(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-18
(45)【発行日】2022-03-29
(54)【発明の名称】光フィードバックを有するレーザシステム
(51)【国際特許分類】
H01S 3/137 20060101AFI20220322BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20220322BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20220322BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20220322BHJP
G01N 21/3504 20140101ALI20220322BHJP
【FI】
H01S3/137
H01S3/00 F
H01S3/00 G
H01S3/10 Z
G02F1/01 B
G01N21/3504
(21)【出願番号】P 2019516503
(86)(22)【出願日】2017-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2017074549
(87)【国際公開番号】W WO2018060285
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-07-21
(32)【優先日】2016-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】311016455
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カッシ,サミール
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0073687(US,A1)
【文献】米国特許第04907237(US,A)
【文献】特開2001-284707(JP,A)
【文献】特開2015-090951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0189711(US,A1)
【文献】特開平05-121838(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0112835(US,A1)
【文献】特開平09-246642(JP,A)
【文献】特開平04-196188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0091420(US,A1)
【文献】YAN Wen-Bin et al.,"A trace gas measurement device using cavity ring-down spectroscopy",2000 Digest of the LEOS Summer Topical Meetings. Electronic-Enhanced Optics. Optical Sensing in Semiconductor Manufacturing. Electro-Optics in Space. Broadband Optical Networks,IEEE,2000年,https://ieeexplore.ieee.org/document/869707,DOI: 10.1109/LEOSST.2000.869707
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 -3/02
H01S 3/04 -3/0959
H01S 3/098-3/102
H01S 3/105-3/131
H01S 3/136-3/213
H01S 3/23 -5/50
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光フィードバックを有するレーザシステムであって、
- 光フィードバックに敏感であるレーザ(110;510A;610A;710A)であって、源波と呼ばれる連続波形順方向伝搬源光波を出力光ファイバ(111;511A;611A;711A)を介し放射するように意図されその周波数が調整可能であるレーザと;
- 光フィードバックにより前記レーザへ結合された共振光空洞(120)であって、その一部分が逆方向伝搬光波(L1c;L51Ac、L61Ac、L71Ac)の形式で前記レーザへ戻される空洞内波(L5)を生成するように構成された共振光空洞(120)と;
- 前記レーザと前記共振光空洞との間
の光経路上に配置されたファイバベース電子光学変調器(115;615A;715A)であって、前記源波を位相シフトすることにより位相シフト源波(L1p;L51Ap、L61Ap、L71Ap)を生成するように、そして前記逆方向伝搬光波を位相シフトすることにより、前記レーザに到達するフィードバック波と呼ばれる位相シフト逆方向伝搬波(L0c;L50Ac、L60Ac、L70Ac)を生成するように構成された
ファイバベース電子光学変調器(115;615A;715A)と;
- 前記源波(L0p;L50Ap、L60Ap、L70Ap)と前記フィードバック波(L0c;L50Ac、L60Ac、L70Ac)との間
の相対的位相を相殺するように、前記源波と前記フィードバック波との間の相対的位相を表す誤差信号(SE)から前記
ファイバベース電子光学変調器
(115;615A;715A)を制御するための信号(SC;SC6A、SC7A)を生成するための位相制御装置(130;230A;230B;230C;230D;230E;530;630;730A)と
;
-
前記ファイバベース電子光学変調器(115)の前または後ろの前記源波の光経路上に配置された少なくとも1つのファイバベース光学部品(102;103)であって、光増幅器、光カプラおよび光サーキュレータで構成されたグループから選択された部品であるファイバベース光学部品(102;103)とを含むレーザシステム。
【請求項2】
- 前記共振光空洞(120)は、少なくとも1つの出力ミラー(125)を含む少なくとも2つのミラーにより形成され、
- 前記位相制御装置は、前記出力ミラー(125)を介し前記共振光空洞から出る前記空洞内波の一部分(L3)から前記
ファイバベース電子光学変調器(115)を制御するための前記信号(SC)を生成するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
- 前記共振光空洞(120)は入力ミラー(123)を含む少なくとも2つのミラーにより形成され;
- 前記位相制御装置は、前記入力ミラー(123)により反射された前記位相シフト源波の一部分(L2r)と前記入力ミラーを介し前記逆伝搬方向に送信された前記空洞内波(L5)の一部分(L2c)との干渉から生じる波(L6)から前記
ファイバベース電子光学変調器(115)を制御するための前記信号(SC)を生成するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記位相制御装置は、前記逆伝搬方向の前記
ファイバベース電子光学変調器(115)
の入力においてサンプリングされた前記逆方向伝搬光波(L1c)の一部分から前記
ファイバベース電子光学変調器(115)を制御するための前記信号(SC)を生成するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記
ファイバベース電子光学変調器はさらに、平均値を中心に前記源波の前記位相を前記誤差信号に依存して変調することにより変調光信号を生成するように構成され、前記位相制御装置は前記逆伝搬方向の前記
ファイバベース電子光学変調器(115)
の入力においてサンプリングされた前記逆方向伝搬光波(L1c)の一部分からロックイン検出方法を介し前記制御信号(SC)を生成するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記出力光ファイバは偏光保持ファイバである、請求項1~5のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記レーザはその出力において光アイソレータを欠く、請求項1~6のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項8】
- 光フィードバックに敏感である少なくとも1つの第2のレーザ(510B、510C)であって、その周波数が調整可能である第2の連続波形順方向伝搬源光波(L50Bp、L50Cp)を出力光ファイバ(511B、511C)を介し放射する少なくとも1つの第2のレーザ(510B、510C)と、
- 前記第1のレーザおよび前記少なくとも1つの第2のレーザから出力される順方向伝搬源光波(L50Ap、L50Bp、L50Cp)を受信するように構成されたファイバベース光スイッチ(550)であって、前記受信された順方向伝搬源光波の1つを選択し、前記選択された順方向伝搬源光波を前記ファイバベース電子光学変調器へ転送するためのファイバベース光スイッチ(550)とを含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項9】
- 光フィードバックに敏感である少なくとも1つの第2のレーザ(610B、610C)であって、その周波数が調整可能である対応する第2の連続波形順方向伝搬源光波(L60Bp、L60Cp)を出力光ファイバを介し放射する少なくとも1つの第2のレーザ610B、610C)と、
- 対応する前記第2のレーザ(610B、610C)と前記共振光空洞との間
の光経路上に配置された少なくとも1つの第2のファイバベース電子光学変調器(615B、615C)であって、それぞれは、対応する前記第2の順方向伝搬源光波(L60Bp、L60Cp)を位相シフトすることにより位相シフト順方向伝搬光波(L61Bp、L61Cp)を生成するように構成される、少なくとも1つの第2のファイバベース電子光学変調器(615B、615C)と;
- 前記
ファイバベース電子光学変調器および前記少なくとも1つの第2の
ファイバベース電子光学変調器
(615B、615C)から出力される前記位相シフト順方向伝搬光波(L61Ap、L61Bp、L61Cp)を受信するように構成されたファイバベース光合波器(660)であって、前記受信された位相シフトされた順方向伝搬光波を周波数多重化することにより多重化光波(L61p)を生成し、前記多重化光波を前記共振光空洞へ提供し、逆方向伝搬光波の形式で前記マルチプレクサに到達する前記空洞内波(L5)の一部分を逆多重化することにより逆多重化波を生成するためのファイバベース光合波器(660)とを含み、
各前記第2の
ファイバベース電子光学変調器
(615B、615C)はさらに、前記対応する第2のレーザに到達する対応する逆方向伝搬光波(L60Bc、L60Cc)を、前記逆多重化波の1つを位相シフトすることにより生成するように構成され;
前記位相制御装置(630A)は、対応する順方向伝搬源光波(L60Bp、L60Cp)と前記対応する逆方向伝搬光波(L60Bc、L60Cc)との間の相対的位相を相殺するように、前記対応する第2の順方向伝搬源光波と前記対応する第2のレーザに到達する前記対応する逆方向伝搬光波(L60Bc、L60Cc)との間の前記相対的位相を表す誤差信号(SE)から各第2の
ファイバベース電子光学変調器
(615B、615C)の制御信号(SC6B、SC6C)を生成するように構成される、請求項1~
7のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項10】
- 光フィードバックに敏感な第2のレーザ(710B)であって、その周波数が調整可能である第2の連続波形順方向伝搬源光波(L70B)を出力光ファイバ(711B)を介し放射する第2のレーザ(710B)と、
- 前記第2のレーザと前記共振光空洞との間
の光経路上に配置された第2のファイバベース電子光学変調器(715B)であって
、前記第2の順方向伝搬源光波を位相シフトすることにより第2の位相シフト
された順方向伝搬光波(L71Bp)を生成するように構成された第2のファイバベース電子光学変調器(715B)と;
- 前記
ファイバベース電子光学変調器(715A)により生成された第1の位相シフトされた順方向伝搬光波(L71Ap)と前記第2の位相シフトされた順方向伝搬光波(
L71Bp)とから2つの直交偏光波を含む合成波(L77Cp)を生成するための光合成器(780)であって、前記合成波(L77Cp)を前記共振光空洞へ提供し、逆方向伝搬光波(L77Cc)の形式で光合成器に到達する前記空洞内波の一部分において、直交偏光波の一部分を分割することにより分割波(L71Ac、L71Bc)を生成するための光合成器(780)とを含み、
前記第2の
ファイバベース電子光学変調器(715B)はさらに、前記分割波の1つを位相シフトし、前記第2のレーザに到達する第2の逆方向伝搬光波(L70Bc)を生成するように構成され;
前記レーザシステムはさらに、前記第2の順方向伝搬源光波(L70Bp)と前記第2の逆方向伝搬光波(L70Bc)との間
の相対的位相を相殺するように、前記第2の順方向伝搬源光波と前記第2の逆方向伝搬光波との間の前記相対的位相を表す第2の誤差信号から前記第2の
ファイバベース電子光学変調器
