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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】巻取り装置及び巻取り構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20220322BHJP
   B65H 75/38 20060101ALI20220322BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B60R5/04 T
B65H75/38 N
F16B5/10 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018093940
(22)【出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2019199137
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】馬場 将豪
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】宮前 仁志
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-203326(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19532276(DE,A1)
【文献】実開昭58-167258(JP,U)
【文献】実開昭62-192955(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第2922499(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
B65H 75/38
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の切欠きが設けられた第1の側面と、前記第1の側面と対向し第2の切欠きが設けられた第2の側面と、底面と、を備えた凹部を有する保持部に保持される巻取り装置であって、
シート状のカバーが巻取り及び引出し可能に巻きつけられる巻取り軸と、前記巻取り軸の一端に設けられた第1のホルダと、を有し、
前記第1のホルダは、
前記第1の切欠きと係合する係合位置と前記第1の切欠きから離間した離間位置との間を移動可能な第1の爪部材と、
前記第2の切欠きに係合することで、前記係合位置にある前記第1の爪部材とともに前記第1のホルダを前記保持部に保持する第2の爪部材と、
前記第1の爪部材を前記係合位置に向けて付勢する第1の付勢部材と、
前記第1の爪部材に連結され、前記第1の爪部材を前記離間位置に向けて移動させるスイッチ部材と、
前記第1のホルダが前記保持部に保持されるときに前記底面に当接し、前記第1及び第2の爪部材をそれぞれ前記第1及び第2の切欠きに押し付ける第2の付勢部材と、を有し、
前記第1のホルダは、前記第1の爪部材を前記係合位置と前記離間位置との間で移動可能に支持し前記第2の爪部材を固定的に支持するハウジングを有し、
前記第2の付勢部材は前記ハウジングに支持されたばね部材と、前記ばね部材に連結され、前記第1のホルダが前記保持部に保持されるときに前記ばね部材によって前記凹部の前記底面に押圧される押圧部材と、を有し、
前記ハウジングは前記底面と対向する開口を有し、前記押圧部材は前記ハウジングに回転可能に支持された一端のまわりを他端が前記開口から突き出し可能に回転するレバー部材であり、前記他端は、前記第1のホルダが前記保持部に保持されるときに前記ハウジングの外部で前記底面に押圧される巻取り装置。
【請求項2】
前記巻取り軸の他端に、前記巻取り軸に対して当該巻取り軸の長軸と平行な向きに移動可能に設けられた第2のホルダを有する、請求項1に記載の巻取り装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の巻取り装置と、前記保持部と、を有し、前記保持部は前記第1の切欠きの上方に、前記凹部に向けて下り傾斜の案内面を有している、巻取り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は巻取り装置と巻取り構造に関し、特に自動車のトノカバーの巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のリアシート後方のラゲージスペースを外部から視覚的に遮蔽するトノカバー装置が知られている。トノカバー装置はシート状のトノカバーと、トノカバーの巻取り装置と、を備えている。巻取り装置はトノカバーが巻き取られる巻取り軸を備え、巻取り軸の両端には一対のホルダが設けられ、ホルダは車両の左右のガーニシュトリムに形成された保持部に脱着可能に保持される。
【0003】
特許文献1には、操作ボタンと一体化され上下方向に移動可能な可動子と、ピンを介して可動子に連結されたスライドロック部材と、を有する巻取り装置が開示されている。可動子はばねによって上方に付勢され、操作ボタンを押し込むと下方に移動し、ロック装置によって固定される。可動子がばねの付勢力で上方に位置するときは、スライドロック部材は外側に移動し保持部の切欠きに係合する。可動子がロック装置によって下方位置にロックされるとスライドロック部材は引き込まれ、トノカバー装置を保持部から取り外すことができる。
