(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】横方向性能を強化する、スキーブーツとストラップの組合体
(51)【国際特許分類】
A43B 5/04 20060101AFI20220322BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20220322BHJP
A43D 999/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A43B5/04 K
A43B23/02 105Z
A43D999/00
(21)【出願番号】P 2018503720
(86)(22)【出願日】2016-02-08
(86)【国際出願番号】 US2016016973
(87)【国際公開番号】W WO2016164102
(87)【国際公開日】2016-10-13
【審査請求日】2019-01-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-08
(32)【優先日】2015-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517352072
【氏名又は名称】フージェール、レイモンド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フージェール、レイモンド
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】塩澤 正和
【審判官】佐々木 芳枝
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2494880(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358054(US,A1)
【文献】特表2002-518068(JP,A)
【文献】特開平7-171004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0041480(US,A1)
【文献】特開昭52-138246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 5/04
A43B 23/02
A43D 999/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキーブーツとストラップの組合体であって、
(a)前記スキーブーツは、ハードアウターシェルに包囲された圧縮可能なインナーブーツライナーを備え、前記スキーブーツのハードアウターシェルの側面
のみに配置された取付け点を有し、
ここで、前記側面は、使用者の身体の中心線から離れた方の前記スキーブーツの側面を指し、
(b)前記ストラップは、前記取付け点に取付けられ、締め付け位置と解放位置との間で調整可能であり、前記締め付け位置では、前記ストラップは、前記取付け点から、前記ハードアウターシェルの内側位置で前記インナーブーツライナーの周りに延び、前記インナーブーツライナーを前記ハードアウターシェルの
前記側面
の内側表面のみに
接触して保持するようになっている、スキーブーツとストラップの組合体。
【請求項2】
前記ストラップは、2つの自由端を有し、該2つの自由端の間の位置で前記取付け点に取り付けられ、前記組合体は、ストラップを前記締め付け位置に維持するためのクロージャをさらに備える、請求項1に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項3】
前記クロージャがバックルである、請求項2に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項4】
前記クロージャがフックアンドループクロージャである、請求項2に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項5】
前記ストラップが、前記インナーブーツライナーの一部として組み込まれている、請求項1に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項6】
前記組合体が、前記ストラップを締め付けるための、前記ストラップに接続されたリールおよびスチールレースケーブルシステムを更に備える、請求項5に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項7】
前記ストラップが、非弾性構成要素および弾性構成要素を含み、該弾性構成要素が、スキーに関する動作の間に、前記インナーブーツライナーを前記ハードアウターシェルの
前記側面
の内側表面のみに
