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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】光照射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220322BHJP
   B41F 23/04 20060101ALN20220322BHJP
【FI】
B41J2/01 127
B41F23/04 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019031102
(22)【出願日】2019-02-23
(65)【公開番号】P2020131642
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148895
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩明
【審査官】四垂 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-096374(JP,A)
【文献】特開2018-039139(JP,A)
【文献】特開2008-173884(JP,A)
【文献】特開2015-058634(JP,A)
【文献】特開2001-088280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0250712(US,A1)
【文献】中国実用新案第208052871(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01-2/215
B41F23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って搬送される照射対象物に対して光を照射する光照射装置であって、
複数のLED素子を有し、前記第1方向と直交する第2方向から前記照射対象物に光を照射する光源ユニットと、
前記照射対象物の搬送路を挟んで前記光源ユニットと対向して配置され、前記光源ユニットから照射された光が外部に漏れないように遮光する遮光ユニットと、
を備え、
前記遮光ユニットは、
前記光源ユニットから照射された光を吸収する光吸収部材と、
前記光吸収部材の少なくとも一部を収容して、支持する筐体と、
前記筐体と前記光吸収部材との間に形成され、冷却風が流れる風洞と、
を有し、
前記筐体は、前記搬送路側に開口を有する箱形の形状を呈し、該開口の少なくとも一部に、外部から前記風洞内に空気を導入する第1の吸気口が形成されている
ことを特徴とする光照射装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向の一端部に、外部から前記風洞内に空気を導入する第2の吸気口を有することを特徴とする請求項に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向の他端部に、前記風洞内の空気を外部に排気する排気ファンを有することを特徴とする請求項又は請求項に記載の光照射装置。
【請求項4】
第1方向に沿って搬送される照射対象物に対して光を照射する光照射装置であって、
複数のLED素子を有し、前記第1方向と直交する第2方向から前記照射対象物に光を照射する光源ユニットと、
前記照射対象物の搬送路を挟んで前記光源ユニットと対向して配置され、前記光源ユニットから照射された光が外部に漏れないように遮光する遮光ユニットと、
を備え、
前記遮光ユニットは、
前記光源ユニットから照射された光を吸収する光吸収部材と、
前記光吸収部材の少なくとも一部を収容して、支持する筐体と、
前記筐体と前記光吸収部材との間に形成され、冷却風が流れる風洞と、
を有し、
前記光吸収部材は、前記搬送路側に開口を有する箱形の形状を呈し、前記筐体との間に所定の間隔を空けて前記筐体に取り付けられていることを特徴とする光照射装置。
【請求項5】
前記光吸収部材は、内面に黒色の無電解ニッケルめっき、又はクロムめっきを有することを特徴とする請求項に記載の光照射装置。
【請求項6】
第1方向に沿って搬送される照射対象物に対して光を照射する光照射装置であって、
複数のLED素子を有し、前記第1方向と直交する第2方向から前記照射対象物に光を照射する光源ユニットと、
前記照射対象物の搬送路を挟んで前記光源ユニットと対向して配置され、前記光源ユニットから照射された光が外部に漏れないように遮光する遮光ユニットと、
を備え、
前記遮光ユニットは、
前記光源ユニットから照射された光を吸収する光吸収部材と、
前記光吸収部材の少なくとも一部を収容して、支持する筐体と、
前記筐体と前記光吸収部材との間に形成され、冷却風が流れる風洞と、
を有し、
前記光源ユニットと前記遮光ユニットの一端部が、ヒンジを介して接続されていることを特徴とする光照射装置。
【請求項7】
