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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
E04H6/42 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018226148
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020084743
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-094434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0139761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車が乗り込み可能な乗降室と、前記乗降室にあって前記電気自動車の進入方向に配置される充電用トレーと、前記充電用トレーに設けられ充電用プラグ接続部を備える充電用接続器と、前記充電用トレー上に搭載した前記電気自動車の給電端子を充電用ケーブルを介して前記充電用プラグ接続部に接続した状態で充電スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、
前記充電用接続器は、立上げたときに上側となる位置に前記充電用プラグ接続部が取り付けられる可倒式の支柱を備え
前記充電用接続器に対応する位置に前記支柱の立上げおよび収納を行う駆動装置を設けるとともに、前記駆動装置を操作する駆動装置操作ボタンを前記乗降室に設けたことを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
操作盤により駐車しながらバッテリーの充電を行う利用であることが選択されたことに応じ、駐車装置を統括制御する制御装置は、前記電気自動車が前記充電用トレー上の駐車領域に搭載されたときに前記支柱を立上げることを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記支柱の周囲の障害物を検出する障害物検出器を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記障害物検出器は、前記支柱の立上げおよび収納を検出することを特徴とする請求項に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、筐体と、前記筐体に支持されるモーターと、一端が前記筐体に取り付けられ、前記モーターにより駆動されるアームと、前記アームの他端に取り付けられ、前記支柱側に設けられる係合部と係合可能なローラーとを有し、前記乗降室の床下に配置されることを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、前記支柱の軸部の下方に配置されることを特徴とする請求項に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、前記支柱の軸部の側方に配置されることを特徴とする請求項に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行う機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置にあっては、駐車車両である電気自動車を搭載する充電用トレーを充電スペースに収納した駐車状態で、電気自動車のバッテリーの充電を行うものが知られており、このような機械式駐車装置では、充電用トレーに充電用プラグ接続部を構成している。一方、この充電用トレーを移動させて格納することになる充電スペースには電源側の給電端子を配置しており、トレー上に電気自動車を搭載した状態で、運転手等の利用者がバッテリーに接続されている給電プラグを充電用プラグ接続部に接続する作業を行い、その後、充電スペースへと移動されてきた充電用トレーの停止位置で、前述した充電用プラグ接続部と電源側の給電端子間を電気的に接続して充電回路を形成するように構成している。
【0003】
