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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】車両用バイザー装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/04 20060101AFI20220322BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220322BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20220322BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B60J3/04
G02F1/13 505
G02F1/133 580
G02F1/1333
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018566036
(86)(22)【出願日】2018-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2018001231
(87)【国際公開番号】W WO2018142938
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2017016443
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】野々内 悠人
(72)【発明者】
【氏名】土本 芳裕
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098312(WO,A1)
【文献】特開2013-244771(JP,A)
【文献】特許第3688637(JP,B2)
【文献】実開昭58-129870(JP,U)
【文献】米国特許第02681824(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00-3/06
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過率を調整可能な調光領域を有する調光部と、
車外からの眩光を検出する光検出部と、
前記眩光が検出されると、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率を下げる制御部と、を備え、
該制御部は、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率が下がってから所定期間経過後に前記調光領域の光透過率をさらに下げる処理を行う、車両用バイザー装置。
【請求項2】
光透過率を調整可能な調光領域を有する調光部と、
車外からの眩光を検出する光検出部と、
前記眩光が検出されると、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率を下げる制御部と、を備え、
該制御部は、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率が下がった後に該調光領域の光透過率を徐々に下げる処理を行う、車両用バイザー装置。
【請求項3】
光透過率を調整可能なフィルム状の調光部と、
遊びがある状態でねじを通す第一挿通部を有し、前記調光部の一面側に配置された第一透明板と、
第二挿通部を有し、前記調光部の他面側に配置された第二透明板と、
該第二透明板側から前記第一透明板に向かって出て前記第一挿通部を通った前記ねじと前記第二透明板が挟まれていない状態で螺合する螺合部と、遊びがある状態で前記第二挿通部を通ったボスと、を有し、前記調光部が挟まれた前記第一透明板及び前記第二透明板を支持する支持部材と、を備える、車両用バイザー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過率を調整可能な調光部を有する車両用バイザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003-154845号公報に開示された車両用サンバイザーのバイザー本体は、車室内への光の透過率を調整できる液晶が板ガラスの間に封入された調光部材を有している。調光部材の周縁全体は、フレームに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-154845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光透過率を調整可能な車両用バイザー装置について、利便性を向上させることができると好適である。
【0005】
本発明は、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用バイザー装置は、光透過率を調整可能な調光領域を有する調光部と、
車外からの眩光を検出する光検出部と、
前記眩光が検出されると、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率を下げる制御部と、を備え、
該制御部は、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率が下がってから所定期間経過後に前記調光領域の光透過率をさらに下げる処理を行う、態様を有する。
【0007】
また、本発明の車両用バイザー装置は、光透過率を調整可能な調光領域を有する調光部と、
車外からの眩光を検出する光検出部と、
前記眩光が検出されると、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率を下げる制御部と、を備え、
該制御部は、透視性を有する範囲で前記調光領域の光透過率が下がった後に該調光領域の光透過率を徐々に下げる処理を行う、態様を有する。
【0009】
さらに、本発明の車両用バイザー装置は、光透過率を調整可能なフィルム状の調光部と、
遊びがある状態でねじを通す第一挿通部を有し、前記調光部の一面側に配置された第一透明板と、
第二挿通部を有し、前記調光部の他面側に配置された第二透明板と、
該第二透明板側から前記第一透明板に向かって出て前記第一挿通部を通った前記ねじと前記第二透明板が挟まれていない状態で螺合する螺合部と、遊びがある状態で前記第二挿通部を通ったボスと、を有し、前記調光部が挟まれた前記第一透明板及び前記第二透明板を支持する支持部材と、を備える、態様を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、バイザー装置を取り付けた自動車の車室の要部を模式的に例示する図。
図2図2は、バイザー装置の例を模式的に示す正面図。
図3図3は、バイザー装置を組み立てる前の各部の例を模式的に示す分解斜視図。
図4図4は、バイザー装置の縦断面の例を模式的に示す縦断面図。
図5図5は、透明板の要部、及び、透明板の支持構造の例を模式的に示す図。
図6図6は、透明板の要部、及び、透明板の支持構造の例を模式的に示す図。
図7図7は、バイザー装置の電気回路の例を模式的に示すブロック図。
図8図8は、調光部の調光領域の例を模式的に示す図。
図9図9は、制御部で行われる透視制御処理の例を示すフローチャート。
図10図10は、制御部で行われる境位置制御処理の例を示すフローチャート。
図11図11は、境位置を直接決める操作に応じた分割領域の変化の例を模式的に示す図。
図12図12は、境位置を直接決める操作に応じたグラデーション領域の変化の例を模式的に示す図。
図13図13は、制御部で行われる眩光制御処理の例を示すフローチャート。
図14図14は、眩光検出時の調光領域の変化の例を模式的に示す図。
図15図15は、制御部で行われる光透過率手動制御処理の例を示すフローチャート。
図16図16は、スライド操作に応じた調光領域の変化の例を模式的に示す図。
図17図17は、光供給部を有するバイザー装置の例を模式的に示す縦断面図。
図18図18は、光供給部からの光を透明板に供給した時のバイザー装置の例を模式的に示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0015】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~18に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0016】
