(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】有効成分を含んだまたは有効成分を担持したストリップを分配する(dispense)デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/00 20060101AFI20220322BHJP
【FI】
A61J1/00 Z
(21)【出願番号】P 2018555873
(86)(22)【出願日】2017-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2017059374
(87)【国際公開番号】W WO2017186562
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-03-17
(32)【優先日】2016-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ブロメンケンパー
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・リン
(72)【発明者】
【氏名】ロナルト・ハックバルト
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ベー
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-167568(JP,A)
【文献】特表2013-520285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0312050(US,A1)
【文献】米国特許第07040503(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0242098(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0148943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を含んだまたは有効成分を担持したストリップを分配するデバイス(10)であって、ハウジング(11)を有し、該ハウジング内には、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンド(221)を収容するスプールチャンバ(12)が配置され、ハウジング内には、バンド(221)を搬送するための押出しローラ(154)を含むホイール伝動装置(121)が取り付けられ、ハウジング内には、バンド(221)からストリップを分断するための分断デバイス(161)が配置されており、
連結機構(72)は、ホイール伝動装置(121)の上流に位置し、
連結機構(72)は、手動で作動可能なトリガ要素(91)を有し、
そして、トリガ要素(91)の動きを駆動ホイール(122)の回転に機械的に連結し、駆動ホイール(122)と押出しローラ(154)の接触によって押出しローラ(154)に伝達され、
押出しローラ(154)は、連結機構(72)によって
バンド(221)が単位長さの整数倍の長さで搬送されるように駆動可能である
ことを特徴とする、前記デバイス。
【請求項2】
連結機構(72)は、
連結機構(72)が有するピニオン(74)に力を作用させるばね(7
3)を有する
ことを特徴とする、
請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
押出しローラ(154)は、加圧ローラ(158)によって径方向に負荷がかけられる
ことを特徴とする、
請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
連結機構(72)は、ピニオン(74)
が案内管リブ(37)を介してトリガ要素(91)と係合するロッキング連結を有する
ことを特徴とする、
請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
分断デバイス(161)は、阻止解除可能であり、
ストリップを切断するための分断ツール(177)を有する
ことを特徴とする、
請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
分断デバイス(161)は、
デテントスライド(201)を有し、分断デバイス(161)は、デテントスライド(201)により、連結機構(72)とホイール伝動装置(121)とを有する駆動デバイス(71)
の動きをロック可能である
ことを特徴とする、
請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
ホイール伝動装置(121)は、残量インジケータ(213)に連結される
ことを特徴とする、
請求項1に記載のデバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したストリップを分配するデバイスであって、ハウジングを有し、ハウジング内には、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンドを収容するスプールチャンバが配置され、ハウジング内には、バンドを搬送するための押出しローラ(output roller)を含むホイール伝動装置が取り付けられ、ハウジング内には、バンドからストリップを分断するための分断デバイスが配置される、デバイスに関する。さらに、本発明は、前記のタイプのデバイスを用いて、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したストリップを分配する方法に関する。有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンドは、押出しローラと加圧(pressure-exerting)ローラとの間に配置される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前記のタイプのデバイスが開示されている。それには、2つの歯付きホイールを両方向に駆動するバッテリ給電式の電気駆動装置が必要である。搬送予定のバンドは、加圧ばねによって歯付きホイール間で押圧される。用量投与(dosing)量は、電気制御デバイスによって制御可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、実質的に一定の有効成分用量で、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したストリップを分配するデバイスおよび方法を開発するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、主請求項の機能によって解決される。この目的のため、ホイール伝動装置の上流には、割出し連結機構が位置する。割出し連結機構は、手動で作動可能なトリガ要素を有する。押出しローラは、割出し連結機構によって増分段階的(incremental step)に駆動可能である。
【0006】
デバイスの使用の間、トリガ要素の手動による作動は、割出し連結機構の割出しをトリガする。割出し連結機構の割出しは、駆動ホイールが定まった回転角度にわたって回転するように、トリガ要素の動きを駆動ホイールの回転に連結する。駆動ホイールは、回転運動をホイール伝動装置によって押出しローラに伝達する。回転する押出しローラは、バンドを搬送する。駆動ホイールの定まった回転角度に応じた移動によるバンドの搬送は、分断デバイスを解放する。ストリップは、分断デバイスによって、バンドから分断される。
【0007】
押しボタン、引き把持部または回転スイッチを用いた割出し連結機構の作動によって、駆動ホイールの段階的な回転が引き起こされる。駆動ホイールの回転角度は、1単位または前記1単位の整数倍となる。駆動ホイールは、回転後、その回転軸に対する新しい安定角度位置をとり、トリガ要素は、その初期位置へと戻る。下流にあるホイール伝動装置によって、駆動ホイールの回転運動は、押出しローラに伝達され、それによって、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンドがスプールチャンバから排出領域の方向に搬出される。バンドの搬送プロセスの終了後、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したストリップは、分断デバイスによって前記バンドから分断される。ここで、分断デバイスは、別個に、またはトリガ要素を用いて作動される。排出領域からストリップを取り出した後、さらなるストリップが作成される。デバイスは、すでに搬送されたストリップの逆方向変位を阻止する。ストリップ分配器は、純粋に機械的に動作する。
【0008】
本発明のさらなる詳細は従属請求項および概略的に示されている例示的な実施形態の以下の説明から分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ストリップを分配するデバイスの等角図である。
【
図2】カバーの下の、
図1からのデバイスの断面図である。
【
図3】ベースの上の、
図1からのデバイスの断面図である。
【
図4】割出し連結機構の軸と押出しローラの軸にわたる断面を示す、
図1からのデバイスの長手方向断面図である。
【
図6】基本位置にある、
図4からの割出し連結機構の概略図である。
【
図7】トリガ要素が作動している、
図4からの割出し連結機構の概略図である。
【
図8】トリガ要素が依然として作動している、
図4からの割出し連結機構の概略図である。
【
図9】トリガ要素解放後の、
図4からの割出し連結機構の概略図である。
【
図10】ストリップを分配するデバイスのさらなる実施形態の図である。
【
図11】用量投与デバイスを含む、ストリップを分配するデバイスの等角図である。
