(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】キャパシタユニット、受電装置及び無人搬送車
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220322BHJP
H01G 11/08 20130101ALI20220322BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H01G11/08
H01M10/42 P
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J7/00 S
H02J7/00 B
(21)【出願番号】P 2018041891
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】辰田 康明
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3206251(JP,U)
【文献】特開2017-229205(JP,A)
【文献】特開2012-170226(JP,A)
【文献】特開2009-171779(JP,A)
【文献】特開2010-288325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0136880(US,A1)
【文献】特開2008-118828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01G 11/08
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を充放電する電気化学キャパシタと、
前記電気化学キャパシタと接続され、直流電圧を異なる直流電圧に変換し、外部負荷に直流電力を出力する電圧変換部と、
前記電気化学キャパシタの電力を放電するための放電負荷と、
前記電気化学キャパシタと前記放電負荷との間に設けられ、前記電気化学キャパシタと前記放電負荷との間の接続状態を切り替えるスイッチ部と、
前記電気化学キャパシタの電圧を検出する電圧検出部と、
を備え
、
前記スイッチ部は、
前記電気化学キャパシタと前記電圧変換部との間の接続状態をさらに切り替え、
前記電圧検出部により検出された電圧が所定閾値未満である場合に、前記電気化学キャパシタと前記放電負荷との間の接続状態及び前記電気化学キャパシタと前記電圧変換部との間の接続状態を、それぞれ接続されていない状態にする、
キャパシタユニット。
【請求項2】
前記スイッチ部は、前記電圧検出部により検出された電圧が所定値以上である場合に、前記
電気化学キャパシタと前記放電負荷との間の接続状態を、前記電気化学キャパシタと前記放電負荷とが接続されている状態にする、
請求項1記載のキャパシタユニット。
【請求項3】
前記電圧検出部により検出された電圧の値を表示する表示
部、
をさらに備える請求項1
又は2記載のキャパシタユニット。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載のキャパシタユニットと、
前記電気化学キャパシタに電力を供給する非接触給電システムの受電ユニットと、
を備える受電装置。
【請求項5】
請求項
4記載の受電装置を搭載する無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタユニット、受電装置及び無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の動力源として、鉛蓄電池に代表される二次電池や、電気二重層キャパシタに代表される電気化学キャパシタなどの蓄電デバイスが利用されている。二次電池は、寿命が短く、保守管理や交換が不可欠であるとともに、充電に時間を要するのに対し、電気化学キャパシタは、寿命が長く、保守管理や交換を不要にできるとともに、急速充電が可能であるという特徴を有する。このような特徴を鑑み、動力源を二次電池から電気化学キャパシタに置き換える動きが進められている。
【0003】
下記特許文献1には、動力源となる二次電池と電気化学キャパシタとを交換する際の手間を軽減させることができるキャパシタユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、機器の動力源として電気化学キャパシタを用いることとすると、電気化学キャパシタの出荷時やメンテナンス時に行う性能検査の中に、電気化学キャパシタの充電性能を検査する項目が設けられている。充電性能を検査する場合には、検査を開始する時に電気化学キャパシタの電荷が0になっていると効率よく検査を行うことができる。しかしながら、負荷が開放状態になっていると、電気化学キャパシタ内のエネルギー消費は、自己放電に依存することとなり、電荷を0にするまでに多くの時間を要することとなる。このような状況を踏まえ、充電性能の検査を開始する前に、電気化学キャパシタの電荷をできるだけ早く0にしたいという要望があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、キャパシタ内のエネルギーを適宜調整することができるキャパシタユニット、受電装置及び無人搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るキャパシタユニットは、直流電力を充放電する電気化学キャパシタと、電気化学キャパシタと接続され、直流電圧を異なる直流電圧に変換し、外部負荷に直流電力を出力する電圧変換部と、電気化学キャパシタの電力を放電するための放電負荷と、電気化学キャパシタと放電負荷との間に設けられ、電気化学キャパシタと放電負荷との間の接続状態を切り替えるスイッチ部と、を備える。