前記光源ユニットから出射される光が紫外光であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される照射対象物に対して光を照射する光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外光の照射によって硬化するUVインクを用いて印刷を行なう印刷装置が知られている。このような印刷装置では、ヘッドのノズルから媒体にインクを吐出した後、媒体に形成されたドットに紫外光を照射する。紫外光の照射により、ドットが硬化して媒体に定着するので、液体を吸収しにくい媒体に対しても良好な印刷を行うことができる。
【0003】
このような印刷装置に用いられる紫外光照射装置においては、近年、消費電力の削減、長寿命化、装置サイズのコンパクト化の要請から、従来の放電ランプに替えて、LED(Light Emitting Diode)素子を光源として利用したものが実用に供されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の光照射装置は、筐体内にワーク配置空間を有し、ワーク配置空間を通過するワークに対して、複数のLED素子からの紫外線を照射し、ワーク上の紫外線硬化樹脂を硬化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-118499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成によれば、ワーク配置空間(つまり、筐体内の空間)を通過するワークに対して、紫外光を照射するため、ワーク配置空間の外側に紫外線が漏れ出ることが一応防止される。しかしながら、ワーク配置空間という閉空間内で紫外線を照射すると、ワーク配置空間内の筐体部やワーク自体等、様々な箇所で紫外線が反射するため、ワーク配置空間の外側に紫外線が漏れ出ることを完全に防止するのは困難である。また、ワーク配置空間内の筐体部に紫外線があたると、筐体が発熱し、筐体を触れなくなるといった問題も発生する。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光照射装置の外側に紫外線が漏れ出るのを確実に防止するとともに、筐体の発熱をも防止する光照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の光照射装置は、第1方向に沿って搬送される照射対象物に対して光を照射する光照射装置であって、複数のLED素子を有し、第1方向と直交する第2方向から照射対象物に光を照射する光源ユニットと、照射対象物の搬送路を挟んで光源ユニットと対向して配置され、光源ユニットから照射された光が外部に漏れないように遮光する遮光ユニットと、を備え、遮光ユニットは、光源ユニットから照射された光を吸収する光吸収部材と、光吸収部材の少なくとも一部を収容して、支持する筐体と、筐体と光吸収部材との間に形成され、冷却風が流れる風洞と、を有し、筐体は、搬送路側に開口を有する箱形の形状を呈し、該開口の少なくとも一部に、外部から風洞内に空気を導入する第1の吸気口が形成されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、遮光ユニットは、光吸収部材によって光源ユニットから照射された光を吸収するため、光照射装置の外側に紫外線が漏れ出るのが防止される。また、筐体と光吸収部材との間を冷却風が流れるため、遮光ユニットの発熱も防止される。
【0010】
また、筐体は、第1方向及び前記第2方向と直交する第3方向の一端部に、外部から前記風洞内に空気を導入する第2の吸気口を有することが望ましい。
【0011】
また、筐体は、第1方向及び第2方向と直交する第3方向の他端部に、風洞内の空気を外部に排気する排気ファンを有するように構成することができる。
【0012】
また、別の観点からは、本発明の光照射装置は、第1方向に沿って搬送される照射対象物に対して光を照射する光照射装置であって、複数のLED素子を有し、第1方向と直交する第2方向から照射対象物に光を照射する光源ユニットと、照射対象物の搬送路を挟んで光源ユニットと対向して配置され、光源ユニットから照射された光が外部に漏れないように遮光する遮光ユニットと、を備え、遮光ユニットは、光源ユニットから照射された光を吸収する光吸収部材と、光吸収部材の少なくとも一部を収容して、支持する筐体と、筐体と光吸収部材との間に形成され、冷却風が流れる風洞と、を有し、光吸収部材は、搬送路側に開口を有する箱形の形状を呈し、筐体との間に所定の間隔を空けて筐体に取り付けられていることを特徴とする。また、この場合、光吸収部材は、内面に黒色の無電解ニッケルめっき、又はクロムめっきを有することが望ましい。
【0013】
また、別の観点からは、本発明の光照射装置は、第1方向に沿って搬送される照射対象物に対して光を照射する光照射装置であって、複数のLED素子を有し、第1方向と直交する第2方向から照射対象物に光を照射する光源ユニットと、照射対象物の搬送路を挟んで光源ユニットと対向して配置され、光源ユニットから照射された光が外部に漏れないように遮光する遮光ユニットと、を備え、遮光ユニットは、光源ユニットから照射された光を吸収する光吸収部材と、光吸収部材の少なくとも一部を収容して、支持する筐体と、筐体と光吸収部材との間に形成され、冷却風が流れる風洞と、を有し、光源ユニットと遮光ユニットの一端部が、ヒンジを介して接続されていることを特徴とする