【
図12】基本位置にある、ハウジングの上側部材が取り外されている、
図11によるデバイスの図である。
【
図13】ベースの上の、
図11からのデバイスの断面図である。
【
図14】割出し連結機構の軸に沿った排出領域における搬送方向に平行な断面を示す、
図11からのデバイスの長手方向断面図である。
【
図19】用量投与デバイスを含む、ストリップを分配するデバイスの一代替実施形態の図である。
【
図20】回転可能なトリガ要素を含む、ストリップを分配するデバイスの等角図である。
【
図21】ハウジングの上側部材が取り外されている、
図20からのデバイスの図である。
【
図22】ハウジングの下側部材が取り外されている、
図20からのデバイスの図である。
【
図23】割出し連結機構の軸と計数機構の軸にわたる断面を示す、
図20からのデバイスの長手方向断面図である。
【
図27】回転可能なトリガ要素を含む、ストリップを分配するデバイスのさらなる実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図5は、ストリップを分配するデバイス(10)の第1の実施形態を示している。そのようなデバイス(10)は、正確な用量の例えばインスリンである有効成分を使用者または患者に向けて排出することに使用される。
【0011】
デバイス(10)は、ハウジング(11)を含む。ハウジング(11)内には、スプールチャンバ(12)、駆動デバイス(71)、および分断デバイス(161)が配置される。ハウジング(11)は、下面(13)と上面(14)とを含む、少なくとも概ね円筒形ディスクの形をしている。長手方向(15)は、本明細書において以降、下面(13)の平面領域と上面(14)の平面領域に対して垂直と定められる(define)。下面(13)には、トリガ作動要素(91)として割出しボタン(91)が配置される。割出しボタン(91)の反対側、すなわちその上面(14)において、ハウジング(11)は突出カバー(18)を有する。したがって、作動していないデバイス(10)は、少なくとも概ねその中央横断面に対して対称である。ハウジング(11)の円周面(16)に配置される排出領域(17)は、
図1の説明図では、保護フラップ(68)によって閉鎖されている。
【0012】
有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンド(221)は、
図2~
図4の説明図ではスプールチャンバ(12)内に巻き取られた形態で収容されている。前記バンドは、例えば、有効成分を含んだフィルム層上に有効医薬物質を有する、巻き取られた経口有効成分フィルムである。これから作成されるストリップは、例えば、口腔粘膜に適用される。バンド(221)をスプール上に収容することも考えられる。前記スプールは、ハウジングに対して固定されるスプールキャリアに回転可能に取り付けることができる。バンド(221)は、その長さにわたって一定の断面を有する。バンド(221)の自由端(222)は、排出領域(17)の方向に向いている。バンド(221)は、スプールチャンバ(12)内で、埃、湿気、UV光、他の環境的影響および損傷から保護される。
【0013】
駆動デバイス(71)は、ホイール伝動装置(121)と、その上流に位置する割出し連結機構(72)とを含む。ホイール伝動装置(121)は、ハウジング(11)内に取り付けられ加圧ローラ(158)による負荷を受ける押出しローラ(154)を有する。加圧ローラ(158)は、押出しローラ(154)の方向にばね負荷(spring-loaded)される。バンド(221)は、押出しローラ(154)と、回転可能に取り付けられた加圧ローラ(158)との間で、排出領域(17)の方向に搬送方向(225)に案内される。この目的のため、押出しローラ(154)は、円筒形の転がり面(156)を有する。長手方向(15)に向いた転がり面の長さは、加圧ローラ(158)の長さと一致する。例えば、前記転がり面は、バンド(221)の両側縁よりも若干突出している。加圧ローラ(158)は、場合により、例えばゴムである弾性材料から作成することができる。押出しローラ(154)の転がり面(156)をこの材料から作成することもできる。
【0014】
押出しローラ(154)は、第2の転がり領域(157)を有する。第2の転がり領域(157)は、転がり面(156)に対して同軸に、かつ長手方向(15)にそれに対してオフセットして配置される。前記転がり領域(157)は、例示的な実施形態では、平歯車歯部のように形成されている。前記転がり領域の直径は、例えば、転がり面(156)の直径の3分の1分だけさらに大きい。第2の転がり領域(157)の歯部は、例えば、直線状もしくは螺旋状の歯部、またはウォームホイール歯部などのように設計することができる。摩擦ホイールのような実施形態も考えられる。
【0015】
ホイール伝動装置(121)において、押出しローラ(154)は、駆動ホイール(122)によってその転がり領域(157)で駆動される。例示的な実施形態では、押出しローラ(154)および駆動ホイール(122)は、互いに平行な軸(123、155)を有する。駆動ホイール(122)の直径は、転がり領域(157)の直径の2.5倍の大きさである。したがって、駆動ホイール(122)が1回転する間、押出しローラ(154)は2.5回転する。駆動ホイール(122)は、例示的な実施形態では、転がり領域(157)の歯部と噛み合う歯部を有する。この伝動段階は、摩擦ホイールによる伝動段階、ベベルホイールによる伝動段階、またはウォームとウォームホイールなどのように形成することもできる。
【0016】
摩擦ホイール伝動装置のような一実施形態の場合では、駆動ホイール(122)が転がり面(156)上に転がることが考えられる。その場合、逆圧ローラ(158)を含むホイール伝動装置(121)が1つの共通平面内に配置される。そのような一実施形態では、3本の軸(123、155、159)すべてが、共通の直線に沿って配置される。摩擦ホイール伝動装置のような一実施形態の場合、押出しローラ(154)は、例えば、前記直線に沿って浮動式に動くことができ、それによって、逆圧ローラ(158)の押圧力によって、駆動ホイール(122)と押出しローラ(154)との間の接触だけでなく、押出しローラ(154)と、バンド(221)と逆圧ローラ(158)との間の押圧力も確実になる。
【0017】
駆動ホイール(122)は、中央ハブ(124)と、アパーチャ(126)のあるウェブ(125)と、周囲転がりカラー(127)とを有する。慣性モーメントを減少させるためのアパーチャ(126)は、ウェブ(125)に均一に分配されている。駆動ホイール(122)は、例えば、ハウジングの上側部材(51)に配置されるハウジングジャーナル(52)に、軸方向かつ径方向に取り付けられる。
【0018】
ハブ(124)の外側部には、例えばハブ(124)と一体形成される、駆動部(128)が配置されている。例示的な実施形態では、駆動部(128)は、フック様の形状をしており、ハブ(124)から概ね径方向に突出している。ハブ(124)は、その長手方向ボア(129)内に、例えば5つの駆動溝(driver groove)(131)を有する。駆動溝は、それらの長さにわたって一定の断面を有し、溝止め部(stop)(132)によってそれぞれ範囲が定められる。
【0019】
ホイール伝動装置(121)の上流に位置する割出し連結機構(72)の割出しピニオン(74)は、駆動溝(131)内に係合する。駆動溝を、割出しピニオン(74)上に配置し、前記駆動溝に係合する駆動部を、例えば駆動ホイール(122)と一体形成することも考えられる。割出し連結機構(72)は、割出しボタン(91)と、割出しばね(73)とをさらに含む。割出しボタン(91)、割出しばね(73)および割出しピニオン(74)は、互いに対して同軸に配置される。割出しばね(73)および割出しピニオン(74)は、上側シェルハウジングジャーナル(52)に沿って長手方向(15)に案内される。長手方向(15)における割出しピニオン(74)の行程は、この場合、上側シェルハウジングジャーナル(52)の凹部(55)によって制限される。
【0020】
割出しピニオン(74)は、例示的な実施形態では、ポット形の形状をしている。それは、内側に位置するばねレセプタクル(75)と、例えば5つの、外側に位置する割出しペグ(76)とを有する。ばねレセプタクル(75)は、円筒形であり、一端側に支持リング(77)を有する。前記支持リング(77)は、上側シェルハウジングジャーナル(52)の周りに係合する中央ボア(78)を有する。長手方向(15)における個々の割出しペグ(76)の長さは、割出しピニオン(74)の長さと一致する。個々の割出しペグ(76)の断面は、その長さにわたって一定である。断面積に対して垂直に向いた個々の割出しペグ(76)のすべての境界面は、長手方向(15)に対して平行に配置されている。割出しペグ(76)の領域における割出しピニオン(74)の厚さは、ハブ(124)の厚さの2倍である。
【0021】
割出しペグ(76)の、ハウジング上側部材(51)の方向に向いたセクションは、駆動ホイール(122)の対応する駆動溝(131)内に係合する。この軸-ハブ連結は、例示的な実施形態では、スプライン連結として形成される。しかし、これは、ポジティブロッキング(positively locking)、多角形プロファイルもしくは鋸歯状プロファイル構造のような軸方向可動連結、パラレルキー連結(parallel key connection)または他のいくつかの回転可能な剛連結として形成することもできる。
【0022】
