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特許7043215施設内監視システム、施設内監視装置、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】施設内監視システム、施設内監視装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20220322BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20220322BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/16 300
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2017203934
(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公開番号】P2019079136
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇元 立
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-284245(JP,A)
【文献】特開2015-025631(JP,A)
【文献】特開2015-056031(JP,A)
【文献】特開2012-226571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0109149(US,A1)
【文献】特開2016-184196(JP,A)
【文献】特開2017-117416(JP,A)
【文献】特開2017-4165(JP,A)
【文献】パナソニック(株)アプライアンス社/「エアコンみまもりサービス」,月刊シニアビジネスマーケット 第13巻 第11号 SENIOR BUSINESS MARKET,綜合ユニコム(株),2016年11月,第13巻,pp.72-73
【文献】介護を助けるIoT 熱中症、失禁を防ぐ,日経コンピュータ no.943 NIKKEI COMPUTER,日本,日経BP社 Nikkei Business Publications,Inc.,2017年07月20日,pp.28-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内の複数の区画の位置を示した区画配置図を表示する表示部と、
前記区画毎に設けられ、疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータを計測するセンサと、
前記センサから出力される前記環境パラメータの計測値に基づいて、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を前記区画配置図に識別可能に表示させる表示データを生成する制御部と、
記憶部と、
を備え
前記施設は医療施設であり、
前記区画は病室であり、
前記疾病が、感染症を含み、
前記記憶部は、疾病の種類に応じた前記環境パラメータの基準範囲を記憶し、
前記制御部は、前記環境パラメータの計測値がその基準範囲を外れた区画について、環境状態が良好でないと判定する、
施設内監視システム。
【請求項2】
施設内の複数の区画の位置を示した区画配置図を表示する表示部と、
前記区画毎に設けられ、疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータを計測するセンサと、
前記センサから出力される前記環境パラメータの計測値に基づいて、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を前記区画配置図に識別可能に表示させる表示データを生成する制御部と、
記憶部と、
を備え、
前記施設は医療施設であり、
前記区画は病室であり、
前記疾病が、感染症を含み、
前記記憶部は、疾病の種類に応じた前記環境パラメータの基準範囲を記憶し、
前記制御部は、前記環境パラメータの計測値から、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を示す指標を求め、前記指標がその基準範囲を超えた区画について環境状態が良好でないと判定する、
施設内監視システム。
【請求項3】
前記環境パラメータが、温度情報、湿度情報および換気情報よりなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記疾病が、熱中症をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記感染症が、飛沫感染症である、請求項1からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記飛沫感染症が、ウイルス、真菌、および細菌よりなる群から選択される少なくとも一種に起因するものである、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ウイルスが、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、およびパラインフルエンザウイルスよりなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記真菌が、カンジダ菌、放線菌、ジオトリクム菌、アスペルギルス菌、クリプトコックス菌、およびノカルジア菌よりなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記細菌が、マイコプラズマ、レジオネラ菌、へモフィルス菌、肺炎双球菌、および百日咳菌よりなる群から選択される少なくとも一種である、
請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記センサは、前記環境パラメータを経時的に計測し、
記環境パラメータの計測値が、前記センサによって経時的に計測した計測値である、請求項からのいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、区画毎の環境状態に応じた注意喚起レベルを前記区画配置図に識別可能に表示させるための注意通知データを生成する、請求項1からのいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記注意喚起レベルはマーク、色、アイコン、文字、または数値で識別可能に表示される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御部は、環境状態が良好でない区画がある場合、予め設定された携帯端末に、該当する区画の前記環境状態を通知する、請求項1から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記制御部は、環境状態が良好でない区画がある場合、該当する区画の前記環境パラメータを前記表示部に表示させる、請求項1から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記施設は、複数の人を収容可能である、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記感染症が院内感染である、請求項から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記区画配置図には、前記区画に滞在している人物に関する人物情報が表示される、請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記人物情報は、前記人物が罹患している疾病に関する情報を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
記憶部と制御部とを備える施設内監視装置であって、前記施設内監視装置は、表示部を備えたクライアント装置に接続され、
前記記憶部、施設内の複数の区画の位置を示した区画配置図と、疾病の種類に応じた前記疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータの基準範囲を記憶しており、
前記施設は医療施設であり、
前記区画は病室であり、
前記疾病が、感染症を含み、
前記制御部、前記区画毎に設けられたセンサから出力される、前記区画毎の前記環境パラメータを取得し、取得した前記環境パラメータに基づいて、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を前記区画配置図に識別可能に表示させる表示データを作成し、作成した前記表示データを前記クライアント装置に送信する、施設内監視装置であって、
前記制御部は、前記環境パラメータの計測値が、その基準範囲を外れた時に、環境状態が良好でないと判定する、
施設内監視装置
【請求項18】
表示部を備えたクライアント装置に接続され、施設内の複数の区画の位置を示した区画配置図と、疾病の種類に応じた前記疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータの基準範囲を記憶した記憶部と、制御部とを備える施設内監視装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記施設は医療施設であり、
前記区画は病室であり、
前記疾病が、感染症を含み、
前記制御部に、前記区画毎に設けられたセンサから出力される、前記環境パラメータを取得する処理、
取得した前記区画毎の環境パラメータに基づいて、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を前記区画配置図に識別可能に表示させる表示データを生成する処理、および
作成した前記表示データを前記クライアント装置に送信する処理を制御部に実行させる、プログラムであって、
前記制御部に、前記環境パラメータの計測値が、その基準範囲を外れた時に、環境状態が良好でないと判定させる、
プログラム
【請求項19】
施設内の複数の区画毎に設けられたセンサから取得される、前記区画内の疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータの計測値に基づいて、前記施設内の各区画の位置を示す区画配置図に、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を識別可能に表示させるための表示データを生成する工程を含
前記施設は医療施設であり、
前記区画は病室であり、
前記疾病が、感染症を含み、
前記環境パラメータの計測値が、その基準範囲を外れた時に、環境状態が良好でないと判定し、前記基準範囲は疾病の種類に応じて設定されている、
コンピュータにより実施される施設内監視方法。
【請求項20】
表示データ生成工程の後に、さらに、前記区画配置図に、前記環境状態を識別可能に表示する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内監視システム、施設内監視装置、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、院内感染をモニタリングするシステムが記載されている(図19A)。特許文献1に記載の感染情報提供システムによると、病院施設内における病棟の配置位置を示す病棟マップ(図19B)等に、患者が感染している病原体を識別するための病原体識別情報を識別可能に表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-226571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施設内の温度および湿度等の環境状態の悪化により、様々な疾病が発生することが知られている。つまり、例えば、12月から3月に見られるインフルエンザの流行には、特に気温と湿度が関わっており、施設内を適度な湿度(50~60%)に保つことは、インフルエンザウイルスの感染を防ぐために有効であるとされている。一方、夏場のエアコンが使用されていない室内では、熱中症が発生し、重篤な例では高齢者の死亡例も報告されている。
【0005】
施設内の環境状態をモニタリングし、環境状態を適正に保つことは、感染症の蔓延や、熱中症等の環境因子に起因する疾病を防ぐ上で重要である。しかし、特許文献1に記載のシステムでは、患者が既に感染している病原体の情報に基づいて、院内感染の情報を識別可能に表示するため、施設内の環境状態に起因し発生しうる疾病の危険性を把握することはできない。
【0006】