【0004】
特許文献2には、水平方向に移動可能な一対の係合素子を備えた巻取り装置が開示されている。一方の係合素子は操作ボタンと連結され、他方の係合素子はリンク機構を介しては操作ボタンと接続されている。一方の係合素子が外側に動くと、リンク機構の作動により他方の係合素子も外側に動き、一方の係合素子が内側に動くと、リンク機構の作動により他方の係合素子も内側に動く。一対の係合素子はばねによって相互に連結されている。一対の係合素子は、ばねの付勢力で外側に移動し保持部の切欠きに係合するとともに、操作ボタンの操作により内側に移動し、保持部の切欠きから離脱する。巻取り装置は、保持部の底面にばねを介して設けられた付勢突起によって上方向に付勢される。このため、取り外しの際に巻取り装置が飛び出し、巻取り装置の取り外しが容易となる。また、巻取り装置が保持部に保持されている際のがたつきが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3314300号公報
【文献】特許第4456133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された巻取り装置では、保持部の切欠きとスライドロック部材との間に微小なギャップが生じるため、がたつきやそれに伴う異音の発生が避けられない。一方、特許文献2に記載された巻取り装置では、係合素子が付勢突起の付勢力によって保持部の切欠きに密着するため、がたつきの発生は抑制される。しかしながら、巻取り装置を保持部から外した際に保持部の底面の付勢突起が露出するため、意匠性の観点から改善が望まれている。また、一対の係合素子を切欠きに係合させる際、巻取り装置を水平方向に対して傾斜させて取付部へ取り付けると、片方の係合素子のみが係合することがある。このような状態では巻取り装置がしっかりと保持されず、がたつきの抑制効果が得られなくなる。さらに、車両のオプション設定やグレードによっては、同じタイプの車両でもトノカバー装置が設けられないことがある。車両構造の共通化のためトノカバー装置の有無に拘らず車両の保持部の底面に付勢機構を設ける場合、トノカバー装置が設けられない車両では付勢機構の費用が無駄になる。
【0007】
本発明は、保持部で保持されている際にがたつきが発生しにくく、取り付け操作が容易で、保持部から外した際に保持部の意匠性が向上し、かつ無駄な費用が発生しない巻取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の巻取り装置は、第1の切欠きが設けられた第1の側面と、第1の側面と対向し第2の切欠きが設けられた第2の側面と、底面と、を備えた凹部を有する保持部に保持される。巻取り装置は、シート状のカバーが巻取り及び引出し可能に巻きつけられる巻取り軸と、巻取り軸の一端に設けられた第1のホルダと、を有している。第1のホルダは、第1の切欠きと係合する係合位置と第1の切欠きから離間した離間位置との間を移動可能な第1の爪部材と、第2の切欠きに係合することで、係合位置にある第1の爪部材とともに第1のホルダを保持部に保持する第2の爪部材と、第1の爪部材を係合位置に向けて付勢する第1の付勢部材と、第1の爪部材に連結され、第1の爪部材を離間位置に向けて移動させるスイッチ部材と、第1のホルダが保持部に保持されるときに底面に当接し、第1及び第2の爪部材をそれぞれ第1及び第2の切欠きに押し付ける第2の付勢部材と、を有する。第1のホルダは、第1の爪部材を係合位置と離間位置との間で移動可能に支持し第2の爪部材を固定的に支持するハウジングを有し、第2の付勢部材はハウジングに支持されたばね部材と、ばね部材に連結され、第1のホルダが保持部に保持されるときにばね部材によって凹部の底面に押圧される押圧部材と、を有している。ハウジングは底面と対向する開口を有し、押圧部材はハウジングに回転可能に支持された一端のまわりを他端が開口から突き出し可能に回転するレバー部材であり、他端は、第1のホルダが保持部に保持されるときにハウジングの外部で底面に押圧される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1のホルダが保持部に保持されるときに、第1及び第2の爪部材が第2の付勢部材によってそれぞれ第1及び第2の切欠きに押し付けられるため、がたつきが発生しにくい。また、第2の付勢部材は巻取り装置に組み込まれているため、保持部の凹部の底面には第1及び第2の爪部材を付勢するための機構が不要であり、保持部の外観がシンプルとなる。このため、トノカバー装置が設定されないグレードにおいて付勢機構の費用が無駄となることがない。さらに、本発明によれば巻取り装置を回転させながら、第2の爪部材、第1の爪部材の順で切欠きに係合させるので、巻取り装置を水平に保持する必要がない。よって、本発明によれば、保持部で保持されている際にがたつきが発生しにくく、取り付け操作が容易で、保持部から外した際に保持部の意匠性が向上し、かつ無駄な費用が発生しない巻取り装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明が適用されるトノカバー装置の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る巻取り装置の斜視図である。
