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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】布類投入機および布類展開装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 67/04 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
D06F67/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017021811
(22)【出願日】2017-02-09
(65)【公開番号】P2018126353
(43)【公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-12-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社トーカイに納入した布類展開装置への機能追加、2016年8月29日 〔刊行物等〕 2016東京国際クリーニング総合展示会への布類展開装置の出品、2016年12月2日、3日、4日 〔刊行物等〕 株式会社ヤマシタコーポレーションへの布類展開装置の納入、2016年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出上 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 信治
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033271(JP,A)
【文献】特開2010-175486(JP,A)
【文献】特開2014-025642(JP,A)
【文献】特開2011-214751(JP,A)
【文献】登録実用新案第3134770(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 67/00
D06F 67/04
B65G 47/00
F24F 11/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布類を把持する投入チャックと、
前記投入チャックを昇降させる昇降機と、
前記投入チャックが下降した投入作業位置の前方にある投入作業空間における作業員の存在を検知する主検知センサと、
前記主検知センサが前記作業員を検知していない場合に、前記投入チャックの運転空間に前記作業員が侵入した侵入状態であると判断する判断部と、を備え、
前記主検知センサは、前記昇降機の下部に取り付けられ、検知軸が前記投入作業位置の前方に設定された非接触式センサであり、
前記運転空間は前記主検知センサの検知領域である前記投入作業空間外の空間である
ことを特徴とする布類投入機。
【請求項2】
前記作業員の作業空間の一部であって前記投入作業空間を除く隣接作業空間における前記作業員の存在を検知する副検知センサを備え、
前記判断部は、前記主検知センサおよび前記副検知センサのいずれもが前記作業員を検知していない場合に、前記侵入状態であると判断する
ことを特徴とする請求項1記載の布類投入機。
【請求項3】
前記投入チャックの運転空間の下方の床面に敷かれたマットスイッチを備え、
前記判断部は、前記マットスイッチが検知している場合にも、前記侵入状態であると判断する
ことを特徴とする請求項1または2記載の布類投入機。
【請求項4】
前記副検知センサは検知領域が前記隣接作業空間に設定された非接触式センサである
ことを特徴とする請求項2記載の布類投入機。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の布類投入機を備える
ことを特徴とする布類展開装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類投入機および布類展開装置に関する。さらに詳しくは、洗濯済みのシーツ、包布(2枚生地の布団カバー)、枕カバー、タオル、テーブルクロスなどの布類を布類展開装置などに投入するための布類投入機、およびその布類投入機を備える布類展開装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや病院などでは大量にシーツが使用される。使用済みのシーツはランドリー工場で洗濯、アイロンがけされ、再度ホテルや病院などで使用される。ランドリー工場では、シーツなどの布類を洗濯した後、ロールアイロナーでアイロンがけしたり、布類折畳装置で折り畳んだりする作業が行なわれる。これらの処理装置に布類を供給するには、予め布類を展開させる必要がある。布類を展開する作業を作業員が行う場合、作業に多大な時間と労力が必要である。そこで、近年では、布類展開装置を用いてこの作業を行っている。
