(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220322BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220322BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220322BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
G09F9/00 348A
G09F9/00 346A
G09F9/00 336J
G02F1/1333
F21S2/00 443
F21S2/00 444
F21V19/00 150
F21V19/00 450
(21)【出願番号】P 2018005475
(22)【出願日】2018-01-17
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手錢 友也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 健
(72)【発明者】
【氏名】松原 亨友
(72)【発明者】
【氏名】平本 幸治
(72)【発明者】
【氏名】金木 豪
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-133519(JP,A)
【文献】特開2008-275815(JP,A)
【文献】特開2010-060591(JP,A)
【文献】特開2009-098556(JP,A)
【文献】特開2006-156325(JP,A)
【文献】特開2006-078622(JP,A)
【文献】特開2009-098625(JP,A)
【文献】特開2009-272457(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104869749(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
F21S 2/00-45/70
F21V 1/00-15/04
23/00-37/00
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの背面に対向する底板と、前記底板から立設されて前記表示パネルに取付けられる側板とを有するケースと、
前記表示パネルに一端部を接合された状態で、前記ケースの側板に沿って前記底板側に湾曲して前記底板と対向するフレキシブル配線基板と、
前記フレキシブル配線基板と前記ケースの側板との間、および前記フレキシブル配線基板と前記底板との間、に充填され、前記フレキシブル配線基板を前記ケースの外面に接着しているとともに前記フレキシブル配線基板を湾曲状態に保持する接着剤と、を備え、
前記接着剤は、前記底板と前記側板とが交差する前記ケースの角部を含む領域と前記フレキシブル配線
基板との間まで充填され、
前記フレキシブル配線基板と前記ケースの前記側板との間に充填されている接着剤の層厚は、前記フレキシブル配線基板と前記角部と間に充填されている接着剤の層厚よりも厚く、前記フレキシブル配線基板と前記角部と間に充填されている接着剤の層厚は、前記フレキシブル配線基板と前記ケースの底板との間に充填されている接着剤の層厚よりも厚い、
表示装置。
【請求項2】
前記フレキシブル配線基板は、基材と、前記基材上に形成され複数の配線を形成する導電層と、前記導電層を覆う保護層と、を有し、前記保護層側が前記ケースの外面に対向して配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記基材は、ポリイミドを含む樹脂で形成され、前記接着剤は、湿気により硬化する湿気硬化型の接着剤を用いている請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記接着剤は、前記フレキシブル配線基板と前記ケース
の外面との間において、前記フレキシブル配線基板の幅方向の全長に亘って充填されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記接着剤は、前記フレキシブル配線基板と前記ケースの外面との間において、前記フレキシブル配線基板の幅方向に間欠的に充填されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ケースと、前記ケース内に配置され前記表示パネルに対向する導光板と、前記ケース内に配置され前記導光板に光を入射する光源ユニットと、を有するバックライト装置を更に備え、