図3】保持部の斜視図である。
図4図2に示す巻取り装置の第1のホルダの分解斜視図である。
図5図4に示す第1のホルダの断面図である。
図6図4に示す第1のホルダの着脱手順を示す図である。
図7図4に示す第1のホルダの着脱手順を示す図である。
図8図4に示す第1のホルダの着脱手順を示す図である。
図9図4に示す第1のホルダの着脱手順を示す図である。
図10】第1の爪部材の変形例を示す図である。
図11】第2の付勢部材の変形例を示す図である。
図12】保持部の変形例を示す図である。
図13】第1のホルダの変形例を示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る巻取り装置を示す図である。
図15図14に示す巻取り装置の着脱手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の巻取り構造と巻取り装置のいくつかの実施形態について説明する。本発明の巻取り装置は特定の用途に限定されるものではないが、特に自動車のトノカバー装置に好適に適用される。ハッチバック形式の自動車は後部座席の背後にトノー部と呼ばれるラゲージスペースを備えており、このトノー部を外部から視覚的に遮蔽するためにトノカバー装置が用いられる。トノカバー装置は自動車の左右のガーニシュトリムに設けられた一対の保持部で保持される。本明細書では、巻取り装置と一対の保持部を組み合わせたものを巻取り構造と呼ぶ。以下の説明及び図面において、X方向は自動車の前後方向、Y方向は自動車の左右方向、Z方向は鉛直方向を意味する。また、各図においてFはX方向前方(車両前方側)、RはX方向後方(車両後方側)を意味する。また、各図は本発明の例を模式的に示すものであり、実際の製品における寸法や形状等を示すものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は本発明が適用されるトノカバー装置2の斜視図を、図2は第1の実施形態に係る巻取り装置3の斜視図を示している。トノカバー装置2は、巻取り装置3と、シート状のトノカバー4と、を有している。巻取り装置3は、トノカバー4が巻取り及び引出し可能に巻きつけられる巻取り軸5と、巻取り軸5の一端及び他端にそれぞれ設けられた第1及び第2のホルダ6,7と、巻取り軸5を覆うケーシング8と、を有している。第1及び第2のホルダ6,7は巻取り軸5を回転可能に支持する。ケーシング8は、アルミニウム、樹脂などから形成され自動車の左右方向(Y方向)に延びる、円筒形の部材である。ケーシング8は巻取り軸5に完全に巻き取られたトノカバー4を収容できる大きさを有している。トノカバー4は合成樹脂、布などから形成され、その先端には、トノカバー4を引き出す際に把持しやすいように、厚肉で剛性の高い把持縁4aが設けられている。ケーシング8は巻取り軸5の巻取り及び引出しを可能とするため、Y方向に延びるスリット8aを有している。スリット8aは、トノカバー4が通過可能な大きさを有している。一方、厚肉の把持縁4aはスリット8aの高さより大きい厚さを有しており、スリット8aを通ることができない。第1のホルダには巻取り軸5を巻き取り方向に付勢する付勢手段(図示せず)が組み込まれている。
【0013】
ガーニシュトリム9には、巻取り装置3を保持する保持部10が設けられている。また、保持部10の車両後方側から車両後端付近に向かって、トノカバー4の把持縁4aの端部を摺動させながらX方向にトノカバー4を案内する案内レール11(図3参照)が設けられていてもよい。
【0014】
車両の後端付近には、把持縁4aの左右端を係合させることができる係止部(図示せず)が設けられている。
【0015】
図3は保持部10の斜視図を示している。保持部10はガーニシュトリム9と一体に形成されるが、ガーニシュトリム9から独立した部材として作成し、ガーニシュトリム9に取り付けてもよい。図示は省略するが、左右の保持部10はXZ面(X方向とZ方向に平行な面)に関して鏡対称の形状を有している点を除き同じ構成を有している。保持部10は、上部が開口し上方から第1及び第2のホルダ6,7を受け入れる凹部11を有している。図5を併せて参照すると、凹部11は互いに対向する第1及び第2の側面13,14と、底面12とを備えている。第1の側面13に第1の切欠き15が、第2の側面14に第2の切欠き16が設けられている。第1の切欠き15と第2の切欠き16は保持部10をY方向に貫通して形成されているが、保持部10のY方向の一部のみに形成されてもよい。第1の切欠き15と第2の切欠き16は同じ高さに形成されている。本実施形態では第1の切欠き15と第2の切欠き16は同じ形状である。このため、2つの保持部10は全く同じ形状であるが、第1の切欠き15と第2の切欠き16を互いに異なる形状としてもよい。巻取り装置3が取り外されたときに第1及び第2の切欠き16を覆うカバー部材を別途設けてもよい。
【0016】