そして、従来、電気自動車のバッテリーに接続した給電プラグを充電用トレー上に設けた充電用プラグ接続部に接続する作業を行いやすくするものとして、「トレーに立設した支柱の上部に、斜め下方を向いて差し込み口を有した充電用プラグ接続部を取り付け、充電用プラグ接続部よりも下方に位置する部分の支柱に接続ケーブルの触れ止めを行う保持手段を設けた」、ものが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-177756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されるものでは、充電用プラグ接続部が設けられる支柱は、トレーに立設した状態で固定されていることから、駐車車両の移動時に衝突し、駐車車両や支柱が破損する虞があった。また、電気自動車にあっては、給電端子が車両の前側に設けられていたり、後ろ側に設けられているものがある。このような実状に対応するため、トレーの前側および後側に可倒式の支柱を設けることが考えられるが、このような構成とした場合、支柱の立上げや収納のために屈んで作業することが求められ、作業性の観点から課題があるとともに、例えば、車いす利用者の場合、作業が困難であるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行うものにあって、作業性の向上を図ることのできる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る機械式駐車装置は、電気自動車が乗り込み可能な乗降室と、前記乗降室にあって前記電気自動車の進入方向に配置される充電用トレーと、前記充電用トレーに設けられ充電用プラグ接続部を備える充電用接続器と、駐車装置を統括制御する制御装置とを有し、前記充電用トレー上に搭載した前記電気自動車の給電端子を充電用ケーブルを介して前記充電用プラグ接続部に接続した状態で充電スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、前記充電用接続器は、立上げたときに上側となる位置に前記充電用プラグ接続部が取り付けられる可倒式の支柱を備えるとともに、前記支柱の立上げおよび収納を行う駆動装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の機械式駐車装置によれば、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行うものにあって、作業性の向上を図ることができる。なお、前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す縦断面図である。
図2】第1の実施形態による機械式駐車装置の充電用トレーおよび乗降室の平面図である。
図3】第1の実施形態による充電用トレーおよび乗降室の縦断面図である。
図4】第1の実施形態による駆動装置の側面図である。
図5】第1の実施形態による駆動装置操作ボタンの正面図である。
図6】第1の実施形態による駐車車両を入庫するときの手順を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態による支柱を立上げるときの動作を示す説明図である。
図8】第1の実施形態による駐車車両を出庫するときの手順を示すフローチャートである。
図9】第1の実施形態による支柱を収納するときの動作を示す説明図である。
図10】本発明の第2の実施形態による機械式駐車装置の操作盤を示す正面図である。
図11】第2の実施形態による操作盤の要部拡大図である。
図12】第2の実施形態による駐車車両を入庫するときの手順を示すフローチャートである。
図13】本発明の第3の実施形態による機械式駐車装置の駆動装置を示す平面図である。
図14】第3の実施形態による駆動装置の側面図である。
図15】第3の実施形態による支柱を立上げるときの動作を示す説明図である。
図16】第3の実施形態による支柱を収納するときの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一または類似の構成には同じ符号を付して繰り返しの説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す縦断面図である。
【0012】
機械式駐車装置は、充電用トレー1と、昇降室2と、出入口扉3と、昇降装置4とを有している。
機械式駐車装置の出入口には、操作盤や出入口扉3などが設けられており、充電用トレー1や一般車両用トレーが昇降室2に準備される。充電用トレー1が準備されると昇降室2の出入口扉3が開放される。そこで、運転手は電気自動車を運転して昇降室2内に入り、充電用トレー1上に電気自動車を乗り込ませる。
その後、運転手が電気自動車から降りて昇降室2の出入口扉3を閉じる操作を行うと、出入口扉3が閉じられ、昇降装置4が作動して充電用トレー1を所定の格納階へと移動する。次いで、昇降装置4から電気自動車を搭載した充電用トレー1を降ろし、後述する駆動装置によって充電用トレー1を所定の格納エリアへと移動する。この格納エリアとしては、充電用トレー1に搭載された電気自動車を駐車中にバッテリーを充電する充電スペースと、充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペースとを有している。
