IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エレスタ・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7043345音波によって対象物の位置を監視する装置
<>
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図1
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図2
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図3
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図4
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図5
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図6
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図7
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図8
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図9
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図10
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図11
  • 特許-音波によって対象物の位置を監視する装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】音波によって対象物の位置を監視する装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/521 20060101AFI20220322BHJP
   G01S 15/42 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
G01S7/521 B
G01S15/42
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018096091
(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2018200310
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】00700/17
(32)【優先日】2017-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】599022719
【氏名又は名称】エレスタ・ゲーエムベーハー・オストフィルダーン・(ディイー)・ツヴァイクニーダーラッスング・バド ラガーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー,ローマン
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067753(JP,A)
【文献】特開平05-019052(JP,A)
【文献】特開平08-211148(JP,A)
【文献】特開平06-050744(JP,A)
【文献】特開2010-210283(JP,A)
【文献】米国特許第05418758(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102014205042(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52- 7/64
G01S 15/00-15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波によって、センサ部分を用いて対象物の位置および音波発信器からの距離を監視するための装置であって、前記センサ部分は、
-少なくとも1つの音波発信器及び少なくとも2つの音波受信器、あるいは、少なくとも2つの音波発信器及び少なくとも1つの音波受信器と、
-計算ユニットであって、少なくとも1つの音波発信器および少なくとも1つの音波受信器に接続して、前記少なくとも1つの音波発信器および前記少なくとも1つの音波受信器を制御し、前記音波発信器が前記対象物の方向に発信する音波の反響に基づいて、前記センサ部分と前記対象物との間の前記距離を判定するように適合される計算ユニットと、
を備え、前記装置は、
記対象物上に配置され識別反射器には3次元のパターンが設けられ、
