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特許7043409縮合ピラゾール誘導体、その調製方法、ならびに、がん、炎症および免疫疾患の治療におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】縮合ピラゾール誘導体、その調製方法、ならびに、がん、炎症および免疫疾患の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20220322BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220322BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20220322BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220322BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220322BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
C07D471/04 106Z
C07D471/04 CSP
A61K31/5377
A61K31/4545
A61K31/437
A61K31/496
A61K31/444
A61P29/00
A61P35/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018539817
(86)(22)【出願日】2016-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 CN2016112625
(87)【国際公開番号】W WO2017128917
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2019-10-25
(31)【優先権主張番号】201610066886.9
(32)【優先日】2016-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516095419
【氏名又は名称】ベイジン・イノケア・ファーマ・テク・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing InnoCare Pharma Tech Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Bldg.8,No.8 Life Park Rd.,ZGC Life Science Park,Changping Dist.,Beijing,PRC,102206
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シアンヤン
(72)【発明者】
【氏名】パン、ユチェン
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-532370(JP,A)
【文献】特表2004-517862(JP,A)
【文献】特表2008-520749(JP,A)
【文献】国際公開第2015/048689(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/004533(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/151616(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/126718(WO,A1)
【文献】REGISTRY(STN)[online],2011年10月05日,検索日:2020年8月25日,CAS登録番号:1334376-38-3, 1334372-18-7
【文献】REGISTRY(STN)[online],2007年11月14日,検索日:2020年8月25日,CAS登録番号:953404-17-6, 953404-15-4, 953404-13-2, 953402-89-6, 953402-45-4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)によって表される化合物、
【化1】
またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
およびAは、それぞれ独立してCRであり、AはNであり、
はアリールであり、ここで、前記アリールは、1個以上のGで任意に置換され、
は、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールおよびヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のGで任意に置換され、
は、-C0~2アルキル-、-CR-、-NRC(O)-、-C(O)NR-および-O-からなる群から独立して選択され、
は結合であり、
Xは、3~8員ヘテロ環式基およびアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記ヘテロ環式基またはアリールは、1個以上のGで任意に置換され、
Yは、-C(O)-および-NRC(O)-からなる群から独立して選択され、
は、HおよびDからなる群から独立して選択され、
結合
【化2】
は、二重結合または三重結合であり、
結合
【化3】
が二重結合である場合、R、RおよびRは、HおよびDからなる群からそれぞれ独立して選択され、結合
【化4】
が三重結合である場合、RおよびRは、存在せず、Rは、H、Dおよびアルキルからなる群から独立して選択され、ここで、前記アルキルは、1個以上のGで任意に置換され、
、RおよびRは、HおよびDからなる群からそれぞれ独立して選択され、
、G、GおよびGは、HおよびDからなる群からそれぞれ独立して選択される]。
【請求項2】
請求項1に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物または薬学的に許容されるその塩であって、
ここで前記化合物は式(III)
【化5】
によって表される化合物である
[式中、
はフェニル環であり、
、A、B、L、L、X、Y、結合
【化6】
、R、RおよびGは、請求項1の通りに定義される]。
【請求項3】
請求項1または2に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物または薬学的に許容されるその塩であって、
ここで前記化合物は式(V)
【化7】
によって表される化合物である
[式中、
は、フェニル環であり、
およびZは、それぞれ独立してC(R)であり、
は、Hまたはアルキルであり、
nおよびpは、0、1および2からなる群からそれぞれ独立して選択され、
、A、B、L、Y、結合
【化8】
、R、RおよびGは、請求項1または2の通りに定義される]。
【請求項4】
前記化合物が、
【化9】
である、請求項1に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
治療有効量の、請求項1~4のいずれか1項に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項6】
ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTK)の調製における、請求項1~4のいずれか1項に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩、あるいは請求項5に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
腫瘍および炎症性疾患を治療するおよび/または予防するための医薬の調製のための、請求項1~4のいずれか1項に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩、あるいは請求項5に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規縮合ピラゾール誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩、またはこれらの化合物を含む医薬組成物、ならびにこれらの化合物を調製する方法に関する。本発明は、とりわけブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤としての治療剤の調製における、縮合ピラゾール誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩、またはこれらの化合物を含む医薬組成物の使用、ならびに、腫瘍および炎症性疾患を治療するおよび/または予防するための医薬の調製における、縮合ピラゾール誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩、または医薬組成物の使用にも関する。
【背景】
【0002】
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、Tecチロシンキナーゼファミリーの重要なメンバーであり、B細胞、肥満細胞およびマクロファージを含む形質細胞中に存在し、B細胞受容体(BCR)媒介シグナル経路において決定的な役割を果たす。BTKが上流のSrcファミリーキナーゼによって活性化されると、下流のホスホリパーゼC(PLC)をリン酸化し、それにより、PI3およびDAGシグナル経路を活性化する。このシグナル経路は、細胞の、増殖、接着および生存を促進し、B細胞リンパ腫の発症において重要な役割を果たす。
【0003】
BTKの活性を阻害することにより、BTK阻害剤は、B細胞リンパ腫細胞の増殖を阻害し、腫瘍細胞の接着を壊し、腫瘍細胞のアポトーシスを促進することができるため、BTKは、B細胞関連がん、とりわけB細胞リンパ腫および白血病、たとえば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)等において、目的の薬物標的となる。現在、市場においてBTK特異的阻害を持つ唯一の薬物は、Pharmacyclics/JNJ製のイブルチニブである。イブルチニブは、不可逆的低分子BTK阻害剤であり、これは、MCL、CLL、WM等の治療において有意な効能を有し、安全である。細胞リンパ腫を標的とするための臨床試験に入っている他のBTK阻害剤は、Celgene company製のCC-292、Acerta company製のACP-196、ONO Company製のONO-4059、およびBeigene Company製のBGB-3111等を含む。
【0004】
抗B細胞リンパ腫および抗白血病効果に加えて、BTK阻害剤は、B細胞自己抗体およびサイトカインの産生をさらに阻害することができる。BTKにおける突然変異は、まれな遺伝性疾患-X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)につながり得る。この疾患ではBTKの機能が阻害され、B細胞の産生または成熟の阻害および循環抗体の低減をもたらすため、患者は、重篤な、さらには致命的な感染症にかかりやすい。前臨床動物モデル研究は、BTK遺伝子欠損マウスがコラーゲン誘発関節炎に抵抗し得ることを示し、臨床結果は、リツキサン、B細胞枯渇のための抗体薬物が、免疫障害の治療に効果的であることも実証した。したがって、BTK阻害剤は、自己免疫関連疾患、たとえば関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、アナフィラキシー疾患(たとえば、食道炎、好酸球性(eosoniphilic)食道炎)等を治療するためにも使用され得る。現在、免疫疾患において使用するためのBTK特異的阻害剤は市場に未だないが、いくつか、たとえば、Celgene Company製のCC-292、Hanmi製のHM-71224、Principia製のPRN-1008、Pharmacyclics製の化合物が、臨床段階にある。
【0005】
BTKは、複数のシグナル伝達経路において重要な役割を果たすため、BTK阻害剤の開発は、多くのバイオ医薬品企業からの注目を集めている。WO2007087068、WO2010126960、WO2011019780、WO2011090760、WO2012135801、WO2012158764、WO2013060098、WO2013081016、WO2013010869、WO2013113097、CN103113375、WO2014068527、WO2014125410、WO2014173289、WO2013118986、WO2015017502、WO2015048689等を含む、BTK阻害剤についての一連の特許出願が開示されている。しかしながら、より良好な効能を持つ新たな化合物を開発することが依然として必要である。継続的な努力により、本発明者は、式(I)の構造を有する化合物を設計し、そのような構造を有する化合物が、優れた効果および機能を呈することを見出している。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式(I)によって表される化合物もしくはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、または薬学的に許容されるその塩
【0007】
【化1】
【0008】
[式中、
1、A2およびA3は、CR1またはNからなる群からそれぞれ独立して選択され、
1は、C3~8環式、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG1で任意に置換されていてもよく、
2は、H、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG2で任意に置換されていてもよく、
1は、-C0~2アルキル-、-CR56-、-C1~2アルキル(R5)(OH)-、-C(O)-、-CR56O-、-OCR56-、-SCR56-、-CR56S-、-NR5-、-NR5C(O)-、-C(O)NR5-、-NR5CONR6-、-CF2-、-O-、-S-、-S(O)m-、-NR5S(O)2-または-S(O)2NR5-からなる群から独立して選択され、
2は、-C0~4アルキル-、-C(O)-、-O-、-NR7-、-NR7C(O)-または-NR7S(O)2-からなる群から独立して選択され、
Xは、C0~4アルキル、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG3で任意に置換されていてもよく、
Yは、-C(O)-、-NR8C(O)-、-S(O)m-または-NR8S(O)m-からなる群から独立して選択され、
1は、H、D、C0~4アルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群から独立して選択され、
結合
【0009】
【化2】
【0010】
は、二重結合または三重結合であり、
結合
【0011】
【化3】
【0012】
が二重結合である場合、R2、R3およびR4は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG4で任意に置換されていてもよく、結合
【0013】
【化4】
【0014】
が三重結合である場合、R3およびR4は、存在せず、R2は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG4で任意に置換されていてもよく、ここで、R3およびR2またはR3およびR4は、それに結合している炭素原子と一緒になって、ヘテロ原子を任意に含有していてもよい環を形成することができ、
5、R6、R7およびR8は、H、D、C0~8アルキル、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG5で任意に置換されていてもよく、
1、G2、G3、G4およびG5は、H、D、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリール、ヘテロアリール、-OR9、-OC(O)NR910、-C(O)OR10、-C(O)NR910、-C(O)R9、-NR910、-NR9C(O)R10、-NR9C(O)NR1011、-S(O)m10および-NR9S(O)m10からなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、D、ハロゲン、シアノ、C1~8アルキル、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロ環式基、-OR12、-OC(O)NR1213、-C(O)OR12、-C(O)NR1213、-C(O)R12、-NR1213、-NR12C(O)R13、-NR12C(O)NR1314、-S(O)m12または-NR12S(O)m13からなる群から選択される1個以上の置換基で任意に置換されていてもよく、
9、R10、R11、R12、R13およびR14は、H、C1~6アルキル、C1~C6ヘテロアルキル、C3~8シクロアルキル、3~8員単環式ヘテロ環式基、単環式ヘテロアリールまたは単環式アリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
mは、1または2である]
を提供するためのものである。
【0015】
