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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20220322BHJP
   B41J 25/304 20060101ALI20220322BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20220322BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B41J29/13
B41J25/304 H
B41J2/325 A
B41J3/36 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018057083
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019166746
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 聡
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-286000(JP,A)
【文献】特開2008-142975(JP,A)
【文献】特開2001-244652(JP,A)
【文献】特開2017-100412(JP,A)
【文献】特表2017-503684(JP,A)
【文献】特開2002-160421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 3/01 - 3/54
B41J 3/62
B41J 23/00 - 25/34
B41J 2/315 - 2/345
B41J 2/42 - 2/425
B41J 2/475 - 2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
一対の支持部によって軸を中心として前記筐体に揺動自在に構成され、印字媒体に印字を行なう印字ユニットと、
一対の前記支持部の間に備えられ、前記印字ユニットを前記筐体から離間した位置で静止させた状態で保持するヒンジ部と、を備え、
前記ヒンジ部は、
前記印字ユニットに固定される印字ユニット側部材と、前記筐体に固定される筐体側部材と、を備え、
前記印字ユニット側部材は、一組の突出部と、一組の前記突出部を外面に向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記筐体側部材は、一組の前記突出部を外側から保持する保持部を備える
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記軸を介して前記筐体に対して揺動自在に構成され、前記印字ユニットを収容可能なカバーを備え、
前記ヒンジ部は、前記カバーが前記筐体に対して略垂直に揺動した状態で、前記筐体から離間しかつ前記カバーよりも前記筐体に近い位置で前記印字ユニットを静止させた状態で保持する、
プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
前記印字ユニットは、ロール状のインクリボンを回転可能に保持するリボン供給軸と、
前記リボン供給軸から供給された前記インクリボンのインクを前記印字媒体に転写するサーマルヘッドと、インク転写後の使用済みの前記インクリボンを巻き取るリボン巻取軸と、を有する、
プリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタであって、
前記ヒンジ部における前記筐体から離間した位置は、前記カバーと前記印字ユニットとが対向する側で前記インクリボンを交換可能なスペースを有するリボン交換位置である、
プリンタ。
【請求項5】
請求項1に記載のプリンタであって
一組の前記突出部は、軸方向の外側に突設された突起部及び爪部を有し、
前記保持部は、前記爪部に係合する係合部を有する
プリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタであって、
前記爪部が前記係合部へと係合することで、前記印字ユニットを前記筐体から離間した位置で静止させた状態で保持する
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印字媒体に印字を行なうプリンタにおいて、インクリボン、印字媒体の装填及び交換を、プリンタの上蓋を開放して行なうようになっている。このようなプリンタにおいて、上蓋部を本体に対して所定の位置で支持すると共に上蓋部を閉じる方向に操作すると上蓋部の支持が解除される上蓋部ストッパと、印字ユニットを上蓋部よりも小さい角度で本体に対して支持すると共に、印字ユニットを閉じる方向に操作すると印字ユニットの支持が解除されるユニットストッパと、を備えるプリンタが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-286000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来のプリンタでは、カバー及び印字ユニットが揺動軸方向において筐体の一方側でのみ支持されているので、これらを開放状態と閉止状態との間で揺動させる場合に、カバー及び印字ユニットに加わる力が左右で異なることにより、開閉動作がスムーズに行なわれないことがあった。