【0008】
この態様によれば、スイッチ部を操作することで、電気化学キャパシタ内のエネルギーを、放電負荷を用いて強制的に消費することができる。
【0009】
上記態様において、電気化学キャパシタの電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、スイッチ部は、電圧検出部により検出された電圧が所定値以上である場合に、上記接続状態を、電気化学キャパシタと放電負荷とが接続されている状態にすることとしてもよい。
【0010】
この態様によれば、電気化学キャパシタの電圧を所定値未満に抑えることができるため、電気化学キャパシタの過電圧を防止することができる。
【0011】
上記態様において、上記スイッチ部は、電圧検出部により検出された電圧が所定値未満である場合に、上記接続状態を、電気化学キャパシタと放電負荷とが接続されていない状態にすることとしてもよい。
【0012】
この態様によれば、電気化学キャパシタの電圧が所定値未満である場合には、電気化学キャパシタのエネルギー消費を抑制することができる。
【0013】
上記態様において、電気化学キャパシタの電圧を検出する電圧検出部と、電圧検出部により検出された電圧の値を表示する表示部と、をさらに備えることとしてもよい。
【0014】
この態様によれば、表示部に表示された電圧値を参照しながら、スイッチを操作することが可能となる。
【0015】
上記態様において、電気化学キャパシタの電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、スイッチ部は、電気化学キャパシタと電圧変換部との間の接続状態をさらに切り替え、電圧検出部により検出された電圧が所定閾値未満である場合に、電気化学キャパシタと放電負荷との間の接続状態及び電気化学キャパシタと電圧変換部との間の接続状態を、それぞれ接続されていない状態にすることとしてもよい。
【0016】
この態様によれば、電気化学キャパシタに蓄電された電力が消費され、所定閾値未満になった場合に、電気化学キャパシタが放電負荷及び電圧変換部の双方に接続されていない状態にすることができるため、電気化学キャパシタの充電性能を検査するときに、負荷による影響を排除することができ、より迅速に検査を行うことが可能となる。
【0017】
本発明の他の態様に係る受電装置は、上記キャパシタユニットと、電気化学キャパシタに電力を供給する非接触給電システムの受電ユニットと、を備える。
【0018】
この態様によれば、受電装置において、上記キャパシタユニットによる効果を奏することができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る受電装置は、直流電力を充放電する電気化学キャパシタを有するキャパシタユニットと、電気化学キャパシタに電力を供給する非接触給電システムの受電ユニットと、を備え、受電ユニットは、受電ユニットからの出力電力を放電するための放電負荷と、受電ユニットの出力端子と放電負荷との間に設けられ、受電ユニットの出力端子と放電負荷との間の接続状態を切り替えるスイッチ部と、を有する。
【0020】
この態様によれば、スイッチを操作することで、受電ユニットから出力される電力を、放電負荷を用いて強制的に消費することができる。
【0021】
上記態様において、受電ユニットは、受電ユニットの出力電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、スイッチ部は、電圧検出部により検出された電圧が所定値以上である場合に、上記接続状態を、受電ユニットの出力端子と放電負荷とが接続されている状態にすることとしてもよい。
【0022】
この態様によれば、非接触給電中における受電ユニット以降の経路が開放した場合に発生し得る過電圧を防止することができる。
【0023】
本発明の他の態様に係る無人搬送車は、上記受電装置を搭載する無人搬送車。
【0024】
この態様によれば、無人搬送車において、上記キャパシタユニット及び/又は受電装置による効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、キャパシタ内のエネルギーを適宜調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係るキャパシタユニットを含む非接触給電システムの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明に係るキャパシタユニットの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図3】スイッチにより切り替わる接続状態を例示する図である。
