(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】車両用入力装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/027 20060101AFI20220322BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220322BHJP
B62D 1/06 20060101ALI20220322BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220322BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20220322BHJP
【FI】
B60R16/027 T
B60R16/02 640K
B62D1/06
G06F3/0488
G06F3/0482
(21)【出願番号】P 2017237377
(22)【出願日】2017-12-12
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】P 2017067265
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】長澤 勇
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-218391(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009038044(DE,A1)
【文献】特開2005-250785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/027
B60R 16/02
B62D 1/06
G06F 3/0488
G06F 3/0482
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに表示される表示内容を該ディスプレイに設定された二軸方向の夫々の軸位置の交差部から選択する車両用入力装置において、
前記二軸方向の共通した起点となる原点を前記ディスプレイに表示する原点表示手段と、
ステアリングリムの周方向に沿って設けられ、運転者の手指の位置を検出する手指検出手段と、
前記手指検出手段で検出された運転者の手指の位置を、前記ディスプレイに表示されている原点に対応させて前記ステアリングリムに設定された原点から該ステアリングリムの周方向の何れか一方に設定された前記二軸方向の何れか一方の軸方向の軸位置及び該周方向の何れか他方に設定された前記二軸方向の何れか他方の軸方向の軸位置の夫々に対応させる軸位置検出手段と、
前記軸位置検出手段で検出された前記二軸方向の夫々の軸方向の軸位置の交差部から前記ディスプレイに表示されている表示内容を選択する表示内容選択手段と、
を備え
、
前記ステアリングリム上の原点が前記ディスプレイ上の原点と略同方向に位置することを特徴とする車両用入力装置。
【請求項2】
前記二軸方向の共通した起点となる原点を前記ステアリングリム上に表示するステアリングリム原点表示手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用入力装置。
【請求項3】
前記原点表示手段は、
前記ステアリングリムに設定されている原点を前記ディスプレイに表示することを特徴とする請求項1
又は2に記載の車両用入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に設けられた車両用入力装置、特に、車室内のディスプレイに表示されている選択可能な複数の表示内容から何れかを選択するために用いられる車両用入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用入力装置として、例えばカーナビゲーションシステムのディスプレイに、例えば映像/音声の選択アイコンを表示し、何れかのアイコンを選択するようにしたものがある。この種の車両用入力装置としては、例えば下記特許文献1に記載されるものがある。この車両用入力装置は、カーナビゲーションシステムのディスプレイがタッチパネルになっており、このディスプレイに表示されるアイコンにタッチすることで、例えば映像/音声アプリケーションを選択するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の車両用入力装置では、例えばディスプレイに表示されるアイコンの視認、アイコンの選択、アイコンへのディスプレイタッチ、アイコンが選択されたことの確認、といった一連の操作過程において、少なくとも各操作中は連続的にアイコン、つまりディスプレイを見る状況となる。更に、ディスプレイタッチの際には、ステアリングホイールから手を離すことが必須の動作となる。