(715B)を制御するための第2の信号(SC7B)を生成するための第2の位相制御装置(730B)を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載のレーザシステム。
【請求項11】
請求項
10に記載のレーザシステムと
、前記レーザ(710A)
の出力における前記源
波の一部分と
前記第2のレーザ(710B)
の出力における前記第2の順方向伝搬源光
波の一部分とを合成することにより合成光波を生成するための光学部品とを含む光波生成システム。
【請求項12】
ガス検出システムであって、前記共振光空洞は少なくとも1つのガスを収容するように意図されたチャンバを画定し、
- 請求項1~
11のいずれか一項に記載のレーザシステムと、
- 前記レーザシステムにより生成される少なくとも1つの光波を分析するための分析装置とを含む、ガス検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、光フィードバックにより共振光空洞へ結合されたレーザを含むレーザシステムと、このようなレーザシステムにより光波を生成する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第03/031949号パンフレットは、ガスの痕跡を検出するためのレーザの外にある共振光空洞への光フィードバックにより結合されたレーザを含むレーザシステムを説明する。レーザにより放射された連続波形源波の一部分は光結合系により共振光空洞内に注入される。光空洞は、ガスが分析のために注入され得るチャンバ内に配置される。共振光空洞内で生成された光波(本明細書では空洞内波と呼ばれる)の一部分がレーザへ戻される。レーザが光フィードバックに敏感な場合(これは例えば半導体レーザの場合である)、源波の周波数が共振光空洞の共振モードの周波数に連動されるように光フィードバック効果が発生する。光フィードバック効果は、源波の周波数スペクトルのスペクトル狭帯域化を生じ、このスペクトルは共振光空洞の共振モードの周波数を中心とするようになる。
【0003】
前述の特許出願において記載されるような光フィードバックは、レーザにより放射された源波のスペクトル特性(レーザの放射波長とこの波長におけるスペクトル幅との両方)の制御のおかげで、共振光空洞内への光子の注入が最適化され、ガスの痕跡の検出に対するレーザシステムの感度が増加され得るようにする。
【0004】
しかし、これらの連動化効果およびスペクトル狭帯域化効果はいくつかの条件下だけで発生する。特に、共振光空洞から出現しレーザ方向に導かれる波が、レーザにより生成された空洞内波と同相となることが必要である。前述の特許出願に記載されるようなセットアップでは、これは、一レーザ/空洞往復の全光経路がレーザにより放射された波長の倍数でなければ位相シフトが出現するので、レーザと共振光空洞との距離を高精度で制御することを意味する。
【0005】
さらに、熱力学的効果または空気の屈折率の圧力または温度関係変動の理由で、これらの条件は通常、約数秒程度の有限時間の間だけ受動的に維持され得る。
【0006】
一般的に、共振光空洞から現れる波とレーザの源波との相対的位相は波長の関数である。前述の特許出願は、共振光空洞のアームの長さの倍数である距離において、共振波の電場はどんな波長でもレーザのものと必ず同相であり、具体的には、電場は光空洞の後部ミラー上だけでなくレーザの空洞のミラー上での共振において必ず零であるという事実を活用する。例えば、レーザが、レーザの軸上に無い光空洞のアームの長さに等しい距離において共振光空洞の入力ミラーに対して配置されるように配置することにより、レーザの放射波長を、レーザと共振光空洞との間の距離を修正する必要無しに変化させることが可能である。このとき必要なことは、レーザと共振光空洞との間の距離を精細に調整する素子を使用することである。この素子は、レーザと共振光空洞との間の距離が精細に調整され得るようにする例えば圧電変換器に取り付けられたミラーである。しかし、このような調整は、特に圧電変換器の制限された通過帯域のために、そして源波と共振光空洞からの送信により出力された波との間の相対的位相が相殺され得るようにするミラーの位置を見出すのに必要な時間のために、制限を導入する。
【0007】
実際には、これらの制約は併せて、様々なレーザ放射周波数における光フィードバックを得る目的で所与の環境内のレーザシステムの調整が数時間を必要とし得るということを意味する。
【0008】
したがって、これらの制約を克服するおよび/またはレーザシステム調整作業を簡単にする必要があると思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書の主題は第1の態様によると光フィードバックを有するレーザシステムであって、
- 光フィードバックに敏感であるレーザであってその周波数が調整可能である源波と呼ばれる連続波形順方向伝搬源光波を出力光ファイバを介し放射するように意図されたレーザと;
- 光フィードバックによりレーザへ結合された共振光空洞であってその一部分が逆方向伝搬光波の形式でレーザへ戻される空洞内波を生成するように構成された共振光空洞と;
- レーザと共振光空洞との間の光経路上に配置されたファイバベース電子光学変調器であって、源波を位相シフトすることにより位相シフト源波を生成するように、そしてレーザに到達するフィードバック波と呼ばれる逆方向伝搬光波を位相シフトすることにより位相シフト逆方向伝搬波を生成するように構成された電子光学変調器と;
- 源波とフィードバック波との間の相対的位相を相殺するように、源波とフィードバック波との間の相対的位相を表す誤差信号から電子光学変調器を制御するための信号を生成するための位相制御装置とを含むレーザシステム。
【0011】
源波とフィードバック波との間の相対的位相は本明細書では相対的レーザ/空洞位相またはレーザ/空洞位相シフトとも呼ばれる。相対的レーザ/空洞位相はΦ1cで表される。相対的レーザ/空洞位相Φは、モジュロ2πで判断され、ラジアンで表された角度値により与えられる。同様に、電子光学変調器により行われる位相調整ΔΦ(すなわち位相シフト)はラジアンで表現される角度値により与えられる。この位相調整ΔΦは、源波の場所/戻りレーザ/空洞行路全体にわたる全体調整(すなわち源波に対して行われた位相調整ΔΦ1とフィードバック波に対して行われた位相調整ΔΦ2との合計)に対応する。この位相調整ΔΦは2π以下であってもよいしそれより大きくてもよい。ΔΦ=2π(-2πそれぞれ)の位相調整は源波の波長λに等しい長さだけの光経路の伸長(短縮それぞれ)に対応する。より一般的には、ΔΦ=2πδ/λの位相調整は(正または負の)長さδだけの光経路の調整に対応する。
【0012】
ファイバベース電子光学変調器は、位相補正を適用するために、より正確には源波とフィードバック波との間の相対的位相を修正するために使用される。したがって、レーザと共振光空洞との間の距離に関する制約は、電子光学変調器が、1半波長を越える位相調整がレーザ源のすべての波長範囲内で実現され得るようにするために屈折率の十分に大きな範囲の変動が得られるようにするので、完全に除去される。この位相調整ΔΦは、源波と、フィードバック波が生成される電子光学変調器へ送られる逆方向伝搬波との両方に対し行われる。したがって、往復にわたって測定される位相調整は源波の1波長λを越える分の光経路の伸長に対応し得る。電子光学変調器により行われる位相調整ΔΦは、レーザ/空洞位相シフトが0モジュロ2πとなる(これは源波の波長λの整数倍である光経路に対応する)ように源波の光経路の調整(すなわち伸長または短縮)になる。レーザ/空洞位相シフトが零であると、レーザと共振光空洞との結合度は最大であり、共振光空洞の送信も最大である。
【0013】
さらに、レーザと共振光空洞とミラーとの間の距離を調節するための機械的素子を、位相調整を行うように構成された調整可能屈折率の電子光学変調器で置換することにより、単純かつ柔軟である解決策であってレーザ/空洞位相シフトのほぼ瞬間的調整が効率的に実現され得るようにする解決策が得られる。加えて、どんな波長でもレーザ/空洞位相シフトが相殺され得るようにするミラーの位置を見出すために反復処理を利用する前述の解決策とは違って、電子光学変調器により生成される位相補正は、レーザ/空洞位相シフトが順方向伝搬源光波の波長に依存して調整され得るようにする。応答時間は、0.1ナノ秒(ns)より短く、ミラーの機械的調整に必要とされる数ミリ秒(ms)の応答時間よりはるかに短い。さらに、位相補正は、相対的位相を表す誤差信号SEに基づきほぼ瞬間的に適用され得る。加えて、行われる位相調整ΔΦは、調整が行われる速さをさらに増加するように、例えば様々な波長値に対してなされた保存された相対的位相測定の結果に基づきコンピュータ的に設定され得る。
【0014】
さらに、その出力がファイバ結合されるレーザの使用は、レーザが迅速に交換され得るようにするだけでなく追加機能を行うファイバベース光モジュールが容易に挿入され得るようにもするという点で顕著な進歩である。このようなファイバベース光モジュールは例えば、光学ビームが分割され得るようにし(光ファイバスプリッタまたは光ファイバサーキュレータ);様々な波長で放射されるレーザビームの直列または並列多重化を可能にし(光スイッチまたはWDMまたは波長デマルチプレクサ);光フィードバックの程度またはレーザシステムの出力電力を制御するために光学ビーム増幅(光ファイバ増幅器SOAまたはBOA)等々を可能にする。
【0015】
レーザシステムの少なくとも1つの実施形態では、共振光空洞は、少なくとも1つの出力ミラーを含む少なくとも2つのミラーにより形成され、位相制御装置は、前記出力ミラーを介し共振光空洞から出る空洞内波の一部分から電子光学変調器を制御するための信号を生成するように構成される。
【0016】
レーザシステムの少なくとも1つの実施形態では、共振光空洞は入力ミラーを含む少なくとも2つのミラーにより形成され、位相制御装置は、入力ミラーにより反射された位相シフト源波の一部分と共振光空洞の入力ミラーを介し逆伝搬方向に送信された空洞内波の一部分との干渉から生じる波から電子光学変調器を制御するための信号を生成するように構成される。
【0017】
レーザシステムの少なくとも1つの実施形態では、位相制御装置は、逆伝搬方向に電子光学変調器の入力においてサンプリングされた逆方向伝搬光波の一部分から電子光学変調器を制御するための信号を生成するように構成される。
【0018】
レーザシステムの少なくとも1つの実施形態では、電子光学変調器はさらに、平均値を中心に源波の位相を誤差信号に依存して変調することにより変調光信号を生成するように構成され、位相制御装置は逆伝搬方向に電子光学変調器の入力においてサンプリングされた逆方向伝搬光波の一部分からロックイン検出方法を介し制御信号を生成するように構成される。
【0019】
レーザシステムの少なくとも1つの実施形態では、出力光ファイバは偏光保持ファイバである。
【0020】
レーザシステムの少なくとも1つの実施形態では、レーザはその出力において光アイソレータを欠く。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、レーザシステムは、ファイバベース電子光学変調器の前または後ろの源波の光経路上に配置された少なくとも1つのファイバベース光学部品であって、光増幅器、光カプラおよび光サーキュレータで構成されたグループから選択される部品であるファイバベース光学部品を含む。一般的に、このファイバベース光学部品は、順方向伝搬波および/または逆方向伝搬波の位相、周波数、および/または振幅に作用するファイバベース光学部品であり得る。
【0022】
少なくとも1つの実施形態では、本明細書によるレーザシステムは、複数源レーザシステムである、すなわち共振光空洞への光フィードバックにより結合されるように構成された少なくとも1つの第2のレーザを含む。
【0023】
少なくとも1つの第1の実施形態では、レーザシステムは、光フィードバックに敏感である少なくとも1つの第2のレーザであってその周波数が調整可能である第2の連続波形順方向伝搬源光波を出力光ファイバを介し放射する少なくとも1つの第2のレーザと、第1のレーザおよび前記少なくとも1つの第2のレーザから出力される順方向伝搬源光波を受信するように構成されたファイバベース光スイッチであって、受信された順方向伝搬源光波の1つを選択し、選択された順方向伝搬源光波をファイバベース電子光学変調器へ転送するためのファイバベース光スイッチとを含む。
【0024】