[態様1]
本技術の一態様に係る車両用バイザー装置1は、調光部10(例えば液晶フィルム)、制御部50、及び、操作部60を備える。前記調光部10は、光透過率を調整可能な調光領域20を複数有する。前記制御部50は、透視性を有する第一領域21、及び、該第一領域21よりも光透過率が低い第二領域22を前記調光部10に出現させる。前記操作部60は、前記第一領域21と前記第二領域22との境23の位置を直接決める操作を受け付ける。前記制御部50は、前記操作により決められた位置を境23として前記第一領域21と前記第二領域22とを前記調光部10に出現させる。
【0017】
上記態様1において、車両用バイザー装置1を使用している状態で視界を拡げたい場合には、比較的高い光透過率の第一領域21を拡げるように第一領域21と第二領域22との境23の位置を直接決める操作をすれば第一領域21が拡がる。また、防眩用の範囲を拡げたい場合には、比較的低い光透過率の第二領域22を拡げるように第一領域21と第二領域22との境23の位置を直接決める操作をすれば第二領域22が拡がる。従って、本態様は、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を提供することができる。
【0018】
ここで、光透過率は、物体(例えば調光領域)への入射光強度に対する物体(例えば調光領域)の透過光強度の比とする。
調光部には、液晶フィルム、液晶パネル、エレクトロクロミック物質を用いたフィルム、エレクトロクロミック物質を用いたパネル、等が含まれる。
「透視性」は、背後を透かして見ることができる性質であるものとする。
第二領域は、第一領域よりも光透過率が小さければよく、遮光領域(理想の光透過率が0%)でもよいし、光を若干透過させる透光領域でもよい。「透光」は「物質を光が透過して他面から出ること」であるものとし、「透光」に「透視性」は有っても無くてもよい。
尚、上記態様1の付言は、以下の態様も同様である。
【0019】
[態様2]
図11,12等に例示するように、前記制御部50は、所定方向D1(使用状態において例えば上下方向D11)の一方側D1a(例えば下側)に前記第一領域21を配置して前記所定方向D1の他方側D1b(例えば上側)に前記第二領域22を配置してもよい。前記操作部60は、前記所定方向D1に沿った長尺状操作部(例えば長尺状スイッチ62)を有してもよい。該長尺状操作部(62)は、表面62aに接触する操作を受け付けてもよい。ここで、前記長尺状操作部(62)において第一の操作点P1が第二の操作点P2よりも前記所定方向D1の一方側D1aにあるとする。前記制御部50は、前記所定方向D1における前記第一領域21と前記第二領域22との境23の位置について、前記第一の操作点P1への接触操作が受け付けられた場合における位置を前記第二の操作点P2への接触操作が受け付けられた場合における位置よりも前記一方側D1aにしてもよい。
【0020】
上記態様2では、所定方向D1(例えば上下方向D11)において比較的一方側D1a(例えば下側)にある第一の操作点P1を操作すれば第一領域21と第二領域22との境23が比較的一方側D1a(例えば下側)となり、所定方向D1(例えば上下方向D11)において比較的他方側D1b(例えば上側)にある第二の操作点P2を操作すれば第一領域21と第二領域22との境23が比較的他方側D1b(例えば上側)となる。従って、利便性をさらに向上させることが可能な技術を提供することができる。
【0021】
[態様3]
前記車両用バイザー装置1は、さらに、車外からの眩光L1を検出する光検出部70を備えてもよい。前記制御部50は、さらに、前記眩光L1が検出されると、透視性を有する範囲で前記調光領域20の光透過率を下げてもよい。前記制御部50は、透視性を有する範囲で前記調光領域20の光透過率が下がった後に該調光領域20の光透過率をさらに下げることが可能でもよい。前記操作部60は、さらに、表面62aに接触した状態におけるスライド操作を受け付けてもよい。前記制御部50は、さらに、前記スライド操作に応じて前記調光領域20の光透過率を制御してもよい。
上記態様3は、利便性をさらに向上させることが可能な技術を提供することができる。
【0022】
[態様4]
前記車両用バイザー装置1は、さらに、光を拡散透過させる縁部32を有し、フィルム状の前記調光部10を保持する透明板30を備えてもよい。前記透明板30は、遊びがある状態でねじSC1を通す第一挿通部311を有し、フィルム状の前記調光部10の一面側10aに配置された第一透明板310を備えてもよい。また、前記透明板30は、第二挿通部321を有し、前記フィルム状の調光部10の他面側10bに配置された第二透明板320を備えてもよい。前記車両用バイザー装置1は、さらに、前記第二透明板320側から前記第一透明板310に向かって出て前記第一挿通部311を通った前記ねじSC1と前記第二透明板320が挟まれていない状態で螺合する螺合部422と、遊びがある状態で前記第二挿通部321を通ったボス423と、を有し、前記調光部10が挟まれた前記第一透明板310及び前記第二透明板320を支持する支持部材40と、を備えてもよい。前記透明板30は、上縁部32a、下縁部32b、ルームミラー110側の第一側縁部32c、及び、該第一側縁部32cとは反対側の第二側縁部32dを有してもよい。前記支持部材40は、さらに、前記透明板30における前記下縁部32b及び前記第一側縁部32cを露出させ、前記透明板30における前記上縁部32a及び前記第二側縁部32dを覆い、前記調光部10を保持する前記透明板30を支持してもよい。
上記態様4は、利便性をさらに向上させることが可能な技術を提供することができる。
【0023】
[態様5]
ところで、本技術の別の態様に係る車両用バイザー装置1は、調光部10(例えば液晶フィルム)、光検出部70、及び、制御部50を備える。前記調光部10は、光透過率を調整可能な調光領域20を有する。前記光検出部70は、車外からの眩光L1を検出する。前記制御部50は、前記眩光L1が検出されると、透視性を有する範囲で前記調光領域20の光透過率を下げる。また、前記制御部50は、透視性を有する範囲で前記調光領域20の光透過率が下がった後に該調光領域20の光透過率をさらに下げることが可能である。
上記態様5では、意図せず眩光L1が検出されても調光領域20が透視性を有しており、調光領域20が透視性を有する光透過率に下がった後に調光領域20の光透過率がさらに下がるようにもなっている。従って、本態様は、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を提供することができる。
【0024】
ここで、眩光は、太陽光等を含み、太陽光に限定されない。
光検出部には、照度センサー(日射センサーを含む。)、撮像素子、等が含まれる。
制御部が制御する調光領域は、調光部の全部でもよいし、一部でもよい。
尚、上記態様5の付言は、以下の態様も同様である。
【0025】
また、前記制御部50は、透視性を有する範囲で前記調光領域20の光透過率が下がった後に該調光領域20の光透過率を徐々に下げてもよい。
さらに、前記車両用バイザー装置1は、前記調光領域20の光透過率をさらに下げる操作を受け付ける操作部60を備えてもよい。前記制御部50は、透視性を有する範囲で前記調光領域20の光透過率が下がった後に前記操作が受け付けられると前記調光領域20の光透過率をさらに下げてもよい。
【0026】
[態様6]
また、本技術の別の態様に係る車両用バイザー装置1は、調光部10(例えば液晶フィルム)、操作部60、及び、制御部50を備える。前記調光部10は、光透過率を調整可能な調光領域20を有する。前記操作部60は、表面62aに接触した状態におけるスライド操作を受け付ける。前記制御部50は、前記スライド操作に応じて前記調光領域20の光透過率を制御する。
上記態様6では、表面62aに接触した状態におけるスライド操作に応じて調光領域20の光透過率が変わるので、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を提供することができる。
【0027】
[態様7]