【0005】
さらに、開閉動作がスムーズに行なわれないことにより、経年変化で筐体や印字ユニットに歪みが生じた場合には、印字媒体が正しく搬送されず、印字媒体にしわや曲がりが発生してしまおそれがある。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、印字ユニットの開閉動作をスムーズに行なわせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、筐体と、一対の支持部によって軸を中心として筐体に揺動自在に構成され、印字媒体に印字を行なう印字ユニットと、一対の支持部の間に備えられ、印字ユニットを筐体から離間した位置で保持するヒンジ部と、を備え、ヒンジ部は、印字ユニットに固定される印字ユニット側部材と、筐体に固定される筐体側部材と、を備え、印字ユニット側部材は、一組の突出部と、一組の前記突出部を外面に向けて付勢する付勢部材と、を備え、筐体側部材は、一組の前記突出部を外側から保持する保持部を備えて構成した。
【発明の効果】
【0008】
これによれば、一対の支持部により揺動自在に構成された印字ユニットを、ヒンジ部により筐体から離間した位置に保持するので、印字ユニットの開閉動作において左右均等に力を加え、印字ユニットの開閉動作をスムーズに行なうことができる。これにより、印字ユニットが変形することが防止され、印字媒体にしわや曲がりが発生することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。
図3図3は、カバー11を開放した状態を示す図である。
図4図4は、リボン供給軸33をリボン交換位置にした状態を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るプリンタ100の開放位置の斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態のヒンジ構造80を説明するための分解斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態のヒンジ部83の構成を示す斜視透視図である。
図8図8は、本発明の実施形態の印字ユニット30が印字位置のときのヒンジ部83であり、図7における矢視Aを示す。
図9図9は、本発明の実施形態の印字ユニット30を印字媒体交換位置としたときのヒンジ部83であり、図7における矢視Aを示す。
図10図10は、本発明の実施形態の印字ユニット30をリボン交換位置としたときのヒンジ部83であり、図7における矢視Aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[プリンタ100の全体構造]
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るプリンタ100について説明する。
【0011】
プリンタ100は、インクリボンRを熱してインクリボンRのインクを印字媒体Mに転写することで印字を行う熱転写方式のものである。印字媒体Mは、例えば、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体であり、図2に示すように、管材Pにロール状に巻き回されたロール体として構成される。なお、印字媒体Mとして、台紙なしラベルを使用することもできる。
【0012】
プリンタ100は、図1図2に示すように、筐体10と、筐体10の開口部を覆うカバー11と、を備える。
【0013】
ロール状の印字媒体Mは、図2に示すように、管材P内に入り込んだ保持ピン78に保持される。印字媒体Mは、その重量により管材Pの内側において保持ピン78にぶら下がった状態で、回転可能に保持される。
【0014】
カバー11は、筐体10に設けられたヒンジ軸84により一端側の端部が揺動自在に支持される。カバー11は、ヒンジ軸84を支点として揺動させることで、筐体10の開口部を開放する開放状態(図3参照)と、閉止する閉止状態(図2参照)と、を切り替えることができる。
【0015】
筐体10には、カバー11を閉止状態に維持するロック機構(図示せず)が設けられる。ロック機構は、図1に示すレバー14を操作することで解除される。
【0016】
カバー11の他端側の端部と筐体10との間には、図2に示す印字部15で印字された印字媒体Mがプリンタ100から排出される排出口16が形成される。