上記先行技術に鑑み、本発明は、施設内の環境状態をモニタリングして環境状態に起因する疾病の発生の危険性を把握できる。また、ユーザに病室等の各区画における環境状態を迅速に把握させる方法を提供することを一課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、施設内の複数の区画の位置を示した区画配置図を表示する表示部(32)と、前記区画毎に設けられ、疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータ(50)を計測するセンサ(60)と、前記センサから出力される前記環境パラメータ(50)の計測値に基づいて、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を前記区画配置図に識別可能に表示させる表示データ(40)を生成する制御部(21a)と、を備える、施設内監視システム(100)に関する。本実施形態によれば、センサにより施設内の環境状態をモニタリングし、環境状態に起因する疾病の発生の危険性をユーザに把握させるための表示データを生成することができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、施設内監視システム(100)は、さらに記憶部を備え、前記記憶部(21d)は前記環境パラメータの基準範囲を記憶し、前記制御部(21a)は、前記環境パラメータ(50)の計測値がその基準範囲を外れた区画について、環境状態が良好でないと判定する。本実施形態によれば、環境状態が良好でない区画を把握させるための表示データを生成することができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、施設内監視システム(100)は、さらに記憶部を備え、前記記憶部(21d)は前記環境パラメータの基準範囲を記憶し、前記制御部(21a)は、前記環境パラメータ(50)の計測値から、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を示す指標を求め、前記指標がその基準範囲を超えた区画について環境状態が良好でないと判定する。本実施形態によれば、複数の環境パラメータ(50)から環境状態を示す指標を求めることにより、前記指数から環境状態が良好でない区画を把握させるための表示データを生成することができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記記憶部(21d)は、疾病の種類に応じた基準範囲を記憶する。本実施形態によれば、基準範囲を疾病毎に定めることにより、疾病に応じた環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。
【0011】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記環境パラメータ(50)は、温度情報、湿度情報および換気情報よりなる群から選択される少なくとも一つである。本実施形態によれば、特に温度、湿度または換気回数に関連する疾病について環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。
【0012】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記疾病が、感染症または熱中症である。本実施形態によれば、特に感染症または熱中症に関連する環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。
【0013】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記感染症は、飛沫感染症である。本実施形態によれば、特に飛沫感染症に関連する環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。
【0014】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記飛沫感染症は、ウイルス、真菌、および細菌よりなる群から選択される少なくとも一種に起因するものである。本実施形態によれば、特にウイルス、真菌、または細菌に関連する環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。
【0015】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記ウイルスは、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、およびパラインフルエンザウイルスよりなる群から選択される少なくとも一種であり、前記真菌は、カンジダ菌、放線菌、ジオトリクム菌、アスペルギルス菌、クリプトコックス菌、およびノカルジア菌よりなる群から選択される少なくとも一種であり、前記細菌は、マイコプラズマ、レジオネラ菌、へモフィルス菌、肺炎双球菌、および百日咳菌よりなる群から選択される少なくとも一種である。本実施形態によれば、前記病原体に関連する環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。
【0016】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記センサは、前記環境パラメータ(50)を経時的に計測し、前記制御部(21a)は、前記センサが経時的に計測した環境パラメータ(50)の計測値を記憶部に記録し、前記環境パラメータ(50)の経時的な計測値に基づいて、各区画の環境状態が良好であるか否かを判定する。本実施形態によれば、環境状態の経時的なモニタリング結果に基づいて、疾病の発生に関連する環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。
【0017】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記制御部(21a)は、区画毎の環境状態に応じた注意喚起レベルを前記施設内区画配置図に識別可能に表示させるための注意通知データを生成する。本実施形態によれば、区画毎の環境状態に応じた注意喚起レベルをユーザに把握させるための注意通知データを生成することができる。
【0018】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記注意喚起レベルはマーク、色、アイコン、文字、及び数値から選択される少なくとも一つで識別可能に表示される。本発明の実施形態によれば、ユーザは、どこの区画において環境状態が良好でなくなっているかを区画配置図上で一目で把握することができる。
【0019】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記制御部(21a)は、環境状態が良好でない区画がある場合、予め設定された携帯端末(400)に、該当する区画の前記環境状態を通知する。本実施形態によれば、ユーザは、例えば表示部(32)の近くにいなくとも、環境状態が良好でなくなった区画があること、それがどこの区画であるかを把握することができる。
【0020】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記制御部(21a)は、環境状態が良好でない区画がある場合、該当する区画の前記環境パラメータ(50)を前記表示部に表示させる。本実施形態によれば、ユーザは、どの環境パラメータを適切になるように制御しなければならないかを一目で把握することができる。
【0021】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記施設は、複数の人を収容可能である。本実施形態によれば、複数の人を収容可能な施設において、ユーザに環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。このことは、集団感染等の防止の一助となる。
【0022】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記施設は、医療施設、教育施設、および福祉施設よりなる群から選択される少なくとも一つである。本実施形態によれば、医療施設、教育施設、および福祉施設等の疾病の蔓延について特に注意を払わなければならない施設において、ユーザに環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。このことは、集団感染等の防止の一助となる。
【0023】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記施設は医療施設であり、前記区画は病室である。本実施形態によれば、特に医療施設において、ユーザに環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。このことは、病院における新たな疾病発生防止の一助となる。
【0024】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記感染症は院内感染である。本実施形態によれば、特に医療施設において、ユーザに環境状態を把握させるための表示データを生成することができる。このことは、院内感染防止の一助となる。
【0025】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記区画配置図には、前記区画に滞在している人物に関する人物情報が表示される。本実施形態によれば、環境状態が良好でなくなった区画と、その区画に滞在している人物がどのような者であるかについても同時に把握することができる。
【0026】
本発明の一実施形態は、施設内監視システム(100)において、前記人物情報は、前記人物が罹患している疾病に関する情報を含む。本実施形態によれば、環境状態が良好でなくなった区画と、その区画に滞在している人物がどのような疾病を有しているかについても同時に把握することができる。
【0027】
本発明の一実施形態は、記憶部(21d)と制御部(21a)とを備える施設内監視装置(200)であって、前記装置(200)は、表示部(32)を備えたクライアント装置(300)に接続され、前記記憶部(21d)が、施設内の複数の区画の位置を示した区画配置図を記憶しており、前記制御部が、前記区画毎に設けられたセンサ(60)から出力される、前記区画毎の疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータ(50)を取得し、取得した前記環境パラメータ(50)に基づいて、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を前記区画配置図に識別可能に表示させる表示データ(40)を作成し、作成した前記表示データを前記クライアント装置(300)に送信する、施設内監視装置(200)に関する。本実施形態によれば、センサにより施設内の環境状態をモニタリングし、環境状態に起因する疾病の発生の危険性をユーザに把握させるための表示データを生成することができる。
【0028】
本発明の一実施形態は、表示部を備えたクライアント装置(300)に接続され、施設内の複数の区画の位置を示した区画配置図を記憶した記憶部(21d)と、制御部(21a)とを備える施設内監視装置(200)としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記制御部(21a)に、前記区画毎に設けられたセンサ(60)から出力される、疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータ(50)を取得する処理、取得した前記区画毎の環境パラメータ(50)に基づいて、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を前記区画配置図に識別可能に表示させる表示データ(40)を生成する処理、および、作成した前記表示データを前記クライアント装置(300)に送信する処理を制御部(32)に実行させる、プログラムに関する。本実施形態によれば、センサにより施設内の環境状態をモニタリングし、環境状態に起因する疾病の発生の危険性をユーザに把握させるための表示データを生成することができる。
【0029】
本発明の一実施形態は、施設内の複数の区画毎に設けられたセンサ(60)から取得される、前記区画内の疾病の発生の危険度と関連する環境パラメータ(50)の計測値に基づいて、前記施設内の各区画の位置を示す区画配置図に、各区画における疾病の発生の危険度を表す環境状態を識別可能に表示させる表示データを生成する工程と、前記区画配置図に、前記環境状態を識別可能に表示する工程と、を含む、施設内監視方法に関する。本実施形態によれば、センサにより施設内の環境状態をモニタリングし取得されたデータに基づいて、環境状態に起因する疾病の発生の危険性をユーザに把握させるための表示データを生成することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、区画毎の環境パラメータに基づいて、環境状態に起因する疾病の発生の危険性を監視できる。またユーザに、病室等の各区画の環境状態を迅速に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る施設内監視システムのクライアント装置における画面表示の一例である。
図2】実施形態に係る施設内監視システムの全体構成を示す模式図である。
図3】施設内監視装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】施設内監視装置の記憶部に記憶された各種データベースの構成を示す模式図である。
図5】クライアント装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】携帯情報端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】メニュー画面の画面表示の一例である。
図8】病棟マップの画面表示の一例である。
図9】フロアマップの画面表示の一例である。
図10】区画マップの画面表示の一例である。
図11】施設マップ表示処理の手順を示すフローチャートである。
図12】病棟マップの画面表示の一例である。
図13】フロアマップの画面表示の一例である。
図14】区画マップの画面表示の一例である。
図15】注意通知表示処理の手順を示すフローチャートである。
図16】Aは温度の基準範囲と判定結果を示すテーブルである。Bは湿度の基準範囲と判定結果を示すテーブルである。Cは温度と湿度を組み合わせた基準範囲と判定結果を示すテーブルである。Dは、経時的に記録された計測値と判定結果を示すテーブルである。
