(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】手術器材管理端末、手術器材管理端末用プログラムおよび手術器材管理システム
(51)【国際特許分類】
A61B 90/98 20160101AFI20220322BHJP
A61B 90/96 20160101ALI20220322BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20220322BHJP
【FI】
A61B90/98
A61B90/96
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2017086414
(22)【出願日】2017-04-25
【審査請求日】2020-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591170784
【氏名又は名称】株式会社エバ
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100133260
【氏名又は名称】小林 基子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】江場 大二
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3199614(JP,U)
【文献】特開2006-164217(JP,A)
【文献】特開2003-016198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/90 - A61B 90/98
G06Q 50/22
G16H 40/00 - G16H 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術に使用される手術器材を管理する手術器材管理端末であって、
手術器材またはコンテナに付された識別コードを取得する識別コード取得部と、
一回の手術器材の運用サイクルにおける、組立セットを組み立てるセット組立工程、手術患者に応じて必要な手術器材およびコンテナを取揃える取揃え工程、および手術後に手術器材の員数確認を行う手術後チェック工程のうちいずれかの工程において、同一の前記識別コードの取得回数が2回以上であると判別された場合、判別された前記識別コードに係る前記手術器材または前記コンテナに対応付けられている詳細情報の送信を手術器材管理サーバに要求する詳細情報要求部と、
前記手術器材管理サーバから送信された前記詳細情報を
表示手段に表示させる詳細情報表示部と
を有する、前記手術器材管理端末。
【請求項2】
前記セット組立工程において、前記詳細情報表示部は、2回以上取得された前記識別コードがコンテナの識別コードの場合、前記詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットとして組み立てられた全ての手術器材の取得数量をリセットするリセットボタンを表示させるとともに、2回以上取得された前記識別コードが前記手術器材の識別コードの場合、前記詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットとして組み立てられた手術器材から前記識別コードの付された手術器材を削除する削除ボタンを表示させる、請求項1に記載の手術器材管理端末。
【請求項3】
一回の手術器材の運用サイクルにおける前記セット組立工程、前記取揃え工程および前記手術後チェック工程のうちいずれかの工程において、2回以上取得された前記識別コードが前記手術器材の前記識別コードの場合、前記詳細情報表示部が、前記詳細情報とともに前記手術器材の修理と廃棄とを選択可能な修理・廃棄選択メニューを表示させる、請求項1または請求項2に記載の手術器材管理端末。
【請求項4】
手術に使用される手術器材を管理する手術器材管理端末であって、
手術器材またはコンテナに付された識別コードを取得する識別コード取得部と、
前記識別コード取得部によって取得された識別コードを手術器材管理サーバに送信する識別コード送信部と、
前記識別コードがコンテナに付された識別コードの場合に前記手術器材管理サーバから送信される前記コンテナに対応する手術器材とその数量からなる組立セットリスト、または、前記識別コードが手術器材に付された識別コードの場合に前記手術器材管理サーバから送信される前記識別コードに対応した手術器材の数量をインクリメントした前記組立セットリストを受信して表示手段に表示させる表示制御部と、
前記表示手段に表示されている前記組立セットリストに基づく前記手術器材または前記コンテナの一覧において、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作によりいずれかの前記手術器材または前記コンテナを選択した場合、選択した前記手術器材または前記コンテナに対応付けられている詳細情報の送信を前記手術器材管理サーバに要求する詳細情報要求部と、
前記手術器材管理サーバから送信された前記詳細情報を前記表示手段に表示させる詳細情報表示部と
を有する、前記手術器材管理端末。
【請求項5】
組立セットを組み立てるセット組立工程において、前記詳細情報表示部は、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択されたのが前記手術器材の場合、選択された前記手術器材を、前記詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットリストから除外する除外ボタンを表示させる、請求項4に記載の手術器材管理端末。
【請求項6】
組立セットを組み立てるセット組立工程において、前記詳細情報表示部は、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択されたのが前記手術器材の場合、選択された前記手術器材の取得数量を、次回以降のセット組立工程における組立セットリストを構成する前記手術器材の数量に反映させるか否かを選択可能とする、数量固定選択ボタンを表示させる、請求項4または請求項5に記載の手術器材管理端末。
【請求項7】
手術に使用される手術器材を管理する手術器材管理端末用プログラムであって、
手術器材またはコンテナに付された識別コードを取得する識別コード取得部と、
一回の手術器材の運用サイクルにおける、組立セットを組み立てるセット組立工程、手術患者に応じて必要な手術器材およびコンテナを取揃える取揃え工程、および手術後に手術器材の員数確認を行う手術後チェック工程のうちいずれかの工程において、同一の前記識別コードの取得回数が2回以上であると判別された場合、判別された前記識別コードに係る前記手術器材または前記コンテナに対応付けられている詳細情報の送信を手術器材管理サーバに要求する詳細情報要求部と、
前記手術器材管理サーバから送信された前記詳細情報を
表示手段に表示させる詳細情報表示部
としてコンピュータを機能させる、前記手術器材管理端末用プログラム。
【請求項8】
手術に使用される手術器材を管理する手術器材管理端末用プログラムであって、
手術器材またはコンテナに付された識別コードを取得する識別コード取得部と、
前記識別コード取得部によって取得された識別コードを手術器材管理サーバに送信する識別コード送信部と、
前記識別コードがコンテナに付された識別コードの場合に前記手術器材管理サーバから送信される前記コンテナに対応する手術器材とその数量からなる組立セットリスト、または、前記識別コードが手術器材に付された識別コードの場合に前記手術器材管理サーバから送信される前記識別コードに対応した手術器材の数量をインクリメントした前記組立セットリストを受信して表示手段に表示させる表示制御部と、
前記表示手段に表示されている前記組立セットリストに基づく前記手術器材または前記コンテナの一覧において、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作によりいずれかの前記手術器材または前記コンテナを選択した場合、選択した前記手術器材または前記コンテナに対応付けられている詳細情報の送信を前記手術器材管理サーバに要求する詳細情報要求部と、
前記手術器材管理サーバから送信された前記詳細情報を前記表示手段に表示させる詳細情報表示部
としてコンピュータを機能させる、前記手術器材管理端末用プログラム。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の手術器材管理端末と、前記手術器材および前記コンテナに対応する各詳細情報が記憶されている手術器材管理サーバとを有する、手術器材管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術に使用される手術器材を管理する手術器材管理端末、手術器材管理端末用プログラムおよび手術器材管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、手術において数多くの手術器材が用いられる。また、前記手術器材は洗浄等を行い、繰り返し使用される。現在の一般的な手術器材の運用サイクルは、