ハウジング下側部材(31)の方向において、割出しペグ(76)は、割出し面(79)によって範囲が定められる。これらの割出し面(79)の個々の各平面は、長手方向軸(15)に対する垂直面と例えば45度の角度をなす。例示的な実施形態では、個々の割出し面(79)は、それに加えて、15度の角度に傾斜し、したがって包絡面に隣接する割出し面(79)の境界は、円筒形部材に隣接する割出し面(79)の境界よりもさらにハウジング下側部材(31)の方向に向く。しかし、割出しピニオン(74)は、割出し面(79)の半径が長手方向(15)に対する垂直平面に対して平行に向くようにして形成することもできる。
【0023】
割出しピニオン(74)のばねレセプタクル(75)内には、駆動ホイール(122)のハブ(124)内で支持される割出しばね(73)が配置される。割出しばね(73)を形成するばね要素(73)は、例えば、加圧ばねの構造形態の円筒形つる巻きばねとして設計される。前記ばね要素は、その長さにわたって一定の巻き断面を有し、ワイヤ厚さも一定である。ばね要素(73)を、例えば累進的または累減的なばね特性曲線を実現するために一定でない巻き断面および/または一定でないワイヤ厚さで形成することも考えられる。円錐形加圧ばね(73)の使用も考えられる。
【0024】
例示的な実施形態では、割出しピニオン(74)は、割出しボタン(91)と共に、解放可能なポジティブロッキング割出し連結を形成する。割出しボタン(91)は、案内シリンダ(92)に沿って配置される例えば10個の割出しボタン案内ウェブ(93)を有する。これらの割出しボタン案内ウェブ(39)のそれぞれは、割出しピニオン(74)の割出し面(79)に対して補完的な形状の割出しボタン案内面(94)を有する。各割出しボタン案内面(94)は、長手方向(15)に向き案内シリンダ(92)の径方向面として形成される自由面(95)によって範囲が定められる。トリガ要素(91)のリング形の端面(96)は、断続的な鋸歯プロファイルを有する。
【0025】
トリガ要素(91)は、例えばハウジング(11)に締結される案内ピン(34)が内部に案内される2つの互いに反対に位置する案内アパーチャ(97)をさらに有する。前記案内ピンは、ハウジング(11)に対する割出しボタン(91)の回転を防止し、さらに、割出しボタン(91)の紛失を防ぐ。割出しボタン(91)は、ハウジング(11)において下側ハウジング案内管(35)に沿って案内される。長手方向(15)における割出しボタン(91)の最小行程は、例示的な実施形態では、割出しボタン案内面(94)の幅の2倍に相当する。割出しボタン案内面(94)のこの幅は、平面視で測定すると、長手方向軸(15)に対する垂直平面における割出しボタン案内ウェブ(93)の領域内の包絡面の割線の長さである。割出しボタン案内面(94)と長手方向(15)に対する垂直平面とがなす角度に応じて、最小行程は、定まった幅に割出しボタン案内面(94)と垂直平面との間の正接角を乗じたものの2倍となる。
【0026】
下側ハウジング案内管(35)の内壁には、例えば10個の端当接面(36)が形成されている。例示的な実施形態では、これらは、割出し面(79)に対して補完的な形状をしている。端当接面(36)は、案内管リブ(37)の端面である。組み立てられた状態では、割出しボタン案内ウェブ(93)は、いずれも2つの案内管リブ(37)の間に配置される。
【0027】
割出しピニオン(74)の割出し面(79)を上述したよりも幅広に設計することも考えられる。例えば、それらは、36度のセグメントにわたって延び、したがって、割出しボタン案内面(94)および案内管(35)の端当接面(36)を覆うことができる。
【0028】
ベース側において、割出しボタン(91)は、例えば凸状に湾曲した作動面を含む外側に位置する作動ヘッド(98)を有する。割出しボタン(91)は、さらに、汚染物質の侵入を防ぐために、例えば可撓性封止要素によってハウジング(11)に対して密封される。前記封止要素は、例えば、弾性的に変形可能な設計のものとすることができる。封止要素、および/または、ハウジング下側部材(31)と作動ヘッド(98)との間に配置される例えば加圧ばねであるリセットばね(99)によって、割出しボタン(91)は、その初期位置にリセットされる。
【0029】
駆動ホイール(122)の駆動部(128)は、デテントホイール(211)と噛み合う。前記デテントホイールは、ハウジング(11)の上側シェル(51)においてピボットジャーナルに回転可能に取り付けられる。駆動ホイール(122)が1回転されるごとに、その間に、デテントホイール(211)は、1つの鋸歯様デテントキャッチ(212)分だけ、前方へ回転される。デテントホイール(211)は、上側シェル(51)の内壁の方に向いた側に、例えば色のついたセグメント様マーキング(213)を有する。ハウジング(11)は、その上側シェル(51)に、デテントホイール(211)がそこから見える観察窓(53)を有する。例えば、マーキング(213)は、残量インジケータを形成する。前記マーキングが見えるようになったら、バンド(221)、または補充できないデバイス(10)の場合はデバイス(10)を交換しなければならない。
【0030】
スプール(223)のように巻かれたバンド(221)は、スプールチャンバ(12)内に自由に回転可能に取り付けられる。スプール(223)は、ハウジングのスプールジャーナル上に配置される、またはハウジング(11)内に取り付けられるスプールキャリア上に配置される。バンド(221)は、スプール(223)から押出しローラ(154)と加圧ローラ(158)との間に案内される。加圧ローラ(158)は、バンド(221)を押出しローラ(154)に押し付ける。
図2に示される押出しローラ(154)が反時計回りに回転すると、バンド(221)は、排出領域(17)の方向に搬送方向(225)に搬送される。
【0031】
分断デバイス(161)は、カムシャフト(162)と、ピボットフレーム(171)と、デテントスライド(201)とを有する。カムシャフト(162)は、例えば、ハウジング(11)に枢動可能に取り付けられる保護フラップ(68)のピボット軸(165)に固定的に連結される。
図2の説明図では、保護フラップ(68)が開けられると、カムシャフト(162)が時計回りに枢動される。閉位置から開位置までの保護フラップ(68)の枢動角度は、例えば90度である。カムシャフト(162)は、円柱断面形状領域(163)と、カム先端領域(164)とを有する。カムシャフト(162)を、ハーフカムだけに形成することも考えられる。その場合、ハーフカムは、円柱断面形状領域(163)をカム先端領域(164)に片側だけ連結する。さらに、カムシャフト(162)を、長手方向(15)に互いに対してオフセットされる、例えば互いに対して回転可能にオフセットされる2つの領域を含むように形成することも考えられる。
【0032】
保護フラップ(68)が閉じられると、カムシャフト(162)は、円柱断面形状領域(163)により、デテントスライド(201)およびピボットフレーム(171)を支承する、またはこれらの2つの構成要素に対して小間隙を有する。デテントスライド(201)は、スライドセクション(202)と、加圧ばね領域(203)と、曲げばね領域(204)とを有する。例示的な実施形態では、前記デテントスライドは、割出し連結機構(72)の中心線の方に向かう径方向に変位可能であるように、下側シェル(31)内に取り付けられる。スライドセクション(202)は、その自由端がウェッジ形の形状をしているものであってよい。デテントスライド(201)は、
図3に示される静止位置から阻止位置へと直線的に調節可能である。加圧ばね領域(203)は、ひし形に配置されたウェブ(206)に連結される作動バー(205)を有する。それに対して横方向に配置された曲げばね領域(204)は、例えばハウジングのばねペグ(38)の周りに係合する、2つの曲げウェブ(207)を含む。棒様形状のスライドセクション(202)は、ハウジング(11)の割出しボタン凹部(41)のアパーチャ(39)内に案内される。
【0033】
保護フラップ(68)の開放の間、カムシャフト(162)は、カム先端(164)の方向に、デテントスライド(201)に沿って転がる。デテントスライド(201)は、阻止位置の方向に変位させられる。ここで、ウェブ(206)と曲がりばね領域(204)の両方が、弾性的に変形される。スライドバー(202)は、割出しボタン凹部(41)内へと変位させられ、そこで、割出しボタン(91)の作動ヘッド(98)の裏側に係合する。こうして、割出しボタン(91)は、保護フラップ(68)が開けられると、非作動位置において阻止される。スライドバー(202)の軸方向変位が阻止されれば、デテントスライド(201)の弾性的に変形可能な領域により、デバイス(10)の損傷が防止される。
【0034】
例示的な実施形態では、ピボットフレーム(171)は、U字形の形状をしている。ピボットフレーム(171)は、押出しローラ(154)の軸に取り付けられる。取り付けのために、ピボットフレーム(171)は、端側に、押出しローラ(154)の周りに係合する2本のフレームアーム(172)を有する。フレームアーム(172)の自由突出端には、いずれも1つのリセットばね(173)が配置される。これらのリセットばね(173)は、曲がりばねとして形成され、ハウジングの支持ペグ(19)上に搬送方向(225)にピボットフレームの後端を支持する。フレームアーム(172)の自由端は、例えば、カムシャフト(162)を支承する、またはそれに対して小間隙を有する。ピボットフレーム(171)に連結可能なカムシャフト(162)の領域は、デテントスライド(201)に連結するカムシャフト(162)の領域とは異なる角度位置を有することができる。
【0035】
ピボットフレーム(171)の2本のフレームアーム(172)を連結する横断ウェブ(174)は、刃ホルダ(175)と、押さえ手段(179)とを含む。刃ホルダ(175)は、例えば、切断刃(177)を受けるための横方向に位置する受容(receiving)溝を含む剛性ホルダからなる。搬送方向(225)に対して横方向に向く刃先(178)は、
図2および
