】
図1に示されるように、アオリ保護装置7は、例えば低床4軸車1の大型トラックに設けることができる。
【0024】
この低床4軸車1は、運転席2の下方に配置される一本の車軸の両端に装着される車輪3と、荷台4の前部における下方に配置される一本の車軸(一軸)の両端に装着される車輪5及び荷台4の後部における下方に配置される一対の隣接する車軸(二軸)の両端に装着される車輪6A,6Bとを備える。
【0025】
なお、この発明において「荷台の前部」は、車両の荷台を水平面に投影した場合に、車両のシャーシにおける中心軸線方向に直交する水平線であって運転席側に近い荷台投影境界線(荷台の輪郭と認識される線)と車両のシャーシにおける中心軸線方向に直交する水平線であって運転席から遠い荷台投影境界線とが形成されるときに、その二つの荷台投影境界線で挟まれる水平な荷台投影面内において、運転席側に近い荷台投影境界線に近接する領域を意味する。「荷台の後部」は、前記荷台投影面内において、運転席側から遠い荷台投影境界線に近接する領域を意味する。
【0026】
アオリ保護装置7は、図1に示されるように、サイドガード8と組み合わせて低床4軸車1に装着される。図1には、この低床4軸車1の右側面、すなわち運転席2に対面したときに右側と認識されるトラックの側面が表示されているが、アオリ保護装置7はこの低床4軸車1の左側面にも設けられる。
【0027】
なお、図1において、9a及び9bはアオリであり、この低床4軸車1においては、荷台4の側部(シャーシの中心軸線方向に沿う側部)に2枚のアオリ9a及び9bが一列に設置されている。換言すると、荷台4の右側部及び左側部それぞれにアオリ9a及びアオリ9bがその端部を当接するようにして一列に配置されている。10はアオリ9a及びアオリ9bを荷台から下方に下げるための蝶番である。
【0028】
図1に示されるように、この低床4軸車1に設けられたサイドガード8は、荷台4の下部であって荷台4における前部の車輪5(前部車輪5と称することがある。)と荷台4の下部であって荷台4における後部の車輪6A(後部前車輪6Aと称することがある。)との間に設けられる。つまり、このサイドガード8は荷台4の下方に位置する前輪5の後方に配置されている。なお、この低床4軸車1においては、後部の車輪は車輪6Aと車輪6Bとを備え、前部の車輪5に近いほうの車輪を後部前車輪6Aと称し、前部の車輪5に遠いほうの車輪を後部後車輪6Bと称することがある。
【0029】
図2に示されるように、アオリ保護装置7を組み込む前のサイドガード8は、シャーシ(図示せず)に結合されて荷台4の側部の下方に縦方向に配置される縦支持部材8Aと、この縦支持部材8Aと同様にしてシャーシに結合されて荷台4の側部の下方にこの縦支持部材8Aに対して並行に配設された他の縦支持部材8Bとを有し、この一対の縦支持部材8Aと縦支持部材8Bとにかけ渡された上部横桟部材8Cと、この上部横桟部材8Cの下方に並行に配設された下部横桟部材8Dと、この上部横桟部材8C及び下部横桟部材8Dの間に位置するように縦支持部材8Aと他の縦支持部材8Bとに掛け渡された中央横桟部材8Eとを備える。
【0030】
この実施例においては、アオリ保護装置7は、サイドガード8に組み込まれている。つまり、このアオリ保護装置7は、サイドガード8を利用して低床4軸車1に組み込まれている。
【0031】
このアオリ装置7は、上部横残部材8Cと中央横残部材8Eとに縦方向にかけ渡した一対の支持体7A,7Bと、これら一対の支持体7A,7B、上部横桟部材8C及び中央横桟部材8Eとで囲繞される空間内に配置される回動体7Cとを備える。
【0032】
図2及び図3に示されるように、この回動体7Cは、回転軸7D及び7Eと、板状体7Fと、図4に示されるように、緩衝部材7Gとを有する。
【0033】
回転軸7D及び7Eは、このアオリ保護装置7が組み込まれるトラックのシャーシの中心軸線方向に直交する水平な幅方向に直交する平面つまり直交平面内に軸芯を有する。換言すると、この回転軸7D及び7Eの軸芯方向は、上部横桟部材8C及び中央横桟部材8Eの配設方向と同じ方向である。また、回転軸7Dの回転軸線と回転軸7Eの回転軸線とが同じ軸線となっている。