本発明の態様において、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩は、式(II)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
【0016】
【化5】
【0017】
[式中、
2およびA3は、CHまたはNからなる群からそれぞれ独立して選択され、
1は、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG1で任意に置換されていてもよく、
2は、H、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG2で任意に置換されていてもよく、
1は、-C0~2アルキル-、-CR56-、-C1~2アルキル(R5)(OH)-、-C(O)-、-CR56O-、-OCR56-、-SCR56-、-CR56S-、-NR5-、-NR5C(O)-、-C(O)NR5-、-NR5CONR6-、-CF2-、-O-、-S-、-S(O)m-、-NR5S(O)2-または-S(O)2NR5-からなる群から独立して選択され、
2は、-C0~4アルキル-、-C(O)-、-O-、-NR7-、-NR7C(O)-または-NR7S(O)2-からなる群から独立して選択され、
Xは、C0~4アルキル、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG3で任意に置換されていてもよく、
Yは、-C(O)-、-NR8C(O)-、-S(O)m-または-NR8S(O)m-からなる群から独立して選択され、
結合
【0018】
【化6】
【0019】
は、二重結合または三重結合であり、
結合
【0020】
【化7】
【0021】
が二重結合である場合、R2、R3およびR4は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から互いに独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG4で任意に置換されていてもよく、結合
【0022】
【化8】
【0023】
が三重結合である場合、R3およびR4は、存在せず、R2は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG4で任意に置換されていてもよく、ここで、R3およびR2またはR3およびR4は、それに結合している炭素原子と一緒になって、ヘテロ原子を任意に含有していてもよい環を形成することができ、
5、R6、R7およびR8は、H、D、C0~8アルキル、C3~8環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG5で任意に置換されていてもよく、
1、G2、G3、G4およびG5は、H、D、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリール、ヘテロアリール、-OR9、-OC(O)NR910、-C(O)OR10、-C(O)NR910、-C(O)R9、-NR910、-NR9C(O)R10、-NR9C(O)NR1011、-S(O)m10および-NR9S(O)m10からなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、D、ハロゲン、シアノ、C1~8アルキル、C3~8シクロアルキル、3~8員ヘテロ環式基、-OR12、-OC(O)NR1213、-C(O)OR12、-C(O)NR1213、-C(O)R12、-NR1213、-NR12C(O)R13、-NR12C(O)NR1314、-S(O)m12または-NR12S(O)m13からなる群から選択される1個以上の置換基で任意に置換されていてもよく、
9、R10、R11、R12、R13およびR14は、H、C1~6アルキル、C1~C6ヘテロアルキル、C3~8シクロアルキル、3~8員単環式ヘテロ環式基、単環式ヘテロアリールまたは単環式アリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
mは、1または2である]
である。
【0024】
本発明の別の態様において、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩は、式(III)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
【0025】
【化9】
【0026】
[式中、
1は、フェニル環または6員ヘテロアリール環であり、
2、A3、B2、L1、L2、X、Y、結合
【0027】
【化10】
【0028】
、R2、R3、R4およびG1は、請求項1または2において定義されている通りである]
である。
【0029】
本発明の別の態様において、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩は、式(IV)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
【0030】
【化11】
【0031】
[式中、
1およびZ2は、C(Ra)またはNからなる群からそれぞれ独立して選択され、
aは、Hまたはアルキルであり、
nおよびpは、0、1または2からなる群からそれぞれ独立して選択され、
2、A3、B1、B2、L1、L2、Y、結合
【0032】
【化12】
【0033】
、R2、R3、R4およびG1は、請求項1~3のいずれか一項において定義されている通りである]
である。
【0034】
本発明の別の態様において、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩は、式(V)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
【0035】
【化13】
【0036】
[式中、
2、A3、B1、B2、L1、Y、結合
【0037】
【化14】
【0038】
、R2、R3、R4、G1、Z1、Z2、nおよびpは、請求項1~4のいずれか一項において定義されている通りである]
である。
【0039】
本発明の代表的化合物は、
【0040】
【表1-1】
【0041】
【表1-2】
【0042】
【表1-3】
【0043】
【表1-4】
【0044】
またはそれらの互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩を含むがこれらに限定されない。
【0045】
本発明は、治療有効量の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物をさらに対象とする。
【0046】
本発明の別の側面は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤の調製における、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩、あるいはそれらを含む医薬組成物の使用に関する。
【0047】
本発明の別の側面は、腫瘍、炎症性疾患等を治療するおよび/または予防するための医薬の調製における、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩、あるいはそれらを含む医薬組成物の使用に関する。
【0048】
本発明は、腫瘍、炎症性疾患等を治療するおよび/または予防する方法であって、治療有効量の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩、あるいはそれらを含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法にも関する。
【0049】
本発明の別の側面は、腫瘍、炎症性疾患等を治療するおよび/または予防するための医薬として使用するための、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩に関する。
【詳細な説明】
【0050】
用語は、明細書および請求項において使用される場合、別段の指示がない限り、下記の意味を有する。
【0051】
表現「Cx~y」は、ここで使用される場合、炭素原子の範囲を意味し、ここで、xとyの両方は整数である。たとえば、C3~8環式基は、3~8個の炭素原子を有する環式基を意味し、-C0~2アルキルは、0~2個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、ここで、-C0アルキルは、単一の化学結合を指す。
【0052】
「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有する直鎖および分枝基、たとえば、1~18個の炭素原子、1~12個の炭素原子、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有する直鎖または分枝基を含む、飽和脂肪族炭化水素基を指す。非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチル-プロピル、1,2-ジメチル-プロピル、2,2-ジメチル-プロピル、1-エチル-プロピル、2-メチル-ブチル、3-メチル-ブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチル-プロピル、1,1,2-トリメチル-プロピル、1,1-ジメチル-ブチル、1,2-ジメチル-ブチル、2,2-ジメチル-ブチル、1,3-ジメチル-ブチル、2-エチル-ブチル、およびそれらの任意の分枝異性体等を含む。アルキルは、任意に置換されていてもよいし、無置換であってもよい。
【0053】
「環式基」は、3~12個の環原子、たとえば、3~12個、3~10個または3~6個の環原子を含有する、飽和または部分的に不飽和、単環式または多環式炭化水素置換基を指すか、あるいは環式基は、3、4、5または6員環であってよい。単環式基の非限定的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル等を含む。環式基は、任意に置換されていてもよいし、無置換であってもよい。
【0054】
「ヘテロ環式基」は、3~20個の環原子、たとえば、3~16個、3~12個、3~10個または3~6個の環原子を含有する、飽和または部分的に不飽和、単環式または多環式炭化水素置換基を指し、ここで、任意の環部分が、-O-O-、-O-S-または-S-S-であり、残りの環原子が、炭素である場合を除き、1個以上の環原子は、窒素、酸素およびS(O)m(ここで、mは、0~2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子である。好ましくは、ヘテロ環式基は、3~12個の環原子を含み、そのうちの1~4個の環原子は、ヘテロ原子であり、より好ましくは、ヘテロシクロアルキル環は、3~10個の環原子を含有し、最も好ましくは、ヘテロ環式基は、5または6員環を含み、ここで、1~4個の原子がヘテロ原子であり、より好ましくは、1~3個の原子がヘテロ原子であり、最も好ましくは、1~2個の原子がヘテロ原子である。単環式ヘテロ環式基の非限定的な例は、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、スルホモルホリニル、ホモピペラジニル等を含む。多環式ヘテロ環式基は、スピロ環、縮合環および架橋環を含むものを含む。
【0055】
「スピロ-ヘテロ環式基」は、複数の単環式環が共通原子(すなわち、スピロ原子)を共有する、5~20員多環式ヘテロ環式基を指し、ここで、1個以上の環原子は、窒素、酸素およびS(O)m(ここで、mは、0~2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は、炭素である。単環式環は、1個以上の二重結合を含有することができるが、単環式環のいずれも、完全に共役したπ電子系を有さない。これは、好ましくは6~14員環、より好ましくは7~10員環である。共通スピロ原子の数に応じて、スピロシクロアルキル基は、モノ-スピロヘテロ環式基、ビス-スピロヘテロ環式基またはマルチ-スピロヘテロ環式基として分類され、モノ-スピロシクロアルキルおよびビス-スピロシクロアルキルが好ましい。より好ましいのは、4/4員、4/5員、4/6員、5/5員、または5員/6員モノ-スピロシクロアルキル基である。スピロシクロアルキル基の非限定的な例は、
【0056】
【化15】
【0057】
を含む。
【0058】
「縮合ヘテロ環式基」は、系中の各環が、系中の他の環と共有されている隣接する原子の対を含む、5~20員多環式ヘテロ環式基を指し、ここで、1個以上の環は、1個以上の二重結合を含有することができるが、環のうちのいずれも、完全に共役したπ電子系を含まず、ここで、1個以上の環原子は、窒素、酸素およびS(O)m(ここで、mは、0~2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は、炭素である。これは、好ましくは7~14員環、より好ましくは7~10員環である。環の数に応じて、縮合ヘテロ環式基は、二環式、三環式、四環式または多環式縮合ヘテロシクロアルキル基として分類され、二環式または三環式縮合ヘテロ環式基が好ましい。より好ましいのは、5/5員および5/6員二環式縮合ヘテロ環式基である。縮合ヘテロ環式基の非限定的な例は、
【0059】
【化16】
【0060】
を含む。
【0061】
ヘテロ環式環は、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキル環と縮合することができ、ここで、親構造に結合している環は、ヘテロ環式環である。その非限定的な例は、
【0062】
【化17】
【0063】
等を含む。ヘテロ環式基は、任意に置換されていてもよいし、無置換であってもよい。
【0064】
「アリール」は、共役したπ電子系を有する、6~14員全炭素単環式または縮合多環式(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基、多環式基(すなわち、隣接する炭素原子の対を有する環)を指す。これは、好ましくは6~10員アリール、たとえば、フェニルおよびナフチル、最も好ましくはフェニルである。アリール環は、ヘテロアリール、ヘテロ環式またはシクロアルキル環と縮合することができ、ここで、親構造に結合している環は、アリール環である。その非限定的な例は、
【0065】
【化18】
【0066】
を含む。アリールは、任意に置換されていてもよいし、無置換であってもよい。
【0067】
「ヘテロアリール」は、1~4個のヘテロ原子および5~14個の環原子を有するヘテロ芳香族系を指し、ここで、ヘテロ原子は、酸素、硫黄および窒素を含む。これは、好ましくは5~10員ヘテロアリールである。より好ましくは、ヘテロアリールは、5~6員ヘテロアリール、たとえば、フリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N-アルキルピロリル、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル等である。ヘテロアリール環は、アリール、ヘテロ環式またはシクロアルキル環と縮合することができ、ここで、親構造に結合している環は、ヘテロアリール環である。その非限定的な例は、
【0068】
【化19】
【0069】
を含む。ヘテロアリールは、任意に置換されていてもよいし、無置換であってもよい。
【0070】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0071】
「シアノ」は、-CNを指す。
【0072】
「任意選択の」または「任意に」は、そのような用語に関連する事象または環境が出現してもよい(が、必ずしも出現するとは限らない)ことを意味し、そのような事象または環境が出現するまたは出現しない状況を含む。たとえば、「アルキル基で任意に置換されていてもよいヘテロ環式基」は、アルキル基が存在してもよいが、必ずしも存在するとは限らないことを意味し、ヘテロ環式基がアルキルで置換されている、およびヘテロ環式基がアルキルで置換されていない状況を含む。
【0073】
「置換されている」は、基中の、1個以上の水素原子、好ましくは最大5個の水素原子、より好ましくは1~3個の水素原子が、対応する数の置換基でそれぞれ独立して置換されていることを意味する。明らかに、置換基は、それらの可能な位置に存在しているにすぎず、当業者は、多くの努力を払うことなく、可能なまたは不可能な置換を(実験または理論によって)決定することができる。たとえば、自由水素を有するアミノまたはヒドロキシル基と不飽和(たとえば、オレフィン)結合を有する炭素原子との間の結合は、不安定であってもよい。
【0074】
「医薬組成物」は、ここで記述されている通りの1個以上の化合物または生理学的に/薬学的に許容されるその塩またはプロドラッグおよび他の化学成分と、他の成分、たとえば、生理学的に/薬学的に許容される担体および賦形剤とを含む、混合物を指す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性原料の吸収を容易にし、それにより、生物活性を発揮することを目的としている。
合成方法
本発明は、化合物を調製する方法をさらに提供する。本発明の式(I)によって表される化合物は、下記の例示的な方法および例に従って調製することができるが、これは、本発明の範囲をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の化合物は、当業者に周知である任意の合成技術によって、または公知の方法と本発明の方法との組合せによって、合成することもできる。各工程において生成される生成物は、抽出、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含むがこれらに限定されない、当該技術分野における任意の公知の分離技術によって取得することができる。出発材料および化学剤は、合成で必要とされる場合、文献(SciFinderから入手可能)に従って日常的に調製されていてもよいか、または市販品でも良い。