【0003】
特許文献1に開示された布類展開装置は、概略つぎのように構成されている。
作業員が方形状布類の角部を取付チャックに取り付けると、取付チャックが上昇して把持していた角部を横行チャックに受け渡す。横行チャックが横行することにより、方形状布類の縁部が直線状に延ばされた状態でベルトコンベアに載せられる。ベルトコンベアを前方に駆動して方形状布類を装置前面に垂れ下がらせ、伸展チャックで方形状布類の幅方向両端をつかんで引っ張って吊下げる。この操作により方形状布類が四角形に展開する。この状態の方形状布類を装置内に引き込んだ後、後続の処理装置に向けて排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-30743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
取付チャックは布類を横行チャックに受け渡した後、取付作業位置まで下降する。この際、作業員が取付チャックの下方に入り込んでいると、下降してきた取付チャックが作業員に衝突する恐れがある。そこで、取付チャックの運転空間に作業員が侵入した場合に、それを検知して布類展開装置を非常停止することが行われる。
【0006】
取付チャックの運転空間に作業員が侵入したことを検知する手段として、取付チャックの運転空間の下方の床面に敷かれたマットスイッチが考えられる。しかし、作業員が屈んで取付チャックの運転空間に頭を入れた場合などには、マットスイッチが踏まれないので、これを検知できない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、作業員が装置の運転空間に侵入したことを確実に検知できる布類投入機および布類展開装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の布類投入機は、布類を把持する投入チャックと、前記投入チャックを昇降させる昇降機と、前記投入チャックが下降した投入作業位置の前方にある投入作業空間における作業員の存在を検知する主検知センサと、前記主検知センサが前記作業員を検知していない場合に、前記投入チャックの運転空間に前記作業員が侵入した侵入状態であると判断する判断部と、を備え、前記主検知センサは、前記昇降機の下部に取り付けられ、検知軸が前記投入作業位置の前方に設定された非接触式センサであり、前記運転空間は前記主検知センサの検知領域である前記投入作業空間外の空間であることを特徴とする。
第2発明の布類投入機は、第1発明において、前記作業員の作業空間の一部であって前記投入作業空間を除く隣接作業空間における前記作業員の存在を検知する副検知センサを備え、前記判断部は、前記主検知センサおよび前記副検知センサのいずれもが前記作業員を検知していない場合に、前記侵入状態であると判断することを特徴とする。
第3発明の布類投入機は、第1または第2発明において、前記投入チャックの運転空間の下方の床面に敷かれたマットスイッチを備え、前記判断部は、前記マットスイッチが検知している場合にも、前記侵入状態であると判断することを特徴とする。
第4発明の布類投入機は、第2発明において、前記副検知センサは検知領域が前記隣接作業空間に設定された非接触式センサであることを特徴とする。
第5発明の布類展開装置は、第1、第2、第3または第4発明の布類投入機を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、作業員が投入作業空間に存在しないことをもって侵入状態と判断するので、作業員が投入チャックの運転空間に侵入したことを確実に検知できる。
第2発明によれば、作業員の体が投入作業空間から出る場合でも、それが通常の動作であれば侵入状態と判断しない。そのため、侵入状態の誤検知を低減できる。
第3発明によれば、マットスイッチとあわせて侵入状態を判断することで、作業員が投入チャックの運転空間に侵入したことをより確実に検知できる。
第4発明によれば、副検知センサが非接触式センサであるので、作業員の動作が阻害されない。
第5発明によれば、作業員が投入チャックの運転空間に侵入したことを確実に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る布類展開装置の正面図である。
図2】同布類展開装置の右側面図である。
図3】同布類展開装置の平面図である。
図4図1におけるIV-IV線矢視断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る布類投入機の右側面図である。
図6】同布類投入機の正面図である。
図7】同布類投入機の制御系のブロック図である。
図8】同布類投入機の下降動作の制御のフローチャートである。
図9】同布類投入機の基本動作の説明図である。