前記光源ユニットは、接続端部を有する配線基板と、前記配線基板上に実装され前記導光板に対向する光源と、を有し、前記接続端部は、前記ケースから外方に延出している請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記接続端部は、前記フレキシブル配線基板と前記ケースの外面との間に延在し、前記接着剤内に埋設されている請求項
6に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレットコンピュータ、カーナビゲーションシステム等の表示装置として、液晶表示装置、有機EL表示装置等が広く用いられている。例えば、液晶表示装置は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルを照明するバックライト装置と、を備えている。バックライト装置は、液晶表示パネルに取付けられたケース(あるいはベゼル)と、ケース内に配置された種々の光学部材と、を有している。液晶表示パネルの入力端子近傍に駆動ICが実装されている。更に、液晶表示パネルには、フレキシブルプリント回路基板(FPC)の一端が接合され、駆動ICに電気的に接続されている。このFPCは、液晶表示パネルから外方に延出し、例えば、ケースの底面側に折曲げられ、ケースの側面および裏面に沿って配置される。
【0003】
近年、表示装置の狭額縁化が進捗している。一例として、駆動ICをFPC上に搭載することで、従来、表示パネルに実装されていた駆動ICを除去し、その結果として表示パネルの狭額縁化を実現している。FPCに駆動ICを実装する(以下、COFと称する)場合、FPCの狭ピッチ配線の実現、および、基板基材(例えば、ポリイミド)の厚みを厚くして基板強度を上げることが必要となる。そのため、通常のFPCに対して、COFは曲げに対する反発力(弾性復帰力)が強くなっている。反面、表示装置の狭額縁化に伴い、COFの曲げ部の曲率を拡大化する傾向にあり、急峻な曲げが要求される。そのため、COFの反発力が一層、強くなる傾向にある。一方、狭額縁化によって、表示パネルとバックライト装置との接着面積が小さくなっているため、表示パネルとバックライト装置との接着力は脆弱化していく。そのため、狭額縁化によるCOFの反発力が強くなることと、背反して接着力が小さくなり、バックライト装置と表示パネルとの接合部の剥離、バックライト装置の内部部品の剥離等を引き起こす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-207279号公報
【文献】特開2015-176680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで述べる実施形態の目的は、フレキシブル配線基板を安定して保持することができ、信頼性の向上、製造コストの低減が可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルの背面に対向する底板と、前記底板から立設されて前記表示パネルに取付けられる側板とを有するケースと、前記表示パネルに一端部を接合された状態で、前記ケースの側板に沿って前記底板側に湾曲して前記底板と対向するフレキシブル配線基板と、前記フレキシブル配線基板と前記ケースの側板との間、および前記フレキシブル配線基板と前記底板との間、に充填され、前記フレキシブル配線基板を前記ケースの外面に接着しているとともに前記フレキシブル配線基板を湾曲状態に保持する接着剤と、を備えている。前記接着剤は、前記底板と前記側板とが交差する前記ケースの角部を含む領域と前記フレキシブル配線基板との間まで充填されている。前記フレキシブル配線基板と前記ケースの前記側板との間に充填されている接着剤の層厚は、前記フレキシブル配線基板と前記角部と間に充填されている接着剤の層厚よりも厚く、前記フレキシブル配線基板と前記角部と間に充填されている接着剤の層厚は、前記フレキシブル配線基板と前記ケースの底板との間に充填されている接着剤の層厚よりも厚い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の表示面側を示す斜視図。
【
図2】
図2は、前記液晶表示装置の背面側を示す斜視図。
【
図4】
図4は、
図2の線A-Aに沿った前記液晶表示装置の光源側部分の断面図。
【
図5】
図5は、フレキシブル配線基板を展開した状態の前記液晶表示装置を示す斜視図。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る液晶表示装置の一部を概略的に示す平面図。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る液晶表示装置の光源側部分の断面図。
