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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1334 20060101AFI20220322BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220322BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20220322BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20220322BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220322BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220322BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
G02F1/1334
G02F1/13357
G02F1/1368
G02F1/137 500
F21S2/00 435
G09F9/00 336D
G09F9/30 348Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017175057
(22)【出願日】2017-09-12
(65)【公開番号】P2019053097
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 多惠
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-203988(JP,A)
【文献】特開2017-156718(JP,A)
【文献】特開2005-148387(JP,A)
【文献】特開昭60-120321(JP,A)
【文献】国際公開第93/011455(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0149201(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103293744(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1334
G02F 1/13357
G02F 1/1368
G02F 1/137
F21S 2/00
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側面及び前記第1側面とは反対側の第2側面を備えた配線と、遮光層と、を備えた第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、ポリマーと、液晶分子とを含む高分子分散型液晶層と、
前記第1基板に重畳し、前記第2基板端部と対向する複数の発光素子と、を備え、
前記複数の発光素子は、第1方向に沿って間隔をおいて並び、
前記配線は、前記第1方向に延出し、
前記第1側面は、前記第2側面よりも前記発光素子に近接し、
前記遮光層は、前記配線を直接覆い、
前記配線は、第1エッジと、前記第1エッジとは反対側の第2エッジとを備え、前記第1エッジは前記第2エッジよりも前記発光素子に近接し、
前記遮光層は、前記第1エッジよりも前記発光素子に近接した第3エッジと、前記第2エッジよりも前記発光素子から離間した第4エッジとを備え、
前記第1エッジと前記第3エッジとの間の第1幅は、前記第2エッジと前記第4エッジとの間の第2幅より大きい、表示装置。
【請求項2】
第1側面、前記第1側面とは反対側の第2側面、及び、前記第1側面と前記第2側面との間の上面を備えた配線と、遮光層と、を備えた第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、ポリマーと、液晶分子とを含む高分子分散型液晶層と、
前記第1基板に重畳し、前記第2基板の端部と対向する複数の発光素子と、を備え、
前記複数の発光素子は、第1方向に沿って間隔をおいて並び、
前記配線は、前記第1方向に延出し、
前記第1側面は、前記第2側面よりも前記発光素子に近接し、
前記遮光層は、前記配線のうち、少なくとも前記第1側面を直接覆い、
前記配線は、第1エッジと、前記第1エッジとは反対側の第2エッジとを備え、前記第1エッジは前記第2エッジよりも前記発光素子に近接し、
前記遮光層は、前記第1エッジよりも前記発光素子に近接した第3エッジと、前記第2エッジの直上または前記第2側面の直上または前記上面に位置する第4エッジとを備えた表示装置。
【請求項3】
前記遮光層は、前記第1側面よりも前記発光素子に近接した第3側面を備え、
前記第3側面は、鈍角の傾斜角で傾斜している、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
第1側面及び前記第1側面とは反対側の第2側面を備えた配線と、第1遮光層と、を備えた第1基板と、
第2遮光層を備え、前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、ポリマーと、液晶分子とを含む高分子分散型液晶層と、
前記第1基板に重畳し、前記第2基板端部と対向する複数の発光素子と、を備え、
前記複数の発光素子は、第1方向に沿って間隔をおいて並び、
前記配線は、前記第1方向に延出し、
前記第1側面は、前記第2側面よりも前記発光素子に近接し、
前記第1遮光層は、前記配線を直接覆い、
前記第2遮光層は、前記配線のうち、少なくとも前記第1側面の直上に位置し
前記配線は、第1エッジと、前記第1エッジとは反対側の第2エッジとを備え、前記第1エッジは前記第2エッジよりも前記発光素子に近接し、