図17】ヒートインデックスの一例を示す図である。
図18】注意通知をマウスでポイントしたときに、良好でないと判定された環境パラメータの項目を示す例である。
図19】特許文献1に記載の従来技術を示す図である。Aはシステムの全体構成を示す。Bは、病棟マップの一例である。
図20】ユーザが基準範囲を任意に設定する際の入力画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同一の符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同一または類似の構成要素に関する説明を省略する。なお、本発明は、以下に説明する具体的な実施形態に限定されるものでない。
【0033】
[発明の概要]
はじめに、図1を用いて本発明の一実施形態の概要を示す。本発明の一実施形態に係る施設内監視システム100(以下、単にシステム100とする)は、施設900内の環境の状態を監視するために用いられる。前記環境状態は、例えば、疾病の発生に関連する環境の状態であり、環境に依存した疾病の発生のリスク(危険度)を反映する。前記環境状態は、好ましくは、環境因子(温度、湿度、換気回数および光(例えば紫外線)等)の計測情報(例えば計測値)によって示される。より好ましくは、前記環境状態は、温度、湿度、換気回数および光(例えば紫外線)等から選択される少なくとも一種の状態を示す。さらに好ましくは、前記環境状態は、温度および湿度から選択される少なくとも一種の状態を示す。本実施態様において疾病は、好ましくは施設内の温度、湿度、換気回数および光(例えば紫外線)等の量等に関連する環境パラメータ50の悪化により発症しうるものである。そのような疾病としては、例えば、熱中症または感染症等を挙げることができる。感染症としては、飛沫感染等の集団感染につながりやすい感染症を挙げることができる。飛沫感染を起こしやすい病原体としては、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、およびパラインフルエンザウイルス等のウイルス;カンジダ菌、放線菌、ジオトリクム菌、アスペルギルス菌、クリプトコックス菌、およびノカルジア菌等の真菌;マイコプラズマ、レジオネラ菌、へモフィルス菌、肺炎双球菌、および百日咳菌等の細菌を挙げることができる。また、感染症としては、院内感染に起因するものを挙げることができる。
【0034】
システム100は、例えば、図1に示すように、施設内に配置された複数の区画について、各区画に設けられたセンサ60を備える。センサ60は、疾病の発生の危険度と関連する区画内の環境パラメータ50を計測する。また、システム100は、前記複数の区画の位置を示したフロアマップM301等の施設内区画配置図(施設マップともいう)を表示する表示部32を備える。
【0035】
さらに、システム100は、前記センサ60から出力される前記環境パラメータ50の計測値に基づいて、各区画における前記環境状態を施設内区画配置図に識別可能に表示させるための表示データ(注意通知表示データ)40を生成する制御部21aと、を備える。注意通知表示データ40には、例えば、フロアマップM301に、前記環境状態が良好でない区画について表示する注意通知C221、C222が含まれる。
【0036】
図1に例示するフロアマップM301では、区画番号「7101」の区画に注意通知C221が表示され、区画番号「7102」および区画番号「7115」の区画に注意通知C222が表示されている。注意通知C221は、円形枠に囲まれた2つの感嘆符を含むアイコンであり、環境状態が非常に悪化しており、注意喚起レベルが高い、すなわち疾病が発生する危険性が非常に高い「警告」であることを示している。また、注意通知C221は、前記疾病がインフルエンザであることを示している。この疾病の表示は任意である。注意通知C222は、円形枠に囲まれた1つの感嘆符を含むアイコンであり、環境状態が比較的悪化しており、注意喚起レベルが低い「要注意」であることを示している。また、注意通知C222は、前記疾病が熱中症であることを示している。この疾病の表示は任意である。環境状態が良好な区画には、注意通知C221,C222は表示されない。
【0037】
例えば、ナースステーションに配置された表示部32に表示される図1のフロアマップM301における注意通知C221,C222を確認することにより、例えば看護師は、環境状態が良好でない区画を確実に把握することが可能となる。したがって、看護師は、環境状態が良好でない区画の環境状態を改善するための措置を速やかに施すことができる。
【0038】
例えば図1に示す例では、区画番号「7101」、「7102」および「7115」の区画の環境状態が良好でないことが容易に把握できる。したがって、看護師は、これらの区画において例えば加湿器または除湿器を追加で運転させたり、エアコンの設定温度を調節したり、換気扇を動作させて積極的に換気を行う等の対策を速やかに施すことが可能となる。
【0039】
ここで、前記施設900は、複数の人を収容できる限り制限されない。例えば、施設900としては、病院等の医療施設;学校等の教育施設;デイケアセンタ、保育園、幼稚園、老人福祉施設等の福祉施設等を挙げることができる。
【0040】
また、前記区画は、施設900内に設けられた建物(棟)であってもよい。また前記区画は、前記棟内において壁、パーティションおよび/または戸等によって周りの空間と隔てられた部屋等の空間であってもよいが、一部が開放された廊下、スペース等であってもよい。また、前記区画は、各病室内の一人の患者が使用するベッド周辺(目安としては、例えば就寝時等にベッド周辺に張られるカーテンの範囲)であってもよい。例えば、施設900が医療施設である場合には、区画として病棟、病棟フロア、病室等を挙げることができる。
【0041】
[システムの構成]
以下では、医療施設を一例として、図2を用いてシステム100の構成を説明する。しかし本発明の実施形態は、医療施設に限定して解釈されるものではない。システム100は、少なくとも各区画に設けられたセンサ60と、制御部(CPU)21aを備える施設内監視装置200(以下、監視装置200ともいう)と、表示部32とを備える。表示部32は、クライアント装置300と接続されている。システム100において、監視装置200とクライアント装置300とが通信ネットワーク80を介して互いに接続されている。
【0042】
センサ60は、施設900の各区画に設けられる。センサ60は、各区画の任意の箇所に設けることができるが、病棟毎、病室毎、または入院患者のベッド毎に、より詳細には患者の頭部側のベッド脇に配置されていることが好ましい。センサ60は通信部60bを有している。センサ60の通信部60bは、例えばWi-Fi(登録商標)ルータ等の無線装置70に接続し、さらに通信ネットワーク80に接続される。通信ネットワーク80は、有線ネットワークであってもよいし、無線ネットワークであってもよい。各区画に設けられたセンサ60は、計測した環境パラメータ50の値を監視装置200に送信する。
【0043】
監視装置200は、センサ60から収集した環境パラメータ50の計測値に基づいて、区画毎に環境状態を判定し、判定結果をクライアント装置300に送信する。監視装置200は、施設内に設置されていてもよいが、施設外に設置されていてもよい。
【0044】
クライアント装置300は、例えば医師および看護師等の医療従事者(以下、ユーザとする)によって使用され、例えばナースステーション等に設置される。クライアント装置300は、監視装置200から送信される環境状態の判定結果を、表示部32に、施設内の区画配置図(例えば、図1に示す病室マップM301)と共に表示する。
【0045】
システム100は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ラップトップ・コンピュータ等の携帯端末400をさらに備えることができる。携帯端末400は、主に施設900内においてユーザによって使用され、監視装置200から送信される環境状態の判定結果が通知される。また、携帯端末400は、判定結果と共に、施設内の区画の配置図を表示することもできる。
【0046】
[ハードウェアの構成]
<施設内監視装置>
図3に示すように、監視装置200は、例えば汎用のコンピュータによって実現される。監視装置200は、本体21と、表示部22と、入力部23とを備える。表示部22および入力部23は任意の構成である。本体21は、CPU(Central Processing Unit)21a、ROM(read only memory)21b、RAM(Random access memory)21c、記憶部21d、メディアインタフェース21e、入力インタフェース21f、通信インタフェース21g、および出力インタフェース21hを備えている。CPU21a、ROM21b、RAM21c、記憶部21d、メディアインタフェース21e、入力インタフェース21f、通信インタフェース21g、および出力インタフェース21hは、バス21jによって接続されている。記憶部21dは、ハードディスクまたはSSD等により実現されている。
【0047】
記憶部21dには、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム等、CPU21aに実行させるための種々のコンピュータプログラムと、コンピュータプログラムの実行に用いられるデータとがインストールされている。また、後述する図4に示す各種データベースが記憶される。さらに、後述する監視装置200動作用のコンピュータプログラム24aも、この記憶部21dにインストールされている。
【0048】
メディアインタフェース21eは、例えばCD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ等に接続されており(図示せず)、リムーバブルメディア等の可搬型記録媒体24に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み込むことができる。可搬型記録媒体24は、コンピュータ読み取り可能であって一時的でない有形の記録媒体であり、可搬型記録媒体24には、コンピュータを監視装置200として機能させるためのコンピュータプログラム24aが格納されている。監視装置200は、可搬型記録媒体24からコンピュータプログラム24aを読み出し、コンピュータプログラム24aを記憶部21dにインストールすることができる。CPU21aは、RAM21cにコンピュータプログラム24aを読み出して各種演算処理を行うことにより、制御部として機能する。なお、監視装置200は、インターネット等の通信ネットワークを介してコンピュータプログラム24aをダウンロードしてもよい。
【0049】
記憶部21dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本発明に係るコンピュータプログラム24aは、オペレーティングシステム上で動作する。記憶部21dに設けられた各種データベースの構成については、図4を参照して後述する。
【0050】
入力インタフェース21fは、例えばUSB、IEEE1394、またはRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、またはIEEE1284等のパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入力インタフェース21fには、キーボードおよびマウス等の入力部23を接続することができる。
【0051】
通信インタフェース21gは、例えばEthernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース21gは、通信ネットワーク80,90を介してクライアント装置300、センサ60、および携帯端末400に接続されている。監視装置200は、通信インタフェース21gにより、所定の通信プロトコルを使用して、通信ネットワーク80,90に接続されたクライアント装置300、センサ60、および携帯端末400との間でデータの送受信が可能である。
【0052】
出力インタフェース21hは、入力インタフェース21fと同様の構成であってもよい。出力インタフェース21hは、液晶ディスプレイ等で構成された表示部22に接続されており、CPU21aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部22に出力する。表示部22は、入力された映像信号にしたがって画面を表示する。
【0053】
図4に示すように、記憶部21dには、病棟構成データベースDB1、病棟設備データベースDB2、病室配置データベースDB3、病棟設備配置データベースDB4、センサ配置データベースDB5、および環境パラメータ関連データベースDB6が設けられている。また、記憶部21dには、入退院移動情報データベースDB7、保有病原体検査結果データベースDB8、環境検査結果データベースDB9、および装着デバイス情報データベースDB10等が記憶されていてもよい。
【0054】
病棟構成データベースDB1には、各病棟に設けられた病棟フロア、病室およびベッド等の情報が格納される。具体的には、例えば、管理番号、病棟コード、病棟名、フロア名称、病室番号、病室名、およびベッド番号が病棟構成データベースDB1に格納される。
【0055】
病棟設備データベースDB2には、病棟内の病室以外の設備(例えば、トイレ、エレベータ、階段、浴室、および洗面所等)の情報が格納される。具体的には、例えば、管理番号、病棟コード、病室番号、設備毎に割り当てられた設備コード、および設備名が病棟設備データベースDB2に格納される。
【0056】