【
図4】変形例に係るキャパシタユニットの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。
【0028】
以下において、本発明に係るキャパシタユニットを、無人搬送車(Automatic Guided Vehicle、以下「AGV」ともいう。)の動力源に用いる場合について例示的に説明する。AGVは、例えば工場の生産ラインなどにおいて、床面に敷設された磁気テープや磁気棒などによる電磁誘導を利用して自動走行する無人の搬送用車両である。
【0029】
図1は、本発明に係るキャパシタユニットを含む非接触(ワイヤレス)給電システムの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図1の構成のうち、AGV7を除いた部分が非接触給電システム1を構成する。
【0030】
非接触給電システム1は、磁界共鳴方式により送電装置(送電ユニット2及び送電コイルユニット3)から受電装置(受電コイルユニット4、受電ユニット5及びキャパシタユニット6)に数kHz~数百MHzの高周波電力を非接触で伝送し、その高周波電力をキャパシタユニット6の電気二重層キャパシタ61に蓄電するシステムである。電気二重層キャパシタ61に蓄電された電力が、AGV7に供給されることとなる。
【0031】
例示的に、送電装置は、生産ラインに沿った荷物の積み下ろしスペース等に設置され、受電装置はAGV7に搭載される。
【0032】
送電ユニット2は、高周波電源部21及び制御部22を有する。高周波電源部21は、所定の周波数(数kHz~数百MHzの高周波)の高周波電力を発生する。
【0033】
高周波電源部21は、高周波信号(電圧信号)を発生する高周波信号発生回路と、高周波信号発生回路で発生した高周波信号を増幅するパワーアンプと、このパワーアンプに直流の電源電圧を供給するDC-DCコンバータと、パワーアンプから出力される高周波信号の高周波成分を除去するローパスフィルタと、パワーアンプから出力される高周波電力の電力量を制御する電力量制御部と、を含む。
【0034】
高周波電源部21のパワーアンプは、例えば、D級アンプやE級アンプで構成することができ、高周波信号発生回路から入力される高周波信号によってスイッチング素子をオン・オフ駆動することにより、高周波信号と同一の周期を有し、DC-DCコンバータから入力される直流電圧に依存する振幅の高周波信号を生成する。この高周波信号はローパスフィルタで高周波成分が除去されることにより正弦波の高周波信号に整形されて出力される。
【0035】
高周波電源部21の電力量制御部は、送電ユニット2の制御部22から入力される出力制御信号に基づいてDC-DCコンバータから出力される直流電圧の振幅を制御する。これにより、パワーアンプから出力される高周波信号の増幅量(すなわち、高周波電力の電力量)が制御される。
【0036】
送電ユニット2の制御部22は、ROM、RAM、CPUなどを備えるマイクロコンピュータやFPGA(field-programmable gate array)などで構成される。制御部22は、高周波電源部21に対してDC-DCコンバータの出力電圧を制御する出力制御信号を出力し、高周波電源部21から出力される高周波電力を制御する。
【0037】
送電コイルユニット3は、送電部31を有する。送電部31は、送電ユニット2の高周波電源部21から出力される高周波電力を受電コイルユニット4の受電部41に無線で伝送する。送電部31は、例えば、複数ターンのソレノイドコイルからなるインダクタ(以下、「送電用コイル」ともいう。)とそのインダクタに直列に接続されたキャパシタとの直列共振回路で構成される。
【0038】
送電部31における直列共振回路の直列共振周波数(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタの自己インダクタンス、C:キャパシタのキャパシタンス)は、高周波電源部21から出力される高周波電力の周波数(以下、「電源周波数」ともいう。)[MHz]に調整されている。
【0039】
受電コイルユニット4は、受電部41を有する。受電部41は、送電コイルユニット3の送電部31との間で磁界結合をして送電部31から高周波電力を受電する。受電部41は、送電部31と同一の構成を有し、複数ターンのソレノイドコイルからなるインダクタ(以下、「受電用コイル」ともいう。)とそのインダクタに直列に接続されたキャパシタとの直列共振回路で構成される。
【0040】
受電部41における直列共振回路の直列共振周波数(=1/[2π・√(L・C)])(L:インダクタの自己インダクタンス、C:キャパシタのキャパシタンス)は、電源周波数[MHz]に調整されている。
【0041】
受電ユニット5は、整流回路51を有する。整流回路51は、受電コイルユニット4の受電部41から出力される高周波信号を整流し、キャパシタユニット6に直流電力を供給する。整流回路51は、例えば、四個の整流素子をブリッジ接続したブリッジ回路で構成される。四個の整流素子として、ショットキーバリアーダイオードを用いる。
【0042】