接触して保持するようになっている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項8】
前記取付け点が、前記ハードアウターシェルの
前記側面の中心から両側に円弧角で30°以内に位置する、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項9】
前記取付け点が、前記スキーブーツの前記ハードアウターシェルから上向きに延びるタブを備える、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項10】
前記タブにはスロットが切られており、前記ストラップが前記スロットを通って前記スキーブーツに取り付けられるようになっている、請求項9に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項11】
前記取付け点は、前記ハードアウターシェルに設けられたスロットを含み、前記ストラップが前記スロットを通って前記スキーブーツに取り付けられるようになっている、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項12】
前記取付け点は、前記ハードアウターシェルの上縁部で前記スキーブーツに取り付けられる取付け具を含む、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項13】
前記取付け具が、前記ハードアウターシェルの上縁部から上向きに延びている、請求項12に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項14】
前記取付け具にはスロットが設けられており、前記ストラップが前記スロットを通って前記スキーブーツに取り付けられるようになっている、請求項12または請求項13に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項15】
前記取付け具は、前記スキーブーツの前記ハードアウターシェルの
前記側面の外側表面又は内側表面に位置している、請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【請求項16】
前記取付け具は、中央溝を有するU字形状構造を有し、前記中央溝内に前記スキーブーツの前記ハードアウターシェルの上端部が入るように配置される、請求項12から請求項14までのいずれか1項に記載されたスキーブーツとストラップの組合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、スキーをしている間に横方向性能を強化するためのスキーブーツとストラップの組合体、および既存のスキーブーツに取り付けて本発明の組合体に使用可能なブーツに変換するためのキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代のスキーブーツは、全て、ハードアウターシェルに包まれた柔らかく圧縮可能なインナーブーツライナーを備えている。スキーをしている間、スキーブーツのソールは、スキー固定具によりスキー板にしっかりと連結されている。その結果、スキーブーツは、スキー板とスキーヤーの下肢との間のインターフェースとして作用する。スキーヤーは、スキーヤーの脚の動きによってスキー板を制御し、この動きはブーツを通してスキー板に伝達される。この動きは、前後方向の動きと、左右または横方向の動きの2つの成分に分けることができる。横方向の動き(スキー板を傾ける)は、スキー板をその縁部に位置させて雪に傾斜段を形成して、ローラコースターの傾斜ターンのようにスキー板が曲った経路を通ることができる。
【0003】
現代のスキー、特にスキーレースでは、スキーヤーがスキーの回転中に優れた前後のバランスを取ることが求められる。スキーブーツの構造は、スキーヤーまたはスキーレーサーのそのようなバランスの維持を可能にする重要な役割を果たす。スキーブーツを介して前方圧力をスキー板の前部に加え、スキー板の前部を後部よりも曲げる。脚からスキー板へのブーツのこの橋渡し機能の側面を最適化するための様々なアプローチが記載されている。
【0004】
多くのスキーブーツに見られる1つの例は、従来のフックアンドループ(Velcro(登録商標))クロージャを使用して着用者の下肢にブーツを固定する非弾性の「パワーストラップ」である。そのようなストラップは、米国特許第5,718,067号に開示されている。
【0005】
米国特許第6,026,594号は、ストラップに弾性部分を組み込むことによって、パワーストラップの概念を改善する。これにより、ストラップは、ブーツが曲げられて緩められる際にも着用者の下肢に比較的一定の圧力を加えることができる。
【0006】