少なくとも1つの第2の実施形態では、レーザシステムは、光フィードバックに敏感である少なくとも1つの第2のレーザであってその周波数が調整可能である第2の連続波形順方向伝搬源光波を出力光ファイバを介し放射する少なくとも1つの第2のレーザと;対応する前記第2のレーザと共振光空洞との間の光経路上に配置された少なくとも1つの第2のファイバベース電子光学変調器であって、それぞれは、対応する前記第2の順方向伝搬源光波を位相シフトすることにより位相シフト順方向伝搬光波を生成するように構成された少なくとも1つの第2のファイバベース電子光学変調器と;電子光学変調器および前記少なくとも1つの第2の電子光学変調器から出力される位相シフト順方向伝搬光波を受信するように構成されたファイバベース光合波器であって、受信された位相シフトされた順方向伝搬光波を周波数多重化することにより多重化光波を生成し、この多重化光波を共振光空洞へ提供し、逆方向伝搬光波の形式でマルチプレクサに到達する空洞内波の一部分を逆多重化することにより逆多重化波を生成するためのファイバベース光合波器とを含み、各前記第2の電子光学変調器はさらに、対応する第2のレーザに到達する対応する逆方向伝搬光波を、逆多重化波の1つを位相シフトすることにより生成するように構成され;位相制御装置は、対応する順方向伝搬源光波と対応する逆方向伝搬光波との間の相対的位相を相殺するように、対応する第2の順方向伝搬源光波と対応第2のレーザに到達する対応する逆方向伝搬光波との間の相対的位相を表す誤差信号から各第2の電子光学変調器の制御信号を生成するように構成される。少なくとも1つの特定の実施形態では、レーザシステムはさらに、レーザから出力される源波の(フィードバック波それぞれの)一部分と、第2のレーザから出力される第2の順方向伝搬源光波の(第2の逆方向伝搬光波それぞれの)一部分とを合成することにより合成光波を生成するための光学部品を含む。
【0025】
少なくとも1つの第3の実施形態では、レーザシステムは、光フィードバックに敏感な第2のレーザであってその周波数が調整可能である第2の連続波形順方向伝搬源光波を出力光ファイバを介し放射する第2のレーザと;第2のレーザと共振光空洞との間の光経路上に配置された第2のファイバベース電子光学変調器であって、第2の順方向伝搬源光波を位相シフトすることにより第2の位相シフトされた順方向伝搬光波を生成するように構成された第2の電子光学変調器と;電子光学変調器により生成された第1の位相シフトされた順方向伝搬光波と第2の位相シフトされた順方向伝搬光波とから2つの直交偏光波を含む合成波を生成するための光合成器であって、この合成波を共振光空洞へ提供し、逆方向伝搬光波の形式で光合成器に到達する空洞内波の一部分において、直交偏光波の一部分を分割することにより分割波を生成するための光合成器とを含み、第2の電子光学変調器はさらに、分割波の1つを位相シフトし、第2のレーザに到達する第2の逆方向伝搬光波を生成するように構成され、レーザシステムはさらに、第2の順方向伝搬源光波と第2の逆方向伝搬光波との間の相対的位相を相殺するように、第2の順方向伝搬源光波と第2の逆方向伝搬光波との間の相対的位相を表す第2の誤差信号から第2の電子光学変調器を制御するための第2の信号を生成するための第2の位相制御装置を含む。
【0026】
第2の態様による本明細書の主題は、本明細書によるレーザシステムを含むガス検出システムである。ここでは、共振光空洞は少なくとも1つのガスを収容するように意図されたチャンバを画定し、ガス検出システムはレーザシステムにより生成される少なくとも1つの光波を分析するための分析装置を含む。この分析は、例えばガスにより導入される損失(例えば吸収による損失)を分析するために行われる。空洞内に存在するガスの吸収スペクトルは、共振光空洞から出力される送信光波から判断され得る。CRDS(空洞リングダウン分光法:Cavity Ring Down Spectroscopy)測定も、共振光空洞から出力される送信光波に基づき行われ得る。
【0027】
第3の態様による本明細書の主題は、その周波数が調整可能である源波と呼ばれる連続波形順方向伝搬源光波を光フィードバックに敏感なレーザの出力光ファイバを介し生成する工程と;その一部分が逆方向伝搬光波の形式でレーザへ戻される空洞内波を生成するように構成された共振光空洞へレーザを光フィードバックにより結合する工程と;レーザと共振光空洞との間の源波の光経路上に配置されたファイバベース電子光学変調器により、源波を位相シフトすることにより位相シフトされた源波を生成し、逆方向伝搬光波を位相シフトすることにより、レーザに到達するフィードバック波と呼ばれる位相シフトされた逆方向伝搬波を生成する工程と;源波とフィードバック波との間の相対的位相を相殺するように、源波とフィードバック波との間の相対的位相を表す誤差信号から電子光学変調器を制御するための信号を生成する工程とを含む光波生成方法である。
【0028】
上に提示された技術の他の利点および特徴は添付図面を参照し与えられる以下の詳細説明を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】光フィードバックを有するレーザシステムの一実施形態を示す。
【
図2A】電子光学変調器を制御するための信号を生成する様々な方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステムの様々な実施形態を示す。
【
図2B】電子光学変調器を制御するための信号を生成する様々な方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステムの様々な実施形態を示す。
【
図2C】電子光学変調器を制御するための信号を生成する様々な方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステムの様々な実施形態を示す。
【
図2D】電子光学変調器を制御するための信号を生成する様々な方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステムの様々な実施形態を示す。
【
図2E】電子光学変調器を制御するための信号を生成する様々な方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステムの様々な実施形態を示す。
【
図3A】1つまたは複数の実施形態による電子光学変調器を制御するための信号の生成の様々な態様を示す。
【
図3B】1つまたは複数の実施形態による電子光学変調器を制御するための信号の生成の様々な態様を示す。
【
図3C】1つまたは複数の実施形態による電子光学変調器を制御するための信号の生成の様々な態様を示す。
【
図3D】1つまたは複数の実施形態による電子光学変調器を制御するための信号の生成の様々な態様を示す。
【
図4】光フィードバックを有するレーザシステムの別の実施形態を示す。
【
図5】光フィードバックを有する複数源レーザシステムの一実施形態を示す。
【
図6】光フィードバックを有する複数源レーザシステムの別の実施形態を示す。
【
図7】光フィードバックを有する複数源レーザシステムの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付図面を参照して説明される様々な実施形態では、同様または同一な素子には同じ参照子が与えられる。
【0031】
図1は、光フィードバックを有するレーザシステム100の一実施形態を概略的に示す。様々な光波がレーザシステム100内で生成される。本明細書の文脈では、光波は、レーザから共振光空洞へ伝播すれば順方向伝搬であると言われ、逆の場合は逆方向伝搬であると言われる。
【0032】
レーザシステム100は、その周波数が調整可能である源波とも呼ばれる連続波形順方向伝搬源波L0pを出力光ファイバ111を介し放射するように意図されたレーザ110を含む。
【0033】
レーザ110は、光フィードバックに敏感なレーザ、例えば遠隔通信において使用されるタイプの半導体レーザである。少なくとも1つの実施形態では、レーザ110は、光フィードバックに対するレーザの感度を増加するようにその出力において光アイソレータを欠く。
【0034】
少なくとも1つの実施形態では、レーザの出力光ファイバ111は源波の偏光を安定させるように偏光保持ファイバである。源波L0pの周波数は通常、遠隔通信に使用されるダイオードの場合、1THzの範囲内で調整可能であり、特定ダイオードの中央放射周波数は恐らく176~240THzである。
【0035】
レーザシステム100は、光フィードバックによりレーザ110へ結合された共振光空洞120であって空洞内波L5を生成するように構成された共振光空洞120を含む。共振光空洞120は、2つのミラー123、124により制限された少なくとも1つの光アーム121を含む。
図1を参照して説明する実施形態では、2つのアーム121、122を含む構成について説明することになる。2つ以上のアームを含むこのような構成は実施を簡単にする。
図1の例では、共振光空洞120は3つのミラー123、124、125により囲まれる。2つの光アーム121、122は互いにある角度をなす。2つのアーム121、122は必ずしも同一長さのものではない。光アーム122は、折り返しミラー123および出力ミラー124により囲まれたアームである。光アーム121は、折り返しミラー123および出力ミラー125により囲まれたアームである。
【0036】
標的用途に依存して、共振光空洞120は、空っぽであってもよいし、ガス、混合ガス、エアゾール、または任意の他の組成(例えばミラーが好適であれば液体)により充たされてもよい。
【0037】
レーザシステム100は、レーザ110と共振光空洞120との間の順方向伝搬源光波L0pの光経路上に配置されたファイバベース電子光学変調器115を含む。電子光学変調器115は、順方向伝搬源光波L0pを送信する光ファイバ111を介しレーザ110へ光学的に接続される。
【0038】
電子光学変調器115は、順方向伝搬源光波L0pの位相を変調および/または調整し、順方向伝搬源光波L0pに対して位相シフトされたおよび/または変調側波帯を有する順方向伝搬光波L1pを生成するように構成される。
【0039】
レーザシステム100はさらに、誤差信号SEを取得して、誤差信号SEに依存して電子光学変調器115を制御するための信号SCを生成するための位相制御装置130を含む。
【0040】
電子光学変調器115の出力における光ファイバ112は順方向伝搬位相シフト光波L1pを送信する。光ファイバ112と共振光空洞120との間で、光経路は自由空間を通る。
【0041】
1つまたは複数のレンズ104は、光ファイバ112から出る順方向伝搬位相シフト光波L1pを平行にして、その空間構成が空洞120の共振モードを励起するのに好適である順方向伝搬光波L2pを生成するために、光ファイバ112の出力に配置され得る。順方向伝搬光波L2pは共振光空洞120内に注入される前に自由空間を通される。1つまたは複数のプレート型ビームスプリッタ106が、順方向伝搬光波L2pの一部分をサンプリングするために順方向伝搬光波L2pの光経路上に配置され得る。光アーム122は順方向伝搬光波L2pの光経路上で光学的にアライメントされる。
【0042】
したがって様々な光波がレーザシステム内に生成される。これらの光波は、レーザ110の出力において源光波L0、電子光学変調器115の出力において位相シフト光波L1、共振光空洞120の入力において光波L2、共振光空洞120から出力される光波L3、共振光空洞120から出力される光波L4、空洞内波L5、および共振光空洞120から出力される光波L6を含む。
【0043】
空洞内波L5は、互いに反対方向に順方向伝搬する2つの波(すなわち、折り返しミラー123から出力ミラー125または124へ順方向伝搬する順方向伝搬波L5pおよび出力ミラー125または124から折り返しミラー123へ順方向伝搬する逆方向伝搬波L5c)の重畳から生じる定常波である。逆方向伝搬波L5cの一部分は共振光空洞から出てレーザ110方向に伝播する。
【0044】
定常空洞内波L5が共振光空洞120内に形成されると、逆方向伝搬光波L5cが逆経路を介しレーザ110中に再注入され、光フィードバック効果を生じる。レーザ110へのこの帰路上で、逆方向伝搬波L0c、L1c、L2cが伝播する。
【0045】
したがって、共振光空洞120の入力における光波L2は、光ファイバ112から出力される順方向伝搬波L2pと逆方向伝搬波L2cとからなる。特に、逆方向伝搬波L2cは、光アーム122の軸上の折り返しミラー123を通る逆方向伝搬光波L5cの一部に対応する。
【0046】
同様に、電子光学変調器115の出力における光波L1は、電子光学変調器115により生成される順方向伝搬波L1pと逆方向伝搬波L1cとからなる。同様に、逆方向伝搬波L1cは電子光学変調器115に到達する逆方向伝搬光波L5cの一部に対応する。電子光学変調器115の作用は、両伝搬方向において同一であるので、順方向伝搬源波L0pの位相と逆方向伝搬波L1cの位相とを同一量だけそして同じやり方で修正する。
【0047】
電子光学変調器は、電圧の影響下での材料の指標の変化を介し入射波の光経路の修正を実現する。したがって、電子光学変調器により行われる全位相調整ΔΦ(すなわち位相シフト)は、2つの位相シフト(往路上で入射順方向伝搬波へ適用される第1の位相シフトΔΦ1と帰路上で入射逆方向伝搬波へ適用される第2の位相シフトΔΦ2)の合計である。したがって、電子光学変調器により行われる全位相調整ΔΦは、源波の場所/戻りレーザ/空洞往復路上でΔΦ=ΔΦ1+ΔΦ2=2×ΔΦ1である。したがって、必要とされるのは、電子光学変調器が、半波長の光経路伸長/短縮に対応する位相シフトを生成することができ、電子光学変調器がこの光経路を源波L0pの波長の整数倍だけ調整することができることである。
【0048】
最後に、レーザ110の出力における光波L0は、レーザ110により生成される順方向伝搬源波L0pとレーザ110に到達する逆方向伝搬波L0cとからなる。逆方向伝搬波L0cはレーザ110の出力に到達する逆方向伝搬光波L5cの一部に対応する。
【0049】