【0034】
図3に示されるように、板状体7Fは、この実施例では、直方体に形成され、その直方体におけるもっとも面積の大きな一面が平坦面7H(図4参照)に形成され、その平坦面7Hとは反対側の部位例えば平面には緩衝部材7Gが設置されている。この板状体7Fには、一方の支持体7Aに回転可能に装着された回転軸7Dが板状体7Fの端面に固定的に挿入されるとともに、他方の支持体7Bに回転可能に装着された回転軸7Eが板状体7Fの他方の端面に固定的に挿入される。
【0035】
図4に示されるように、この板状体7Fの平坦面7Hとは反対側の平面7Jに形成された緩衝部材7Gは、この板状体7Fの水平回転軸芯の直交する断面が円弧状の外表面7Kを有する凸状に形成される。
【0036】
この実施例では、緩衝部材7Gの前記断面における外表面7Kを形成する円弧7Mは、板状体7Fの回転軸芯と同じ方向から見た場合に、板状体7Fにおける断面の対角線7Nが板状体7Fの回転軸芯を中心にして回転することにより形成される円形の軌跡の内側にあり、前記円形の軌跡の外側にはみ出ることがないように設計される。もしも、円弧7Mが前記円形の軌跡の外側にあるように設計されると、この板状体7Fを回転軸芯を中心にして回転させようとすると緩衝部材7Gが上部横桟部材8C及び中央横桟部材8Eに当接することとなり、これによって、板状体7Fが回転軸芯を中心にする回転動作をすることができなくなる。なお、板状体7Fが回転軸芯を中心にする回転動作をすることができなくなるという問題は、既存のサイドガード8にアオリ保護装置を取り付けようとするときに生じるのであって、サイドガード8を前提にしないで荷台4の下方にサイドガード8を取り付けることなくこの発明に係るアオリ保護装置を設置する場合には、前記問題は生じない。もっとも、サイドガード8を前提にしないで荷台4の下方にサイドガード8を取り付けることなくこの発明に係るアオリ保護装置を設置する場合にあっても、回転軸芯を中心にして回動体7Cを回転させたときに形成される緩衝部材7Gが形成する円形の軌跡範囲内に、回動体7Cの回動動作を阻害する障害物を設置しないようにしておくことが好ましい。
【0037】
緩衝部材7Gは、この緩衝部材7Gに加わる圧力及び衝撃を吸収し、分散することのできる弾性変形可能な公知の素材で形成することができ、例えば硬質ゴム、樹脂発泡体、シリコーンゴム、硬質樹脂、軟質樹脂等で形成することができる。
【0038】
この実施例に係るアオリ保護装置7の具体的な寸法等は、例えば、図3に示されるように、板状体7Fの回転軸芯方向に沿う長さLが250mm、板状体7Fの幅が125mm、及び板状体7Fの厚みがT27mm、この板状体7Fの端面と支持体7Aの端面との間隔Mは15mmである。一対の支持体7A、7Bそれぞれの回転軸芯方向に沿う長さL1が60mm、幅W1が131mm、厚みT1が27mmである。なお、この実施例における前記寸法は低床4軸車に装備された既存のサイドガードに組み込んでなる具体的な一例を示すのであって、既存のサイドガードを設けていないトラックや低床4軸車以外のトラックに設置するこの発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置の寸法は前記数値に限定されるものではない。
【0039】
この実施例におけるアオリ保護装置7は、低床4軸車における取り付け位置が重要である。この実施例に係るアオリ保護装置7は、トラックに法的に規制された最大横幅の範囲内に装着される。すなわち、このアオリ保護装置7は、板状体7Fの平坦面7Hがトラックの側面外側に向かうように位置するときに、その平坦面7Hがトラックに法的に規制された最大横幅つまり車幅の範囲内にあり、その平坦面7Hがトラックの側面内側に向けられているときには緩衝部材7Gがトラックに法的に規制された最大横幅つまり車幅の範囲外にあるように、トラックに設置される。トラックの車幅(横幅と認識することもできる。)