米国特許第7,946,061号および米国特許第8,359,771号は、米国特許第6,026,594号の概念の変形を開示しており、非弾性ストラップがブーツに取り付けられた弾性要素に支持されているか、または弾性要素に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5,718,067号明細書
【文献】米国特許第6,026,594号明細書
【文献】米国特許第7,946,061号明細書
【文献】米国特許第8,359,771号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スキーヤーの脚とスキー板との間のインターフェースを向上させるようにスキーブーツを改良する努力は、全て、スキーヤーの脚の前進/後退運動の伝達の改善に集中している。前進/後退運動の観点は、上級スキーヤー、特にレーサーにとっては重要であるが、回転運動の一部としてこの方向に同量の動きを生じさせない初心者およびレクリエーションスキーヤーにとって重要ではない。
【0009】
本発明は、スキーヤーの脚の横方向運動がスキー板に伝達される効率を高めることに焦点を当てている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、スキーブーツとストラップの組み合わせが提供される。スキーブーツは、ハードアウターシェルに囲まれた圧縮可能な内側ブーツライナーを有する。ストラップは、ブーツのハードアウターシェルの側面の取付け点から延び、使用中は、スキーをしている間、内側ブーツライナーをハードアウターシェルの側面に比較的固く近接して保持するように締め付けられる。ストラップは、インナーブーツライナーの周りに延びていてもよく、インナーブーツライナーの一部として少なくとも部分的に組み込まれていてもよい。どちらの場合でも、ストラップは締め付け位置と解放放位置との間で調整可能である。解放位置は、内側ブーツライナーを取り囲むか又は組み込まれているループの直径が大きくなり、使用者の足をブーツに挿入可能なものである。あるいは、解放位置は、取付け点から離れたストラップの2つの端部が互いに分離されている(例えば、着脱されていない)位置であってもよい。
【0011】
ストラップの取付け点は、スキーブーツの製造中に形成することができる。他方、本発明の他の態様として、この構成がないブーツにストラップを提供するために、ストラップおよび取り付け固定具を含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるブーツとストラップの組み合わせの側面図
【
図2】
図1のブーツとストラップの組み合わせの内側面図
【
図3A】ブーツのハードアウターシェル10にスロットが成形されている、ストラップを受けるための取付け点の詳細図
【
図3B】ブーツのハードアウターシェル10にスロットが成形されている、ストラップを受けるための取付け点の詳細図
【
図3C】ブーツのハードアウターシェル10にスロットが成形されている、ストラップを受けるための取付け点の詳細図
【
図4A】ブーツのハードアウターシェルの上端に取り付けられる、ストラップを受けるための取付け具
【
図4B】ブーツのハードアウターシェルの上端に取り付けられる、ストラップを受けるための取付け具
【
図5】外側、内側、前面および後面を規定する、ブーツの上面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願は、スキーをしている間の横方向の性能を向上させるためのスキーブーツの改良を提供するものである。圧縮可能なインナーライナーをハードアウターシェルの側面に近接して比較的固定された位置に保持するスキーブーツとストラップの組み合わせを使用することにより、スキーの角度付けの応答性が向上し、スキーのターン性能が向上する。この向上効果は、凍った表面上で特に顕著である。
【0014】
定義
本発明では、以下の用語を使用する。
用語「横」は、使用者の脚及び靴の動きの文脈で使用される場合、左右方向の動きを指す。用語「横、側方」がブーツの構造に関連して使用される場合は、使用者の身体の中心線から離れた方のブーツの部分を指す。反対側のブーツ部分を「内方」面と呼ぶ。
図5に示されているようにスキーブーツを上から見た場合、「側面」は、90度の円弧角を含む。用語「側面」は、この円弧角内のブーツ構造の内面および外面の両方を包含する。
【0015】
「ストラップ」という用語は、
スキーブーツの圧縮可能なインナーライナーとは別個であり、使用時にインナーライナーをループ状になって包囲するストラップ、または
圧縮可能なインナーライナーの一部分であって、ブーツの側面の近くに比較的しっかり固定された位置に引き付けられる部分、または
それらの組み合わせを指す。