さらに、本技術の別の態様に係る車両用バイザー装置1は、フィルム状の調光部10(例えば液晶フィルム)、第一透明板310、第二透明板320、及び、支持部材40を備える。前記フィルム状の調光部10は、光透過率を調整可能である。前記第一透明板310は、遊びがある状態でねじSC1を通す第一挿通部311を有し、前記調光部10の一面側10aに配置されている。前記第二透明板320は、第二挿通部321を有し、前記調光部10の他面側10bに配置されている。前記支持部材40は、前記第二透明板320側から前記第一透明板310に向かって出て前記第一挿通部311を通った前記ねじSC1と前記第二透明板320が挟まれていない状態で螺合する螺合部422と、遊びがある状態で前記第二挿通部321を通ったボス423と、を有し、前記調光部10が挟まれた前記第一透明板310及び前記第二透明板320を支持する。
【0028】
フィルム状調光部10が挟まれた第一透明板310及び第二透明板320をねじSC1で支持部材40に共締めすると、光透過のむらやフィルム状調光部10の剥がれといった不具合が発生する可能性がある。
上記態様7は、上述の共締めによる不具合を回避しながらフィルム状調光部10を使用することができるので、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を提供することができる。
【0029】
ここで、第一挿通部及び第二挿通部には、透明板を厚さ方向へ貫通した穴、透明板の縁部から凹んだ部位、等が含まれる。「透明板」は、第一透明板と第二透明板を総称している。
上述した態様1~6で示した制御部は、支持部材に配置されてもよいし、バイザー本体とは別の場所に配置されてもよい。
上述した態様1~6で示した操作部は、支持部材に配置されてもよいし、透明板に配置されてもよいし、ステアリング等、バイザー本体とは別の場所に配置されてもよい。
尚、上記態様7の付言は、以下の態様も同様である。
【0030】
また、前記螺合部422は、前記ボス423の先端423eから凹んだ部位にあってもよい。前記第二挿通部321を通った前記ボス423の先端423eに、前記第一挿通部311を通った前記ねじSC1が螺入されてもよい。
さらに、前記支持部材40は、前記第一透明板310側の第一壁部411と、前記第二透明板320側の第二壁部421と、を有してもよい。前記ボス423は、前記第二壁部421から前記第二挿通部321を通って前記第一壁部411に繋がってもよい。
【0031】
[態様8]
さらに、本技術の別の態様に係る車両用バイザー装置1は、フィルム状の調光部10(例えば液晶フィルム)、及び、透明板30を備える。前記フィルム状の調光部10は、光透過率を調整可能である。前記透明板30は、光を拡散透過させる縁部32を有し、前記調光部10を保持する。
上記態様8において、透明板30の縁部32に入射した眩光L1は、屈折しても拡散透過する(例えば図4参照)。従って、本態様は、防眩性を向上させながらフィルム状調光部10を使用することができるので、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を提供することができる。
【0032】
ここで、拡散透過は、多くの方向に光を拡散する透過を意味する。透光板の縁部の全てが光を拡散透過させてもよいし、透光板の縁部の一部のみ光を拡散透過させてもよい。例えば、調光部を保持する透明板が支持部材に支持される場合、透光板の縁部のうち支持部材で覆われている部分は光を拡散透過させなくてもよい。
尚、上記態様8の付言は、以下の態様も同様である。
【0033】
また、前記車両用バイザー装置1は、さらに、前記透明板30の縁部32から拡散透過させる光を前記透明板30に供給する光供給部80を備えてもよい。
【0034】
[態様9]
さらに、本技術の別の態様に係る車両用バイザー装置1は、フィルム状の調光部10(例えば液晶フィルム)、透明板30、及び、支持部材40を備える。前記フィルム状の調光部10は、光透過率を調整可能である。前記透明板30は、上縁部32a、下縁部32b、ルームミラー110側の第一側縁部32c、及び、該第一側縁部32cとは反対側の第二側縁部32dを有し、前記調光部10を保持する。前記支持部材40は、前記透明板30における前記下縁部32b及び前記第一側縁部32cを露出させ、前記透明板30における前記上縁部32a及び前記第二側縁部32dを覆い、前記調光部10を保持する前記透明板30を支持する。
上記態様9は、ルームミラー110の視認性を向上させながらフィルム状調光部10を使用することができるので、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置を提供することができる。
【0035】
さらに、本技術は、車両用バイザー装置を含む内装材等に適用可能である。
【0036】
(2)車両用バイザー装置の具体例:
図1は、車両用バイザー装置をサンバイザーとして使用する例を模式的に示している。図1には、自動車100の車室CA1の要部が示されている。ここで、方向D11は上下方向を示し、符号D12は車幅方向を示す。前後左右の位置関係は、図1に示すように自動車100から前を見る方向を基準とする。
【0037】
図1に示す自動車100には、運転席から見て、前にはフロントウィンドウ101があり、左右にはサイドウィンドウ102があり、フロントウィンドウ101とサイドウィンドウ102との間にフロントピラー103がある。自動車100の天井部104におけるフロントウィンドウ101の近傍には、ルームミラー110、運転席側のバイザー装置1A、及び、助手席側のバイザー装置1Bが取り付けられている。ここで、バイザー装置1A,1Bをバイザー装置1と総称する。
【0038】
図2は、運転席側のバイザー装置1Aを調光部10の一面側10aから見た様子を模式的に例示している。助手席側のバイザー装置1Bは運転席側のバイザー装置1Aと左右対称であるので、運転席側のバイザー装置1Aをバイザー装置1の代表として説明する。ここで、符号D1は調光領域20を分ける所定方向を示し、符号D1aは所定方向D1の一方側であり、符号D1bは所定方向D1の他方側である。図2には使用状態において所定方向D1が上下方向D11である例が示されている。符号D2は所定方向D1と直交する幅方向であり、図2には使用状態において幅方向D2が車幅方向D12である例が示されている。図3は、バイザー装置1を組み立てる前の各部を模式的に例示している。図4は、バイザー装置1の縦断面を模式的に例示している。図4の右側には、透明板30の下縁部32b及びその近傍を拡大して示している。図4では、調光部10と接着層AD1,AD2と透明板30の断面を表すハッチングを省略している。符号D13は前後方向であり、図4では使用状態にあるバイザー本体2の断面を示している。
【0039】
図2に示すバイザー装置1は、バイザー本体2、及び、該バイザー本体2を支持する軸部材90を有している。バイザー本体2は、光透過率を調整可能な調光部10、透明板30、支持部材40、制御部50、操作部60、及び、光検出部70を有している。軸部材90は、天井部104に取り付けられる基部91、及び、この基部91に対して短軸部92bを中心として回転動作可能に支持されるL字部材92を有している。バイザー本体2の支持部材40の上部43は、L字部材92に対してL字部材92の長軸部92aを中心として回転動作可能に支持されている。従って、図1に示すように、ユーザーは、長軸部92aを中心としてバイザー本体2を、例えば、天井部104に沿った非使用位置PV1にしたり、フロントウィンドウ101の一部が隠れる使用位置PV2にしたりすることができる。また、ユーザーは、短軸部92bを中心としてバイザー本体2を、サイドウィンドウ102の一部が隠れる側方位置PV3にしたり、使用位置PV2に戻したりすることができる。軸部材90には、自動車100のバッテリーからバイザー本体2の電気回路に電力を供給するためのケーブル95(図3参照)も配置されている。むろん、バイザー本体2に電池を設置すれば、ケーブルは無くてもよい。
【0040】
調光部10は、図4等に示すようにフィルム状であり、光透過率を調整可能である。本具体例の調光部10は液晶フィルムであるものとするが、フィルム状調光部はエレクトロクロミック物質を用いたフィルム等でもよい。フィルム状調光部10には、例えば、電圧を印加していない時に遮光状態(例えば光透過率0~3%)となり、電圧を印加しているときに透視状態となる液晶フィルムを用いることができる。尚、本願において、「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