図25に示すように、手術後に手術器材の洗浄を行う洗浄工程と、洗浄した前記手術器材を組立セットにしてコンテナに組み立てるセット組立工程と、前記手術器材または前記手術器材が組み立てられたコンテナを滅菌処理する滅菌工程と、手術患者に応じて必要な手術器材およびコンテナを取揃える取揃え工程と、手術後に手術器材の員数確認を行う手術後チェック工程とから構成されている。
【0003】
また、前記セット組立工程、前記取揃え工程および前記手術後チェック工程においては、組立セットリスト、取揃えリストおよび員数チェックリストといった手術器材の一覧を準備し、作業者は各リストを参照しながらセット組立等の作業を行っている。
【0004】
また、これまでに、コンピュータを用いて前記手術器材の員数チェックを行うことのできる手術器材器管理システムに関する発明が提案されている。例えば、特開2003-16198号公報では、識別コードが設けられた手術器材と、前記識別コードを読み取る読取装置と、前記手術器材に関する器材データを予め記憶する記憶手段と、前記記憶手段に基づき前記手術器材を管理する管理装置とを備えた手術器材管理システムにおいて、医療行為に使用した手術器材に対し、医療行為後に前記読取装置により前記識別コードを読み取り、記憶されている前記器材データと比較して前記手術器材の管理を行う、手術器材管理システムが提案されている(特許文献1)。この特許文献1によれば、前記識別コードの読み取りには、医師や看護師といった熟練者は必要なく、人的コストを抑えることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記セット組立工程、前記取揃え工程および前記手術後チェック工程では、セット組立作業等を行うときに、前記手術器材の損耗、変形および破損の確認を行っている。また、前記損耗等の確認作業は、前記手術器材の正常な状態や使用に際して許容される損耗の限界などが記載された取扱説明書などの詳細情報と比較しながら行われる。
【0007】
しかしながら、従来、手術器材における詳細情報は紙ベースの資料によって管理されている。そのため、詳細情報へのアクセスに時間がかかり、作業の遅延につながっていた。また、特許文献1に記載された発明においては、手術器材の員数チェックに特化したものであるため手術器材の詳細なデータはデータベース化されていない。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、手術器材の運用サイクルに係る一連の作業の中において容易に手術器材の詳細情報を取得して当該手術器材やコンテナの状態を確認し、廃棄等の必要な処理を効率的に実行することができる、手術器材管理端末、手術器材管理端末用プログラムおよび手術器材管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る手術器材管理端末およびコンピュータを手術器材管理端末として機能させる手術器材管理端末用プログラムは、手術器材の運用サイクルに係る一連の作業の中において容易に手術器材の詳細情報を得るという課題を解決するために、手術器材またはコンテナに付された識別コードを取得する識別コード取得部と、前記識別コードの取得回数が2回以上であると判別された場合、または、表示手段に表示されている前記手術器材または前記コンテナをユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択した場合、前記手術器材または前記コンテナに対応付けられている詳細情報の送信を手術器材管理サーバに要求する詳細情報要求部と、前記手術器材管理サーバから送信された前記詳細情報を前記表示手段に表示させる詳細情報表示部とを有する。
【0010】
また、本発明の一態様として、識別コードに対応した手術器材に対して、詳細情報を確認した後にリセットや削除処理を速やかに連続して行うという課題を解決するために、組立セットを組み立てるセット組立工程において、前記詳細情報表示部は、2回以上取得された前記識別コードがコンテナの識別コードの場合、前記詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットとして組み立てられた全ての手術器材の取得数量をリセットするリセットボタンを表示させるとともに、2回以上取得された前記識別コードが前記手術器材の識別コードの場合、前記詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットとして組み立てられた手術器材から前記識別コードの付された手術器材を削除する削除ボタンを表示させるようにしてもよい。
【0011】
さらに、本発明の一態様として、詳細情報の確認後に識別コードに対応した手術器材の修理または廃棄処理を速やかに連続して行うという課題を解決するために、組立セットを組み立てるセット組立工程において、2回以上取得された前記識別コードが前記手術器材の前記識別コードの場合、前記詳細情報表示部が、前記詳細情報とともに前記手術器材の修理と廃棄とを選択可能な修理・廃棄選択メニューを表示させるようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様として、種別毎に管理する手術器材またはコンテナに対して、詳細情報の確認後に組立セットリストから速やかに除外する処理を行うという課題を解決するために、組立セットを組み立てるセット組立工程において、前記詳細情報表示部は、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択されたのが前記手術器材の場合、選択された前記手術器材を、前記詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットリストから除外する除外ボタンを表示させるようにしてもよい。
【0013】
さらに、本発明の一態様として、組み立てられた組立セットの手術器材およびその数量を次回以降のセット組立工程における組立セットの数量に反映させるという課題を解決するために、組立セットを組み立てるセット組立工程において、前記詳細情報表示部は、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択されたのが前記手術器材の場合、選択された前記手術器材の取得数量を、次回以降のセット組立工程における組立セットリストを構成する前記手術器材の数量に反映させるか否かを選択可能とする、数量固定選択ボタンを表示させるようにしてもよい。
【0014】
本発明に係る手術器材管理システムは、手術器材の運用サイクルに係る一連の作業の中において容易に手術器材の詳細情報を得るという課題を解決するために、前記手術器材管理端末と、前記手術器材および前記コンテナに対応する各詳細情報が記憶されている手術器材管理サーバとを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手術器材の運用サイクルに係る一連の作業の中において容易に手術器材の詳細情報を取得して当該手術器材やコンテナの状態を確認し、廃棄等の必要な処理を効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る手術器材管理システムの一実施形態を示す概念図である。
【
図2】本実施形態の手術器材管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態におけるID記憶部に記憶された各種データのイメージ図である。
【
図4】本実施形態におけるマスター情報記憶部に記憶された各種データのイメージ図である。
【
図5】本実施形態におけるセット組立テンプレート記憶部に記憶された各種データのイメージ図である。
【
図6】本実施形態におけるセットリスト記憶部に記憶された各種データのイメージ図である。
【
図7】本実施形態における組立器材テーブル記憶部に記憶された各種データのイメージ図である。
【
図8】本実施形態における詳細情報記憶部に記憶された各種データのイメージ図である。
【
図9】本発明に係る手術器材管理端末の一実施形態を示すブロック図である。
【
図10】本実施形態におけるセット組立工程を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態における組立処理を示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態におけるコンテナID処理を示すフローチャートである。
【
図13】本実施形態における器材ID処理を示すフローチャートである。
【
図14】本実施形態における2度かざし処理を示すフローチャートである。
【
図15】本実施形態においてコンテナIDに関する詳細情報とともにリセットボタンを表示させた表示画面を示すスクリーンショット画像である。
【
図16】本実施形態において器材IDに関する詳細情報とともに削除ボタンおよび修理・廃棄選択メニューを表示させた表示画面を示すスクリーンショット画像である。
【
図17】本実施形態において修理・廃棄選択メニューをプルダウン表示させた表示画面を示すスクリーンショット画像である。
【
図18】本実施形態においてID記憶部に記憶されているID番号「2」に対応する修理・廃棄状況を使用中の「0」から修理中の「1」に更新した場合のイメージ図である。
【
図19】本実施形態において組立セットリストを表示させた表示画面を示すスクリーンショット画像である。
【