-前記センサ部分は複数の音波受信器および音波発信器の配列を有し、前記識別反射器を識別し、前記センサ部分と前記識別反射器との間の前記距離を測定するために、異なる音波発信器/音波受信器の組み合わせ間の複数の反響を評価することを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記計算ユニットは、異なる組み合わせの音波発信器/音波受信器の対を時系列で起動し、前記対応する反響を評価することを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、前記3次元のパターンは、異なる断面および/または高さを有し、互いに離間する複数の個別の幾何学的形体を備えることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記幾何学的形体は支持部の上に配置されることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の装置であって、前記幾何学的形体は、2つ、3つ、またはそれ以上の本体を備えることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の装置であって、前記1または複数の音波発信器および前記1または複数の音波受信器は、画定された構成にしたがって、互いに対して配置されることを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の装置であって、前記1または複数の音波発信器および前記1または複数の音波受信器は回路基板上に配置されることを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の装置であって、前記計算ユニットは、異なる組み合わせの発信器/受信器の対を時間的にずれた方法で起動することを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の装置であって、前記音波発信器/音波受信器の組み合わせの可能性がある数は、それぞれ5より大きく、好ましくは10より大きく、特に好ましくは20より大きいことを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の装置であって、前記音波受信器および前記音波発信器は、実質的に同一の平面内に配置されることを特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の装置であって、前記音波受信器および前記音波発信器は、異なる平面に配置されることを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の装置であって、前記センサ部分と前記対象物との間の前記距離は、0.5mmと100mの間、好ましくは1mmと50mの間、特に好ましくは10mmと10mとの間であることを特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の装置であって、前記識別反射器は音透過性であり、防水の筐体内に取り付けられることを特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の装置であって、前記対象物は、ドア、保護カバー、可動セキュリティフェンス、自動運転/遠隔制御対象物、または同等物などの類似する可動部分であることを特徴とする、装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の装置であって、前記計算ユニットは、位相偏位した時系列で前記音波発信器を起動するように適合されることを特徴とする、装置。
【請求項16】
対象物の場所を音波によって監視するための方法であって、音波発信器は音波を発信し、音波受信器は前記対象物によって反射される前記音波を検出し、少なくともンサ部分と前記対象物との間の距離を反響に基づいて測定する方法であって、前記センサ部分は、少なくとも1つの前記音波発信器と少なくとも2つの前記音波受信器を備えるか、または、少なくとも2つの前記音波発信器と少なくとも1つの前記音波受信器を備え、
-識別反射器は、監視対象の前記対象物上に配置され、
-前記識別反射器を識別し、前記音波発信器と前記識別反射器との間の前記距離を測定するために、異なる発信器/受信器の対の間の複数の反響を評価することを特徴とする、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記識別反射器として、2つ以上の個別の幾何学的形体を有する3次元のパターンを使用することを特徴とする、方法。
【請求項18】
請求項1または請求項1に記載の方法であって、前記音波発信器および/または前記音波受信器は、互いに対して画定した構成で配置され、異なる音波発信器/音波受信器の組み合わせの反響は記憶されることを特徴とする、方法。
【請求項19】