図3の説明図では上方を指している。
【0036】
押さえ手段(179)は、2つの互いに間隔を置いた、弾性変形可能な押さえ手段曲げばね(181、182)を有する。これらは、切断刃(177)に対して平行に向いている。ここで、搬送方向(225)に後方に位置する第1の押さえ手段曲げばね(181)は、搬送方向(225)に前方に位置する第2の押さえ手段曲げばね(182)と同じ、切削刃(177)までの間隙を有する。
図2および
図3の説明図では、両方の押さえ手段曲げばね(181、182)は、バンド(221)から間隔を置いて配置されている。
【0037】
バンド案内要素(42)は、ハウジング(11)内に配置される。前記バンド案内要素は、押出しローラ(154)と第1の押さえ手段曲げばね(181)との間に位置する。カウンタホルダ(counterholder)(21)は、押さえ手段曲げばね(181、182)からそれた(averted)バンド(221)の側に配置される。
【0038】
事実、デバイス(10)の組み立ての間、例えばデテントホイール(211)は、ピボットジャーナルがデテントホイール(211)の後ろに係合するように、ハウジング(11)の上側シェル(51)内においてピボットジャーナルに取り付けられる。駆動ホイール(122)は、前記駆動ホイールが自由に回転可能となるように取り付けられるように、例えばジャーナル止め部(43)まで上側シェルハウジングのジャーナル(52)の上に押し進められる。加圧ばね(73)は、駆動ホイール(122)のハブ(124)に挿入される。割出しピニオン(74)は、割出しペグ(76)が駆動ホイール(122)の駆動溝(131)内へと突出するように、加圧ばね(73)の上に取り付けられる。そして、支持リング(77)が、ジャーナル凹部(55)内に捕捉的に保持されるように着座される。
【0039】
加圧ローラ(158)は、シェル様形のハウジングキャップ(61)内に挿入される。さらに、カムシャフト(162)は、ハウジングキャップ(61)内へと押し入れられ、ハウジングキャップ(61)を通ってカムシャフト(162)の中に押し込まれるスプライン軸(165)によって固定される。前記スプライン軸(165)は、2つの支承領域(166)を有し、それらによってハウジングキャップ(61)内部に取り付けられる。支承領域(166)の外側において、スプライン軸(165)は、例えば、挿入プロセス後にハウジングキャップ(61)の両側から外に突出する六角形ペグ(167)を有する。保護フラップ(68)は、六角形ペグ(167)の周りにポジティブロッキング式に係合するように、ハウジングキャップ(61)の外面に取り付けられる。
【0040】
例えば、割出しボタン(91)は、下面(13)からハウジング(11)の下側シェル(31)に最初に挿入される。デテントスライド(201)は、下側シェル(31)の内面に押し入れられる。押出しローラ(154)および切断刃(177)は、ピボットフレーム(171)に挿入される。このユニットは、後で、ハウジング下側部材(31)の支承ジャーナル(44)の上に押し進められる。バンド(221)がスプールチャンバ(12)内に配置された後、前記バンドの自由端(222)が少なくともバンド案内要素(42)の領域内へと引っ張られる。自由端(222)が、切断刃(177)の領域内、または排出領域(17)内まで引っ張られることも考えられる。
【0041】
事実、ハウジング(11)を閉鎖するために、例えば、まず、構成要素が内部に配置されている下側シェル(31)、および構成要素が内部に配置されている上側シェル(51)が一緒に接合される。接合は、取り外し可能に例えばデテント連結によって、または取り外し不可能に例えば接着連結によって行うことができる。構成要素が内部に据え付けられた状態のハウジングキャップ(61)は、後で、下側シェル(31)および上側シェル(51)からなるアセンブリに接合される。この接合連結は、取り外し可能、または取り外し不可能な形態であってもよい。
【0042】
個々のサブアセンブリの組み立ておよび全体としてのデバイス(10)の組み立ては、異なるシーケンスで行うこともできる。個々の構成要素を他のサブアセンブリに割り当てることも考えられる。例えば、歯車部材のすべてを、下側シェル(31)内部に予め組み付け、上側シェル(51)がデバイスカバーを形成するようにすることもできる。そのような構造の場合、デバイス(10)は、閉じる前に簡単に試験することができる。
【0043】
使用中、オペレータは、片手で
図1に示されるデバイス(10)を持つ。ここで事実、例えば、上側シェル(51)は、上に向けられる。下側シェル(31)は、手のひらに置かれる。保護フラップ(68)は閉じている。
【0044】
作動のため、オペレータは、割出しボタン(91)を、上側シェル(51)の方向に、ハウジング(11)に対して押す。割出し連結機構(72)が作動する。割出しボタン(91)が、加圧ばね(73)の力に逆らって、ハウジング(11)に対して長手方向(15)に割出しピニオン(74)を変位させる。
図6には、作動前の割出し連結機構(72)が概略的に示されている。案内管リブ(37)は、網掛けで図示されている。割出しボタン案内ウェブ(93)は、上に図示され、割出しピニオン(74)の割出しペグ(76)は、下に図示されている。割出しピニオン(74)の割出し面(79)は、割出しボタン案内面(94)を支承している。下側ハウジング案内管(35)の端当接面(36)は、右隣に位置する割出しボタン案内面(94)に対して位置合わせされている。割出し連結機構(72)は、ポジティブロッキング式に固定されている。
【0045】
割出しボタン(91)の作動の間、割出しボタン(91)は、長手方向(15)に下側ハウジング案内管(35)の案内に沿って変位させられる。下側シェル(31)の案内管リブ(37)を最初は支承している割出しペグ(76)は、下側シェル(31)に対して変位させられる。
図7は、割出しピニオン(74)が変位された、割出し連結機構を示している。割出し連結機構(72)は、デカップリングされている。理解しやすくするために、割出しペグ(76)は、長手方向(15)に案内管リブ(37)から明確な間隔を置いて図示されている。しかし、割出しボタン(91)の行程を、負荷位置において下側ハウジング案内管(35)の個々の端当接面(36)がそれぞれ左隣に位置する割出しボタン案内面(94)に対して位置合わせされるように、制限することも考えられる。
【0046】
トリガ要素(91)の作動方向とは反対の、割出しピニオン(74)に作用する割出しばね(73)の力は、割出し面(79)に対して平行に作用する成分を有する。この成分によって、
図7の説明図において、割出しピニオン(74)は右に回転する。割出しピニオン(74)は、割出しボタン案内面(94)に沿って摺動し、そこにおいて加圧ばね(73)が弛緩される。
【0047】
回転された割出しピニオン(74)は、割出しペグ(76)を介して共同で駆動ホイール(122)を駆動する。
図2の説明図では、駆動ホイール(122)は、時計回りに回転する。駆動ホイール(122)は、押出しローラ(154)を駆動し、反時計回りに回転させる。押出しローラ(154)は、スプールチャンバ(12)からバンド(221)を引き出し、逆圧ローラ(158)と転がり面(156)との間の摩擦接触圧力によって、排出領域(17)の方向にそれを搬送する。
【0048】
割出しピニオン(74)は、次の割出しボタンウェブ(93)を支承するまで回転する(
図8参照)。割出しピニオン(74)は、場合によってはさらに、ハウジングの端当接面(36)に当接することができる。
【0049】
オペレータが割出しボタン(91)を解放するとすぐに、割出しボタンリセットばね(99)によって割出しボタン(91)がハウジング(11)に対して外側に動かされる。例えば、割出しボタン案内ウェブ(93)は、
図9に示される初期位置へと戻される。
【0050】
次いで、割出しピニオン(74)の割出し面(79)が、弛緩した加圧ばね(73)によって与えられる負荷を受けて、当接面(36)および次の割出しボタン案内ウェブ(93)の割出しボタン案内面(94)に沿って摺動する。ここで、割出しピニオン(74)は、駆動ホイール(122)を前方に回転させ、その回転している駆動ホイールが、押出しローラ(154)と共に、バンド(221)を搬送する。この回転運動は、個々の割出しペグ(76)が回転の方向おいて次の案内管リブ(37)に当接するまで行われる。割出し連結機構(72)は、ここで、ポジティブロッキング式に再び係合される。
【0051】
次いで、オペレータは、保護フラップ(68)を持ち上げることができる。ここで、割出しボタン(91)は、上述したように、デテントスライド(201)によってロックされる。割出しボタンリセットばねがないデバイス(10)の場合、デテントスライド(201)は、場合によっては、割出しボタン(91)をその初期位置に押し戻すことができる。上述した最終の搬送工程は、デテントスライド(201)の押し込みによってトリガされる。
【0052】
保護フラップ(68)の開放中に回転されるカムシャフト(162)は、
図2および
図3に示される静止位置から枢動された最終位置までピボットフレーム(171)を枢動させる。
図2の説明図から続けて、ピボットフレーム(171)が時計回りに枢動される。押さえ手段(179)がカウンタホルダ(21)に対して枢動し、押さえ手段曲げばね(181、182)によって、バンド(221)を固定して保持する。バンド(221)がさらに押し付けられている間、切断刃(177)がバンド(221)を分断する。分断された有効成分を含んだまたは有効成分を担持したストリップは、排出領域(17)に位置し、押さえ手段(179)によって保持される。オペレータは、押さえ手段(179)の力に打ち勝つことによって、または保護フラップ(68)を若干閉じてから、ストリップを取り出すことができる。
【0053】
