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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】形態検査のスキル評価システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20220322BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2017101631
(22)【出願日】2017-05-23
(65)【公開番号】P2018197908
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2020-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 肇
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-075951(JP,A)
【文献】特開平07-271872(JP,A)
【文献】特開2009-157028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0019247(US,A1)
【文献】特開2004-355613(JP,A)
【文献】特開2012-122852(JP,A)
【文献】国際公開第2010/123039(WO,A1)
【文献】市村直也ほか, "顆粒球系幼若細胞分類における内部精度管理の構築と技師間差是正効果の検証",医学検査,2017年01月31日,第66巻, 第1号,P.25-32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実施する、形態検査における検査者のスキルを評価するための方法であって、
スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を取得する工程、及び
取得した前記参加者情報に対応した設問を表示する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記参加者の検査キャリアに関連する情報が、学歴、資格、検査従事期間、所定期間内の標本確認数、所定の期間内の標本作製数、所定期間内の検査従事回数、参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関の病床数、及び参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関における疾患専門診療科の有無よりなる群から選択される少なくとも一つの情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
設問に対する解答を取得し、解答の正誤を判定する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各設問に対する解答の判定結果を、設問単位で正誤を判定した結果を集計する工程、又は参加者キャリアに応じて分類された設問単位で正誤を判定した結果を集計する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記形態検査は、微生物検査、血液検査、細胞検査、一般検査、生理検査及び病理検査よりなる群から選択される少なくとも一種の分野において行われる形態検査を含み、前記設問は、各分野に応じた複数の設問を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記微生物検査の分野において行われる形態検査は、塗抹標本検査、培地上に形成されたコロニー形態観察、微生物の代謝能検査及び薬剤感受性検査よりなる群から選択される少なくとも一種を含み、
前記血液検査の分野において行われる形態検査は、末梢血塗抹標本検査及び/又は骨髄塗抹標本検査を含み、
前記細胞検査の分野において行われる形態検査は、パパニコロウ染色標本検査を含み、
前記一般検査の分野において行われる形態検査は、尿成分検査、髄液成分検査及び寄生虫検査よりなる群から選択される少なくとも一種を含み、
前記生理検査の分野において行われる形態検査は、心電図検査、超音波検査、神経生理検査及び呼吸機能検査よりなる群から選択される少なくとも一種を含み、
前記病理検査の分野において行われる形態検査は、ヘマトキシリン・エオジン染色をした組織標本検査を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記形態検査が、血液検査の分野において行われる形態検査である場合、前記参加者の検査キャリアに関連する情報が、さらに、末梢血塗抹標本検査及び骨髄塗抹標本検査よりなる群から選択される少なくとも一種の標本の作製数及び/又は前記標本の検査数を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記設問は、複数の設問ごとに各設問に対応した前記形態検査により取得された画像を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記参加者が複数である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記設問に対する解答を取得し、解答の正誤を判定する工程において、各設問に対応した正答データ群と各設問の解答とを照合し、前記解答の正誤を判定する、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記判定結果を集計する工程において、設問ごとに前記複数の参加者の解答を考慮して正誤を判定した結果を集計する、請求項4、又は請求項4を引用する請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記設問は、前記参加者の検査キャリアに関連する情報の少なくとも1つから選択される参加者情報にしたがって設問の難易度が変更される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記設問は、複数の設問群を含み、前記複数の設問群は、画像内の対象物を同定する解答を求める設問からなる設問群を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータが実施する、形態検査における検査者のスキルを評価するための方法であって、
スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を取得する工程、及び
前記参加者の検査キャリアに関連する情報の少なくとも1つから選択される参加者情報にしたがって、複数の参加者からの解答を参加者キャリアに応じた群に分類する工程、を含む、方法。
【請求項15】
参加者キャリアに応じて分類された各群における設問単位で又は設問集単位で正誤を判定した結果を集計する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータが実施する、形態検査における検査者のスキルを評価するための方法であって、
スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を取得する工程、及び
画像内の対象物を同定する解答を求める設問からなる第1の設問群と、各設問に対応する画像を取得するための試料作成条件に関連する解答を求める設問からなる第2の設問群を表示する工程、
を含む、方法。
【請求項17】
コンピュータが実施する、形態検査における検査者のスキルを評価するための方法であって、
スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を取得する工程、及び
画像内の対象物を同定する解答を求める設問からなる第1の設問群と、画像と画像情報以外の検査情報に基づいて疾患を推定する設問からなる第3の設問群を表示する工程、を含む、方法。
【請求項18】
前記参加者の検査キャリアが所定レベル以上である場合に、前記第1の設問群と、前記第3の設問群と、を含む設問集を表示する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記画像情報以外の検査情報が、形態検査以外の血液検査、生化学検査、免疫検査、特殊染色検査及び免疫染色検査よりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
形態検査における検査者のスキルを評価するための設問を提示する提示装置であって、
前記提示装置は、スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を取得し、