即ち、連続した視覚的な確認とステアリングホイールから手を離す動作を同時に行う状況がアイコン選択のたびに生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ディスプレイに表示される表示内容を選択する場合に、視点を移す動作とステアリングホイールから手を離す動作を同時に行う必要がなく、可及的に視点を移す時間を短縮することができる車両用入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための車両用入力装置は、ディスプレイに表示される表示内容を該ディスプレイに設定された二軸方向の夫々の軸位置の交差部から選択する車両用入力装置において、前記二軸方向の共通した起点となる原点を前記ディスプレイに表示する原点表示手段と、ステアリングリムの周方向に沿って設けられ、運転者の手指の位置を検出する手指検出手段と、前記手指検出手段で検出された運転者の手指の位置を、前記ディスプレイに表示されている原点に対応させて前記ステアリングリムに設定された原点から該ステアリングリムの周方向の何れか一方に設定された前記二軸方向の何れか一方の軸方向の軸位置及び該周方向の何れか他方に設定された前記二軸方向の何れか他方の軸方向の軸位置の夫々に対応させる軸位置検出手段と、前記軸位置検出手段で検出された前記二軸方向の夫々の軸方向の軸位置の交差部から前記ディスプレイに表示されている表示内容を選択する表示内容選択手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、運転者は手指をステアリングリムの周方向に沿って動かすだけでディスプレイに表示されている表示内容を選択することが可能となるので、ステアリングホイールから手を離す必要がない。また、ディスプレイに表示されている原点とステアリングリムに設定される原点とを対応させ、その原点からステアリングリムの周方向の二方向の夫々に設定されたディスプレイ上の二軸方向の夫々の軸位置を運転者の両手指の夫々の位置で選択することができるので、ディスプレイに表示されている表示内容や選択されている位置を或る程度予測しながら直覚的に選択することが可能となる。これにより、ディスプレイへの視点の移動動作とステアリングホイールから手を離す動作を同時に行う状況の発生が回避されると共に、連続したディスプレイへの視点移動の時間を短縮することが可能となる。
【0008】
また、前記二軸方向の共通した起点となる原点を前記ステアリングリム上に表示するステアリングリム原点表示手段を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ステアリングリム上の原点とディスプレイ上の原点とを対応させやすい。
【0010】
また、前記ステアリングリム上の原点が前記ディスプレイ上の原点と略同方向に位置することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ステアリングリム上のどこを操作すればディスプレイ上のどこを選択できるかが分かりやすい。
【0012】
また、前記原点表示手段は、前記ステアリングリムに設定されている原点を前記ディスプレイに表示することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、運転者は両手指の夫々の位置によってディスプレイに表示されている表示内容を選択することが可能であることを理解しやすくなり、連続したディスプレイへの視点移動の時間をより一層短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、運転者は手指をステアリングリムの周方向に沿って動かすだけでディスプレイに表示されている表示内容を選択することができるので、ステアリングホイールから手を離す必要がなく、これにより、ディスプレイへの視点の移動動作とステアリングホイールから手を離す動作を同時に行う状況の発生が回避される。
【0015】
また、ディスプレイに表示されている原点と対応されたステアリングリムの原点からステアリングリムの周方向の二方向の夫々に設定されたディスプレイ上の二軸方向の夫々の軸位置を運転者の両手指の夫々の位置で選択することとしたことから、表示内容や選択されている位置を或る程度予測しながら直覚的に選択することが可能となり、連続したディスプレイへの視点移動の時間を短縮することも達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の車両用入力装置の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【
図2】
図1のステアリングリムに設けられたタッチセンサを示す断面図である。
【
図3】
図1のコントロールユニットで行われる演算処理を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の車両用入力装置の第2の実施の形態を示す概略構成図である。
【
図5】
図4のディスプレイの他の表示例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の車両用入力装置の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この実施の形態の車両用入力装置の概略構成図である。この車両は、例えばステーションワゴン型などの乗用車両であり、例えば運転を支援するためのカーナビゲーションシステムが搭載されている。このカーナビゲーションシステムは、近年のカーナビゲーションシステムと同様に、映像や音声の受信・表現・再生・記録などを行うオーディオビジュアルシステムを兼任する。そのため、このカーナビゲーションシステムでは、例えば地図情報を表示するためのディスプレイ10に、オーディオビジュアルシステムの選択項目を、例えばアイコンとして表示するように構成されている。ディスプレイ10は、例えばセンターコンソール前方のインストゥルメントパネルに配設されている。