【0075】
本発明の式(I)によって表される縮合ピラゾール化合物を、スキームA:1)出発材料A1を、ホウ酸もしくはボレート(RO)2B-L~N-P(ここで、L~N-Pは、保護されたアミノを有する官能基であり、Pは、アミノの保護基である)を担持する前駆体と、鈴木カップリング反応を介して反応させて、A2を生成すること、またはアミノL~N-P(ここで、Lは、-NHを含む)を担持する前駆体と、ブッフバルトカップリング反応を介して反応させて、A2を生成すること;2)A2を臭素化して、A3を生成すること;3)A3を(ヘテロ)アリールホウ酸またはボレートと、鈴木カップリングを介して反応させて、A4を生成すること;4)A4中のアミノ基をアセチル化して、A5を生成すること;5)A5をさらに環化させて、A6を生成すること;6)A6中のアミノ基を脱保護して、A7を生成すること;ならびに7)A7中のアミノ基を、キナーゼリガンドの結合ドメイン中のシステイン残基と反応することができる官能基を含有する化学剤(たとえば、塩化アクリロイル等)で誘導体化すること(derivating)に従って調製して、標的化合物A8を生成することができる。
【0076】
【化20】
【0077】
A6は、スキームB:B2をブッフバルトカップリング反応に供して、B3を生成すること、続いて、アセチル化、環化、およびカップリングして、中間体A6を生成することに従って調製することもできる。
【0078】
【化21】
【0079】
A6は、スキームC:C1またはC1’を、ヨード化または臭素化、続いて、環化に供して、C3を生成することに従って調製することもできる。合成の要件に従い、ヨウ素含有C3を、鈴木カップリングを介する(ヘテロ)アリールホウ酸(またはボレート)とのカップリング反応、続いて、((RO)2B-)L~N-Pとの第2のカップリング反応に供して、A6を生成するか;または臭素含有C3を、((RO)2B-)L~N-Pとの第1のカップリング反応、続いて、(ヘテロ)アリールホウ酸(またはボレート)との第2のカップリング反応に供して、A6を生成する。
【0080】
【化22】
【0081】
[実施例]
式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、下記の例および当業者が参照する関連刊行物において記述されている通りの例示的な方法によって調製することができる。しかしながら、これらの例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0082】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)または質量スペクトル(MS)によって同定する。NMR測定は、溶媒として、DMSO-d6、CDC13、CD3OD、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)、および10-6ppmの化学シフトを使用し、Bruker AVANCE-400またはVarian Oxford-300NMR機器で行う。
【0083】
MS測定は、Agilent SQD(ESI)質量分析計(製造業者:Agilent、モデル:62100)またはShimadzu SQD(ESI)質量分析計(製造業者:株式会社島津製作所、モデル:2020)で行う。
【0084】
HPLC測定は、Agilent1200DAD高圧液体クロマトグラフ(Sunfirc C18、150×4.6mm、5μmクロマトグラフィーカラム)およびWaters2695-2996高圧液体クロマトグラフ(Gimini C18 150×4.6mm、5μmクロマトグラフィーカラム)で行う。
【0085】
使用されるシリカゲルプレートは、Qingdao Haiyang GF254シリカゲルプレートである。シリカゲルプレートは、薄層クロマトグラフィー(TLC)において使用する場合には0.15mm~0.2mmの規格を、薄層クロマトグラフィーによる生成物の分離および精製中には0.4mm~0.5mmの規格を有する。
【0086】
カラムクロマトグラフィーは、通常、Qingdao Haiyang200~300メッシュシリカゲルを担体として用いる。
【0087】
本発明の公知の出発材料は、当該技術分野において公知の方法によってもしくはそれに従って調製することができるか、または、ABCR GmbH&Co.KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、Accela ChemBio、Beijing Ouhe Chemical Company等から市販されている。
【0088】
例における反応は、別段の指示がない限り、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行う。
【0089】
アルゴンまたは窒素雰囲気は、反応フラスコが、1L体積を有するアルゴンまたは窒素バルーンに接続されていることを意味する。
【0090】
水素雰囲気は、反応フラスコが、1L体積を有する水素バルーンに接続されていることを意味する。
【0091】
加圧水素化反応は、Beijing Jiawei Kechuang Technology Co.,Ltdから入手可能なGCD-500G高純度水素発生装置およびBLT-2000中圧水素化機器を使用することによって行う。
【0092】
水素化反応は、通常、反応器を真空にし、それに水素を投入することによって行い、前述の工程を3回繰り返す。
【0093】
マイクロ波反応は、CEM Discover-SP型マイクロ波反応器で行う。
【0094】
例における反応温度は、別段の指示がない限り、20℃~30℃の範囲の室温である。
【0095】
例における反応進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターする。反応において使用する展開液系は、A:ジクロロメタンおよびメタノール系;ならびにB:石油エーテルおよび酢酸エチル系を含み、ここで、溶媒の体積比は、化合物の極性に従って調整される。
【0096】
化合物の精製において使用するための、カラムクロマトグラフィーにおける溶離液系および薄層クロマトグラフィーにおける展開液系は、A:ジクロロメタンおよびメタノール系;ならびにB:石油エーテルおよび酢酸エチル系を含み、ここで、溶媒の体積比は、化合物の極性に従って調整され、少量のトリエチルアミンおよび酸性またはアルカリ性試薬を調整のために添加してもよい。
【0097】
例1
1-(3-(7-(4-(モルホリノメチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0098】
【化23】
【0099】
工程1
Tert-ブチル5-アミノ-4-メチル-5’,6’-ジヒドロ-[2,3’-ジピリジル]-1’(2’H)-カルボキシレート
化合物6-クロロ-4-メチルピリジン-3-アミン1a(568mg、4.0mmol)、tert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート(1.22g、4.0mmol)、炭酸セシウム(3.8g、12mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン付加物(146mg、0.2mmol)、1,4-ジオキサン(30mL)および水(7mL)を混合し、脱気し、窒素下、16時間にわたって還流状態まで加熱した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1~2/1)によって精製して、標的化合物tert-ブチル5-アミノ-4-メチル-5’,6’-ジヒドロ-[2,3’-ジピリジル]-1’(2’H)-カルボキシレート1b(401mg、黄色油)、収率:34%を生成した。
【0100】
MS m/z (ESI):290[M+1]
工程2
Tert-ブチル3-(5-アミノ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
化合物tert-ブチル5-アミノ-4-メチル-5’,6’-ジヒドロ-[2,3’-ジピリジル]-1’(2’H)-カルボキシレート1b(401mg、0.45mmol)、Pd/C(106mg)およびエタノール(100mL)を混合し、脱気し、水素雰囲気下、室温で16時間にわたって撹拌した。混合物を濾過し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去して、粗標的生成物tert-ブチル3-(5-アミノ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1c(400mg、黄色油)を得、これを、さらに精製することなく次の反応に使用した。
【0101】
MS m/z (ESI):292[M+1]
工程3
Tert-ブチル3-(5-アミノ-6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
化合物tert-ブチル3-(5-アミノ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1c(400mg、粗製物)、N-ブロモスクシンイミド(244mg、1.4mmol)およびジクロロメタン(5mL)を、0℃で混合し、次いで、0℃で1時間にわたって撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム(10mL)を添加し、混合物をジクロロメタン(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=6/1)によって精製して、標的生成物tert-ブチル3-(5-アミノ-6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1d(290mg、褐色油)、収率:2工程57%を得た。
【0102】
MS m/z (ESI):370[M+1]
工程4
Tert-ブチル3-(5-アミノ-4-メチル-6-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
化合物tert-ブチル3-(5-アミノ-6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1d(300mg、0.81mmol)、4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェンメチル)モルホリン(295mg、0.97mmol)、炭酸セシウム(792mg、2.4mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン付加物(50mg、0.2mmol)、1,4-ジオキサン(15mL)および水(5mL)を混合し、脱気し、窒素下、16時間にわたって還流状態まで加熱した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=20/1~1/1)によって精製して、標的化合物tert-ブチル3-(5-アミノ-4-メチル-6-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1e(300mg、黄色油)、収率:80%を生成した。
【0103】
MS m/z (ESI):467[M+1]
工程5
Tert-ブチル3-(5-アセトアミド-4-メチル-6-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
化合物tert-ブチル3-(5-アミノ-4-メチル-6-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1e(300mg、0.64mmol)、無水酢酸(130mg、1.3mmol)および無水トルエン(20mL)を混合し、14時間にわたって撹拌しながら100℃に加熱した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去して、標的粗生成物tert-ブチル3-(5-アセトアミド-4-メチル-6-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1f(350mg、黄色粘性油)を得、これを、さらに精製することなく次の反応において直接使用した。
【0104】
MS m/z (ESI):509[M+1]
工程6
Tert-ブチル3-(7-(4-(モルホリノメチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル3-(5-アセトアミド-4-メチル-6-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1f(350mg、粗製物)、無水酢酸(208mg、2.0mmol)、酢酸カリウム(87mg、0.88mmol)およびベンゼン(20mL)の混合物を、78℃に加熱した。亜硝酸イソアミル(117mg、1.0mmol)を直ちに添加し、得られた混合物を18時間にわたって撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物を、水(5mL)およびエタノール(15mL)の混合物に溶解し、水酸化リチウム一水和物(100mg)を添加した。混合物を室温で2時間にわたって撹拌し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物を水(10mL)に分散させ、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/1~1/2)によって精製して、標的生成物tert-ブチル3-(7-(4-(モルホリノメチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1g(130mg、黄色固体)、収率:2工程40%を得た。
【0105】
MS m/z (ESI):478[M+1]
工程7
4-(4-(5-(ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)フェンメチル)モルホリン
化合物tert-ブチル3-(7-(4-(モルホリノメチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート1g(130mg、0.27mmol)、トリフルオロ酢酸(3mL)およびジクロロメタン(3mL)を混合し、室温で14時間にわたって撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液(30mL)を添加し、混合物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製して、標的生成物4-(4-(5-(ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)フェンメチル)モルホリン1h(100mg、黄色粘性油)、収率:98%を得た。
【0106】
MS m/z (ESI):378[M+1]
工程8
1-(3-(7-(4-(モルホリノメチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
化合物4-(4-(5-(ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)フェンメチル)モルホリン1h(0.15g、0.40mmol)、塩化アクリロイル(91mg、0.56mmol)、固体重炭酸ナトリウム(86mg、0.86mmol)、水(5mL)およびテトラヒドロフラン(15mL)を混合し、室温で2時間にわたって撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製して、標的生成物1-(3-(7-(4-(モルホリノメチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン1(20mg、白色固体)、収率:23%を得た。
【0107】
MS m/z (ESI):432[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.30 - 8.22 (m, 3H), 7.77 (dd, J = 8.3, 2.3 Hz, 2H), 7.73 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 4.79 (m, 0.5H), 4.52 (m, 2.5H), 4.17 (m, 1H), 4.01 (m, 2H), 3.84 (m, 2H), 3.53 (dd, J = 13.3, 11.0 Hz, 1H), 3.36 (m, 2H), 3.29 - 2.98 (m, 3H), 2.93 - 2.78 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.15 (s, 1H), 2.08 (s, 1H), 1.95 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 1.78 - 1.62 (m, 1H).