したがって、逆方向伝搬波L2c、L1c、L0cのそれぞれは逆方向伝搬波L5cから生じる。
【0050】
共振光空洞120のアーム121の軸上で生成される光波L3は出力ミラー125を介した順方向伝搬波L5pの一部分の送信から生じる。同様に、共振光空洞120のアーム122の軸上で生成される光波L4は出力ミラー124を介した順方向伝搬波L5pの一部分の送信から生じる。共振光空洞120のアーム121の軸上および順方向伝搬光波L2pの入射角の対角において生成される光波L6は、それ自身が順方向伝搬波L2pの折り返しミラー123からの反射から生じる反射光波L2rと光アーム121の軸上の折り返しミラー123を通る逆方向伝搬光波L5cの一部との合成(光学的干渉)から生じる。
【0051】
既に上に示したように、レーザ110へ送られる逆方向伝搬波L0cと順方向伝搬源波L0pとの間の位相シフトはレーザ/空洞位相シフトと呼ばれ、この位相シフトは、順方向伝搬源波L0pによりなされた完全なその場所/戻りレーザ/空洞行路上で蓄積された位相シフトに対応する。同様に、レーザの空洞の出力ミラーと共振光空洞120の折り返しミラー123との間の全その場所/戻り光行路はレーザ/空洞光経路と呼ばれる。
【0052】
レーザ/空洞位相シフトが零であると、光アーム121の軸上の折り返しミラー123を通る逆方向伝搬光波L5cの一部分は、順方向伝搬波L2pがアームの角度に等しい角度でもって反射されこれら2つの波が幾何学的に重畳されないので、順方向伝搬波L2pと干渉しない。対照的に、光波L6は、反射された光波L2rと光アーム121の軸上の折り返しミラー123を通る逆方向伝搬光波L5cの一部との干渉から生じる。
【0053】
レーザ110の空洞では、定常場が確立され、レーザ110の空洞内で共振する。レーザ110内部のこの場はレーザ110の空洞の出力ファセットにおいて必ず零である。同様に、定常光波は共振光空洞120内で成長し、電場は空洞の「後部」ミラーと呼ばれるミラー(すなわちミラー125、124)上で零である。ミラー124から反射されレーザへ戻される空洞内光波は、ミラー124に対して2つのアームの長さの合計に対応する距離d121+d122にまたはさらには折り返しミラー123の距離d121に配置された点において必ず零である場を有する。この点は、場が共振光空洞の共振において零であるミラー125に等しい点に実質的に(すなわち「ミラー」効果を介し)対応するので、この点は共振光空洞内で励起された共振周波数が何であっても場が零である点のうちの1つである。
【0054】
電子光学変調器115による順方向伝搬源光波L0pの位相の調整は、位相制御装置130により生成される誤差信号SEに依存して行われる。この目的を達成するために、位相制御装置130は、誤差信号SEに依存する電子光学変調器115を制御するための制御信号SCを生成する。誤差信号SEはレーザシステム内で生成される1つまたは複数の光波から生成され得る。
【0055】
少なくとも1つの実施形態では、位相制御装置130により生成される誤差信号SEは、レーザ/空洞位相シフト(モジュロ2π)を表現しており、したがって相対的レーザ/空洞位相が零であると零に等しい。電子光学変調器115を制御するための信号SCは、相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEから判断される。電子光学変調器115による順方向伝搬源光波L0pの位相の調整は、このように生成された制御信号SCに依存して行われる。
【0056】
光波L0p、L1cに対して電子光学変調器115により行われる位相調整は、レーザ/空洞光経路が相対的レーザ/空洞位相を相殺するように調整され得るようにする。少なくとも1つの実施形態では、位相変調はさらに、レーザ/空洞位相シフトを表す誤差信号SEと相対的レーザ/空洞位相が相殺され得るようにする電子光学変調器115を制御するための信号SCとを生成するように、電子光学変調器115により順方向伝搬源波L0pまたは順方向伝搬位相シフト波L1pに対して適用される。
【0057】
誤差信号SEはレーザシステム内で生成される1つまたは複数の光波から生成され得る。様々な実施形態が
図2A~2Eを参照して以下に説明される。
【0058】
任意選択的に、レーザシステム100は、例えば共振光空洞120によりレーザ110へ提供されるフィードバックの程度を減衰するように、共振光空洞に到達する順方向伝搬光波L2pの偏光および/または逆方向伝搬光波L2cの偏光を制御するように、光波L2の自由空間経路上に配置された1つまたは複数の偏光子105を含み得る。
【0059】
任意選択的に、レーザシステム100は、レーザ110と共振光空洞120間の電子光学変調器115の前または後ろの光経路上に配置された(すなわち光ファイバ111内または光ファイバ112内それぞれに配置された)1つまたは複数のファイバベース光学部品102、103を含み得る。
【0060】
光学部品103は例えば、その絶縁の程度が偏光子群105のおかげで変調され得るファイバベース光サーキュレータであって、その強度を判断するために順方向伝搬逆方向伝搬光波L2cの一部を逆伝搬方向にサンプリングするように構成されたファイバベース光サーキュレータである。少なくとも1つの実施形態では、ファイバベース光サーキュレータは光ファイバフォトダイオードを使用することによりまたは共振光空洞120が考察対象物質で充たされた場合は吸収信号を使用することにより誤差信号SEを生成するために使用される。
【0061】
光学部品102(103それぞれ)は例えば、一方ではこの順方向伝搬波の強度を評価するために(これは例えば、共振光空洞120が共振光空洞120内に存在する物質の分析に役立つ場合に空洞送信信号L3、L4、L6またはL2cの正規化のために有用である)、他方では、他の用途を目的として、放射の一部が光フィードバック効果により著しく改善されるスペクトル品質を有するようにするために、順方向伝搬光波L0p(順方向伝搬光波L1pそれぞれ)の一部を伝搬方向にサンプリングするように構成されたファイバベースカプラである。ファイバベースカプラ102(103それぞれ)はまた、逆方向伝搬光波L1c(逆方向伝搬光波L2cそれぞれ)の一部を逆伝搬方向にサンプリングするために使用され得る。逆伝搬方向のサンプリングは、共振光空洞120から来る波L2Cの強度が評価され得るようにし、そして例えば誤差信号SEが、光ファイバフォトダイオードを使用することによりまたは共振光空洞120が考察対象物質で充たされた場合は吸収信号を使用することによりこの強度から抽出され得るようにする。
【0062】
光学部品102(103それぞれ)は例えば、増幅利得を制御することにより光フィードバックの程度を精細に制御するために源光波L0(光波L1それぞれ)が伝搬方向および逆伝搬方向に増幅され得るようにするファイバベース光増幅器である。これは、特に共振光空洞120内に置かれた物質の研究への適用の場合にレーザ110と共振光空洞120との間のフィードバックの程度の最適化を簡単にする。これはまた、レーザ110内の光アイソレータの潜在的存在により誘起される損失が補償され得るようにする。これはまた、光フィードバックを実現する目的で、レーザ110の非常に少ない光子を使用することを可能にし、そして光学部品102または103のおかげで、他の用途のためにこれら光子のほぼすべてを保存することを可能にする。
【0063】
図2Aは、電子光学変調器115を制御するための信号SCを生成する第1の方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステム100Aの一実施形態を概略的に示す。レーザシステム200Aは、光フィードバックに敏感であるレーザ110、共振光空洞120、光ファイバ111、光ファイバ112、およびファイバベース電子光学変調器115を含み、これらの素子は
図1を参照して説明したものと同一または同様であり
図1に示すように光学的に接続される。レーザシステム200Aはさらに、
図1を参照して説明した光学部品102、103、104、105、106を含み得る。
【0064】
レーザシステム200Aはさらに、プレート型ビームスプリッタ106によりサンプリングされた順方向伝搬光波L2pの一部分から、その振幅が順方向伝搬光波L2pの一部分の輝度に依存する電流を生成するためのフォトダイオードPD1Aを含む。
【0065】
レーザシステム200Aはさらに、光波L3からその振幅が光波L3の輝度に依存する電流を生成するためのフォトダイオードPD2Aを含む。
【0066】
レーザシステム200Aはさらに、レーザ/空洞位相シフトを表す誤差信号SEを取得するように構成されるとともに相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEに依存してファイバベース電子光学変調器115を制御するための信号SCを生成するように構成された位相制御装置230Aを含む。位相制御装置230Aは、出力ミラー125を介し送信された光波L3からおよび任意選択的に共振光空洞120の入力における順方向伝搬光波L2pから制御信号SCを生成するように構成される。より正確には、制御信号SCは、フォトダイオードPD2Aによりおよび任意選択的にフォトダイオードPD1Aにより生成される電気信号から生成される。
【0067】
位相制御装置230Aは、9~11kHz帯域の外の周波数を除去することを目的とする前処理作業を行うために、フォトダイオードPD2Aにより生成された信号をフィルタリングするための帯域フィルタ231Aを含む。変調信号SMは、変調された信号SM1を生成するために、第1の帯域フィルタ231Aから出力された信号と混合される。変調信号SMは、誤差信号SEを取得するこの第1の方法が共振光空洞120の応答時間により制限されるという事実を考慮して十分に低い周波数の信号である。変調信号SMは例えば10kHzの周波数と1Vの振幅とを有する。低域通過フィルタ232Aは、共振光空洞の送信が最大である場合に零である誤差信号を生成するために、変調された信号へ適用される。低域通過フィルタのカットオフ周波数は変調周波数未満(例えば1kHz)となるように選択される。次に、PID(比例、積分、微分:proportional、integral、derivative)コントローラ233Aが、電子光学変調器115を制御するための信号SCを誤差信号SEから生成され得るようにする。任意選択的に、フォトダイオードPD1Aにより生成された信号は、例えば共振光空洞120内のガスの吸収により誘起された光空洞120の損失を表す送信信号Trを生成するために、この信号が上述のように処理される前に、フォトダイオードPD2Aにより生成された電気信号を正規化するために使用される。
【0068】
図2Bは、電子光学変調器を制御するための信号を生成する第2の方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステム200Bの一実施形態を概略的に示す。
【0069】
レーザシステム200Bは、光フィードバックに敏感であるレーザ110、共振光空洞120、光ファイバ111、光ファイバ112、およびファイバベース電子光学変調器115を含み、これらの素子は
図1を参照して説明したものと同一または同様であり
図1に示すように光学的に接続される。レーザシステム200Bはさらに、
図1を参照して説明した光学部品102、103、104、105、106を含み得る。
【0070】
レーザシステム200Bはさらに、電子光学変調器115の出力において光波L1の一部分をサンプリングするためにファイバベース光ファイバカプラ150を含む。
【0071】
レーザシステム200Bはさらに、レーザ110から来る順方向伝搬光波L1pの一部分から、その振幅がサンプリングされた波部分の輝度に依存する電流を生成するためにファイバベースカプラ150の出力にフォトダイオードPD1Bを含む。フォトダイオードPD1Bは、これらのフォトダイオードにより受信された光信号の強度が比例するという点で、
図2Aを参照して説明したフォトダイオードPD1Aにより果たされたものと等価な役割を果たす。
【0072】
レーザシステム200Bはさらに、共振光空洞120から来る光波L1cの一部分から、その振幅がサンプリングされた波部分の輝度に依存する電流を生成するためにファイバベースカプラ150の出力にフォトダイオードPD2Bを含む。同様に、フォトダイオードPD2Bは、これらのフォトダイオードにより受信された光信号の強度が比例するという点で、
図2Aを参照して説明したフォトダイオードPD2Aにより果たされたものと等価な役割を果たす。
【0073】
レーザシステム200Bはさらに、レーザ/空洞位相シフトを表す誤差信号SEを取得するように構成されるとともに相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEに依存してファイバベース電子光学変調器115を制御するための信号SCを生成するように構成された位相制御装置230Bを含む。位相制御装置230Bは、折り返しミラー123介し送信された逆方向伝搬波L5cの一部分を表す逆方向伝搬光波L1cからおよび任意選択的に共振光空洞120の入力における順方向伝搬波L2pを表す順方向伝搬光波L1pから制御信号SCを生成するように構成される。より正確には、制御信号SCは、フォトダイオードPD2Bによりおよび任意選択的にフォトダイオードPD1Bにより生成された電流から生成される。