前記第1遮光層は、前記第1エッジよりも前記発光素子に近接した第3エッジと、前記第2エッジよりも前記発光素子から離間した第4エッジとを備え、
前記第1エッジと前記第3エッジとの間の第1幅は、前記第2エッジと前記第4エッジとの間の第2幅より大きい、表示装置。
【請求項5】
前記第2遮光層は、前記第1側面よりも前記発光素子に近接した第5側面を備え、
前記第5側面は、鋭角の傾斜角で傾斜している、請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに、前記第2遮光層と前記配線との間に位置する反射層を備えた、請求項またはに記載の表示装置。
【請求項7】
走査線と、第1遮光層と、を備えた第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、ポリマーと、液晶分子とを含む高分子分散型液晶層と、
前記第1基板に重畳し、前記第2基板の端部と対向する複数の発光素子と、を備え、
前記複数の発光素子は、第1方向に沿って間隔をおいて並び、
前記走査線は、前記第1方向に延出し、
前記第1遮光層は、前記走査線を直接覆い、
前記走査線は、第1エッジと、前記第1エッジとは反対側の第2エッジとを備え、前記第1エッジは前記第2エッジよりも前記発光素子に近接し、
前記第1遮光層は、前記第1エッジよりも前記発光素子に近接した第3エッジと、前記第2エッジよりも前記発光素子から離間した第4エッジとを備え、
前記第1エッジと前記第3エッジとの間の第1幅は、前記第2エッジと前記第4エッジとの間の第2幅より大きい、表示装置。
【請求項8】
前記第2基板は、第2遮光層を備え、
前記第2遮光層は、前記走査線の直上に位置している、請求項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入射した光を拡散する拡散状態と入射した光を透過させる透過状態とを切り替え可能な高分子分散型液晶(Polymer Dispersed Liquid Crystal:以下、『PDLC』と称する場合がある)を用いた照明装置が種々提案されている。
一方で、PDLCを用いた表示装置においては、表示品位の低下を抑制することが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5467389号公報
【文献】特開2010-92682号公報
【文献】特開2016-57338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、
第1側面及び前記第1側面とは反対側の第2側面を備えた配線と、遮光層と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、ポリマーと、液晶分子とを含む高分子分散型液晶層と、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方の端部と対向する発光素子と、を備え、前記第1側面は、前記第2側面よりも前記発光素子に近接し、前記遮光層は、前記配線のうち、少なくとも前記第1側面を覆っている、表示装置が提供される。
一実施形態によれば、
第1側面及び前記第1側面とは反対側の第2側面を備えた配線を備えた第1基板と、遮光層を備え、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、ポリマーと、液晶分子とを含む高分子分散型液晶層と、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方の端部と対向する発光素子と、を備え、前記第1側面は、前記第2側面よりも前記発光素子に近接し、前記遮光層は、前記配線のうち、少なくとも前記第1側面の直上に位置している、表示装置が提供される。
一実施形態によれば、
走査線と、第1遮光層と、を備えた第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に保持され、ポリマーと、液晶分子とを含む高分子分散型液晶層と、を備え、前記第1遮光層は、前記走査線を覆っている、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態における表示装置DSPの構成例を示す平面図である。
図2図2は、図1に示した表示装置DSPの斜視図である。
図3図3は、図1に示した表示装置DSPの断面図である。
図4図4は、図3に示した表示パネルPNLの一構成例を示す断面図である。
図5図5は、第1実施形態を示す断面図である。
図6図6は、第2実施形態を示す断面図である。
図7図7は、第3実施形態を示す断面図である。
図8図8は、第1実施形態の第1構成例を示す断面図である。
図9図9は、第1実施形態の第2構成例を示す断面図である。
図10図10は、第1実施形態の第3構成例を示す断面図である。
図11図11は、第2実施形態の第4構成例を示す断面図である。
図12図12は、第2実施形態の第5構成例を示す断面図である。
図13図13は、第3実施形態の第6構成例を示す断面図である。
図14図14は、配線11及び遮光層16の第7構成例を示す断面図である。
図15図15は、配線11及び遮光層16の第8構成例を示す断面図である。
図16図16は、配線11及び遮光層16の第9構成例を示す断面図である。
図17図17は、第4実施形態を示す断面図である。
図18図18は、第5実施形態を示す断面図である。
図19図19は、第6実施形態を示す断面図である。
図20図20は、第10構成例を示す断面図である。
図21図21は、第11構成例を示す断面図である。
図22図22は、第7実施形態を示す断面図である。
図23図23は、透明状態の液晶層30を模式的に示す図である。
図24図24は、散乱状態の液晶層30を模式的に示す図である。
図25図25は、液晶層30が透明状態である場合の表示パネルPNLを示す断面図である。