例2
1-(3-(7-(4-(オキセタン-3-オキシ)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0108】
【化24】
【0109】
例2は、工程4において4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェンメチル)モルホリンを4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(オキセタン-3-オキシ)フェニル)-1,3,2-ジオキサボロランで置きかえたことを除き、例1における手順に準拠して合成した。
【0110】
MS m/z (ESI):405[M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 11.04 (s, 1H), 8.15 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.45 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 6.98 - 6.82 (m, 2H), 6.68 (dd, J = 16.6, 10.7 Hz, 1H), 6.31 (t, J = 15.1 Hz, 1H), 5.69 (dd, J = 27.8, 10.4 Hz, 1H), 5.31 (s, 1H), 5.09 - 4.98 (m, 2H), 4.89 - 4.74 (m, 2.5H), 4.70 (d, J = 11.4 Hz, 0.5H), 4.29 (d, J = 12.3 Hz, 0.5H), 4.05 (d, J = 13.3 Hz, 0.5H), 3.51 (t, J = 12.1 Hz, 0.5H), 3.20 (dd, J = 29.8, 16.8 Hz, 2H), 2.83 (t, J = 12.3 Hz, 0.5H), 2.22 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.14 - 1.97 (m, 1H), 1.89 (s, 1H), 1.71 (s, 1H).
例3
1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0111】
【化25】
【0112】
例3aは、工程4において4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェンメチル)モルホリンを(4-フェノキシフェニル)ホウ酸で置きかえたことを除き、例1の工程1~7において記述されている手順に準拠して合成した。
【0113】
MS m/z (ESI):371[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.35 - 8.28 (m, 1H), 8.10 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.78 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 7.52 - 7.40 (m, 2H), 7.23 (dd, J = 7.8, 4.2 Hz, 3H), 7.18 - 7.09 (m, 2H), 3.68 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.47 (d, J = 11.6 Hz, 3H), 3.22 - 3.09 (m, 1H), 2.26 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 2.17 - 1.92 (m, 3H).
工程1
化合物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン3a(0.13g、0.40mmol)、塩化アクリロイル(34mg、0.37mmol)、固体重炭酸ナトリウム(63mg、0.75mmol)、水(5mL)およびテトラヒドロフラン(15mL)を混合し、室温で2時間にわたって撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって精製して、標的生成物3 1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン(120mg、白色固体)、収率:83%を得た。
【0114】
MS m/z (ESI):425[M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.81 (brs, 1H), 8.18 (s, 1H), 8.02 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.49 (s, 1H), 7.42 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.21 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 7.13 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 6.68 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 6.38 - 6.26 (m, 1H), 5.69 (dd, J = 25.2, 10.5 Hz, 1H), 4.84 (s, 0.5H), 4.71 (d, J = 11.9 Hz, 0.5H), 4.30 (d, J = 13.5 Hz, 0.5H), 4.05 (d, J = 12.8 Hz, 0.5H), 3.57 - 3.48 (m, 0.5H), 3.28 - 3.12(m, 2H), 2.84 - 2.74(m, 0.5H), 2.25 - 2.16(m, 1H), 2.11 - 2.0(s, 1H), 1.95 - 1.85(m, 1H), 1.75 - 1.65(m, 1H).
例4
(E)-4-(ジメチルアミノ)-1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン
【0115】
【化26】
【0116】
化合物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン3a(100mg、0.28mmol)、(E)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン酸(53mg、0.32mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(154mg、0.41mmol)、トリエチルアミン(82mg、0.81mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)を混合し、室温で3時間にわたって撹拌した。混合物を減圧下で脱溶媒化(desolventize)した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1~10/1)によって精製して、標的生成物(E)-4-(ジメチルアミノ)-1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン4(45mg、白色固体)、収率:33%を得た。
【0117】
MS m/z (ESI):482[M+1]
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 13.55 (brs, 1H), 8.26 (s, 3H), 7.60 (s, 1H), 7.47 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.31 - 7.06 (m, 5H), 6.59 (s, 2H), 4.48 (s, 1H), 4.23 (s, 1H), 3.13 - 2.97 (m, 5H), 2.21 (s, 7H), 2.08 - 1.96 (m, 1H), 1.88 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.70 - 1.50 (m, 1H).
例5
7-(4-フェノキシフェニル)-5-(1-(エテニルスルホニル)ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン
【0118】
【化27】
【0119】
化合物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン3a(100mg、0.27mmol)、2-クロロエタンスルホニルクロリド(52mg、0.32mmol)、トリエチルアミン(82mg、0.81mmol)およびジクロロメタン(3mL)を混合し、室温で1時間にわたって撹拌した。混合物を濃縮して、減圧下で溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/1~1/3)によって精製して、標的生成物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(1-(エテニルスルホニル)ピペリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン5(20mg、白色固体)、収率:16%を得た。
【0120】
MS m/z (ESI):461[M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.21 (s, 1H), 8.01 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.59 (s, 1H), 7.43 (dd, J = 8.4, 7.5 Hz, 2H), 7.22 (dd, J = 7.9, 6.4 Hz, 3H), 7.17 - 7.09 (m, 2H), 6.51 (dd, J = 16.7, 9.9 Hz, 1H), 6.27 (d, J = 16.6 Hz, 1H), 6.05 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 3.95 - 3.86 (m, 1H), 3.75 - 3.79 (m, 1H), 3.20 - 3.10 (m, 2H), 2.90 - 2.75 (m, 1H), 2.20 - 2.09 (m, 1H), 1.99 - 1.85 (m, 2H), 1.65 - 1.50(m, 2H).
例6
1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0121】
【化28】
【0122】
工程1
6-クロロ-2-ヨード-4-メチルピリジン-3-アミン
化合物6-クロロ-4-メチルピリジン-3-アミン6a(6.75g、47.3mmol)、N-ヨードスクシンイミド(12.95g、57.6mmol)およびN,N-ジメチルホルムアミド(100mL)を0℃で混合し、室温で15時間にわたって撹拌した。次に、水(100ml)を添加し、混合物を酢酸エチル(150mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)によって精製して、標的生成物6-クロロ-2-ヨード-4-メチルピリジン-3-アミン6b(6.5g、黄色固体)、収率:47%を得た。
【0123】
MS m/z (ESI):269[M+1]
工程2
6-クロロ-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-3-アミン
例1の1eのための手順を参照し、1,6-クロロ-2-ヨード-4-メチルピリジン-3-アミン6b(3.0g、11.2mmol)を出発材料として使用して、標的生成物6-クロロ-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-3-アミン6c(3.5g、黄色固体)、収率:100%を得た。
【0124】
MS m/z (ESI):311[M+1]
工程3
N-(6-クロロ-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-3-イル)アセトアミド
例1の1fのための手順を参照し、6-クロロ-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-3-アミン6c(3.5g、11.2mmol)を出発材料として使用して、標的生成物N-(6-クロロ-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-3-イル)アセトアミド6d(4.0g、黄色固体)、収率:100%を得た。
【0125】
MS m/z (ESI):353[M+1]
工程4
5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン
例1の1gのための手順を参照し、N-(6-クロロ-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-3-イル)アセトアミド6d(3.4g、9.6mmol)を出発材料として使用して、標的生成物5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン6e(1.5g、黄色固体)、収率:40%を得た。
【0126】
MS m/z (ESI):322[M+1]
工程5
Tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート
例1の1bのための手順を参照し、5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン6e(850mg、2.64mmol)およびtert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート(1.95g、6.6mmol)を出発材料として使用して、標的生成物tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート6f(700mg、黄色固体)、収率:58%を得た。
【0127】
MS m/z (ESI):455[M+1]
工程6
Tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート
例1の1cのための手順を参照し、tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレート6f(700mg、1.54mmol)を出発材料として使用して、標的生成物tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート6g(270mg、黄色固体)、収率:39%を得た。
【0128】
MS m/z (ESI):457[M+1]
工程7
7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン
例1の1hのための手順を参照し、tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート6g(250mg、0.327mmol)を出発材料として使用して、標的生成物tert-ブチル7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン6h(95mg、黄色固体)、収率:82%を得た。
【0129】
MS m/z (ESI):357[M+1]
工程8
1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
例1の1のための手順を参照し、1,7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン6h(95mg、0.267mmol)を出発材料として使用して、標的生成物1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン6(45mg、黄色固体)、収率:82%を得た。
【0130】
MS m/z (ESI):411[M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.86 (brs, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.99 (t, J = 9.3 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.45 - 7.38 (m, 2H), 7.20 (dd, J = 11.5, 8.7 Hz, 3H), 7.15 - 7.09 (m, 2H), 6.58 - 6.36 (m, 2H), 5.71 (ddd, J = 14.7, 10.0, 2.3 Hz, 1H), 4.20 - 4.07 (m, 1H), 4.00 - 3.60 (m, 4H), 2.58 - 2.30 (m, 2H).
例7
1-(4-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0131】
【化29】
【0132】
例7は、工程5においてtert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキシレートをtert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートで置きかえたことを除き、例6における手順に準拠して合成した。
【0133】
MS m/z (ESI):371[M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.65(s, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.09 - 8.08(m, 2H), 7.57 - 7.44(m, 3H), 7.23 - 7.11(m, 5H), 6.90 - 6.84 (m, 1H), 6.13(d, J = 12.8 Hz, 1H), 5.68 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 4.62 - 4.59 (m, 1H), 4.23 - 4.19 (m, 1H), 3.02 - 3.12(m, 2H), 2.83 - 2.77(m, 1H), 2.02 - 1.99(m, 2H), 1.76 - 1.70 (m, 2H).
例8
N-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)フェニル)アクリルアミド
【0134】
【化30】
【0135】
工程1
3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)アニリン
例1の1bのための手順を参照し、5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン(100mg、0.34mmol)および(3-アミノフェニル)ホウ酸6e(51mg、0.37mmol)を出発材料として使用して、標的生成物3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)アニリン8b(80mg、灰色固体)、収率:68%を得た。
【0136】
MS m/z (ESI):379[M+1]
工程1
N-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)フェニル)アクリルアミド
例1の1のための手順を参照し、3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)アニリン8b(80mg、0.21mmol)を出発材料として使用して、N-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)フェニル)アクリルアミド8(13mg、黄色固体)、収率:15%を得た。
【0137】
MS m/z (ESI):433[M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.82 (s, 1H), 10.28 (s, 1H), 8.46 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 8.23 - 8.19 (m, 3H), 7.89 - 7.79 (m, 2H), 7.49 - 7.43 (m, 3H), 7.25 - 7.15 (m, 5H), 6.50 - 6.46 (m, 1H), 6.31 - 6.27 (m, 1H), 5.79 - 5.77 (m, 1H).