図10】同布類投入機の下降動作の説明図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る布類展開装置の部分拡大平面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る布類投入機の制御系のブロック図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る布類投入機の右側面図である。
図14】同布類投入機の制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
(布類展開装置)
本発明の第1実施形態に係る布類展開装置1は、洗濯済みのシーツ、包布(2枚生地の布団カバー)、枕カバー、タオル、テーブルクロスなどの大形の方形状布類Cを展開し、ロールアイロナーなどの次工程装置に供給するための装置である。本明細書では、布類展開装置1の前後・左右・上下方向を図1から図4に示すように定義する。
【0012】
つぎに、布類展開装置1の基本構成を動作と共に説明する。
図1に示すように、布類展開装置1の前面には、左右両端部に2つの布類投入機10が設けられている。また、布類展開装置1の前方には供給コンベア2が配置され、洗濯済みの布類Cを作業員Wに供給している(図3参照)。布類投入機10は布類Cの角部を把持する投入チャック11を備えている。投入チャック11は、それが下降した位置であって作業員が布類Cを投入チャック11に把持させる投入作業位置DPと、最上端まで上昇した受渡位置UPとの間で昇降する。
【0013】
図2に示すように、投入チャック11の受渡位置UPには中継チャック41が配置されている。布類Cを把持した投入チャック11が受渡位置UPまで上昇すると、布類Cが中継チャック41に受け渡される。
【0014】
布類展開装置1の側部には昇降チャック42が配置されている。投入チャック11から布類Cを受け取った中継チャック41は昇降チャック42の上昇位置まで移動し、布類Cを昇降チャック42に受け渡す。布類Cを受け取った昇降チャック42が下降し、布類Cを横行チャック43L、43Rに受け渡す。
【0015】
図1および図3に示すように、布類展開装置1は2つの横行チャック43L、43Rを備えている。横行チャック43L、43Rは積載コンベア51の上方を左右方向に移動可能となっている。布類Cを把持した横行チャック43L、43Rが積載コンベア51の上方を横行することで、布類Cの後方の縁部が直線状に伸ばされ、積載コンベア51に載せられる。
【0016】
なお、装置右側の布類投入機10に投入された布類Cは、右側の横行チャック43Rに把持されて左方向に引き込まれる。装置左側の布類投入機10に投入された布類Cは、左側の横行チャック43Lに把持されて右方向に引き込まれる。
【0017】
積載コンベア51の前方には左右方向に移動自在な一対の伸展チャック44L、44Rが設けられている。積載コンベア51を駆動して縁出し後の布類Cを前方に移送して、装置前面に垂れ下がらせる。ついで、布類Cの縁出しされた縁部の両角部を伸展チャック44L、44Rで挟持する。そうすると、布類Cは方形状に展開された状態で吊り下げられる。
【0018】
図4に示すように、布類展開装置1の下部には、整形ダクト61と、整形ダクト61に接続したブロワー62とが設けられている。布類Cの角部を伸展チャック44L、44Rで挟持しつつ、布類Cの上縁部をバキュームボックス52と当接板53とで挟持した状態で、布類Cの下方部分を整形ダクト61内に吸引する。これにより、布類Cの皺取りが行われる。
【0019】
皺取りの後、布類Cの上縁部をバキュームボックス52に吸引して、バキュームボックス52を後方に移動させることで、布類Cの上縁部をバキュームコンベア54に乗り移す。バキュームコンベア54と排出コンベア55の駆動により、布類Cが後方に送られる。これにより、方形状に展開された布類Cを次工程装置に供給できる。
【0020】
(布類投入機)
つぎに、本実施形態の特徴部分である布類投入機10を説明する。
図5および図6に示すように、布類投入機10は、布類Cを把持する一対の投入チャック11と、投入チャック11を昇降させる昇降機12とを備えている。昇降機12は本体部12aと、昇降部12bと、サーボモータ12cとを有する。サーボモータ12cの駆動により、昇降部12bを本体部12aに沿って昇降させることができる。昇降部12bに投入チャック11を支持するチャックベース13が固定されている。チャックベース13にはエアシリンダ14が設けられている。エアシリンダ14を伸縮することで、投入チャック11を旋回させることができる。
【0021】
本明細書では、昇降部12bに設けられた投入チャック11などの部材が昇降動作により掃引する空間と、投入チャック11が旋回動作により掃引する空間とを合わせて、投入チャック11の「運転空間OS」と称する。