【0014】
また、光源ユニットから出射される光が紫外光であることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、光照射装置の外側に紫外線が漏れ出るのを確実に防止するとともに、筐体の発熱をも防止する光照射装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る光照射装置の構成を示す図である。
図2図2は、図1(b)のB-B線断面図である。
図3図3は、図1(a)のA-A線断面図である。
図4図4は、図1(b)のC-C線断面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る光照射装置が備える遮光ユニットの分解斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る光照射装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の構成を示す図であり、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は正面図である。また、図2は、図1(b)のB-B線断面図であり、図3は、図1(a)のA-A線断面図である。図1から図3に示すように、光照射装置1は、搬送される照射対象物P(例えば、記録媒体等)の表面に塗布された紫外線硬化樹脂を硬化させる装置であり、照射対象物Pの上方に配置される光源ユニット10と、照射対象物Pの搬送路40を挟んで光源ユニット10と対向して配置される遮光ユニット20と、から構成されている。なお、本明細書においては、光源ユニット10から出射されるライン状の紫外光の長手方向をX軸方向、照射対象物Pの搬送方向をY軸方向、X軸及びY軸と直交する方向をZ軸方向と定義して説明する。
【0019】
図2図3に示すように、光源ユニット10は、X軸方向に沿ってライン状の紫外光を出射する装置であり、基板13と、基板13上に配置された複数のLED素子14と、冷却装置15と、これらを収容するケース11等から構成されている。
【0020】
ケース11は、底面(図1乃至3において下側の面)に開口を有する金属製の箱形筐体であり、底面の開口にはガラス製の窓部材12が嵌め込まれている(図2、3)。また、本実施形態のケース11の底面には、窓部材12を挟むように、一対の遮光板17が配置されている。各遮光板17は、X軸方向及びY軸方向で規定される矩形板状の金属製の部材であり、ケース11からY軸方向及びY軸方向と相反する方向にそれぞれ突出するように取り付けられている。各遮光板17の遮光ユニット20と対向する面(つまり、Z軸方向側の面)は、黒色の無電解ニッケルめっきやクロムめっきなどが施されており、光源ユニット10からの紫外光が照射対象物Pにあたって反射したとしても、各遮光板17で該反射光を吸収し、光照射装置1の外部に漏れないように構成している。
【0021】
基板13は、熱伝導率の高い材料(例えば、窒化アルミニウム)で形成された、X軸方向及びY軸方向で規定される矩形状の配線基板である。図2、3に示すように、基板13の表面には、複数のLED素子14が、例えば、150個(X軸方向)×4列(Y軸方向)の態様で並び、COB(Chip On Board)実装されている。基板13上には、各LED素子14に電力を供給するためのアノードパターン(不図示)及びカソードパターン(不図示)が形成されており、各LED素子14は、アノードパターン及びカソードパターンにそれぞれ電気的に接続されている。また、基板13は、不図示の配線ケーブルによってドライバ回路(不図示)と電気的に接続されており、各LED素子14には、アノードパターン及びカソードパターンを介して、ドライバ回路から駆動電流が供給されるようになっている。各LED素子14に駆動電流が供給されると、各LED素子14からは駆動電流に応じた光量の紫外光(例えば、波長365nm)が出射され、光源ユニット10からはX軸方向に平行なライン状の紫外光が出射される。なお、本実施形態の各LED素子14は、略一様な光量の紫外光を出射するように各LED素子14に供給される駆動電流が調整されており、光源ユニット10から出射されるライン状の紫外光は、X軸方向において略均一な光量分布を有している。
【0022】
冷却装置15は、基板13の裏面に密着するように配置され、各LED素子14で発生した熱を放熱する、いわゆる空冷ヒートシンクである。冷却装置15は、アルミニウムや銅等の熱伝導性の良好な材料からなる複数の放熱フィン16と、冷却ファン(不図示)等を備え、冷却ファンによって生成される気流によって、複数の放熱フィン16が一様に冷却されるようになっている。
【0023】