排出領域内のバンド(221)またはストリップは、戻るように変位することができない。というのも、保護フラップ(68)の開放により、押さえ手段(179)とデテントスライド(201)が作動するからである。バンド(221)および駆動デバイス(71)は、阻止される。割出し連結機構(72)により、バンド(221)は、一方向だけに搬送される。
【0054】
ストリップを取り出し、保護フラップ(68)を閉じた後、バンド(221)は、さらなるストリップの取り出しのために、割出しボタン(91)の作動後に、排出領域(17)の方向に前方に搬送される。残量インジケータ(213)によって、バンドの充填レベルを監視することができる。適切な場合、取り外し可能に接合されたハウジング(11)の場合は、バンド(221)の消費後、新しいバンド(221)を挿入することができる。
【0055】
有効成分を含んだまたは有効成分を担持した比較的長い長さのストリップを作成することも考えられる。その場合、ストリップの長さは、上述した長さの整数倍となる。そのようなストリップを作成するには、保護フラップ(68)を開ける前に、トリガ要素(91)を複数回作動させる。保護フラップ(68)は、例えば、透明の形態であってよく、目盛を有することができる。この目的のため、用量単位インジケータは、駆動デバイス(71)に連結される。こうして、例えば、過剰用量の識別が可能になる。トリガ要素(91)を押すたびに、使用者には、例えば、音響的かつ触覚的なシグナルがもたらされる。
【0056】
図10は、さらなるデバイス(10)の下面図である。前記デバイスは、少なくとも、概ね等辺角柱の形状を有する。駆動デバイス(71)の構造は、第1の例示的な実施形態において記載したデバイス(10)の構造と一致する。このデバイス(10)でも、割出しボタン(91)は、ハウジング(11)の下面(13)に配置されている。
【0057】
図11~
図18は、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンド(221)のストリップを分配するデバイス(10)のさらなる一実施形態の図である。前記デバイス(10)は、駆動デバイス(71)、スプールチャンバ(12)、分断デバイス(161)および用量投与デバイス(231)が内部に配置されるハウジング(11)を有する。ハウジング(11)は、平坦な上面14と、それに平行に配置された下面(13)とを有する。長手方向(15)は、本明細書において以降、上面(14)および下面(13)に対して垂直と定められる。デバイス(10)は、把持部(22)と、レバー様トリガ要素(91)と、端面に配置され把持部(22)からそれている排出領域(17)とを有する。
【0058】
駆動デバイス(71)は、割出し連結機構(72)と、割出し連結機構(72)の下流に連結されるホイール伝動装置(121)とを有する。トリガレバー(91)は、例えば、ハウジングジャーナル(32)に取り付けられる。
【0059】
下側シェル(31)と一体形成されるハウジングジャーナル(32)は、円柱形であってよく、または例えば3つの段付きで形成することもできる。ハウジングジャーナル(32)が段付きで設計される場合、トリガレバー(91)は、例えば、最上段に取り付けられる。
【0060】
トリガレバー(91)は、長手方向(15)に向いたピボット軸(23)周りに、
図11~
図13に示される静止位置から、作動位置へと枢動することができる。このとき、ハウジング(11)内に固定されトリガレバー(91)に固定され例えばねじりばねのように構築されるリセットばね(99)は、弾性的に変形させられる。トリガレバー(91)は、把持レバー(101)と、刃ホルダレバー(102)とを有し、それらの間にはピボット支承部(103)が配置されている。例示的な実施形態では、外側に突出している把持レバー(101)は、ハウジング(11)内に位置する刃ホルダレバー(102)の長さの1.9倍の長さを有する。刃ホルダレバー(102)と把持レバー(101)は、
図12の説明図では、165度の角度をなしている。
【0061】
トリガレバー(91)は、ハウジング(11)内の把持レバー(101)に、ピボット軸(23)に対して径方向に配置されるデテント案内部(104)を有する。前記デテント案内部(104)内には、加圧ばね(105)が配置される。加圧ばね(105)は、ピボット軸(23)に対して遠心的な負荷をデテント要素(106)に及ぼす。デテント要素(106)は、ウェッジ形をしており、ハウジング下側部材(31)の方向にトリガレバー(91)から外に突出している。ウェッジ面(108)は、トリガ要素(91)の作動方向においてピボット軸(23)から離れた方に向いている。
【0062】
把持レバー(101)は、ハウジング(11)の外に突出したその自由端に、把持片(109)を有する。把持片(109)の長手方向(15)の長さは、例えば、この方向におけるハウジング(11)の長さから壁厚を2倍した分だけ減じた長さに相当する。例示的な実施形態では、把持片(109)は、シェル様の形状をしており、そこにおいて、曲げ線は、長手方向(15)に平行に、排出領域(17)の方向で把持片(109)に対して変位していく。
【0063】
刃ホルダレバー(102)は、それから長手方向(15)に突出している駆動ペグ(driver peg)(111)を有する。前記駆動ペグ(111)は、分断デバイス(161)のピボットフレーム(171)に連結される。
【0064】
図12の説明図では、用量投与デバイス(231)は、トリガ要素(91)の後ろに配置されている。前記用量投与デバイスは、
図12に示される中間位置と最大位置との間で調節可能な用量投与レバー(232)を含む。用量投与レバー(232)は、この場合、ハウジングジャーナル(32)に取り付けられる。ハウジングジャーナル(32)が段付きの設計の場合、用量投与レバー(232)は、例えば、中間の段に取り付けられる。前記用量投与レバーは、例えば、63度の枢動角度にわたって調節可能である。
【0065】
用量投与レバー(232)は、用量投与スライド(233)を有する。用量投与スライド(233)は、ハウジング(11)から外に突出しており、例えば、中間位置から最大位置まで、例えば6段階である、段階的にハウジングのデテントレール(24)に沿って調節可能である。用量投与スライド(233)は、さらに、連続可変的に調節可能とすることもできる。例えば、用量投与スライド(233)は、ハウジング(11)に対して所望の位置にそれを拘束するために解放可能クランピングデバイスを有することができる。さらに、用量投与デバイス(231)は、用量投与スライド(233)が組み立てプロセスの間に用量投与レバー(232)に最初に連結されるように設計することができる。
【0066】
用量投与レバー(232)は、用量投与スライド(233)からそれた端部に、案内シェル(234)を有する。例示的な実施形態では、案内シェル(234)は、ピボット軸(23)を中心とする83度のセクタにわたる。非作動にあるデバイス(10)において、案内シェル(234)は、デテント要素(106)が案内シェル(234)上で支持されるように、デテント案内部(104)の周りに円筒形シェルのように形成されるセクション(235)に係合している。
図12および
図16の説明図では、案内シェル(234)は、右側に挿入斜面を有する。
【0067】
図12の説明図では、用量投与デバイス(231)の後ろにおいて、駆動ホイール(122)がハウジングジャーナル(32)上に回転可能に配置されている。ハウジングジャーナル(32)が段付きの設計の場合、駆動ホイール(122)は、例えば、最下支承段に取り付けられる。例示的な実施形態では、駆動ホイール(122)は、内歯部(133)および外歯部(134)を含むポット形の形状の円筒形ホイールである。
【0068】
内歯部(133)は、例えば30個のデテント歯(135)を含む駆動歯部である。いずれにおいても、2つのデテント歯(135)は、デテント歯間スペース(136)の範囲を定め、デテント歯側面(137)は、互いに対して平行にある。溝ベース(138)は、凹形に湾曲した形をしている。
図12および
図17の説明図では、デテント歯(135)は、右側に、デテント歯先端(139)に隣接する挿入斜面(141)をそれぞれ有する。デテント歯側面(137)の互いに対する間隔は、例えば、トリガレバー(91)のデテント要素(106)の幅よりも若干大きい。デテント歯先端(139)によって範囲が定められる歯先円の直径は、案内シェル(234)のシェル面の半径の2倍よりも十分の数ミリメートルだけ大きい。例示的な実施形態では、溝ベース(138)の中央における長手方向(15)に向いた垂直平面は、径方向平面と2度の角度をなす。
図12の説明図では、この角度は、右方向に向いている。溝ベース(138)は、駆動ホイール(122)の長手方向(15)に向いた回転軸に対して同軸に形成することもできる。その場合、デテント歯間スペース(136)の範囲を定めるデテント歯側面(137)は、例えば、前記径方向平面に対して平行に形成される。
【0069】
駆動ホイール(122)の外歯部(134)は、インボリュート歯部(134)である。外歯部(134)は、直線または螺旋状の形状であってよい。このインボリュート歯部(134)により、駆動ホイール(122)は、ハウジング(11)内に取り付けられ同じ率(modulus)の歯部を有する中間ホイール(151)と噛み合う。この例示的な実施形態では、3つのホイール(122、151、154)からなり転がり接触伝動装置として形成されるホイール伝動装置(121)の中間ホイール(151)は、互いに対してオフセットした2つの歯部(152、153)を有する。第2の歯部(153)は、押出しローラ(154)に連結される。例示的な実施形態では、2つの歯部(152、153)は、同じピッチ円を有し、例えば、中間ホイール(151)の包絡面の輪郭が円筒形シェル面となるように等しい率を有する。転がり接触伝動装置(121)全体を、1つの伝動平面内に配置することも考えられる。その場合、中間ホイール(151)の歯部(152;153)は、駆動ホイール(122)と押出しローラ(154)の歯部の両方と噛み合う。中間ホイール(151)の歯部(152、153)を、異なるピッチ円および/または異なる率で設計することも考えられる。