【0022】
作業員Wは投入チャック11が下降した投入作業位置DPの前方において、布類Cを投入チャック11に把持させる作業を行う。本明細書では、布類Cを投入チャック11に把持させる通常の作業において、作業員Wが動作する空間を「投入作業空間IS」と称する(図3参照)。投入作業空間ISは投入チャック11の投入作業位置DPの前方にある。
【0023】
投入チャック11の上昇工程において、何らかの原因により投入チャック11から布類Cが外れると、その布類Cは布類投入機10の下方の床面に落下する。このような場合に、作業員Wが落下した布類Cを拾おうとして、布類投入機10の下方に入り込み、投入チャック11の運転空間OSに侵入してしまうことがある。本明細書では、投入チャック11の運転空間OSに作業員Wが侵入した状態を「侵入状態」と称する。侵入状態では投入チャック11が作業員Wに衝突する恐れがある。そこで、布類投入機10には侵入状態を検知する機能が備えられている。
【0024】
布類投入機10は侵入状態を検知する機能を実現する部材として主検知センサ21を有する。主検知センサ21としては、投入作業空間ISにおける作業員Wの存在を検知できるセンサであれば、いかなる種類のセンサを用いてもよい。ただし、主検知センサ21として光電センサや超音波センサなどの非接触式センサを用いることが好ましい。主検知センサ21が非接触式センサであれば、作業員Wの動作が阻害されないからである。
【0025】
本実施形態は主検知センサ21として拡散反射形の光電センサを用いた例である。拡散反射形の光電センサは作業員Wによる光の反射の有無により作業員Wの存在を検知する。主検知センサ21は昇降機12の本体部12aの下部に取り付けられている。また、主検知センサ21の光軸(検知軸)は投入作業位置DPの前方に設定されている。すなわち、主検知センサ21は検知領域が投入作業空間ISに設定されている。なお、主検知センサ21の光軸は、作業員Wの胴体の上部、幅方向中央と交差するように設定することが好ましい。
【0026】
図7に示すように、布類投入機10は制御装置15を備えている。制御装置15はCPUやメモリなどで構成されたコンピュータである。制御装置15は判断部24と、制御部30とを有する。判断部24および制御部30はコンピュータである制御装置15がプログラムを実行することで実現される。
【0027】
判断部24には主検知センサ21の検知結果が入力されている。判断部24は主検知センサ21の検知結果に基づいて、侵入状態であるか否かを判断する。より詳細には、判断部24は、主検知センサ21が作業員Wを検知していない場合に、侵入状態であると判断する。本実施形態では主検知センサ21と判断部24とにより侵入状態を検知する検知部20が構成されている。
【0028】
通常状態では、作業員Wは投入作業空間ISに存在するので、主検知センサ21は作業員Wを検知する。一方、作業員Wが屈んだ場合や、持ち場を離れた場合などには、主検知センサ21は作業員Wを検知しなくなる。判断部24はこの状態を侵入状態と判断する。したがって、作業員Wが持ち場を離れた場合でも侵入状態と判断してしまう。しかし、作業員Wが屈んで投入チャック11の運転空間OSに頭を入れた場合など、従来は検知が困難であった状態でも、これを侵入状態と判断できる。このように、作業員Wが投入作業空間ISに存在しないことをもって侵入状態と判断することで、作業員Wが投入チャック11の運転空間OSに侵入したことを確実に検知できる。
【0029】
なお、作業員Wが投入チャック11の運転空間OSに侵入したことを検知するには、布類投入機10の下方に光軸を設定した光電センサを設ければいいとも考えられる。しかし、布類投入機10の下方は、投入チャック11に把持された布類Cが通過する。光電センサは布類Cも検知してしまうので、作業員Wの侵入のみを検知するのは困難である。
【0030】
制御部30は昇降機12の動作を制御する機能を有する。より詳細には、サーボモータ12cの正逆回転を切り換えることで、投入チャック11の昇降を切り換える。また、サーボモータ12cの回転速度を変化させることで、投入チャック11の昇降速度を変化させる。後述のごとく、制御部30は検知部20(判断部24)から入力された検知結果に基づき、昇降機12の動作を切り換える。
【0031】
(基本動作)
つぎに、図9に基づき布類投入機10の基本動作を説明する。
(I)まず、投入チャック11は投入作業位置DPに位置しており、下方に旋回した状態となっている。この状態で、作業員Wが手作業により布類Cの角部を投入チャック11に把持させる。
【0032】
(II)投入チャック11に布類Cが把持されると、投入チャック11が上方に旋回した状態となる。この状態のまま投入チャック11が上昇し、布類Cが吊り下げられる。投入チャック11が受渡位置UPまで上昇すると、布類Cが中継チャック41に受け渡される。この工程を「上昇工程」と称する。