【0017】
カバー11には、排出口16に臨むカッタ17が取り付けられる。これにより、排出口16から排出された印字済の印字媒体Mを切断することができる。
【0018】
印字媒体Mの搬出方向における排出口16と印字部15との間には、印字媒体Mの有無を検出するセンサ18が設けられる。
【0019】
センサ18は、所定の光を出射する発光ユニット18aと、発光ユニット18aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光ユニット18bと、を有する透過型の光学センサである。
【0020】
印字媒体Mが発光ユニット18aと受光ユニット18bとの間に存在すると、発光ユニット18aから出射された光が遮られ、受光ユニット18bが受光する光の強度が低下する。
【0021】
これにより、センサ18は、印字媒体Mの有無を検出することができる。なお、発光ユニット18aと受光ユニット18bとの位置を入れ替えてもよい。また、センサ18は、印字媒体Mの表面または裏面のいずれか一方側に発光ユニット18aと受光ユニット18bを設けた反射型の光学センサとしてもよい。
【0022】
また、カバー11には、プリンタ100を操作するための操作ユニット19が設けられる。操作ユニット19は、各種操作ボタン、ディスプレイ、近距離無線通信モジュール、LED等を有する。ディスプレイは、タッチパネルであってもよい。
【0023】
プリンタ100の内部には、図2に示すように、印字媒体Mに印字を行うための印字ユニット30、プリンタ100の動作を制御するコントローラ40等が収容される。
【0024】
印字ユニット30は、一端側がヒンジ軸84に揺動自在に支持される本体部31と、本体部31に取り付けられるサーマルヘッド32と、を備える。
【0025】
本体部31は、幅方向において空間を開けて二股形状となっているアーム状の一対の印字ユニット支持部82、82を有し、印字ユニット支持部82、82によって印字ユニット30の幅方向両端がヒンジ軸84を介して筐体10に支持されている。
【0026】
サーマルヘッド32は、筐体10側に設けられたプラテンローラ20と共に印字媒体Mに印字を行う印字部15を構成する。
【0027】
印字ユニット30は、サーマルヘッド32が印字媒体Mを介してプラテンローラ20に当接する印字位置(図2参照)と、サーマルヘッド32がプラテンローラ20から離間する非印字位置(図3図4参照)と、の間で揺動自在とされる。
【0028】
また、印字ユニット30は、印字部15に供給されるインクリボンRをロール状に保持するリボン供給軸33と、使用済のインクリボンRを巻き取るリボン巻取軸34と、インクリボンRと印字媒体Mとの間を仕切る仕切部材35と、リボン供給軸33から印字部15へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸36と、印字部15からリボン巻取軸34へのインクリボンRの搬送路を規定するガイド軸37と、を備える。リボン供給軸33は、仕切部材35に着脱可能に取り付けられている。
【0029】
印字媒体Mは、保持ピン78により保持された位置から印字部15に供給され、サーマルヘッド32とプラテンローラ20との間にインクリボンRと共に挟持される。
【0030】
印字媒体M及びインクリボンRがサーマルヘッド32とプラテンローラ20との間に挟持された状態、すなわち、印字ユニット30が印字位置にある状態でサーマルヘッド32の発熱素子への通電が行われると、発熱素子の熱によってインクリボンRのインクが印字媒体Mに転写され、印字媒体Mへの印字が行われる。
【0031】
また、プラテン駆動モータ(図示せず)によってプラテンローラ20を正回転させると、印字媒体M及びインクリボンRが搬送方向下流側へと搬送されて印字媒体Mが排出口16からプリンタ100の外部に排出される。
【0032】
また、リボン巻取軸34は図示しない駆動モータによって回転駆動される。
【0033】
仕切部材35は、ベース部35aと、ベース部35aの一端側に設けられた軸部35bと、リボン供給軸33を軸部35bと平行且つ回動自在に支持する支持部35dと、軸部35bの中央部に形成された係合部35eと、を有する。
【0034】
仕切部材35は、軸部35bにより本体部31に揺動自在に支持される。
【0035】
係合部35eは、図2に示すように、カバー11に設けられた被係合部11aと係合するように構成される。仕切部材35を係合部35eが被係合部11aと係合する位置(閉止位置)にすると、リボン供給軸33が本体部31内に収容される。これにより、リボン供給軸33が、印字部15にインクリボンRを供給するリボン供給位置になる。
【0036】
このように、係合部35eと被係合部11aとが係合することで、リボン供給軸33がリボン供給位置になる閉止位置に仕切部材35が固定される。また、印字ユニット30とカバー11とが結合され、カバー11内に印字ユニット30が収容された状態となる。