例9
1-(4-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0138】
【化31】
【0139】
工程1
5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン
化合物5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン9a(500mg、1.56mmol)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(393mg、4.68mmol)およびジクロロメタン(20mL)を0℃で混合し、次いで、p-トルエンスルホン酸(50mg、0.29mmol)を添加した。混合物を室温で15時間にわたって撹拌した。重炭酸ナトリウムの飽和溶液(10mL)を添加し、混合物をジクロロメタン(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的生成物5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン9b(350mg、淡黄色固体)、収率:55%を得た。
【0140】
MS m/z (ESI): 406[M+1]
工程2
tert-ブチル4-(7-(4-フェノキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート
化合物5-クロロ-7-(4-フェノキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン9b(350mg、0.864mmol)、tert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレート(344mg、1.73mmol)、炭酸セシウム(562mg、1.73mmol)、(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル)[2-(2-アミノエチルフェニル)]パラジウム(II)クロリドメチルtert-ブチルエーテル付加物(68mg、0.09mmol)および1,4-ジオキサン(20mL)を混合し、脱気し、窒素下、マイクロ波中、150℃で5時間にわたって加熱した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、標的化合物tert-ブチル4-(7-(4-フェノキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート9c(50mg、黄色油)、収率:18%を生成した。
【0141】
MS m/z (ESI):556[M+1]
工程3
7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペラジン-1-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン
化合物tert-ブチル4-(7-(4-フェノキシフェニル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペラジン-1-カルボキシレート9c(50mg、0.0899mmol)およびジクロロメタン(3mL)を混合し、次いで、エタノール中塩化水素の溶液(4M、1mL、4mmol)を添加した。混合物を室温で14時間にわたって撹拌し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去して、標的生成物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペラジン-1-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン9d(粗製物、淡黄色固体)を得、これを、さらに精製することなく次の反応において直接使用した。
【0142】
MS m/z (ESI):372[M+1]
工程4
1-(4-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
例1の1のための手順を参照し、7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペラジン-1-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン9d(粗製物)を出発材料として使用して、1-(4-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペラジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン9(10mg、ほぼ白色の固体)、収率:2工程26%を得た。
【0143】
MS m/z (ESI):426[M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.62 (s, 1H),8.02 (t, J = 18.6 Hz, 3H), 7.42(t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.16 (dd, J = 31.1,8.2 Hz, 5H), 6.89 (s, 1H), 6.66 (dd, J =16.8,10.5 Hz, 1H), 6.47 - 6.29 (m, 1H), 5.78 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 3.89 (d, J =51.8 Hz, 4H), 3.61 (d, J = 30.3 Hz, 4H).
例10
N-(1-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-3-イル)アクリルアミド
【0144】
【化32】
【0145】
例10は、工程2においてtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートをtert-ブチルピロリジン-3-イルカルバメートで置きかえたことを除き、例9における手順に準拠して合成した。
【0146】
MS m/z (ESI):426[M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.42 (s, 1H), 7.99 (d, J = 8.7 Hz, 3H), 7.41 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.16 (dt, J = 8.6, 7.7 Hz, 4H), 6.57 (s, 1H), 6.35 (dd, J = 16.9, 1.2 Hz, 1H), 6.21 - 5.84 (m, 2H), 5.68 (dd, J = 10.3, 1.2 Hz, 1H), 4.80 (s, 1H), 3.92 - 3.56 (m, 4H), 2.43 (dd, J = 13.5, 6.5 Hz, 1H), 2.13 (d, J = 4.8 Hz, 1H).
例11
1-(3-((7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0147】
【化33】
【0148】
例11は、工程2においてtert-ブチルピペラジン-1-カルボキシレートをtert-ブチル3-アミノピロリジン-1-カルボキシレートで置きかえたことを除き、例9における手順に準拠して合成した。
【0149】
MS m/z (ESI):426[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.07 - 7.93 (m, 2H), 7.43 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.24 - 7.06 (m, 4H), 6.65 (ddd, J = 27.4, 24.5, 16.1 Hz, 2H), 6.29 (ddd, J = 16.9, 7.6, 2.0 Hz, 1H), 5.75 (ddd, J = 16.4, 10.4, 1.9 Hz, 1H), 4.61 - 4.44 (m, 1H), 4.09 (dd, J = 10.6, 6.1 Hz, 1H), 3.99 - 3.85 (m, 1H), 3.78 (dt, J = 15.1, 6.9 Hz, 1H), 3.63 (ddd, J = 25.3, 14.2, 6.2 Hz, 2H), 2.25 (m, 3H).
例12
1-(4-(7-(4-(ピリジン-2-オキシ)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0150】
【化34】
【0151】
例12は、工程1においてtert-ブチル3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-5,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートをtert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレートで置きかえたこと、および工程4において4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェンメチル)モルホリンを4,4,5,5-テトラメチル-2-(4-(オキセタン-3-オキシ)フェニル)-1,3,2-ジオキサボロランで置きかえたことを除き、例1における手順に準拠して合成した。
【0152】
MS m/z (ESI):417[M+1]
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.62 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 8.02 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.51 (s, 1H), 7.08 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.88 (dd, J = 16.7, 10.5 Hz, 1H), 6.13 (dd, J = 16.7, 2.5 Hz, 1H), 5.69 (dd, J = 10.4, 2.5 Hz, 1H), 4.93 (dd, J = 7.1, 4.5 Hz, 1H), 4.61 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 4.21 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 3.23 (t, J = 12.2 Hz, 1H), 3.09 (s, 1H), 2.80 (s, 1H), 1.99 (dd, J = 8.5, 5.5 Hz, 4H), 1.83 - 1.55 (m, 8H).
例13
1-(4-(7-(4-(ピリジン-2-オキシ)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0153】
【化35】
【0154】
工程1
2-(4-ブロモフェノキシ)ピリジン
化合物4-ブロモフェノール13a(5.00g、28.9mmol)、2-ブロモピリジン(4.60g、28.9mmol)、銅粉(184mg、2.89mmol)、ヨウ化第一銅(550mg、2.89mmol)、炭酸カリウム(11.9g、86.7mmol)およびN-メチルピペリジン-2-オン(30mL)を混合し、15時間にわたって撹拌しながら150℃に加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、水(90mL)を添加した。混合物をジクロロメタン(80mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的生成物2-(4-ブロモフェノキシ)ピリジン13b(2.60g、淡黄色油)、収率:36%を得た。
【0155】
MS m/z (ESI): 250, 252[M+1]
工程2
2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)ピリジン
化合物2-(4-ブロモフェノキシ)ピリジン13b(1.3g、5.24mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ジ(1,3,2-ジオキサボロラニル)(1.59g、6.28mmol)、酢酸カリウム(1.03g、10.50mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウムジクロリド(380mg、0.524mmol)および1,4-ジオキサン(70mL)を混合し、脱気し、窒素下、90℃で15時間にわたって加熱した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)によって精製して、標的化合物2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)ピリジン13c(1.30g、黄色油)、収率:79%を生成した。
【0156】
MS m/z (ESI): 298[M+1]
工程3~7
1-(4-(7-(4-(ピリジン-2-オキシ)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
13は、工程3において4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェンメチル)モルホリンおよびtert-ブチル3-(5-アミノ-6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートを2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)ピリジンおよびtert-ブチル4-(5-アミノ-6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートで置きかえたことを除き、例12の工程4~8において記述されている手順に準拠して調製した。
【0157】
MS m/z (ESI):426[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.19 (s, 1H), 8.06 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.59 (s, 1H), 7.41 (dd, J = 15.1, 8.2 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.88 (dt, J = 19.0, 8.5 Hz, 4H), 6.24 (dd, J = 16.8, 1.4 Hz, 1H), 5.77 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 4.77 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.38 (s, 1H), 3.21 (s, 1H), 2.93 (t, J = 12.6 Hz, 1H), 2.14 (s, 2H), 1.91 (s, 2H).
例14
1-(4-(7-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0158】
【化36】
【0159】
工程1
1-ブロモ-2-フルオロ-4-フェノキシベンゼン
化合物3-フルオロ-4-ブロモフェノール14a(3.00g、15.7mmol)、フェニルボロン酸(3.82g、31.4mmol)、酢酸第二銅(2.85g、15.7mmol)、トリエチルアミン(4.8g、47.1mmol)、分子篩(5g)およびジクロロメタン(120mL)を混合し、室温で15時間にわたって撹拌した。混合物を濾過して、分子篩を除去し、減圧下で脱溶媒化した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的生成物1-ブロモ-2-フルオロ-4-フェノキシベンゼン14b(3.30g、白色固体)、収率:78%を得た。
【0160】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.48 (t, J = 8.3 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.21 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.80 (dd, J = 9.8, 2.7 Hz, 1H), 6.73 (dd, J = 8.8, 2.7 Hz, 1H).
工程2
2-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン
例12における12cのための合成手順に準拠し、1-ブロモ-2-フルオロ-4-フェノキシベンゼン(3.30g、12.3mmol)を出発材料として使用して、2-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン13c(1.40g、淡黄色固体)、収率:36%を生成した。
【0161】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.73 - 7.67 (m, 1H), 7.40 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.20 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.78 (dd, J = 8.3, 2.2 Hz, 1H), 6.64 (dd, J = 10.7, 2.2 Hz, 1H), 1.37 (s, 12H).
工程3~7
1-(4-(7-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
14は、工程3において4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェンメチル)モルホリンおよびtert-ブチル3-(5-アミノ-6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートを2-(2-フルオロ-4-フェノキシフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロランおよびtert-ブチル4-(5-アミノ-6-ブロモ-4-メチルピリジン-2-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートで置きかえたことを除き、例12の工程4~8において記述されている手順に準拠して調製した。
【0162】
MS m/z (ESI):443[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.17 (s, 1H), 7.75 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.47 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.25 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.21 - 7.11 (m, 2H), 7.01 (dd, J = 8.5, 2.0 Hz, 1H), 6.89 (ddd, J = 27.5, 14.2, 6.4 Hz, 2H), 6.23 (dd, J = 16.8, 2.0 Hz, 1H), 5.77 (dd, J = 10.7, 1.9 Hz, 1H), 4.76 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 4.29 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.35 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.21 (t, J = 11.8 Hz, 1H), 2.92 (t, J = 12.7 Hz, 1H), 2.13 (s, 2H), 1.89 (td, J = 12.2, 5.3 Hz, 2H).
例15
1-(4-(7-(4-(3-フルオロフェノキシル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0163】
【化37】
【0164】
15は、工程1において3-フルオロ-4-ブロモフェノールおよびフェニルボロン酸をp-ブロモフェノールおよびm-フルオロフェニルボロン酸で置きかえたことを除き、例14の手順に準拠して調製した。
【0165】
MS m/z (ESI):443[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.38 (s, 1H), 8.22 (dd, J = 5.0, 1.3 Hz, 1H), 8.13 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 7.99 - 7.82 (m, 2H), 7.42 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.23 (dd, J = 6.8, 5.4 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 16.8, 10.7 Hz, 1H), 6.25 (dd, J = 16.8, 2.0 Hz, 1H), 5.79 (dd, J = 10.7, 2.0 Hz, 1H), 4.81 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 4.35 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 3.38 (d, J = 12.9 Hz, 2H), 2.94 (s, 1H), 2.18 (s, 2H), 1.99 - 1.84 (m, 2H).