【0070】
この例示的な実施形態では、押出しローラ(154)および加圧ローラ(158)は、第1の例示的な実施形態と併せて記載されるように設計される。
【0071】
分断デバイス(161)は、ハウジング(11)内に枢動可能に取り付けられ内部に押さえ手段(179)と分断ツール(177)が収容される、ピボットフレーム(171)を含む。ピボットフレーム(171)は、ピボットハブ(183)を有する。ピボットハブ(183)は、取り付けられた状態では、ハウジングの長手方向(15)に向くピボットジャーナルの周りに係合している。長手方向(15)に対して径方向に向くピボットウェブ(184)は、排出領域(17)の方向に向く。
図12および
図13の説明図では、ピボットウェブ(184)は、加圧ローラ(158)の周りに係合している。ピボットウェブ(184)は、トリガレバー(91)の駆動ペグ(111)を受ける案内スロット(185)を有する。例えば打ち抜きされた案内スロット(185)は、一緒に多角形を形成する4つのセクション(186~189)を有する。第1の行程セクション(186)は、例えば、ウェッジ形をしており、一定の奥行を有する。前記セクションは、例えば、定まった半径により、ピボットハブ(183)に対して、ピボットハブ(183)からそれて15度の角度をなす(
図12~
図18参照)。基本的な位置では、駆動ペグ(111)は、この角の頂点に着座される。行程セクション(186)は、例えば、その底辺に開いた形状をしている(
図18参照)。
【0072】
頂点からそれた端部において、行程セクション(186)は、自由走行セクション(187)に隣接している。前記セクション(187)は、例えば弧状の形をしており、ピボットハブ(183)に対して同心的に形成され、
図12および
図18の説明図では、上方につながっている。しかし、自由走行セクション(187)を、例えば直線状の溝である幅広部分として形成することも考えられる。自由走行セクション(187)の奥行は、行程セクション(186)の奥行と一致するが、より深い奥行に構成することもできる。
【0073】
自由走行セクション(187)は、戻り行程セクション(188)に隣接している。戻り行程セクション(188)は、例えば、行程セクション(186)および自由走行セクション(187)と同じ奥行を有する。
図12および
図18の説明図では、ピボットウェブ(184)は、戻り行程セクション(188)の領域において上方に向いているように構成される。
【0074】
第4のセクション(189)は、少なくとも頂点の領域内で戻り行程セクション(188)を行程セクション(186)に連結する、例えばウェッジ形状の案内セクション(189)である。例えば、スロットベースは、案内セクション(189)内で、行程セクション(186)の方向に、戻り行程セクション(188)から隆起している。案内セクション(189)は、さらに、例示されるよりも細く設計することもできる。案内スロット(185)の他のいくつかの構造も考えられる。
【0075】
ピボットフレーム(171)は、戻りピボットばね(173)を有する。戻りピボットばね(173)は、例えば片持ちの板バネとして形成され、ピボットフレーム(171)と一体になっている。戻りピボットばね(173)は、ハウジング(11)の内壁上に支持される。
図12の説明図では、戻りピボットばね(173)は、ピボットフレーム(171)に反時計回り方向の負荷を及ぼしている。
【0076】
分断ツール(177)は、ピボットフレーム(171)の、排出領域(17)の方に向く側に配置される。分断ツール(177)は、長手方向(15)に、搬送方向(225)に対して横方向に向く切断刃(177)である。
図12および
図18の説明図では、分断ツール(177)は、ピボットフレーム(171)から下方に突き出ている。
【0077】
切断刃(177)は、ピボットフレーム(171)内にばね負荷式に配置される押さえ手段(179)によって囲繞される。押さえ手段(179)は、長手方向(15)に、搬送方向(225)に対して横方向に配置されピボットフレーム(171)内に変位可能に取り付けられる矩形フレームである。
図12および
図13の説明図では、押さえ手段(179)は、切断刃(177)に対して平行に、垂直方向に変位可能である。ここで、前記押さえ手段は、ピボットフレーム(171)内に配置された板バネ(192)による負荷を受ける。
【0078】
この例示的な実施形態では、やはりまた、有効成分を担持または有効成分を含んだバンド(221)は、ハウジング(11)のスプールチャンバ(12)内に配置される。前記バンドは、例えば、第1の例示的な実施形態と併せて記載されるバンド(221)と同じように構成される。
【0079】
ハウジング(11)は、ハウジング下側部材(31)と、ハウジングカバー(51)と、これらに対して枢動可能なように形成されるハウジングキャップ(61)とを有する。ハウジング下側部材(31)は、トラフ様の形をしている。ハウジング下側部材(31)は、その内壁において、ホイール伝動装置(121)のための回転ジャーナルのすべて、および割出し連結機構(72)のためのハウジングジャーナル(32)を支承する。
【0080】
事実、デバイス(10)を組み立てる間、例えば、まずハウジングキャップ(61)が、下側シェル(31)に、2つの部材がピボットジャーナル(62)の周りに互いに対して枢動できるように、挿入される。ハウジングキャップ(61)とハウジング下側部材(31)は、一片として形成してもよい。駆動ホイール(122)が下側シェル(31)に挿入される。そこにおいて、デテント歯(135)は、
図12の説明図では、上方に向いている。次いで、用量投与デバイス(231)が、成形シェル(234)が駆動ホイール(122)内に位置し用量投与レバー(232)がハウジング(11)を支承するように、ハウジングジャーナル(32)に取り付けられる。中間ホイール(151)および押出しローラ(154)は、さらなるハウジングジャーナルに取り付けられ、必要に応じて、長手方向(15)の変位に抗して固定される。加圧ローラ(158)は、ハウジングキャップ(61)内に取り付けられる。前記加圧ローラは、押出しローラ(154)の回転軸の方向にばね負荷される。さらに、ピボットフレーム(171)は、押さえ手段(179)および切断刃(177)と一緒にハウジングキャップ(61)に挿入される。
【0081】
例えば、スプールチャンバ(12)へのバンド(221)の挿入後、バンド(221)は、押出しローラ(154)の領域へと導かれる。事実、挿入後、例えば、バンド(221)の自由端(222)は、押出しローラ(154)と加圧ローラ(158)との間にクランピングされる。
【0082】
トリガレバー(91)は、ハウジングジャーナル(32)に取り付けられ、リセットばね(99)は、ハウジング(11)とトリガレバー(91)の両方に係合される。組み立てプロセス後、トリガレバー(91)の駆動ペグ(111)は、スロット形案内部(185)の行程セクション(186)内にある。把持片(109)は外方に突き出ている。この状態で、例えば、分配デバイス(dispenser device)(10)の機能を試験することができる。組み立てプロセスを完了するために、ハウジングカバー(51)が取り付けられる。組み立てプロセスの他のいくつかのシーケンスも考えられる。
【0083】
デバイス(10)の使用の間、オペレータは、把持部(22)によりハウジング(11)を把持し、トリガ要素(91)の把持片(109)上に指を置く。トリガの間、把持片(109)を、
図12の説明図では右に動かし、その過程でハウジングジャーナル(32)の周りに枢動させる。リセットばね(99)が応力を受けて位置につく。デテント要素(106)は、案内シェル(234)に沿って摺動する。デテント要素(106)は、
図12における案内シェル(234)の右端から離れるとすぐに、加圧ばね(105)により及ぼされる負荷を受けて、駆動ホイール(122)のデテント歯間スペース(136)内へとポジティブロッキング式に係合する。そして、割出し連結機構(72)が係合される。トリガ要素(91)のさらなる作動の間、駆動ホイール(122)は、先へと駆動される。駆動ホイール(122)は、中間ホイール(151)を介して押出しローラ(154)を駆動し、それによって搬送方向(225)にバンド(221)が搬送される。搬送は、トリガレバー(91)が、例えばハウジングの止め具に当接するまで行われる。
【0084】
トリガレバー(91)の動きの間、駆動ペグ(111)は、スロット形案内部(185)の行程セクション(186)に沿って、
図12の説明図では右から左に動かされる。ピボットフレーム(171)は、上昇し、そこにおいて戻りピボットばね(173)が負荷を受ける。トリガレバー(91)がハウジングの止め具を支承するとすぐに、駆動ペグ(111)が、自由走行セクション(187)内に置かれる。ピボットフレーム(171)は、戻りピボットばね(173)によって加速され、枢動して初期位置へと戻る。ここで、押さえ手段(179)がバンド(221)に作用し、カウンタホルダ(21)に対してバンド(221)の位置を固定する。押さえ手段ばね(192)の変形の間、切断刃(177)がバンド(221)に作用してそれを分断する。分断されたセクションが排出領域(17)内に置かれ、押さえ手段(179)によって保持される。
【0085】
把持片(109)の解放後、トリガレバー(91)は、弛緩するリセットばね(99)によって、