請求項1から請求項1のいずれかに記載の方法であって、異なる音波発信器/音波受信器の組み合わせの前記反響は時系列に評価されることを特徴とする、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、記複数の異なる音波発信器/音波受信器の組み合わせの響に基づいて、前記3次元の識別反射器のパターンを再構築することを特徴とする、装置。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載の方法であって、前記識別反射器の前記再構築されたパターンは1または複数の記憶された参照パターンと比較されることを特徴とする、方法。
【請求項22】
請求項19から請求項21のいずれかに記載の方法であって、前記識別反射器の前記再構築されたパターンと前記1または複数の記憶された参照パターンの差が検出される場合、警告が起動されるか、または前記センサ部分の出力が切り替えられることを特徴とする、方法。
【請求項23】
請求項16から請求項22のいずれかに記載の方法であって、雑音抑圧を実施するために、前記発信された音波は追加の信号で調節されることを特徴とする、方法。
【請求項24】
請求項16から請求項23のいずれかに記載の方法であって、識別反射器が明白に検出される場合、空の素材平積み引き出しの検出または安全な(規格化した)技術製造手順内での自動素材供給の自動素材供給の識別などの手順が検証/実施される、方法。
【請求項25】
前記識別反射器と前記センサとの間にある「保護区域」内の対象または人物を検出するために、請求項1から請求項13のいずれかに記載の前記装置の使用。
【請求項26】
自動操作技術設備を保護するためにセーフティドアのドア接触スイッチとして、請求項1から請求項15のいずれかに記載の前記装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による音波によって対象物の位置を監視する装置に関し、請求項1による方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ自動化の分野において、非接触形式で監視する必要があるドアの位置、またはその他の可動部分の位置は、磁気または無線経路スイッチによって監視されることが多い。光学システムを用いてもよい。
【0003】
音波に基づくシステム、具体的には、超音波技術を用いるシステムは、幅広い適用範囲で有効に用いられている。距離計測、位置決め装置、診察用装置、または溶接線走査設備に幅広い帯域が用いられている。
【0004】
本発明は、より具体的には、指紋を走査および識別する分野、または金属加工産業において溶接線を検出する分野に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、したがって、対象物の場所または位置を音波によって監視するための装置を提供することである。本装置は、強力な電磁気干渉のある環境であっても、または埃っぽく汚れた産業環境であっても確実に動作する。別の目的は、費用対効果の高い方法で製造可能な装置を提示することである。
【0006】
本発明によれば、前述の目的は請求項1および請求項1の特徴によって実現される。有利な実施形態を従属請求項で画定する。
【0007】
本発明は、センサ部分を用いて対象物の位置および音波発信器からの距離を音波によって監視する装置に関する。センサ部分は対象物から離れて配置される。本装置は、
-少なくとも1つの音波発信器と、
-少なくとも1つの音波受信器と、
-計算ユニットであって、少なくとも1つの音波発信器および少なくとも1つの音波受信器に接続して、少なくとも1つの音波発信器および少なくとも1つの音波受信器を制御し、音波発信器が対象物の方向に発信する音波の反響に基づいて、センサ部分と対象物との間の距離を判定するように適合される計算ユニットとを含む。
【0008】
本発明によれば、装置は、センサ部分から離間し、対象物上に配置されてもよい識別反射器に3次元のパターンが設けられことを特徴とする。
-センサ部分は複数の音波受信器および音波発信器の配列を有し、識別反射器を識別し、センサ部分と識別反射器との間の距離を測定するために、異なる音波発信器/音波受信器の組み合わせ間の複数の反響を評価することを特徴とする。
【0009】
本発明の装置は、識別反射器を用いることによって、干渉影響が排除されるため、間違った計測を事実上回避することができるという顕著な有利点を有する。識別反射器は、個々のキーのように動作する。識別パターンが認識されると、測定結果は有効である。具体的にはm個の数の音波発信器およびn個の数の音波受信器を用いる事例では、m×nの組み合わせの音波発信器/受信器の対が画定され、m×nの測定値が得られる。異なる音波発信器/受信器の対の反響は、異なる期間の後に、移動経路にしたがって音波受信器によって音波の起動後に記録される。この情報から、識別反射器のパターンが計算上再構築されてもよく、計算ユニットに記憶されたパターンと比較されてもよい。記録された偏差が一定の閾値以下である場合、識別反射器と監視装置の間には何の対象物もない。
【0010】