例16
1-(4-(7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0166】
【化38】
【0167】
16は、出発材料として2-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェノキシ)ピリジンを1-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンジル)ピロリジンで置きかえたことを除き、例13の工程4~8において記述されている手順に準拠して調製した。
【0168】
MS m/z (ESI):416[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.20 (s, 1H), 8.07 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.69 - 7.57 (m, 3H), 6.85 (dd, J = 16.8, 10.7 Hz, 1H), 6.24 (dd, J = 16.8, 1.9 Hz, 1H), 5.77 (dd, J = 10.6, 1.9 Hz, 1H), 4.76 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 4.30 (d, J = 13.5 Hz, 1H), 3.98 (s, 2H), 3.36 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 3.20 (ddd, J = 15.4, 7.7, 3.7 Hz, 1H), 3.00 - 2.80 (m, 5H), 2.13 (t, J = 9.9 Hz, 2H), 2.04 - 1.81 (m, 6H).
例17
1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピペリジン-1-イル)ブタ-2-イン-1-オン
【0169】
【化39】
【0170】
17は、(E)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エン酸をブタ-2-イン酸で置きかえたことを除き、例4の手順に準拠して調製した。
【0171】
MS m/z (ESI):416[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.19 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 8.07 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.9 Hz, 2H), 7.20 (dd, J = 8.2, 4.1 Hz, 3H), 7.12 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 4.69 (t, J = 9.3 Hz, 1H), 4.54 - 4.41 (m, 1H), 3.61 - 3.52 (m, 0.5H), 3.28 (s, 0.5H), 3.24 - 3.16 (m, 0.5H), 3.15 - 2.95 (m, 1H), 2.91 - 2.86 (m, 0.5H), 2.23 - 2.18 (m, 1H), 2.15 - 1.88 (m, 5H), 1.80 - 1.58 (m, 1H).
例18
4-(5-(1-アクリロイルピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド
【0172】
【化40】
【0173】
工程1~5
Tert-ブチル3-(7-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート
18fは、工程1において(4-フェノキシフェニル)ホウ酸をメチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾエートで置きかえたことを除き、例6の工程2~6において記述されている手順に準拠して調製した。
【0174】
MS m/z (ESI):423[M+1]
工程6
4-(5-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)安息香酸
化合物tert-ブチル3-(7-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート18f(422mg、1.0mmol)、水酸化リチウム(52mg、10.0mmol)、水(10mL)およびテトラヒドロフラン(10mL)を混合し、室温で14時間にわたって撹拌した。反応溶液を1M希塩酸でpH=6に調整し、ジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去して、標的生成物4-(5-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)安息香酸18g(300mg、粗製物)を得、これを、さらに精製することなく次の反応において直接使用した。
【0175】
MS m/z (ESI):409[M+1]
工程7
Tert-ブチル3-(7-(4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート
化合物4-(5-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)安息香酸18g(204mg、0.5mmol)、トリエチルアミン(194mg、3.0mmol)およびジクロロメタン(20mL)を混合し、次いで、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキシ三リン酸-2,4,6-三酸化物(477mg、1.5mmol)を添加した。混合物を室温で14時間にわたって撹拌し、次いで、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(10mL)を添加した。反応混合物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、標的生成物tert-ブチル3-(7-(4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート18h(80mg、黄色固体)、収率:33%を得た。
【0176】
MS m/z (ESI):485[M+1]
工程8
N-(ピリジン-2-イル)-4-(5-(ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)ベンズアミド
例1の1hのための合成手順に準拠し、tert-ブチル3-(7-(4-(ピリジン-2-イルカルバモイル)フェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート(80mg、0.17mmol)を出発材料として使用して、N-(ピリジン-2-イル)-4-(5-(ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)ベンズアミド18i(50mg、粗製物)を生成した。
【0177】
MS m/z (ESI):385[M+1]
工程9
4-(5-(1-アクリロイルピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド
例1の1のための合成手順に準拠し、N-(ピリジン-2-イル)-4-(5-(ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)ベンズアミド18i(50mg、0.13mmol)を出発材料として使用して、標的生成物4-(5-(1-アクリロイルピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド18(12mg、黄色固体)、収率:12%を生成した。
【0178】
MS m/z (ESI):439[M+1]
1H NMR (400 MHz,CDCl3) δ 11.13 (s, 1H), 9.69 (s, 1H), 8.66 - 8.56 (m, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.30 - 8.14 (m, 3H), 7.96 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.57 (t, J = 10.6 Hz, 1H), 7.23 (s, 1H), 6.93 - 6.79 (m, 1H), 6.51 (tdd, J = 16.8, 12.4, 8.0 Hz, 2H), 5.78 - 5.66 (m, 1H), 4.22 - 4.05 (m, 1H), 4.03 - 3.60 (m, 4H), 2.46 (dt, J = 32.0, 7.5 Hz, 2H).
例19
4-(5-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド
【0179】
【化41】
【0180】
化合物N-(ピリジン-2-イル)-4-(5-(ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)ベンズアミド18i(384mg、1.0mmol)、ブタ-2-イノイルクロリド(113mg、1.1mmol)、固体重炭酸ナトリウム(232mg、3.0mmol)、水(4mL)およびテトラヒドロフラン(16mL)を混合し、室温で1時間にわたって撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、標的生成物4-(5-(1-(ブタ-2-インアシル)ピロリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-7-イル)-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミド19(72mg、白色固体)、収率:16%を得た。
【0181】
MS m/z (ESI):439[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.53 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 8.47 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 8.43 - 8.33 (m, 4H), 8.03 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.71 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 4.28 (dd, J = 10.9, 7.4 Hz, 0.5H), 3.95 (m, 4H), 3.66 - 3.56 (m, 0.5H), 2.63 - 2.36 (m, 2H), 2.06 (d, J = 20.4 Hz, 3H).
例20
1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0182】
【化42】
【0183】
工程1
4-ブロモ-2-ヨード-6-メチルアニリン
化合物4-ブロモ-2-メチルアニリン20a(5g、26.87mmol)、N-ヨードスクシンイミド(6.05g、26.87mmol)、p-トルエンスルホン酸(0.5g、2.91mmol)およびアセトニトリル(100mL)を室温で混合し、3時間にわたって撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム(50mL)を添加した。混合物を酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的生成物4-ブロモ-2-ヨード-6-メチルアニリン20b(3.5g、白色固体)、収率:42%を得た。
【0184】
MS m/z (ESI):312, 314[M+1]
工程2
5-ブロモ-7-ヨード-1H-インダゾール
化合物4-ブロモ-2-ヨード-6-メチルアニリン20b(3.5g、11.2mmol)、酢酸(45mL)および水(2.1mL)を室温で混合し、次いで、亜硝酸ナトリウム(851mg、12.3mmol)を添加した。混合物を室温でもう1時間にわたって撹拌し、次いで、水(200mL)を添加した。重炭酸ナトリウムの飽和溶液を使用することによって混合物をpH=9に調整し、酢酸エチル(200mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的生成物5-ブロモ-7-ヨード-1H-インダゾール20c(2.5g、褐色固体)、収率:69%を得た。
【0185】
MS m/z (ESI):323, 325[M+1]
工程3
5-ブロモ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール
化合物5-ブロモ-7-ヨード-1H-インダゾール20c(2.0g、6.2mmol)、(4-フェノキシフェニル)ホウ酸(1.46g、6.8mmol)、炭酸セシウム(4.04g、12.4mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウムジクロリド(453mg、0.62mmol)、1,4-ジオキサン(50mL)および水(10mL)を混合し、脱気し、窒素下、100℃で12時間にわたって加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、水(100mL)を添加した。次に、混合物を酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で脱溶媒化した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)によって精製して、標的化合物5-ブロモ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール20d(1.6g、白色固体)、収率:71%を生成した。
【0186】
MS m/z(ESI):365, 367[M+1]
工程4
7-(4-フェノキシフェニル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール
化合物5-ブロモ-7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール20d(730mg、2mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ジ(1,3,2-ジオキサボロラニル)(1.22g、4.0mmol)、酢酸カリウム(589mg、6mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウムジクロリド(146mg、0.2mmol)および1,4-ジオキサン(20mL)を混合し、脱気し、窒素下、90℃で12時間にわたって加熱した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的化合物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール20e(480mg、白色固体)、収率:34%を生成した。
【0187】
MS m/z (ESI):413[M+1]
工程5
Tert-ブチル5-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキソ)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート
化合物tert-ブチル3-カルボニルピペリジン-1-カルボキシレート20i(10g、50mmol)を、窒素保護下でテトラヒドロフラン(200mL)に溶解し、-78℃に冷却し、次いで、テトラヒドロフラン中リチウムジ-イソプロピルアミドの溶液(2M、30mL)を添加した。混合物を前述の温度で1時間にわたって撹拌し、次いで、N-フェニル-ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(19.6g、55mmol)を添加した。次に、混合物を室温に徐々に加温し、もう3時間にわたって撹拌した。反応物を水(5mL)でクエンチした。反応混合物を水(300mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(300mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮して、減圧下で溶媒を除去して、標的生成物tert-ブチル5-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキソ)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート20j(4.8g、褐色油)、収率:29%を得た。
【0188】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.97-5.89 (m, 1H), 4.07-4.00 (m, 2H), 3.52-3.44 (m, 2H), 2.34- 2.26 (m, 2H), 1.48 (s, 9H).
工程6
Tert-ブチル5-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート
化合物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール20e(2.3g、5.58mmol)、tert-ブチル5-(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキソ)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート20j(2.8g、8.37mmol)、炭酸セシウム(3.6g、11.16mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィン)フェロセン]パラジウムジクロリド(408mg、0.2mmol)、1,4-ジオキサン(80mL)および水(16mL)を混合し、脱気し、窒素下、100℃で12時間にわたって加熱した。混合物を室温に冷却し、濃縮して、溶媒を除去した。残留物を水(50mL)に分散させ、酢酸エチル(300mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、標的化合物tert-ブチル5-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート20f(2.2g、白色固体)、収率:85%を生成した。
【0189】
MS m/z (ESI):468[M+1]
工程7
Tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート
化合物tert-ブチル5-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキシレート20f(1.4g、2.99mmol)、Pd-C(400mg)およびメタノール(30mL)を混合し、脱気し、水素雰囲気下、室温で16時間にわたって撹拌した。混合物を濾過し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去して、標的生成物tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート20g(1.3g、褐色油)、収率:92%を生成した。
【0190】
MS m/z (ESI): 470[M+1]
工程8
7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペリジン-3-イル)-1H-インダゾール
化合物tert-ブチル3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート20g(1.1g、2.3mmol)を酢酸エチル中塩化水素の溶液(1M、25mL、25mmol)に溶解し、室温で12時間にわたって撹拌した。混合物を濃縮して、減圧下で溶媒を除去して、標的生成物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペリジン-3-イル)-1H-インダゾール20h(1.1g、黄色固体)、収率100%を生成した。
【0191】
MS m/z (ESI):370[M+1]
工程9
1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
化合物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピペリジン-3-イル)-1H-インダゾール20h(500mg、1.23mmol)、塩化アクリロイル(111mg、1.23mmol)、固体重炭酸ナトリウム(210mg、2.46mmol)、水(12.5mL)およびテトラヒドロフラン(12.5mL)を混合し、室温で2時間にわたって撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、標的生成物1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-インダゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン20(20mg、白色固体)、収率:40%を得た。
【0192】
MS m/z (ESI):424[M+1]
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.10 (s, 1H), 7.68 - 7.62 (m, 2H), 7.60 (s, 1H), 7.42 (dd, J = 8.3, 7.6 Hz, 2H), 7.35 (s, 1H), 7.19 (d, J = 8.2 Hz, 3H), 7.13 (dd, J = 8.6, 0.9 Hz, 2H), 6.65 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 6.33 (d, J = 16.9 Hz, 1H), 5.77 - 5.64 (m, 1H), 4.86 (dd, J = 45.3, 12.8 Hz, 1H), 4.22 - 4.06 (m, 1H), 3.27 - 3.11 (m, 1H), 2.91 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 2.80 - 2.68 (m, 1H), 2.21 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.98 - 1.81 (m, 2H), 1.75 - 1.63 (m, 1H).