昇降装置4は、複数本のガイドレール5と、このガイドレール5に沿って移動可能な昇降台6と、昇降台6を駆動する駆動装置7などを有する一般的な構成であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0013】
図2は、第1の実施形態による機械式駐車装置の充電用トレーおよび乗降室の平面図、図3は、第1の実施形態による充電用トレーおよび乗降室の縦断面図である。
【0014】
機械式駐車場装置は、出入口8と、操作盤9と、充電用接続器10と、駆動装置11と、駆動装置操作ボタン12と、障害物検出器13と、車両はみ出し検出器14とを有している。
【0015】
充電用トレー1は、平板状の長方形に形成され、電気自動車である駐車車両Aは、入庫時に充電用トレー1上に前進して乗り込む。また、充電用トレー1の底部には、充電スペースや保管の床側に設けられる案内用レールフレームに沿って走行移動するローラー15が設けられている。
【0016】
乗降室2は、建屋における駐車車両Aが出入りする階床に設けられ、駐車車両Aを格納する格納階床と昇降装置4によって連絡されている。なお、乗降室2の床と充電用トレー1との間の隙間、および乗降室2の床面と充電用トレー1の上面との段差は、所定寸法以下に設定され、バリアフリーの基準を満たしたものとなっている。
【0017】
出入口8は、乗降室2の一面に形成される開口であり、駐車車両Aが乗降室2内に入庫したり、乗降室2内から出庫するためのものであり、この出入口8に、開閉可能な出入口扉3が設置されている。
【0018】
操作盤9は、係員または駐車車両Aの運転手等により操作されるものである。
【0019】
充電用接続器10は、充電用トレー1にあって、駐車車両Aの進入方向に対して前側側方および後側側方に配置されており、例えば、駐車車両Aに付属される充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグが接続可能な充電用プラグ接続部16と、起立させたときに上側となる位置に充電用プラグ接続部16が設けられる可倒式の支柱17とを有している。なお、充電用トレー1には、支柱17を折りたたんだときに支柱17を収納可能な収納部が設けられており、この収納部は、充電用トレー1の上面より下方に形成され、支柱17を折りたたんだときに、支柱17が充電用トレー1の上面から出張らないようになっている。また、支柱17には、収納部の上面を覆うカバーが備えられており、カバーは、支柱17の長手方向に沿うように支柱17の一方の側面に取り付けられており、支柱17を折りたたんだ状態で収納部の上面を覆い、充電用トレー1の上面と略同一面となって充電用トレー1をフラットにする。
【0020】
駆動装置11は、詳細は後述するが、乗降室2の床下に配置されるモーターやアーム等で構成され、充電用トレー1が乗降室2に位置した状態で、駆動装置操作ボタン12が操作されると、支柱17を立上げたり、収納したりするものである。
【0021】
駆動装置操作ボタン12は、充電用接続器10近傍の乗降室2壁面に配置され、駆動装置11を操作するためのものである。すなわち、充電用トレー1の前側側方に設けられる充電用接続器10を操作するための前側用の駆動装置操作ボタン12と、充電用トレー1の後側側方に設けられる充電用接続器10を操作するための後側用の駆動装置操作ボタン12との2つが設けられている。そして、係員または駐車車両Aの運転手等は、駆動装置操作ボタン12を操作し、駆動装置11により支柱17を立上げたり、収納したりする。
【0022】
障害物検出器13は、例えば、乗降室2の左右の側壁にあって、支柱17と対向する位置に設置されるレザーセンサーからなっており、支柱17の周囲の障害物を検出するものである。なお、この障害物検出器13により支柱17が立上っているか、収納状態にあるかも検出するようになっている。
【0023】
車両はみ出し検出器14は、例えば、乗降室2の左右の側壁および奥側壁に設置されるレザーセンサーからなっており、駐車車両Aが駐車領域からはみ出しているかどうかを検出するものである。
【0024】
図4は、第1の実施形態による駆動装置の側面図である。
【0025】
駆動装置11は、筐体20と、筐体20に支持されるモーター21と、一端が筐体20の横側に取り付けられ、モーター21により駆動されるアーム22と、アーム22の他端に取り付けられ、支柱17側に設けられる係合部24と係合可能なローラー23とを有して構成され、乗降室2の床下にあって、支柱17の軸部17aの下方に配置されている。また、係合部24は、略L字状の形状を有するとともに、支柱17の軸部17aに取り付けられ、駆動装置11のアーム22の回動に応じてローラー23と係合する。