図8等に例示するように、調光部10は、光透過率を調整可能な調光領域20を複数有している。調光領域20の詳細は、後述する。調光部10は、変形し易いフィルム状であるため、透明板30に保持されている。
【0041】
透明板30は、フィルム状調光部10の一面側10aに配置された第一透明板310と、フィルム状調光部10の他面側10bに配置された第二透明板320と、に分かれている。本具体例では、バイザー本体2が使用位置PV2にある時に、運転手から調光部10の一面側10aが見えて他面側10bが見えないものとする。従って、バイザー装置1の使用状態において、第一透明板310が車室CA1側にあり、第二透明板320がフロントウィンドウ101に対向することになる。尚、透光板310,320を支持する構造において、調光部10の「一面側」及び「他面側」は便宜上の区別に過ぎないため、バイザー本体2が使用位置PV2にある時に運転手から調光部10の一面側が見えず他面側が見える場合も、本技術に含まれる。以下、第一透明板と第二透明板をまとめて説明する際には、単に「透明板」と記載する。
透明板30には、熱可塑性樹脂といった合成樹脂等を用いることができ、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリル(PMMA)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、シリコーン(SI)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、といった透明性を有する樹脂等を用いることができる。例えば、透明性を有する樹脂材料に対して射出成形といった公知の成形を行うことにより、所要形状の透明板30を形成することができる。
【0042】
図4等に示すように、調光部10の一面側10aは、接着層AD1を介して第一透明板310の内側面312に接着することができる。調光部10の他面側10bは、接着層AD2を介して第二透明板320の内側面322に接着することができる。接着層AD1,AD2を形成するための接着剤は、光学接着剤(OCA;Optical Clear Adhesive)、光学樹脂(OCR;Optical Clear Resin)、等を用いることができ、OCAテープ等でもよい。
【0043】
透明板30の縁部32は、図4に示すように、丸みを有するR形状とされている。ここで、図2に示すように、透明板30の縁部32を、上側の上縁部32a、下側の下縁部32b、ルームミラー110側の第一側縁部32c、及び、フロントピラー103側(第一側縁部32cとは反対側の例)の第二側縁部32dに分ける。少なくとも下縁部32b及び第一側縁部32cは、図4に示すように、光を拡散透過させるためのしぼ34が形成されている。しぼ34は、微細な凹凸であり、例えば、射出成形型に微細な凹凸を形成したりブラスト加工を行ったりすることにより形成することができる。尚、支持部材40に隠れる上縁部32a及び第二側縁部32dは、しぼが形成されてもよいし、しぼが無くてもよい。
しぼ34により透明板30の縁部32を拡散透過面にすると、図4に示すように、透明板30の縁部32に入射した眩光L1は、屈折しても拡散透過する。従って、本具体例は、防眩性を向上させながらフィルム状調光部10を使用することができるので、利便性が向上する。
【0044】
図5は、透明板30の要部を模式的に例示している。図5の上部には、第一透明板310の背後にある第二透明板320を抜き出して示している。図5の下部には、挿通部311,321及びその近傍における透明板30の支持構造の縦断面を示している。符号D3は、第二透明板320から第一透明板310に向かう方向を示す。図5に示す第一透明板310は、遊びがある状態でねじSC1を通す第一挿通部311を有している。この第一挿通部311は、第一透明板310の厚さ方向(方向D3)へ貫通した穴であり、ねじSC1の頭を残して遊びがある状態でねじSC1を通す。また、図5に示す第二透明板320は、遊びがある状態で支持部材40のボス423を通す第二挿通部321を有している。この第二挿通部321は、第二透明板320の厚さ方向(方向D3)へ貫通した穴であり、ねじSC1の螺合部422が形成されたボス423を通す。
【0045】
図2~5に示す支持部材40は、フィルム状調光部10を保持する透明板30を支持する。本具体例の支持部材40は、調光部10が挟まれた第一透明板310及び第二透明板320を支持する。ここで、第一透明板310及び第二透明板320をねじで共締めすると、ねじの近傍でフィルム状調光部10が厚さ方向へ押されて光透過にむらが生じたり、ねじから離れた箇所で第一透明板310と第二透明板320との間隔が拡がってフィルム状調光部10が剥がれたりする可能性がある。そこで、本具体例では、透明板310,320を共締めしないで支持する構造を採用している。
【0046】
図3~5に示す支持部材40は、第一透明板310側の第一壁部411を有する第一ベゼル410と、第二透明板320側の第二壁部421を有する第二ベゼル420と、に分かれている。各ベゼル410,420は、例えば、樹脂材料に対して射出成形といった公知の成形を行うことにより所要形状に形成することができる。前記樹脂材料には、熱可塑性樹脂といった合成樹脂等を用いることができ、PP樹脂といったポリオレフィン、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、これらの樹脂に着色剤や充てん材等といった添加剤を添加した材料、等を用いることができる。本具体例では支持部材40が不透明の材料で形成されているものとするが、支持部材40は不透明(光透過率0%)であることに限定されない。
【0047】
第一ベゼル410と第二ベゼル420は、調光部10が挟まれた透明板310,320を挟んだ状態で一体化されている。この一体化は、超音波溶着、熱溶着、接着剤の塗布、粘着テープの貼り付け、等により行うことができる。
【0048】
図5に示す第二ベゼル420の第二壁部421からは、第二透明板320から第一透明板310に向かう方向D3へボス423が突出している。このボス423は、第二透明板320の貫通穴である第二挿通部321を遊びがある状態で通り抜ける太さであり、第一透明板310の貫通穴である第一挿通部311を通り抜けることができない太さである。ボス423の先端423eには、第一挿通部311を通ったねじSC1と螺合する螺合部422が形成されている。すなわち、螺合部422は、第二透明板320側から第一透明板310に向かって第二透明板320側から第一透明板310に向かって出ており、ボス423の先端423eから凹んだ部位にある。遊びがある状態で第二挿通部321を通ったボス423の先端423eに螺合部422が形成されているので、第一挿通部311を通ったねじSC1がボス423の先端423eに螺入される。第二透明板320は、螺合部422とねじSC1とに挟まれていない。従って、第二壁部421から突出したボス423の螺合部422と螺合するねじSC1は、第一透明板310の縁部に締め付け力を伝えるが、第二透明板320の縁部には締め付け力を伝えない。一方、第二透明板320の縁部は、第二挿通部321を通ったボス423により保持される。
以上より、本具体例は、上述の共締めによる不具合を回避しながらフィルム状調光部10を使用することができるので、利便性が向上する。
【0049】
尚、図6に示すように、第二透明板320の第二挿通部321の全部、又は、一部を第一透明板310の第一挿通部311と異なる位置に形成してもよい。図6は、挿通部311,321の位置を異ならせた透明板30の要部を模式的に例示している。図6の上部には、第一透明板310の背後にある第二透明板320を抜き出して示している。図6の左下部には、第一挿通部311及びその近傍における透明板30の支持構造の縦断面を示している。図6の右下部には、第二挿通部321及びその近傍における透明板30の支持構造の縦断面を示している。
【0050】