図20】本実施形態における長押し処理を示すフローチャートである。
【
図21】本実施形態においてコンテナIDに関する詳細情報を表示させた表示画面を示すスクリーンショット画像である。
【
図22】本実施形態において器材IDに関する詳細情報とともに除外ボタンおよび数量固定選択ボタンを表示させた表示画面を示すスクリーンショット画像である。
【
図23】本実施形態における登録処理を示すフローチャートである。
【
図24】他の実施形態におけるセット組立工程を示すフローチャートである。
【
図25】一般的な手術器材の運用サイクルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る手術器材管理端末、手術器材管理端末用プログラムおよび手術器材管理システムの一実施形態について図面を用いて説明する。
【0018】
本実施形態の手術器材管理システム1は、
図1に示すように、手術器材管理サーバ2と、この手術器材管理サーバ2にインターネット回線を介して接続された複数台の手術器材管理端末3とを有する。以下、各構成について詳細に説明する。なお、本実施形態の手術器材管理システム1は、手術器材の運用サイクル全体における管理に使用されるものであるが、ここでは主に、セット組立工程に関する構成について説明する。
【0019】
本実施形態の手術器材管理サーバ2は、手術に使用される手術器材の管理に用いられるサーバであり、
図2に示すように、主に、手術器材管理プログラム2aおよび手術器材を管理する上で使用する各種データを記憶するサーバ記憶手段21と、このサーバ記憶手段21および手術器材管理端末3から各種データを取得して演算処理を実行するサーバ演算処理手段22とを有する。
【0020】
サーバ記憶手段21は、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等によって構成されており、各種のデータを記憶するとともに、サーバ演算処理手段22が演算を実行する際のワーキングエリアとして機能するものである。
図2に示すように、本実施形態におけるサーバ記憶手段21は、主に、手術器材管理プログラム2aを記憶するプログラム記憶部211とともに、ID記憶部212、マスター情報記憶部213、セット組立テンプレート記憶部214、セットリスト記憶部215、組立器材テーブル記憶部216、および詳細情報記憶部217を有する。
【0021】
プログラム記憶部211には、本実施形態の手術器材管理プログラム2aがインストールされている。そして、サーバ演算処理手段22が、前記手術器材管理プログラム2aを実行し、後述する各構成部として機能させることにより、コンピュータを手術器材管理サーバ2として機能させるようになっている。
【0022】
なお、手術器材管理プログラム2aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD-ROMやUSBメモリ等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に手術器材管理プログラム2aを記憶させておき、この記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(application service provider)方式等で利用してもよい。
【0023】
ID記憶部212は、
図3に示すように、各手術器材に付された識別コードまたは各コンテナに付された識別コードとともに、前記識別コードに対応する器材IDまたはコンテナID、器材種別、器材状況、セットIDおよび修理・廃棄状況を記憶している。
【0024】
識別コードは、個々の手術器材およびコンテナを識別するために付された固有のコードであり、2つとして同じ識別コードを有するものはない。よって、ID記憶部212には、管理を行う手術器材およびコンテナの合計数量に相当する識別コードが記憶されている。本実施形態における識別コードは、RFID(radio frequency identifier)、一次元シンボル、二次元シンボルおよびカラーバーコード等により管理される任意の文字および数字の組合せからなる。
【0025】
ここで、本実施形態における識別コードの装着形態について説明する。各手術器材には、主にRFIDが直接的に装着されている。また、RFIDを装着できない手術器材には、一次元シンボル、二次元シンボルまたはカラーバコードが、インクによりプリントされているかまたはレーザー、ドットピン、エッチングまたはサンドブラスト等により刻み込まれている。また、コンテナはコンテナ本体に着脱可能なタグが取り付けられている。そして、前記タグは、RFIDとともに一次元シンボルをプリントした用紙を備えており、手術器材管理端末3の識別コード読取手段33であるRFIDリーダーおよびバーコードスキャナのいずれでも読み取りされるようになっている。
【0026】
なお、本実施形態では、ID記憶部212において識別コードを管理しているが、これに限定されるものではなく、ID記憶部212とは別にID記憶部212のID番号に対応付けて識別コードを管理する識別コード管理記憶部を備えていてもよい。このようにID記憶部212と識別コードを別に管理することにより、RFIDが故障した場合または二次元シンボル等が摩耗により読み取り不可になった場合に、識別コード管理記憶部において、故障したRFIDまたは摩耗した二次元シンボルの識別コードを、新たなRFIDまたは新たな二次元シンボルの識別コードに変更することだけで、他の記憶部の情報を変更する必要がなく便利である。
【0027】
器材IDは、手術器材の種別毎に割り当てられたIDである。つまり、同じ種別の手術器材には同じ器材IDが割り当てられている。本実施形態では、
図4に示すように、例えば、ベックマン氏剪刀に対しては器材IDとして「1」が割り当てられている。なお、器材IDに対応する手術器材の名称の情報は、
図4に示すマスター情報記憶部213に記憶されており、ID記憶部212では器材IDのみが記憶されている。
【0028】
コンテナIDは、組立セット毎に割り当てられたIDである。組立セットとは、手術に使用される各種の手術器材のセットである。前記コンテナIDは、手術器材と同様に、同じ内容の組立セットには同じコンテナIDが割り当てられる。例えば、
図4に示すように、整形外科セットに対してはコンテナIDとして「100」が割り当てられている。なお、コンテナIDに対応する組立セット名称は、器材IDと同様、
図4に示すマスター情報記憶部213に記憶されており、ID記憶部212ではコンテナIDのみが記憶されている。
【0029】
器材種別は、識別コードに対応する種別が手術器材かコンテナかを区別する情報である。例えば手術器材には「0」が割り当てられており、コンテナには「1」が割り当てられている。
【0030】
器材状況は、手術器材およびコンテナが現在、運用サイクルのどの工程にあるのかに関する情報である。本実施形態では、洗浄工程後の場合には「0」が割り当てられ、セット組立工程後の場合には「1」が割り当てられ、滅菌工程後の場合には「2」が割り当てられ、取揃え工程後の場合には「3」が割り当てられ、、手術後チェック工程後の場合には「4」が割り当てられている。これらの器材状況は、運用サイクルの各工程が終了するごとに後述する器材状況更新部230によって適宜書き換えられる。
【0031】
セットIDは、組み立てられた組立セットの手術器材と、前記組立セットを収容したコンテナとを紐付けるために割り当てられるIDである。本実施形態では、セット組立工程が終了した際に、実際にセットされている手術器材およびコンテナの識別コードに対して同じ番号のセットIDが割り当てられる。また、セット組立される前の手術器材およびコンテナの識別コードに対しては「-1」が割り当てられている。
【0032】
修理・廃棄状況は、現在の手術器材またはコンテナの状況に関する情報である。本実施形態では、手術器材またはコンテナの状況が使用中の場合には「0」が割り当てられており、修理中の場合には「1」が割り当てられており、廃棄された場合には「2」が割り当てられている。
【0033】
次に、マスター情報記憶部213について説明する。マスター情報記憶部213は、器材IDまたはコンテナIDに対応付けられたマスター情報を記憶するものであり、本実施形態では、
図4に示すように、器材IDまたはコンテナIDに対応付けてその器材名称または組立セット名称、および器材種別を記憶している。器材名称は器材IDに対応した手術器材の名称であり、組立セット名称はコンテナIDに対応した組立セットの名称である。これらの名称は、初期設定時に任意に設定することができる。また、器材種別は、ID記憶部212における器材種別と同じものであり、手術器材に対しては「0」が割り当てられており、コンテナに対しては「1」が割り当てられている。
【0034】
セット組立テンプレート記憶部214は、組立セットリストを取得するための情報が記憶されており、本実施形態では、
図5に示すように、コンテナIDに対応付けて組立セットを構成する器材IDおよびその数量と、手術器材管理端末3において組立セットリストを表示手段31に表示させるときの並び順とを記憶している。このセット組立テンプレート記憶部214は、書き換え可能な情報であり、後述する登録処理において適宜更新することで、前記コンテナIDに対応する今回の組立セットの構成を、次回以降のセット組立工程における組立セットリストとして反映させることができる。