入力画面に入力された前記参加者情報を取得し、取得した前記参加者情報に対応した設問を参加者端末に表示させる、
提示装置。
【請求項21】
前記提示装置は、前記参加者が操作する参加者端末とネットワークを介して通信可能であり、
前記参加者情報の取得は、
前記提示装置が、前記参加者端末に、前記参加者情報を入力させるための入力画面を表示させ、前記参加者端末から入力された前記参加者情報を取得することによって行われる、
請求項20に記載の装置。
【請求項22】
形態検査における検査者のスキルを評価するためコンピュータに、
スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を取得するステップと、
取得した前記参加者情報に対応した設問を参加者端末に表示させるステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項23】
前記参加者情報を取得するステップにおいて、前記コンピュータは、ネットワークを介して前記コンピュータと通信可能な前記参加者が操作する参加者端末に前記参加者情報を入力するための入力画面を表示させ、前記参加者端末から前記入力画面に入力された前記参加者情報を取得する、請求項22に記載のコンピュータプログラム。
【請求項24】
形態検査における検査者のスキルを評価するための提示装置と、
スキル評価に参加する参加者が操作する参加者端末と、を備え、
前記参加者端末は、前記参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を前記参加者端末から入力するための入力画面を表示し、
前記提示装置は、前記入力画面に入力された前記参加者情報を取得し、取得した前記参加者情報に対応した設問を前記参加者端末に表示させる、形態検査のスキル評価システム。
【請求項25】
前記提示装置は、前記参加者により前記参加者端末から入力された各設問の解答を取得する、請求項24に記載のスキル評価システム。
【請求項26】
前記提示装置は、各設問に対応した正答データ群と各設問の前記解答とを照合し、前記解答の正誤を判定する、請求項25記載のスキル評価システム。
【請求項27】
前記提示装置は、複数の設問を含む設問集における前記参加者の成績を算出する、請求項24から26のいずれか一項に記載のスキル評価システム。
【請求項28】
前記提示装置は、複数の参加者が参加者端末から入力した各設問の解答を取得する、請求項24から27のいずれか一項に記載のスキル評価システム。
【請求項29】
前記参加者端末は、端末表示部と、端末入力部と、を備え、
前記提示装置は、ネットワークを介して前記端末表示部に前記入力画面を表示させ、
前記参加者端末は、前記端末入力部から前記入力画面に入力された前記参加者情報を前記提示装置へ送信する、
請求項24から28のいずれか一項に記載のスキル評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形態検査のスキル評価システム、スキル評価関連データを提示するための提示装置、前記提示装置がスキル評価関連データを提示するためのコンピュータプログラム及びスキル評価関連データを提示するための提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の検体や体を検査する臨床検査の分野では、医師が病気を診断するために、各臨床検査室が正確な検査結果を随時医師に提供することが要求される。この要求を満足するため、各国において、各臨床検査室の検査精度を客観的に評価する、外部コントロールサーベイ(精度管理調査)が行われている。日本では、例えば日本医師会及び日本臨床衛生検査技師会が外部コントロールサーベイを実施している。
【0003】
外部コントロールサーベイは、当初生化学検査や血球数測定検査等の測定装置を使用する検査について行われていた。しかし、近年では、末梢血塗抹標本検査、パパニコロウ染色標本検査等の形態検査も、コントロールサーベイの対象となっている。特許文献1に示すように、最近では、インターネットを使った形態学的検査のコントロールサーベイも行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】文部省科学研究費補助金 基盤研究(C)課題番号10672172 研究課題「インターネットを使って形態学的検査のコントロールサーベイを実施する研究」1999年5月8日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各臨床検査室の検査精度に関しては、国際的にも調和がなされ、臨床検査室の品質と能力に関する国際規格ISO 15189:2007が発行された。
【0006】
しかし、現在行われている外部コントロールサーベイは、各臨床検査室単位で評価が行われている。また、現在の外部コントロールサーベイは、サーベイの設問に解答してから、各臨床検査室の評価結果が知らされるまで、1ヶ月から数ヶ月を要する。このため、万が一評価結果が好ましくない場合であっても、その原因が追求されず精度が改善されないまま、数ヶ月間放置される畏れがある。
【0007】
特に、形態検査の分野では、検査の精度は、各検査者の検査に携わった期間、扱った標本枚数等の検査キャリアや検査者各人のスキルに左右される。このため、形態検査のスキルが十分でない検査者には、スキルを向上させるための教育が必要である。しかし、現在行われている外部コントロールサーベイでは、各臨床検査室単位での評価であり、検査者各人の検査の精度は評価にほとんど反映されていない。このため、現在のコントロールサーベイでは、形態検査のスキルが十分でない検査者を客観的に抽出することが困難である。
【0008】
本発明は、形態検査のコントロールサーベイにおいて、検査者各人の形態検査のスキルを評価することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の実施形態は、形態検査のスキル評価システムに関する。本実施形態に係るスキル評価システム500は、形態検査における検査者のスキルを評価するための設問160を含むスキル評価関連データ170を提示する提示装置100と、参加する参加者が操作する参加者端末200と、を備える形態検査のスキル評価システム500である。また、前記提示装置100は、参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を前記参加者端末200から入力させるための入力画面130を前記参加者端末200に表示し、前記提示装置100は、前記入力画面130に入力された前記参加者情報115を取得する。
【0010】
本形態によれば、参加者端末200の端末入力部251から入力された参加者の検査キャリアに関連する情報を考慮して、参加者ごとの形態検査のスキルを評価することができる。
【0011】
本発明の第2の実施形態は、形態検査における検査者のスキルを評価するための設問160を含むスキル評価関連データ170を提示する提示装置100に関する。また、前記提示装置100は、前記スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を取得する。
【0012】
本発明の第3の実施形態は、形態検査における検査者のスキルを評価するための設問160を含むスキル評価関連データ170を提示する提示装置100に、前記スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を取得するステップ、を実行させる、コンピュータプログラムに関する。
【0013】
本発明の第4の実施形態は、形態検査における検査者のスキルを評価するための設問160を含むスキル評価関連データ170を提示する提示方法であり、前記スキル評価関連データ170を提示する提示装置100が、前記スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を取得する工程、を含む。
【0014】
本発明の第2、第3及び第4の実施形態によれば、参加者の検査キャリアに関連する情報を考慮して、参加者の形態検査のスキルを評価することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、参加者の検査キャリアに関連する情報を考慮して、各参加者の形態検査のスキルを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1の実施形態に係る形態検査のスキル評価システムの構成を示す図である。
図2図2は、提示装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、参加者情報を入力する入力画面の一例を示す図である。