図12に示される初期位置の方向に戻される。ここで、デテント要素(106)のウェッジ面(108)は、案内シェル(234)の挿入斜面(236)に沿って案内シェル(234)内へと摺動する。割出し連結機構(72)がデカップリングされる。駆動ペグ(111)が戻り行程セクション(188)へと移動し、さらに戻り行程セクション(188)から案内セクション(189)へと移動する。案内セクション(189)において、トリガレバー(91)は、例えば、ハウジングカバー(51)の方向に弾性的に変形され、それによって、駆動ペグ(111)が、行程セクション(186)の頂点に再び係合する。次いで、トリガレバー(91)が初期位置に再びつく。すでに断ち切られたストリップの取り出し後、バンド(221)は、さらなるストリップの作成のために搬送される。
【0086】
比較的大きな薬物用量が必要とされる場合、例えば、有効成分を含んだまたは有効成分を担持した比較的長いストリップを作成することができる。この目的のため、用量投与スライド(233)は、
図11および
図12の説明図において、デテントレール(24)に沿って、例えば右に変位され、ハウジング(11)内で移動止め作用によりロックされる。ここで、案内シェル(234)は、
図12の説明図では、ハウジングジャーナル(32)の周りに時計回りに枢動される。
【0087】
トリガレバー(91)が作動されると、デテント要素(106)は、比較的小さなセクタにわたって移動した後、すでに駆動ホイール(122)内に係合している。駆動ホイール(122)は、トリガレバー(91)がハウジング止め具に到達する前に、上述した例にあるよりも大きな回転角度にわたって回転される。搬送されるバンド(221)および作成されるストリップの長さは、駆動ホイール(122)のこの回転角度に比例する。ストリップの最大用量は、過剰用量を防ぐようにこうして設定することができる。
【0088】
事実、新しいバンド(221)をデバイス(10)に入れようとする場合、例えば、ハウジングカバー(51)を取り外し、リセットばね(99)を取り外す。新しいスプールをスプールチャンバ(12)に挿入したら、例えば、新しいバンド(221)を通すために、ハウジングキャップ(61)を枢動させて開けることができる。
【0089】
図19は、前記のタイプのデバイス(10)のさらなる一変形形態を示している。トリガ要素(91)は、ハウジング(10)に横方向に配置される大面積の割出しボタン(91)として設計される。用量投与スライド(233)は、トリガ要素(91)の反対側に配置される。このデバイス(10)の内部構造および機能は、
図11~
図18の例示的な実施形態に記載のデバイス(10)の構造および機能と一致する。
【0090】
図20~
図26は、有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンド(221)から作成されるストリップを分配するさらなるデバイス(10)を示している。この例では、ハウジング(10)は、下側シェル(31)、ハウジングカバー(51)、および2つの部材からなるハウジングキャップ(61)から構成される。トリガ要素(91)は、上面(14)に配置され、カバーキャップ(18)は、下面(13)に配置される。回転ノブ(91)のように設計されるトリガ要素(91)は、例えば、把持くぼみを有することができる。さらに、デバイス(10)は、ストリップを分断するために作動されるロッカボタン(241)を有する。この例示的な実施形態では、やはりまた、長手方向(15)は、上面(14)および下面(13)に対して垂直と定められる。
【0091】
ハウジング(11)内には、駆動デバイス(71)として、割出し連結機構(72)およびホイール伝動装置(121)が配置される。トリガ要素(91)によって駆動される割出し連結機構(72)は、ホイール伝動装置(121)を駆動する。ホイール伝動装置(121)は、バンド(221)をスプールチャンバ(12)から排出領域(17)の方向に搬出する。ロッカボタン(241)の作動後、バンド(221)から分断されたストリップを取り出すことができる。やはりまたハウジング(11)において、すぐ前の分断動作以降に搬送されたバンド(221)の単位の数を示すインジケータ(252)が見える。
【0092】
回転ノブ(91)は、ハウジング(11)内に回転可能に取り付けられる。前記回転ノブは、駆動ホイール(122)のハブ(124)の内部または後ろに係合する例えば4つの駆動突起(driver lug)(113)を有する。駆動ホイール(122)自体は、駆動ペグ(142)によって、ポット形の形状のラチェットホイール(81)に連結される。ラチェットホイール(81)は、駆動ホイール(122)に対して長手方向(15)に変位することができる。この目的のため、ラチェットホイール(81)は、駆動ホイール(122)の駆動ペグ(142)が内部に係合される駆動溝(84)を有する。前記ラチェットホイールは、回転ノブ(91)からそれたそのベース(83)に、下側シェル(31)の対応する相手側歯部(45)内に係合する周囲鋸歯状歯部(82)を有する。ラチェットホイール(81)のベース(83)と駆動ホイール(122)との間には、加圧ばね(73)の構造形態の割出しばね(73)が配置され、それによって2つの構成要素が常に互いに対して押し隔てられる。ハウジング(11)内における回転ノブ(91)の軸方向取り付けによって、長手方向(15)における駆動ホイール(122)の位置が固定される。
【0093】
回転ノブ(91)が長手方向(15)に向いた回転軸周りに反時計回りに回転されると、駆動ホイール(122)およびラチェットホイール(81)は先へと駆動される。加圧ばね(73)は、ラチェットホイール(81)を下側シェル(31)の相手側歯部(45)に押し付け、それによってラチェットホイール(81)は、長手方向(15)に前後に変位されるようになる。ここで、ラチェットホイール(81)は、下側シェル(31)にポジティブロッキング式に連結され移動止め作用によりロックされる安定位置から、不安定位置に動かされる。回転ノブ(91)が解放されると、ラチェットホイール(81)、駆動ホイール(122)および回転ノブ(91)は、初期位置へと回転して戻る。鋸歯状歯部(45、82)のリッジが越えられた後だけ、割出し連結機構(72)が割り出しされる。ラチェットホイール(81)は、移動止め作用により、相手側歯部(45)の次のデテントキャッチにポジティブロッキング式に係合する。割出し連結機構(72)は、こうして、段階的に進められる。
【0094】
適切な場合、デバイスは、ハウジング(11)の下面(13)から作動させることができる。この場合、一例として、カバーキャップ(18)は、回転ノブのように形成され、回転可能な剛連結によって、割出し連結機構(72)の他の構成要素に連結される。その場合、割出し連結機構(72)の作動のため、カバーキャップ(18)は、時計回りに回転される。
【0095】
駆動ホイール(122)は、例えば、ホイール伝動装置(121)内において中間ホイール(151)によって押出しローラ(154)に連結される外平歯車歯部(134)を有する。中間ホイール(151)、押出しローラ(154)および歯部は、前述の例示的な実施形態と併せて記載されるように設計することができる。摩擦ホイール伝動装置の使用も考えられる。
【0096】
デバイス(10)は、中間ホイール(151)なしで設計することもできる。事実、その場合、例えば、ラチェットホイール(81)およびハウジング下側部材(31)の鋸歯状歯部(45、82)は、それぞれの他の方向に向く。そのような一実施形態の場合、回転ノブ(91)の時計回りの回転によって、バンド(221)が搬送方向(225)に搬送される。
【0097】
逆圧ローラ(158)は、ハウジング(11)のハウジングキャップ(61)内に配置される。前記逆圧ローラは、例えば、前述の例示的な実施形態と併せて記載される逆圧ローラ(158)と同じように設計される。
【0098】
分断デバイス(161)は、押さえ手段(179)を支承する、平面視でL字形のピボットフレーム(171)と、分断ツール(177)とを有する。押さえ手段(179)および分断ツール(177)は、例えば、
図11~
図18に示される例示的な実施形態と併せて記載されるように設計される。
【0099】
下からの等角図である
図26に示されるピボットフレーム(171)は、ハウジングのピボットジャーナル(62)を受けるためのピボットハブ(183)を有し、逆圧ローラ(158)の周りに係合するための切欠き(193)を有する。ピボットフレーム(171)は、内側に、案内スロット(185)を有する。前記案内スロットは、例えば、
図18と併せて記載される案内スロット(185)と同様に設計される。この説明図では、頂点位置は、案内スロット(185)の左端に位置する。行程セクション(186)、自由走行セクション(187)および戻り行程セクション(188)は、溝様の形をしている。案内セクション(189)は、ランプ様の形をしている。ピボットフレーム(171)は、ねじりばねの構造形態の戻りピボットばね(173)によって分断位置の方向に負荷がかけられる。
図22の説明図では、ピボットフレーム(171)は、ハウジング(11)の案内要素(63)によって覆われている。
【0100】
ロッカボタン(241)は、ハウジング(11)内に枢動可能に取り付けられる。前記ロッカボタンは、分断デバイス(161)の作動要素を形成する。ロッカボタン(241)は、レバー様の形をしている。ピボット軸(242)の一方側において、前記ロッカボタンは、ハウジング(11)に対するロッカボタン(241)の枢動角度を制限するロッカ止め具(243)を有する。
【0101】
ロッカボタン(241)は、排出側(17)においてハウジング(11)から外に突出している把持領域(244)を有する。把持領域(244)をハウジング(11)の方向に押すことで、オペレータは、ロッカボタン(241)を静止位置から動作位置へと動かすことができる。さらに、リセットばねが、ロッカボタン(241)を動作位置から静止位置へと戻すことができる。