【0035】
セットリスト記憶部215は、後述するセットリスト取得部223がセット組立テンプレート記憶部214から取得した組立セットリストを記憶するものであり、本実施形態では、
図6に示すように、器材IDに対応付けて器材名称、数量、取得数量、並び順および数量固定フラグを記憶している。ここで器材名称はセットリスト取得部223によってマスター情報記憶部213から取得されたものであり、数量および並び順はセットリスト取得部223によってセット組立テンプレートから取得されたものである。また、取得数量は、後述するID取得部221によって器材IDが取得されることにより後述する組立セット更新部226によりインクリメントされる数値であり、前記器材IDの取得回数をカウントしたものである。
【0036】
また、数量固定フラグは、手術器材管理端末3から登録指示を受信したときに、追加更新された器材IDまたは数量が変更された器材IDに対応する取得数量を、次回以降のセット組立工程における組立セットリストを構成する器材IDまたは器材IDの数量に反映させるか否かを判別するためのフラグであり、本実施形態では、固定状態のフラグと非固定状態のフラグとからなる。器材IDに対する数量固定フラグが固定状態の場合は、後述するテンプレート更新部228が、器材IDの追加更新または器材IDの数量変更を今回のセット組立工程のみの変更であるとして、次回以降のセット組立工程における組立セットリストには反映させないものと判別する。一方、器材IDに対する数量固定フラグが非固定状態の場合には、テンプレート更新部228が、器材IDの追加更新または器材IDの数量変更をを次回以降のセット組立工程における組立セットリストを構成する器材IDまたは器材IDの数量に反映させるものと判別する。つまり、本実施形態では、器材IDごとに前記数量固定フラグを固定状態または非固定状態に設定することで、器材IDの追加更新または器材IDの数量変更があった場合に、今回のセット組立工程のみ変更する器材IDと、次回以降のセット組立工程にもその変更を反映させる器材IDとを器材IDごとに管理することができる。
【0037】
本実施形態における数量固定フラグには、組立セットリストを構成する器材IDまたは器材IDの数量を固定する固定状態に対して「0」が割り当てられており、数量を変更可能にする非固定状態に対して「1」が割り当てられている。この数量固定フラグは、数量固定フラグ変更部227が、器材ID照合部225によって照合された器材IDが組立セットリストを構成する器材IDの全てと一致しない場合、前記器材IDが前記組立セットリストを構成する器材IDのいずれかと一致しかつその取得数量が前記組立セットリストの前記器材IDの数量を超える場合、および手術器材管理端末3により数量固定選択ボタンが操作されたタイミングにおいて手術器材端末からの指示があった場合に、それぞれ変更することができるようになっている。
【0038】
組立器材テーブル記憶部216は、手術器材管理端末3から登録指示があったときに、セットリスト記憶部215の組立セットリストに記憶されている器材IDおよびその取得数量をセットIDに対応付けて記憶するものである。本実施形態における組立器材テーブル記憶部216は、
図7に示すように、セットIDに対応付けて、器材ID、取得数量、数量、並び順および数量固定フラグを記憶している。ここで、セットIDは、セット組立工程において手術器材管理端末3から登録指示があった時に適宜割り当てられるようになっている。
【0039】
詳細情報記憶部217は、手術器材またはコンテナに収容される組立セットの詳細情報を記憶するものである。本実施形態における詳細情報記憶部217は、
図8に示すように、器材IDまたはコンテナIDに対応付けて、詳細情報種別、情報パスおよび表示順が記憶されている。
【0040】
詳細情報種別は、詳細情報として記憶されているデータ形式に関する種別を記憶するものであり、本実施形態では、jpgなどの画像に係るデータ形式に対しては「1」が割り当てられており、txtなどのテキスト情報に係るデータ形式に対しては「2」が割り当てられている。
【0041】
なお、本実施形態における詳細情報は、画像データおよびテキストデータに限定されるものではなく、pdf形式データ、mpegなどの動画データなど、詳細情報を伝達する手段として用いられる種々のデータ形式から適宜選択してもよい。
【0042】
情報パスは、詳細情報に関するものである。例えば、
図8に示す器材ID「2」については、2つの詳細情報が記憶されており、画像に係る「モスキートコッヘル 曲.jpg」と、テキスト情報に係る「注意事項(モスキートコッヘル 曲).txt」が記憶されている。本実施形態において前記画像および前記テキスト情報は、
図15等に示すように、詳細情報を表示する際のサムネイル表示のデータとしても使用される。
【0043】
次に、サーバ演算処理手段22について説明する。サーバ演算処理手段22は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、サーバ記憶手段21にインストールされた手術器材管理プログラム2aを実行させることにより、
図2に示すように、手術器材管理サーバ2としてのコンピュータを、ID取得部221、器材種別判別部222、セットリスト取得部223、セットリスト送信部224、器材ID照合部225、組立セット更新部226、数量固定フラグ変更部227、テンプレート更新部228、組立セット確定部229、器材状況更新部230、詳細情報取得部231および詳細情報送信部232として機能させるようになっている。
【0044】
ID取得部221は、ID記憶部212から識別コードに対応する器材IDまたはコンテナIDを取得するものである。本実施形態におけるID取得部221は、手術器材管理端末3から送信された識別コードとID記憶部212に記憶された識別コードとを照合し、一致する前記識別コードに対応付けられている器材IDまたはコンテナIDを取得する。
【0045】
器材種別判別部222は、手術器材管理端末3によって読み取られた識別コードが手術器材に付された識別コードか、それともコンテナに付された識別コードかを判別するものである。本実施形態における器材種別判別部222は、ID記憶部212において識別コードに対応付けられた器材種別の情報が「0」か「1」かを判別し、「0」である場合には識別コードに係る器材種別が手術器材であると判別し、「1」である場合には識別コードに係る器材種別がコンテナであると判別する。
【0046】
セットリスト取得部223は、前記コンテナIDに対応付けられた器材IDおよびその数量から構成される組立セットリストを取得するものである。本実施形態におけるセットリスト取得部223は、セット組立テンプレート記憶部214からID取得部221により取得されたコンテナIDに対応付けられた器材IDおよびその数量を取得し、組立セットリストとしてセットリスト記憶部215に記憶させる。
【0047】
セットリスト送信部224は、取得された組立セットリストまたは取得された手術器材の情報を手術器材管理端末3に送信するものである。本実施形態におけるセットリスト送信部224は、セットリスト記憶部215の更新がなされる毎に送信する。これにより、手術器材管理端末3では、組立セットリストまたは取得された手術器材の情報を受信し、その情報を表示手段31に表示させるようになっている。
【0048】
器材ID照合部225は、取得した器材IDと組立セットリストを構成する器材IDとを照合するものである。本実施形態における器材ID照合部225は、ID取得部221により取得した器材IDと、セットリスト取得部223により取得した組立セットリストとを照合し、前記組立セットリストを構成するいずれかの器材IDと一致するか否かを判別するとともに、もし前記組立セットリストを構成する器材IDのいずれかと一致していた場合にはさらにその取得数量が前記組立セットリストの前記器材IDの数量を超えるか否かを判別する。
【0049】
組立セット更新部226は、ID取得部221により取得された器材IDに応じて組立セットリストを更新するものである。例えば、組立セット更新部226は、器材ID照合部225によって照合された器材IDが組立セットリストを構成する器材IDの全てと一致しない場合には、手術器材管理端末3からの指示に応じて前記器材IDを前記組立セットリストに追加更新するとともに、組立セットリストを構成する器材IDと一致した場合には前記器材IDに係る取得数量をインクリメントする。
【0050】
数量固定フラグ変更部227は、数量固定フラグを手術器材管理端末3からの指示に応じて固定状態または非固定状態に変更するものである。本実施形態における数量固定フラグ変更部227は、器材ID照合部225によって照合された器材IDが組立セットリストを構成する器材IDの全てと一致しない場合、前記器材IDが前記組立セットリストを構成する器材IDのいずれかと一致しかつその取得数量が前記組立セットリストの前記器材IDの数量を超える場合、および手術器材管理端末3により数量固定選択ボタンが操作されたタイミングにおいて、手術器材端末からの指示があった場合に、その指示に応じて固定状態を非固定状態に変更する、または非固定状態を固定状態に変更する。
【0051】