病室配置データベースDB3には、病棟内における各病室の配置情報が格納される。具体的には、例えば、管理番号、病棟コード、病室番号、および病室の座標が病室配置データベースDB3に格納される。病室配置データベースDB3に記憶される病室配置情報は、後述する施設マップ表示用の画面データを作成する際に使用される。
【0057】
病棟設備配置データベースDB4には、病棟内における各設備の配置情報が格納される。具体的には、例えば、管理番号、病棟コード、設備コード、および設備の座標が病棟設備配置データベースDB4に格納される。病棟設備配置データベースDB4に記憶される設備配置情報は、後述する施設マップ表示用の画面データを作成する際に使用される。
【0058】
センサ配置データベースDB5には、病棟内における各センサ60の配置情報が格納される。具体的には、例えば、管理番号、病棟コード、病室番号、センサ識別コード、およびセンサの座標がセンサ配置データベースDB5に格納される。センサ配置データベースDB5記憶されるセンサ配置情報は、後述する施設マップ表示用の画面データを作成する際に使用される。
【0059】
環境パラメータ関連データベースDB6には、病棟内に配置された各センサ60の計測値が格納される。具体的には、例えば、センサ識別コード、各環境パラメータ50の計測値、および測定時刻が環境パラメータ関連データベースDB6に格納される。さらに、環境パラメータ関連データベースには、各環境パラメータ50の計測値に対する基準範囲、および環境パラメータ50の計測値から求められた指標に対応する基準範囲が格納される。環境パラメータ関連データベースDB6に記憶されるセンサ情報は、後述する注意通知表示処理において使用される。
【0060】
入退院移動情報データベースDB7には、患者の入退院に関する情報が格納される。入退院移動情報データベースDB7には、対象とする医療施設の電子カルテシステムから送信された診療情報に含まれる入退院移動情報が格納される。具体的には、患者ID、患者氏名、入院日、退院日、移動日、患者が入院している病棟の病棟コード、病棟名、患者が入院している病室の病室番号、およびベッド番号等の情報が、入退院移動情報データベースDB7に格納される。入退院移動情報データベースDB7に記憶される入退院移動情報は、後述する施設マップ表示用の画面データを作成する際に使用される。
【0061】
保有病原体検査結果データベースDB8には、患者の保有病原体検査の結果が格納される。保有病原体検査結果データベースDB8には、検体分析装置から送信された保有病原体検査結果が格納される。具体的には、患者ID、患者氏名、検体の採取日時、検出された病原体を示す病原体コード、および病原体の名称等の情報が、保有病原体検査結果データベースDB8に格納される。検体分析装置以外による検査によって得られた感染症の検査結果(例えばインフルエンザ抗原A、腸感染ウイルスおよび風邪等の検査結果)は、対象とする医療施設の電子カルテシステムから取得される。保有病原体検査結果データベースDB8には、感染症の検査結果も格納される。保有病原体検査結果データベースDB8に記憶される保有病原体検査結果は、後述する施設マップ表示用の画面データを作成する際に使用される。
【0062】
環境検査結果データベースDB9には、対象とする医療施設において実施した環境検査の結果が格納される。環境検査とは、病原体に汚染された病室または設備から、病原体である細菌等を検出する検査である。具体的には、管理番号、病室番号、設備コード、環境検査方法、病原体コード、および検出菌の名称が、環境検査結果データベースDB9に格納される。環境検査結果データベースDB9に記憶される環境検査結果は、後述する施設マップ表示用の画面データを作成する際に使用される。
【0063】
装着デバイス情報データベースDB10には、患者が装着しているデバイスに関する情報が格納される。ここでいう「デバイス」とは、患者に装着される医療機器を意味し、例として、カテーテル、ドレーン、輸液ルート、EDチューブ、イレウス管、および人工呼吸器等が挙げられる。サーバ装置200は、対象とする医療施設の電子カルテシステムと通信を行い、電子カルテシステムに記憶されている患者の診療情報を受信する。装着デバイス情報データベースDB10には、電子カルテシステムから送信された診療情報に含まれている、患者が装着しているデバイスに関する情報が格納される。具体的には、患者を特定するための患者ID、デバイスの挿入抜去実施日、挿入抜去が実施されたデバイスに割り当てられたデバイスコード、デバイス名、および患者が入院している病棟を示す病棟コード等の情報が、装着デバイス情報データベースDB10に格納される。装着デバイス情報データベースDB10に記憶される装着デバイスの情報は、後述する施設マップ表示用の画面データを作成する際に使用される。
【0064】
監視装置200は、例えば、いわゆるサーバとしての役割を有してもよい。この場合、CPU21aは、例えば、Linux(登録商標)、UNIX(登録商標)、マイクロソフト ウインドウズ サーバ(登録商標)等のサーバ オペレーティングシステム(Operating System:OS)を使って監視装置200を制御する。
<クライアント装置>
【0065】
図5に示すように、クライアント装置300は例えば汎用のコンピュータによって実現される。クライアント装置300は、本体31と、表示部32と、入力部33とを備えている。表示部32と入力部33とは一体化されて、タッチパネル式の表示部として実現されてもよい。本体31は、CPU31a、ROM31b、RAM31c、記憶部31d、メディアインタフェース31e、入力インタフェース31f、通信インタフェース31g、および出力インタフェース31hを備えている。CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、メディアインタフェース31e、入力インタフェース31f、通信インタフェース31g、および画像出力インタフェース31hは、バス31jによって接続されている。記憶部31dは、ハードディスクまたはSSD等により実現されている。
【0066】
記憶部31dには、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム等、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラムと、コンピュータプログラムの実行に用いられるデータとがインストールされている。
【0067】
メディアインタフェース31eは、例えばCD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブ等に接続されており(図示せず)、リムーバブルメディア等の可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み込むことができる。可搬型記録媒体34は、コンピュータ読み取り可能であって一時的でない有形の記録媒体であり、可搬型記録媒体34には、コンピュータをクライアント装置300として機能させるためのコンピュータプログラム34aが格納されている。クライアント装置300は、可搬型記録媒体34からコンピュータプログラム34aを読み出し、コンピュータプログラム34aを記憶部31dにインストールすることができる。あるいは、クライアント装置300は、インターネット等の通信ネットワークを介してコンピュータプログラム34aをダウンロードしてもよい。
【0068】
記憶部31dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。コンピュータプログラム34aは、オペレーティングシステム上で動作する。
【0069】
クライアント装置300のその他の構成は、上述した監視装置200の構成と同様であるので、その説明をここに援用する。
【0070】
また、クライアント装置は、前記監視装置200と同一であってもよい。
<携帯端末>
【0071】
図6に示すように、携帯端末400は、例えばスマートフォン、タブレット装置、ラップトップ・コンピュータ等のコンピュータによって実現される。携帯端末400は、本体41と、表示部42と、入力部43とを備えている。表示部42と入力部43とは一体化されて、タッチパネル式の表示部として実現されるのが好ましい。本体41は、CPU41a、ROM41b、RAM41c、記憶部41d、メディアインタフェース41e、入力インタフェース41f、通信インタフェース41g、および画像出力インタフェース41hを備えている。CPU41a、ROM41b、RAM41c、ハードディスク41d、メディアインタフェース41e、入力インタフェース41f、通信インタフェース41g、および画像出力インタフェース41hは、バス41jによって接続されている。記憶部41dは、ハードディスクまたはSSD等により実現されている。
【0072】
記憶部41dには、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム等、CPU41aに実行させるための種々のコンピュータプログラムと、コンピュータプログラムの実行に用いられるデータとがインストールされている。
【0073】
メディアインタフェース31eは、例えばSDドライブ等に接続されており(図示せず)、リムーバブルメディア等の可搬型記録媒体44に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み込むことができる。可搬型記録媒体44は、コンピュータ読み取り可能であって一時的でない有形の記録媒体であり、可搬型記録媒体44には、コンピュータを携帯端末400として機能させるためのコンピュータプログラム44aが格納されている。携帯端末400は、可搬型記録媒体44からコンピュータプログラム44aを読み出し、コンピュータプログラム44aを記憶部41dにインストールすることができる。あるいは、携帯端末400は、インターネット等の通信ネットワークを介してコンピュータプログラム44aをダウンロードしてもよい。
【0074】
記憶部41dには、例えばApple社が製造販売するiOS(登録商標)、Google社が製造販売するAndroid(登録商標)等のオペレーティングシステムがインストールされている。コンピュータプログラム44aは、オペレーティングシステム上で動作する。
【0075】
携帯端末400のその他の構成は、上述したクライアント装置300の構成と同様であるので、その説明をここに援用する。
【0076】
<センサ>
センサ60は、図2に示すように少なくとも環境パラメータを計測するための計測部60aと無線装置70と通信するための通信部60bを備える。計測部60aは、環境因子の情報を定量的にまたは半定量的に計測できる限り制限されない。計測部60aにより定量的にまたは半定量的に計測された環境因子の情報を、環境因子の計測情報ともいう。具体的には、計測部60aは、温度情報、湿度情報、換気情報、および/または光情報等を定量的にまたは半定量的に計測し、各環境因子の計測情報を得ることができる。ここで「情報」は各パラメータの値を示す数値(温度情報であれば摂氏(あるいは華氏)、湿度情報であれば相対湿度、光情報であれば光量、換気情報であればCO濃度等の値)の他、計測部の各素子から出力される電圧等(温度情報であれば感温素子、湿度情報であれば感湿素子、光情報であれば感光素子、または換気情報であれば感ガス素子等からの電圧等)の値であってもよい。センサ60は、温度、湿度、CO濃度、光を別々に計測するものであってもよいが、同時に計測するものであってもよい。
【0077】
通信部60bは、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)、3G、LTE(Long Term Evolution)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の通信モジュールで構成される。通信部60bは、通信ネットワーク80に直接接続してもよい。
【0078】
前記センサとしては、公知のものを使用することができ、SKYDISK社のSkyLogger等を例示することができる。
【0079】
好ましくは、センサ60は、所定の時間間隔で環境パラメータを測定し、環境パラメータの計測値を計測時刻と共に通信ネットワーク80を介して監視装置200に送信する。前記所定の時間間隔は、例えば10分である。監視装置200は、受信した計測値および計測時刻の情報を、センサ識別コードと対応付けて環境パラメータ関連データベースDB6に記録する。
【0080】
[システムの動作]
本発明の一実施形態に係るシステム100は、ユーザが例えば入力部33を操作し、システム100を起動することにより、動作が開始される。また、システム100には、複数のユーザが時間差で、あるいは同時にログインすることが可能である。ユーザが、クライアント装置300の入力部33を操作して、例えばユーザ名およびパスワードを入力することにより、施設内監視システム100にログインするための要求を行う。監視装置200は、ユーザ名およびパスワードを受信して、ログイン認証を行う。ログイン認証に成功した場合、例えば、クライアント装置300は表示部32に、図7に示すメニュー画面D100を表示する。
【0081】
<メインメニュー画面>
図7に示すように、メインメニュー画面D100には、掲示板領域A101と、文書管理領域A102と、メール操作領域A103と、メニュー領域A104とが設けられている。掲示板領域A101は、ユーザ間の連絡に用いられる。文書管理領域A102は、環境パラメータ50に関する文書データの閲覧、作成、編集、保存、および削除等を行うために用いられる。メール操作領域A103は、メールの閲覧、作成、および送信等を行うために用いられる。メニュー領域A104は、システム100の各画面に表示を切り替えるために用いられる。