図26図26は、液晶層30が散乱状態である場合の表示パネルPNLを示す断面図である。
図27図27は、一画素PXの構成例を示す平面図である。
図28図28は、図27に示した画素PXのA-B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、いくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態における表示装置DSPの構成例を示す平面図である。図中において、第1方向X及び第2方向Yは互いに交差し、第3方向Zは第1方向X及び第2方向Yと交差している。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、互いに90度以外の角度で交差していてもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を「上」と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と称する。「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよいし、第1部材から離間していてもよい。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面に向かってみることを平面視という。
【0009】
本実施形態においては、表示装置の一例として、高分子分散型液晶を適用した表示装置について説明する。表示装置DSPは、表示パネルPNL、及び、配線基板F1乃至F3を備えている。また、表示装置DSPは、ここでは図示しない光源ユニットも備えている。
【0010】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、平面視で重畳している。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DA、及び、表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域NDAを備えている。表示領域DAは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2が重畳している領域に位置している。表示パネルPNLは、表示領域DAにおいて、n本の走査線G(G1~Gn)、及び、m本の信号線S(S1~Sm)を備えている。なお、n及びmはいずれも正の整数であり、nがmと等しくてもよいし、nがmとは異なっていてもよい。複数の走査線Gは、それぞれ第1方向Xに延出し、第2方向Yに間隔をおいて並んでいる。複数の信号線Sは、それぞれ第2方向Yに延出し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0011】
第1基板SUB1は、第1方向Xに沿って延出した端部E11及び端部E12と、第2方向Yに沿って延出した端部E13及び端部E14とを有している。第2基板SUB2は、第1方向Xに沿って延出した端部E21及び端部E22と、第2方向Yに沿って延出した端部E23及び端部E24とを有している。図示した例では、平面視で、端部E11及び端部E21、端部E13及び端部E23、及び、端部E14及び端部E24は、それぞれ重畳しているが、重畳していなくてもよい。端部E22は、平面視で、端部E12と表示領域DAとの間に位置している。第1基板SUB1は、端部E12と端部E22との間に延出部Exを有している。
【0012】
配線基板F1乃至F3は、それぞれ延出部Exに接続され、この順に第1方向Xに並んでいる。配線基板F1は、ゲートドライバGD1を備えている。配線基板F2は、ソースドライバSDを備えている。配線基板F3は、ゲートドライバGD2を備えている。なお、配線基板F1乃至F3は、単一の配線基板に置換されてもよい。
複数の信号線Sは、非表示領域NDAに引き出され、ソースドライバSDに接続されている。複数の走査線Gは、非表示領域NDAに引き出され、ゲートドライバGD1及びGD2に接続されている。図示した例では、奇数番目の走査線Gは、端部E14と表示領域DAとの間に引き出され、ゲートドライバGD2に接続されている。また、偶数番目の走査線Gは、端部E13と表示領域DAとの間に引き出され、ゲートドライバGD1に接続されている。なお、ゲートドライバGD1及びGD2と各走査線Gとの接続関係は図示した例に限らない。
【0013】
図2は、図1に示した表示装置DSPの斜視図である。ここでは、配線基板F1乃至F3の図示を省略している。光源ユニットLUは、第1基板SUB1の上に位置し、端部E22に沿って配置されている。光源ユニットLUは、光源に相当する発光素子LSと、点線で示した配線基板F4とを備えている。複数の発光素子LSは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。発光素子LSの各々は、配線基板F4に接続されている。発光素子LSは、第1基板SUB1と配線基板F4との間に位置している。発光素子LSは、例えば発光ダイオードである。発光素子LSは、発光部EMを有している。発光部EMは、端部E22と向かい合っている。発光部EMは、端部E22に接触していてもよい。また、発光部EMと端部E22との間に、空気層、光学素子などが介在していてもよい。端部E22は、発光部EMから出射された光が入射する入光部に相当する。
【0014】
図3は、図1に示した表示装置DSPの断面図である。ここでは、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置DSPの断面において、主要部のみを説明する。表示パネルPNLは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持された液晶層30を備えている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シール40によって接着されている。