は、「道路運送法車両の保安基準の細目を定める告示(2020.12.25)」の第84条第2項第2号により「幅については、自動車の最も側方にある部分(大型特殊自動車又は小型特殊自動車以外の自動車に備えられる回転するタイヤ、ディスクホイール及びこれに付随して回転する部分並びに方向指示器のうち自動車の両側面に備えるもの(第137条第3項第4号により中央部に備えるものを除く。第100条第4項第10号において同じ。)を除く。)を基準面に投影した場合において、車両中心線と直交する直線に平行な方向の距離」と定義される。この自動車の幅(つまり横幅)は、「道路運送車両の保安基準(2019.11.15)」の第2条第1項に「自動車は、告示で定める方法により測定した場合において、・・・、幅2.5m、・・を超えてはならない」と規定されている。個々の自動車には、個々の自動車について発行された「車検証」があり、その車検証にその自動車の「幅」(つまり横幅)が明記されている。この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は車検証に記載された幅つまりは車幅を超えないように設置される。この実施例においては、例えば低床4軸車1の車幅は2.49mであるから、アオリ保護装置は平坦面がこの車幅を超えないように設置される。
【0040】
図1に示されるようにアオリ9a,9bを荷台4の下に下げずに上に上げている状態である低床4軸車1では、その右側、つまり、低床4軸車1の運転席に向かって右側)に設けられたアオリ保護装置7は、図5に示されるように、その回動体7Cにおける板状体7Fの平坦面7Hが低床4軸車1の幅(車幅)において低床4軸車1のシャーシの中心軸線に直交する水平な幅方向において前記中心軸線から124.5(2490÷2)cmの範囲内、つまり車幅の範囲内にあり、通常はその板状体7Fの平坦面7Hは低床4軸車1の中心軸線から水平面内で124.5cmとなるように配置される。なお、このアオリ保護装置7は、その回動体7Cが、車輪(前部車輪)5におけるホイールの上端(タイヤ接地面から最も高い位置)及び下端(タイヤ接地面から最も低い位置)をそれぞれ並行移動した上端仮想線と下端仮想線との範囲内に設置されるように設置される。
【0041】
なお、図5において、11で示すのは、低床4軸車1におけるシャーシの中心軸線方向における中心軸線を示し、3Xで示すのは運転席の下部に配置される車輪3を支持する車軸の中心線を示し、5Xで示すのは荷台4の下部であってその前部に装着される前部車輪5を支持する車軸の中心線であり、6AXで示すのは荷台4の下部であって後部前車輪6Aを支持する車軸の中心線であり、6BXで示すのは荷台4の下部であって後部後車輪6Bを支持する車軸の中心線であり、Wで示されるのは車幅であり、この低床4軸車にあっては2490mmである。
【0042】
次にこの発明の一実施例であるアオリ保護装置7の作用について説明する。
【0043】
初期状態として、低床4軸車1の荷台4には貨物が積載されていなくて、アオリ9a,9bが荷台4の側面に立ち上げられているとする。また、フォークリフト(図示せず。)が低床4軸車1から離れた位置に駐車しているものとする。また、この低床4軸車1に装備されているアオリ保護装置7にあっては、平坦面7Hが車幅に対して外側に向くとともに平坦面7Hと車幅とが直交する状態となるように回動体7Cが位置するものとする。この低床4軸車1における法定の車幅、つまり車検証に記載された車幅は2490mmである。そうすると、低床4軸車1の左側に装備されたアオリ保護装置7における回動体7Cの平坦面7Hから、低床4軸車1の右側に装備されたアオリ保護装置7における回動体7Cの平坦面7Hまでの距離は2490mmとなっている。
【0044】
フォークリフトでこの低床4軸車1の荷台4に、この荷台4の右側から貨物を積載する作業は以下の通りである。
【0045】