複数の音波受信器および音波発信器からなる配列は、本発明の範囲内で、1つの音波発信器と複数の音波受信器、または1つの音波受信器と複数の音波発信器を備えていてもよい。ただし、配列は、複数の音波受信器と、さらに多い数の音波発信器から形成される。音波発信器の数は、具体的には音波受信器の数の2倍から20倍となる。ただし、別の実施形態によれば、音波発信器の数および音波受信器は少なくとも50であり、好ましくは100を超え、特に好ましくは200を超え、音波発信器の音波受信器に対する割合は、30:1から1:30の間であり、好ましくは10:1から1:10の間であり、最も好ましくは5:1から1:5の間である。
【0011】
識別反射器は、有利には、3次元のパターンまたはレリーフを有する。3次元のパターンを有する識別反射器は、費用効果の高い方法で製造され、間違った計測を防ぐことができる。識別反射器は、好ましくは異なる3次元のパターンをそれぞれ備えるため、3Dプリンタによる製造が特に好ましい。
【0012】
計算ユニットは、異なる組み合わせの音波発信器/音波受信器の対を時系列で起動し、対応する反響を評価するように適合される。異なる音波発信器/音波受信器の対の反響は異なる瞬間に記録されるため、識別反射器のパターンは再構築されてもよい。
【0013】
3次元のパターンは、有利には、異なる断面および/または高さを有し、互いに離間する複数の個別の幾何学的形体を備える。このようなパターンは、音波発信器および/または音波受信器の配列を識別パターンと組み合わせて用いる場合、非常に確実に認識されてもよい。
【0014】
有利には、幾何学的形体は支持部、または地面の上に配置され、好ましくは少なくとも2つ、3つ、またはそれ以上の平行六面体形状の本体を備える。これらの平行六面体形は互いに離間して配置される。ただし、幾何学的形体の数は、好ましくは少なくとも4つであり、好ましくは6以上である。
【0015】
1または複数の音波発信器および1または複数の音波受信器は、好ましくは、画定された構成にしたがって、互いに対して配置される。音波発信器および音波受信器は、有利には行列にしたがって配置され、その中心に音波発信器は配置され、音波受信器は発信器周囲に集められる。ただし、反対の構成も可能であり、音波受信器が中心に配置され、音波発信器が音波発信器の回りに配置される。音波発信器および音波受信器は、好ましくは、共通の回路基板上に配置される。
【0016】
計算ユニットは好ましくは、異なる組み合わせの発信器/受信器の対を時間的にずれた方法で起動するように適合される。
【0017】
好ましい実施形態によれば、音波発信器/音波受信器の組み合わせの可能性がある数は、それぞれ5より大きく、好ましくは8より大きく、特に好ましくは12より大きい。音波発信器/音波受信器の組み合わせの数が増えるほど、監視装置の分解能が高くなる。
【0018】
基本的に、音波受信器および音波発信器は、実質的に同一の平面または異なる平面内に配置されてもよい。異なる平面内に配置される場合は、たとえば、音波受信器は、識別反射器の方向に見て音波発信器の裏側に配置されてもよい。
【0019】
有利には、センサ部分と対象物との間の距離は、0.5mmと100mの間、好ましくは1mmと50mの間、さらに特に好ましくは10mmと10mとの間である。このように、監視装置の種類と大きさによって、短距離から長距離まで監視されてもよい。
【0020】
識別反射器は、有利には、防音、防水の筐体内に取り付けられる。これは、産業環境内で用いられるため、有利である。
【0021】
監視対象の対象物は、具体的にはドア、保護カバー、可動セキュリティフェンス、自動運転/遠隔制御対象物などの可動部分である。
【0022】
好ましい実施形態では、計算ユニットは、単意に反射された音波を一定の発信器に関連付けるため、時系列に音波発信器を起動するように適合される。本装置は、したがって、識別反射器によって反射される音波が記録されるときにのみ、次の発信器が起動されるように動作する。ただし、第1の発信器の反射された音波が記録される前に、次の第2の発信器がすでに起動されていることも十分考えられる。ただし、識別反射器の最小距離のため、記録した音波がその前の発信器からまだ発信されていることを確認しなければならない。
【0023】
本発明の目的は、また、対象物の配向または位置を音波によって監視する方法を提供することである。本方法では、音波発信器は音波を発信し、音波受信器は対象物によって反射される音波を検出して、たとえば、反響に基づいて、対象物の存在または不存在を類推し、および/またはセンサ部分と対象物との間の距離を計測する。
【0024】
本発明の方法は、識別反射器が、監視対象の対象物上に配置されることを特徴とする。本方法は、以下を備える。
-識別反射器を識別し、音波発信器と識別反射器との間の距離を測定するために、異なる発信器/受信器の対の間の複数の反響を評価することを特徴とする。本方法は、一方では、反射器が複数の可能性のある組み合わせからなるという有利点を有し、他方では、識別反射器は正確に決定した反響パターンを反射するため、正確に識別できるという有利点を有する。
【0025】