図示した例では、発光素子LSは、延出部EXの上に位置している。また、発光素子LSは、配線基板F1乃至F3と第2基板SUB2との間に位置している。発光素子LSは、発光部EMから端部E22に向けて光を照射する。端部E22から入射した光は、後述するように、第2方向Yに沿って表示パネルPNLを伝播する。なお、発光素子LSは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の両方の端部と対向していてもよく、例えば、端部E11及びE21と対向していてもよい。
【0015】
図4は、図3に示した表示パネルPNLの一構成例を示す断面図である。第1基板SUB1は、透明基板10、配線11、絶縁層12、画素電極13、及び、配向膜14を備えている。第2基板SUB2は、透明基板20、共通電極21、及び、配向膜22を備えている。なお、第2基板SUB2は、配線11と重畳する遮光層を備えていない。透明基板10及び20は、ガラス基板やプラスチック基板などの絶縁基板である。配線11は、モリブデン、タングステン、アルミニウム、チタン、銀などの不透明な金属材料によって形成されている。図示した配線11は、第1方向Xに延出しているが、第2方向Yに延出していてもよい。絶縁層12は、透明な絶縁材料によって形成されている。画素電極13及び共通電極21は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成されている。画素電極13は、画素PX毎に配置されている。共通電極21は、複数の画素PXに亘って配置されている。配向膜14及び22は、X-Y平面に略平行な配向規制力を有する水平配向膜であってもよいし、第3方向Zに略平行な配向規制力を有する垂直配向膜であってもよい。
【0016】
液晶層30は、配向膜14と配向膜22との間に位置している。液晶層30は、高分子化合物であるポリマー31と、液晶分子32と、を含む高分子分散型液晶層である。一例では、ポリマー31は、液晶性ポリマーである。ポリマーは、例えば、液晶性モノマーが配向膜14及び22の配向規制力によって所定の方向に配向した状態で重合されることによって得られる。一例では、配向膜14及び22の配向処理方向は第1方向Xであり、配向膜14及び22は第1方向Xに沿った配向規制力を有している。このため、ポリマー31は、第1方向Xに沿って延びた筋状に形成される。液晶分子32は、ポリマー31の隙間に分散され、その長軸が第1方向Xに沿うように配向される。
【0017】
ポリマー31及び液晶分子32の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。液晶分子32は、正の誘電率異方性を有するポジ型の液晶性分子であってもよいし、負の誘電率異方性を有するネガ型の液晶性分子であってもよい。ポリマー31及び液晶分子32の各々の電界に対する応答性は異なる。ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。なお、図中の拡大部分において、ポリマー31は右上がりの斜線で示し、液晶分子32は右下がりの斜線で示している。
【0018】
図5は、第1実施形態を示す断面図である。第1基板SUB1は、配線11に加えて、遮光層16を備えている。遮光層16は、配線11を覆っている。なお、ここでの「覆う」とは、遮光層16が配線11と接触する場合に限らず、遮光層16と配線11との間に他の部材が介在する場合も含む。第1実施形態では、遮光層16は、配線11を覆っている。図中の実線で囲んだ配線11及び遮光層16の拡大図を参照しながら、より具体的に説明する。
配線11は、第1側面111と、第1側面111とは反対側の第2側面112と、上面113と、を備えている。第1側面111及び第2側面112は、いずれも第1方向Xに沿って延出している。第1側面111は、第2側面112よりも、発光素子LSに近接している。遮光層16は、第3側面161と、第3側面161とは反対側の第4側面162と、を備えている。第3側面161及び第4側面162は、いずれも第1方向Xに沿って延出している。第3側面161は、第4側面162よりも発光素子LSに近接している。遮光層16は、第1側面111、第2側面112、及び、上面113をそれぞれ覆っている。つまり、第3側面161は第1側面111よりも発光素子LSに近接し、第4側面162は第2側面112よりも発光素子LSから離間している。遮光層16は、第1側面111よりも発光素子LSに近接する側において、配線11の下方に位置する絶縁層17に接触している。
【0019】
遮光層16は、低反射率、あるいは、光吸収性、あるいは、遮光性を有する材料によって形成される。一例では、遮光層16は、モリブデンなどの金属材料によって形成されてもよいし、黒色等に着色された絶縁材料によって形成されてもよい。
【0020】
図6は、第2実施形態を示す断面図である。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、第4側面162が第2側面112の直上に位置する点で相違している。図示した例では、第2側面112及び第4側面162は、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面と平行な同一平面に位置しているが、この例に限らない。例えば、第2側面112及び第4側面162の少なくとも一方は傾斜していてもよいし、第2側面112及び第4側面162が互いに異なる傾斜角で傾斜していてもよい。第2実施形態では、第4側面162の少なくとも一部が第2側面112の上に位置していればよい。第1側面111及び上面113は、第1実施形態と同様に、遮光層16によって覆われている。
【0021】