先ず、低床4軸車1における右側のアオリ保護装置7における回動体7Cを回転軸7D,7Eを軸芯として回動させて、平坦面7Hが車幅に対して内側に向かうとともに平坦面7Hが車幅に対して直交する状態にする。つまり、回動体7Cを、水平な回転軸7D,7Eを中心にして180度回転させる。そうすると、回動体7Cに設けられた緩衝部材7Gが車幅に対して外側に向く。つまり、緩衝部材7Gが、図4に示されるように、回動体7Cの回転中心に直交する断面の形状が円周を部分的に有する凸形状であるときに、車幅方向に並行な断面において平坦面7Hから緩衝部材7Gにおける凸形状の外縁までの距離のうち最も長い距離LLにある部位7N(図4参照)が車幅よりも長く突出する位置になる。
【0046】
次いで、蝶番10を中心にしてアオリ9a,9bを回動させることにより、アオリ9a,9bを荷台4の端部で立ち上がった状態から荷台4の端部で下げられた状態にする。アオリ9a,9bを下げたときに、アオリ9a,9b外側が緩衝部材7Gに当接することがあるが、緩衝部材7Gによりアオリ9a,9bの外側が凹んだり傷ついたりすることがない。
【0047】
アオリ9a,9bが下げられた状態で、フォークリフト等によりフォークに積載した貨物を荷台4に積み込む動作を、例えば以下のようにして行う。
【0048】
荷物を上面に積載してあるパレットが、低床4軸車1から離れた場所に設置してあるとする。そこで、フォークリフトのフォークを、前記パレットの挿入穴に、挿入する。挿入穴にフォークを挿入してあるパレットを地面から少し浮かせた状態で、フォークリフトを低床4軸車1の荷台4の側面、例えば右側側面の近くに移動させる。低床4軸車1の荷台4近くにフォークリフトを駐車させた状態で、フォークリフトのマストに沿ってフォークを上昇させる。フォークに支持されたパレットの下面が、低床4軸車1の荷台4の上面よりも高い位置になっていることを確認してから、フォークリフトを低床4軸車1の側面に向かってさらに前進させ、荷台4から下げられているアオリ9a,9bの直前でフォークリフトを停止させるとともに、フォークにより持ち上げられているパレットを荷台4の上面の上方に位置させる。次いで、フォークリフトを駐車させたまま、パレットが荷台4の上面に載置されるようにフォークを下降させ、パレットを荷台4の上面に載置する。
【0049】
人手により、あるいはウインチを使うことなどにより、荷台4の上面に置かれたパレットの上にある荷物を、荷台4のしかるべきところに、移動し、配置する。
【0050】
次いで、フォークを上昇させて、荷物を取り除いたパレットを荷台4の上面から上に持ち上げる。フォークリフトを後退させて、他の荷物を集積してある場所に移動する。この移動に際してフォークリフトのフォークを下降させておいてもよい。
【0051】
以上の動作において、積荷を積載したパレットを荷台4の高さよりも高い位置に保持したままにして、フォークに保持されたパレットが荷台4の外から荷台4の上面にパレットを移動させるときに、フォークリフトは荷台4の側面方向から荷台4に向けて前進し過ぎてフォークリフトのマストが荷台4のアオリ9a,9bに衝突することがある。フォークリフトの前進によりアオリ9a,9bに低床4軸車1の側方からアオリ9a,9bに力が加わっても、アオリ9a,9bにはアオリ保護装置7における緩衝部材7Gが当接しているので、アオリ9a,9bが、車輪のディスクホイールの凸状部分やボルトの頭に、押し付けられることがない。したがって、アオリ9a,9bの表面にディスクホイール等による傷が付くことが防止される。
【0052】
低床4軸車1の荷台4に所定の荷物ないし貨物を搭載し得ると、低床4軸車1の側面に下げていたアオリ9a,9bを立ち上げる。
【0053】
その後、アオリ保護装置7における回動体7Cを回動させて平坦面7Hが車幅における外側に向くようにする。その結果、アオリ保護装置7における緩衝部材7Gが車幅の内側に位置するようになる。車幅の外側に向けられた平坦面7Hは、制限された車幅の範囲内にあるので、このアオリ保護装置7を装備した低床4軸車1を、通常運転しても、車幅の規制違反にはならず、しかも走行中に車幅をはみ出した部材による事故を起こすこともなく、安全運転を実現することができる。
【0054】