【0074】
位相制御装置230Bの動作原理は位相制御装置230Aのものと同一である。すなわち、フォトダイオードPD2Bにより生成される信号が、
図2Aを参照して説明したように誤差信号SEおよび制御信号SCを生成するために、フォトダイオードPD2Aにより生成される信号の代わりに使用される。任意選択的に、フォトダイオードPD1Bにより生成される信号は、この信号が
図2Aを参照して説明したように処理される前にフォトダイオードPD2Bにより生成された電気信号を正規化するために、フォトダイオードPD1Aにより生成される信号の代わりに使用される。
【0075】
図2Cは、電子光学変調器を制御するための信号を生成する第3の方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステム200Cの一実施形態を概略的に示す。レーザシステム200Cは、光フィードバックに敏感であるレーザ110、共振光空洞120、光ファイバ111、光ファイバ112、およびファイバベース電子光学変調器115を含み、これらの素子は
図1を参照して説明したものに同一または同様であり
図1に示すように光学的に接続される。レーザシステム200Cはさらに、
図1を参照して説明した光学部品102、103、104、105、106を含み得る。
【0076】
レーザシステム200Cはさらに、その振幅が逆方向伝搬光波L5cと折り返しミラー123により反射された光波L2rとの干渉から生じる光波L6に依存する電流を光波L6から生成するためのフォトダイオードPD3を含む。
【0077】
レーザシステム200Cはさらに、その振幅が光波L3の輝度に依存する電流を光波L3から生成するためのフォトダイオードPD2Cを含み得る。
【0078】
レーザシステム200Cはさらに、レーザ/空洞位相シフトのモジュロ2πを表す誤差信号SEを取得するように構成されるとともに相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEに依存してファイバベース電子光学変調器115を制御するための信号SCを生成するように構成された位相制御装置230Cを含む。位相制御装置230Cは光波L6から制御信号SCを生成するように構成される。より正確には、位相制御装置230AはフォトダイオードPD3により生成された信号から制御信号SCを生成するように構成される。
【0079】
本明細書における制御信号SCを生成する方法の原理は、空洞の折り返しミラー123を介し送信された空洞内波L5の一部分とレーザにより放射された順方向伝搬源光波L0pとの間の相対的光学的位相を測定することにその本質がある。これら2つの波の混合から生じる光波L6は、共振光空洞120の折り返しミラー123からの反射により生成される。光波L6の光経路は、レーザ110と共振光空洞120とを結合するために使用される光経路とは幾何学的に分離されている。したがって、この結合を妨害することなくフォトダイオードPD3を設置することが可能である。
【0080】
変調信号SMは、100kHz(すなわち、空洞のモードの幅の約10~20倍)から10GHz(この限度は採用された電子光学変調器115の変調能力に依存する)の間で選択され得る位相変調周波数でもって生成される。誤差信号SEは、フォトダイオードPD3により生成された信号に帯域フィルタ231Cを適用し、次に、このフィルタリングされた信号を変調信号SMにより変調することにより得られる。PIDコントローラ233Cは、変調信号SMが制御信号SCを生成するように加えられる補正信号を、PIDコントローラ内への誤差信号SE入力から生成する。
【0081】
折り返しミラー123を介し送信された逆方向伝搬空洞内波L5cの一部分と順方向伝搬源光波L0pとの間の相対的位相は、正確な共振に対する変差に依存する、すなわちレーザ110と共振光空洞120との結合の最適度合いに依存する。
図3Dは、共振光空洞120の自由スペクトル間隔分の1で表された源レーザの周波数に対するミスマッチに応じたこの相対的位相の変動を示す。
図3Dに示すように、この相対的位相は-πから+πまでにわたっており、正確な共振において零に等しい。
【0082】
制御信号を生成するこの第3の方法の主要な利点は、共振光空洞120内に蓄積された光子(それらは一時的にフィルタリングされる)が、数十マイクロ秒のスケールで非常に安定した貯蔵部を形成するという事実に起因する。共振光空洞120は超安定周波数源として働く。したがって、空洞のこの応答時間より短いタイムスケールにおけるレーザ110に対するいかなる作用も瞬間的に検出されることになる。
【0083】
相対的位相を極めて速やかに測定することが可能であるので、相対的位相の極めて速い制御を保証することが可能である。ほぼ瞬間的な位相調整を可能にする電子光学変調器115は今一度ここで十分に活用される(応答時間<0.1ns)。
【0084】
任意選択的に、フォトダイオードPD2Cにより生成される信号は、この信号が上述したように処理される前に、フォトダイオードPD3により生成された電気信号を正規化するために使用される。
【0085】
図2Dは、電子光学変調器を制御するための信号を生成する第4の方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステム200Dの一実施形態を概略的に示す。レーザシステム200Dは、光フィードバックに敏感であるレーザ110、共振光空洞120、光ファイバ111、光ファイバ112、およびファイバベース電子光学変調器115を含み、これらの素子は
図1を参照して説明したものに同一または同様であり
図1に示すように光学的に接続される。レーザシステム200Dはさらに、
図1を参照して説明した光学部品102、103、104、105、106を含み得る。
【0086】
レーザシステム200Dはさらに、光ファイバ112からの逆方向伝搬光波L1cの一部をサンプリングするとともに光波L7を生成するためのファイバベースカプラ107を含む。
【0087】
レーザシステム200Dはさらに、その振幅が光波L7の輝度に依存する電流を光波L7から生成するためのフォトダイオードPD2Dを含む。
【0088】
レーザシステム200Dはさらに、レーザ/空洞位相シフトを表す誤差信号SEを取得するように構成されるとともに相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEに依存してファイバベース電子光学変調器115を制御するための信号SCを生成するように構成された位相制御装置230Dを含む。位相制御装置230Dは、電子光学変調器115の出力において光波L1から制御信号SCを生成するように構成される。より正確には、制御信号SCは、位相変調が順方向伝搬源光波L0pへ適用される所謂ロックイン検出方法を介し、取得された誤差信号SEに依存して生成され、この変調は平均値を中心として適用される。制御信号SCは順方向伝搬源光波L0pの位相の平均値に対する調整を行うように生成され、一方、位相変調は同じ順方向伝搬源光波L0pへ適用される。この位相変調は、空洞内波L5したがって空洞内逆方向伝搬波L5cの強度の変調を誘起する。逆方向伝搬光波L1cは逆方向伝搬光波L5cを表すので、この輝度変調は、光サーキュレータ107を介しサンプリングされた逆方向伝搬光波L1cの一部分に基づきフォトダイオードPD2Dにより検出される。誤差信号はフォトダイオードPD2Dにより生成された信号の復調を介しロックイン増幅器331により取得される。このロックイン検出方法については
図3A~3Dを参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0089】
図2Eは、電子光学変調器を制御するための信号を生成する第5の方法を使用する光フィードバックを有するレーザシステム200Eの一実施形態を概略的に示す。
【0090】
レーザシステム200Eは、レーザ/空洞位相シフトを表す誤差信号SEを取得するように構成されるとともに相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEに依存してレーザ110の変調信号SMおよび制御信号SCを生成するように構成された位相制御装置230Eを含むこと以外はレーザシステム200Dと同一である。位相制御装置230Eは電子光学変調器115の出力において光波L1から制御信号SCを生成するように構成される。より正確には、制御信号SCは、レーザ110のダイオードへ供給される電流の大きさがレーザの周波数の変調を誘起するために変調されるロックイン検出方法を介し生成される。これは、空洞内波L5したがって空洞内逆方向伝搬波L5cの強度の変調を誘起する。逆方向伝搬光波L1cは逆方向伝搬光波L5cを表すので、この輝度変調は、光サーキュレータ107によりサンプリングされた逆方向伝搬光波L1cの一部分に基づきフォトダイオードPD2Dにより検出される。誤差信号SEは、フォトダイオードPD2Dにより生成された信号の復調を介しロックイン増幅器331を介し取得される。制御信号SCは、順方向伝搬源光波L0pの位相の平均値に対する調整を、取得された誤差信号SEに依存して行うように生成され、一方レーザ110のダイオードへ供給される電流の大きさの変調が適用される。このロックイン検出方法については
図3A~3Dを参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0091】
図3A~3Dは、ロックイン検出方法を介し電子光学変調器115を制御するための信号SCの生成の様々な態様を例示する。
【0092】
図3Aは、順方向伝搬源光波L0pの周波数が変動される時間に応じた共振光空洞120により送信される光波L3またはL4の強度を表す透過曲線である。この周波数変動は例えば、レーザ110内部のダイオードへ供給される電流の大きさI
laserを変動させることにより取得される。レーザ110が光フィードバックにより共振光空洞120の共振周波数のうちの1つへチューニングされると、光子は共振光空洞120内に効果的に注入され、その内部に蓄積する。これは、共振光空洞120からの送信により出力される光波L3、L2c、L4またはL6を生じる。対照的に、レーザ110がチューニングされないと、光子は効果的に注入されなく、有るか無しかの光が共振光空洞120からの送信により出力される。したがって、レーザ110と共振光空洞120との結合の有効性は、共振光空洞120から出力される光波L3、L2c、L1c、L4またはL6のうちの1つの強度を介し測定され得る。
図3Aに示すように、この強度はそのピークが最適結合状況に対応する一種の釣鐘曲線に従う。換言すれば、結合度の最適化は、共振光空洞120から出力される光波L3、L2c、L1c、L4またはL6のうちの1つの光波の強度を最大化することとなる。
【0093】
透過曲線上の動作点(1)、(2)、および(3)の様々な例が
図3Aに示される。動作点(1)において、透過曲線の微分は正である、すなわち、送信される光波の強度は、レーザ源の周波数(すなわち電流I
laser)が増加すると増加し、レーザ源の周波数(すなわち電流I
laser)が低下すると低下する。動作点3において、透過曲線の微分は負である、すなわち、送信される光波の強度は、レーザ源の周波数(すなわち電流I
laser)が増加すると低下し、レーザ源の周波数(すなわち電流I
laser)が低下すると増加する。動作点(2)において、結合度は最適であり、透過曲線の微分は零である、すなわち送信された光波の強度はレーザ源の周波数(すなわち電流I
laser)の変化により影響されない。
【0094】
図3Bの曲線は、小振幅の変調信号SM=εsinωtが電流I
laserへ適用される場合のレーザシステムの振る舞いを示す。曲線30は、レーザのダイオードへ印可される電流I
laser=I(t)+εsinωtを示す(ε>0)。周波数ωは例えば約数kHzである。曲線31は、このような変調を有する動作点(1)を中心として取得されたレーザの(ほぼ正弦波)透過曲線を表す、すなわち、正弦波の増加部分は、正弦波の低下部分より絶対値が急な傾斜を有し、これは、透過曲線I
laser=I(t)+ε1sin(ωt+Φ1)の位相Φ1の正変調となる。曲線32は、このような変調を有する動作点(2)を中心として取得されたレーザの透過曲線を表す、すなわち、透過曲線はほぼ一定である(すなわちI
laser=I(t)+ε2sin(ωt+Φ2)において零位相変調Φ2および零振幅変調ε2)。曲線33は、このような変調を有する動作点(3)を中心として取得されたレーザの(ほぼ正弦波)透過曲線を表す、すなわち、正弦波の増加部は、正弦波の低下部より絶対値が低い傾斜を有し、これは、透過曲線I
laser=I(t)+ε3sin(ωt+Φ3)の位相Φ3の負変調となる。したがって、電流に対する透過曲線の微分の値を1秒当たり何度も検出することが可能であり、したがってレーザ110と共振光空洞120との結合の最適度合いを取得するのに必要な調整を判断することが可能であるということが分かるかもしれない。
【0095】
図2D、2Eの実施形態では、この検出は、正弦波基準信号に対する信号(本明細書では変調された送信信号)の振幅および相対的位相を特に可能にするロックイン増幅器331により実現され得る(本明細書では、信号SMは、電流I