例21
1-(2-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
【0193】
【化43】
【0194】
工程1
エチル3-カルボニル-3-(4-フェノキシフェニル)プロピオネート
1-(4-フェノキシフェニル)エタノン21a(4.24g、20mmol)、水素化ナトリウム(60%、2.0g、50mmol)およびトルエン(30mL)の混合物を90℃に加熱し、次いで、化合物炭酸ジエチル(5.9g、50mmol)を添加した。反応混合物を45分間にわたって撹拌還流した。混合物を室温に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液で中性に調整し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=100/1)によって精製して、標的生成物エチル3-カルボニル-3-(4-フェノキシフェニル)プロピオネート21b(4.0g、白色固体)、収率:50%を得た。
【0195】
MS m/z (ESI):283[M-1]
工程2
エチル(Z)-3-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)アクリロイル酸エステル
化合物エチル3-カルボニル-3-(4-フェノキシフェニル)プロピオネート21b(2.84g、10.0mmol)、ギ酸アンモニウム(3.15g、50.0mmol)、分子篩(2.0g)およびエタノール(50mL)を混合し、16時間にわたって還流状態まで加熱した。混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し(concentrrated)、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)によって精製して、標的生成物エチル(Z)-3-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)アクリロイル酸エステル21c(1.8g、白色固体)、収率:64%を得た。
【0196】
MS m/z (ESI):284[M+1]
工程3
Tert-ブチル2-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシレート
化合物(tert-ブトキシカルボニル)プロリン21d(5g、23mmol)、メトキシメチルアミン塩酸塩(2.5g、25mmol)、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(9.7g、25mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(11.5mL、69mmol)およびジクロロメタン(100mL)を混合し、室温で15時間にわたって撹拌した。混合物を減圧下で脱溶媒化した。残留物を酢酸エチル(200mL)に溶解し、飽和生理食塩水で洗浄した。有機相を減圧下で脱溶媒化し、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1~1/1)によって精製して、標的生成物tert-ブチル2-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシレート21e(5.7g、無色油)、収率:96%を得た。
【0197】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.78 - 4.57 (m, 1H), 3.77 (d, J = 25.5 Hz, 3H), 3.59 (m, 1H), 3.54 - 3.38 (m, 1H), 3.22 (s, 3H), 2.20 (m, 1H), 1.93 (m, 3H), 1.46 (d, J = 17.8 Hz, 9H).
工程4
tert-ブチル2-(ブタ-2-インアシル)ピロリジン-1-カルボキシレート
化合物tert-ブチル2-(メトキシ(メチル)カルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシレート21e(3.5g、13.5mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解した。混合物を-78℃に冷却し、次いで、プロピニルマグネシウムブロミド溶液(0.5M、54mL、27mmol)を滴下添加した。添加の完了後、混合物を室温に徐々に加温し、もう15時間にわたって撹拌した。反応の完了後、飽和塩化アンモニウム溶液を添加して、反応物をクエンチした。混合物を減圧下で脱溶媒化した。残留物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、飽和生理食塩水で洗浄した。有機相を減圧下で脱溶媒化し、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)によって精製して、標的生成物tert-ブチル2-(ブタ-2-インアシル)ピロリジン-1-カルボキシレート21f(2.45g、無色油)、収率:78%を得た。
【0198】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.33 (ddd, J = 13.9, 8.7, 4.8 Hz, 1H), 3.55 (d, J = 6.7 Hz, 2H), 2.33 - 2.12 (m, 1H), 2.04 (d, J = 2.2 Hz, 3H), 2.03 - 1.80 (m, 3H), 1.46 (d, J = 19.1 Hz, 9H).
工程5
エチル6-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-イル)-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ニコチン酸エステル
化合物エチル(Z)-3-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)アクリロイル酸エステル21c(980mg、3.5mmol)、tert-ブチル2-(ブタ-2-インアシル)ピロリジン-1-カルボキシレート21f(907mg、3.8mmol)、酢酸アンモニウム(267mg、3.5mmol)およびエタノール(30mL)を混合し、100℃で撹拌しながら15時間にわたって加熱した。反応の完了後、混合物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的生成物エチル6-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-イル)-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ニコチン酸エステル21g(540mg、黄色固体)、収率:31%を得た。
【0199】
MS m/z (ESI):503[M+1]
工程6
6-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-イル)-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ニコチン酸
化合物エチル6-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-イル)-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ニコチン酸エステル21g(140mg、0.28mmol)、水酸化ナトリウム(1.1g、28mmol)、水(5mL)およびエタノール(8mL)を混合し、88℃に加熱し、15時間にわたって撹拌した。反応の完了後、反応混合物を塩酸によってpH=3に調整し、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機相を濃縮して、減圧下で溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、標的生成物6-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-イル)-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ニコチン酸21h(130mg、無色油)、収率:90%を得た。
【0200】
MS m/z (ESI):475[M+1]
工程7
tert-ブチル2-(5-アミノ-4-メチル-6-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート
化合物6-(1-(tert-ブトキシカルボニル)ピロリジン-2-イル)-4-メチル-2-(4-フェノキシフェニル)ニコチン酸21h(130mg、0.27mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(98mg、0.324mmol)、トリエチルアミン(36mg、0.324mmol)およびアセトニトリル(10mL)を混合し、Ar雰囲気下、90℃で撹拌しながら5時間にわたって加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、水を添加した(2mL)。混合物を、Ar雰囲気下、90℃で1時間にわたって加熱した。反応の完了後、反応混合物を濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)によって精製して、標的生成物tert-ブチル2-(5-アミノ-4-メチル-6-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート21i(60mg、無色油)、収率:60%を得た。
【0201】
MS m/z (ESI):446[M+1]
工程8
Tert-ブチル2-(5-アセトアミド-4-メチル-6-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート
化合物tert-ブチル2-(5-アミノ-4-メチル-6-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート21i(80mg、0.18mmol)、無水酢酸(37mg、0.36mmol)およびトルエン(10mL)を混合し、90℃で撹拌しながら15時間にわたって加熱した。反応物を室温に冷却し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)によって精製して、標的生成物tert-ブチル2-(5-アセトアミド-4-メチル-6-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート21j(44mg、無色油)、収率:50%を得た。
【0202】
MS m/z (ESI):488[M+1]
工程9
Tert-ブチル2-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート
tert-ブチル2-(5-アセトアミド-4-メチル-6-(4-フェノキシフェニル)ピリジン-2-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート21j(44mg、0.09mmol)、無水酢酸(28mg、0.27mmol)、酢酸カリウム(12mg、0.12mmol)およびベンゼン(20mL)の混合物を78℃に加熱し、亜硝酸イソアミルを直ちに添加した(17mg、0.14mmol)。混合物を18時間にわたって撹拌し、次いで、室温に冷却した。混合物を減圧下で脱溶媒化した。残留物を、水(5mL)およびエタノール(15mL)の混合物に溶解し、次いで、水酸化リチウム一水和物(100mg)を添加し、室温で2時間にわたって撹拌した。混合物を濃縮して、減圧下で溶媒を除去し、残留物を水(10mL)に分散させた。混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1/1~1/2)によって精製して、標的生成物tert-ブチル2-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート21k(10mg、黄色固体)、収率:24%を得た。
【0203】
MS m/z (ESI):457[M+1]
工程10
7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピロリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン
化合物tert-ブチル2-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-カルボキシレート20k(10mg、0.02mmol)、ジクロロメタン(5mL)およびエタノール中塩化水素の溶液(4M、1mL、4mmol)を混合し、室温で2時間にわたって撹拌した。混合物を減圧下で脱溶媒化して、標的生成物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピロリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン21l(5mg、粗製物)を生成した。生成物を、さらに精製することなく次の反応において直接使用した。
【0204】
MS m/z (ESI):357[M+1]
工程11
1-(2-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン
化合物7-(4-フェノキシフェニル)-5-(ピロリジン-2-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン20l(5mg、粗製物)、塩化アクリロイル(2mg、0.02mmol)、固体重炭酸ナトリウム(20mg、0.24mmol)、水(10mL)およびテトラヒドロフラン(20mL)を混合し、室温で2時間にわたって撹拌した。混合物を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、乾燥剤を除去し、濃縮して、減圧下で溶媒を除去した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)によって精製して、標的生成物1-(2-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン21(1mg、白色固体)、収率:17%を得た。
【0205】
MS m/z (ESI):411[M+1]
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.19 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 8.03 (dd, J = 12.4, 8.7 Hz, 2H), 7.53 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 7.48 - 7.37 (m, 2H), 7.25 - 7.17 (m, 2H), 7.13 (d, J = 8.3 Hz,1.5H), 6.80 (dd, J = 16.8, 10.5 Hz, 0.5H), 6.39 (dd, J = 16.9, 10.1 Hz, 0.5H), 6.24 (m, 1H), 5.79 (dd, J = 10.4, 1.9 Hz, 0.5H), 5.53 (dd, J = 10.3, 2.0 Hz, 0.5H), 5.46 (s, 1H), 5.36 (t, J = 4.7 Hz, 0.5H), 4.09 (d, J = 6.3 Hz, 0.5H), 4.00 - 3.85 (m, 1H), 3.82 - 3.74 (m, 0.5H), 2.49 (m, 1H), 2.23 (m, 2H), 2.11 - 1.98 (m, 2H).
