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特許7043207ブラシモータ及びこれを用いる冷却モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ブラシモータ及びこれを用いる冷却モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02K 23/30 20060101AFI20220322BHJP
   H02K 9/06 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H02K23/30
H02K9/06 A
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017186470
(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公開番号】P2018068103
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】201610855840.5
(32)【優先日】2016-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ルイ フェン チン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ リウ
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-060783(JP,A)
【文献】特開2009-27829(JP,A)
【文献】特開2000-224822(JP,A)
【文献】特開2006-217748(JP,A)
【文献】特開2005-12883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 23/30
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2P個のステータ極を備え、ここで、Pは、1よりも大きい整数であるステータと、
回転軸と、前記回転軸に固定されるロータコア及び整流子とを備えるロータであって、前記整流子は、絶縁ベースと、前記絶縁ベースに固定される複数の整流子セグメントとを備える、ロータと、
を備えるブラシモータであって、
前記ロータは、m個の歯を備え、ここで、mは、2Pよりも大きく且つ4Pよりも小さい整数であり、2mは、Pの整数倍であり、
前記ロータは、ロータ巻線を備え、前記ロータ巻線は、m個の第1の素子及びm個の第2の素子を有する集中巻線であり、各歯には、前記第1の素子の1つ及び前記第2の素子の1つが巻き付けられ、
前記m個の第1の素子は、複数の素子群を形成し、各素子群は、直列に接続されるn個の第1の素子を有し、各素子群は、その両端で、対応する整流子セグメントのみに接続され、ここで、nは、2以上且つP以下であり、
各第2の素子の両端は、対応する整流子セグメントに接続され
各第2の素子の巻回数は、各第1の素子の巻回数のn倍である、
ことを特徴とするブラシモータ。
【請求項2】
前記m個の第1の素子は、単一のワイヤによって連続的に形成されることを特徴とする、請求項に記載のブラシモータ。
【請求項3】
前記m個の第2の素子は、単一のワイヤによって連続的に形成されることを特徴とする、請求項に記載のブラシモータ。
【請求項4】
前記m個の第1の素子及び前記m個の第2の素子は、単一のワイヤによって形成されることを特徴とする、請求項に記載のブラシモータ。
【請求項5】
前記ロータ巻線は、2*(P-1)個の並列分岐回路を形成し、1つ又は2つの並列分岐回路は、前記m個の第1の素子によって形成され、残りの並列分岐回路は、前記m個の第2の素子によって形成されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のブラシモータ。
【請求項6】
Pは、3であり、mは、9であり、nは、3であり、前記ステータは、6個のステータ極を有し、前記ロータは、9個の歯を有し、前記ロータ巻線は、9個の第1の素子及び9個の第2の素子を有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のブラシモータ。
【請求項7】
前記ロータ巻線は、4つの並列分岐回路を形成し、前記4つの分岐回路の1つは、前記9個の第1の素子によって形成され、前記9個の第2の素子は、残りの3つの並列分岐回路を形成し、各並列分岐回路は、直列に接続される前記第2の素子の3つを有することを特徴とする、請求項に記載のブラシモータ。