laserの変調を介しレーザの放射周波数を変調するために使用される)。ロックイン検出増幅器331の少なくとも1つの実施形態では、入力信号が増幅され、次に変調信号を生成するために変調信号が乗算される。次に、帯域フィルタは、変調信号が積分され得るようにする。
【0096】
2D、2Eの実施形態では、ロックイン増幅器331の出力は、ロックイン検出増幅器331から出力された誤差信号SEから相対的レーザ/空洞位相を相殺するように生成される制御信号SCが生成され得るようにするPIDコントローラ333(PIDは比例、積分、微分を表す)へ接続される。
【0097】
図2A、2C、2Dまたは2Eの実施形態では、PIDコントローラ233A、233C、333は、誤差信号SEから取得された3つの成分(すなわち、誤差信号SEに対応する比例成分、誤差信号SEを積分することにより取得された積分成分、および誤差信号SEを微分することにより取得された微分成分)の加重和である制御信号SCをこのPIDコントローラ233A、233C、333内への誤差信号SE入力から生成する。制御信号の積分成分は誤差信号の遅い変化をフィルタリングするために使用され、制御信号の微分成分は誤差信号内の速い変化をフィルタリングするために使用される。これらの3つの成分のために、システム安定性が保証され得る。制御信号SCは、誤差信号SEが零に達すると(すなわち共振光空洞の送信が最大となりレーザ/空洞結合の度合いが最大となると)、上からまたは下から最適値SM
oに達する。さらに、制御信号は補償されるべき位相変動に従うために増加または低下し続け得る。この最適値SM
oに到達すると、電子光学変調器は、レーザから発せられた源波に対して位相調整ΔΦ1を行い、源波の場所/戻りレーザ/空洞行路上の全位相調整ΔΦ=ΔΦ1+ΔΦ2=2×ΔΦ1を行う。さらに、制御信号SCの比例成分は、誤差信号SEの振幅に比例して最適値SM
oに対して増加または低下する。
【0098】
図2C、2Dの実施形態では、変調信号SMはさらに、これもまた誤差信号SEから取得された3つの成分(すなわち誤差信号SEに対応する比例成分、誤差信号SEを積分することにより取得された積分成分、および誤差信号SEを微分することにより取得された微分成分)の加重和である変調された制御信号SCを生成するようにPIDコントローラ233A、233C、333の出力信号を変調するために使用される。それを中心として制御信号SCが変調される平均値は、誤差信号SEが零に達すると(すなわち共振光空洞の送信が最大となりレーザ/空洞結合の度合いが最大となると)最適値に達する。さらに、制御信号SCの比例成分は誤差信号SEの振幅に比例して増加または低下する。
【0099】
したがって、共振光空洞120から出力される光波L3、L1c、L2c、L4、またはL6の強度はレーザ/空洞位相シフトを表す誤差信号SEを生成するための入力信号として働き得る。
【0100】
レーザ110の所与の放射周波数に関して、レーザ110と共振光空洞120との結合度は、電子光学変調器115から出力される順方向伝搬光波L1pの位相を、レーザ/空洞光経路が整数個の波長λに等しくなるように平均値へ調整することにより調整され得る。ここで、λは順方向伝搬源光波L0pの波長である。
【0101】
レーザ110の周波数を変調するのではなく、
図2Dに示すように電子光学変調器の出力における光波L1の位相を電子光学変調器115により変調することが可能である。これは、レーザ110のダイオードへ供給される電流を一定に維持すること、すなわちレーザ110の放射出力が安定したままであるということを保証することを可能にする。これは、波長と出力とが両方ともに素晴らしくかつ安定しているレーザを実現する一方で、レーザ110により生成された順方向伝搬源光波L0pの一部分が例えば光ファイバカプラによりサンプリングされる場合に変調により妨害されない光波を取得することを可能にする。
【0102】
図3Cは、レーザシステム200Dまたは200Eにより取得された複数の信号を示す。曲線35(曲線の左側の目盛)は1.4kHzの変調周波数による変調信号SMの例を示す。曲線36(左手目盛)は、レーザ110内部のダイオードへ供給される電流の大きさI
laserの変調の場合の共振光空洞120から出力される光波L3またはL4を表す。変調の影響は、曲線36のピーク(ここで1.2Vの値に達する)に対応する0.09秒にほぼ等しい時間の終わりに零に達する、すなわち、このピークはレーザ/空洞結合の最大度に対応するということが分かるかもしれない。曲線37(右手目盛)は、共振光空洞120から出力される光波L3またはL4を変調信号SMにより変調することから生じる信号を表す。変調の影響は曲線36のピークに対応する0.09秒にほぼ等しい時間の終わりに零に達するということも曲線37から分かるかもしれない。曲線38(右手目盛)は、曲線37により表される信号の低域通過フィルタリング(例えば200Hzのカットオフ周波数を有する)により取得された誤差信号SEである。電子光学変調器115を制御するための信号SCは、曲線38により表された信号にPID補正を適用することにより取得される。曲線38の微分は、約0.25Vの平均の大きさに関して、曲線36または37のピークに対応する0.09秒にほぼ等しい時間の終わりに零に達する。したがって、制御信号SCは、曲線38が零に達すると最適値に達するように生成され、制御信号SCの比例成分は曲線38が零に達する点における(すなわち最大レーザ/空洞結合に対応する点、したがって最大送信に対応する点における)曲線38の振幅に対する差異に比例して増加する。
【0103】
図4は、光フィードバックを有するレーザシステム400の別の実施形態を概略的に示す。この実施形態は
図1、
図2A~2Eを参照して説明した実施形態の任意の1つと組み合わせられ得る。
【0104】
レーザシステム400は、光フィードバックに敏感であるレーザ110、共振光空洞120、光ファイバ111、光ファイバ112、およびファイバベース電子光学変調器115を含み、これらの素子は
図1を参照して説明したものに同一または同様であり
図1に示すように光学的に接続される。レーザシステム400はさらに、
図1を参照して説明した光学部品102、103、104、105、106を含み得る。
【0105】
レーザシステム400はさらに、レーザ/空洞位相シフトのモジュロ2πを表す誤差信号SEを取得するように構成されるとともに相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEに依存してファイバベース電子光学変調器115を制御するための信号SCを生成するように構成された位相制御装置430を含む。制御信号SCは、
図2A~2Eを参照して説明した方法の任意の1つを使用して生成され得る。
【0106】
レーザシステム400は、レーザ110の出力において源光波L0の一部分をサンプリングするための光ファイバカプラ107を含む。フォトダイオードPD4は、カプラ107の第1の出力に接続されており、レーザ110に戻される逆方向伝搬源光波L0cの一部分(例えば10%)を受信する。フォトダイオードPD5は、カプラ107の第2の出力に接続されており、レーザから出る順方向伝搬源光波L0pの一部分(例えば90%)を受信する。フォトダイオードPD5上に見られる光出力信号は超安定高出力光源を形成する。
【0107】
図5は、光フィードバックを有する複数源レーザシステム500の一実施形態を概略的に示す。このレーザシステム500は、光フィードバックに敏感である少なくとも2つのレーザであってその周波数が調整可能である連続波形源光波を出力光ファイバを介し放射するように意図された少なくとも2つのレーザを含む。
図5に示す例では、レーザシステム500は、光フィードバックに敏感である3つのレーザ(510A、510B、510C)であってその周波数が調整可能である対応する連続波形順方向伝搬源光波(L50Ap、L50Bp、L50Cp)を、対応する出力光ファイバ511A~511Cそれぞれ介し放射するように意図された3つのレーザ(510A、510B、510C)を含む。
図5の実施形態の説明は、3に等しい数のレーザに関して与えられるが、任意数のレーザに一般化可能である。
【0108】
レーザシステム500は、光フィードバックによりレーザ(510A、510B、510C)のうちの1つへ結合された共振光空洞120であって空洞内波L5を生成するように構成された共振光空洞120を含む。共振光空洞120は、
図1、
図2A~2Eの任意の1つを参照して説明した共振光空洞120と同一または同様であり得る。
【0109】
レーザシステム500はさらに、光ファイバ111、光ファイバ112、ファイバベース電子光学変調器115を含む。これらの素子は、
図1、
図2A~2Eを参照して説明したものと同一または同様であり、これらの図に示すように光学的に接続される。レーザシステム500はさらに、
図1を参照して説明した光学部品102、103、104、105、106を含み得る。
【0110】
レーザシステム500は、レーザ510A~510Cによりそれぞれ出力された順方向伝搬光波L50Ap~L50Cpを受信するように構成されたファイバベース光スイッチ550であって受信光波のうちの1つを選択し、選択された順方向伝搬光波L50を光ファイバ111を介し電子光学変調器115へ転送するためのファイバベース光スイッチ550を含む。選択された光波L50pは順方向伝搬源光波として働き、電子光学変調器115は、順方向伝搬源光波L50pに対して位相シフトされた順方向伝搬光波L51pを生成するように、
図1、
図2A~2Eを参照して説明した選択された光波L50pの位相を調整する(そして、任意選択的に変調する)ように構成される。変調の場合、位相シフトされた順方向伝搬光波L51pはさらに変調側波帯を有する。したがって、共振光空洞120からの光フィードバックは、選択された光波L50pを生成したレーザ510A~510Cへ送られる。
【0111】
共振光空洞120内で形成される定常空洞内光波L5は逆方向伝搬空洞内波L5cと順方向伝搬空洞内波L5pとからなる。逆方向伝搬空洞内波L5cは、逆経路を介しレーザ(510A、510B、510C)中に再注入され、光フィードバック効果を生じさせる。光フィードバックはレーザ(510A、510B、510C)のそれぞれと共振光空洞120との間で発生し得る。
【0112】
したがって、共振光空洞120の入力における光波L52は順方向伝搬波L52pと逆方向伝搬波L52cとからなる。特に、逆方向伝搬波L52cは、光アーム122の軸上の折り返しミラー123を通る逆方向伝搬空洞内波L5cの一部分に対応する。
【0113】
同様に、電子光学変調器115の出力における光波L51は順方向伝搬波L51pと逆方向伝搬波L51cとからなる。逆方向伝搬波L51cは、電子光学変調器115の出力に到達する逆方向伝搬空洞内波L5cの一部分に対応する。電子光学変調器115の作用は、両伝搬方向において同一であるので、同一量だけ、そして同じやり方で、順方向伝搬源波L0pの位相と逆方向伝搬波L51cの位相とを修正する。
【0114】
同様に、光スイッチ550の出力における光波L50は、上述したように光スイッチ550により生成された方伝搬源波L50pと逆方向伝搬波L50cとからなる。逆方向伝搬波L50cは光スイッチ550の出力に到達する逆方向伝搬光波L5cの一部分に対応する。
【0115】
光スイッチ550は、順方向伝搬方向に行われた機能の逆の機能を行うように逆伝搬方向に作用し、したがって、その順方向伝搬源波が順方向伝搬方向の光スイッチ550により選択されたレーザ510A、510B、510Cへ戻される逆方向伝搬波L50Ac、L50Bc、L50Ccを生成する。
【0116】
したがって、レーザ510A(510B、510Cそれぞれ)の出力における光波L50A(L50B、L50Cそれぞれ)は、順方向伝搬源波L50Ap(L50Bp、L50Cpそれぞれ)と逆方向伝搬波L50Ac(L50Bc、L50Ccそれぞれ)とからなる。
【0117】
したがって逆方向伝搬波L52c、L51c、L50c、L50Ac、L50Bc、L50Ccのそれぞれは逆方向伝搬波L5cから生じる。
【0118】
レーザシステム500はさらに、光スイッチ550により選択される順方向伝搬源光波を放射したレーザ510A~510Cに対応するその場所/戻りレーザ/空洞行路上に蓄積されたレーザ/空洞位相シフトのモジュロ2πを表す誤差信号SEを取得するとともに、選択された順方向伝搬源光波を放射したレーザ510A~510Cに対応する相対的レーザ/空洞位相を相殺するように誤差信号SEに依存してファイバベース電子光学変調器115を制御するための制御信号SCを生成するように構成された位相制御装置530を含む。制御信号SCは、
図1、
図2A~2Eを参照して説明した方法の任意の1つを使用して生成され得る。
【0119】
図5を参照して説明した実施形態は、源レーザのうちの1つが、例えば遠隔通信チャネルを変更する目的でまたは空洞内物質120による吸収の分析の文脈においてスペクトル範囲を変更する目的で(すなわち、具体的には、低コスト複数ガス分析器が単一共振光空洞と複数のレーザ源とにより設計され得るようにするために)、迅速に切り替えられ得るようにする。
【0120】