図7は、第3実施形態を示す断面図である。第3実施形態は、第1実施形態と比較して、遮光層16が第2側面112を覆っていない点で相違している。第4側面162は、上面113に位置している。第4側面162は、第2側面112よりも発光素子LSに近接している。第1側面111と、上面113の一部は、第1実施形態と同様に、遮光層16によって覆われている。
【0022】
図2を参照して説明したように、複数の発光素子LSは第1方向Xに並んでおり、発光素子LSから出射された光は第2方向Yに沿って伝播する。一方で、第1側面111は、第1方向Xに沿って延出しており、光の伝播方向と交差する(または、第1側面111は、光の伝播方向とほぼ直交する)。
上記の第1乃至第3実施形態によれば、遮光層16は、配線11のうち、少なくとも第1側面111を覆っている。このため、発光素子LSからの光が表示パネルPNLを伝播した際に、配線11の発光素子LS側に面した第1側面111での不所望な反射または散乱を抑制することができる。したがって、表示パネルPNLに表示される画像の表示品位の低下を抑制することができる。
【0023】
また、第1実施形態によれば、遮光層16が配線11の第1側面111、第2側面112、及び、上面113をそれぞれ覆っているため、配線11の各面における不所望な反射または散乱を抑制することができる。
【0024】
また、第2実施形態及び第3実施形態によれば、遮光層16が第2側面112よりも発光素子LSから離間した側に配置されていないため、画素のうち、遮光層16によって遮光される面積を低減することができ、一画素あたり表示に寄与する面積を拡大することができる。
【0025】
また、第3実施形態によれば、上面113の一部が遮光層16から露出しているため、上面113の一部は、発光素子LSからの光が表示パネルPNLを伝播するための反射面として利用することができ、光の伝播効率、あるいは、光の利用効率を向上することができる。
【0026】
図8は、第1実施形態の第1構成例を示す断面図である。配線11は、第2方向Yに沿って最外部に位置する第1エッジE1及び第2エッジE2を備えている。第2エッジE2は、第1エッジE1とは反対側に位置している。第1エッジE1は、第2エッジE2よりも発光素子LSに近接している。遮光層16は、第2方向Yに沿って最外部に位置する第3エッジE3及び第4エッジE4を備えている。第3エッジE3は、第1エッジE1よりも発光素子LSに近接している。第4エッジE4は、第2エッジE2よりも発光素子LSから離間している。遮光層16は、第1エッジE1と第3エッジE3との間に第1幅W1を有し、第2エッジE2と第4エッジE4との間に第2幅W2を有している。第1幅W1及び第2幅W2は、いずれも第2方向Yに沿った遮光層16の長さである。第1幅W1は、第2幅W2と同じ、もしくは、第2幅W2より大きい。
【0027】
第1側面111は、絶縁層17に対して鋭角の第1傾斜角θ11で傾斜している。第2側面112も、第1側面111と同様に傾斜している。図示した例では、第1エッジE1は、第1側面111のうち、最も絶縁層17に近接する部分に相当する。第2エッジE2も同様に、第2側面112のうち、最も絶縁層17に近接する部分に相当する。第3側面161は、絶縁層17に対して第1傾斜角θ11より大きな第2傾斜角θ16で傾斜している。一例では、第2傾斜角θ16は、90度である。第4側面162も、第3側面161と同様に傾斜している。図示した例では、第3エッジE3は、第3側面161のうち、最も絶縁層17に近接する部分に相当する。第4エッジE4も同様に、第4側面162のうち、最も絶縁層17に近接する部分に相当する。
【0028】
図9は、第1実施形態の第2構成例を示す断面図である。第2構成例は、第1構成例と比較して、第2傾斜角θ16が鋭角である点で相違している。つまり、第3側面161及び第4側面162は、絶縁層17に対して鋭角の第2傾斜角θ16で傾斜している。第2構成例においては、第1側面111に重なる遮光層16の第1厚さT1は、第2側面112に重なる遮光層16の第2厚さT2と同じ、もしくは、第2厚さT2より厚い。第1厚さT1及び第2厚さT2は、いずれも第3方向Zに沿った遮光層16の長さである。
【0029】
図10は、第1実施形態の第3構成例を示す断面図である。第3構成例は、第1構成例と比較して、第2傾斜角θ16が鈍角である点で相違している。つまり、第3側面161及び第4側面162は、絶縁層17に対して鈍角の第2傾斜角θ16で傾斜している。このため、表示パネルPNLを伝播した光がたとえ第3側面161で反射されたとしても、第3方向Zに沿った上方への反射あるいは散乱を抑制することができる。
【0030】
図11は、第2実施形態の第4構成例を示す断面図である。第2実施形態においては、第4エッジE4は、第2エッジE2の直上に位置している。なお、第3エッジE3は、図8乃至図10に示した第1実施形態と同様に、第1エッジE1よりも発光素子LSに近接している。
【0031】
図12は、第2実施形態の第5構成例を示す断面図である。第5構成例は、第4構成例と比較して、第4エッジE4が第2側面112の直上に位置している点で相違している。つまり、第4エッジE4は、第2エッジE2よりも第1エッジE1に近接している。なお、第3エッジE3は、図8乃至図10に示した第1実施形態と同様に、第1エッジE1よりも発光素子LSに近接している。
【0032】
図13は、第3実施形態の第6構成例を示す断面図である。第3実施形態においては、第4エッジE4は、上面113に位置している。なお、第3エッジE3は、第1エッジE1よりも発光素子LSに近接している。第4乃至第6構成例における第3側面161及び第4側面162は、第2及び第3構成例と同様に、傾斜していてもよい。
【0033】