図2を参照して、キャパシタユニット6の構成について説明する。キャパシタユニット6は、電気二重層キャパシタ61、DC-DCコンバータ(電圧変換部)62、スイッチ(スイッチ部)63及び放電負荷64を有する。
【0043】
電気二重層キャパシタ61は、受電ユニット5から印加される直流電圧により充電され、電荷を蓄える。電気二重層キャパシタ61は、蓄えた電荷に基づいて直流電力を放電し、DC-DCコンバータ62を介してAGV7に電力を供給する。DC-DCコンバータ62は、電気二重層キャパシタ61から入力された直流電圧を調整(昇降圧)し、AGV7に調整後の直流電圧を供給する。
【0044】
キャパシタユニット6の収納ケース6Cには、プラス及びマイナスの一対の端子からなる入力側端子6Aと出力側端子6Bとが設けられている。入力側端子6Aは、受電ユニット5の出力端子と接続し、出力側端子6Bは、AGV7の入力端子と接続する。なお、
図2における入力側端子6A及び出力側端子6Bの位置は、図面を見やすくする位置に便宜上配置しており、図示の位置に限定するものではない。
【0045】
電気二重層キャパシタ61には、プラス及びマイナスの一対の端子からなる入出力端子61Aが設けられ、DC-DCコンバータ62には、プラス及びマイナスの一対の端子からなる入力端子62Aと出力端子62Bとが設けられている。なお、
図2における電気二重層キャパシタ61の入出力端子61A、並びにDC-DCコンバータ62の入力端子62A及び出力端子62Bの位置は、図面を見やすくする位置に便宜上配置しており、図示の位置に限定するものではない。
【0046】
電気二重層キャパシタ61の入出力端子61Aは、収納ケース6Cの入力側端子6AとDC-DCコンバータ62の入力端子62Aとを接続するケーブルと、スイッチ63を介して接続する。また、電気二重層キャパシタ61の入出力端子61Aは、スイッチ63と放電負荷64とを直列に接続する回路に対し、接続可能となっている。
【0047】
放電負荷64は、電気二重層キャパシタ61に蓄電された電力を放電するための負荷(例えば抵抗)である。放電負荷64には、プラス及びマイナスの一対の端子からなる入出力端子64Aが設けられている。
【0048】
スイッチ63は、電気二重層キャパシタ61とDC-DCコンバータ62との間の接続状態、及び電気二重層キャパシタ61と放電負荷64との間の接続状態を切り替える。
図3を参照してスイッチ63により切り替わる接続状態について説明する。
【0049】
図3(A)乃至(C)に示すスイッチ63は、それぞれ4つの端子631、632、633、634を有する。端子631は、キャパシタユニット6の収納ケース6Cにある入力側端子6Aと接続され、端子632は、DC-DCコンバータ62の入力端子62Aと接続されている。また、端子633は、放電負荷64の入出力端子64Aと接続され、端子634は、電気二重層キャパシタ61の入出力端子61Aと接続されている。
【0050】
図3(A)は、端子631及び端子634が、端子632と接続している状態を示している。この接続状態では、電気二重層キャパシタ61とDC-DCコンバータ62との間の接続がON状態となり、電気二重層キャパシタ61と放電負荷64との間の接続がOFF状態となる。つまり、電気二重層キャパシタ61に蓄電された電力をAGVに供給する、電力供給モード時の接続状態となる。
【0051】
図3(B)は、端子634が、端子633と接続している状態を示している。この接続状態では、電気二重層キャパシタ61とDC-DCコンバータ62との間の接続がOFF状態となり、電気二重層キャパシタ61と放電負荷64との間の接続がON状態となる。つまり、電気二重層キャパシタ61に蓄電された電力を、放電負荷64を用いて強制的に消費する、強制放電モード時の接続状態となる。
【0052】
図3(C)は、端子631及び端子634が、端子632及び端子633のいずれにも接続していない状態を示している。この接続状態では、電気二重層キャパシタ61とDC-DCコンバータ62との間、及び電気二重層キャパシタ61と放電負荷64との間の接続が共にOFF状態となる。この接続状態は、電気二重層キャパシタ61が、外部負荷であるAGV7と放電負荷64との双方に接続されてない状態である、無接続モード時の接続状態となる。したがって、例えば、
図3(B)の強制放電モードにおいて電気二重層キャパシタ61に蓄電された電力が消費された後に、この無接続モードに切り替えることで、その後に電気二重層キャパシタ61の充電性能を検査する際に、負荷による影響を排除することができ、より迅速に検査を行うことが可能となる。
【0053】
スイッチ63は、収納ケース6Cの外側から手動で切り替えることができるように設けられている。したがって、充電性能の検査を開始する前に、スイッチ63を操作して、
図3(B)の強制放電モードに切り替えることで、電気二重層キャパシタ61内のエネルギーを迅速に消費することができる。加えて、電気二重層キャパシタ61内のエネルギーが消費された後に、
図3(C)の無接続モードに切り替えてから充電性能の検査を開始することで、負荷による影響を排除した状態で検査を行ことができる。
【0054】