本方法のさらに有利な点は、無線経路検出または光学システムとは反対に、本方法は、たとえば、溶接ロボットによって、または外部光源からの影響の場合など強力な電磁気干渉のある場所でも問題なく動作可能な点である。本方法は、電磁気放射および外部光の影響を受けないからである。音透過性、防水および防塵筐体のために、一方では、一定の汚染度まで動作し、他方では、閉鎖面を容易に洗浄できるため、本方法はまた、埃っぽくおよび非常に汚染された産業環境で使用してもよい。
【0026】
本方法の好ましい実施形態では、識別反射器は2つ以上の個別の幾何学的形体を有する3次元のパターンを有する。これは、干渉および騒音が基本的に排除できるため、有利である。
【0027】
音波発信器および音波受信器は、有利には、互いに対して画定した構成で配置され、異なる音波発信器/音波受信器の組み合わせの反響は記憶される。このようにして、識別反射器を特定可能なだめ、有利である。
【0028】
音波発信器が圧電気効果によって動作することも考えられる。また音波発信器が超音波を受発信することも考えられる。本事例では、各音波発信器は、調整可能な移送器によって、単一のラジエータのための信号をわずかに遅延させることによってこのように制御される。音波ビームを重ねることによって、放射方向が電気的に配向される加音信号が形成される。1行ごとの走査によって、3次元の画像がこのように計算されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の代表的な実施形態をここで、さらに詳細に以下の図を参照して説明する。
【0030】
図1】対象物の位置をセンサ部分および識別反射器で監視する装置を用いる本発明の代表的な実施形態を概略的に示す。
図2】制御部分、音波受信器の配列および単一の音波発信器を用いる図1のセンサ部分の第1の代表的な実施形態を概略的に示す。
図3】制御部分、音波発信器の配列および単一の音波受信器を用いる図1のセンサ部分の第1の代表的な実施形態を概略的に示す。
図4】筐体を省いた図1の3つの音波受信器および37の音波発信器の円形の配列を備える第3の代表的な実施形態を概略的に示す。
図5】1つの音波受信器および36の音波発信器の六角形の配列を備える第4の代表的な実施形態を概略的に示す。
図6】それぞれ同数の音波受信器および音波発信器の配列を備える第5の代表的な実施形態を概略的に示し、音波発信器および音波受信器はそれぞれ、平面および互い違いに連続して配置される。
図7図1の識別反射器の代表的な実施形態を筐体を省いて概略的に示す。
図8図7の識別反射器を、分かりやすくするために部分的に筐体を切断して示す。
図9】位相配列技術を説明するために、4つの音波発信器が1行ごとに構成され、1つの簡潔な識別反射器が発信器配列から離間して設けられる本発明の説明的な例を示す。
図10図9の実施例の音波の最短経路を示す。
図11】識別反射器に反射される反響に基づいた、本発明の評価方法を例示的に示す。
図12】1つの発信部および2つの音波受信器を用いて、両開きのドアを監視する本発明の装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、対象物の場所または位置を音波によって監視するための本発明の装置11の実施例を概略的に示す。装置11は、計算ユニット13と、音波発信器17および音波受信器19の配列15とを備える。計算ユニット13は個々の音波発信器17および音波受信器19に接続し、個々の音波発信器17および音波受信器19を選択的に制御し、音波受信器19によって録音される信号を評価してもよい。計算ユニット13は出力部21を備え、出力部21を通じて、警告などの信号を出力してもよい。本発明の装置11はまた、識別反射器23を備える。識別反射器23は、センサ部分13から離間し、かつ好ましくは監視対象の対象物25上に配置される(図7参照)。操作中に、音波発信器17は音波27を発信する。音波27は部分的に識別反射器23によって反射され、音波受信器19によって記録される。
【0032】
音波27の移動時間に基づき、所与の媒体と対応する時間分解能を用いて、発信器17と識別反射器25との間の距離を正確に算出することができる。センサ部分23と識別反射器23との間の距離が変化する場合、出力部21から信号が出力されてもよい。
【0033】
図2から6に例示的に示すように、音波発信器と音波受信器との割合、および互いの幾何学的配置は異なっていてもよい。ただし、本発明の装置の分解能が高く、かつ正確であるほど、使用する音波発信器および音波受信器の数は増加する。
【0034】
図2の実施例は、単一の音波発信器17のみと、複数の音波受信器19が用いられることを特徴とする。本実施例で図示する音波発信器17および音波受信器19は、行列にしたがって配置され、唯一の発信器17が5×5行列配列の中心に配置される。
【0035】
図3の代表的な実施形態は、単一の音波受信器19および複数の音波発信器17が配置される点で、図2の実施形態とは異なる。受信器19は配列の中心にあり、音波発信器17は受信器19の周囲に集められる。
【0036】