トノカバー4を引き出すときは、ユーザーはトノカバー4の把持縁4aを把持しX方向後方に引き出し、係止手段に把持縁4aの左右端を係合させる。これによって、トノー部の上方がトノカバー4で覆われる。トノカバー4を格納するときは、ユーザーは把持縁4aを係止手段から外す。トノカバー4は巻取り装置3によって巻き取られ、把持縁4aがX方向前方に移動し、把持縁4aのみが巻取り装置3の外に残された状態になる。このようにして、トノー部の上方を開放することができる。
【0017】
次に、第1及び第2のホルダ6,7の構成について説明する。第1のホルダ6と第2のホルダ7は、いずれか一方のみが巻取り軸5を巻き取り方向に付勢する付勢手段を備えていること、及び付勢手段と巻取り軸5を支持する形状が異なることを除き、XZ面に関して鏡対称の形状となっている。従って、以下では第1のホルダ6について説明する。図4は第1のホルダ6の分解斜視図であり、図5(a)は図4のA-A線に沿った断面図、図5(b)は図4のB-B線に沿った断面図である。
【0018】
第1のホルダ6は、ケーシング8に固定されるハウジング61を有している。ハウジング61はポリアセタールで形成されるが、材料は限定されず、樹脂、金属などの材料を適宜使用することができる。ハウジング61のケーシング8と対向する面(図4において手前側の面)は開口となっており、ほぼ中央に巻取り軸5を回転可能に支持する穴62aを有する軸支持部62が形成されている。穴62aは星型の断面を有し付勢手段を収納することができる。ハウジング61の断面形状は概ね矩形であるが、把持しやすいように角部が丸められている。
【0019】
ハウジング61の内部には、X方向に延びる空洞63aが形成された案内部63が設けられ、空洞63aに第1の爪部材64とコイルばねの形態の第1の付勢部材66とが収容されている。空洞63aは巻取り軸5を支持する穴62aと連通している。案内部63のハウジング61側の端部は第1の爪部材64が進退可能な開口63bとなっている。案内部63の反対側には壁面63cが設けられ、この壁面63cに第1の付勢部材66の一端が固定されている。第1の爪部材64の第1の付勢部材66と対向する面には第1の付勢部材66の他端を収容するリング状の溝64bが形成されている。第1の爪部材64の反対側の端部には、先端に向けてZ方向寸法が縮小するテーパ形状を有する爪部64aが形成されている。第1の付勢部材66は圧縮されており、第1の爪部材64を開口63bの外に押し出す向きに付勢する。爪部64aは第1の付勢部材66の付勢力によって保持部10の第1の切欠き15の内部に進入し、爪部64aの上面が第1の切欠き15の下面に当接することによって第1の切欠き15と係合する。第1の爪部材64はハウジング61と同じ材料で形成されるが、ハウジング61と異なる材料で形成されてもよい。
【0020】
第1のホルダ6はスイッチ部材68を有している。スイッチ部材68はハウジング61の外部に位置する操作部68aと、ハウジング61の内部に位置するアーム部68bとを有している。ハウジング61の、操作部68aとアーム部68bの接続部の近傍には、スイッチ部材68が通る開口61aが形成されている。アーム部68bの操作部68aとの接続部との反対側の端部68cは第1の爪部材64に連結されている。操作部68aとアーム部68bは別部材として作成され、アーム部68bを第1の爪部材64に連結した後、操作部68aとアーム部68bのそれぞれに形成された係合部同士を係合させることによって一体化される。操作部68aはハウジング61の外面に沿ってX方向、より具体的には第1の爪部材64を第1の付勢部材66の付勢力に抗して案内部63の内部に引き込ませる向きにスライドすることができる。スイッチ部材68はハウジング61と同じ材料で形成されるが、目立たせるためハウジング61と異なる材料で形成されてもよいし、ハウジング61と異なる色で着色されてもよい。操作部68aの操作性を改善するため、操作部68aの指で押す面68dは内側に凹んだ形状とされている。
【0021】
ハウジング61の第1の爪部材64が進退する開口63bの反対側には第2の爪部材65が固定されている。第2の爪部材65はほぼ第1の爪部材64と同じZ方向高さに設けられているが、第1の爪部材64と異なった位置にあってもよい。第2の爪部材65は第1の爪部材64の爪部64aとほぼ同じ形状を有しているが、第1の爪部材64の爪部64aと異なる形状を有していてもよい。第2の爪部材65はハウジング61と一体成形されるが、別部材として作成しハウジング61に接合してもよい。第2の爪部材65は第1の爪部材64と同様の態様で、すなわち第2の爪部材65の上面が第2の切欠き16の下面に当接することによって第2の切欠き16と係合する。これによって、第2の爪部材65は係合位置にある第1の爪部材64とともに、第1のホルダ6を保持部10に保持させることができる。
【0022】
このように、ハウジング61は第1の爪部材64を、第1の切欠き15と係合する係合位置と第1の切欠き15から離間した離間位置との間で移動可能に支持するとともに、第2の爪部材65を固定的に支持する。第1の爪部材64は、第1の付勢部材66によって係合位置に向けて付勢され、スイッチ部材68によって離間位置に向けて移動させられる。これによって、第1の爪部材64は係合位置と離間位置との間を移動することができる。
【0023】