図14は、配線11及び遮光層16の第7構成例を示す断面図である。配線11は、第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3を備えた多層体によって構成されている。一例では、第1層L1及び第3層L3は同一材料によって形成され、第2層L2は第1層とは異なる材料によって形成されている。例えば、第1層L1及び第3層L3はモリブデンやチタンによって形成され、第2層L2はアルミニウムによって形成されている。このような配線11は、絶縁層17の上に、モリブデン層、アルミニウム層、及び、モリブデン層の3つの金属層の積層体を形成した後に、この積層体を一括してパターニングすることによって得られる。遮光層16は、低反射率、あるいは、光吸収性、あるいは、遮光性を有する材料によって形成され、配線11を覆っている。
【0034】
図15は、配線11及び遮光層16の第8構成例を示す断面図である。図15に示した第8構成例は、図14に示した第7構成例と比較して、遮光層16の断面形状が異なる。配線11は、第7構成例と同様の多層体によって構成されている。遮光層16は、低反射率、あるいは、光吸収性、あるいは、遮光性を有する材料によって形成され、配線11を覆っている。
【0035】
図16は、配線11及び遮光層16の第9構成例を示す断面図である。配線11は、第1層L1及び第2層L2を備えた多層体によって構成されている。遮光層16は、例えばモリブデンなどの金属材料によって形成され、配線11を覆っている。このような配線11は、絶縁層17の上に、例えばモリブデン層及びアルミニウム層の積層体を形成した後に、この積層体を一括してパターニングすることによって得られる。また、遮光層16は、絶縁層17及び配線11の上、例えばモリブデン層を形成した後に、このモリブデン層をパターニングすることによって得られる。
【0036】
図17は、第4実施形態を示す断面図である。第4実施形態は、第1実施形態と比較して、第2基板SUB2が遮光層23を備えている点で相違している。遮光層23は、配線11の直上に位置している。第4実施形態では、遮光層23は、配線11の全体に対向している。図中の実線で囲んだ配線11及び遮光層23の拡大図を参照しながら、より具体的に説明する。
遮光層23は、上記の遮光層16と同様の材料によって形成される。遮光層23は、第5側面231と、第5側面231とは反対側の第6側面232と、を備えている。第5側面231は、第6側面232よりも発光素子LSに近接している。第5側面231は第1側面111よりも発光素子LSに近接し、第6側面232は第2側面112よりも発光素子LSから離間している。
また、遮光層23は、第2方向Yに沿って最外部に位置する第5エッジE5及び第6エッジE6を備えている。第5エッジE5は、第1エッジE1よりも発光素子LSに近接している。第6エッジE6は、第2エッジE2よりも発光素子LSから離間している。遮光層23は、第1エッジE1と第5エッジE5との間に第3幅W3を有し、第2エッジE2と第6エッジE6との間に第4幅W4を有している。第3幅W3は、第4幅W4と同じ、もしくは、第4幅W4より大きい。
【0037】
図18は、第5実施形態を示す断面図である。第5実施形態は、第4実施形態と比較して、第6側面232が第2側面112の直上に位置する点で相違している。第6エッジE6は、第2エッジE2の直上に位置している。なお、第4実施形態と同様に、第5側面231は、第1側面111よりも発光素子LSに近接し、第5エッジE5は、第1エッジE1よりも発光素子LSに近接している。
【0038】
図19は、第6実施形態を示す断面図である。第6実施形態は、第4実施形態と比較して、第6側面232が第2側面112よりも発光素子LSに近接している点で相違している。つまり、第2側面112の直上には、遮光層23が配置されていない。第6エッジE6は、第2エッジE2よりも発光素子LSに近接している。
【0039】
以上説明したように、第4乃至第6実施形態によれば、遮光層16は、配線11のうち、少なくとも第1側面111の直上に位置している。このため、発光素子LSからの光が表示パネルPNLを伝播した際に、配線11の発光素子LS側に面した第1側面111で不所望な反射光または散乱光が生じたとしても、これらの光は遮光層23によって遮光される。したがって、表示パネルPNLに表示される画像の表示品位の低下を抑制することができる。
【0040】
図20は、第10構成例を示す断面図である。配線11は、第1構成例などと同様に構成されている。遮光層23において、第5側面231は、絶縁層24に対して鋭角の第3傾斜角θ23で傾斜している。第6側面232も、第5側面231と同様に傾斜している。このため、表示パネルPNLを伝播した光がたとえ第5側面231で反射されたとしても、第3方向Zに沿った上方への反射あるいは散乱を抑制することができる。
【0041】
図21は、第11構成例を示す断面図である。第11構成例は、第10構成例と比較して、遮光層23と配線11との間に反射層25が設けられた点で相違している。図示した例では、反射層25は、遮光層23に接触している。反射層25の幅W25は、遮光層23の幅W23より小さい。また、反射層25のエッジE251及びE252は、いずれも遮光層23の第5エッジE5と第6エッジE6との間に位置している。このため、表示パネルPNLを伝播した光がたとえ第1側面111で反射されたとしても、その反射光は反射層25で反射され、さらに表示パネルPNLを伝播することができる。つまり、反射光が遮光層23によって吸収されにくくなるため、光の利用効率を改善することができる。
【0042】
図22は、第7実施形態を示す断面図である。第7実施形態は、第1実施形態と比較して、第1基板SUB1が配線11及び遮光層(第1遮光層)16を備えるのに加えて、第2基板SUB2が遮光層(第2遮光層)23を備えている点で相違している。このような第7実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるのに加えて、たとえ遮光層16で不所望な反射光または散乱光が生じたとしても、これらの光は遮光層23によって遮光される。したがって、表示パネルPNLに表示される画像の表示品位の低下を抑制することができる。