【請求項8】
ファンを備える冷却モジュールであって、前記冷却モジュールは、更に、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のブラシモータを備えることを特徴とする冷却モジュール。
【請求項9】
前記冷却モジュールは、自動車のエンジンの冷却モジュールであり、前記ファンは、前記ロータによって直接駆動されることを特徴とする、請求項に記載の冷却モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002] 本発明は、電気駆動の分野に関し、特に、自動車のエンジンを冷却するのに用いることができる冷却モジュール及びこの冷却モジュールのブラシモータに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003] ブラシモータは、ステータ及びロータを含む。ステータは、通常、その内部に取り付けられて、ステータ極を形成する永久磁石を含み、ロータは、ステータ極と協働するためのロータ巻線を含む。特に、ロータは、回転軸と、回転軸に固定される整流子と、ロータコアとを含む。ロータコアは、外方に延在する複数の歯を含み、隣接する歯は、それらの間にワイヤスロットを形成する。ロータ巻線は、対応する歯の周りに巻き付けられ、その有効側は、対応するワイヤスロット内に含まれ、そのワイヤ端子は、整流子の整流子セグメントと電気的に接続される。
【0003】
[0004] 6個のステータ極及び9個のワイヤスロットを有する従来のモータは、集中巻線方式を採用する。各歯には、2つの素子が巻き付けられており、6つの並列分岐回路を形成する合計18個の素子がある。この解決法の欠点は、ワイヤが、非常に小さいワイヤ直径を有し、巻線の巻回数が多数であり、これにより、モータの製造時、巻き付け時間が長くなるため、製造効率を低下させることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0005] したがって、改良された解決法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0006] 製造効率を向上させる試みにおいて、本発明の第1の態様は、ステータ及びロータを含むブラシモータを提供するものである。前記ロータは、ロータコア及び整流子が固定された回転軸を含む。前記整流子は、絶縁ベースと、前記絶縁ベースに固定される整流子セグメントとを含む。前記ステータは、2P個のステータ極を含み、ここで、Pは、1よりも大きい整数である。前記ロータは、m個の歯を備え、ここで、4P>m>2Pであり、2mは、Pの整数倍である。前記ロータは、ロータ巻線を含み、前記ロータ巻線は、m個の第1の素子及びm個の第2の素子を有する集中巻線である。各歯には、前記第1の素子の1つ及び前記第2の素子の1つが巻き付けられる。前記m個の第1の素子は、複数の素子群を形成し、各素子群は、直列に接続されるn個の第1の素子を有し、その両端で、対応する整流子セグメントのみに接続され、ここで、P≧n≧2である。各第2の素子の両端は、対応する整流子セグメントに接続される。
【0006】
[0007] 各第2の素子の巻回数は、各第1の素子の巻回数のn倍であることが好ましい。
【0007】
[0008] 前記m個の第1の素子は、単一のワイヤによって連続的に形成されることが好ましい。
【0008】
[0009] 前記m個の第2の素子は、単一のワイヤによって連続的に形成されることが好ましい。
【0009】
[0010] 前記m個の第1の素子及び前記m個の第2の素子は、単一のワイヤによって形成されることが好ましい。
【0010】
[0011] 前記ロータ巻線は、第1の巻線層と、前記第1の巻線層の外側に配設される第2の巻線層とを形成し、前記m個の第1の素子は、一方の同じ巻線層に位置し、前記m個の第2の素子は、他方の同じ巻線層に位置することが好ましい。
【0011】
[0012] 前記ロータ巻線は、2*(P-1)個の並列分岐回路を形成し、1つ又は2つの並列分岐回路は、前記m個の第1の素子によって形成され、残りの並列分岐回路は、前記m個の第2の素子によって形成されることが好ましい。
【0012】
[0013] Pは、3であり、mは、9であり、nは、3であり、前記ステータは、6個のステータ極を有し、前記ロータは、9個の歯を有し、前記ロータ巻線は、9個の第1の素子及び9個の第2の素子を有することが好ましい。
【0013】