【
図8】
図8は、第1変形例に係る液晶表示装置の一部を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る液晶表示装置の表示面側を示す斜視図、
図2は、前記液晶表示装置の背面側を示す斜視図、
図3は、液晶表示装置の分解斜視図、
図4は、
図2の線A-Aに沿った液晶表示装置の光源側部分の断面図である。
液晶表示装置10は、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、ノートブックタイプPC、携帯型ゲーム機、電子辞書、テレビ装置、カーナビゲーションシステムなどの各種の電子機器に組み込んで使用することができる。
【0010】
図1、
図2、
図3に示すように、液晶表示装置10は、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル(表示パネル)12と、表示パネル12の一方の表面である表示面12aに重ねて配置され、表示面12a全体を覆うカバーパネル14と、表示パネル12の他方の表面である背面に対向配置されたバックライトユニット(バックライト装置)20と、を備えている。
【0011】
図3および
図4に示すように、表示パネル12は、矩形板状の第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向配置された矩形板状の第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に設けられた液晶層LQと、を備えている。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、それぞれガラス板あるいは樹脂板等の透明な絶縁基板により形成されている。第2基板SUB2の周縁部は、シール材SEにより第1基板SUB1に貼り合わされている。第2基板SUB2の表面に偏光板PL2が貼付され、表示パネル12の表示面12aを形成している。第1基板SUB1の表面(表示パネル12の背面)に偏光板PL1が貼付されている。
【0012】
表示パネル12は、表示面12aを平面視(表示パネルの表面の法線方向から当該表示パネルを視認する状態をいう。以下同様である)した状態で、シール材SEの内側となる領域に矩形状の表示領域(アクティブ領域)DAを有している。該表示領域DAに画像が表示される。表示領域DAの周囲に、矩形枠状の額縁領域(非表示領域)EDが設けられている。表示パネル12は、バックライトユニット20からの光を表示領域DAに選択的に透過させることで画像を表示する透過表示機能を備えている。
【0013】
図1、
図3、
図4に示すように、カバーパネル14は、例えば、ガラス板製あるいはアクリル系の透明樹脂製であり、矩形板状を呈している。カバーパネル14の背面(表示パネル12側の面、あるいは、観察者に対向する面と反対側となる面)の周縁部に枠状の遮光層RSが形成されている。カバーパネル14の背面(裏面)は、光透過性を有する接着剤ADあるいは粘着剤により、表示パネル12の偏光板PL2に貼付されている。
【0014】
図2、
図3、
図4に示すように、バックライトユニット20は、ケース18と、ケース18内に配置された複数の光学部材と、光学部材に入射する光を供給する光源ユニット30と、を備えている。本実施形態において、ケース18は、矩形状の底板17と、底板17の側縁に沿って立設された複数の側板(16a~16d)と、これらの側板に密着して設けられる矩形枠状のフレーム16と、を有している。フレーム16および側板は、互いに対向する一対の長壁部(長側板)16a、16bと、互いに対向する一対の短壁部(短側板)16c、16dと、を構成している。
【0015】
これらフレーム16およびケース18は、いずれも樹脂製あるいは金属製として一体に形成することが可能であり、あるいは、いずれか一方を樹脂製、他方を金属製とする構成も採用可能である。本実施形態では、底板17及び側板をステンレス(SUS)等の金属で形成し、フレーム16を樹脂で形成している。フレーム16は、インサートモールディング等により側板と一体化されている。
なお、フレーム16は、本実施形態においては枠状に形成されているが、バックライトユニット20の一対の短辺側にのみ設ける構成を採用することもできる。また、一対の短辺側のうち、一方の短辺側にのみフレームを設ける構成を採用することもできる。
【0016】
図3および
図4に示すように、バックライトユニット20の光学部材は、フレーム16内で底板17上に載置された反射シートRE、導光板LG、および導光板LG上に重ねて配置された複数枚、例えば、2枚の第1光学シートOS1、第2光学シートOS2を有している。反射シートREは、底板17上に載置され、底板17のほぼ全面を覆っている。