【0037】
プリンタ100による印字を行う際は、カバー11は閉止状態とされ、且つ、仕切部材35の係合部35eとカバー11の被係合部11aとが係合した状態とされる。
【0038】
よって、カバー11を閉止状態から開放状態にすると、印字ユニット30がカバー11と一体となって揺動し、図3に示すように、筐体10の開口部が開放される。
【0039】
これにより、カバー11及び印字ユニット30が、プリンタ100への印字媒体Mのセット及び交換が可能な印字媒体交換位置となる。印字媒体交換位置では、印字媒体Mの交換以外にも、筐体10内の各部のメンテナンスを行うことができる。
【0040】
さらに、図3に示す状態から係合部35eと被係合部11aとの係合を解除して仕切部材35を筐体10側に向けて揺動させると、仕切部材35が図4に示す開放位置になる。
【0041】
仕切部材35が開放位置になるのに伴い、リボン供給軸33及びリボン供給軸33に保持されたロール状のインクリボンRがリボン巻取軸34に対して相対的に移動し、印字媒体Mの排出口16側に露出する。
【0042】
これにより、図4に示すように、カバー11が直立した状態で、印字ユニット30が、筐体10から離間し、かつ、カバー11と印字ユニット30とが対向する側でインクリボンRを交換可能なスペースを有する位置であるリボン交換位置で静止(保持)される。これにより、リボン供給軸33がプリンタ100から着脱可能となり、インクリボンRの交換作業を行うことができる。
【0043】
係合部35eと被係合部11aとの係合は、仕切部材35を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、係合部35e及び被係合部11aが弾性変形して解除される。
【0044】
なお、係合部35eと被係合部11aとの係合が解除されることで、印字ユニット30自体も、筐体10側に向けて所定の位置まで揺動する。所定の位置は、筐体10におけるヒンジ軸84に設けられたヒンジ構造80により静止される位置である。
【0045】
ヒンジ構造80による印字ユニット30の位置決めは、印字ユニット30を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、リボン交換位置での静止が解除される。
【0046】
また、図2に示すように、仕切部材35におけるベース部35aの他端側には、搬送ガイド部35fが設けられる。搬送ガイド部35fは、図2に示すように、印字ユニット30が印字位置にある場合に、反射センサ21と対向して反射センサ21との間に印字媒体Mの搬送路を形成する。
【0047】
反射センサ21は、所定の光を出射する発光部と、発光部から出射された光の印字媒体Mからの反射光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部と、を有する光学センサである。
【0048】
反射センサ21は、印字媒体Mの印字が施される面とは反対側の面に所定の間隔で予め印刷されているアイマークを検出する。
【0049】
これにより、反射センサ21は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
【0050】
ここで、搬送中の印字媒体Mに弛みやバタつき発生すると、反射センサ21と印字媒体Mとの距離が変動して反射センサ21の検出精度が低下するおそれがある。
【0051】
これに対して、本実施形態では、印字ユニット30が印字位置にある場合、つまり、図2に示す状態では、仕切部材35の搬送ガイド部35fが反射センサ21との間に搬送路を形成するので、搬送ガイド部35fによって印字媒体Mの表面側がガイドされ、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送される。よって、印字媒体Mの弛みやうねりによって反射センサ21と印字媒体Mとの距離が変動することを防止でき、反射センサ21の検出精度を安定させることができる。
【0052】
また、仕切部材35に設けられた搬送ガイド部35fによって印字媒体Mの搬送路が形成されるので、反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送されるようにする部材を別途設ける必要がなく、当該部材に印字媒体Mを挿通する作業も不要となる。
【0053】
また、仕切部材35は印字ユニット30に設けられるので、印字ユニット30を非印字位置にすると、印字媒体Mの搬送路全体を露出させることができる。よって、仕切部材35に搬送ガイド部35fを設けることで反射センサ21から一定の距離内で印字媒体Mが搬送されるようにしても、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業を容易に行うことができる。
【0054】