[0014] 前記ロータ巻線は、4つの並列分岐回路を形成し、前記4つの分岐回路の1つは、前記9個の第1の素子によって形成され、前記9個の第2の素子は、残りの3つの並列分岐回路を形成し、各並列分岐回路は、直列に接続される前記第2の素子の3つを有することが好ましい。
【0014】
[0015] 前記整流子セグメントの数は、前記歯の数の2倍であることが好ましい。
【0015】
[0016] 前記整流子は、複数の電圧等化線を有し、各電圧等化線は、等しい電位の前記整流子セグメントのP個を短絡させることが好ましい。
【0016】
[0017] 前記ロータ巻線は、0.7mm~0.8mmの直径を有するワイヤによって形成されることが好ましい。
【0017】
[0018] 別の態様では、本発明は、ファンを備える冷却モジュールを提供するものである。前記冷却モジュールは、更に、上記のブラシモータを備える。
【0018】
[0019] 前記冷却モジュールは、自動車のエンジンの冷却モジュールであり、前記ファンは、前記ロータによって直接駆動されることが好ましい。
【0019】
[0020] 本発明の実施によって、ロータ巻線の総巻回数及び巻き付け時間を低減することができることにより、製造効率を向上させ、モータの製造コストを削減する。
【0020】
[0021] 本発明の利点及び実施は、図面を参照して下記の実施形態を検討することによって、より明らかになるであろう。各図は、限定的なものではなく、例示的なものであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるブラシモータを示す図である。
図2図1のブラシモータの分解図である。
図3図2のブラシモータのブラシホルダを示す図である。
図4】本発明の一実施形態による図1のブラシモータの巻線図である。
図5図4の第1の素子によって形成される巻線の巻線図である。
図6図4の第2の素子によって形成される巻線の巻線図である。
図7図4のロータ巻線によって形成される等価回路を示す図である。
図8】本発明によって提供される冷却モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0030] 図1図2及び図3を参照すると、本発明の一実施形態によるブラシモータ100は、ステータ及びロータを含むブラシ直流モータである。ステータは、外部ハウジング60と、外部ハウジング60の内面に取り付けられる永久磁石62と、外部ハウジング60の開口端に固定されるエンドキャップ61とを含む。永久磁石62は、6個のステータ極を形成する。Pを用いて、極対の数を表すと、Pは、3に等しい。L字状の連結部66が、外部ハウジング60の外面に取り付けられる。各L字状の連結部66は、固締具を貫通させて、ブラシモータ100を取り付けるための貫通穴67を有する。ブラシホルダ63が、エンドキャップ61に取り付けられ、電気ブラシ64が、ブラシホルダ63に取り付けられる。
【0023】
[0031] ロータは、回転軸70と、回転軸70に同軸に固定されるロータコア71と、整流子72とを含む。ロータは、外部ハウジング60内に取り付けられ、回転軸70は、外部ハウジング60の底部に取り付けられる軸受(図示せず)及びエンドキャップ61に配設される軸受74aによって支持されて、ステータに対して相対的に回転することができるようになっている。外部ハウジング60の底部の中心は、貫通穴(図示せず)を形成し、この貫通穴を介して、回転軸70の一端は、延出して、外部装置を駆動する。
【0024】
[0032] 整流子72は、絶縁ベースと、絶縁ベースに固定される複数の整流子セグメントとを含む。整流子72は、電気ブラシ64と摺動接触して、電力を、整流子セグメントに供給するようになっている。フック75が、整流子セグメントの底端に形成されて、巻線ワイヤを係着する。
【0025】
[0033] ロータコア71は、ブラシモータ100から半径方向外方に延在する複数の歯を含み、歯の数は、9である。mを用いて、歯の数を表し、Pを用いて、極対の数を表すと、mは、9であり、Pは、3であり、2mとPとの比は、整数である。ワイヤスロットが、隣接する歯の間に形成され、9個の歯は、それらの間に、合計9個のスロットを形成する。整流子セグメントの数は、歯の数の2倍である。すなわち、整流子セグメントの数は、2m、すなわち、18である。
【0026】
[0034] ロータコア71には、ロータ巻線73が巻き付けられる。この実施形態では、ロータ巻線73は、0.7mm~0.8mmの直径を有するワイヤによって巻き付けられる。
【0027】