【0082】
メニュー領域A104には、システム100の各種機能を呼び出すための複数のメニューが設けられている。メニュー領域A104には、4つのタブT105,T106,T107,T108が設けられている。これらのタブT105,T106,T107,T108の1つをユーザがマウス操作等によって選択すると、選択されたタブに対応するアイコンがメニュー領域A104に表示される。
【0083】
環境管理タブT105に含まれるアイコンには、病院内の環境の管理に使用される機能が割り当てられている。具体的には、環境管理タブT105には、環境レポートアイコンC111と、環境モニタリングアイコンC112と、患者検索アイコンC113と、施設マップアイコンC114と、掲示板登録アイコンC115と、ユーザ設定アイコンC116と、マニュアルダウンロードアイコンC117とが、設けられている。
【0084】
環境レポートアイコンC111には、環境レポートの表示機能および作成機能が割り当てられている。環境モニタリングアイコンC112には、各環境パラメータ50の計測値および/または環境パラメータ50の計測値から求められた指標の表示機能が割り当てられている。前記計測値または指標は、リアルタイムで、あるいはユーザによって指定された時間毎、曜日毎あるいは日にち毎、月における日毎、または週毎に表示される。施設マップアイコンC114には、病棟毎またはフロア毎の環境状態の表示機能が割り当てられている。掲示板登録アイコンC115には、掲示板への情報の投稿機能が割り当てられている。ユーザ設定アイコンC116には、システム100を使用するユーザに関する情報を設定する機能が割り当てられている。マニュアルダウンロードアイコンC117には、システム100の操作マニュアルをダウンロードする機能が割り当てられている。
【0085】
ここでいう「アイコン」とは、特定の機能が割り当てられ、割り当てられた機能を象徴的に表すようにデザインされた画像を意味し、ウィンドウ内において表示される画像も含む。
【0086】
環境管理タブT105の各アイコンに割り当てられた機能は、感染症の対策を実施するインフェクションコントロールドクター(ICD)および感染管理看護師(ICN)によって使用される。環境管理タブT105の各アイコンに割り当てられた機能は、病室等の通常の医療現場において医療行為を実施する医師および看護師等の医療従事者によっても使用される。
【0087】
ICT支援タブT106には、感染制御チーム(ICT)を支援するための機能が割り当てられた図示しないアイコンが設けられている。感染制御チームは、感染管理を担当する専門家であるインフェクションコントロールドクターおよび感染管理看護師によって構成されるチームである。
【0088】
マスタメンテナンスタブT107およびT108のそれぞれには、システム100において使用する各種データベースのマスタ管理を行うための図示しないアイコンが設けられている。各種データベースとは、監視装置200の記憶部21dに設けられている、病棟構成データベースDB1、病棟設備データベースDB2、病室配置データベースDB3、病棟設備配置データベースDB4、センサ配置データベースDB5、環境パラメータ関連データベースDB6である。
【0089】
メニュー画面D100において施設マップアイコンC114が選択されると、以下に説明する施設内のマップを表示するマップ表示処理および施設内のマップに注意通知を表示する注意通知表示処理を、監視装置200およびクライアント装置300が協働して実行する。施設マップの表示内容および注意通知の表示内容は、マップ表示機能および注意通知表示機能を、例えばクライアント装置300が自動で呼び出すことにより、所定の時間間隔で自動的に更新することができる。または、施設マップの表示内容および注意通知の表示内容は、ユーザがアイコンを選択してマップ表示機能および注意通知表示機能を呼び出すことにより、手動で更新してもよい。
【0090】
<マップ表示処理1>
マップ表示処理1では、クライアント装置300において、メインメニューに表示されている施設マップアイコンC114が選択されると、例えば、病棟マップM201を含む病棟マップ画面D200(図8)、フロアマップM301を含むフロアマップ画面D300(図9)、および病室内マップM401を含む病室内マップ画面D400(図10)等がクライアント装置300の表示部32等に表示される。これら3つのマップは、施設マップアイコンC114が選択された際に、それぞれ同じ画面に並列に表示されてもよい。また、施設マップアイコンC114が選択された際に、上層から下層に向かって、病棟マップM201、フロアマップM301、病室内マップM401の順に3段階の階層で表示されてもよい。メインメニュー画面において施設マップアイコンC114が選択されると、監視装置200は、例えば以下に示す手順に沿って、施設マップ(例えば、病棟マップM201、フロアマップM301、および病室内マップM401)をクライアント装置300の表示部32に表示させる。
【0091】
前記施設マップには、前述する病棟構成データベースDB1、病棟設備データベースDB2、病室配置データベースDB3、病棟設備配置データベースDB4等に記憶される各区画に関する情報、各区画に滞在している人物に関する人物情報(例えば、年齢、性別、入院日等の患者情報)、前記人物が使用している機器(例えば、カテーテル、輸血ルート、人工呼吸器等)、前記人物が罹患している疾患情報等の区画情報が表示される。
【0092】
図11に示すフローチャートを用いてシステム100においける施設マップの表示処理の流れを説明する。ステップS101において、ユーザの入力部33からの入力により施設マップアイコンC114が選択されることで、クライアント装置300のCPU31aが施設マップ表示指示を受け付ける。
【0093】
ステップS102において、クライアント装置300のCPU31aは、施設マップの表示に必要な施設マップ表示データを要求する要求指示を、クライアント装置300の通信インタフェース31gを介して監視装置200へ送信する。クライアント装置300から送信された要求指示は、監視装置200によって通信インタフェース21gを介して受信される。
【0094】
施設マップアイコンC114に代えて、メインメニューには、病棟マップM201、フロアマップM301、および病室内マップM401のいずれかの施設マップを選択するためのアイコンが表示されてもよい。表示する施設マップが病棟マップM201の場合、送信指示には、表示が要求される病棟を特定するための情報(例えば、「中央病棟」等の名称)が含まれてもよい。表示する施設マップがフロアマップM301の場合、要求指示には、表示対象とするフロアを特定する情報(例えば病棟コード)が含まれてもよい。表示する施設マップが区画マップM401の場合、要求指示には、表示対象とする区画を特定する情報(例えば病室番号)が含まれてもよい。
【0095】
ステップS103において、監視装置200のCPU21aは、要求指示を受信するまで待機する。
【0096】
監視装置200が要求指示を受信すると、ステップS104において、CPU21aは、病棟構成データベースDB1、病棟設備データベースDB2、病室配置データベースDB3、病棟設備配置データベースDB4、およびセンサ配置データベースDB5から、施設マップの表示に必要なデータを取得する。
【0097】
ステップS105において、CPU21aは、取得した情報に基づいて要求された施設マップについて施設マップ表示データを作成する。作成された施設マップ表示データは、RAM21cに一時的に記憶されてもよく、記憶部21dに記憶されてもよい。
【0098】
ステップS106において、CPU21aは、作成した施設マップ表示データを、通信インタフェース21gを介して要求元のクライアント装置300へ送信する。監視装置200から送信された施設マップ表示データは、クライアント装置300によって通信インタフェース31gを介して受信される。
【0099】
ステップS107において、クライアント装置300のCPU31aは、施設マップ表示データを受信するまで待機する。
【0100】
クライアント装置300が施設マップ表示データを受信すると、ステップS108において、CPU31aは、受信した施設マップ表示データに基づいて、図8から図10に示す施設マップ画面D200、D300、またはD400を表示部32に表示させる。
【0101】
図8に例示する施設マップ画面D200は、病棟マップM201を含む。病棟マップM201は、病棟全体の構造を簡略化した図形で表示する。図9に例示する施設マップ画面D300は、フロアマップM301を含む。フロアマップM301は、各病棟のフロア毎に作成されるマップであり、フロア全体の構造を簡略化した図形で表示する。図10に例示する施設マップ画面D400は、病室内マップM401を含む。病室内マップM401は、区画毎に作成されるマップであり、区画内全体の構造を簡略化した図形で表示する。
【0102】
・病棟マップ
図8を参照すると、病棟マップ画面D200には、病棟マップM201が表示される病棟マップ領域A202が設けられている。本実施形態では、医療施設に病棟が複数設けられているため、病棟マップ領域A202に病棟切替タブT203,T204が表示される。病棟切替タブT203,T204は、ユーザによるマウスのクリック操作等によって選択可能であり、選択されたタブに対応する病棟の病棟マップM201が病棟マップ領域A202に表示される。
【0103】
病棟マップM201は、病棟全体の構造を簡略化した図形として表示する。本実施形態では、病棟が複数階から構成されているため、各階のフロアが図示された病棟マップM201が表示される。各階のフロア図G206の左方には、階数表示G215が付されている。フロア図G206には、フロア情報G207がフロア毎に表示される。図示しないが、フロア情報G207には、各フロアの名称とそのフロアに入院している患者数とが含まれてもよい。これにより、どのフロアに何人の入院患者がいるかが容易に把握できる。同一の階において複数のフロアが設けられている場合には、それぞれのフロアについてフロア情報G207が表示される。
【0104】
例えば、図8に示す例では、7階が、「7階西」、「7階南」、「7階東」および「7階北」の4つのフロアに分かれている。例えば、「7階西」フロアのフロア情報F207は、フロアの名称G202「7階西病棟」を含む。「7階南」フロアのフロア情報F207は、フロアの名称G202「7階南病棟」を含む。「7階東」フロアのフロア情報F207は、フロアの名称G202「7階東病棟」を含む。「7階北」フロアのフロア情報F207は、フロアの名称G202「7階北病棟」を含む。
【0105】
また、各階のフロア図G206には、そのフロアにおける注意通知C221,C222とが表示される。注意通知C221,C222は、後述する注意通知表示処理の結果に基づいて、例えば円形枠に囲まれた感嘆符を含むアイコンで示される。感嘆符の数は注意喚起レベルに対応しており、感嘆符が多いほど注意喚起レベルが高いことを意味する。注意喚起レベルの段階数は特に限定されないが、本実施形態では2段階である。例えば、フロア情報G207に対応する各フロア内に、注意通知表示処理により注意通知をすべきと判定された区画が少なくとも1つでも存在する場合、対応するフロア情報G207の脇に、判定結果に対応する種別の注意通知C221,C222が表示される。
【0106】
日時指定領域A214には、日時を指定するための入力ボックスが含まれる。入力ボックスにおいて日時を指定することで、指定された日時における病棟内の感染状況を示す病棟マップに表示が更新される。
【0107】
注意通知凡例領域A216は、注意通知C221,C222がどのような疾患に関する注意通知であるかについて、注意のレベルについての説明が表示される領域である。
【0108】
・フロアマップ
各フロア情報G207は、ユーザのマウスのクリック操作によって選択可能である。1つのフロア情報G207が選択されると、図11に示す施設マップ表示処理が呼び出され、選択されたフロアのフロアマップM301が表示される。
【0109】
図9に示す例では、フロアマップ画面D300にはフロアマップM301が表示される。フロアマップM301の上方には、日時を指定するための日時指定領域A214、および注意通知凡例領域A216が設けられている。フロアマップ画面D300に設けられている日時指定領域A214、および注意通知凡例領域A216は、図8に示す病棟マップ画面D200に設けられている日時指定領域A214、および注意通知凡例領域A216と同じである。さらに、凡例領域A214の下には、患者がデバイスを装着しているか否かを示す凡例領域A215が設けられていてもよい。
【0110】
図9に示すフロアマップM301は、フロア全体の構造を簡略化した図形で表示する。フロアマップM301には、区画情報G307が、患者を収容する区画毎に表示される。区画情報G307には、各区画の区画番号と、その区画に入院している患者の患者IDとが含まれる。患者が人工呼吸器、カテーテル、輸血ルート等のデバイスを装着している場合には、区画情報G307において患者IDが例えば白黒反転表示されて表示される。例えば部屋番号「7101」に入院している4人の患者は全員が、人工呼吸器、カテーテル、および輸血ルート等の何らかの医療機器(デバイス)を装着している。
【0111】
フロアマップM301には、区画情報G307に対応する区画毎に、注意通知C221,C222が表示される。注意通知C221,C222は、後述する注意通知表示処理の結果に基づいて、例えば円形枠に囲まれた感嘆符で示される。例えば、区画情報G307に対応する各区画内に、注意通知表示処理により注意通知をすべきセンサ60が少なくとも1つでも存在する場合、対応する区画情報G307の近傍に、判定結果に対応する種別の注意通知C221,C222が表示される。