また、図2に示すように、プリンタ100は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出する透過センサ22を備える。
【0055】
透過センサ22は、所定の光を出射する発光部としての発光ユニット22aと、発光ユニット22aから出射された光を受光し、受光した光の強度に対応する電気信号を出力する受光部としての受光ユニット22bと、を有する光学センサである。
【0056】
例えば、印字媒体Mが、帯状の台紙に複数のラベルが所定の間隔で連続して仮着されたラベル連続体である場合は、隣り合う2つのラベルの間には、台紙のみの部分が存在する。
【0057】
ラベルが存在する部分と台紙のみの部分とでは、発光ユニット22aから出射された光の透過量が異なるので、受光ユニット22bが受光する光の強度が変化する。これにより、透過センサ22は、搬送方向における印字媒体Mの位置を検出することができる。
【0058】
本実施形態では、図2に示すように、発光ユニット22aは、印字ユニット30の搬送ガイド部35fにおける印字媒体Mの搬送路とは反対側、つまり、搬送ガイド部35fの上面側に設けられる。また、搬送ガイド部35fには、発光ユニット22aから出射された光を通す貫通孔35gが形成されている。一方、受光ユニット22bは、図2に示すように、搬送路を挟んで筐体10側に設けられる。
【0059】
上記したように、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業は、印字ユニット30を非印字位置にして筐体10の開口部を開放した状態で行われる。
【0060】
つまり、本実施形態では、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの間が大きく開放された状態で印字媒体Mをプリンタ100にセットできるので、印字媒体Mをプリンタ100にセットする作業を容易に行うことができる。なお、発光ユニット22aと受光ユニット22bとの位置を入れ替えてもよい。
【0061】
プリンタ100は、使用する印字媒体Mの態様に応じて、反射センサ21と透過センサ22とのいずれか作動させて搬送方向における印字媒体Mの位置を検出するようになっている。
【0062】
例えば、アイマークが設けられていない印字媒体Mを使用する場合は、プリンタ100は、透過センサ22によって印字媒体Mの位置を検出する。
【0063】
コントローラ40は、マイクロプロセッサ、ROMやRAM等の記憶装置、入出力インターフェース、これらを接続するバス等で構成される。コントローラ40には、入出力インターフェースを介して、外部コンピュータからの印字データ、センサ18、22からの信号、反射センサ21からの信号等が入力される。
【0064】
コントローラ40は、記憶装置に格納されている印字制御プログラムをマイクロプロセッサによって実行し、サーマルヘッド32の発熱素子への通電、各駆動モータへの通電等を制御する。
【0065】
[ヒンジ構造80の説明]
図5は、本実施形態のヒンジ構造80を説明するための斜視図であり、筐体10及びカバー11を省略した状態の斜視図である。
【0066】
プリンタ100において、印字ユニット30及びカバー11は、ヒンジ構造80により揺動可能に支持される。
【0067】
ヒンジ構造80は、カバー支持部81、印字ユニット支持部82、ヒンジ部83、から構成される。これらはヒンジ軸84に軸支される。
【0068】
カバー支持部81は、ヒンジ軸84の軸方向の両端付近に一対備えられ、カバー11に固定されている。カバー支持部81は、それぞれが略円筒形の形状を有し、ヒンジ軸84が挿通されると共にその内側にトーションスプリングであるスプリング811(図6参照)を備える。
【0069】
カバー支持部81は、ヒンジ軸84を中心として、カバー11が図3に示す開放状態となる方向へと回転するように、スプリング811により付勢される。
【0070】
印字ユニット支持部82は、ヒンジ軸84の軸方向の両端付近であって、一対のカバー支持部81の軸方向の内側に一対備えられ、印字ユニット30に固定されている。印字ユニット支持部82は、それぞれが略円筒形の形状を有し、ヒンジ軸84が挿通されると共にその内側にトーションスプリングであるスプリング821を備える。
【0071】
スプリング821は、カバー11を非印字位置に開放したときに、印字位置側に倒れないように付勢する。
【0072】
ヒンジ部83は、ヒンジ軸84の軸方向の略中央付近に備えられる。ヒンジ部83は、以降に説明するように、筐体10に対して印字ユニット30をリボン交換位置で静止(保持)させる機能を有する。
【0073】
図6は、本実施形態のヒンジ構造80を説明するための分解斜視図である。
【0074】
ヒンジ部83は、印字ユニット側部材91と、筐体側部材92と、コイルスプリング93とから構成される。
【0075】