図6の左下部に示すように、第一透明板310は、遊びがある状態でねじSC1を通す第一挿通部311を有している。この第一挿通部311がある箇所に第二透明板320は無い。第二ベゼル420の第二壁部421からは、第二透明板320から第一透明板310に向かう方向D3へボス423が突出している。ボス423の先端423eには、第一挿通部311を通ったねじSC1と螺合する螺合部422が形成されている。第二壁部421から第二透明板320の位置を超えたボス423の先端423eに螺合部422が形成されているので、第一挿通部311を通ったねじSC1がボス423の先端423eに螺入される。第二透明板320は、螺合部422とねじSC1とに挟まれていない。従って、第二壁部421から突出したボス423の螺合部422と螺合するねじSC1は、第一透明板310の縁部に締め付け力を伝えるが、第二透明板320の縁部には締め付け力を伝えない。
【0051】
図6の右下部に示すように、第二透明板320は、遊びがある状態で支持部材40のボス423を通す第二挿通部321を有している。この第二挿通部321がある箇所に第一透明板310は無い。図6に示すボス423は、第二壁部421から第二挿通部321を通って第一壁部411に繋がっている。例えば、後で両壁部411,421を繋ぐボス423となるボス413を第二ベゼル420の第二壁部421に形成しておき、繋ぐ前のボス423を第二挿通部321に通してボス413と突き合わせ、両ボス413,423を超音波溶着等により一体化すると、第二壁部421から第二挿通部321を通って第一壁部411に繋がるボス423が形成される。このボス423に第二透明板320の縁部が保持されるので、第二透明板320の脱落がさらに抑制される。
以上より、図6に示す支持構造でも、上述の共締めによる不具合を回避しながらフィルム状調光部10を使用することができるので、利便性が向上する。また、図6に示す支持構造があれば、図5に示す支持構造は無くてもよい。
【0052】
また、図1,2に示す支持部材40は、フィルム状調光部10を保持する透明板30における上縁部32aを覆う上部43、及び、透明板30におけるフロントピラー103側の第二側縁部32dを覆う側部44を有している。支持部材40は、透明板30における下縁部32b及び第一側縁部32cを露出させ、透明板30における上縁部32a及び第二側縁部32dを覆っている。上部43と側部44が一体化された支持部材40の形状は、略L字状である。本具体例では、側部44の内部に制御部50の例であるECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)51が収容され、側部44の第一ベゼル410側の表面に操作部60が配置され、上部43の第二ベゼル420側の表面に日射センサー71(光検出部70の例)が配置されているものとする。
【0053】
透明板30の下縁部32bが不透明の支持部材40から露出しているため、透明板30の下縁部32bの視認性が向上している。また、透明板30のルームミラー110側の第一側縁部32cが支持部材40から露出しているため、ルームミラー110の視認性が向上する。一方、透明板30の上縁部32aはバイザー本体2の使用時に眩光を遮る必要がある可能性が高いため、不透明の支持部材40で覆われてもよい。透明板30のルームミラー110とは反対側には元々視界が遮られるフロントピラー103があるため、透明板30の第二側縁部32dが不透明の支持部材40で覆われてもよい。支持部材40の上部43及び側部44が一体化されていることにより、フィルム状調光部10を保持する透明板30を支持する支持部材40の強度が良好である。
本具体例は、ルームミラー110の視認性を向上させながらフィルム状調光部10を使用することができるので、利便性が向上する。
【0054】
尚、透明板30の下縁部32b及び第一側縁部32cにしぼ34が形成されているので、透明板30の支持部材40で覆われていない縁部32が光を拡散透過させる。従って、本具体例は、防眩性を向上させながらフィルム状調光部10を使用することができる。
【0055】
図7は、ECU51(制御部50の例)、操作部60、及び、日射センサー71(光検出部70の例)を含むバイザー装置1の電気回路を模式的に例示している。
ECU51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリー、I/O(入出力)回路、タイマー(Timer)、等を有する。半導体メモリーには、例えば、ROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)が含まれる。バイザー装置の制御プログラムが半導体メモリーに記録される場合、この半導体メモリーはバイザー装置の制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体となる。ECU51のCPUは、RAMをワークエリアとして使用し半導体メモリー(例えばROM)に記録されている制御プログラムを必要に応じて読み出して実行することにより、コンピューターを制御部50として機能させる。ECU51には、調光部10、操作部60、及び、日射センサー71が接続されている。
本具体例のECU51は支持部材40の側部44に配置されているが、ECU51は、支持部材40の上部43に配置されてもよいし、自動車100の本体側に配置されてもよい。バイザー本体2の電気回路とバイザー本体外のECUとを接続する信号線を例えば軸部材90に配置すると、ECUをバイザー本体外に配置することができる。
【0056】
操作部60は、複数のモード切替スイッチ61、及び、長尺状スイッチ62(長尺状操作部の例)を有している。本具体例のスイッチ61,62は表面に接触する操作を受け付ける静電容量スイッチ(capacitive switch)であるものとするが、スイッチ61,62は、静電容量形近接スイッチ、機械接点式のキースイッチ、等でもよい。表面に接触する操作を受け付ける静電容量スイッチは、タッチスイッチ、タッチセンサー、等とも呼ばれる。複数のモード切替スイッチ61は、所定方向D1へ並べられており、表面61aに接触する操作を受け付ける。長尺状スイッチ62は、所定方向D1に沿って配置され、表面62aに接触する操作を受け付ける。
本具体例の操作部60は支持部材40の側部44における第一ベゼル410の表面に配置されているが、操作部60は、支持部材40の上部43の表面に配置されてもよいし、ステアリングなど自動車100の本体側に配置されてもよい。バイザー本体2の電気回路とバイザー本体外の操作部とを接続する信号線を例えば軸部材90に配置すると、操作部をバイザー本体外に配置することができる。また、透明なタッチパネルを透明板30の表面の一部又は全部に貼り付けると、このタッチパネルを操作部60にすることができる。
【0057】
日射センサー71は、入射する光の強度を内蔵のフォトダイオードに流れる電流として検出する。日射センサー71は、検出電流を電圧に変換して出力してもよい。太陽光を含む眩光L1の閾値を設定しておけば、日射センサー71からの出力に基づいて入射光が眩光L1であるか否かを判断することができる。従って、日射センサー71を含む光検出部70は、車外からの眩光L1を検出する。尚、光検出部70は、日射センサーに限定されず、撮像素子等でもよい。
本具体例の日射センサー71は支持部材40の上部43における第二ベゼル420の表面に配置されているが、支持部材40の側部44の表面に配置されてもよいし、ルームミラー110の裏側など自動車100の本体側に配置されてもよい。バイザー本体2の電気回路とバイザー本体外の日射センサーとを接続する信号線を例えば軸部材90に配置すると、日射センサーをバイザー本体外に配置することができる。
【0058】
図8は、ECU51に接続された調光部10の調光領域20を模式的に例示している。図8に示す調光領域20は、バイザー本体2が使用位置PV2にある時の上下方向D11(所定方向D1の例)へ並べられた細長い調光領域A1~A8を含んでいる。以下、バイザー本体2が使用位置PV2にある場合を基準として上下関係を説明する。長尺状の調光領域A1~A8は、長手方向を幅方向D2へ向けて配置され、個別に光透過率を調整可能である。便宜上、下(一方側D1a)から上(他方側D1b)の順に調光領域A1,A2,…,A8と名付ける。尚、調光部10の調光領域の数は、7以下でもよいし、9以上でもよい。また、幅方向D2において調光領域が分割されてもよい。
【0059】