テンプレート更新部228は、セットリスト記憶部215に記憶されている組立セットリストの器材IDごとに数量固定フラグが固定状態か非固定状態かを判別し、非固定状態である器材IDについては、前記組立セットリストに記憶されている前記器材IDおよびその取得数量をセット組立テンプレート記憶部214においてコンテナIDに対応付けて記憶される前記器材IDおよびその数量に更新する。
【0052】
組立セット確定部229は、手術器材管理端末3からの登録指示に応じて、今回のセット組立工程においてコンテナに組み立てられた手術器材を確定するものであり、セットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの器材IDとその取得数量をセットIDに対応付けて組立器材テーブル記憶部216に記憶させる。
【0053】
器材状況更新部230は、各工程終了時に識別コードに対応したID記憶部212の器材状況を更新するものである。具体的には、前記器材状況更新部230が、識別コードに対応したID記憶部212の器材状況を洗浄工程終了時には「0」に更新し、セット組立工程終了時には「1」に更新し、滅菌工程終了時には「2」に更新し、取揃え工程終了時には「3」に更新し、手術後チェック工程終了時には「4」に更新する。
【0054】
詳細情報取得部231は、手術器材管理端末3からの詳細情報の要求に応じて、識別コードまたは器材IDもしくはコンテナIDに対応した詳細情報を詳細情報記憶部217から取得するものである。本実施形態における詳細情報取得部231は、詳細情報記憶部217に記憶されている器材IDまたはコンテナIDに対応付けられた詳細情報種別、情報パスおよび表示順を取得する。
【0055】
詳細情報送信部232は、詳細情報取得部231によって取得された詳細情報を、詳細情報を要求した手術器材管理端末3に送信するものである。また、本実施形態における詳細情報送信部232は、前記詳細情報取得部231によって取得された前記詳細情報とともに、器材IDもしくはコンテナIDに対応した器材種別の情報を送信するようになっている。
【0056】
次に、本実施形態の手術器材管理端末3について説明する。本実施形態の手術器材管理端末3は、手術に使用される手術器材の管理に用いられる端末であり、
図9に示すように、主に、組立セットリスト等を表示する表示手段31と、この表示手段31と一体的に構成されたタッチパネル式の入力手段32と、識別コードを読み取る識別コード読取手段33と、手術器材管理端末用プログラム3aおよび前記識別コード読取手段33により読み取られた識別コードを記憶する端末記憶手段34と、さらに前記識別コード読取手段33、前記入力手段32および手術器材管理サーバ2から各種データを取得して演算処理を実行する端末演算処理手段35とを有する。
【0057】
表示手段31は、各工程において組立セットリストおよび手術器材に関する各種情報を表示させるものである。本実施形態における表示手段31は、タッチパネル式の液晶ディスプレイによって構成されており、入力手段32を兼ねている。
【0058】
入力手段32は、手術器材管理端末3を操作するユーザインターフェースであり、本実施形態では、上述のとおり、表示手段31の画面部分と一体的に構成されたタッチパネルからなる。なお、入力手段32は、タッチパネルに限定されるものではなく、キーボード、マウス等によって構成されていてもよい。
【0059】
識別コード読取手段33は、RFID、一次元シンボル、二次元シンボルまたはカラーバーコードを読み取ることのできるものであり、RFIDを読み取るRFIDリーダー、一次元シンボルを読み取るバーコードスキャナ、二次元シンボルおよびカラーバーコードを読み取るカメラにより構成される。本実施形態では、パーソナルコンピュータからなる据置型の手術器材管理端末3においては識別コード読取手段33としてRFIDリーダーを備えており、小型コンピュータからなる携帯型の手術器材管理端末3においては識別コード読取手段33としてバーコードスキャナおよびカメラを備えている。なお、手術器材およびコンテナに識別コードを付することができない場合は、入力手段32により直接、文字および数字を入力して識別コードを取得することもできる。
【0060】
次に、端末記憶手段34は、手術器材管理サーバ2のサーバ記憶手段21と同様に、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリ等によって構成されており、各種のデータを記憶するとともに、端末演算処理手段35が演算を実行する際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態における端末記憶手段34は、主に、手術器材管理端末用プログラム3aを記憶するプログラム記憶部341と、識別コード読取手段33によって読み取られた識別コードを記憶する識別コード記憶部342とを有する。
【0061】
プログラム記憶部341には、本実施形態の手術器材管理端末用プログラム3aがインストールされている。そして、端末演算処理手段35が、前記手術器材管理端末用プログラム3aを実行し、後述する各構成部として機能させることにより、コンピュータを手術器材管理端末3として機能させるようになっている。
【0062】
なお、手術器材管理端末用プログラム3aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD-ROMやUSBメモリ等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に手術器材管理端末用プログラム3aを記憶させておき、この記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP方式等で利用してもよい。
【0063】
識別コード記憶部342は、識別コード読取手段33によって読み取られた識別コードを記憶するものであり、本実施形態では、器材IDごとに、後述する識別コード取得部351により前記識別コード読取手段33を介して取得された前記識別コードを記憶する。つまり、識別コード記憶部342は、複数の器材IDと、当該器材IDに対応した複数の識別コードとからなる二次元配列で記憶される。
【0064】
次に、端末演算処理手段35は、手術器材管理サーバ2のサーバ演算処理手段22と同様に、CPU等から構成されており、プログラム記憶部341にインストールされた手術器材管理端末用プログラム3aを実行させることにより、
図9に示すように、手術器材管理端末3としてのコンピュータを、識別コード取得部351、識別コード送信部352、識別コード取得回数判別部353、詳細情報要求部354、表示制御部355、器材種別判別部356、セットリスト更新指示部357および登録指示送信部358として機能させるようになっている。
【0065】
識別コード取得部351は、識別コード読取手段33または入力手段32を介して手術器材またはコンテナに付された識別コードを取得するものである。つまり、識別コード取得部351は、手術器材またはコンテナに装着されたRFIDにより記憶された識別コードのテキストデータ、一次元シンボル、二次元シンボルまたはカラーバーコードのルールに従ったテキストデータを取得し、識別コード記憶部342に記憶させる。
【0066】
識別コード送信部352は、識別コード取得部351によって取得された識別コードを手術器材管理サーバ2に送信するものである。本実施形態では、後述するように、識別コード送信部352が、手術器材管理サーバ2に識別コードを送信することで、手術器材管理サーバ2では組立処理が実行される。
【0067】
識別コード取得回数判別部353は、識別コードの取得回数が2回以上であるか否かを判別するものである。本実施形態における識別コード取得回数判別部353は、前記識別コードが識別コード記憶部342に記憶された識別コードのいずれかと一致するか否かを照合し、一致する識別コードがあった場合は前記識別コードの取得回数が2回以上であると判別するようになっている。
【0068】
詳細情報要求部354は、識別コード取得回数判別部353によって識別コードの取得回数が2回以上であると判別された場合、または、表示手段31に表示されている前記手術器材または前記コンテナの情報をユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択した場合に、前記手術器材または前記コンテナに対応付けられている詳細情報の送信を手術器材管理サーバ2に要求するものである。
【0069】
本実施形態では、識別コードの取得回数が2回以上であると判別された場合には、詳細情報要求部354が、手術器材管理サーバ2に対して前記識別コードを送信することで詳細情報の要求を行う。また、表示手段31に表示されている前記手術器材または前記コンテナがユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択された場合には、詳細情報要求部354が、手術器材管理サーバ2に対して器材IDまたはコンテナIDを送信することで詳細情報の要求を行う。
【0070】
ここでユーザインターフェースを介した所定の選択動作としては、表示画面上の該当箇所の長押し、クリック、ダブルクリックまたはフリック等があり、本実施形態における詳細情報要求部354は、コンマ数秒~数秒以上の時間、該当箇所を長押した場合に詳細情報の要求を行うようになっている。