光源ユニット10に電力が供給され、各LED素子14から紫外光が出射されると、LED素子14の自己発熱により温度が上昇し、発光効率が著しく低下するといった問題が発生するが、本実施形態においては、冷却装置15によって各LED素子14が一様に冷却されるため、かかる問題の発生が抑制される。
【0024】
図4図5は、本実施形態の遮光ユニット20の構成を説明する図であり、図4図1(b)のC-C線断面図であり、図5は分解斜視図である。なお、図5においては、説明の便宜のため、遮光板27を省略して示している。図2図3に示すように、遮光ユニット20は、搬送路40を挟んで光源ユニット10と対向して配置され、光源ユニット10から出射された紫外光が外部に漏れないように遮光する装置である。また、図3に示すように、遮光ユニット20と光源ユニット10は、X軸方向一端部に設けられたヒンジ50によって接続されており、遮光ユニット20のX軸方向他端部は、一端部を中心として回転方向に移動可能に構成されている。このように、本実施形態においては、遮光ユニット20が回転方向に移動することによって、遮光ユニット20と光源ユニット10の間が開いた状態となるため、連続紙等の照射対象物Pを搬送路40に容易に設置することが可能となる。
【0025】
図2乃至図5に示すように、遮光ユニット20は、光吸収部材22と、光吸収部材22を収容して支持するケース21(筐体)とを有している。ケース21は、搬送路40側に開口21eを有する箱形の金属製の部材であり、Y軸方向に対向するケース21の側板21a、21bには、光吸収部材22を固定する複数の貫通孔21gが形成され、ケース21のX軸方向の側板21cには外部から空気を導入する吸気口21fが形成され、側板21cと対向する側板21dにはケース21内の空気を外部に排気する排気ファン30が配置されている。また、図2図4に示すように、本実施形態のケース21の側板21a、21bには、一対の遮光板27が設けられている。各遮光板27は、YZ平面における断面が略L字の金属製の棒状の部材であり、遮光板27の平面部27aが遮光板17と対向するように、側板21a、21bの上側(Z軸方向と相反する側)に取り付けられている。各遮光板27の平面部27aの遮光板17と対向する面(つまり、Z軸方向と相反する側の面)は、黒色の無電解ニッケルめっきやクロムめっきなどが施されており、光源ユニット10からの紫外光が遮光ユニット20内で反射したとしても、各遮光板27で該反射光を吸収し、光照射装置1の外部に漏れないように構成している。
【0026】
また、光吸収部材22は、搬送路40側に開口22eを有する箱形の金属製の部材であり、Y軸方向に対向する光吸収部材22の側板22a、22bには複数の円柱状のボス材23が取り付けられている。また、X軸方向に対向する光吸収部材22の側板22c、22dの上側(Z軸方向と相反する側)は、側板22a、22bよりも上側に突出しており、該突出部は下側よりも拡幅しており、それぞれ、段差部22f、22gが形成されている。図5に示すように、本実施形態の光吸収部材22は、ケース21の開口21eに挿入されて取り付けられる。光吸収部材22が、ケース21の開口21eに挿入されると、側板22c、22dの段差部22f、22gが、ケース21の側板21a、21bの上側(Z軸方向と相反する側)端面に当接し、Z軸方向に位置決めされる。そして、このときに各ボス材23の位置と各貫通孔21gの位置が一致し、各貫通孔21gに挿通される固定ネジ(不図示)によってケース21に固定される(図4図5)。光吸収部材22がケース21内に固定されると、光吸収部材22とケース21との間(つまり、側板21aと側板22aの間、側板21bと側板22bの間、底板21hと底板22hの間)には空間Sが形成されるようになっている(図2)。
【0027】
本実施形態の光吸収部材22の内側表面には、光源ユニット10からの紫外光を吸収する黒色の無電解ニッケルめっきやクロムめっきなどが施されており、図2の点線の矢印で示すように、LED素子14からの紫外光が、側板22aと側板22bの間に入射するようになっている。従って、仮に照射対象物Pが途切れた場合であっても、光源ユニット10からの紫外光が光吸収部材22あたって吸収され、光照射装置1の外部に漏れることはない。また、図3の点線の矢印で示すように、本実施形態においては、照射対象物Pを均一に照射するため、光源ユニット10のX軸方向の照射幅が照射対象物PのX軸方向の幅よりも長くなるように構成されているが、照射対象物Pにあたらない紫外光も、光吸収部材22あたって吸収され、光照射装置1の外部に漏れないようになっている。
【0028】
このように、本実施形態においては、遮光ユニット20が搬送路40を挟んで光源ユニット10と対向して配置され、光源ユニット10から出射された紫外光が外部に漏れないように構成されている。しかしながら、このように光源ユニット10からの紫外光が遮光ユニット20に照射されると、遮光ユニット20自体の温度が上昇してしまうといった問題がある。そこで、本実施形態においては、かかる問題を解決するため、光吸収部材22とケース21との間に空間Sを形成し、空間Sに冷却風が流れるように構成している。より具体的には、ケース21の側板21cに外部から空間S内に空気を導入する吸気口21fを形成し、ケース21の側板21dに空間S内の空気を外部に排気する排気ファン30を配置し、空間Sに冷却風が流れるように構成している。つまり、空間Sは一種の風洞として機能するようになっている。