印字ユニット側部材91は、印字ユニット30に固定される固定部911と、揺動部912とを備える。揺動部912は、固定部911から突出する一組の突出構造である円板部912a、912bを備える。円板部912a、912bは、軸方向に間隔を開けて二つ並んで配置され、その中心にヒンジ軸84が挿通される。
【0076】
筐体側部材92は、筐体10に固定される筐体固定部921と、保持部922とを備える。保持部922は、印字ユニット側部材91の揺動部912の円板部912a、912bを軸方向外側から挟持して、揺動部912の円板部912a、912bをヒンジ軸84により回転可能に保持する。保持部922は、軸方向に並んで間隔を開けて配置した略円板形状に形成された二つの円板部922a、922bからなり、中心にヒンジ軸84が挿通される。
【0077】
コイルスプリング93は、揺動部912の二つの円板部912a、912bの間に配置され、中心にヒンジ軸84が挿通される。コイルスプリング93は、円板部912a、912bを、それぞれ軸方向外側へと付勢する。揺動部912の円板部912a、912bが軸方向外側へと付勢されていることで、円板部912a、912bは、それぞれ円板部912a、912bが対向する保持部922の円板部922a、922bの内側の面を押圧する。
【0078】
これら、印字ユニット側部材91及び筐体側部材92は、例えばABS樹脂等、耐荷重性を有し、かつ弾性を有する素材により形成される。
【0079】
図7は、本実施形態のヒンジ部83の構成を示す斜視透視図である。
【0080】
図7では、筐体側部材92の一部を省略して、印字ユニット側部材91の揺動部912と、筐体側部材92の保持部922との嵌合状態を示している。
【0081】
揺動部912には、保持部922の内面に向けて突設して形成された爪部501と二つの突起部502とを備える。保持部922には、揺動部912の外面に向けて突設して形成された係合部601を備える。爪部501は、後述するように印字ユニット30を揺動したときに係合部601に係合することで、印字ユニット30をリボン交換位置で静止させる。
【0082】
印字ユニット30を揺動させるとき、突起部502は、保持部922の内側に摺接する。突起部502は、コイルスプリング93によって保持部922の内側に向かって付勢されているので、印字ユニット30を揺動させるときの摺動抵抗を増大させる。これにより、印字ユニット30を揺動させる場合に、その重量により印字ユニット30が勢いよく落下することが防止される。
【0083】
次に、本実施形態のヒンジ部83の機能を説明する。
【0084】
図8は、印字ユニット30が印字位置に配置されているときのヒンジ部83の位置を示し、図7における矢視Aを示す。図8はカバー11及び印字ユニット30が印字位置に配置されている図2におけるヒンジ部83を示す。図8において、実線は揺動部912を示し、点線は保持部922を示す。
【0085】
カバー11及び印字ユニット30が印字位置に配置されている状態では、揺動部912の爪部501は、保持部922の係合部601よりも反時計回り方向側に存在し、互いに接触していない。
【0086】
図9は、印字ユニット30を印字媒体交換位置(開放状態)としたときのヒンジ部83であり、図7における矢視Aを示す。図9は、カバー11及び印字ユニット30が印字媒体交換位置に配置されている図3におけるヒンジ部83を示す。
【0087】
印字ユニット30をカバー11内に収容した状態で、カバー11及び印字ユニット30を筐体10から開放した印字媒体交換位置に揺動させると、爪部501が時計回り方向に移動する。印字ユニット30を所定トルク以上のトルクで開放側に揺動させると、爪部501が係合部601に乗り上げる。爪部501が係合部601に押圧されることで、揺動部912の円板部912a、912bがそれぞれ軸方向内側(近接する側)へと弾性変形する。
【0088】
さらに、カバー11及び印字ユニット30を揺動させることで、爪部501が係合部601よりも時計回り方向側へと移動し、爪部501と係合部601とが接触しない状態となる。
【0089】
印字媒体交換位置の状態では、印字ユニット30は、ほぼ垂直方向に直立し、さらに印字ユニット支持部82により開放方向に付勢されていることにより、印字ユニット30は筐体10に対して直立した状態で静止する。この状態では、印字媒体Mを容易に交換することができる。
【0090】
図10は、印字ユニット30をリボン交換位置としたときのヒンジ部83である。図10図4に対応する。
【0091】
図9に示す印字媒体交換位置の状態から、印字ユニット30を所定トルク以上のトルクで筐体10側に揺動させると、印字ユニット30のみがカバー11から開放されて、筐体10から離間した状態で印字ユニット30が保持される図10に示すリボン交換位置へと移動する。
【0092】