【0026】
図5は、第1の実施形態による駆動装置操作ボタンの正面図である。
【0027】
駆動装置操作ボタン12は、前述したように充電用接続器10近傍の乗降室2壁面に配置され、支柱17を立上げるときに操作される開ボタン12aと、支柱17を収納するときに操作される閉ボタン12bとを有している。
【0028】
また、詳細な図示は省略しているが、電気自動車の給電端子に他端を接続する充電用ケーブルと、建屋における電源との間には、少なくとも2箇所の電気的な接続部を構成している。その一つは、充電用ケーブルと充電用プラグ接続部16間の電気的な接続部であり、充電用トレー1上に駐車車両Aを搭載した際に運転手等の作業者によって接続作業が行われるものである。他の1つは、充電用トレー1のトレー側接触子と、充電用トレー1を移動して充電スペースへ格納したときトレー側接触子に対応する位置の充電スペース側に設けられた固定側接触子とによって形成した電気的な接触部である。
充電用プラグ接続部16を使用した前者の電気的な接続部を完成させた後、充電用トレー1を移動して充電スペースへ格納すると、充電用トレー1の位置によって機械的にトレー側接触子と固定側接触子との接触が完成し、電気自動車のバッテリーが建屋の電源に接続されたことになる。
【0029】
次に、電気自動車の駐車車両Aを駐車しながらそのバッテリーの充電を行う手順について説明する。
【0030】
図6は、第1の実施形態による駐車車両を入庫するときの手順を示すフローチャート、図7は、第1の実施形態による支柱を立上げるときの動作を示す説明図、図8は、第1の実施形態による駐車車両を出庫するときの手順を示すフローチャート、図9は、第1の実施形態による支柱を収納するときの動作を示す説明図である。
電気自動車の駐車車両Aを駐車しながらそのバッテリーの充電を行う場合、駐車車両Aの運転手は、手順S1に示すように、駐車車両Aを前進させ、充電用トレー1上に搭載する。このとき、車両はみ出し検出器14は、手順S2として、駐車車両Aが駐車領域からはみ出しているかどうかを検出する。はみ出した場合は、手順S3として、モニターやスピーカーから成る案内装置により修正指示を出し、これに応じて運転手は駐車車両Aの位置を調整して、駐車領域内に収める。
【0031】
この後、駐車車両Aの運転手は車外に出て、例えば、給電端子が駐車車両Aの前方にある車種の場合、手順S4として、乗降室2奥の駆動装置操作ボタン12を操作する。このとき、乗降室2奥の駆動装置操作ボタン12を操作するか、乗降室2手前の駆動装置操作ボタン12を操作するかは、給電端子が駐車車両Aのどの位置にあるかによる。奥の駆動装置操作ボタン12が操作されると、手順S5に示すように、前側の障害物検出器13からレザーを照射し、支柱17の周囲の状態を検出する。このとき、手順S6として、支柱17の立上げを邪魔する何らかの障害物を検出すると、手順S7に示すように、案内装置により周囲安全確認指示を出し、これに応じて運転手は障害物を取り除き、再び手順S4として、駆動装置操作ボタン12を操作する。
【0032】
この度は、手順S6で支柱17の立上げを邪魔する何らかの障害物は検出されず、これに応じて手順S8に示すように、駆動装置11は、充電用トレー1の前側に設けられる充電用接続器10の支柱17を立上げる。すなわち、駆動装置11は、モーター21を駆動し、図7の(a)に示すように、待機位置にあるアーム22を図中時計回りに回動し、図7の(b)に示すように、アーム22の先端に取り付けられるローラー23を略L字状の係合部24の一方の辺に当接させ、この状態でさらにアーム22を図中時計回りに回動することで、図7の(c)に示すように、支柱17を軸部17aを介して回動させ、支柱17を立上げて充電可能状態とする。
【0033】
このように充電用接続器10の支柱17を立上げると、制御装置は、手順S9として、手順障害物検出器13を介して支柱17が立上がったかどうかを判断する。立上がりが完了すると、手順S10に示すように、案内装置により充電用接続器10の使用方法や充電に係る注意事項を案内する。
【0034】
次いで、駐車車両Aの運転手は、手順S11として、充電に係る案内を見聞きしながら、駐車車両Aに搭載される図示しない充電用ケーブルを取り出し、充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグを充電用プラグ接続部16に接続するとともに、接続ケーブルの他端に設けられる車側プラグを駐車車両Aの給電端子に接続する。