【0112】
フロアマップM301には、病室以外の設備として、例えばナースステーションG309a、トイレG309b、浴室G309c、洗面所G309d、汚物処理室G309e等の設備情報が表示される。ここで、区画には、病室だけではなく、病棟内の病室以外の設備が含まれる。
【0113】
・病室内マップ
ユーザは、図9に示すフロアマップM301の区画情報G307のうち、表示を希望する区画の区画情報G307を選択することにより、上述の図11に示すマップ表示処理を呼び出し、選択した病室の病室内マップM401を表示することができる。
【0114】
図10に示す例では、病室内マップ画面D400には病室内マップM401が表示される。
【0115】
病室内マップM401は、病室内全体の構造を簡略化した図形で表示する。病室内マップM401には、病室内に滞在している人物の情報、例えば、患者の識別番号(ID)、患者氏名、患者が保有する感染症、患者が呈する症状(症候群)等の入院患者情報G407が患者のベッド毎に表示される。患者がデバイスを装着している場合には、入院患者情報G407の項目「デバイス」欄に、患者が装着しているデバイスの種類が表示される。センサ60は患者のベッド毎に配置されており、病室内マップM401には、入院患者情報G407に対応するベッド毎に注意通知C221が表示される。
【0116】
ここで、システム100の動作において、ステップS103からS106は必ずしも必須ではなく、前記ステップS103からS106によって生成された施設マップ表示データを、あらかじめクライアント装置300の記憶部31dまたは監視装置200の記憶部21dに記憶しておいてもよい。そして、クライアント装置300のCPU31aは、ステップS102における要求指示により、前記記憶部31dまたは記憶部21dから施設マップ表示データを呼び出してもよい。
【0117】
<マップ表示処理2>
本態様は、前記施設マップに加えて、他の患者に感染する畏れのある病原体を保有する患者(病原体保有者という)、前記病原体の種類、環境における病原体の有無等に係る情報が表示される。このような表示を行うことにより、医療従事者は、室内環境の状態だけではなく、患者が既に保有している病原体や、患者が既に装着しているデバイス等を考慮した、院内感染の予防に向けた総合的な管理および判断を行うことが可能となる。特に、施設マップの表示から、重症患者が入院している部屋を容易に特定することが可能になることから、対応の優先度を考慮した、管理および判断を行うことが可能となる。
【0118】
マップ表示処理2では、クライアント装置300において、メインメニューに表示されている施設マップアイコンC114が選択されると、例えば、病棟マップM201aを含む病棟マップ画面D200a(図12)、フロアマップM301aを含むフロアマップ画面D300a(図13)、および病室内マップM401aを含む病室内マップ画面D400a(図14)等がクライアント装置300の表示部32等に表示される。
【0119】
施設マップの表示処理の流れは、マップ表示処理1と基本的には同じであるが、病原体保有者の情報、病原体等の種類、および環境における病原体の有無に関する情報は、前記ステップS104において、CPU21aが、入退院移動情報データベースDB7、感染症検査結果データベースDB8、環境検査結果データベースDB9、および装着デバイス情報データベースDB10から取得する。
【0120】
・病棟マップ
マップ表示処理2における、病棟マップの構成は、マップの表示処理1で述べた構成と基本的には同様であるが、病原体保有者の情報、病原体等の種類、および環境における病原体の有無に関する情報が加えられている。図12を参照すると、病棟マップ画面D200aには、病棟マップM201aが表示される病棟マップ領域A202aが設けられている。病棟マップ領域A202aの上方には、日時を指定するための日時指定領域A214a、および注意通知凡例領域A216aが設けられている。病棟マップ領域A202aに設けられている日時指定領域A214a、および注意通知凡例領域A216aは、図8に示す病棟マップ画面D200に設けられている日時指定領域A214、および注意通知凡例領域A216と同じである。また、病棟マップ領域A202aの左方には、各病原体について院内全体における病原体保有者数の一覧が表示される病原体保有者数一覧表示領域A212aが設けられている。病棟マップ領域A202aの上方には、病棟マップM201aで使用される記号の意味を説明する凡例が示される凡例領域A213aが設けられている。凡例領域A213aには、病原体保有者情報G208aを示す図形の説明として、各図形に対応する病原体に応じて、例えば細菌感染症、ウイルス感染症等のグループに分けて表示される。また、凡例領域A213aの左方には、凡例領域A213aで使用される図形のパターンを補足説明(例えば、接触感染、飛沫感染、空気感染等の感染経路)する凡例領域A213bが設けられている。例えば、凡例領域A213aにおいて、MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出されたことを示す。VREはバンコマイシン耐性腸球菌が検出されたことを示す。MDRPは多剤耐性緑膿菌が検出されたことを示す。MDRA多剤耐性アシネトバクターが検出されたことを示す。ESBLは基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生菌が検出されたことを示す。メタロβはメタロβラクタマーゼ(MBL)産生菌が検出されたことを示す。結核(疑)は、結核菌、または非定型抗酸菌が検出されたこと、およびそれらの細菌感染が疑われることを示す。CDはクロストリジウム・ディフシレ菌が検出されたことを示す。インフルはインフルエンザウイルス検出されたことを示す。感染性腸炎はノロウイルス等のウイルス性腸炎が確認されたことを示す。流行性ウイルス感染症は、アデノウイルスやRSウイルス等のウイルス感染が確認されたことを示す。発熱、低体温、嘔吐、下痢は、当該症状を呈する患者が確認されたことを示す。
【0121】
本実施形態では、医療施設に病棟が複数設けられているため、病棟マップ領域A202aに病棟切替タブT203a,T204aが表示される。病棟切替タブT203a,T204aは、ユーザによるマウスのクリック操作等によって選択可能であり、選択されたタブに対応する病棟の病棟マップM201aが病棟マップ領域A202aに表示される。図12に示す例では、図8と同様に各フロアが表示される。
【0122】
病棟マップM201aは、病棟全体の構造を簡略化した図形として表示してもよい。本実施形態では、病棟が複数階から構成されているため、各階のフロアが図示された病棟マップM201aが表示される。各階のフロア図G206aの左方には、階数表示G215aが付されている。フロア図G206aには、フロア情報G207aがフロア毎に表示される。フロア情報G207aには、各フロアの名称G202aとそのフロアに入院している患者数G203aとが含まれる。これにより、どのフロアに何人の入院患者がいるかが容易に把握できる。同一の階において複数のフロアが設けられている場合には、それぞれのフロアについてフロア情報G207aが表示される。これにより、どのフロアに何人の入院患者がいるかが容易に把握できる。
【0123】
また、各階のフロア図G206aには、マップ表示処理1と同様にそのフロアにおける注意通知C221,C222とが表示される。
【0124】
・フロアマップ
各フロア情報G207aは、ユーザのマウスのクリック操作によって選択可能である。1つのフロア情報G207aが選択されると、前記施設マップ表示処理が呼び出され、選択されたフロアのフロアマップM301aが表示される。
【0125】
マップ表示処理2における、フロアマップの構成は、マップの表示処理1で述べた構成と基本的には同様であるが、病原体保有者の情報、病原体等の種類、および環境における病原体の有無に関する情報が加えられている。図13に示す例では、フロアマップ画面D300aにはフロアマップM301aが表示される。フロアマップM301aの上方には、記号の意味を説明する凡例が示される凡例領域A213が設けられている。凡例領域A213aの左方には、凡例領域A213aで使用される図形のパターンを補足説明する凡例領域A213bが設けられている。凡例領域A213a,213bは図12と同様である。日時指定領域A214a、および注意通知凡例領域A216aは、図12と同様である。さらに、凡例領域A213bの下には、患者がデバイスを装着しているか否かを示す凡例領域A215aが設けられている。
【0126】
図12に示すフロアマップM301は、フロア全体の構造を簡略化した図形で表示する。フロアマップM301には、区画情報G307が、患者を収容する区画毎に表示される。区画情報G307には、各区画の区画番号と、その区画に入院している患者の患者IDとが含まれる。患者が人工呼吸器、カテーテル、輸血ルート等のデバイスを装着している場合には、区画情報G307において患者IDが例えば白黒反転表示されて表示される。さらに、患者が病原体保有者である場合には、患者氏名の横に、凡例領域A213aに示される、患者が保有している病原体に対応する記号G308aが表示される。
【0127】
フロアマップM301aには、区画情報G307aに対応する区画毎に、注意通知C221,C222が表示される。注意通知C221,C222の説明は、マップ表示処理1と同様である。
【0128】
・病室内マップ
ユーザは、図12に示すフロアマップM301aの区画情報G307aのうち、表示を希望する区画の区画情報G307aを選択することにより、上述のマップ表示処理を呼び出し、選択した病室の病室内マップM401aを表示することができる。
【0129】
マップ表示処理2における、病室内マップの構成は、マップの表示処理1で述べた構成と基本的には同様であるが、病原体保有者の情報、病原体等の種類、および環境における病原体の有無に関する情報が加えられている。図13に示す例では、病室内マップ画面D400aには病室内マップM401aが表示される。また、病室内マップM301aの上方には、記号の意味を説明する凡例が示される凡例領域A213が設けられている。凡例領域A213aの左方には、凡例領域A213aで使用される図形のパターンを補足説明する凡例領域A213bが設けられている。凡例領域A213a,213bは図12と同様である。日時指定領域A214a、および注意通知凡例領域A216aは、図12と同様である。さらに、凡例領域A213bの下には、患者がデバイスを装着しているか否かを示す凡例領域A215aが設けられている。
【0130】
病室内マップM401aは、病室内全体の構造を簡略化した図形で表示される。病室内マップM401aには、患者の識別番号(ID)、患者氏名、患者が保有する感染症、患者が呈する症状(症候群)等の入院患者情報G407aが患者のベッド毎に表示される。また、患者がデバイスを装着している場合には、入院患者情報G407aの項目「デバイス」欄に、患者が装着しているデバイスの種類が表示される。センサ60は患者のベッド毎に配置されており、病室内マップM401には、入院患者情報G407に対応するベッド毎に注意通知C221が表示される。注意通知C221,C222の説明は、マップ表示処理1と同様である。
【0131】
<注意通知表示処理>
図7に示すメニュー画面D100において施設マップアイコンC114が選択されると、監視装置200は、例えば以下に示す手順に沿って、注意通知表示データ40をクライアント装置300に送信し、これを受信したクライアント装置300は表示部32に注意通知を表示させる。表示部32が表示する施設マップには、注意通知表示処理によって作成された注意通知表示データ40に基づいて注意表示が表示される。
【0132】
図15に示すフローチャートを用いて処理の流れを説明する。ステップS201において、ユーザの入力部33からの入力により施設マップアイコンC114が選択されることで、クライアント装置300のCPU31aが注意通知表示指示を受け付ける。
【0133】
ステップS202において、クライアント装置300のCPU31aは、注意通知の表示に必要な注意通知表示データ40を要求する要求指示を、クライアント装置300の通信インタフェース31gを介して監視装置200へ送信する。クライアント装置300から送信された要求指示は、監視装置200によって通信インタフェース21gを介して受信される。
【0134】
ステップS203において、監視装置200のCPU21aは、要求指示を受信するまで待機する。
【0135】
監視装置200が要求指示を受信すると、ステップS204において、CPU21aは、センサ配置データベースDB5から施設内に配置されている各センサ60の位置情報と、環境パラメータ関連データベースDB6から、各センサ60が計測した各環境パラメータ50の計測値を取得する。後述する環境状態の判定において、経時的な環境パラメータ50の計測値を環境状態の判定に用いる場合は、計測時刻の情報も環境パラメータ関連データベースDB6から取得する。ここで、各環境パラメータ50の計測値は、RAM21cに一時的に記憶されたものを使用してもよい。
【0136】
ステップS205において、CPU21aは、取得した各環境パラメータ50の計測値に基づいて、各センサ60が設けられた各区画について各環境パラメータ50の計測値が基準範囲と比較する。
【0137】
ステップS206において、CPU21aは、各環境パラメータ50の計測値が基準範囲外であるか否かを判定する。
【0138】