【0043】
次に、高分子分散型液晶層(以下、単に液晶層30と称する)についてより詳細に説明する。
【0044】
図23は、透明状態の液晶層30を模式的に示す図である。図示した例は、液晶層30に電圧が印加されていない状態(例えば画素電極13と共通電極21との間の電位差がほぼゼロである状態)に相当する。ポリマー31の光軸Ax1及び液晶分子32の光軸Ax2は、互いに平行である。図示した例では、光軸Ax1及び光軸Ax2は、いずれも第1方向Xに平行である。ポリマー31及び液晶分子32は、ほぼ同等の屈折率異方性を有している。つまり、ポリマー31及び液晶分子32の常光屈折率は互いにほぼ同等であり、また、ポリマー31及び液晶分子32の異常光屈折率は互いにほぼ同等である。このため、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを含むあらゆる方向において、ポリマー31と液晶分子32との間にほとんど屈折率差がない。このため、第3方向Zに沿って液晶層30に入射した光L1は、液晶層30内でほとんど散乱されることなく透過する。同様に、第3方向Zに対して傾斜した斜め方向に入射した光L2及びL3についても、液晶層30内でほとんど散乱されることはない。このため、高い透明性が得られる。図23に示した状態を『透明状態』と称する。例えば、光L3は、図3などに示した発光素子LSから照射された光に相当し、液晶層30においてほとんど散乱されることなく、第2方向Yの矢印で示した向きとは逆向きに伝播する。
【0045】
図24は、散乱状態の液晶層30を模式的に示す図である。図示した例は、液晶層30に電圧が印加された状態(例えば画素電極13と共通電極21との間の電位差がしきい値以上である状態)に相当する。上記の通り、ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。一例では、ポリマー31の配向方向は、電界の有無にかかわらずほとんど変化しない。一方、液晶分子32の配向方向は、液晶層30にしきい値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。つまり、図示したように、光軸Ax1は第1方向Xとほとんど平行であるのに対して、光軸Ax2は第1方向Xに対して傾斜している。液晶分子32がポジ型液晶性分子である場合には、液晶分子32は、その長軸が電界に沿うように配向する。画素電極13と共通電極21との間の電界は、第3方向Zに沿って形成される。このため、液晶分子32は、その長軸あるいは光軸Ax2が第3方向Zに沿うように配向する。つまり、光軸Ax1及びAx2は、互いに交差する。したがって、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを含むあらゆる方向において、ポリマー31と液晶分子32との間に大きな屈折率差が生ずる。これにより、液晶層30に入射した光L1乃至L3は、液晶層30内で散乱される。図24に示した状態を『散乱状態』と称する。
【0046】
図25は、液晶層30が透明状態である場合の表示パネルPNLを示す断面図である。発光素子LSから照射された光L11は、端部E22から表示パネルPNLに入射し、透明基板20、液晶層30、透明基板10などを伝播する。配線11及び画素電極13と重畳する液晶層30は、透明状態である。このため、光L11は、液晶層30でほとんど散乱されず、透明基板10の下面10B及び透明基板20の上面20Tからほとんど漏れ出すことはない。
表示パネルPNLに入射する外部光L12は、液晶層30でほとんど散乱されることなく透過する。つまり、下面10Bから表示パネルPNLに入射した外部光は上面20Tを透過し、上面20Tから表示パネルPNLに入射した外部光は下面10Bを透過する。このため、ユーザは、表示パネルPNLを上面20T側から観察した場合には、表示パネルPNLを透かして下面10B側の背景を視認することができる。同様に、ユーザは、表示パネルPNLを下面10B側から観察した場合には、表示パネルPNLを透かして上面20T側の背景を視認することができる。
【0047】
図26は、液晶層30が散乱状態である場合の表示パネルPNLを示す断面図である。発光素子LSから照射された光L21は、端部E22から表示パネルPNLに入射し、透明基板20、液晶層30、透明基板10などを伝播する。図示した例では、配線11と重畳する液晶層30は透明状態に維持されている。また、電圧が印加されていない画素電極13Aと重畳する液晶層30は透明状態である。このため、光L21は、液晶層30のうち配線11及び画素電極13Aと重畳する領域でほとんど散乱されない。一方、電圧が印加されている画素電極13Bと重畳する液晶層30は散乱状態である。このため、光L21は、液晶層30のうち画素電極13Bと重畳する領域で散乱される。光L21のうち、一部の散乱光L211は上面20Tを透過し、一部の散乱光L212は下面10Bを透過し、他の散乱光は表示パネルPNL内を伝播する。