図4図4は、設問集の一例を示す図である。
図5図5は、各設問に対応する画像の一例を示す図である。
図6図6は、参加者端末の構成を示すブロック図である。
図7図7は、提示装置及び参加者端末のハードウェアの構成を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態の一例における提示装置の装置制御部と、参加者端末の端末制御部とが行う各ステップのフローチャートを示す図である。
図9図9は、第1の実施形態の他の例における提示装置の装置制御部と、参加者端末の端末制御部とが行う各ステップのフローチャートを示す図である。
図10図10は、第1の実施形態の他の例における提示装置の装置制御部が行うステップのフローチャートを示す図である。
図11図11は、第1の実施形態の他の例における提示装置の装置制御部が行うステップのフローチャートを示す図である。
図12図12は、参加者の検査キャリアに関連する情報の少なくとも1つから選択される参加者情報にしたがって、前記複数の参加者からの解答を参加者情報毎の群に分類し、集計する例を示す。
図13図13は、参加者情報に応じて異なる設問集を表示する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明における形態検査のスキル評価システム、スキル評価関連データを提示するための提示装置、スキル評価関連データを提示するためのコンピュータプログラム及びスキル評価関連データを提示するための提示方法は、以下に説明する具体的な実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明において同一の構成には、同一の符号を付す。したがって、同一符号が付された各構成についての説明は、同一符号間で共有され得る。
【0018】
本発明における、形態検査における検査者のスキルの評価は、臨床検査における検査者の検査品質(検査精度とも呼ばれる)に関する評価を行うことを意図する。前記評価は、形態検査のコントロールサーベイあるいはフォトサーベイとも呼ばれることがある。前記評価は、同一臨床検査室内で実施する、いわゆる内部コントロールサーベイとして実施することもできる。また、前記評価は、複数の独立した臨床検査室が参加する、いわゆる外部コントロールサーベイとして実施することもできる。好ましくは、前記評価は外部コントロールサーベイとして実施される。
【0019】
また、本発明における前記評価には、参加者が勤務先、自宅等から個別に参加してもよい。また、別の実施形態として、前記評価は、複数の参加者が少なくとも1箇所の会場に集まり、その会場内で前記評価に参加する、いわゆる集合研修の形態で実施されてもよい。
【0020】
本発明における「形態検査」は、人の目による直接観察又は顕微鏡等を使用した間接的な観察によって行われる検査である限り制限されない。例えば、本発明における形態検査は、微生物検査、血液検査、細胞検査(細胞診検査)、一般検査、生理検査及び病理検査よりなる群から選択される少なくとも一種の分野において行われる形態検査を含む。
【0021】
形態検査の具体的な例として、微生物検査の分野において行われる形態検査として、例えば塗抹標本検査、培地上に形成されたコロニー形態観察、微生物の代謝能検査及び薬剤感受性検査よりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。前記微生物には、細菌、真菌、スピロヘータ及び原虫等が含まれる。塗抹標本は、メチレンブルーによる単染色又はグラム染色標本の他、チール・ネルゼン染色及びオーラミン染色等の抗酸菌染色、ナイセル染色等の異染小体染色、メラー染色等の芽胞染色、ヒス染色等の莢膜染色、墨汁染色及びフォンタナの鍍銀染色等スピロヘータ染色等が施された標本を含んでいてもよい。また、前記培地は、血液寒天培地、チョコレート寒天培地及びBTB寒天培地等よりなる群から選択される少なくとも一種の非選択培地の他、SS寒天培地、TCBS寒天培地、Staphylococcus培地No.110亜テルル酸塩加培地、NAC寒天培地等の選択培地を含んでいてもよい。さらに、微生物検査は、抗血清を用いた菌体抗原又は鞭毛抗原の同定検査を含んでいてもよい。
【0022】
血液検査の分野において行われる形態検査として、例えば末梢血塗抹標本検査及び骨髄塗抹標本検査よりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。また、前記塗抹標本は、通常細胞の形態観察を行うためのギムザ染色、ライト染色、ライト・ギムザ染色、又はメイ・ギムザ染色を施した標本の他、PAS(Periodic acid-Schif)染色、ペルオキシダーゼ染色、エラスターゼ染色、鉄染色又は免疫染色を施された標本の一種以上を含んでいてもよい。また、血液検査は、電気抵抗法による赤血球粒度分布、フローサイトメータによる細胞分布検査(ヒストグラム及びスキャタグラムを含む)、細胞表面マーカ解析検査又はDNA量解析検査を含んでいてもよい。さらに、血液検査の分野において行われる形態検査には、染色体検査、FISH(fluorescence in situ hybridization)検査等を含んでいてもよい。
【0023】
細胞検査の分野において行われる形態検査としては、例えばパパニコロウ染色標本検査を挙げることができる。細胞検査は、パパニコロウ染色標本検査に加え、PAS染色、アルシアンブルー染色、鉄染色又は免疫染色を用いる染色検査から選択される一種以上の標本検査を含んでいてもよい。
【0024】
一般検査の分野において行われる形態検査としては、尿成分検査、髄液成分検査及び寄生虫検査よりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。前記尿成分検査には、尿沈渣検査が含まれる。前記尿沈渣は、通常顕微鏡で観察されうる細胞成分(扁平上皮細胞、移行上皮細胞、赤血球、白血球、マクロファージ等)、結晶(リン酸カルシウム、リン酸アンモニウムマグネシウム、シュウ酸カルシウム、アミノ酸、コレステロール等)、粘液、真菌、細菌、原虫、寄生虫等が含まれる。髄液成分検査には、髄液に出現する細胞の検査が含まれる。前記細胞の検査には、メイ・ギムザ染色標本検査が含まれる。寄生虫検査には、糞便中の寄生虫検査及び寄生虫卵検査が含まれる。寄生虫検査は、目視又は寄生虫卵検査法は、直接塗抹法、集卵法又は孵化培養法により行うことができる。
【0025】
生理検査の分野において行われる形態検査としては、心電図検査、超音波検査、神経生理検査及び呼吸機能検査よりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。心電図には、少なくとも単極胸部誘導(V~V)が含まれる。さらに心電図には、標準肢誘導及び単極肢誘導等を含んでいてもよい。超音波検査には、心臓及び腹部等の超音波検査が含まれる。心臓超音波検査には、長軸及び短軸の断層心エコー検査の他、Mモードエコー検査及び/又はカラードプラー検査を含んでいてもよい。神経生理検査には、脳波検査、筋電図検査等が含まれる。呼吸機能検査には、スパイロメトリーを含む。
【0026】
病理検査において行われる形態検査としては、ヘマトキシリン・エオジン染色をした組織標本検査を挙げることができる。また、病理検査において行われる形態検査には、免疫染色及びPAS染色等の特殊染色検査を含んでいてもよい。
【0027】
本発明において、「検査者」は、臨床検査に従事するための資格を有している者であっても、資格を有していない者であってもよい。好ましくは、資格を有している者である。資格としては、医師、臨床検査技師、衛生検査技師、細胞検査士等を挙げることができる。また、検査者は、好ましくは臨床検査室で検査業務に従事している者である。
【0028】
ここで、臨床検査室には、病院又は診療センター等内部に設けられている臨床検査部門及び衛生検査部門、並びに臨床検査の院外受託機関である検査会社又は検査センター等の検査部門が含まれる。また、病院等に臨床検査部門等として専門機関が設けられていない場合等においては、臨床検査室を臨床検査担当者と読み替えてもよい。
【0029】
[1.形態検査のスキル評価システム]
(1)形態検査のスキル評価システムの概要