図6は、光フィードバックを有する複数源レーザシステム600の別の実施形態を概略的に示す。このレーザシステム600は、光フィードバックに敏感である少なくとも2つのレーザであってその周波数が調整可能である連続波形源光波を出力光ファイバを介し放射するように意図された少なくとも2つのレーザを含む。
図6に示す例では、レーザシステム600は、光フィードバックに敏感である3つのレーザ(610A、610B、610C)であってその周波数が調整可能である対応する連続波形順方向伝搬源光波(L60Ap、L60B、L60C)それぞれを、対応する出力光ファイバ(611A、611B、611C)を介し放射するように意図された3つのレーザ(610A、610B、610C)を含む。
図6の実施形態の説明は、3に等しい数のレーザに関して与えられるが、任意数のレーザに一般化可能である。
【0121】
各光ファイバ(611A、611B、611C)は、
図1、2A、2B、2Cのうちの任意の1つを参照して説明した光ファイバ111と同一または同様である。
【0122】
レーザシステム600は、光フィードバックによりレーザ(610A、610B、610C)のそれぞれへ結合された共振光空洞120であって空洞内波L5を生成するように構成された共振光空洞120を含む。共振光空洞120は、
図1、2A、2B、2Cのうちの任意の1つを参照して説明した共振光空洞120と同一または同様であり得る。
【0123】
レーザシステム600はさらに、
図1、2A、2B、2Cのうちの任意の1つを参照して説明したファイバベース電子光学変調器115と同一または同様であり得る対応ファイバベース電子光学変調器(615A、615B、615C)をレーザ(610A、610B、610C)毎に含む。
【0124】
レーザシステム600はさらに、
図1、2A、2B、2Cのうちの任意の1つを参照して説明した光ファイバ112と同一または同様な出力光ファイバ(612A、612B、612C)を電子光学変調器(615A、615B、615C)毎に含む。
【0125】
電子光学変調器(615A、615B、615C)のそれぞれは、対応する順方向伝搬位相シフト光波(L61Ap、L61Bp、L61Cp)を、
図1、2A~2Eのうちの任意の1つを参照して電子光学変調器115について説明したのと同一やり方で生成するように、対応する順方向伝搬源光波(L60Ap、L60Bp、L60Cp)の位相を調整する(そして、任意選択的に変調する)ように構成される。変調の場合、位相シフトされた順方向伝搬光波(L61Ap、L61Bp、L61Cp)はさらに変調側波帯を有する。
【0126】
レーザシステム600はさらに、電子光学変調器(615A、615B、615C)のそれぞれの制御信号(SC6A、SC6B、SC6C)を生成するための位相制御装置630を含む。制御信号(SC6A、SC6B、SC6C)のそれぞれは、レーザ(610A、610B、610C)毎に、その場所/戻りレーザ/空洞行路のそれぞれの上に蓄積されたレーザ/空洞位相シフトのモジュロ2πを相殺するように位相制御装置630により判断される。
【0127】
レーザシステム600はさらに、位相シフトされた順方向伝搬光波(L61Ap、L61Bp、L61Cp)を同じファイバ中に注入するとともに出力光ファイバ612を介し多重化順方向伝搬光波L61pを生成するためのマルチプレクサ660を含む。波長多重化(波長逆多重化、WDM:wavelength demultiplexing)が行われる。位相シフトされた順方向伝搬光波L61Ap~L61Cpの周波数帯域はそれぞれ単一ファイバ中へ多重化またはそれから逆多重化され得る。少なくとも1つの実施形態では、これらの周波数帯域は別個の帯域である。
【0128】
1つまたは複数のレンズ104が、光ファイバ612から出る順方向伝搬光波L61pを平行にするとともに順方向伝搬光波L62pを生成するために光ファイバ612の出力に配置され得る。順方向伝搬光波L62pは共振光空洞120内に注入される前に自由空間を通される。1つまたは複数のプレート型ビームスプリッタ106が、順方向伝搬光波L62の順方向伝搬部分をサンプリングするために順方向伝搬光波L62pの光経路上に配置され得る。
【0129】
共振光空洞120内で形成される定常空洞内光波L5は逆方向伝搬空洞内波L5cと順方向伝搬空洞内波L5pとからなる。逆方向伝搬空洞内波L5cは、逆経路を介しレーザ610A~610C中に再注入され、光フィードバック効果を生じさせる。光フィードバックは、レーザ(610A、610B、610C)のそれぞれと共振光空洞120との間で発生する。
【0130】
したがって、共振光空洞120の入力における光波L62は順方向伝搬波L62bと逆方向伝搬波L62cとからなる。特に、逆方向伝搬波L62cは、光アーム122の軸上の折り返しミラー123を通る逆方向伝搬光波L5cの一部分に対応する。
【0131】
同様に、マルチプレクサ660の出力における光波L61は、上述したようにマルチプレクサ660により生成される順方向伝搬波L61pと逆方向伝搬波L61cとからなる。逆方向伝搬波L61cは、マルチプレクサ660の出力に到達する逆方向伝搬光波L5cの一部分に対応する。
【0132】
マルチプレクサ660は、伝搬方向に行われた機能の逆機能を行うことにより逆方向伝搬波L61cの周波数成分を分離し、したがって逆方向伝搬波L61Ac、L61Bc、L61Ccを生成するようにデマルチプレクサとして逆伝搬方向に作用する。
【0133】
したがって、電子光学変調器615A(615B、615Cそれぞれ)の出力における光波L61A(L61B、L61Cそれぞれ)は、順方向伝搬位相シフト波L61Ap(L61Bp、L61Cpそれぞれ)と逆方向伝搬波L61Ac(L61Bc、L61Ccそれぞれ)とからなる。電子光学変調器615A(615B、615Cそれぞれ)は、順方向伝搬源波L60Ap(L60Bp、L60Cpそれぞれ)の位相を順方向伝搬方向において、そして逆方向伝搬波L61Ac(L61Bc、L61Ccそれぞれ)の位相を逆伝搬方向において修正するように構成される。電子光学変調器615A(615B、615Cそれぞれ)の作用は、両伝搬方向において同一であるので、同一量だけそして同じやり方で、順方向伝搬源波L60Ap(L60Bp、L60Cpそれぞれ)の位相と逆方向伝搬波L61Ac(L61Bc、L61Ccそれぞれ)の位相の両方を修正する。
【0134】
レーザ610A(610B、610Cそれぞれ)の出力における光波L60A(L60B、L60Cそれぞれ)は、レーザ610A(610B、610Cそれぞれ)により生成される順方向伝搬源波L60Ap(L60Bp、L60Cpそれぞれ)とレーザ610A(610B、610Cそれぞれ)へ戻される逆方向伝搬波L60Ac(L60Bc、L60Ccそれぞれ)とからなる。逆方向伝搬波L60Ac(L60Bc、L60Ccそれぞれ)は、レーザ610A(610B、610Cそれぞれ)の出力に到達する逆方向伝搬光波L5cの一部分に対応する。
【0135】
したがって、逆方向伝搬波L62c、L61c、L61Ac、L61Bc、L61Cc、L60Ac、L60Bc、L60Ccのそれぞれは逆方向伝搬波L5cを生じる。
【0136】
レーザシステム600はさらに、光ファイバ612上に配置されたファイバベースカプラ650であって順方向伝搬光波L61pの一部を伝搬方向にそして逆方向伝搬光波L61cの一部を逆伝搬方向にサンプリングするように構成されたファイバベースカプラ650を含む。カプラ650は2つの出力ファイバすなわち第1の出力ファイバ1と第2の出力ファイバ2とを含む。
【0137】
マルチプレクサ651は、それぞれマルチプレクサ660内に入力された位相シフト波L61Ap、L61Bp、L61Cpの周波数帯域に対応する逆方向伝搬光波L61cの一部分L61A1、L61B1、L61C1を逆伝搬方向にサンプリングするようにカプラ650の第1の出力ファイバ1上に配置される。対応フォトダイオードPD6A、PD6B、PD6Cは、その振幅が対応光波の輝度に依存する電流を対応光波L61A1、L61B1、L61C1から生成するために使用される。代替的に、多重化光波L61の一部分L61A1、L61B1、L61C1は、レーザ(610A、610B、610C)をマルチプレクサ660へ接続する光ファイバの部分のうちの1つの上で(例えば電子光学変調器(615A、615B、615C)の出力において)サンプリングされ得る。
【0138】
マルチプレクサ652は、それぞれマルチプレクサ660内に入力された位相シフト波L61Ap、L61Bp、L61Cpの周波数帯域に対応する順方向伝搬光波L61pの一部分L61A2、L61B2、L61C2を順方向伝搬方向にサンプリングするようにカプラ650の第2の出力ファイバ2上に配置される。対応フォトダイオードPD7A、PD7B、PD7Cは、その振幅が対応光波L61A2、L61B2、L61C2の輝度に依存する電流を対応光波L61A2、L61B2、L61C2から生成するために使用される。代替的に、多重化光波L61の一部分L61A2、L61B2、L61C2は、レーザ(610A、610B、610C)をマルチプレクサ660へ接続する光ファイバの部分のうちの1つの上で(例えば電子光学変調器(615A、615B、615C)の出力において)サンプリングされ得る。
【0139】
位相制御装置630は、レーザ610A(610B、610Cそれぞれ)に対応するその場所/戻りレーザ/空洞行路上に蓄積されたレーザ/空洞位相シフトのモジュロ2πを表す誤差信号SE6A(SE6B、SE6Cそれぞれ)を生成するとともにレーザ610A(610B、610Cそれぞれ)に対応する相対的レーザ/空洞位相を相殺するよう誤差信号SE6A(SE6B、SE6Cそれぞれ)に依存してファイバベース電子光学変調器615A(615B、615Cそれぞれ)を制御するための信号SC6A(SC6B、SC6Cそれぞれ)を生成するように構成される。制御信号SC6A(SC6B、SC6Cそれぞれ)は、フォトダイオードPD7A(PD7B、PD7Cそれぞれ)がフォトダイオードPD1Bの役割を果たしフォトダイオードPD6A(PD6B、PD6Cそれぞれ)がフォトダイオードPD2Bの役割を果たす
図2Bを参照して説明した方法を使用して生成され得る。
【0140】
レーザシステム600はさらに、
図1を参照して説明した部品102(103それぞれ)と同一であり対応する電子光学変調器(615A、615B、615C)のそれぞれの前または後ろに配置されるファイバベース光学部品602A~602C(603A~603Cそれぞれ)を含み得る。
【0141】
このシステムは、同じ空洞120が複数のレーザへのフィードバックを同時に提供するために使用され得るようにする。したがって、ガス検出器はいくつかのスペクトル領域を並列にかつ連続的に分析し得る。計測学的用途、遠距離通信用途、または例えばテラヘルツ放射の生成のための周波数の非常に精密な合成(例えば光学的ビーティング、加算または減算による)を必要とする用途のために光空洞120を介し互いに接続された複数の超安定源を提供することも可能である。
【0142】
図7は、光フィードバックを有する複数源レーザシステム700の別の実施形態を概略的に示す。このレーザシステム700は、光フィードバックに敏感である少なくとも2つのレーザであってその周波数が調整可能である連続波形順方向伝搬源光波を出力光ファイバを介し放射するように意図された少なくとも2つのレーザを含む。
図7に示す例では、レーザシステム700は、光フィードバックに敏感である2つのレーザ(710A、710B)であってその周波数が調整可能である対応する連続波順方向伝搬源光波(L70Ap、L70Bp)それぞれを対応する出力光ファイバ(711A、711B)を介し放射するように意図された2つのレーザ(710A、710B)を含む。
【0143】
各光ファイバ(711A、711B)は
図1を参照して説明した光ファイバ111と同一または同様である。
【0144】
レーザシステム700は、レーザ(710A、710B)のそれぞれへ光フィードバックにより同時に結合された共振光空洞120であって空洞内波L5を生成するように構成された共振光空洞120を含む。共振光空洞120は、
図1、2A~2Eのうちの任意の1つを参照して説明した共振光空洞120と同一または同様であり得る。
【0145】
レーザシステム700はさらに、
図1、2A~2Eのうちの任意の1つを参照して説明したファイバベース電子光学変調器115と同一または同様であり得る対応ファイバベース電子光学変調器(715A、715B)をレーザ(710A、710B)毎に含む。
【0146】
レーザシステム700はさらに、
図1、2A~2Eのうちの任意の1つを参照して説明した光ファイバ112と同一または同様な出力光ファイバ(712A、712B)を電子光学変調器(715A、715B)毎に含む。
【0147】
電子光学変調器(715A、715B)のそれぞれは、対応する順方向伝搬源光波(L70Ap、L70Bp)の位相を調整(そして任意選択的に変調)するとともに対応順方向伝搬位相シフト光波(L71Ap、L71Bp)を、
図1、2A~2Eのうちの任意の1つを参照して電子光学変調器115について説明したのと同一または同様なやり方で生成するように構成される。変調の場合、位相シフト順方向伝搬光波(L71Ap、L71Bp)はさらに変調側波帯を有する。
【0148】