以上、この発明の一実施例について説明したが、この発明は前記実施例に限定されるものではなく、この発明の範囲において様々の変形例がある。
【0055】
この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は、図1及び図2を用いて既に説明したように、サイドガード8と組み合わせて低床4軸車1などの大型トラックに装備されることができる。つまり、サイドガード8を形成する隣接する二本の横桟部材例えば上部横桟部材8Cと中央横桟部材8Eとの間にアオリ保護装置7における回動体7Cを配置することのできる十分な空間があるときにはその二本の横桟部材8C,8Eの上下間に、また、サイドガード8を形成する隣接する上部横桟部材8C及び中央横桟部材8Eの間に回動体7Cを配置することのできる十分な空間がないときには、中央横桟部材8Eを除去することにより回動体7Cを配置することのできる空間を確保してその空間内にアオリ保護装置7、特に回動体7Cを設置することができる。
【0056】
サイドガード8に組み合わせてこのアオリ保護装置7を設ける場合、回動体7Cの回転軸7D,7Eを支持する支持体7A,7Bは、サイドガード8を形成する上下の横桟部材間に、サイドガード8を形成しない新たな部材として設けられているが、サイドガード8自体が低床4軸車1などの大型トラックのシャーシ(図示せず。)に装着された支柱に支持されているので、結果として前記支持体7A,7Bは大型トラックのシャーシに装着された支柱に支持されていることになる。回動体7Cの回転軸7D,7Eを支持する支持体7A,7Bは、サイドガード8の構成部材とは独立して、大型トラックのシャーシに装着された新たな支柱に支持され、かつ装着されていてもよい。
【0057】
出荷後の大型トラックに、後付けでこのアオリ保護装置7を装着することができ、また、新車である大型トラックにおける実装品としてこのアオリ保護装置7を装着することもできる。
【0058】
図2及び図3に示されるように、アオリ保護装置7における回動体7Cは、前記実施例では、大型トラックのシャーシの長手方向に直交する幅方向に直交する平面内において前記トラックのシャーシの長手方向に沿う方向に配置される回転軸7D,7Eを軸芯にして回動するように形成されている。この発明においては、回転軸の配設方向は、前記したシャーシの長手方向に沿う平行な方向に限らず、例えば図6に示されるように、回動体7Cを回転させる回転軸の軸芯方向13は、シャーシの長手方向における中心軸線11に直交する幅方向12に直交するXY平面より内側であればよく、前記XY平面内において回動体7Cの回転軸の軸芯方向13が垂直方向に配置され、この回転軸が軸芯となって回動体7Cが回動する構造であってもよい。図6に示される回動体7Cにおいても、この発明のアオリ保護装置におけるように、平坦面7Hが車幅AB(車幅の一端Aから他端Bまでの幅)の外側に向く垂直面にしたときに、この平坦面7Hが大型トラックの車幅ABを超えず、前記XY平面より内側の平面内にある。したがって、このXY平面よりも内側に前記平坦面7Hがあると、緩衝部材7Gが車幅ABの内側に存在する。そして、縦方向に延在する軸芯方向を中心にしてこの回動体7Cを180度回転させると、平坦面7Hの反対面に設けられている緩衝部材7Gが車幅ABよりもさらに延在する外側方向であって車幅よりも長くなるところに位置することになる。
【0059】
要するに、回動体7Cの回転軸はシャーシの中心軸線11に対して平行、直交又は斜行のいずれであっても、平坦面7Hが車幅ABの外側に向けられるときには車幅ABを超えることがなく、平坦面7Hが車幅ABの内側に向けられるときには緩衝部材7Gが車幅ABを超えるように、平坦面7H及び緩衝部材7Gの位置及びその形状が設定されていればよい。
【0060】