図示しないが、CPU21aは、ステップS206で環境パラメータ50の計測値が前記基準範囲外(YES)区画について、その環境状態が良好でないと判定するステップS207を含んでいてもよい。
【0139】
ステップS208では、CPU21aは、ステップS207において環境状態が良好でないと判定されたセンサ60が設けられた区画について、さらに、環境パラメータ50の計測値を考慮して、注意通知表示データ40を生成する。ここで、ステップS208は、ステップS207において環境状態が良好でない(YES)と判定された区画について、環境パラメータ50の計測値を考慮して、注意通知表示データ40を作成(ステップS208)してもよい。
【0140】
ステップS209において、CPU21aは、作成した注意通知表示データ40を、通信インタフェース21gを介して要求元のクライアント装置300へ送信する。監視装置200から送信された注意通知表示データ40は、クライアント装置300によって通信インタフェース31gを介して受信される。また、ステップS209において、CPU21aは、作成した注意通知表示データ40を、必要に応じて通信インタフェース21gを介して携帯端末400へ送信する。監視装置200から送信された注意通知表示データ40は、携帯端末400によって通信インタフェース41gを介して受信される。
【0141】
ステップS210において、クライアント装置300のCPU31aは、注意通知表示データ40を受信するまで待機する。
【0142】
クライアント装置300が注意通知表示データ40を受信すると、ステップS211において、CPU31aは、受信した注意通知表示データ40に基づいて、環境状態が良好でなかった区画について注意通知を施設マップに表示させる。
【0143】
ステップS213において、携帯端末400のCPU41aは、注意通知表示データ40を受信するまで待機する。
【0144】
携帯端末400が注意通知表示データ40を受信すると、ステップS214において、CPU41aは、受信した注意通知表示データ40に基づいて、環境状態が良好でないことを通知するメッセージを携帯端末の表示部42に表示する。あるいは、CPU41aは、環境状態が良好でなかった区画について注意通知を施設マップと共に表示させる。
【0145】
前記ステップS206において全ての環境パラメータ50の計測値が基準範囲内であった場合(NO)には、そのまま処理を終了する。また、図示しないが、前記ステップS206において環境パラメータ50の計測値が基準範囲内であった場合(NO)に、環境状態は良好であると判定するステップS212(図示せず)を含んでいてもよい。
【0146】
・環境状態の判定例
ステップS205において、監視装置200のCPU21aが環境状態を判定する方法には種々の態様がある。5種類の態様を以下に例示する。環境状態の判定は、環境状態の悪化により発生する可能性のある疾病の種類に応じて設定された基準範囲に基づいて行われる。前記基準範囲は、前記疾病の種類に応じて設定できるほか、施設毎または区画毎で1つの疾病に対して異なる前記基準値を設定してもよい。また、ユーザが疾病毎に、あるいは施設または区画に応じて基準範囲を変更してもよい。図20に、ユーザが基準範囲を任意に設定する際の入力画面の表示例を示す。基準範囲を任意で設定するための入力画面Y100には、例えば、熱中症を監視する基準範囲を入力するための入力領域Y200と、インフルエンザまたは真菌の感染を監視する基準範囲を入力するための基準範囲入力領域Y201とが設けられている。基準範囲入力領域Y200,Y201には、基準範囲の上限値を入力する領域Y101と、基準範囲の下限値を入力しり領域Y102が設けられている。領域Y101,Y102には、ユーザが入力部23を操作することによって任意の数値が入力される。
【0147】
本発明の実施形態に係るシステム100は、センサ設置箇所において計測する環境状態として、疾病の発生に関連する環境状態を監視する。例えば、インフルエンザウイルス等のウイルスに対する罹患しやすさ、真菌および細菌の繁殖のし易さ、および熱中症の発症しやすさ等の種々の危険度を監視する。例示するこれら3つの監視対象は、例えば、環境パラメータ50の計測値に基づいて監視することが可能である。
【0148】
1)温度情報に基づく判定
第1の態様では、CPU21aは、例えば、熱中症の発症しやすさを監視するために、温度情報に基づいて、環境状態を判定する。一般に、熱中症は区画内の温度情報が高いほどかかり易くなる。このため、本態様では、CPU21aは、温度情報が基準範囲を外れた区画について環境状態が良好でないと判定する。
【0149】
具体的には、図15のステップS204において取得した温度の計測値が、その環境パラメータ50の基準範囲外であれば、CPU21aは、環境状態が良好でないと判定する。例えば、環境状態が良好であると判定する基準範囲を28℃未満と設定し、図16Aに示す基準範囲データと判定結果のテーブルを環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておく。CPU21aは、各センサ60から出力された前記温度情報の計測値を環境パラメータ関連データベースDB6に記憶された基準範囲と比較し、前記温度情報の計測値が基準範囲内である場合、環境状態が良好であると判定することができる。また、CPU21aは、前記温度情報の計測値が基準範囲外である場合、環境状態が良好でないと判定することができる。環境状態が良好でないと判定された場合には、CPU21aは、温度情報の計測値を熱中症が発症する環境状態の危険度に応じて格付けすることができる。例えば、図16Aに示すように、環境状態の危険度が「要注意」であると判定する温度の範囲を28℃以上35℃未満と設定し、さらに、環境状態の危険度が「警告」であると判定する温度の範囲を35℃以上と設定し、環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておくことにより、CPU21aは、前記温度情報の計測値を、環境状態の危険度に応じて、環境状態が「要注意」、または「警告」であると判定することができる。
【0150】
2)湿度情報に基づく判定
第2の態様では、CPU21aは、例えばインフルエンザウイルス等のウイルスに対する罹患しやすさ、および、真菌の繁殖のし易さを監視するために、湿度情報に基づいて、注意通知の表示条件を判定する。湿度が約70%以上になると真菌が繁殖し易くなり、湿度が約40%未満になるとインフルエンザにかかり易くなることが知られている。そのため本態様では、CPU21aは、湿度情報が基準範囲を外れた区画について環境状態が良好でないと判定する。
【0151】
具体的には、ステップS204において取得した湿度情報の計測値が基準範囲外であれば、CPU21aは、計測値が得られた疾病の発生に関連する条件を満たすと判断する。例えば、環境状態が良好であると判定する基準範囲を40%以上かつ70%未満と設定し、前記基準範囲と判定結果を、図16Bに示す基準範囲データと判定結果のテーブルを環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておく。CPU21aは、各センサ60から出力された前記湿度情報の計測値を環境パラメータ関連データベースDB6に記憶された基準範囲と比較し、前記湿度情報の計測値が基準範囲内である場合、環境状態が良好であると判定することができる。また、CPU21aは、前記湿度情報の計測値が基準範囲外である場合、環境状態が良好でないと判定することができる。環境状態が良好でないと判定された場合には、CPU21aは、湿度情報の計測値をインフルエンザウイルスに対する罹患しやすさの危険度に応じて格付けすることができる。例えば、図16Bに示すように環境状態の危険度が「要注意」であると判定する湿度の範囲を20%以上40%未満または、70%以上と設定し、さらに、例えば、環境状態の危険度が「警告」であると判定する湿度の範囲を20%未満と設定し、環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておくことにより、CPU21aは、環境状態の危険度に応じて、環境状態が「要注意」、または「警告」であると判定することができる。
【0152】
3)温度情報および湿度情報の組み合わせ
第3の態様では、CPU21aは、例えば、真菌および細菌の繁殖のし易さを監視するために、温度情報および湿度情報に基づいて、注意通知の表示条件を判定する。真菌の菌は、例えば温度20℃から30℃の範囲内かつ湿度70%以上の状態で繁殖することが知られている。そのため本態様では、CPU21aは、温度情報および湿度情報の両方が基準範囲を外れた区画について環境状態が良好でないと判定する。
【0153】
具体的には、ステップS204において取得した温度情報および湿度情報の計測値について、各環境パラメータ50の計測値が基準値範囲外であれば、CPU21aは、環境状態が良好でないと判定する。例えば、環境状態が良好であると判定する基準範囲を、温度が10℃未満かつ湿度が70%未満であると設定し、例えば図16Cに示す基準範囲データと判定結果のテーブルを環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておく。CPU21aは、各センサ60から出力された温度情報および湿度情報の計測値を環境パラメータ関連データベースDB6に記憶された基準範囲を比較し、前記温度および湿度の計測値が、基準範囲内である場合、環境状態が良好であると判定することができる。また、CPU21aは、前記温度情報および湿度情報の計測値が基準範囲外である場合、環境状態が良好でないと判定することができる。疾病の発生に関連する条件を満たすと判定された場合には、CPU21aは、温度情報および湿度情報の計測値に基づいて環境状態を真菌または細菌が繁殖する危険度に応じて格付けすることができる。例えば、図16Cに示すように環境状態の危険度が「要注意」であると判定される範囲を、温度が10℃以上かつ35℃以下の範囲であるか、湿度が70%以上かつ100%以下の範囲(より好ましくは、温度が20℃以上かつ30℃以下の範囲であるか、湿度が80%以上かつ100%以下の範囲)と設定する。さらに、例えば、環境状態の危険度が「警告」であると判定する湿度の範囲を、温度が10℃以上かつ35℃以下の範囲であり、なおかつ湿度が70%以上かつ100%以下の範囲(より好ましくは、温度が20℃以上かつ30℃以下の範囲であり、なおかつ湿度が80%以上かつ100%以下の範囲)と設定する。このように、環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておくことにより、CPU21aは、環境状態の危険度に応じて、環境状態が「要注意」、または「警告」であると判定することができる。
【0154】
例えば、真菌には乾性の真菌と湿性の真菌とが存在し、温度が約10℃~約40℃の範囲内である、湿度が約90%を越えると、これら真菌の種類を問わず乾性および湿性の両方の真菌が繁殖する。よって、真菌に関しては、上記した「警告」と表示する範囲を、温度が10℃以上かつ40℃以下の範囲であり、なおかつ湿度が90%以上かつ100%以下の範囲としてもよい。
【0155】
4)指標に基づく判定
第4の態様では、各環境パラメータ50の計測値から求められた指標に基づいて環境状態が良好か否かを判定する。指標は、複数(2以上)の環境パラメータ50の計測値を組み合わせることにより導き出される環境状態を格付けするための値等である。例えば、指標の例として、温度情報および湿度情報に基づいて求められる体感温度を用いて熱中症の発生の危険度を判定する例を説明する。
【0156】
熱中症の危険度は、温度だけではなく湿度とも関係しており、米国の国立気象局(National Weather Service: NWS)が採用している指標であるヒートインデックス(Heat Index)は、温度と湿度から求められる体感温度である。すなわち、前記体感温度が第4の態様における指標となる。例えば、図17に例示するヒートインデックスのテーブルを環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておく。CPU21aは、ヒートインデックスのテーブルにしたがって、各センサから出力された温度情報および湿度情報に基づいて、体感温度を求める。図17に例示するヒートインデックスのテーブルでは、26.4℃以下を基準範囲としている。したがって、CPU21aは、前記求められた体感温度と前記ヒートインデックスのテーブルとを比較(照合)し、前記体感温度が基準値範囲内である場合、環境状態が良好であると判定することができる。また、CPU21aは、前記体感温度が、基準範囲外である場合、環境状態が良好でないと判定することができる。環境状態が良好でないと判定された場合には、例えば、体感温度を熱中症の発生の危険度に応じて格付けすることができる。さらに、環境状態が「良好」でないと判定された場合には、体感温度を熱中症が発生する環境状態の危険度に応じて格付けすることができる。例えば、図17に示すヒートインデックスでは、環境状態の危険度が「注意」であると判定される範囲、「特に注意」と判定される範囲、「危険」と判定される範囲、「非常に危険」と判定される範囲を設定している。
【0157】
したがって、図17のテーブルを環境パラメータ関連データベースDB6に記憶しておくことにより、CPU21aは、環境状態の危険度に応じて、環境状態が「注意」、「特に注意」、「危険」、または「非常に危険」であると判定することができる。
【0158】
5)温度情報および湿度情報の経時的計測値に基づく判定