第1のホルダ6は第2の付勢部材67を有している。第2の付勢部材67はハウジング61に支持されたばね部材67aと、ばね部材67aに連結された押圧部材67bと、を有する。押圧部材67bは、第1のホルダ6が保持部10に保持されるときにばね部材67aによって凹部11の底面12に押圧される。第2の付勢部材67は第1のホルダ6が保持部10に保持されるときに底面12に当接し、第1及び第2の爪部材64,65をそれぞれ第1及び第2の切欠き15,16に押し付ける。ハウジング61は、凹部11の底面12と対向する位置に開口61bを有している。押圧部材67bは開口61bから突き出し可能に回転するレバー部材67bである。レバー部材67bの一端はハウジング61に回転可能に支持され、他端はハウジング61の外部で凹部11の底面12に押圧される押圧部67cを形成する。ばね部材67aはレバー部材67bとハウジング61との間に設けられた圧縮ばねである。ばね部材67aの下部はレバー部材67bの上面に形成されZ方向に延びる棒状の第1のばね保持部67dに保持され、ばね部材67aの上端は案内部63からY方向に突き出す板状の第2のばね保持部69に保持されている。第2のばね保持部69の構成や位置はこれに限定されない。ばね部材67aの上端はハウジング61またはハウジング61と一体化された部材に固定されていればよい。押圧部材67bはハウジング61と同じ材料で形成されるが、ハウジング61と異なる材料で形成されてもよい。
【0024】
次に、図6~9を参照して、第1のホルダ6を保持部10の凹部11に取り付ける手順を説明する。図6~9の各図において(a)は図5(a)と同様、図4のA-A線に沿った断面図を示し、(b)は図5(b)と同様、図4のB-B線に沿った断面図を示している。なお、第2のホルダ7は基本的な構成が第1のホルダ6と同一であるため、第1のホルダ6と同様の操作で取り付け及び取り外しを行うことができる。
【0025】
まず、図6に示すように、レバー部材67bを保持部10の凹部11の第1の縁部11aに押し付けながら、第1のホルダ6を凹部11に近づける。第1の爪部材64はハウジング61から突き出ており、スイッチ部材68はX方向後方の位置にある。次に、図7に示すように、レバー部材67bを凹部11の第1の縁部11aに押し付けたまま、第1のホルダ6を反時計回転させて凹部11の内部に向けて動かす。第1の爪部材64はハウジング61から突き出ており、スイッチ部材68はX方向後方の位置にある。次に、図8に示すように、第1のホルダ6を凹部11の内部に向けて下降させる。レバー部材67bは凹部11の第1の縁部11aから離れるため、ばね部材67aの付勢力によってハウジング61から突き出す。スイッチ部材68はX方向後方の位置にある。第2の爪部材65は凹部11の第2の切欠き16の側方にある。
【0026】
次に、図9に示すように、第1のホルダ6を引き続き凹部11の内部に向けて下降させながら時計回転させる。この際、第2の爪部材65の上面を第2の切欠き16の下面に当接させることで、第1のホルダ6を、当接部を回転中心として安定して回転させることができる。また、これによって第2の爪部材65が第2の切欠き16と係合する。第1の爪部材64は凹部11の上部側壁11cに当接し、第1の付勢部材66の付勢力に抗してハウジング61の内部に向けて移動する。この結果、第1のホルダ6は第1の爪部材64が凹部11の上部側壁11cに当接しながら下降を続ける。第1の爪部材64の爪部64aは上側が突き出し、下側が下面に向かって引き込む斜面64cとなっているため、爪部64aの斜面64cが凹部11の第1の縁部11aに沿って摺動し、第1の爪部64aをスムーズに引き込ませることができる。レバー部材67bはハウジング61から突き出したままである。さらに第1のホルダ6を下降させながら時計回転させると、図5に示すようにレバー部材67bが凹部11の底面12に当接し、ばね部材67aの付勢力に抗してハウジング61の内部に押し込まれる。また、第1の爪部材64は凹部11の上部側壁11cから第1の切欠き15の内部に進入し、第1の切欠き15と係合する。
【0027】
第1のホルダ6を取り外すときは、第1のホルダ6を下向きに押えずにスイッチ部材68をX方向前方に押す。第1の爪部材64がハウジング61の内部に向けて離間位置まで移動するため、第1のホルダ6は、第1の爪部材64によって妨害されることなく、ばね部材67aの付勢力によって上向きに跳ね上がる。ばね部材67aのばね力を適切に選択することによって、スイッチ部材68を押した瞬間に第1の爪部材64が離間位置を維持したまま上部側壁11cを通過し図8の状態となる。図8の状態で第1のホルダ6を反時計回転させながら持ち上げ、図7に示すように第1のホルダ6が凹部11からほぼ離脱したら、次に第1のホルダ6を時計回転させ、図6に示す状態に戻す。
【0028】