【0018】
このオーディオビジュアルシステムを兼任するカーナビゲーションシステム(以下、AVナビとも記す)は、自車両の位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)を搭載している。このGPSを搭載するAVナビは、実質的に同じ筐体内に収納されているコントロールユニット12によって制御される。コントロールユニット12は、例えばマイクロコンピュータなどの演算処理装置を搭載して構成され、高度な演算処理機能を有する。そのため、このコントロールユニット12は、コンピュータシステムと同様に、演算処理部の他、入出力部、記憶部などを備えて構成される。また、近年の車両と同様に、車両に搭載される他のコントロールユニットと互いに相互通信を行い、互いに協調制御を行ったり、情報を授受・共有したりするように構成されている。
【0019】
この実施の形態の車両用入力装置では、AVナビのディスプレイ10に表示されるアイコンなどの表示内容を選択するために、ステアリングリム16の周方向に沿ってタッチセンサ(タッチスイッチ:手指検出手段)18が取付けられている。このタッチセンサ18には、周知の抵抗膜方式のものや静電容量方式のものなどが適用可能であるが、何れの場合も、運転者の両手指が接触(又は押圧)している位置を夫々独立して検出できるものである必要がある。そのため、このタッチセンサ18は、例えばステアリングリム16の周方向に連続するものであるか、ステアリングリム16の周方向に沿って複数の電極が配設されたものなどである必要がある。
【0020】
このタッチセンサ18は、後述するように、AVナビのディスプレイ10に表示されている表示内容を、そのディスプレイ10に設定された二軸方向の軸位置の交差部として選択するためのものである。そのため、ディスプレイ10の二軸方向の共通した起点となる原点に対応して、タッチセンサ18(=ステアリングリム16)にも原点が設定され、その原点から、ステアリングリム16の周方向の何れか一方に二軸方向の何れか一方の軸方向を設定し、その周方向の何れか他方に二軸方向の何れか他方の軸方向を設定する。そして、各軸方向の軸位置をタッチセンサ18に接触(又は押圧)している運転者の両手指の夫々の位置とする。従って、タッチセンサ18の周方向配設長は、各軸方向の軸位置を検出できる長さであればよい。
【0021】
この実施の形態では、
図2に示すように、ディスプレイ表示内容選択のためのタッチセンサ18は、ステアリングホイール14を操作するときに、あまり手指が接触(押圧)しないように、ステアリングリム16の裏面側(運転者側と反対側)で且つやや径方向内側に配設されている。但し、このタッチセンサ18は、選択すべき表示内容がディスプレイ10に表示されているときにだけ有効になるので、運転のためにステアリングホイール14を操作している多くの時間は機能しない。そうした用途からは、前述したような配設位置以外の部分に配設しても、さほど問題はない。
【0022】
この実施の形態では、平面であるディスプレイ10上の表示内容を択一的に選択するために、ディスプレイ10の平面を二軸平面と捉え、その二軸方向の夫々の軸位置の交差部に相当する表示内容を選択するようにした。ここでは、例えば
図1に示すように、ディスプレイ10に横軸と縦軸の直交二軸を設定し、例えば図の左上に、各軸の共通する起点として原点Oを設定し、そこから縦軸下方向に2行、横軸右方向に3列の行列(マトリックス)を設定し、各行と各列の交差部に、例えば「DVD」、「CD」、「SD」、「AM」、「FM」、「TV」のアイコンを配置する。例えば、アイコン「CD」は縦軸方向の軸位置が原点から1行目、横軸方向の軸位置が原点から2列目であり、それらの軸位置の交差部が「CD」であると認識することができる。同様に、アイコン「TV」は縦軸方向の軸位置が原点から2行目、横軸方向の軸位置が原点から3列目であり、それらの軸位置の交差部が「TV」であると認識することができる。この実施の形態では、この横軸方向の軸位置を横軸座標、縦軸方向の軸位置を縦軸座標と表す。縦軸、横軸夫々の軸位置の交差部は、座標の定義に従って、横軸座標と縦軸座標から直接的に表される。なお、アイコンは、文字表示に限らず、図や記号などであってもよい。
【0023】
前述のように、ステアリングリム16の周方向に沿って配設されたタッチセンサ18には、ディスプレイ10の原点Oに対応して、ステアリングホイール14の中庸状態で、ステアリングリム16に向かって左上に原点Oが設定されている。このタッチセンサ18に設定された原点Oは、ステアリングリム16に設定されていることと等価である。このステアリングリム16に設定された原点Oから周方向右方向(時計回り方向)にディスプレイ10の横軸方向に対応する横軸方向を設定し、原点Oから周方向左方向(反時計回り方向)にディスプレイ10の縦軸方向に対応する縦軸方向を設定する。
【0024】
従って、