【0035】
運転手は、充電用ケーブルの接続を完了した後、手順S12に示すように、操作盤9を操作して充電用トレー1を所定位置に格納するための操作を行う。すると、機械式駐車装置が作動して、この充電用トレー1を特定の充電スペースへと移動させる。そして、充電用トレー1が充電スペースまで移動すると、トレー側接触子が対を成す固定側接触子に接触する。このトレー側接触子と固定側接触子との接触部は、充電スペースへと移動されてくる前に既に完成されていた充電用プラグ接続部16と接続器側プラグとの接触部に対して直列に接続されて、建屋の電源に接続されたことになり充電回路が形成される。従って、充電スペースに充電用トレー1が格納されると、電気自動車は駐車されながらバッテリーの充電状態となる。なお、給電端子が駐車車両Aの後方にある車種の場合については説明が重複するため省略する。
【0036】
出庫時、駐車車両Aの運転手は操作盤9を操作し、図8の手順S21に示すように、充電用トレー1を呼び出す。充電用トレー1が乗降室2に呼び出されると、出入口扉3が開き、運転手は乗降室2に入室するとともに、手順S22として、案内装置により支柱17を収納方法や、取り外した接続ケーブルを忘れずに車両に収めることを促す案内を行う。運転手は、収納に係る案内を見聞きしながら、充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグを充電用プラグ接続部16から取り外すとともに、接続ケーブルの他端に設けられる車側プラグを駐車車両Aの給電端子から取り外し、接続ケーブルを収納する。次いで、手順S23として、乗降室2奥の駆動装置操作ボタン12を操作する。
【0037】
これに応じて手順S24に示すように、駆動装置11により充電用トレー1の前側に設けられる充電用接続器10の支柱17を収納するとともに、前側の障害物検出器13からレザーを照射し、支柱17の状態を検出する。すなわち、駆動装置11は、モーター21を駆動し、図9の(a)に示すように、アーム22を図中反時計回りに回動し、アーム22の先端に取り付けられるローラー23を略L字状の係合部24の他方の辺に当接させ、この状態でさらにアーム22回動することで、図9の(b)に示すように、支柱17を軸部17aを介して回動させ、支柱17を押し倒して収納状態とする。この後、アーム22はさらに回動し、図9の(c)に示すように、待機位置に復帰する。このとき、障害物検出器13により支柱17の状態が監視されている。そして、手順S25で、支柱17の収納完了が確認されると、手順S26として、案内装置により出庫案内が行われ、運転手は駐車車両Aに乗り込み、手順S27に示すように、駐車車両Aを後退させて充電用トレー1上から退いて出庫する。
【0038】
一方、引っ掛かりや駆動装置11の不都合等、何らかの要因で支柱17を押し倒すことができず、手順S25で、支柱17の収納完了が確認されないと、手順S28として、案内装置により状況確認することを促す案内が行われる。運転手は、状況を確認し、一過性の不都合である場合は、要因を取り除き、再び手順S23で、駆動装置操作ボタン12を操作する。または、状況を確認した結果、一過性不都合ではなく、機器の故障等の場合、駐車装置の管理者に通報する。
【0039】
以上説明したように本発明の機械式駐車装置によれば、電気自動車が乗り込み可能な乗降室2と、乗降室2にあって電気自動車の進入方向に配置される充電用トレー1と、充電用トレー1に設けられ充電用プラグ接続部16を備える充電用接続器10と、駐車装置を統括制御する制御装置とを有し、充電用トレー1上に搭載した電気自動車の給電端子を充電用ケーブルを介して充電用プラグ接続部16に接続した状態で充電スペースへ移動して駐車しながらバッテリーの充電を行う機械式駐車装置において、充電用接続器10は、立上げたときに上側となる位置に充電用プラグ接続部16が取り付けられる可倒式の支柱17を備えるとともに、支柱17の立上げおよび収納を行う駆動装置11を設けたことを特徴としている。
【0040】
このような構成によれば、支柱17の立上げおよび収納の際に屈んで作業することを要さず、これによって、作業性の向上を図ることができるとともに、とりわけ車いす利用者へ配慮した構造とすることができる。
【0041】
また、本発明は、乗降室2に、駆動装置11を操作する駆動装置操作ボタン12を設けたことを特徴としている。
【0042】