図4の実施例では、音波発信器17および音波受信器19は中心の音波発信器S20の回りの3つの円上に配置される。真ん中の円上の3つの音波受信器R1からR3は想像上の正三角形の頂点を形成する。複数の音波発信器は円形に構成される。
【0037】
図5の実施例では、音波発信器S1からS37は六角形に配置され、六角形の中心に音波受信器R1は配置される。
【0038】
図6の実施例では、使用する音波発信器の数および使用する音波受信器の数は同じである。音波発信器S1からS27は第1の場所27に配置され、音波受信器R1からR27は、音波発信器の後ろの第2の場所29に配置される。ただし、音波発信器と音波受信器が、同一の場所に交互に隣接して配置されることも考えられる。
【0039】
図7では、識別反射器23を詳細に図示する。識別反射器23は支持部31を有する。支持部31上には、複数の幾何学的本体または形体33は、互いに離間して配置される。少なくとも個々の幾何学的形体33は、異なる高さおよび好ましくは異なる断面を有する。図示する好ましい実施例では、幾何学的形体は平行六面体であり、支持部31上に配置される。識別反射器23は、筐体35を備えていてもよい。筐体35は、少なくとも部分的に音波を通す(図8)。これによって、本発明の装置を、洗浄する必要がある汚染された環境または設置場所でも用いることができる。
【0040】
図9は、測定概念の説明として、4つの音波発信器U1からU4の配列および、音波発信器から離間される1つの識別反射器23を示す。識別反射器23は、平坦な反射器部分37と、反射器部分の左側に配置される平行六面体39によって形成される。平行六面体39は、反射器部分37を超えて、音波発信器U1からU4の方向に突出する。音波発信器U1からU4は、期間tseq後に時系列に起動され、音波40を発信する。図10に示すように、d1は発信器U1と平行六面体の前方正面41との間の最短距離であり、d2は発信器U2と平行六面体の前方正面41との間の最短距離であり、d3またはd4は、発信器U3およびU4と反射器部分37との間のそれぞれの最短距離である。
【0041】
当業者は、異なる音波発信器と音波受信器の異なる対の間で、時間的に連続した対応する反響計測を多く用いることで、識別反射器の空間的構造が決定されてもよく、それによって、一定の反射器部分に対する固有の関連が可能となると認識するであろう。可能性のある別の干渉音に関して画定するために、音波を追加して調節することも考案される。
【0042】
図11では簡潔な実施例を示す。単一の発信器から発信される音波の経路は、反射器部分のどの形体33が音波27を反射したかによって、互いに異なる。このように、音波発信器17までの距離は、位置座標(X1、Y1)を有する1番の形体からは5cmであり、位置座標(X2、Y1)を有する2番の形体からは4cmであり、位置座標(X1、Y2)を有する3番の形体からは3cmであり、位置座標(X2、Y2)有する4番の形体からは2cmである。以下の表1に、音波発信器17と識別反射器23との間の様々な距離を要約する。
【0043】
【表1】
【0044】
反対に、右上部に示す識別反射器23aまでの距離は、以下の通りである。
【0045】
【表2】
【0046】
右下部に示す識別反射器23bまでの対応距離は以下の通りである。
【0047】
【表3】
【0048】
測定距離は、右側に図示する中心の識別反射器23のみに対応し、識別反射器23のパターンは計算ユニットのメモリに記憶されるので、識別反射器23は、単意で識別可能である。
【0049】
図12は、本発明の装置を、対象物25を監視するために用いる方法を示す。本事例では、対象物25は、旋回軸45a、45bの回りを回転してもよい2つのとびら43a、43bからなる両開きのドアである。本事例では、センサ部分11は、2つの音波受信器23と共に、両開きのドアの2つのとびら43a、43bのための監視装置を形成する。とびらの開放位置は図12の破線で示す。
【0050】
本発明の方法は、図2から図6に示す音波発信器および音波受信器のいずれの配列で実装してもよい。音波発信器と音波受信器の数およびその互いの距離は、一定の識別反射器およびセンサ部分と識別反射器との間の距離と組み合わせて、識別反射器の単意の識別のために必要な分解能を得るために十分であることにのみ留意されたい。
【0051】
結論として、複数の異なる音波発信器/音波受信器の組み合わせの反響に基づいて、3次元の識別反射器は再構築される。
【符号の説明】
【0052】
11 装置
13 センサ部分
15 音波発信器/音波受信器の配列
17 音波発信器
19 音波受信器
21 出力
23 識別反射器
25 監視対象の対象物
27 第1の位置
29 第2の位置
31 支持
33 形体
35 識別反射器の筐体
37 平坦な反射器部分
39 平行六面体
40 音波
41 平行六面体39の前方正面
43a、43b とびら
45a、45b 旋回軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12