本発明の第1の実施形態の概要を、図1を使って説明する。図1は、形態検査のスキル評価システム500の概略図である。以下において、「形態検査のスキル評価システム」を単に「スキル評価システム」又は「システム」と称することもある。また、「形態検査のスキル評価」を単に「スキル評価」と称することもある。システム500は、提示装置100と、参加者端末200と、を備える。提示装置100と参加者端末200は、ネットワークを介して通信可能である。提示装置100は、記参加者端末200に例えばメールで、スキル評価関連データ170にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を送信し、参加者は、参加者端末200から、URLを入力することにより又はURLに紐付けられたリンク先を開き、提示装置100にアクセスする。提示装置100は、参加者端末200からのアクセスを受け付け、参加者端末200の端末表示部250にスキル評価において求められる参加者情報の入力画面130を表示する。また、提示装置100は、設問160を、参加者端末200の端末表示部250に表示する。さらに、提示装置100は、参加者端末200に設問に対する解答の成績に関連する情報(以下、「解答成績に関連する情報」と称することもある)120等のスキル評価関連データ170を提示する。参加者によって、参加者端末200から参加者情報の入力、及び設問に対する解答の入力が行われる。さらに、参加者端末200からは、解答成績に関連する情報を閲覧又はダウンロードすることができる。
以下に、システム500に含まれる各構成について詳細に説明する。
【0030】
(2)提示装置の構成
図1及び図2に示すように、提示装置100は、少なくとも装置制御部111を備える。また、図1及び図2に示すように、提示装置100は、装置通信部112と、装置記憶部113と、を備える。さらに、提示装置100は、図2に示すように、装置表示部150及び装置入力部151と、を備えていてもよいが、これらの構成は任意である。提示装置100は、パーソナルコンピュータであってもよい。提示装置100は、いわゆるサーバとしての役割を有し、装置制御部111は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-processing unit)であり、例えば、Linux(登録商標)、UNIX(登録商標)、マイクロソフト ウインドウズ サーバ(登録商標)等のサーバ オペレーティングシステム(Operating System:OS)を使って提示装置100を制御する。
【0031】
装置通信部112は、後述する参加者端末200の端末通信部212とネットワークを介して通信可能である。装置通信部112は、ネットワークインタフェースコントローラ(Network interface controller:NIC)等である。
【0032】
装置記憶部113は、装置主記憶部140及び装置補助記憶部141を備える。装置主記憶部140は、揮発性の記憶部であり、具体的には装置制御部111の作業領域となるメモリである。例えば、メモリは、RAM(Random access memory)から構成される。装置補助記憶部141は、提示装置100で使用されるアプリケーションソフト、参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を参加者端末200から入力させるための入力画面130の情報、設問160、各設問に対応した正答データ群119、参加者が参加者端末200から入力した参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115、各設問に対する参加者の解答121、設問に対する解答の成績に関連する情報120等を不揮発性に記憶する。また、装置補助記憶部141は、必要に応じてメモリとして機能する。装置補助記憶部141は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等によって構成される。
【0033】
装置記憶部113に記憶される参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を参加者端末200から入力させるための入力画面130の情報は、参加者端末200の端末表示部251に表示される入力画面130の情報である。図3に、入力画面の一例を示す。
【0034】
参加者情報115は、例えば、学歴、資格、検査従事期間、所定期間内の標本確認数、所定期間内の検査従事回数、参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関の病床数、及び参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関における疾患専門診療科の有無よりなる群から選択される少なくとも一つの参加者の検査キャリアに関連する情報を含む。また、形態検査が血液検査である場合には、末梢血塗抹標本検査及び骨髄塗抹標本検査よりなる群から選択される少なくとも一種の標本の作製数及び/又は標本の検査数を参加者情報に含めてもよい。標本の作製数及び標本の検査数は、例えば1日あたりの平均値として表してもよい。
【0035】
また、参加者情報115は、参加者の氏名、参加者が所属している医療機関名、形態検査のための標本作製方法に関する情報を含んでいてもよい。標本作製方法に関する情報とは、例えば形態検査が血液検査である場合には、末梢血塗抹標本及び/又は骨髄塗抹標本作製時の染色液のpH、染色液の種類等を挙げることができる。標本作製方法に関する情報は、例えば、スキル評価において誤答があった際に、誤答の原因を調査する手がかりとすることができる。
【0036】
学歴は、例えば医師になるための課程、薬剤師になるための課程、臨床検査技師になるための課程及び衛生検査技師になるための課程のいずれを修了しているかの情報である。また、学歴は、専門学校卒業、短期大学卒業、学士、修士及び博士等のいずれであるかの情報であってもよい。
資格は、例えば医師、薬剤師、臨床検査技師及び衛生検査技師のいずれであるかの情報である。
学歴や資格に関する情報は、スキル評価において、参加者が受けてきた教育内容を把握する上で有用である。
【0037】
検査従事期間は、参加者が実際に検査業務に従事していた期間であり、好ましくは、参加者が参加しているスキル評価の形態検査に従事していた期間である。
【0038】
所定期間内の標本確認数は、例えば、参加者が1日あたり、1週間あたり、又は1ヶ月あたりに確認している標本の数である。前記標本確認数は平均値であってもよい。
【0039】
所定期間内の標本作製数は、例えば、参加者が1日あたり、1週間あたり、又は1ヶ月あたりに作製している標本の数である。前記標本作製数は平均値であってもよい。
【0040】
所定期間内の検査従事回数は、例えば所定の期間を1ヶ月とした場合、1ヶ月間の営業日数(参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関の営業日数)において、参加者が参加しているスキル評価の形態検査に従事した日数として表すことができる。
検査従事期間及び所定期間内の検査従事回数は、参加者の形態検査における熟練度を知る上で有用である。
【0041】
参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関の病床数は、臨床検査室が病院又は診療センター等の医療機関にある場合には、医療機関の病床数は、病院や診療センターの病床数とすることができる。臨床検査室が検査センター等の検査受託機関である場合には、当該検査センターが検査を受託している医療機関の病床数の合計としてもよい。
【0042】
参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関における疾患専門診療科の有無は、例えば、スキル調査が血液検査の形態検査である場合には血液内科の有無を意図する。例えば、スキル調査が生理検査の心電図検査及び/又は心臓超音波検査である場合には、循環器外科及び/又は循環器内科の有無を意図する。
【0043】
参加者が所属する臨床検査室が検査を担う医療機関の病床数及び医療機関における疾患専門診療科の有無に関する情報は、参加者の形態検査の熟練度及び参加者の臨床検査室着任後の形態検査の学習機会の有無を知る上で重要である。
【0044】
装置記憶部113は、参加者端末200の端末入力部251から入力された参加者情報115を記憶する。
【0045】
また、装置記憶部113は、スキル評価関連データ170を記憶する。スキル評価関連データ170には、形態検査における検査者のスキルを評価するための設問160が含まれる。
【0046】
装置記憶部113に記憶される設問160は、1又は複数の設問であり、好ましくは複数の設問を含む設問集である。1つの設問集に、複数の形態検査の分野に係る設問が含まれていてもよいが、好ましくは1つの設問集は各形態検査の分野ごとに作製される。各設問は、形態検査において取得された画像に基づいて解答を求める設問であり、スキル評価の対象となる形態検査における検査者のスキルを評価できる内容である限り、制限されない。各設問は、設問文と、設問に対応する画像とで構成されるが、設問文と画像は端末表示部250に同時に表示されても、別々に表示されてもよい。図4に設問集の例を示す。図5は、設問集の各設問に対応した画像を示す。例えば図4の各設問の選択肢横に表示されている「P」をクリックすると、設問に対応する画像が表示されるようにしてもよい。1つの設問に対応する画像は、1つであっても複数であってもよい。