図1のディスプレイ10の表示内容に対応させると、ステアリングリム16に設定されている原点Oから反時計回り方向に1行、2行の順に行列の行が設定され、時計回り方向に1列、2列、…の順に行列の列が設定される。ディスプレイ10の縦軸方向の軸位置は縦軸座標であり、横軸方向の軸位置は横軸座標であるから、ステアリングリム16に設定されている原点Oから反時計回り方向に運転者の手指(通常は左手指)の接触(押圧)している位置が縦軸座標としてタッチセンサ18の検出信号から算出され、原点Oから時計回り方向に運転者の手指(通常は右手指)の接触(押圧)している位置が横軸座標としてタッチセンサ18の検出信号から算出される。
【0025】
図3には、ステアリングリム16の周上で接触(押圧)している運転者の両手指の位置からディスプレイ10上の表示内容を選択するためにコントロールユニット12で行われる演算処理のフローチャートを示す。この演算処理は、例えば予め設定された所定サンプリング時間ごとにタイマ割込み処理によって実行され、まずステップS1で、表示内容を選択するための縦軸座標及び横軸座標の原点のディスプレイ10上の表示及びステアリングリム16上の設定を行う。なお、この原点の表示及び設定が個別の手段によって予め行われている場合には省略してもよい。
【0026】
次にステップS2に移行して、タッチセンサ18から出力された検出信号を読込む。
【0027】
次にステップS3に移行して、ステップS2で読込まれたタッチセンサ18の検出信号からステアリングリム16上における運転者の手指(主として左手指)の接触(押圧)縦軸座標を算出する。
【0028】
次にステップS4に移行して、ステップS2で読込まれたタッチセンサ18の検出信号からステアリングリム16上における運転者の手指(主として右手指)の接触(押圧)横軸座標を算出する。
【0029】
次にステップS5に移行して、ステップS3、S4で算出された縦軸座標及び横軸座標の位置に、例えばディスプレイ10上のカーソルを移動させて表示内容を選択してから復帰する。この表示内容の選択には、他に、該当位置の輝度を高めるとか、該当位置の色を変更するなどの表示方法が考えられる。
【0030】
この演算処理によれば、ステアリングリム16の周方向に沿って取付けられたタッチセンサ18の検出信号から、主に運転者の左手指が接触(押圧)している位置に応じた縦軸座標を算出すると共に、主に運転者の右手指が接触(押圧)している位置に応じた横軸座標を算出する。前述のように、縦軸座標と横軸座標は、ディスプレイ10上の位置を直接的に表すことができるので、該当する位置の表示内容を、例えばカーソルを移動させたり、輝度を高めたり、色を変更したりすることによって選択することができる。その結果、運転者はステアリングホイール14から手を離すことなく、ディスプレイ10に表示されている表示内容を選択することが可能となる。また、慣れれば、両手指によるステアリングリム16の接触(押圧)位置を調整することによりディスプレイ10に表示されている表示内容を直覚的に選択することができるので、ディスプレイ10を連続的に見ている時間を短くすることが可能となる。
【0031】
なお、この実施の形態のディスプレイ表示内容選択方法では、表示内容の選択のみを行っており、その選択を決定する方法については述べていない。しかし、その選択決定方法は、既存の方法が適用可能である他、例えばステアリングリム16上に設定された原点位置でタッチセンサ18をダブルタップするなどによって行うことが可能である。
【0032】
次に、本発明の車両用入力装置の第2の実施の形態について説明する。
図4は、この実施の形態の車両用入力装置の概略構成図である。この実施の形態の車両用入力装置は、第1の実施の形態の車両用入力装置に類似しており、同等の構成要件も多い。そこで、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0033】
この実施の形態では、
図4に示すように、ディスプレイ10に横軸と縦軸の直交二軸を設定し、例えば図の左上に、各軸の共通する起点として原点Oを設定し、そこから縦軸下方向に「あ」段、「い」段、…の順にひらがなの段を設定し、横軸右方向には「あ」行、「か」行、…の順にひらがなの行を設定する。例えば、ひらがなの「つ」は「た」行「う」段であるから、例えば、横軸方向の軸位置は原点から「4」番目、縦軸方向の軸位置は「3」番目となり、それらの軸位置の交差部が「つ」であると認識することができる。この実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、横軸方向の軸位置を横軸座標、縦軸方向の軸位置を縦軸座標と表す。また、縦軸、横軸夫々の軸位置の交差部は、座標の定義に従って、横軸座標と縦軸座標から直接的に表される。
【0034】
この実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、ステアリングリム16の周方向に沿って配設されたタッチセンサ18には、ディスプレイ10の原点Oに対応して、ステアリングホイール14の中庸状態で、ステアリングリム16に向かって左上に原点Oが設定されている。このタッチセンサ18に設定された原点Oは、ステアリングリム16に設定されていることと等価であり、このステアリングリム16に設定された原点Oから周方向右方向(時計回り方向)にディスプレイ10の横軸方向に対応する横軸方向を設定し、原点Oから周方向左方向(反時計回り方向)にディスプレイ10の縦軸方向に対応する縦軸方向を設定する。