ストラップが圧縮可能なインナーライナーの一部である場合、ストラップは、圧縮可能なインナーライナーに組み込まれた布または金属ケーブルの補強ストラップであってもよい。いずれの形態においても、ストラップは、伸びない非弾性のストラップであってもよく、または、例えば米国特許第6,026,594号に記載されているように、弾性部分を組み込んでいてもよい。米国特許第6,026,594号は参照により本明細書に援用する。
【0016】
「取付け点」という用語は、ストラップがスキーブーツのハードアウターシェルの側面に近接した比較的固定された位置に圧縮可能なインナーライナーを保持するために、ハードアウターシェルに付加された固定具、構造体または取付け具を指す。「付加」とは、スキーの最中に、ストラップが固定具、構造体または取付け具によって規定された位置に保持され、固定がハードアウターシェルの内側表面または外側表面上でもよいことを意味する。ストラップは、スキーブーツのハードアウターシェルに恒久的に固定される必要はない。取付け点は、以下に説明するような様々な特徴を組み込むことができ、例えば、米国特許第7,946,061号および第8,359,771号に記載されているように、ストラップが取り付けられる弾性部分を含むことができる。米国特許第7,946,061号および第8,359,771号は参照により本明細書に援用する。
【0017】
取付け点は、スキーブーツの側面の中心、すなわち90度の円弧の中心に置くことができる。あるいは、側面の中心の前方または後方に配置することができる(45度前方または45度後方)。ある具体例では、取付け点は、中心点に対して円弧角で中央60°以内に配置される(中心点から30°前方または30°後方)。取付け点は、寸法が有限であり、したがってハードアウターシェル上の単一点以上を占めることが理解されよう。取付け点の位置は、どの固定具、構造体または取付け具が使用されても、その前後の中心に基づいて決定される。
【0018】
「スキーブーツの側面に近い比較的固定された位置」という語句は、使用中にインナーブーツライナーが保持される位置を指す。たとえ弾性材料がストラップまたは取付け点に組み込まれていなくても、ストラップには何らかの撓みが生じる可能性があるので、その位置は「絶対に固定」されてはいない。固定の程度は、ブーツの側面に対する動きが、スキー操作中の横方向の力の付加に応答して、締め付けられた位置でのみ生じることができる程度のものである。「近い」という用語は、ハードウェアに必要なスペースを条件として、圧縮可能なインナーライナーが、取付け点でブーツの側面の内面に接触して保持されることを意味する。
【0019】
具体例の説明
図1は、本発明の一具体例によるブーツとストラップの組み合わせの側面図を示す。このブーツは、ハードアウターシェル10と圧縮可能なインナーブーツ12とを含む。本発明のこの具体例では、タブ14が、ハードアウターシェル10の上縁に固定されて上向きに延び、取付け点として機能する。ストラップ16が、タブ14に接触対して位置付けられ、インナーブーツ12の周囲を通る。バックル18により、ストラップを締め付け位置に保持することが可能になる。
【0020】
図2は、
図1のブーツとストラップの組み合わせの内方面を示す。図示されているように、ストラップ16は、インナーブーツ12の周りで締め付けられ、ハードアウターシェル10の後側または内方面側と重なり合わない。
【0021】
タブ14は、金属製にすることができ、ハードアウターシェル10の内側または外側のいずれかに、例えばねじまたはリベットを用いて取り付けられることができる。タブ14は、ハードアウターシェル10の内部または外部の成形されたスロットに嵌合する別個の部品であってもよい。タブ14は、ハードアウターシェル10の成形延長部分であってもよい。この場合、タブは、ストラップの締め付け圧力による変形に対する抵抗および剛性を高めるために、隆起部または他の構造を有することができる。タブ14は、ハードアウターシェル10のハイバック15の延長部として形成されてもよく、その場合ストラップは延長部の内面に取り付けられる。
【0022】
図1および
図2は、共に本発明の基本概念を示すが、本発明から逸脱することなくストラップおよび取付け点の性質を変更することは可能である。
【0023】
図3A~
図3Cは、ストラップを受けるためのスロットがブーツのハードアウターシェル10に成形されている取付け点の詳細図を示す。2つのスロット30および30’は、ハードアウターシェル10の上部付近に開口として成形され、(
図3Bに示すように)ストラップ32を受け入れるための大きさにされる。
図3Cは、ストラップ32がスロットからハードアウターシェル10の内側のインナーブーツ12の周りを通ることを示す上面図である。ストラップを容易に交換できるスロットの代わりに、ストラップとハードアウターシェルとを貫通する留め具によって、ストラップがハードアウターシェルに固定できる。好ましい留め具としては、内面および外面の両方で滑らかな仕上げを提供するポスト、リベットおよび結合ねじが含まれる。