例えば、インフルエンザウイルス感染は、一日のうち、温度32℃以上かつ湿度50%以上の状態を数時間保つことにより、発生しにくくなるといわれている。このため、各区画内を一時的にこのような状態に保つことにより、インフルエンザウイルスの感染の拡大を防ぐことができる。本態様においては、このように好ましい環境状態が所定の期間維持されたか否かを環境状態の判定に考慮する。具体的には、経時的に記憶された環境パラメータ50の計測値に基づいて、各区画の環境状態が良好であるか否かを判定する。ここで、区画内に人物が滞在している場合には、必要に応じて人物を区画外に待避させることができる。
【0159】
CPU21aは、ステップS204において各センサ60から出力される環境パラメータ50の経時的な計測値を取得し、例えば図16Dに示すように記憶部21dまたはRAM21cに記憶する。CPU21aは、ステップS206において、記憶部21dまたはRAM21cに記憶されている所定期間の計測値において、基準範囲(例えば、温度32℃以上、かつ湿度50%以上)外となった時間があるかないかを判定し、基準範囲外となった時間がない場合には、疾病の発生に関連する条件を満たさないと判定することができる。ここで、判定を行う所定の期間は、監視の対象となる疾病に依存する。また、CPU21aは、ステップS206において、所定期間内に、基準範囲外となった時間がある場合には、環境状態が良好でなかったと判定することができる。CPU21aは、ステップS206において、環境パラメータ50の計測値から求められる指標をもとめて、前記所定期間内において環境パラメータ50の指標が基準範囲外となったか否かを判定して、環境状態が良好であったか否かを判定してもよい。
【0160】
環境状態が良好でなかったと判定された場合において、環境状態の危険度が「要注意」または「警告」であると判定する範囲については、環境パラメータ50の計測値または指標がどの程度基準範囲から外れているか、または何回はずれたかに応じて適宜決定することができる。
【0161】
上記第1から第3および第5の態様において環境状態が「警告」と判定された場合には、ステップS208において、CPU21aは、「警告」を意味する注意通知C221を、注意通知表示データ40として作成する。室内環境の状態が「要注意」と判定された場合には、ステップS208において、CPU21aは、「要注意」を意味する注意通知C222を、注意通知表示データ40として作成する。また、第4の態様においては、「注意」、「特に注意」、「危険」、「非常に危険」の範囲に応じた注意通知表示データ40を作成する。
【0162】
ステップS212において、環境の状態が「良好」と判定されている区画については、施設マップ中の対応する区画には、注意通知は表示されない。
【0163】
以上、注意通知表示データを生成するための5種類の態様について説明した。なお、注意通知を表示するために、これらの条件のいずれか1つを用いてもよいし、これらの条件から複数を選択して用いてもよい。
【0164】
また、前記システムの動作には、任意のステップとして、ステップS206で区画内の環境状態が良好でないと判定された際に、その区画内の環境状態を良好な状態に戻すためのさらなるステップを含んでいてもよい。このステップは、具体的には施設内または区画内の空調システムまたは照明システム等を制御するための指令を生成し、前記指令を空調システムまたは照明システム等に送信する機能を監視装置200のCPU21aに実行させるステップである。あるいは、区画内の環境状態を良好な状態に戻すためのさらなるステップは、施設内または区画内の空調システムまたは照明システム等を制御するための指令を生成し、前記指令を空調システムまたは照明システム等に送信する機能をクライアント装置300のCPU31aに実行させるステップであってもよい。
【0165】
[コンピュータプログラム]
本発明の一実施形態は、コンピュータを監視装置200として機能させるためのコンピュータプログラムに関する。
【0166】
本実施形態におけるコンピュータプログラムは、少なくとも、クライアント装置300からの要求に応じて、図15に示したステップS203からステップS209の処理を監視装置200の制御部21aに実行させ、注意通知表示データを生成させる。さらに本実施態様におけるコンピュータプログラムは、図11に示したステップS103からステップS106の処理を監視装置200の制御部21aに実行させ、マップ表示データを生成させてもよい。
【0167】
また、前記プログラムは、任意のステップとして、ステップS206で区画内の環境状態が良好でないと判定された際に、その区画内の環境状態を良好な状態に戻すためのさらなるステップを含んでいてもよい。このステップは、具体的には施設内または区画内の空調システムまたは照明システム等を制御するための指令を生成し、前記指令を空調システムまたは照明システム等に送信する機能を監視装置200のCPU21aに実行させるステップである。
【0168】
本実施形態に係るコンピュータプログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶媒体に記憶されていてもよい。前記記憶媒体へのプログラムの記憶形式は、前記情報取得装置が前記プログラムを読み取り可能である限り制限されない。前記記憶媒体への記憶は、不揮発性であることが好ましい。
【0169】
[施設内監視方法]
本実施形態は、施設内監視方法に関する。前記方法は、施設内に配置された複数の区画毎に設けられたセンサから取得される、環境パラメータの計測値に基づいて、区画配置図に、各区画における環境状態を識別可能に表示させるための表示データを生成する工程を含む。また、前記区画配置図に、前記環境状態を識別可能に表示する工程を含んでいてもよい。
【0170】
また、本実施形態は、前記表示データを生成する前に、施設内に配置された複数の区画毎に、前記区画内の環境を把握するための環境パラメータの計測値を取得する工程を含んでいてもよい。また、前記区画配置図に、前記環境パラメータの計測値が基準範囲外の区画を、識別可能に表示してもよい。
【0171】
本実施形態において、環境パラメータの計測値は、上述のセンサから取得することができる。また、本実施態様は、前記取得工程の後、かつ前記表示工程の前に、各区画について前記環境パラメータの計測値が基準範囲外か否かを判定する工程を含んでいてもよい。
【0172】
さらに本実施形態においては、前記環境状態の判定例にしたがって、前記環境パラメータの計測値が基準範囲外か否かを判定することができる。
【0173】
前記[発明の概要]、[システムの構成]、[システムの動作]等の項における本発明に関する説明は、全てここに援用される。
[その他の態様]
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0174】
上記実施形態では、施設内監視システム100は、監視装置200とクライアント装置とが通信ネットワークを介して互いに接続されたシステムとして構成されているが、施設内監視システム100の構成はこれに限定されない。施設内監視システム100は、監視装置200とクライアント装置300とが一体化した構成であってもよい。
【0175】
上記実施形態では、監視装置200は一体の装置として実現されているが、監視装置200は一体の装置である必要はない。監視装置200は、CPU21a、RAM21c、記憶部21d等が別所に配置され、これらが通信ネットワークを介して接続された分散型の装置として実現されてもよい。クライアント装置300についても同様に、クライアント装置300は一体の装置である必要はない。クライアント装置300は、CPU31a、RAM31c、記憶部31d、表示部32および入力部33等が別所に配置され、これらが通信ネットワークを介して接続された分散型の装置として実現されてもよい。すなわち施設内監視システム100は、監視装置200の制御部と、クライアント装置300の表示部32とを備える分散型のシステムとして実現されてもよい。
【0176】
上記実施形態では、監視装置200は単一のCPU21aにより処理を実行しているがこれに限定されない。監視装置200は、複数のCPUにより処理を分散して実行してもよい。クライアント装置300についても同様に、クライアント装置300は、複数のCPUにより処理を分散して実行してもよい。
【0177】
上記実施形態では、クライアント装置300は据え置き型のコンピュータによって実現されているがこれに限定されない。クライアント装置300は、例えばスマートフォン、タブレット装置、ラップトップ・コンピュータ等の携帯型のコンピュータとして実現されてもよい。
【0178】
上記実施形態では、1台のクライアント装置300が施設内監視システム100に備えられているがこれに限定されない。複数のクライアント装置300が、例えば病院内のフロア毎に(例えば、ナースステーション毎に)配置されていてもよい。無線装置70についても同様に、複数の無線装置70が、例えば病院内のフロア毎に(例えば、病室毎に)配置されていてもよい。
【0179】
上記実施形態では、注意通知を表示する処理のステップS205において、監視装置200は、取得した環境パラメータの計測値または前記計測値から求められた指標に基づいて環境状態を判定しているが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、センサ60における実測値を施設外部の気温および湿度、計測時の季節、気象状況、時刻等に応じて補正し、補正後の環境パラメータの計測値に基づいて、基準範囲と比較してもよい。例えば通信ネットワーク80を介して、気象庁のデータサーバから気象状況のデータを取り込んで補正に使用することもできる。また、実測値を補正するのにかえて、施設外部の気温および湿度、計測時の季節、気象状況、時刻等に応じて基準範囲を補正してもよい。このような補正処理をいつ行うかについては、処理を行う日時を監視装置200の記憶部21dに予め記憶していてもよい。環境パラメータの計測を行う日時、期間、時間間隔は、インフルエンザが流行する時期、熱中症が発生する時期、および真菌の繁殖が盛んになる時期等を考慮して決定することができる。例えば日本では、3月から5月の間と9月から10月の間とは、48時間周期でスケジューリングし、11月から2月の間は24時間周期でスケジューリングし、6月から8月の間は48時間以上の周期でスケジューリングすればよい。
【0180】
上記実施形態では、注意通知C221,C222が示す注意喚起レベルを、円形枠に囲まれた感嘆符で表示していたが、注意喚起レベルの表示態様はこれに限定されない。感嘆符の代わりに、星印などの他のマークを用いて注意喚起レベルを表示してもよい。さらに、マークだけでなく、色、アイコン、文字、または数値を用いて注意喚起レベルを表示してもよい。特に携帯端末400の表示部42に注意通知を表示するときには、注意喚起レベルをメッセージで表示してもよい。さらに前記メッセージには、環境状態が良好でない区画を特定する情報、および/または基準範囲外となった環境パラメータの項目を表示させてもよい。
【0181】
上記実施形態では、注意通知は、監視対象であるインフルエンザウイルス等のウイルスに対する罹患しやすさ、真菌または細菌の繁殖し易さ、および熱中症の発症しやすさを区別せずに表示されているが、これに限定されない。例えば、注意通知を感嘆符および色を組み合わせたアイコンで構成することにより、複数の監視対象を区別して表示してもよい。また、図18に示すように、注意通知をマウスでポイントしたときに、環境パラメータのいずれの項目が基準範囲となっているか、表示されるようにしてもよい。
【0182】
上記実施形態では、監視装置200のCPU21aは、ステップS208において、各センサ60について注意通知表示データ40を作成しているが、これに限定されない。監視装置200は、注意通知表示データ40の送信に代えて、環境状態の判定結果をクライアント装置300に送信してもよい。この場合、クライアント装置300は、記憶部31dに注意通知表示データ40を予め記録しておき、受信した環境状態の判定結果に応じて、注意通知表示データ40を適宜選択して、施設マップに表示する。
【0183】
上記実施形態では、施設マップには、アイコンで注意通知C221,C222が表示されているが、施設マップに注意通知を表示する態様はこれに限定されない。アイコンの表示に代えて、例えば、注意通知の表示が必要なフロア情報G207、区画情報G307、および入院患者情報G407の表示態様を変化させることにより、注意通知を表示してもよい。注意通知を表示する態様としては、例えば、表示する色の濃淡を用いて表示する態様、特定の色を用いて表示する態様、特定のマーク、文字、音、振動、表示の点滅、およびアイコンの動的な表示変化等の種々の態様がある。
【0184】
上記実施形態では、施設マップに注意通知C221,C222を表示することにより、室内環境の状態を表しているが、これに限定されない。
【0185】
上記実施形態では、センサ60が所定の時間間隔で環境パラメータを計測し、監視装置200が、施設マップの表示内容および注意通知の表示内容を自動的に更新しているが、前記所定の時間間隔は特に限定されない。例えば、標準的な時間間隔を10分に設定し、高齢の患者や乳幼児の患者が入院している区画については、時間間隔をより短く設定してもよい。患者の年齢は、監視装置200を電子カルテシステムに接続することにより、施設に既存する電子カルテシステムから取得できる。
【符号の説明】
【0186】
32 表示部
40 表示データ
60 センサ
21a 制御部
21d 記憶部
50 環境パラメータ
100 施設内監視システム
200 施設内監視装置
300 クライアント装置
400 携帯端末
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図3
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