導光板LGは、透光性を有する樹脂、例えば、アクリル系あるいはシリコン系の樹脂、を矩形状に形成してなり、直方体状を成している。導光板LGは、出射面となる第1主面S1と、この第1主面S1の反対側の第2主面S2と、第1主面および第2主面とそれぞれ交差する複数の側面と、を有している。本実施形態では、導光板LGの短辺側の一側面を入射面EFとしている。
導光板LGは、第2主面S2側が反射シートREと対向した状態で、フレーム16内に配置される。導光板LGの入射面EFは、フレーム16の短壁部(短側板)16dと隙間を空けて対向している。
【0017】
本実施形態によれば、第1光学シートOS1として拡散シートを用い、第2光学シートOS2としてプリズムシートを用いている。光学シートOS1、OS2は、導光板LGの第1主面S1上に順に重ねて載置されている。光学シートは、2枚に限らず、3枚以上あるいは2枚以下の光学シートを用いてもよい。
図4に示すように、第1光学シートOS1は、光源側の端部(短辺側端部)OSEを有している。この端部OSEは、導光板LGの入射面EFを超えて、導光板LGから光源側に突出している。端部OSEの上面(表示パネル12側の表面)に黒色印刷BPが形成されている。黒色印刷BPは、第1光学シートOS1の短辺の全長に渡って延在している。更に、黒色印刷BPに重ねて帯状の遮光テープ45が貼付されている。これら黒色印刷BPおよび遮光テープ45により、第1光学シートOS1の端部OSEを遮光し、端部OSEからの光漏れを抑制している。
【0018】
光源ユニット(光源装置)30について説明する。
図3および
図4に示すように、光源ユニット30は、配線基板として機能する帯状のフレキシブルプリント回路基板(FPC)32と、FPC32上に実装された複数の光源と、を有している。FPC32は、ケース18の短辺とほぼ等しい長さに形成されている。FPC32は、一方の側縁から延出した接続端部32c(
図2、
図3参照)を一体に有している。FPC32は、導電層で形成された複数の接続パッド41および図示しない配線を有している。
【0019】
本実施形態では、光源として、点光源である発光素子、例えば、発光ダイオード(LED)34を所定の間隔で複数個、並べたものを用いている。LED34の各々は、ほぼ直方体形状のケース(エンクロージャ)を有している。ケースは、光を出射する発光面34aと、発光面34aと直交する実装面34bと、発光面34aと直交し実装面34bに対向する第1側面34cと、を有している。この実装面34b側がFPC32の一方の表面上にそれぞれ実装されている。LED34は、発光面34aを含む端部が、FPC32の側縁から外側に突出した状態でFPC32に実装されている。
【0020】
光源ユニット30は、ケース18内に配置されている。複数のLED34は、ケース18内で、導光板LGの入射面EFと短側板16dとの間に配置されている。LED34の発光面34aは、入射面EFと隣接対向し、あるいは、入射面EFに当接している。FPC32は短側板16dに沿って配置され、一側縁部が短側板16d上に載置されている。この一側縁部は、粘着テープ43等によりフレーム16上に貼付してもよい。FPC32の接続端部32cは、短側板16dの長手方向一端近傍からケース18の外方に延出している(
図2、
図3参照)。接続端部32cの延出端には、接続端子74が設けられている。
【0021】
LED34の第1側面34cは、導光板LGの第2主面S2とほぼ面一に並んでいる。第1側面34cおよび第2主面S2に亘って固定テープTP2が貼付されている。複数のLED34は、固定テープTP2により導光板LGに固定され、所定位置に支持されている。固定テープTP2は、透明でもよいし、あるいは、黒インク等を含有した黒色とし遮光機能を有していてもよい。
【0022】
図3および
図4に示すように、バックライトユニット20は、枠状の両面テープTP1を備えている。両面テープTP1は、フレーム16上に貼付されている。両面テープTP1の外周縁は、ケース18の外周縁に一致している。ケース18の光源側端部において、両面テープTP1は、スペーサSP1を介して、FPC32上に貼付され、更に、遮光テープ45上に貼付されている。
【0023】
上記のように構成されたバックライトユニット20は、両面テープTP1により、表示パネル12に取り付けられている。両面テープTP1の内周部は偏光板PL1に貼り付けられ、外周部は、スペーサSP2を挟んで、第1基板SUB1に貼り付けられている。バックライトユニット20の外周縁は、光源側を除いて、第1基板SUB1の外周縁に一致している。光源側においては、バックライトユニット20の側縁は、第1基板SUB1の側縁よりも僅かに外側に位置している。