電圧が印加されていない画素電極13Aと重畳する領域では、表示パネルPNLに入射する外部光L22は、図25に示した外部光L12と同様に、液晶層30でほとんど散乱されることなく透過される。電圧が印加されている画素電極13Bと重畳する領域では、下面10Bから入射した外部光L23は、液晶層30で散乱された後に、その一部の光L231が上面20Tを透過する。また、上面20Tから入射した外部光L24は、液晶層30で散乱された後に、その一部の光L241が下面10Bを透過する。このため、ユーザは、表示パネルPNLを上面20T側から観察した場合には、画素電極13Bと重畳する領域で光L21の色を視認することができる。加えて、一部の外部光L231が表示パネルPNLを透過するため、ユーザは、表示パネルPNLを透かして下面10B側の背景を視認することもできる。同様に、ユーザは、表示パネルPNLを下面10B側から観察した場合には、画素電極13Bと重畳する領域で光L21の色を視認することができる。加えて、一部の外部光L241が表示パネルPNLを透過するため、ユーザは、表示パネルPNLを透かして上面20T側の背景を視認することもできる。なお、画素電極13Aと重なる領域では、液晶層30が透明状態であるため、光L21の色はほとんど視認されず、ユーザは、表示パネルPNLを透かして背景を視認することができる。
【0048】
次に、一実施例について説明する。
【0049】
図27は、画素PXの一例を示す平面図である。図示した例では、画素PXは、第1方向Xに並ぶ2本の信号線Sと、第2方向Yに並ぶ2本の走査線Gとで区画されている。画素PXは、スイッチング素子SWと、画素電極13とを備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタであり、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。より具体的には、スイッチング素子SWは、ゲート電極GE、ソース電極SE、及び、ドレイン電極DEを備えている。ゲート電極GEは、走査線Gと一体的に形成されている。遮光層16は、走査線G及びゲート電極GEに重なっている。図示した例では、スイッチング素子SWは、半導体層SCの下にゲート電極GEが位置するボトムゲート型であるが、半導体層SCの上にゲート電極GEが位置するトップゲート型であってもよい。半導体層SCは、例えばアモルファスシリコンによって形成されるが、多結晶シリコンや酸化物半導体によって形成されてもよい。ソース電極SEは、信号線Sと一体的に形成され、半導体層SCに接触している。ドレイン電極DEは、ソース電極SEから離間し、半導体層SCに接触している。画素電極13は、ドレイン電極DEの上に重畳し、コンタクトホールCHにおいてドレイン電極DEに接触している。
また、2本の走査線Gの間には、容量線Cが配置されている。画素電極13は、容量線Cの上に重畳している。容量線Cと画素電極13とが重畳する部分は、蓄積容量を形成する。
【0050】
図28は、図27に示した画素PXのA-B線に沿った断面図である。第1基板SUB1において、ゲート電極GE及び走査線Gは、透明基板10の上に位置し、例えば図4に示した配線11に相当する。遮光層16は、ゲート電極GE及び走査線Gに接触し、ゲート電極GE及び走査線Gを覆っている。絶縁層121は、遮光層16及び透明基板10を覆っている。半導体層SCは、ゲート電極GEの直上において、絶縁層121の上に位置している。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、絶縁層121の上に位置し、それぞれ半導体層SCに接触している。絶縁層122は、半導体層SC、ソース電極SE、ドレイン電極DE、及び、絶縁層121を覆っている。絶縁層123は、絶縁層122を覆っている。絶縁層121乃至123は、例えば図4に示した絶縁層12に相当する。絶縁層121及び122は、例えばシリコン窒化物やシリコン酸化物などの透明な無機絶縁材料によって形成されている。絶縁層123は、例えばアクリル樹脂などの透明な有機絶縁材料によって形成されている。画素電極13は、絶縁層123の上に位置している。画素電極13は、絶縁層122及び123を貫通するコンタクトホールCHにおいて、ドレイン電極DEに接触している。配向膜14は、画素電極13及び絶縁層123を覆っている。
第2基板SUB2において、遮光層23は、透明基板20の下に位置し、且つ、ゲート電極GE及び走査線Gの直上に位置している。オーバーコート層24は、透明基板20及び遮光層23を覆っている。共通電極21は、オーバーコート層24の下に位置している。配向膜22は、共通電極21を覆っている。液晶層30は、配向膜14及び21に接触している。
【0051】
上記実施例によれば、第1方向Xに延出した走査線Gは遮光層16によって覆われ、また、遮光層23は走査線Gの直上に位置している。このため、走査線Gの側面での不所望な反射または散乱に起因した表示品位の低下を抑制することができる。なお、図27に示したように、容量線C、ソース電極SE、ドレイン電極DEなどの各種導電層も、走査線Gと同様の第1方向Xに沿った側面を備えている。このため、容量線C、ソース電極SE及びドレイン電極DEについても、少なくとも第1方向Xに沿った側面を遮光することで、さらに不所望な反射または散乱を抑制することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、配線や電極等の導電層が比較的高い反射率を有する側面を有し、その側面が発光素子LS側に面するとともに光の伝播方向と交差する構成において、その側面を遮光層16で覆うことにより不所望な反射や散乱を抑制し、また、その側面の直上に遮光層23を配置することにより不所望な反射光や散乱光を遮光することができる。したがって、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することができる。
【0053】
なお、この発明は、上記各実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0054】
DSP…表示装置 PNL…表示パネル
SUB1…第1基板 11…配線 13…画素電極 14…配向膜 16…遮光層
SUB2…第2基板 21…共通電極 22…配向膜 23…遮光層
30…液晶層 31…ポリマー 32…液晶分子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図26
図27
図28