リボン交換位置では、爪部501が係合部601に係合することにより、保持部922が揺動部912を静止(保持)させる。この結果、印字ユニット30が筐体10から離間し、直立状態のカバー11との間にインクリボンRを交換可能なスペースを有するリボン交換位置において静止(保持)される。このように、ヒンジ部83において爪部501が係合部601に係合することによりリボン交換位置を維持することができるので、印字ユニット30のインクリボンRを容易に交換することができる。
【0093】
以上述べたように、本実施形態によれば、筐体10と、一対の印字ユニット支持部82によってヒンジ軸84を中心として筐体10に揺動自在に構成され、印字媒体Mに印字を行なう印字ユニット30と、一対の印字ユニット支持部82の間に備えられ、印字ユニット30を筐体10から離間した位置で保持するヒンジ部83と、を備えて構成した。
【0094】
これによれば、印字ユニット支持部82により筐体10に対して揺動自在に構成された印字ユニット30を、ヒンジ部83により筐体10から離間した状態で保持することができるので、印字ユニット30の開閉動作において左右均等に力を加え、印字ユニット30の開閉動作をスムーズに行なうことができる。これにより、筐体10と印字ユニット30とを変形させることが防止され、印字媒体Mにしわや曲がりが発生することが防止される。
【0095】
さらに、印字ユニット30を揺動自在に支持する印字ユニット支持部82と、印字ユニット30を保持するヒンジ部83との二つの構成に機能を分けたので、印字ユニット30を揺動及び保持する構成の全体を小型化(小径化)することができ、プリンタ100が大型化することが防止される。
【0096】
また、ヒンジ部83は、印字ユニット30に固定される印字ユニット側部材91と、筐体10に固定される筐体側部材92と、を備え、印字ユニット側部材91は、一組の突出部である揺動部912と、揺動部912を外面に向けて付勢する付勢部材であるコイルスプリング93と、を備え、筐体側部材92は、揺動部912を軸方向の外側から挟持して保持する保持部922を備える
【0097】
このように、コイルスプリング93により揺動部912を離反する歩行に付勢して、保持部922がこれらを外側から挟持する構成としたので、ヒンジ部83を左右それぞれに分割して設ける必要がなくなり、付品点数を少なくすることができ、プリンタ100の製造コストを低減することができる。
【0098】
また、樹脂の弾性変形ではなく、コイルスプリング93による付勢力により印字ユニット30を保持するので、印字ユニット30の揺動における樹脂の弾性変形を必要最小限に抑えることで、揺動時の振動や雑音を小さく押さえることができる。さらに、樹脂の経年変化による変形や破損を防止することができる。
【0099】
また、一組の突出部である揺動部912は、軸方向の外側に突設された突起部502と爪部501とを有し、保持部922は、爪部501に係合する係合部601を有するように構成した。特に、爪部501が係合部601へと係合することで、印字ユニット30をリボン交換位置で静止させるように構成した。
【0100】
このような構成により、簡易な構造で印字ユニット30を静止することができるので、付品点数を少なくすることができ、プリンタ100の製造コストを低減することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0102】
例えば、上記実施形態のプリンタ100の印刷方式は、サーマルヘッド32とインクリボンRとによる感熱方式であるが、これに限られず、例えばインクジェット方式やドットインパクト方式など、他の印刷形式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0103】
100 プリンタ
10 筐体
11 カバー
11a 被係合部
12 媒体供給軸
14 レバー
15 印字部
16 排出口
17 カッタ
18 センサ
18a 発光ユニット
18b 受光ユニット
19 操作ユニット
20 プラテンローラ
21 反射センサ
22 透過センサ
22a 発光ユニット(発光部)
22b 受光ユニット(受光部)
30 印字ユニット
31 本体部
32 サーマルヘッド
33 リボン供給軸
34 リボン巻取軸
35 仕切部材
35a ベース部
35b 軸部
35c 支持部
35d 支持部
35e 係合部
35f 搬送ガイド部
35g 貫通孔
36 ガイド軸
37 ガイド軸
40 コントローラ
60 ロールガイド
63 ガイド溝
65 支持部材
65A 支持部材
65B 支持部材
70 揺動部材
78 保持ピン
80 ヒンジ構造
81 カバー支持部
82 印字ユニット支持部
83 ヒンジ部
84 ヒンジ軸
91 印字ユニット側部材
92 筐体側部材
93 コイルスプリング
100 プリンタ
501 爪部
502 突起部
601 係合部
911 固定部
912 揺動部
912a、912b :円板部
921 筐体固定部
922 保持部
922a、922b :円板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10