【0071】
表示制御部355は、手術器材管理サーバ2から送信された組立セットリストまたは手術器材の情報を表示手段31に表示させるものである。また、本実施形態における表示制御部355は、組立セットを組み立てるセット組立工程において詳細情報を受信し、手術器材またはコンテナの組立処理を連続して行うことができるように、詳細情報とともに種々のボタンおよびメニューを表示させる詳細情報表示部359を有している。
【0072】
詳細情報表示部359は、識別コード取得部351により2回以上取得された識別コードがコンテナに係る識別コードの場合には、詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットとして組み立てられた全ての手術器材の取得数量をリセットするための「リセットボタン」を表示させる。
【0073】
これに対し、詳細情報表示部359は、2回以上取得された前記識別コードが前記手術器材の識別コードの場合には、前記詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットとして組み立てられた手術器材から前記識別コードの付された手術器材を削除するための「削除ボタン」を表示させる。また、組立セットとして組み立てられた手術器材から前記識別コードの付された手術器材を削除すると同時に、前記手術器材の修理または廃棄を行うための、前記手術器材の修理と廃棄とを選択可能なプルダウン式の「修理・廃棄選択メニュー」を表示させる。
【0074】
また、詳細情報表示部359は、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作により前記手術器材が選択された場合、前記詳細情報とともにその手術器材を前記コンテナに対応する組立セットリストから除外するための「除外ボタン」を表示させる。さらに、詳細情報表示部359は、選択された前記手術器材を前記コンテナに対応する組立セットリストから除外した情報を、次回以降のセット組立工程における組立セットリストに反映させるために、選択された前記手術器材の取得数量を、次回以降のセット組立工程における組立セットリストを構成する前記手術器材の数量に反映させるか否かを選択可能とする、「数量固定選択ボタン」を表示させる。
【0075】
器材種別判別部356は、手術器材管理サーバ2の器材種別判別部222と同様に、手術器材管理端末3によって読み取られた識別コードが手術器材に付された識別コードか、それともコンテナに付された識別コードかを判別するものである。本実施形態における器材種別判別部356は、手術器材管理サーバ2から詳細情報とともに送信される識別コードに対応付けられた器材種別の情報が「0」か「1」かを判別し、「0」である場合には前記識別コードに係る器材種別が手術器材であると判別し、「1」である場合には前記識別コードに係る器材種別がコンテナであると判別する。
【0076】
セットリスト更新指示部357は、詳細情報表示部359によって表示された削除ボタン、修理・廃棄選択メニュー、除外ボタンおよび数量固定選択ボタンに応じて、手術器材管理サーバ2に対しそのセットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの更新の指示情報およびID記憶部212に記憶された識別コードに対応した修理・廃棄情報の更新の指示情報を送信するものである。
【0077】
登録指示送信部358は、セット組立が終了したときに手術器材管理サーバ2に対して組立セットを登録する指示を送信するものであり、本実施形態では、表示制御部355によって表示手段31に表示された登録ボタンが押されることにより登録指示の情報を前記手術器材管理サーバ2に送信する。
【0078】
つぎに、本実施形態の手術器材管理システム1における各構成の作用について説明する。
【0079】
セット組立工程では、
図10に示すように、まず、手術器材管理端末3による識別コード取得ループが実行される(ステップS1~ステップS1’)。具体的には、識別コード取得部351が、識別コード読取手段33を介して手術器材またはコンテナに装着された識別コードを取得する(ステップS2)。
【0080】
次に、識別コード取得回数判別部353が、手術器材管理端末3の識別コード記憶部342に、前記識別コード取得部351により取得された識別コードと一致するものがあるか否かを判別する(ステップS3)。ここで、識別コード取得回数判別部353が、一致するものがないと判別した場合には(ステップS3:NO)、識別コード送信部352が、識別コードを手術器材管理サーバ2に送信する(ステップS4)。
【0081】
手術器材管理サーバ2では、手術器材管理端末3Aから識別コードが送信されたのを契機として、前記手術器材管理端末3から受信した識別コードに基づき組立処理を実行する。組立処理について簡単に説明すると、
図11に示すように、ID取得部221が、手術器材管理端末3から送信された識別コードを受信する(ステップSA1)。次に、ID取得部221が、ID記憶部212から前記識別コードと一致するものを検索する(ステップSA2)。そして、ID取得部221が、検索された識別コードに対応して記憶されている器材IDまたはコンテナIDを取得する(ステップSA3)。そして、ID取得部221は、マスター情報記憶部213から取得した器材IDまたはコンテナIDに対応する名称を取得する(ステップSA4)。
【0082】
さらに、器材種別判別部222が、受信した識別コードに係る器材種別が器材IDに対応するものか、それともコンテナIDに対応するものか判別する(ステップSA5)。具体的には、器材種別判別部222は、識別コードに対応した器材種別が「1」の場合には(ステップSA5:1)、前記識別コードに対応する器材種別がコンテナであると判別してコンテナID処理に進む。一方、器材種別判別部222は、識別コードに対応した器材種別が「0」である場合には(ステップSA5:0)、前記識別コードに対応する器材種別が手術器材であると判別して器材ID処理に進む。
【0083】
次に、コンテナID処理について説明する。コンテナID処理では、
図12に示すように、セットリスト取得部223が、セット組立テンプレート記憶部214からコンテナIDに対応する器材IDとその数量を取得する(ステップSB1)。次に、セットリスト取得部223は、マスター情報記憶部213に記憶されている器材IDに対応した名称とともに、セット組立テンプレート記憶部214から取得した器材IDとその数量を組立セットリストとしてセットリスト記憶部215に記憶させる(ステップSB2)。そして、セットリスト送信部224がセットリスト記憶部215に記憶されている組立セットリストを手術器材管理端末3に送信する(ステップSB3)。これにより、手術器材管理サーバ2では、コンテナID処理および組立処理が終了する。
【0084】
一方、器材ID処理では、
図13に示すように、組立セット更新部226がセットリスト記憶部215に記憶されている組立セットリストの前記器材ID対応する取得数量をインクリメントする(ステップSC1)。そして、セットリスト記憶部215に記憶された器材IDおよびその取得数量を手術器材管理端末3に送信する(ステップSC2)。これにより、手術器材管理サーバ2では、器材ID処理および組立処理が終了する。
【0085】
これに対し、手術器材管理端末3では、
図10に示すように、表示制御部355が受信した組立セットリストを表示手段31に表示させる。
【0086】
以上のような、識別コードの取得および組立処理を行う識別コード取得ループ(ステップS1~ステップS1’)は、手術器材管理端末3において登録ボタンが選択されるまで実行される。
【0087】
次に、本実施形態における詳細情報の要求について説明する。詳細情報の要求は、少なくとも1つの識別コードに対応した組立処理が実行された後における、上述の識別コード取得ループ(ステップS1~ステップS1’)内のいずれかのタイミングで行われる。
【0088】
例えば、ステップS3に戻って、識別コード取得回数判別部353が、これまでに組立処理を実行した識別コードと一致するものがあると判段して取得回数が2回以上であると判別した場合には(ステップS3:YES)、ユーザが取得された前記識別コードに係る手術器材またはコンテナの詳細情報の要求を行ったものとして、2度かざし処理に進む。つまり、ユーザは、手に持っている手術器材またはコンテナが損耗、変形および破損しているか否かを確認したい場合には、前記手術器材または前記コンテナに係る識別コードを手術器材管理端末3における識別コード読取手段33にもう一度(2回以上)かざすことで、以下のように、詳細情報にアクセスすることができる。
【0089】
2度かざし処理では、
図14に示すように、詳細情報要求部354が識別コードを手術器材管理サーバ2に送信して前記識別コードに対応した詳細情報を要求する(ステップSD1)。
【0090】
手術器材管理サーバ2では、ID取得部221が、ID記憶部212から前記識別コードと一致するものを検索する(ステップSD2)。そして、ID取得部221が、検索された識別コードに対応して記憶されている器材IDまたはコンテナIDを取得する(ステップSD3)。例えば、受信した識別コードが、