レーザシステム700はさらに、第1の位相シフト順方向伝搬光波(L71Ap)と第2の位相シフト順方向伝搬光波(L71Bp)とから、2つの直交偏光波(L77Ap、L77Bp)を含む合成順方向伝搬波(L77Cp)を順方向伝搬方向に生成するための光合成器780を含む。一実施形態では、第1の順方向伝搬偏光波(L77Ap)は第1の順方向伝搬位相シフト光波(L71Ap)を偏光することにより取得され、第2の順方向伝搬分極光波(L77Bp)は第2の順方向伝搬位相シフト光波(L71Bp)を第1の順方向伝搬偏光波に直交して偏光することにより取得される。例えば、偏光保持光ファイバが電子光学変調器715A、715Bの出力において使用され、これらのファイバはそれらの偏光軸が直交するように光合成器(780)の入力へ接続される。光合成器(780)はさらに、取得された合成順方向伝搬波(L77Cp)を共振光空洞へ提供するように構成される。
【0149】
1つまたは複数のレンズ704が、光ファイバ781から出る順方向伝搬光波L77Cpを平行にして順方向伝搬光波L72pを生成するために光ファイバ781の出力に配置され得る。順方向伝搬光波L77Cpと同様に、順方向伝搬光波L72pは2つの直交偏光波を含む。順方向伝搬光波L72pは共振光空洞120内に注入される前に空間を通される。
【0150】
1つまたは複数のミラー706は、光波L72pを共振光空洞120の入力方向に導くために順方向伝搬光波L72pの光経路上に配置され得る。
【0151】
順方向伝搬合成光波L77Cpへ合成される光波L77Ap、L77Bpの偏光に対応する2つの直交偏光波を含む定常空洞内波L5が共振光空洞120内に形成される。同様に、順方向伝搬空洞内波L5pは、逆方向伝搬空洞内波L5pと同様に、順方向伝搬合成光波L77Cpに合成される光波L77Ap、L77Bpの偏光に対応する2つの直交偏光波を含む。
【0152】
さらに、定常空洞内波L5が共振光空洞120に形成されると、逆方向伝搬光波L5cが逆経路を介しレーザ710A、710B中に再注入され、光フィードバック効果を生じさせる。光フィードバックはレーザ(710A、710B)のそれぞれと共振光空洞120との間で発生する。
【0153】
したがって、共振光空洞120の入力における光波L72は順方向伝搬波L72pと逆方向伝搬波L72cとからなる。特に、逆方向伝搬波L72cは、光アーム122の軸上の折り返しミラー123を通る逆方向伝搬光波L5cの一部分に対応する。順方向伝搬波L72pと同様に、逆方向伝搬波L72cは順方向伝搬合成光波L77Cpへ合成される光波L77Ap、L77Bpの偏光に対応する2つの直交偏光波を含む。
【0154】
同様に、光合成器780の出力における光波L77Cは順方向伝搬波L77Cpと逆方向伝搬波L77Ccとからなる。順方向伝搬波L77Cpと同様に、逆方向伝搬波L77Ccは、光波L77Ap、L77Bpの偏光に対応する直交偏光の2つの逆方向伝搬光波L77Ac、L77Bcを含む。逆伝搬方向では、光合成器780は、光合成器に到達する逆方向伝搬合成光波L77Cc内の、直交偏光波の一部分を分割することにより分割波を生成するとともに逆方向伝搬波L71Ac、L71Bcを生成するように構成される。
【0155】
同様に、電子光学変調器715A(715Bそれぞれ)の出力における光波L71A(L71Bそれぞれ)は、順方向伝搬位相シフト波L71Ap(L71Bpそれぞれ)と逆方向伝搬波L71Ac(L71Bcそれぞれ)とからなる。電子光学変調器715A(715Bそれぞれ)は順方向伝搬方向において順方向伝搬源波L70Ap(L70Bpそれぞれ)の位相を修正し、逆方向伝搬方向において逆方向伝搬波L71Ac(L71Bcそれぞれ)の位相を修正するように構成される。電子光学変調器715A(715Bそれぞれ)の作用は、両伝搬方向において同一であるので、順方向伝搬源波L70Ap(L70Bpそれぞれ)の位相と逆方向伝搬波L71Ac(L71Bcそれぞれ)の位相を同じやり方で修正する。
【0156】
同様に、レーザ710A(710Bそれぞれ)の出力における光波L70A(L70Bそれぞれ)は、レーザ710A(710Bそれぞれ)により生成される順方向伝搬源波L70Ap(L70Bpそれぞれ)とレーザ710A(710Bそれぞれ)へ戻される逆方向伝搬波L70Ac(L70Bcそれぞれ)とからなる。逆方向伝搬波L70Ac(L70Bcそれぞれ)はレーザ710A(710Bそれぞれ)に到達する逆方向伝搬光波L5cの一部分に対応する。
【0157】
したがって逆方向伝搬波L72c、L77Cc、L71Ac、L71Bc、L70Ac、L70Bcのそれぞれは逆方向伝搬波L5cから生じる。
【0158】
レーザシステム700はさらに、光空洞のアーム121の軸上の共振光空洞の入力に配置されたビームスプリッタ707を含む。ビームスプリッタ707は光波L76を受信する。反射された光波L72rは、順方向伝搬光波L72pの折り返しミラー123からの反射から生じる。動作中、空洞内定常波L5が共振光空洞120内で形成されると、アーム121の光軸上の空洞120の入力において形成された光波L76は、反射された光波L72rと、共振光空洞のアーム121の軸上の共振光空洞120の折り返しミラー123を介し送信された逆方向伝搬空洞内波L5cの一部分との光学的干渉から生じる。対照的に、共振光空洞120のアーム122の軸上の折り返しミラー123を介し送信される逆方向伝搬光波L5cの一部分に関し、順方向伝搬光波L72pとの干渉は無い。ビームスプリッタ707は、光波L76から、第1の偏光波L77Apの偏光と第2の偏光波L77Bpの偏光とにそれぞれ対応する別個の偏光の2つの光波L76A、L76Bを生成する。
【0159】
レーザシステム700はさらに、光波L76Aから、その振幅が光波L76Aの輝度に依存する電流を生成するためのフォトダイオードPD76Aを含む。
【0160】
レーザシステム700はさらに、光波L76Bから、その振幅が光波L76Bの輝度に依存する電流を生成するためのフォトダイオードPD76Bを含む。
【0161】
レーザシステム700はさらに、光空洞のアーム121の軸上の共振光空洞の出力に配置されたビームスプリッタ708を含み得る。ビームスプリッタ708は、共振光空洞120の出力ミラー125を介し、順方向伝搬空洞内波L5の一部分の送信から生じる光波L73を受信する。ビームスプリッタ708は、光波L73から、第1の偏光波L77Apの偏光と第2の偏光波L77Bpの偏光とにそれぞれ対応する別個の偏光の2つの光波L73A、L73Bを生成する。
【0162】
レーザシステム700はさらに、その振幅が光波L73Aの輝度に依存する電流を光波L73Aから生成するためのフォトダイオードPD73Aを含み得る。
【0163】
レーザシステム700はさらに、その振幅が光波L73Bの輝度に依存する電流を光波L73Bから生成するためのフォトダイオードPD73Bを含み得る。
【0164】
レーザシステム700はさらに、電子光学変調器(715A、715B)毎に制御信号(SC7A、SC7B)を生成するための1つまたは複数の位相制御装置(730A、730B)を含む。位相制御装置(730A、730B)により判断された制御信号(SC7A、SC7B)のそれぞれは、各レーザ(710A、710B)に対応するその場所/戻りレーザ/空洞行路上に蓄積されたレーザ/空洞位相シフトのモジュロ2πを相殺するように判断される。位相制御装置(730A、730B)のそれぞれは、当該位相シフト光波の偏光に対応する偏光の光波を受信するフォトダイオードPD76A、PD76B(および任意選択的にPD73A、PD73B)により生成された電流を受信する。
【0165】
制御信号SC7A(SC7Bそれぞれ)は、
図2Cを参照して説明した方法を使用することにより、フォトダイオードPD76A(PD76Bそれぞれ)により生成された電気信号からそして任意選択的にフォトダイオードPD73A(PD73Bそれぞれ)により生成された電気信号からそれぞれ取得された対応する誤差信号SE7A(SE7Bそれぞれ)から生成される。ここで、制御信号SC7A(SC7Bそれぞれ)を生成するように、フォトダイオードPD76A(PD76Bそれぞれ)はフォトダイオードPD3の役割を果たし、フォトダイオードPD73A(PD73Bそれぞれ)はフォトダイオードPD2Cの役割を果たす。
【0166】
レーザシステム700はさらに、光ファイバ711A上に配置されたファイバベースカプラ740Aであって順方向伝搬光波L40Apの一部分をサンプリングするように構成されたファイバベースカプラ740Aを含み得る。カプラ740Aは、光増幅器OA7Aが高出力光波L74Aを生成するために配置され得る少なくとも1つの出力を有する。
【0167】
少なくとも1つの実施形態では、レーザシステム700は、レーザ710A、710Bの出力において順方向伝搬光波L70Ap、L70Bp(逆方向伝搬光波L70Ac、L70Bcそれぞれ)を合成するための光学部品を含む。次に、これらの順方向伝搬光波L70Ap、L70Bp(逆方向伝搬光波L70Ac、L70Bcそれぞれ)の一部分は例えば光カプラまたは光サーキュレータによりサンプリングされる。例えば、レーザシステム700はさらに、光ファイバ711B上に配置されたファイバベースカプラ740Bであって光波L70Bの一部分をサンプリングするように構成されたファイバベースカプラ740Bを含み得る。カプラ740Bは、光増幅器OA7Bが高出力光波L74Bを生成するために配置され得る少なくとも1つの出力を有する。出力光波L74Aおよび出力光波L74Bは周波数が安定しており、例えば数ヘルツすなわち10-14の相対精度の非常に狭いスペクトルバンド幅を有する。レーザシステム700は例えばさらに、周波数が安定しておりかつ高精度なより高いまたは低い周波数の光波を取得するように、例えば光学的ビーティング、加算または減算により出力光波L74Aと出力光波L74Bとを合成するための光学部品を含む。
【0168】
したがって、システム700の可能な1つの用途は、例えば非常に純粋でありかつ広範囲に調節可能なTHz放射を生成する目的でその周波数比が非常に精密な2つの光波の生成である。したがって、システム700は、重い分子の検出(生物学、爆発物、撮像、遠隔通信など)に適用可能である。
【0169】
図1~7を参照して本明細書で説明した様々なレーザシステムはガス検出システムを生成するために使用可能である。このようなガス検出システムでは、共振光空洞は分析される少なくとも1つのガスを収容するように意図されたチャンバを画定する。ガス検出システムは、レーザシステムにより生成された1つまたは複数の光波を分析および/または比較するための分析装置を含み得る。例えば、分析装置は、共振光空洞から出力される光波の輝度と共振光空洞内に入力される光波の輝度との比を判断するように構成される。少なくとも1つの実施形態では、1つまたは複数の光源の周波数が変化するようにされ、輝度の比は周波数スペクトルを取得するように周波数毎に測定される。
図5~7を参照して説明した複数源レーザシステムの場合、分析は様々な光源の様々な周波数において同時または交互に行われ得る。
【0170】
一実施形態によると、CRDS(キャビティリングダウン分光法)測定が行われる。この実施形態では、レーザによる源波の放射は、空洞が光子により充たされると遮断され、空洞内の光子の寿命が測定される。この寿命は、ミラーの反射率だけでなく空洞内に存在するガス中への吸収による損失にも依存する。レーザは、レーザ波を著しく(>60dB)減衰するように構成された電子光学変調器を使用することにより、または順方向伝搬方向に電子光学変調器の後ろに配置された増幅器(素子103)により、遮断(減衰>80dB)される可能性がある。
【0171】
本明細書は、本明細書で説明した実施形態の任意の1つによるレーザシステムによりレーザ源を生成する方法に関する。少なくとも1つの実施形態では、本方法は、その周波数が調整可能である(源波と呼ばれる)連続波形順方向伝搬源光波(L0p;L50Ap、L60Ap、L70Ap)を生成する工程を含む。源波は、レーザの出力光ファイバ(111;511A;611A;711A)を介し、光フィードバックに敏感なレーザ(110;510A;610A;710A)により生成される。
【0172】
少なくとも1つの実施形態では、本方法は、その一部分が逆方向伝搬光波の形式でレーザへ戻される空洞内波(L5)を生成するように構成された共振光空洞(120)へフィードバックによりレーザをフィードバックにより結合する工程を含む。
【0173】
少なくとも1つの実施形態では、本方法は、レーザと共振光空洞との間の源波の光経路上に配置されたファイバベース電子光学変調器により、源波を位相シフトすることにより位相シフトされた源波(L1p;L51Ap、L61Ap、L71Ap)を生成し、逆方向伝搬光波を位相シフトすることにより、レーザに到達するフィードバック波と呼ばれる位相シフトされた逆方向伝搬波(L0c;L50Ac、L60Ac、L70Ac)を生成する工程を含む。
【0174】
少なくとも1つの実施形態では、本方法は、源波とフィードバック波との間の相対的位相を相殺するように、源波とフィードバック波との間の相対的位相を表す誤差信号(SE)から電子光学変調器を制御するための信号(SC;SC6A、SC7A)を生成する工程を含む。制御信号は
図2A~2E、5、6、7を参照して説明した方法の任意の1つを使用することにより生成され得る。本方法は、
図1、2A~2E、
図4~7を参照して本明細書に説明された様々なレーザシステムへ適用可能である。