【0047】
また、複数の設問の少なくとも一つは、設問に対応する画像を取得するための試料作成条件に関連する解答を求める設問であってもよい。さらに、複数の設問の少なくとも一つは、画像と画像情報以外の検査情報に基づいて疾患を推定する設問であってもよい。画像情報以外の検査情報は、疾患を推定するために必要な情報である限り制限されない。例えば、形態検査以外の血液検査、生化学検査、免疫検査、特殊染色検査及び免疫染色検査よりなる群から選択される少なくとも一種である。形態検査以外の血液検査には、例えば、赤血球数、白血球数、血小板数、白血球5分画あるいは3分画、赤血球恒数(MCV:平均赤血球容積、MCH:平均赤血球ヘモグロビン量、MCHC:平均赤血球ヘモグロビン濃度)、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値よりなる群から選択される少なくとも一種の項目が含まれる。生化学検査には、例えば総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ:GOT)、ALT(アラニン・アミノトランスフェラーゼ:GPT)、LD(乳酸脱水素酵素:LDH)、ALP(アルカリフォスファターゼ)、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、CK(クレアチンフォスフォキナーゼ:CPK)、LAP(ロイシンアミノペプチターゼ)、γ-GT(γグルタミルトランスペプチダーゼ:γ-GTP)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Cl(クロール)、Ca(カルシウム)、無機リン、Mg(マグネシウム)、血清鉄、トランスフェリン、血清フェリチン、尿素窒素、尿酸、クレアチニン、総コレステロール、中性脂肪、高比重リポ蛋白(HDL)-コレステロール、低比重リポ蛋白(LDL)-コレステロール、CRP(C反応性タンパク)、空腹時血糖及びヘモグロビンA1cよりなる群から選択される少なくとも一種の項目を含む。免疫検査には、例えばRF(リウマチ因子)、抗核抗体、サイロイドテスト、ミクロゾームテスト、クームス試験、IgM型ヘモアグルチニン(HA)抗体、C型肝炎(HCV)抗体、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体、HBs抗原、HBc抗体、HBc抗原、HBs抗体、IgM型HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、DNAポリメラーゼ・HBV-DNA、ポリアルブミン・レセプタープレS抗原、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)、TPHA(T.pallidum hemagglutination)/RPR(rapid plasma reagin test)、ASO(抗ストレプトリジンO抗体)及び、ASK(抗ストレプトキナーゼ抗体)及びIgEより選択される少なくとも一種の項目が含まれる。
【0048】
疾患を推定する設問の一例として、疾患が鉄欠乏性貧血である場合には、設問に対応した画像として末梢血塗抹標本における赤血球像と、電気抵抗法による赤血球粒度分布とを含み、画像情報以外の検査情報として、赤血球数と、ヘモグロビン濃度と、ヘマトクリット値と、赤血球平均恒数と、網状赤血球数と、血清鉄濃度と、血清フェリチン濃度、総合鉄結合能(トランスフェリン)(TIBC:total iron binding capacity)評価値及び不飽和鉄結合能(UIBC:unsaturated iron binding capacity)評価値と、を含んでいてもよい。
【0049】
また、装置記憶部113には、複数の設問集が記憶されていてもよく、この場合、各設問集間で設問の難易度が異なっていてもよい。
【0050】
さらに、設問集は、複数の設問群を含み、各設問群が1又は複数の設問を含んでいてもよい。例えば、複数の設問群の例として、第1の設問群161は、少なくとも画像内の対象物を同定する解答を求める1又は複数の設問を含む。第2の設問群162は、各設問に対応する画像を取得するための試料作成条件(例えば、図4においては末梢血塗抹標本の作製方法及び染色方法)に関連する解答を求める1又は複数の設問を含む。また、第3の設問群163は、画像と画像情報以外の検査情報に基づいて疾患を同定する1又は複数の設問を含む。
【0051】
ここで、各設問集には、装置制御部111が、端末表示部250にどの設問集を表示したかを認識し、解答121と、解答の正誤を判定するために使用される正答データ群119とを照合することができるように、第1のID(例えば、設問集番号)が付されている。また、各設問集に含まれる各設問にも第2のID(例えば、設問番号)が付されている。正答データ群119にも、対応する設問集と同じ第1のIDが付されており、正答データ群119に含まれる各設問の正答にも、対応する各設問と同じ第2のIDが付されている。各設問の解答と各正答は、第1のIDと第2のIDをキーとして照合される。
【0052】
さらに、スキル評価関連データ170には、解答成績に関連する情報120が含まれる。装置記憶部113に記憶される解答成績に関連する情報120には、参加者各人の設問集に含まれる1又は複数の設問に対する解答121の成績122、及び成績122の集計結果等が含まれる。
【0053】
成績122には、1つの設問集における参加者の各設問に対する解答121それぞれについて正誤を判定した結果が含まれる。また、判定結果に加え、1つの設問集における参加者の正答率又は誤答率を含んでいてもよい。
【0054】
また、参加者が複数いる場合には、1つの設問集における参加者各人の各設問に対する解答121それぞれについて正誤を判定した結果が含まれる。また、判定結果に加え、1つの設問集における参加者各人の正答率又は誤答率を含んでいてもよい。
さらに参加者が複数いる場合には、複数の参加者の成績122を集計し、その集計結果を装置記憶部113が記憶してもよい。
【0055】
装置表示部150は、提示装置100に記憶している入力画面130、参加者情報115及び解答成績に関連する情報120の閲覧時に使用される任意の構成である。装置表示部150は、例えばディスプレイ等であり、提示装置100の外部から接続されても、提示装置100と一体となっていてもよい。
【0056】
装置入力部151は、提示装置100に文字入力又は音声入力が必要になった際に使用される任意の構成である。装置入力部151は、提示装置100の外部から接続されても、装置表示部150と一体となっていてもよい。装置入力部151の具体例としては、タッチパネル、キーボード、マウス、ペンタブレット、マイク等を挙げることができる。
【0057】
(3)参加者端末の構成
図1及び図6に示すように、参加者端末200は、少なくとも端末制御部211と、端末表示部250と、端末入力部251と、を備える。また、参加者端末200は、図6に示すように、端末通信部212と、端末記憶部213と、を備える。参加者端末200は、パーソナルコンピュータであってもよく、スマートフォンやタブレット型端末等の携帯情報端末であってもよい。端末制御部211は、CPU又はMPUであり、それぞれの端末に応じたオペレーティングシステム(OS)を使って、参加者端末200を制御する。
【0058】
端末通信部212は、上述の提示装置100の装置通信部212とネットワークを介して通信可能である。端末通信部は、ネットワークインタフェースコントローラ等である。
【0059】
端末記憶部213は、端末主記憶部240及び端末補助記憶部241を備える。端末主記憶部240は、揮発性の記憶部であり、具体的には端末制御部211の作業領域となるメモリである。例えば、メモリは、RAMから構成される。端末補助記憶部241は、参加者端末200で使用されるアプリケーションソフト等を不揮発性に記憶する。また、端末補助記憶部241は、必要に応じてメモリとして機能する。端末補助記憶部241は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等によって構成される。
【0060】
端末表示部250は、提示装置100によって表示される入力画面130、設問160等を表示する。装置表示部250は、例えば液晶ディスプレイ等であり、参加者端末200の外部から接続されても、参加者端末200と一体となっていてもよい。