[0035] 図4に、ロータ巻線73の接続関係を示す。図4を参照すると、18個の整流子セグメントは、S1~S18で示される。ロータ巻線の接続をより明瞭に示すため、図4は、整流子セグメントS17,S18,S1及びS2を重複して示す。ロータの9個の歯は、T1~T9で示される。
【0028】
[0036] ロータ巻線73は、集中巻線であり(各素子が、1つの歯の周りに巻き付けられる)、各歯には、2つの素子が巻き付けられている。したがって、素子の数は、18であり、これは、歯の数の2倍であり、整流子セグメントの数に等しい。
【0029】
[0037] 図4を参照すると、整流子72は、6つの電圧等化線76を含み、各電圧等化線76は、等しい電位の3つの整流子セグメントを短絡させる。例えば、整流子セグメントS1,S7,S13は、1つの電圧等化線76を介して短絡され、整流子セグメントS2,S8,S14は、1つの電圧等化線76を介して短絡され、整流子セグメントS3,S9,S15は、1つの電圧等化線76を介して短絡され、整流子セグメントS4,S10,S16は、1つの電圧等化線76を介して短絡され、整流子セグメントS5,S11,S17は、1つの電圧等化線76を介して短絡され、整流子セグメントS6,S12,S18は、1つの電圧等化線76を介して短絡される。整流子セグメントの数が、極対の数Pの整数(例えば、q)倍であるとき、整流子セグメントは、q個の群に分けることができ、各群は、等しい電位のP個の整流子セグメントを有することが理解される。
【0030】
[0038] ロータ巻線73の接続関係を簡単に示すために、図4のロータ巻線73を、図5及び図6の展開図に分割して示す。
【0031】
[0039] 図5を参照すると、まず、ワイヤは、整流子セグメントS1などの1つの整流子セグメントに係着される。ワイヤは、整流子セグメントS1から延出して、歯T1とT2との間のワイヤスロット内に入り込み、時計回り方向に沿って歯T1の周りに複数回巻き付けられることによって、第1の素子を形成する。次に、ワイヤは、歯T3とT4との間のワイヤスロット内に延在し、時計回り方向に沿って歯T4の周りに複数回巻き付けられることによって、第2の素子を形成する。次に、ワイヤは、歯T6とT7との間のワイヤスロット内に延在し、時計回り方向に沿って歯T7の周りに複数回巻き付けられることによって、第3の素子を形成する。次に、ワイヤは、整流子セグメントS2に係着される。3つの素子は、素子群を形成する。この素子群は、3つの直列に接続された素子を含み、素子群の2つの端部のみは、電位が等しくない2つの対応する整流子セグメントに接続される。
【0032】
[0040] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS2から延出して、歯T5とT6との間のワイヤスロット内に入り込み、反時計回り方向に沿って歯T6の周りに複数回巻き付けられることによって、第4の素子を形成する。次に、ワイヤは、歯T3とT4との間のワイヤスロット内に延在し、反時計回り方向に沿って歯T3の周りに複数回巻き付けられることによって、第5の素子を形成する。次に、ワイヤは、歯T9とT11との間のワイヤスロット内に延在し、反時計回り方向に沿って歯T9の周りに複数回巻き付けられることによって、第6の素子を形成する。次に、ワイヤは、整流子セグメントS9に係着される。3つの素子は、素子群を形成する。この素子群は、3つの直列に接続された素子を含み、素子群は、素子群の2つの端部のみで、電位が等しくない2つの対応する整流子セグメントに接続される。
【0033】
[0041] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS9から延出して、歯T5とT6との間のワイヤスロット内に入り込み、反時計回り方向に沿って歯T5の周りに複数回巻き付けられることによって、第7の素子を形成する。次に、ワイヤは、歯T7とT8との間のワイヤスロット内に延在し、時計回り方向に沿って歯T8の周りに複数回巻き付けられることによって、第8の素子を形成する。次に、ワイヤは、歯T1とT2との間のワイヤスロット内に延在し、時計回り方向に沿って歯T2の周りに複数回巻き付けられることによって、第9の素子を形成する。次に、ワイヤは、整流子セグメントS16に係着される。3つの素子は、素子群を形成する。この素子群は、3つの直列に接続された素子を含み、素子群は、素子群の2つの端部のみで、電位が等しくない2つの対応する整流子セグメントに接続される。
【0034】
[0042] したがって、各素子群は、3つの直列に接続された素子を含み、各素子群の2つの端部は、対応する2つの整流子セグメントに接続されるだけである。図5の素子の巻き付け工程は、以下の表に示すことができる。
【0035】
【表1】