【0033】
(III)布類Cが中継チャック41に受け渡された後、投入チャック11は受渡位置UPから投入作業位置DPまで下降する。また、投入チャック11は下方に旋回した状態となる。そして、次の布類Cが投入チャック11に把持されるまで待機する。この工程を「下降工程」と称する。
【0034】
(下降工程)
つぎに、投入チャック11の下降工程の詳細動作を説明する。
昇降機12の動作を制御する制御部30は、投入チャック11の下降工程において、図8のフローチャートに示すように、投入チャック11の下降動作を制御する。
【0035】
まず、制御部30は投入チャック11の位置CPが投入作業位置DPと一致するか判断する(ステップS10)。すなわち、投入チャック11が投入作業位置DPまで下降しているか判断する。ここで、投入チャック11の位置CPはサーボモータ12cの回転数から求められる。
【0036】
ステップS10において投入チャック11の位置CPが投入作業位置DPと一致しない場合には、制御部30は投入チャック11の位置CPが所定高さTPより高いか判断する(ステップS20)。ここで、所定高さTPは、投入チャック11が作業員Wと衝突し得ない高さ、例えば床面から2mに設定され、予め制御部30に記憶されている。
【0037】
ステップS20において投入チャック11の位置CPが所定高さTPより高い場合には、制御部30は投入チャック11の下降速度を高速とする(ステップS50)。ここで、高速の値は、布類投入機10の処理効率が向上する速度、例えば100m/分に設定され、予め制御部30に記憶されている。
【0038】
ステップS20において投入チャック11の位置CPが所定高さTP以下の場合には、制御部30は検知部20が侵入状態を検知しているか判断する(ステップS30)。検知部20が侵入状態を検知していない場合には、制御部30は投入チャック11の下降速度を高速とする(ステップS50)。検知部20が侵入状態を検知している場合には、制御部30は投入チャック11の下降速度を低速とする(ステップS40)。ここで、低速の値は、投入チャック11が作業員Wに接触しても支障のない速度、例えば1m/分に設定され、予め制御部30に記憶されている。
【0039】
ステップS40またはステップS50の後はステップS10に戻る。投入チャック11が投入作業位置DPに達するまで、ステップS10~S50の処理を繰り返す。
【0040】
投入チャック11が投入作業位置DPに達すると、ステップS10において投入チャック11の位置CPが投入作業位置DPと一致する。この場合、制御部30は投入チャック11の下降を停止させる(ステップS60)。これにより、投入チャック11の下降工程が終了する。
【0041】
上記の制御による投入チャック11の動作を、図10に基づき説明する。
(1)まず、投入チャック11は受渡位置UPから所定高さTPまでは、検知部20の検知によらず、高速で下降する。投入チャック11が作業員Wに衝突しない高い位置にある場合には、常に下降速度が高速であるので、無駄な時間が発生せず、処理効率が向上する。
【0042】
(2)投入チャック11の位置CPが所定高さTP以下の場合に、投入チャック11の運転空間OSに作業員Wが侵入したとする。そうすると、検知部20が侵入状態を検知し、投入チャック11の下降速度が低速となる。そのため、作業員Wの安全を確保できる。
【0043】
(3)作業員Wが再び投入作業空間ISに戻ると、検知部20が侵入状態を検知しなくなる。そうすると、投入チャック11の下降速度が高速となる。このように、通常状態における投入チャック11の下降速度は高速であるので、無駄な時間が発生せず、処理効率の低下を抑制できる。
【0044】
なお、ステップS40(図8参照)におて、投入チャック11の下降速度を低速とするのに代えて、投入チャック11の下降を停止してもよい。そうすれば、(2)投入チャック11の運転空間OSに作業員Wが侵入した場合に、投入チャック11の下降が停止する。そのため、作業員Wにとってより安全である。
【0045】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態を説明する。
図11に示すように、布類展開装置1の前方には供給コンベア2が配置され、洗濯済みの布類Cを作業員Wに供給している。作業員Wは布類Cを投入チャック11に把持させる作業のほかに、供給コンベア2から布類Cを取得する作業を行う。この際、布類投入機10と供給コンベア2との位置関係によっては、作業員Wの体が投入作業空間ISから出る。
【0046】