【0061】
端末入力部251は、参加者端末200に文字入力又は音声入力を行う。端末入力部251は、参加者端末200の外部から接続されても、参加者端末200と一体となっていてもよい。また、端末入力部251はディスプレイと一体となっていてもよい。端末入力部251の具体例としては、タッチパネル、キーボード、マウス、ペンタブレット、マイク等を挙げることができる。
【0062】
(4)ハードウェアの構成
提示装置100及び参加者端末200は、図7に示すようなハードウェア構成によって実現される。図7は、ハードウェア構成の一例である。ハードウェアは、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末でありうる。提示装置100及び参加者端末200は、CPU111、112;主記憶部140、240;ROM(read only memory)301;補助記憶部141、142;通信I/F(interface)303;入力I/F304;出力I/F304;メディアI/F306;バス302を備える。
【0063】
CPU111、112は、ROM301及び補助記憶部141、142に記憶されたプログラムに基づいて、各部を制御する。CPU111、112はMPU111、112としてもよい。
【0064】
ROM301は、提示装置100及び参加者端末200の起動時に、CPU111、112によって実行されるブートプログラムや提示装置100及び参加者端末200のハードウェアの動作に関連するプログラムや設定を記憶する。
【0065】
主記憶部140、240は、RAMから構成され、入力部151、251から受け付けた情報を揮発性に記憶する。補助記憶部141、142はアプリケーションソフトや、提示装置100及び参加者端末200の動作中に入力又は生成される情報を不揮発性に記憶する(不揮発性の記憶は、「記録」ともいう)。
【0066】
通信I/F303は、装置通信部112及び端末通信部212に相当する。通信I/F303は、外部機器からの情報を受信し、また提示装置100及び参加者端末200が保存又は生成する情報を外部に送信又は表示する。
【0067】
入力I/F304は、装置入力部151及び端末入力部251からの文字入力、クリック、音声入力等を受け付ける。受け付けた入力内容は、主記憶部140、240又は補助記憶部141、142に記憶される。
【0068】
出力I/F304は、CPU111、112が生成した情報を表示部150、250に出力する。出力I/F304は、CPU111、112が生成し、補助記憶部141、142に記憶した情報を、表示部150、250に出力する。ここで表示部150、250は、ディスプレイ又はプロジェクタであってもよいが、プリンターであってもよい。
【0069】
メディアI/F306は、記憶媒体307に記憶された例えばアプリケーションソフト等を読み出す。読み出されたアプリケーションソフト等は、主記憶部140、240又は補助記憶部141、142に記憶される。また、メディアI/F306は、CPU111、112が生成した情報を記憶媒体307に書き込む。メディアI/F306は、CPU111、112が生成し、補助記憶部141、142に記憶した情報を、記憶媒体307に書き込む。
CPU111、112による各ハードウェア構成の制御は、バス302によって各ハードウェア構成に伝達される。
【0070】
(5)スキル評価システムの動作
次に、図8を用いて、第1の実施形態における形態検査のスキル評価システムの動作の例を説明する。
初めに、スキル評価への参加を希望する参加希望者は、形態検査のスキル評価を実施する機関(以下、「スキル評価実施機関」と称する)に、形態検査のスキル評価に参加するための申し込みを行う。申し込みは、電子メール、インターネット、宅配又は郵送等の通信手段によって行うことができる。参加希望者は、例えば、申し込みの際に、参加希望者への連絡先として、自己の、又は勤務先等のメールアドレスをスキル評価の通使用メールアドレスとしてスキル評価実施機関に伝える。また、複数の形態検査の分野についてスキル評価が実施される場合には、参加希望者は、申し込む形態検査の分野を選択することができる。なお、本発明において、実際にスキル評価に参加を申し込んだ者を、参加者と称する。
【0071】
スキル評価実施機関は、装置入力部151から通信用メールアドレスを入力し、装置制御部111は、装置入力部151から入力された参加者のメールアドレスを装置記憶部113に記憶する。あるいは、参加希望者がスキル評価への参加申し込みを、電子メール又はインターネット経由で行った場合には、装置制御部111は、電子メール又はインターネットからの入力情報に含まれる参加者の通信用メールアドレスを装置制御部111が検出し、装置記憶部113に記憶してもよい。
【0072】
次に装置制御部111は、装置通信部112を介して、1又は複数の参加者に参加者情報115を入力する入力画面130にアクセスするためのURLを、電子メールで参加者端末200に送信する(ステップS11)。
【0073】
端末制御部211は、参加者端末200の端末通信部212を介して受信された電子メール画面を端末表示部250に表示し、電子メール画面に記載のURLへのアクセスを端末入力部251から受け付ける。URLへのアクセスは、参加者がURLに紐付けられているリンクに対してリンク先に保存されている入力画面130を表示するよう端末入力部を操作することにより行われる(ステップS12)。
【0074】
また、集合研修の場合には、前記ステップS11及びS12に代えて、集合研修の会場にて、参加者にプロジェクタや紙媒体を使って上記URLを提示し、端末制御部211は、参加者によって端末入力部251からされる前記URLへアクセスしてもよい。
【0075】
端末制御部211は、端末記憶部213に記憶されているブラウザソフト、ビューアソフト等を制御して、装置制御部111が表示する入力画面130を端末表示部250に表示する(ステップS13)。
【0076】
端末制御部211は、端末表示部250に表示された入力画面130上に、参加者によって端末入力部251から入力される参加者情報115を端末記憶部213に記憶する。そして、参加者によって端末入力部251から入力される送信指示(例えば、図3では、「次へ」のボタンのクリック)にしたがって、端末制御部211は参加者情報を装置通信部112へ送信する(ステップS14)。
【0077】
装置制御部111は、装置通信部112が受信した参加者情報115を取得し、装置記憶部113へ記憶する(ステップS15)。
【0078】
続いて、装置制御部111は、装置記憶部113に記憶されている設問160を端末表示部250に表示する。端末制御部211は、ブラウザソフト又はビューアソフト等を使って端末表示部250に設問160を表示する(ステップS16)。
【0079】
次に端末制御部211は、端末入力部251から参加者による各設問に対する解答の入力を受け付け、参加者によって端末入力部251から入力される各設問に対する解答を端末記憶部213に記憶する。そして、参加者によって端末入力部251から入力される送信指示(例えば、図4では、「完了」のボタンのクリック)にしたがって、端末制御部211は各設問に対する解答を装置通信部112へ送信する(ステップS17)。
【0080】
装置制御部111は、装置通信部112が受信した各設問に対する解答を取得し、装置記憶部113へ記憶する(ステップS18)。
【0081】
装置制御部111は、装置記憶部113に記憶されている、端末表示部250に表示させた設問160に対応する正答データ群119を、第1のIDをキーとして読み出す。続いて、第2のIDをキーとして、各設問の解答と各正答を照合する。例えば図4に示す設問集は、解答形式が5者択一である。このような場合、正答データ群119には、各設問に対する正答の行番号が記憶されている。装置制御部111は、参加者が解答として選択した行番号(具体的には、所定の箇所をクリックし、選択した行番号に端末入力部251を使ってマークをつける)を、第1のID及び第2のIDをキーとして正答データと照合し、両者の行番号が一致している場合に、装置制御部111は、参加者の解答が正答であると判定することができる(ステップS19)。
【0082】
装置制御部111は、ステップS19において各設問の解答について行った正誤の判定結果を記憶する(ステップS20)。
【0083】
装置制御部111は、ステップS20で記憶された判定結果に基づいて、設問集における参加者の成績121を算出する。成績121は、例えば、1つの設問集における正答率又は誤答率である。算出結果は、装置記憶部113に記憶される。成績121の算出は、装置制御部111が装置記憶部113に、解答を記憶した直後から行うことができる(ステップS21)。このため、参加者は、設問集への解答を修了したすぐ後に、参加者自身の成績を知ることができる。また、集合研修の場合には、参加者は研修指導者からその場で設問及び正答に関する解説を受けることができる。