このように、本実施形態によれば、レバー部材67bを押し込むように第1のホルダ6を凹部11の第1の縁部11aに沿って反時計回転させ、その後下降させながら時計回転させるだけの単純な作業で第1のホルダ6を取りつけることができる。また、スイッチ部材68を押し、跳ね上がった第1のホルダ6を反時計回転させて凹部11から取り出し、最後に時計回転させるだけの単純な作業で第1のホルダ6を取り外すことができる。これらの動きは手首の回転と指の動きだけで実現できるため、ユーザーの体勢は無関係である。従来は、ユーザーはラゲージスペースの奥(前方側)まで上半身を入れ、さらにその状態でホルダを上下移動させる必要があったため、上半身や腕の負担が大きかった。特にラゲージスペースの大きい自動車や小柄なユーザーの場合、かなり無理な姿勢を強いられることがある。しかし、本実施形態ではそのようなユーザーの負担が軽減され、より簡単に第1のホルダ6の取り付け及び取り外しを行うことができる。また、巻取り装置3を回転させながら取り付けるため、第1のホルダ6を保持部10に取り付ける際に巻取り装置3を水平に維持する必要がない。このため、巻取り装置3の取り付け操作がより容易になる。巻取り装置3を回転させながら取り付けるため、特許文献2の巻取り装置と比べてがたつきをより確実に抑制することもできる。
【0029】
第1のホルダ6と凹部11の形状によっては、第1のホルダ6を取り付ける際にレバー部材67bを保持部10の凹部11の第1の縁部11aに押し付ける必要はない。換言すれば、レバー部材67bがハウジング61から突き出た状態でも凹部11の第1の縁部11aと干渉せず、かつ第2の爪部材65が凹部11の第2の縁部11b(図8(a)参照)と干渉しなければ、第1のホルダ6を浮かせた状態で凹部11に挿入することができる。一方、第1のホルダ6を取り付ける際に、第1の爪部64aは自然に凹部11の上部側壁11cに当接しハウジング61の内部に後退するが、スイッチ部材68を押して意図的に第1の爪部64aをハウジング61の内部に後退させてもよい。同様に、第1のホルダ6を取り外す際に、第1の爪部64aが凹部11を離脱するまでスイッチ部材68を押し続けてもよい。
【0030】
本実施形態はさらに以下の利点を有する。まず、第1のホルダ6が保持部10に保持されているときは、第1及び第2の切欠き15,16とそれぞれ係合する第1及び第2の爪部材64,65が第2の付勢部材67によって上向きに付勢される。このため、第1及び第2の爪部材64,65の上面が第1及び第2の切欠き15,16の下面と密着し、製造誤差などで生じる可能性のある第1及び第2の爪部材64,65と第1及び第2の切欠き15,16との間のがたつきが抑制される。次に、凹部11の底部に従来設けられていた付勢突起(特許文献2参照)が不要である。このため、凹部11の内部には第1及び第2の側面13,14にそれぞれ形成された第1及び第2の切欠き15,16以外に凹凸がなくなり、意匠性が向上する。凹部11の形状は本実施形態では側面視でほぼ長方形であるが、底面12と第1及び第2の側面13,14の接続部を滑らかな曲面で形成したり、底面12を曲面で形成したりすることも可能である。さらに、第2の爪部材65は固定式であるため、第1のホルダ6の構造が単純化される。
【0031】
第1の爪部材64の構成は上述のものに限定されない。図10は他の構成の第1の爪部材164の概念図を示している。この変形例では、第1の爪部材164は板状の第1の部分164aと、第1の付勢部材66に付勢された板状の第2の部分164bと、を有している。第1の部分164aはその一端に位置する第1の支持部164dでハウジング61に回転可能に支持され、他端に爪部164cが形成されている。第1の部分164aはその中間に位置する第2の支持部165eで、第2の部分164bに対して回転可能に連結されている。従って、第1の部分164aと第2の部分164bは全体としてリンク機構を形成している。図10(a)に示すように、第1の付勢部材66の付勢力により第1の部分164aは第2の部分164bを介して外側に押され、第1の支持部164dを中心に時計回りに回転し、第1の切欠き15と係合する(図示していないが、最終的にはばね部材67aの反力で爪部164cは第1の切欠き15と係合する)。スイッチ部材68が左に移動すると、図10(b)に示すように、第1の部分164aは第1の支持部164dを中心に反時計回りに回転し第1の切欠き15から離脱する。なお、この場合、爪部164cを第1の切欠き15から離脱させるため、第1のホルダ6を押し込みながらスイッチ部材68を操作する必要がある。すなわち、第1の爪部材64は第1の付勢部材66によって係合位置に向けて付勢され、スイッチ部材68によって離間位置に向けて移動させられるものである限り、あらゆる構成を採用することができる。
【0032】
第2の付勢部材67は上述のものに限定されない。図11は他の構成の第2の付勢部材167,267,367,467の概念図を示している。図11(a)を参照すると、上述のレバー部材67bに相当する底板部材167aがハウジング61に回転可能に支持されている。ばね167bがハウジング61の軸支持部62に巻きつけられている。ばね167bの両端は底板部材167aの上面に固定され、ばね167bは底板部材167aをZ方向下方に付勢している。底板部材167aは通常は実線の位置にあるが、凹部11の底面12に押圧されると2点鎖線で示したように反時計周りに回転する。この結果、ハウジング61も上向きの力を受け主に第1の切欠き15が第1の爪部材64に下から押し付けられる。
【0033】