このような構成によれば、駆動装置操作ボタン12の操作で支柱17の立上げおよび収納を行うことができる。特に、前述した第1の実施形態に示すものは、充電用接続器10が、充電用トレー1にあって、駐車車両Aの進入方向に対して前側側方および後側側方の2箇所に配置されたものであるが、乗降室2の奥側と手前側の壁面にそれぞれ駆動装置操作ボタン12を設けることで、駐車車両Aの給電端子の位置に応じ、任意の充電用接続器10の支柱17を立上げたり、収納したりすることができる。
【0043】
また、本発明は、支柱17の周囲の障害物を検出する障害物検出器14を備えたことを特徴としている。
【0044】
このような構成によれば、支柱17の周囲の状況を確認し、障害物がないときに支柱17を立上げることにより、安全性に優れたものとすることができる。
【0045】
また、本発明は、障害物検出器14は、支柱17の立上げおよび収納を検出することを特徴としている。
【0046】
このような構成によれば、支柱17の立上げおよび収納の確認も障害物検出器14で行うことにより、機器の員数を低減し、低コスト化を図ることができる。
【0047】
また、本発明は、駆動装置11は、筐体20と、筐体20に支持されるモーター21と、一端が筐体20に取り付けられ、モーター21により駆動されるアーム22と、アーム22の他端に取り付けられ、支柱17側に設けられる係合部24と係合可能なローラー23とを有し、乗降室2の床下に配置されることを特徴としている。
【0048】
このような構成によれば、駆動装置11を乗降室2の床側に配置し、アーム22を介して充電用トレー1側の支柱17を立上げおよび収納することにより、充電用トレー1毎に駆動装置を配置することを要さず、簡易な構造とすることができる。
【0049】
また、本発明は、駆動装置11は、支柱17の軸部17aの下方に配置されることを特徴としている。
【0050】
このような構成によれば、充電用トレー1の下方にあって縦方向に十分なスペースがあるものに有利な構造とすることができる。
【0051】
次に、駐車車両Aが充電用トレー1上の駐車領域に搭載されたときに駐車装置が支柱17を立上げるものについて説明する。
【0052】
図10は、本発明の第2の実施形態による機械式駐車装置の操作盤を示す正面図、図11は、第2の実施形態による操作盤の要部拡大図である。
【0053】
操作盤9は、係員または駐車車両Aの運転手等により操作されるものであり、タッチパネル9aを有している。タッチパネル9aには、充電装置を利用する場合に選択される有ボタン30と、充電装置を利用しない場合に選択される無ボタン31と、充電用トレー1にあって、駐車車両Aの進入方向に対して前側側方に配置される充電用接続器10を利用する場合に操作される前方ボタン32と、駐車車両Aの進入方向に対して後側側方に配置される充電用接続器10を利用する場合に操作される後方ボタン33とを有している。
【0054】
図12は、第2の実施形態による駐車車両を入庫するときの手順を示すフローチャートである。
【0055】
駐車車両Aを駐車しながらバッテリーの充電を行う場合、例えば、運転手は、図12の手順S31として、操作盤9の有ボタン30を操作するとともに、給電端子が駐車車両Aの前方にある車種の場合は、前方ボタン32を操作する。これにより制御装置は、充電用トレー1を選択し、昇降室2の昇降台6上に充電用トレー1を準備する。充電用トレー1が昇降室2の昇降台6上に準備されると、昇降室2の出入口扉3を開く。充電用トレー1を呼び出した時点で、充電用接続器10の支柱17は、収納されている。この状態で運転手は、手順S32に示すように、駐車車両Aを前進させ、充電用トレー1上に搭載する。このとき、車両はみ出し検出器14は、手順S33として、駐車車両Aが駐車領域からはみ出しているかどうかを検出する。はみ出した場合は、手順S34として、モニターやスピーカーから成る案内装置により修正指示を出し、これに応じて運転手は駐車車両Aの位置を調整して、駐車領域内に収める。
【0056】
駐車車両Aが駐車領域内に駐車されたことを判断すると、制御装置は、手順S35に示すように、前側の障害物検出器13からレザーを照射し、支柱17の周囲の状態を検出する。このとき、手順S36として、支柱17の立上げを邪魔する何らかの障害物を検出すると、手順S37に示すように、案内装置により周囲安全確認指示を出し、これに応じて運転手は障害物を取り除く。一方、手順S36で支柱17の立上げを邪魔する障害物はないことが判断されると、手順S38に示すように、駆動装置11は、充電用トレー1の前側に設けられる充電用接続器10の支柱17を立上げる。
【0057】