アオリ保護装置7における回動体7Cは、手動で回動させることもできるし、電動により回動させることもできる。電動で回動体7Cを回動させる場合、回転軸7D,7Eを中心にして回動体7Cを回動させる回動機構は、回転軸7D,7Eを回転駆動する駆動装置例えば電動機(モータ)と、この駆動装置を駆動し、制御する駆動制御装置とで形成することができる。電動によって、この回動体7D,7Eを回動させるために採用される駆動制御装置は、回動体7D,7Eに回動又は回転の運動を付与する電動機を制御する制御操作部を含むことができ、その制御操作部をその大型トラックの運転席に設けることもできるし、大型トラックの荷台の下面等の空間的余裕のある部位に制御操作部を配設してもよい。
【0061】
手動及び電動のいずれの手段により回動体7D,7Eを回動させるにせよ、回動体7D,7Eを回動させるときに回動体7D,7Eが回転し過ぎないように、回動体における平坦面7Hが車幅の内側に向くとともに平坦面7Hが車幅の方向に対して直交する平面となる位置で回動体7D,7Eの回転が停止するように、ストッパ(図示せず)を適宜の位置に設けておくのが良い。
【0062】
前記実施例に係るアオリ保護装置7は、低床4軸車1の荷台4下にある前部車輪5の後方に配置されているが、この発明では、アオリ保護装置7は前記前部車輪5の前方に配置されていてもよく、また、前記前部車輪5の前方及び後方の二か所に配置されていてもよい。また、いうまでもないが、このアオリ保護装置7は、通常、大型トラックの運転席に向かって右側と左側との両方に装備されていてもよく、また場合によっては前記右側と左側とのいずれかだけに装備されていてもよい。
【0063】
この発明に係るトラックにおけるアオリ保護装置は、このアオリ保護装置を装備するトラックが走行するときには緩衝部材がそのトラックの車幅の範囲内に配置され、駐車するトラックの荷台に貨物の積み下ろし作業をするときには緩衝部材がそのトラックの車幅の範囲を超えて緩衝部材が車幅の外側に位置するように緩衝部材の位置を変更することができる限り、前記実施例の態様に限定されない。
【0069】
以上この発明について詳述したが、この発明に係るアオリ保護装置は前記実施例に限定されることがなく、この発明の範囲内で様々の変形が存在する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
この発明は、大型トラックの荷台に積載物を積み、あるいは積載物を下す作業をするためにアオリを荷台の下に下ろしたときに、アオリに不用意な力が加わったとしても車輪やホイールの傷痕が付くことを防止することのできるアオリ防止装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 低床4軸車
2 運転席
3 車輪
3X 車軸の中心線
4 荷台
5 車輪(前部車輪)
5X 車軸の中心線
6A 車輪(後部前車輪)
6B 車輪(後部後車輪)
6AX 車軸の中心線
6BX 車軸の中心線
7 アオリ保護装置
7A,7B 支持体
7C 回動体
7D,7E 回転軸
7F 板状体
7G 緩衝部材
7H 平坦面
7J 平面
7K 外表面
7M 円弧
8 サイドガード
8A 縦支持部材
8B 縦支持部材
8C 上部横桟部材
8D 下部横桟部材
8E 中央横残部材
9a,9b アオリ
10 蝶番
11 シャーシの長手方向における中心線
12 トラックの幅方向
13 軸芯方向
14 ラック
15 ピニオン
AB 車幅
A 車幅の一端
B 車幅の他端
【要約】
【課題】荷台から下げたアオリに前輪による傷が付くことを防止することができ、トラックの走行に支障を生じることのないアオリ保護装置を提供することを課題とする。
【解決手段】シャーシの中心軸線方向に直交する水平な幅方向に直交する平面内にある軸芯を中心にして回転可能な回転軸に取り付けられるとともに、平坦面及び緩衝部材を備えた回動体とを備え、前記平坦面を車幅の外側に向く垂直面にしたときに、前記平坦面がそのトラックの車幅を超えないようにされ、かつ、前記平坦面を車幅の内側に向く垂直面にしたときに、前記平坦面に直交する方向における前記緩衝部材の先端部が、前記直交する方向において、前記車幅よりも長くなるように設定されてなることを特徴とするアオリ保護装置である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6