【0102】
ロッカボタン(241)は、その自由端に、
図21の説明図ではピボットフレーム(171)の案内スロット(185)内に係合している、駆動ペグ(245)を有する。図示の静止位置において、駆動ペグ(245)は、案内スロット(185)の頂点に位置する。この位置では、ピボットフレーム(171)は、バンド(221)から離間している。ロッカボタン(241)が押し込まれると、駆動ペグ(245)は、案内スロット(185)の行程セクション(186)に沿って移動する。ピボットフレーム(171)は、戻りピボットばね(173)の力に逆らって上昇される。駆動ペグ(245)が自由走行セクション(187)に達するとすぐに、分断デバイス(161)が戻りピボットばね(173)によってバンド(221)の方向に加速される。ストリップが分断された後、ロッカボタン(241)は、例えばばねによって、初期位置へと枢動して戻る。ここで、駆動ペグ(245)は、頂点の方向に、案内セクション(189)に沿って移動する。
【0103】
中間ホイール(151)は、計数機構(251)を駆動する。計数機構(251)は、歯付きホイールセグメントとして設計される計数ホイールセグメント(253)を有し、インジケータ(252)付の計数ドラム(254)を駆動しさらにデカップリングデバイス(261)を駆動する。中間ホイール(151)が回転すると、計数ドラム(254)がいずれも1つのドラムセグメント分だけ前方へ回転される。ここで、ねじりばね(256)のように設計されるリセットばね(256)が応力を受けて位置につく。例示的な実施形態では、計数ドラム(254)は、多くて5つのドラムセグメント分だけ初期位置から前進可能である。そして、歯付きホイールセグメント(253)は、中間ホイール(151)のさらなる回転を阻止する。例えば、歯付きホイールセグメント(253)の歯先円の半径を含む円筒形シェルセクションは、円周方向に両側において歯付きホイールセグメント(253)の範囲を定める。ドラムセグメントは、例えば、ハウジング(11)の観察窓(64)を通して見ることができる。
【0104】
デカップリングデバイス(261)は、ロッカボタン(241)に連結される。前記デカップリングデバイスは、ロッカボタン(241)に枢動可能に取り付けられるフォークロッド(262)を含む。フォークロッド(262)は、2本のフォークアーム(263)を有し、それらの自由端は、それぞれ軸レセプタクル(264)のように形成されている。さらに、ハウジングキャップ(61)内に取り付けられる計数機構(251)は、前記軸レセプタクル(264)内で保持される。フォークアーム(263)は、例えば、線形案内でハウジング(11)上に案内される。計数機構(251)は、駆動ホイール(122)または押出しローラ(154)に連結させてもよい。
【0105】
事実、デバイス(10)の組み立ての間、例えば、割出し連結機構(72)の構成要素およびホイール伝動装置(121)の構成要素の両方がハウジング下側部材(31)に挿入される。さらに、デカップリングデバイス(261)付のロッカボタン(241)、およびバンド(221)が、ハウジング下側部材(31)に挿入される。
【0106】
ピボットフレーム(171)および計数機構(251)は、ハウジングキャップ(61)に挿入される。ハウジングカバー(51)の取り付け後、回転ノブ(91)とカバーキャップ(18)が取り付けられ、例えば移動止め作用でロックされる。
【0107】
有効成分を含んだまたは有効成分を担持したバンド(221)のストリップの排出のために、オペレータは、回転ノブ(91)を例えば反時計回りに回転させる。割出し連結機構(72)が駆動ホイール(122)を前方に1段階ずつ割り出す。そこにおいて、オペレータは、個々の段階を、ラチェット連結(81、31)により音響的かつ触覚的に知覚できる。ホイール伝動装置(121)を介して、駆動ホイール(122)は、押出しローラ(154)を駆動し、それによってバンド(221)が搬送方向(225)に搬送される。計数機構(251)は、例えば1用量単位である、バンド(221)の1つのセクションが搬送されたことを示す。比較的長い長さのストリップの作成が求められる場合、回転ノブ(91)を再び回転させる。計数機構(251)が増分される。ストリップの最大長 - したがって最大有効成分用量 - は、歯付きホイールセグメント(253)によるホイール伝動装置(121)の阻止によって制限される。ストリップを分断するために、ロッカボタン(241)を押し下げ、それによって分断デバイス(161)が作動する。分断されたストリップは、分断デバイス(161)によって保持され、そして取り出し可能になる。それと同時に、デカップリングデバイス(261)が作動され、それによって中間ホイール(151)に対する歯付きホイールセグメント(253)の連結が解除される。計数ドラム(254)が、リセットばね(256)によって及ぼされる負荷を受けて回転して初期位置へと戻る。次に使用したとき、単位の計数が新たに始まる。
【0108】
図27は、前記のタイプのデバイス(10)のさらなる一実施形態を示している。回転ノブ(91)は、ハウジング(11)の側面に配置され、把持くぼみ(112)を有する。ロッカボタン(241)は、排出領域(17)の端側の下に配置されている。計数機構(251)のための観察窓(64)は,例えば上述した2つの面の近くに配置されるさらなる面に位置する。
【0109】
記載の例示的な実施形態の組み合わせも考えられる。
【符号の説明】
【0110】
10 ストリップを分配するデバイス、分配デバイス
11 ハウジング
12 スプールチャンバ
13 下面
14 上面
15 長手方向
16 円周面
17 排出領域
18 カバー、カバーキャップ
19 支持ペグ
21 カウンタホルダ
22 把持部
23 ピボット軸
24 デテントレール
31 ハウジング下側部材、下側シェル
32 ハウジングジャーナル、回転ジャーナル
34 案内ピン
35 下側ハウジング案内管
36 端当接面
37 案内管リブ
38 ばねペグ
39 アパーチャ
41 割出しボタン凹部
42 バンド案内要素
43 ジャーナル止め部
44 支承ジャーナル
45 相手側歯部、鋸歯状歯部
51 ハウジング上側部材、上側シェル、ハウジングカバー
52 上側シェルハウジングジャーナル、ピボットジャーナル
53 観察窓
55 ジャーナル凹部
61 ハウジングキャップ
62 ピボットジャーナル
63 案内要素
64 計数機構のための観察窓
68 保護フラップ
71 駆動デバイス
72 割出し連結機構
73 ばね要素、割出しばね、加圧ばね
74 割出しピニオン
75 ばねレセプタクル
76 割出しペグ
77 支持リング
78 ボア
79 割出し面
81 ラチェットホイール
82 鋸歯状歯部
83 (81)のベース
84 駆動溝
91 トリガ要素、割出しボタン、トリガレバー、回転ノブ
92 案内シリンダ
93 割出しボタン案内ウェブ
94 割出しボタン案内面
95 自由面
96 端面
97 案内アパーチャ
98 作動ヘッド
99 リセットばね
101 把持レバー
102 刃ホルダレバー
103 ピボット支承部
104 デテント案内部
105 割出しばね、加圧ばね
106 デテント要素
108 ウェッジ面
109 (91)の把持片
111 駆動ペグ
112 把持くぼみ
113 駆動突起
121 ホイール伝動装置、転がり接触伝動装置
122 駆動ホイール
123 (122)の軸
124 ハブ
125 ウェブ
126 アパーチャ
127 転がりカラー
128 駆動部
129 長手方向ボア
131 駆動溝
132 溝止め部
133 内歯部
134 外歯部、インボリュート歯部
135 デテント歯
136 デテント歯間スペース
137 デテント歯側面
138 溝ベース
139 デテント歯先端
141 挿入斜面
142 駆動ペグ
151 中間ホイール
152 (151)の第1の歯部
153 (151)の第2の歯部
154 押出しローラ
155 (154)の軸
156 転がり面
157 転がり領域
158 加圧ローラ、逆圧ローラ
159 (158)の軸
161 分断デバイス
162 カムシャフト
163 円柱断面形状領域
164 カム先端領域
165 多角形軸、ピボット軸
166 支承領域
167 六角形ペグ
171 ピボットフレーム
172 フレームアーム
173 リセットばね、戻りピボットばね
174 横断ウェブ
175 刃ホルダ
177 切断刃、分断ツール
178 刃先
179 押さえ手段
181 押さえ手段曲げばね
182 押さえ手段曲げばね
183 ピボットハブ
184 ピボットウェブ
185 案内スロット
186 行程セクション
187 自由走行セクション
188 戻り行程セクション
189 案内セクション
192 押さえ手段ばね、(179)のための板バネ
193 切欠き
201 デテントスライド
202 スライドセクション、スライドバー
203 加圧ばね領域
204 曲げばね領域
205 作動バー
206 ウェブ
207 曲げウェブ
211 デテントホイール
212 デテントキャッチ
213 マーキング、残量インジケータ
221 バンド
222 自由端
223 スプール
225 搬送方向
231 用量投与デバイス
232 用量投与レバー
233 用量投与スライド
234 案内シェル
235 円筒形セクション
236 挿入斜面
241 ロッカボタン、分断デバイス作動要素
242 ピボット軸
243 ロッカ止め具
244 把持領域
245 駆動ペグ
251 計数機構
252 インジケータ、用量単位インジケータ
253 歯付きホイールセグメント
254 計数ドラム
256 リセットばね、ねじりばね
261 デカップリングデバイス
262 フォークロッド
263 フォークアーム
264 軸レセプタクル