【0024】
図2および
図3に示すように、液晶表示装置10は、表示パネル12に接合されたフレキシブルプリント回路基板(メインFPC、フレキシブル配線基板)を有している。第1基板SUB1の一方の短辺側には、第2基板SUB2に重ならない露出部が設けられており、該露出部の上面にメインFPC23の一端部が接合されている。メインFPC23は、表示パネル12の短辺から外方に延出している。メインFPC23の一端部の幅W1は、第1基板SUB1の幅W2よりも小さい。メインFPC23は、例えば、第1基板SUB1の短辺と直交する方向に延出している。前述した光源ユニット30の接続端部32cは、メインFPC23の一端部と厚さ方向に重なることなく、メインFPC23に対して短側板16dの長手方向にずれて位置している。
メインFPC23には、表示パネル12を駆動するのに必要な信号を供給する信号供給源として、ドライバIC24等の半導体素子が実装されている(かかるFPCにドライバICを実装した構成物をCOF(Chip On Flexible printed circuit)と称することがある)。メインFPC23の延出端に、サブFPC25が接合されている。このサブFPC25上に、コンデンサC1、コネクタ26、27等が実装されている。
【0025】
図4は、メインFPCの一部を拡大して示すメインFPCの断面図を含んでいる。図示のように、メインFPC23は、帯状の基材23aと、基材23aの一表面上に形成され、複数の配線、接続パッド等を構成する導電層23bと、この導電層23bを覆うべく導電層23bおよび基材23a上に積層された保護層23cと、を有している。基材23aおよび保護層23cは、例えば、ポリイミド、ポリウレタン等の合成樹脂で形成され、導電層23bは、導電金属層、例えば、銅箔で形成されている。メインFPC23の層厚は、場所により異なる場合があるが、最も厚い所で、例えば、基材の厚さが35μm、全体の層厚が52μm程度に形成されている。
【0026】
図2および
図4に示すように、メインFPC23およびサブFPC25は、第1基板SUB1の短辺側端縁に沿って折り返され、バックライトユニット20の底板17に重ねて配置される。同様に、光源ユニット30の接続端部32cは、基板SUB1の短辺側端縁に沿って折り返され、バックライトユニット20の底板17に対向している。接続端部32cの接続端子は、サブFPC25上のコネクタ27に接続されている。
図4に示すように、メインFPC23は、導電層23bおよび保護層23c側が表示パネル12およびケース外面と対向する向きに配置されている。メインFPC23の一端部に、導電層23bの一部で形成された複数の接続端子23dが設けられている。メインFPC23の一端部を第1基板SUB1に熱圧着することにより、複数の接続端子23dは第1基板SUB1の複数の配線あるいは端子にそれぞれ電気的に接続されている。ドライバIC24は、保護層23c側に実装され、保護層23cに設けられた図示しない開口あるいは接続パッドを介してメインFPC23の配線に電気的に接続されている。メインFPC23の延出端部には、導電層23bの一部で形成された図示しない複数の接続端子が設けられている。この延出端部をサブFPC25に熱圧着することにより、複数の接続端子はサブFPC25に電気的に接続されている。
【0027】
本実施形態においては、メインFPC23とケース18の外面との間に接着剤50が充填されている。メインFPC23は、この接着剤50により、第1基板SUB1の端縁、ケース18の側板16dの外面、および底板17の外面に接着され、更に、湾曲状態に保持されている。なお、近年の著しく薄型化された表示装置の実情に鑑みれば、本実施形態において、メインFPC23等をケース18に沿って湾曲させた状態は、メインFPC23をケース18に沿って折り曲げた状態と同視し得る。したがって、本実施形態において、「湾曲」とは、対象物が折れ曲がった折り曲げ状態も含み、同様に、「折曲げ」とは、折り曲げと同視し得る程度の大きさの曲率で湾曲した状態も含む。
接着剤50は、少なくともメインFPC23の湾曲部とケース18外面との間に充填されている。より好ましくは、湾曲部の近傍の領域とケース18の外面との間にも充填される。本実施形態では、メインFPC23とケース18の外面との間において、接着剤50は、ケース18の底板17と側板基端部との結合部分となる角部を覆って充填される。更に、接着剤50は、平面視で底板17を挟んでLED34の一部と対向する領域まで充填されている。