図3に示すID記憶部212に記憶された「E00401502F133D30」であった場合(ID番号が「2」の場合)、対応する器材ID・コンテナIDに記憶された「2」を器材IDまたはコンテナIDとして取得する。
【0091】
次に、詳細情報取得部231が、詳細情報記憶部217からID取得部221によって取得された器材IDまたはコンテナIDに対応する詳細情報を取得する(ステップSD4)。例えば、ID取得部221により取得された器材IDまたはコンテナIDが「2」であった場合には、詳細情報取得部231は、
図8に示す詳細情報記憶部217に記憶された器材ID・コンテナID「2」に対応する、詳細情報種別「1」、情報パス「モスキートコッヘル曲.jpg」および表示順「1」と、詳細情報種別「2」、情報パス「注意事項(モスキートコッヘル曲).txt」および表示順「2」とを取得する。
【0092】
そして、詳細情報送信部232が、詳細情報取得部231により取得した詳細情報とともに、識別コードに対応した器材種別を手術器材管理端末3に送信する(ステップSD5)。
【0093】
これに対し、手術器材管理端末3では、表示制御部355が詳細情報および器材種別を受信する(ステップSD6)。そして、器材種別判別部356が、識別コードに係る器材種別を判別する(ステップSD7)。
【0094】
ここで器材種別判別部356が、識別コードに係る器材種別をコンテナIDに係るものであると判別した場合には(ステップSD7:コンテナ(1))、詳細情報表示部359が、
図15に示すように、詳細情報とともに前記コンテナに対応する組立セットとして組み立てられた全ての手術器材の取得数量をリセットする「リセットボタン」を表示させる(ステップSD8)。つまり、コンテナIDに対応した詳細情報が要求された場合、詳細情報を確認したユーザによる次の行動として、これまでに組み立てた組立セットをリセットする場合が考えられる。そこで、詳細情報表示部359は、詳細情報とともに「リセットボタン」を表示させる。
【0095】
リセットボタンが選択された場合には(ステップSD9:YES)、セットリスト更新指示部357が、手術器材管理サーバ2に対して組立セットリストのリセット指示を送信する(ステップSD10)。
【0096】
そして、リセット指示を受信した手術器材管理サーバ2では、組立セット更新部226が、セットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの全ての器材IDに対応した取得数量をゼロに更新する(ステップSD11)。これにより、コンテナに対して組み立てた組立セットがリセットされる。
【0097】
ステップSD7に戻って、器材種別判別部356が、識別コードに係る器材種別を器材IDに係るものであると判別した場合には(ステップSD7:器材)、詳細情報表示部359が、
図16に示すように、詳細情報とともに「削除ボタン」と「修理・廃棄選択メニュー」を表示させる(ステップSD12)。つまり、器材IDに対応した詳細情報が要求された場合、詳細情報を確認したユーザによる次の行動として、組み立て間違いのために前記手術器材を組立セットから削除する場合が考えられる。そこで、詳細情報表示部359は、詳細情報とともに削除ボタンを表示させる。また、手術器材の損耗、変形および破損の状況に応じて組立セットから削除するとともに、他の組立セットに使用されないように修理を行うか廃棄する必要がある。そこで、本実施形態における詳細情報表示部359は、
図17に示すように、詳細情報および「削除ボタン」とともにプルダウン式の「修理・廃棄選択メニュー」を表示させる。
【0098】
ここで、削除ボタンが選択された場合には(ステップSD13:YES)、セットリスト更新指示部357は、手術器材管理サーバ2に対して組立セットリストから識別コードに係る手術器材の削除指示を送信する(ステップSD14)。
【0099】
削除指示を受信した手術器材管理サーバ2では、組立セット更新部226が、セットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの前記識別コードに係る器材IDに対応した取得数量をデクリメントする(ステップSD15)。これにより、組み立て間違いをした手術器材を組立セットから削除することができる。
【0100】
また、修理・廃棄選択メニューの修理または廃棄が選択された場合には(ステップSD16:YES)、セットリスト更新指示部357は、手術器材管理サーバ2に対して組立セットリストから識別コードに係る手術器材の削除指示とともに、前記識別コードに係る手術器材の修理情報または廃棄情報を送信する(ステップSD17)。
【0101】
これに対し、手術器材管理サーバ2では、組立セット更新部226が、セットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの前記識別コードに係る器材IDに対応した取得数量をデクリメントするとともに、ID記憶部212に記憶された識別コードに対応する修理・廃棄状況を手術器材管理端末3からの修理情報または廃棄情報に基づき更新する(ステップSD18)。例えば、ID番号「2」に対応する手術器材の修理・廃棄状況を修理に更新する場合には、
図18に示すように、修理・廃棄状況を使用中の「0」から修理中の「1」に更新する。これにより、手術器材の損耗、変形および破損の状況に応じて組立セットから削除することができる。
【0102】
以上で、2度かざし処理が終了し、
図10に示すように、識別コード取得ループ(ステップS1~ステップS1’)に戻る。
【0103】
次に、識別コード取得ループ(ステップS1~ステップS1’)において任意のタイミングで手術器材またはコンテナに関する詳細情報を要求する場合について説明する。本実施形態では、表示手段31に表示されている前記手術器材または前記コンテナの情報をユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択することにより行う。まず、識別コードの取得回数が1回目である場合は、上述のとおり組立処理が行われ、
図19に示すように、表示手段31に組立セットリストまたは手術器材の情報が表示される(ステップS5)。
【0104】
ここで詳細情報要求部354が、表示手段31に表示されている組立セットリストに基づくコンテナ情報や器材情報の一覧において、ユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択されたか否かを判別する(ステップS6)。本実施形態における詳細情報要求部354は、コンテナ情報または器材情報がタッチパネル式の入力手段32を用いて長押しされたか否かを判別する。そして、詳細情報要求部354が、コンテナ情報または器材情報が長押しされたと判別した場合には(ステップS6:YES)、長押しされたコンテナ情報または器材情報に対応した詳細情報が要求されたとして、長押し処理に進む。
【0105】
長押し処理では、
図20に示すように、詳細情報要求部354が、長押しされたコンテナ情報に対応するコンテナIDまたは長押しされた器材情報に対応する器材IDを手術器材管理サーバ2に送信し、前記コンテナIDまたは前記器材IDに対応した詳細情報を要求する(ステップSE1)。
【0106】
これに対し、手術器材管理サーバ2では、詳細情報記憶部217から受信したコンテナIDまたは器材IDに対応した詳細情報を取得する(ステップSE2)。そして、詳細情報送信部232が、詳細情報取得部231により取得した詳細情報を手術器材管理端末3に送信する(ステップSE3)。
【0107】
手術器材管理端末3では、表示制御部355が詳細情報を受信する(ステップSE4)。そして、器材種別判別部356が、詳細情報要求部354によって送信されたコンテナIDまたは器材IDに係る器材種別を判別する(ステップSE5)。
【0108】
ここで器材種別判別部356が、器材種別をコンテナIDに係るものであると判別した場合には(ステップSE5:コンテナ(1))、詳細情報表示部359が、
図21に示すように、詳細情報のみを表示手段31に表示させる(ステップSE6)。
【0109】
一方、器材種別判別部356が、器材種別を器材IDに係るものであると判別した場合には(ステップSE5:器材(0))、詳細情報表示部359が、
図22に示すように、詳細情報とともに「除外ボタン」および「数量固定選択ボタン」を表示させる(ステップSB7)。
【0110】
ここで、器材IDはユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択されているため、2度かざしの場合のような個々の手術器材を識別する識別コードに対する詳細情報の要求ではなく、手術器材の種別に対して付された器材IDに対する詳細情報の要求である。よって、前記詳細情報を確認したユーザによる次の行動として、組立セットリストから前記器材IDに対応する手術器材全体を除外する場合が考えられる。そこで、詳細情報表示部359は、詳細情報とともに「除外ボタン」を表示させる。
【0111】
また、除外ボタンにより手術器材を除外した場合の他、組立処理内で組立セットリストにない手術器材を追加する場合、または、組立セットリストにおける手術器材の数量に対して組立処理により取得された取得数量が異なる場合において、変更された組立セットの構成を次回以降のセット組立工程における組立セットリストの構成に反映させたい場合がある。そこで、詳細情報表示部359は、器材IDがユーザインターフェースを介して所定の選択動作により選択された場合には、詳細情報とともに「数量固定選択ボタン」を表示させる。