【0029】
つまり、排気ファン30が回転し空間Sの空気が外部に排気されると、空間S内が負圧となり、光吸収部材22とケース21との間の隙間(第1の吸気口)を通して空間S内に空気が取り込まれ(図2の実線矢印参照)、空間S内をX軸方向に流れて排気ファン30から排気される。また、排気ファン30が回転し空間Sの空気が外部に排気されると、吸気口21f(第2の吸気口)からも空間S内に空気が取り込まれ(図3の実線矢印参照)、空間S内をX軸方向に流れて排気ファン30から排気される。このように、本実施形態の遮光ユニット20においては、光吸収部材22とケース21との間に風洞を形成することによって、熱源となる光吸収部材22を集中的に冷却している。また、熱源となる光吸収部材22とケース21との間に風洞を形成することにより(つまり、光吸収部材22を、ボス材23を介してケース21に固定することにより)、光吸収部材22とケース21との間の熱抵抗を高くし、光吸収部材22の熱がケース21に伝わらないように構成している。
【0030】
以上が本実施形態の説明であるが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
【0031】
例えば、本実施形態の遮光ユニット20と光源ユニット10は、X軸方向一端部に設けられたヒンジ50によって接続されており、遮光ユニット20のX軸方向他端部が、一端部を中心として回転方向に移動可能に構成されているとしたが、このような構成に限定されるものではない。遮光ユニット20と光源ユニット10は、一体化の構成することもでき、また遮光ユニット20と光源ユニット10がZ軸方向に沿って離間するように構成することもできる。
【0032】
また、本実施形態の遮光ユニット20の内側表面には、光源ユニット10からの紫外光を吸収する黒色の無電解ニッケルめっきやクロムめっきなどが施されているものとしたが、例えば、箱形の遮光ユニット20の内側表面に、紫外光を吸収する部材を貼り付けてもよい。
【0033】
また、本実施形態の光吸収部材22は、ボス材23を介して、ケース21に固定されるものとしたが、このような固定方法に限定されるものではない。光吸収部材22は、光吸収部材22とケース21との間に冷却風が流れる風洞を形成するように固定されればよく、任意の他の方法を適用することができる。
【0034】
(変形例)
図6は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の変形例を示す図である。本変形例に係る光照射装置1Aは、遮光ユニット20Aに収容される、光吸収部材22Aの形状が異なる点で、本実施形態の光照射装置1の構成と異なる。
【0035】
より具体的には、図6に示すように、本変形例の光吸収部材22Aは、側板22a、22bの上端部が外側(つまり、Y軸方向及びY軸方向と相反する方向)にそれぞれ折り返され、遮光板17と対向するように一対の平面部22zが形成されている。そして、平面部22zの遮光板17と対向する面は、黒色の無電解ニッケルめっきやクロムめっきなどが施されており、光源ユニット10からの紫外光が遮光ユニット20内で反射したとしても、平面部22zで該反射光を吸収し、光照射装置1Aの外部に漏れないように構成している。
【0036】
つまり、本変形例の光吸収部材22Aにおいては、本実施形態の遮光板27の平面部27a(図2)に相当する構成(つまり、一対の平面部22z)が一体的に形成されており、光吸収部材22Aは、一対の平面部22zが遮光板17と対向するようにケース21に収容されて、支持されている。このため、本変形例によれば、遮光板27を別途設ける必要がなく、組み立て工程が簡素化される点で本実施形態の構成よりも優れる。
【0037】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0038】
1 :光照射装置
1A :光照射装置
10 :光源ユニット
11 :ケース
12 :窓部材
13 :基板
14 :LED素子
15 :冷却装置
16 :放熱フィン
17 :遮光板
20 :遮光ユニット
20A :遮光ユニット
21 :ケース
21a :側板
21b :側板
21c :側板
21d :側板
21e :開口
21f :吸気口
21g :貫通孔
21h :底板
22 :光吸収部材
22A :光吸収部材
22a :側板
22b :側板
22c :側板
22d :側板
22e :開口
22f :段差部
22g :段差部
22h :底板
22z :平面部
23 :ボス材
27 :遮光板
27a :平面部
30 :排気ファン
40 :搬送路
50 :ヒンジ
P :照射対象物
S :空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6