図9に例示するように、ECU51は操作部60への操作に応じて調光部10を制御する。図9は、ECU51で行われる透視制御処理を例示している。この処理は、バイザー本体2への通電が開始された時に開始してもよいし、バイザー本体2が使用位置PV2となったことを検出した時に開始してもよい。例えば、バイザー本体2が使用位置PV2となったことを検出するセンサーをバイザー装置1に設けると、バイザー本体2が使用位置PV2となったことを検出したことをトリガーとして透視制御処理を開始することができる。また、バイザー本体2が非使用位置PV1から使用位置PV2に変わると日射センサー71への入射光が強くなると想定されるので、入射光の強度上昇が該強度上昇の閾値を超えたことを検出したことをトリガーとしても透視制御処理を開始することができる。
尚、バイザー本体2が非使用位置PV1となったことを検出した時にはバイザー本体2への通電を停止して調光部10を遮光状態(例えば光透過率0%)にしてもよい。また、バイザー本体2が側方位置PV3となったことを検出した時にもバイザー本体2への通電を停止して調光部10を遮光状態にしてもよい。さらに、バイザー本体2の背面側(第二ベゼル420)に調光部10を遮光状態にするための背面操作部を用意すれば、バイザー本体2が非使用位置PV1又は側方位置PV3にある時に背面操作部を操作することにより調光部10を遮光状態にすることができる。
【0060】
透視制御処理が開始されると、ECU51は、操作部60への操作を受け付ける(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略。)。その後、ECU51は、操作部60への操作に応じた処理を行い(S104)、処理をS102に戻す。S104の操作別処理は、例えば、処理テーブルTA1に従って行うことができる。むろん、処理テーブルTA1の内容は、一例に過ぎない。
【0061】
例えば、モード切替スイッチ61が「遮光エリア分割」の接触操作を受け付けると、ECU51は、調光部10において、境23から下(一方側D1a)に透視性を有する第一の光透過率T1の第一領域21を出現させ、境23から上(他方側D1b)に第一領域21よりも光透過率が低い第二の光透過率T2の第二領域22を出現させる。すなわち、所定方向D1の一方側D1aに第一領域21が配置され、所定方向D1の他方側D1bに第二領域22が配置される。
モード切替スイッチ61が「遮光グラデーション」の接触操作を受け付けると、ECU51は、下から上に向かって徐々に光透過率が下がるグラデーションパターンを調光部10に出現させる。ここで、最も高く設定された光透過率を第一の光透過率T1とし、最も低く設定された光透過率を第二の光透過率T2とすると、境23の光透過率を(T1+T2)/2と定義することができる。従って、調光部10には、境23から下に透視性を有する第一領域21が配置され、境23から上に第一領域21よりも光透過率が低い第二領域22が配置される。
【0062】
モード切替スイッチ61が「光透過率自動調整」の接触操作を受け付けると、ECU51は、眩光L1が検出されたか否かに応じて調光領域20の光透過率を調整し、「境位置調整モード」へ移行させる。光透過率を調整する対象の調光領域20は、全部(調光領域A1~A8)の場合もあれば、一部の場合もある。
モード切替スイッチ61が「光透過率手動調整」の接触操作を受け付けると、ECU51は、「光透過率調整モード」へ移行させる。
【0063】
「境位置調整モード」において長尺状スイッチ62が接触操作を受け付けると、ECU51は、前記接触操作の位置に応じて決まる境23となるように第一領域21及び第二領域22を調光部10に出現させる。長尺状スイッチ62への操作位置は、境23の位置に合わせられている。従って、長尺状スイッチ62は、第一領域21と第二領域22との境23の位置を直接決める操作を受け付ける。領域21,22は、「遮光エリア分割」操作時の分割領域の場合もあれば、「遮光グラデーション」操作時のグラデーション領域の場合もある。尚、境23の位置を直接決める操作とは、境23に対応する位置への操作を意味し、グラデーション領域の場合のように光透過率を変える操作により間接的に境23が決まる操作を除く。
「光透過率調整モード」において長尺状スイッチ62が表面62aに接触した状態におけるスライド操作を受け付けると、ECU51は、前記スライド操作に応じて調光領域20の光透過率を制御する。光透過率を調整する対象の調光領域20は、全部(調光領域A1~A8)の場合もあれば、一部の場合もある。
【0064】
尚、第一の光透過率T1は、透視性を有する光透過率であればよく、1~100%の範囲で設定することができる。液晶フィルムを用いる場合、最大の光透過率が30~65%程度となることがある。第二の光透過率T2は、第一の光透過率T1よりも低ければよく、例えば、0~5%程度(より好ましくは0~1%程度、さらに好ましくは0%)とすることができる。第二の光透過率T2を0%にすると、第二領域22に好ましい遮光領域が実現される。
【0065】
次に、図10~12を参照して、「境位置調整モード」における境位置制御処理の例を説明する。図10は、ECU51で行われる境位置制御処理を例示している。この処理は、長尺状スイッチ62が接触操作を受け付けたことをトリガーとして行われる。図11は、境23の位置を直接決める操作に応じた分割領域(21,22)の変化を模式的に例示している。図12は、境23の位置を直接決める操作に応じたグラデーション領域(21,22)の変化を模式的に例示している。
図10に示す境位置制御処理が開始されると、ECU51は、遮光エリアを分割領域にするかグラデーション領域にするかに応じて処理を分岐させる(S202)。モード切替スイッチ61が「遮光エリア分割」の接触操作を受け付けていた場合には処理がS204に進められ、モード切替スイッチ61が「遮光グラデーション」の接触操作を受け付けていた場合には処理がS210に進められる。
【0066】
「遮光エリア分割」の操作時、ECU51は、長尺状スイッチ62への接触操作に応じた境23を有する分割領域(21,22)となるように各調光領域A1~A8の光透過率を設定する(S204)。
【0067】
例えば、図11の状態ST11に示すように、境23が調光領域A1,A2の間であり、透視性を有する第一の光透過率T1の第一領域21が調光領域A1だけであり、比較的低い第二の光透過率T2の第二領域22が調光領域A2~A8であったとする。長尺状スイッチ62の表面62aに対して、境23に対応する第一の操作点P1から上方(他方側D1bの方)へ第二の操作点P2までユーザーが指F1を接触させてスライド操作したとする。この場合、ECU51は、接触操作の最後の位置である第二の操作点P2に対応する調光領域A7,A8の間を境23の位置と決定し、この位置を境として、調光領域A1~A7を第一の光透過率T1に制御し、調光領域A8を第二の光透過率T2に制御する。これにより、長尺状スイッチ62への操作により決められた位置を境23として、調光領域A1~A7に透視性を有する第一領域21が出現し、調光領域A8に比較的低い第二の光透過率T2の第二領域22が出現する(状態ST12)。従って、ユーザーは、境23の位置を直接決める操作をすることができ、分かり易い操作で視界を拡げることができる。
尚、ユーザーが長尺状スイッチ62の表面62aに対して調光領域A8の上に対応する位置を接触操作すると、調光領域A1~A8の全てを透視性の第一領域21にすることができる。
【0068】
また、状態ST12であった場合に、長尺状スイッチ62の表面62aに対して、境23に対応する第二の操作点P2から下方(一方側D1aの方)へ第一の操作点P1までユーザーが指F1を接触させてスライド操作したとする。この場合、ECU51は、接触操作の最後の位置である第一の操作点P1に対応する調光領域A2,A3の間に境23を移すことにし、調光領域A1~A2を第一の光透過率T1に制御し、調光領域A3~A8を第二の光透過率T2に制御する。これにより、調光領域A1~A2に透視性を有する第一領域21が出現し、調光領域A3~A8に比較的低い第二の光透過率T2の第二領域22が出現する(状態ST13)。従って、ユーザーは、境23の位置を直接決める操作をすることができ、分かり易い操作で視界を狭めることができる。むろん、所定方向D1における境23の位置について、第一の操作点P1への接触操作が受け付けられた場合における位置は、第二の操作点P2への接触操作が受け付けられた場合における位置よりも一方側D1aである。
尚、ユーザーが長尺状スイッチ62の表面62aに対して調光領域A1の下に対応する位置を接触操作すると、調光領域A1~A8の全てを比較的低い光透過率の第二領域22にすることができる。
【0069】