このように充電用接続器10の支柱17を立上げると、制御装置は、手順S39として、障害物検出器13を介して支柱17が立上がったかどうかを判断する。立上がりが完了すると、手順S40に示すように、案内装置により充電用接続器10の使用手順や充電に係る注意事項を案内する。次いで、駐車車両Aの運転手は、手順S41として、充電に係る案内を見聞きしながら、駐車車両Aに搭載される図示しない充電用ケーブルを取り出し、充電用ケーブルの一端に設けられる接続器側プラグを充電用プラグ接続部16に接続するとともに、接続ケーブルの他端に設けられる車側プラグを駐車車両Aの給電端子に接続する。
【0058】
運転手は、充電用ケーブルの接続を完了した後、手順S42に示すように、操作盤9を操作して充電用トレー1を所定位置に格納するための操作を行う。すると、機械式駐車装置が作動して、この充電用トレー1を特定の充電スペースへと移動させる。そして、充電用トレー1が充電スペースまで移動すると、トレー側接触子が対を成す固定側接触子に接触する。このトレー側接触子と固定側接触子との接触部は、充電スペースへと移動されてくる前に既に完成されていた充電用プラグ接続部16と接続器側プラグとの接触部に対して直列に接続されて、建屋の電源に接続されたことになり充電回路が形成される。従って、充電スペースに充電用トレー1が格納されると、電気自動車は駐車されながらバッテリーの充電状態となる。
【0059】
以上説明したように本発明の機械式駐車装置によれば、操作盤9により駐車しながらバッテリーの充電を行う利用であることが選択されたことに応じ、制御装置は、電気自動車が充電用トレー1上の駐車領域に搭載されたときに支柱17を立上げることを特徴としている。
【0060】
このような構成によれば、前述した第1の実施形態に示したような駆動装置操作ボタン12の操作を要することなく支柱17を立上げることができ、これによって、さらなる作業性の向上を図ることができる。
【0061】
次に、駆動装置11の他の構成について説明する。
【0062】
図13は、本発明の第3の実施形態による機械式駐車装置の駆動装置を示す平面図、図14は、第3の実施形態による駆動装置の側面図、図15は、第3の実施形態による支柱を立上げるときの動作を示す説明図、図16は、第3の実施形態による支柱を収納するときの動作を示す説明図である。
【0063】
駆動装置11は、筐体40と、筐体40に支持されるモーター41と、一端が筐体40の横側に取り付けられ、モーター41により駆動されるアーム42と、アーム42の他端に取り付けられ、支柱17側に設けられる係合部44と係合可能なローラー43とを有して構成され、乗降室2の床下にあって、支柱17の軸部17aの側方に配置されている。また、係合部44は、略L字状の形状を有するとともに、支柱17の軸部17aに取り付けられ、駆動装置11のアーム42の回動に応じてローラー43と係合する。
【0064】
駆動装置11は、モーター41を駆動し、図15の(a)に示すように、待機位置にあるアーム42を、図中時計回りに回動し、アーム42の先端に取り付けられるローラー43を略L字状の係合部44の一方の辺に当接させ、図15の(b)に示すように、この状態からさらにアーム42を図中時計回りに回動することで、支柱17を軸部17aを介して回動させ、図7の(c)に示すように、支柱17を立上げて充電可能状態とする。
【0065】
一方、支柱17を収納する場合、駆動装置11は、モーター41を駆動し、図16の(a)および(b)に示すように、アーム42を図中反時計回りに回動し、アーム42の先端に取り付けられるローラー43を略L字状の係合部44の他方の辺に当接させ、この状態でさらにアーム42回動することで、支柱17を軸部17aを介して回動させ、支柱17を押し倒して収納状態とする。この後、アーム42はさらに回動し、図16の(c)に示すように、待機位置に復帰する。
【0066】
以上説明したように本発明の機械式駐車装置によれば、駆動装置11は、支柱17の軸部17aの側方に配置されることを特徴としている。
【0067】
このような構成によれば、充電用トレー1の下方にあって横方向に十分なスペースがあるものに有利な構造とすることができる。
【0068】
以上、本発明の機械式駐車装置の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の機械式駐車装置は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 充電用トレー
2 乗降室
4 昇降装置
9 操作盤
10 充電用接続器
11 駆動装置
12 駆動装置操作ボタン
13 障害物検出器
14 はみ出し検出器
16 充電用プラグ接続部
17 支柱
20,40 筐体
21,41 モーター
22,42 アーム
23,43 ローラー
24,44 係合部
図1
図2
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