【0084】
成績121は、参加者からの求めに応じて、参加者端末200にダウンロードする及び/又は端末表示部250に表示させることができる。具体的には、装置記憶部111は、端末制御部211は端末入力部251から、成績121をダウンロードする及び/又は表示するための要求を受け付ける。端末制御部211は、端末通信部212から装置通信部112へ要求を送信する(ステップS22)。
【0085】
装置制御部111は、装置通信部112が受信した要求を取得し、成績121を送信又は表示するための準備をする。具体的には、装置制御部111は、装置記憶部113に記憶された成績121を例えば、CSVファイル等に変換し、ダウンロード可能なデータを作成する。あるいは、装置制御部111は、装置記憶部113に記憶された成績121を例えば、html形式、mht形式、PDFファイル等に変換し、端末表示部250に表示可能なデータを作成する(ステップS23)。
【0086】
端末制御部211は、端末入力部251より参加者が入力した要求に従って、成績をダウンロードするか、端末表示部250に成績を表示する(ステップS24)。
【0087】
次に、図9及び図10を用いて、第1の実施形態の別形態について説明する。
本形態は、複数の参加者から設問集についての解答を得て、その成績を算出する。ステップS11からステップS17までは、図8と同様である。
【0088】
本形態では、図8のステップS17の後、装置制御部111は、装置通信部112で受信した、複数の参加者からの同じ設問集についての各設問に対する解答を参加者毎に取得し、装置記憶部113へ記憶する(ステップS111)。
【0089】
装置制御部111は、装置記憶部113に記憶されている、端末表示部250に表示させた設問集に対応する正答データ群119を、第1のIDをキーとして読み出す。続いて、第2のIDをキーとして、参加者毎に各設問の解答と各正答を照合する。解答の正誤の判定方法は、ステップS19に準ずる(ステップS112)。
【0090】
装置制御部111は、ステップS112において各設問の解答について行った正誤の判定結果を記憶する(ステップS113)。
【0091】
装置制御部111は、ステップS113で記憶された判定結果について、設問集における設問毎に複数の参加者の判定結果を集計する(ステップS114)。集計は、例えば、1つの設問における正答率の平均値、標準偏差(SD:standard deviation;1SD、2SD及び3SDを含む)及び変動係数(CV:coefficient of variation)の算出である。これらの集計は、公知のプログラムを使って行うことができる。
【0092】
集計結果は、装置記憶部113に記憶される。集計の算出は、装置制御部111が装置記憶部113に各参加者からの解答を記憶した直後から、リアルタイムで行うことができる。このため、特に集合研修の場合には、研修指導者が、その場で正答率が低かった設問について重点的に解説を行うことができる。
【0093】
集計結果は、参加者各人からの求めに応じて、複数の参加者端末200にダウンロードする及び/又は端末表示部250に表示させることができる。具体的には、装置記憶部111は、端末制御部211は端末入力部251から、集計結果をダウンロードする及び/又は表示するための要求を受け付ける。端末制御部211は、端末通信部212から装置通信部112へ要求を送信する(ステップS115)。
【0094】
装置制御部111は、装置通信部112が受信した要求を取得し、成績121を送信又は表示するための準備を行う。具体的には、装置制御部111は、装置記憶部113に記憶された成績121を例えば、CSVファイル等に変換し、ダウンロード可能なデータを作成する。あるいは、記装置制御部111は、装置記憶部113に記憶された集計結果を例えば、html形式、mht形式、PDFファイル等に変換し、端末表示部250に表示可能なデータを作成する(ステップS116)。
【0095】
端末制御部211は、端末入力部251より参加者が入力した要求に従って、集計をダウンロードするか、端末表示部250に成績を表示する(ステップS117)。
【0096】
さらに第1の実施形態の別の形態は、上記した図9のステップS114に代えて、図10に示すステップS211及びステップS212を行う。
【0097】
具体的には、装置制御部111は、各参加者が入力した、検査キャリアに関連する情報の少なくとも1つの参加者情報にしたがって、各設問の判定結果を参加者のキャリアに応じた群に分類する(ステップS211)。
【0098】
次にキャリアに応じて分類された各群について、装置制御部111は、ステップS113で記憶された判定結果について、設問集における設問単位で、又は設問集単位で複数の参加者の判定結果を集計する(ステップS212)。集計は、例えば、1つの設問における正答率の平均値、標準偏差(SD:standard deviation;1SD、2SD及び3SDを含む)及び変動係数(CV:coefficient of variation)の算出である。これらの集計は、公知のプログラムを使って行うことができる。集計結果は、装置記憶部113に記憶される。ステップS212は、ステップS115に続く。
【0099】
図12には、検査キャリアに関連する情報(参加者情報)を検査従事期間として従事期間5年を基準にグループ1とグループ2に分け、集計する例を示す。
【0100】
集計の算出は、装置制御部111が装置記憶部113に各参加者からの解答を記憶した直後から、リアルタイムで行うことができる。このため、特に集合研修の場合には、研修指導者が、その場で正答率が低かった設問について重点的に解説を行うことができる。また、参加者のキャリアに応じた群に分類し、判定結果を集計することで、各参加者のスキルに応じた教育を行うことができる。
【0101】
さらにまた、第1の実施形態の別の形態は、上記した図8のステップS16に代えて、図11に示すステップS311~S313を行う。本形態では、図8のステップS15において、装置制御部111が、装置通信部112から取得した参加者情報に含まれる、参加者の検査キャリアに関連する情報から選択される少なくとも一種から、参加者のキャリアが所定レベル以上であるか否かを判断する(ステップS311)。
【0102】
参加者のキャリアが所定レベル以上である場合(ステップS311が「YES」の場合)には、装置制御部111は、装置記憶部113に記憶されている第1の設問群と第3の設問群を含む設問集を端末表示部250に表示する。端末制御部211は、例えば、ブラウザソフト又はビューアソフトを使って端末表示部250に設問集を表示する(ステップS312)。
【0103】
参加者のキャリアが所定レベルに達していない場合(ステップS311が「NO」の場合)には、装置制御部111は、装置記憶部113に記憶されている第1の設問群161からなる設問集を端末表示部250に表示する。端末制御部211は、例えばブラウザソフト又はビューアソフトを使って端末表示部250に設問集を表示する(ステップS313)。
【0104】
装置制御部111による参加者のキャリアと、前記キャリアに応じた設問集の選択は、例えば、次のように行うことができる。参加者のキャリアは、図13に示すように、参加者の検査キャリアに関連する情報から選択される少なくとも一種が学歴である場合、最終学歴が学士あるいは専門学校卒の参加者についてはキャリアをレベル1、最終学歴が修士又は博士である参加者についてはキャリアをレベル2と判定するというルールを装置記憶部113に記憶しておく。また、参加者の検査キャリアに関連する情報から選択される少なくとも一種が検査従事期間である場合、例えば検査従事期間が5年未満の参加者についてはキャリアをレベル1、検査従事期間が5年以上である参加者についてはキャリアをレベル2と判定するというルールを装置記憶部113に記憶しておく。さらに、参加者の検査キャリアに関連する情報から選択される少なくとも一種が所定期間内の標本確認数である場合、例えば標本確認数が1日に10枚以下の参加者についてはキャリアをレベル1、標本確認数が1日に11枚以上の参加者についてはキャリアをレベル2と判定するというルールを装置記憶部113に記憶しておく。一方、第1の設問群161からなる設問集にはレベル1のキーを、第1の設問群161及び第3の設問群163を含む設問集にはレベル2のキーを付しておく。装置制御部111が、レベルの数字をキーとして、参加者のキャリアと設問集を照合し、参加者のレベル、すなわちキャリアに応じた設問集を、端末表示部250に表示する。