【0035】
従って、
図4のディスプレイ10の表示内容に対応させると、ステアリングリム16に設定されている原点Oから反時計回り方向に「あ」段、「い」段、…の順にひらがなの段が設定され、時計回り方向に「あ」行、「か」行、…の順にひらがなの行が設定される。そして、第1の実施の形態と同様に、ディスプレイ10の縦軸方向の軸位置は縦軸座標であり、横軸方向の軸位置は横軸座標であるから、ステアリングリム16に設定されている原点Oから反時計回り方向に運転者の手指(通常は左手指)の接触(押圧)している位置が縦軸座標としてタッチセンサ18の検出信号から算出され、原点Oから時計回り方向に運転者の手指(通常は右手指)の接触(押圧)している位置が横軸座標としてタッチセンサ18の検出信号から算出される。そのため、第1の実施の形態と同様に、
図3の演算処理を行うことにより、タッチセンサ18の検出信号から算出された縦軸座標と横軸座標の位置の表示内容、即ちひらがなを選択することができる。
【0036】
図4のディスプレイ10には、選択内容としての「あ」、「い」、…のみが表示されている。
図5には他の表示例として、選択内容である「あ」、「い」、…に合わせて、ステアリングリム16上の選択位置と選択内容の対応関係を表示している。ディスプレイ10の原点とステアリングリム16の原点を対応させ、その原点から、ステアリングリム16の一方の周方向にディスプレイ10の一方の座標軸を対応させ、ステアリングリム16の他方の周方向にディスプレイ10の他方の座標軸を対応させる表示内容選択方法は、前述のように、慣れればディスプレイ10上の表示内容を直覚的に選択することが可能である。しかし、その一方で、慣れていない運転者にとっては、ステアリングリム16の周上で表示内容を選択すること自体が不明な場合もある。そうした場合、ディスプレイ10上に、ステアリングリム16上の選択位置と選択内容の対応関係を表示しておけば、不慣れな運転者も理解・操作しやすい。また、この方法であれば、表示内容によって、ディスプレイ10の原点及びステアリングリム18の原点を変更することも可能である。なお、ステアリングリム16の対応内容をディスプレイ10に選択表示できるようにしてもよい。
【0037】
このように、これらの実施の形態の車両用入力装置では、ディスプレイ10に表示される表示内容を該ディスプレイ10に設定された二軸方向の座標から選択する場合に、その二軸方向の原点をディスプレイ10に表示し、ステアリングリム16の周方向に沿って設けられたタッチセンサ18を介して運転者の両手の手指の位置を検出し、検出された運転者の両手の手指の位置の夫々を、ディスプレイ10に表示されている原点に対応させてステアリングリム16に設定された原点から該ステアリングリム16の周方向の何れか一方に設定された二軸方向の一方の座標及び該周方向の何れか他方に設定された二軸方向の他方の座標に対応させ、検出された二軸方向の座標からディスプレイ10に表示されている表示内容を選択する。
【0038】
これにより、運転者は手指をステアリングリム16の周方向に沿って動かすだけでディスプレイ10に表示されている表示内容を選択することが可能となるので、ステアリングホイール14から手を離す必要がない。また、ディスプレイ10に表示されている原点とステアリングリム16に設定される原点とが対応し、その原点からステアリングリム16の周方向の二方向の夫々に設定されたディスプレイ10上の二軸方向の座標を運転者の両手指の夫々の位置で選択することができるので、ディスプレイ10に表示されている表示内容や選択されている位置を或る程度予測しながら直覚的に選択することが可能となる。これにより、ディスプレイ10への視点の移動動作とステアリングホイール14から手を離す動作を同時に行う状況の発生が回避されると共に、連続したディスプレイ10への視点移動の時間を短縮することが可能となる。
【0039】
また、ステアリングリム16に設定されている原点をディスプレイ10に表示することにより、運転者は両手指の夫々の位置によってディスプレイ10に表示されている表示内容を選択することが可能であることを理解しやすくなり、連続したディスプレイ10への視点移動の時間をより一層短縮することが可能となる。
【0040】
なお、前述の実施の形態では、車両用入力装置としてAVナビのディスプレイ10に表示される表示内容を選択するものについてのみ詳述したが、本発明の車両用入力装置は、ディスプレイ10の二軸方向に表示される表示内容を選択するものであれば、如何様なものにも適用可能である。また、ディスプレイ10の他の例としては、例えばステアリングボスに配設することもできる。また、選択される表示内容が如何様なものであってもよい。
【0041】
本発明が上記していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当とされる特許請求の範囲に記載された発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0042】
10 ディスプレイ
12 コントロールユニット
16 ステアリングリム
18 タッチセンサ(手指検出手段)