上述したように、実施形態におけるキャパシタユニット6によれば、電気二重層キャパシタ61の電力を放電するための放電負荷64と、電気二重層キャパシタ61及び放電負荷64の間に設けられ、かつ電気二重層キャパシタ61と放電負荷64との間の接続状態を切り替えるスイッチ63と、を備えることができる。これにより、充電性能の検査を開始する前に、電気二重層キャパシタ61と放電負荷64との間の接続をOFF状態からON状態に切り替えることで、電気二重層キャパシタ61内のエネルギーを、放電負荷64を用いて強制的に消費することが可能となる。
【0055】
それゆえ、実施形態におけるキャパシタユニット6によれば、キャパシタ内のエネルギーを適宜調整することが可能となる。
【0056】
また、
図3(B)の強制放電モード時における放電は、電気二重層キャパシタ61とDC-DCコンバータ62との接続がOFF状態であるときに行われることとなるため、放電負荷64により電気二重層キャパシタ61から放電される電力によって、キャパシタユニット6に接続されるAGV7等が誤動作することを防ぐことができる。
【0057】
[変形例]
なお、前述したとおり、上記実施形態は、本発明を説明するための一例であり、本発明をその実施形態に限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、キャパシタユニット6に収納する蓄電デバイスとして、電気二重層キャパシタ61を用いて説明しているが、これに限定されない。キャパシタユニット6に収納する蓄電デバイスは、電気化学キャパシタであればよく、具体的には、電気二重層キャパシタの他に、リチウムイオンキャパシタに代表されるハイブリッドキャパシタや、レドックスキャパシタ等を用いることができる。
【0059】
また、
図4に示すように、キャパシタユニット6に、電気二重層キャパシタ61の電圧を検出(測定)する電圧計65(電圧検出部)と、この電圧計65により検出された電圧の値を表示する表示部67と、をさらに設けることとしてもよい。これにより、表示部67に表示された電圧値を参照しながら、スイッチ63を操作することが可能となる。
【0060】
加えて、電圧計65により検出された電圧が所定値以上である場合に、スイッチ63の接続状態を、電気二重層キャパシタ61と放電負荷64とが接続されている状態(
図3(B)の強制放電モード時の接続状態)にする制御部66を、さらに備えることとしてもよい。これにより、電気二重層キャパシタ61の過電圧を防止することが可能となる。この場合、スイッチ63と制御部66とでスイッチ部を構成することとしてもよい。
【0061】
制御部66は、電圧計65により検出された電圧が所定値未満である場合には、スイッチ63の接続状態を、電気二重層キャパシタ61と放電負荷64とが接続されていない状態(
図3(A)の電力供給モード時の接続状態又は
図3(c)の無接続モード時の接続状態)にする。これにより、放電負荷64による電気二重層キャパシタ61のエネルギー消費を抑制することが可能となる。
【0062】
さらに、制御部66は、電圧計65により検出された電圧が所定閾値未満である場合に、スイッチ63の接続状態を、電気二重層キャパシタ61と放電負荷64との間、及び電気二重層キャパシタ61とDC-DCコンバータ62との間の接続が共に接続されていない状態(
図3(c)の無接続モード時の接続状態)にすることとしてもよい。これにより、
図3(B)の強制放電モードにおいて電気二重層キャパシタ61に蓄電された電力が消費され、所定閾値未満に至ったときに、電気二重層キャパシタ61が放電負荷64及びDC-DCコンバータ62の双方に接続されていない状態にすることができるため、電気二重層キャパシタ61の充電性能を検査するときに、負荷による影響を排除することができ、より迅速に検査を行うことが可能となる。
【0063】
さらに、
図4に示すスイッチ63及び放電負荷64を、受電ユニット5に設けることとしてもよい。この場合、スイッチ63と放電負荷64とを直列に接続する回路を、電気二重層キャパシタ61の入力側端子6Aと接続する受電ユニット5の出力端子に接続することができる。
【0064】
加えて、受電ユニット5の出力電圧を検出(測定)する電圧計(電圧検出部)と、この電圧計により検出された電圧が所定値以上である場合に、スイッチ63の接続状態を、受電ユニット5の出力端子と放電負荷64とが接続されている状態にする制御部を、さらに受電ユニット5に設けることとしてもよい。これにより、非接触給電中における受電ユニット5以降の経路が開放した場合に発生し得る過電圧を防止することが可能となる。この場合、スイッチ63と制御部とでスイッチ部を構成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…非接触給電システム、2…送電ユニット、3…送電コイルユニット、4…受電コイルユニット、5…受電ユニット、6…キャパシタユニット、6A…入力側端子、6B…出力側端子、6C…収納ケース、7…無人搬送車(AGV)、21…高周波電源部、22…制御部、31…送電部、41…受電部、51…整流回路、61…電気二重層キャパシタ、61A…入出力端子、62…DC-DCコンバータ、62A…入力端子、62B…出力端子、63…スイッチ、64…放電負荷、65…電圧計、66…制御部、67…表示部。