本明細書では、布類Cを投入チャック11に把持させる作業や、布類Cを取得する作業などを含む通常行われる一連の作業において、作業員Wが動作する空間を「作業空間WS」と称する。また、作業空間WSの一部であって投入作業空間ISを除く空間を「隣接作業空間AS」と称する。図11に示す例において、隣接作業空間ASは、供給コンベア2から布類Cを取得する通常の作業において、作業員Wが動作する空間である。
【0047】
作業員Wの体が投入作業空間ISから出て隣接作業空間ASに移った場合、主検知センサ21は作業員Wを検知しなくなる。そのため、判断部24は侵入状態であると誤って判断してしまう。
【0048】
この問題を解消するため、本実施形態の布類投入機10は主検知センサ21に加えて、副検知センサ22を有する。副検知センサ22としては、隣接作業空間ASにおける作業員Wの存在を検知できるセンサであれば、いかなる種類のセンサを用いてもよい。ただし、副検知センサ22として光電センサや超音波センサなどの非接触式センサを用いることが好ましい。副検知センサ22が非接触式センサであれば、作業員Wの動作が阻害されないからである。
【0049】
本実施形態は副検知センサ22として拡散反射形の光電センサを用いた例である。副検知センサ22は昇降機12の本体部12aの下部に取り付けられている。また、副検知センサ22の光軸は供給コンベア2に向かって斜め前方に設定されている。すなわち、副検知センサ22は検知領域が隣接作業空間ASに設定されている。
【0050】
図12に示すように、本実施形態の検知部20は主検知センサ21と、副検知センサ22と、判断部24とから構成されている。判断部24には主検知センサ21および副検知センサ22の検知結果が入力されている。判断部24は、主検知センサ21および副検知センサ22のいずれもが作業員Wを検知していない場合に、侵入状態であると判断する。
【0051】
本実施形態の検知部20によれば、作業員Wの体が投入作業空間ISから出る場合でも、それが通常の動作であれば侵入状態と判断しない。そのため、侵入状態の誤検知を低減できる。
【0052】
なお、隣接作業空間ASが広い場合、または、隣接作業空間ASが複数存在する場合には、隣接作業空間ASの全体をカバーできるように、複数の副検知センサ22を設けてもよい。この場合、判断部24は、主検知センサ21および複数の副検知センサ22のいずれもが作業員Wを検知していない場合に、侵入状態であると判断する。
【0053】
〔第3実施形態〕
つぎに、本発明の第3実施形態を説明する。
図13に示すように、本実施形態の布類投入機10は主検知センサ21に加えて、マットスイッチ23を有する。マットスイッチ23は投入チャック11の運転空間OSの下方の床面に敷かれる。したがって、作業員Wが運転空間OSの下方に踏み込むと、マットスイッチ23がそれを検知する。
【0054】
図14に示すように、本実施形態の検知部20は主検知センサ21と、マットスイッチ23と、判断部24とから構成されている。判断部24には主検知センサ21およびマットスイッチ23の検知結果が入力されている。判断部24は、主検知センサ21が作業員Wを検知していない場合に加えて、マットスイッチ23が検知している場合にも、侵入状態であると判断する。
【0055】
本実施形態の検知部20によれば、マットスイッチ23とあわせて侵入状態を判断することで、作業員Wが投入チャック11の運転空間OSに侵入したことをより確実に検知できる。
【0056】
なお、主検知センサ21、副検知センサ22、およびマットスイッチ23を組み合わせて、検知部20を構成してもよい。この場合、判断部24は、主検知センサ21および副検知センサ22のいずれもが作業員Wを検知していない場合に加えて、マットスイッチ23が検知している場合にも、侵入状態であると判断する。
【0057】
〔その他の実施形態〕
検知部20が侵入状態を検知した場合の布類投入機10の動作は上記実施形態に限定されない。検知部20が侵入状態を検知した場合に、布類展開装置1を非常停止させてもよい。
【0058】
布類展開装置1に備えられる布類投入機10の数は2つに限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、布類投入機10は布類展開装置1に備えられるほか、布類Cを投入する作業を伴うあらゆる装置に採用できる。例えば、リネン施設内に設定された供給位置から排出位置に布類Cを搬送する布類搬送装置に布類投入機10を用いてもよい。この場合、布類搬送装置の供給位置に布類投入機10が配置され、排出位置に布類展開装置などの処理装置が配置される。
【符号の説明】
【0059】
1 布類展開装置
10 布類投入機
11 投入チャック
12 昇降機
15 制御装置
20 検知部
21 主検知センサ
22 副検知センサ
23 マットスイッチ
24 判断部
30 制御部
図1
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