【0105】
本形態において、ステップS312及びステップS313の後は、図8のステップS17に続き、ステップS17の後は、ステップS18又は図9のステップS111に続く。さらにステップS111に進んだ場合には、ステップS114に代えて、図10のステップS211及びステップS212を行ってもよい。
【0106】
(6)スキル評価システムの動作の変形例
スキル評価実施機関は、通信用メールアドレスを含む参加者情報115を紙媒体で入手し、装置制御部111は、その内容を装置入力部251からの入力によって取得し、装置記憶部113に記憶してもよい。
【0107】
ステップS17における参加者端末200における解答の入力方法は、装置制御部111が各設問に対応する解答を取得できる限り制限されない。例えば、図4のように選択肢の横にチェック欄を設けてもよく、また、選択肢の番号を入力してもよい。端末制御部211は、端末入力部251から、チェック欄へのクリック(又は、タップ)、解答欄へのテキスト入力により解答を受け付ける。また、音声入力によって解答を受け付けてもよい。
【0108】
また、設問の内容は、スキル調査を実施する国の風土病に関連する内容であってもよく、国毎に設問の内容が異なっていてもよい。さらにスキル調査を実施する国の検査者のスキルに応じて、第1の設問群のみからなる設問集を提示するか、第1の設問群及び第3の設問群を含む設問集を提示するか選択してもよい。
【0109】
第1の設問群のみからなる設問集は、設問の難易度が低い(易しい)設問集に置き換えることもできる。第1の設問群及び第3の設問群を含む設問集は、設問の難易度が高い(難しい)設問集に置き換えることができる。
【0110】
参加者の検査キャリアに関連する情報に応じてレベルを判定する場合の判定基準、及び各設問の判定結果を参加者のキャリアに応じた群に分類する場合の判定基準は、任意に定めることができる。また、前記判定基準は、各国で異なる基準を定めてもよい。例えば、参加者の検査キャリアに関連する情報が所定期間内の標本確認枚数である場合、1日あたりの確認数の基準を日本であれば30枚、他の国では10枚とすることができる。参加者の検査キャリアに関連する情報が所定期間内の標本確認枚数であるある場合には、1日あたりに末梢血塗抹標本作製数の基準を日本であれば50枚、他の国であれば、30枚とすることができる。
【0111】
また、スキル評価実施機関は、必要に応じて装置表示部150に各参加者のスキル評価の成績及び/又は判定結果の集計結果を表示させてもよく、さらに、スキル評価の成績及び/又は判定結果の集計結果を出力I/F305を介して、プリンター又はプロジェクタに出力してもよい(図8のステップS25及び図9のステップS118)。加えて、スキル評価実施機関は、スキル評価の成績及び/又は判定結果の集計結果をメディアI/F306を介して、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶媒体に記憶させてもよい。また、スキル評価実施機関は、参加者と同様に各参加者のスキル評価の成績及び/又は判定結果の集計結果をダウンロードしてもよい。
【0112】
さらに、装置制御部111は、ステップS114又はステップS212で判定結果の集計を算出する際に、例えばスチューデントのt検定、一元配位分析、Tukey’s honestly significant deference test、主成分分析等の統計解析を追加で行ってもよい。これらの統計解析は、公知のプログラムを使って解析することができる。
【0113】
本発明において、スキル評価が複数回実施されている場合には、同一参加者の過去の成績を現在受講しているスキル評価の成績と合わせてダウンロード又は表示してもよい。また、本発明においては、参加者の成績に応じて、研修カリキュラムや学習課題を提示してもよい。
【0114】
さらに、本発明では、判定結果を臨床検査室ごとに集計してもよい。加えて、各臨床検査室又は前記臨床検査室が属する医療機関等が、参加者と同様に各参加者のスキル評価の成績及び/又は判定結果の集計結果をダウンロード又は閲覧してもよい。臨床検査室ごとの集計結果と各臨床検査室の参加者のスキルに応じた集計結果を合わせて評価することにより、各臨床検査室におけるキャリアの浅い検査者に対する教育の充実度を知ることができる。
【0115】
[2.スキル評価関連データ提示装置]
本発明の第2の実施形態は、形態検査のスキル評価関連データを提示する提示装置に関する。
具体的には、形態検査における検査者のスキルを評価するための設問160を含むスキル評価関連データ170を提示する提示装置100であって、提示装置100は、少なくとも装置制御部111を備え、装置制御部111は、スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を取得する、提示装置100である。
【0116】
提示装置100は、好ましくは参加者が操作する参加者端末200とネットワークを介して通信可能であり、参加者情報115の取得は、装置制御部111が、参加者端末200の端末表示部250に、参加者情報を入力させるための入力画面130を表示し、参加者端末200の端末入力部251から入力された参加者情報を取得することによって行われる。
第2の実施形態における提示装置の具体的な構成及び動作等は、上記1.の説明を援用することができる。
【0117】
[3.スキル評価関連データ提示プログラム]
本発明の第3の実施形態は、形態検査のスキル評価関連データを提示するコンピュータプログラムに関する。
具体的には、形態検査における検査者のスキルを評価するための設問160を含むスキル評価関連データ170を提示する提示装置100の装置制御部111に、スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報115を取得するステップ、を実行させる、コンピュータプログラムである。
【0118】
プログラムは、参加者情報115を取得するステップにおいて、装置制御部111が、ネットワークを介して提示装置100と通信可能な、参加者が操作する参加者端末200に参加者情報115を入力させるための入力画面130を表示し、参加者端末200の端末入力部251から入力された参加者情報を取得するように、装置制御部を制御する。
【0119】
プログラムによって実行される各ステップの説明は、上記1.の説明を援用することができる。また、この場合、好ましくは、上記1.のシステムの動作に記載の提供装置100の動作に係る各ステップの説明が、ここに援用される。
さらに、第3の実施形態に係るプログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶媒体に記憶されていてもよい。前記記憶媒体へのプログラムの記憶形式は、前記提示装置が前記プログラムを読み取り可能である限り制限されない。前記記憶媒体への記憶は、不揮発性であることが好ましい。
【0120】
[4.スキル評価関連データ提示方法]
本発明の第4の実施形態は、形態検査のスキル評価関連データを提示する提示方法に関する。
具体的には、複数の設問に対する解答の成績に関連する情報と、を含むスキル評価関連データを提示する方法であって、スキル評価関連データを提示する提示装置の装置制御部が、スキル評価に参加する参加者の検査キャリアに関連する情報を含む参加者情報を取得する工程、を含む、方法に関する。
【0121】
好ましくは、取得工程では、装置制御部は、ネットワークを介して提示装置と通信可能な参加者が操作する参加者端末に参加者情報を入力させるための入力画面を表示し、参加者端末の端末入力部から入力された参加者情報を取得する。
【0122】
方法における各工程の説明は、上記1.のシステムの動作についての各ステップの説明を援用することができる。また、この場合、好ましくは、上記1.のシステムの動作に記載の提供装置100の動作に係る各ステップの説明が、ここに援用される。
【符号の説明】
【0123】
100 提示装置
111 装置制御部
115 参加者情報
120 設問に対する解答の成績に関連する情報
121 解答
121 成績
130 入力画面
160 設問
161 第1の設問群
162 第2の設問群
163 第3の設問群
170 スキル評価関連データ
200 参加者端末
211 端末制御部
250 端末表示部
251 端末入力部
130 入力画面
500 スキル評価システム
図1
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図10
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図13