【0024】
図4Aおよび
図4Bは、ブーツのハードアウターシェルの上縁部上に適合するストラップを受け入れるための取付け具を示す。取付け具は、ブーツのハードアウターシェルの上縁部上に適合する中央溝40を有する全体としてU字形状の形態である。取付け具の片面または両面には、スロット42,42’がストラップを受け入れるように切り抜かれている。スロット42,42’どうしの間の領域44は平坦にすることができる。この場合、取付け具がブーツに取り付けられる前にストラップを適切に導入するか、あるいは
図4Bに示すようにストラップを外側に湾曲させて、ストラップがブーツに適合した後に挿入または変更できる。スロット40の大きさは、ブーツの縁部に単に押し付けるだけで、取付け具を所定の位置に保持するのに十分であり(摩擦適合)、例えば、締結具を使用して穴46,46 'を通して取り付けることができる。あるいは、取付け具は所定位置に接着してもよい。
【0025】
図4Cは、ブーツのハードアウターシェルの上縁部48上に適合するストラップを受け入れるための取付け具の代替形態を示す。この取付け具は、ブーツに取付け具を固定するための留め具用の2つの穴46,46'と、取付け具から上方に延びるタブ47とを有する。ただし、摩擦係合または接着剤もこの場合に使用することができる。タブ47は、ストラップが締め付けられたときにストラップがタブ47から外れないようにするための出張り部となるが、そうでなければストラップとの特定の係合を有さない厚い上部エッジ49を有することが適切である。
【0026】
図4A~
図4Cに示された取付け具の代替として、スキーブーツのハードアウターシェルの上端部の一面に留め具または接着剤により固定された取付け具でも同等の結果が得られる。
【0027】
使用時にループを形成するために互いに固定される別個の端部を有するストラップを使用する代わりに、ストラップは、圧縮可能なインナーライナーを取り囲むか、または圧縮可能なインナーライナーの一部である閉じたループの形態をとることもできる。ある具体例では、このストラップはリールおよびスチールレースケーブルシステムを使用して締め付けられる。これは、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2014/0358054号および米国特許出願公開第2007/0169378号に一般的に記載されているように、BOA技術として商業的に知られている。そのような具体例では、リールの制御機構、例えばノブが、一般に、ブーツのハードアウターシェルの側面の外側に配置され、ケーブルがハードアウターシェルの開口部を通る。ノブを回すと、ケーブルが締め付けられ、圧縮可能なインナーライナーが、ブーツのハードアウターシェルの側面の内面に近接した比較的固定された位置に引き込まれる。ノブとそれに付随する取付け点の高さ位置は、それが足首よりも上方にあれば、その位置は重要ではなく、ハードアウターシェルの頂部の近くに位置するか、より下方、例えばブーツの上部の2つのバックルの間に位置することができる。
【0028】
本発明のストラップとブーツの組み合わせは、前から後への「パワーベルト」又は他のタイプのシステムとは独立して又は組み合わせて使用でき、前後方向の動きを向上させることができる。さらに、ストラップ/ブーツ構成の組み合わせを使用することもできる。例えば、ブーツの下側に組み込まれたストラップを使用するとともに、別個のストラップをブーツの上部の近くで使用することもできる。
【0029】
上記の様々なストラップ及び取付け点の構成は、本発明の効果を得るために、任意に組み合わせることができる。
【0030】
ストラップと取付け点の構成は、ハードアウターシェルおよび圧縮可能なインナーライナーをそれぞれ有する一対のスキーブーツを、横方向の性能を向上させるために適合させるためのキットに具体化することもできる。
【0031】
このキットは、
(a)一対のストラップ、および
(b)一対の取付け具を備え、取付け具は、ハードアウターシェルの側面の上端部でスキーブーツに取り付けられたときに、ストラップをスキーブーツに取り付けるための取付け点を提供する。キットは、取付け具を取り付けるための留め具と、適切な場合には、ブーツライナーに穿孔される穴の位置を規定するためのパターンとも含むことができる。
【0032】
キットのある具体例では、取付け具は、そこに切り抜かれたスロットを有し、そのスロットは、ストラップがスロットを通ってスキーブーツに取り付けることができるような大きさにされている。
【0033】
キットのある具体例では、取付け具は、中央溝を有するU字形構造であり、中央溝内は、スキーブーツのハードアウターシェルの上縁部を受け入れるように寸法決めされている。
【0034】
キットのある具体例では、ストラップはそれぞれ、非弾性構成要素および弾性構成要素を含む。