図11(b)を参照すると、ばね267bがハウジング61の2つの支持部261a,261bに巻きつけられている。ばね267bの両端は上述のレバー部材67bに相当する底板部材267aの上面に固定され、ばね267bはZ方向下方に底板部材267aを付勢している。底板部材267aは通常は実線の位置にあるが、凹部11の底面12に押圧されると2点鎖線で示したようにほぼ回転することなく上方に持ち上げられる。この結果、ハウジング61も上向きの力を受け第1及び第2の切欠き15,16が第1及び第2の爪部材64,65に下から押し付けられる。
【0034】
図11(c)を参照すると、上述のレバー部材67bに相当する底板部材367aがハウジング61に回転可能に支持されている。コイルばね367bがハウジング61の軸支持部62と底板部材367aとに固定されている。底板部材367aは通常は実線の位置にあるが、凹部11の底面12に押圧されると2点鎖線で示したようにほぼ回転することなく上方に持ち上げられる。この結果、ハウジング61も上向きの力を受け第1及び第2の切欠き15,16が第1及び第2の爪部材64,65に下から押し付けられる。
【0035】
図11(d)を参照すると、上述のレバー部材67bに相当する底板部材467aがハウジング61の支点461aに回転可能に支持されている。ばね467bがハウジング61の支点461aに巻きつけられている。ばね467bの一端が底板部材467aの上面に固定され、ばね467bはZ方向下方に底板部材を付勢している。底板部材467aは通常は実線の位置にあるが、凹部11の底面12に押圧されると2点鎖線で示したように反時計周りに回転する。この結果、ハウジング61も上向きの力を受け主に第1の爪部材64が第1の切欠き15に下から押し付けられる。
【0036】
さらに、図12に示すように保持部10は第1の切欠き15の上方に凹部11に向けて下り傾斜の案内面11dを有していることが好ましい。図12(a)は第1のホルダ6と保持部10の側面図であり、図12(b)は保持部10の斜視図である。前述のように第1のホルダ6は回転方向を変えながら下方に移動させることで保持部10に保持される。従って、第1のホルダ6の下向きの動きを案内するように保持部10に傾斜をつけることでよりスムーズに第1のホルダ6を移動させることができる。保持部10の奥壁11eに案内面11dの下り傾斜とほぼ同じ角度で延びるガイドリブ11fを設けることも好ましい。図示は省略するが、第1のホルダ6のガイドリブ11fと対向する位置にガイドリブ11fと係合するリブないし溝を設け、第1のホルダ6をガイドリブ11fに沿って動かすことができる。あるいは、第1のホルダ6の上端部がガイドリブ11fと係合するように第1のホルダ6をガイドリブ11fに沿って動かすことができる。これによって、第1のホルダ6の挿入角度が安定し、第1のホルダ6をスムーズに凹部11に案内することができる。
【0037】
保持部10の第2の側面14を、第1のホルダ6を下り傾斜の案内面11dに載せたときの第2の爪部材65より高くすることも好ましい。これによって、第2の爪部材65が第2の側面14の上面14aに引っかかりにくくなり、第1のホルダ6をよりスムーズに凹部11に案内することができる。
【0038】
本実施形態では、第1の爪部材64が車両後方側に、第2の爪部材65が車両前方側に設けられているが、逆であってもよい。この場合、第1のホルダ6の取り付け及び取り外しの際の回転方向は上述の実施形態と逆になる。すなわち、第1のホルダ6を取り付ける場合は、車両左側方からみて、まず第1のホルダ6を時計回りに回転させ、次に反時計周りに回転させることになる。図示は省略するが、第2の爪部材65を第1の爪部材64と同様可動式としてもよい。上述の実施形態では、第1のホルダ6の取り付けの際にまず固定式の第2の爪部材65を凹部11に挿入する必要がある。しかし、第2の爪部材65を進退可能に構成することで、どちらの爪部材を先に挿入することも可能となる。換言すれば、ユーザーの利き手や使用できる手などの状況に応じて第1のホルダ6をどちらの方向にも回転できるため、利便性が高められる。
【0039】
図13は本実施形態のさらに他の変形例を示している。上述の実施形態ではスイッチ部材68を押して第1の爪部材64をハウジング61の内部に後退させた状態でスイッチ部材68から指を離すと、第1の付勢部材66の付勢力により第1の爪部材64がハウジング61の外部へ押し出される。これに対し、本変形例では第1の爪部材64の下面に弾性変形可能なピン部64dが設けられ、ピン部64dの先端に下側に膨らんだ爪部64eが形成されている。また、ハウジング61の内面には段差部61cが設けられている。図13(a)に示すように、第1の爪部材64がハウジング61から突き出した状態でスイッチ部材68を左向きに押すと、ピン部64dの下面が段差部61cと当接しながら段差部61cに対して相対移動する。そして、図13(b)に示すように爪部64eが段差部61cの上面に乗り上げ、これによってピン部64dは上向きに弾性変形する。第1の爪部材64をさらに左側に移動させると、図13(c)に示すように爪部64eの下端が段差部61cから離れ、ピン部64dは弾性変形して元の形状に戻る。爪部64eは第1の付勢部材66の付勢力によって段差部61cと当接するが、段差部61cを超えて右側に変位することができないため、第1の爪部材64はスイッチ部材68から指を離してもハウジング61の内部に後退した状態に維持される。
【0040】