分割領域(21,22)の設定後、ECU51は、透視性を有する第一領域21の光透過率を自動的に調整する状態であるか否かに応じて処理を分岐させる(S206)。モード切替スイッチ61が「光透過率自動調整」の接触操作を受け付けていた場合、ECU51は、次の操作が行われるまで、図13に例示する防眩制御処理を行う(S208)。モード切替スイッチ61が「光透過率手動調整」の接触操作を受け付けていた場合、ECU51は、境位置制御処理を終了させる。境位置制御処理は長尺状スイッチ62が接触操作を受け付けたことをトリガーとして行われるため、S204において長尺状スイッチ62への接触操作に応じた境23を有する分割領域(21,22)となるように各調光領域A1~A8の光透過率を設定する処理が繰り返されることになる。
【0070】
また、「遮光グラデーション」の操作時、ECU51は、長尺状スイッチ62への接触操作に応じた境23を有するグラデーション領域(21,22)となるように各調光領域A1~A8の光透過率を設定する(S210)。
【0071】
例えば、図12の状態ST21に示すように、境23が調光領域A3,A4の間であり、透視性を有する第一領域21が調光領域A1~A3であり、比較的低い光透過率の第二領域22が調光領域A4~A8であったとする。また、調光領域A1が最大の光透過率T1であり、調光領域A6~A8が最小の光透過率T2であり、調光領域A2,A3,A4,A5がそれぞれ光透過率T3,T4,T5,T6であるとする。ただし、
T2<T6<T5<(T1+T2)/2<T4<T3<T1
である。長尺状スイッチ62の表面62aに対して、境23に対応する第一の操作点P1から上方(他方側D1bの方)へ第二の操作点P2までユーザーが指F1を接触させてスライド操作したとする。この場合、ECU51は、接触操作の最後の位置である第二の操作点P2に対応する調光領域A5,6の間を境23の位置と決定し、調光領域A1~A3を最大の光透過率T1に制御し、調光領域A4,A5,A6,A7をそれぞれ光透過率T3,T4,T5,T6に制御し、調光領域A8を最小の光透過率T2に制御する。これにより、長尺状スイッチ62への操作により決められた位置を境23として、調光領域A1~A5に透視性を有する第一領域21が出現し、調光領域A6~A8に比較的低い第二の光透過率T2の第二領域22が出現する(状態ST22)。従って、ユーザーは、境23の位置を直接決める操作をすることができ、分かり易い操作で視界を拡げることができる。
尚、ユーザーが長尺状スイッチ62の表面62aに対して調光領域A8の上に対応する位置を接触操作すると、調光領域A1~A8の全てを透視性の第一領域21にすることができる。
【0072】
また、状態ST22であった場合に、長尺状スイッチ62の表面62aに対して、境23に対応する第二の操作点P2から下方(一方側D1aの方)へ第一の操作点P1までユーザーが指F1を接触させてスライド操作したとする。この場合、ECU51は、接触操作の最後の位置である第一の操作点P1に対応する調光領域A1,A2の間に境23を移すことにし、調光領域A1,A2,A3をそれぞれ光透過率T4,T5,T6に制御し、調光領域A4~A8を最小の光透過率T2に制御する。これにより、調光領域A1に透視性を有する第一領域21が出現し、調光領域A2~A8に比較的低い第二の光透過率T2の第二領域22が出現する(状態ST23)。従って、ユーザーは、境23の位置を直接決める操作をすることができ、分かり易い操作で視界を狭めることができる。
尚、ユーザーが長尺状スイッチ62の表面62aに対して調光領域A1の下に対応する位置を接触操作すると、調光領域A1~A8の全てを比較的低い光透過率の第二領域22にすることができる。
【0073】
グラデーション領域(21,22)の設定後、ECU51は、透視性を有する第一領域21の光透過率を自動的に調整する状態であるか否かに応じて処理を分岐させる(S212)。モード切替スイッチ61が「光透過率自動調整」の接触操作を受け付けていた場合、ECU51は、次の操作が行われるまで、図13に例示する防眩制御処理を行う(S214)。モード切替スイッチ61が「光透過率手動調整」の接触操作を受け付けていた場合、ECU51は、境位置制御処理を終了させる。境位置制御処理は長尺状スイッチ62が接触操作を受け付けたことをトリガーとして行われるため、S210において長尺状スイッチ62への接触操作に応じた境23を有するグラデーション領域(21,22)となるように各調光領域A1~A8の光透過率を設定する処理が繰り返されることになる。
【0074】
以上説明したように、ユーザーは、調光部10に分割領域を出現させるかグラデーション領域を出現させるかをモード切替スイッチ61の操作により選択することができる。また、バイザー装置1を使用している状態で視界を拡げたい場合には、比較的高い光透過率の第一領域21を拡げるように境23の位置を直接決める操作をすれば第一領域21が拡がる。さらに、防眩用の範囲を拡げたい場合には、比較的低い光透過率の第二領域22を拡げるように境23の位置を直接決める操作をすれば第二領域22が拡がる。従って、本バイザー装置1は、便利である。
【0075】
図13は、ECU51で行われる眩光制御処理を例示している。この処理は、調光部10の透視エリアを対象として行われる。透視エリアは、調光領域A1~A8の全てでもよいし、図10で示したS208,S214において行われる場合は比較的高い光透過率の第一領域21でもよい。図14は、眩光L1が検出された時の調光領域20の変化を模式的に例示している。
図13に示す眩光制御処理が開始されると、ECU51は、日射センサー71が眩光L1を検出したか否かを判断する(S302)。例えば、眩光L1の閾値を設定しておけば、日射センサー71の出力の値が閾値以上である場合に眩光L1を検出したと判断し、日射センサー71の出力の値が閾値未満である場合に眩光L1を検出しなかったと判断することができる。ECU51は、眩光検出時にS304以降の処理を行い、眩光L1を検出しなかった時に眩光制御処理を終了させる。
【0076】
眩光検出時、ECU51は、透視性を有する範囲で透視エリア(例えば第一領域21)の光透過率をT11(例えば光透過率1~5%程度)まで下げる(S304)。例えば、図14の状態ST31に示すように、境23が調光領域A6,A7の間であり、透視性を有する第一の光透過率T1(例えば20%程度以上)の第一領域21が調光領域A1~A6であり、第二の光透過率T2=0%の遮光領域(第二領域22)が調光領域A7~A8であったとする。この場合、ECU51は、調光領域A1~A6を透視エリアとして眩光検出時の光透過率制御を行い、調光領域A1~A6の光透過率を例えばT1≧20%からT11=1~5%に下げる(状態ST32)。
【0077】
その後、ECU51は、透視エリアの光透過率をT11から徐々に下げる処理を行う(S306)。この処理は、例えば、所定期間(t秒とする。)経過後に透視エリアの光透過率を所定量(ΔT%とする。)下げる処理とすることができる。例えば、T11=3%に設定され、S306の処理が行われる毎にt=1秒経過後に透視エリアの光透過率をΔT=1%下げる場合、透視エリアの光透過率は、T11=3%から、2%、1%、及び、0%の順に1秒間隔で下がることになる。図14の状態ST33は、透視エリア(A1~A6)の光透過率がT2=0%まで下がった状態を示している。
【0078】
透視エリアの光透過率がΔT%下がった後、ECU51は、透視エリアの光透過率がT2=0%に到達したか否かを判断する(S308)。透視エリアの光透過率が0%に到達した場合、ECU51は、眩光制御処理を終了させる。この状態の例は、図14に状態ST33に示されている。
【0079】
透視エリアの光透過率が0%に到達していない場合、ECU51は、透視エリアを遮光領域(光透過率0%)にする接触操作をモード切替スイッチ61が受け付けたか否かを判断する(S310)。透視エリアを遮光領域にする接触操作が無ければ、処理がS306に戻る。これにより、透視エリアの光透過率をΔT%/t秒下げる処理が行われる。透視エリアを遮光領域にする接触操作が行われると、ECU51は、透視エリアの光透過率をT2=0%に下げ(S312)、眩光制御処理を終了させる。例えば、透視エリアの光透過率が2%である時に透視エリアを遮光領域にする接触操作が行われると、透視エリアの光透過率が0%まで一気に下がる。図14の状態ST33は、透視エリア(A1~A6)の光透過率がT2=0%まで下がった状態を示している。