【0036】
[0043] 図6を参照すると、次に、ワイヤは、整流子セグメントS16から延出して、歯T3とT4との間のワイヤスロット内に入り込み、反時計回り方向に沿って歯T4の周りに複数回巻き付けられることによって、第10の素子を形成し、次に、整流子セグメントS11に係着される。
【0037】
[0044] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS11から延出して、歯T3とT4との間のワイヤスロット内に入り込み、時計回り方向に沿って歯T3の周りに複数回巻き付けられることによって、第11の素子を形成し、次に、整流子セグメントS12に係着される。
【0038】
[0045] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS12から延出して、歯T1とT2との間のワイヤスロット内に入り込み、反時計回り方向に沿って歯T2の周りに複数回巻き付けられることによって、第12の素子を形成し、次に、整流子セグメントS7に係着される。
【0039】
[0046] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS7から延出して、歯T1とT2との間のワイヤスロット内に入り込み、時計回り方向に沿って歯T1の周りに複数回巻き付けられることによって、第13の素子を形成し、次に、整流子セグメントS8に係着される。
【0040】
[0047] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS8から延出して、歯T8とT9との間のワイヤスロット内に入り込み、反時計回り方向に沿って歯T9の周りに複数回巻き付けられることによって、第14の素子を形成し、次に、整流子セグメントS3に係着される。
【0041】
[0048] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS3から延出して、歯T8とT9との間のワイヤスロット内に入り込み、時計回り方向に沿って歯T8の周りに複数回巻き付けられることによって、第15の素子を形成し、次に、整流子セグメントS4に係着される。
【0042】
[0049] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS4から延出して、歯T6とT7との間のワイヤスロット内に入り込み、反時計回り方向に沿って歯T7の周りに複数回巻き付けられることによって、第16の素子を形成し、次に、整流子セグメントS17に係着される。
【0043】
[0050] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS17から延出して、歯T6とT7との間のワイヤスロット内に入り込み、時計回り方向に沿って歯T6の周りに複数回巻き付けられることによって、第17の素子を形成し、次に、整流子セグメントS18に係着される。
【0044】
[0051] 次に、ワイヤは、整流子セグメントS18から延出して、歯T4とT5との間のワイヤスロット内に入り込み、反時計回り方向に沿って歯T5の周りに複数回巻き付けられることによって、第18の素子を形成し、次に、整流子セグメントS13に係着される。
【0045】
[0052] 整流子セグメントS13及び整流子セグメントS1が、電圧等化線76を介して短絡されるので、ワイヤによって巻き付けられる18個の素子は、閉ループを形成する。
【0046】
[0053] 図6の素子の巻き付け工程は、以下の表に示すことができる。
【0047】
【表2】
【0048】
[0054] 図5及び図6の巻線を組み合わせると、図4のロータ巻線73になる。もちろん、2つのワイヤを用いて、図5及び図6の巻線をそれぞれ巻き付けることができ、又は代替的に、単一のワイヤを用いて、図5及び図6の巻線を連続的に巻き付けることができる。図5の巻線は、図6の巻線を巻き付ける前に、巻き付けることができ、又は代替的に、図6の巻線は、図5の巻線を巻き付ける前に、巻き付けることができる。
【0049】
[0055] 図5の巻線が、最初に巻き付けられると、図5の巻線は、ロータ巻線73の第1の巻線層を形成し、図6の巻線は、第1の巻線層の外側に配設されるロータ巻線73の第2の巻線層を形成する。もちろん、図6の巻線が、最初に巻き付けられると、図6の巻線は、ロータ巻線73の第1の巻線層を形成し、図5の巻線は、第1の巻線層の外側に配設されるロータ巻線73の第2の巻線層を形成する。
【0050】