【0112】
ここで、除外ボタンが選択された場合には(ステップSE8:YES)、セットリスト更新指示部357は、手術器材管理サーバ2に対して組立セットリストから器材IDに係る手術器材を除外する除外指示を送信する(ステップSE9)。
【0113】
除外指示を受信した手術器材管理サーバ2では、組立セット更新部226が、セットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの器材IDに対応した取得数量をゼロに更新する(ステップSE10)。
【0114】
また、数量固定選択ボタンにより、非固定状態が選択された場合には(ステップSE11:YES)、セットリスト更新指示部357が、手術器材管理サーバ2に対して器材IDに対応した数量固定フラグを非固定状態に変更する指示を送信する(ステップSE12)。なお、図示しないが、数量固定フラグが非固定状態の場合において、数量固定選択ボタンにより、固定状態が選択された場合には、セットリスト更新指示部357が、手術器材管理サーバ2に対して器材IDに対応した数量固定フラグを固定状態に変更する指示を送信する。
【0115】
これに対し、手術器材管理サーバ2において非固定状態への変更指示を受信した場合は、組立セット更新部226が、セットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの器材IDに対応した数量固定フラグを固定状態から非固定状態に変更する(ステップSE13)。また、図示しないが、固定状態への変更指示を受信した場合は、組立セット更新部226が、セットリスト記憶部215に記憶された組立セットリストの器材IDに対応した数量固定フラグを非固定状態から固定状態に変更する。
【0116】
以上で、長押し処理が終了し、
図10に示すように、識別コード取得ループ(ステップS1~ステップS1’)に戻る。
【0117】
次に、手術器材管理端末3では、登録ボタンが選択されることにより識別コード取得ループが終了する(ステップS1’)。そして、登録指示送信部358が手術器材管理サーバ2に対して登録処理の指示情報を送信する(ステップS7)。
【0118】
これに対し、手術器材管理サーバ2では、手術器材管理端末3から登録処理の指示情報を受信すると登録処理を実行する。登録処理では、
図23に示すように、まず組立セット確定部229が、セットリスト記憶部215に記憶されている器材IDに対応付けられた数量、取得数量および数量固定フラグをセットIDに対応付けて組立器材テーブル記憶部216に記憶させる(ステップSF1)。これにより、今回のセット組立で組み立てられたコンテナIDに対応する組立セットを、セット組立工程以降の取揃え工程および手術後チェック工程において前記セットIDにより管理できるようになる。
【0119】
次に、テンプレート更新部228が、数量固定フラグの状態を判別して、セットリスト記憶部215に記憶されている器材IDに対応付けられた取得数量を次回以降においてコンテナIDに対応付けられた組立セットリストに反映させる(ステップSF2~ステップSF7)。具体的には、まずテンプレート更新部228が、セットリスト記憶部215に記憶されている組立セットリストの並び順に基づき器材ID数を取得し、これを終了時の処理回数iとする(ステップSF2)。次に、実行中の処理回数kの初期化を行う(ステップSF3)。次に、実行中の処理回数kのカウントを開始する(ステップSF4)。そして、テンプレート更新部228が、組立セットリストにおけるk番目の器材IDに対応した数量固定フラグに応じて固定状態か非固定状態かを判別する(ステップSF5)。ここで、テンプレート更新部228が、数量固定フラグを固定状態に割り当てられた「0」と判別した場合には(ステップSF5:NO)、k番目の前記器材IDに関するセット組立テンプレート記憶部214の更新は行わない。一方、テンプレート更新部228が数量固定フラグを非固定状態に割り当てられた「1」と判別した場合には(ステップSF5:YES)、テンプレート更新部228が、セット組立テンプレート記憶部214においてコンテナIDに対応するk番目の器材IDの数量を取得数量に更新する(ステップSF6)。そして、テンプレート更新部228は、実行中の処理回数kが終了時の処理回数iとなるまで処理を繰り返す(ステップSF7:NO)。
【0120】
一方、実行中の処理回数kが終了時の処理回数iになった場合には(ステップSF7:YES)、次のステップSF8に進む。
【0121】
ステップSF8では、組立セット確定部229が、登録処理時の全ての識別コードに対応するID記憶部212のセットIDに、ステップSF1において組立セットに対応付けたセットIDと共通するIDを記憶させる。これにより、識別コードと、セットIDとが対応付けられ、例えば、手術後チェック工程において、手術器材の紛失があった場合に、どの種別の手術器材が紛失したかのみならず、どの識別コードが付された手術器材が紛失したかを管理できるようになる。
【0122】
そして、器材状況更新部230が、手術器材およびコンテナがセット組立工程を終了したものとして、ID記憶部212の器材状況をセット組立終了に割り当てられた「1」に更新する(ステップSF9)。以上により、登録処理および組立処理が終了する。
【0123】
以上のような本実施形態の手術器材管理端末3、手術器材管理端末用プログラム3aおよび手術器材管理システム1によれば、以下の効果を奏することができる。
1.識別コードの取得に伴う一連の作業として、識別コードの2度かざしまたは表示画面に対する所定の選択動作のみで手術器材またはコンテナに関する詳細情報にアクセスすることができ、手術器材や組立に関わる必要な処理を効率的に行うことができる。
2.2度かざし処理においてコンテナの詳細情報を表示した場合には、リセットボタンを表示させることによって、コンテナに組み立てられた手術器材のリセットを行うことができる。
3.2度かざし処理において手術器材の詳細情報を表示した場合には、削除ボタンを表示させることによって、前記手術器材を組立セットから削除することができる。
4.削除ホタンとともに修理・廃棄選択メニューを表示させることによって、手術器材を組立セットリストからの削除するとともに、削除した手術器材の修理処理または廃棄処理を連続して行うことができる。
5.長押し処理においては手術器材の詳細情報を表示した場合には、除外ボタンを表示させることによって、コンテナIDに対応する組立セットリストから前記手術器材の種別全体を除外することができる。
6.長押し処理においては手術器材の詳細情報を表示した場合には、数量固定選択ボタンを表示させることによって、組み立てられた組立セットの手術器材およびその数量を次回以降のセット組立工程における組立セットの数量に反映させることができる。
【0124】
なお、本発明に係る手術器材管理端末、手術器材管理端末用プログラムおよび手術器材管理システムは、前述した一実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、本実施形態ではセット組立工程における詳細情報の表示に関して説明したが、取揃え工程および手術後チェック工程のように各リストに基づき行う工程については、2度かざし処理または長押し処理にて詳細情報を表示させるようにしてもよい。
【0125】
また、本実施形態では、組立処理を手術器材管理サーバ2側で実行したが、
図24に示すように、前記手術器材管理サーバ2側では、識別コードに対応した器材IDまたはコンテナIDを含む組立セットリストを前記手術器材管理端末3に送信するID送信処理を実行し、前記手術器材管理端末3において前記手術器材管理サーバ2から受信した前記器材ID、前記コンテナIDおよび前記組立セットリストに基づき組立処理を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 手術器材管理システム
2 手術器材管理サーバ
2a 手術器材管理プログラム
3 手術器材管理端末
3a 手術器材管理端末用プログラム
21 サーバ記憶手段
22 サーバ演算処理手段
31 表示手段
32 入力手段
33 識別コード読取手段
34 端末記憶手段
35 端末演算処理手段
211 プログラム記憶部
212 ID記憶部
213 マスター情報記憶部
214 セット組立テンプレート記憶部
215 セットリスト記憶部
216 組立器材テーブル記憶部
217 詳細情報記憶部
221 ID取得部
222 器材種別判別部
223 セットリスト取得部
224 セットリスト送信部
225 器材ID照合部
226 組立セット更新部
227 数量固定フラグ変更部
228 テンプレート更新部
229 組立セット確定部
230 器材状況更新部
231 詳細情報取得部
232 詳細情報送信部
341 プログラム記憶部
342 識別コード記憶部
351 識別コード取得部
352 識別コード送信部
353 識別コード取得回数判別部
354 詳細情報要求部
355 表示制御部
356 器材種別判別部
357 セットリスト更新指示部
358 登録指示送信部
359 詳細情報表示部