接着剤50の層厚は、メインFPC23の折曲げの程度により異なるが、本実施形態では、メインFPC23と底板17との間の接着剤50の層厚を50μm程度、メインFPC23と側板16dとの間の接着剤50の層厚を300μm程度としている。
【0028】
一例では、接着剤50として、湿気により硬化する湿気硬化型の接着剤、例えば、ポリウレタンリアクティブ(PUR)を用いている。接着剤50は、硬化することにより、メインFPC23の基材23aと同等以上の硬度を有することが好ましい。また、例えば、反発硬さ試験によれば、硬化した接着剤50はD10~50硬度程度を有する。なお、当該硬さ試験とは、JIS_K_6253に規定されるデュロメータタイプDによる試験である。
硬化した接着剤50により、メインFPC23、バックライトユニット20、および表示パネル12が一体構造化され、曲げにより生じたメインFPC23の反発力を低減し、メインFPC23の湾曲状態を確実に維持することができる。
【0029】
接着方法の一例を説明する。
図5に示すように、メインFPC23を展開した状態で、一端部の保護層側に接着剤50を所定量塗布する。本実施形態では、メインFPC23のほぼ全幅に亘って接着剤50を塗布している。続いて、
図5に矢印で示すように、メインFPC23をケース18の底板17側に折り返し、底板17に重ねて配置する。すると、接着剤50は、メインFPC23により押されて広がり、
図4に示したように、メインFPC23の保護層23cと、第1基板SUB1の端縁、ケース18の側板16dの外面、および底板17の外面と、の間に隙間なく充填される。クリップ等の適当な留め具によりメインFPC23を折曲げ、湾曲状態に保持した状態で、所定時間、例えば、1時間程度、放置し、接着剤50を硬化させる。接着剤50が硬化することにより、メインFPC23、接着剤50、ケース18、および表示パネル12が一体構造化され、メインFPC23は湾曲状態に保持される。硬化後、留め具を外すことにより、接着作業が終了する。
【0030】
以上のように構成された本実施形態に係る液晶表示装置10によれば、表示パネル12から延出したメインFPC23は、ケース18の側板に沿って底板17側に折り返されて一部湾曲し、その湾曲部とケース18外面との間に充填された接着剤50によりケース18の外面に貼付される。言い換えれば、接着剤50を充填することにより、一部湾曲状態のメインFPC23がケース18および表示パネル12と一体構造化されている。そのため、接着剤50による接着力は折り曲げによりメインFPC23に発生した反発力よりも強いため、当該反発力は接着剤50により抑え込められる。また、湾曲姿勢が長期間にわたり保持されるため、当該反発力は経時的に低減あるいは消失し、結果としてメインFPC23の湾曲状態を安定して保持することが可能となる。すなわち、メインFPC23の反発力に起因する種々の問題、例えば、バックライトユニット20と表示パネル12との接合部の剥離、バックライトユニット20の内部部品の剥離等を引き起こすことはない。接着剤50の接着力によって反発力を抑えることができるため、メインFPC23を可及的急峻に曲げる(大きな曲率でメインFPCを曲げる)ことができる。また、従来、反発力に抗してメインFPC23をケース18に貼付けるために必要としていた部品、例えば、両面テープ等を削減することが可能となり、部品点数の削減、組立工数の削減を図り、信頼性の向上および製造コストの低減を図ることができる。
【0031】
また、メインFPC23は、保護層23c側がケース18外面と対向する向きに配置され、更に、保護層23cとケース18外面との間に接着剤50が充填されている。そのため、メインFPC23の保護層23c及び導電層23bが、直接的に、ケース18の角部あるいは表示パネル12の角部に接触することがない。従って、メインFPC23を急峻に曲げた場合でも、上記角部との接触によるメインFPC23の配線の断線等の損傷を生じる恐れがなく、信頼性の向上を図ることができる。
以上のことから、第1の実施形態によれば、フレキシブル配線基板を安定して保持することができ、信頼性の向上、製造コストの低減が可能な表示装置を得ることができる。
【0032】
なお、第1の実施形態において、表示装置の表示パネルは、液晶表示パネル12を用いているが、これに限らず、有機EL表示パネルを用いてもよい。この場合、バックライトユニットは不要となるが、ケース18は、有機EL表示パネルの背面側に配置して用いることが可能である。また、接着剤50は、湿気硬化型の接着剤に限定されることなく、必要な条件を満たす接着剤であれば、他の接着剤を任意に用いてもよい。
【0033】