例22
(S)-1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン22aおよび(R)-1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン22b
【0206】
【化44】
【0207】
化合物1-(3-(7-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-c]ピリジン-5-イル)ピロリジン-1-イル)プロパ-2-エン-1-オン6(1.34g)をキラル分取液体クロマトグラフィー(キラルカラム:CHIRALCEL OD-H;ゲージ:0.46cm I.D.×15cm L;移動相:n-ヘキサン/エタノール=70/30;流量:1.0mL/分;温度:35℃)によって分割して、2つの光学異性体(7.428分の保持時間を持つ一方の成分、0.61g;および10.601分の保持時間を持つ他方の成分、0.70g)を得た。2つの光学異性体は、それぞれ22aおよび22bに対応するが、それらの絶対配置は未だ同定されていない。
BTK酵素活性試験
インビトロキナーゼアッセイを使用して、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)活性に対する本発明の化合物の効果を評価する。
【0208】
実験方法は、概して、次の通りに記述される。
【0209】
BTKのインビトロ活性は、キナーゼ反応において産生されたADPを、Promega Company製のADP-Glo(商標)キナーゼアッセイキットで検出することによって測定する。キナーゼアッセイにおいて、キナーゼは、ATPを消費して基質をリン酸化し、その間にADPを産生する。次いで、ADP-Glo試薬は、キナーゼ反応を終了させ、残ったATPを完全に消費する。最後に、キナーゼ検出試薬を添加して、発生したADPを新たなATPに変換する。検出試薬中のルシフェラーゼは、フルオレセインをATPおよびO2の関与により触媒して、酸化フルオレセイン、AMPを産生し、光量子を発生させることができ、それにより、化学シグナルを光シグナル(ルミネッセンス(Luminecence))に変換する。光シグナルの強度は、キナーゼ反応におけるADPの産生と正に相関しているため、キナーゼBTKの活性をそれによって定量的に決定することができる。
【0210】
すべてのアッセイは、23℃の一定温度で、Corning3674型白色384ウェルプレートを使用して行い;BTKキナーゼ(His-Tagを持つ完全長)は、同社によって内部で発現および精製され;キナーゼの基質は、ポリペプチド(4:1 Glu,Tyr)(SignalChem製)およびATP(Sigma製)であり;光シグナルを読み出すために、マイクロプレートリーダーEnVision(Perkin Elmer)を使用する。アッセイ緩衝液は、40mMトリス-HCl(pH7.5)、10mM MgCl2(Sigma)、2mM MnCl2(Sigma)、0.05mM DTT(Sigma)および0.01%BSA(Sigma)を含み、BTKキナーゼを、アッセイ緩衝液で、キナーゼ反応溶液として1.6ng/uLの濃度に希釈し;基質反応溶液は、0.2mg/mLのポリペプチド基質および50uMのATPを含む。
【0211】
化合物のIC50は、10個の濃度点から、下記の方法によって算出する。化合物を100%DMSOに溶解および希釈して1mMの濃度にし、続いて、DMSOで連続3倍希釈して0.05uMの最小濃度にする。各濃縮物ストックを、アッセイ緩衝液でさらに40倍希釈する。384ウェルアッセイプレートに、1uLの一連の化合物溶液および2uLのキナーゼ反応溶液を添加し、続いて、均質に混合し、暗所、室温でインキュベートする。暗所で30分後、2uLの基質反応溶液を添加して、総反応体積を5uLにする。反応混合物を、暗所、室温でもう60分間にわたってインキュベートする。次いで、等体積の5uLのADP-Glo(商標)試薬を添加して、反応を終了させる。得られた混合物を均質に混合し、室温で40分間にわたって静置する。最後に、10uLのキナーゼ検出試薬を添加し、室温で30分間にわたって静置し、次いで、値をEnvisionで読み出す。
【0212】
パーセント阻害は、下記の方程式に基づいて算出する:
阻害%=[1-(RLUcompound-RLUmin)/(RLUmax-RLUmin)]×100
式中、RLUcompoundは、化合物の所与の濃度におけるルミネッセンス読み出しであり、RLUminは、キナーゼの非存在下でのルミネッセンス読み出しであり、RLUmaxは、化合物の非存在下でのルミネッセンス読み出しである。化合物のIC50は、エクセルでXLfitプログラムを使用することによって算出する。
【0213】
【表2】
【0214】
結論:本発明の化合物は、ブルトン型チロシンキナーゼの活性に対して有意な阻害効果を呈する。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
式(I)によって表される化合物、
【化45】
またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
[式中、
1 、A 2 およびA 3 は、CR 1 またはNからなる群からそれぞれ独立して選択され、
1 は、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 1 で任意に置換され、
2 は、H、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 2 で任意に置換され、
1 は、-C 0~2 アルキル-、-CR 5 6 -、-C 1~2 アルキル(R 5 )(OH)-、-C(O)-、-CR 5 6 O-、-OCR 5 6 -、-SCR 5 6 -、-CR 5 6 S-、-NR 5 -、-NR 5 C(O)-、-C(O)NR 5 -、-NR 5 CONR 6 -、-CF 2 -、-O-、-S-、-S(O) m- 、-NR 5 S(O) 2 -または-S(O) 2 NR 5 -からなる群から独立して選択され、
2 は、-C 0~4 アルキル-、-C(O)-、-O-、-NR 7 -、-NR 7 C(O)-または-NR 7 S(O) 2 -からなる群から独立して選択され、
Xは、C 0~4 アルキル、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 3 で任意に置換され、
Yは、-C(O)-、-NR 8 C(O)-、-S(O) m -または-NR 8 S(O) m- からなる群から独立して選択され、
1 は、H、D、C 0~4 アルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群から独立して選択され、
結合
【化46】
は、二重結合または三重結合であり、
結合
【化47】
が二重結合である場合、R 2 、R 3 およびR 4 は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG4で任意に置換され、結合
【化48】
が三重結合である場合、R 3 およびR 4 は、存在せず、R 2 は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 4 で任意に置換され、ここで、R 3 およびR 2 またはR 3 およびR 4 は、それに結合している炭素原子と一緒になって、ヘテロ原子を任意に含有していてもよい環を形成することができ、
5 、R 6 、R 7 およびR 8 は、H、D、C 0~8 アルキル、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 5 で任意に置換され、
1 、G 2 、G 3 、G 4 およびG 5 は、H、D、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリール、ヘテロアリール、-OR 9 、-OC(O)NR 9 10 、-C(O)OR 10 、-C(O)NR 9 10 、-C(O)R 9 、-NR 9 10 、-NR 9 C(O)R 10 、-NR 9 C(O)NR 10 11 、-S(O) m 10 または-NR 9 S(O) m 10 からなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、D、ハロゲン、シアノ、C 1~8 アルキル、C 3~8 シクロアルキル、3~8員ヘテロ環式基、-OR 12 、-OC(O)NR 12 13 、-C(O)OR 12 、-C(O)NR 12 13 、-C(O)R 12 、-NR 12 13 、-NR 12 C(O)R 13 、-NR 12 C(O)NR 13 14 、-S(O) m 12 または-NR 12 S(O) m 13 からなる群から選択される1個以上の置換基で任意に置換され、
9 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 およびR 14 は、H、C 1~6 アルキル、C 1 ~C 6 ヘテロアルキル、C 3~8 シクロアルキル、3~8員単環式ヘテロ環式基、単環式ヘテロアリールまたは単環式アリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
mは、1または2である]。
[2]
式(II)によって表される化合物、
【化49】
またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
[式中、
2 およびA 3 は、CHまたはNからなる群からそれぞれ独立して選択され、
1 は、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 1 で任意に置換され、
2 は、H、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 2 で任意に置換され、
1 は、-C 0~2 アルキル-、-CR 5 6 -、-C 1~2 アルキル(R 5 )(OH)-、-C(O)-、-CR 5 6 O-、-OCR 5 6 -、-SCR 5 6 -、-CR 5 6 S-、-NR 5 -、-NR 5 C(O)-、-C(O)NR 5 -、-NR 5 CONR 6 -、-CF 2 -、-O-、-S-、-S(O) m- 、-NR 5 S(O) 2 -または-S(O) 2 NR 5 -からなる群から独立して選択され、
2 は、-C 0~4 アルキル-、-C(O)-、-O-、-NR 7 -、-NR 7 C(O)-または-NR 7 S(O) 2 -からなる群から独立して選択され、
Xは、C 0~4 アルキル、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 3 で任意に置換され、
Yは、-C(O)-、-NR 8 C(O)-、-S(O) m -または-NR 8 S(O) m- からなる群から独立して選択され、
結合
【化50】
は、二重結合または三重結合であり、
結合
【化51】
が二重結合である場合、R 2 、R 3 およびR 4 は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 4 で任意に置換され、結合
【化52】
が三重結合である場合、R 3 およびR 4 は、存在せず、R 2 は、H、D、シアノ、ハロゲン、アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 4 で任意に置換され、ここで、R 3 およびR 2 またはR 3 およびR 4 は、それに結合している炭素原子と一緒になって、ヘテロ原子を任意に含有していてもよい環を形成することができ、
5 、R 6 、R 7 およびR 8 は、H、D、C 0~8 アルキル、C 3~8 環式基、3~8員ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、1個以上のG 5 で任意に置換され、
1 、G 2 、G 3 、G 4 およびG 5 は、H、D、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリール、ヘテロアリール、-OR 9 、-OC(O)NR 9 10 、-C(O)OR 10 、-C(O)NR 9 10 、-C(O)R 9 、-NR 9 10 、-NR 9 C(O)R 10 、-NR 9 C(O)NR 10 11 、-S(O) m 10 または-NR 9 S(O) m 10 からなる群からそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、環式基、ヘテロ環式基、アリールまたはヘテロアリールは、D、ハロゲン、シアノ、C 1~8 アルキル、C 3~8 シクロアルキル、3~8員ヘテロ環式基、-OR 12 、-OC(O)NR 12 13 、-C(O)OR 12 、-C(O)NR 12 13 、-C(O)R 12 、-NR 12 13 、-NR 12 C(O)R 13 、-NR 12 C(O)NR 13 14 、-S(O) m 12 または-NR 12 S(O) m 13 からなる群から選択される1個以上の置換基で任意に置換され、
9 、R 10 、R 11 、R 12 、R 13 およびR 14 は、H、C 1~6 アルキル、C 1 ~C 6 ヘテロアルキル、C 3~8 シクロアルキル、3~8員単環式ヘテロ環式基、単環式ヘテロアリールまたは単環式アリールからなる群からそれぞれ独立して選択され、
mは、1または2である]
である、[1]に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩。
[3]
式(III)によって表される化合物、
【化53】
またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
[式中、
1 は、フェニル環または6員ヘテロアリール環であり、
2 、A 3 、B 2 、L 1 、L 2 、X、Y、結合
【化54】
、R 2 、R 3 、R 4 およびG 1 は、[1]から[2]のいずれか一の通りに定義される]
である、[1]から[2]のいずれか一に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩。
[4]
式(IV)によって表される化合物、
【化55】
またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
[式中、
1 およびZ 2 は、C(R a )またはNからなる群からそれぞれ独立して選択され、
a は、Hまたはアルキルであり、
nおよびpは、0、1または2からなる群からそれぞれ独立して選択され、
2 、A 3 、B 1 、B 2 、L 1 、L 2 、Y、結合
【化56】
、R 2 、R 3 、R 4 およびG 1 は、[1]から[3]のいずれか一の通りに定義される]
である、[1]から[3]のいずれか一に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩。
[5]
式(V)によって表される化合物、
【化57】
またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩
[式中、
2 、A 3 、B 1 、B 2 、L 1 、Y、結合
【化58】
、R 2 、R 3 、R 4 、G 1 、Z 1 、Z 2 、nおよびpは、[1]から[4]のいずれか一の通りに定義される]
である、[1]から[4]のいずれか一に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩。
[6]
前記化合物が、
【化59】
である、[1]に記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩。
[7]
治療有効量の、[1]に記載の式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤および賦形剤とを含む、医薬組成物。
[8]
ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTK)の調製における、[1]のいずれかに記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩、あるいは[7]に記載の医薬組成物の使用。
[9]
腫瘍および炎症性疾患を治療するおよび/または予防するための医薬の調製のための、[1]のいずれかに記載の、式(I)によって表される化合物、またはその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物および薬学的に許容されるその塩、あるいは[8]に記載の医薬組成物の使用。