さらに、本変形例では、第2の付勢部材67に突起部67eが形成されている。突起部67eは段差部61cよりピン部64dの根元側に設けられており、かつピン部64dと対向している。第2の付勢部材67が凹部11の底面12に当接すると突起部67eは上昇しピン部64dを押し上げる。爪部64eの下端が段差部61cの上端よりも上方まで持ち上げられると、段差部61cの拘束力が解除され、第1の爪部材64は第1の付勢部材66の付勢力によってハウジング61の外部へ押し出される。本変形例によれば、スイッチ部材68を押すだけで第1の爪部材64がハウジング61の内部に後退した状態に維持され、第1のホルダ6を凹部11の底面12に押し付けることで、この状態が自動的に解除されるため、第1のホルダ6の凹部11への取り付けがより容易となる。第1のホルダ6を取り外すときも、最初にスイッチ部材68を押すことで、第1の爪部材64がハウジング61の内部に後退した状態にロックされるため、取り外しが容易となる。なお、第1の爪部材64が後退した状態を維持し、その状態を解除可能な構成であれば、上述のピン部64d、段差部61c及び突起部67eを備えた構成に限定されず、あらゆる構成をとることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
図14(a)は第2の実施形態に係る巻取り装置103の斜視図を、図14(b)は第2のホルダ107の近傍の部分詳細図を示している。第1のホルダ6は第1の実施形態と同じ構成を有している。本実施形態では、第2のホルダ107は巻取り軸5に対して、巻取り軸5の長軸と平行な向きに移動可能に設けられている。第2のホルダ107と巻取り軸5との間にばね117が設けられ、第2のホルダ107を第1のホルダ6に向けて押すことで、巻取り装置103がY方向に縮むようにされている。第2のホルダ107は先端に突起107aが設けられているが、第1及び第2の爪部材64,65、第1及び第2の付勢部材66,67などは設けられていない。第2のホルダ107と係合する凹部11の底面12には突起107aが嵌合する小凹部111が設けられている。
【0042】
図15は本実施形態の巻取り装置103の取り付け手順を示す模式図で、図15(a),(b)は上視図、図15(c)、(d)は側方図である。以下の説明では、第1のホルダ6が保持される保持部10を第1の保持部10a、第2のホルダ107が保持される保持部10を第2の保持部10bという。巻取り装置103を取り付ける際は、まず図15(a)に示すように巻取り装置103をY方向に対して傾け、第2のホルダ107の突起107aを第2の保持部10bの小凹部11に挿入する。これと同時に、第1のホルダ6を図15(a),(b)に示すようにX方向前方に動かしながら、図15(c),(d)に示すように下降させ、かつ図15(a)の左側方からみて巻取り装置103を反時計回転させる。その後、上述の手順に従って第1のホルダ6を第1の保持部10aに取り付ける。第2のホルダ107が第2の保持部10bの凹部11に挿入された状態で回転するため、第2の保持部10bの凹部11は第2のホルダ107と干渉しない大きさに設定される。
【0043】
本実施形態では第2のホルダ107はそれ自体で保持部10に拘束されず、第1のホルダ6によって間接的に拘束される。このため第2のホルダ107は第2の保持部10bとの位置決めが可能な機構だけを備えていればよく、構造が簡略される。また、取り付けは第1の実施形態と同様片手での操作が可能であり、取り外しも第1のホルダ6のスイッチ部材68だけを操作すればいいため、片手での操作が可能である。
【0044】
また、巻取り装置103を車両に取り付けたときにばね117は一定量圧縮しているが、その状態からさらに圧縮可能な量をa、突起107aと小凹部111のY方向におけるラップ量をbとしたとき(図14(b)参照)、bをaより大きくするのが好ましい。こうすることによって、ばね117が最大量圧縮しても突起107aと小凹部11の係合が外れなくなる。ユーザーは巻取り装置103を第2のホルダ107側から無理に取り外すことをせず、第1のホルダ6側から取り外すことになるため、取り外し時の巻取り装置103へのダメージを抑制することができる。
【0045】
本実施形態では突起107aの断面形状は円形であるが、正方形、正六角形などの多角形であってもよい。突起107aの断面形状を長方形、楕円形など長軸と短軸を有する形状とすることで巻取り装置103を容易に正しい向きにセットすることができる。なお、突起107aは必須ではなく省略することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 巻取り構造
2 トノカバー装置
3,103 巻取り装置
4 カバー(トノカバー)
5 巻取り軸
6 第1のホルダ
7,107 第2のホルダ
8 ケーシング
10 保持部
10a 第1の保持部
10b 第2の保持部
11 凹部
11d 案内面
12 底面
13 第1の側面
14 第2の側面
15 第1の切欠き
16 第2の切欠き
61 ハウジング
63b 開口
64 第1の爪部材
65 第2の爪部材
66 第1の付勢部材
67 第2の付勢部材
67a ばね部材
67b 押圧部材(レバー部材)
67c 押圧部
68 スイッチ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15