[0056] 説明を容易にするため、図5の素子を、第1の素子と呼び、図6の素子を、第2の素子と呼ぶ。したがって、ロータ巻線73は、合計9個の第1の素子及び9個の第2の素子を有し、各歯には、1つの第1の素子及び1つの第2の素子が巻き付けられる。
【0051】
[0057] 各歯には、1つの第1の素子及び1つの第2の素子が巻き付けられるので、m個の歯を有するモータの場合(mは、2Pよりも大きく且つ4Pよりも小さい整数であり、ここで、2mは、Pの整数倍である)、ロータ巻線は、m個の第1の素子及びm個の第2の素子を含む。m個の第1の素子は、複数の素子群を形成し、各素子群は、n個の直列に接続された第1の素子を有し(nは、2以上且つP以下の整数である)、各素子群は、素子群の2つの端部のみで、2つの対応する整流子セグメントに接続する。各第2の素子の2つの端部は、対応する整流子セグメントと電気的に接続される。整流子72が、2m個の整流子セグメントを有するとき、整流子72は、2m/P個の電圧等化線を有し、各電圧等化線は、等しい電位のP個の整流子セグメントを短絡させる。したがって、ロータ巻線73によって形成される等価回路は、2(P-1)個の並列分岐回路を有し、1つの分岐回路は、直列に接続されたm個の第1の素子によって形成され、残りの分岐回路は、m個の第2の素子によって形成され、残りの分岐回路の各々は、直列に接続されたn個の第2の素子を有する。
【0052】
[0058] 以下では、等価回路について、図1図4の実施形態と関連して、詳細に説明する(Pは、3であり、mは、9であり、nは、3である)。
【0053】
[0059] 図7を参照すると、ロータ巻線73は、4つの並列分岐回路を有する等価回路を形成する。第1列は、直列に接続された9個の第1の素子を有する第1の並列分岐回路を示す(図5に図示)。第2、第3及び第4列は、9個の第2の素子によって形成される残りの3つの並列分岐回路を示し(図5に図示)、各並列分岐回路は、3つの直列に接続された第2の素子を有する。
【0054】
[0060] 好ましくは、各並列分岐回路は、総巻回数が同じであり、それぞれの並列分岐回路を流れる電流のバランスをとる。第1の並列分岐回路の直列に接続された第1の素子の数は、第2の並列分岐回路の直列に接続された第2の素子の数の3倍である。したがって、各第2の素子の巻回数は、好ましくは、各第1の素子の巻回数の3倍である。
【0055】
[0061] もちろん、m個の第1の素子及びm個の第2の素子を有するロータ巻線73の場合、m個の第1の素子が、複数の素子群を形成し(各素子群は、素子群の2つの端部で、対応する整流子セグメントに接続する)、各素子群が、n個の直列に接続された第1の素子を有する(nは、2よりも大きく且つPよりも小さい整数である)場合、各第2の素子の巻回数は、各第1の素子の巻回数のn倍である。
【0056】
[0062] 上記のように、この実施形態のロータ巻線73は、4つの並列分岐回路を形成し、これは、従来の解決法の6つの分岐回路よりも2つ少ない。第1の素子の巻回数は、第2の素子の巻回数よりも小さい。したがって、総巻回数が低減され、これにより、巻き付け時間を短縮し、ひいては、製造効率を向上させる。
【0057】
[0063] 図8は、本発明の一実施形態による冷却モジュール200を示す。冷却モジュール200は、ファン201及びブラシモータ100を含む。ファン201は、ブラシモータ100のロータによって直接駆動される。この実施形態では、冷却モジュール200は、自動車のエンジンの冷却モジュールである。
【0058】
[0064] 1つ以上の実施形態を参照して、本発明を説明するが、実施形態の上記説明を用いて、当業者が本発明を実施又は使用することができるにすぎない。当業者であれば、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、種々の変更が可能であるものと理解される。本明細書に例示した実施形態は、本発明に対する限定として解釈すべきではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲を参照することにより決定されるべきである。
【符号の説明】
【0059】
60 外部ハウジング
61 エンドキャップ
62 永久磁石
63 ブラシホルダ
64 電気ブラシ
66 連結部
67 貫通穴
70 回転軸
71 ロータコア
72 整流子
73 ロータ巻線
74a 軸受
75 フック
76 電圧等化線
100 ブラシモータ
200 冷却モジュール
201 ファン
S1~S18 整流子セグメント
T1~T9 歯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8