【0080】
上記眩光制御処理により、意図せず太陽光等の眩光L1が検出されても透視エリアが透視性を有しており、透視エリアが透視性を有する光透過率に下がった後に透視エリアの光透過率がさらに下がるようにもなっている。例えば、S306の処理が繰り返されることにより、透視エリアの透視性が確保されてから透視エリアが徐々に遮光領域に移行する。また、S310~S312の処理が行われることにより、ユーザーは操作により速やかに透視エリアを遮光エリアに変えることができる。従って、本バイザー装置1は、便利である。
【0081】
尚、S310~S312の処理を行わず、S308で透視エリアの光透過率が0%でない場合にS306に戻ってもよい。この場合、透視性を有する範囲で調光領域の光透過率が下がった後に該調光領域の光透過率が徐々に下がる。また、S306~S308の処理を行わず、S310で透視エリアを遮光領域にする接触操作が無ければS310のままでもよい。この場合、透視性を有する範囲で調光領域の光透過率が下がった後に調光領域の光透過率をさらに下げる操作が受け付けられると調光領域20の光透過率がさらに下がる。いずれの場合も、意図せず眩光L1が検出されても透視エリアが透視性を有しており、透視エリアの光透過率がさらに下がるのは透視エリアの透視性が確保された後である。
また、眩光制御処理の対象は、境23よりも上の第二領域22となる領域でもよい。
【0082】
図15は、ECU51で行われる光透過率手動制御処理を例示している。この処理は、調光部10の透視エリアを対象として行われる。透視エリアは、調光領域A1~A8の全てでもよいし、比較的高い光透過率の第一領域21でもよい。光透過率手動制御処理は、「光透過率調整モード」において長尺状スイッチ62が表面62aに接触した状態におけるスライド操作を受け付けたことをトリガーとして開始される。図16は、長尺状スイッチ62へのスライド操作に応じた調光領域の変化を模式的に例示している。
図15に示す光透過率手動制御処理が開始されると、ECU51は、長尺状スイッチ62が受け付けたスライド操作について、操作開始位置から操作終了位置までの距離ΔLを計算する(S402)。次に、ECU51は、透視エリアの光透過率を距離ΔLに応じて変え(S404)、光透過率手動制御処理を終了させる。
【0083】
例えば、図16の状態ST41に示すように、境23が調光領域A6,A7の間であり、透視性を有する第一の光透過率T1の第一領域21が調光領域A1~A6であり、第二の光透過率T2の第二領域22が調光領域A7~A8であったとする。また、長尺状スイッチ62の表面62aを上へスライドする接触操作を行うと透視エリア(A1~A6)の光透過率が上がり、長尺状スイッチ62の表面62aを下へスライドする接触操作を行うと透視エリア(A1~A6)の光透過率が下がるものとする。状態ST41において、ユーザーが指F1を表面62aに接触させた状態で操作点P3から操作点P4まで下へスライド操作したとする。この場合、ECU51は、調光領域A1~A6の光透過率の下降量Td%を操作点P3,P4間の距離ΔLに比例するk×ΔL(kは正の係数)として、調光領域A1~A6の光透過率をTd%下げる(状態ST42)。また、状態ST42において、ユーザーが指F1を表面62aに接触させた状態で操作点P4から操作点P5まで上へスライド操作したとする。この場合、ECU51は、調光領域A1~A6の光透過率の上昇量Tu%を操作点P4,P5間の距離ΔLに比例するk×ΔL(kは正の係数)として、調光領域A1~A6の光透過率をTu%上げる(状態ST43)。
【0084】
以上説明したように、ECU51は、長尺状スイッチ62へのスライド操作の量に応じて透視エリアの光透過率を制御する。これにより、表面62aに接触した状態におけるスライド操作の量に応じて透視エリアの光透過率が変わる。従って、本バイザー装置1は、透視エリアの光透過率の調整が容易であり、便利である。
【0085】
尚、光透過率手動制御処理の対象は、境23よりも上の第二領域22となった領域でもよい。
また、表面62aに接触した状態におけるスライド操作に応じて境23の位置を制御してもよい。
【0086】
(3)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、車両用バイザー装置は、天井部に取り付けられるバイザー本体を有するサンバイザーに限定されず、フロントウィンドウやサイドウィンドウといったウィンドウ等に直接配置されてもよい。例えば、フロントウィンドウの上部に調光部を組み込み、フロントウィンドウ外に操作部や制御部を配置することが可能である。
第一領域21と第二領域22との境23の位置を操作により決める必要が無い場合(例えば初期の境23の位置)、デジタルカメラ等により乗員の目の高さを検出し、この検出した目の高さに応じた位置に境23の位置を設定してもよい。
【0087】
操作により決められた位置を境23として第一領域21と第二領域22とを調光部10に出現させるためには、図9で示した処理テーブルTA1の内、「境位置調整モード」に対応する動作だけを行えばよく、他のモードは不要である。また、調光部10には、分割領域とグラデーション領域の一方だけを出現させてもよい。
図13で示した眩光制御処理を行うためには、処理対象の透視エリアが決まっていればよく、調光部10を領域分けしたり「光透過率手動調整」に対応する動作をしたりする必要は無い。
図15で示した光透過率手動制御処理を行うためには、処理対象の透視エリアが決まっていればよく、調光部10を領域分けしたり「光透過率自動調整」に対応する動作をしたりする必要は無い。
【0088】
図5,6で示した支持構造は、制御部で行われる処理とは関係無く、フィルム状調光部が挟まれた第一透明板及び第二透明板を支持する構造に広く適用可能である。
図1,2で示したように、透明板の下縁部及びルームミラー側の第一側縁部を露出させた支持部材は、制御部で行われる処理とは関係無く、調光部を保持する透明板を支持する部材に広く適用可能である。
図4で示したように、光を拡散透過させる縁部を有する透明板は、制御部で行われる処理とは関係無く、フィルム状調光部を保持する透明板に広く適用可能である。
【0089】
さらに、図17に示すように、光供給部80からの透明板30に光L2を供給して縁部32から拡散透過させてもよい。図17は、光供給部80を有するバイザー装置1を模式的に示している。図18は、光供給部80から透明板30に光L2を供給したときのバイザー装置1の様子を模式的に例示している。
【0090】
光供給部80は、例えば、透明板30の下縁部32b及び第一側縁部32cから拡散透過させる光L2を透明板30の上縁部32aに供給する。光供給部80に使用可能な光源には、LED(発光ダイオード)、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることができる。光源の発光色には白、赤、緑、青、等、種々の色を採用することができ、異なる発光色の光源を組み合わせて使用してもよい。光供給部80は、光源からの光を透明板30に導くための導光体を有してもよい。導光体には、PC樹脂、PMMA樹脂、といった透明性を有する樹脂等を用いることができる。光源の点灯をECU51で制御すると、例えば、操作部60の操作に応じて光源を点灯させたり消灯させたりすることができる。
【0091】
図17,18に示すように、光供給部80から透明板30に入った光L2は、透明板30の下縁部32b及び第一側縁部32cから拡散透過して車室CA1に出る。これにより、自動車100の室内照明が実現される。図18には、透明板30のうち拡散透過する光L2により明るくなる部分にハッチングを付している。
また、ECU51は、自動車に何らかの異常が生じたことを検出したことをトリガーとして光供給部80の光源を点灯したり点滅させたりしてもよい。この場合、光源の発光色を赤や黄にすると、異常が生じたことが分かり易い。
【0092】
(4)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、利便性を向上させることが可能な車両用バイザー装置等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
図1
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