次に、他の実施形態に係る表示装置について説明する。なお、以下に説明する他の実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略あるいは簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に詳しく説明する。
【0034】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係る液晶表示装置のメインFPCを展開した状態を概略的に示す平面図、
図7は、第2の実施形態に係る液晶表示装置の光源側部分の断面図である。
図6に示すように、第2の実施形態によれば、光源装置30の接続端部32cは、ケース18の短側板16dの一端から中央部寄りにずれて配置されている。これにより、接続端部32cの一部は、メインFPC23の一端部に厚さ方向に重なって位置している。この場合、
図6に破線で示すように、接着剤50は、メインFPC23の一端部に塗布され、一部は、接続端部32cに重ねて塗布される。
【0035】
図7に示すように、メインFPC23および接続端部32cは、ケース18の短側板16dに沿って底板17側に折り返されている。メインFPC23とケース18の外面との間に接着剤50が充填されている。メインFPC23は、この接着剤50により、第1基板SUB1の端縁、ケース18の側板16dの外面、および底板17の外面に貼付され、折曲げ状態、湾曲状態に保持されている。接続端部32cは、メインFPC23とケース18外面との間に湾曲状態で配置され、更に、接着剤50の中に埋設されている。すなわち、接続端部32cとメインFPC23との間、および、接続端部32cとケース18外面との間、に接着剤50が充填されている。このようにして、接続端部32cは、接着剤50により、ケース18の側板16dの外面、および底板17の外面に貼付され、折曲げ状態、湾曲状態に保持されている。
なお、接着剤50としては、第1の実施形態と同様に、湿気硬化型の接着剤を用いている。第2の実施形態において、液晶表示装置の他の構成は、前述した第1の実施形態に係る液晶表示装置と同一である。
【0036】
以上のように構成された第2の実施形態によれば、接着剤50によりメインFPC23に発生した反発力を低減あるいは消失し、メインFPC23の湾曲状態を安定して保持することができる。同時に、接着剤50により、接続端部32cを湾曲状態に強固に固定することが可能となる。その他、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0037】
(第1変形例)
第1および第2の実施形態において、接着剤50は、メインFPC23の幅方向のほぼ全長に亘って充填する構成としているが、これに限定されない。例えば、
図8に示すように、接着剤50は、メインFPC23の幅方向に間欠的に複数個所に塗布、充填する構成としてもよい。メインFPC23の反発力が強くなる箇所に選択的に接着剤50を充填する構成としてもよい。
【0038】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0039】
本発明の実施形態として上述した各構成を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての構成も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。例えば、表示パネル、バックライトユニットの構成部材、およびケースの外形状および内形状は、矩形状に限定されることなく、外形あるいは内形のいずれか一方あるいは両方を平面視で多角形状や円形、楕円形、およびこれらを組み合わせた形状等の他の形状としてもよい。表示装置は、平坦な形状に限らず、一部あるいは全部が湾曲あるいは傾斜した形状としてもよい。構成部材の材料は、上述した例に限らず、種々選択可能である。
上述した実施形態によりもたらされる他の作用効果について本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものついては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0040】
10…液晶表示装置、12…表示パネル、14…カバーパネル、
16…フレーム、16a、16b、16c、16d…側板、17…底板、
18…ケース、20…バックライトユニット(バックライト装置)、
23…フレキシブル配線基板(メインFPC)、23a…基材、23b…導電層、
23c…保護層、24…ドライブIC、30…光源ユニット(光源装置)、
32…配線基板(FPC)、50…接着剤、SUB1…第1基板、
SUB2…第2基板、LQ…液晶層、TP1…両面テープ